巨人(☆9対3★)阪神 =リーグ戦1回戦(2019.04.02)・東京ドーム=
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阪神
0000030003610
巨人
20501100X91202
勝利投手:山口 俊(1勝0敗0S)
敗戦投手:ガルシア(0勝1敗0S)

本塁打
【巨人】ゲレーロ(2号・3回裏3ラン),丸 佳浩(1号・5回裏ソロ)

  DAZN
◆巨人が快勝。巨人は初回、丸の適時打などで幸先よく2点を先制する。3回裏には、岡本の適時打とゲレーロの3ランで一挙5点を奪い、リードを広げた。投げては、先発・山口が7回3失点の力投で今季初勝利。敗れた阪神は、先発・ガルシアが4回7失点と乱調だった。

◆巨人長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、巨人-阪神1回戦が行われる東京ドームに来場する。 長嶋氏が公の場に姿を見せるのは、巨人菅野と西武菊池(現マリナーズ)が投げ合った、昨年6月8日西武戦(東京ドーム)以来10カ月ぶり。同年7月に胆石で入院。リハビリを続け、快方に向かっていた。今年2月には、宮崎キャンプでメッセージが届けられていた。

◆巨人長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、巨人-阪神1回戦が行われる東京ドームに来場し、ネット裏のバルコニー席から手を振った。 試合開始の5分前、ベージュのジャケットに茶色のネクタイをしたミスターの姿が、バックスクリーンに映し出されると、東京ドームのファンからも大歓声がわき起こった。 次女の三奈さんらに付き添われ、左手で手を振ると、一塁側ベンチ前に出た原監督や選手たちも手を振ってあいさつした。 試合は渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(92)と並んで座り、観戦した。 長嶋氏が公の場に姿を見せたのは、昨年6月8日西武戦(東京ドーム)以来10カ月ぶり。

◆阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)がプロ初盗塁を決めた。 初回1死から四球で出塁すると、次打者の2球目で果敢にスタート。 捕手の巨人小林は二塁送球することができず、セーフ。俊足が持ち味のルーキーが足で魅せた。

◆巨人丸佳浩外野手が、長嶋茂雄終身名誉監督が見守る前で、先制の適時二塁打を放った。 初回無死一、二塁、カウント1-1から阪神ガルシアの外角低めスライダーを力強くスイング。一塁線を伝った打球は、一塁手のグラブをかすめるように右翼へ抜けた。先取点を挙げ、二塁へ到達した丸はベンチへ両手で輪を作る「丸ポーズ」で喜んだ。「打ったのはスライダーです。うまく抜けてくれたので良かったです。まだまだ、どんどん点をとっていきます! 頑張ります」とコメントした。 長嶋終身名誉監督からは、広島残留か移籍かを悩んでいた昨年11月、「一緒に野球ができたらうれしい」と直筆の手紙が届いた。背中を押してくれた地元・千葉の大先輩へ、タイムリーで1つ、恩を返した。

◆卓球女子の伊藤美誠(18=スターツ)が2日、巨人-阪神1回戦(東京ドーム)で始球式を行った。 東京五輪(オリンピック)が開催される年の「2020」の背番号のユニホームを着用。大きく振りかぶって、ショートバウンドでミットに収まった。 「あの場に立ったら、本当に震えました。4万人の中でプレーすることはないので、五輪以上に緊張した。精神的に強くなりました」と笑顔で話した。試合前には原辰徳監督(60)と談笑。「卓球のことをすごく知ってくださっていて、うれしかったです」と話した。

◆5人組人気ボーカル・グループの「ゴスペラーズ」が2日、巨人-阪神1回戦(東京ドーム)で君が代斉唱を行った。 リーダーの村上てつやは「本拠地の開幕戦、そして伝統の一戦というところで、そこに指名してもらったというのはドラフト上位の気分です。非常に光栄です。身の引き締まる思いで歌いました」と笑顔で話した。

◆巨人アレックス・ゲレーロ外野手が2戦連発となる2号3ランを放った。 2点リードの2回、岡本の適時二塁打で2点を追加した後の1死一、三塁。阪神ガルシアの初球、130キロの真ん中チェンジアップを完璧に捉えた。 滞空時間の長い打球は左翼スタンド上段へ飛び込んだ。31日広島戦での2ランに「打ったのはチェンジアップ。みんながつないでくれたチャンスだったので、なんとか返したいという気持ちで打席に入りました。センター返しを心がけ、打席に入った結果、最高の打撃ができました。いいタイミングで追加点になったのが良かったと思います。バモス!!」と喜んだ。

◆阪神オネルキ・ガルシア投手(29)が、4回7安打7失点(自責6)と結果を残せなかった。阪神に移籍後初登板のマウンドだったが、まさかの炎上となった。 初回、3番丸に右翼線適時二塁打で先制を許すと、3回には4番岡本に左中間フェンス直撃の2点打、6番ゲレーロには2号3ランを浴びた。 「初回の投球が全てでした。自分のボールをうまくコントロールできず、もっと落ち着いて投げることができればよかったのですが、修正することができませんでした。次回は初回から自分の投球をできるように準備していきたいです」とコメントした。

◆ミスター、おかえり! 巨人長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、阪神1回戦が行われた東京ドームに来場した。 公の場に姿を見せたのは昨年6月8日の巨人-西武戦(東京ドーム)以来。試合前、次女の三奈さんに付き添われネット裏のバルコニー席から手を振ると、ファンから大歓声が起こった。同7月に胆石で入院し治療を続けてきたが、大好きな野球場に足を運ぶまで回復した。試合開始の5分前、バックネット裏のバルコニー席にミスターが現れた。ベージュの格子柄ジャケットに濃茶のネクタイ、シャツはクリーム色で決める。次女の三奈さんらに付き添われ、左手を振る姿がバックスクリーンに映し出されると、東京ドームのファンから大歓声がわき起こった。 昨年7月に胆石のために入院し、公の場に姿を見せたのは298日ぶり。原監督ら選手たちも一塁側ベンチ前に飛び出し、長嶋氏に向けて何度も手を振った。ミスターは球場中を見渡すように25秒間手を振り続けると、ゆっくりと歩みを進めて着席。渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(92)と並んで座ってプレーボールを待った。 待ちに待った"再会"に、巨人ナインが燃えないはずがない。1回裏、今季からスタメンをつかんだ若き1番吉川尚が左前で出塁する。2番坂本勇が中前打でつなぐと、長嶋氏は左手で膝をたたいて喜んだ。 無死一、二塁で打席に立つのは、対面を心待ちにした3番丸。3月の関西燦燦会で巨人山口寿一オーナーが「丸に会いたがっている。丸のバッティングが見たいと。そういう気持ちは非常に強いようです」とリハビリの励みにした存在だった。丸の打球が一塁線を破ると、ミスターは大きく口を開け、思わず声をあげて拍手。直後にはファンと同じオレンジ色のタオルを肩からかけ、はじけるような笑顔で白い歯を見せた。 東京ドームでの生観戦は、長く思い続けた強い希望だった。昨年末に退院したが、毎年恒例の宮崎キャンプ視察は体調回復を優先して見送った。連日自宅近くの公園を歩くなど、トレーニングを継続。欠席した3月25日の燦燦会では「チームの顔ぶれも新旧入り交じって心身ともにリフレッシュをしました。大いに期待をしています。私も近いうちに東京ドームで、がむしゃらに戦い抜く姿を見たいと思っています」とメッセージを寄せていた。 長嶋氏は1回の攻撃を見届けるとバルコニー席を後にしたが、5回には丸の移籍後初本塁打が飛び出すなど、大好きな攻撃的な野球で東京ドームは大興奮につつまれた。新元号が令和に決まった翌日、昭和、平成を駆け抜けたスターが帰ってきた。【前田祐輔】

◆巨人長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、東京ドームで巨人-阪神1回戦を観戦した。 「東京ドームに来たのは久しぶりだな。やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね。打線も吉川君、坂本君、丸君が、1、2、3で先制してから、爆発したね。岡本君ももう少しかなと思ったけど、よく打った。また、ドームに来て応援したいと思います」とコメントした。

◆巨人が帰ってきたミスターの前で単独首位に躍り出た。 1回に先頭の吉川尚、坂本勇の連打で無死一、二塁の好機をつくると、丸が一塁線を破る先制適時二塁打を決めた。さらに2点リードの3回1死二、三塁で岡本が左中間フェンス直撃の2点適時打で追加点。ゲレーロも2号3ランで続き、一挙5得点でたたみ掛けた。7点リードの5回には丸の移籍後初本塁打となる1号ソロも飛び出した。 本拠地開幕戦のお立ち台に上がった丸は「東京ドームでまずは1号が打てて良かったと思っています。(ベンチの味方の丸ポーズに)阿部さんがずっとやってくださったのでありがたかかった。伝統のある戦いですし、非常に身が引き締まる。その中で今日のように結果を出すことができて良かった。まだまだシーズンは長いですし、今、チームが勢いに乗っているので連勝を伸ばしていきたいです」と大声援で迎えられた。 先発山口も7回5安打3失点で今季初登板初勝利をマーク。8回からは継投に入り今村、宮国が無失点で締めて3連勝を決めた。 この日は長嶋茂雄終身名誉監督が東京ドームを訪れて観戦した。昨年7月に胆石のために入院し、公の場に姿を見せたのは298日ぶり。懸命のリハビリで本拠地開幕戦に足を運んだミスターに呼応するようにナインが躍動した。同終身名誉監督は「東京ドームに来たのは久しぶりだな。やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね。打線も吉川君、坂本君、丸君が、1、2、3で先制してから、爆発したね。岡本君ももう少しかなと思ったけど、よく打った。また、ドームに来て応援したいと思います」と球団を通してコメントした。 原辰徳監督は「ジャアンツのペースで初回の2点、そのあとの非常にいい攻撃の中で試合を進められたのが良かった。(長嶋茂雄終身名誉監督が観戦し)しっかりご挨拶できなかった、会えなかったのですが、うれしいですね」と話した。 伝統の一戦は昭和が巨人の630勝495敗54分け。平成はこの日の勝利で430勝318敗17分け。平成最後の「東京ドームでの伝統の一戦」の第1ラウンドは打線が躍動し、先勝した。

◆巨人山口俊投手がミスターの前で今季初白星を挙げた。5四死球と制球に苦しみながらも、最速148キロの直球で押し切り、7回3失点でまとめた。 長嶋終身名誉監督の観戦はバックスクリーンの映像で知ったと話し「チームとして勝ててよかった」。 自身の投球には「あれだけ点をもらったので、もっとぴりっとしないと」と反省した。

◆中日から移籍後初登板初先発の阪神オネルキ・ガルシア投手は、本来の投球ができず4回7安打7失点で降板した。 初回に3連打から2点を失い、3回はゲレーロに3ランを浴びるなど一挙5失点。「ファーストイニングの時に、自分のピッチングをうまくコントロールできなかった」と悔やんだ。矢野監督も「全体的に今まで見た中で、一番良くなかったね。球の走りもスピードも出ていないし」と心配した。

◆長嶋さん、見てくれましたか-。巨人丸佳浩外野手(29)が、観戦に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督の前で躍動した。1回無死一、二塁の好機で先制の適時二塁打。5回には右中間席へ移籍1号ソロを放った。FAで加入した目玉を中心に打線が機能。4番の岡本和真内野手(22)が3回に2点適時二塁打を放つなど、序盤から自慢の攻撃力を見せつけた。丸が、病床から"恋文"を送ってくれたミスターに快打で恩返しした。1回無死一、二塁から、一塁線を破る先制の適時二塁打。長嶋終身名誉監督が笑みを浮かべる中、頭の上で両手で丸を作る「丸ポーズ」で喜びを表現した。試合直前、ベンチ前からあいさつし「身が引き締まりましたし、しっかり勝ちたかった」。思いをスイングに乗せた。 縁を感じさせる巨人での幕開けだった。古巣の広島戦で4打席連続三振デビュー。偶然にもミスターと同じ結果だった。「自分は足元にも及ばないので、恐縮ですけど...」と肩をすくめたが「悪いことを引きずらないように、意識している」とリセット。この日も2打席目に凡退後、3打席目で移籍後初本塁打を放ち、2安打3打点の活躍で本拠地開幕戦で初のお立ち台に上がった。 残留か移籍かの決断に揺れた昨年11月。1通の手紙が届いた。「一緒に野球ができたらうれしい」。地元千葉の大先輩・長嶋茂雄からのシンプルでも熱いメッセージに心を震わせた。「感激しましたし、うれしかったです」と大事に自宅に保管し、言葉はしっかりと胸に刻んだ。 丸少年にとって、野球観戦といえば東京ドームだった。初観戦だった98年の指揮官は長嶋監督。「テレビの中の方」で雲上人だった。ダイヤモンドの上から自身を見つめる姿に「野球に対して、情熱のある方だとあらためて思った。情熱を僕も負けないように持ち続けたいです」と誓った。ミスターからも求愛された屈指のバットマンが、その力を目の前で証明した。【久保賢吾】

◆第25代4番のミスターが現れた巨人軍の庭で、第89代4番の体が反応した。3回1死二、三塁、カウント1-2。岡本は左足の上げ幅を狭め、阪神ガルシアの真ん中低め速球に合わせた。ライナー性の打球は左中間フェンスに衝突。2点適時二塁打に「久々にレフト方向に、いい当たりが飛びました」と喜んだ。二塁上で、赤い打撃用手袋をまとった右拳を一瞬ながら固く握った。今季15打席目で初の適時打をかみしめた。 期待値は高い。2リーグ制導入以降、23歳以下シーズンでは59年長嶋、62年王、96年松井しか経験したことのない「開幕4番」に座った。22歳8カ月はミスターを上回る早さ。昨季は史上最年少で3割30本100打点を達成し、真価が問われる5年目のシーズンを打線の中心で迎えた。 開幕3連戦で13打数2安打、打率1割5分4厘に沈んだ。4番の仕事を果たせていなかったが、チームはリーグ3連覇の広島に連勝。勢いに乗るためにも、本拠地開幕戦の試合前には早出で打撃練習を行い、感覚を取り戻そうと振り込んだ。就寝前に試合の打撃を振り返り、翌日の練習で試したいことを決めてから眠りに入る。努力のルーティンが才能を目覚めさせた。 2安打の2番坂本勇、1号ソロが飛び出した3番丸に負けじと、待望の1本が出た。今年で85周年を迎える球団史の頂点に君臨する長嶋茂雄の面影を追うように、新たな歴史を刻もうと奮闘する第89代4番が輝きを放った。【桑原幹久】

◆巨人、阪神の3連戦の初戦。巨人は初回、丸の適時二塁打などで2点を先制。3回に岡本の適時二塁打、ゲレーロの2号3ランで5得点。さらに5回、丸の移籍後1号ソロでリードを広げた。阪神は6回、福留の適時打、糸原の2点適時三塁打で3点をかえすも巨人が9得点で逃げ切った。巨人は3連勝、先発山口は今季初勝利。阪神先発ガルシアは1敗目。

◆巨人の山口寿一オーナーが、巨人長嶋茂雄終身名誉監督とともに観戦した。 「長嶋さんが来てくれて。ファンの皆さんも喜んでいただけたしね。ウチの渡辺主筆も喜んでいたし、長嶋さんも喜んでいたし。僕も長嶋さんの顔を見たのが久しぶりだったので、非常にうれしかったですね。日曜日の昼間に長嶋さんから電話をもらったんですよ。私がね。4月2日の東京ドームに行きたいということで。ちょっとビックリしたんですけどね。長嶋さんとしては4月2日の東京ドームを励みに、近所の公園でトレーニングをやって。で、今日、球場に来られたということなんですね。医者にも相談して、許可をもらって。初めての本格的な外出になる。外で歩いても問題がないという診断も得て。長嶋さんとしては万全の準備をして来られたということだったんですよね。長嶋さんは直前までよく分からないということもあったと思うし、どこかでサプライズで球場に現れたいということもあったと思うんですけど、そんなわけで私の方から言えなかったので申し訳なかったですけど。まあ、本当に良かったです」と振り返った。 当初の予定では、もっと早く球場を後にする予定だったという。 「最初は球場に来て主筆にあいさつをしてしばらくしたら帰りますということだった。ですので、こちらからお願いをして、せっかく来られるのであれば、バルコニーから客席に手を振ってもらえませんかということで、プレーボールの前にバルコニーに出てもらった。本当はそれからまもなく帰るということだったんだけど、球場に来ると試合を見たくなったみたいで。そのままバルコニーの席に主筆と並んで座って、1回の表と裏は見ていましたね。その後は引き揚げたんです。だから2回の途中には帰ったと思いますね」 想定していた日時よりも早い時期に観戦が実現した。 「奇跡的ですよね。やはり、病気自体は以前からお話ししていたように、大丈夫ではいたんだけども。やはり足腰が。長嶋さんも83歳ですから、足腰は弱くなって、それを取り戻すのに本来はもっと時間がかかると思うんですけどね。よく4月2日に間に合わせてくれたなと、驚異的だと思います」と驚いていた。

◆巨人原辰徳監督(60)が、長嶋氏の見守る前で、本拠地開幕戦を白星で飾った。 2本塁打を含む12安打で9点を奪い大勝。試合前にはネット裏の長嶋氏に向けて帽子を取り、手を振ってあいさつした。「会うことはできなかったんですけど、うれしいですね。今日の一戦がミスターにとってもすごく快方に向かってくれるといいなと思いますね」と喜んだ。 開幕カードの広島戦で2勝1敗と勝ち越し、これで3連勝。丸にも待望の本塁打が出た。「最初のタイムリーもね、運が回ってきたというかね、いい形で打席に入れたんじゃないでしょうか。1球1球、集中している」と評価。今季のチームスローガンは「和と動」で新元号に令和が決まったことも好材料と受け止める。「品があってとってもいいと思う。『和』が入っていたというのはね、追い風が吹いているという感じはするね」と歓迎した。

◆阪神矢野燿大監督の伝統の一戦での初采配は完敗だった。1回に2点を失うと、3回は5失点。ガルシアの不調が誤算で、序盤戦で勝敗は決した。1度も主導権を握れず、なすすべなし。 「(巨人の)強さというより、今日は別にウチがちょっと。強さでやられた感じではない。ウチの力を出せなかった負け。別に巨人が強くて負けたとは思っていない」。強気なスタンスを崩さなかった。 劣勢でも前を向いた。7点を追う4回攻撃前。清水ヘッドコーチが円陣で口を開いた。「このままでファンは喜ばない。絶対に捨てちゃダメだぞ。このまま流れてしまうと去年の最下位のままだ」。打線は6回に奮起。3安打を浴びせ、3点を奪う意地を見せた。大敗ムードが漂っても、ベテラン福留を代えない。同コーチは「監督もあきらめてなかった」と代弁した。 この日は山口に苦戦。打線の状態は上向かず、チーム打率は1割6分1厘。オープン戦好調の1番木浪は開幕から14打席無安打で試練を味わう。指揮官が「1本も出ていないのは本人も分かっているし、焦るなと言っても焦る。乗り越えていくべき壁。状態は結果が出ていないからいいとは言いにくい」と言う。4番を託した大山も打率は1割4分3厘と停滞するが、引き続き主軸を任せる方針だ。 3日はメルセデスと対戦する。昨季、白星なしの2敗を喫し、防御率0・61と圧倒された。一筋縄でいかない難敵が相手だが、指揮官は「明日(3日)勝つことに全力を尽くしていく」と言い切った。執念のタクトで指揮官の巨人戦初白星を狙う。【酒井俊作】

◆長嶋さんの元気な姿をみて心底ほっとした。昨年の6月8日、東京ドームでの西武戦で、話す機会があった。心なしか声に張りがなく、足元も以前より怪しかった。その時は失礼ながら「年を取られたなあ」と思った。実はそのあたりから体調は芳しくなかったのだろう。 関係者によれば、一時は本当に危険な状態に陥ったという。7月の入院後、いったんは回復した。夏の甲子園をテレビ観戦できるほどだったが、8月下旬から9月にかけて、体調が悪化。酷暑も災いして、集中治療室での闘病を余儀なくされた。現役時代からずっと変わらなかった体重も10キロ近く減ったという。 しかし、長嶋さんはその危機も乗り越えた。04年に脳梗塞で倒れた時も見事に生還したが、今回も類いまれな生命力をみせてくれた。危機から脱したあと、リハビリで「荒城の月」を毎日歌ったと聞いた。何でも発声のリハビリにはこの曲が適しているらしい。 春 高楼の 花の宴 長嶋さんは桜咲く春に見事に復活した。【元巨人担当 沢田啓太郎】

◆近本が希望の光だ。阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)が巨人戦でプロ初盗塁をマークし、今季4戦目で早くも2本目の三塁打も放った。平成最後となる東京ドームでの「伝統の一戦」は黒星発進ながら、活きのいいルーキーが躍動。昨年7月に入院して以来初めて公の場に姿を現した巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(83)にも印象を残したはずだ。第2戦で巻き返しをかける。冷静に二塁ベースを蹴った近本は、グッと加速し、勢いよく三塁へ滑り込んだ。 「気持ち的には二塁打コースだと思った。センターのクッション(処理)を見て、三塁に行けるかなと」 8点ビハインドでも諦めない。6回だ。先頭で打席に立つと、山口の内角高め直球をアジャスト。中堅手・丸の頭上を越してみせた。懸命に走りながらも、心は落ち着いていた。1つでも、先の塁へ-。右足で二塁ベースを踏み、体を内側に倒して突き進んだ。開幕戦に続き、2本目の三塁打。球団新人の最多三塁打は牛若丸の異名をとった53年吉田、92年久慈の「8」で、記録更新を狙えるペースだ。長打力、走力といった持ち味を出し、この回3点を返す足場を築いた。 ただ速いだけではない。「四球は二塁打だと思っている。得点圏に進めてよかったです」。初回は四球を選ぶと、2球目にスタート。プロ初盗塁を決めた。「いつも狙っています。状況を見て、走れるところだと思った。(チームに)良い勢いをつけられたら」。 独自の体重移動が盗塁成功の秘訣(ひけつ)だ。近本は「頭」でスタートを切る。「盗塁で重要なのはスタート。足が遅くても、できるだけ早くスタートを切れればセーフになる」。上体を二塁方向に倒すリードで、投手を惑わせる。きっちりと体重を進む方向に乗せることでスムーズにスタートが切れる。「警戒されながらでもしっかりやっていきたい」。身につけた理論、走法に自信がある。その姿に矢野監督も「(足を使って)機能していってくれたら」と期待を込めた。 慣れ親しんだ東京ドームで背番号5を光らせた。「良いイメージしかなかったです」。大阪ガス時代の昨夏、都市対抗で優勝に貢献して大会MVPにあたる「橋戸賞」を獲得。スカウトの目にとまったプロの原点だ。「守備で観客を見たときに(巨人)ファンの一体感がありました」。24年間、関西で育った。ミスター長嶋茂雄氏や球場に舞うオレンジタオルは、テレビの中の世界だった。だが、今や現実のもの。地に足をつけて走る近本が、希望の光だ。【真柴健】

◆阪神福留孝介外野手が通算1000打点に王手をかけた。6回1死一、三塁の右前適時打で999打点目。3日巨人戦で大台に乗せれば41歳11カ月での達成となり、中日谷繁の42歳5カ月に次ぐ史上2番目の年長記録となる。「その打席その打席で出来ることをしっかりやって。でも明日につなげなければ意味がない」と、継続の大事さを繰り返した。 開幕カードのヤクルト3連戦(3月29~31日)で沈黙していたバットが、東京ドームでは快音を響かせた。2回の初打席で今季初安打を中前に運び、6回の適時打でマルチ安打をマーク。これで阪神入団後の東京ドーム初戦の通算打率は5割2分2厘(23打数12安打)、通算6打点と、相性のよさは変わらず。「自分の中でいいものは、大事にしていきます。ただチームが勝たなければ」。勝利につながる1000打点にする。

◆阪神の4番大山に快音は響かなかった。初回2死二塁のチャンスで空振り三振。6回1死三塁では死球で出塁したが、3打数無安打に終わり「頑張ります」と言葉少なに球場を後にした。 ここまで4試合で14打数2安打、打率は1割4分3厘。それでも矢野監督は「始まったばかり。明日もこのまま行く」と4番続行を明言した。

◆巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、本拠地開幕となる阪神1回戦を観戦するため東京ドームを訪れた。昨年7月に胆石を患って入院し、現在は自宅などでリハビリを続けていた。公の場に姿を現すのは、昨年の6月以来10カ月ぶりとなる。  次女でスポーツキャスターの三奈さん(50)に付き添われて球場入り。試合前には「ファンの方々にあいさつしたい」という自身の意向もあってバルコニー席に姿を見せ、スタンドの大声援に手を振って応えた。

◆巨人の本拠地開幕戦となる2日の阪神戦(東京ドーム)で、5人組の人気ボーカルグループ「ゴスペラーズ」が国歌斉唱を務めた。リーダーの村上てつやは「光栄なこと。本拠地開幕戦、しかも伝統の一戦で指名していただいて、ドラフト上位の気分」と笑わせた。  また、開幕セレモニーでは、映画「グレイテスト・ショーマン」に髭女レティ・ルッツ役で出演した米国の女優、歌手のキアラ・セトルが、同作の主題歌「ディス・イズ・ミー」を生歌で披露。スタンバイ中でグラウンドに上がれなかった村上は「(来るとは)聞いていなかったのでびっくりした。本物を見たかった」と残念そうだった。

◆2020年東京五輪で金メダルを狙う卓球女子の伊藤美誠(18)=スターツ=が2日、巨人の本拠地開幕戦となる阪神1回戦(東京ドーム)で始球式を行った。「2020」の背番号が入った巨人のユニホーム姿で登場。惜しくもギリギリのワンバウンド投球となったが、4万人を超える観衆からは温かい拍手が送られた。  始球式後に取材に応じた伊藤は「まだ手が震えています。こんなに大勢の中でやることもないし、始球式も初めて。今度はもっと楽しみたい」と話した。原辰徳監督(60)からは「男子も女子も層が分厚いね」と声をかけられたといい、「すごくよく知ってくださっていてうれしかった」と感激。「(日本代表入りは)五輪で優勝するよりも難しいと思っている。東京五輪で優勝するために、1年半は死ぬ気で頑張りたい」と誓った。

◆阪神のオネルキ・ガルシア投手(29)が2日の巨人戦(東京ドーム)に先発したが、4回7安打7失点(自責は6)。試合をつくることはできなかった。  一回に先頭の吉川尚、坂本に連打を浴びてピンチを背負うと、丸に右翼線へ適時二塁打を浴びて先制を許した。0-2の三回には岡本の左中間フェンス直撃の適時二塁打と、ゲレーロの左翼席中段への特大3ランでさらに5失点。G打線の猛攻を止められなかった。  中日に在籍していた昨季は2勝0敗、防御率0・56と相性抜群の東京ドームだったが、好投は披露できず。来日ワーストの計7失点を喫し、白星を挙げることはできなかった。

◆阪神のオネルキ・ガルシア投手(29)が2日の巨人戦(東京ドーム)に先発したが、4回7安打7失点(自責は6)。試合をつくることはできなかった。  一回に先頭の吉川尚、坂本に連打を浴びてピンチを背負うと、丸に右翼線へ適時二塁打を浴びて先制を許した。0-2の三回には岡本の左中間フェンス直撃の適時二塁打と、ゲレーロの左翼席中段への特大3ランでさらに5失点。G打線の猛攻を止められなかった。  中日に在籍していた昨季は2勝0敗、防御率0・56と相性抜群の東京ドームだったが、好投は披露できず。来日ワーストの計7失点を喫し、白星を挙げることはできなかった。

◆阪神のD1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が2日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初盗塁を記録した。  50メートル5秒8の俊足が武器のルーキーは、この日も「1番・中堅」で先発出場。一回1死から四球を選んで出塁すると、続く糸井の2球目で鮮やかに盗塁を決めてみせた。  バットでも見せ場をつくった。六回先頭で打席に入ると、内角高め直球を振り抜き中堅への三塁打に。無死三塁と好機を演出すると、福留の左前適時打で本塁に生還した。

◆巨人・山口俊投手(31)が2日、本拠地開幕戦となった阪神1回戦(東京ドーム)で今季初登板し、7回5安打3失点で勝ち投手の権利を手にして降板した。  失点は六回、福留の右前適時打、糸原の右越え2点三塁打など3安打1死球で与えたのみ。5四死球と制球に苦しみながらも試合を作った。

◆プロ野球巨人の長嶋茂雄元監督(83)が2日、東京ドームで行われた巨人-阪神1回戦を観戦し、胆石の治療のため昨年7月に入院して以来初めて公の場に姿を現した。試合開始直前にバックネット裏上部にあるバルコニー席から観客に向けて笑顔で左手を振った。  大型ビジョンにも元気な姿が大きく映し出され、ファンからは大歓声が起きた。長嶋元監督は球団を通じ「やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね」とコメントした。  読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役主筆と試合を観戦。巨人は打線が活発で三回までに7点を奪い「先制してから、爆発したね」と上機嫌の様子だった。球団広報によると、長嶋元監督がファンにあいさつをしたいと希望したことで観戦が実現したという。  昨年12月末に退院して自宅周辺で歩行練習などしてリハビリに励んでおり「また、ドームに来て応援したいと思います」と述べた。

◆巨人の山口は7回3失点で今季初登板先発を白星で飾った。長嶋元監督が見守る中、本拠地開幕の先発マウンドで重圧とも戦い「何とか勝たないと、という思いだけだった」と安堵した。  低めに球を決めるなどして踏ん張ったが、5四死球を与えたことに反省しきりで「無駄な四球が多かった。あれだけ点をもらって、ぴりっとしないと」と満足していなかった。 原監督 「長嶋さんも快方に向かってくれるのでは」 ゲレーロ(三回に2号3ラン) 「高い球を逃さず打てた。好調を維持できている」 岡本(三回に2点二塁打) 「甘いボールをしっかりと打ち返すことができた」

◆阪神・糸原が主将として意地の2点三塁打だ。1-8の六回2死一、二塁で打席に入ると、力強い打球がライトへ。これに巨人・陽が転び、右越えの三塁打となった。「点差はありましたが、いい形で打てました。みんな諦めていなかったので、打ててよかったです」。今季初の長打を記録し、チームを鼓舞。「四球も選べているので、(状態は)いいです。また頑張ります」と巻き返しを誓った。

◆阪神の福留が今季4試合目で初安打をマークした。先頭打者だった二回、山口の速球を捉えて中前に運んだ。それでもプロ21年目とあって「打席でやることをやるだけです」と淡々。さらに六回は右前に適時打と今後に弾みをつけた。  これで通算1000打点まであと1。しかし試合に敗れただけに、26日に42歳となる大ベテランは「チームが勝たないといけない」と責任を背負った。 矢野監督(ガルシアに) 「今まで見た中で一番悪かった」 阪神・清水ヘッドコーチ 「きょうは先手を取られた。こういうこともある」 馬場(今季初登板で初球を丸にソロ本塁打とされ) 「初球の入りは学んでいくこと」 木浪(開幕から無安打のままで、途中交代) 「仕方がない。実力不足」 糸原(六回に右越えに2点三塁打) 「いい形で打てた。みんな諦めていなかった」

◆阪神・福留孝介外野手が2日の巨人戦(東京ドーム)で今季初安打&初打点、チーム初のマルチ安打もマーク。プロ通算1000打点まであと「1」とした。  「その打席でできることをしっかりやるだけ」  まずは二回の第1打席。先発・山口の143キロの直球を中前にはじき返し、今季初安打。六回1死一、三塁で迎えた第3打席では、甘く入った変化球を引っ張り、右前適時打にした。これでプロ通算999打点目。偉大な記録に迫ったが、本人は「何かあったっけ?」と意に介さず。記録について知らされると「まあまあ」と泰然自若を貫いた。  敵地での伝統の一戦で3-9と完敗し、「チームが勝たないと...。明日につなげていかないと意味がない」。次は勝利に導く一打を放つ。

◆巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)が2日、本拠地開幕となる阪神1回戦を観戦のため、東京ドームを訪れた。昨年7月に胆石を患ったこともあり、公の場に姿を現すのは10カ月ぶり。球団を通じ、以下のようにコメントした。  「東京ドームに来たのは久しぶりだな。やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね。打線も吉川君、坂本君、丸君が、1、2、3で先制してから、爆発したね。岡本君ももう少しかなと思ったけど、よく打った。また、ドームに来て応援したいと思います」

◆おそらく...東京ドームの阪神ファンの方は、まだ誰も幕の内弁当はひろげていなかったのではないかなぁ...。まさかその前に...やけ酒を無理やりノドに流し込むことになるなんて...。  試合前に編集委員上田雅昭はこんな電話をくれました。  「そらもちろん伝統の一戦や。そして新元号が『令和』と決まった。その気分的な高揚感も漂ってる。花のお江戸はそれだけで少し巨人側に熱気が流れとるヮ...。ちょっといつものGT戦以上の取材陣のラッシュアワーぶりなんョ...。長いこと開幕戦をみてきたけど...これだけでもちょっとムードが巨人側にモヤッと流れとりますヮ...」  まず、試合前に巨人軍終身名誉監督長嶋茂雄氏が渡辺恒雄氏とともに特別室に現れた。それを見た巨人原監督は選手に声をかけて、試合前のベンチから飛び出してナインに笑顔で"感謝の挨拶"をうながしていた。もうそれだけでスタンドと巨人選手と10カ月ぶりのミスターの笑顔が見事に"調和"していた。  そして始球式には卓球の伊藤美誠選手が登場してハツラツと投げた。こうなるとだんだんムードが巨人サイドに傾く...その演出の見事さ...。  プレーボールがかかる直前、巨人はベテランの中島宏之(36)がベンチスタートだが、円陣の真ん中で笑顔で気合をいれた。  こんなところに"原辰徳イズム"がのぞく。これで虎の矢野監督の『ぶち破れ! オレがヤル』が少し押し戻されて...いわばムードメーカー対決もホンの少し圧倒されていく。  しかもまず先発のガルシアが肩に力が入り、三回には打者8人に30球..."独り相撲"だ。事実上、これで虎党の皆さまは舌打ちをしながら帰り支度を始めたと思う。  当番デスクの白石大地は出社するなり「公式戦は今季初めて当番です。気合は入ってますよ...当然」と鼻息は荒かった。彼は実はどこにでかけても、その地の著名な神社仏閣をたずねて『御朱印帳』をひそかに集めている。それをなでてから出勤したらしいが...その"闘志"はミスターのご威光の前に惨敗? したのかもしれない...とさえ思った。  だが...せめてもルーキー近本が六回先頭で右中間を抜く三塁打の激走! そこからの3点は消えかけていた虎にファイティングポーズを取り戻させた。しかし...壁は厚かった。  この日、京セラドームには運動部長大澤謙一郎が出向き、オリックス-ソフトバンクの本拠地開幕に顔を出した。オリックスの湊通夫球団社長にご挨拶をすませて今度はソフトバンクのベンチへ。すると工藤監督も大澤の顔をみるなり「久しぶりッ」と声をかけてきた。元タカ番でもあった大澤には村松有人コーチもやってきて...つまりは大澤は両軍に「がんばってくださいョ」とテキトーに笑顔をふりまいていた頃に、東京ドームでは巨人打線がフルスロットルになっていた次第だ。  それにしても..."不完全燃焼"で終わった巨人戦。こんなケッタクソの悪いゲームはこれだけにしてもらいたい。  さてここにきて矢野監督は「動く」のか。それともまだ「微動だにしない」のか...。  「おんなが付属品をだんだん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか...」と詩人高村光太郎は『智恵子抄』のなかで書いている。その意味はセーターとズボンのままの妻の「はなはだ美しい身の丈にあった調和」を見抜いたからなのだ。なんとなく今の虎にズキンと響くものがある。彼はこうも書いている。  「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る...」。苦悩から切り開く情熱を彼は『道程』と呼んだ。

◆--ガルシアは立ち上がりにリズムをつかむ前に崩れた  矢野監督「うーん、そうやね。何か全体的に今まで見たなかで一番良くなかったね。球の走りも、スピードもね、何か出ていないし。まあ、カウントを整えるというかね、そういうところもできていなかったし。まあ一番悪かったかなと」  --無安打の木浪はスパッと北條と代えたが、状態をどう見ているか  「そりゃあやっぱり、1本も出ていないというのは本人ももちろん分かっているし、焦るなと言っても焦るしね。これはもう乗り越えていくべき壁だと思うし。まあ、まあ、うーん...。まあ、どうなんやろ。状態としてはそらもちろん、結果が出ていないわけやからいいとは言いにくいし。そんな感じじゃない?」  --乗り越えられると期待して送り出していると思うが、何とか乗り越えてほしい  「そらそうやし、別に乗り越えられると思うけど、そんなん別に。まあ、なかなかそれ以上は現状ないかな」

◆ともに24歳の2人の若虎が開幕からもがき、苦しみ、地獄を味わっている。  オープン戦でまるで打出の小づちバットで新人最多の22安打を放ち、ルーキーながら開幕から4試合連続で1番起用も、ここまで14打席音なしの木浪聖也...。  そして、もう1人。猛虎の4番の重責に押しつぶされそうになっているのか、開幕からの打点は犠飛の「1」のみ。2試合連続でお粗末な失策まで演じてしまった大山悠輔...。  苦しかろう、つらかろう。もしかしたら夜も眠れないかもしれない? しかし、君たちはシアワセなんだよー!! ルーキーで開幕、そして伝統の一戦でのスタメン起用や4番を打たせてもらうなんて、多くの野球人が望んでも遠き夢なのだ。  選ばれし者しか味わえない地獄をじっくりかみしめて、この先強くなってくれたらそれでいい。虎党は腹をくくって待ってるぜ!!  しかし、最強巨人打線と最弱阪神打線がまともにぶつかったら試合になりまへ~ん(涙)。三十六計逃げるに如かず。丸やゲレーロを避けて他の打者に集中して第2戦は勝利なのだ!!

◆長嶋氏は試合開始直前に、バックネット裏上部にあるバルコニー席から観客に向けて笑顔で左手を振った。大型ビジョンにも元気な姿が大きく映し出され、ファンから大歓声が起きた。  球場での観戦は昨年6月8日の巨人-西武(東京ドーム)以来、298日ぶりで、胆石の治療のため昨年7月に入院して以降では初めて公の場に姿を現した。  昨年12月末に退院後は歩行練習などのリハビリに励んでいる。試合は二回途中まで観戦。球団を通じて「やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね。また、ドームに来て応援したいと思います」とコメントした。

◆ゲレーロの勢いがとまらない。4-0の三回1死一、二塁でガルシアの初球をフルスイング。左翼席中段に2試合連発となる2号3ランをたたきこみ、「高めの球を見逃さずに打てたのでよかった」と笑った。開幕戦こそスタメンを譲ったものの、この日も3安打3打点でここまで12打数7安打9打点と絶好調。「好調を維持している手応えがある」と親指を立てた。

◆ミスターが来た!! 巨人は2日、阪神1回戦(東京ドーム)に9-3で大勝し3連勝。一昨年4月以来、725日ぶりに単独首位に立った。この日は巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)が来場し、二回途中まで観戦。  山口寿一オーナーは3月31日に長嶋氏から球場に行きたいとの電話を受けたと明かし、「(退院後)初めての本格的な外出。医者の許可をもらって万全の準備をしてきた。顔の表情も以前と変わらず、顔色も良かった」と説明した。当初は渡辺主筆にあいさつして帰る予定だったが、球場に来て観戦したくなったという。「(長嶋氏は)試合を見ていて非常にご機嫌でした。渡辺主筆も喜んでいたし、僕も長嶋さんの顔を見たのが久しぶりだったので非常にうれしかった」と語った。

◆北條は五回1死から代打で今季初出場。そのまま遊撃の守備に就き、2打数無安打1四球も充実の表情だった。「(打席の)内容だけはよかった」。八回の第3打席で逆方向に鋭い打球を放ったが、一直に終わり、初安打とはならなかった。「早いカウントでは狙い球を絞って、追い込まれてからはしつこく、粘れるような打席にしたい」と次戦へ気合を入れた。

◆五回から2番手で今季初登板した馬場は2回2失点と結果を残せず。FAで新加入した丸に、移籍後初アーチ。六回にも2安打1四球で1死満塁とされると、またも丸に左犠飛を浴びた。プロ2年目で初の伝統の一戦での登板だったが、相手の勢いを止められなかった。「三振も取れたし、逃げたピッチングで取られたわけじゃない。マイナスな気持ちではないです」と前を向いた。

◆七回から登板した島本が2回無失点。右打者が並ぶG打線も苦にせず、3者連続を含む4三振を奪うなど持ち味を発揮した。「カーブでうまく空振りが取れました。右打者でも左打者でも関係ないと思っています」。今季2試合目の登板で、無失点を継続。「どんな場面でも投げて、抑えていかないといけないと思っています」と力を込めた。

◆糸原が主将として意地の2点三塁打だ。1-8の六回2死一、二塁で打席に入ると、力強い打球がライトへ。これに巨人・陽が転び、右越えの三塁打となった。「いい形で打てました。みんな諦めていなかったので、打ててよかったです」。今季初の長打を記録し、チームを鼓舞。「四球も選べているので、(状態は)いいです。また頑張ります」と巻き返しを誓った。

◆宿敵相手だろうが、この足なら一気に空気を変えられる。D1位・近本が初の伝統の一戦で、待望のプロ初盗塁を記録。あいさつ代わりの快足を披露した。  「盗塁は常に狙っているつもりなので。状況が走れる状況だったので、勢いをつけられるようにという意味で。(伝統の一戦は)ファンの一体感を感じました」  一回1死、四球で出塁すると次打者・糸井の2球目にスタート。投球がワンバウンドになり捕手・小林は送球できなかったが、記録は盗塁だ。記念すべき一歩目にも「得点圏に進めたことはよかった」と強調。続けて自身の"盗塁論"を明かした。  「四球で(盗塁を決めたら)二塁打だと思っているので。それで得点圏に進めるという意味で。内野安打とかシングルヒットでも、盗塁すれば二塁にいけるじゃないですか」  単打でも四死球でも、盗塁できれば長打と同じで、いかに得点圏に進むかが重要というわけ。経験を生かした初スチールだ。  8点を追う六回先頭では内角直球を払うようにとらえ、右中間を真っ二つ。快足を飛ばすと、中継した二塁手が投げられないほど余裕の三塁打で、3得点の口火を切った。敗色ムードの中で、ルーキーが宿敵を相手に立派なファイティングポーズを取った。三塁打は3月29日の開幕・ヤクルト戦(京セラ)に続き2本目。4試合で2本はシーズンに換算すると71・5本ペースという驚異の勢いだ。矢野監督も「機能していってくれたら」と期待を込めた。  「しっかり自分のやることをやればいいと思っています」  24歳の若虎は、しっかり表情を引き締めた。フルスロットルで、もっともっと塁を奪い取る。 (竹村岳)

◆福留が今季初安打&初打点、チーム初のマルチ安打もマーク。プロ通算1000打点まであと「1」とし、大記録までリーチをかけた。  「その打席でできることをしっかりやるだけ」  まずは二回の第1打席。先発・山口の143キロの直球を中前にはじき返し、今季初安打。六回1死一、三塁で迎えた第3打席では、甘く入った変化球を引っ張り、右前適時打にした。これでプロ通算999打点目。偉大な記録に迫ったが、本人は「何かあったっけ?」と意に介さず。記録について知らされると「まあまあ」と泰然自若を貫いた。  ようやく1本が出たことについて矢野監督は「きょうので落ち着いてくれたらいいなという感じかな」とうなずいた。「チームが勝たないと...。明日につなげていかないと意味がない」と福留。次は勝利に導く一打を放つ。(織原祥平)

◆祈るように、グラブに顔を伏せて目を閉じた。待ちに待った虎初マウンド。詰めかけた大勢の虎党の期待を一身に背負ったガルシアだったが、4回7失点と試合をつくれず。Gキラーとしての期待を裏切る初登板となった。  「初回の投球がすべてでした。自分のボールをうまくコントロールできず、もっと落ち着いて投げることができればよかったのですが修正することができませんでした」  苦しい立ち上がりだった。一回、先頭の吉川尚、坂本勇に連打を浴びていきなり無死一、二塁のピンチを背負った。何とか踏ん張りたかったが、続く丸に真ん中に入った123キロのスライダーを右翼線に二塁打とされ、あっさりと先制点を献上。さらに1死二、三塁から陽岱鋼の二ゴロで1点を追加された。  二回こそ三者凡退と立て直したが、三回に再びつかまった。1、2番にまたも連打を許し、無死一、二塁。自身の暴投で二、三塁とピンチを広げると、岡本に左中間フェンス直撃の2点二塁打を浴びて0-4に。トドメはゲレーロに食らった左翼席中段への特大3ラン。三回までで来日自己ワーストの7失点を喫してしまった。  相性抜群の敵地だったが、快投披露とはいかなかった。中日に在籍していた昨季、東京ドームの巨人戦では2勝0敗、防御率0・56と無類の強さを誇っていた。大得意のマウンドで虎初星といきたいところだったが...。  実は、オフに人工芝の張り替えとともに、マウンドにも微調整が加えられていた東京ドーム。メジャー仕様の硬めのマウンドに変わっていた。それでも「そこは特に問題なかった。打たれたのは、自分の問題です」と言い訳はしなかった。  「初登板できたことはうれしく思います。次の試合に向けて、しっかり準備したいです」  次戦は本拠地開幕となる9日のDeNA戦(甲子園)の先発が見込まれる。今度こそ本領を発揮して、チームに勝利をもたらす。 (箭内桃子)

◆打線、奮起してくれ!! 阪神は巨人との今シーズン最初の伝統の一戦で3-9と大敗した。開幕から4試合のチーム打率は・284の巨人に対し、虎は・161と打線が沈黙したまま。矢野燿大監督(50)は「巨人が強いな、という感じで負けたと思っていない」と強気だったが、打力の差をいきなり見せつけられた形だ。  相手の力ばかりを際立たせた「平成最後の東京ドームシリーズ」初戦だった。真っ向勝負を挑もうとした矢野監督だったが、まさかの大敗。改めて巨人の強さを感じたかと問われたが、首を横に振った。  「強さというよりはきょうはね、うちがちょっと。強さでやられた感じではないよね。うちの力が出せなかったという負けだけで。別に巨人が強いな、という感じで負けたなとは思っていない」  強気は崩さない。まだ始まったばかりのここで、巨人は強い、参った、などと虎将が思うわけがない。だが、壮大できらびやかな本拠地開幕セレモニーに始まり、長嶋茂雄終身名誉監督も来場しての、尋常でない盛り上がりのまま試合に突入。そのまま大差をつけられるまで何もできなかったことは事実だった。  Gの打者は痛烈な打球でボコッとフェンスにブチ当て、サクの向こうへも2本突き刺し、12安打で9点。かたや6安打の阪神は、開幕4戦目で最も多い3点を奪うのが精いっぱいだった。  オープン戦で12球団最多の22安打を放ち、開幕から「1番・遊撃」を託されてきたD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は3打席凡退。14打席無安打とトンネルから抜け出せず、五回の守備で北條に代わって退いた。一方、巨人の1番・吉川尚は3安打。チームに勢いをもたらし、きっちり役割を果たした。  4番にも差が出た。大山は3打数無安打1死球。一回2死二塁で空振り三振に倒れると、0-2の三回2死一塁では左翼フェンス手前への大飛球で天を仰いだ。今季の得点圏打率はまだ「・000」だ。一方、巨人の4番・岡本は大山が"同点弾"を逃したその裏、三回1死二、三塁で左中間フェンス直撃の2点二塁打。5点のビッグイニングを作る原動力となった。助っ人もナバーロが打率・200で巨人・ゲレーロが・583と大きな差がある。  巨人のチーム打率・284に対し、阪神は・161。得点圏打率も・242と・120で勝負になっていない。  0-7とされた直後、四回の攻撃前には清水ヘッドが円陣で語気を強めた。「このまま終わってしまったら、最下位になった去年と同じになってしまう。ファンを喜ばせるにはどうしたらいいか」。六回に3点を奪い返した。ヤクルト3連戦は投手力が際立ち、ロースコアのゲームを2勝1敗と勝ち越した。だがこのままでは、特に巨人打線相手には、投手力だけでは勝っていけない。  矢野監督も「明日勝つことに全力を尽くしていく。まあでも10対0で負けようが1対0で負けようが、1敗は1敗」と、強い言葉をしぼり出した。Gにこそ、打って勝つ。「令和」へと弾みをつける、今カード残り2戦とする。 (長友孝輔) 3打数無安打で、開幕から14打席安打なしの阪神・木浪 「仕方ない。実力不足です。(次戦は)開き直っていこうかなと思います」 3打数無安打で、2試合連続で快音なしの阪神・大山 「頑張ります」

◆ミスターが来た!! 巨人は2日、阪神1回戦(東京ドーム)に9-3で大勝し3連勝。一昨年4月以来、725日ぶりに単独首位に立った。この日は巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)が来場し、二回途中まで観戦。長嶋氏が直筆の手紙を送り、広島からフリーエージェント(FA)権を行使して移籍した丸佳浩外野手(29)が、新本拠地でのデビュー戦を移籍後初本塁打を含む2安打3打点の活躍で飾った。  野球少年のように胸を高鳴らせた。東京ドームのスイートルームに腰を下ろした長嶋終身名誉監督は、グラウンドを駆けるナインを頼もしそうに見つめた。  「やっぱり球場はいいね。わくわくするよ。みんな喜んでくれて、手を振ってくれてね。また、ドームに来て応援したいと思います」  次女でスポーツキャスターの三奈さん(50)らに付き添われ、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役主筆(92)と談笑しながら観戦。「伝統の一戦」の熱気を肌で感じ取った。  昨年7月に胆石の治療のため入院。12月末に退院後も東京都内でリハビリを続けている。今年3月に山口オーナーに伝言を託し、「近いうちに東京ドームで、がむしゃらに戦い抜く姿を見たいと思っています」と予告。本拠地開幕戦でいきなり実現させた。  ミスターの回復を祝うように、チームは9-3で快勝した。丸が五回に右中間席へ移籍後初アーチを放つなど、2安打3打点。長嶋氏は二回途中で球場を離れたため、本塁打は見ることができなかったが、「(一回に)吉川君、坂本君、丸君が、1、2、3で先制してから爆発したね。岡本君ももう少しかなと思ったけど、よく打った」と目尻を下げた。  中でも丸の活躍には喜びも格別だったはずだ。昨年11月、丸のFA宣言後に「一緒に野球ができたら僕としてもうれしい」と記した直筆の手紙を送った。長嶋氏は佐倉市、丸は勝浦市の出身。熱い思いを届けた同じ千葉県出身の後輩から、バットでうれしい"恩返し"を受けた。  父・浩二さんが熱狂的な"長嶋信者"という丸にとって、長嶋氏は幼少期に東京ドームで巨人戦を観戦した際、チームを率いていたスーパースター。病気を克服し、球場へ戻ってきた不屈の精神に「野球に対して、ものすごい情熱がある方なのだなと改めて思いました。僕もそういう情熱は当然ある。長嶋さんに負けないように持ち続けたい」と感服した。  試合前、ミスターの来場がアナウンスされるとベンチ前で帽子を取ってあいさつした原監督は「ジャイアンツのペースで、非常にいい攻撃の中で試合を進められた。きょうの一戦がミスターにとっても、快方に向かってくれる(助けになる)といいなと思いますね」と笑みを浮かべた。不屈の男・ミスターの魂を胸に、新生・原巨人が白星を重ねていく。 (谷川直之)

◆開幕から4試合連続で1番で起用されている木浪だが、まだヒットが出ない。第1打席などは、決して悪い内容の打球ではない。紙一重。ただ、カウントが追い込まれると第2打席のようにボール球を振っての三振が目立つようになってきた。  早く1本、という焦りは感じる。当然だろう。何年もやってきたベテランですら初安打は早く打ちたいもの。新人に平常心を求めるのは酷だ。  打ちまくったオープン戦の内容は、決して偶然ではない。確かな技術を持っている。将来、チームの中心になっていく素材であり、少々打てなくても「使い続けて育てていく選手」であることは間違いない。  私はこのまま1番起用継続でも間違いないと思うが、1、2番を入れ替えるのも面白い。近本がいい滑り出しをして出塁率も高い。木浪には違う打順で景色を変えてあげれば、キッカケになる可能性もある。糸原と入れ替えて思い切って7番に下げるもあり。肝心なのはスタメンから外さないこと。起用し続けて育ててほしい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
310 0.750
(↑0.083)
-
(-)
139
(-1)
20
(+9)
13
(+3)
3
(+2)
0.000
(-)
0.000
(-)
2
(2↑)
ヤクルト
220 0.500
(↑0.167)
1
(-)
139
(-1)
8
(+5)
6
(+2)
1
(+1)
0.000
(-)
0.000
(-)
2
(1↓)
DeNA
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓1)
139
(-1)
14
(+2)
17
(+5)
1
(-)
0.000
(-)
0.000
(-)
2
(2↑)
中日
220 0.500
(↑0.167)
1
(-)
139
(-1)
19
(+7)
16
(+4)
1
(-)
2.000
(-)
0.000
(-)
2
(1↓)
阪神
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓1)
139
(-1)
7
(+3)
12
(+9)
1
(-)
2.000
(↑1
0.000
(-)
6
(2↓)
広島
130 0.250
(↓0.083)
2
(↓1)
139
(-1)
14
(+4)
18
(+7)
5
(+3)
1.000
(-)
0.000
(-)