阪神(☆3対0★)DeNA =リーグ戦24回戦(2019.09.22)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
DeNA
0000000000610
阪神
00002100X3510
勝利投手:ガルシア(4勝8敗0S)
(セーブ:藤川 球児(4勝1敗15S))
敗戦投手:バリオス(1勝2敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 DeNA戦チケット予約
◆阪神は両軍無得点で迎えた5回裏、代打・鳥谷の適時打などで2点を先制する。続く6回には、梅野の適時打でリードを3点に広げた。投げては、先発・望月が4回途中無失点。その後は、6投手の継投で完封リレーを飾った。敗れたDeNAは、打線が無得点と振るわなかった。

◆阪神ドラフト1位の近本光司外野手が新人歴代単独3位となるシーズン156安打目を記録した。 4回1死でチーム初安打となる右前打。すかさず二盗を決め、セ・リーグ最多の盗塁数を35に延ばした。 近本は21日広島戦で源田壮亮(西武)に並ぶ新人歴代3位の155安打をマークしていた。1リーグ時代の1948年(昭23)に笠原和夫(南海)が記録した歴代2位の160安打も射程圏に入る。

◆今季限りでの退団を表明している阪神鳥谷敬内野手が先制打を放った。 両チーム無得点で迎えた5回1死一、二塁で代打登場。1ボールからバリオスの真ん中に入った144キロをとらえ、三遊間を破る左前適時打を決めた。 「中盤まで0点で来ていたので、なんとか先制点をと思っていました。抜けてくれて良かったです」 なおも1死一、二塁となり、1番木浪の三遊間ゴロで二塁へ激走。遊撃大和の好守からの二塁送球は間一髪のタイミングとなったが、リクエストの結果セーフをもぎ取ると、甲子園全体が大歓声に包まれた。 鳥谷は8月29日に事実上の戦力外通告といえる"引退勧告"を受けたが、他球団で現役続行を目指す意思を固めている。

◆次期NHK連続テレビ小説「スカーレット」(30日スタート、月~土曜午前8時)のヒロインを務める女優戸田恵梨香(31)がファーストピッチセレモニーに登場した。 作品のテーマである陶芸の窯をイメージした真っ赤なユニホームを着用。背番号には放送開始日である「9/30」がプリントされていた。トラッキーと手をつないでマウンドに上がると、一礼してからノーワインドアップでノーバウンド投球を披露。スタンドから大歓声を浴びた。 神戸市出身ということもあり「甲子園はよく外から見ていた。まさか自分がその中に入るとは夢にも思っていなくて。ぜいたくな時間を過ごさせていただきました」と笑顔で振り返った。 三塁側ベンチ方向の外角高めに外れた投球には悔しさも見せ「30点くらいですかね。もうちょっとストレートな球を投げたかったんですけど...イマイチでした」と苦笑いで自己採点していた。 「スカーレット」は焼き物の里である滋賀県甲賀市信楽が舞台。昭和の高度経済成長期を懸命に生きる女性陶芸家を描き、その主人公・川原喜美子役を戸田が演じる。放送開始に向けて「(主人公は)貧乏なんですけど、すごく幸せな家庭で。生活を豊かに過ごすということはどういうことなのかというのはちゃんと分かっている人。その姿が見ていてほほ笑ましかったり、なんかクスクス笑えたり、きっと朝から見てくださっている皆さんの心を柔らかくしてくれるような作品になっているんじゃないかなと思います」とアピールした。

◆両先発が無難な立ち上がり。阪神望月は3回を2安打無失点。DeNAバリオスは3回を無安打無失点に抑えた。 阪神は5回、鳥谷の適時打で先制。近本の犠飛で2点を挙げた。6回には梅野も適時打を放ち、3点リードで終盤へ。 阪神は積極的な継投策が成功し、投手7人による無失点リレーで逃げ切った。DeNAは打線が低調だった。阪神ガルシアが4勝目、藤川は15セーブ目。DeNAバリオスが2敗目。

◆阪神梅野隆太郎捕手が打っては追加点の適時打、守っては7人の継投を無失点リードと攻守で勝利に貢献した。2点リードの6回2死二、三塁で先発バリオスのフォークに食らいついて三遊間を破った。 勝負どころでの一打に「自分の自信にもなるし、チームの勢いにもなる」。受けては、先発望月からガルシアらを好リード。「総力戦で戦っていくところで、期待に応えられたのも自分にとって大きい」と話した。

◆阪神矢野監督が攻めの継投策で勝利を呼び込んだ。 4回2死一塁の場面で先発望月に代えて能見を投入。ベテラン左腕がワンポイントリリーフで左の柴田を右飛に仕留めると、5回には何と阪神では初のリリーフとなるガルシアをマウンドに送った。その助っ人左腕が1イニングを無失点に抑えて勝利投手に。指揮官も「初めての中継ぎでちょっと不安もあったけど、しっかり投げてくれた」と褒めたたえた。 6回以降は岩崎、島本、ドリスと惜しげもなく強力ブルペン陣をつぎ込み、最後は7人目の藤川が完封リレーを締めた。シーズン残り4試合。明日なき戦いの矢野監督は「ある部分では思い切っていくしかない。それくらい俺らも追い込まれていると、いくしかないっていうところがある。いくところはいきます!」。最後まで攻め続ける。

◆阪神は今季初のリリーフ登板となったオネルキ・ガルシア投手に4勝目が付いた。3番手で5回の1イニングを無失点に抑え、その裏の攻撃へ良い流れを作って決勝点が入った。 今季18試合に先発していたが、前回登板の16日巨人戦から中5日でリリーフに回った。それでも「先発と同じように入れた。違和感はなかった。自分に勝ちが付いたけど、(チームの)勝ちに貢献できてうれしい」と笑顔だった。

◆阪神近本光司外野手が4回1死でチーム初安打となる右前打を放って今季156安打とし、17年の西武源田を抜いて新人歴代単独3位となった。 「しっかり振り抜けた」。直後には二盗を決めてリーグ最多35盗塁とした。5回1死満塁では左犠飛で貴重な追加点をもたらし「(打球は)浅かったですけど(三走)梅野さんがかえってきてくれた」と激走に感謝した。

◆DeNAは苦手の阪神に0-3で敗れ、今季6度目の完封負け。今季15敗目(8勝1分け)を喫した。勝てばクライマックスシリーズ(CS)進出が決まっていたが、23日以降にお預けとなった。 今季3度目の先発となった右腕バリオスは4回まで1安打投球。5回に2四死球でリズムを崩し「ツーシームで引っ掛けさせようとした」鳥谷に左前適時打を浴びるなど、2点の先制を許した。 ただ全体的には5回2/3を5安打3失点(自責2)とまずまずの内容で、ラミレス監督は「(今季初勝利を挙げた)前回の中日戦より良かった。彼のために点を取ってやれなかったのが残念。こういう調子を維持してくれればCSでも戦力になる」とたたえた。 DeNAは23日は試合がないが、中日が広島に勝つとCS進出が決定する。

◆阪神望月惇志投手が4回途中3安打無失点と踏ん張った。「球数をかけすぎて、攻撃にリズムを持っていくことができなかった」と早い降板を反省。この日は通常の登場曲ではなく、横田の登場曲だったゆずの「栄光の架橋」を使用した。 「今日は横田さんのためにも、いいピッチングをしないといけないと思った。そういう意味で横田さんの曲をお借りしました。寮でもすごく良くしてくれましたし、優しい方で本当に感謝しかないですね」と、お世話になった先輩にささげた。

◆また何人ものファンが涙していた。阪神鳥谷敬内野手(38)は今季初めて甲子園のお立ち台に上がると、「懐かしい感じがします」と照れ笑い。「名前がコールされる度にすごい声援を感じています。声援に後押しされていいヒットが打てました」と感謝した。 両チーム無得点の5回1死一、二塁、代打でバリオスから三遊間を破る決勝打を決めた。なおも1死一、二塁。今度は1番木浪の三遊間ゴロで二塁へ激走。自主トレ仲間でもある遊撃大和の好守からの送球と勝負し、リクエストの末セーフをもぎ取った。矢野監督は「打ったのもすごいけど、もしかしたらあの走塁の方がすごいんじゃないかと思う」と絶賛。この回2得点、勝利の立役者となった。 「この時期は人が辞めていく。寂しい」。秋。今年も別れの季節が来た。この日は脳腫瘍からの復帰を目指していた横田が24歳の若さで現役引退を表明した。16年には1軍の舞台で苦楽を共にした。横田が紛失したプロ初安打の記念球を一緒に捜索したこともあった。試合前、言葉を交わした。「また、いろんなことに挑戦していきます!」。前向きな言葉に救われた。 自身は球団からの"引退勧告"を受けて今季限りでの退団を表明。他球団で現役続行を目指す意思を固めている。「自分も挑戦していこう、というモノをもらった。それがいい結果につながったのかな」と後輩にも感謝。「特別な場所」甲子園で球団歴代4位の岡田彰布に並ぶ通算822打点、18年8月11日DeNA戦以来の勝利打点を記録し、高ぶる感情を体現した。 チームは4位中日とのゲーム差をなくし、3位広島に1・5ゲーム差まで迫った。逆転CSへ、シーズンは残り4試合。「打席に立った時の声援は励みになる。毎日、活力になっている」。虎の鳥谷を、まだ終わらせない。【佐井陽介】

◆試合終了から1時間以上が経っても、甲子園には長蛇の列が出来ていた。 お目当ては、試合で活躍した選手がデザインされた「イチオシ缶バッチ」。この日は決勝打を放ち、お立ち台にも立った鳥谷敬内野手(38)のデザインだった。一塁側の5号門付近から始まった列は伸びに伸び、最長でバックスクリーンも越えた左翼席側の18号門まで続いたという。 グッズ担当者は「異例中の異例です。近本選手がセ・リーグの新人最多安打記録を更新した時の列も超えました。あまりにも長い列が出来て終電もあるので、後日ネットで販売することになりました」と驚きながら説明した。 本来なら販売は当日の試合後のみだが、異例の長蛇の列が出来たことを受けて、9月25日の午前10時から午後11時59分まで公式オンラインショップで販売することが決定した。同様にオンラインショップで販売したのは、鳥谷が2000本安打を達成した17年9月8日以来のことだという。 鳥谷は今季限りでの退団を表明。改めて絶大な人気ぶりを感じさせた。

◆阪神は積極的な継投策が成功し、投手7人による無失点リレーで逃げ切った。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -鳥谷が先制打 矢野監督 ここぞ、という場面で打ってくれましたし。それよりもすごいのは、その後の走塁(木浪の遊撃内野安打で二塁セーフに)。打ったのもすごいんですけど、もしかしたらあの走塁の方が、すごいんじゃないかなと思います。 -球場の雰囲気も変わった 矢野監督 そういうことも期待して、もちろんトリにも任せてるんでね。期待通りの活躍をしてくれました。 -中継ぎの無失点も大きい。 矢野監督 横田があんな形でユニホームを脱ぐとか、僕らは満員の甲子園でユニホーム着させてもらって野球をやれるというね、そういう思いもみんな野手もピッチャーもつなげていくという気持ちはあったんじゃないでしょうかね。 -明後日から甲子園で巨人戦 矢野監督 相手は関係ないというか、目の前の試合を勝ってつないでいくだけなので、目の前の敵を倒しにいきます。

◆阪神・望月惇志投手(22)が22日のDeNA戦(甲子園)に先発。登場曲として、この日引退を発表した横田慎太郎外野手(24)の登場曲「栄光の架け橋」を使用した。  今季はベリーグッドマンの「ライオン」を使用しているが、この日は同じ高卒で2つ歳上の先輩である横田の登場曲を使用。ゆずの「栄光の架け橋」が流れる中、マウンドへと上がった。  横田は脳腫瘍からの復帰を目指していたが、引退を決断。この日に引退会見を行っていた。

◆阪神・望月惇志投手(22)が22日のDeNA戦(甲子園)に先発し、3回2/3を3安打無失点で降板。今季2勝目をつかむことはできなかった。  今季5度目の先発のマウンドで、好投を披露した。この日、同じ高卒で2学年上の横田が引退を発表。登場曲を横田が使用しているゆずの「栄光の架け橋」に変更して登板し、持ち味を発揮した。  0-0の三回、先頭の乙坂に中前打を浴びるなど2死二塁。一打先制のピンチでロペスを打席に迎えたが、冷静に腕を振った。外角142キロ直球で遊ゴロに仕留め、無失点。主導権は渡さなかった。  四回2死から大和に右前打を浴び、柴田を迎えたところで2番手・能見に交代。71球の粘投でスコアボードにゼロを並べた。

◆阪神のオネルキ・ガルシア投手(30)が22日のDeNA戦(甲子園)の五回に3番手で登板。2018年4月18日の阪神戦(ナゴヤドーム)以来2度目、今季初となる中継ぎ登板となった。  先発の望月が3回2/3で降板。後を受けた能見が0回1/3を抑え、迎えた五回だった。クライマックス・シリーズ進出へ負けられない戦いで文字通りの総力戦で2位・DeNAにぶつかった。

◆阪神・鳥谷敬内野手(38)が22日、DeNA戦(甲子園)の五回に代打で出場し、先制の適時打を放った。  五回2死一、二塁で「代打・鳥谷」がコールされると、甲子園が大歓声に包まれた。2番手・バリオスの2球目、真ん中に入った144キロを三遊間へはじき返した。9月15日の巨人戦(東京ドーム)以来、出場4試合ぶりの適時打を記録。その後も1死満塁とし、D1位・近本の犠飛で2点目を奪った。

◆阪神・鳥谷敬内野手(38)が22日、DeNA戦(甲子園)の五回1死一、二塁で代打として登場。バリオスの2球目、真ん中に入った144キロをとらえ、左前へ先制打を放った。  試合後は今季限りでの退団発表後、初のお立ち台へ。大歓声を受け、「なかなか(お立ち台に)立つ機会がなかったので、懐かしい感じがしますね。本当にたくさんのファンの方が最後まで残ってくれて、うれしい限りです」と感謝した。  「(代打で)名前をコールされたとき、声援を感じていましたし、(その)声援に後押しされて、いいヒットを打てたと思います」  残り4試合、CS進出の可能性を残しているだけに「4試合、自分たちができることは全部勝つこと。選手全員でがんばっていきます」と力を込めた。

◆DeNAは2年ぶりのクライマックスシリーズ進出決定を間近にして3連敗となった。前夜21日、目の前で巨人に優勝を決められたチームの雰囲気は重く、阪神を上回る6安打を放ちながら、相手の細かい継投策の前に本塁が遠かった。  既に6年連続で負け越しが決まっている阪神戦は、1試合を残して15敗目となった。ラミレス監督は「負ける時もあれば勝つ時もある。それがたまたまタイガースというだけ」と話した。

◆能見が今季51試合目の登板を果たし、岩瀬仁紀(中日)が43歳シーズンの2017年に記録した40代最多登板を更新した。四回2死一塁で2番手として登場し、柴田を2球で右飛に。「一人だけやから」とサラリ。これで11日のヤクルト戦(甲子園)から登板4試合連続で無安打無失点と安定した救援を続けている。40歳にしてなお衰え知らずの左腕は「仕事ですから」と頼もしかった。

◆現役引退する横田に花束を渡した高山が躍動。2点リードの六回1死一塁で左前打を放ち、一、三塁と好機を拡大。梅野の適時打につなげた。「よかったです。苦しいことも多いけど、横田に比べたら全然...」。右翼の守備では三回、ソトの邪飛をフェンスに激突しながら、好捕。「普通です」と笑ったが、闘志あふれるプレーをみせた。

◆打って走って突破口を開いた。近本が新人歴代単独3位の156安打&セ最多の35盗塁目をマークした。  「カーブでカウントを取られていたので本当はカーブを(打って)つぶしたかったんですけど。しっかり真っすぐを振り抜けたのはよかったと思います」  チームとして無安打で迎えた四回1死。カウント2-1から低め145キロをとらえて右前へ。チーム初安打で出塁すると、続く福留の4球目で果敢にスタートを切り二盗に成功。赤星憲広が持つ39盗塁の球団新人記録まであと「4」とした。  五回1死満塁には2点目の左犠飛も。「最悪内野ゴロでもと。浅かったですが梅野さんがかえってきてくれてよかったです」。貴重な追加点を入れて勝利に貢献した。

◆藤川が九回を締めて今季15セーブ目。先頭の大和の遊ゴロを処理した木浪が一塁に悪送球し、無死一塁とされたが、柴田を空振り三振、代打・佐野を遊ゴロ併殺に仕留めた。今季、チーム100個目の失策を犯したルーキーを「いいんじゃない。いい勉強になるよ。うまくなってくれればいい」とかばった。これで通算919回で自責点は204。NPB通算防御率は2・00(1・99782)となり、1回1/3を自責点0に抑えれば、目標の1点台となる。

◆サンケイスポーツ専属評論家の野村克也氏が、まだ南海の現役バリバリのとき、静かに酒を酌み交わしながらシミジミと話してくれたことが今も強く印象に残る。  テスト生同然で1954年に南海に入団したときは契約金0円、月給7000円。合宿所の一番安い部屋代(食事付き)4000円。故郷の母への仕送り2000円。残りは1000円...。道具類は先輩のお古だった。  この頃、近所の米穀店でもらったカレンダーを合宿の自室にかけておいて、ヘトヘトになって部屋に帰りつくと、空腹と疲労で連日立っていられないほどだった。  「わずか部屋から数メートルの裏庭に出て、バットの素振りをするのも目がまわりそうだった」  しかも翌日2軍の試合に使ってもらえる保証もない。ええい...素振りは明日にして寝てしまおう...と思う。それでサボると、ノムさんはその日付のカレンダーに大きく「負け」と書いた。(自分に負けた...という意味だ)  「それをしんどいけど裏庭にバットを持って出て誰も見ていないのに黙々とバットを振った日は『勝ち』と書いた」(自分との戦いに勝った...という意味である)  それでも誰も注目していない2軍の控え捕手である。世間は巨人の超新人長嶋茂雄に大注目していた頃だ。ここから『ひまわりと月見草の戦い』はスタートした。  何が言いたいのかといえば、ノムさんはその時にカレンダーに書いたモノは"自分の心との戦い"だったのである。  なぜこんなことを書いたのか...といえば、1年前の9月22日、矢野2軍監督の元で若手ががんばってウエスタン・リーグで「優勝」し、49歳の指揮官は6度、由布の空に舞った。  この時、出発点となった高知・安芸2軍キャンプを取材した竹村岳記者は「矢野監督の実像」についてこう紹介している。  「午前8時から始まる安芸キャンプに監督は6時半にはグラウンドに現れて、毎日ガンガンとウエートレを行って、1日に何度も体重計に乗り...自己管理をストイックなまでにやる。そんな姿勢は選手の目を意識しているのかと思えばそうではなかった。監督は指摘されてハッとした。あくまで自分のためにしているトレーニングでも選手や記者諸氏がそういう姿勢をみてくれていることに目からウロコでハッとした」  それはあくまで練習は自分のためだが"信頼"を得るにはとても大切なこと。矢野監督は自分に起きることはすべてが勉強でそれを指摘してくれた竹村にも率直に感謝を示してくれたのだ。  その9月22日に2013年のドラフト2位で阪神に入団した横田慎太郎外野手が現役を引退した。この日の当番デスク澄田垂穂は「ナイスガイで誠実な選手。金本監督が就任した1年目、開幕スタメン入りして大型外野手として期待されたんですョ。残念でなりません」と悔しがっていた。  記者会見の最後に高山と北條がサプライズでかけつけて惜別の花束を贈った。  実は...矢野2軍監督がウエスタンVで"明日の若虎"たちによって胴上げされた1年前のこの9月22日、1軍はマツダスタジアムで13-4と快勝している。先発したのは藤浪晋太郎...。6回9三振四死球5。124球で失点4...。3連覇に手がかかっていた広島相手に踏ん張って4勝目...。  今年は...ヤボなことはいうまい。だが、我々はいつまでも"真夏の甲子園"の晋太郎の雄姿を忘れちゃいないのだ。  鳥谷はこの夜、灯をともすヒットを打っている。  ♪待てど 暮らせど こぬひとを 宵待草の やるせなさ...(竹久夢二)

◆――鳥谷の走塁はしっかりリードもしていた  矢野監督 「あれ後ろのランナーって遅れるのよ。スキというか、油断というか。無理せんでもいいかなっていう。あれをセーフになってやろうという意識とかを高めていないと、最後のスライディングの突っ込みもそうやし。準備の段階でたぶんトリのそういうものがないと、ああいうプレーにはならない」  ――鳥谷が出ると雰囲気が変わる。そこも期待  「どこででもそういう雰囲気は変えられる選手だと思うけど、もちろんそういう状況というか、場面を作ってくれたんでね。あそこでもちろんいい結果を出して、走塁でもそういう形でつないでくれたからこそ、あの浅い犠牲フライで帰ってくるっていうことにもなったと思うのでね」

◆残った、残った、残ったァ~! 御嶽海、優勝オメデトウ!! じゃなくて...あと1敗したらCSの夢が消える阪神が、本日も徳俵で残ったァ!!  先発の望月からはじまってローテ投手のガルシアまでリリーフに投入する7投手のまさに『攻撃は最大の防御なりの完封劇』の矢野采配に虎党は胸を熱くした夜です。「投げたらアカン」の近鉄の317勝投手・鈴木啓示の言葉を俺は本日の虎に重ねていたのだ。  代打で決勝タイムリーの鳥谷が、今季限りでタテジマに別れを告げるのは、正直寂しいけど、野球人として戦う、その戦意には拍手を送りたいと思う。  育成出身として球団初の60試合登板の島本。敗戦処理の短いリリーフから始まり、常に腕を振り続け、ついにここまでたどり着いた姿に感動した!!  そして、病気と闘いながら本日、現役引退を発表した横田慎太郎よ!! 人生ここから先の方が長いんだよ。「投げたらアカン!!」で虎OBのMVPに輝いたれー!! と、いうことで猛虎ナインよ、CS出場を最後の最後まで「投げたらアカン!!」

◆先発した4年目右腕、望月は四回途中3安打無失点で降板した。この日引退を発表した横田の登場曲「栄光の架け橋」を使用してマウンドへ。三回まで毎回得点圏に走者を許し、四回、2死一塁の場面で、能見にマウンドを譲った。「横田さんには寮でよくしてくれましたし、(登場曲を)お借りしました。こういう試合でもっと長いイニングを任せてもらえるような投手にならないといけない」と猛省していた。

◆木浪が九回先頭の大和の遊ゴロを悪送球。三遊間深めのゴロに素早く追いついたが、送球がショートバウンドになり、一塁マルテが捕球しきれず。「E」マークが表示され、チームとして今季100失策目となった。セ・リーグでは2014年のDeNA(114)以来5年ぶり。球団では00年に記録した101失策以来の不名誉な記録となった。

◆勝てば2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出が決定する試合に零封負け。阪神には今季15敗目となったが、ラミレス監督は「勝つこともあれば、負けることもあるのが野球」と冷静に受け止めた。23日は試合がなく、広島-中日(マツダ)の結果次第でCS進出が決まる可能性がある。しかし、指揮官は「次に向けて準備するだけ」と24日の中日戦(ナゴヤドーム)だけを見据えた。

◆球場がどよめく勝負手を打った。四回途中、矢野監督がベンチを飛び出した。2死から走者を出した先発・望月を降ろし、能見を投入。早々に継投策を選び、九回を7投手でつなぐ必死のリレー。今季10度目の完封勝利をつかみとった。  「ある部分ではもう思い切っていくしかないところもね。それぐらい俺らも追い込まれてる部分と、いくしかないっていうところがあるのでね。いくところはいきます」  22歳右腕は甲子園初先発。毎回走者を出す苦しい展開ながらも、三回まで0を並べた。しかし四回2死から大和に右前打を許して左の柴田を迎えたところで、指揮官が動いた。能見をコール。「もう僕らは後がないんでね。いけるだけいく、という気持ち」。ワンポイントリリーフとなった40歳のベテラン左腕は2球で右飛に仕留め、後ろに託した。  さらに五回はガルシアが登板。昨年の中日時代以来、約1年半ぶりの救援で「(阪神では)中継ぎで初めて投げるというところは、ちょっと不安もありましたけど」としながらも決断。期待に応えて0を並べ、勝利の方程式へとつなげた。  「横田があんな形でユニホームを脱ぐ。僕らは満員の甲子園でユニホーム着させてもらって野球をやれる。そういう思いもみんな、野手もピッチャーもつなげていくという気持ちはあったんじゃないでしょうかね」  指揮官の頭の中にも、無念の思いを胸にユニホームを脱ぐことになった横田の姿があった。1軍作戦兼バッテリーコーチとして阪神に復帰した2016年には開幕スタメンを勝ち取り、昨年は2軍監督として実戦復帰を目指しながら必死に汗を流してきた姿を見てきただけに、その思いをくまずにはいられなかった。  「相手は関係ないというか、目の前の試合を勝ってつないでいくだけなので、目の前の敵を倒しにいきます」  残り4戦。24日の巨人戦(甲子園)でもCS消滅の危機に置かれることは変わりない。矢野監督が必死のパッチで目の前の1勝をつかみに行く。 (大石豊佳) 五回に登板して、無失点。中日時代の昨年4月18日の阪神戦以来の中継ぎ登板で4勝目を挙げた阪神・ガルシア 「先発と同じような感じで、違和感なく投げられた。自分にも勝ちがついたが、チームの勝利に貢献できて良かった」 六回を無安打に抑えた阪神・岩崎 「また次しっかりやる」 61試合目の登板で七回を三者凡退に抑え、登板19試合連続無失点とした阪神・島本 「守り(先頭の柴田の深めの二ゴロを糸原が好守でアウトに)で助けてもらって、落ち着いて投げることができました」

◆阪神・鳥谷敬内野手(38)が、甲子園で今季初のお立ち台。最後まで笑顔はなかったが、大歓声の虎ファンに精いっぱいのメッセージを伝えた。  ――今年初の甲子園でのお立ち台。見る景色は?  「なかなかここに立つ機会がなかったので、懐かしい感じがしますね」  ――懐かしくて、いい風景?  「本当にたくさんのファンの方が残ってくれているので、うれしい限りです」  ――代打のとき、甲子園が割れんばかりの大歓声。聞こえていた?  「打席に入って名前がコールされたときにすごい声援を感じてましたし、その声援に後押しされていいヒットが打てたと思います」  ――打球がレフト抜けたときは、どんな思い?  「何とか北條がかえってくれたのでホッとしたというか、つなげてよかったと思いました」  ――今季限りでの退団を公表。毎日どんな思いで準備をして、試合に臨んでいるか  「たくさんのファンの方が自分が打席に入ったとき声援してくれている、その声を力に、毎日1打席だけですけど、そこに向かってしっかり準備しています」  ――甲子園という球場は  「プロに入ってからずっとこの球場で育ちましたし、思い出はたくさんあるので、そういう意味では特別な場所です」  ――最後にファンにメッセージ  「残り4試合。自分たちができるのは全部勝つこと。そこに向けて、選手全員でがんばっていきますので、最後まで応援お願いします」

◆まだ諦めん! 阪神・鳥谷敬内野手(38)が五回のチャンスに代打で登場し、左前へ先制打を放ち、2連勝を呼び込んだ。3位・広島と1・5ゲーム差と再接近。残り4試合。今季限りで退団する男の意地が、逆転クライマックスシリーズ(CS)へ上昇ムードに変えた。  割れんばかりの声援を背に受けて、背番号「1」が打席に立つ。鳥谷が三遊間を一閃すると、さらにボルテージが上がった。今季初の決勝打を放ったヒーローが「鳥谷コール」を受けて、今季初のお立ち台へ。帽子を取って大歓声に応えた。  「(お立ち台に)なかなか立つことがなかったので、懐かしい感じですね。打席に入って名前がコールされたときにすごい声援を感じましたし、この声援にあと押しされて、いいヒットが打てたと思います!」  両者無得点と緊迫した空気に風穴を開けた。五回1死一、二塁で代打で登場すると、先発・バリオスの甘く入った真っすぐを華麗に流し打ち。先制左前打で勝利を呼び込んだ。出場4試合ぶりの安打&打点を記録で、通算822打点目。元監督の岡田彰布に並ぶ球団歴代4位となった。  その岡田元監督は早大の先輩で、1年目の2004年の開幕戦で遊撃スタメンに鳥谷を抜てきした。リーグ優勝した03年、遊撃レギュラーには藤本敦士(現内野守備走塁コーチ)がいたが、「将来のタイガースを背負う選手。差別はしないけど区別はする」。通算2085安打も、そこから始まった。  打撃だけじゃない。適時打の後、木浪の遊撃への打球で二塁へスライディング。内野安打もアシストし、矢野監督も「打ったのもすごいけど、あの(二塁への)走塁の方が、すごいんじゃないかなと思う。ムードも結果も、すべてにとって大きいプレー」と絶賛した。  この日、脳腫瘍からの復帰を目指していた横田が引退会見を行った。横田が開幕スタメンを果たした16年に鳥谷は野手のキャプテンとして牽引。ともにプレーした弟分と試合前にあいさつを交わした。「すごい寂しい思いはある。でもまだ24歳。『いろんなことに挑戦していく』という話もしていたので、自分も挑戦していこうかなという思いをもらった。それがいい結果につながった」と新たなステージへ羽ばたく若虎から刺激も受けた。  それでもお立ち台で笑顔はなかった。8月末に球団からの引退勧告を受け、今季限りでの退団も決定。阪神のユニホームを着て1試合でも長くグラウンドに立つために、バットで勝利に貢献することしかない。この日も昼過ぎ、誰もいない甲子園の一塁側アルプスで階段を走り、そしてストレッチ。どんな逆境もルーティンは崩さない。  「残り4試合、自分たちができるのは全部勝つこと。そこに向けて、選手全員でがんばっていきますので、最後まで応援お願いします!」  3位・広島とは1・5ゲーム差。逆転でのCS進出へ。鳥谷の不屈の闘志が虎を勝利へと突き動かす。 (織原祥平) ★鳥谷ヒーロー缶バッジ発売で試合後大行列   試合後には球場外周に"鳥谷行列"ができた。甲子園での勝利後、球団はその試合のヒーローを独自に選定し「イチオシ缶バッジ」を発売するが、この日の人選は当然鳥谷。日付と写真がプリントされる限定品ということもあり、一塁側からレフトスタンドまで続く大行列。あまりのフィーバーだったため、25日からオンラインショップで異例の再販がされることも決まった。

◆DeNA・バリオスのリズムを狂わせたのが近本。四回、チーム初安打を放ち、続く福留の打席で二盗。ボディーブローのような効果で、五回の先制劇につなげた。  相手バッテリーをかく乱させることができる近本をいかに利用できるか。これが得点力不足解消へのポイントとなる。  足の速い近本が塁に出ている状況で、初球から振る構えを見せているのは福留ぐらい。もちろん近本の盗塁を想定しているのはわかるが、相手が変化球を投げにくいことを思えばクリーンアップは狙わないといけない。  今季の打線の低迷はクリーンアップを固定できなかったことに尽きる。4番として"特別扱い"されていた大山は来季、他の候補と横一線での競争になるだろう。練習するときは自分が一番下手だと思い、逆に打席に立つときは一番うまいと信じること。「石の上にも三年」という言葉があるように、死にものぐるいで3年間やれば、自信を取り戻すことができる。  どの選手にもいえることだが、プロである以上、原因はすべて自分にある。現状に満足してはいけない。勝つために、どうすればいいか。どん欲な姿勢を求めたい。(サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
75622 0.547
(↓0.004)
優勝
(-)
4647
(+3)
557
(+10)
177
(+1)
82
(-)
0.258
(-)
3.760
(↓0.05)
2
(-)
DeNA
70673 0.511
(↓0.004)
5
(-)
3585
(-)
597
(+3)
160
(-)
39
(+1)
0.246
(↓0.001)
3.920
(↑0.01)
3
(-)
広島
69693 0.500
(-)
6.5
(↑0.5)
2586
(-)
594
(-)
140
(-)
79
(-)
0.254
(-)
3.690
(-)
4
(-)
中日
66692 0.489
(-)
8
(↑0.5)
6540
(-)
523
(-)
87
(-)
63
(-)
0.264
(-)
3.730
(-)
5
(-)
阪神
65686 0.489
(↑0.004)
8
(↑1)
4517
(+3)
563
(-)
90
(-)
97
(+3)
0.250
(↓0.001)
3.540
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
58802 0.420
(↑0.004)
17.5
(↑1)
3649
(+10)
717
(+3)
166
(+2)
60
(-)
0.245
(-)
4.730
(-)