阪神(0対0)巨人 =リーグ戦24回戦・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789101112
巨人
0000000000000400
阪神
0000000000000410
勝利投手:-
敗戦投手:-
  DAZN
◆阪神の先発・岩貞は7回3安打無失点の好投を披露。一方、巨人の先発・メルセデスも8回3安打無失点の快投を見せる。両先発の降板後は阪神が4投手、巨人が2投手の継投で無失点のまま踏ん張り、3時間35分の投手戦は規定により延長12回引き分けに終わった。

◆巨人のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(24)が阪神戦に先発登板する。同投手の阪神戦は今季2戦2勝。阪神戦初登板の7月18日は7回無失点、2戦目の8月24日は完封勝ちで、阪神打線をデビューから16イニング連続で無失点に抑えている。

◆阪神藤川球児投手が24日、「右肘痛」で出場選手登録を抹消された。病院には行っておらず、今後の診断は未定。香田投手コーチは「コンディション不良です。残念だけど、今日、(登録)抹消になります」と説明した。 藤川は球団を通して「シーズン終盤の大事な時期に離脱してしまい、最後まで投げ切ることができずチーム、ファンの方々に申し訳ないです」とコメント。 今季は50試合に登板して4勝3敗、2セーブを記録。防御率2・45と結果を残していた。

◆思わぬ判定に虎党もビックリだ。0-0の7回無死二塁。巨人阿部が放った打球を一塁手ナバーロが捕球。一塁の橘高塁審は着地前に直接捕球したとみなし、1度はアウトを宣告。ナバーロは二塁送球を試みたが、誰もベースカバーに入っておらず、ナバーロの手から離れたボールが二塁後方へ転がった。それを見た二塁走者岡本は三塁へ進塁した。 しかし、4人の審判による協議の結果、ナバーロの捕球前に打球がワンバウンドしていたと判定が覆った。これには金本監督も抗議したが実らず。無死一、三塁で試合が再開された。

◆阪神岩貞祐太投手が7回3安打無失点と好投したが、打線の援護に恵まれず8勝目はならなかった。 7回に最大の危機を迎えた。先頭の岡本に左翼線二塁打を浴び、続く阿部の低いライナー性の打球をナバーロが捕球。1度は直接捕球と見なされアウトが宣告されたものの、4人の審判による協議でショートバウンドしてからの捕球と判定が覆った。ナバーロに野選と失策が記録され無死一、三塁とピンチが拡大した。 それでも岩貞は粘り腰を発揮した。長野を直球で押し込み捕邪飛で1死。ゲレーロを外角直球で見逃し三振、大城を内角直球で空振り三振に仕留め、窮地を脱した。無失点のまま7回109球で降板した。

◆阪神能見篤史投手(39)が最終回を危なげなく抑えた。互いに0行進が続き、試合は延長に突入。能見は12回に5番手で登板すると、先頭のゲレーロを空振り三振。続く重信と小林を内野ゴロに打ち取り、計10球で3者凡退に仕留めた。12回裏にも得点はなく引き分けに終わったが「負けなかったのは良かった」と、いつものポーカーフェースで仕事を果たした。 この日、藤川球児投手(38)が右肘痛のため出場選手登録を抹消された。頼れるリリーフの離脱に、能見は「カバーはなかなかできないけど、みんなでやっていくしかない」。39歳のベテランは、チームのために腕を振る。

◆巨人が執念のドローをつかんだ。先発メルセデスが二塁も踏ませない安定感抜群の投球で8回3安打無失点。延長10回からは新守護神の山口俊が3イニングをまたいで、パーフェクトで抑えた。高橋監督は無失点リレーの投手陣に「本当によくみんな頑張ってくれた。言うことがないね。(山口俊は)何とかというところでよく頑張ってくれた。3イニング? タフだし、先発をやっていたからね。今日は他にもいたけど、何とか俊にもう1イニングね」と賛辞を送った。 打線は7回無死一、三塁の先制機を逃した。「1番のチャンスはそこだった。何とかして欲しかった」。終盤にきてのドロー。阪神には分のある結果も4位DeNAとは0・5ゲーム差だ。「当然、勝たなくちゃいけないけど、負けないことも大事だから。勝ちたかったけどね」と受け止めた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(27)が最大のピンチを乗り越え、先発岩貞祐太投手(27)を好リードした。 0-0で迎えた7回無死二塁、巨人阿部の打球を一塁手ナバーロが捕球。1度はアウトと宣告され、ナバーロは二塁へ送球しようとしたが、ベースカバーに誰も入っておらず、二塁走者の岡本は三塁へ進塁。加えてナバーロの捕球前に打球がワンバウンドしていたと判定が覆り、無死一、三塁のピンチとなった(記録はナバーロの野選)。それでも「冷静に攻める気持ちで行けた」とバッテリーは攻めた。続く長野を捕邪飛に打ち取り、ゲレーロと大城を連続三振。この日最大の危機を無失点で乗り越えた。 前回登板した19日ヤクルト戦(神宮)で4回7失点で降板した岩貞は、この日7回3安打無失点。「今日に関しては結果がともなって良かったんじゃないかなと思います」と梅野。引き分けに終わったが、見違えるような好投を引き出した。

◆阪神岩貞祐太投手が7回3安打無失点と好投したが、打線の援護に恵まれず8勝目はならなかった。 7回に最大の危機を迎えた。先頭の岡本に左翼線二塁打を浴び、続く阿部の低いライナー性の打球をナバーロが捕球。1度は直接捕球と見なされアウトが宣告されたものの、4人の審判による協議でショートバウンドしてからの捕球と判定が覆った。ナバーロに野選と失策が記録され無死一、三塁とピンチが拡大した。 それでも岩貞は粘り腰を発揮した。長野を直球で押し込み捕邪飛で1死。ゲレーロを外角直球で見逃し三振、大城を内角直球で空振り三振に仕留め、窮地を脱した。無失点のまま7回109球で降板した。 試合後は「意地でも点を取られないように集中して投げました。(7回のピンチでは)自信のある球を投げ込めた」と振り返った。

◆巨人山口俊が同点の10回から驚異の3イニングまたぎ。打者9人から5奪三振を含むパーフェクト投球で切り抜けた。「ボールに自信が持ててきた。真っすぐがいっているので勝負できた。抑えられて良かった」とうなずいた。 全35球中6球が110キロ台のカーブ。3人には初球に投げた。度胸ある選択も「緩いボールはホームランになる確率が低い」と、サヨナラ負けのリスクを避ける選択だった。 スコアレスの展開の中、延長11回を投げ終えたベンチで斎藤投手コーチから「もう1回いける?」と続投を打診された。次戦は28日のDeNA戦で、最短でも中3日を確保できる。即答で快諾し"最後"まで投げ抜いた。高橋監督も「何とかというところで、よく頑張ってくれた。タフだしね」と目を細めた。 5位阪神と2・5差をキープ。4位DeNAと0・5ゲーム差で踏みとどまった。06年以来、12年ぶりの貯金なしが確定してしまったが、残りは6試合。優位を保って締めくくる。【島根純】

◆巨人メルセデスが阪神打線を封じ込めた。8回を投げ散発3安打無失点。危なげなく先発の役割を果たした。「いつも通り低めを意識した。それが、結果になった」と振り返った。 今季、同カード3試合に先発し、失点0の24イニング連続無失点。「先発として点を与えないというのが1つの仕事」と納得顔だった。

◆阪神は24日、巨人24回戦(甲子園)の7回に阿部の打球を捕った一塁ナバーロのプレーを巡る判定について日本野球機構(NPB)への意見書提出を決めた。当初は阿部の打球をノーバウンドで捕球したと判断した橘高一塁塁審がアウトのジャッジを下したが、審判団が協議してショートバウンドでの捕球とされ、セーフに覆っていた。谷本球団副社長兼球団本部長は「責任審判がアウトと言っていたのに(判定が)ひっくり返りました。ナバーロも『捕った』と話していますから」と説明。金本監督も「俺はノーバウンドに見えたけどな」と話していた。ナバーロは直後の送球時に悪送球失策を犯して無死一、三塁のピンチを招いた。無失点だったが、微妙な判定になった。 ◆橘高一塁塁審(7回判定に)「場内放送した通り。私はノーバウンドだと思ったのでああいうジャッジをした。協議の結果(判定が)ああなった。(金本監督から)『リクエストできないんですか?』と言われたので『できません』と言いました」 ◆阪神ナバーロ(7回無死二塁で阿部のライナー性の打球を処理した場面について)「もちろん(ノーバウンドで)捕ったと思うけど、審判のコールですから」

◆藤田平氏の球団最多安打記録(2064安打)にあと1本に迫っている阪神鳥谷のバットから快音は聞かれなかった。 延長12回1死走者なしの場面で、代打として出場。山口俊の150キロの直球に詰まり、遊ゴロに終わった。

◆阪神対巨人は、延長十二回も両者譲らず、0-0でこの対戦今季初の引き分けとなった。  試合は、阪神・岩貞と巨人・メルセデスの両先発の好投でゼロ行進。巨人は、七回無死一塁、三塁、延長十回二死一塁、三塁の好機があったが生かせず。阪神は、好機すら作ることができず、痛み分けとなった。

◆巨人のメルセデスは8回を3安打無失点、二塁を踏ませない快投だった。阪神戦は3度の登板で24イニング連続無失点となり「いつも通り、低めに集めることを意識した。点を与えないのが仕事」とうなずいた。  防御率1点台と安定した投球を続けている。高橋監督は「相手に(思うような)打撃をさせない持ち味が出た。嫌がっていそうな感じがした」と評価した。 山口俊(延長十回から3回を完璧な救援) 「真っすぐがいっているので、ストライクゾーンで勝負できる」

◆阪神の岩貞は白星が付かなかったが、7回無失点と好投した。4回7失点と大崩れしたヤクルト戦から中4日での登板で良い結果を残し「前回が前回だったので期待に応えようと思って投げた」と話した。  制球が安定し、六回まで散発の2安打に抑えた。七回に無死一、三塁とされたものの、長野を捕邪飛に打ち取り、ゲレーロと大城は三振に仕留めた。ピンチをしのいで降板したサウスポーは「意地でも点を取られないようにと思っていた」と振り返った。 梅野(岩貞を好リード) 「球がそれほどいいわけではなかったけど、内外を意識させることができた。バッテリーでうまくできた」

◆月見れば 影なく雲に包まれて 今宵ならずば 闇に見えまし...(西行「山家集」)  おいおい、のっけから何を言い出すんじゃ? と思われるでしょうが、この日の甲子園はご存じの如く、ただひたすら0が24個、トータルの0-0をいれますとスコアボードは合計26の"0行進"となった。  今は文明の利器でスコアボードはスイッチひとつでいくら0が並ぼうが平気だが、昔はネ、アレをボードにいちいち書いていたんだ。現在、ファンに人気の『甲子園歴史館』のあるところで係の方が大急ぎで「0」を書き足していたのです。  だから...文句をいうわけじゃないが、試合後も金本監督はいささかの苦笑をこめながらも、相手投手陣の好投をたたえるしかなかった。解説者もみんな「投手がよかった」という意味のことをいわれていた。  しかし...その昔、天下のON砲と村山・江夏というレジェンドたちが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ=思うままにのざばるさま)していた頃からトラ番をやっていた古手としては、こんな0行進はア然ボウ然とするばかりだ。川上哲治や藤本定義という方は、打線がクソボールに手を出したら「何度いったらわかるんだ!」とベンチで怒鳴ったものだ。  実はこの日の昼、我が編集局長畑恵一郎がわざわざ編集局『虎ソナ席』にきて「あのなぁ...この前に家の近所の喫茶店でコーヒーを飲んでいたら50代ぐらいの方が2人、カンカンがくがくの政治談義...やがて『それにしても阪神は...』という会話になってなぁ...『阪神は2軍が優勝。1軍は...』という猛虎分析論になって、思わず耳をすましたんや。これがなかなかの"論客"で舌鋒鋭くて、聞き入ってしもた。阪神ファンのフラストレーションはもうかなりのもんや。あらためてそれに応える紙面をつくらんといかんなぁ...と思ったヮ」とシミジミ。  どなたが存じませんがコーヒーブレークの時にそばに鳥取砂丘のラクダみたいなおっさんが聞き耳を立てていませんでしたか? あれがいつも紙面会議で我々のケツを情け容赦なく叩き、もっと鋭く、深く! という編集局長畑恵一郎なんです。  でも...本日の天下の伝統の一戦の0行進は血を吐くような「投手戦」なのか。それとも大胆にして細心な陽動作戦の欠如なのかは...はてさてどっちなんだろうか。私めは「これが伝統の一戦」なんて激賞する気にはなれないのです。  試合前に我がサンスポのトラ番記者連中も、大ベテランの編集委員上田雅昭から指令塔役のサブキャップ長友孝輔も新里公章記者も「今日はここ甲子園が"主役"じゃないでしょう。マツダスタジアムの広島が勝つか、ナゴヤドームのヤクルトが負けるか...で広島のV決定。甲子園は"脇役"です」という。そりゃそうかもしれないけど...いやしくも"腐っても鯛"なのだぞ、天下のTG戦は。  そして刻々と広島と名古屋からつたわってくるのは...アレレ...ヒレハレホレ...というスコアばかりで...当番デスクの堀啓介もシーン。  今宵はせっかくの『中秋の名月』だというのに...甲子園の空には雲がかかりまして...不粋な"無月"となりました。それを西行は冒頭のように詠んだ。月をみると光りがすっかり雲におおわれているので今宵は八月十五日(旧暦)なのに闇夜と勘違いしただろう...と。それがなんと26個も満月をならべるなんて、なんて粋なTG戦なのだろうか...チッ、そんなわけねぇだろ!

◆延長十二回の末に引き分け。2012年以来、6年ぶりに開幕から9試合連続で延長戦での白星なしとなった。七回無死一、三塁の絶好機から無得点に終わると、得点圏に走者を進めた十回と十一回も得点を奪えず。高橋監督は七回の攻撃について「一番のチャンスはそこ。点を取りたかった」と悔やんだ。

◆アアアアア!! 阪神打線が作り出す真昼の悪夢に、日本中で虎党がのどをかきむしり号泣した2018年9月24日。試合後ふっとカレンダーに目をやれば『仏滅』の文字が...そうであったか...ガクーン!!  もう金輪際ホームランを打ってくれとは口が裂けても言わない!! ヒットを見せてくれとも絶対に頼まない!! だからせめて送りバントくらい決めてください(九回に糸原、森越2者連続バント失敗)。そしてせめて二塁ベースに立つ走者の姿を見せてください!! 12回攻撃して二塁踏めずって...それじゃ三角ベースでも点が入らないよね...(涙)  巨人先発メルセデスに8回まで0点、山口俊には3回パーフェクトの5三振って...虎の打撃コーチを直ちに即戦力を紹介してくれるらしい『ビズリーチ』に依頼するかー!? アアアー!! 七回に味方のミスで無死一、三塁のピンチを鬼迫の投球で抑えた岩貞がふびんでならなくて...(涙) さらに虎のこのピンチに藤川が離脱...神は虎を見捨てたのか? いや、俺は虎を信じてるでェ!!

◆--九回のバントミスが痛かった  金本監督「うーん、まあな、あそこは。2つ連続のミスは痛いわね」  --メルセデスは前回までより、よかったか  「やっぱよくカット(鋭く曲がる)してるからね。まあ高さもよかったし、逆に抜けがあったし、絞りにくいところがあるわね、やっぱ」  --七回の判定は  「俺ノーバン(ノーバウンド)に見えたけどね、どうだった? ...まあでも、連続三振でね、岩貞はよくあそこで意地を見せてくれたしね、それに野手も応えないけんかったんやけど。まあなかなかちょっとこう、相手ピッチャーがよかったからね。ホントにこう、ちょっと打てる気しなかったしね、つけいるスキもなかったようには、ちょっと思うけどね」  --岩貞は勝たせてやりたい内容だった  「もちろん。きのうの青柳といい、ちょっと先発が頑張ってくれ出したので、そこはちょっと明るい材料ですね」

◆巨人は24日、阪神24回戦(甲子園)に延長十二回の末、0-0で引き分け、セ・リーグ3位を死守。高橋由伸監督(43)は阪神打線を4安打無失点に抑えた3投手をたたえた。  「本当にみんな頑張ってくれた。言うことないね。(メルセデスは)相手が嫌がっている感じはした。(山口俊は)なんとかというところで、よく頑張ってくれた」  クライマックスシリーズ(CS)進出に向けた大事な一戦で、宿敵を封じた。メルセデスは8回3安打で二塁すら踏ませず、九回は畠、十回からは新守護神の山口俊が抑えた。  「真っすぐがいっているので、ゾーンで勝負できている。3日(空きが)あるので、2イニングは投げるだろうと最初から準備していた」  山口俊は前日23日に今季初セーブを挙げた勢いそのままに、回をまたぎ4者連続三振。28日のDeNA戦まで試合がないこともあり、十一回を終え、斎藤投手総合コーチから「もう1イニングいける?」と打診されると「はい!」と即答。新守護神は3回無安打、打者9人を完璧に抑えた。  とはいえ、打線は最後まで沈黙し、再び自力でのCS進出が消滅。2006年以来、12年ぶりの勝率5割以下が確定した。「勝たなくちゃいけないけど、負けないことも大事」と高橋監督。残り6試合。一戦必勝で白星を積み重ねる。 (赤尾裕希)

◆阪神・金本知憲監督(50)が24日の巨人戦(甲子園)で約2分間、猛抗議した。七回無死二塁の場面。巨人・阿部の低いライナーが一塁へ飛び、一塁塁審はアウトのコール。ダイレクト捕球と判断したナバーロは、二走を刺そうと二塁送球を試みたが、悪送球となり、ボールが外野へ転がる間に走者が進んだ。  一死三塁で再開かと思われたが、審判団が協議し、ダイレクト捕球ではないと判断。記録は一ゴロ野選と二塁への悪送球となり、無死一、三塁での再開となった。  責任審判の橘高一塁塁審は「アウトのコールをしましたが正面から(球審が見て)そうではないと。協議をした結果です。リクエストの対象ではありません」と説明。阪神・谷本副社長はNPBに「意見書を出します」と話した。

◆試合開始2時間前、衝撃的なニュースが、甲子園を駆け抜けた。藤川球児、右肘痛で抹消...。これまで勝ちパターンの一角として、投球でも精神面でもブルペンを支えてきたベテランが、まさかの戦線離脱だ。しかし、この大ピンチに、猛虎自慢の救援陣が燃えた。  「きょうは球児さんのためにも2イニングいければと思っていました。そういう意味では気持ちも入っていました」  全員の気持ちを、ドリスが代弁した。0-0の九回からマウンドに上がると、4番の岡本からの好打順も危なげなく3人で斬った。さらに延長十回には、今季初のイニングまたぎも敢行。四球と安打で二死一、三塁のピンチをつくったが、代打・亀井をフォークで空振り三振に仕留めて、踏ん張った。  守護神の2イニングという勝負手について、金本監督も「もうラスト(終盤戦)ですからね、頑張ってもらわないと」と語気を強めた。  7回を投げた先発の岩貞から始まった、5投手の鉄壁リレー。八回は桑原が1四球で無失点。ドリスをはさみ、延長十一回は岡本。そして最後の十二回は能見だ。ゲレーロから始まる打者3人をピシャリ。スコアボードに12個目の「0」を刻むと「負けなかったのはよかった」と振り返った。  「(藤川の分を)みんなで一緒に、やっていくしかないです」  球児より1歳上、虎投最年長の左腕が力を込めた。打線が1点も取れないのならば、1点も取らせなければいい-。26日のDeNA戦(甲子園)からは、最後の14連戦が始まる。先発ローテーションも固まらない中、投手陣が苦しい状況であることは間違いないが、強力リリーフ陣の結束は固い。  「チーム全体で彼(藤川)を助けていかないとと思います」とドリス。執念のスコアレスドロー。球児が帰ってくることを信じて-。シーズン最終盤、虎投一丸となってスパートする。 (箭内桃子) 12回を無失点に抑えた投手陣ついて阪神・香田投手コーチ 「(岩貞は)低めで腕を振っていけていた。(リリーフ陣も)それぞれの持ち場で頑張ってくれました」

◆貧打極まり、歴史的"見殺し"-。阪神は甲子園での巨人戦を延長十二回、0-0で引き分けた。投手陣が必死に踏ん張る中、打線は得点圏に一度も走者を送れず。二塁も踏めないスコアレスドローは球団史上初となった。「ちょっと打てる気しなかった」と金本知憲監督(50)。ここ一番で貧打を繰り返す今季、残り14試合で3位Gとは2・5ゲーム差だ。  4万6646人を飲み込んだ聖地が沈黙した。得点に沸く六甲おろしはおろか、チャンステーマが響くことすら、ない。投手陣を見殺しにする延長十二回スコアレスドロー。しかも最後まで二塁も踏めない屈辱だった。  「打てなかったというよりは相手ピッチャーがよかったね。メルセデスから畠、山口(俊)...。みんな絶好調じゃなかったのかな。ちょっと打てる気しなかったしね、つけいるスキもなかった」  金本監督は"お手上げ"だったが...。いかに相手がよかったとはいえ、なんとかするのがプロ野球だ。2戦2敗だったメルセデスには七回に一走・大山が飛び出し(盗塁死)、八回一死一塁では梅野が三ゴロ併殺打に倒れた。8回0封を許し初対戦から24回無得点。7月18日の甲子園での三回以来、3試合にまたがり21イニング連続で得点圏の場面を作れていない。  畠に代わった九回は無死一塁から糸原、森越が2者連続バント失敗。信じられない拙攻を見せると、延長十回からは山口俊に3回パーフェクト、5三振で見せ場もなくゲームセットだ。  1950年の2リーグ分立後、虎の0-0のドローは12度目。しかし、二塁すら踏めなかったのは球団史上初だ。先発岩貞を筆頭にリリーフも奮闘しながら、応える気配すらなく散発4安打。延長とはいえ今季ワーストの15三振を奪われた。  甲子園4連敗も、聖地G戦5連敗も止められず「鬼門」の本拠地で19勝34敗2分けだ。横浜など好相性の球場での猛爆でチーム打率・256はリーグ4位だが、シーズンを通して貧打は深刻。22日の広島戦(マツダ)で13点を奪い、9月5度目の2桁得点で上向いたかと思わせたが、大事な試合になると、好投手を前にすると、シュンとなってしまう。クライマックスシリーズ(CS)進出へ、必勝を期した3位巨人との2連戦は1点、0点。この日の"歴史的見殺し"は象徴的だ。  就任以来、金本監督が求めてきた「振る力」。エース級を打つ、速い球を打つ-。目標を掲げて進んできたが、集大成といえる就任3年目になっても、変わらない。速球には力負けし、相手エースや勝ちパターンの継投を打ち崩せない。相手を揺さぶる機動力も確固たるものはなく、攻撃の形がないのが現状だ。  巨人とは2・5ゲーム差のまま。Gが残り6試合を3勝3敗でも、虎は14試合を10勝4敗以上でないと上回れない。数字上は極めて厳しい。  「(投手の頑張りに)野手も応えないといけなかったんだけど」  寂しすぎる0-0。味方の熱投を尻目に12イニング、一度も見せ場も作れず終わっていては、今季のCSどころか、来季も苦しい。 (長友孝輔)

◆メルセデスを全く打てず、十二回まで戦っても二塁すら踏めず...。貧打ぶりがクローズアップされた試合だったが、阪神OBの八木裕氏(53)=サンケイスポーツ専属評論家=は打開策として「配球以外のアプローチ」を提唱した。打撃練習の方法を変えるなど、今までとは違う発想で運命の14連戦を戦え! とゲキを飛ばした。  何度も同じ投手に抑えられるのは、プロ野球チームとして決していいことではない。阪神も連敗中のメルセデスを徹底研究したことは間違いないだろうし、狙い球を絞るなどの対策も相当してきたはず。それでも、結果として全く効果はなかったのは事実だ。  メルセデスはいろいろな球種があり、それぞれに大きい変化と小さい変化がある。緩急もある。攻略するのは厄介。とはいえ、やられっ放しは許されない。  さらに最近は本拠地・甲子園で勝てない現象も続いている。敵地での広島3連戦で活発だった打線が、甲子園に戻った途端に1点、0点。打者全体の調子も下降線だ。  ベンチは様々な工夫をこらしているだろうが、こうなった以上、配球以外のアプローチも考える必要があるのでは。思い切って"いつもと違うこと"をやってみるのはどうだろうか。  たとえば試合前の打撃練習。ホームチームは2カ所でフリー打撃を行うが、これを1カ所にしてみる。これだけでも、何かが変わる可能性はある。最近の阪神が甲子園で勝てず、ビジターでは成績は悪くない。打線が爆発するビジターの練習形態(1カ所打撃)を導入することがキッカケになることだってある。  打撃投手の投げる位置を変えるのも一手。より打者に近い位置から投げてもらうことで、不振の打者が違うモノを感じるかも。  さらには、「まわし打ち」をしてみてはどうか。通常は2人の打者が交互に打つが、3、4人で順番に打つと、打つ練習の中に打席に入る動きが加わる。これだけで変わる選手もいるはず。  残り14試合、あらゆる工夫をして、目の前の試合を泥臭く勝っていくしかない。幸いにして3位を争うチームは、どこにも絶対的な勢いがない。この2日間の巨人をみれば分かる。日本一の甲子園で戦えるんだ。最後の大暴れを期待している。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆前日23日に指摘した通り、まさに、まさに、今季の集大成、負の遺産。巨人も阪神も、来季への課題が丸見えだったね。  打線では、1番・坂本勇と糸原に続く2番よ。しっかりした選手を固定できなかったから、全体につながりが出てこない。活性化ができないまま、終わることになる。  助っ人の問題もそう。ゲレーロはこの日も大振り、見逃し...で、チャンスでの弱さを露呈した。ロサリオに至っては、1軍にすら、いない。大砲と期待して獲得した2人がこれでは、どこに原因があるのか、どこに責任があるのか、検証する必要に迫られる。  そういう打線だから、この日も両軍4安打ずつと沈黙したのも、無理はない。一見すると投手戦。しかしその実態は、工夫も策もない"お手上げ"ゲームだった。  投手陣、特に巨人はリリーフ陣の整備についても、真剣に考えないといかん。結局、投打とも足りないものばかりのシーズン。両軍、腹を据えて改革しないといかん。  なにより、クライマックスシリーズ争いの大詰めにきて、それもプロ野球の伝統の一戦で、こんなさびしい2連戦。ファンへの裏切り行為ではないか-と、厳しく付け加えさせてもらう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
77542 0.588
(↓0.004)
M1
(-)
10678
(+5)
610
(+7)
171
(+1)
83
(+1)
0.264
(-)
4.14
(↓0.01)
2
(-)
ヤクルト
67632 0.515
(↑0.003)
9.5
(↑1)
11610
(+6)
623
(+1)
123
(+1)
64
(-)
0.268
(↑0.001)
4.19
(↑0.02)
3
(-)
巨人
63695 0.477
(-)
14.5
(↑0.5)
6594
(-)
551
(-)
141
(-)
60
(-)
0.255
(↓0.001)
3.79
(↑0.04)
4
(-)
DeNA
62692 0.473
(↑0.004)
15
(↑1)
10538
(+7)
620
(+5)
170
(+2)
71
(-)
0.251
(↓0.001)
4.33
(-)
5
(-)
阪神
58692 0.457
(-)
17
(↑0.5)
14544
(-)
570
(-)
83
(-)
67
(-)
0.256
(↓0.002)
4.05
(↑0.04)
6
(-)
中日
61752 0.449
(↓0.003)
18.5
(-)
5582
(+1)
636
(+6)
93
(-)
59
(-)
0.265
(↓0.001)
4.41
(↓0.01)