阪神(★4対5☆)ヤクルト =リーグ戦21回戦(2019.09.10)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
03100000015911
阪神
102100000041100
勝利投手:石山 泰稚(2勝2敗10S)
(セーブ:マクガフ(6勝3敗9S))
敗戦投手:ドリス(5勝4敗19S)

本塁打
【ヤクルト】バレンティン(31号・3回表ソロ)

  DAZN
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◆ヤクルトは1点を先制された直後の2回表、2死満塁から高橋に走者一掃の適時二塁打が飛び出し、逆転に成功する。その後は同点を許すも、延長10回に塩見が適時打を放ち、再びリードを奪った。投げては、5番手・石山が今季2勝目。敗れた阪神は、6番手・ドリスが誤算だった。

◆ヤクルトの4番バレンティンが31号ソロを放った。2点リードの3回2死走者なし。阪神先発秋山の3球目、低めの118キロカーブを捉え、バックスクリーン左までかっ飛ばした。 序盤でリードを広げる技と力の1発に「少し上がりすぎたかなと思ったけど、前でさばいた分、遠くに飛んでくれた」と振り返った。

◆阪神秋山拓巳投手が今季最短3回で降板した。先制した直後の2回、2四球などで走者をため2死満塁から投手の高橋に右中間に走者一掃の二塁打。 「7連戦の初戦を任せてもらったのに申し訳ないです。自分で招いたピンチで、やったらダメなことをやった。変化球を見極められることが多く、苦しくなってしまった」。今季はヤクルトに2戦2勝だったが、反省ばかりの3回4失点KOになった。

◆地鳴りのような歓声が甲子園に響く中、阪神鳥谷が5回に代打で登場した。4-4の5回2死一塁で、背番号1が打席に。ヤクルト高梨の初球143キロストレートを捉えるも、中飛に倒れた。 8月31日に今季限りでの阪神退団を表明してから、本拠地で試合に出場するのはこの日が初めてだった。4日DeNA戦(横浜)から8日の広島戦(マツダ)まで5試合連続で代打で登場したが、8月25日ヤクルト戦以来の安打はならず。1打席1球だけの登場を惜しむかのように、悲鳴にも似たファンの声がベンチに下がる鳥谷の背中を追いかけた。耳に残る大歓声を思い起こし「結果で応えたい気持ちはありました」と凡退を悔いた。

◆阪神が今季64敗目を喫し、球団通算5000敗を記録した。DeNA、オリックスに次いで史上3球団目。 3点を追う3回に中谷、原口の適時打で1点差にすると、4回には福留の犠飛で追いついた。しかし延長10回に6番手ドリスがヤクルト塩見に勝ち越し打を許して敗れた。 1935年(昭10)12月10日に大阪タイガースとして誕生し、初黒星は1936年5月1日阪急戦(甲子園)。日本一は1度、リーグ優勝は9度、最下位は過去12回味わうなど、通算成績は5309勝5000敗318引き分けで勝率は5割1分5厘。

◆ヤクルトは1点を追う2回に高橋の適時二塁打で3点奪取。3回にバレンティンの31号ソロで加点。阪神はその裏、2点を返した。 阪神が4回に追いついた。木浪の三塁打から1死三塁の絶好機をつくり、福留が中堅へ犠飛を放った。 阪神は7回に先頭マルテが出塁も1死一塁で大山が併殺打。9回には1死一、二塁のサヨナラ機の逃した。試合は延長に入った。 ヤクルトは延長10回2死三塁、塩見が決勝適時打を放った。5番手石山が2勝目。阪神はリリーフ陣が好投を続けていたが、6番手のドリスが崩れ4敗目。球団通算5000敗目を喫した。

◆阪神が最下位ヤクルトに延長戦の末に敗れ、自力CS進出の可能性が消滅した。先発秋山を3回であきらめ、早めの継投で勝利への執念を見せたが、10回にラファエル・ドリス投手(31)が決勝点を許した。3球団目となる通算5000敗。逆転CSを目指すチームにとって、痛恨の敗戦になった。執念の継投も実らず、矢野阪神がいよいよ追い込まれた。同点で迎えた延長10回2死三塁。6番手ドリスが途中出場の塩見に中前へはじき返された。勝ち越し点を許し、虎党からため息がこぼれる。接戦を落とし、3球団目の通算5000敗。同時に自力CSの可能性が消滅し、大きな節目となる敗戦になった。 逆転CSに望みをつなげるため、矢野監督は試合序盤に決断を下した。3-4と1点差まで追い上げた3回2死二、三塁。投手秋山の打席で上本を送り込んだ。結果は空振り三振に終わったが、指揮官は3回4失点と精彩を欠く先発右腕の交代を早々に命じた。7連戦の初戦であったが、その選択に迷いはなし。試合序盤からブルペン陣をつぎ込むという険しい道を選んだ。 指揮官の期待に応えたのは球界屈指のブルペン陣だ。4回から登板した2番手島本は、2安打を浴びながら5月29日巨人戦以来となる2イニングを無失点。3番手岩崎も許したヒットは村上の右安打のみ。バレンティン、雄平から三振を奪うなど全力で2イニングを投げ抜いた。8回はジョンソン、9回は藤川と鉄壁リレーでゼロのバトンを懸命につないだ。 もはやリミッターはない。この試合を含めシーズン残り15試合。ブルペンを預かる金村投手コーチは前日9日の投手練習後に「早めに先発を代える形にもなるのかなと思う」と予言していた。先発の立ち上がり次第では早めに見切りを付けて、強みであるブルペン勝負に持ち込む-。負けられない試合。強みを前面に押し出す戦い方の選択は、必然だった。 詰めかけた虎党のためにも、全力で戦い抜く。7連戦前に諦めない気持ちが重要か? と問われた矢野監督は「当たり前やろ。それしかできへん。そういう姿勢を見せるというのと、戦う気持ちというのを見せていくしかない。一戦必勝でいきます」と力強く話した。執念の采配となったが、延長戦の末に自慢の救援陣が崩れた。逆転CSの夢は幻になりつつある。

◆ヤクルトは途中出場の塩見泰隆外野手が感謝の決勝打で、小川監督と宮本ヘッドコーチの辞任決定後の初試合を制した。 10回2死三塁、ドリスの初球をたたきつけて中前に。「どんなボールがきてもバットに当てようと。まぐれです」と笑った。6月2日以来、3カ月ぶりの安打が貴重な一打。宮本ヘッドには「『期待してないからいつも通り振れ』と。技術だけでなく精神的なことも教わりました」。打率1割を切る中で起用してくれた小川監督にも「使ってくれて感謝しています」と話した。

◆チャンスメークに徹底した。阪神木浪聖也内野手(25)が2安打を放ち、先頭打者としての役割を果たした。 「1番として塁に出たのはいいこと。初回、大事なので。強い気持ちで臨めています」 まずは初回だ。ヤクルト先発高橋の7球目。フルカウントから内角146キロ直球を捉えて左前に運んだ。今季85安打目を放った社会人卒のルーキーは一塁ベース上で左拳をあげた。木浪が塁上で感情を表すシーンも板についてきた。 4回には同点の足がかりを作った。先頭で打席に入ると、内角にきた3球目の134キロフォークを流した。無風の甲子園の夜空に舞う白球は、どんどん伸びて左翼フェンス直撃。バレンティンが打球処理にもたつく間に、一気に三塁へ向かった。中継プレーの乱れもあり、スライディングした際に三塁手と交錯。セーフにはなったが、足を負傷。数秒間は起き上がることができなかった。矢野監督も一塁側ベンチから、心配そうな表情で駆けつけた。立ち上がり右足のレガースを外すも、屈伸ができずベンチへ。治療を終えると、歯を食いしばって再びグラウンドへ。残りは14試合。背番号0は気迫でプレーを続行した。 これで今季86安打。目標とするシーズン100安打まで、あと14本とした。71年ぶりの快挙にも手が届きそうだ。阪神の新人選手2人がシーズン100安打以上を放てば、48年の後藤次男(129本)、別当薫(114本)以来71年ぶり。近本はすでに142本放っており、記録達成は木浪のバットにかかっている。「記録もそうですけど、勝利につながる1本が打ちたい」と常々、話す、頼もしいルーキーは逆転CSを諦めない。【真柴健】

◆阪神福留孝介外野手が貴重な同点の犠飛を放った。1点を追う4回、先頭の木浪が左翼フェンス直撃の三塁打。続く近本が一ゴロに倒れたが、中堅への大きな犠飛で嫌な流れを断ち切った。 「早い回に追いついておきたかったので、最低限の仕事ができて良かったです」。9回1死の第5打席では右越え二塁打を放ち、サヨナラ機をつくった。だが糸原、大山が凡退し、延長戦でヤクルトに競り負け。「仕方ないです」と次の戦いを見据えた。

◆阪神の守護神藤川球児投手が9回を危なげなく抑えた。先頭の雄平を初球で二ゴロに仕留めるなど3者凡退。 「展開的にはどっちが1点取るか、非常に厳しい展開だった。やっぱりファイティングポーズは崩さず、ファンのため、お客さんのためにやっていくのは変わらない」。 8月11日広島戦(京セラドーム大阪)から登板した9戦連続無失点。これからも勝利のために守り続ける。

◆阪神近本光司外野手が1安打で、今季142安打とした。6回に左腕ハフの直球を左翼にはじき返した。残り14試合で、巨人長嶋茂雄のリーグ新人記録153安打を目指す。 その後、二盗失敗。足を折りたたみ、タッチをかいくぐったと自らリクエストをベンチに要請。それも実らず30盗塁目を逃した。「セーフだと思った。タイミングはアウトだったけど、少しでも可能性があると思って」と振り返った。

◆同点の8回に登板した阪神ピアース・ジョンソン投手も奮闘した。先頭の太田を152キロ直球で見逃し三振に仕留めると、青木も151キロ直球で空振り三振。続く山田哲には中越え二塁打を許したが、最後は4番バレンティンを宝刀パワーカーブで中飛に打ち取った。 チームは敗れ、試合後は「これも野球」と冷静に受け止めた。

◆「キナチカ」の奮闘も勝利に結びつかなかった。阪神木浪聖也内野手が攻撃の起点になった。初回に先頭打者として打席に向かい、フルカウントから内角146キロ直球を捉えて左前に運んだ。「1番として塁に出たのはいいこと。初回、大事なので。強い気持ちで臨めています」。チームに勢いを与え、糸原の先制打につながった。 4回には同点の足がかりを作った。先頭で打席に入ると、内角にきた3球目の134キロフォークを流した。左翼フェンス直撃の三塁打。スライディングした際に三塁手と交錯し、すぐに立ち上がることができなかった。矢野監督も一塁側ベンチから、心配そうな表情で駆けつけた。右足のレガースを外すも、屈伸ができずベンチへ。治療を終えると、歯を食いしばって再びグラウンドへ...。気迫のプレー続行で、福留の犠飛で本塁に生還した。 木浪はマルチ安打で今季86安打とした。ただ、8回の好機では凡退。「チャンスで打てなかったので、反省ですね...。(足は)全然大丈夫です」とチームの敗戦を悔やんだ。 木浪に負けず近本光司外野手も奮闘した。6回に左腕ハフの直球を左翼にはじき返した。8戦連続安打で今季142安打目。残り14試合で、巨人長嶋茂雄のリーグ新人記録153安打を目指す。その直後、二盗失敗。足を折りたたみ、タッチをかいくぐったと自らリクエストをベンチに要請。数分間のリプレー検証後にアウトの判定。「セーフだと思った。タイミングはアウトだったけど、少しでも可能性があると思って」と"幻のスチール"を振り返った。 木浪が100安打をクリアすれば、近本とともに新人2選手が大台に到達。球団71年ぶりの快挙になる。自力でのCS進出の可能性はなくなったが、「キナチカ」は最後まであきらめずに戦う。【真柴健】

◆阪神の必殺仕事人はこの日も健在だった。ピアース・ジョンソン投手が今季39個目のホールドを挙げ、リーグ単独トップの41HPとした。 6-3の8回に登板し、2三振を奪うなど打者3人を完璧に抑えた。ジョンソンは「今日は3点のリードがあったので、いつもより多少、余裕を持って仕事ができたよ」と笑顔で振り返っていた。

◆阪神先発の秋山は3回4失点と精彩を欠いた。1点を先制してもらった直後の二回、2死一、二塁で8番広岡と無理に勝負をせず、四球で満塁に。しかし投手の高橋に初球の甘い変化球を右中間へはじき返され、3点二塁打で逆転された。  その裏の打席ではバントに失敗。三回に2死からバレンティンに失投を本塁打とされ、直後の攻撃で代打を送られた。味方が追い付いて負け投手は免れたものの、「7連戦の初戦を任せてもらったのに長いイニングを投げることができず、チームに迷惑をかけてしまい、申し訳ない」と声を落とした。

◆ヤクルトは塩見が守備での途中出場から殊勲打を放った。延長十回2死でドリスから中前に運び、敵地甲子園での今季初勝利をもたらし「気持ち良かった。振ったら当たっただけ」とうれしそうに振り返った。  2死三塁でこの日初の打席に立った2年目の外野手は「余計なことを考えずに、どんな球でも当てようと思った」と初球の153キロを襲った。飛躍の期待を背負って臨んだ今季は、思うように活躍できず、安打も打点も6月2日以来だった。小川監督は「こういうのを自信にしてほしい」と願った。

◆オメデトウ~!! いや~、球団5000敗を飾るにふさわしい見事なまでのダメダメ負けっぷりの阪神バンザーイ...。と、俺はもうヤケクソになってるわー!!  秋山が二回2死満塁から投手の高橋に初球ど真ん中に放って走者一掃の二塁打を許すわ、三回2死走者なしから3球目を燕の4番・バレンティンにホームランされるわ! 延長十回2死三塁で追い込まれたら厳しいドリスに対して、若い塩見が早いカウントから振ってくるのは見え見えなのに、初球を打たれて決勝タイムリーって...。かつてノーヒットノーランを7度達成したメジャーのノーラン・ライアンが『ピッチャーズ・バイブル』という名著を出しているけど、秋山&ドリスの共著で『ピッチャーズ・トラブル』でも出して、反面教師にでもなりやがれってんだー!!  は~あ...。CSが...、鯉の尾ビレが遠ざかる...。さらに、虎の黒星同様にショックなのはヤクルトの小川監督と宮本ヘッドの退任なのだ!!  小川監督は燕の将として分かるが、宮本さんが責任を感じているなら、監督やれよ...。てか、野球の鬼がいなきゃ、プロ野球は衰退するでェ!!

◆--つないできたが、九回の攻撃で取り切れなかった  矢野監督 「まぁ九回だけじゃないよね。やっぱり点取るところで取れてないっていうのは、うーん...こういう試合になるよね」  --三回に秋山に代打。7連戦の初戦だったが  「まぁまぁそんなんいうてられへんしね。もちろん長く投げて欲しいし、もうね、そんなことはわかってることやけどいくしかないのでね」  --2番手以降は流れを呼び込んだ  「大きいよね。シマ(島本)と優(岩崎)かな。2イニングずついってくれたっていうのがこういう展開になったし。中継ぎ以降は自分の投球してくれたと思います」

◆暑い! なんですかこのク×がつく炎熱地獄...誰が悪いんですか。  「台風のせい...」  そんなことおへんえ。台風銀座とはいえ、さすがに台風も怒って、あきれて嘆いてますヮ。「今更、阪神の拙守と貧打は見飽きたヮ」と。  編集局はエアコンが効いてます。日本列島がほとんど猛暑日なのに、大阪・難波のサンケイビルは特にヒンヤリしてます。あ、これは何も、特にその部分だけ電気代をおしげもなくガンガンと...じゃないのです。  「ちょっと...そこの方、まだ試合が始まったばかりやのに静かにしてもらえません...」  振り向くと本日の編集総括(つまり編集の司令塔)の席でふくれっ面をしてたのが運動部長大澤謙一郎。あ、やっぱり...「やっぱりとはどういう意味ですか...」だと。どうも大澤が総括の時は阪神の勝率が悪いというサンスポ都市伝説は今夜もまた本当だった? 「え、何か...」いや何も言うてないョ。とにかく、空気銃打線じゃ心配やなぁ...てなギスギスした会話をしまして、前半でヤクルトは長打攻勢。四回まで二塁打が3、バレンティンの三回のホームランはドラコンのフルスイングみたいで、迫力が違った...。  試合前に編集委員三木建次がこんな電話をくれた。  「近本選手と少し話したんや。中日の大島洋平外野手が日本生命。阪神の近本選手が大阪ガス。共に左投げ左打ちの外野手なんョ。それもあって大島が近本にグラブをプレゼントしたんや。お互いに社会人出身で"頑張れョ"という思いがこもっとる。それで近本選手に大島選手の普段の心構えもちょっと話した。そやから今日は近本が活躍するかもしれんデ」  三木建次のいう心温まるユニークな絆と結びつきはちょいとうれしい。実際、近本も感謝していたそうである。  それでちょいと浸って思わず「今日は近本が打つかもしれんなぁ...」と甲子園の記者席と難波の編集局で手前ミソのやりとりをした。  文句と愚痴はいってみるものです。最近、このコラムはブツクサばかりいってるようだが、それは実は、この「虎ソナ」を書くためにパソコンを広げて、いざ...となると読者の皆さまもよくご存じのように試合前半から中盤にかけてほとんど点が入らない。それで負けたと思ってメソメソした原稿を書き始めると...あれ、アレレ...となんとなく点が入り...例えばこの夜ならやっとこさ4-4の同点となって、六回に2死から豪快な村上の一打はライトへ...ホラホラ始まったよと不安になったら岩崎が鮮やかなけん制でアウト! ピンチの芽を摘み取ったのだ。  つまりです。艶然とほほ笑む美女のごとく、ソノ気になると...ヒジ鉄。あきらめて店の外に出るとそそくさと追いかけてきて「また今度ねッ、ウフン」なんてしなだれかかって...虎党の鼻の下が伸びるんだなぁ。  ずいぶん気楽なことをいってるようだが、実は読者の皆さま、スポーツ新聞はあくまでも結果報道のメディアなんですよ。つまりどんなにイイ記事や紙面を作成しても、載っているのが九回2死までで、どっちが勝ったかわからないような紙面だと、新聞紙はメモ用紙にもなりません。  各部のデスクが編集総括席を取り囲み...殺気だってくる...その横で野球当番デスクの澄田垂穂のレ・ミゼラブル。  実は元阪神監督の解説者安藤統男氏(80)が30年以上続けてきたMBSの解説を今季限りで"勇退"されるそうで、ラジオ中継はこの試合が最後でした(テレビ解説は13日午前3時05分からの録画放送が最後)。気っ風のいい内野手で分析力もキリッとしてた。ああそれなのに勝利の花束はあと一歩で...。

◆2年目の塩見が4-4で迎えた延長十回2死三塁で決勝の中前適時打を放った。この日は敵地での試合だったが、俊足にちなんで本拠地・神宮での登場曲を「GIファンファーレ(東京競馬場、中山競馬場)」に変えたばかり。八回の守備から途中出場した26歳外野手は、「パドックでの状態が良かったです」と笑った。

◆D3位・木浪はマルチ安打でチャンスメークした。「1番として(塁に)出れたのはいいこと。継続していきたい」。一回に左前打で出塁すると、四回にも先頭でフェンス直撃の左翼線三塁打。スライディングの際に三塁手と交錯し、足を痛めて一時ベンチへと下がったが、すぐに戻ってプレーを再開。福留の犠飛で同点のホームを踏んだ。それでも2死二塁で迎えた八回に凡退し「チャンスで打てなかったのが反省です」と悔しさをにじませた。

◆鳥谷は今季限りでの退団を表明後、初めて甲子園の打席に立ったが、快音を響かせることはできなかった。同点の五回2死一塁で打席に立つと、2番手・高梨の初球、外角高めの143キロを打ち上げて中飛に倒れた。「結果で応えたい気持ちはありました」。これで8月29日に球団から引退勧告を受けて以降、これで6打席に立ち、5打数無安打1四球。6試合安打が遠ざかっており、14試合を残して打点もいまだ「0」のままだ。

◆藤川が4-4の九回、マウンドに上がった。雄平を二ゴロ、村上は空振り三振、続く中村も二ゴロに打ち取るとスタンドから大きな拍手と声援を受けた。だが、延長十回、ドリスが打たれて、好投は報われず。CS出場の可能性は厳しくなったが、守護神は「ファイティングポーズは崩さず、ファンのためにやっていくという気持ちは変わらない」と前を向いた。

◆D1位・近本は六回1死の打席でフルカウントまで粘り、8球目をしぶとく左前へ運んで今季142安打目とした。続く福留の打席で二盗を試みるも判定はアウト。「タッチはしていないと思ったので、リクエストをお願いしました」。審判団がリプレー検証したが、覆らず、三振併殺となった。「もうちょっと(走る)スピードがあれば」と反省した。

◆阪神のラファエル・ドリス投手(31)が延長十回、ヤクルト・塩見に勝ち越し打を浴びた。先発の秋山が3回で早々降板し、盤石のリリーフ陣で踏ん張ってきたが、昨季の守護神が踏ん張れず。3位広島と4・5ゲーム差。逆転でのクライマックスシリーズへの可能性が遠のいた。  まさか、とも言えないから困る。同点の延長十回を託されたドリスは、先頭の広岡を右前打で出塁させたところから"やはり"やられた。四回から決死の継投でゼロを並べてきたが、元守護神の背信投球で痛恨黒星だ。  「こういう展開で投げさせてもらっている以上、自分の責任です」  今季4敗目(5勝、19セーブ)を喫した剛腕助っ投。試合後のクラブハウスへと続く通路も、うつむき気味に立ち止まらず通り過ぎた。  文字通りの「総力戦」だった。矢野監督は3回4失点の秋山をキッパリとあきらめ、1点を追う四回から自慢のリリーフ陣を投入。島本が2回を0封する間に、四回には福留が同点犠飛。さらなる一本を待ち、岩崎も六回から2回をゼロでつないだ。八回はジョンソン、九回は藤川が堂々と「0」を刻み、鮮やかに延長戦まで持ち込んだ。将も「大きいよね。中継ぎ以降は自分の投球をしてくれた」と振り返ったが、ドリスだけは悪夢に引きずり込まれた。  先頭の広岡に右前打、続く代打・奥村に犠打を許して1死二塁。苦手なバント処理をこなしてホッとする間もなく、太田の二ゴロでさらに2死三塁とされた。続く2番は、先発の青木はすでに退き、伏兵の塩見だったが...。初球を捉えられた。ワンバウンドしてドリスの頭上を抜けた打球は、小気味よくはずんで中前へ-。決勝適時打を浴びてしまった。登板2試合連続失点。再昇格してきた7月下旬からの登板12試合では6度目の失点。かつて守護神として放ってきた輝きは、もうそこにはなかった。  今季は4度のセーブ失敗もチームに痛手をもたらした。とにかく先頭を出塁させると弱い。今季は49度の登板(イニングまたぎ1度、回途中からの登板1度)で、イニングの先頭打者49人と対戦したが、うち17人を出塁させた。そして、その17度のうち8度で失点している。こうなってしまうと、緊迫した局面は託せない。  後半戦の防御率は5・25。来季の契約へ影響しかねない。盤石のリリーフ陣だけに、唯一にして最大のほころびに、現状なってしまっている。 (長友孝輔) 2番手として四回から2イニングを無失点で切り抜けた阪神・島本 「いつも通りです。(2イニングは)全然あるかなと思っていました」

◆阪神が最下位ヤクルト相手に延長十回に競り負け、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。史上3球団目となる通算5000敗。矢野燿大監督(50)が開幕から主砲として期待をかけてきた大山がブレーキ。このままでは来季の4番すら見えない。  就任1年目で最大の期待をかけてきた男に、またしても泣かされた。大山がサヨナラのチャンスで凡退したことが響き、痛恨の延長負け。矢野監督が自力CS消滅&球団通算5000敗という憂き目にあった。  「まぁ九回だけじゃないよね。やっぱり点取るところで取れてないっていうのは、うーん...こういう試合になるよね」  今季を象徴するシーンだった。九回2死一、二塁で打席には大山。サヨナラ勝ちの夢を、誰もが思い描いた。しかし虎党の期待とともに膨らんだジェット風船は、ため息とともに飛んでいった。内角高めの直球に詰まって捕邪飛に終わった。  再三の得点機でブレーキとなった。1点先制した直後の一回1死満塁では6球連続ファウルで粘った後、外角の直球に見逃し三振。いけいけムードをしぼませた。1-4とされた三回2死一塁からは左前打でつないで反撃したが、4-4の七回1死一塁の勝ち越し機では遊ゴロ併殺。3度走者を置いての凡退で5打数1安打に終わった。試合後は報道陣の問いかけに歯を食いしばり、無言でクラブハウスへ引き揚げていった。  待望の生え抜きの4番を育てる-。就任1年目の指揮官も虎の至上命題を胸に「変えるのは簡単」と105試合目まで4番に置き、120試合目まで先発に名前を書き続けた。育てるためには我慢が必要。信念を貫いていたが、勝利を優先。その経験を生かすことを願っていることは変わらないが、このままでは来季につなげられるものがなくなってしまう。球団は助っ人外国人の獲得を進めるが、4番の姿が見えてこない。  「(引きずらないこと)そうするしかないし前向いてやるしかないんでね。前向いてやります」  残りは14試合で3位広島に4・5差に広げられ、自力CSが消滅した。史上3球団目となる通算5000敗の不名誉とともに、矢野虎2年目への希望の灯火すら消えかかっている。 (大石豊佳) 好機で打てなかった大山について阪神・清水ヘッドコーチ 「一生懸命やっているので責めることはない。チャンスで、なんとか(走者を)かえせるバッターになってほしい」

◆今こそ、闘将になれ! 観戦したサンケイスポーツ評論家の板東英二氏(79)は、クライマックスシリーズ(CS)進出をかけた大一番で、プレーボールから相手に襲いかかるような気迫を感じられなかった阪神に苦言。残り14試合、矢野燿大監督(50)には、自身の中日時代の後輩であり、矢野監督の恩師である星野仙一氏のように、闘志を体全体で表してナインを引っ張ってほしいと期待した。  残念な試合でしたね。わたしはこの試合が、CS進出をかけた大一番と見ていました。7連戦の初戦で、相手はCS進出の可能性がゼロの最下位チーム。もう、負けたら終わりというくらい大事なゲームです。しかも舞台はトーナメントのメッカ、甲子園ですよ。  なにが残念って、試合の"入り"です。ヨーイドンから、どう相手に襲いかかっていくか。序盤を一番、注目していましたが...。首の皮一枚がちぎれそうなときに、選手がおとなしいなんて、おかしいでしょう。  秋山はこの日は真っすぐの球威がなさすぎて、あれでは厳しい。なにより俺がCSに連れて行ってやる! という"ほとばしるもの"を感じませんでした。マウンドに立てば誰もがエースです。しかし、そんな覇気が伝わりませんでした。  一回の攻撃も、そうです。1点を先制し、なお1死満塁。ここで一気に試合を決めるくらいでないといけないのに、大山はボール球を何度も振った上、見逃し三振。中谷もカウント3-1から低めのボール球を振って右飛。崖っぷちに立つチームの攻撃とは思えませんでした。しかも試合を通して、ここは四球でもいいからもぎ取れ、という場面で、ボール球を振るシーンが何度も...。  これで、かなり厳しい状況になりました。残り14試合、この空気をブチ破るには、矢野監督が先頭に立って気迫を見せるしかないですよ。最近ベンチでも、表情が暗く感じます。今こそ「星野仙一」的な部分を、出していってほしいのです。  パフォーマンスでもいい。グラウンドに飛び出して、審判に食ってかかったり。星野は、そういうことがうまかった。言葉だけでなく、体全体で闘志を表してほしい。シーズン終盤、4位と最下位の試合でこれだけお客さんが入っているんです。すごいことですよ。おとなしい虎なんて誰も見たくない。矢野監督がナインに火をつけて「猛虎」になってほしい。わたしが言いたいのは、それだけです。 (サンケイスポーツ評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
70562 0.556
(↑0.004)
M9
(-)
15601
(+4)
507
(+2)
163
(+2)
74
(-)
0.259
(-)
3.700
(↑0.01)
2
(-)
DeNA
66623 0.516
(↓0.004)
5
(↓1)
12539
(+2)
548
(+4)
146
(+2)
37
(-)
0.244
(↓0.001)
3.860
(↑0.01)
3
(-)
広島
67633 0.515
(↑0.003)
5
(-)
10553
(+3)
550
(-)
132
(+2)
76
(-)
0.254
(-)
3.600
(↑0.02)
4
(-)
阪神
59646 0.480
(↓0.004)
9.5
(↓1)
14481
(+4)
525
(+5)
84
(-)
86
(-)
0.251
(-)
3.540
(-)
5
(-)
中日
60662 0.476
(↓0.004)
10
(↓1)
15502
(-)
500
(+3)
81
(-)
61
(-)
0.265
(-)
3.830
(-)
6
(-)
ヤクルト
53762 0.411
(↑0.005)
18.5
(-)
12594
(+5)
667
(+4)
151
(+1)
56
(-)
0.244
(↑0.001
4.670
(↑0.01)