DeNA(☆6対4★)阪神 =リーグ戦21回戦・横浜スタジアム=
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阪神
10000201004901
DeNA
3000000102X6913
勝利投手:エスコバー(3勝3敗0S)
敗戦投手:ドリス(1勝6敗29S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(10号・1回表ソロ)
【DeNA】ソト(32号・1回裏2ラン),宮﨑 敏郎(27号・8回裏ソロ),ソト(33号・10回裏2ラン)

  DAZN
◆DeNAがサヨナラ勝ち。DeNAは3-4の8回裏、宮崎のソロで試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた延長10回、ソトがこの日2本目の2ランを放ち、試合を決めた。投げては、6番手のエスコバーが今季3勝目。敗れた阪神は、6番手・ドリスが痛恨の一発を浴びた。

◆阪神岡本洋介投手(32)が17日DeNA戦(横浜)で移籍後初先発することが濃厚となった。岡本はここまですべて中継ぎで25試合に登板。防御率は4・24ながら、主にロングリリーフとして9試合で1回1/3以上を投げてきた。14日はブルペン待機していたが登板はなく、追う展開でベンチは前日に3回を投げた伊藤和の連投を選択。岡本は先発のための準備に入っているとみられる。 試合前には香田投手コーチも「いろいろ考えます」と、中継ぎ陣が先発する可能性を否定しなかった。チームはエースのメッセンジャーが12日に出場選手登録を抹消される"緊急事態"。今日15日は先発2試合目の青柳、明日16日の先発は約1カ月半ぶりとなる藤浪が投げる。シーズン後半は大型連戦も控える。西武時代の昨季に12試合で先発して6勝をマークするなど経験も十分な右腕が、チームの窮地を救う。

◆阪神大山悠輔内野手が2戦連発となる先制10号ソロを左翼席にたたき込んだ。 「自然と反応でバットを出すことができました。(初回の裏には)追い越されてしまったのでここから試合をひっくり返せるように頑張ります」 前日16日の同戦では3本塁打を含む6打数6安打7打点の大暴れ。勢いそのままに、この日も白球をスタンドまでかっ飛ばして前日から7打数7安打。自身初の2桁アーチを記録した。

◆阪神エフレン・ナバーロ内野手が6回2死一、二塁から、同点となる中前適時打を放った。 糸井の右前適時打で1点差に迫った6回。5番陽川が死球で出塁すると、ナバーロは燃えた。カウント2-2からの5球目、129キロスライダーをはじき返した。 「強引にならずにアウトコースのボールを打ち返すことができたね。ゲームを振り出しに戻すことができて良かったよ」 1、2打席目は三振に倒れていた男が意地の一打を見せつけた。

◆阪神陽川尚将内野手が同点の8回1死二塁から、右中間を破る適時三塁打を放った。 DeNA3番手のパットンが投じた4球目、外角高めに来た150キロ直球を強振。前進守備だった外野手の頭を越える飛球を放った。一気に三塁まで向かい、スライディング。立ち上がると拳をグッと握りしめて、喜びをかみしめた。

◆DeNA宮崎敏郎内野手が、同点アーチを放った。 1点を追う8回2死、阪神藤川球児投手が投げたフォークに反応した。左翼ポールを直撃する27号の同点ソロに「ホームランになるとは思いませんでした。うまく対応して打つことができました」。1点を争う接戦の中で、貴重な1発となった。

◆阪神が逃げ切りに失敗した。8回に1点を勝ち越して、その裏は藤川が2イニング目の続投。しかし、2死後、宮崎にフォークをすくわれ、左翼ポールに直撃する同点本塁打を浴びた。同点の延長10回には2死一塁で、守護神ドリスがソトに左翼へサヨナラ2ランを許した。前日16日は20得点を奪う大勝を演じたが、この日も勢いに乗れず。 金本知憲監督は「勝ちパターンを出して負けたわけですから」と渋い表情だった。再び単独最下位に転落した。

◆7回から登板したDeNAスペンサー・パットン投手が、来日初の打席に入った。 7回2死三塁の場面で、アレックス・ラミレス監督は代打を出さず、打席へ送り出した。日本では49試合目の登板で初めてで、16年のカブス時代以来の打席に立ったパットンは「ぶざまな姿にならないように努力した」。3球連続で直球を見逃し、カウント1-2から149キロの直球を打ちにいったが、「打てそうな球はなかった」と空振り三振に終わった。 回をまたぎ、2イニング目の7回は、1死から4番糸井に右前打を許した。今季初めてマウンドに向かったラミレス監督からげきを飛ばされたが、陽川に一時勝ち越しとなる適時三塁打を浴びて降板した。

◆DeNAネフタリ・ソト内野手が、劇的なサヨナラ2ランで勝利に導いた。延長10回2死一塁で、阪神ドリスからこの試合2本目となる33号サヨナラ本塁打。「ボール球が多いから、得意な球を待つことを意識した。ホームベースでみんなが祝福してくれてうれしかった」。20失点で大敗した前日から一転、サヨナラ勝ちで横浜スタジアムが歓喜に沸いた。 1回には怒りの32号2ランを浴びせた。阪神先発の岡本の内角球に、マウンド向かってにらみを利かせた。1ボールからの2球目を狙いすまし「狙っていました。2球目は失投だったので狙いました」と振り返った。 この試合の2本で本塁打ランクは3位タイ。チームは最下位を脱出し、3位巨人と1・5差となった。「インコースへの攻めが多くなってきているのは分かっている。うまく対応していければ」と、CS進出を目指し、最後まで結果を残していくつもりだ。

◆DeNA宮崎敏郎内野手が、値千金の同点アーチを描いた。1点を追う8回2死、阪神藤川球児投手が投げたフォークに反応した。左翼ポールを直撃する27号同点ソロに宮崎は「ホームランになるとは思いませんでした。うまく対応して打つことができました」。1点を争う接戦の中で、貴重な1発を放った。 さらに延長10回2死からは、4本目の安打で出塁し、次打者ネフタリ・ソトのサヨナラ2ランにつないだ。20失点で敗れた前日のショックを振り払い「なんとかうしろにつなぐ気持ちだった」と振り返った。

◆DeNAが延長10回2死一塁、ネフタリ・ソト内野手(29)のサヨナラ2ランで最下位を脱出した。 負ければ自力CSの消える窮地で、アレックス・ラミレス監督(43)の采配が、ことごとく裏目に出た。負の流れの中、宮崎敏郎内野手(29)とソトの打撃が、同監督の采配ミスを帳消しにした。3位巨人とは1・5ゲーム差。3年連続CS出場に望みをつないだ。 本塁打の力が、ラミレス監督のミスを帳消しにした。宮崎は8回、阪神藤川の初球、148キロの直球を右方向に大ファウル。わずかに右翼ポールをそれた。カウント2-2。内角低めに入ってくるフォークボールを今度は左へ。「フォークだったんで、何とかバットに当てようと。ファウルだと思ったけど(打球が)戻ってきてくれてよかった」。充満する暗雲を同点ソロで振り払った。 ベンチで誰よりもガッツポーズを決めたのはラミレス監督だった。3-3の7回の攻撃、2死三塁で同監督は、その回から中継ぎ登板しているパットンを、そのまま打席に送り込む奇策に出た。だが、カブス時代16年メッツ戦以来2年ぶりの来日初打席では、藤川の球は打てっこない。空振り三振で無得点。絶好機を逃した一方で、イニングまたぎを託し、抑えて欲しい8回につかまった。一時勝ち越しを許す悪い流れだった。 前日には22年ぶり20失点という歴史的大敗。中継ぎ投手陣の疲弊に不安を抱え、パットンに2回を託すプランだった。「満塁なら代打と決めていたが。私のミスとしては(永池)三塁コーチにパットンが打席に立つことを伝えていなかったこと」。前打者伊藤の右飛で、三塁走者ロペスはタッチアップで走らなかった。同コーチもロペスも代打が出ると思っていたからだ。 最後は延長10回ソトの劇的サヨナラ2ランで幕を閉じた。同監督は「ミスをすることもある。監督はそこで責任を取らないといけない。これも試合の1つ」と潔く認めた。現役時代から1発の重みを知る指揮官が、本塁打に救われチームは最下位脱出。ヒーローとなったソトは「ポストシーズンに出ることは野球人のやりがい」とCSへ意欲を示した。本塁打の力は、3位巨人の背中をもとらえた。【栗田成芳】

◆希望の光は背番号3だ。阪神大山悠輔内野手(24)がまたまたアーチをかけた。前日プロ野球史上初の「6打数6安打&3本塁打」をやってのけた一夜明け。初回の第1打席で浜口のスライダーをとらえ、左翼席中段までかっ飛ばした。「自然と反応でバットを出すことができました」。まるで前日のVTRを見ているような弾道で2戦連発、自己最多を更新する先制の10号ソロ。前日からの連続打数安打を7に伸ばした。手に残った感触、打球の残像を確かめながらにっこりダイヤモンドを1周した。 不振で今年6月に2軍落ちも味わった16年ドラフト1位、和製大砲候補が覚醒中だ。特に9月は12球団最多の8本塁打を放って19打点、打率4割5分5厘と驚異の数字が並ぶ。この日は6回に二塁打を放って2戦連続のマルチ安打。ここ2戦は4発を含む11打数8安打で、猛威はとどまることを知らない。 集中力を研ぎ澄ませ、打席では邪念を捨ててバットを構える。考え込むことなく「来たボールに対して、しっかり振ること」だけを意識。シンプルな発想が好成績に導いている。 「右ふとももの張り」で出場を制限している福留の穴も埋めている。12日の中日戦(甲子園)から、主将の「代役3番」を任されると6試合で打率4割4分4厘の固め打ち。絶好調で遊撃に定着しかけていた北條もケガで欠く中、背番号3が必死にカバーしている。 ただ、3番に座るからには課題も残る。8打数連続安打がかかった3回1死一塁は遊ゴロ併殺打。そして同点の9回2死一、二塁の勝ち越し機は、初球を打ち上げて遊飛に倒れた。金本監督は「最後やな。ああいう場面で打てるように成長してほしい。勝負どころ、ここ一番のチャンスで、そういう根性をね。さらなるステップとして、こちらは成長してほしいと思う」と期待を込めた。大山も「全ては最後の打席だと思う。そこで打てないと意味がない」と悔しさを隠さなかった。最下位に沈んだチームを浮上させるべく、反省を力に変えて大砲ロードを突き進む。【真柴健】

◆左翼ポールに直撃した白球を見届けた阪神藤川がうなだれた。左膝をついたまま動けない。1点リードの8回に暗転した。2死走者なしで宮崎に内寄りに沈むフォークをすくわれて同点被弾...。形勢は不利になった。 延長10回2死一塁。頼みの守護神ドリスがソトにフォークを打たれ、左翼へサヨナラ2ランを浴びた。勝てば3位巨人に0・5ゲーム差に肉薄していたが、再び勝率1厘差で単独最下位に転落。金本監督も「やりようがないですね。勝ちパターンを出して負けたわけですから」と嘆いた。 当初は、この日はメッセンジャーが先発する計画だったが、体の状態を整えるため、12日に登録抹消。急きょ、岡本を代役先発に抜てきしたが1回に3点を失った。金本監督も「もちろん(早めの継投は頭に)あったけど岡本が(1回に)一気に...」と振り返る。4回で降板させ、継投に入った。分岐点は8回だ。9番桑原から右打者が並ぶ攻撃だった。能見も控えていたが、7回を10球で抑えていた38歳藤川のイニングまたぎを決断し、裏目に出た。 指揮官が「球数も少なかったしね」と説明し、藤川も「最後、難しかった。最後の1ストライク、1アウト取ることがね。うまく打たれてしまった」と振り返る。39歳能見の救援を仰いでイニングまたぎで勝機を探ったが報われない。明日19日からは2位ヤクルト、首位広島と向き合う。正念場を迎えた。【酒井俊作】

◆阪神陽川は痛みに耐えて適時三塁打を決めた。 6回に死球を脇腹に受けたが、プレーを続行。同点の8回1死二塁で右腕パットンの外角高め150キロをたたき、右中間に一時は勝ち越しとなる大飛球を放った。「追い込まれていたので、しっかりコンパクトに打ち返そうと思っていました」。死球を受けた箇所についても「大丈夫です」と力強かった。

◆阪神岡本は西武から移籍後初先発のチャンスを生かせなかった。 大山のソロで1点援護をもらった直後の1回。二盗も許した1番大和と2番宮崎の連打で同点とされると、3番ソトにはあっさり中越え2ランを献上した。2回以降は無失点で粘ったが、4回3失点で降板。「もうちょっと低めに丁寧に集められたら良かったのですが...」と反省した。今後は再び中継ぎに戻る可能性もあるが、香田投手コーチは「考えます」と話すにとどめた。

◆中継ぎとして25試合に登板してきた阪神・岡本が17日のDeNA戦(横浜)に先発する。15日は中継ぎ陣の調整から外れ、ブルペン投球やポールとセンター間のランニングなどを行った。香田投手コーチは「気になるところがあって(ブルペンで)投げたんじゃないの?」とけむに巻いたが、西武に移籍した榎田との交換トレード以来、初の先発となる。

◆DeNAが4-4の延長十回、3番のネフタリ・ソト内野手(29)がこの日2本目となる33号2ランを放ち、サヨナラ勝ち。6番手・エスコバーが1回を無失点で3勝目(3敗)を挙げた。敗れた阪神は最下位に転落した。  先制したのは阪神だった。一回二死から、大山が2試合連続となる左越えの10号ソロを放った。DeNAはその裏、無死二塁から宮崎が右前適時打を放ち同点。続くソトが中越えの32号2ランを放ち、3-1とした。阪神は六回二死二塁から、糸井が右前適時打を放ち1点を返すと、さらに二死一、二塁から、ナバーロが中前適時打を放ち、同点に追いついた。  阪神は八回、一死二塁から、陽川が右中間へ適時三塁打を放ち、4-3と勝ち越した。DeNAも粘る。その裏、二死から宮崎が左越えの27号ソロを放ち、同点。延長十回には二死一塁から、ソトが阪神のドリスから左越え33号2ランを放ち、勝負を決めた。  阪神は2度のリードを守りきれず、再び最下位に転落。ドリスは6敗目(1勝29S)を喫した。 八回に同点ソロを放ったDeNA・宮崎の話 「入ってくれてよかったです」

◆DeNAが4-4の延長十回、3番のネフタリ・ソト内野手(29)がこの日2本目となる33号2ランを放ち、サヨナラ勝ち。6番手・エスコバーが1回を無失点で3勝目(3敗)を挙げた。敗れた阪神は最下位に転落した。ハマスタのお立ち台でソトは満面の笑みを浮かべた。   --(十回に宮崎に)代走が出ましたが  「宮崎が出塁してくれて、ホームランは狙ってなかったですけど、結果打つことができてすごく嬉しいです」  --まず第1打席のホームランは  「狙ってました。初球インコースに来て、次に同じような球が来ると思ったので、それが失投だったので、思い切りいけました」  --サヨナラの場面、選手たちに迎えられた気持ちは  「本当にすごく嬉しかったです。チームメートのみんながホームベースで待っててくれて、私を祝福してくれてすごく嬉しかったです」  --今日の応援は  「本当にたくさんの方が見に来てくださって本当に有難うございます。最後まで応援していただいて、本当に皆さんの声援が力になりますので、これからも応援宜しくお願いします」  --これからの決意  「毎日毎日ベストを尽くして、できる限り試合に立ちたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」

◆-賀茂川の水、双六の賽、六甲の山法師、これぞ我が心にかなはぬもの...たびたび氾濫する川、賽の目...あ、コレは『平家物語』で院政43年間も人心を自在に操った白河院が「俺でもどないもなりまへんエ...」とため息をつかれた『三大不如意』のことではない。  比叡山の僧兵じゃなくて、六甲おろしを背中にする虎の軍団のままならぬ動き...そやから...前日16日の20点に「明日に残しとけ」というたでしょとは結果論だとわかっとります。ドタ負けした相手の監督が「明日が楽しみ」と言ったのはあながち悔し紛れじゃない。  それにしてもなぁ...今季の阪神は"横浜銀行"だった。試合前までで10勝2敗だったんじゃないのか。一回に大山が浜口のスライダーをスカッと左に先制ホームラン! それにしてもなぁ...その裏すぐに同点。ソトには2ランだものなぁ...。  「試合前の練習はたしかに明るかったです。むしろ...大勝のあとはえてして...というから、監督もナインも気はひきしめてました」とはサブキャップ長友孝輔。それにしてもなぁ...。  「実は前日にノックの打球が大山選手の頭に軽くコツンと当たったんですよ。そしたら試合で"大当たり"したでしょ。きょうも久慈内野守備走塁コーチがジョークで『昨日、(球が)当たったから打てたやろ!』なんて...。そしたら初回にホームラン。こりゃすごいと僕は勝利を確信したんです」と新里公章記者もすっかり強気だった。  「相性のいい横浜スタジアムで、阪神は今季最終戦やからなぁ...。ま、勝つやろ...あのなぁ今、記者席に百数段の階段を上がってきたとこで俺は息がきれてるねん、ゼエゼエ」とベテランのクセにまったく根拠のないことを電話口でいったのは上田雅昭編集委員だ。  そこでこっちは大阪本社の窓際『虎ソナ』席で大好きな横浜焼売弁当など食えないから、多少はシットもあって、思わず「おい、1968年の9月17日は何があったかおぼえてるか? よう何でも知ってるヤツやからなぁ...」と謎かけをしたら、さすがの博覧強記の編集委員上田も電話の向こうでグッとつまって「あのねぇ、その頃、僕は幼稚園児でっせ。おぼえてませんヮ」。  では説明する。阪神のレジェンド左腕、江夏豊氏の2年目で「シーズン401奪三振」という世界記録をつくったのが68年や。まず手始めに『日本新記録』(358個目は王さんから)と宣言して9月17日、甲子園の巨人戦の七回に達成したが、実は四回の打席で新記録と勘違い。辻恭彦捕手から「まだタイ記録や」と注意され、「そこから"三振をあえてとらない投球"」をやってのけて、打者一巡して七回に今度は新記録を王さんから達成した。それが「9・17」なのだゾ。  まさに江夏ならではの"至芸の投球術"だが、もっとすごいのは試合は0-0のまま延長戦に突入。延長までは横浜スタジアムと同じだが、ここからがすごい。  巨人は高橋一が172球。阪神は江夏豊が139球という悶絶しそうな投手戦の末、延長十二回二死一、二塁で打席は江夏。なんとそこで彼は初球を右翼へサヨナラ打!  こんな離れ業をやってのけた江夏豊ってヤツは雨の中、宿舎の前でスブ濡れの少年ファンに「誰のサインがほしいんや? 田淵か、よっしゃ」とわざわざもらってきてやるような男だった。けっして子供の手を振り払ったりはしない...。激しさの奥にあるやさしさ...。  -もえ出るも枯るるもおなじ野辺の草 いづれか秋にあはではつべき...(平家物語)か。

◆-最後はドリスが...  金本監督「やりようがないですね、もう、そうやって、勝ちパターン出して負けたわけですから」  -きょうは最初からある程度継投でいく、と  「まあ、もちろんあったけど、ちょっと急に、岡本がちょっと一気に(一回に)...。まあそこは判断だからね」  -藤川のイニングまたぎも、後ろのことを考えて  「もちろん、表(先攻)やしね」  -右打者が並んでいたこともあった  「うんまあね、球数も少なかったしね」  -大山は前日(16日)に続いて内容も良かった  「うん、まあ最後(九回二死一、二塁で遊飛)やな、ああいう場面で打てるように、成長して欲しいですね。そういう勝負どころというかね、ここ一番のチャンスで。そういう勝負根性というのはやっぱり、さらなるステップとしてね、まあ、こちらは成長してほしいと思いますね」  -他にももうひと押しあればという場面も  「まあ(そういう)ところもあったけどね、それは結果ですから、うん」

◆「毎度~! トラネコカネモトの宅急便です! DeNAさん、白星の回収にまいりました!」あ、今日はないよ!! 「またまた、今年になって15回も出してくださっている、大お得意さまが、ないはずないでしょう(今季対戦成績阪神の15勝5敗)。前日だってトラックいっぱいの20点の大白星を出してくださったし...」  ヨイショ、コラショ! 「あ、宮崎さんとソトさん、白星を運んできてくださったんですね...。どーもスミマセン! ウーン重い...って、げーっ、黒星やないかー!!」  一夜で最下位を脱したと思ったら、一夜で最下位へ逆戻り...。何でこの大事な試合でカモにしているDeNAに負けるんやー(涙)。  しかも、DeNAは七回のチャンスで投手のパットンをそのまま打席に立たせて、無得点だったり。八回にラミレス監督が自らマウンドに激励に行ったその直後に陽川に勝ち越しスリーベースを許したりと負の空気が漂っていたのに。八回二死から宮崎に同点アーチ、十回二死にはソトにサヨナラの一発を打たれるかあ!?  あの空気の中、打たれるってのは、知らず知らずに弱気の虫が生まれていたのだ。残り20試合、『弱気は最大の敵!!』でぶちかましたれー!!

◆1点リードの七回から登板した藤川が、2イニング目の八回二死から宮崎に痛恨の同点弾を浴びた。カウント2-2からの5球目は左翼ポール上部に直撃する特大弾。マウンド上で膝をついて悔しさをにじませた。「最後の1ストライク、1アウトを取るというのはいつも難しい。うまく打たれました」。7月29日のヤクルト戦(神宮)以来のイニングまたぎも実らず、今季3発目の被弾。「学ぶところもあったので」と反省した。

◆ナバーロは1点を追う六回二死一、二塁で同点の中前適時打を放つなど2試合連続安打&打点。だが、1点リードを奪った直後の八回一死三塁では空振り三振に倒れた。「あの(適時打の)打席はよかったけど、最後の打席で打てなかったので悔しい」。それでも、福留が右太もも裏を痛めて6試合連続スタメン落ちしている間、すべて「6番・一塁」で出場し、堅実な守備と勝負強い打撃を披露。得点圏打率も・310(42打数13安打)をマークしている。

◆西武時代の昨年9月28日以来、阪神移籍後初先発となった岡本は、一回にソトに2ランを浴びるなど、いきなり3失点。その後は立ち直り、四回まで投げた。豊富な先発経験があるため、「(救援からの)気持ちの変化はなかったです」。味方の反撃で勝ち負けはつかなかったが、「もう少し長いイニングを投げたかった。立ち上がりは球が高かった」と試合後は猛反省だった。

◆糸井は2安打1打点も勝利に結びつかず「(試合を)振り返れば、サヨナラ負け」と悔しそうに言葉を絞り出した。2点を追う六回二死二塁では右前へ追撃の適時打。ナバーロの同点打も呼び込んだ。八回は一死から右前打で出塁すると、すかさず今季21個目の盗塁を決め、陽川の適時三塁打を"アシスト"した。3試合連続マルチ安打と好調をキープし、福留をスタメンから欠くチームを懸命に引っ張っている。

◆先発の浜口は六回途中を5安打3失点。4勝目は逃したが、「徐々に安定してきた。次回はさらに長いイニングを投げたい」と前を向いた。今季は左肩の違和感で出遅れてしまったが、春季キャンプから取り組む、スライダーとカットボールの中間球「スラッター」に「試合で使えるようになってきた。左打者の打ち取り方がイメージできるようになった」と手応えを感じた。

◆ソトがこの日32、33号を放ち、本塁打王争いトップの広島・丸(36本)に3本差に迫った。序盤はけがで出遅れ5月から出場のため、規定打席には未到達。現在393打席で、残り15試合で50打席、1試合で3・33打席ペースならシーズンの規定打席に到達するが、仮に未到達で本塁打王に輝くと、2リーグ制以降では2012年のヤクルト・バレンティン(31本)以来2人目となる。

◆打球はぐんぐん伸びて右翼の頭を越えた。陽川が、3-3の八回に一時勝ち越しの適時三塁打。勝負強さを発揮した。  「チャンスだったので。追い込まれていましたし、しっかりコンパクトに打ち返そうと意識していました」  ここぞの場面で均衡を破った。一死一塁で打席に入ると、1球目に一走・糸井が二盗に成功。足に不安を抱える超人のお膳立てに、燃えた。  カウント1-2と追い込まれてから4球目、セットアッパー、パットンの150キロ直球を力強くとらえた。大山に並ぶチームトップ、セ・リーグでは7位となる今季4本目の三塁打。絶好調の3番打者に負けじと、5番・陽川もこれで3試合連続打点とした。  六回には左脇腹に死球を受けて悶絶。一度ベンチに引っ込んだが、気合でグラウンドに戻り、次の打席での快音。今季の得点圏打率は・343(67打数23安打、2本塁打、34打点)を誇る。これが、陽川の魅力だ。  昨季までは2年連続でファームの本塁打&打点の2冠王。しかし、その2年間、1軍では結果を残せず打率・167(90打数15安打、3本塁打)にとどまっていた。しかし、1軍の舞台に力みあがり、本来の力を発揮できなかったこれまでとは、違う。確実に飛躍の1年となっている今季。残り20試合、まだまだ最後まで打って、チームを勝利に導いていく。  「まだ試合があるので、切り替えて頑張りたいと思います」  このままでは終わらせない。5年目で光を放ち始めた27歳のバットが、大山とともに反攻のカギを握る。 (箭内桃子)

◆つないでつないで、たぐり寄せてきた望みは、いつもここで残酷な音を立ててちぎれる。また背信。またドリスが散った。延長十回、痛恨のサヨナラ被弾。勝負の9月に悪夢の自身3連敗で、自己ワーストを更新する6敗目を喫した。  「フォークが落ちずに抜けてしまった。悔しいけど、しようがない」  日暮れと曇天が迫ってきた横浜の空を、無情なアーチが突き抜けた。虎にとって今季最後のハマスタ。本拠地・甲子園の「18」をしのぐ「20」もの本塁打を放ってきたこの球場で、最後に描かれたのは、相手にとっての歓喜の放物線だった。金本監督も「やりようがないですね、もうそうやって、勝ちパターン出して負けたわけですから」と"お手上げ"。うつむくしかなかった。  シーズンの佳境、守護神のこの不安定さは痛すぎる。同点の延長十回に登板。二死をポンポンと奪いながら、八回に同点弾を放っていた宮崎に対し制球が定まらず、2ボールからの高め154キロを左前へ運ばれた。息つく間もなく、続くソトにも「3-1」とカウント負けすると、5球目を左翼席へ運び去られた。  9月4日の広島戦(マツダ)でもサヨナラ打を浴び、同11日の中日戦(甲子園)ではセーブ機会に逆転を許した。だれもが感じていた嫌な予感は、やはり的中。9月に入り、セーブなしの3連敗だ。1勝29セーブと、来日3年目の今季も奮投してきたことは誰もが認めているが、6敗は内容も悪すぎる。  まず、三者凡退のように、無安打無四死球でマウンドを降りたことが、登板47試合のうち13度しかない。セーブ機会で同点や逆転を許したのは3度だが、印象が悪いのは同点での登板で打たれ続けていることだ。同点でマウンドに上がった7試合、ドリスはなんと1勝5敗1ホールド。この日で4連敗で、防御率11・12だ。セーブ機会にはセーブ機会の、同点には同点の難しさがあるとしても、延長戦を投げ抜くには厳しい数字だ。  指揮官は、打線がもうひと押しできなかったことにも目を向け「まあ(押し切れなかった)ところもあったけどね、それは結果ですから」と言葉を飲み込んだ。ここで守護神が起き上がれなくては、CS進出へ命取りとなる。(長友孝輔) ★ドリス、今季の主な背信あらかると  ◆4月13日・ヤクルト戦(甲子園、●2-3) 九回に福留の2ランで2-2と追いついた直後の延長十回、雄平に勝ち越し打を浴びた  ◆6月24日・広島戦(甲子園、●6-11) 5点ビハインドを追いついて迎えた6-6の九回、先頭の二塁打の後、犠打を自ら一塁へ悪送球し、勝ち越し点を献上。1/3回を5失点と炎上した  ◆9月4日・広島戦(マツダ、●4-5) 4-4の延長十二回、二死三塁から菊池にサヨナラ打を浴びた  ◆同11日・中日戦(甲子園、●6-7) 3点ビハインドをひっくり返し、6-5で迎えた九回。二死満塁からアルモンテに逆転2点打を浴びた。セーブ機会では今季3度目の失敗

◆DeNAは17日、阪神21回戦(横浜)に延長十回、6-4でサヨナラ勝ち。ネフタリ・ソト内野手(29)が、この日2本目の本塁打で試合を決めた。これで監督通算200勝としたアレックス・ラミレス監督(43)だが、3番手のスペンサー・パットン投手(30)を七回の打席に立たせた際、伝達のミスがあったことを告白。それでも最後はソトがチームを救い、3位・巨人まで1・5ゲーム差の5位に浮上した。  苦しい試合にピリオドを打つ33号2ランが、左翼席に吸い込まれた。同点の延長十回二死一塁、年俸3500万円の"神助っ人"ソトが、阪神の守護神ドリスのフォークを完璧に捉えた。ホームベース付近でチームメートにもみくちゃにされ、スタンドからはベイ党の大歓声が届いた。  「すごくうれしい。(前日に)あんな負け方をしたので、やり返せてよかった」  4-20で大敗した前日のリベンジを果たした。1-1の一回には、バックスクリーンへ一時勝ち越しとなる32号2ラン。相手の先発・岡本の初球が顔面付近を通過し、珍しく怒りをあらわにすると、直後の外角高めの失投を見逃さなかった。「内角攻めが多くなっている。それも踏まえて対応した結果」とニヤリ。駆け引きが奏功-。結果的に初球の後の反応が"布石"となった。キング争いでは広島・丸の36本に3本差に迫った。  劇勝の裏では思わぬ事態が起こっていた。同点の七回二死三塁の好機で3番手・パットンがそのまま来日初の打席へ。4-20で大敗した前日は三回途中から5人の救援陣をつぎ込んだため、この日のリリーフ陣が手薄で、ラミレス監督は無死満塁以外は続投させることを事前に決断。パットンにも伝えていたが、三塁コーチの永池内野守備走塁コーチには伝わっていなかったという。  指揮官は「伝えていなかったのはミス」と謝罪。右腕は三振に倒れて勝ち越しを逃したが、もし伝わっていれば前打者・伊藤の右飛で三走・ロペスをタッチアップさせる判断もできただけに、最後はソトに救われた。  ドタバタがありながらも、指揮官はこれで通算200勝。就任3年目での到達は権藤博(98~00年)以来、球団では2人目となった。チームも最下位脱出で3位・巨人までは1・5ゲーム差。ソトは「ポストシーズンに出ることは野球人としてやりがいがあること」。チーム一丸で逆転のAクラス入りを目指す。 (伊藤昇)

◆もう1枚、殻を破ってくれ! 阪神は延長十回、DeNAに4-6で今季3度目のサヨナラ負け。借金10で単独最下位に再転落した。前日16日に3発の大山悠輔内野手(23)が一回に先制10号ソロを放ったが、九回の勝ち越し機は凡退。金本知憲監督(50)から「ここ一番」での働きを求められた。完全覚醒し、あと1敗で優勝が完全消滅する瀕死の虎の、希望の光となれ!!  絶好調モードだった。誰もが大きな期待を寄せた。だからこそ、「あの場面」で打って欲しかった-。まだ2年目の選手には酷かもしれない。しかし、覚醒しようとしている今だからだ。ドリスのサヨナラ被弾の直後、バスへ引き揚げながら、大山は自らを責めた。  「すべては(九回の)最後の打席だと思う。そこで、打たないといけない」  4-4の九回。二死一塁から2番・植田が山崎から四球を選ぶとハマスタの虎党から大歓声が起きた。大山、決めてくれ!! しかし...初球シュートに力なく遊飛。チャンスは一瞬でついえた。  手がつけられない打棒を見せていた。前日は3本塁打を含む6安打7打点。この日も一回二死、浜口の内角高め135キロを左翼席へ。7打数連続安打、自身初の2桁となる先制の10号ソロだ。  「打ったのはカット(ボール)。自然と反応でバットを出すことができました」  球団で入団2年目以内に2桁弾を記録したのは元監督の岡田彰布(1年目の1980年に18本塁打)まで遡る。六回には左翼へ二塁打を放ち、同点をおぜん立て。しかし、その資質を認めるからこそ、金本監督は厳しい言葉をおくった。  「最後(九回)やな、ああいう場面で打てるように、成長して欲しいですね。そういう勝負どころというかね、ここ一番のチャンスで」  打率3割で一流。一発を含む2安打の23歳が責められるものではない。しかし、チーム不動の主砲となるためには、「ここ一番」でどんな打撃をするかが求められる。今季、得点圏打率は・195(77打数15安打)。大山の課題は明白だ。  チームは崖っぷちに立つ。前日の20得点大勝の勢いは続かず、借金はワーストタイの10。勝率の差で再び単独最下位に転落した。あと1敗、19日にも優勝の可能性は完全消滅する。メッセンジャーは復帰めどが立たず、主将の福留も右足が万全ではない。ここで必要なのは若い力だ。3位巨人も敗れ、クライマックスシリーズ(CS)圏内に1・5ゲーム差のまま。ここ10試合8発、9月打率・455の大山が逆転CSの旗頭だ。  「そういう勝負根性というのはやっぱり、さらなるステップとして。こちらは成長してほしい」と指揮官が言えば、伝え聞いた大山も「(最初に)言った通りです」と一層の奮起を誓った。  育成を掲げる金本阪神も3年目。チームが苦しい中、今季レギュラーに定着した若手は糸原くらいで、北條も故障で離脱した。何より、開幕前にもっとも監督が期待していたのが大山だった。覚醒しつつある23歳。ここからの反撃はもちろん、2018年の確かな"財産"として、未来の虎を照らす存在となる。 (新里公章)

◆本来のドリスとはほど遠い投球だった。四球を怖がりストライクを取りにいったフォークが甘く入ってのサヨナラ弾。同じやられるにしても、かなり心配な打たれ方だ。  ドリスの良さは、常に攻撃的なところ。攻めの姿勢でズドンと投げ込むから、少々制球がアバウトでも抑え込めてきた。さらに、ワンバウンドになることを恐れないフォークを織り交ぜるから、速球がさらに効果的になっていた。  ところが失敗が続いたことにより、メンタル面で追い込まれてしまっている。もう失敗できない思いが強すぎて、攻めの気持ちまで忘れてしまっている。制球を気にするドリスは、全く怖くない。  ただ、守護神は簡単に代えるわけにいかない。すぐにドリスの代役が務まる人材もいない。いかにメンタル面をケアするか、がポイントになる。  私もメキシコでプレーして、中南米の選手たちの性格は把握している。「お前への評価は変わらない」とはっきり伝えてあげることが重要。ドリスの復調なしにCSは考えられない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
75512 0.595
(-)
M4
(-)
15656
(-)
581
(-)
168
(-)
78
(-)
0.265
(-)
4.12
(-)
2
(-)
ヤクルト
64622 0.508
(-)
11
(-)
15593
(-)
613
(-)
119
(-)
64
(-)
0.268
(-)
4.27
(-)
3
(-)
巨人
61684 0.473
(↓0.004)
15.5
(↓0.5)
10586
(+2)
544
(+4)
139
(+1)
59
(-)
0.258
(-)
3.87
(-)
4
(1↑)
中日
61712 0.462
(↑0.004)
17
(↑0.5)
9578
(+4)
615
(+2)
91
(+1)
58
(+1)
0.266
(-)
4.38
(↑0.01)
5
(1↑)
DeNA
58682 0.46
(↑0.004)
17
(↑0.5)
15511
(+6)
609
(+4)
161
(+3)
70
(+1)
0.252
(-)
4.42
(↑0.01)
6
(2↓)
阪神
56661 0.459
(↓0.004)
17
(↓0.5)
20518
(+4)
544
(+6)
81
(+1)
65
(+1)
0.256
(↓0.001)
4.05
(↓0.01)