ヤクルト(☆3対1★)阪神 =リーグ戦8回戦(2020.07.29)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:原 樹理(2勝0敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(2勝1敗6S))
敗戦投手:ガルシア(0勝3敗0S)

本塁打
【ヤクルト】村上 宗隆(5号・4回裏2ラン),塩見 泰隆(3号・6回裏ソロ)

  DAZN
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◆ヤクルトは1点を追う4回裏、村上の2ランで逆転に成功する。そのまま迎えた6回には、塩見のソロが飛び出しリードを広げた。投げては先発・原が5回1失点。その後は5投手の継投で逃げ切り、原は今季2勝目を挙げた。敗れた阪神は、打線が1得点と振るわなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は、阪神がオネルキ・ガルシア投手(30)、ヤクルトが原樹理投手(27)だ。2位ヤクルトと3位阪神はゲーム差なしの勝率わずか3厘差。阪神が勝てば今季初めて単独2位に浮上する。 前日28日の対戦では、阪神が20得点の大勝。この日も前夜とまったく同じ「20点オーダー」で勝負する。14年以来の20失点だったヤクルトは投手陣が崩れ、10試合連続2桁被安打中だ。歯止めをかけるべく大下を選手登録。前夜に先発したイノーアと救援の坂本が出場選手登録を抹消された。阪神は前夜、完投勝利した秋山が登板機会なしで登録を抹消された。

◆ヤクルトの球団マスコットつば九郎が、試合前恒例の「きょうのひとこと」で、倍返しを誓った。 27日の阪神戦では20失点を喫し大敗。「いやぁ~きのうは ぼこられました」と振り返った。「はりもとさんがいたら あっぱれと かつが ぶつかりあったでしょう」とファンの笑いを誘った。 さらに「たいがーすが きのう こうちょうだったりゆうを かんがえてみた」と敗因を分析。「きのうは 7がつ 28にち 728(なにわ)のひ」と原因(?)を説明し、ファンからは大きな拍手。「きのう はっするしすぎ 20てんもとったら うちどめです」と阪神打線に言及。「きょう あすは そちら もうでませんよ~」と予言した。「どんな すーぱーりーちも はずします。 おこって べんちをたたかないでね」。 「すわろーず きょうこそ GO TO WIN! きゃんぺーんだ!」「きょうは やられたら やりかえす 『ばいがえし』」と某ドラマの名ぜりふを借りて宣戦布告。20失点の倍とはつまり「40てんとるまで おきゃくさんも かえしませんよ~」と宣言すると、ヤクルトファンからは大きな拍手。 優しさも忘れないつば九郎は、最後に「ほうじょうくん たんじょうび おめでとう!」と阪神北條の誕生日をお祝いしていた。

◆阪神の4番大山悠輔内野手(25)が先制打を放った。1回1死一、三塁のチャンスに、ヤクルト原の変化球をしぶとく遊撃に転がし、適時内野安打。 前日28日には2本の満塁本塁打など打線が爆発、20得点を挙げる大勝だったが、この日もその勢いそのままに先制点を奪った。

◆阪神オネルキ・ガルシア投手(30)が5回2安打2失点で降板した。立ち上がりの3イニングは2安打無失点の立ち上がりだったが、4回に先頭青木に左中間へ二塁打を浴びると、村上に低めの直球を左翼スタンドに運ばれた。今季未勝利の左腕は6戦目となる登板でも、勝ち星を手にすることは出来なかった。 ガルシアは「全体的に低めにコントロールできていたし、いいピッチングができていただけに、村上選手への失投が本当に悔やまれる。まだ試合は終わっていないからチームの逆転を信じてしっかり応援したい」とコメントした。

◆2試合連続でスタメン出場のヤクルト塩見泰隆外野手が、プロ初となる2戦連発アーチを放った。 2-1で迎えた6回、先頭、カウント2-0で、この回からマウンドに上がった阪神2番手能見の高め直球をバックスクリーンへ豪快に運んだ。3号ソロで、投手陣を援護した。 28日の阪神戦に続き、プロ初の2試合連続本塁打。「1、2打席目に全く貢献できていなかったので、何とか貢献したい気持ちでした。しっかり自分のスイングができました」とコメントした。

◆ヤクルト原樹理投手が、5回を被安打3の1失点にまとめた。 立ち上がりに1点を失い、チームは4試合連続で初回に先制を許した。その後も連打と四球で1死満塁のピンチを招いたが、キレのある直球と低めを突く丁寧な投球で梅野、木浪から連続空振り三振を奪い、最少失点でしのいだ。 5四球を出しながら、2回以降は安打を許さず、5回を89球で、2番手梅野にマウンドを託した。「今日は前回の登板より調子は良かったですが、野手の方に助けられ、西田さんのリードでなんとか5回まで投げることが出来ました。早いイニングでマウンドを降りてしまい中継ぎの方に申し訳なかったです」とコメントした。

◆ヤクルトは原、阪神はガルシアの先発。阪神は1回、大山の内野安打で1点先制。ヤクルトは3回まで2安打のみで無得点。 ヤクルトは4回、村上の5号2ランで逆転。6回は塩見の3号ソロ。原は5回1失点、ガルシアは5回2失点で降板。 ヤクルトは継投でリードを守りきり、連敗を2でとめた。原が2勝目。阪神の連勝は2でストップ。ガルシアが3敗目。 ヤクルト石山が6セーブ目。

◆ヤクルトの若き4番村上宗隆内野手、極上の逆転5号2ランを放った。1点を追う4回無死二塁、カウント1-2から阪神の先発ガルシアの155キロ直球を振り抜き、打球は左翼スタンドへ。追い込まれてから逆方向への鮮やかな1発で、試合をひっくり返した。「追い込まれていたので、ランナーを返すことだけを意識してコンパクトに打ちました。いい結果となり、逆転できて良かったです」。 ガッツポーズはせず、ベンチに戻っても笑顔はなし。5-20の大敗から一夜明け、悔しさを晴らし切れていないような表情だった。22日DeNA戦(横浜)以来6試合ぶりの本塁打で7月の月間打点を29まで伸ばし、球団の日本人選手では91年6月広沢克に並ぶ最多タイとなった。

◆ヤクルトは20失点を喫した前日から一変し、投手陣が踏ん張って連敗を2で止めた。 先発原は初回に1点を許したが「泥臭く投げれば野手はひっくり返してくれる。最後まで弱気にならず、四球を出しても投げ切ってやろうと思った」とキレのある直球を中心に、5回1失点で2勝目。 救援陣も無失点で切り抜け、セ・リーグでは唯一、3連敗していない粘り強さを発揮した。 ▽ヤクルト長谷川(6回1死満塁のピンチを無失点)「すごく緊張したが、相手に流れを持っていかないことと、流れを引き寄せようと思って投げた。自信になった」

◆阪神がヤクルトに敗れ、2位浮上を逃した。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -チャンスであと1本が 矢野監督 そこに尽きるんじゃない。昨日のね、逆というか、1本が出ないというのが今日の敗因。 -初回の三盗など走塁面はいいものがあった 矢野監督 それはうちの持ち味なんで。行ける時はどんどんチャレンジするし、今日だけのことじゃないんで。 -ガルシアは低めに集めていた 矢野監督 トータル的に見ればナイスピッチングだし、チャンスじゃなかったら続投させようかと思ったんだけど。どうしても追い込んで勝負にいっている球が甘いとか、取られ方がちょっともったいないというかね。ボール自体は悪くないし、先発の責任というところでいうと、悪いわけじゃないので。今日に関してはガルシアのピッチングというよりは、打線があれだけチャンスありながら点取れないということになっちゃうよね。 -村上に勝負どころでやられている 矢野監督 もちろんいい打者だし、そんなに簡単に抑えられることはないと思うけどね。そういうところでまた自分らもレベルアップできるわけやし、対策というのはみんな一生懸命練りながら、バッテリーでやろうとしているんだけど。相手が上にいっている部分はあると思うんだけどね。ずっと村上とは対戦する。何か打開策というのは見つけていかないとね。 -明日切り替えて 矢野監督 引きずって野球やることはないし、晋太郎(藤浪)も2回目。気持ち良く向かっていってくれたらと思います。

◆ヤクルトの4番村上宗隆内野手が、極上の逆転5号2ランを放った。1点を追う4回無死二塁、カウント1-2から阪神の先発ガルシアの155キロ直球を振り抜くと、打球はライナーで左翼スタンドへ。 追い込まれ「自分のスイングをしよう」と思考を変え、逆方向への鮮やかな1発。決勝弾となり「逆転できたことは良かった」と話した。 前日は5-20で大敗。高津監督からは「1つでも先の塁、1点でも多く、自信をもって、しっかりグラウンドに立とう」と話があった。悔しさ、ファンへの申し訳ないという気持ちを胸に、22日DeNA戦(横浜)以来6試合ぶりの本塁打。「昨日は昨日で、しっかり切り替えて。勝ちは明日にいいものをもたらしてくれる。勢いに乗りたい」と若き主砲は頼もしかった。

◆2年連続盗塁王へ、阪神近本光司外野手(25)が敗戦の中で気を吐いた。前夜の20点大勝ムードのまま躍動したのは1回だ。プレーボール直後、原の外角速球を逆らわずに押し込むと打球は左中間へ。中堅山崎が捕りきれず、二塁打で出塁した。1死後、サンズの初球で三塁に滑り込んだ。足攻めが効いて、大山の遊撃への適時内野安打で先制の生還だ。 だが、終わってみれば打線が沈黙して「スミ1」の敗戦だった。それでも、矢野監督は機動力を使った1回の攻撃を「それはウチの持ち味。行けるときはどんどんチャレンジするし、今日だけのことじゃない」と評価した。 巨人との首位争いに食い込む上で、昨季盗塁王に輝いた近本の脚力は欠かせない。この日は今季初の三盗で区切りの10盗塁目。リーグトップを独走中だ。開幕から不振でベンチを温める日も続いたが、昨季と変わらず、盗塁を量産する。節目の10個目到達は昨季と同じ32試合目だが今年は不調で11安打も少ない。11四死球は同数だが塁に立つ機会が激減してもスキを見て走っている。シーズン120試合換算でも37盗塁ペース。143試合制だった昨年の36盗塁を上回る計算で意地が光る。 前日28日は塁上で大暴れして、球団最多タイの1試合5得点をマークした。26日中日戦も今季初の4安打で調子は上向きだが、この日は尻すぼみだった。好機で3度凡退して勝機をたぐり寄せられなかった。井上打撃コーチも「そういう場面がいっぱいあるのがレギュラー」と期待する。主力の宿命を背負って、2年目のジンクスに立ち向かう。

◆阪神望月惇志投手が好リリーフで存在感を見せた。6回に2番手能見が2点差に広げられ、なお1死一塁。西浦を二ゴロ併殺打に斬った。回またぎとなった7回も無失点に抑えた。 「結果的にゼロで抑えることができてよかったです」。結果を出せば中継ぎ陣内の序列も上がる。福原投手コーチも「今は(岩崎)優もいないし、若い子は特にチャンスだと思う。そこをつかむつもりで頑張ってほしいなと思います」と評価した。

◆阪神オネルキ・ガルシア投手は4番村上に痛恨の逆転弾を食らい、またも今季初勝利を逃した。今季6試合目の先発で5回4安打2失点と試合を作ったが、粘投むなしく3敗目を喫した。 無失点で迎えた1点リードの4回無死二塁。村上に対して、1ボール2ストライクからの直球が中に入った。痛烈なライナーのまま左中間席に2ランを運ばれてぼうぜん。「全体的に低めにコントロールできていたし、良いピッチングができていただけに、村上選手への失投が本当に悔やまれる」と振り返った。 1点を追う6回1死一、三塁で代打を送られての降板。矢野監督は「トータル的に見ればナイスピッチングだった。(6回の打席も)チャンスじゃなかったら続投させようかと思った」と評価した投球内容だった。ただ、チーム全体として振り返れば、またも若き主砲に勝負を決められた点が少し気がかりでもある。 今季はヤクルトと8試合を戦い終え、4番村上との対戦成績は29打数12安打、打率4割1分4厘。リーグ5球団でもっとも高打率を残され、4敗のうち3敗で決勝点をたたき出されている。例年より短いシーズン。4番対策が急務となる。

◆前日グランドスラム競演した阪神新助っ人コンビは、そろって4打数1安打だった。 3番サンズは1回に四球でつなぎ、先制点をお膳立て。9回には1死から安打で出塁した。5番ボーアも1回に先制後の1死一、二塁で右前打。9回も1発出れば同点の2死二塁の好機に登場したが、捕邪飛に倒れ、最後の打者となった。

◆ヤクルトは、20失点を喫して大敗した試合から一夜明け、接戦を制した。高津臣吾監督は「昨日のゲームがやっぱり、みんなにも心に残っていて、今日が勝つか負けるかですごく大きなゲームだと思っていた。みんな気持ちを切り替えて臨んでくれたので、いい結果につながった」と振り返った。 先発原は初回に1失点。4試合連続で初回に先制される嫌な流れになったが、最少失点に切り抜けたことが勝利につながった。2回以降は無安打に抑え、今季2戦2勝の原について、指揮官は「前回も点をとられて、そのあと粘った投球だった。まだ全開とは言えないが、あそこまでゲームを作ったので、よく頑張った。よく粘った」と評価した。 救援陣も踏ん張り、6回1死満塁から登板した3番手長谷川は、阪神近本、糸井を抑えてガッツポーズ。その後も無失点リレーで、連敗を2で止めた。 高津監督は「昨日のゲームがすごく心に残ったので、今日勝てて本当によかった」と話した。

◆阪神がヤクルトに敗れ、2位浮上を逃した。1回、4番大山悠輔内野手(25)が1死一、三塁のチャンスに、ヤクルト原の変化球を遊撃への適時内野安打を放ち先制。今季初勝利を目指した先発のオネルキ・ガルシア投手(30)も、3回まで無失点で滑り出したが、4回にヤクルトの4番村上に逆転2ランを被弾。6回には2番手能見篤史投手(41)が塩見にソロ本塁打を浴びリードを広げられた。 前日、満塁本塁打2本を含む18安打20得点と爆発した打線も、先発原らに対して1回の3安打以降はわずか2安打。四球で塁上をにぎわすものの、合計4度の満塁機を逃すなど今季ワーストの13残塁で1点どまり。"猛打の後の貧打"を地でいくような結果に終わった。

◆猛打の虎が、貧打の虎に一変した。阪神が今季8度目の逆転負けで2位浮上を逃した。ヤクルト先発原らに対して1回の3安打以降はわずか2安打。計9四球と苦しむヤクルト投手陣をとらえ切れず、1得点に止まった。前夜18安打20得点と大爆発した打線は、今季ワーストの13残塁。あと1本が出なかった。矢野監督も「そこに尽きるんじゃない。昨日のね。まあ、逆というか。1本が出ないというのが今日の敗因」と指摘した。 満塁天国だった神宮の杜が、満塁地獄になった。1回だ。1死一、三塁から4番大山の遊撃内野安打で幸先よく1点を先制した。さあ、前夜の続きで今夜は何点取るんだろう。だがそんな期待は夢と消えた。 5番ボーアの右前打で1死満塁と好機を広げたが、梅野と木浪がまさかの2者連続で空振り三振。6回にも1死満塁から左腕長谷川を相手に近本が左飛、続く糸井が直球を空振り三振。合計4度の満塁打席をことごとくつぶした。前日28日はボーア&サンズが新助っ人NPB史上初のアベック満弾をマーク。満塁機の決定力不足が明暗を分けた。 終わってみればスミ1負け。井上打撃コーチは「最初に大チャンスをもらった時に1点しか取れなかったというところを引きずってしまった」と、初回の満塁機をつぶしたことが尾を引いたと分析した。大勝翌日ゲームの難しさについては「みんな意識していたとは思わない」と話したが、要所でギアを上げた先発原を捉えきれず、積極的な打撃も空回りしてしまった。 阪神が20得点以上を挙げた次の試合は、これで2勝4連敗。どうしても"打ち疲れ"という言葉がクローズアップされる。矢野監督は「引きずって野球をやることはない。(30日先発の)晋太郎も2回目になるんかな。気持ち良く向かっていってくれたらと思います」と切り替えを強調した。巨人が敗れ、首位に3・5ゲーム差に詰め寄るチャンスだったが、4・5差は変わらず。30日ヤクルト戦に敗れれば、8カードぶりとなるカード負け越しが決まる。休んだ分、もう"打ち疲れ"はないはずだ。【桝井聡】

◆ヤクルト原樹理投手(27)が、5回1失点で今季2勝目を挙げた。 前日は20失点の大敗があり、さらに負ければ3位転落の試合で粘りを見せた。「昨日の負け方があって、少し意識したけど、内容よりも結果で勝ったというのがよかった」と振り返った。 初回からいきなりピンチを背負った。1点を先制され、さらに1死満塁。しかし阪神梅野、木浪から連続空振り三振を奪い、最少失点でしのいだ。マウンドに上がる直前、キャプテン青木から「取られた時は、その時はその時で、次に切り替えていくと言うことを絶対に忘れるな」と声をかけられた。ピンチで、マウンドに来た捕手西田からは「全然大丈夫、ここで抑えれば」と言われ、気持ちが落ち着いた。原は「そこから切り替えて、満塁でも、ノースリーになってもどうせ四球出すなら腕を振って。最後はどうせならという感じで開き直れた」と明かした。 今春のキャンプ中に、声楽家の父敏行さんが亡くなった。つらいリハビリでも、試合中のピンチの場面でも、天国から力をくれる。「苦しい時でも、奮い立たせてくれているかなと思う。ピンチでもこんなところでくじけられないとか、リハビリの時もくじけてられないと思わせてくれたのがおやじなので、その思いもこれからも持ちながら最後まで諦めずやりたい」と話した。

◆前日28日に20点を取って大勝した阪神だったが、一転してわずか1得点で敗戦。 阪神は20得点以上を挙げた次の試合で、通算2勝4敗。10年8月26日広島戦から4連敗。この4試合のチーム打率は2割1分5厘で、1試合平均得点は3点ちょうど。"打ち疲れ"が再現された形となった

◆阪神が一回、幸先よく先制した。先頭の近本が、中堅手のグラブをはじく二塁打で出塁すると、1死からサンズの打席で三盗。今季10盗塁目でチャンスを拡大すると、1死一、三塁から4番・大山が遊撃内野安打を放ち、1-0とした。前日28日の同戦では今季最多の18安打&20得点で快勝した猛虎打線。その勢いは続きそうだ。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(20)が29日、阪神8回戦(神宮)に「4番・一塁」で先発し、0-1の四回に逆転の5号2ランを放った。  四回は先頭の青木が左中間への二塁打で出塁。続く村上は阪神・ガルシアに2ストライクと追い込まれたが、4球目の真ん中低めの直球を左中間スタンドまで運んだ。  2勝目を狙う先発の原を援護し20歳の大砲は「走者をかえすことだけを意識してコンパクトに打ちました。逆転できてよかったです」とコメントした。

◆ヤクルト・塩見泰隆外野手(27)が29日、阪神8回戦(神宮)に「2番・右翼」で先発し、2-1の六回に中越えの3号ソロを放った。  前日28日に1軍昇格し、2号を放っていた。1、2打席目は空振り三振に倒れたが、3打席目に2試合連続アーチを描き、結果を残した。  「1、2打席目に全く貢献できていなかったのでなんとかしたい気持ちだった。しっかり自分のスイングができました」と納得の表情だった。

◆昨季盗塁王に輝いた阪神の近本が、チーム32試合目で2桁盗塁に達した。先頭打者で左中間二塁打を放った一回、1死後に相手バッテリーの隙を突き、三盗に成功。大山の内野安打で先制のホームインとした。  ルーキーだった昨季は36盗塁をマークし、「2年連続の盗塁王を目指す」と公言している。試合数が120に減った中でも「去年の数以上にやっていきたい」と高い目標を掲げ、自慢の快足を発揮している。

◆先発した阪神のオネルキ・ガルシア投手(30)は、5回4安打2失点でマウンドを降りた。  「全体的に低めにコントロールできていたし、良いピッチングができていただけに、村上選手への失投が本当に悔やまれる」  1-0で迎えた四回、先頭の青木に二塁打を浴びると、続く4番・村上に左中間スタンドへ運ばれ、逆転を許した。今季6度目の登板でいまだ勝ち星がなかった左腕。初勝利はまたもお預けとなった。

◆ヤクルト・原樹理投手(27)が29日、阪神8回戦(神宮)に今季2度目の先発し、5回3安打1失点の好投を見せた。  前夜、20得点を挙げた阪神打線相手に一回は3安打を集中されて1点を失ったが、二回以降は無安打投球。5四球を許したが、要所を締めた。  2勝目の権利を手にしてマウンドを譲った原は「早いイニングでマウンドを降りてしまい、中継ぎの方には申し訳ないです」と話したが、「野手の方に助けられ、西田さんのリードで5回まで投げることができました」と2試合連続で5イニングを投げ切った。

◆阪神は2位ヤクルトに1-3で逆転負け。今季初の2位浮上はならなかった。前日、今季最多の18安打20得点と爆発した打線は5安打で1得点しか奪えなかった。  一回、大山の遊撃内野安打で先制したが、二回以降は再三、得点圏に走者を進めるも、あと一本が出なかった。1-2で迎えた六回1死満塁の好機も近本、糸井が倒れて無得点だった。  先発したガルシアは四回、村上に逆転2ランを被弾。5回2失点で降板し、今季6試合に登板して勝ち星なしの3敗。  阪神の水曜日の通算成績は0勝4敗1分け(降雨中止1試合)となった。

◆ヤクルトが前日大敗の屈辱を晴らした。22日のDeNA戦で415日ぶりの勝利を飾った原樹理投手(27)は5回3安打1失点で今季2勝目を挙げた。  ヤクルトは0-1と1点リードされて迎えた四回、青木が左越え二塁打で出塁すると、村上が阪神先発ガルシアから左中間スタンドへ運ぶ5号2ランを放ち、逆転に成功した。  先発の原は5回3安打1失点で降板。続く六回、3番手の長谷川が1死満塁のピンチをしのぐと、七回に塩見が2試合連続となる一発で3-1と突き放した。  八回は5番手の清水が2死一、二塁のピンチを切り抜け、九回は守護神・石山が無失点で逃げ切った。阪神は六回、八回と逆転のチャンスを作ったが、あと1本が出なかった。  ◆ヤクルト・原樹理投手 「今日は前回の登板より調子は良かったですが、野手の方に助けられ、西田さんのリードでなんとか5回まで投げることができました。早いイニングでマウンドを降りてしまい中継ぎの方に申し訳なかったです」  ◆ヤクルト・村上宗隆内野手 「(四回の2点本塁打は)打ったのはストレートです。追い込まれていたので、ランナーを返すことだけを意識してコンパクトに打ちました。良い結果となり、逆転できて良かったです」  ◆ヤクルト・塩見泰隆外野手 「(七回の本塁打は)打ったのはストレートです。1、2打席目に全く貢献できていなかったので何とか貢献したい気持ちでした。しっかり自分のスイングができました」

◆前日18安打20得点と打線が爆発した阪神は1-3でヤクルトに逆転負けした。チャンスは作ったが、あと一本が出なかったことについて、矢野監督は「そこに尽きるんじゃない? 昨日のね。まあ逆というか、1本が出ないというのが今日の敗因」と話した。  今季未勝利の先発ガルシアは低めに集めて、5回4安打2失点だったが、打線が援護できなかった。  「トータル的に見ればもちろんナイスピッチングだし、チャンスじゃなかったら続投させようかと思ったんだけど。どうしても追い込んで勝負にいっている球が甘いとか、取られ方がちょっともったいないというかね。まだもうちょっとできそうなところでというところは、どうしても俺もキャッチャー(出身)やし、思っちゃうんやけど」と話した。  逆転2ランを浴びた村上には勝負どころで打たれるケースが多い。  「まあね。もちろんいい打者だし、そんなに簡単に抑えられるということはないと思うけどね。相手が上にいっている部分はあると思うんだけどね。何か打開策というのは見つけていかないとね」  30日は藤浪が先発する。  「明日、しっかりして、晋太郎(藤浪)も2回目になるんかな。気持ち良く向かっていってくれたらと思います」と話した。

◆2年目の清水が八回から5番手で登板。2四球を与えたが、無安打無失点で月間10ホールド目を挙げ、13年9月の山本哲ら3人が持つ球団記録に並んだ(プロ野球記録は12)。勝ちパターンの八回を投げる右腕に、高津監督は「いろんな一球を理解しているように見えます。意図が感じられる球を投げられるようになった」とたたえた。

◆超人の調子がなかなか上向かない。2試合連続で2番に入ったが、一回無死二塁では捕邪飛、六回2死満塁では空振り三振と2度の好機で倒れるなど、3打数無安打1四球。六回の打席後、ベンチへ下がった。開幕直後は好調だったが、打率は・250まで低下。本塁打も6月27日のDeNA戦(横浜)で放った1本のみで、打点も10。1日も早い復調が待たれる。

◆青木が四回に左中間二塁打で村上の一発をお膳立て。六回には右前打を放ち、日米通算2400安打(日本1626、米国774)に到達した。開幕前に「2500安打もそうですけど、3000本を打ちたいですね。それぐらいの気持ちではいます」と語っていた38歳。現役では阪神・福留(2406安打)に続いて2人目の快挙となった。

◆1点でもやれば完全に流れが相手にいってしまう場面。望月が好リリーフで希望の光を見せた。  「なんとかチームにいい流れを持ってこられるように、とにかくゼロで抑えるという気持ちでマウンドに上がりました」  1-3の六回1死一塁。能見に代わって登板し、西浦を二ゴロ併殺に仕留めた。七回も続投。二ゴロ失策で2死二塁を背負ったが、代打・川端を中飛に打ち取り、無失点で切り抜けた。  今季は5試合に登板し、与えた得点はゼロ。岩崎らを故障で欠く中で安定感のある投球に福原投手コーチは「優(岩崎)もいないし、若い子は特にチャンス。そこをつかむつもりで頑張ってほしい」と期待を込めた。  好投を続けていけば勝利の方程式入りも見えてくるが、22歳の右腕は「結果的にゼロで抑えることができてよかったですし、これを続けていきたい」と力を込めた。 (菊地峻太朗)

◆ヤクルトは29日、阪神8回戦(神宮)に3-1で勝ち、連敗が2でストップ。4番・村上宗隆内野手(20)が0-1の四回無死二塁で逆転の5号2ランを放ち、セ・リーグトップの打点を「35」に伸ばした。  前日28日は20失点の大敗。5年ぶりのリーグ優勝を狙うチームにとって、この日はどうしても負けられない一戦だった。「きのうの試合がみんなの心に残っていて、きょう勝つか、負けるかがすごく大きなゲームだと思っていた」と高津監督。試合前にはミーティングで「一個でも先の塁、1点でも多く。自信を持ってグラウンドに立とう」とナインを鼓舞し、接戦での勝利をつかんだ。

◆今季最多20得点の翌日にワースト13残塁で2位浮上に失敗し、貯金は再び1。計9四球を与えられながら生かせず、矢野監督も深いため息だ。  「昨日のね。まあ逆というか、1本が出ないというのが今日の敗因」  一回先頭の近本が二塁打から三盗も決め、大山の適時内野安打で先制。さらにボーアの右前打などで1死満塁のチャンスを作ったが、梅野、木浪が連続三振で追加点ならず。二回以降は5度得点圏に進みながら無得点。六回1死満塁も近本、糸井が凡退した。  「難しいと言っていたら、俺らは上にいけないんで。こういう試合を何とかしていかないと」  大勝の翌日の難しさも、荒れ気味の相手投手を攻略する難しさもあった。しかし、すべてを乗り越えていかなければ悲願の優勝に届かない。それは監督自身が誰よりもわかっている。(大石豊佳)

◆またも、ツバメの若き4番にやられた。ガルシアは左中間席に飛び込んだ打球を悔しそうに見つめた。1-0の四回。好投していた助っ人左腕が1球に泣いた。  「全体的に低めにコントロールできていたし、いいピッチングができていただけに、村上選手への失投が本当に悔やまれる」  先頭の青木に左中間二塁打。続く4番・村上を1-2と追い込んだ4球目。甘く入った直球をはじき返され、逆転2ランとなった。六回に代打を告げられて5回2失点で降板。今季初勝利を目指したガルシアの目標を打ち砕いたのは、村上だった。  「少しでも球が浮いてしまうと打たれてしまうので、低めに集めることがテーマになる」  もっとも警戒していたのは、ここまで虎投手陣がコテンパンにやられた村上だ。前回14日からの甲子園3連戦。阪神は2勝1敗と勝ち越したが、村上には2安打、2安打、3安打。ガルシアも前回15日に対戦した際、一回に先制打を浴びた。そして、この日は逆転2ラン...。これで村上の対阪神戦の今季成績は、打率は・414(29打数12安打)で1本塁打、8打点となった。  矢野監督は「もちろん(村上は)いい打者だし、簡単に抑えられないとは思う。バッテリーやみんなで一生懸命、対策を練っているが、できていないというか、相手が上にいっている部分はあると思う」と苦言を呈した。  昨季は巨人に10勝15敗と負け越した矢野虎。若き4番・岡本を打率こそ・260と抑えたが、6本塁打&19打点を献上。ここぞという場面で岡本にやられたのが、巨人に大きく負け越した原因にもなった。苦手な相手を作らないことは、優勝への条件でもある。  「(これからも)ずっと村上とは対戦するんでね。何か、打開策というのは見つけていかないとね」と誓った指揮官。2位のヤクルトとは4勝4敗。ここから勝ち越していくために-。『村上封じ』は、頂点を目指す虎の新たな課題だ。(三木建次)

◆ヤクルトは29日、阪神8回戦(神宮)に3-1で勝ち、連敗が2でストップ。4番・村上宗隆内野手(20)が0-1の四回無死二塁で逆転の5号2ランを放ち、セ・リーグトップの打点を「35」に伸ばした。好調の7月は29打点となり、日本選手では1991年6月の広沢克己と並ぶ球団最多となった。前夜は3位の阪神に20失点を喫し大敗。負ければ3位転落のピンチを若き主砲が救い、首位・巨人にも3・5ゲーム差と縮めた。  前夜の屈辱を白球にぶつけた。0-1の四回、無死二塁。村上が阪神先発・ガルシアが投じた155キロの直球を一閃。グングンと伸びた打球は左中間席へ吸い込まれた。  「追い込まれたので自分の打撃をしようと思いました。ライナーだったのでいくかわからなかったんですけど、入ってくれてうれしいです」  逆転の5号2ラン。4982人のファンが足を運んだ神宮球場のスタンドに6試合ぶりの一発を届けた。  前日28日は6年ぶりとなる20失点の大敗を喫した。3位・阪神とはゲーム差がなくなり、この日負ければ3位転落の危機だった。この日も一回に先制される嫌な展開だったが、20歳の新4番が流れを変えた。貴重な2ランでセ・リーグトップの35打点。月間29打点で球団の日本選手では1991年6月の広沢克己と並ぶ最多となった。7月は残り2試合。13年8月にバレンティンがマークした球団最多35も視野に入れる。  圧倒的なパワーは屈強な下半身が支えている。恩師が驚いたのは「脚力」と「妥協を許さない姿勢」だった。体育教員でもある九州学院高・坂井宏安監督(61)は「村上は何をやらせても優秀だった。走ることは短距離も長距離も速かった。しかも練習でもそこを怠らなかった」と高校時代を振り返る。打って守って走る-。すべてを追求してきたからこそ、188センチ、97キロの体ができあがった。  その姿勢は五輪メダリストと重なった。「どんなことにも一生懸命。そういうところは末続慎吾に似ているね」。40歳の末続氏も同高OBで2008年北京五輪、陸上男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得したスプリンター。「村上も末続も、いつも一番にグラウンドに出てきて、声を出して先頭に立っていた」と恩師は懐かしんだ。  実は俊足の村上。50メートル走は6秒1で、入団1年目にイースタン・リーグで16盗塁をマークし、1軍でも通算8盗塁を決めている。  開幕から全試合で4番を託している20歳の活躍に高津監督は「本塁打がなかなか出ていなくて、逆(左)方向に彼らしい、素晴らしい打球が飛んだ。またあす(30日)以降もすごく楽しみですね」と目尻を下げた。  DeNA戦に敗れた首位・巨人とは3・5ゲーム差だ。村上は「試合はまだ続きますし、これから先もっと勝てるように頑張っていきたい」と気持ちを引き締めた。残り87試合。若き4番は前だけを向いて戦っていく。(横山尚杜)

◆優勝するために! 巨人を超えるために!! 阪神はヤクルトに1-3で敗れ、2位浮上はならなかった。前夜の20得点から一転、今季ワースト13残塁の大拙攻。もったいない敗戦に、球団OBで楽天初代監督の田尾安志氏(66)=本紙専属評論家=は「阪神に今、何が必要か」が見えてきたと指摘。梅野、近本、木浪をキーマンに挙げた。  今のセ・リーグで、巨人を追い抜いて優勝する力を持っているのは阪神しかいない、というのが私の現状の結論だ。その上で「阪神に今、何が必要か」が、この試合の中から見えてきた。  タラレバが禁句なのは承知しているが、一回、原から1点を先制し、なお1死満塁で梅野、木浪が連続三振に倒れた場面で一本出ていれば、この試合は阪神があっさり勝っていただろう。前夜(28日)に20失点で敗れているヤクルトからすれば、翌日の一回に大量点を奪われれば、その時点で戦意喪失だった。1失点で元気を取り戻した。  特に梅野が1球目、3球目の完全なボール球を空振りしての3球三振はあまりにもったいなかった。初球から積極的に振っていくのは決して悪くないが、明らかなボール球を振ってはダメ。調子のいい梅野なら、見極めて四球を選ぶこともできるだろうし、狙い球をしっかり決めて打つことも、それほど難しくなかったはず。  勝敗を分けたもう1つポイントを挙げるなら、八回2死一、二塁からの近本。相手投手(清水)が制球に苦しみ、カウント3-1と有利な状況になりながら、2球連続で直球を見送っての三振は寂しかった。特に最初の直球は、状況的に「外角にしか来ない」とコースを半分に絞っていれば、スムーズにバットは出たはず。まだ、どこかに迷いがあるのか。  毎試合、20点取れるわけではなく、毎試合、満塁本塁打が何本も出るはずもない。そんな試合は勝って当たり前。問題は接戦になった時、ロースコアの戦いになった時、どう勝利をもぎとるか。サンズ、大山、ボーアら主役が打つのはもちろん大事だが、同時に近本、梅野、さらには木浪ら脇役の力は欠かせない。  脇役には、ドカンと一発ではなく、勝負どころでいかに打ち損じをせずに、1球で、ひと振りで、決められるかが求められる。  20点を奪った試合の中で2安打5得点の近本や、4安打4打点の木浪も、今季を通してみれば、調子は良くない。共通して振り遅れ気味なのが気になる。なかなか上がってこない。梅野も、あのボール球を振りに行った姿を見ると...。  3人にこんな要求をするのも、冒頭に言ったように、巨人に対抗できるチームの脇役だからこそ。彼らが1球で仕留めるレベルを上げれば、その時、阪神の逆転優勝は現実味を増す。(本紙専属評論家)

◆中野の自宅を出掛けに、近所の阪神ファンのキクチさんから声を掛けられた。  「昨日20点とってるから今日の阪神は打たないよ~」。笑顔を返しておいたけど、阪神ファンはよくご存じ! 見事な虎評論家でございます!!  本日は小学生の頃から半世紀、神宮に通っている俺の目に映った『神宮球場光と風と大地の物語』。まず『光』は神宮の照明は今季よりLEDになりましたー!! 夜空に高々と舞う白球の美しいこと...いや、それ以上に老眼が進みつつある俺には光量アップでスコアブックが記入しやすーい!! LEDがつくり出す飛球の芸術をご覧あれ!!  『風』は四回、村上の左翼席への本塁打!! インコースの球を逆方向へ。右から左への風を利用したなら燕の4番、こちらも芸術なり!!  最後に『大地』はグラウンド。神宮は、大地が硬くゴロがはねるのだ。一回1死満塁、六回の1死満塁の場合、足の速い梅野、近本だけに大地の恵みを生かしてほしかった...。てか、9四球くれたヤクルトの恵み、生かさんかいー!! さあ第3戦は藤浪の大復活物語、見せてくれー!!

◆ホント、一昨日はすごかった。満塁本塁打2本を含む20得点の猛爆快勝を見て、その一夜明け。神宮球場に出張していないサンスポのトラ番部隊が、大阪・難波の編集局に集結した。口々に「きのうはスカッとしたな」と振り返りながら。  あんなの見たら、もう少々のことでは驚かないぞと思いつつ、神宮決戦第2ラウンドをテレビを見ていたら、トラ番・三木建次がビックリするような大声を上げた。  「うぉ~、岩手や! ついに岩手に出たぁ~。きょう一番の衝撃や~」  まるでゴジラが現れたかのように「出たぁ」「出たぁ」と言っている。ナイター中継の画面に速報のテロップが。岩手県でも新型コロナの陽性患者が出てしまった、という残念なニュースだった。あまりのオーバーリアクションに、隣にいた菊地峻太朗も「出ましたね」と苦笑いするしかない。  近所の定食屋に、岩手県出身の若者が働いている。ふるさとがずっと「患者0」が続いている状況で、日々ホッとしながらも、同時に「明日はでるんじゃないか」と県民全体がずっと不安になっていたんだとか。「僕は岩手に帰ってくるなと言われてまして」。なるほど、ずっと「0」でも大変だったんだ。  昨日は大阪府の陽性患者がついに200人の大台に乗り(221人)、大阪府民は大ショックを受けている。大きな数字が横行する中で、「岩手県2人」でも速報になってしまう-。とにかく、困った世の中だ。  神宮へ出張中のトラ番・原田遼太郎は朝から、全国の阪神ファンのネット上の書き込みにちょっと驚きを覚えていた。  「20点も取ったんだから、みんな、大はしゃぎだと思ってたんです。確かに、お祭り気分で、良かった良かったという人が半分ぐらい。でも、残り半分は、大量得点の次の日は案外抑えられてしまうんだとか、きょうも打ちまくって、2試合続けて猛打で初めてホンモノだ、とか。すごく慎重なんですよ。虎党はそういうものなのかなと不思議な気分になりました」  それが阪神ファンなんだよな。どれだけ快勝しても、すぐ次を考えると不安で不安で...。  過去、何度も裏切られてきたから、とてもじゃないが楽観的でいられないのが、阪神ファン。ずっと「0」だった岩手県民の思いと一緒にしては申し訳ないが。  そして案の定、半分の阪神ファンの思いは的中する。一回に1点を先制したまでは良かったが、その後は、毎回のようにチャンスを迎えながら、決定打が奪えない。簡単に点が入った前夜が夢だったのか。こんなことなら、あの20点のうちの何点かを、持ち越せたら...。欲求不満が溜まりまくる展開になってしまった。やっぱり阪神だ。  神宮球場へ来たファンに、何のプレゼントもなく帰らせてしまうのか。すると原田記者が再び報告してきた。  「試合前に、藤浪がブルペンでもすごい球を投げてました」  神宮球場は、三塁側のファウルゾーンにブルペンがある。スタンドから至近距離で投げていたのだ、藤浪が。入場者を制限しているおかげで、阪神ファンは混雑せずに動画を撮り放題だった。  「みんなフェンスにかぶりつきでした。やっぱり人気はすごいです」  きょう藤浪先発。半分の阪神ファンは、心配している。半分の阪神ファンは、信じている。どちらかが的中する-。

◆キーワードは「開き直り」だった。ヤクルト・原樹理投手(27)が5回3安打1失点で2連勝。「四球が多いですし、球数も投げられなかった。中継ぎの人に迷惑をかけましたが、とにかく一番はチームが勝てて良かったと思います」と振り返った。  一回に大山の遊撃適時打で失点。チームは4試合連続で一回に失点と嫌なムードが漂ったが「マウンドに上がる寸前、青木さんから『取られた時は切り替えを忘れるな』と言われた。西田さんも『大丈夫だ』と。開き直って腕を振りました」と追加点を許さなかった。  二回以降は無安打に抑え、逆転劇を呼び込んだ。上半身のコンディション不良でリハビリ中の2月に声楽家の父・敏行さん(享年86)が死去。「苦しい時でも奮い立たせてくれているかなと思います。リハビリしていた時でも、くじけられないと思わせてくれたのが親父だった。その思いをこれからも持ちながら、最後まで諦めずにやりたい」と誓った。(長崎右)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
20102 0.667
(↓0.023)
-
(-)
88164
(+2)
102
(+3)
50
(+2)
22
(+3)
0.265
(↓0.003)
3.110
(↑0.01)
2
(-)
ヤクルト
16134 0.552
(↑0.016)
3.5
(↑1)
87156
(+3)
179
(+1)
32
(+2)
21
(-)
0.255
(↓0.001)
4.970
(↑0.12)
3
(-)
阪神
16151 0.516
(↓0.017)
4.5
(-)
88139
(+1)
129
(+3)
36
(-)
26
(+3)
0.253
(↓0.003)
3.780
(↑0.01)
4
(-)
DeNA
16171 0.485
(↑0.016)
5.5
(↑1)
86144
(+3)
130
(+2)
37
(+2)
5
(-)
0.273
(↓0.004)
3.770
(↑0.06)
5
(1↑)
広島
12173 0.414
(↑0.021)
7.5
(↑1)
88148
(+2)
154
(-)
32
(+1)
15
(+1)
0.287
(↓0.002)
4.470
(↑0.15)
6
(1↓)
中日
13211 0.382
(↓0.012)
9
(-)
85108
(-)
165
(+2)
19
(-)
6
(-)
0.246
(↓0.003)
4.340
(↑0.06)