オリックス(★4対10☆)阪神 =オープン戦2回戦(2020.03.14)・京セラドーム大阪=
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阪神
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ORIX
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勝利投手:能見 篤史(1勝0敗0S)
敗戦投手:荒西 祐大(0勝2敗0S)

本塁打
【阪神】陽川 尚将(2号・7回表3ラン),大山 悠輔(3号・9回表2ラン)
【オリックス】ロドリゲス(1号・4回裏ソロ),中川 圭太(1号・5回裏2ラン)

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◆オリックスは1番・福田、2番・中川がそれぞれ2安打の活躍。開幕へ向け、状態の良さを示した。一方の阪神は、打線が16安打10得点を記録。大山、上本、島田など途中出場の選手が、バットで存在感をアピールした。

◆阪神糸原健斗内野手(27)が連日の先制タイムリーだ。2回無死一、二塁。カウント3-1で、オリックス先発漆原が投じた外角速球をコンパクトにたたき、左中間への適時二塁打をマークした。 「打者有利のカウントでしっかりと仕留めることができました。この後も内容のある打席を続けていきたいと思います」。前日13日の同カードも先制打を放っており、好調を持続している。

◆オリックス漆原大晟投手(23)のプロ入り初先発マウンドは3回4安打2失点だった。 「初回を0に抑えられたのはよかった。(先発は)試合を作っていく大事な役割。中継ぎでも先発でも、任された場面で準備していきたい」 育成選手だった昨季は主に中継ぎで登板し、ウエスタン・リーグ最多の23セーブを挙げた。今年2月に支配下選手登録を勝ち取り、リリーバーとして開幕に向けて準備してきたが、先発陣の総合力が上がらないチーム事情から適性を試された。「持ち味の真っすぐは、先発して改めて大切だなと思いました」。最速は148キロ。初回は全てフライアウトを奪うなど、球威のある直球を披露した。

◆特大の1発を決めた。オリックスの新助っ人アデルリン・ロドリゲス内野手(28=パドレス3A)が、バックスクリーン左に運ぶオープン戦1号を放った。 先頭で迎えた4回。1ボールから「狙っていたというよりは体が反応した」と、2球目の外角低めカーブを完璧に捉えた。「打った瞬間入ると思った。いい形で打てたので感触は良かった」とご機嫌。宮崎キャンプ中に右外腹斜筋損傷で離脱したが「強く振っても大丈夫。ケガをしないでチームとずっと一緒にいることが大切」と状態を上げてきた。 チームの外国人は救援のディクソンとヒギンス、4番候補のアダム・ジョーンズ外野手(34=ダイヤモンドバックス)の3人が1軍有力で、ロドリゲスは残り1枠をモヤと争っている。アピール十分な1発に西村監督は「すばらしい打球。良いものを見せてくれている」と目を細めた。

◆開幕ローテーション入りを目指す阪神新戦力の中田賢一投手(37=ソフトバンク)が先発し、2被弾した。 序盤3イニングはフォークやカーブを駆使して無失点。だが、4回、ロドリゲスに中堅へソロ本塁打を浴びると、5回2死一塁で中川に速球を強振され、右翼ポール際に2ランを浴びた。1回にはメジャー通算282本塁打のジョーンズを落差のあるフォークで空振り三振に抑えるなど、見せ場も作ったが、5回3失点だった。

◆阪神が終盤に得点を重ね、大勝した。1点を追う7回に2死一、三塁から途中出場の陽川が逆転3ラン。8回にも3得点。9回には大山の2ランで突き放し、2ケタ得点を奪った。 矢野燿大監督(51)は大山について「ずっと内容もいい。いい形が続いている。やっぱりホームランは大きい。プラスしぶとさ、今はその両方ができている」と9回のアーチだけでなく、6回に追い込まれながら中前打を放った点を評価。逆転弾を放った陽川にも「場面も状況も打った中身も本当にすばらしい形だった」と賛辞を送った。 7、8回は2死からの得点で、指揮官は「2死からは本当に大きい。相手に与えるダメージもでかい。そういう攻撃ができるのはうちの強みというか、2死からでもいくぞ、という雰囲気を持ち味にしていきたい」。また、上本と島田が2安打、植田が三塁打を放つなど、途中出場7人のうち6人が安打を記録。その点にも、矢野監督は「足だけとかそういうことではなく、その後しっかり守って、打席でも打ってと。それはチームにとってももちろん大きいし、あいつらも、別に控えでいいと思ってないと思う。目指すところはもっと高い」とチーム力アップの手応えをつかんでいる様子だった。

◆4回から2番手で登板したオリックス荒西祐大投手は5回10安打6失点と課題を残した。 4、5イニング目に3点ずつ失い「ボール自体は悪くなかったんですけど...。続けてしっかりやるしかない」。 西村監督は「20日が開幕だったらローテーションに入っていたかもしれないが、延びたのでね。しっかりしたものを見せてもらわないと」と苦言を呈した。

◆阪神の開幕ローテを争う中田賢一投手が移籍後最長の5回を投げて4安打3失点だった。 初回から走者を許しながらもゼロを並べたが、4回に先頭ロドリゲスに中越えソロ、5回にも中川に右越え2ランを浴び「もうちょっとうまく投げられた。もったいない部分が多い」と反省。 矢野監督からは「全体的にはまあまあ。四球もあったけど、中田らしさが出てくる部分が多かった」と一定の評価を得た。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手について矢野監督も調整が進んでいると評価した。 「もうちょいやね。結果論やけど、ポイントが前やったりとか。全部本塁打を打てるわけじゃないが、紙一重というか『あっ』というポイントでしっかりスイングできるのは、ちょっとずつ増えている感じはする。打撃練習も、ここ2日結構良かった」。ボーア、サンズ、マルテの外国人野手と福留、糸井は、15日オリックス戦(京セラドーム大阪)に出場せず、甲子園での残留練習に参加する予定。育成ドラフト1位の小野寺暖外野手(21=大商大)と小幡が1軍合流する方向となっている。

◆阪神陽川尚将内野手が右打ちスラッガーの本領を発揮した。5回に一塁の守備から出場。1点差の7回2死一、三塁。荒西のシンカーを完璧に振り抜きバックスクリーンへ。第1打席でオープン戦2号の逆転3ランを放ち、アピールに成功した。 矢野監督は「左打者が全体的に多くなる。右で本塁打を打てる要素は必要な部分。場面も状況も打った中身も本当に素晴らしい形やった。陽川がいてくれるのは大きなものになる」と高評価した。前日13日も中堅フェンス直撃の二塁打など2安打。オープン戦は打率3割5分3厘と安定する。 今春キャンプは打撃のタイミングを早くするよう工夫。「結果にこだわってやっている。チャンスは少ない。いつでもいけるよう、いい準備をしてチャンスをモノにできるように」と気合十分だ。昨季は3本塁打をマークも打率1割9厘。今年は勝負強さを示し、代打の切り札としても期待される。「ベンチのなかで考えを整理してやっている」と自覚たっぷりに言った。

◆阪神糸原健斗内野手が「恐怖の7番」だ。2回無死一、二塁。漆原の外角速球をコンパクトにたたき、左中間へ適時二塁打をマークした。前日13日に続く先制打に「7番でチャンスのいい場面で回ってくる。そういうところで打ったら評価される」と気合を込めた。 矢野監督も前日に「あの打順に健斗がいるのは相手にとって嫌」と話していた。5戦連続で7番で先発起用され、役割も明確だ。出場5戦連続安打で15日の最終戦に臨む。

◆阪神新外国人ジェリー・サンズ外野手(32=韓国・キウム)は快打&激走でオープン戦を締めくくった。 2回に漆原の速球を右前へクリーンヒット。糸原の左中間適時二塁打で二塁から生還した。 「来た球を強くたたくイメージで打席に立ったよ」。15日のオリックス戦には出場せず、オープン戦は打率2割3分8厘、2本塁打、2打点だった。試合前にはオリックスの新外国人ジョーンズと交流する場面もあり「息子2人と、家族構成も一緒でね。自己紹介し合ったんだ」と明かした。

◆阪神の岩貞祐太投手は先発&救援両にらみのジョーカーだ。8回から登板し2回を無失点。 矢野監督は「現状、こっちの都合で(先発と)両方という形でやってもらっている」と説明。 16年に10勝を挙げるなど先発経験豊富な左腕も「どのポジションでも戦力になれるように。継続したい。ブルペンで待っている間、いろんな話を聞ける。こういう球はいらないんだとか」と前向きだ。藤川、能見ら救援陣は手厚く、経験値を重ねていく。

◆途中出場の阪神植田海内野手がオープン戦初ヒットとなるタイムリーを放った。7回に中堅の守備から出場。 8回2死二、三塁で迎えた1打席目に荒西の変化球を強振し、右越えの2点適時三塁打をマークした。「2ボールだったので思い切ってスイングしました。少ない打席でもしっかりアピールしたい」と目を輝かせた。

◆「チーム3冠」に躍り出る特大弾! 阪神大山悠輔内野手(25)がチームトップの3号2ランを放った。オリックスとのオープン戦の9回1死一塁。比嘉の直球を京セラドーム大阪の左翼5階席まで運んだ。 3打数2安打2打点で5試合連続安打とし、打率、本塁打、打点の3部門でチームトップと好調をキープ。開幕が延期となる中、三塁を懸けたマルテとの一騎打ちで必死のアピールが続く。阪神は3年ぶりにオープン戦勝ち越しを決めた。一振りで完璧に仕留めた当たりは左翼5階席まで届いた。9回1死一塁。変則右腕比嘉の初球、真ん中に入った140キロ直球を捉えた。6点差に広げるダメ押し弾だったが、試合後のコメントには大山の真面目な人柄がにじんだ。 「ホームランを打てたのは良かったですけど、その前の打席のチャンスで凡退しているところが一番印象がある。(チームが)イケイケの時にもう1点取れなかった、凡退した悔しさがあった」 6回の代打から出場。陽川の逆転3ランが出た後の7回2死二塁で、右腕荒西の前に一邪飛に倒れた。本塁打よりも得点圏での凡打を反省した。 昨年の開幕を「4番三塁」で迎えた大山は今、2年目のマルテと激しく三塁を争っている。夏場に4番の座を明け渡した相手だ。前日13日に2号を放ったライバルに負けじと3号を放ち、この日は3打数2安打2打点。5戦連続安打で打率3割7分1厘、3本塁打、5打点で「チーム3冠」と好調をキープするが、ここ4試合は途中出場だけに「スタメンで出られない悔しさというのも感じています。後からいく、何打席立てるか分からないという中でアピールしなくてはいけない」。1打席、1球たりとも無駄にはできない。 矢野監督は若き主砲の躍動ぶりを評価した。「キャンプの後半くらいから、ずっといい形が続いている。これが地力というか実力というか、当たり前になってくれるところまできてくれるとうれしい」。一騎打ちする2人が2日続けてアーチを懸け「競争が強くなる。うれしい誤算」とうれしい悩みは尽きない。 調子の上がらなかった春季キャンプ終盤。大山は指揮官から打撃指導を受けた。ポイントを前に置いて気持ちよく打つだけでなく、ポイントの前後の幅を広く意識する実戦向きのアドバイスだった。「まずは教えてもらったことを形にするところ。シーズンが終わった時に結果を見て、あれが良かったのかなとなるのが一番」。自分の納得するスイングができる確率を高めるため、映像などを見て試行錯誤を繰り返す。「確認できるところはしっかりして、反省して。明日に向けてやっていきたいと思います」。結果を出し続けた先に、開幕三塁は必ず見える。【奥田隼人】 ▼大山とマルテ 昨季は開幕から、大山が「4番三塁」で固定された。マルテは一塁で5~7番に起用されることが多かったが、大山の不振で8月初旬以降、代わって4番に座った。今季はボーアが「4番一塁」の構想で、大山とマルテは三塁のポジションを争う。オープン戦ここまで三塁の先発は、大山3試合、マルテ8試合となっている。

◆オリックスの新外国人、アデルリン・ロドリゲス内野手(前パドレス3A)が14日、阪神とのオープン戦(京セラ)に「4番・DH」で出場。オープン戦1号ソロを放った。  0-2の四回の先頭。阪神先発・中田が投じた1ボールからの2球目、124キロのスライダーをとらえ、中堅3階席まで運んだ。

◆オリックスは2年目の中川が「2番・三塁」に定着してきた。1-2の五回2死から中田の外寄りの直球を右翼ポール際に運んだオープン戦1号2ランを含め、巧みに2安打。「逆方向への本塁打は初めて。いい形で打てた。(手応えは)抜けたような初めての感覚だった」と喜んだ。  昨季の交流戦で新人初の首位打者に輝いた、広角に打ち分ける打力を期待されている。2番については「頭を使う難しい打順だが、チームの勝利に大きく貢献できる」とやりがいも感じている。

◆先発陣の駒不足により、中継ぎから抜てきされたオリックス先発の漆原は3回を4安打2失点だった。三回に武器の直球で近本から見逃し三振を奪ったが、二回は四球で傷口を広げて失点。「変化球でカウントを稼げるように改善していきたい」と課題を挙げた。  新潟明訓高から新潟医療福祉大を経て育成ドラフト1位入団した昨季はウエスタン・リーグで最多の23セーブを挙げ、1軍スタートした今春キャンプ中に支配下選手登録をつかんだ。先発枠入りへチャンスをつなぎ「任された場所でゼロを並べていくことが大事」と意気込んだ。

◆阪神は控え野手が途中出場から次々とアピールした。陽川は七回に中越えへ逆転3ラン。1軍生き残りへ持ち味を示し「自分のスイングをすることを心掛けた。結果を出していくしかない」と表情を引き締めた。  その直前にはベテラン上本が左前打で好機を広げ、外野も守って出番拡大を目指す植田は八回に右越えに2点三塁打。島田も2安打と起用に応えた。矢野監督は「控えでいいとは思っていないと思う。もっと高いところを目指す気持ちでやってくれている」と活躍に目を細めた。

◆まだ西本幸雄さん(阪急・近鉄などで監督)がお元気の頃に「こんな話を聞いたんですが」と前置きして「阪急(オリックスの前身)の時代に高知の安芸で阪神とのオープン戦がスタートした。その時に西本さんは『20-0で虎に勝て!』とマジで命じたそうですネ」といったら、彼は思わずプッと吹いて「そんなアホなことを言うわけないやろ」とムキになっていた。  だけど...と彼はこう続けた。「向こう(阪神)は何しろワッとキミら記者諸君が記事を書き立てるからな、いっそのこと10点ぐらいではどっちが勝ったかわからん紙面になる。それで俺は選手にハッパをかけたんや」  そんなことを思い出しながら大阪・難波の編集局のモニターテレビで10-4の阪神快勝を見て思わず苦笑い。「阪神が10点もとるなんて、こんな試合なら西本さんは試合後に高知球場に戻って暗くなるまで練習をやらせただろうなぁ」。なにしろ、近鉄時代にはオープン戦の最終戦で、新幹線が新横浜でストップして帰阪が深夜に及んだときにも関わらず、翌朝10時の藤井寺球場集合を1分たりとも緩めなかった。おまけに選手を集めて全員に「眠そうな顔をしやがって!」と叱り飛ばした。  なんでそこまでするんですか...といったら彼はニコッとしてこういった。「選手にけがをさせんためや。こんな嫌々やっとると、ついボールを踏んだりするからな。書くなよ、こんなこと...」  この日のスコアを見たら、天国の西本幸雄という監督は歯ぎしりしてるんだろうなぁ、と。  すんまへんなぁ、西さん。今年の阪神はこんなこともあるんです。だけど、無観客試合。この日、現場にかけつけた澄田垂穂デスクもマジで「こんな展開ってあるんだなぁ。本当にもったいない。満員のファンが入っていたら、オープン戦とはいえ、どんなに盛り上がったことか」とポツリ。  珍しい、といえば虎番の司令塔役の安藤理サブキャップが「ボーアが打撃練習中にバットが折れて...それを球団を通じてファンにプレゼントするみたいですよ。彼は常にファンを最優先で気持ちの前向きな選手なだけに素晴らしい」と伝えてきた。折れたから、ではなく、気軽に自分たちが愛用していた用具などにすぐサラサラっとサインしてファンにプレゼントするわけだ。そういえば最近はあまり見かけないが、昔の主力選手はそんなちょっとした気配りをよくしたものだ。  安藤は前ソフトバンク担当。王貞治球団会長が、傷ついた用具などにサインをしてファンにプレゼントすることが絆を強めることだと選手に訴えていたことを思い出す。「それが実はチームを支える原動力になっているんです」と。  そういえば筆者はあの1977年9月3日、後楽園で王選手が当時ヤクルトの鈴木康二朗投手からアーロンの記録を抜く通算756号を放ったのを見て体が震えた。しかし、もっと驚いたのは王さんは「子供たちのためにできれば夏休み中に早く打ちたかった」といった。その夜、自宅にたどりつき、玄関に入る数メートルのあいだに40分以上もかかった。なぜなら待っていてくれたファンにすべてサインをしたからだ。  何をいいたいのか...つまり、今のタイガースにはそうした「本当の意味でのファンへの感謝」が少し芽生えてきている。それが脇役たちの粘っこいプレーにつながっているのだ。その"春の芽"を安藤記者は嗅ぎ取ったのであります。でも、無観客...もったいない!

◆--大山がアピールした  矢野監督 「キャンプの後半くらいから、ずっといい形が続いているし、これが地力というか実力というか、当たり前になってくれるところまできてくれるとうれしい。やっぱりホームランは大きい。悠輔ももちろん、そういう打者を目指していると思う。それプラスしぶといというかね、あの(六回の)センター前ヒットも、追い込まれながらも泳ぎながらとか。今はその両方ができているので、すごくいい形になってきているかなと思っています」  --八回、陽川の本塁打の直前にはエンドランなども仕掛けた  「チャンスがあればどんどんトライしていくっていうのがうちの野球なんで。そういう準備力っていうところでは、本当にみんなレベルがしっかり上がってきて、そういう所で勝負できる形になっている」  --2死からしぶとく得点している  「ツーアウトからは本当に大きいよ。相手に与えるダメージもでかい」

◆プロ初先発の漆原は3回を2失点。二回に2点を失ったが、自慢の直球で凡打に仕留める場面もあり、キャンプ中に支配下登録された2年目の右腕は「真っすぐでイメージ通りフライアウトを取れた。そこは良かった」。西村監督は「初めてですからね。力が入りすぎていた部分もあったのかな。次は徐々に球数を増やしていかせる」と一定の評価を与えた。

◆中川が連日の猛アピール。1-2の五回2死一塁で右翼2階席へ、一時逆転となる2ランを放った。「逆方向に本塁打を打ったのは(プロ)初めてなので、いい形で打つことができて良かった」。七回にも右前打で4打数2安打。前日の3二塁打に続いて存在感を示し、西村監督も「もともと広角に打てる打者だが、そのなかでも右方向への本塁打は価値がある」と高く評価した。

◆誰よりも、爆発の気配を感じていた。0本塁打のまま、オープン戦を終えたボーアから"開花宣言"が飛び出した。  「紙一重で、もしかしたら2本くらいフェンスオーバーしていた感じだね。いいスイングができているよ」  三回2死、一塁線の内野安打で2試合連続安打とした。一回2死一塁で右飛、五回2死一、二塁で中飛。打ち損じも、高々と舞った打球に納得した。オープン戦は20打数4安打で、長打もなし。オープン戦の最終戦となる15日のオリックス戦は欠場し、甲子園で練習を行うことが決まったが、自信たっぷりだ。  「ボールがみえているし、いい感じでアプローチできているから。予定通り(20日に)開幕しても『いい調整ができた』といえるよ」  矢野監督も「紙一重というか『あっ』というポイントでしっかりスイングできるのは少しずつ増えている」と前向きだった。今後は日程が決まり次第、練習試合に出場して本番に備える。結果と逆の"豪語"。メジャー通算92発の感覚を信じるのみだ。

◆オリックスの新外国人、アデルリン・ロドリゲス内野手(28)=前パドレス傘下3A=が14日、阪神戦(京セラ)に「4番・DH」で出場。1軍の対外試合初の4番起用に応え、四回にオープン戦1号を放った。猛牛打線をパワーアップさせる期待の新助っ人は、アダム・ジョーンズ外野手(34)=前ダイヤモンドバックス=だけじゃない。  轟音とともに、打球はバックスクリーンへと伸びていった。無人の中堅3階席に着弾。ロドリゲスが豪快な一発を放った。初めての4番抜てきに、オープン戦1号という最高の結果で応えた。  「いい形で打てた。感触は良かった。真ん中から外寄りのカーブ。狙っていたわけじゃないけど、体が反応したんだ」  メジャー通算282本塁打の大物助っ人、ジョーンズに負けない存在感を示した。0-2の四回先頭。阪神先発・中田が投じた1ボールからの2球目、124キロの変化球を振り抜いた。右外腹斜筋損傷のため、キャンプ中に2軍で再調整となったが、10日の中日戦(京セラ)で復帰後、4試合連続安打。打率・444(9打数4安打)、2打点と好調ぶりを披露している。  この日、1軍の対外試合で初となる4番で起用した西村監督は「ジョーンズを1つでも(打順を)上に上げて、1打席でも多く立たせたかった」と、ジョーンズとの兼ね合いだったことを説明。その上で、シーズン中の4番起用についても「ジョーンズの状態が上がらなければ、考えないといけない」と可能性を口にした。  ロドリゲス自身は「何番を打ってもあまり変わりはない。4番だからといって特にない」と冷静だが、4番を打てる力がある男がいるだけで、打線の厚みは違う。将も「かなり期待しています」とうなずいた。  「すごくいい感じでやれているよ」と"A・ロッド"。今年の打線はジョーンズにロドリゲス、さらにはモヤ、T-岡田と大砲がズラリ。破壊力満点の攻撃陣で白星を量産する。 (西垣戸理大)

◆チームの勢いに乗るかのように思い切りよく左腕を振った。八回から登板した岩貞が2回無失点。きっちり試合を締め、笑顔でマウンドを降りた。  「しっかり腕を振って自分の投球をするというのは変わらないので」  安定感が光った。八回に2死から内野安打を許したが、続く後藤には外角への変化球で遊飛に料理。九回には1番からの上位打線をすべて直球で打ち取り、付け入る隙さえ与えなかった。  オープン戦の登板3試合はすべてリリーフ。計6回でホームを踏ませていない。キャンプでは先発ローテの一角を期待させれていたが、中継ぎ陣の中心だった岩崎がキャンプ終盤に右足の張りを訴えたチーム事情もあり、中継ぎに回った。  短いイニングばかりの状況にも「全然(問題ない)。(8日の)巨人戦(2回2安打無失点)で分かったこともあったし、偉大な先輩方から(アドバイスを)聞いている」と胸を張った。  矢野監督は左腕の起用について「中(継ぎ)もやりながら。でも完全にそこって決めてしまっているわけではないので。現状、こっちの都合になっちゃうけど、(先発)両方という形でやってもらっている」と説明。シーズンの開幕の延期が決まり、先発ローテを早急に決める必要はなくなった。岩貞の調子が上がり、ブルペン陣にめどがつけば先発に戻る場合もある。つまりジョーカー的な存在というわけだ。  「(先発でも中継ぎでも)打者を抑えるのは変わりはない。上(1軍)で投げて初めて仕事なので、継続してやっていきたい」と岩貞はうなずく。投手陣の"救急箱"として任されたところで投げる。 (織原祥平) 岩貞について阪神・福原投手コーチ 「(イニングまたぎの起用は)いろいろなことを考えてですね。(投球は)よかったと思う」 ★虎の中継ぎ事情  藤川の守護神と、新外国人のエドワーズのセットアッパーは決まっているが、それ以外は不透明。春季キャンプ中に右足に張りを訴えた岩崎は当初、このオリックス3連戦で登板する予定だったが、開幕延期になり、再調整をしている。昨年10月に左肘手術を受けた島本はリハビリ順調もまだオープン戦登板なし。左腕不足が顕著だ。

◆快音を残して白球はバックスクリーンへと突き刺さった。ひと振りで決めた陽川は表情を崩さず、ダイヤモンドを一周する。ホームを踏むとやっと白い歯がこぼれた。  「1打席1打席が勝負なので。立場上、結果を出していくしかないので、結果を求めてやっています」  五回からボーアに代わって一塁に入った。1点を追う七回2死一、三塁。長距離砲として、武者震いする場面で打席が回ってきた。カウント1-1から荒西の低めのシンカーを捉えた。逆転3ラン。シーズンであれば文句なしのお立ち台だ。  陽川といえば、本塁打の後のゴリラポーズ。12日に開かれた新型コロナウイルス対策連絡会議で応援の自粛要望が出され、ファンの大声を誘うようなパフォーマンスがNGとなった。  だが、陽川の場合、他の選手のように叫ぶようなものではなく、平手で胸をたたくだけ。「僕はあまり声を出さないので」と継続していくことを明かした。無観客試合や開幕延期など寂しい話題が多いが、明るくチームも虎党も盛り上げる。  この日は2打数1安打3打点。オープン戦は9試合に出場し、打率・353(17打数6安打)、2本塁打、5打点と好調を維持している。内野も外野も今は守ることができるが、そこには糸井や近本、ボーア、マルテらが立ちはだかっている。  矢野監督は「右(打者)で本塁打を打てる要素はこちらとしては必要な部分」と話し「陽川がいてくれるのは大きなものになる」とうなずいた。右の代打としても陽川は「ベンチで試合を観察しながら、自分の中で考えて打席に入りたい」と準備万端であることを明かした。  「この状態が一日でも長く続くように。チャンスは限られていると思うので、少ないチャンスをいい準備をしてものにできるようにやっていきたい」。課題だった勝負強さも出てきた。開幕1軍に向けて、食らいつく。 (菊地峻太朗)

◆新型コロナウイルスも吹き飛ばせ! 阪神は14日、オリックス戦(京セラ)に10-4で圧勝。九回、大山悠輔内野手(25)の3号2ランなどベンチスタートの若手が躍動し、16安打の猛攻を演出した。日本列島に暗いムードが漂っているが、今こそ、底力を見せるとき。猛虎たちの歯を食いしばった姿を見よ!  あっという間の出来事だった。打った瞬間、オリックスの左翼手・宗は打球を見上げ、追うのをやめた。白球がスタンドへ消えると、大山は悠々とダイヤモンドを一周。会心の一撃に、ベンチで満面の笑みを浮かべた。  「スタメンで出られない悔しさを感じているし、何打席、立てるかわからないなかで、アピールしないといけない。1打席1打席、1球1球、無駄にできない」  8-4で迎えた九回だった。1死一塁で打席に入ると、比嘉の初球を一閃。左翼席上段に運ぶ2ランを放った。  この日は六回に福留の代打として登場し、3打数2安打2打点。4試合連続でスタメンを外れたが5試合連続安打とアピールした。オープン戦打率・371(35打数13安打)、3本塁打、5打点はチーム3冠。マルテ、ボーア、サンズのクリーンアップ"MBS"が途中で退くと、待っていましたとばかりに植田、島田らが躍動し、昨季の開幕4番がトドメの一発を放ったというわけだ。  「自分的には、その前の打席の凡打が一番、印象にある。イケイケの好機で打てなくて悔しい」  喜んでいるばかりじゃない。最も語気を強めたのが七回2死二塁で一邪飛に倒れた場面だった。  春季キャンプの打撃練習中から、自身の打撃フォームを映像に残し、練習途中でも逐一、確認する姿が目立った。もっとうまくなるためには何ができるのか、どうすればいいのか。「映像は少ないけど確認して、反省できるところは反省したい」。結果が出ても、脇を締めているからこそ、歩みはもう止まらない。  ベンチスタートの選手たちの活躍に喜びを爆発させたのが矢野監督だった。報道陣から「20日に開幕していたら悩ましいか」と問われると「ほんと、ほんと」とうれしい悲鳴をあげた。終わってみれば矢野阪神のオープン戦最多となる16安打で10得点。オープン戦のラストゲームとなる15日のオリックス戦(京セラ)で勝てば、4年ぶりに1位フィニッシュする可能性があるほど、活気がある。虎将は「競争で強くなるので、それはうれしい誤算として。どんどんやっていってもらいたい」と目を細めた。  開幕は早くても4月10日以降になることが決定した。ファンにとっては悲しいが、そこで若虎たちの大逆襲が始まった。  「自分のイメージしていることができるように、少しでも確率を上げていきたい」と大山。助っ人や福留らのベテラン陣は開幕延期に際し、今後は試合出場を制限する。若手たちのアピールの場はまだまだある。  新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。無観客試合の開催など暗いムードを、打って打って、吹き飛ばす。大山が進軍ラッパを鳴らした。 (原田遼太郎)

◆岩貞は八回から2イニングを投げたので、先発とリリーフの両にらみの調整だろう、と思った。  岩貞の場合は右打者の内に食い込むクロスファイアが持ち味。この日は、それに角度がなく、甘さもあった。リリーフの場合は短いイニングを全力でいけるとあって、先発として働いていた投手は力みがち。力めば、余計にクロスファイアの精度が落ちる。どこで投げるにしても、開幕へ向けて精度を上げていくことが必要になる。  岩貞のリリーフは、岩崎が2軍で調整していることから、あくまで急造だろう。先発ローテに決まっている左投手は高橋しかおらず、もう1枚はほしい。岩貞は貴重な存在だ。これまでの経験もあるし、先発のほうが向いているが、球に力はあるし、リリーフでもやっていけると思う。  ただし、リリーフ調整をしていて、急に先発をやれといわれても難しい。開幕が延期となったが、先発として長いイニングをこなしつつ、リリーフにも備えることが最善ではないだろうか。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
西武
521 0.714
(↑0.047)
-
(↓1)
34
(+1)
22
(-)
5
(-)
10
(-)
0.289
(↓0.011)
2.830
(↑0.42)
2
(1↓)
ソフトバンク
731 0.700
(-)
-0.5
(↓0.5)
63
(+4)
34
(+4)
10
(-)
15
(+4)
0.267
(-)
2.760
(↓0.13)
3
(1↓)
楽天
841 0.667
(-)
-0.5
(↓0.5)
57
(+3)
39
(+3)
9
(-)
13
(+1)
0.254
(↓0.005)
2.530
(↓0.04)
3
(2↑)
阪神
632 0.667
(↑0.042)
0
(↓1)
43
(+10)
52
(+4)
13
(+2)
11
(+3)
0.261
(↑0.015
4.550
(↑0.05)
5
(1↓)
DeNA
750 0.583
(↓0.053)
0.5
(-)
49
(+7)
43
(+8)
12
(+1)
3
(-)
0.259
(↑0.008)
2.950
(↓0.39)
6
(-)
広島
542 0.556
(-)
1
(↑0.5)
59
(+4)
57
(+4)
10
(+3)
4
(-)
0.287
(↓0.007)
4.590
(↑0.07)
7
(-)
日本ハム
652 0.545
(↑0.045)
1
(↑1)
55
(+8)
49
(+7)
5
(-)
6
(-)
0.259
(↓0.004)
3.340
(↓0.23)
8
(2↑)
中日
570 0.417
(↑0.053)
2.5
(↑1)
30
(+3)
53
(+2)
4
(-)
6
(-)
0.234
(↑0.01)
4.110
(↑0.2)
9
(1↓)
ヤクルト
471 0.364
(↓0.036)
3
(-)
37
(-)
50
(+1)
3
(-)
13
(+1)
0.220
(-)
3.720
(↑0.22)
10
(2↓)
ロッテ
242 0.333
(↓0.067)
2.5
(-)
29
(+2)
31
(+3)
9
(+2)
9
(-)
0.227
(↑0.003)
3.760
(↑0.06)
11
(-)
ORIX
372 0.300
(↓0.033)
3.5
(-)
44
(+4)
57
(+10)
9
(+2)
4
(-)
0.259
(↓0.003)
4.420
(↓0.52)
12
(-)
巨人
294 0.182
(-)
5
(↑0.5)
52
(+3)
65
(+3)
16
(+2)
3
(-)
0.232
(↓0.007)
4.190
(↑0.09)