中日(★2対5☆)阪神 =リーグ戦17回戦・ナゴヤドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
21002 0000 5100
中日
10000 0100 280
勝利投手:才木 浩人(4勝6敗0S)
(セーブ:ドリス(1勝3敗28S))
敗戦投手:小熊 凌祐(2勝1敗0S)
  DAZN
◆阪神は初回、1死二塁の好機から福留の2ランで先制に成功する。その後は3-1で迎えた5回表に、糸井とナバーロの連続適時打で2点を加えた。投げては、先発・才木が7回2失点9奪三振の好投で今季4勝目。敗れた中日は、先発・小熊が試合をつくれなかった。

◆中日福田永将内野手が久々のアーチを放った。4点を追う7回。  1死無走者で打席に入った福田は、阪神才木の144キロストレートをたたき、左中間スタンドへ運ぶ9号ソロ。  7月21日のヤクルト戦以来、約1カ月ぶりの1発だった。福田は「いいポイントで打てました」とコメントした。

◆中日小熊凌祐投手が阪神打線につかまった。  1回に福留に先制の2ランを浴び、2回にも投手才木の内野ゴロの間に1点を失い、5回には糸井、ナバーロに連続適時打されてマウンドを降りた。5回途中5失点KOに小熊は「ボールが高く、ストライクにボールを集めすぎました...」と肩を落とした。

◆中日大島洋平外野手が球団タイ記録をマークした。1回に阪神才木からセンター前へ適時打を放ち、19日巨人戦の第2打席から、四球1つをはさみ8打数連続安打。05年ウッズの球団記録に並んだ。  1回に2点を先制された直後のタイムリーに大島は「なんとか1点をと思って打席に入りました。ヒットになってくれてよかったです」と話した。  第2打席は二ゴロに倒れ、球団新記録はならなかった。なお、プロ野球記録はレイノルズ(大洋、91年)と高橋(巨人、03年)の11打数連続安打。

◆阪神福留孝介外野手(41)が先制となる12号2ランを放った。  初回1死二塁、中日先発の小熊が投じた初球142キロ直球を強振。打球は右翼席中段に達した。  「北條(左翼線二塁打)がチャンスを作ってくれたので、何とかして先に点が欲しい場面でした。しっかり自分のポイントで捉えることができました」  41歳主将の一振りで先制に成功した。

◆先発した阪神才木浩人投手(19)が自己最長の7回を5安打2失点に抑え、今季4勝目をあげた。  「立ち上がりから(ボールを)置きに行かず、しっかり腕を振ることを意識して投げました。低めに投げれば、梅野さんが止めてくれると思って、思い切って投げられました」  立ち上がりに3連打を浴び、1点を失ったが4番ビシエドを外角高め145キロ直球で空振り三振に仕留めると、後続も打ち取って流れに乗った。  「いつも初回に点取られてばっかりなので、絶対にここは切り抜けるという気持ちで投げました。真っすぐで三振が取れたので、自分が乗っていけた」  9日ヤクルト戦(神宮)では救援登板で26球。金本監督は「1イニング限定だったからね。ブルペンに入るつもりで。勝ちパターンのリリーフを守るための、先輩孝行ですよ」と中2日で先発した19歳を褒めた。  「今日は自分の納得の行くボールが投げられたというか、いろんな先輩のアドバイスもあって、今日のマウンド立てたので、よかったなと思います」  127球の熱投でつかんだ4勝目に、才木は充実の色を浮かべた。

◆中日が阪神に敗れ、1日で最下位に逆戻りした。阪神先発の才木から1回に1点を奪ったが、その後は7回の福田のソロ本塁打まで抑え込まれ、終盤は継投で逃げ切られた。  森監督は「(5失点KOの先発小熊は)1回の2失点より、2回の1点の方がバッテリーにもチームにも痛い。(攻撃でも)1回にもう1本出ていればうちらしい野球ができたかもしれない。5回に2点を取られて相手投手を楽にさせてしまった」と嘆いた。  最近、打ち込まれていた救援陣がこの日は無失点で抑えたが「負けてるから(抑えてる)って言いたいんだろう? 勝ってる試合でも抑えられればね」と苦笑いしていた。

◆阪神才木浩人投手が自己最長の7回を5安打2失点、9三振を奪って7月25日以来、約1カ月ぶりの4勝目を挙げた。松坂と投げ合って2敗していたナゴヤドームで勝利投手としてインタビューを受けた19歳は、晴れやかな表情だった。  -いろんな思いのマウンドだったのでは  才木 ちょっと前まで、あまり勝利に貢献できなくて、そういうピッチング続いたんで、今日は絶対に抑えるという気持ちで投げました。  -主軸が打っていい流れできた  才木 野手の方々が点を取ってくださってたり、ベンチで声かけてくださったおかげだと思うので、よかったです。  -初回ピンチの芽をつみ取ったのもよかったのでは  才木 いつも初回に点取られてばっかりなので、(1失点した後は)絶対にここは切り抜けるという気持ちで投げました。  -派手な当たりではなかったが、プロ初打点も  才木 振ったら当たりました。  -1カ月ほど勝てず、プロ初勝利とは違うゲームとなったのでは  才木 今日は自分の納得のいくボールが投げられたというか、いろんな先輩のアドバイスもあって、今日のマウンド立てたので、よかったなと思います。  -自己最長7回、自己最多の127球  才木 そこまでしっかり投げ切れたっていうのは、自信につながるので、これからも継続していきたいなと思います。  -ナゴヤドームで雪辱  才木 2戦とも負けてるので、三度目の正直という言葉を信じて投げようと思ってました。  -7回、高橋周平選手には、思いも感じるストレート攻め  才木 前回まっすぐを2打席ともホームラン打たれてるので、まっすぐで抑えたいという気持ちはありました。  -次は甲子園での登板になるかと  才木 ホーム球場なのでしっかり投げて勝てるようにやっていきたいなと思います。

◆阪神は左打者を6人並べる先発オーダーで中日先発小熊を効果的に攻略した。  1回は福留が先制2ランを放ち、2回は先頭伊藤隼の中前打が起点になり、追加点。5回は4番糸井が打った。金本監督は「小熊にはデータはそんなにないからね。打てそうな打者を並べたというだけ」と笑い飛ばしたが采配は的中した。チーム打率もDeNAを抜いて"最下位"を脱出した。

◆崖っぷちで踏ん張った! 阪神才木浩人投手(19)が先発ローテ生き残りのラストチャンスと位置づけられた22日の中日戦(ナゴヤドーム)で自己最長の7回、同最多の127球を投げ2失点。7月25日広島戦(甲子園)以来となる4勝目を挙げた。初回に3連打で1失点したが、4番ビシエドを三振に斬ってグンと調子を上げた。先発陣のやり繰りに苦しむ虎投にとっても大きな1勝だ。  試練を乗り越えた。150キロに迫る直球と、スピード差のある変化球を駆使して、才木が壁をぶち破った。「あまり勝利に貢献できないピッチングが続いてたので、今日は絶対に抑えるという気持ちで投げました」。自己最長の7回、127球の熱投で7月25日広島戦以来、約1カ月ぶりの勝ち星。今季4勝目をつかんだ表情には充実感があふれた。  立ち上がりは3連打を浴びて1点を失った。だが、ここからが違った。初回無死一、二塁。4番ビシエドを外角高め145キロ直球で空振り三振に仕留めた。「いつも初回に点を取られてばっかりなので、絶対にここは切り抜けるという気持ちで投げました。真っすぐで三振が取れたので、自分が乗っていけた」。後続も力あるボールでなぎ倒し、成長の証しを見せつけた。2回1死二、三塁の打席では遊ゴロを転がし、プロ初打点。バットでも自分を助けた。  8月は先発登板3戦連続で黒星を喫した。15日広島戦後には金本監督が「ラストチャンスで」と今回限りで見切る可能性も示唆していた。苦しんだ19歳は考えた。何がダメなのか。球団寮の虎風荘に帰って、夜遅くまで映像を見直した。「ただ投げて満足するんじゃなくて修正ポイントをしっかり見ていきたいので」。足の上げ方、投球フォームのバランスやリリースの位置を確認。新たな発見があった。「自分はもっと前で(ボールを)放していると思っていたけど、映像で見たらイメージとは違った」。修正を施して勝負のマウンドへ。最後のチャンスにも「あまり気にしてなかった」と笑うほど崖っぷちに強かった。  週に1度の楽しみは先発登板だけでない。休日には「ヨガ」に通い、精神統一を図る。「ストレッチして肩関節をほぐすこともできる。心を落ち着かせる時間にもなる」。さらに「先輩に食事に連れていってもらえることですね。お店のランクが高すぎて、自分では行けないお店に...」と遠征先での楽しみにニヤリと笑う。この日の熱投で、おいしいご飯生活は継続されそうだ。  19日ヤクルト戦(神宮)では救援登板で26球。金本監督は「1イニング限定だったからね。ブルペンに入るつもりで。勝ちパターンのリリーフを守るための、先輩孝行ですよ」と中2日で先発して、ナゴヤドームでの連敗を5で止めた19歳を褒めた。タフネス右腕が連戦続きのシーズン終盤も、輝きを放つ。【真柴健】

◆阪神ドリスが28セーブ目を手にした。  3点リードの9回に登板。高橋、藤井に単打を打たれ、2死一、二塁とされたが、松井雅を一ゴロに料理。無失点で切り抜けた。「とにかくリズム良く、ストライク先行でいこうと思っていた。抑えられて良かったです」と話した。  強力中継ぎ陣の奮闘で、6回終了時にリードしていた試合は41試合負けなしの40勝1分けになった。

◆金本阪神が左打者を6人並べる先発オーダーで中日先発小熊を効果的に攻略した。前日21日は左腕ガルシア対策で右打者を6人先発させたが、鮮やかな変わり身だ。金本監督は「小熊にはデータはそんなにないからね。打てそうな打者を並べたというだけ」と笑い飛ばしたが采配は的中した。  1回は福留が先制2ランを放ち、2回は先頭伊藤隼の中前打が起点になり、追加点を奪う。5回は4番糸井が打った。1死一、二塁でスライダーをコンパクトにとらえて右翼線適時二塁打。「追加点の欲しいところで走者をかえすことができて良かった。勝ってよかった」と振り返る。直後はナバーロも加点適時打。小熊は対戦前まで右打者を打率2割1分2厘と抑えていたが、左打者に2割7分と苦戦していた。左打者が、ことごとく得点に絡んだ。  5回までに先発野手全員安打とし、目に見える形でリーグの"最下位"を脱出だ。チーム打率2割5分1厘は2割5分のDeNAを逆転。8月11日も1度だけ上回ったが「毛の差」で、成績表は「247」で同じ。今回は「厘の差」になり、見た目でも順位が上がったのは5月8日以来だ。長く打線が振るわず、チーム停滞の「象徴」だった。7月19日には金本監督は「暗黒時代より打ってないのかな」と渋い表情を浮かべていた。だが、翌20日DeNA戦から、この日までの約1カ月は打率2割7分4厘と奮闘。元気な打線が残り40試合の命綱になる。【酒井俊作】

◆ファーストスイングで、決勝弾をかっ飛ばした。阪神福留孝介外野手(41)が1回1死二塁から右翼スタンドへ12号2ラン。2番北條が二塁打を放った直後の初球を、いきなり仕留めた。142キロの真ん中直球にタイミングはばっちり。「もちろん積極的にいくというのはずっと思ってやっているから」と涼しい顔で振り返った。  とにかく福留は振っていく。打撃で一番大切なものを聞かれれば「タイミング」と即答する。18・44メートルの間合いを制することが出来れば、勝負は福留にある。だから初球から、空振りを恐れずに振っていく。「このくらいずれているな、とか。思ったより曲がるな、とかね。振らないと分からないから」。積極打法に必要なのは凡打を恐れない度胸だけではない。いきなり振っていく準備は、試合前から始まっている。  プレーボール前。福留は先乗りスコアラーが用意した資料を、時間をかけて入念にチェックする。配球の傾向、投球モーション、直近の状態...。中日先発小熊とは今季初対戦、昨季も3打席しか対戦がなかったが、情報、映像が頭に入っていた。「スコアラーの方が情報を提供してくれているおかげです」。ネクストバッターズサークルでもタイミングを合わせ、一撃必殺につながった。  前日21日は積極的休養。ただチームは打線が沈黙して敗れ、反対に福留の存在感が際立つ結果となった。ならばと第1打席で快音。「試合も少ないし、なかなか打てるものでもないからよかったね」と慣れ親しんだナゴヤドームでの今季1号だ。ライナーの弾道に、金本監督も「初球をワンパンチで。あれで(流れが)グッと。さすがですね。あの打球も」と絶賛。準備と集中力で、ベテランが勝負を決めた。【池本泰尚】

◆中日大島洋平外野手(32)が、球団史に名を刻んだ。1回に中前適時打を放ち、19日巨人戦の2打席目から、四球1つをはさんで8打数連続安打をマーク。51年西沢、05年タイロン・ウッズの球団記録に並んだ。  鮮やかなヒットだった。無死一、二塁の好機。前日まで7打数連続安打で球団タイ記録に王手をかけていた大島は、カウント2-2から1球ファウルした後、阪神才木の146キロのストレートをセンター前へ運んだ。2打席目は二ゴロに倒れ、球団新記録はならなかったが「意識はしていなかったです。狙うなら(プロ野球新記録の)12(打数連続安打)のほうがよかった」と笑った。  大島は、記録について知っていた。12年8月にも、7打席連続安打を記録したことがあるからだ。そのときはタイ記録がかかった打席で三振に倒れたが、6年越しでリベンジした。  前日21日には、出場選手登録日数が9年に達し、海外FA権を取得する条件を満たした。16年に国内FA権を取得し、そのオフに3年契約を結んでおり、今季はその2年目にあたる。大島は「今は何も考えていない。シーズンをまっとうしてそれから考えます」と話し、チームの勝利に集中することを強調した。  記録は止まったが、8回にも安打しマルチヒットをマーク。安打数も129とリーグ4位に浮上し、最多安打も射程にとらえる。試合は連勝をのがし、1日で最下位に逆戻り。だが、チームきっての巧打者が、これからもヒットを積み重ねて勝利を目指す。【高垣誠】
 ▼大島が19日巨人戦の3回から8打数連続安打(1四球挟む)を達成し、05年タイロン・ウッズと並び、中日最長となった。なおプロ野球最長は11打数で、91年レイノルズ(大洋=11打席連続)と03年高橋由伸(巨人)が記録している。

◆阪神が盤石の試合運びで、連敗を2でストップした。先発の才木は、7回5安打2失点9奪三振の力投で、4勝目(6敗)を挙げた。  阪神は初回、福留が右翼席へ12号2ランを放ち先制。その裏に1点を返されたものの、二回に才木の遊ゴロの間に1点を追加すると、五回には、糸井の右翼線二塁打、ナバーロの中前適時打で2点を追加して、突き放した。その後、1点を返されたものの、八回は藤川、九回はドリスが抑えて、逃げ切った。  中日は福田の9号ソロなどで食い下がったものの、一度もリードは奪えず敗戦。先発の小熊は4回1/3を9安打5失点で初黒星(2勝)を喫した。

◆阪神が盤石の試合運びで、連敗を2でストップした。先発の才木は、7回5安打2失点9奪三振の力投で、4勝目(6敗)を挙げた。以下は才木の一問一答。  --中2日でのマウンド  「ちょっと前まで勝利に貢献できなくて、そういうピッチングが続いたので、絶対に抑えるという気持ちで投げました」  --主軸が援護  「野手の方々が点を取ってくださったり、ベンチで声をかけてくれたおかげだと思うので、良かったです」  --初回のピンチを切り抜けた  「いつも初回で点を取られてばっかりなので、ここは切り抜けるという気持ちで投げました」  --プロ初打点  「振ったら、当たりました」  --プロ初勝利とは違う思いになったのでは  「今日は自分の納得いくボールが投げれたというか、いろんな先輩のアドバイスもらって、今日のマウンドに立てたので、良かったと思います  --自己最長の七回、最多の127球  「そこまでしっかり投げきれたのは自信につながるので、継続していきたいと思います。」  --中日に雪辱  「2戦とも負けてるので、絶対3度目の正直という言葉を信じて投げようと思ってました」  --次は甲子園での登板  「ホーム球場なので、しっかり投げて、勝てるようにやっていきたいと思います」

◆阪神は先発野手8人全員が安打を打って中日の小熊を攻め、五回までに5点を奪った。一回に初球の直球を捉える12号2ランで攻撃を勢いづけた福留は「いい形で先制できて良かった。しっかり自分のポイントで捉えることができた」と話した。  六回以降は追加点の好機を逃し、大量リードにはならなかった。金本監督は勝ちパターンの救援投手である藤川、ドリスを使う展開になったことに言及。「いかに救援陣の負担を減らせるかが今後のテーマになる。そういう意味でもう1、2点欲しかった」と満足しなかった。 阪神・香田投手コーチ(才木に) 「二回以降、良くなった。一つ一つの球はいい。組み立てていくことをしてほしい」 糸井(五回に適時二塁打) 「追加点が欲しいところで走者をかえすことができて良かった」 ナバーロ(五回に適時打) 「チームのみんながつくってくれたいい流れに乗ることができた」

◆中日の大島が0-2の一回、中前適時打を放って2005年にウッズが樹立した8打数連続安打の球団記録に並んだ。阪神・才木の速球をはじき返し「点を取られた後だったので何とか1点をと思い、打席に入った。ヒットになってくれてよかった」と語った。  三回の第2打席は二ゴロに倒れて記録は更新できなかった。それでも八回は二塁打を打つなどこの日は4打数2安打。大島は「いつかは止まるでしょ。(凡退した時は)『あ、止まった』と思った」と平然とした様子だった。 福田(七回に9号ソロ本塁打) 「良いポイントで打つことができた」

◆再び最下位に転落した。先発した小熊は5失点で五回途中に降板。今季初黒星となり「ボールが高く、ストライクにボールを集め過ぎた」と悔しがった。森監督は小熊に「ゲームをつくれなかった」と落胆。打撃陣も振るわず、得点は一回の大島の適時打と七回の福田のソロ本塁打のみ。一回二死満塁と八回二死三塁の好機も生かせなかった。

◆中日・大島が19日の巨人戦の第2打席からこの日の第1打席まで8打数連続安打。2005年8月6、7日の横浜(現DeNA)戦でウッズがマークした球団記録に13年ぶりに並んだ。プロ野球記録は11打数連続で、1991年に大洋(同)・レイノルズ、03年に巨人・高橋由伸が記録。 一回に中前打も三回は二ゴロで、連続打数安打は球団タイ記録の「8」で途切れた中日・大島 「意識はしていなかったが...。あっ、止まったんだなあ、という感じでした」

◆野生の虎は、追い詰められたときに、その真の力を見せるのだ。  全国の虎党は、わずか19歳の才木浩人にその姿を見たのだった、ガオー!! 一回、いきなり3連打で1点を失い、なお無死一、二塁。そして打席に迎えるのは、体重100キロを優に超える竜の大砲、4番ビシエド。そして打率3割プラスたくわえたヒゲがカモノハシのくちばし(?)を連想させる、いろんな意味で怖いアルモンテであった。  ブルブルブル~怖え~皆さん、よーく考えてみてください? もし貴方が19歳の頃、そんな状況に追い込まれていたら、どーなってました? 少なくとも俺なら、マウンド上で熱中症の演技で倒れる...。もしくはプロ入団は裏口だったと自らありもしない告白をして、ベンチに逃げ帰っていたに違いない...。  しかし、野生の若虎・才木は逃げるどころか真っ向勝負を挑み、怪物2人を連続の空振り三振に仕留め、後続も断ち得点を許さず!! さらに二-七回は福田の一発は許したものの、わずか2安打で4勝目をあげたのだ!!  19歳がこの快投、そして41歳の福留さまが豪快な2ラン!! 20歳~40歳の猛虎諸君、そろそろ真の牙をむいたろやないかア!?

◆  --才木は立ち直った  金本監督 「(一回無死一、二塁での)大島のところかな。逆球で。インサイドを狙ったけど、外甘ぐらいで...。今までの反省が、その打席に関してはできてないなと思ったけどね。それ以降は梅野がうまくスライダーを使って左打者のインサイドを突っ込んで、そこは梅野の成長かと思いますね」  --才木は神宮での中継ぎをはさんでの登板だった  「1イニング限定やからね。ブルペンに入るつもりで。ブルペン1日早めただけで。あのときはしようがないよな。勝ちパターンのリリーフを守るために。先輩孝行ですよ、才木が(笑)」  --中継ぎ陣も盤石  「勝ちパターン4人、ドリス、桑原、球児、能見の負担を減らせていくか、というのが今後のテーマになるね。そういう意味ではもう2点ぐらい欲しかった」

◆阪神のプロ2年目、才木浩人投手(19)が自己最長の7回を投げ、5安打2失点でチームの連敗を2で止めた。  才木の母校、須磨翔風高の中尾監督は神戸市内の自宅で教え子の投球をテレビ観戦。内容次第で2軍落ちの可能性もあった一戦で結果を出した教え子の力投に「気持ちがブレないやつでしたので、普通の子ならどうしようとなるところで、(苦境を)プラスに考えたのかもしれませんね」と声を弾ませた。  高校時代から「食べる、寝ることも自分で計算してやっていたと思います。1人で黙々とやれる子だった。高校生だとそれは難しいことなので、何年かに1人、2人(の素材)でしょう」とプロ向きな性格を懐かしんだ。

◆おいしい場面で打つ。これが助っ人の流儀だ。ベンチのロサリオ君、ごめんなさい!? 貴重な5点目をたたき出したのは5番・ナバーロだった。  「チームのみんなが作ってくれた、いい流れに乗ることができたよ。ゲームの中盤で追加点を取ることができて、よかった」  2試合連続で一塁スタメン。見せ場は五回だった。糸井の適時二塁打が飛び出し、なおも一死二、三塁。小熊のカーブをいつものようにコンパクトに弾き返した。11日のDeNA戦(横浜)以来、出場6試合ぶりの打点。先発野手全員安打で、7日の巨人戦(東京ドーム)以来13試合ぶりとなるクリーンアップそろい踏み打点が完成だ。  年俸3億4000万円で獲得したロサリオはこの日もベンチスタートで、出番はなし。すでに来季の残留が微妙な立場におかれているメジャー通算71発男を横目に、ナバーロが着実にアピールしているのは確か。小熊を攻略した打線について金本監督は「打てそうな打者を並べたというだけ」と説明。相手投手の左右にとらわれない柔軟な起用法を続ける指揮官にとって、助っ人の残留争いは、願ったり叶ったりだろう。  ナバーロは「全体的にいい状態ではなかったけれど、チームの勝利に貢献できたから、うれしいね」とほほえんだ。九回二死満塁で遊ゴロに倒れたのを悔やんだが、勝てたからこそ、反省もできる。タテジマに袖を通し、もう2カ月。まだまだ救世主になる。 (阿部祐亮)

◆たった一振り。強烈すぎる一撃で、竜をバクっと飲み込んだ。一回、福留が先制の12号2ランをぶち込んだ。完璧な感触を手に、主将らしく、悠然とダイヤモンドを一周した。  「常に積極的に...と思ってやっている。いい結果につながってよかった」  休養日をもらい「3番・左翼」で3試合ぶりに先発。一回一死、北條が左翼線を破る二塁打を放つと、出番だ。小熊の初球、142キロ直球を一閃。青一色に染まる右翼席中段へ、豪快に運び去った。金本監督も「初球ね、ワンパンチで。あれでバクッと。さすがですね。彼の野球脳は」とうなるしかない。5試合ぶりの先制点を、最高の形でチームにもたらした。  狙いを定めて、逃さない。これで今季、初球を打った際の打率は・362(47打数17安打14打点、5本塁打)。積んできた経験値を、グラウンドで思う存分に発揮している。休養をもらいながらの出場が続く41歳だが、休み明けの試合でも打率・327(52打数17安打)。指揮官の配慮にも、数字でバッチリと応えている。  12日のDeNA戦(横浜)以来、24打席ぶりの一発。三回一死には中前打で、今季24度目のマルチ安打を記録した。  米大リーグも経験し、今季でプロ20年目。米国では対戦のない投手と相対することも日常茶飯事だった。速い球、動く球。さまざまな投手に、初見での対応が必要だった。百戦錬磨のバットマンが意識することは単純明快だ。  「振っていかないと、何も始まらないんだから」  小熊との通算成績も10打数2安打だった。対戦が少ないからこそ、振っていく-。信念に基づいたスイングが、かつての本拠地・ナゴヤドームでのアーチにつながった。  「対戦が少なくても、それを補うためにスコアラーの方々が情報を提供してくださるので」  しっかりと裏方さんに頭を下げるのも、主将らしい。8月は打率・391、4本塁打と絶好調。PL学園高で3度甲子園に出場したスラッガーは厳しい残暑を迎えた夏でも元気いっぱい。福留のバットは、もっとアツくなる。 (竹村岳)

◆阪神のプロ2年目、才木浩人投手(19)が自己最長の7回を投げ、5安打2失点でチームの連敗を2で止めた。鬼門ナゴヤドームでの連敗も5で止める熱投に金本知憲監督(50)は「ほめてあげたい」と納得顔。若き剛腕の力投で3位巨人に1差接近。高校野球が終わっても虎は熱いで!!  日差しが差し込まないドームのマウンドで高校球児のようにハツラツと投げた。自己最長の7回を投げ、約1カ月遠ざかっていた白星を手にした。生き生きとした球筋を取り戻した才木がチームの連敗を2でストップ。壁にぶつかっていた成長株が久しぶりに心から笑った。  「ちょっと前まで勝利に貢献できないピッチングが続いたので、絶対に抑えるという気持ちで投げました。納得のいくボールが投げられました」  7月25日の広島戦(甲子園)以来の4勝目をつかんだ。福留の先制2ラン直後の一回。連打でいきなり無死一、二塁とされ、大島に145キロ直球を中前に運ばれ、1点を失った。  これまで試合序盤での失点が続き、先発ローテ生き残りへラストチャンスと位置づけていた金本監督も「初回、これまた...って思ったけどね(笑)」と苦笑いだったが、ビシエド、アルモンテを2者連続三振に斬った。四球で塁を埋めた二死満塁から福田を初球の外角低め140キロで二ゴロに打ちとった。  二回一死二、三塁で迎えた最初の打席では、遊ゴロの間に三走が生還してプロ初打点を挙げ、自らを援護した。中日とは今季松坂大輔と投げ合って2戦2敗だった。「3度目の正直という言葉を信じて投げよう」と、左打者の内角へのカットボールも有効に使って一回二死からは15連続アウト。自己最多の127球を投げ、7回5安打、こちらもキャリアハイの9奪三振で2失点に抑え、トンネルを抜けた。  須磨翔風高時代、甲子園出場経験のある相手との遠征試合で投げれば「大体、勝っているイメージですね」と中尾修野球部監督(52)も振り返る能力があった。最善の準備をする癖を同高時代に出会った一冊の著書から学び、さらに成長につなげた。  「(ソフトバンクの)工藤監督の本で(内容は)目標設定のやり方です。でかい目標のために何ができるか。例えば、来年これをやるから、じゃあ今はこれやろう、そのために今週はこれを、今週のためにこの日は、って」  自分の頭で考え、どん欲に動き続けた。役立つ可能性があればとバレーのアタックの瞬間、テニスのサーブの腕の動きをみるために他の部活へ足を運んだ。努力の積み方は知っていた。この夜のプレッシャーにも「(ラストチャンスは)気にせず、自分の納得いく投球がしたかった」と胸を張った。  金本監督は「スライダーを左打者のインサイドに突っ込んだ。(リードした)梅野と投げきった才木、2人をちゃんとほめてあげたいですね」と納得顔。19歳の力投でナゴヤドームの連敗も5でストップ。借金を4として、3位巨人に1差接近だ。高校野球の季節は過ぎ去ったが、夏はこれから。虎が野球熱を引き継いでいく。 (新里公章)
才木について中日・平田 「直球は思っていた以上に伸びて、スピードガンの球速よりも速く感じた。フォークもよかった」

◆才木の投球フォームはもともと、2段モーションから3段モーションに近い。他の投手と比較してもゆったりした動作で投げ込む。才木オリジナルのフォームを差し引いても、一回はあまりに間合いが悪く、間延びしていた。力みも加わって、捕手の構えたところにほとんどいかない投球が続いた。  何とか最少失点でしのいで迎えた二回。二死から平田に対して2球連続カーブがワンバウンドのボール球。そこで梅野があえて変化球(フォーク)を要求して空振り三振。この1球で一気に乗った感じだ。立ち直ったのは梅野の配球が大きい。  おそらく誰かのアドバイスがあったのだろう。二回以降は見違えるほどテンポが良くなった。捕手からの返球を受けるとすぐに投球動作に入る。そんな変化に、今度は中日打線のタイミングが合わなくなった。  以降は完ぺき。立ち上がり思うような投球ができなかった才木は、この二回以降のリズムを覚えておくこと。この投球ができればどこが相手でも好投できる。金本監督もローテを外そうとは絶対に思わない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
634220.6
(↑0.004)
M26
(-)
36552
(+7)
476
(+4)
139
(+2)
63
(-)
0.266
(-)
4.07
(-)
2
(-)
ヤクルト
525310.495
(↓0.005)
11
(↓1)
37494
(+4)
512
(+7)
101
(+1)
58
(-)
0.269
(-)
4.4
(↓0.02)
3
(-)
巨人
555720.491
(↓0.004)
11.5
(↓1)
29506
(-)
460
(+2)
116
(-)
52
(+1)
0.26
(↓0.001)
3.85
(↑0.01)
4
(-)
阪神
495310.48
(↑0.005)
12.5
(-)
40409
(+5)
454
(+2)
64
(+1)
51
(-)
0.251
(↑0.001)
4.01
(↑0.02)
5
(-)
中日
475920.443
(↓0.002)
16.5
(↓0.5)
35424
(-34)
503
(+4)
130
(+60)
60
(+9)
0.25
(↓0.014)
4.35
(↓0.02)
6
(-)
DeNA
496210.441
(↑0.003)
17
(↓0.5)
31460
(+38)
504
(+1)
71
(-58)
51
(-9)
0.263
(↑0.013)
4.34
(↑0.05)