阪神(☆3対0★)日本ハム =オープン戦1回戦(2020.03.06)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
日本ハム
00000000001110
阪神
00003000X3500
勝利投手:西 勇輝(3勝0敗0S)
(セーブ:エドワーズ(0勝0敗1S))
敗戦投手:有原 航平(0勝1敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 日本ハム戦チケット予約
◆阪神は先発・西勇が5回無失点。8安打を浴びながらも、要所を締めるピッチングが光った。対する日本ハムは、吉田輝が3番手で登板。プロ入り後初となる甲子園のマウンドで2回無失点と結果を残した。

◆阪神新外国人のジャスティン・ボーア(31=エンゼスル)とジェリー・サンズ(32=韓国・キウム)が、日本ハムとのオープン戦で本拠地デビューしたが、両者無安打に終わった。 ボーアは4番一塁でスタメン。2回の第1打席は初球を詰まらせて遊ゴロ。4回の第2打席は日本ハム先発有原の131キロチェンジアップに空振り三振に終わった。6回の第3打席は日本ハム3番手の吉田輝から四球を選んで出塁。代走に板山を送られ、ベンチに下がった。 サンズは3番左翼でスタメンだったが、3打数0安打2三振。新外国人野手2人の、甲子園での初安打はお預けとなった。

◆開幕投手に決定している西勇輝投手(29)が先発し、5回8安打ながら無失点と粘りの投球を見せた。 「ところどころ、いいところはありました。いいところもあれば悪いところも出た」。毎回走者を背負うも要所を打ち取り、無失点で切り抜けた。5回無死一、三塁のピンチでは、近藤を投ゴロに打ち取ると、三塁走者の松本を目でけん制しながら併殺を完成。なおも2死三塁で王を見逃し三振に仕留めた。 「今日は結果よりも内容を重視して、テーマを持って上がったのでそれが出来て良かったです」。開幕投手に向けて順調にステップを踏んだ。

◆日本ハムクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)がオープン戦・阪神戦(甲子園)の5回の守備中に左手首付近を痛めて途中交代した。 三塁ファウルゾーンへ上がった飛球を追い掛け、カメラ席に突っ込んだ。

◆ようやく"コンちゃんスマイル"が戻った。5日に第1子となる長女が誕生した日本ハム近藤健介外野手(26)が、阪神戦(甲子園)で3打数2安打1四球とオープン戦8試合目で初のマルチ安打。リーグを代表するバットマンは「状態が悪い日が多かったけど、少しずつ良くなってきている」と爽快な笑顔を見せた。 1回の第1打席が、復調ぶりを証明していた。1ボール2ストライクと追い込まれてからが、昨季リーグ最高出塁率を誇った男の真骨頂。2球ボールを見極め、ファウルで粘ってから四球を選んだ。第2打席は内角のカーブを右前打、8回の第4打席はど真ん中に入った初球を逃さず、左前打で出塁した。 強行軍も、幸せいっぱいだ。札幌からの移動日だった前日5日、チーム本隊と離れて空路、東京へ。都内の病院へ駆けつけ、愛妻の出産に立ち会った。待望のわが子を抱いた後は新幹線に飛び乗って、日付が変わる深夜に、大阪到着。「くたくたですよ」と苦笑いも、予定日を過ぎての出産に気をもんできただけに、喜びもひとしおだ。「これからは自覚を持たなくちゃ」。新米パパは開幕へ向け、ここから一気にギアを上げていく。【中島宙恵】

◆日本ハム吉田輝星投手(19)が聖地凱旋(がいせん)で、ほろ苦さを残した。6日、阪神戦(甲子園)に3番手で6回から登板。金足農時代の18年夏決勝以来の甲子園マウンドだったが、4四球と乱れた。2回1安打無失点で踏ん張ったが、課題が目立つ内容になった。開幕1軍へ食い込むために、聖地での経験を糧にする。歓声だけがない甲子園に、吉田輝が帰ってきた。「何回も投げているので、投げにくかったとか言い訳にはならない。すごい気持ちが引き締まっていました」。懐かしい空気を吸い込み、スイッチを入れた。18年、金足農のエースで挑んだ夏の甲子園決勝以来のマウンド。当時のような盛り上がりに包まれることはなかったが、変わらない景色を焼き付けた。「ここで野球をやることは、自分の中で特別なことになっている」と胸に刻んだ。 甲子園のマウンドに立ち、思い出したことは「やっぱり真っすぐですね」。最大の武器、直球で先頭ボーアを攻めたが四球を出した。この日最速146キロを計測も、制球難が目立った。1死一塁から福留にも四球。「あの時よりは良い真っすぐを投げられてると思うんですけど、やっぱり制球面で考えると強いボールを投げている分、ばらつきを抑えるのが難しい」。捕手宇佐見の、2度の盗塁阻止で失点は免れたが苦しい内容だった。 2イニング目はスライダーなどの変化球を交え、的を絞らせないようにしたが球は上ずった。2死から北條に中前打を許したことをきっかけに、2者連続四球で満塁のピンチを招いた。中谷を外角のスライダーで見逃し三振に仕留め失点を防いだが、クイック面の課題を実感。「クイックが出来てくるとワインドアップでも良い球が出る。ピンチのときも、もっと良い球を投げられるように練習していきたい」と自らに命じた。 聖地に送り出した栗山監督は「まだまだ、あの時のキラキラした感じで投げられていたか? らしくない、投げっぷりが。超原点にかえっているわけだから」と期待の裏返しで、厳しい言葉を投げかけた。開幕1軍入りへ、猛アピールが続く。無観客の静まり返った球場に、吉田輝は「制球が悪かったので、あんまり声援とか気にする暇がなかった」と必死だった。甲子園の土を踏み、必死さを増して1軍スタートを狙う。【田中彩友美】 ▽日本ハム木田投手コーチ(吉田輝に)「本人はもっとできると思って投げたと思うが、今日はできなかったことの方が多かっただろう。それでも、ぐちゃぐちゃにはならなかった。まだまだ、これから。もっと勉強してもらいたい」

◆阪神が今季初の本拠地オープン戦で完封勝ちした。矢野燿大監督(51)は開幕投手に内定している西勇輝への信頼を口にした。新型コロナウイルスの影響から無観客となったスタンドに寂しさを感じつつ、改めてベストを尽くすと力を込めた。 -開幕投手の西は5回8安打無失点 矢野監督 逆にすごいね。8本打たれてゼロに抑えるという。結果的にそういう練習もできたと思う。ボール自体が1個、1個どうというよりあとは精度だと思う。安打を打たれた中の西なりの反省もあると思うけど、フィールディングでも(5回無死一、三塁からの投ゴロ併殺は)サードをまず見たところでランナーが止まってダブルプレーを取った。最後、あそこで1点取られると取られへんはえらい違い。そこをしっかり三振で終わったあたりは評価できる。西に関しては任せといて何も心配ないんで。順調に来てるかなと思います。 -能見が実戦復帰 矢野監督 前回、沖縄で体の状態もあったけど、自分のなかで次の登板が大事になるというか気持ちの部分でもね。その間の準備期間とかしっかりやってきたことがすぐ修正できるのはさすが。今日の登板というのは本人の中でも何となく、いつものマウンドとは違う、気持ち悪くマウンドに上がった部分もあったと思う。その中でしっかりやってくれたというのは、チームにとっても大きい。 -北條が2安打 矢野監督 キャンプの最後ぐらいにコウスケ(福留)にもちょっとアドバイスをもらったりしながらね。それがいい結果になって、内容自体も(良くなっている)。バッティング練習の内容自体も良くなっていた。何も(開幕の)ショートを決めているわけでもないんでね。最初のタイムリーも価値があったし、もう1本打ったというところもまた価値がある。 -サンズ、ボーア、マルテの外国人クリーンアップ 矢野監督 迫力あるなと思いながら(見ていた)。でも結果的にね、ヒットが出なかったっていう部分では寂しいというか。こっちとしては打ってほしいっていうのはある。毎回、毎回打てるわけではないし、いろいろ慣れていかなければいけない部分もあると思う。打ってほしいなっていう気持ちもありながら。まあでも経験を積んでいく中でしかできないこともある。両方の目で見ています。 -無観客開催の甲子園の感想 矢野監督 やっぱり早くファンの人が入ってほしいなというか、ムードとかってあるやん。こっちも。ファンの人に乗せてもらう部分もある。その中でいいもの見せたいっていうのは、どうしてもある。そういう中では、ここで大きな声援もらいながらやりたかったなっていうのはもちろんある。ただ、こればっかりはどうしようもない。今やれるベストを尽くすだけなんで。早くファンの人が入ってやりたいなというのは正直なところです。

◆あーあ...。阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が6日、日本ハムとのオープン戦(甲子園)で本拠地デビューしたが、2打数無安打1四球と不発に終わった。オープン戦3試合で7打数無安打4三振。早く虎党を安心させる初安打がほしい。 2回の甲子園初打席では「不運」も重なった。日本ハム有原の初球ストレートを強振。詰まりながらも打球はセンター方向にはずんだ。「差し込まれて詰まってしまったけど、積極的にいこうと思ったんだ」。しかし相手は内野手全員が中堅から一塁方向に寄る"ボーアシフト"を敷いていた。遊撃石井が二塁ベース付近で打球をさばき、遊ゴロに。4回には遊撃手が左翼に位置し、外野手4人態勢に。「気づいていたけど、意識はしてなかったよ。ありとあらゆるシフトを経験してきた。その中の1つにはあったのかもしれないね」。意識はなかったが、3球三振に終わり、オープン戦初ヒットはお預けとなった。 春季キャンプでは、シート打撃で2本のアーチを描き、楽天との練習試合では実戦初ヒットも記録した。しかしその後は低調だ。バースの再来と言われる広角打法は鳴りをひそめている。矢野監督は「ストライクゾーンとかあるんじゃないかな。ボールと思いながらもストライクを取られたりとか。ちょっとかみ合ってない部分はあるかもしれない。逆に今、そういう経験ができたというのはいいのかなと思う」と前向きに受け止めた。 この日はサンズ、マルテとともにド迫力の助っ人トリオそろい踏みとなったが、3人ともノーヒットの結果に。指揮官は「迫力あるなと思いながら(見ていた)。でも結果的にね、ヒットが出なかったっていう部分では寂しいというか。経験を積んでいく中でしかできないこともある。両方の目で見ています」と複雑な心境を明かした。開幕まで残り7試合。助っ人野手の成否はチーム浮沈の鍵を握るだけに、快音が待ち望まれる。【只松憲】 ▽阪神井上打撃コーチ(ボーアについて) 彼自身は冷静に自分を分析していると思う。(サンズと)2人とも野球脳というのはものすごく持っている外国人だと思う。

◆日本ハムが複数の守備隊形に取り組んだ。4回には、主砲ボーアに対し三塁手が左翼へ移動し、外野4人の守備シフトを試した。 打球は外野へ飛ばず、結果は空振り三振も栗山監督は「シーズンに向かって、いろいろ試している」と説明した。2月の春季キャンプから取り組んでおり、今季もあらたに大胆なシフトが敷かれそうだ。 日本ハムは昨年4月のオリックス戦(ほっともっと神戸)でも2死走者なしから三塁手横尾が、一、二塁間深くまで移動。3番吉田正が放った一、二塁間への打球を「三塁ゴロ」とした。今春の沖縄・名護キャンプでも三塁手が左翼へ移動し、外野を4人で守る陣形などを試した。

◆阪神北條史也内野手は開幕遊撃奪取へ、連日のアピールだ。5回1死一、三塁。カウント1-2から変則右腕鈴木の内角143キロに腕をたたみ、左前適時打。7回にも中前打を放った。前日5日のプロアマ交流試合・大商大戦でも3ラン。それでも「今日は良かったけど明日からもある。結果を求めていきたい」と浮かれない。 開幕ヤクルト戦の相手先発は左腕石川だけに、開幕遊撃北條の可能性は十分ある。矢野監督は「キャンプの最後ぐらいに孝介(福留)にもちょっとアドバイスをもらったりしながらね。打撃練習の内容自体も良くなっていた」と評価した上で、木浪との遊撃争いについて「何もショートを決めているわけでもないんでね」と強調。併殺プレーの際に一塁送球がショートバウンドした場面を指摘し、「そこまで(きっちり)やってのレギュラーショート」と守備力の向上を求めた。

◆阪神糸井嘉男外野手は助っ人野手がそろい踏みした一戦で1番を任された。2打数無安打で途中交代。 無観客の甲子園に「変な感じしかしない。なんかホンマ、異様な雰囲気でした」と苦笑い。開幕1番も想定される中、「1番は1番なりの難しさがある。でも経験もあるので、どこでもやりがいを持ってやっています」。7日の日本ハム戦、8日巨人戦も出場予定。試合後は「これからまたプラクティス、プラクティス、プラクティス」と笑いながら練習に向かった。

◆キャンプ終盤に左足の張りを訴えていた阪神能見篤史投手が実戦復帰した。6回に2番手で登板。最速143キロの直球を主体に、杉谷に四球を与えたものの1回を無安打無失点に抑えた。 「まだ意図したところには行っていない。まあ球の強さというところは...」。納得していないが、一定の手応えを感じた様子だった。

◆阪神梅野隆太郎捕手はオープン戦11打席目での初安打が決勝打となった。両チーム無得点で迎えた5回1死二、三塁で変則右腕鈴木の外角スライダーを中前へ。「(無安打で)自分の中でモヤモヤするところも多少あった。ホッとしたのが一番ですかね」。 開幕投手に内定している西勇とのコンビでは5回で8安打を許しながら要所を締めて無失点。「ゴロを打たせたい時、詰まらせたい時、配球面でカバーできたことが多かった。そこは収穫」と納得した。

◆来日2年目の阪神ジェフリー・マルテは無安打に終わった。5番三塁で先発出場し、ボーア、サンズと助っ人クリーンアップを組んだが、不発に。 5回の第2打席には有原の139キロ直球が左ひじ付近に直撃。ヒヤリとしたが交代せずに、梅野隆太郎捕手の中前適時打で決勝のホームを踏んだ。

◆阪神新外国人のジェリー・サンズ外野手(32=韓国・キウム)の本拠地デビューは無安打に終わった。 この日は3番左翼で先発。外角への投球に苦しみ、4回、5回はいずれも見逃し三振に倒れた。「どのチームも自分に対策してくるけど自分のスイングをすれば結果は出る」と切り替えた。井上打撃コーチは「ジェリー(サンズ)は開幕までに整理してやってくれると思う」と冷静に話した。

◆開幕投手が内定している日本ハム有原航平投手は、オープン戦3度目の先発で4回1/3を2安打2失点。当初からイニング途中で交代の予定だった。4回まで1安打無失点も、5回、死球で先頭打者の出塁を許すと、続く福留に直球を右前打されピンチを招いた。 「チェンジアップが抜けてしまう場面が多かった」と課題を挙げ「体が開いて球離れが早かったので、次回までに修正したい」と冷静だ。次回13日DeNA戦(札幌ドーム)が開幕前、最後の登板となる。「開幕戦に向けてしっかりと調整したい」と意気込んだ。

◆開幕へ準備OK! 阪神西勇輝投手(29)が6日、日本ハムとのオープン戦(甲子園)に先発し、8安打されながらも貫禄のマウンドさばきで5回無失点。新型コロナウイルスの影響で20日の開幕戦開催は予断を許さない状況だが、虎の開幕投手は万全の状態でヤクルト戦を迎えられそうだ。どれだけ走者を背負っても、西勇は落ち着き払っていた。5回無死一、三塁。近藤を投ゴロに打ち取ると、本塁生還を狙う松本を鋭い眼光でにらみつけた。三塁にくぎ付けにすると、1-6-3で併殺を完成。最後は4番王柏融を内角への144キロ直球で見逃し三振に仕留め、1点も与えなかった。 「今日は結果よりも内容を重視して、テーマを持って上がったのでそれができて良かった。最後のゲッツーなんかは思い描いていた結果とは違ったけど、それが野球」 8安打されながらも得点圏で抜群の安定感を見せる。それが西勇だ。泰然自若のマウンドさばきで、5回を無失点。開幕に向け、真骨頂の投球を見せた。 春季キャンプの第3クール中に、矢野監督から開幕投手を任された。試合ごとにテーマを掲げ、なおかつ結果も残す右腕に、指揮官は感嘆した。「逆にすごいね。8本打たれてゼロに抑える。最後(の5回)、1点取られる、取られへんはえらい違いなんだけど、しっかり三振で終わったあたりは評価できる。西に関しては任せといて何も心配ない」。投球術にフィールディング、称賛の言葉が次々に並んだ。 新型コロナウイルスの影響でオープン戦は無観客試合となった。3月20日のシーズン開幕も予定通りに開催されるか不透明な状況だ。西勇は登板前日の5日、「ファンの方が試合を見られないのは残念だと思うけど、楽しんでもらえる試合に出来るようにやっていきたい」と話していた。球場に足を運べない虎党に結果で「安心」を届けた。 今は3月20日ヤクルト戦(神宮)に向けて、一心に調整を続けるだけだ。「いろんなことをあと1週間、最後の試合までやっていこうと思います」。次回13日オリックス戦(京セラドーム大阪)を経て開幕へ。虎のエースの準備は整った。【磯綾乃】

◆日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が、近日中にも1軍へと合流する予定であることが6日、わかった。 昨年10月に右肘関節形成術を受けてから4カ月余り。肘の状態は良好で、順調にステップをたどっていることから見通しが立った。 開幕まで13日。清宮に完全復活への道筋が見えてきた。4日に行われた教育リーグの巨人戦(ジャイアンツ)では2安打2打点とバットでアピール。7日の同楽天戦(鎌ケ谷)では守備に就いての実戦復帰を予定している。しっかりと守れる姿をみせることができれば栗山監督が示す「(実戦で)スローイングできることが(1軍昇格の)条件」という基準をクリアすることができる。 チームは8日まで関西でオープン戦を行い、千葉へと移動予定。ZOZOマリンで行われる9日の練習から合流する可能性がある。そこでアピールができればそのまま同行ということも考えられる。この日は7日の試合に向け打撃練習などを行った。荒木2軍監督兼投手コーチは「順調に来ている」と話すなど、高卒3年目で初となる開幕1軍が少しずつ近づいてきた。

◆日本ハムの開幕投手を務める有原は四回までは危なげなし。死球と安打の走者を残して降板した五回に2番手投手が打たれ、4回1/3を2失点となったが、内容に納得がいかないようで「全体的にあまり良くなかった」と笑顔はなかった。  特に不満を覚えたのは変化球の制球という。「抜ける球が多かった。(狙った)コース、高さに投げられないと厳しい、苦しい投球になる。調整したい」と課題を口にした。

◆--西はイニングが伸びても粘った  矢野監督「逆にすごいね。(安打を)8本打たれてゼロに抑えるという。結果的にそういう練習もできたと思う。ボール自体が1個、1個どうというよりあとは精度だと思うんで。西に関しては任せといて何も心配ないんで。順調にきてるかなと思います」  --北條がアピール  「キャンプの最後くらいに孝介(福留)にもちょっとアドバイスをもらったりしながらね。それがいい結果になって、内容自体もね。バッティング練習の内容自体も良くなっていた。開幕に向けてもね」  --遊撃争いは続いている  「どこのポジションも、そうなんでね」  --ボーアに対する日本ハムのシフトは  「まあ、ねえ。日本ハムらしい。そういう思い切ったことをやるっていうチームだと思うんでビックリはしないけど。俺はどうしてもキャッチャーだから。キャッチャー目線とか、バッテリー目線で見たときに複雑な思いが、俺としてはある。ただ、それは向こうのやることなのであまり関係ない」

◆覚えてますか。ちょうど1年前の2019年3月6日。ある人物がマスクをして眼鏡をかけ、周りにもマスク姿の人物を従えて超厳戒態勢の中を、日本製の軽ワゴンにそそくさと乗り込み東京葛飾区の拘置所から出てきた光景を。  前日産自動車会長で、レバノンに逃亡したカルロス・ゴーン被告です。もうすっかり"忘れられた存在"になってしまいましたが、皮肉なことにあのへんから我々はいろんな苦渋を見聞し始めることになりましたなぁ。  その2日前の3月4日、矢野監督はルーキーの近本光司外野手の名を口にして「開幕2番構想」をブチ上げました。とにかく"明るい話題"大好きのサンスポは、そのテーマに続いて甲子園球場には夢のような大ビジョンが、8年ぶりに新設されたことをド派手にリポートしたのです。  「たくさんの感動に立ち会えた。心からありがとう」という言葉が躍り、従来の1・6倍に大きくなった日本一の大型ビジョンがお披露目されたのです。  もっと言えば、それは高校野球の若者たちの笑顔、新しき阪神タイガースの面々などがド迫力で網羅されていて、見る人の胸を打つ"大河ロマン"のようでした。  だけどね、いよいよ2年目に突入し、初めての甲子園。それが無観客でどないなるんやろか、と心配してたんです。試合前、司令塔を務めたトラ番サブキャップの安藤理記者がいうのです。  「本日は"開幕オーダー"ですから注目しておいてください。しかも無観客とはいえ、タイガースガールズのパフォーマンスも熱がこもっていたし、もちろん大型ビジョンも、トラッキーたちもスタンバイ。えてして肩に力が入るとズッコーンとなるのが心配なので、僕は逆に緊張してますョ」  つまり虎番の経験者は誰もが「期待するとスベる。アテにしないとイイ勝ち方をする天邪鬼みたいなところがある」という。だから安藤は少し腰を引いていたのです。  「サンズ-ボーア-マルテと並べて、矢野監督の狙いは打線に迫力をもたせること。ほぼ現状のベストオーダーやからなぁ...」と、大ベテランの上田雅昭も電話の向こうで努めて静かにそう言った。  甲子園という舞台は、それでも不思議に取材記者たちに媚薬をふりまくように追い立てる。昨年までトラ番だった遊軍の長友孝輔でさえ「ここでの無観客試合は初めてなんですよ。何かが"始まる"かもしれませんョ」と声を弾ませていた。そのため昼食はコンビニのパンで軽めにすませて記者席で身構えた。  投手担当で若い織原祥平記者まで「昼食はサラダだけにして緊張してました」とのことだ。つまりは番記者もまた今季、甲子園初の無観客ゲームについつい引き込まれていった次第。結果的に、試合巧者の日本ハムに零封勝利したではないか。開幕を待ちに待つ虎党へ、何よりの力強いメッセージは届いたことでしょう。  行く水にも淵瀬あり、人の世に窮達なからめやは-。樋口一葉は「川の流れにも穏やかな所も急な所もある。人生もうまくいくときもあれば、そうでないときもある」と説いた。今はファンも選手も我慢のときだが、この聖地に一日も早く大歓声が帰ってくることを期待したい。

◆ビヤヌエバ(前巨人)が五回の守備で三邪飛を処理した際に、勢い余って三塁側カメラマン席に飛び込み、負傷交代した。「6番・三塁」で先発出場した新助っ人は、糸原のファウルを好捕したが、しばらく起き上がれなかった。左手を気にしながらベンチに下がり、杉谷と交代した。

◆「3番・左翼」で先発出場したサンズ(前韓国キウム)は3打数無安打2三振。日本ハムの開幕投手に決定している有原には、徹底して外角を攻められて一回は二飛、四回は見逃し三振に倒れた。オープン戦の残り全試合出場を志願している助っ人は「自分に対する配球はチームによって違ってくる。いいスイングをすれば結果が出ると思っている」と強気だった。

◆近本は2-0とした直後の五回1死満塁で左犠飛。2打数無安打1四球だったが、きっちり1打点を挙げた。本拠地での初戦を無観客で迎えたことには率直に「ペイペイ(ドーム)でもやっていましたけど、変わった感じがした。いつもの甲子園とは違いますね」と寂しさも口にしていた。

◆沖縄キャンプ終盤に左足の張りを訴えていた能見が、復帰戦で上々の投球を披露した。「意図したところにはいっていなかったけどボールの強さというところは(よかった)」。六回に2番手で登板し、1球投げたフォーク以外、すべて直球で勝負し、1回を無失点に抑えた。2月23日の広島戦(コザしんきん)では1回もたず7安打7失点と打ち込まれ、翌日から左足の張りを訴えて別メニューで調整していた。

◆九回に登板したエドワーズ(前インディアンス)が危なげない投球で試合を締めた。「いつも通り積極的に攻めていこうと思っていた」。150キロ超の直球と大きく変化するカーブで打者を翻弄。2死から四球を出し、直後には投球動作の前に静止しなかったとして球審からボークを取られる場面もあったが「シーズン前にいろいろなシチュエーションを経験できるのは大きいことだと思う」と前向きに話した。

◆福留がオープン戦10打席目で初ヒット。「6番・DH」で先発出場し、2打席目の五回無死一塁で右前打を放ち、好機を拡大させて梅野の先制打を呼び込んだ。ボーア、サンズの加入により、今年は5、6番で"つなぎ"の打撃も求められそうだが、「そういう打席を増やしていければいいんじゃないですか」とサラリ。4月26日で43歳になる球界最年長が、健在ぶりを示した。

◆糸井は「1番・右翼」で先発出場し、2打数無安打。四回の守備から退いた。打順について「1番は1番の難しさもあるが、経験もあるので。やりがいを持って、どこでもやりますよ」とキッパリ。無観客の甲子園でのプレーには「異様な雰囲気でしたが、試合には集中できた」。試合途中にベンチを離れると「プラクティス! プラクティス!」と、英語で練習する-という意味の単語を連呼してクラブハウスに引き揚げた。

◆阪神は無観客で行われた日本ハム戦(甲子園)に3-0で快勝。今季初の本拠地で勝利を呼んだのは、ここまでオープン戦無安打だった梅野隆太郎捕手(28)。五回1死二、三塁から放った中前適時打が決勝打となった。  ファンは一人も見ていない。それでもスコアボードの「打率・000」は気まずい。梅野のバットからついに快音が響いたのは0-0の五回1死二、三塁。中前へしぶとくはじき返した。初安打が今シーズン、チームの本拠地初戦の初打点となり、勝利を呼ぶ貴重な一打となった。  「その前の回のピンチ(五回表無死一、三塁)をしのいで、味方がチャンスメークしてくれた中で走者をかえせたので。結果が出てホッとしてます」  三回の打席で凡退し、オープン戦の打撃成績は10打数無安打に達していた。「モヤモヤしてました」。代わったばかりのD4位・鈴木健矢投手(JX-ENEOS)のスライダーを捕らえた1本の安打を、素直に喜んだ。  適時打の直前の球はセーフティースクイズを試みるもファウル。「作戦面のことは言えませんが、自分の打順はいろんな作戦(のサイン)が出る。しっかり準備もしていきたい」と反省も忘れていない。守備面では、開幕投手の西勇をリード。ここでも反省と収穫をガッポリ手にした甲子園初勝利だった。  そんな選手会長が最後に口にしたのは、無観客試合のこと。  「やっぱり寂しいですけれど、テレビ越しに見ているファンに『また応援に行きたいな』と思ってもらえるプレーをすることが大事。開幕からスタートダッシュを切るためにも、1試合1試合頑張ります」  ガランとしたスタンドの向こう側に、開幕を、球場に行ける日を待ち焦がれるファンがいることを知っている。みんなのために...。静寂の中で、猛虎は、梅野は、熱き戦いを続ける。 (上田雅昭)

◆無観客でのオープン戦開幕を迎えた甲子園球場では、大型ビジョンにも選手応援歌の歌詞が表示されるなど、本番仕様の演出が数多く行われた。  試合前にはタイガースガールズが右翼グラウンドで華やかなダンスを披露。スターティングメンバー紹介の際や、阪神の選手が打席に入るタイミングでは大型ビジョンに選手紹介の鮮やかなCGが表示された。オープン戦仕様の曲ではあったものの選手の登場曲もかかった。  野手同士の声かけや捕手のミット音、そして甲高い打球音が普段以上に銀傘にこだまし、独特の雰囲気で試合が進んでいったが、七回裏の攻撃前には"普段通りに"六甲おろしの音楽に導かれてタイガースガールズが一塁側スタンド前に整列。ジェット風船はもちろん飛ばなかったが、曲に合わせてタオルを振った。  また、試合前練習では報道陣が密集することが多いベンチ正面のエリアが立ち入り禁止となるなど、あらゆる面で新型コロナウイルス対策が取られた。 ★高野連が視察  新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、19日開幕の選抜高校野球大会(13日間、甲子園)を無観客で準備している日本高野連は6日、同じ甲子園で今年初めて無観客で行われたオープン戦を参考にするため、スタッフを派遣し、視察した。「無観客の勉強のためです。いろいろ見てもらって報告を受けます」と小倉好正事務局長。11日の臨時運営委員会で下す開催可否の最終判断へ向けて、判断材料を一つ一つ積み上げていく。

◆阪神・北條史也内野手(25)が日本ハム戦で、3打数2安打1打点。前日5日の2軍の練習試合・大商大戦(鳴尾浜)では本塁打を含む3打数2安打4打点の大暴れ。"1軍昇格"し、即結果を残して開幕スタメンをアピールした。   笑顔はなかった。北條は「きょうがよかっただけ。明日も(試合は)あるし、僕は結果を出さないと試合に出られないから」と力を込めた。  1点を先制した五回、なおも1死一、三塁。2番手のD4位・鈴木健矢投手(JXーENEOS)から左前適時打。七回は中前打で、2試合連続の"マルチ安打"にも「これからも安定した結果を残していきたい」とサラリ。  これまでオープン戦は3試合で6打数無安打。キャンプ後、遊撃の定位置争いのライバル、木浪は1軍のオープン戦へ。北條は2軍の教育リーグでの出場となり、前日5日の大商大戦で結果を残し、1軍へ。一日だけの結果で喜んでいられない。  「1打席1打席を無駄にせず、これからもやっていこうと思う」。3月20日のヤクルトとの開幕戦(神宮)で、自分の名前がスターティングメンバーにコールされるまで、笑わない。 (三木建次)

◆春季キャンプから取り組んできた大胆シフトを実践した。四回2死走者なし、ボーアの打席で三塁のビヤヌエバが遊撃の位置、遊撃の石井が左翼線近くを守り、外野手が右に移動。外野4人シフトを敷いた。メジャー通算92本塁打の大砲は空振り三振に終わり、栗山監督は「(打球方向の)傾向が出ている人にはやるだけの話」とサラリ。昨季もDeNA・筒香(現レイズ)やオリックス・吉田正ら強打の左打者に対して同様のシフトを試しており、飯山内野守備走塁コーチは「どうしても長打を防ぎたいところ」と説明した。

◆開幕へシミュレーション完了や! 開幕投手を務める阪神・西勇輝投手(29)が5回8安打無失点と粘投した。毎回走者を背負いながらも、絶妙なフィールディングも絡めて得点を許さず。オープン戦最長&最多の5回92球を投げ、20日のヤクルトとの開幕戦(神宮)へ準備は順調だ。  静かな甲子園の中心で何度走者を背負っても、ホームベースだけは踏ませなかった。今年初の本拠地での試合で先発した西勇が、8安打無失点と粘りの投球。投げるだけじゃなく、絶妙なフィールディングで失点を阻止してみせた。  「いいところもあれば悪いところもあった。結果よりも内容を重視しているので。テーマを持って(マウンドに)上がって、それができたのはよかった」  毎回安打を浴び、走者を背負ったが、最大のピンチを迎えたのは五回だ。無死から連打で一、三塁と得点圏に走者を置いたが、3番・近藤を外角低めの球で投ゴロ併殺に料理。捕球後、二塁に送球する前に一度、三走を目で牽制して本塁への走塁を防ぐ技術が光った。続く4番・王は内角への144キロ直球で見逃し三振に斬り、危機を脱した。  開幕を託した矢野監督は「あそこで1点取られる取られへんはえらい違いなんだけど、そこをしっかり三振で終わったあたりは評価できる」と称賛。バッテリーを組んだ梅野も「ヒットは打たれたけど、いろんなシミュレーションができた。状況に応じた投球ができたのでよかった」とうなずいた。  右腕の頭の中は常に実戦モードだ。春季キャンプでは試合に備えて毎日打撃練習で汗を流した。「打撃練習してデメリットはなかったので。打てば(体は)切れるし、筋力もつく。打てばチャンスも広がるし、バントしたら(走者が)生きるし」。昨季9安打4打点で打率・205、13個の犠打成功の成績の裏には弛まぬ努力があった。「やらないほうがもったいない。ゆっくりしている時間があったらティーを打ってもいい。そう考えている」という言葉も西勇だから説得力がある。  「自分のなかでいろんなこと(課題)を潰しながら(開幕まで)あと1試合、1週間、次に向けてやっていきたい」  次回は13日のオリックス戦(京セラ)に先発する予定。残り2週間。「3・20」に照準を合わせて心身ともに最高の状態に仕上げていく。 (織原祥平)

◆えっ外野が4人!? 阪神の新外国人、ジャスティン・ボーア内野手(31)=前エンゼルス=が6日の日本ハム戦(甲子園)で本拠地デビューし、いきなり異例の守備シフトに囲まれた。遊撃手が外野を守るなど、日本ハムの奇策もあり、3打席で2打数無安打(1四球)。オープン戦初安打は持ち越されたが、予想外の光景も大物の証しだ。  無観客の静けさだけでなく、さらに異様な姿と化した甲子園が新助っ人を迎えた。本来なら、銀傘にどよめきがこだまする場面。初めて本拠地の打席に立ったボーアの目の前に、信じられない光景が広がった。  「(守備シフトに)気が付いてはいたけど、気にはしなかったよ。打席での感覚に集中するだけだから」  四回2死、4番の第2打席を迎えた日本ハムの守備が大きく動いた。三塁のビヤヌエバが遊撃の位置へ。遊撃の石井は左翼線に走った。それに伴い、外野手はそれぞれ右に移動して、外野4人の陣形が完成。空振り三振という結果よりも強烈なインパクトを残した。  さまざまな奇襲を繰り出す栗山監督が率いる日本ハムは大胆なシフトも日常だ。敵将は「(打球の)傾向が出ている人にはやるだけの話」とサラリ。昨季もオリックス・吉田正らに対して4人の外野を敷いた。飯山内野守備コーチによると「どうしても長打を防ぎたいところ」という設定だが、オープン戦で無安打と傾向などあるはずのない初顔合わせの男が、パの強打者を意識した"実験台"。パ・リーグにまで届く存在感は、やはりただものではない。  ただ、誤算は二回先頭の第1打席だ。見事に"網"にかかった。二塁ベース右へのゴロは、ベースの真後ろに移動していた遊撃・石井の守備範囲。定位置なら中前に抜ける打球で、安打を損した。チームにとっては、痛い一打。サンズ、マルテと外国人トリオをクリーンアップに並べた矢野監督は「迫力あるなと思いながら、でも結果的にヒットが出なかったっていう部分では寂しいというか」と苦笑いした。  まだ結果は関係ない。特に初来日の選手は、この時期の経験値が重要であることを踏まえた上で「もちろん心情としては目先の結果も、打ってほしいなっていう気持ちもある」と本音も吐露した。特にボーアは実戦14打数1安打で、オープン戦は7打数無安打。「打ちたい気持ちが(強くて)、やっぱり俺らも現役時代そうだったけど、ちょっとかみ合っていない部分はあるかも」ときっかけを待つ。待望の一打が予期せぬ形で阻まれたが、奇抜なシフトが乱立する米球界でもまれた背番号「41」は平静を保った。  「ありとあらゆるシフトを見てきたからね。(外野4人も)どこかで見たような気がする。たくさんのファンに埋め尽くされたスタンドを想像してプレーしたよ」  実戦1安打でも話題を呼ぶメジャー通算92発の威圧感は本物。オープン戦は残り7試合。力強い打球音が響くのを待つばかりだ。 (安藤理) ボーアについて阪神・井上打撃コーチ 「バットにコンタクトすることがうまくいっていないだけ。試合後、冷静に分析して『自分で感じたことを整理しながらやりますよ』と言っていた。開幕までにはやってくれるだろうと思っている」 ★極端なシフト  左の強打者に対しての極端な守備シフトといえば「王シフト」や「松井シフト」がある。陣形的にはほぼ同じで、打球が中堅から右に飛ぶ傾向から、一塁をライン際に、二塁は一、二塁間の一塁側、遊撃は二塁の定位置に。三遊間を三塁が一人で守り、外野も右寄りに守らせた。また、日本ハムは昨年4月7日の西武戦(東京ドーム)で、前日に4安打4打点を許した森に対して外野4人シフトを採用。8月6日のオリックス戦(札幌ドーム)でも、吉田正に対して外野4人態勢を敷き、長打を警戒した。

◆高校球児へのエールだ! 日本ハム・吉田輝星投手(19)は6日、阪神とのオープン戦に3番手で登板し、2回を1安打無失点に抑えた。新型コロナウイルスの感染拡大のため、今季初の甲子園球場でのオープン戦は無観客で実施。秋田・金足農高のエースとして旋風を巻き起こした2018年夏の甲子園決勝以来となる聖地登板を果たした2年目右腕は、同じく無観客で開催を目指す第92回選抜高校野球大会の状況を受け、力強いメッセージを発信した。  大歓声を背負って立ち続けたマウンドに、金足農高の元エースが帰ってきた。"金農旋風"に沸いたあの日とは違う静かな聖地で、吉田輝は2回を無失点でしのいだ。  「自分の理想のストレートからは遠い。もう一つレベルを上げてシーズンを戦い抜きたい」  4四球と荒れた内容で、直球は最速に6キロ及ばない146キロ止まり。自身初の開幕1軍へ、今季2度目の1軍相手の登板で満点回答とならず、悔しさを隠せなかった。  しかし、六回1死一塁ではマルテを3連続の直球で3球三振。連続四球などで招いた七回2死満塁のピンチでは、中谷を外角へのスライダーで見逃し三振に斬るなど随所で持ち味は見せた。  この日、この地に帰ってきたことに"意味"があった。甲子園球場での登板はプロ初で、準優勝を果たした18年夏の大会以来563日ぶりとあって、吉田輝は「この景色がすごく懐かしい。他の球場より特別な気持ちが入る」とうなずいた。  新型コロナウイルスの感染拡大で、日本高野連は4日に今春の選抜大会(19日から13日間を予定)を前例のない無観客で開催する方針を示した。高校球児は複雑な思いを強いられている。  この日の試合には高野連のスタッフも視察に訪れた。小倉好正事務局長は「無観客の勉強のためです。見てもらって報告を受けます」と説明。11日の臨時運営委員会で下す開催可否の最終判断に向けて、同じ甲子園でプロが実施した無観客試合が材料の一つになる。  くしくも、そこで登板したのが、総入場者数が初めて100万人を突破した2年前の夏の大会で"主役"を演じた右腕だった。全6試合に先発し881球を投げ抜いた吉田輝は、球児の置かれた状況を問われると強く前向きな言葉を口にした。  「きょう無観客でやって思ったのですが、例えば圧巻の投球をすれば相手チームから『ああ、無理だな』みたいな声も聞こえてくる。いいピッチングをすれば、仲間から(喜ぶ)声をもらえる。逆に、こういうのも悪くないなと僕は思った」

◆開幕2週間前の西勇の投球に注目したが「ボール一つ分ズレている」という印象だ。まだ本来の制球には至っていない。二回から五回まで先頭打者に安打を許すなど、5回を投げて被安打は計8本。微妙な制球が影響しているのだろう。  とはいえ、毎回のようにピンチを招きながら無失点に抑えるところに非凡さを感じる。失点しない要因の一つが、安打を浴びてもすべてシングルにとどめている点。長打がないのは丁寧に低めに投げている証拠。不用意な四球を与えていない点も大きい。一回の近藤への唯一の四球もボール先行ではなく、勝負の中で粘られてのもの。さまざまなピンチを背負っての投球も、すべて西勇にとっては想定内だったはず。  もう一つ、西勇らしさを感じたのは五回の守備。無死一、三塁からの投ゴロで、三走の生還を許さずに投-遊-一の併殺を奪ったシーンだ。非常に難易度の高い併殺だが、自分のところに来たらどうする、という準備ができているから可能なプレー。点を与えない投手の真骨頂だ。  冒頭で指摘した「ボール一つ分のズレ」が開幕までの修正点だが、西勇の能力からすれば、そう難しくはないだろう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
広島
510 0.833
(↑0.033)
-
(↑0.5)
41
(+2)
22
(+1)
5
(-)
2
(-)
0.318
(↓0.01)
3.230
(↑0.45)
2
(1↑)
ソフトバンク
420 0.667
(-)
1
(↓1)
31
(-)
16
(-)
6
(-)
3
(-)
0.253
(-)
2.000
(-)
2
(1↓)
西武
210 0.667
(↓0.333)
1.5
(↓1.5)
10
(+1)
3
(+2)
1
(-)
8
(+1)
0.272
(↓0.028)
1.040
(↓0.54)
4
(1↑)
阪神
321 0.600
(↑0.1)
1.5
(↓0.5)
19
(+3)
26
(-)
10
(-)
4
(-)
0.220
(↓0.006)
3.980
(↑0.83)
5
(1↓)
ヤクルト
431 0.571
(-)
1.5
(↓1)
31
(-)
31
(-)
2
(-)
11
(-)
0.229
(-)
3.210
(-)
6
(1↓)
楽天
540 0.556
(↑0.056)
1.5
(↓0.5)
35
(+3)
31
(+1)
4
(-)
7
(-)
0.246
(↑0.007)
2.780
(↑0.23)
7
(2↓)
DeNA
440 0.500
(-)
2
(↓1)
30
(-)
32
(-)
5
(-)
2
(-)
0.255
(-)
3.310
(-)
8
(3↓)
日本ハム
341 0.429
(↓0.071)
2.5
(↓1.5)
29
(-)
36
(+3)
3
(-)
2
(-)
0.267
(↑0.007
3.930
(↑0.21)
9
(3↑)
ORIX
231 0.400
(↑0.15)
2.5
(↓0.5)
23
(+1)
29
(-)
6
(+1)
2
(+1)
0.282
(↑0.007)
4.440
(↑0.92)
10
(1↓)
ロッテ
121 0.333
(-)
2.5
(↓1)
13
(-)
18
(-)
3
(-)
5
(-)
0.198
(-)
4.110
(-)
11
(2↓)
中日
250 0.286
(↓0.047)
3.5
(↓1.5)
17
(+1)
34
(+3)
4
(-)
2
(-)
0.209
(↓0.011)
4.500
(↑0.17)
12
(1↓)
巨人
261 0.250
(↓0.036)
4
(↓1.5)
34
(-)
35
(+1)
9
(-)
1
(-)
0.247
(↓0.011)
3.990
(↑0.32)