阪神(★4対6☆)広島 =リーグ戦16回戦・大阪ドーム=
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広島
00310 1100 6100
阪神
00200 0002 4110
勝利投手:九里 亜蓮(6勝3敗0S)
敗戦投手:才木 浩人(3勝6敗0S)
  DAZN
◆広島に優勝マジック32が点灯した。広島は3回表、丸の適時二塁打と鈴木の2ランで3点を先制する。6回には丸が再び適時二塁打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・九里が今季6勝目。敗れた阪神は、最終回に原口の適時打で2点差まで迫るも、反撃は及ばなかった。

◆阪神糸井嘉男外野手が反撃の適時打を放った。  3点を追う3回1死二、三塁。カウント2-2と追い込まれたが、外角に来た133キロシュートにうまくバットを合わせた。体勢は崩されたが、左前に落として三塁走者が生還した。

◆阪神才木浩人投手(19)が広島打線につかまり、4回途中でKOされた。  課題であった立ち上がりの投球は1、2回を無失点に抑え、改善したように見えた。だが、3回には4番鈴木に2ランを浴びるなど3点を失う。4回には3者連続四球などもあり1失点。3回2/3を5安打4失点でマウンドを降りた。  「慎重になりすぎて、全体的にボール先行の投球でカウントを不利にしてしまい、甘く入ったところを続けて打たれてしまいました。点を取ってもらった次の回にあのような投球でマウンドを降りてしまい、チームに申し訳ないです」  降板後、19歳右腕が反省を口にした。

◆広島が阪神との直接対決を制し、優勝へのマジックナンバー32を灯した。リーグ連覇を飾った昨年(8月8日にマジック33点灯)に次ぐチーム2番目のスピード点灯。他チームの勝敗に関わらず、あと32勝すれば優勝が決まる。  広島はヤクルトを下した1日にマジック点灯へ王手をかけた。そこから6度の点灯チャンスを逃し続け、ようやく成功した。リーグ3連覇への道筋に光が差した。

◆<阪神-広島>◇15日◇京セラドーム大阪 広島は3回に丸の二塁打と鈴木の2ランで3点先取。3―2の4回に押し出し四球を選んだ丸が6回は二塁打で加点した。九里が6勝目。才木が崩れた阪神は反撃も及ばなかった。首位広島が自力優勝が残っていた阪神に6―4で勝ち、球団初のリーグ3連覇を狙う広島に優勝へのマジックナンバー「32」が両リーグを通じて今季初めて点灯した。

◆阪神が首位広島に優勝マジック点灯を許した。2回までは両チーム無得点。先発才木がつかまったのは3回だ。1死一塁で、丸に速球を痛打され、右中間を破られる先制適時二塁打を浴びた。鈴木にはスライダーに合わされ、パワーで左翼席に2ランを運ばれた。いずれも打者有利のカウント3-1になった直後の1球を仕留められた。この日は4回、押し出し四球を与えたところで降板した。金本知憲監督は「技術不足か...。いいモノを持っているのに」と振り返った。先週から前日14日の直接対決まで、4度、広島のマジック点灯を阻んできたが、ついに失敗。4点ビハインドの9回には2点差に迫るなど、意地も見せた。惜敗を糧に、上位浮上をうかがう。

◆首位広島が阪神に勝ち、優勝マジック「32」を点灯させた。3回に丸の適時打と鈴木の2ランでリード。そのまま追いつかせず、逃げ切った。  緒方孝市監督(49)は「今日もいい形で攻撃してくれた。点数をしっかり取って、いいゲームだった」とうなずいた。マジック点灯については「関係ないこと。143試合、カープの野球をやるだけ」と関心を示さなかった。

◆広島に優勝マジック32が点灯した。2位以下で唯一自力Vがあった阪神は、残り全勝で92勝50敗1分け、勝率6割4分8厘。広島は残り42試合のうち阪神戦9試合に敗れても、他カードで32勝すれば92勝49敗2分け、勝率6割5分2厘で阪神を上回る。  2位以下の5球団に自力Vがなくなり、マジックが出た。現日程での最短Vは9月5日。  ▼広島は7度目の挑戦で点灯。16年ソフトバンクが9度目、17年広島が5度目と、最近はM点灯に苦労している(16年ソフトバンクはV逸)。広島のM点灯日は16年から8月24日→8月8日→8月15日。点灯日は昨年より遅いものの、42試合残しての点灯は80年の残り43試合に次ぐ球団2番目のスピードだ。  セ・リーグでは、巨人が3連覇以上を5度しているが、巨人は3年続けて8月までにマジックを点灯させたことがない。セ・リーグで3年連続8月M点灯は広島が初めて。

◆首位広島が阪神に快勝し、ついに優勝へのマジックナンバー「32」が点灯した。お預けが続いたマジック点灯チャンスに7度目でようやく成功。3回には若き4番、鈴木誠也外野手(23)の22号2ランで流れを引き寄せた。チームは60勝にリーグ一番乗り。過去5度の最速60勝はいずれもリーグ制覇しており、データ上はV率100%。球団初の3連覇へ視界良好だ。  鈴木が豪快な一撃で、3連覇への道筋を示した。3回、丸の先制打の直後。1死二塁で放った高い弾道は、京セラドーム大阪の左翼3階席に着弾。大歓声を浴び、涼しい顔でベース1周。ナインとハイタッチを交わし、笑みがこぼれた。リードを保って逃げ切り、ついに優勝マジックが点灯した。  若き主砲は序盤の2ランに「遠い昔のような感じ」と第一声で笑わせた。主導権を握ったことには「丸さんが苦しい場面で走者をかえしてくれて、楽な気持ちで打席に入れた」と納得顔で振り返った。8月は13試合で早くも8発。自己最多だった16年8、9月の月間7発を更新した。月間打率も4割6分と高い。昨年は8月下旬に右足首骨折で無念の離脱も、今年は夏男ぶりを発揮。苦しい台所事情の投手陣を助けている。 阪神才木からのアーチについては、珍しく自画自賛した。「うまく打つことができた。真っすぐが強い投手。真っすぐに合わせていた。どのコースを打ったかも覚えていないくらい。よく引っかかってくれた」。カウント3-1から外角の厳しいスライダーにタイミングを外された。体が泳いでも、軸はぶれなかった。その裏には、シンプルな打撃理論がある。 「真っすぐ立って、真っすぐバットを出す」-。求道者のように試行錯誤を繰り返すが、常にチェックするのはトップの位置だ。 「トップは強くバットを振り出すための場所なので。疲れてくると、左肩が内側に入ってくる。それを戻そうとすると、反動で(きわどい球に)バットが止まらなくなる。反動をつけた方が飛距離は出ますけどね。真っすぐ構えて打つ。シンプルが一番。だけど難しいんです」。楽に飛ばしたい気持ちを抑え、肩のラインを一定に保ちながら、あらゆる球に対処。そんな技術が難しい変化球の柵越えにつながった。 昨年より1試合早い101試合目でマジックが点灯した。点灯について緒方監督は「関係ないこと。143試合、カープの野球をやるだけ」と普段通りを貫いた。鈴木も「32ですか? まだいいかな。気にせずにやっていきたい」。2位以下に大差をつけ、ゴールテープがはっきり見えてきた。【大池和幸】

◆阪神ロサリオが3回に1点差に迫る中犠飛を放った。  8回には右翼フェンス直撃の安打を見せつけたが、2点を追う9回2死一、二塁では遊ゴロに倒れ、最後の打者となった。「いい打席もあったけど、最後のいいところでランナーをかえせなかった。自分の仕事ができなかったのは悔しい。また明日、気持ちを切り替えて勝てるようにしたい」と前を向いた。

◆阪神原口が「代打の神様」の本領発揮だ。  4点を追う9回2死二、三塁で登場。守護神中崎のスライダーをコンパクトに捉え、中前に2点打を放った。「あそこで走者をかえせたら、まだ分からない状況だった。点が入って良かった」。  前日14日も適時打を放っていた。代打のシーズン打率5割1分4厘でリーグ新記録ペース。得点圏では驚異の7割3分3厘に跳ね上がる。シーズン18安打は球団最多の08年桧山の23安打に5本と迫り、63年西山、77年切通、82年永尾と並ぶ3位タイの記録だ。

◆阪神は首位広島に優勝マジック点灯を許した敗戦の中、好調な1、2番コンビの奮闘が光った。1番糸原が3安打、2番北條が2安打とそろって複数安打をマーク。鯉倒への執念をバットに乗せた。  糸原は第1打席で九里の139キロ直球を中前にはじき返し、シーズン100安打に到達。今季9度目の猛打賞で102安打まで伸ばし、チーム最多を走る。北條は連続試合出塁を21に伸ばし、打率を3割4分1厘まで上昇させた。  輝いたのは3点を先制された直後の3回裏だ。先頭の糸原が九里の変化球を左前に流し打てば、呼応するように北條が続く。初球の内角球に腕をたたんで対応し、するどい当たりで三遊間を抜いた。連打が2点を返す反撃の呼び水となった。  ただ、快音だけでは満足できない。糸原は「勝ちにつながることが一番なので。塁に出ることと、つなぐことを意識している」。北條も「初球から積極的にいきました。糸原さんは2死からでも塁に出る。ネクストサークルでは(自分に打席が)来ると思って、いい準備ができている」と振り返ったが、2人とも敗戦に笑顔はなかった。  望みがある限り、最後まであきらめない。王者相手にしぶとく食らいつく2人が逆襲の火付け役となる。【吉見元太】

◆阪神が目の前で広島の優勝マジック点灯を許してしまった。3回に先手を奪われ、直後に反撃。最終9回にも粘りをみせたが、あと1歩勝利に届かなかった。この敗戦で虎の自力優勝の可能性が再び消滅。広島にM32が点灯したが、逆転Vの可能性が消えたわけではない。虎の戦う姿勢に変わりはない。  優勝マジックをともしたカープの凱歌(がいか)が響く京セラドーム大阪の一塁側スイングルームで金本監督が険しい表情を崩さなかった。4点ビハインドの9回に2点差まで詰め寄ったが、ロサリオの遊ゴロで万事休す。会見中も「いい? もうないやろ?」と自ら切り出し、マジック点灯の話題に「あ、そう」と話したきり、足早にロッカールームに引き揚げた。会見時間はわずか1分12秒。悔しさがあふれ出ていた。  19歳の才木が必死に右腕を振ったが、リーグ3連覇を目指す常勝軍団に歯が立たない。1点差に迫った4回は制球を乱して自滅。生命線の速球、変化球ともに制御できず、田中、菊池、丸を3者連続で歩かせ、押し出し四球で追加点を許すと降板。指揮官も「技術不足か...。何だろうね、いいモノを持っているのに」と嘆くしかない。救援陣もボディーブローの失点を重ね、反撃の足かせになった。  先発才木が落とし穴にはまったのは3回だ。「魔のカウント3-1」になってしまった。1死一塁では丸に速球を容赦なくとらえられて、右中間を破られる先制適時二塁打を許した。打ち気にはやる鈴木にもスライダーを合わされ、左翼に2ランを被弾。3者連続で打者有利のカウント3-1になった。打たれるべくして打たれ、重い3点を背負った。金本監督は「いろいろ原因はあると思うけど、ストライクを欲しいときに取れるくらいにならないとね。警戒しすぎてもいかんし」と評した。  「飛車」を欠き、打線の迫力不足も否めない。この日は好調のベテラン福留が休養日で先発から外れ、伊藤隼が3番に入った。2点差の4回は2死二、三塁の同点機で打席が巡るが九里の内角フォークに空振り三振。主力不在が浮き彫りになった。14日に2打点のキャプテンは欠場。敗戦に重くのしかかってしまった。  意地を見せてきた。14日の直接対決も糸井や福留らの奮闘で逆転勝ち。先週に続いてマジック点灯を4度も阻んでいた。この日も瀬戸際の9回に2点を奪取。片岡ヘッド兼打撃コーチも「やることは変わりませんよ」と言った。広島と12・5ゲーム差に広がったが、直接対決は9試合ある。執念の見せどころは、まだ残されている。【酒井俊作】
 ▼広島に優勝マジック32が点灯した。2位以下で唯一自力Vがあった阪神は、残り全勝で92勝50敗1分け、勝率6割4分8厘。広島は残り42試合のうち阪神戦9試合に敗れても、他カードで32勝すれば92勝49敗2分け、勝率6割5分2厘で阪神を上回る。2位以下の5球団に自力Vがなくなり、マジックが出た。現日程での最短Vは9月5日。  ▼阪神の自力優勝が消え、広島のマジックが点灯した。阪神の自力優勝が復活するには、今日16日の直接対決に勝ち、17日からのヤクルト戦に2連勝または1勝1分で、広島が17日からのDeNA戦に2連敗するのが条件。

◆セ・リーグで首位を走る広島が6-4で阪神に競り勝った。今季101試合目で優勝へのマジックナンバー「32」が今季初点灯した。三回に丸の適時二塁打、鈴木の22号2ランで3点を先制。その後も効果的に点を奪い、60勝に到達。先発の九里は5回7安打2失点で6勝目(3敗)を挙げた。リーグ3連覇へ鯉が節目の1勝を挙げた。  阪神は才木が先発した。広島は三回、先頭の田中が死球。続く菊池は投ゴロに倒れたが、3番・丸が左中間に先制の適時二塁打。さらに4番・鈴木も左翼席に22号2ランを放ち、3-0とした。四回には二死二塁から連続四球で満塁とすると、丸が押し出し四球を選び1点を追加。六回にも一死一、二塁から丸が左翼フェンス直撃の適時二塁打。七回には会沢が左翼席へ10号ソロを放って突き放した。  九里は先制点をもらった直後の三回に4番・糸井に左前適時打を浴び、続くロサリオにも中犠飛を許した。それでも、粘り強い投球。六回からはアドゥワ、一岡 、フランスアが無失点でリレー。九回から登板の守護神・中崎が二死二、三塁から原口に中前2点打を浴びたものの、6-4で逃げ切った。

◆セ・リーグで首位を走る広島が阪神に競り勝ち、101試合目で優勝へのマジックナンバー「32」が今季初点灯した。三回に丸の適時二塁打、鈴木の22号2ランで3点を先制。その後も効果的に点を奪い、60勝に到達した。  リーグ3連覇へ鯉が節目の1勝を挙げた。5回7安打2失点で6勝目(3敗)を挙げた先発の九里は試合後、ヒーローインタビューに応じた。一問一答は以下の通り。  --最後にはひやっとする場面もあった  「抑えてくれると信じて、見ていました」  --前日終盤にやられてのきょうのゲーム  「1点でも少なく、なんとかゲームが作れるように、低めに投げていくことを意識して投げました」  --まさにそれが実践できた  「そうですね。少し球数が多くなってしまったところがもったいないかなと思いますけど。次にしっかり生かせるようにやっていきたいです」  --きょうは三振も奪えた  「たまたまだと思います」  --ついに優勝へのマジックが点灯  「そんなに意識はしていなかったので、しっかり一戦一戦、なんとかチームの勝ちに貢献できるようなピッチングがしていければいいかなと思います」  --京セラDにも多くの広島ファンの姿が  「本当にファンのみなさまの応援が後押ししてくださるので、本当に力になっています」  --今後に向けてひと言  「自分としてはまだまだだと思いますし、少しでも長いイニングが投げられるように頑張っていきたいと思います。なんとかチームの勝ちに貢献できるようなピッチングを続けていけるように頑張っていきたいと思います」

◆セ・リーグは15日、首位広島が自力優勝の可能性が残っていた阪神を6-4で下し、球団初のリーグ3連覇を狙う広島に優勝へのマジックナンバーが「32」で両リーグを通じて今季初めて点灯した。  広島は残り42試合で阪神との9試合に全敗しても32勝すれば、阪神が残り46試合に全勝した場合でも勝率が上回る。

◆阪神は敗れたものの、2-6の九回に広島の抑えの中崎を攻め立てた。大山、糸原の連打などで食らい付き、2死後の二、三塁から代打原口が中前へ2点タイムリーを打ち返した。さらに糸井が四球。一発出れば逆転サヨナラという好機をつくったが、ロサリオは外の変化球を捉え切れずに遊ゴロに倒れた。  最終盤に粘りをみせたが、14日に続く逆転劇とはいかなかった。金本監督は「なかなかそうは」と悔しさを押し殺すように話した。

◆広島の鈴木が三回、22号2ランを左越えに運んだ。丸の二塁打で1点を先制し、なお1死二塁。3ボール1ストライクから才木が投げた外寄りの変化球をバットに乗せ「うまく打つことができた。本塁打になって良かった」と喜んだ。  好調を維持する4番打者は8月に入って、これが8本塁打目。昨季、右足首を骨折して戦列を離脱し、悔しい経験をした夏場に堂々と打線を引っ張っている。

◆クソ~何んでこんなに腹が立つ!?  カープにマジック点灯? そんなもん関係ねーよ。これはあくまで50年以上、プロ野球(と、いっても阪神中心だけどさ)を日々必死に見続けてきた俺のわがままな理論だったりするかもしれないけど、本日の虎の敗因はカープの1番田中を阻止できなかった(4度出塁)ことなのだ!!  『野球は生きモノ』。前日、好選手の田中とは思えない5打席無安打、しかもミートのうまい打者なのに4三振、守っては決勝点を呼ぶ先頭打者の出塁を許すエラーをしている田中の息を吹き返させないことだったのに...。確かに丸も鈴木も阪神戦に妙に強い松山もコワイよ!! だけど強い広島の原動力は『タナ、キク』の出塁なのだ。  ちなみに前日はクリーンアップのマル、スズ、マツは本塁打を含む5安打なのに、タナ、キクが10タコだから阪神が勝利しているのだ。  ア~悔しい!! 悔しい!! 先発の才木もストレートと大きなカーブ(たまにフォーク)で十分立ち向かえるのに...細かいことして小さくまとまった投手にしないでくれー!!

◆昔、広島vs近鉄の日本シリーズの取材で、ゲーム前の近鉄練習の真っ最中にたまたまバックネット付近で中西太さん(西鉄、阪神などで監督)と雑談をしていたら、太さんが何かジョークを飛ばした。それで思わずクックッと笑ったら、言った本人の太さんも大きな声でワッハッハ! と大笑い。打撃ケージで選手を食い入るように見つめていた監督西本幸雄がグイッとアゴをこっちにむけて、凄い形相でわれわれ凸凹コンビをジロッとにらみつけた。  「あの時にニラまれて怖かった...」と後日、西本さんに言ったら「こっちは商売とはいえ"命がけ"なんや。それを白い歯をみせてチャラチャラしとるのは誰や! と思って振り向くと...その凸凹コンビやないか。冗談やないぞ」とまたニラまれた。『江夏の21球』のあのシリーズだ。  そういう"ピリピリ感"というのは常にどの監督にもある。星野仙一監督にはわれわれは試合前に担当記者同士「今日は何メートル?」ウーン5メートルかなぁ...なんて会話をよくした。つまり今日はご機嫌斜めだから5メートル以上は近づくな...という意味だ。そういう時に限って逆に接近して「何か怒ってる?」なぁんて問いかけると彼はワザとツルンとした顔をして「何にも...」とニヤリ。国定忠治は鬼より怖い。ニッコリ笑えば人を斬る...である。  最近、モニターテレビの画面にアップになる金本監督の"つとめて無表情"の奥に逆に腸がねじ切れるんじゃないか...というほどの内面の炎をかぎ取るのは筆者だけか。  「終戦記念日」は世界中が平和を真摯に考える日だが、ファンの期待値の高いチームの監督にとっては『マジック点灯の日』はいくらクライマックスシリーズ(CS)があるといっても覚悟の上で"終戦記念日"でもあるわけだ。それが背中にへばりついている日々でなおかつこの炎暑。俺みたいな古株の記者がぶしつけな質問をぶつけてくると...だったら貴様がやってみろ! とあの長嶋茂雄さんだってファイティング・ポーズをとったこともある。  才木は一生懸命だし、イイ資質をもった投手だがフッと四球から崩れる(いわゆる"殻を破れない"もどかしさ)というヤツだ。それに翻弄される辛さ...今、金本監督のクールな顔がアップになる度にその痛みがよくわかる気がした。  実は1979年のこの8月15日は江川卓との電撃トレードで阪神に来た小林繁が、阿修羅のごとく巨人に立ち向かい、無キズの8連勝したが、その7勝目が後楽園の8月15日。9回123球7安打10奪三振2四球の完封。2時間45分でピシャリ。それこそ試合前から、小林の5メートル周辺は接近できない鬼気迫るモノが漂っていた。緊張感ではない。鬼気だ。似て非なるものだ。  六回のナバーロの守備をみて...ため息が出たこととの、コントラスト。  「実は僕の父親はこの終戦記念日が誕生日でして...」とトラ番竹村岳記者の電話。ほほう...父上は何歳? え...アレ、何歳だったっけ...その...。おいおい、父親の年ぐらいおぼえとけョ。ちょっとまってください...しばらくして「58歳でした」だと。  で、もう一度、竹村から電話がかかり「誕生日の話じゃなく、父親が明日(16日)に京セラで試合が見たいというので...きっと明日は糸井さんが打ってくれると思いマスといいたかったんです」だと。またため息が出た"終戦記念日"でした。

◆  --最後も一発出ればというところまで追い上げた  金本監督 「うーん、なかなかそうは(いかない)、なかなかそうは」  --最後まで諦めない気持ちは前面に出た  「うーん、まあね、そうですね」  --四回の才木の投球は、ストライクで勝負してほしかった  「うーん、ちょっとなあ...技術不足か、何だろうね、いいものを持っているのにね」  --カウント3-1にして厳しいカウントに  「うーん、まあいろいろと原因はあると思うけれど。まあ、ストライクをほしいときに取れるようにならないとね、やっぱ。警戒しすぎてもいかんし」  --福留は完全に休み  「うん」  --以前も関係ないと話していたが、広島にマジックが点灯した  「あっそう。もういいでしょう、ハイ」

◆糸井が反撃の一打を放った。3-0の三回一死二、三塁。広島・九里の133キロフォークを泳ぎながら左前へ。今季最長の10試合連続安打&最長タイの3試合連続打点でキバをむいた。4-6となった九回二死一塁では四球も選んだ。前日14日は4安打を放ち、8月は打率・486(35打数17安打)と依然として好調をキープしている。

◆北條が21試合連続出塁となる安打を放った。3-0の三回無死一塁で、初球をとらえて左前打。「アウトにならないように、ヒットでも四球でも初球から積極的にいけた」。無死一、二塁として、この回の2得点につなげた。四回二死一塁でも左翼線へ二塁打。今季14度目のマルチ安打を放ち「(1番打者の)糸原さんが二死からでも塁に出てくれるので、回ってくると思いながら、いい準備ができています」と汗をぬぐった。

◆広島は阪神に6-4で勝ち、今季両リーグ通じて初めて優勝マジック「32」を点灯させた。  広島に優勝マジック「32」が点灯した。対象球団は、広島以外で全勝時の勝率が最も高い阪神の・648。広島は残り42試合のうち阪神との直接対決9試合に全敗しても、他のカードで32勝すれば勝率・652で阪神を上回る。これで2位以下5球団の自力優勝の可能性が消滅。現日程での最短優勝日は9月5日。  リーグ60勝一番乗りは16年から3年連続6度目。過去5度はいずれもリーグ優勝。  セ・リーグ3連覇ならば1951-53年、55-59年、65-73年、2007-09年、12-14年の巨人についで6度目。巨人以外では初となる。

◆鯉の若き4番が豪快な一発で京セラを騒然とさせた。1点を先制しなお三回一死二塁。広島・鈴木が左翼席中段に22号2ランを突き刺した。  「真っすぐが強いピッチャー。いつも丸さんが打ってくれるので、楽に入れる」  丸の先制適時二塁打で1点を奪って、鈴木が打席に入った。制球が乱れる才木の3ボール1ストライクからのスライダーを振り抜き、左翼席へ運んだ。  8月に入って元気いっぱいの23歳は今月の月間打率・460(50打数23安打)8本塁打、18打点を夏男ぶりを発揮している。16日に母校・二松学舎大付(東東京)が夏の甲子園の3回戦で浦和学院(南埼玉)と激突。後輩にエールを届ける一発になった。  「まだマジックは32。気にせず、やっていきたいです」  昨年の8月は右足首を骨折し、シーズン絶望となった。今度は自分の力で優勝へ導く。

◆厳しい現実...。阪神は広島に4-6で敗れ、自力優勝の可能性が消滅。目の前で優勝マジック「32」を点灯させられた。金本知憲監督(50)は「あっ、そう」と淡々。2016年の就任以来、古巣には圧倒的な戦力差を見せつけられてきたが、今年もそれを埋められなかった。だが、下を向いている時間はない。残り46試合、勝ち続けるのみだ。  あと1本だった。追っても追っても、その1本を絞り出す力の差を見せつけられる。金本虎が、Vへの距離をまた示された。鯉党が高らかに歌う「きょうもカープは...」という応援歌が響いてくる会見場。就任3年目も広島に優勝へのマジックナンバー点灯を許してしまった指揮官は、淡々と前を向くしかなかった。  「(マジックが点灯したが)あっ、そう。もういいでしょう、ハイ」  すくっと立ち上がり部屋を出ていく。ここまで何度も、マジック点灯を足踏みさせてきた。前日14日のゲームでは1点を追う八回に一挙4点を奪ってひっくり返したが、ここでついに点灯だ。ゲーム差は再び12・5だ。言えることはなかった。  就任1年目から連覇を許し「執念」を胸に挑んだ3年目。2月の沖縄・宜野座キャンプ打ち上げ時には「過去3年間の中で一番、強いと思います」と言い切り、打倒鯉を目指してきた。この日も一丸で反発力は見せた。3点を先制された直後の三回に糸井の適時打&ロサリオの犠飛で2-3。2-6まで引き離されたが、九回も代打原口の2点打で食らいついた。だが最後は、一発出れば逆転サヨナラの場面で、今季の核と期待したロサリオが遊ゴロ...。  最後の最後にもがき、追い上げても、追いつけない。将も「うーん、なかなかそうは(いかない)、なかなかそうは」と繰り返すしかなかった。出てくる選手がそれぞれ躍動し、打線のどこからでも着実に加点してくる。3年を経て、ますます手ごわくなった4番の鈴木が、勝負どころで一発を出せる。この3年、埋めたくても埋まらなかった鯉との戦力差が、ある意味では象徴的に表れた一戦だった。  シーズン97戦目で、突きつけられた「M32」という数字。厳しい状況は続くが、求め続けてきたあと1本を絞り出し続け、勝ち続ける残り46戦とするしかない。 (長友孝輔)
首位広島のマジック点灯について阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ 「やることは変わりませんよ」

◆このまま日本一まで突っ走る!! 広島は阪神に6-4で勝ち、今季両リーグ通じて初めて優勝マジック「32」を点灯させた。丸佳浩外野手(29)が先制打を放つなど、打線が着実に得点して快勝。緒方孝市監督(49)は西日本豪雨の被害に今も苦しむ地元に勇気を届けるべく、巨人以外では初のリーグ3連覇、1984年以来34年ぶりの日本一を目指す。  今季の広島には、負けられない理由がある。阪神に痛恨逆転負けを喫してから一夜明け、即座にやり返した。7度目の挑戦で、ついに優勝マジック「32」が初点灯。先制タイムリーを含む2安打3打点の丸が、ナインの気持ちを代弁した。  「マジックは一気に5も10も減るわけではない。これまで通り1試合1試合やっていきたい」  昨季、セ・リーグMVPを獲得した男が奮闘。三回一死一塁で才木から右中間へ二塁打を放って先制点。3-2と迫られた直後の四回二死満塁ではフォークを見極めて押し出しの四球。さらに六回一死一、二塁でも左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、中押しした。  昨年は独走でリーグ連覇したものの、クライマックスシリーズではDeNAに敗れ、日本シリーズ進出を逃した。2年連続で日本一を逃した経緯を踏まえ、緒方監督は「(優勝マジック点灯は)関係ない。昨年の反省を踏まえ、最後までカープの野球をやるだけ」と表情を引き締めた。  悲願の日本一-。それ以上に燃える理由がある。広島は7月初旬の西日本豪雨で甚大な被害を受けた。県内は広範囲で浸水、土砂崩れの被害が出て、広島市内のかな子夫人ら指揮官の家族も避難した。本拠地で開催予定だった7月9-11日の阪神戦は中止。各地で死傷者の報告が相次ぎ「毎日、悲しいニュースが入ってくる」と心を痛めた赤ヘル一筋の将は、すぐに自ら行動を起こした。  後半戦開幕となった7月16日の中日3連戦の試合前、志願してナインと一緒にナゴヤドームで行われた募金活動に参加した。当初は1日だけの予定が「選手は練習があるけど、自分には時間がある」と3日間とも参加した。本拠地に戻った20日からの巨人3連戦でも、募金を呼びかける列に自ら立った。ひときわ大きな声で「ありがとうございます」。感謝を伝え、汗びっしょりになった。  広島に元気を届けたい。後半戦も白星を積み重ね、8月4日のDeNA戦(横浜)では球団史上6人目、最速での通算300勝を達成した。翌週、練習中にグラウンドで大瀬良が声をかけてきた。「記念のボール、受け取ってください」。当日、先発した右腕からのプレゼント。"勝利はチームのもの"というポリシーから100勝、200勝の勝利球は手元にない。「いらんよ」と一度は断ったものの「どうしても」と懇願され「なら...」。初めて手にした勝利球。ナイン、コーチ、スタッフに改めて感謝の気持ちがこみ上げ、決意を新たにした。  「最後まで1試合1試合しっかりやるだけ」  山本浩二、衣笠祥雄を擁して黄金時代を築いた古葉政権ですらなしえなかった球団史上初、セでは巨人以外では初となる3連覇へ。戦後、市民球団として復興の歴史を歩んできたカープは、豪雨の被災者に元気を届けるためにも最後まで全力疾走する。 (柏村翔)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
603920.606
(↑0.004)
0
(-)
42520
(+6)
444
(+4)
132
(+2)
58
(+1)
0.266
(-)
4.01
(-)
2
(↑1)
巨人
525420.491
(↑0.005)
11.5
(-)
35485
(+11)
439
(+5)
109
(+4)
50
(+1)
0.261
(↑0.002)
3.89
(↓0.01)
3
(↓1)
ヤクルト
485110.485
(↓0.005)
12
(↓1)
43459
(+5)
489
(+11)
96
(-)
54
(-)
0.267
(-)
4.45
(↓0.07)
4
(-)
阪神
465010.479
(↓0.005)
12.5
(↓1)
46389
(+4)
432
(+6)
60
(-)
48
(-)
0.248
(-)
4.03
(↓0.03)
5
(-)
DeNA
455520.45
(↓0.005)
15.5
(↓1)
41401
(+1)
470
(+5)
119
(-)
59
(-)
0.249
(↓0.001)
4.27
(↓0.01)
6
(-)
中日
465910.438
(↑0.005)
17
(-)
37432
(+5)
476
(+1)
66
(-)
51
(+1)
0.261
(-)
4.32
(↑0.03)