阪神(★3対4☆)巨人 =リーグ戦11回戦(2019.07.08)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
巨人
1001010104911
阪神
01100010031211
勝利投手:大竹 寛(2勝0敗0S)
(セーブ:マシソン(0勝0敗1S))
敗戦投手:ジョンソン(2勝1敗0S)

本塁打
【巨人】大城 卓三(4号・6回表ソロ)
【阪神】坂本 工宜(2号・2回裏ソロ)

  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 巨人戦チケット予約
◆巨人が接戦を制した。巨人は2-2で迎えた6回表、大城のソロで勝ち越しに成功する。同点を許した直後の8回には、陽の適時打が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、3番手・大竹が今季2勝目。敗れた阪神は、打線が相手を上回る12安打を放つも、つながりを欠いた。

◆巨人菅野智之投手(29)は甲子園で通算9勝2敗。今季も4月19日に白星を挙げ、プロ1年目から7年連続で勝利している得意球場だ。 今日勝てば通算42勝の東京ドームに続き2球場目、敵地では初の2桁勝利となる。

◆巨人が初回、大城の適時打で1点を先制。阪神は2回に坂本の2号ソロで追いつき、3回に坂本の適時打で2-1と勝ち越した。 巨人は4回2死二塁から菅野の中越え適時二塁打で同点。6回には大城が4号ソロを放ち、3-2と勝ち越した。巨人は8回、阪神ジョンソンの一塁けん制悪送球から好機をつくり、陽の適時打で勝ち越し。阪神の連勝は3で止まった。

◆巨人が初回、大城の適時打で1点を先制。阪神は2回に坂本の2号ソロで追いつき、3回に坂本の適時打で2-1と勝ち越した。 巨人は4回2死二塁から菅野の中越え適時二塁打で同点。6回には大城が4号ソロを放ち、3-2と勝ち越した。 巨人は8回、阪神ジョンソンの一塁けん制悪送球から好機をつくり、陽の適時打で勝ち越し。阪神の連勝は3で止まった。巨人大竹は2勝目。阪神ジョンソンは来日初黒星。

◆巨人の5番大城卓三捕手が先制適時打、勝ち越し4号ソロと2打点を挙げて勝利に貢献した 。同点の6回は無死から阪神西のスライダーを右翼席へ。 「とにかく塁に出たかった。積極的にいけたのがいい結果につながりました」と喜んだ。

◆阪神西勇輝投手(28)が6回6安打3失点と試合を作ったが、約2カ月ぶりの白星はならなかった。親交のある巨人菅野と初対戦。粘り強い投球で宿敵のエースに対抗した。 菅野が力強い直球を投げ込むたびに、西は緻密なコントロールを見せた。「なんとかまとめられた。坂本もシーズン中、しっかり自分のピッチングを見ていてくれたと思うし、ポイントを引き出してくれて、押すところは押していけた」。初回2死一、二塁で1点を失ったが、2回は下位打線を3者凡退。直後の女房役坂本の同点本塁打を呼び込んだ。 それでも勝利への壁は高かった。1点リードで迎えた4回2死二塁、打席に立ったのは菅野だった。スライダー2球で追い込むも、3球目の真ん中に入った直球を捉えられ、同点の中越え二塁打を許した。 西にとって1歳上の菅野は師匠とも呼べる存在だ。始まりは15年11月。2人は侍ジャパンに選出され、プレミア12に出場。親交を深めた。16年オフから4年連続で、菅野が行う米ハワイでの自主トレに参加。阪神に移籍し、同じリーグとなった今オフも、約1カ月間汗を流した。これまで菅野からは、さまざまなアドバイスを受け実践してきた。 防御率2・87ながら、5月10日の中日戦(甲子園)以来勝ち星が遠ざかる。それでも下は向かない。「最低限はできたかなと思う。坂本のリードが光ったと思う」。最後まで仲間の好プレーをねぎらった。【磯綾乃】

◆阪神・原口の同点打も勝利には届かなかった。 1点を追う7回1死三塁で代打として登場。巨人投手が田口から大竹にスイッチされたが、しっかりと中犠飛を打ち上げた。「1点欲しい場面で、最低限の仕事はできた」。6月16日以来の打点となったが勝負強さは相変わらず。 ただ、チームが敗れたとあって「勝ちにつなげていきたい」と話していた。

◆原の勝負手に、元とび職人が持ち味のスピードで応えた。巨人の韋駄天(いだてん)増田大輝内野手(25)が、同点の8回1死一塁から4番岡本の代走で登場。けん制悪送球で二塁に進むと、三盗でチャンスを広げ、陽岱鋼の三遊間への当たり(記録は左前打)で好スタートを切って決勝のホームを踏んだ。先発菅野が7回途中3失点で降板する中、脇役の活躍で連敗阻止。日替わりヒーローの登場で、貯金を再び15とした。じりっ、じりっと飛び跳ねた。同点の8回1死二塁。二走の増田大が阪神ジョンソンのセットポジションの隙を盗み、リードを広げた。投手が左足を上げるコンマ何秒前にフライングスタート。「ジョンソンはクイックが速い時と遅い時がある。三盗はあれぐらいのタイミングじゃないと難しい」。捕手が投げるまもなく、三塁へ到達。元木三塁コーチと右拳を合わせた。陽岱鋼の三遊間のゴロにもギャンブルスタート。決勝のホームを踏みしめた。 指揮官の勝負手に応えた。中前打を放った4番岡本の代走で出場。50メートル5秒9の足で圧をかけ、一塁けん制の悪送球を誘った。かつて代走の切り札として活躍した鈴木外野守備走塁コーチばりの快走に、原監督からも「まさか1アウト三塁のシチュエーションをつくってくれるとは。見事なピンチランナーですね」と称賛された。 晴れ舞台で輝くまでに回り道もした。徳島・小松島高から近大に進学も2年で中退。野球をやめて地元に帰り、建設会社でとび職人として働いた。それでも野球への情熱は消えなかった。妻優香さんと2人の子どもを徳島に残して東京に単身赴任。17年に支配下登録をつかんだ。 先輩の思いも力にした。昨年3月、当時チームメートだった広島長野からマスコットバットを借りた。返却の電話を入れると「使っていいよ。足りなくなったら、また言ってね」とまさかの返答。プレゼントされた「CHONO 7」と記された87センチ、950グラムの1本を大事に振り込んだ。成果は数字に表れ、今季は2軍で打率3割5分8厘をマーク。持ち味の堅守と俊足に打棒も評価され、甲子園での4月19日阪神戦で1軍デビューを果たした。 ヒーローインタビューでは「家族のおかげで今の僕がいるので、少しずつ恩返しできるように頑張ります」と言葉を並べた。思いはきっと届いたはず。度胸満点の仕事人が足で白星を稼ぎ出す。【桑原幹久】

◆代役捕手に、2年ぶりのビックリ弾が飛び出した。1点を追う2回2死。阪神坂本誠志郎捕手(25)が会心のフルスイングを見せた。巨人菅野が投じた内角への146キロ直球を捉えた。打球は左翼席へ一直線。スタンドに歓喜と驚きの声が交錯した。甲子園では17年9月8日DeNA戦以来、668日ぶりの1発となる今季2号ソロ。「球界を代表するピッチャーなので、受けるのではなくて早めに振っていこうと」。大胆にバットを振った。ベンチ前では矢野監督が「矢野ガッツ」ではなく、首をすくめた驚きのポーズで出迎えた。 巡ってきたチャンスで結果を残した。7日の広島戦で梅野が左手首を負傷し、この日は先発メンバーから外れた。下位打線の起用にも、菅野の隙を突くように「8番を打ってて(代役の自分は)なかなか対戦することのないバッター。何かを起こしてやりたいなという気持ちはあった」。同点の3回2死一、三塁では内角シュートを中前へ運んで一時勝ち越しの適時打。7回にも3番手大竹から右前打で甲子園弾と同じ668日ぶりでプロ3度目の猛打賞。バットで存分にアピールした この日は坂本にとって、今季4度目のスタメンマスク。公式戦で初めてバッテリーを組む先発西とグラウンド入りから寄り添い、話し合う姿があった。救援陣までをリードしたが1点差の惜敗。「粘っていきましたけど、勝ちたかった。勝つという結果が一番で、そこに求められていることをやるのが仕事だと思う。何とか次、勝てるように。もう1回準備したいと思います」。自らの活躍よりもチームの負けに悔しさをにじませた。 矢野監督は坂本のバットに「びっくりするような打撃を見せてくれた」と評価するも、リード面には「西の点の取られ方はちょっと悔いが残る」と課題も挙げた。代役での活躍に「もちろんチャンスは増える。チームとしても層は厚くなる。そういう存在はしっかり見せてくれたと思う」と今後に期待をかけた。【奥田隼人】   ▼坂本の猛打賞は、17年9月2日中日戦、同8日DeNA戦に続きプロ3度目。この3試合すべてで本塁打を放っている。 ▼本塁打は今季2本目で、4月4日巨人戦以来。今季巨人戦3試合に出場し、打率4割4分4厘(9打数4安打)の好成績。

◆巨人スコット・マシソン投手が、通算400試合登板を今季初セーブで飾った。 1点リードの9回に登板。2四球で2死一、二塁のピンチを背負ったが、マウンドでゲキを飛ばされた原監督の起用に応えた。「投手として、ああいう場面で投げられるの最高の気分。(400試合は)今年のひそかな目標だった。勝利に貢献できて良かった」と話した。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が2本の二塁打で好機をつくった。 1回2死一、二塁の第1打席は見逃し三振に倒れたが、3回1死走者なしの第2打席に左中間二塁打。その後、一時勝ち越しとなるホームを踏んだ。 1点を追う7回の先頭打者としても右中間二塁打。「チームが勝てるように仕事をしていきたい」とバットで勝利を呼ぶことを誓っていた。

◆阪神近本光司外野手が最後の打者になった。 1点を追う9回2死一、二塁でチームの期待を背負って打席に立つも、巨人マシソンの前に二ゴロに倒れた。 2回の左前打で6試合連続安打をマークするも「1本出たからいいとかではない。チャンスで打つ、チャンスメークするのが仕事ですから。そういうところで結果を残していきたいです」と表情を引き締めた。

◆阪神が痛恨の1敗を喫した。同点で迎えた8回にピアース・ジョンソン投手(28)がけん制悪送球や三盗でピンチを招き、決勝点を失った。巨人の足技にペースを乱され、信頼のセットアッパーが来日初黒星。首位巨人とのゲーム差は再び「7・5」に広がった。前半戦は残り2試合。宿敵にこれ以上、離されるわけにはいかない。命綱が切れた。阪神が足攻めに屈して、悔しい敗戦を喫した。開幕から33試合目。 ついに鉄壁のセットアッパー、ジョンソンが来日初黒星となった。矢野監督は8回に勝ち越し点を許した助っ人右腕を「対戦が多くなってきたら、そういうスキみたいなものを突いてくるのは、いい経験。1年間戦っていけばこういうこともある」とかばった。 暗転したのは同点に追いついた直後の8回1死一塁。巨人原監督が送り込んだ刺客にジョンソンがしてやられた。中前打の岡本に代走増田大。快足のスペシャリストに翻弄(ほんろう)される。一塁にけん制球。立て続けの2球目だった。一塁陽川のグラブをかすめて、白球はファウルゾーンを転々とする悪送球。その直後、初球を投じると二塁に立つ増田大に完全にモーションを盗まれた。走者を警戒しきれず、痛恨の三盗を許してしまった。 瞬く間に1死三塁と絶体絶命のピンチを招く。内野は前進守備。陽岱鋼のボテボテのゴロは遊撃植田の正面へ。だが、三塁走者増田大はゴロゴーの猛スタートを切る。ギリギリのタイミングで植田が逆シングル捕球を試みたが後逸。適時内野安打で、勝ち越されてしまった。実に5月15日巨人戦(東京ドーム)以来、13試合ぶりの失点となったがジョンソンは前を向いた。 「これが野球だ。状態は悪くなかった。結果的にああなったが、悪くはなかった。まだ、たくさん試合がある。気持ちを新たに頑張っていきたい」 コンディション不良で6月の交流戦を離脱したが大車輪の働きだったのがPJだ。試合前まで32戦で驚異の防御率0・56が物語る。セ・リーグ3位タイだった12試合連続ホールドで止まり、痛恨の1敗となった。 指揮官は「今日負けてめちゃめちゃ悔しい。頭もウチとしては絶対取りたい試合やった。悔しいけど、明日、あさって何とかリベンジをね」と顔をしかめた。勝てば9年ぶりの巨人戦5連勝だったがストップ。令和初のG戦黒星でゲーム差は再び7・5に開いた。前半戦の勝ち越しもお預けとなった。もう離されるわけにはいかない。球宴まで残り2試合に死力を尽くす。【酒井俊作】

◆巨人菅野智之投手が、粘りの投球で6回0/3を3失点に抑えた。 「特別な感情はあります」と4年前から米ハワイで自主トレをともにする1学年下の阪神西と初の対決。毎回の11安打を浴び、走者を背負いながらの投球だったが、僅差の展開に持ち込んだ。「粘ったと言えば粘ったかもしれませんが、不用意なボールもありましたし、反省しないといけないです」と振り返った。 バットでも、先輩の意地を示した。1点を追う4回2死二塁、2ストライクからの直球をはじき返し、中越えの同点適時二塁打を放った。「何とかしようと。気持ちを出していかないと」と執念で振り抜いた。ともに3失点、バットでも1安打ずつで勝敗も付かなかったが、初対戦を「西も丁寧に投げていて、すごくいい時間だったと思います」とかみしめた。

◆阪神が痛恨の1敗を喫した。先発西が6回3失点と粘るの投球を見せたが、8回にジョンソンが乱れ、決勝点を失い今季初黒星を喫した。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -菅野から3得点で攻略した まあ攻略...。もちろんたくさんヒットは打ったし、攻めていったなかでの結果やから。そういう気持ちをみんな持って戦ってくれたと思うし。それは受け止めないとダメかな。 -ジョンソンが失点だ もちろん、いままで頑張ってくれている。負けて痛いけど、いままでジョンソンにだいぶ助けてもらっている。1年間戦っていけばこういうこともある。それをカバーしていけるようにやっていくしかない。ある意味、そこも受け止めて。 -8回のピンチで植田は間一髪捕れなかった あそこはしゃあない。止まって止めてもしゃあないしさ。アウトにするためには攻めていってホームに投げるしかないから。全然、しゃあない。アウトにしようという気持ちだった。 -2回の攻撃は、もう1点欲しかった まあまあ、ねえ。それも言い出したら、絶対、そういうこともあると思う。それも明日、やり返してくれるんじゃないかな。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(28)が8日の巨人戦(甲子園)で先発落ち。前日7日の広島戦(同)でファウルを放った際に痛めた左手首の痛みが引かず、試合前も打撃練習を行わなかった。  「1日じゃきつかった。(室内でも打撃練習は)ない。ちょっと安静にしておきます」  ここまで78試合に出場し打率・270、7本塁打、35打点と攻守に虎を引っ張ってきた。5日の広島戦に続き、今季4度目の先発落ち。清水ヘッドコーチも「あまりよくないみたい。悪くならないようにするための処置」と説明した。代役は坂本が入り「8番・捕手」で先発マスク。今季初めて、西とバッテリーを組むことになった。

◆巨人は8日、阪神11回戦(甲子園)を戦う。試合に先立って先発メンバーが発表された。先発は巨人が菅野、阪神が西。菅野にとって西は自主トレをともにする1歳下の"弟分"にあたり、初の投げ合いが実現。炭谷とのバッテリーで3連戦の初戦の勝利を狙う。体調不良の若林は欠場し、前日と同じく山本が起用された。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(25)が8日の巨人戦(甲子園)に「8番・捕手」で先発出場。二回に菅野から左翼へ同点の2号ソロを放った。  正捕手の梅野が前日7日に左手首痛を発症。この日の先発を外れたため、5日の広島戦(甲子園)以来のスタメンマスクとなった。0-1の二回2死で回ってきた第1打席。1ストライクから2球目、内角146キロを振り抜いた。打球は快音を残して左翼席へ。4月4日の巨人戦(東京ドーム)以来の一発で試合を振り出しに戻した。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(25)が8日の巨人戦(甲子園)の三回2死一、三塁から勝ち越しの中前適時打を放った。  1-1で迎えた三回。2死一、三塁で打席に入り、カウント1-1からの3球目。内角低め143キロを中前へはじき返した。二回には同点ソロも放っていたが、さらにこの日2打点目を挙げて先発・西を援護した。

◆阪神・西勇輝投手(28)が8日の巨人戦(甲子園)に先発し、2-1の四回に菅野に同点適時打を許した。  2死二塁で菅野を打席に迎え、2ストライクと追い込んでからの3球目だった。外角低めを狙った直球が真ん中に入り、中越えの適時二塁打に。2-2と同点に追いつかれた。

◆巨人・大城卓三捕手(26)が8日、阪神11回戦(甲子園)に「5番・一塁」で先発出場。一回2死一、二塁の第1打席に、先制の中前適時打を放った。  相手の先発右腕・西が投じた初球を捉えると、打球は二遊間を抜けた。先発の菅野は、東海大相模高、東海大の先輩。エースを援護する一打となった。

◆巨人・菅野智之投手(29)が8日、阪神11回戦(甲子園)に先発。三回までに2点を失ったが、自身のバットでカバーした。  四回2死二塁で打席が回ると、相手の先発右腕・西が投じた139キロの直球を一閃。中越え二塁打となり、同点に追いついた。

◆阪神・西勇輝投手(28)が8日の巨人戦(甲子園)に先発し、2-2の六回に大城に勝ち越し弾を献上した。  六回先頭で打席に大城を迎え、初球142キロを振り抜かれた。打球はぐんぐん伸びて右翼席へ。一回に先制打を許していた相手にまたしても手痛い一打を浴びて、2-3と勝ち越しを許してしまった。

◆阪神・西勇輝投手(28)が8日の巨人戦(甲子園)に先発し、6回6安打3失点で4勝目をつかむことはできなかった。  自身初となる巨人・菅野との投げ合い。勝てば巨人戦初勝利のマウンドで試合はつくったものの、粘りきれなかった。  五回までで86球を要しながらも2-2と踏ん張った。しかし六回、先頭の大城に右翼へ4号ソロを運ばれ、勝ち越し点を献上。マウンド上で悔しさをにじませた。  七回からは2番手・能見が登板。これで西は5月10日の中日戦(甲子園)以来、登板8試合白星なしとなった。

◆阪神・原口文仁捕手(27)が8日の巨人戦(甲子園)の七回1死三塁で代打で出場し、中堅へ同点犠飛を放った。  2-4の七回。先頭のマルテが中越え二塁打で好機を演出すると、高山の投前犠打で1死三塁。木浪に代わって代打・原口がコールされると、甲子園が大歓声に沸いた。  2ボール1ストライクからの4球目、外角132キロをフルスイング。打球は中堅への飛球となり、マルテの代走で出ていた三走・植田がホームインした。  原口はこれで代打成績は8打数3安打3打点、打率・375となった。

◆阪神のピアース・ジョンソン投手(28)が8日の巨人戦(甲子園)の同点の八回に登板し、1死三塁で陽岱鋼に遊撃へ適時内野安打を浴びた。  打線が同点に追いついた直後の八回に3番手として登板。先頭の丸を空振り三振に斬って1死としたが、続く岡本に中前打を許して1死一塁。陽岱鋼を打席に迎え、一塁へのけん制がそれて暴投に。自身初失策で進塁を許すと、陽岱鋼への1球目で、代走として塁に出ていた増田大が三盗を決めて1死三塁に。その後陽岱鋼に遊撃のグラブをはじく適時内野安打を許して3-4と勝ち越されてしまった。  ジョンソンが失点するのは5月15日の巨人戦(東京ドーム)以来、14試合ぶり。それでも後続は冷静に連続三振で断ち、1失点で踏ん張った。

◆"師弟"対決は、ともにピリッとしない展開となった。今季、FAで阪神に移籍した西にとっては、8日の巨人戦(甲子園)は4年前から自主トレをともにしている先発・菅野とは初の投げ合い。背番号「16」は相手エースが打席に立つと、笑みを浮かべながら真っ向勝負を挑んだ。  「先頭打者とかヒットを打たれた後の連打とか、そういうところに気をつけたい」  試合前日にそう話していたように、首位を走るG打線を警戒していたが...。一回からいきなりピンチを招いた。2死から3番・丸、4番・岡本に対し、連続四球。自ら得点圏に走者を置くと、大城に初球の外角への直球を中前に運ばれて、あっさりと先制点を許した。  これで登板10試合連続で先制点を献上。今季は15試合のうち12試合で先制を許しており、またも先手を打たれる形となった。  それでもバットでは、師匠から「H」のランプを灯し、意地を見せた。同点に追いついた直後の二回2死で打席に立つと、2-1からの4球目、甘く入った137キロの変化球を中前へ。その後、満塁へと好機が拡大したが、得点にはつながらなかった。  巨人戦は今季2度目で、4月21日(甲子園)では7回4安打2失点で敗戦。オリックス時代を含め、ここまで通算5試合登板し、0勝3敗、防御率5・34。5月10日の中日戦(甲子園)で今季3勝目を挙げて以来、7試合白星から遠ざかっている。  リードした直後の四回には、2死二塁で菅野に中越えの適時二塁打を許し、同点とされた。さらに六回には大城にこの日2打点目となる右越えのソロ本塁打を被弾。結局6回3失点で降板し、自己ワーストに並ぶ8試合連続勝ち星なしとなった。  西は「坂本と公式戦で初めてバッテリーを組みましたが、良いリードに引っ張ってもらい、野手の方々にも助けてもらったおかげで何とか最低限粘ることはできました」とコメント。ゲームは作ったが、白星には結びつかなかった。

◆3連勝で伝統の一戦に臨んだ阪神は8日、本拠地甲子園で巨人に3-4で惜敗。リリーフエースのジョンソンが今季初黒星を喫したが、矢野燿大監督は責めなかった。  「もちろん今まで頑張ってくれてるし、対戦が多くなってきたら、そういう隙みたいなものをね突いてくるっていうのは、いい経験というか。もちろん負けて痛いものにはなるけど、今までジョンソンにだいぶ助けてもらってるんでね。1年間戦っていけばこういうこともあって、またそれをカバーしていけるようにやっていくしかないと思うので。ある意味そこも受け止めてというか」  八回1死三塁で陽岱鋼の打球を前進守備の遊撃の植田が捕り切れず、左前適時打となって決勝点となったが「あれはしゃーないやん。あんなん止まってとめてもしゃーないしさ。アウトにするためには攻めていってホームでアウトにするしかないねんから。いってアウトにしようという気持ちやねんから」とかばった。  左手首痛の梅野に代わってスタメンの坂本が2号ソロを含む3安打2打点と活躍。  「ほんとね。びっくりするようなバッティング見せてくれたし。西の点の取られ方っていうのは悔い残るけどそれはたらればやし。後から掘り返せばキャッチャーってどこかでそういう反省もあるし、そこは受け止める部分もあるし。まぁでもリュウ(梅野)に代わって出たところで、こういうことをしていけば、アイツ自身ももちろんチャンスは増える。チームとしても層は厚くなる。そういう存在はしっかり見せてくれたと思う」と話した。  巨人を上回る12安打を放ったが、16残塁の拙攻で連勝は3でストップ。貯金は再びゼロとなり、球宴まで残り2試合となった。  「今日負けて、めちゃめちゃ悔しい。(3連戦の)頭もウチとしては絶対取りたい試合やったから。こういうことをしたのは悔しいけど、明日、あさって、何とかリベンジをね、残り2試合で決めて終われるように頑張っていきます」と前を向いた。

◆阪神は4年目捕手の坂本が、7日の広島戦で左手首付近を痛めた梅野に代わって得た先発のチャンスに、打撃でアピールした。巨人の菅野から二回に左翼席に2号ソロを放ち、三回には適時打。「球界を代表する投手。振っていこうと思った」という積極的な姿勢が奏功した。  先発マスクは今季4戦目で、守っても西らを必死にリードした。ただ、チームは競り負け「何とか粘っていたけど、勝ちたかった。それだけ」と悔やんだ。

◆巨人の菅野は11安打を浴びても七回途中3失点。途中から無走者でもセットポジションで投げるなど、投球術を駆使して踏ん張ったものの「粘ったと言えば粘れたかもしれないが、不用意な球もあった」ともどかしそうな表情で話した。  いまだ本調子には至っていない。回を追うごとに威力が薄れ、六回には130キロ台半ばの直球もあった。体に重たさを感じるのかとの問いに「そこは否定できない。受け止めないと」。現状の最善を尽くす中、打っては四回に中越えに適時二塁打。敵地甲子園で意地は見せた。

◆なんとなく...ずいぶんお久しぶりのTG戦なので正直にいえばイヤーな気分があった。だって相手はエース菅野だし、こっちは西だが、ここんとこ西にはいつも"手弁当"それもロクなおかずもなくて旅に出すようなもので...母をたずねて何千里...てな気分もあった。  "もっと腹いっぱい食わせてやれよ..."  菅野は調子が悪い。  西はいつも点がない。  自主トレを一緒にやるぐらいの仲良しだった2人の初対決は、ともにチラッと口元に含み笑いもこぼれて、それなりに"貫禄の対決"というべきキャスティングなのだ。つまり『伝統の一戦』らしいヒーローの真剣勝負はやっとここにきて南座の「顔見世興行」の看板だけは期待できた。  が...現実には古株のトラ番としていわせてもらえば"味わい&貫禄"は両方に不足していた。大向こうをうならせる球威がない。  しかし...2人はそれでもひたむきに「看板と球史を守ろう」という姿勢はみせてくれた。淡々としてすすんだみたいにみえたがよくみるとココ! というときは2人は誇りをこめた投球をしていた。ここがうれしい。  久しぶり感があるのは当然で交流戦をはさんでTGが対戦したのは5月末の29、30日の甲子園。  ○8-4 高山サヨナラ満塁弾  ○5-2 大山3ラン、近本激走! と筆者のノートにはある。それ以来だから実はそんなに"宿題"を残しての空白ではないのだ。  チッ、いつもこういう具合に燃えてくれョ...とまた編集局の窓際で悪態をついてしまった。チトうれしいくせに...だ。なんで虎はこんなに年金生活者寸前の人生の老廃物? をもて遊ぶのだろう(いかん、またグチだらけだ...)  実は事前に資料室にいって調べたらこの7月8日は16年前の星野阪神の2003年は今岡が初球ホームランで倉敷で広島を撃破。なんと『M49』がバチッ! と点灯した。あまりにも早いM点灯に当時の久万オーナーは2月に肺がんの手術後なのにとても喜ばれて「久しぶりにオーナー会議に出たい」とまでいわれたのだ。そこから星野阪神は一直線にマジックを減らしていく。  そして...9月15日午後7時33分、阪神は18年ぶりの優勝。甲子園の空に7度舞う...。  「あんなに早くマジックが点灯してもし...ダメだったらどうしよう...と俺はペシミスト(悲観論者)になっていたんだ...」と星野監督は吐露した。それほど苦しいのが優勝なのだ。  経済波及効果6355億円。道頓堀ダイブは5300人。それほど大阪は燃えた。星野監督はその頃から何度もベンチ裏でぶっ倒れている。つまり...監督なんて命がけなのだ...。それでもファンは狂喜乱舞する。今、星野監督らは天国で甲子園のTG戦を眺めている。  そして...七回、マルテの二塁打を機に巨人は菅野をおろし、阪神は代打攻勢の虚々実々...3-3の同点に追いついた。左手首を痛めて欠場の梅野に代わった坂本の猛打賞。この日の阪神には不思議な炎がともっていたではないか。あの星野阪神がVを飾った年、巨人は原監督が辞任。03年10月7日、甲子園のシーズン最終戦で星野監督は原監督を花束で送った。あのときの2人の涙...星野監督はいった。  「くじけるな。必ず戻ってくるんだ!」  こんな美しい"別れ"と「男の誓い」はいつまでも鮮烈に残る。1点が美しい...1点が遠い...そして1点が悲しい...。胸が熱い!

◆虎の4番・大山はサイテーや!! 阪神が負けたのは四、六、八回に3三振した4番の責任や!!  だったら虎の4番は誰にする? 打撃好調、本日も2安打した3割打者の糸井? まだ、その姿は分からないけど契約が完了した米大リーグ75本塁打の新助っ人のソラーテにかける? アホか!? 矢野阪神の4番は大山悠輔をおいて他にいるかいなー!!  確かに、プロ野球の4番打者として考えたら現在の大山は赤ん坊のようなものかもしれない...。でも、優勝(日本一)しない世界遺産に認定されそうな阪神が、その場しのぎで4番を変えていたらマジ、1000年先まで優勝はないわ!!  よって虎の4番は雨が降ろうが、嵐が吹こうが、この先大きく育つことを信じて大山で全国の虎党の皆さん、いいッスねー!!  大山のこの先の4番ドラマの結末はいかに? 楽しませてもらいまっせー!!

◆--菅野は攻略したが  矢野監督「まあ攻略...もちろん、たくさんヒットは打ったし、攻めていった中の結果やから。そういう気持ちをみんな持って戦ってくれていると思う」  --八回、遊撃・植田が捕りきれなかった  「あれはしゃーないやん。あんなん止まって(打球を)止めてもしゃーないしさ。アウトにするためには、攻めていってホームでアウトにするしかないねんから」  --坂本が活躍  「びっくりするようなバッティング見せてくれた。西の点の取られ方っていうのは悔い残るけど、それは"たられば"やし。後から掘り返せば捕手ってどこかで、そういう反省もあるし」  --二回の攻撃は、もう1点欲しかった  「それも言い出したら、絶対、そういうこともあると思う。それも明日、やり返してくれるんじゃないかな」

◆絶対に1点が欲しい場面で「代打・原口」がさすがの働きだ。マルテの二塁打と高山の投前犠打の直後、1点を追う七回1死三塁で登場。左腕の田口から右腕の大竹に交代されたが動じず、一時同点の中犠飛を放った。「なんとか1点欲しい場面で、最低限の仕事はできたので。なんとか勝ちにつなげていきたいです」。代打では6月9日の日本ハム戦(甲子園)でのサヨナラ打以来、5打席ぶりの打点。変わらぬ頼もしさを示した。

◆マシソンが九回に5番手で登板し、1回無失点で今季初セーブをマークした。2012年入団の助っ人は通算400登板を達成。昨年8月に左膝のクリーニング手術を受け、今季は感染症や右内転筋の軽い肉離れで離脱を強いられるなど苦難が続いたが「(400登板は)今年のひそかな目標でもあった。勝ちに貢献できたのはうれしい」と笑った。

◆D1位・近本光司外野手(大阪ガス)は6試合連続安打。二回2死一塁で菅野から左前打を放ち、好機を広げ、八回先頭では6月19日の西武戦(甲子園)以来の四球を選んだ。それでも九回2死一、二塁で二ゴロに倒れ最後の打者となったことに「チャンスで打つのと、チャンスメークが仕事なので。そういうところで結果を残したい」と悔しさをにじませた。

◆セ・リーグ首位の巨人は8日、2位・阪神との11回戦(甲子園)に4-3で勝ち、同カードの連敗を「4」で止めた。  増田大が自慢の俊足で決勝点をもぎとった。同点の八回1死一塁で代走で出ると、果敢な離塁でジョンソンの牽制(けんせい)悪送球を誘って二塁へ。さらに初球で三盗を決め、陽岱鋼の左前打で生還した。ヒーローインタビューでは「(三盗は)1球目が一番チャンスがあると思った」と胸を張り、原監督から「見事なピンチランナー」と称賛された。3日の中日戦では、バントが決勝の犠打失策となってお立ち台に上がり、"職人"が無安打で再びヒーローになった。 八回に勝ち越し打を放った巨人・陽岱鋼 「増田のスタートが早かったので『いける(得点になる)』と思った。みんなでつかんだ1勝でした」

◆前回の完封から中5日だった菅野は、七回途中まで3失点で勝ち負けつかず。立ち上がりは制球に苦しむ場面もあり「不用意な球もあったし、反省は多い」と振り返った。打撃では1-2の四回2死二塁に同点の中越え適時二塁打を放ち「気持ちを出していかないといけない」。自主トレをともにする西とのプロ初対決には「西も丁寧に投げていたし、いい時間だった」とうなずいた。

◆西は4年前から自主トレをともにする巨人・菅野と初の投げ合いだったが、6回を6安打3失点で勝ち負けつかず、自身G戦初勝利はお預け。オリックス時代の2016年以来、自己ワーストタイの8試合連続勝ち星なしとなった。「なんとかまとめられたという感じですかね」。一回に大城に適時打を許し、10試合連続で先制点を献上。四回に菅野に同点二塁打され、2-2の六回には大城にソロを被弾。「こういう試合展開は必ずある。完全にいい状態は1年間に1、2回あるかないか、なので」と気持ちを切り替えた。 勝ち星が遠い西について阪神・清水ヘッドコーチ 「西には流れが悪い。かわいそうだね。勝ちきれないというか、勝たせてやるのがチームのあり方。打ってやって勝ちをつけてやれば、また変わってくる。助けてやろう」

◆分析され、揺さぶられた。張り詰めた空気が漂う聖地のマウンドで虎が誇る最強リリーバーの顔が曇った。12試合連続無失点中だったジョンソンが勝ち越し点を献上し、来日初黒星を喫した。  「状態的には全然悪くなかったですし。結果的にこうなってしまいましたが、悪くはなかったです」  必死に前を向いた。確かに悪くはなかった。ただ小さなほころびが、大きな1失点になってしまった。追いついた直後の八回に登板。1死から岡本に中前打され、代走・増田大を送られると、足への警戒から、歯車が微妙に狂っていった。  一塁へ2球続けてのけん制球。白球は低くそれて、二塁進塁を許した。「それ(ミス)も野球ですし。(巨人も)いい野球をするので」。直後には完全にモーションを盗まれ、三盗を許した。  一瞬で1死三塁に。続く陽のゴロも打ち取った打球ではあったが...。チャージをかけた前進守備の遊撃・植田が捕球できず、外野に抜けた。  ここまで33試合に登板し、セ・リーグトップの25ホールド。6月に蓄積疲労のため2軍調整した時期もあったが、八回の男として大車輪の活躍を見せてきた。  矢野監督が「対戦が多くなってきたら、そういう隙みたいなものを突いてくる。いい経験というか。もちろん負けて痛いものにはなるけど、今までジョンソンにだいぶ助けてもらってる」と揺るがぬ信頼を示せば、右腕も「まだまだ試合は残っていますから。またあした、気持ち新たに頑張っていきたい」と語気を強めた。  失点は甲子園では来日初、5月15日の巨人戦(東京ドーム)以来、13試合ぶり。くしくも同じ相手に、またもやられてしまった。もう同じ失敗は繰り返さない。G追撃に、最強セットアッパーの力は不可欠だ。 (織原祥平) 八回の植田の守備について阪神・藤本内野守備走塁コーチ 「ホーム優先の守備ですから。あそこで球際の強さをみせてほしかった。そういうのが求められる選手」

◆一塁へ走りながら、右手で力強くベンチを指さした。坂本がGのエース・菅野から豪快弾&適時打。正捕手のアクシデントを十分過ぎる活躍で補い、爪跡を残した。  「球界を代表するピッチャーで。『なんかしたいな』『なんか起こしてやりたいな』という気持ちはあったので。積極的にいったのが結果につながってよかったです」  梅野が前日7日に左手首を負傷し、巡ってきた今季4試合目のスタメンマスク。まずは1点を追う二回2死だ。1ストライクからの2球目、内角146キロを鋭く振り抜いた。左中間への同点の2号ソロ。4月4日の巨人戦(東京ドーム)以来の一発を放つと、1-1の三回2死一、三塁では一時勝ち越しの中前打で粘投の西を援護。七回には大竹から右前打を放ち、2017年9月8日のDeNA戦(甲子園)以来の猛打賞を達成した。  本塁打後、ベンチ前で驚いたように両手を広げて出迎えた矢野監督は「西の点の取られ方っていうのは悔い残るけど」と、捕手出身らしくリードに注文をつけながらも「びっくりするようなバッティング見せてくれた。リュウ(梅野)に代わって出たところでこういうことをしていけば、アイツ自身もチャンスは増える」とうなずいた。  肌で感じたレジェンドの勇姿が、プロとしての自覚をさらに強くした。東京への移動日だった3月中旬。後輩の大山と東京ドームへ足を運び、巨人-マリナーズを観戦。当時マリナーズの現役だったイチロー氏の一挙手一投足に、球場全体から割れんばかりの歓声が沸き「鳥肌がたちました」と目を輝かせた。  「何もしていなくても、いるだけで大歓声が起こるというか。『スターってこういうことなんだ』と。雲の上の方なのはもちろんわかっていますが、自分もプロ野球選手としてやっている以上、ああいう選手を目指してやっていかないと」  同じアスリートとしてプレーでファンを喜ばせる姿に、刺激を受けないわけがなかった。  「勝つという結果が一番で、そこに求められていることをやるのが仕事。何とか次勝てるようにもう一回準備していきたいと思います」  敗戦に笑顔はない。打って守って勝利へ導く。捕手・坂本の存在感をまだまだ高めていく。 (箭内桃子)

◆4番の力、今こそ見せれくれ-。阪神は12安打を放ちながら今季ワーストの16残塁で首位巨人に3-4で敗れ、連勝は3でストップ。4番の大山悠輔内野手(24)は走者を置いて3打席連続三振など4打数無安打に終わった。貯金はなくなり、ゲーム差は再び7・5に。4番のバットで踏ん張れ! ここで壁を、ブチ破れ!!  巨人の9安打を上回る12安打も放った。菅野を苦しめ、塁上もにぎわせた。それでも負けた-。首位G猛追を誓った勝負の「伝統の一戦」第1ラウンドは、今季ワースト16残塁の大拙攻。勝ち切らなければいけない試合だった。4番が、決めなければいけなかった。  「...」  開幕から82試合連続4番で先発した大山は、問いかけに口を開くことなく引き揚げた。連勝は3で止まり、ゲーム差も7・5に広がった。責任を背負い、悔しさが全身からにじんでいた。  勝負をかけたスイングが、ことごとく空を切った。2-2と追いつかれた四回は、2死二塁で菅野の外角スライダーに空振り三振。2-3と勝ち越された六回は、2死一塁で真ん中に入ってきた141キロ直球を空振り。三球三振に倒れた。  そして最大の期待を背負ったのは八回だった。絶対的セットアッパーのジョンソンが1点を失って、勝ち越された直後。1死一、二塁で打席が回り、4万2556人のボルテージは最高潮に達したが...。左腕・中川の内角低め143キロの直球にバットは空転。3打席連続の空振り三振に倒れ、ため息を背に、うつむいてベンチに戻った。  巡ってきた場面は、すべて「直後」というターニングポイント。つまり打てば、勝った。単純明快。しかも、そんな巡りになるのが打線の中心、4番打者の宿命だ。  坂本が1本塁打を含む猛打賞。代打の切り札・原口も犠飛で仕事を果たした。しかし、4番のバットから生まれる得点なくしては、勝利をつかむことはできない。それを改めて証明するような、敗戦だった。  「たくさんヒットは打ったし、攻めていった中の結果。そういう気持ちをみんな持って戦ってくれていると思う。それは受け止めないと。(選手は)明日、やり返してくれるんじゃないかな」  矢野監督も悔しさを露わにした。三者凡退はなし。六回以外はすべて得点圏まで走者を進めながら、勝てなかった。令和に入って続いていた巨人戦連勝も4で止まり、再び貯金はなくなった。  「今日負けて、めちゃめちゃ悔しい。(カードの)頭も、うちとしては絶対取りたい試合やったから。こういうことをしたのは悔しいけど、明日、明後日、何とかリベンジをね」  大山の10本塁打&50打点はチームトップ。打点は堂々のリーグ5位だ。前日7日にはバントの指示を出され、失敗直後に意地のタイムリーで勝利へ導いた。恥ずかしくない数字は、残してきている。ただ、それ以上のものを求められ、背負うのが4番。巨人との7・5差は簡単ではない。まずは前半戦残り2つ、必勝-。「4番・大山」のここぞの一打が、矢野虎の最大の力となる。 (大石豊佳)

◆セ・リーグ首位の巨人は8日、2位・阪神との11回戦(甲子園)に4-3で勝ち、同カードの連敗を「4」で止めた。「3番・中堅」でフル出場した丸佳浩外野手(30)が1点リードの八回2死一、二塁の守備で、中前に落ちそうな打球をスライディングしながら好捕。危機を救い、勝利に導いた。阪神とのゲーム差を「7.5」に拡大し、貯金は再び今季最多の「15」。セ・リーグの貯金を独り占めだ。  甲子園の雰囲気を、一転させた。1点リードの八回2死一、二塁で、上本の打球はフラフラと中前へ。「落ちた!」と信じた虎党の希望を打ち砕いたのは、丸だ。逆シングルで左手を伸ばし、地面すれすれでスライディングキャッチ。左翼席のG党から歓声が起きた。  「もうちょっと伸びて来るかなと思ったけど、風があったのでギリギリな感じになった。うまくタイミングを合わせることができた。ああいう競った場面で投手を助けることができてよかった」  右翼から左翼方向への浜風が吹き、捕球を困難にさせることが多い甲子園。そんな"野手泣かせ"の球場にも、昨季まで6年連続ゴールデングラブ賞の名手は対応した。しかもフルカウントとなって走者がスタートを切るため、ベンチは一塁走者の生還を防ぐために外野へ「バック」と指示したばかり。逆をつかれる打球となったが、守備範囲の広さでカバーした。  原監督の的確な采配も好捕を後押ししていた。この日は岡本が左翼、大城が一塁で先発。大城は一回に先制打、六回に一時勝ち越しの4号ソロ。だがその裏に大城を下げ、岡本を一塁、亀井を左翼、先発を外れた陽岱鋼を右翼に配置した。  指揮官は「岡本を本来のファーストに戻すことで、外野をしっかり固める方が(大城の)あと1打席を待つより、という判断」と説明。外野の経験が浅い岡本ではなく、陽岱鋼と亀井で丸の脇を固めることで、最大限のパフォーマンスを出せるようバックアップした。  5日のDeNA戦(東京ドーム)でもフェンスに激突しながらキャッチするなど、守備でも貢献を重ねる丸。4月に30歳となった。20代を振り返り「本当に苦しいときの方が多かった。その中でいい経験として自分の中で吸収できている。30代に入って体力的なところも多少は落ちてくると思うので、そこを経験でカバーしていければ」と口にしていた。この夜もバックスクリーンの上にはためく旗の動きを、一球ごとに確認。経験とそこから得た勝負勘をフル活用し、危機を救った。  原監督も「少し外野を下げた中で、前の打球を捕球したというのはやっぱり彼の守備範囲でしょうね。非常に広い」とたたえた。阪神戦の連敗を「4」で止め、貯金は再び今季最多タイの「15」。セ界の貯金を独占する。1位と2位の直接対決を制し、ゲーム差も今季最大タイの「7・5」に広げた。  打撃では一回に2死から四球を選び、先制のホームを踏んだ丸は「攻撃でも守備でも自分の仕事はやり切りたい」と徹する。球宴前の9連戦も残り2戦。勢いそのままに白星を重ねる。 (赤尾裕希)

◆12安打を放っても16残塁の拙攻では勝てない。今季何度も見た「あと一本が出ない」試合。連日になるが、大山の話をせざるを得ない。  四、六、八回と好機で空振り三振。結果が示す通り、状態はよくない。状態がよくないから、打席で迷っているように見える。特に四回。カウント1-1から甘いボールを見逃して、バッテリーを楽にさせてしまった。  打てずに負ければ矢面に立つのが4番。それも阪神の...となれば、重圧は半端ではない。それを承知で矢野監督は開幕から一度も外さずに4番に置いている。近い将来、真の4番打者になると見込んでいるからだ。その期待に応えてほしい。  大山には伸びしろがいっぱいある。成長して、ここを乗り越えていけば一流になれる。今は踏ん張りどころ。前日7日にも指摘したように「野球脳」を養って、頑張ってもらいたい。  最後に西をほめておきたい。これだけ勝ちがつかないと普通の投手なら崩れていくもの。そうならずに粘り強い投球を見せてくれた。常にメンタルが動じることない、非常に優秀な投手だ。後半戦も期待している。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆前半戦ラストとなる、甲子園球場での伝統の一戦。スコア的には白熱し、首位・巨人と、まがりなりにも2位の阪神の対決としては、まずまずの展開だった。エモトはもちろん(!?)、物足りなさを感じたけどね。  欠けていたのは、4番のバットよ。  岡本は三回1死一、二塁で詰まった遊直。大山は四回2死二塁、六回2死一塁で、いずれも空振り三振。どちらかに1本、せめてタイムリーでも出ていれば、グッと主導権を握っていけるというポイントだった。  まして先発は、数字的にはイマイチとはいえ、主戦投手の菅野と西。点を取られながら、何とかまとめていた。そういうときは、なおさら4番の出番じゃないか。下位打線や伏兵ではなく、4番がひと振りで、試合を決めないと。  エースと4番がそろい踏みしてくれないと、飛車角落ちの将棋のようで、ムズムズするんだ。  プロ野球の花形の一戦で、真価を発揮してこそ、伝統球団の4番。岡本と大山の現状は、チームの行く末にも影響してくる。巨人はこのまま圧倒的に走れるのか。阪神はAクラスの座を盤石にできるのか。まだまだ不安を残しているよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆前回の完封から中5日だった巨人・菅野智之投手(29)は、七回途中まで3失点で勝ち負けつかず。立ち上がりは制球に苦しむ場面もあり、「不用意な球もあったし、反省は多い」と振り返った。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)はブログで、「まだまだ良くないけど なんだかんだで7回まで持っていっちゃうんだからさすがですよ 悪いなりに要所要所で抑える」と評価していた。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
46311 0.597
(↑0.005)
-
(-)
65384
(+4)
309
(+3)
106
(+1)
48
(+1)
0.263
(-)
3.640
(↑0.01)
2
(-)
阪神
39394 0.500
(↓0.006)
7.5
(↓1)
61312
(+3)
333
(+4)
55
(+1)
58
(+1)
0.250
(↑0.002
3.420
(-)
3
(-)
DeNA
38402 0.487
(↓0.007)
8.5
(↓1)
63323
(+3)
319
(+5)
98
(+1)
25
(-)
0.246
(-)
3.660
(↓0.02)
4
(-)
広島
38413 0.481
(↓0.006)
9
(↓1)
61313
(+2)
333
(+3)
73
(+1)
51
(-)
0.243
(↓0.001)
3.430
(-)
5
(-)
中日
35430 0.449
(↑0.007)
11.5
(-)
65298
(+3)
306
(+2)
46
(-)
41
(+1)
0.259
(-)
3.820
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
33472 0.413
(↑0.008)
14.5
(-)
61357
(+5)
414
(+3)
92
(+1)
30
(+1)
0.237
(-)
4.590
(↑0.02)