阪神(☆3対2★)ヤクルト =リーグ戦11回戦(2019.05.22)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
01000020X3911
勝利投手:藤川 球児(2勝0敗0S)
(セーブ:ドリス(1勝1敗10S))
敗戦投手:ハフ(1勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】バレンティン(10号・4回表ソロ)
【阪神】梅野 隆太郎(3号・2回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神は2回裏、梅野のソロで先制する。その後同点を許すも、7回に糸井の適時打などで2点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・藤川が今季2勝目。敗れたヤクルトは、打線が再三の好機を生かせず、7連敗を喫した。なお、この試合でヤクルト・青木がNPB通算1500安打を達成した。

◆球団公認の阪神矢野監督の後援会「虎喜会」を代表して、京都・宮川町の舞妓(まいこ)・叶子(かなこ)さんが始球式を務めた。 トラッキー付きのかんざし、「虎」の文字が入ったグラブで登場し、ワンバウンドで見事に「ストライク」。大の阪神ファンだというだけに「緊張しすぎて覚えてません。ええ経験をさせていただきました。お袖が絡まりやすいんですが、気にせずに投げました」と笑顔で振り返った。

◆阪神梅野隆太郎捕手が先制となる3号ソロを放った。 先頭で打席に入った2回。ヤクルト先発高橋の2球目を強振。内角高めにきた138キロ直球を、体をクルッと回転させて打った。打球は左翼席に着弾。先発岩田を援護する一撃を放った。「2回のピンチの場面を抑えた守備のいい流れを、攻撃に生かすことができました。岩田さんのために先制することができて良かったです」。選手会長が攻守にわたって、チームを引っ張る。

◆ヤクルト青木宣親外野手(37)はNPB通算1500安打を達成した。史上126人目の快挙。7回1死一塁、阪神藤川から左前打を放った。 初安打は2004年10月6日阪神戦(神宮)で安藤からマークしており、青木は1156試合目で到達した。 これまでのスピード記録は11年松井稼頭央(楽天)の1233試合。大幅な記録更新となった。

◆阪神糸井嘉男外野手が勝ち越しタイムリーを放った。 同点の7回2死三塁。ハフの2球目、133キロ変化球にバットを合わせて、センター前に運んだ。 続く大山の左前打をバレンティンがはじくと、一塁から一気に本塁へ生還した。37歳の超人が躍動した。

◆阪神が2回、梅野の3号ソロで先制した。ヤクルトは2回1死満塁の好機をつくったが、広岡が併殺打に倒れて無得点だった。 ヤクルトは4回、バレンティンの10号ソロで同点とした。阪神は先発岩田が6回を7安打1失点と粘り、マウンドを降りた。 阪神は7回、糸井の適時打などで2点を勝ち越し、2連勝。藤川が今季2勝目を挙げた。ヤクルトは継投に失敗。7連敗となった。ハフが今季初黒星。

◆阪神大山悠輔内野手の7回に放った一打がチーム3点目の誘い水になった。 糸井に勝ち越し適時打が出て、なおも2死一塁でハフの内角直球を左前にはじき返した。打球を左翼手バレンティンがファンブルする間に一塁から長駆した糸井が生還した。 大山は5回は重盗で2死二、三塁とした打席で三ゴロに倒れたが、最終打席で3戦連続安打と意地を見せた。試合後は「勝てて良かったです」と控えめだった。

◆阪神が糸井嘉男外野手の決勝打でヤクルトに競り勝った。先発岩田が6回1失点と粘り、藤川、ジョンソン、ドリスとつないで最少得点差を守りきった。試合後の糸井、藤川、ドリスのインタビューは以下の通り。 -まずは糸井選手です。ナイスバッティングでした 糸井 ありがとうございます。 -あの場面は糸井選手、頼むという思いが充満していましたが、どんな気持ちだったんですか 糸井 糸井選手頼む、という気持ちで打席に入りました、ハイ。 -チャンスに立ちながら、いろいろ思うところもあったと思うんですが 糸井 とりあえず、声援に応えたくて。勝ちにつながる一打が打ちたくて、そう思って、打ててよかったです。 -キャンバスに到達しても、険しい顔に見えましたが 糸井 そういう顔です。 -先日のフェンス際のプレーでファンは心配してたんですが、払拭(ふっしょく)するような素晴らしい激走もありましたね 糸井 大山の当たりでかえろうと、いいスタート切れました、ハイ。 -これからに向けて 糸井 いやもう、ほんまに勝ちたい。その一心でやってますので、大きな声援またお願いします! -攻撃につなげるピッチングを見せてくれたのは藤川投手。お立ち台久しぶりのような感じですが 藤川 なぜこういう結果が出るかというのは、チームの流れもありますので、、岩田のピッチングとかファンの方の、なんとか耐えて頑張ってくれというその気持ちがたぶん、抑えた結果になったと思いますので、本当に感謝しています。 -ピンチを背負って、厳しい打順の巡りだったですが、まず山田選手には3球三振でした。 藤川 本当に自分の力というより、昨日梅野とPJの同じような場面がありましたので、それを生かしながら梅野が、しっかりした配球でということで、すごく成長していると思うので、本当に頼もしい存在になってきてます。 -バレンティン選手にも、寄せ付けない若々しいストレートも見せながらのピッチングでした 藤川 そこもやっぱり、多少去年までの配球と、見ている方には分からないのかも知れないですけど、攻め方というのが、新しく藤井コーチが来て、たくさん勉強してやってる結果が、少しずつ結果に出てますので、まだまだチームとしてもバッテリーとしても成長できると思います。 -勝ち星がついて、1軍に帰ってきてから9試合連続無失点です。 藤川 いいピッチングを常に約束するってことはできないんですが、とにかくお客さんを悲しませないように、少しでも笑顔で帰ってもらえるようにとおもって頑張ってますので、なんとか我慢して応援よろしくお願いします。 -試合を締めたのはドリス投手でした。ナイスピッチングでした。 ドリス アリガトウゴザイマス -バトンを手渡されてのマウンド、今日はどうだったですか? ドリス 1対1になった場面から、今日は絶対自分が出る場面だなと思っていましたし、藤川選手が出て、ジョンソン選手が出てという形になりましたけど、もちろん彼らは抑えくれると思ってましたので、自分も絶対に抑えてやろうと思っていました。 -区切りの10セーブになりました。今後への決意を ドリス 自分に与えられたセーブの機会をしっかりとものにできるように、なるべくチームの勝利に貢献できるようにしたいですし、自分たちはチャンピオン目指してやっているので、そこに向けてやっていきたいなと思います。 -最年長の藤川投手に締めてもらいましょう 藤川 明日は高橋遥人がやってくれると思いますので、ぜひぜひ球場に来て、また熱いご声援よろしくお願いします! ありがとうございました!

◆ヤクルト青木宣親外野手(37)が史上126人目となるNPB通算1500安打に到達した。阪神戦の7回、藤川から左前打を放った。通算1156試合目での達成は、11年の楽天松井稼頭央(現西武2軍監督)の1233試合を抜いて史上最速。9回には1点差に迫る中前適時打も放ち、開幕から打線をけん引している。逆らわずに流した。7回1死一塁で回った第4打席、青木は追い込まれてから藤川の外角フォークを三遊間に転がした。一塁上で球団マスコットつば九郎から祝福の記念ボードを渡されると、ヘルメットを脱いでスタンドへ一礼。通算1500安打に「正直なところ、あまり思うところはなかったですけど、節目の数字を達成できたというのは、自分のキャリアの中でいいこと」とうなずいた。 直近2試合は足踏みしたが、1156試合目での到達はプロ野球史上最速だ。振り返れば15年前の10月、プロ初安打も阪神戦(神宮)だった。「1本目は安藤さんから打った。もう順位も確定した後の消化試合だったけど、自分にとってはすごく大事な試合だった」。米アストロズ時代の17年には日米通算で2000安打をクリア。快音を重ねるほどに増える節目の記憶が、また1つ加わった。 37歳。日本球界復帰2年目の目標は「最年長首位打者」に置く。打率3割前後で開幕から常にリーグ上位をキープし、夢より現実に近い。今季ワースト7連敗と苦しいチーム状況で「何とかしたい気持ちだけ。いい試合はしている。あと1歩」。その一心で9回2死二塁では、ドリスから1点差に迫る中前適時打を追加した。 「何とか流れを引き寄せられるようにと思っている。いいところも、悪いところも、明日以降に生かさないといけない」。勝ちたい「今」を積み重ねた先に、さらなる記録が待っている。【鎌田良美】   ▼通算1500安打=青木(ヤクルト) 22日の阪神11回戦(甲子園)の7回、藤川から左前打で達成。プロ野球126人目。初安打は04年10月6日の阪神25回戦(神宮)で安藤から。1156試合で達成は、青木同様にメジャーから日本球界へ復帰後の11年に達成した松井(楽天)の1233試合を抜く史上最速。ちなみに青木は17年に日米通算2000安打を1678試合で達成しており、これはイチロー(マリナーズ)1465試合、川上(巨人)1646試合に次ぐ3位のペースだった。

◆阪神の守護神ドリス投手が落ち着き払ったマウンドさばきで今季10セーブ目を挙げた。 2点リードの9回2死から1点差に詰め寄られ、2死一塁で長打力のある山田哲と対戦。力でねじ伏せ、遊ゴロに抑えた。お立ち台では「自分たちはチャンピオン目指してやっているので、そこに向けてやっていきたい」と意気込む。球団助っ人で史上初めて3年連続2桁セーブとなった。

◆まるで少年のように、飛び上がって喜んだ。阪神藤川球児投手(38)はグラブをたたいて、ぺろっと舌を出して照れる。7回のピンチを乗り越えた男が、安堵(あんど)の表情でマウンドを降りた。 「地道に1つずつ成果を出していくと決めている。地に足つけて戦っていくしかない。(自分たちは)立ち止まってはいられない」 1死から坂口、青木に連打を浴び、迎えるは3番山田哲。見逃し、ファウルで追い込むと3球勝負。内角直球にタイミングが合わずに空振り三振。あとひとつ-。2死になっても焦らない。何度も修羅場をくぐってきたベテランは落ち着いていた。4番バレンティンには5球連続ストレート。カウント2-2から外角低めにフォークを落とした。バットが空を切るのを確認すると、梅野に感謝の合図を送った。「自分のボールというよりは梅野の配球に助けられた。(梅野は)本当に頼もしい存在になってきてます」。 ブルペンの精神的支柱は面倒見がいい。若手投手を食事に誘ったかと思えば、その後はカラオケへ行くことも。グラウンドだけでなく、プライベートでも心を通わせている。試合中のブルペンでも1球ずつ「自分なら、ここに投げるかなぁ」と配球を考えて伝え、若手に寄り添う。 味方が勝ち越して今季2勝目をゲット。2軍再調整後は9戦連続無失点と波に乗る。矢野監督は「球児もあの場面、思い切って向かっていく投球をしてくれた。今後もああいう場面での登板になる。年は取っていくけど、ああいう真っすぐは球児の投球のバロメーター」と絶賛した。チームスポーツは役割分担。若手が躍動する裏では、藤川のような経験豊富なベテランが背中を押している。【真柴健】

◆阪神が「超人」糸井嘉男外野手(37)で接戦を制した。1-1の7回2死三塁で中前に勝ち越し打。続く大山の左前打が失策を誘うと、幸せのイエローカラーを手首につける背番号7は一塁から激走して滑り込み生還した。膝のコンディションが万全でない中、懸命のプレーでチームの2連勝に貢献。直前の広島戦3連敗のダメージを打ち消し、貯金を2とした。黄色く染まった甲子園のスタンドが激しく揺れた。試合を決めたのは苦しむ糸井のバットだった。1-1と同点で迎えた7回2死三塁。ヤクルト・ハフが投じた高めの変化球をひっぱたいた。打球はセンター前に勢いよくはずみ、三塁走者上本がホームイン。5月8日ヤクルト戦以来、48打席ぶりのタイムリーに「とりあえず声援に応えたくて。勝ちにつながる一打を打ちたかった」。最高の場面で大仕事だ。 足でも魅せた。糸井のタイムリーの直後に大山が左前打を放つと、左翼手バレンティンがファンブル。もたつく合間を縫って一塁走者の糸井は、一気呵成(かせい)に本塁へ突き進んだ。鬼の形相で滑り込み左手でベースをたたいた。「いいスタートが切れました」。快打のち激走で貴重な3点目をもぎ取った。 状態は決してベストとは言えない。18日広島戦では、鈴木のファウルフライを追ってフェンスに激突しながら好捕。膝を痛めて見られ、大事を取ってベンチに下がった。痛手を負いながらもその後も出場を続けている。この日は試合前に清水ヘッドコーチとマンツーマンでロングティーを実施。本来の形を取り戻そうと必死に汗をかいた。 借金危機からの2連勝で貯金2となった。矢野監督は「2つ取れたので、もちろん、明日も勝つ気満々で行きます。今日初めて、外野スタンドがちょっと空席が見えた。明日はテレビはもちろんですけど、甲子園に来てもらって、パワーを送ってもらえたらうれしい」とファンに呼びかけた。上位進出を狙う矢野阪神にとって糸井の復調は朗報だ。【桝井聡】

◆阪神がヤクルトとの接戦を制し、2連勝した。2位巨人に1・5ゲーム差に迫った。試合後の矢野燿大監督の談話は以下の通り。 -近本は走攻守で奮闘 最近、ちょっと調子自体は苦しい感じではあったけど、今日の2本で乗っていってもらいたい。走者に出ると相手も嫌な選手。 -7回に糸井が決勝打 あそこで点を取らないとウチとしてはちょっと流れを持ってこれない。よく2死から打ってくれました。 -糸井は足の不安も抱えながらよく走った (大山の打球が)ちょっと跳ねるとかジャッグルにならないかと、ベンチから思いながら、本当にそういう形になって。藤本コーチも昨日もそうやったけど、よく回してくれた。嘉男も一気にかえってこられた。1点と2点は大きく違う。本当に藤本コーチも嘉男も判断よかったと思います。 -藤川はバレンティン相手に素晴らしい抑え方 真っすぐあってのフォーク。真っすぐでファウルとかにできることで球児のペースになりやすい。思い切ってストレートでいくところはいってくれていい。 -1点を守り切る理想的な試合だった 理想は10-0で勝ちたい(笑い)。こういうところでバッテリーは成長できる。守備も思い切りしびれながら守って、そういうものにもなる。攻撃では中谷のバントとかもチームとしてすごく大事。しびれながらやるプレーは、選手を成長させる部分が多い。そういう部分でも大きかった。

◆阪神先発の岩田稔投手が6回7安打1失点で試合を作った。4四球もあり6回以外、毎回走者を出したが「粘れた」。 要所を締める投球も「先頭の四球とかいらない。四球をなくしていきたい」と反省点も口にした。「甲子園で勝つのは気持ちいいです」とチームの勝利を喜んだ。

◆阪神のルーキー近本光司外野手が走攻守にわたって勝利に貢献した。 守備ではビッグプレーは、1-1の5回だった。2死二塁から雄平の中前打にチャージ。二塁走者は山田哲だったが「しっかり捕って、しっかり投げれば勝負になる」と冷静だった。マウンドの傾斜をうまく越えて、本塁へワンバウンドのストライク送球。これで5補殺目。リーグトップに君臨している。「練習で意識して取り組んだのがよかった」と胸を張った 先発岩田が再三のピンチをしのいでいた。清水ヘッドコーチも「でかかった。まして山田くんを刺せたのは本人の自信になる」と手放しでほめた。 1番打者の役目も果たした。初回に二塁内野安打で出塁すると二盗に成功。左前打で出た5回は2死一、二塁から三盗(重盗)を決めチャンスを広げた。「自分の役割で言うと、塁に出て、投手に重圧を与えられるようにやっていきたい」。3度目の「マルチ盗塁」で13盗塁。こちらはこの日でリーグ単独トップに立った。中日大島、ヤクルト山田哲のタイトル経験者を抜き去っての単独1位を伝えられると「ありがとうございます」と、にっこり笑った。 7回には決勝点につながる送りバントを成功。打撃の調子はよくなかった。試合前にメンタル面の助言をしたという矢野監督は「前を向いてという気持ちは持ってやってくれている。今日みたいなプレーをどんどんやってくれたら。バックホームも見事。近本がかき回した部分もあったと思う」と陰の殊勲者に挙げた。【柏原誠】

◆阪神糸井嘉男外野手が勝ち越しタイムリーを放ち、チームに連勝を呼んだ。同点の7回2死三塁。ヤクルト・ハフの変化球にバットを合わせて、センター前に運んだが、その裏には「幸せの黄色エピソード」もあった。阪神では今、「幸せの黄色いテーピング」が流行っている。以前は黒いテーピングを手首などにするのが主流だったが、糸井の「黄色、ないの?」の一言から始まった。ゴールデンウイーク最中の5月上旬から使われ始め、同時期にチームも勝ち星を重ねた。 チームカラーの黄色、ユニホームに映えるかっこよさに加えて、チームが上昇し始めたこともあり、徐々に広まった。今月中旬に赤色から黄色に変わった糸井の打撃手袋にもぴったりだ。キャプテンの糸原や21日にタイムリーを放った梅野、木浪らの手首にも黄色が輝いている。 今月12日の母の日には、ピンク色のテーピングも取り入れられた。今後は、甲子園の芝に映える緑や青のテーピングを使う案もあるという。昨年までにはなかった取り組みに、球団関係者は「幸せの黄色いテーピング、みたいな。こういうところからも明るい話題を出していけたらいい」と話す。糸井の両手首に巻かれた「幸せの黄色」が、喜びの瞬間を呼び寄せたのかもしれない。【阪神担当 磯綾乃】

◆阪神は22日のヤクルト戦(甲子園)の二回無死、梅野隆太郎捕手(27)の左翼ポール際への3号ソロで先制した。  「二回のピンチの場面を抑えた守備のいい流れを攻撃に生かすことができました。岩田さんのために先制することができてよかったです」  打った瞬間に、ゆっくりと歩を進めた。1ボールからの2球目、138キロ直球を振り抜くと白球は甲高い快音とともに左翼ポール際へ。5月15日の巨人戦(東京ドーム)で放って以来、5試合&19打席ぶりの一発で主導権を握った。  二回の守備では、バッテリーとして踏ん張った。無死からバレンティンに四球。さらに安打と四球を許すなど1死満塁のピンチを迎えたが、広岡を二ゴロ併殺に仕留め切り抜けていた。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が22日のヤクルト戦(甲子園)で、今季12個目の盗塁を記録した。  「1番・中堅」で出場すると、一回先頭に二塁への内野安打で出塁。2度のけん制球をもらうも、続く糸原の5球目にスタート。送球がショートバウンドになる間に足を滑り込ませ、成功させた。12日の中日戦(甲子園)以来の盗塁はヤクルト・山田哲、中日・大島に並ぶリーグトップタイとなった。

◆阪神・岩田稔投手(35)が22日のヤクルト戦(甲子園)の四回、ヤクルトの主砲・バレンティンに10号ソロを被弾。同点を許した。  3ボールからの4球目、ストライクを取りにいった139キロを狙い打ちされた。左翼・福留がすぐさま諦める、完璧な当たり。試合を振り出しに戻され、中盤に突入した。

◆ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(34)が10号ソロを放った。  バレンティンは1点を追う四回、先頭で打席に立つと、岩田の139キロ真っすぐをフルスイング。弾丸ライナーで左翼スタンドへ運んだ。「3ボールだったので甘い球は積極的に打ちにいこうと決めていた。一発で仕留めれて良かったです」と喜んだ。  バレンティンはこの一発で4年連続8度目の10桁本塁打をマークした。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が22日のヤクルト戦(甲子園)で、今季13個目の盗塁を記録。リーグトップに躍り出た。  「1番・中堅」で出場すると、五回1死に左前打で出塁。その後、糸原の敵失策などで2死一、二塁とすると糸原とともにダブルスチールを敢行。見事に成功させ、13個目の盗塁を決めた。近本は一回にも盗塁を決めており、これで12盗塁で並んでいたヤクルト・山田哲、中日・大島を抜き去った。

◆阪神・岩田稔投手(35)が22日のヤクルト戦(甲子園)で先発し、6回1失点でマウンドを降板。2勝目とはならなかった。  1点リードの四回にバレンティンに10号ソロを浴び、同点に。五回2死二塁では雄平に中前打を浴びるも、中堅・近本が本塁にレーザービーム。リーグ最多の5つ目の補殺で、勝ち越しを阻止した。六回は3者凡退。守備からリズムを作り、七回に2番手・藤川にバトンを託した。

◆ヤクルト・青木宣親外野手(37)が22日、阪神11回戦(甲子園)の七回に左前打し、プロ野球126人目となる通算1500安打を達成した。1156試合目での到達は2011年松井稼頭央(楽天)の1233試合を抜き、史上最速となった。  七回1死一塁から、藤川のフォークを左前に運んだ。一塁ベース上では球団マスコットのつば九郎から記念のボードを手渡され、両手を挙げて声援に応えた。初安打は04年10月6日の阪神戦で安藤から。大リーグでは通算774安打している。

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が22日のヤクルト戦(甲子園)の七回、勝ち越しの適時打。この試合2度目のリードを奪い、終盤に突入した。  1-1の七回、先頭の代打・上本の打球は遊撃へ。これをヤクルト・広岡が一塁に悪送球(記録は内野安打と失策)。無死二塁から近本が投前犠打。糸原が遊飛に倒れ、糸井が打席に立った。2球目、浮いてきた133キロスライダーを一閃。ひと振りで仕留め、リードを奪った。  続く大山も左中間へ鋭い当たり。左翼・バレンティンが弾く間に、一走・糸井が激走。一気に本塁を陥れ、貴重な3点目を生み出した。

◆阪神は22日、ヤクルト戦(甲子園)に3-2で勝ち、連勝。貯金を「2」とした。  二回に梅野の3号ソロで先制。しかし、その後は毎回のように走者を出しながら得点できないもどかしい展開が続く。そして迎えた七回。先頭の代打・上本が遊撃内野安打。遊撃・広岡が一塁悪送球する間に二塁に進むと、近本が投前犠打を決めて1死三塁。糸原は遊飛に倒れたが、糸井が左中間へ適時打を放ち、ようやく2点目が入った。  大山も左前打で続くと、これを左翼・バレンティンがファンブル。処理にもたつく間に一走・糸井が一気に生還して、3点目をもぎとった。  投げては先発・岩田が6回1失点。七回には2番手・藤川が連打で1死一、二塁のピンチを招いたが、山田哲を内角直球で空振り三振、バレンティンを外角フォークで空振り三振に仕留めて切り抜けた。ジョンソン-ドリスと必勝リレーでつないで、逃げ切った。

◆阪神は22日、ヤクルト戦(甲子園)に3-2で勝ち、連勝。貯金を「2」とした。  二回に梅野の3号ソロで先制。しかし、その後は毎回のように走者を出しながら得点できないもどかしい展開が続く。そして迎えた七回。先頭の代打・上本が遊撃内野安打。遊撃・広岡が一塁悪送球する間に二塁に進むと、近本が投前犠打を決めて1死三塁。糸原は遊飛に倒れたが、糸井が左中間へ適時打を放ち、ようやく2点目が入った。  「『糸井選手、頼むッ』という気持ちで打席に入りましたッ」  お立ち台で糸井は殊勲の場面を振り返った。  大山も左前打で続くと、これを左翼・バレンティンがファンブル。処理にもたつく間に一走・糸井が一気に生還して、3点目をもぎとった。  投げては先発・岩田が6回1失点。七回には2番手・藤川が連打で1死一、二塁のピンチを招いたが、山田哲を内角直球で空振り三振、バレンティンも外角フォークで空振り三振。リードした梅野の成長を称賛した藤川は「まだまだバッテリーとして成長できると思う」。ジョンソン-ドリスと必勝リレーでつないで、逃げ切った。

◆阪神はベテラン藤川が好救援で勝利を呼び込んだ。2番手で登板した七回に1死から連打を浴びたが、山田哲とバレンティンを連続三振。直後に味方が勝ち越して2勝目を手にし「自分の力というよりも、梅野がしっかり配球してくれた」と笑顔で持ち上げた。  山田哲は3球三振、バレンティンは力で押して最後はフォークボールで仕留めた。不振による2軍調整から復帰後は、9試合連続無失点。「攻め方を勉強したことが結果につながっている。まだまだ成長できる」と貪欲だった。

◆舞妓(まいこ)はんと芸子(妓)さんとはどう違うのだろう。  個人的なことで恐縮だが、私めの父上はとにかく"手当たり次第"という方で、港、港になんとやら...で、母親が無理矢理に幼い私めに「ついていけ!」と命じた。おかげさまでこってり系の美女は子供心に苦手に育ちまして...(ウソです)まぁ早い話がきれいな方はきらいじゃおへんえ...。  この日、始球式にはそういう芸達者な美女が登板することになりまして、当番デスクの阿部祐亮がこれまた嫌いな方じゃない。それで早くから「今日の始球式は織原祥平記者に入念に取材をさせてますから、先輩も窓の外ばかりみてため息ついてないで虎ソナで紹介してくださいョ」という。窓の外をみてため息ばかり...とは大きなお世話だと思いながら、根が嫌いじゃないから織原記者を電話で追いかけた。  「それがデス。芸子さん...いや違う。舞妓さんでした」と織原のヤツはいう。なにしろ埼玉県生まれだから、京都・宮川町のはんなりとした舞妓はんなんてまったくご縁がない。エー、舞妓の叶(カナ)子さんでして...とたどたどしい。グラブに大きな虎を描いてありまして、彼女は初体験なので「初めてドス」と緊張してましたッ。キレイでしたッ! あのなぁ織原よ。阿部デスクの指名だから50行も使ってしまったけど、要するに舞妓はんというのは京都独自で、簡単に言えば修行中の芸子さんなのだ。舞妓はんがぎょうさんお稽古を積んで芸子さんになるんどすえ...。  そういえば最近、あちこちに出没しているベテラン三木建次記者がこの日は甲子園に現れた。彼はシミジミというのだ。  「もう俺も岩田投手ぐらいやなぁ、顔をあわせてやぁやぁという感じなのは...。あとはみんな若返ったし...。そやけどナゴヤ球場で2軍の試合をのぞいたら岩田がいて、やぁやぁとなった。それで必ずナゴヤドーム(1軍の試合)で投げてみせてくれよと激励したら、彼はキラキラと眼を輝かせていたんや。その目が今日の岩田にはあった。だから必ず気合の入ったマウンドをみせてくれると俺は思うんや」  まさにそのビヤ樽三木記者が言った通りのマウンドを岩田は見せてくれたのだ。  もちろんヤクルトも必死だ。こういっちゃなんだけど"面構え"のいい選手がそろっている。6番にデンとかまえる若武者村上宗隆内野手と、先発のダイナミックなフォームがゾクゾクさせる高橋奎二投手は「来年が怖いぞ」と思わせる。  ま、阪神は二回に梅野の本塁打で先手。すぐバレンティンが四回に打ち返して...そこからの攻防は(妙な表現だが)はがゆいほどの緊迫感である。それは虎は近本というけん引者がピチピチトレトレの動きと返球を見せ、阪神は何度もヤクルトを追い込んだ。しかし...あと一打が出ない。その息苦しさは、むしろその後の猛虎の必死攻撃の濃厚な味付けになった。  七回に上本が魅せた。近本は確実にバントを決め、糸井が打った。そして大山も続き...糸井激走! こうなると整理部はもう何人かは医務室に抱え込まれる(ウソです)状態となったのだ。  そして抑えが機能して...しびれたぜ。こうなりゃ毎晩、始球式には舞妓はんが来てや。

◆--岩田が粘った  矢野監督 「内野手もよく守りましたし。近本もバックホームでアウトにしてくれましたしね。岩田自身も持ち味のゴロを打たせるいう粘りというのがね。よくやってくれましたね」  --藤川は珍しくガッツポーズも出ていた  「自分が納得いく攻め方ができたという部分はあったんじゃない?」  --近本には練習中に話していたが、メンタル的な部分だった  「うん、まあそういうことを先輩として言いました」  --1点を守り切る理想的な試合だった  「理想は10-0で勝ちたいですけど。こういう部分でバッテリーは成長できると思いますし。守備も思い切りしびれながら守るという部分では。守備もそういうものにもなるし。攻撃では中谷のバントなんかもね。チームとして大事なものになるんでね。もちろん一番は10-0で勝ちたいですけど。こういうところのしびれながらやるプレーっていうのは、選手を成長させる部分が多いので」

◆お互いに"持ってけドロボー"くらいにチャンスがありながら、ウ~ン、出ない...。ウウ~ン、出ない...。トイレで力んでいるような、べ○ぴ試合だったのだ(朝からゴメンなさ~い!!)。  しかし、出ないのをひねり出したのが"矢野コーラック野球"だったのだ!! 結果的にはヤクルトにエラーが出て、わが阪神の勝利となったが、実は前日の試合で糸原が一回に、そして近本が五回に中村に盗塁を刺されていたのだ...。  しかし、本日、結果的に得点に結びつかなかったが、近本を一回にいきなり走らせて盗塁セーフ!! さらに五回、前日の盗塁死コンビの近本、糸原にダブルスチールを命じ成功させた「お前らを信じとるんや!! ここでびびっとったら、その先に行けるかいなア!? 責任はワシがとったるわー!!」のビリビリとしびれる采配が、勝利のムードをつくったと思うのだ!!  それでいて七回無死二塁の場面では、その打席まで2安打を放っていた近本にキッチリとバントをさせるメリハリ!! 矢野阪神は確実に一歩ずつハートが強くなっていると感じた試合なのだ!!

◆藤原オーナー(電鉄本社会長)は2日連続で球場の貴賓席で1点差勝利を見届けた。「ナイスゲームです。こんなに接戦を制しながら進撃できるのは、ありがたい。首位広島についていっているのも、ファンのみなさまのおかげ。(九回の)最後のひと押し(応援の意味)はすごかった」と興奮気味に話した。これで観戦日は7戦7勝。"伝説"は継続中だ。

◆先発の岩田は6回7安打1失点。白星はつかなかったが、粘りの投球で試合をつくった。走者を背負いながらもゴロを打たせて、ピンチを脱出。「しっかり粘って投球をすることができました。甲子園で(チームが)勝てたのは気持ちいいです」。次戦に向けて「先頭だったり、いらない四球を出してしまったので、なくしていきたいです」と課題を挙げた。

◆福留は六回、先頭で右中間を破る二塁打。これで日本通算387二塁打で、新井貴浩(元広島)と並ぶ歴代18位となった。現役トップの福浦(ロッテ)にはあと1本。今季は史上46人目の日本通算1000打点を達成するなど、記録にも注目が集まる。セ・リーグ最年長選手となった42歳は、まだまだ歴史を作っていく。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(27)が22日、ヤクルト戦(甲子園)を欠場した。前夜の八回に自打球を左ふくらはぎ付近に当て、九回の守備から交代していた。  この日は試合前の練習ではグラウンドに姿を現さず、ベンチ入りはしたが、出番はなかった。試合後、矢野監督は「当たりどころがどうかなっていうところだったので。明日(の出場)は、また相談してからになると思う」と説明した。

◆攻守に精彩を欠いた。同点の五回2死二塁で雄平に中前打が飛び出したが、二走の山田哲が本塁で憤死。守備では七回、遊撃手・広岡と左翼手・バレンティンの失策が絡み、2点を失った。小川監督は「ミスが出た後の失点が何試合か続いている。ハフはエラー絡みとはいえ、制球が甘かった」と指摘した。

◆ジョンソンは3-1の八回に3番手として登板。先頭の雄平にはボールが先行するも、最後は得意のカーブで見逃し三振。村上、中村は遊ゴロに打ち取った。「(ボールが先行して)最高の出来ではなかったが、何とかゼロをつけられたので仕事はできたと思う」と振り返った。ここまで22試合に登板して防御率0・81。相変わらず安定感は抜群だった。

◆4番の一打が貴重な追加点を呼び込んだ。1点を勝ち越した直後の七回2死一塁。大山の安打がヤクルト守備陣のミスを誘い、糸井の激走で3点目をゲット。三塁まで走った背番号「3」も、満面の笑顔を咲かせた。  「勝ってよかったと思います」  2球で追い込まれながらの3球目だった。内角にきた144キロ直球をとらえた。ライナー性の打球が左前にバウンドすると左翼手・バレンティンが捕球にもたついた。糸井が歯を食いしばって、一気に生還。記録は単打で打点はつかなかったが、値千金の一打となった。  四回の守備では無死一塁から村上の三ゴロを悪送球してピンチを招き、五回には2死二、三塁で三ゴロに倒れ、"戦犯"になりかけた。終わりよければ、そして、勝てばよし。汚名を返上した。

◆反撃も及ばなかった。九回2死から1点差に迫る中前適時打を放ったヤクルト・青木宣親外野手(37)だが、試合後は個人記録への思いより、悔しさを口にした。  「もう一歩だった。良い試合はしているが、もう一歩というのが続いている」  七回1死一塁、藤川のフォークボールを左前に運び、プロ野球126人目となる通算1500安打を達成した。日米通算では2275安打に達しているが、1156試合での到達は松井稼頭央の1233試合を抜くプロ野球史上最速記録だ。  それでも「そこに対して思うことはなかった。節目の数字を達成できたことはキャリアの中で良いことだけど、何とかしたい気持ちだけだった」。個人記録への感慨もそこそこに、敗戦に唇をかんだ。  試合前には引退を発表した上原浩治氏(元巨人)に言及した。共闘した2006年3月。第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の韓国との準決勝で7回無失点と好投する姿が強烈な印象として残る。「レッドソックスのクローザーも務めているし、土壇場にすごく強い印象がある。(初対戦時は)『プロってこんなに切れがあるんだ』と思った」。勝利に貢献し続けてきた7歳上の先輩に思いをはせた。  チームは昨年6、7月に8連敗して以来の7連敗。七回には2失策から2失点と悪循環が続く。青木は「良いところも、悪いところも出ている。明日以降に生かしていかないといけない」と前だけを見つめた。 (長崎右)

◆走った! 投げた! これがドラフト1位・近本光司外野手(大阪ガス)だ。早くも"梅雨入り"したかと思わせるような攻撃に勢いをつけ、2連勝に大きく貢献だ。  「(塁に)出て相手ピッチャーや守備にプレッシャーを与えられるようにやっていきたいと思っている。今日はよかったかな」  まずは得意の足だ。一回、二塁への内野安打で出塁すると、続く糸原の5球目にスタート。送球がショートバウンドになる間に足を滑り込ませ、12日の中日戦(甲子園)以来の盗塁を記録した。  さらに五回先頭では三遊間を破って、3試合ぶりのマルチ安打。その後、二走として、大山への初球、高橋のモーションを完全に盗み、重盗に成功した。今季13個目の盗塁を決め、ヤクルト・山田哲、中日・大島を抜き、一気にセ・リーグトップへと躍り出た。  守備でもチームを救った。1-1の五回2死二塁から雄平の中前打を落ち着いて処理し、本塁送球。二走・山田哲を刺し、ピンチを救った。これで今季5個目の補殺を記録し、これまた外野手ではリーグトップ。「打球が速かったのでしっかり取ってしっかり投げれば勝負になるかなと。自分のできることをやりました」と振り返った。  矢野監督は「バックホームも見事やったし。近本がかき回したという部分もあった」と笑顔。打って、走って、守って-。ルーキーがグラウンドを駆けまわる。 (菊地峻太朗)

◆右肘をたたみ、クルッと体を回転させた。快音とともに白球は左翼ポール際へとあっという間に消えていった。梅野は勢いそのままにバットをほうり投げ、ダイヤモンドを弾むように一周。殊勲は糸井に譲るも扇の要としての仕事を果たした。  「いいコース(の球)をしっかり振り抜けた。いい投手を打ち返せたのは、自信というか、今後につながる一本だった」  0-0の二回、ヤクルト先発左腕・高橋の138キロ直球を一閃。15日の巨人戦(東京ドーム)以来、5試合&19打席ぶりの一発。アーチを描けば昨年6月27日のDeNA戦(横浜)以降、チームは8連勝。不敗神話を継続できたのも、マスクをかぶっての"神業"があったからだ。  四回だった。先発岩田がバレンティンに同点ソロを献上し、なおも1死満塁。打席に高橋を迎えた。カウント2-2からの6球目。岩田のカットボールは外角に大きく外れ、ワンバウンドした。これに横っ飛びで反応。「ストップの面でも自分なりの仕事はできたかな」。仮に暴投であれば勝ち越しを許し、試合は"死んで"いただろう。昨季、初めてゴールデングラブ賞を獲得。捕手出身の矢野監督に「特に守りでもすごく頑張ってくれている」と言わしめ、ようやく勝てる捕手に成長したことを裏づけた。  前日21日も決勝打を放ち、お立ち台で「明日も勝つバイ!」と叫んだ。この決めゼリフを言った次の試合は、過去2試合とも敗戦していたが、そんな負のジンクスとも、今回で"バイバイ"だ。  「場面によってはチャンスメークだったり、(走者を)返したり、役割を自分で(理解して)、自信を持って打席に立てている」  1-1の六回無死二塁でまわってきた第3打席でも状況を把握し、きっちりと犠打を決めた。  集中力に加えて、何をやるべきかを頭で整理できている。何度も球を止めることで、体中にできている青たんも捕手としてうれしい悲鳴。勝利をファンと分かち合ってこそ、初めて喜べる。選手会長が体をはってチームを勝たせる。 (織原祥平) ★いたずら返しはなんとロサリオ  練習開始前、クラブハウスからグラウンドに続く通路。高山が"いたずら"で梅野の等身大パネルを通路のど真ん中に置いた。梅野は「誰だよ...」と苦笑いしつつも、やり返そうとパネルを物色し選んだのは昨季わずか8発で退団したロサリオ。「もうみんな、コイツのこと忘れたやろ」とイタズラに笑いながら、かつての仲間のパネルを誰もが目につくところに置いていた。

◆満面の笑顔でグラブをたたき、右手を女房役の梅野に向かって差し出した。七回に登板した藤川が、1死一、二塁から山田哲、バレンティンを連続で空振り三振に。手に汗握る接戦で、流れをグッと引き寄せた。  「自分のボールというよりは梅野との配球。岩田もその前に投げていますし、そういう配球という部分での結果。それに助けられました」  バッテリーで切り抜けたピンチだった。マウンドに上がったのは1-1のまま迎えた七回。先頭の代打・宮本を4球で空振り三振に仕留めたが、その後だった。坂口に中前打、青木に左前打を浴びて1死一、二塁-。一打勝ち越しを許す場面で、中軸を迎え撃った。  「こちらから変化を仕掛けるというか。またちょっと自分の中でも成長できたかなというシーンだった」  山田哲への初球、外角141キロ直球で見逃しストライク。2球目は低め129キロフォークでファウルに。そして勝負にいった3球目、140キロ直球を内角低めにズバッと決めて空振り三振! 球場のボルテージが上がれば、続くバレンティンもお手の物だった。今度は"らしさ"全開の5球連続直球勝負で2-2と追い込むと、最後は130キロフォークで空振り三振。主砲2人を連続三振に仕留め、梅野とアイコンタクトからのガッツポーズだ。  「梅野とふたりで、またチームにとっても成長というか。バリエーションが広がった。シーズンが終わるまで、そういう方法を見つけながらやっていけばチーム全体でおのずと成績も上がってくる。前向きで非常に戦えていけると思います」  好救援で2勝目を挙げ、今季初のお立ち台にも上がった。まだまだ元気に腕を振り、正妻とともにチームを勝利へ導く。 (箭内桃子)

◆やっぱり、頼れる男や! 阪神がヤクルトに3-2で競り勝ち、2連勝を飾った。毎回走者を出しながらも、あと1本に欠けていた中、七回に糸井嘉男外野手(37)が勝ち越し打。そのまま逃げ切った。貯金「2」で首位・広島とは3ゲーム差。苦しくても、食らいつく。超人魂でここから快進撃や!  "ここ一番"で頼りになるからこそ、超人だ。平日でも足を運んでくれた虎党のため。チャンスを逃す重い空気を切り裂き、糸井が決勝打で試合を決めた。六甲おろしのど真ん中。今季初、甲子園のお立ち台からみえる景色は格別だった。  「とりあえず声援に応えたくて、勝ちにつながる一打が打ちたくて...。打ててよかったです!」  1-1のまま試合は中盤へ。打線は四回以降、毎回得点圏に走者を進めるも、ホームが遠い。漂う、じり貧感。迎えたラッキーセブンだった。  代打・上本の内野安打に失策が絡むなど1死三塁の絶好機で、糸原が遊飛に倒れた。打つしかない状況となり、糸井が打席へ-。「『糸井選手、頼む』という気持ちで打席に入りました」。浮いてきた133キロスライダーを一閃。超人らしく、ひと振りで中前に弾きかえし、連勝へと導いた。  さらに続く大山の当たりで一塁から一気に生還。18日の広島戦(甲子園)では守備で右膝を打撲し、途中交代したこともあったが、足への不安すらもなぎ払い、3点目を生み出した。矢野監督の目尻も自然と下がる。  「よく2死から打ってくれた。一時の悪い時を抜けているなと俺は感じている。底は抜けているんじゃないかな」  今季、甲子園で行われた試合の中では最少の3万3462人。指揮官も「初めて、外野スタンドがちょっと空席が見えた。テレビはもちろん、甲子園に来てもらって、パワーを送ってもらえたらうれしい」と呼びかけた。ファンを喜ばせる。勝つ。指揮官の思いを糸井は必死で受け止めた。  3月、必勝祈願のため、チーム全体で西宮神社を参拝したときだった。春季キャンプを終え、初めて全員の選手がそろった日。育成ドラフト1位・片山雄哉捕手(BCL福井)からあいさつをされ、ハっと思い出した。「あぁ! あのときの!」-。  昨年10月のドラフト会議の直後、片山が所属していたBCL福井の田中雅彦監督(37)=元ロッテ、ヤクルト=から電話がかかってきた。PL学園高出身の指揮官は実は近大時代、糸井とバッテリーを組んでいた。  田中監督が片山に「阪神にいくなら、コイツにあいさつしておけ」と相手を知らせずにスマートフォンを渡したが、糸井は新人の話を聞くどころかマシンガントークで質問攻めした。  「(田中)監督、どうなん!? 監督どうなん!? ええ感じか!?」  "初対面"で超人パワーを炸裂させ、片山をタジタジにさせた。田中監督は投手だった糸井の大学時代に「真っすぐとスライダーとカーブしかないのに、普通にサインを間違えるんですよ...。何回カーブやのに真っすぐがきたか...」と苦笑いする。それと同時に「まだまだやれると思います」という。7月で38歳。糸井は今後も虎の中心だ。  「ほんまに勝ちたい! その一心でやっていますので、応援よろしくお願いします!」  カード勝ち越しを決め、貯金は再び「2」。勝ちたい。超人の祈りが強ければ強いほど、甲子園はどんどん熱くなる。 (竹村岳) 七回、糸井の本塁生還について三塁コーチャーを務める阪神・藤本内野守備走塁コーチ 「バレンティンの守備力とかを考えて、行けると思ったからまわしました。 ああいうタイミングで(打球を)はじいてくれた。(糸井には)今後も次の塁を意欲的に狙っていってほしいですね」

◆何度もピンチを招いても切り抜けられたのは梅野のリードがあったから、だ。  最も強調したいのは七回1死から連打で一、二塁を招いた藤川に対してだ。2ストライクと追いこんだ後、見せ球を1球も使わず、3球勝負を選択。山田哲は内角直球に振り遅れて、空振り三振を喫した。藤川が弱気にならない、なおかつ相手に考える時間を与えなくするためのものだった。  さらに続くバレンティンには5球連続で直球。最後は裏をかくようなフォークを要求し、藤川も空振り三振に仕留めて、応えた。マスク越しに梅野は相手のしぐさをみて、何を狙っているのかを探ったのだろう。洞察力が好リードに表れた。  制球に苦しんだ岩田が六回(1失点)まで投げられたのも、梅野のおかげ。前回対戦(8日)で青木の頭部に死球を当てたことが影響したのか、この日は打者の胸元を攻めにくかった。三回1死一、二塁で山田哲を外角からのツーシームで遊ゴロ併殺に打ち取ったが、岩田の気持ちを理解し、配球を工夫していた。  先制弾を放った打撃はもちろん、梅野のリードの成長が、3位と健闘するチームを支えている。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
26181 0.591
(↑0.01)
-
(-)
98176
(+3)
168
(+1)
41
(+1)
25
(-)
0.245
(-)
2.970
(↑0.05)
2
(-)
巨人
23181 0.561
(↓0.014)
1.5
(↓1)
101213
(+1)
164
(+5)
53
(+1)
24
(-)
0.265
(↓0.001)
3.580
(↓0.04)
3
(-)
阪神
23212 0.523
(↑0.011)
3
(-)
97177
(+3)
197
(+2)
32
(+1)
29
(+3)
0.245
(↑0.001
3.700
(↑0.04)
4
(-)
ヤクルト
21232 0.477
(↓0.011)
5
(↓1)
97217
(+2)
223
(+3)
52
(+1)
19
(-)
0.246
(↑0.001
4.330
(↑0.06)
5
(-)
中日
19250 0.432
(↓0.01)
7
(↓1)
99152
(+1)
168
(+3)
28
(-)
27
(-)
0.256
(↓0.004)
3.740
(↑0.03)
6
(-)
DeNA
18250 0.419
(↑0.014)
7.5
(-)
100170
(+5)
185
(+1)
53
(+3)
10
(+1)
0.239
(↑0.001)
3.920
(↑0.07)