巨人(★5対6☆)ヤクルト =リーグ戦16回戦・大阪ドーム=
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ヤクルト
00005 0100 6130
巨人
10011 0200 5111
勝利投手:ブキャナン(8勝6敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝0敗16S))
敗戦投手:ヤングマン(3勝1敗0S)
  DAZN
◆ヤクルトが逆転勝ちで5連勝。ヤクルトは2点を追う5回表、山田哲の適時打とバレンティンの3ランなどで一挙5点を奪い、逆転に成功した。投げては、先発・ブキャナンが今季8勝目。敗れた巨人は、7回裏に吉川尚と岡本の適時打で1点差に迫るも、あと一歩及ばなかった。

◆ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が、特大の逆転アーチを描いた。  1点差に迫った直後の5回無死一、二塁。カウント3ボールから、巨人ヤングマンが投じたカーブを左翼席最上段に運んだ。  この時点で、本塁打争いでリーグトップの山田哲に並ぶ23号3ランを「(カウント)3-0からカーブが甘かったので、思いっきり打ちました。スゴイアタリでした」と自画自賛した。

◆ヤクルト山田哲人内野手の二塁手初となる5試合連続本塁打の快挙はならなかった。前日24日に自身初となる4戦連続本塁打を記録。5試合連続となれば二塁手ではプロ野球史上初だったが、この日は4打数1安打。適時打を放ち勝利に貢献したが、本塁打は生まれなかった。  連続試合本塁打のプロ野球記録は72年王(巨人)86年バース(阪神)の7試合。5試合以上の連続本塁打がないポジションは、投手を除けば二塁手のみとなっている。

◆ヤクルトが5連勝で2位に浮上。5回に山田哲の適時打とバレンティンのリーグトップに並ぶ23号3ランなどで5点を奪って逆転した。巨人は終盤に追い上げたが、好機を生かせず5連敗で3位に転落した。

◆ヤクルトが逆転勝ちで5連勝を飾り、巨人を抜いて単独2位に浮上した。  2点を追う5回、坂口、青木、山田哲の3連打で1点差にすると、4番バレンティンが左翼5階席へ飛び込む23号逆転3ラン。7回にも中村のセーフティースクイズを巨人岡本が野選して追加点。5-6と1点差に迫られた7回2死一、二塁では、中沢が亀井封じに成功。8回1死満塁のピンチでは、風張が長野と吉川尚を打ち取る好救援を見せた。  勝ちパターンで見せる継投策ではない起用を選択した理由について、小川淳司監督は「どうしてもこういう(競った)展開になると同じ投手の登板になる。使っていかないといつまでも使えない」と説明。「中沢と風張がよく頑張ってくれた。絶体絶命のピンチだった。リリーフ陣なくして、この勝利はないと思っている。(バレンティンの特大アーチは)あそこまで飛ばさなくても、という当たりだった。山田とバレンティンという、打つべく人が打って得点できたのは大きい。その上でリードを守ったから価値ある1勝。(2位は)まだ終わりじゃない。順位は1日ですぐに変わるので気にしていない。とにかく明日、連勝が続くように必死になって勝ちにいくだけ」と引き締めた。

◆巨人テイラー・ヤングマン投手(28)が左手首付近に打球を直撃させるアクシデントもあり、5回5失点で来日4戦目で初黒星を喫した。  初のホームゲームでの先発となり、5月に死去した西城秀樹さんの名曲「YOUNG MAN」をバックに先発マウンドに上がった。軽快なリズムに乗りたいところだったが、立ち上がりから制球に苦しんだ。  2回には川端の打球を左手首付近に当てるも続投。3回からは患部にテーピングをぐるぐる巻きにしながら懸命に右腕を振り、4回まで無失点にしのいだ。  だが、5回につかまった。連打で無死一、二塁とされ、山田哲に左前適時打を打たれると、バレンティンに117キロのカーブを5階席まで運ばれ、痛恨の逆転3ランを被弾。その後1点を失い、この回5失点で降板した。  試合後には大事をとって病院で治療を受けた。「痛みはあったけれど、試合を作りたかった。長いイニングを投げられず申し訳ない」と悔やんだ。88年ガリクソン以来、球団史上2人目の来日4戦4勝はならず。チームも5連敗でヤクルトに抜かれ、3位に転落した。

◆ヤクルトが巨人を抜いて単独2位に浮上した。巨人先発ヤングマンを打ちあぐねていたが、5回の攻撃前に円陣を組むと一変。3連打で1点差とすると、ウラディミール・バレンティン外野手(34)が左翼席最上段へ逆転の23号3ランを放った。セ・リーグ本塁打王争いで同僚の山田哲と並ぶ一振りで、チームを5連勝に導いた。  行方を追うまでもなかった。1点差の5回無死一、二塁。カウント3ボールで、バレンティンは神経を研ぎ澄ましていた。ヤングマンが投じた真ん中のカーブをフルスイング。打球はあっという間に左翼の5階席に吸い込まれた。本塁打争いでリーグトップの山田哲に並ぶ23号逆転3ランで5連勝を飾り単独2位に浮上。「ストライクなら打とうと思っていた。甘いカーブを見逃さず打てた。スゴイアタリ」と自賛した。  主砲のバットから快音が鳴りやまない。1打席目の中前打で9試合連続安打を決めると一気に3安打。「自分は7月からが毎年いい。夏場に強いのが好調の要因だね」とうなずいた。  あの姿と重なってきた。13年に60本塁打を放ち、王貞治(巨人)ローズ(近鉄)カブレラ(西武)が55本塁打で保持していた日本プロ野球シーズン本塁打記録を更新した。  今季は19本塁打で前半戦を終了。シーズン36本塁打ペースだったが、後半戦の開幕を迎えた16日のDeNA戦前、自信満々に断言した。「グッドコンディション。ロクジュッポン、オッケー。残り66試合で41本? 大丈夫。1試合1本でオッケーだ」。現在の体重は約110キロとベストの108キロから許容範囲の2キロ以内。大好物の焼き肉は脂身のあるカルビでなくハラミを選ぶなど「食欲」より「打ちたい欲求」を優先させている。  後半戦は8戦4発。現状は年間52本ペースだが、13年は7月以降に36発を量産するなど勢いに乗れば止まらないだけに、ペースアップも十分にある。「山田とお互いに打てているのはうれしいけど一番大事なのは勝つこと。明日からもっと頑張って最終的に(チームが)1位で終わりたい」。本塁打王3度のキング大本命。「60発超え」と「96敗からの下克上」という偉業達成に挑む。【浜本卓也】

◆連勝街道から一転、巨人の連敗地獄が止まらない。3戦3勝の助っ人ヤングマンも痛恨の1発と守乱で今季4度目の5連敗。7連勝で進撃した1週前が幻のように3位に沈んだ。高橋監督は「守備のミスからつながった2点が終わってみれば痛い」と振り返った。  2点リードの5回に暗転した。ヤングマンが3連打で1失点。なお無死一、二塁でバレンティンに逆転3ランされた。さらに無死一塁から二ゴロを田中俊が二塁悪送球で危機拡大。不要な5点目を献上した。7回1死一、三塁で中村のセーフティースクイズを一塁手岡本が処理。アウトのタイミングも握り損ねて生還を許した(記録は野選)。  終盤に反撃も、無駄な失点が響いた。90試合でチーム40失策はリーグ2番目に少ない。だが坂本勇離脱で経験値の低さは隠せない。ルーキー田中俊は「足を使って投げる方向に踏み出せなかった」と反省した。  ヤングマンは今季初のホーム戦登板。亡き西城秀樹さんの名曲「YOUNG MAN」が登場時に流れたが憂鬱(ゆううつ)は吹き飛ばせず。5連敗以上4度は05、06年の5度に次ぐ。同シーズンは今季のように2度の7連勝以上は記録してない。若さゆえの現象か。出入りが激しくては上昇できない。【広重竜太郎】
 ▼巨人が20日広島戦から5連敗。今季の5連敗以上は4月6~12日6連敗、5月23~29日5連敗、6月24~29日5連敗に次いで4度目となり、ヤクルトに並んで両リーグ最多。巨人が5連敗以上をシーズンに4度以上記録するのは05年5度、06年5度に次いで3度目だが、今回のように4カ月連続で5連敗を喫したのは球団史上初めて

◆ヤクルト投手陣の「結束力」が、5連勝での2位浮上を演出した。  5-6の8回、ヤクルトが絶体絶命のピンチに見舞われた。4番手で登板した中尾が先頭の陽岱鋼に中前打を浴びると、次打者の田中俊にストレートの四球を許し、大城の犠打後には代打阿部にもストレートの四球。1死満塁で、打席にはあと三塁打でサイクル安打達成の長野が入ると、場内からは逆転を期待する大歓声が起きた。  一打逆転の危機。そこで名前をコールされた右腕は「勝利の方程式」の近藤ではなく、風張蓮投手だった。気迫十分の表情でマウンドに向かうと、長野を遊ゴロに仕留めて2死満塁。2番吉川尚も遊ゴロに抑えて無失点で切り抜けると、右こぶしを思い切り突き上げた。「1点差だったし、絶対に抑えてやろうと思っていました。いつでも気持ちの準備はしていました」と胸を張った。  今季は中尾、近藤、石山の「勝利の方程式」が機能しているが、登板過多は否めない。この日は制球に苦しんだ中尾は今季43試合、守護神石山は40試合も登板。登板なしだった近藤だが、同42試合もマウンドに上がっている。連投辞さずで緊張感のある場面で奮闘する3投手の姿は、他の投手陣の心に焼き付いていた。  ブルペン陣の総意を、風張が代弁した。「勝ちパターンの投手がシーズンで毎日抑えるのは難しいと思う。そういうピンチの時に僕らが抑えて、勝ちゲームに持ってこられるかが大事。久々に競った場面で投げさせてもらいました。そういう経験は、生かしていけるのかなと思います」。  5-6と1点差に迫られた7回2死一、二塁では、中沢が亀井封じを決めた。16セーブ目を挙げた石山は休養日を挟んで5連投だったが「自分も絶対に点を取られてはいけないという気持ちだった。流れに乗せてもらいました」と感謝した。みんなの負担を軽くしたい-。お互いを思いやる投手陣の結束力で、巨人の猛追を振り切った。  勝ちパターンではない継投を決断した首脳陣のベンチワークも見逃せない。小川淳司監督は「どうしてもこういう(競った)展開になると同じ投手の登板になる。使っていかないといつまでも使えない。中沢と風張がよく頑張ってくれた。絶体絶命のピンチだった。リリーフ陣なくして、この勝利はないと思っている。抑えるのは成長につながると思います」と、うなずいた。好調な打撃陣があきらめずに攻め、投手陣は必死に勝利のたすきをつなぐ。ヤクルトが固い結束力を武器に、混戦セ・リーグを戦い抜く。【浜本卓也】

◆来日初登板から3連勝中の巨人・ヤングマンが25日のヤクルト戦に先発登板。球団の外国人投手では1988年のビル・ガリクソン以来、30年ぶりの来日初登板から4連勝を狙ったが、5回5失点(自責点4)でKOされた。  2点リードの五回だった。3連打で1点差に迫られ、なお無死一、二塁でバレンティンに特大の逆転3ランを浴びた。西浦には左犠飛を許し、この回だけで5失点。直後の攻撃で代打を送られ、無念の降板となった。

◆ヤクルトの山田哲が5試合連続で打点を挙げた。0-2の五回無死一、二塁で、甘く入った速球を逃さずに左前への適時打とし「反撃のチャンスだったので、後ろにつなげる意識だった」と振り返った。  サイクル安打を達成した9日の試合で本塁打を放ったヤングマンからの快打。4試合連続本塁打で迎えた試合だったが、大振りせずに好機を広げ、この回計5点の攻撃につなげた。

◆ヤクルトが5連勝で2位に浮上した。2点ビハインドの五回に1点を返した後、バレンティンが逆転の23号3ランを放ち、主導権を握った。  巨人はヤングマン、ヤクルトはブキャナンが先発した。巨人は一回、長野の先頭打者本塁打となる中越え8号ソロで先制。四回は無死一、三塁とし、陽岱鋼の遊ゴロの間に三走・岡本が生還し、2-0とした。  ヤクルトは、五回無死一、二塁で山田哲が左前適時打を放ち1点を返した。さらに無死一、二塁で、バレンティンが左翼に特大3ランを放ち、4-2と逆転に成功した。なおも無死一、三塁として西浦が左犠飛を放ち、1点を追加。巨人はその裏、一死から長野が左翼へ二塁打。続く吉川尚の右前適時打で1点を返した。  ヤクルトは七回、一死から川端、西浦の連打で一、三塁とし、中村の一前へのセーフティースクイズが一塁手の野選を誘って1点を追加した。巨人はその裏、二死三塁から吉川尚の右越え三塁打で1点を返した。続くマギーの四球で一、三塁とし、岡本の左前適時打で1点差に迫ったが、反撃は及ばなかった。巨人は5連敗で3位に転落した。

◆ヤクルトが5連勝で2位に浮上した。2点ビハインドの五回に1点を返した後、バレンティンが同僚の山田哲に並ぶリーグトップの23号3ランを放ち、主導権を握った。ヒーローインタビューに呼ばれたバレンティンはご機嫌だった。  --あのホームランを振り返ってください  「いつもと同じなんですけど、自分の前の青木選手とか山田選手がランナーで出てくれたので、自分に良い場面で回ってきて、もう真ん中に来た甘いカーブを見逃さずに思い切って振りました」  --5階席まで飛んでいきました。ものすごい当たりでしたね  「自分はそんなにすごく遠くまで飛ばそうと思って狙ったわけではなかったんですけど、打てたことが良かったと思います」  --これで、ホームランランキングは山田選手に並んで23号になりました  「お互いにこうやって打てて嬉しいことなんですけど、一番大事なことはチームが勝つことです」  --チームは勝って2位浮上です!  「また明日からもっと頑張っていきたいと思います。そして、最終的には優勝...1位で終わりたいと思います」

◆ヤクルトが5連勝で2位に浮上した。2点ビハインドの五回に1点を返した後、バレンティンが同僚の山田哲に並ぶリーグトップの23号3ランを放ち、主導権を握った。巨人に競り勝った小川監督は好調のチームに手応えをつかんでいる様子だった。  --1点差を守りきりました。しびれる試合でしたが振り返って  「そうですね。中沢と風張が本当によく頑張ってくれたんですね。もう絶体絶命のようなピンチだったんですけど、本当によく頑張ってくれたと思います」  --連投が続いていると思いますが、リリーフ陣の頑張りも連勝につながっていると思います  「もちろんあの、リリーフ陣なくしてこの勝利はないと思っているので。ただ、そうはいえ、けっこう登板過多にもなっていて、万全の状態では登板できていないんですけども、そういう中で一生懸命頑張って抑えてくれているというのは非常に成長に繋がっていくんじゃないかなと思います」  --打線ではバレンティンがすごい当たりでした  「あそこまで飛ばさなくても、という当たりだったと思います。とにかく山田、バレンティンと打つべく人が打って得点できたというのはチームとしても大きいと思います。そういう中でリードを守ったというのも非常に大きな価値ある1勝だったんじゃないかなと思います」  --五回のシーンもそうだったが、名前が出たメンバー以外にもしっかり打線が繋がっている印象がある  「うまく打順というのが機能していて。みんな決して調子が良いという...状態が良いわけではないんですけども、そこがうまく機能している部分も非常に多いかなと思います。ただ、そうはいってもなかなか。昨日あたりもそうなんですけど、ヒットを打っても得点に繋がらなかったということも多々あったので。まあ、これが野球ですから。そういったことも当然あると思いますけども。とにかくチームが勝つということで、非常に良い循環で回っているんじゃないかなと思います」  --5連勝で2位浮上です  「まだ終わったわけではないので、特に順位というのは1日ですぐに変わるので特に気にしてはいないです」  --明日に向けてひと言  「とにかく明日勝って連勝を続けたいなと。とにかく明日、必死になって試合に勝ちにいくだけなので。必死になって頑張って、とにかく勝てればというふうに思っています」

◆巨人・吉川尚輝内野手(23)が、2本の適時打を放ち、12試合連続安打をマークした。五回一死二塁ではブキャナンのチェンジアップを右前適時打。七回二死三塁では内角低めの変化球を右越えへ運び、俊足を飛ばして三塁を陥れ、「点を取りたい場面で、うまく打てた」と振り返った。  それでも、1点を追う八回二死満塁では遊ゴロに倒れ、「ああいう場面で打たないといけない。もっと練習するだけです」と反省も忘れなかった。  一時はスタメン落ちを経験したが、スタメン復帰した7月8日の広島戦(東京ドーム)以降、これで12試合連続安打となった。17日の阪神戦(甲子園)以降は負傷離脱した坂本勇に代わって遊撃で出場が続いており、「チームにとっても痛いことですが、その分をみんなでカバーしていきたい」と前を向いた。

◆ヤクルトは救援陣が踏ん張り、1点差で逃げ切った。6-5の八回一死満塁で登板した風張は、長野と吉川尚をともに遊ゴロに打ち取ってピンチを脱した。普段はリードされた場面で投げることが多く「絶対に抑えてやろうと思った」と興奮気味に振り返った。  九回は抑えの石山が6日間で5試合目の登板で試合を締め、16セーブ目を挙げた。疲労感をにじませながらも「行けと言われたら行くのが仕事。絶対に点を取られてはいけないという気持ちだった」と笑顔だった。 小川監督 「リリーフ陣なくしてこの勝利はない。よく頑張ってくれた」 ブキャナン(七回途中5失点) 「失投を痛打され、自分にとってはタフな試合になった」

◆今季から新加入した巨人のヤングマンが5回5失点で来日初黒星を喫した。ここまで3戦3勝と抜群の安定感を誇っていたが「長いイニングを投げたかったけど、それができなくて情けない。チームに申し訳ない」とわびた。  二回に川端の鋭いライナー性の打球を左手首付近に受けた。三回以降はテーピングを巻いて力投したが、5回で10安打を浴びるなど本来の姿ではなかった。「痛みは多少あったけれど、何とか試合をつくりたかった」と落胆した。 巨人・村田ヘッド兼バッテリーコーチ(七回の岡本の拙守に) 「4番でも、緩慢な守備をされたら困る」 田中俊(五回無死一塁の守備で併殺を狙ったが、二塁に悪送球) 「足を使って、投げる方向に踏み込まないといけなかった」

◆山田哲は五回無死一、二塁で左前適時打。サイクル安打を達成した9日の試合で本塁打を放ったヤングマンからの快打で、5試合連続の打点を挙げ、この回5得点の口火を切った。「追い込まれていなかったので、思い切って引っ張った」。4打数1安打で、球団タイ記録となる5試合連続本塁打は生まれなかったが「勝てば気持ちが良いし、疲れも違いますから」と、笑顔で帰りのバスに乗り込んだ。

◆救援陣が踏ん張り、1点差で逃げ切った。6-5の八回一死満塁で登板した風張は、長野と吉川尚をともに遊ゴロに打ち取ってピンチを脱した。「準備はできていた。絶対に抑えてやろうと思った」。普段はリードされた場面で投げることが多いが、「競った試合で、僕らがどれだけ勝ちゲームに持っていけるかが大事だと思う」と役割に徹する。

◆長野が一回の8号ソロを含む3安打。初回先頭打者本塁打は通算12本目で、チームでは高橋由伸と並ぶ歴代5位(最多は柴田勲の25本)となった。しかし、三塁打が出ればサイクル安打達成だった七、八回の打席はいずれも好機に凡退。1点を追う八回二死一死満塁は遊ゴロに倒れ、「あそこで点を取らないといけなかった。僕の責任。チームに申し訳ない」と悔しがった。

◆巨人は25日、ヤクルト16回戦(京セラドーム)に5-6で競り負け、5連敗。ヤクルトと入れ替わって3位に転落した。  来日初登板から3連勝中だったヤングマンに初黒星がついた。2点リードの五回に3連打で1点差に迫られ、バレンティンに逆転3ランを被弾した。西浦には左犠飛を許し、この回5失点。その裏の打席で代打を送られ、球団の外国人記録(1988年のビル・ガリクソンの4連勝)に並ぶことはできなかった。  1メートル98の長身右腕は二回に川端の打球が左手首付近を直撃(結果は投手内野安打)した影響で試合中に病院へ向かい、球団を通じて「長いイニングを投げたかった。多少の痛みはあったけど、何とか試合をつくりたかった」とコメントした。  打線は追い上げたが、「守備のミスも終わってみれば痛かった」と高橋監督。五回は二塁手・田中俊の悪送球が5点目につながり、七回は一塁手・岡本がボールを握り損ねて野選とし、6点目を献上した。  26日は、初登板から2連勝中の左腕メルセデスに連敗ストッパーを託す。 (吉村大佑)

◆ヤクルトは25日、巨人16回戦(京セラ)に6-5で勝って今季3度目の5連勝を飾り、セ・リーグ2位に浮上した。2点を追う五回に、ウラディミール・バレンティン外野手(34)が23号3ランを放つなど、5連打&5得点で逆転した。左翼最上段の5階席に飛び込む推定150メートル弾で、本塁打王争いで山田哲人内野手(26)に並ぶトップに浮上。チームは後半戦7勝1敗と、勢いが止まらない。  時間が止まったようだった。0-2から1点を返した直後の五回無死一、二塁。カウント3-0から、ヤングマンのカーブを振り抜いた。打ったバレンティン本人が打球に見とれる中、白球は京セラドーム大阪の5階席中段に飛び込む。5連打&5得点の逆転劇を呼び込んだ。  「3ボールだったので、甘い球が来たら打とうと思っていた。青木、山田が出塁してくれるので、良い場面で回ってくることが多い。毎年7月は調子がいいからね」  来日以来、3戦3勝だったヤングマンを攻略した。好機に決定打が出ず、五回の攻撃前に石井打撃コーチを中心に円陣を組んだ。「間を取って、試合の流れを動かしたかった。(打席の)入り方は悪くない。集中しようと話した」と石井コーチ。1番・坂口、2番・青木の連打で好機を作ると、3番・山田哲が左前適時打。直後にバレンティンに推定150メートルの特大弾が飛び出した。  バレンティンには、忘れられない感触がある。米大リーグ、レッズに在籍した2009年10月2日のパイレーツ戦で左翼に特大弾を放った。「飛距離は495フィート(151メートル)で、これは(計測を開始してから)歴代4位の記録らしいんだ。1位はスタントン(ヤンキース)で、2位、3位はジャッジ(同)。4位がココ(自身の愛称)」と胸を張る。メジャーを代表する打者に肩を並べる飛距離だった。  この日の試合前練習中には、青木とキャッチボールをしていた際に悪送球した球が小川監督の足を直撃した。とぼける助っ人に苦笑いしていた指揮官は「あそこまで飛ばさなくても、という打球だった。バレンティン、山田と打つべき人が打っている」と褒めた。  今季3度目の5連勝で後半戦は7勝1敗。巨人を抜いて2位に浮上した。それ以上に、価値ある勝利だった。中尾-近藤-石山の『勝利の方程式』の登板過多が続く中、この日は1点差の七回二死一、二塁を中沢が無失点。八回一死満塁は風張が無失点に抑えて勝利を手繰り寄せた。  「どうしても同じ投手になってしまう。使っていかないといつまでも使えない」と、最大のピンチに若手の風張を送り込んだ小川監督は「絶体絶命のピンチに、中沢と風張が頑張ってくれた。リリーフ陣なくしてこの勝利はない。ああいう場面を抑えることで、自信につながっていってくれれば」と目を細めた。主軸が打ち、課題の救援陣にも光明が見えた。ヤクルトの強さが本物になってきた。 (長崎右)

◆  江本 「ヤングマンとブキャナン。安定した先発の投げ合いで、試合は早く終わると思ったけど...。両先発の差は、実績と経験だよ。ヤングマンがバレンティンに打たれた3ランなんか、"どうにでもなれ。えいや"。ブキャナンは"ウチの打線なら3失点でもOK"という感じだった」  野村 「ヤングマンは球が高かったし、カーブも決まりませんでした。ヤクルト打線を警戒しすぎたのかもしれません。とにかく今は強力です。4番・バレンティンが当たっているので、3番・山田哲と勝負せざるをえない。2番・青木も好調。1番・坂口から7番・西浦まで、気が抜けません」  江本 「それにしても、俺はここ3試合、言いっぱなし。巨人ベンチの投手リレーのこと」  野村 「サンスポの評論とニッポン放送の解説で、指摘されていましたよね」  江本 「一刻も早く勝率5割に戻さないといかんのに、起用法にメリハリがない。六回に吉川光。二死から青木、山田を出して、バレンティン。本来なら交代だよ。なんとか抑えて御の字なのに、七回も続投。案の定、決勝点を献上した。点を取られる前に代えるという発想がほしい」  野村 「ヤクルトも、中尾がバタバタしました。石山につなぐまでの七、八回、逃げ切りパターンを早く整えたいですよね。今は七回以降に逆転されるチームが多い。ブルペン陣は、どのチームにとっても課題だと思います」

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
493410.59
(↓0.008)
0
(-)
59420
(+3)
364
(+6)
103
(+1)
48
(-)
0.259
(↓0.001)
4.02
(↓0.03)
2
(↑1)
ヤクルト
414310.488
(↑0.006)
8.5
(↑1)
58381
(+6)
406
(+5)
80
(+1)
43
(-)
0.264
(↑0.001)
4.3
(↓0.01)
3
(↓1)
巨人
434610.483
(↓0.006)
9
(-)
53412
(+5)
376
(+6)
87
(+1)
45
(-)
0.26
(-)
4.02
(↓0.02)
4
(-)
阪神
384310.469
(↑0.006)
10
(↑1)
61316
(+6)
351
(+3)
50
(-)
44
(-)
0.245
(↑0.002)
3.82
(↑0.02)
5
(-)
DeNA
394520.464
(↑0.006)
10.5
(↑1)
57339
(+4)
385
(+3)
105
(+1)
53
(-)
0.248
(↑0.001)
4.11
(↑0.02)
6
(-)
中日
394910.443
(↓0.005)
12.5
(-)
54362
(+3)
412
(+4)
59
(+1)
43
(+1)
0.263
(-)
4.46
(↑0.01)