ソフトバンク(☆6対3★)巨人 =日本シリーズ2回戦(2019.10.20)・福岡ヤフオクドーム=
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巨人
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ソフトバンク
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勝利投手:高橋 礼(1勝0敗0S)
敗戦投手:大竹 寛(0勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】松田 宣浩(1号・7回裏3ラン),柳田 悠岐(1号・8回裏ソロ),福田 秀平(1号・8回裏2ラン)

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◆ソフトバンクが一発攻勢で連勝。ソフトバンクは両軍無得点のまま迎えた7回裏、松田宣の3ランで試合の均衡を破る。続く8回には、柳田のソロと福田の2ランでリードを広げた。投げては、先発・高橋礼が7回1安打無失点の好投。敗れた巨人は、最終回に追い上げを見せるも、及ばなかった。

◆ソフトバンク高橋礼投手があと7人のところでノーヒットノーランを逃した。7回2死一塁で巨人岡本に左前安打を許した。 130キロ台のストレートにスライダー、シンカーを織り交ぜ5回まで完全投球。6回無死、変化球が引っかかり7番若林へ死球を与えて初めての走者を出したが、1死二塁で9番重信の打球は遊直、飛び出していた二塁走者も帰塁できず併殺打。7回には岡本の初安打で2死一、三塁とされたが阿部を三ゴロに抑えた。その裏に松田宣の3ランで勝ち投手の権利を得た。 1950年から始まった日本シリーズではこれまでノーヒットノーラン達成者はゼロ。07年に中日山井が8イニングまでに完全試合ペースで抑え、最終回に登板した岩瀬が3人で締めくくって継投で完全試合を達成したことがある。

◆「熱男」が冷えた打線にカツを入れた。0-0で迎えた7回裏。ソフトバンク松田宣浩内野手(36)が大きな1発を放った。 敵失と安打でつくった無死一、三塁。巨人2番手大竹のカウント2-0からの3球目。142キロのシュートをバックスクリーンに運び去った。均衡を破る1号3ランだ。「(シリーズは)全身全霊で戦っていきたい。打撃の調子はいい」と話していた元気男が、千金のアーチを放ってみせた。 この日は中盤まで巨人先発メルセデスにパーフェクトに抑え込まれていたホークス打線だったが、5回2死からチーム初ヒットを放ったもの松田宣だった。

◆ソフトバンクが終盤の1発攻勢で勝負を決めた。7回無死一、三塁から松田宣の3ランで先制。8回は柳田のソロと福田の2ランで3点を奪った。高橋礼が7回を1安打無失点と快投し、継投で逃げ切った。巨人はメルセデスが6回1安打無失点と好投したが、守備のミスから崩れた。 ▽先制3ランのソフトバンク松田宣の話「心臓バクバクで打席に入りました。しっかり自分のスイングして自分らしい打球を飛ばそうと思っていたので、ものすごくいい打球を打つことができました。舞台は東京ドームに変わりますがホークスらしい元気はつらつとした野球をしたい」

◆ソフトバンク先発の高橋礼、巨人先発のメルセデスともに、3回までパーフェクトに抑える最高の滑り出しをみせた。 ソフトバンクは5回、松田宣の初安打などで2死一、二塁の好機にも無得点。先発高橋礼は6回まで無安打無得点を続けた。 ソフトバンクは7回、松田宣が3ラン。8回にも柳田、福田の本塁打で加点し連勝した。巨人は9回に反撃したが遅かった。ソフトバンク高橋礼が1勝、巨人大竹は1敗。

◆ソフトバンクが2連勝。今年のポストシーズンはCSの1S<2>戦から8連勝となり、シリーズは昨年<3>戦から6連勝。同一年のポストシーズン8連勝は75年阪急の7連勝を抜く新記録で、シリーズ6連勝以上は14年<2>戦~15年<2>戦ソフトバンク以来7度目。 6連勝以上を2度記録したのはソフトバンクが初めてだ。△○○を含む連勝スタートは過去36度のうち27度優勝し、V確率は75%。今回のように本拠地で連勝のケースも過去20度のうち15度優勝でV確率75%だが、ソフトバンクの本拠地連勝発進は59、03、15、17年と過去すべて日本一。

◆ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2019」第2戦で巨人に連勝。ヤフオクドームでの日本シリーズ連勝記録を14に伸ばした。令和のサブマリン・高橋礼投手(23)が7回を1安打無失点と好投し、シリーズ初先発で初勝利。巨人メルセデスとの投手戦で一歩も譲らず、終盤の打線爆発を呼び込んだ。5回までは完全投球だった。高橋礼が下手から巨人打線を手玉に取った。「楽しむということがすごくできた。直球も変化球もしっかりと腕を振って投げることができた」。6回、先頭若林に死球を与え、1死二塁のピンチを背負ったが、重信を二塁ベースすぐ横の遊直に打ち取り、二塁走者が戻れず併殺。岡本にこの試合唯一の安打を許した7回2死一、三塁では阿部に「内角へ力強く投げる」と内角直球で勝負し三ゴロに仕留めた。 今季、NPBからスピードアップ賞に選ばれた。平均投球間隔(無走者時)10秒0はパ・リーグで一番早い。同じく9秒2の巨人メルセデスとのテンポのよい投手戦だった。「相手のテンポに乗ったところもあるが、自分もテンポを武器にここまで戦ってきたので」と、テンポにこだわり投げ続け、7回の松田宣の3ランで勝ち投手となった。 CSファーストSでは3戦目だったが、日本シリーズでは2戦目を任せられた。工藤監督は「シーズンで頑張ってきたので」と起用理由を明かした。2年目の今季は開幕ローテーション5、6番目の立場からチーム2位の12勝を挙げ6敗と6つの貯金をつくった。「新人王」という言葉が高橋礼を成長させた。中継ぎで1軍を経験した昨季、12試合、30回で終えた。新人王資格の30イニング以内を首脳陣が考慮したのかと思われたが、倉野投手コーチは「まったくの偶然で、そこまで考えていなかった」と明かす。資格が残ったことで、高橋礼は中継ぎのルーキー甲斐野(65試合2勝5敗8セーブ26ホールド)との熾烈(しれつ)な新人王争いを演じた。高橋礼は「新人王というものが、モチベーションになったのは確か」と話す。偶然が重なり高橋礼は、チームの先発の柱に成長した。「こういう大きな舞台でアンダースローからこういうボールが投げられるんだということを見せられたことはすごくよかった」。侍ジャパンにも選出されたサブマリンが、多くの野球ファンが注目する中で、その力を思う存分に発揮した。【石橋隆雄】 ▽ソフトバンク工藤監督(高橋礼の好投に)「大記録をやるかもしれないと思って見ていた。リズムがよく制球もよかった。今年の集大成と言ってもいい投球を、この大舞台でしてくれた。相手に的を絞らせない本当にパーフェクトな投球だった」 ▼高橋礼が7回2死まで無安打に抑え、シリーズ初勝利。先発投手の初回からの無安打は07年<5>戦山井(中日)の8回が記録で、高橋礼の6回2/3は5位。チームでは11年<1>戦和田の6回1/3を抜いて最長となった。6回無死から若林に死球を与えるまで走者を許さず、シリーズで5回以上完全は14年<2>戦武田(ソフトバンク=5回2/3)以来7人目。 ▼5回裏2死から打った松田宣の左安が両軍を通じて初安打。これまで初安打が最も遅かったのは、ヤクルトと西武が対戦した93年<4>戦で鈴木健(西武)が記録した4回表2死。4回終了時点で両軍無安打はシリーズ史上初めてだった。

◆巨人阿部慎之助捕手が2試合連続の打点をマークした。4点を追う9回2死二塁、ソフトバンク森から右前適時打で意地を見せた。 一方、7回2死一、三塁の先制機で高橋礼の前に三ゴロに倒れ「次につなげなければいけない」と厳しい表情だった。22日からの本拠地での試合に向け「明日の練習でいい気分転換をして(次の試合に)いければいいなと思う」と話した。

◆「日本の足」が超投手戦の均衡を破った。0-0のまま迎えた7回無死一塁。ソフトバンク周東佑京内野手(23)の名前がアナウンスされると、代走とは思えない大歓声がヤフオクドームを包んだ。 5回2死まで両チーム1人も走者が出ない、息詰まる展開。7回に、一気に試合が動いた。先頭デスパイネのゴロを巨人の三塁山本が失策。工藤監督は迷うことなく、周東を一塁に送り込んだ。 何もせずとも、巨人が浮足立った。この回からリリーフに立つ大竹は打者グラシアルに1球も投げないうちに、一塁へ3度けん制した。警戒して制球が乱れ、カウントが3-1となったところで動いた。周東がスタートを切りヒットエンドラン。グラシアルの打球が左前にはずむ間に、スプリンターは楽々と三塁を陥れた。一、三塁とお膳立てが整えば、もう得点が入らないビジョンは見えない。続く松田宣がバックスクリーンにたたき込み、決勝3ランで勝負あった。 「代走周東」のコールが総攻撃の大号令になりつつある。周東自身も当然、「ぼくが出るということは点を取りにいくということ。無理してでもホームまでかえりたい」と役割を理解しているが、周囲の目の色もガラリと変わる。「この回が勝負なんだ」。ベンチの思いを受け、1つになってたたみかける。 西武とのCSファイナルS初戦では1点ビハインドで登場し、逆転の生還。4連勝での突破へ足がかりをつくった。日本シリーズでも前日19日の第1戦、7回にダメ押しのホームを踏んだ。1点の重みが増すポストシーズンで、侍ジャパンでも期待される「足」が光り輝いている。【山本大地】 ▽ソフトバンク工藤監督(代走周東について)「あそこは行けるなら行けということだった。足の速い走者がいるとどうしても相手は気を取られる。投げるだけに集中するというわけにはいかないので。あそこは絶対に1点を取りたい場面だったので、投手にどんどんプレッシャーをかけることが、得点につながるというように思っていた」

◆巨人先発クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手が6回1安打無失点という力投も報われなかった。 6回1死一塁、打者今宮の場面で足に張りを覚えた影響もあり76球で降板した。今季の「スピードアップ賞」をともに受賞した相手先発の高橋礼とテンポよく打ち取る投手戦を展開し、5回2死まで無安打。好投も白星につながらず「7回以降も投げたい気持ちもあったので、そこは悔しい」と唇をかんだ。 ▽巨人宮本投手総合コーチ(6回76球1安打無失点で降板のメルセデスに)「少し足が張ったみたいだけど大丈夫。球数は関係ない。ストレートも少し落ちてきたような気がした。もう1試合投げてもらうために、あそこで終わりました」

◆巨人岡本和真内野手が、敵地ヤフオクドームで連敗を喫した中で、希望の光をともした。6点を追う9回1死満塁、ソフトバンク守護神、森の1ボールからのカットボールをフルスイング。「こすったんですけど」と振り返った大飛球を中堅柳田もわずかに届かず、2者が生還した。 主砲の一打で、完璧に抑え込まれていた打線も目覚めた。2死二塁から阿部の右前適時打で3点差。代打のゲレーロも右前打でつなぎ、1発出れば同点まで追いつめた。0-0で迎えた7回2死一塁では、高橋礼から、自身日本シリーズ初安打で、この試合チーム初ヒットをマーク。打線をけん引した4番は「次、勝てるように頑張ります」と切り替えた。 試合前には、チームのムードも高めた。円陣で声だし役を務め、「能あるタカは爪を隠すって言いますよね。相手は昨日、爪を全部見せました。怖いものは、もう何もありません。思い切っていくぞ」と岡本流のフレーズでチームメートを和ませた。 本拠地東京ドームに戦いの舞台を移し、仕切り直す。CSファイナルステージの阪神戦では打率5割3分3厘、3本塁打、7打点の大暴れ。リーグ最年少でのMVPを獲得した。今季、東京ドームで対戦した交流戦では和田からアーチ。「次は東京ドームに帰るんで、やり返したいです」と雪辱を誓った。【久保賢吾】

◆巨人は手痛いミスから負の連鎖を生み、7年ぶりの日本一を目指すチャレンジは連敗からのスタートになった。 張り詰めた緊張感が漂う7回、守備から途中出場したばかりの山本が、先頭デスパイネの三塁ゴロをファンブル。無死一塁から代走のスペシャリスト周東を送られた。一塁ベースから大きくリードを取り、ジリジリ重圧をかけられると、大竹が走者を気にして制球を乱す。3ボール1ストライクからランエンドヒットを決められ、松田宣の3ランで重い3点を失った。 7回は4番から右打者が3人続く局面。6回まで1安打に封じていた左腕メルセデスを降板させ、内角に食い込むシュートが持ち味の「右キラー」大竹を送り込んだ。原監督は「非常に飛ばしていってね。6回までナイスピッチングというところでバトンを渡した」と説明。メルセデスの球数は76球。足の張りを訴えていたことに加え、シーズン中から終盤に突如崩れるケースがあり、積極継投に入ったが結果は裏目に出た。 大竹以降の中継ぎ陣も失点を重ね、9回に3点を返したが勝利には届かず。序盤はセ・リーグには不在のタイプのソフトバンク高橋礼に苦しみ、7回2死まで無安打に封じられた。1番亀井、2番坂本勇、3番丸は計9打数無安打に終わり、2試合計19打数1安打と快音が出ていない。指揮官は「1、2、3番は、うちの円熟期の選手たち。1日おいて彼らが暴れるでしょう」と奮起を期待した。 打線、中継ぎ陣と思うような結果は出ていないが、戦いは続く。前回ソフトバンクと対戦した00年の「ON対決」は、2連敗から4連勝を飾って日本一になった。「やられたらやり返す。その1点ですね」。21日には東京に戻り全体練習で汗を流す。本拠地で心機一転、腰を据えて戦っていく。【前田祐輔】   ▽巨人山本(7回無死の失策が失点につながり)「悔しいです。イージーだった。まだまだやるべきことはたくさんある」 ▽巨人大竹(7回から登板。ソフトバンク松田宣に3ラン)「投げきってはいた。エラーが出た時こそ抑えたかった。野手には申し訳ない」 ▽巨人高木(4点を追う8回1死一塁から登板し、福田にカーブを2ランされ)「反応で打たれた」 ▽巨人吉村打撃総合コーチ(ソフトバンク高橋礼について)「真っすぐに力があったし(変化球で)タイミングをずらされた」 ▽巨人丸(ソフトバンク高橋礼に3打数無安打)「甘い球がきた時に自分のスイングができるようにという考えだった。(シンカーは)シーズン後半から使っているという情報はあった」

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手が今日本シリーズ1号を放った。 3点リードの8回に「詰まったんで一生懸命走りました」と左翼テラス席へダメ押しのソロ本塁打。9回に反撃されたため、結果的に大きな1発になり「(打球には)満足してないけど、勝ったんで満足しています」と喜んだ。今季は左膝裏痛で4カ月半離脱。「今野球できるだけで幸せやと思いますし、こういう大舞台でやれている。チームメートに感謝したい」とかみしめた。

◆日本シリーズ史に残るような投手戦をソフトバンク松田宣浩内野手(36)が動かした。0-0で迎えた7回。打席に向かうベテランは身震いした。「(前打者の)グラシアルが四球で一、二塁なら確実にバントやん」。だがグラシアルは打ち、チャンスは一、三塁まで広がった。「ランエンドヒットやん。めちゃめちゃ緊張するやん」。それでも冷静に、するべきことは見えていた。 「最低限を考えていた」と三塁に快足周東がいる状況で、犠牲フライや暴投で何が何でも1点取るつもりだった。だから低めを2球見極め、打者有利のカウントをつくることができた。あとは思いきりいくだけ。バックスクリーンに突き刺さる先制で決勝の3ラン。「最高の舞台、最高の場面、最高の展開で最高の当たりを打つことができた」。ファン待望の「熱男!」がヤフオクドームに割れんばかりに響き渡った。 今季は交流戦でも打率3割4分8厘、7発と打ちまくった。巨人戦では11打数5安打の1本塁打。普段対戦の少ない相手を打つためのルーティンがある。「相手ピッチャーが、他の右打者に打たれている『ヒット集』をよく見ている」。頭にいいイメージをすり込むことで、場数の少なさをカバーしている。 今季14年目のベテランにとっても、巨人との日本シリーズは特別だ。前日19日の第1戦。「日本中が『巨人』と言っている中での日本シリーズ。さすがに雰囲気が違いましたね」と独特の緊張感を感じていた。それを破ったのが相手レジェンドの1発だ。「阿部さんのホームランで試合が動いて、そこからは普通に入っていけた」。この日は5回2死まで打者29人、1人の走者も出ていなかった。そこでメルセデスから安打を放ち、試合を動かしたのは松田宣のバットだった。 8回には左飛で「テラスの申し子的には、いったと思った」と本塁打と勘違いして頭をかくシーンもあったが、松田宣らしい明るさが出てきた証拠だ。「こんな機会はなかなかない。楽しまなきゃもったいないでしょ」。熱男は元気に明るく頂点を目指す。【山本大地】

◆巨人岡本和真内野手が反攻への希望の光をともした。0-0で迎えた7回2死一塁、無安打投球だったソフトバンク高橋礼から左中間へチーム初安打を放ち、ノーヒットノーランを阻止。6点を追う9回1死満塁にも守護神・森のカットボールに「こすったんですけど」と振り返りながら、中堅への大飛球で2者を生還させた。初戦は4打数無安打と沈黙したが、一夜で修正した。 試合前には、チームのムードも高めた。円陣で声だし役を務め「『能あるタカは爪を隠す』って言いますよね。昨日、爪を全部見せました。怖いものは、もう何もありません。思い切っていくぞ!」と岡本流の話術でチームを鼓舞。言葉通りのマルチ安打で打線を引っ張った。 22日からは本拠地東京ドームに戦いの舞台を移し、仕切り直す。CSファイナルステージの阪神戦では打率5割3分3厘、3本塁打、7打点と大暴れ。リーグ最年少でMVPを獲得した。今季、同球場で対戦した交流戦では和田からアーチ。「次は勝てるように。東京ドームに帰るんで、やり返したいです」と雪辱を誓った。【久保賢吾】

◆巨人は手痛いミスから負の連鎖を生み、7年ぶりの日本一を目指すチャレンジは連敗からのスタートになった。張り詰めた緊張感が漂う7回、守備から途中出場したばかりの山本が、先頭デスパイネの三塁ゴロをファンブル。無死一塁から代走のスペシャリスト周東を送られた。大きくリードを取り、ジリジリと重圧をかけられると、大竹が走者を気にして制球を乱す。そして3-1からランエンドヒットを決められ、松田宣の3ランで重い3点を失った。 7回は4番から右打者が3人続く局面。6回まで1安打に封じていた左腕メルセデスを降板させ、内角に食い込むシュートが持ち味の「右キラー」大竹を送り込んだ。原監督は「非常に飛ばしていた。6回までナイスピッチングというところでバトンを渡した」と説明。メルセデスの球数は76球。足の張りを訴えていたことに加え、シーズン中から終盤に突如崩れるケースがあり、積極継投に入ったが結果は裏目に出た。 大竹以降も桜井、高木と失点を重ね、第1戦のマシソン(1失点)田口(3失点)に続き、リリーフで登板した6投手中5人が失点を重ねた。打線はソフトバンク高橋礼に7回2死まで無安打に封じられ、1番亀井、2番坂本勇、3番丸は計9打数無安打。3人で2試合計19打数1安打と快音が出ていない。指揮官は「1、2、3番は、うちの円熟期の選手たち。1日おいて彼らが暴れるでしょう」と奮起を期待した。 中継ぎ陣、打線と思うような結果は出ていないが、戦いは続く。前回ソフトバンクと対戦した00年の「ON対決」は、2連敗から4連勝を飾って日本一になった。「やられたらやり返す。その1点ですね」。21日には東京に戻り全体練習で汗を流す。本拠地で心機一転、腰を据えて戦っていく。【前田祐輔】

◆ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2019」第2戦で巨人に6-3で連勝した。ヤフオクドームでの日本シリーズ連勝記録を14に伸ばした。「令和のサブマリン」高橋礼投手(23)が7回を1安打無失点と好投し、シリーズ初先発で初勝利。巨人左腕メルセデスとの投手戦で1歩も譲らず、終盤の打線爆発を呼び込んだ。 5回まで完全投球だった。高橋礼が下手から巨人打線を手玉に取った。「楽しむということがすごくできた。直球も変化球もしっかりと腕を振って投げることができた」。6回、先頭若林に死球を与え、1死二塁のピンチを背負ったが、重信を二塁すぐ横の遊直に打ち取り、二塁走者が戻れず併殺。岡本に唯一の安打を許した7回2死一、三塁では、阿部に「内角へ力強く投げる」と内角直球で勝負し三ゴロに仕留めた。 今季、スピードアップ賞に選ばれた。平均投球間隔(無走者時)10秒0はパ・リーグで一番速い。同じく9秒2の巨人メルセデスとのテンポのよい投手戦だった。「相手のテンポに乗ったところもあるが、自分もテンポを武器にここまで戦ってきたので」とこだわって投げ、7回に松田宣の決勝3ランを呼び込んだ。 CSファーストSでは3戦目だったが、日本シリーズは2戦目を任せられた。工藤監督は「シーズンで頑張ってきたので」と起用理由を明かした。2年目の今季は開幕ローテーション5、6番目の立場からチーム2位の12勝を挙げ6敗と6つの貯金をつくった。 「新人王」の言葉が高橋礼を成長させた。中継ぎでの昨季、12試合、30回で終えた。新人王資格の30イニング以内を首脳陣が考慮したのかと思われたが、倉野投手コーチは「まったくの偶然で、そこまで考えていなかった」。資格が残り、高橋礼は中継ぎの新人甲斐野(65試合2勝5敗8セーブ26ホールド)と新人王争いを演じた。高橋礼は「新人王というものが、モチベーションになったのは確か」と話す。偶然も作用し、先発の柱に成長した。 「こういう大きな舞台でアンダースローからこういうボールが投げられるんだということを見せられたことはすごくよかった」。侍ジャパンにも選出されたサブマリンが、全国の野球ファンが注目する中、存分に力を発揮した。【石橋隆雄】 ▼高橋礼が7回2死まで無安打に抑え、シリーズ初勝利。先発投手の初回からの無安打は07年<5>戦山井(中日)の8回が記録で、高橋礼の6回2/3は5位。チームでは11年<1>戦和田の6回1/3を抜いて最長となった。6回無死から若林に死球を与えるまで走者を許さず、シリーズで5回以上完全は14年<2>戦武田(ソフトバンク=5回2/3)以来7人目。 ▼シリーズの下手投げ 高橋礼が日本シリーズ初先発。過去の主な下手投げでは、59年杉浦忠(南海)が巨人相手に4戦4勝で球団初の日本一に導いた。60年秋山登(大洋)は2勝で球団初の日本一。70年代の阪急は足立光宏、山田久志の両輪が引っ張り、足立は歴代3位のシリーズ通算9勝。山田は77年MVP。最近では渡辺俊介(ロッテ)が05、10年に勝利を挙げ日本一になった。

◆またもや「7回の周東」だ。ソフトバンク周東佑京内野手(23)が「SMBC日本シリーズ2019」第1戦に続き、第2戦も7回に代走で登場。武器の足で巨人バッテリーに重圧をかけ、松田宣浩内野手(36)の決勝3ランにつなげた。2戦連続で代走で1得点をマークし、チームの2連勝に貢献。球界屈指の韋駄天(いだてん)が、今シリーズのキーマンとなりそうだ。 「日本の足」が超投手戦の均衡を破った。0-0で迎えた7回無死一塁。周東の名前がアナウンスされると、代走とは思えない大歓声がヤフオクドームを包んだ。 5回2死まで両チーム1人も走者が出ない、息詰まる展開。7回、一気に試合が動いた。先頭デスパイネの痛烈なゴロを巨人山本がファンブル。工藤監督は迷うこともなく、切り札を一塁に送り込んだ。 何もせずとも、巨人が浮足立った。この回からリリーフした大竹は打者グラシアルに1球も投げないうちに、一塁へ3度けん制を入れた。警戒して制球が乱れ、カウントが3-1となったところで動いた。周東がスタートを切ってのランエンドヒット。グラシアルの打球が左前に弾む間に、スプリンターは楽々と三塁を陥れた。「行けるタイミングがあれば走ろうと思っていたけど、クイックも速かった。それよりもピッチャーにプレッシャーを与えられればと思っていた。極力意識させて、真っすぐが多くなるように。一番いい形になった」としてやったり。指揮官の「あそこは行けるなら行けということだった。絶対に1点を取りたい場面。投手にどんどんプレッシャーをかけることが、得点につながると思っていた」という起用に応え、一、三塁とお膳立て。続く松田宣の決勝3ランで均衡を破った。 「代走周東」のコールが総攻撃の大号令になりつつある。周東自身も当然、「僕が出るということは点を取りに行くということ。無理してでもホームまでかえりたい」。同時に、周囲の目の色もガラリと変わる。「この回が勝負なんだ」。ベンチの思いを受け、1つになって畳み掛ける。 前日の第1戦で大きなダメ押しのホームを踏んだのも、この日と同じ7回だった。1点の重みが増すポストシーズン。侍が認めた「7回の足」が光り輝いている。【山本大地】

◆ソフトバンクがシリーズ連勝を飾った。緊迫した投手戦に敵失から風穴を空け、松田宣の先制3ラン。柳田、福田にも1発が飛び出し、G投を圧倒した。大声援に押されるホームアドバンテージもあろうが、やはり、投打ともに押した2戦だったように思う。残念だったのが9回、3番手高橋純が3四球で巨人に反撃機会をつくったこと。それもシリーズ初登板となれば、緊張感もあったろう。無駄な失点となってしまった。 初戦から連勝は19年前の「ONシリーズ」もそうだった。そしてまさかの4連敗...。勝ってカブトの緒を締めよ、ではないが、22日からの敵地東京ドームでの3試合はさらに気を引き締めてかからなくてはいけない。この日、勝負を分けたのが1つのエラーだっただけに、ちょっとしたほころびでシリーズの流れはガラリと変わってしまうものだ。 連敗を喫した巨人原監督は厳しい表情で球場を後にした。だが、原監督の「統率力」に警戒心を強めたのは内川だった。ホークス選手の中では唯一、監督と選手として09年WBC(ワールドベースボールクラシック)でともに「日の丸」を背負って世界と戦った。第2ラウンドのキューバ戦前だった。全体ミーティングで原監督は言った。「徳俵に足がかかっても、まだその足で跳ね返すことができる。おまえさんたちはそれができるんだよ」-。極度の緊張を解き、チームに復元力を与えたという。WBCはキューバ戦から4連勝で見事、連覇を果たした。 「だから、勝ってもまだまだ気が抜けません」。5年ぶりにリーグVを果たし、シリーズに乗り込んできた原巨人。正念場の戦いはまだまだ続くと、ベテランは覚悟している。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク-巨人、20日、ヤフオクD)ソフトバンクの松田宣が五回、両チームを通じての初出塁となる左前打を放った。2死から、テンポよく完全投球を続けていたメルセデスの2球目をはじき返した。続く中村晃が四球を選び一、二塁となったが内川は右飛に倒れた。  第1戦では七回に二塁打を放って追加点のきっかけをつくった。「(日本シリーズを)数多く経験させてもらっているので」と頼もしく語るベテランが、好調を維持している。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)巨人の岡本が日本シリーズ初安打を含む2安打1打点を記録した。七回2死一塁で高橋礼からチーム初安打となる左前打を放つと、0-6の九回1死満塁では森の外角速球をフェンス際へ運び、中越え適時打をマークした。  第1戦は4打数無安打だった。復調の兆しがみえるが、九回の適時打にも「こすったので、いい当たりではなかった」と納得はしていなかった。

◆SMBC日本シリーズ2019は20日、ヤフオクドームで第2戦が行われ、ソフトバンクが巨人に6-3で勝ち、2連勝を飾った。ソフトバンクは七回に松田宣の3点本塁打で先制し、八回にも2本の本塁打で追加点。九回に巨人の反撃を許したもののリードを守りきった。先発の高橋礼は7回1安打無失点の快投を見せた。  ソフトバンクは川島を1番・二塁で起用し、松田宣を6番、中村晃を7番に据えた。巨人は大城が先発マスクをかぶり、若林が7番・三塁、重信が9番・左翼でオーダーに名を連ねた。 投球する先発の巨人・メルセデス=ヤフオクドーム(撮影・村本聡)  両チームの先発投手が素晴らしい立ち上がりを見せた。高橋礼は一回、坂本にフェンス手前まで運ばれる中飛を打たれ、五回には大城にポール際への大ファールを飛ばされたものの、五回まで走者を許さない好投。メルセデスも低めへの制球を武器にソフトバンク打線を翻弄し、四回まで完璧なピッチングを続けた。 ソフトバンクは五回2死から松田宣が左前打でこの試合両チーム通じて初めての走者を出すと、中村晃も四球を選び一、二塁。続く内川は右方向へ鋭い打球を飛ばしたものの、亀井が前に走り込みながらキャッチし得点できなかった。 巨人は六回、先頭の若林が死球で出塁。田中俊の犠打で二塁に進んだが、続く重信は遊直。若林は帰塁できず併殺となり、こちらもチャンスを逃した。ソフトバンクはその裏、一死から川島が四球で出塁し二盗。その後2死三塁となるが、柳田は一ゴロに倒れた。  七回、巨人は一死から坂本勇がストレートの四球で出塁すると、2死後、岡本のチーム初安打となる右前打で一、三塁としながらも、阿部が三ゴロに終わりこの回も無得点だった。 その裏、巨人は大竹をマウンドに送り、三塁には山本がつく。ソフトバンクは先頭のデスパイネが三ゴロ失策で一塁に生きると、周東を代走に送る。続くグラシアルの左前打で無死一、三塁とし、松田宣がバックスクリーンへ運ぶ3点本塁打を放ち先制した。 ソフトバンクは八回にも先頭の柳田が巨人3番手の桜井から左中間ホームランテラスへソロ本塁打、途中出場の福田も4番手の高木から右翼ホームランテラスへ2ランを放ち追加点。 8回、本塁打を放つソフトバンク・福田=ヤフオクドーム(撮影・村本聡)  守っては八回はモイネロが無失点に抑え、九回、高橋純が一死満塁のピンチを招き、ここで登場した守護神の森が岡本、阿部に適時打を浴び3点を失ったものの逃げ切った。

◆SMBC日本シリーズ2019は20日、ヤフオクドームで第2戦が行われ、3年連続日本一を目指すソフトバンク(パ・リーグ2位)が7年ぶりの頂点を狙う巨人(セ・リーグ優勝)に6-3で快勝して2連勝を飾った。  ソフトバンクは七回に松田宣の3ランで先制。八回に柳田のソロと福田の2ランで3点を加えた。先発した高橋礼は7回1安打無失点の好投だった。巨人はメルセデスが6回1安打無失点と好投したが、打線が精彩を欠いた。  日本シリーズは全試合がナイターで行われ、どちらかが4勝した時点で終了する。21日は試合がなく、22日の第3戦からは東京ドームに舞台を移す。第6戦があれば再びヤフオクドームに戻る。 ソフトバンク・工藤監督 「高橋礼がずっと無安打で、大記録をやるのではという思いで見ていた。レギュラーシーズン以上の集中力と制球力があった。大舞台であれだけの投球ができるのは素晴らしい。本塁打で点が取れたのもうちのいいところ」

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)開幕2連勝した例は、引き分けから2連勝したものも含めて過去36度ある。そのうち27度はそのまま日本一となっており、優勝の確率は75%に上る。  ただ、巨人は長嶋監督時代に王ダイエーとの「ON対決」で注目された2000年と、近鉄に3連敗から4連勝した1989年の2度、2連敗から逆転で日本一に輝いている。

◆SMBC日本シリーズ2019は20日、ヤフオクドームで第2戦が行われ、3年連続日本一を目指すソフトバンク(パ・リーグ2位)が7年ぶりの頂点を狙う巨人(セ・リーグ優勝)に6-3で快勝して2連勝を飾った。  ソフトバンクは七回に松田宣の3ランで先制。八回に柳田のソロと福田の2ランで3点を加えた。先発した高橋礼は7回1安打無失点の好投だった。巨人はメルセデスが6回1安打無失点と好投したが、打線が精彩を欠いた。  日本シリーズは全試合がナイターで行われ、どちらかが4勝した時点で終了する。21日は試合がなく、22日の第3戦からは東京ドームに舞台を移す。第6戦があれば再びヤフオクドームに戻る。 巨人・原監督 「やられたらやり返すその一点。第3戦まで少し時もある。うまく活用して22日を迎えたい。メルセデスは飛ばしていって六回までナイスピッチングだった。救援陣は打たれたのは甘いところ。次は甘く行かないように」

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)巨人のメルセデスは6回1安打無失点と好投したが、脚の張りを訴えて降板した。「全力でいった」と四回まで無安打。五回、松田宣に初安打を許して招いたピンチで内川を右飛に仕留めると、六回1死二塁からも今宮、柳田を打ち取った。  打線の援護がない中で先発の役割を果たした。脚の張りは大事には至らなかった様子で「もし2戦目(の登板)があれば、同じような投球で勝てるように準備したい」と話した。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)巨人は打線が高橋礼に七回2死まで無安打に抑え込まれ、好投したメルセデスを援護できなかった。0-6の九回に3点を返したが、反撃が遅かった。  上位打線の亀井、坂本勇、丸の3人がそろって無安打。丸は0-0の七回1死一塁で二飛に倒れるなど2試合連続で安打が出ず「変わることなく自分たちの野球ができるようにやるしかない」と話した。原監督は「1、2、3番は円熟期の選手。1日おいて、彼らが暴れてくれるでしょう」と奮起を期待した。 阿部(九回に適時打) 「次からはホームだから、明日(21日)の練習で気分転換してやれたらいい」 巨人・宮本投手総合コーチ 「CC(メルセデス)は頑張った。リリーフ陣が(本塁打を)1本ずつ打たれたのは反省」 巨人・吉村打撃総合コーチ(高橋礼に) 「力もあったし、タイミングを合わせるのも難しかった」

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)巨人は2試合続けて救援陣が崩れた。七回に登板した大竹は味方の失策が絡んだピンチで松田に先制3ランを打たれると、八回には桜井、高木も本塁打を浴びて勝機がしぼんだ。  大竹は「切り替えて、いい準備をしたい」と前を向き、桜井も「自分はどこでも投げるつもりでやるしかない」と気持ちを奮い立たせた。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)ソフトバンクの王球団会長は、終盤に3本塁打が飛び出しての2連勝に「マッチ(松田宣)のホームランにはびっくりした。すごかった。柳田にも出たしね」とご満悦だった。  自身がダイエーの監督を務めた2000年の日本シリーズでは、2連勝から巨人に4連敗し逆転を許している。この日も九回に追い上げられたことに触れ「最後は気持ちが引き締まる試合になった」と慢心はなかった。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)ソフトバンクの柳田が3-0の八回に追撃のソロを放った。1死から桜井のカーブを左中間へ運び「狙ってはいなかったが、真ん中に来たので振った。入ると思わず一生懸命走っていた」と笑った。  レギュラーシーズンはけがで38試合の出場にとどまっただけに「今こんな大舞台で野球ができているのはチームメートのおかげ」と感謝を口にする。3連覇への意気込みは人一倍で「とにかくあと二つ勝てるように準備するだけ」と謙虚に話した。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)ソフトバンクはシーズン同様に、本拠地で若手が早出で打ち込みを行った。第1戦で代走出場し、左翼にも入った2年目の周東は「早く一回出たかったので、よかったです」と笑顔。前夜が日本シリーズ初出場で「お客さんの雰囲気とか違いました、すごかったです」と興奮気味に振り返った。野手は3番手捕手の栗原以外が出場機会を得た。森ヘッドコーチが「一度出ることで落ち着くこともある」と語るなど、普段通りの工藤野球で第2戦も勝ちきった。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)日本シリーズ初登板のメルセデスは、6回1安打無失点と好投。五回2死まで一人の走者も許さない投球で、「低めにコントロールすること、失投しないことの2つのテーマをしっかりできた」と納得の表情を浮かべた。六回途中に足が張り、早めの降板となったことは「全力でいったのでそうなった。そこは悔しい」と反省。次回は中5日で第6戦の先発が有力だ。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)打線は高橋礼にわずか1安打に封じられた。3番・丸は3打数無安打で、2試合連続の無安打に終わった。6月の交流戦では下手投げ右腕から3安打を放ったが、当時は投げていなかったというシンカーに苦戦。「(6月よりも)変化球が多くなった。(シンカーを)シーズン後半から使っているという情報はあったが、きょうは合わなかった」と唇をかんだ。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)ソフトバンクが開幕2連勝。シリーズ開幕2連勝は過去36度(初戦引き分けの2度を含む)のうち日本一が27度、優勝確率は75%。ソフトバンク(前身球団を含む)の本拠地連勝スタートは過去4度(1959、2003、15、17年)全て日本一。  1試合3本塁打はシリーズでのチーム最多タイで、03年第7戦以来16年ぶり5度目。  先発・高橋が七回2死まで無安打。シリーズで先発投手が6回2/3以上を無安打に抑えたのは、17年第4戦のDeNA・浜口遥大(7回1/3)以来2年ぶり5人目。最長は07年第5戦の中日・山井大介の8回。ソフトバンク(前身球団を含む)の投手では11年第1戦、和田毅の6回1/3を上回る最長。両軍ともに四回まで無安打はシリーズ初。  ソフトバンクは本拠地・ヤフオクドームで11年第7戦から14連勝。パ・リーグ球団はホームで13年第7戦(楽天・Kスタ宮城)から17連勝。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)五回裏2死まで互いに走者を許さない投手戦。日本シリーズ初先発のソフトバンク・高橋礼投手(23)は、メルセデスに一歩も引かず「緊張はしたけど、楽しむことができた」と晴れやかな表情を浮かべた。  0-0の七回2死一塁で岡本に左前打を浴び、シリーズ史上初の無安打無得点試合は逃した。それでも、冷静に一、三塁のピンチで阿部を三ゴロに仕留め、7回を1安打に抑えて投げ切った。  今季は千賀に次ぐチーム2位の12勝と飛躍した。日本野球機構(NPB)が試合時間短縮への貢献を表彰するスピードアップ賞に輝いた両先発の"時短王対決"に、サブマリンは「テンポは抑えるために大事」との宣言通り、小気味いい投球で勝利を引き寄せた。  新人だった昨季の日本シリーズは中継ぎで活躍したが、この日がシリーズ初勝利。パ新人王の筆頭候補は「チームが勝つことが一番大事」と、涼しい顔で振り返った。(柏村翔)

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)巨人はソフトバンクに3-6で敗れ、開幕から2連敗となった。0-0の七回に三塁の守備に就いた山本泰寛内野手(26)の失策がきっかけとなり、3失点。原辰徳監督(61)は、勝敗を分けたミスを悔やみながらも「やられたらやり返す」と、22日からの反撃を誓った。  1つのプレーが流れを大きく変えた。0-0の七回だ。ソフトバンクの先頭・デスパイネの三ゴロを、代わって三塁の守備に就いたばかりの山本が待って捕ろうとして後逸(記録は三失)。そこから3失点し、一気に主導権を握られた。  「エラーが足を引っ張った。懸命にプレーしたが、結果的には投手の足を引っ張った」  原監督は痛恨のミスを嘆いた。先発のメルセデスが6回、相手先発・高橋礼も7回を1安打無失点。緊迫した投手戦が展開されていただけに、試合の行方を決定付けるシーンになってしまった。  日頃から指揮官は「4アウトを取るのは難しいこと」と、失策の及ぼす影響をチームに訴えてきた。堅守を買われて初出場を果たした日本シリーズで失策を演じ、3点差に詰めた九回2死一、三塁で遊ゴロに倒れ、最後の打者にもなった山本は「悔しいです」と顔面蒼白(そうはく)で球場を後にした。  2試合連続で救援陣が崩れたのも誤算だった。前日は先発・山口が6回を3失点にまとめたが、マシソン、田口が計1イニングで4失点。この日は大竹、桜井、高木が計2イニングで6失点。指揮官は「打たれているのは甘いところ」と奮起を促した。  巨人のシリーズ開幕2連敗は過去に8度あるが、逆転で日本一に輝いたのは2度だけ。ただ、長嶋監督と王監督の「ON対決」で注目された2000年の前回の同カード(ソフトバンクは当時ダイエー)は、巨人が2連敗から4連勝で日本一に輝いている。  「やられたらやり返す」。原監督は2度、繰り返した。移動日を経て、22日には東京ドームでの3連戦が始まる。このまま黙って終わるつもりはない。(伊藤昇) 九回に右前適時打を放ち、2試合連続打点の巨人・阿部 「(九回の攻撃を)次につなげないといけない。明日、練習していい気分転換をしたい」

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)プロ野球のSMBC日本シリーズ2019は20日、第2戦が行われ、パ・リーグ2位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がったソフトバンクが、セ覇者の巨人に6-3で快勝して2連勝を飾った。七回に松田宣浩内野手(36)の3ランで均衡を破り、八回には柳田悠岐外野手(31)、福田秀平外野手(30)も続いて球団最多に並ぶ1試合3本塁打を記録。ポストシーズン8連勝は、同一年でのプロ野球新記録となった。  今季最大の音量で「熱男!!」の掛け声が、無敵の本拠地に響いた。松田宣が、息詰まる投手戦の流れを一振りで変えた。  「百点満点の『熱男』ができたと思う。最高の舞台、最高の場面で最高の結果。(今季)一番印象深い本塁打です」  0-0の七回、失策と安打で得た無死一、三塁の絶好機に「心臓ばくばくで打席に入った」という元気印は、冷静に2球見送り、甘く入ったシュートを捉えてバックスクリーンにほうり込んだ。  日本シリーズで自身2年ぶり3本目となる一発と、おなじみの「熱男」と叫ぶパフォーマンスで球場の空気は一変。八回には柳田が左中間席へのソロ、途中出場の福田が右越え2ランで続いた。1試合3本塁打は日本シリーズの球団タイ記録。ともにリーグ最多183本塁打を誇る強力打線対決を一発攻勢で制した。  これで、本拠地での日本シリーズは14連勝。クライマックスシリーズからポストシーズン8連勝を飾り、1975年の阪急を抜いて同一年でのプロ野球新記録を打ち立てた。巨人を倒せばソフトバンクとしてセ全球団撃破も決まる。過去5球団との戦いを経験する松田宣は「僕にも(長年)やってきた自信がある」と胸を張った。  昨季はポストシーズンに調子を落とし、日本シリーズでの先発は3試合。今季もCSファーストステージ第2、3戦で出番がなかった。それでも腐らず、早出練習も行って復調を遂げた。工藤監督は、五回に両軍初安打も記録したベテランに「(チームが波に)乗りますね」とうなずいた。  「すごい声援で2勝できた。今度は巨人ファンがすごいけど、自信を持って戦いたい」と松田宣。22日に東京ドームに乗り込む熱男は、臆することなく言い切った。(安藤理) 七回、左前打で好機を広げたソフトバンク・グラシアル 「(一塁走者の)周東であれば単打で三塁へ行けることは分かっていた」 ソフトバンク・王球団会長 「良い勝ち方だった。最後は気持ちが引き締まった。高橋(礼)がしっかり投げてくれた。マッチ(松田宣)が良かった。すごい飛距離だった。ビックリしたよ」 ★必殺技炸裂  "必殺技"が決まった。七回先頭のデスパイネが三塁・山本の失策で出塁すると、代走で周東が登場。グラシアルがランエンドヒットで左前打を放って一、三塁とし、松田宣の決勝3ランにつながった。前日も七回に代走で出て駄目押しのホームを踏んだ周東。日本代表にも選ばれている今季25盗塁の韋駄天の働きに、工藤監督は「足の速い走者だと、バッテリーはどうしても気を取られる」とニヤリ。

◆SMBC日本シリーズ第2戦(ソフトバンク6-3巨人、ソフトバンク2勝、20日、ヤフオクD)短期決戦は、流れが一瞬で変わる。これを逃さないのがソフトバンク打線なんだ。  メルセデスには、タイミングが全く合っていなかった。狙い球とは逆のコースに来て、特に右打者は内角への球に戸惑っていた。だから、六回で降板してくれて、ほくそ笑んだはずだよ。  レギュラーシーズンのチーム打率は、・251と決して高くない。規定打席に到達した打者の最高は、松田宣の・260(リーグ18位)だ。2割5、6分の打者というのは、得意な投手が出てくると、勝負強さを発揮するんだ。じっとチャンスを待って、一気に畳み掛ける得意な点の取り方だったよ。  巨人も西武もリリーフ陣が弱い。だから、クライマックスシリーズ・ファイナルステージから、6試合も続けて6点以上取れているんだ。  対する巨人は、打線がレギュラーシーズンの最も悪いときと同じ状態。つながりがなく、相手投手の力が落ちないと打てない。九回の3得点で少しだけ相手に嫌な感じを与えたから、東京ドームに戻ったら先発がしっかりゲームをつくって、主力が打ってほしいね。そうやって雰囲気を変えるしかないよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆プロ野球のSMBC日本シリーズ第2戦・ソフトバンク-巨人の平均視聴率が、関東地区で7・3%だったことが21日、ビデオリサーチの調べで分かった。  試合はパ・リーグ2位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がったソフトバンクが、セ覇者の巨人に6-3で快勝して2連勝を飾った。  この日は同時間帯にNHKでラグビーワールドカップ日本大会の準々決勝・日本-南アフリカが放送され、関東地区で41・6%を記録していた。

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