阪神(☆10対9★)ヤクルト =リーグ戦12回戦・大阪ドーム=
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ヤクルト
00061 0001 019140
阪神
20002 3100 010150
勝利投手:桑原 謙太朗(3勝1敗0S)
敗戦投手:石山 泰稚(3勝1敗17S)
  DAZN
◆阪神が5時間11分の熱戦を制した。阪神は1点を追う延長11回裏、糸原の適時三塁打で試合を振り出しに戻す。その後は1死三塁から北條が犠飛を放ち、サヨナラ勝利を収めた。6番手・桑原が今季3勝目。敗れたヤクルトは、最大5点のリードを守れず、痛い敗戦を喫した。

◆阪神福留孝介外野手が先制の9号2ランを放った。1回1死一塁から、ヤクルト先発のカラシティーが投じた146キロをジャストミート。右中間スタンドに突き刺した。  「打ったのはストレート。とにかく後ろにつなごうと思った結果が、たまたま良い結果になってくれました」と振り返った。

◆ヤクルト山田哲人内野手が、12試合連続打点をマークした。  0-2の4回、阪神メッセンジャーから26号ソロを放った。「ミスショットすることなく打てて良かったです」と話した。これで歴代単独2位となり、バース(阪神)が持つ13試合連続打点の日本記録にあと1試合と迫った。

◆ヤクルトが"天敵"攻略に成功した。通算10勝20敗で4連敗中だった阪神メッセンジャーに、4回に猛攻を仕掛けた。  0-2の4回、先頭の山田哲が12試合連続打点となる26号ソロ。バレンティンと雄平が安打で続いて無死二、三塁から、川端がスライダーを左中間へ。「とにかくバットに当てるためにコンパクトにスイングしました。一生懸命走りました」と左中間に逆転の2点適時三塁打を放った。  ヤクルト打線は勝負どころを逃さず、一気呵成(かせい)に攻め込んだ。1死二、三塁から9番カラシティーが右翼へ2点適時三塁打。続く坂口も「みんながつないでくれたのでどんな形でもと思い打席に入りました」と右前適時打で、打者9人で一挙6点を奪って早期KOを決めた。  試合前、小川監督は「メッセンジャーをどう攻略するか。秘策はないですよ。積極的に攻めていって、追い込まれてからは粘って球数を投げさせたい」と青写真を描いた。狙い通りに、天敵に4回までに90球を投げさせ、8安打6得点で試合の主導権を奪い返した。

◆阪神先発ランディ・メッセンジャー投手が"お得意様"にやられた。通算20勝10敗で4連勝中。  16年8月6日以来負けていなかったが、2点リードの4回に集中攻撃にあった。山田哲に12試合連続打点となるソロを浴びると、その後もバレンティン、雄平、川端に連続長短打を食らった。さらに投手のカラシティーにも2点三塁打を許すなどして6失点。4回8安打6失点。90球で降板となってしまった。

◆ヤクルト先発のマット・カラシティー投手が、大量リードを守れなかった。初回に福留の2ランで2点を先制されたが、4回に自身の2点適時三塁打を含めて6得点を奪って逆転。5回に雄平の5号ソロで5点のリードを得た。  だが、6回に阪神打線につかまり、5回1/3を9安打7失点で降板した。「今日は自分では打ち取ったと思った当たりが、野手のいないところに落ちたり、間を抜けたりと、ついていない部分もあった。せっかく逆転してもらって点差があったのに、申し訳なく思っている」と反省した。

◆途中出場のヤクルト上田剛史外野手が、勝負強さを見せた。9回2死二塁で青木の代走で出場。そのまま中堅へ入って迎えた延長11回1死三塁。阪神桑原の直球を詰まりながらも中前に落とした。一時は勝ち越しとなる一打にも、その裏に逆転サヨナラ負け。「びびらず自分のスイングをしようと思っていた」と、厳しい表情で語った。  積み重ねてきた努力が実った。出場機会に恵まれなくても、早出特打を続けた。休日も神宮室内に顔を出すことも、しばしば。「いつも練習をしてきたという自信を持っていった。琢朗さん(石井琢打撃コーチ)にも自分を信じて思い切ってと言われていた」。試合には敗れたが、与えられたチャンスを必死でものにした。

◆ヤクルトが5時間11分の熱戦を落とした。  延長11回1死一塁、途中出場の左翼三輪が、糸原の左翼前の飛球に突っ込んで後逸(記録は三塁打)し同点。直後に北條にサヨナラ犠飛を浴びた。小川淳司監督は「三輪を使った方が悪い。今日はカラシティーの代え時がポイントだった」と語気を強めた。  試合後、野手陣と投手陣がそれぞれ、ミーティングを実施。青木は「明日も試合があるし、切り替えてやっていこうとみんなに話をしました」と語った。

◆阪神が今季最長5時間11分の大接戦を制した。1点を勝ち越された直後の延長11回、逆転サヨナラで終止符を打った。  金本知憲監督は「久々に投手陣を打線がカバーする試合ができた」と喜んだ。  先発メッセンジャーが乱調で5回表終了時に2-7と5点差をつけられていた。だが5回に2点、6回は打者1巡の攻撃で3点を奪って追いつくと、7回に押し出し四球で逆転に成功。このまま逃げ切れるかと思ったが、9回に抑えのドリスが同点とされて延長へ。  決着した8-9の延長11回裏も運に恵まれた。1死一塁から糸原の打球は左翼前へ。三輪が中途半端なバウンドで後ろにそらし、一塁走者の代走植田が同点のホームを駆け抜けた。記録は糸原の適時三塁打。1死三塁から北條の左犠飛で、サヨナラ勝ちした。  負ければ今季最多の借金9になるところ。逆に最下位脱出、4位に浮上した。不振のロサリオに当たりが戻り、右脚を痛めている糸井も4番に戻って適時打。連敗を2で止めた金本監督は「5点差というので、相手の投手(カラシティー)もよかったし、負けなしの投手から追いつけたというのはよかった。今日はやっぱり打線」と、久しぶりに手応えを感じているようだった。

◆ヤクルト山田哲が一発で12試合連続打点を決めた。0-2の4回、阪神メッセンジャーの直球を中堅左へ。バース(阪神)が持つ13試合連続打点の日本記録に王手をかけた26号ソロに「直球を狙っていた。良い形で振れた」とうなずいた。  仲間の打点を導く能力も高い。1点を追う9回2死から青木が二塁打で出塁。一発出れば逆転の場面でも、力まなかった。阪神ドリスのフォークを冷静に見極めて四球をもぎとり、バレンティンの同点適時打を呼び込んだ。「簡単に直球を投げてこないと思ったのでフォークも頭にありました」。状況を判断して我慢できるのも好調の証しだ。  それでも延長11回に逆転サヨナラ負けを喫し、表情は硬かった。「打点を挙げるのはチームにとっていいこと。明日も勝ちにつながる打撃を心掛けたい」。今日こそ白星につながる打点を決め、バースに並ぶ。  ▼山田哲が7月20日中日戦から12試合連続打点。打点を12試合以上続けたのは、13試合連続の86年バース(阪神)に次いで2人目。日本人選手では過去3人の11試合連続を抜く新記録となった。13試合連続打点中にバースはプロ野球タイ記録の7試合連続本塁打を含む10本塁打を放って23打点を記録したが、8試合目の6月27日ヤクルト戦は犠飛の1打点だけ。山田は12試合すべて安打で打点を挙げており、安打の打点で12試合連続はプロ野球史上初めてだ。

◆阪神糸原がミラクルを引き起こした。  延長11回1死一塁。左前への打球を左翼三輪がそらし、同点の一撃になった。記録は三塁打。勢いに乗るようにサヨナラのホームも踏んだ。「原口さんがつないでくれたので、僕もつなぐ意識だった。チームが勝って、よかったです」。これが7打席目だった。3安打2四球と1番打者の仕事をした。

◆金本阪神が執念の逆転サヨナラだ。決めたのは北條史也内野手(24)。9回に痛いバントミスを犯したが、延長11回1死三塁できっちり左翼に犠飛を打ち上げた。試合は5点差を逆転し、9回に追いつかれ、11回に勝ち越されるという目まぐるしい展開に。5時間11分に及んだ激闘を制し、阪神は最下位を脱出、4位に浮上した。  重圧から解き放たれた。歓喜のシャワーと流した汗で、北條がぬれた顔を光らせた。「追い込まれていたので、粘って何かコトを起こそうと」。延長11回1死三塁。がむしゃらに振り抜いた打球がレフト方向に飛んでいく。三塁走者の糸原が懸命にスタートを切ってタッチアップ。サヨナラ犠牲フライで今季最長5時間11分の激闘に終止符を打った。「ちゃんとホームを踏むまで見てましたよ」。最後に笑ったのは苦しみ抜いた男だった。  歓喜の裏には、背負うプレッシャーがあった。北條は、直前の打席で"ミス"を犯していた。同点の9回無死一塁。初球にバントするも、投手の目の前に転がり1-6-3の併殺に倒れ、サヨナラの芽を摘んでいた。「今日はバントがダメでした。それで、この展開になってしまったので...。ラッキーだと思って。自分で決めてやろうと思ってました」。取り返すチャンスをしっかりいただいた。  チームとしては今季最大5点差を逆転しての勝利。まさに執念だった。「疲れてたんで、なんか、あんまりよくわかんなかったです。水をかけられたんですけど、その水が気持ちよかった。長い時間でも勝てたのは大きい」。遊撃に定着しつつあるが、今季は開幕2軍スタート。心から悔しさを味わった。焦りからか打撃不振に陥った。どうしても打てない-。首脳陣に、素直に打ち明けたからこそ今がある。2軍奮闘中、毎朝の連続ティー打撃でのことだった。「足、上げない方がスムーズだぞ」。浜中2軍打撃コーチの一言で、余分な動きを削った。コンパクトさを求め、芯でとらえることを意識。体の軸がぶれず、打席での粘りが出た。  金本監督は「バントの失敗を引きずってなければいいなというのはあった。逆に『取り返すんだ』と、いい意味での引きずり方をしてくれればいいのになと思ってました」と目尻を下げた。負ければ今季最多の借金9を背負う、嫌なムードだったが、この日の勝利で4位に浮上。地獄から天国へ-。ミスを取り返した北條が、さらに虎を引き上げていく。【真柴健】

◆やはり虎の勝利にはこの男の存在が必要だ。3試合ぶりに4番先発で帰ってきた糸井嘉男外野手(37)が「顔」でチームをけん引した。6回、北條の右前適時打で2点差まで追い上げた後の2死一、二塁。カウント0-2と追い込まれたが、中沢が投じた内角低めの変化球に食らいつき、しぶとく中前に落とす適時打を放った。さらに7回には一時勝ち越しとなる押し出し四球で貫禄を見せた。  「明日から(試合に)出してください!」  強行で出場志願した。病院で検査した結果、右足腓骨(ひこつ)骨折が完治していないことがわかったものの、出場できるレベルと判断。この日の出場を目指し、7月31日、8月1日の中日2連戦を欠場。6日ぶりとなる出場にこぎつけた。  終わってみれば5打席で1安打2打点3四球と4度出塁。役割はきっちり果たした。金本監督は「まだちょっと糸井本来のタイミングといいますか、打撃はできていないと思う。ここから上げていってほしいですね」。万全な状態でない中でもチームの勝利のために超人が体を張った。  後輩の背中を押した。骨折直後、鳴尾浜でリハビリを兼ねて自主トレを行っていた時のこと。脳腫瘍から再起を期す横田とフリー打撃や守備練習などで一緒に汗を流し、声を掛け合いながら白球を追った。横田は「全部すごいです」と、同じ外野手で左打者の糸井に刺激を受けた。「ライバルというよりか、憧れの存在です」。復活を目指す横田にとって、糸井が見せた大きな背中が励みになった。  深夜の駐車場では「おやすみ」と笑顔で一言残し、球場を去った。大仕事をやってのけた超人がチームを活気づけた。【古財稜明】

◆阪神ロサリオが汚名返上の「オレ流」タイムリーを放った。最大5点差を逆転する反撃の口火を切った。5回2死満塁。外角スライダーをとらえ、ライナーで右翼線に運ぶ2点適時二塁打を放った。「続けていく必要がある。ストライクゾーンの球をしっかり打つよう心掛けたい。今日は遅いから明日ゆっくり話すよ」と笑い、球場を後にした。  6回も、これまで振らされていた低め変化球を見極めて四球を選ぶ。苦手の右腕を攻略し、上昇気配だ。金本監督も「初めて、ああいう変化球を右方向にヒットにした。ああいういい当たりのヒットは初めてじゃないですか」と評価した。  この日も「落合流」を貫いた。通常の早出練習の前にグラウンドへ。スローボールを打ち込んだ。投手を務めた片岡ヘッド兼打撃コーチは「バットを前に放り出すようなイメージ」と助言。前日3日のノック打ちに続いて、中日などで通算510本塁打を放った落合博満氏が行った修正法に取り組むと、効果が表れた。

◆重い空気をかき消す、甲高い打球音だ。阪神福留が先制2ランを右翼スタンドへ放り込んだ。1回1死一塁。ヤクルト先発カラシティーが投じた145キロの直球を完璧にとらえた。集中力を研ぎ澄ませ、初球をガツン。5階席まで一直線で運んだ。表情を変えず、さっそうとベースを1周。「とにかく後ろにつなごうと思った結果が、たまたま良い結果になってくれました」と振り返った。  「暑いのは嫌いじゃない」と話す41歳の夏男。7月も13試合で打率3割6分2厘と打ちまくり、低調な打線を引っ張り続けた。日頃から若い選手にハッパを掛ける一方「チームが苦しいときに、僕らみたいなベテランが役に立たないと」と言い続ける。  最下位から巻き返しを狙う一戦で、号砲をならした1発。さらに2打席目でも二塁打。7回2死二、三塁では四球で好機を広げた。にこりともしない表情も、チームへのメッセージだ。試合後は「よかった。疲れた」と笑った。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(26)が0-2の四回、メッセンジャーが投げた143キロの速球を捉え左中間席へ。26号ソロを放ち連続試合打点を「12」とし、単独2位。バース(阪神)が1986年にマークした13試合のプロ野球記録にあと1試合と迫った。  山田哲は2日の広島戦(神宮)で七回に25号2ランを放ち、7月20日の中日戦(同)から続く連続試合打点を「11」に伸ばし、日本選手では西沢道夫(中日)、長池徳二(阪急)らに並ぶ最多記録をマークしていた。 26号ソロを放った山田哲の話 「打ったのはストレート、ミスショットすることなく打てて良かったです」

◆阪神は1点を追う延長十一回に北條史也内野手(24)が左犠飛を放つなど2点を入れてサヨナラ勝ち。一時は5点のリードを許したが、得点を重ねて5時間11分の熱戦を制した。阪神は4位に浮上した。  阪神はメッセンジャー、ヤクルトはカラシティーが先発した。阪神は一回、一死一塁から福留が右中間に9号2ランを放ち先制した。ヤクルトは四回、先頭の山田哲が左中間に26号ソロを放ち1点を返した。さらに無死二、三塁とすると川端が左中間2点三塁打を放ち3-2と逆転。なおも一死二、三塁からカラシティーが右越え2点三塁打、坂口の右前適時打で6-2。打者一巡の猛攻で一挙6点を奪った。  ヤクルトは五回にも二死走者なしで雄平が5号ソロを放ち7-2とした。  阪神はその裏、二死満塁からロサリオが右翼線へ2点二塁打を放ち2点をかえした。六回には一死一、二塁で北條が右前適時打を放ち2点差。さらに二死一、二塁から糸井が中前適時打、陽川の右前適時打で同点とした。  阪神は七回、二死満塁から糸井が押し出し四球を選び勝ち越した。  ヤクルトは九回、二死一、二塁でバレンティンが左前適時打を放ち同点とした。試合はそのまま延長戦へ突入した。すると延長十一回、ヤクルトは一死三塁で上田が中前適時打を放ち、9-8とした。  ところがその裏、阪神は一死一塁から糸原が左翼方向へ適時三塁打を放ち同点。なおも一死三塁から北條が決勝の左犠飛を放ち、サヨナラ勝利を収めた。

◆阪神は1点を追う延長十一回に北條史也内野手(24)が左犠飛を放つなど2点を入れてサヨナラ勝ち。一時は5点のリードを許したが、得点を重ねて5時間11分の熱戦を制した。阪神は4位に浮上した。試合を決めた北條はお立ち台で充実感を漂わせた。  --サヨナラ勝ちです  「(チャンスで)ラッキーと思って福留さんまで(打順を)回さず、自分で決めてやろうと思って打席に入りました」  --相手は抑えの石山投手  「真っすぐが速いので、振り負けないようにしようと思いましたが、振りまけてしまいました」  --打った瞬間の心境  「(三走の)糸原さんなら(ホームに)還ってくれるだろうと思って、糸原さんがホーム踏むまで見てました」  --祝福もすごかった  「もう疲れていたのでなんだかあんまりよくわからなかった。でも水をかけられて気持ち良かった」  --手荒い祝福だった  「来たのは若い選手が多かったが、最後の最後で性格の悪い中谷さんに顔面に水をかけられてむかつきました」  --最後まで声援を送ったファンに一言  「こんな長い時間、応援してくれて感謝しています。最後に勝ててよかった」

◆ヤクルトは延長十一回に上田の適時打で勝ち越した1点を守り切れず、手痛い逆転サヨナラ負けを喫した。  抑えの石山を投入したこの回裏、1死一塁から糸原の左前への打球を左翼の三輪が「後ろにそらして申し訳ない」と同点三塁打にしてしまう。続く北條に犠飛を許して競り負けた。三輪は内外野を守れる器用さを売りにしているが、小川監督は「三輪を使った方が悪い。後ろにそらすのはちょっと、というところだった」と肩を落とした。  1点を追う九回2死から主砲バレンティンの適時打で追い付く粘りも見せたが、勝利には届かなかった。

◆ふ~っ。一時は5点ビハインド、勝利を確信した九回は二死無走者から追いつかれ、延長十一回には桑原が勝ち越しタイムリーを許し...。もう谷あり谷ありの末のサヨナラ劇だっただけに涙ビショビショ。まるで、5日に始まる甲子園の高校野球のような感動モノだったのだ!!  そーいえば、十一回同点打の糸原、サヨナラ犠飛の北條は甲子園出場の球児だったよね...。あの頃を忘れず輝き続けてくれー!!  「会長やけど、奈良判定じゃなくて阪神を大阪判定で勝たせたろかア!?」。ありがとうございます! ワラにもすがる1勝が...いや、スポーツでそれはやっちゃいけない!! 悪魔よ、たとえ負けても俺は必死にプレーする虎が好きなんだ。さっさと立ち去りやがれー!! と追い払ったから、この感動があるんや~!!  さあ、真夏の反撃ののろしが上がったでェ!!

◆  --5点ビハインドから、すごい試合だった  金本監督 「えー、まさかのメッセとかね、まあドリスもね。(打線は)5点差をね、よく追いついてくれました」  --ヒーローはたくさんいたと思うが  「いや...まあ本当、タイムリーを打った人はしぶとく、2ストライク後に、陽川とか糸井とか。まあロサリオもね、タイムリー、大きかったですね」  --本来なら九回で勝ちきりたかった  「きょうはこういう展開なので、誰が行っても打たれたのかなと、そういうふうに思うようにします」  --まだまだロードは続くが、関西へ戻ってきて、いい流れにしたい  「久々に投手陣を打線がカバーするという試合ができたと思いますので。本当にノッていきたいですね」  --ロサリオは低めの変化球を見極めて、内容もよかった  「打ったのもスライダーですしね。初めて右方向へ、変化球を。ああいういい当たりのヒットというのは初めてじゃないですかね」

◆陽川は六回、右前へ同点打。1ボール2ストライクと追い込まれたが、バットを折りながらしぶとく右前に落とした。「追い込まれた中でも、しっかり落ち着いて打席に入れました」。五回二死一、二塁の好機では四球を選んで好機を拡大。6月30日のヤクルト戦(神宮)以来、今季2度目の「5番」で結果を残した。

◆いよいよ甲子園は若人の祭典『高校野球』の開幕です。  松井秀喜氏が始球式に登場します。サンスポは紙面でごらんの通り、甲子園、巨人、そしてメジャーで名門ヤンキースの4番を務めたレジェンド松井秀喜さんに100回大会メモリアル・エールを寄稿していただきました。  ということは当番デスクの大澤謙一郎は夕方の会議では京セラの阪神のゲーム展開に一喜一憂せずドシッと構えていればいいわけです。  だけど、こういう時にかぎって我が阪神はイイ試合をして「1面どっちにするか?」で散々悩むということになるんじゃないのか...といったら大澤は「そうなんですよ、トラはあまのじゃくだから...得てして...」という。  すると一回にいきなり福留選手がスコーンと先制2ラン。な、やっぱりトラはあまのじゃくだよなぁ...と苦笑した。そういえば試合前に若手トラ番竹村岳記者が「糸井さんもすごい当たりをとばしてました。『涼しいしピタッとくるヮ...』とエアコンの効いた古巣のドームなので元気でした」と言っていたが、同じ主軸の41歳ベテラン福留選手にとってもドームのエアコンは快適だ。いきなり2ラン、三回は二塁打...。  となると大澤は現金なもので「本日サンスポ編集局が総力を挙げた『特別版高校野球夏物語 100回記念』(800円)が発売になり、書店、コンビニで好評発売中です。やっぱり夏は高校野球の季節、でも...タイガースも目が離せませんし...」だと。  高校野球と阪神の間を行ったり来たりしていると、おいおい...肝心のメッセンジャーが"イライラ病"が出て四回に先頭山田哲に26号を浴びてイッキに沸騰点。打者一巡で一挙6失点。  トラ番サブキャップ長友孝輔が声をしぼりだした。「試合前、金本監督は打撃ケージにへばりついて打者をジッと注視してましたが...」という電話である。こんな酷暑の夏場とはいえ阪神はナゴヤドーム-京セラ...7日からは東京ドームと涼しい球場が続く。つまり昔は移動条件も大変で旅館は大部屋、文字通り『死のロード』と言われたものだが、ソレも今は昔。現在は新幹線グリーン車、宿は一流ホテルで個室。涼しいドーム球場...。  松井秀喜さんが1992年夏の甲子園で明徳義塾との2回戦で5打席連続敬遠という衝撃のドラマ。その夜、阪神はナゴヤ球場で中日に9-8と弓長で勝利した。サンスポの1面は俺たちだ! という意地みたいなものを若き日のトラ番上田雅昭(現編集委員)は感じたものだった。その分だけ締め切りも迫って仕事量も多くエアコンの無かった記者席で汗だくのてんやわんやだったそうだ。  あの炎は消えてはいない...。この夜、京セラでは五回から阪神猛追、六回は打者一巡でついに同点!こうなると我が編集局、京セラ記者席は火がついた。こんな激しい戦いが続くと...そのうち我が社は3~4人、熱中症でもないのに搬送されるかもしれんぞ! こうなると阪神断然優位「抑え不安」のヤクルトのおびえ...と思われたが九回二死からバレンティンが同点打! ついに延長戦。そして5時間超えて延長十一回ついに...北條サヨナラ犠飛!

◆ネクストバッターズサークルにいた福留は、サヨナラの瞬間、思わずバンザイ。大ヒーローになる打席は巡って来なかったが、序盤の打の主役は間違いなく41歳大ベテラン。一回に先制の9号2ランを放ち「とにかく後ろにつなごうと思った結果が、たまたまいい結果になってくれました」。五回には反撃機を広げる四球。2安打2四球で2打点2得点の大暴れだった。試合後に残した「良かったぁ。疲れた」という短いコメントに、激闘が凝縮されていた。

◆経験で、好調ヤクルト打線の中軸を封じた。5点ビハインドから同点とした直後の七回は、藤川がゼロを刻んだ。「夏場は展開的にもこういう苦しいゲーム展開に向き合っていかないと。相手ピッチャーも疲れてきている。これが普通と思ってやっていかないとね」。3戦連続無失点で11ホールド目だ。八回を同じくゼロで封じた能見も「球児がしんどいところをいってくれているから」と称えた。

◆中5日で先発したメッセンジャーは、立ち上がりこそ無難だったが、四回先頭の山田哲に一発を浴びると一気に崩れた。川端の2点三塁打、さらには投手のカラシティーにまで右翼線へ2点三塁打を浴びるなど、この回6失点であえなくKOされた。それでも味方の猛反撃で黒星は消え、さらにミラクル逆転勝利に「そこが一番大事」とニンマリ。試合後は「野手のいないところに打たれただけ」と強気だった。

◆青木が7-8の九回二死走者なしで右翼線へ二塁打を放ち、一時同点とするきっかけを作った。これで34試合連続出塁のベテランはサヨナラ負け後、主導して野手を集め"緊急ミーティング"。「切り替えてやっていくしかない。あしたも試合がある、そういうことを伝えました」。チームの精神的支柱としての役割にも努めた。

◆最高の笑顔でホームベースを駆け抜けた。延長十一回一死。三塁走者・糸原が北條の左翼への犠飛で生還。二転三転のねじり合いにケリをつけた。  「原口さんがつないでくれたので、つなぐ意識でいきました。チームが勝てたので良かったです」  サヨナラの演出をした原口を称え、フォアザチームを強調した背番号33。低迷する猛虎だが、絶好調の1番打者は、今宵も元気だった。  一回にいきなり左前打で出塁し、福留の先制2ランを呼んだ。猛反撃の六回は一死一塁から好機拡大の左前打。そして、崖っぷちの延長十一回一死一塁からはしぶとく左前へ。これを相手が後逸して、ラッキーすぎる適時三塁打。さらには歓喜のサヨナラホームイン。8度目の猛打賞をマークした影のヒーローは、静かに劇勝を喜んだ。(上田雅昭)

◆"神様"がひと振りで勝利への道筋を切り開いた。あとに続け!! と虎を鼓舞した勇気の一打だ。代打の切り札、原口がまたも仕事を果たし、劇的な逆転サヨナラ勝ちの呼び水となった。  「ランナーがいる場面ではなかったですけど、勝ちにつながるヒットというか、そういう活躍ができたのはよかったです」  もつれにもつれた一戦をものにし、声を弾ませた。8-9で迎えた延長十一回。一死走者なしで響く「代打・原口」コールに終電を気にしながらも席を立たずに勝利を信じて待っていた虎党は沸き立った。石山の外角フォークを見送り、1ボールから2球目の甘く入った129キロ変化球を執念で左前へ弾き返した。  これで代打打率・516(31打数16安打)と勝負どころで無類の強さを発揮。代走・植田を送られてベンチへ退くと、糸原の三塁打で同点、北條のサヨナラ犠飛で一気に押し切った。ベンチから飛び出し、歓喜のウオータシャワーで喜びを分かち合った。  偉大な勲章にまた一歩近づいた。代打での安打数が16となり、桧山進次郎の持つ球団記録23にあと「7」となった。残り試合は55試合。もちろん目指すのはスタメンマスクに変わりないが、与えられた役割で結果を出し続け、虎の歴史に新たなページを刻もうとしている。  点が線となって最大5点差を追いつき、ここぞの場面で育成契約も味わった苦労人がベンチの期待に応え、金本監督は勝因を「どうですかね、きょうはやっぱりね、打線でしょうね」と目を細めた。神様、仏様、原口様-。虎党が崇める存在になりつつある。 (新里公章)

◆ヤクルトは4日、阪神12回戦(京セラ)に延長十一回、9-10でサヨナラ負けを喫し、セ・リーグ3位に後退した。今季リーグ最長となる5時間11分の死闘に敗れたが、山田哲人内野手(26)が四回に左中間席へリーグトップに並ぶ26号ソロを放ち、12試合連続打点をマーク。日本選手の最多記録を更新し、ランディ・バース(阪神)の持つプロ野球記録に、あと「1」と迫った。  1球で暗転した。1点を勝ち越して迎えた延長十一回。一死一塁から阪神・糸原の打球をこの回、代走から左翼に入った三輪が後逸(記録は三塁打)。一走が生還し同点とされると、続く北條にサヨナラの左犠飛を浴びた。今季リーグ最長、5時間11分の死闘の幕切れは燕党にとって残酷なものとなった。  「三輪を使った自分が悪い。後ろにさえそらさなければというところだった...」  小川監督が言葉を絞り出した。ただ、最後まで粘りを見せた。7-8の九回二死から同点に追いつくと、十一回には上田の中前適時打で一時、勝ち越した。  打線を勢いづけたのは山田哲だった。四回にリーグトップのバレンティンに並ぶ26号ソロを放ち、チームはこの回計6得点。「直球を狙っていて、いい形で振ることができた」と振り返る一発で火をつけた。  これで連続試合打点を「12」に伸ばし、日本選手の最多記録を更新。1986年にランディ・バース(阪神)がマークしたプロ野球記録の「13」に迫った。ここ12試合で打率・467(45打数21安打)、8本塁打、18打点と好調を維持している。  「結果的に負けたけど、粘り強い試合は続いている。打点を挙げることはチームにとってもいいこと。また、打てるように」と前を向いた山田哲。悔しい敗戦にも、帰りのバスに乗り込む足取りは力強かった。 (横山尚杜)

◆これ以上、黒星をあふれさせるワケにはいかなかった。だから出た。打席からみなぎる気迫に、緑の「B」ランプが1つずつともる。相手にとって、やはり「4番糸井」は脅威以外の何物でもない。復帰即の2打点で、5点差を追いつく原動力となってみせた。  「オヤスミ」  帰りの車に乗り込む超人からは、眠気と? 笑みがこぼれていた。時計の短い針は、もう"てっぺん"をうかがっていたが、やはり全身全霊で勝ち取った勝利の味は格別だ。貧打にあえぎ今季ワーストの借金8を抱えていた虎に、ようやくたくましい男が帰ってきた。  3戦ぶり出場で「4番・右翼」で先発した。骨折した右腓骨の状態は芳しくなかったが、絶対に勝ちたかった。ベンチでジッとしてなどいられなかった。一回、三回と四球を選び、六回には中前にタイムリー。5点差を追いつくおぜん立てを見せた。そして迎えた、7-7の七回二死満塁。中尾が投じたカウント3-1からの5球目は、糸井を恐れるように内角高めに外れ、これが一時勝ち越しの押し出し四球となった。代走を送られ、お役御免。大黒柱がどっかり構えた虎打線は、驚くほどつながった。  「最下位やけど、まだまだ上位を狙えると思うし、みんなが一つになってやっていくしかない。そこに加われたら。だから出してください!」  前日3日の全体練習で言葉に熱を込め志願の出場だっただけに、有言実行の仕事っぷりだった。  右腓骨骨折した6月30日。試合後は自らの足でクラブハウスへ引き揚げた最強の超人でも、勝てないものがあった...。その日の試合前、なんとあごには大きな絆創膏が貼ってある! 朝の宿舎での出来事...。  「ひげそりってミスったらけっこう血、出るんやな。びっくりしたわ」  さすがの糸井も、鋭い刃に思わず苦笑い...。だが足の痛みには負けず、グラウンドに仁王立ちしている。もうふさがらないかとさえ思われた、チームの傷も、見事にカバーしてみせた。  やはり、絶対に欠かせない男だ。糸井が打点を挙げれば、4連勝中。とにかく勝ちに飢えている。まだまだ打ち足りない。

◆真夜中の虎、連敗ストップ!! 阪神は1点を追う延長十一回、同点に追いつくと、北條史也内野手(24)がプロ初のサヨナラ打となる左犠飛を放ち、ヤクルトに逆転勝ち。リリーフ陣が崩れた今季リーグ最長の5時間11分ゲームを打線がカバーして、連敗をストップ。さあ4位浮上、ここからいくで!!  天国から地獄。そしてまた天国だ。祈りを込めた打球が左翼手の頭上に上がる。心配そうに返球を見つめる。今季リーグ最長の5時間11分の熱闘。プロ初のサヨナラ犠飛で、北條が決めた!! 歓喜のウオーターシャワーは、格別だった。  「疲れました。ラッキーと思って、ここで(次の打順の)福留さんに回さず、自分で決めてやろうと思っていました!」  取って取られてのシーソーゲーム。両軍合わせて29安打19得点の超乱打戦。一時は5点差を逆転したが、1点リードの九回二死走者なしから、ドリスが追いつかれ、延長戦へ。  十一回には桑原が勝ち越し打を浴びた。その裏、一死から代打原口が左前打で出塁し、糸原の左前の打球に左翼手が前進し、打球はフェンス際まで転々。土壇場で出た適時三塁打で同点となった。なお一死三塁で北條だ。カウント1-2からの5球目を打ち上げた。糸原が本塁を駆け抜けると、午後11時を過ぎ、まばらな客席に本当の歓喜の瞬間が訪れた。  「疲れていたので、あんまりよくわからないです。水をかけられて、それが気持ちよかったです」  最終回までに2安打3得点。猛打の燕に必死に追いすがったが、ミスもあった。九回無死一塁、北條のバントは強く投前に転がり、そのまま併殺に。自らサヨナラ機を逸していた。再び迎えた最大のチャンスに「打席に入る前、僕の日かなと思って入りました」。前だけを必死に見つめ、連敗を止めてみせた。  金本監督も満面の笑みでヒーローを出迎えた。「バント失敗を引きずっていなければいいなというのはあった」と心配していたが「逆に取り返すんだといういい意味での引きずり方をしてくれればいいなと」。執念と反骨心がうれしかった。  毎年オフに行う松山での自主トレ。ヤクルトの川端や山田哲らとともに汗を流す中、取り組んだのは意外にも「スローボール打ち」だった。遅い球にしっかりタイミングを取り、強く振る。年の最初だからこそ基本に立ち直り、丁寧にバットを振ってきた。  「ここで自主トレして、結果を残すことが恩返しになる。ヤクルトの人にも、この自主トレに協力してもらっている人にも」  少年野球チームの先輩で門を開いてくれた川端も「最初は調子が上がらず心配だったけど。哲人をはじめ、レギュラーでやっている人が多くて勉強になったと思う」と進歩を認めてくれた。自主トレ中に山田哲から教わった「調子が悪いときにどうすればいいか」の処方箋をメモに書き留め、打率は・359。ヤクルトの先輩たちの前で成長した姿を見せつけた。  「あしたに向かって? すぐ寝ます! ありがとうございました!!」  連敗を「2」で止め、最下位から一気に4位に浮上。つかんだ定位置は、もう放さない。成長を止めない若虎が、反攻の原動力になる。 (竹村岳)

◆守護神に対して、ベンチは全幅の信頼で送り出す。だからこそ、抑えてもらわなければいけない。ドリスは九回二死までこぎつけながら、青木に初球は真ん中へのフォークで、結果は右翼線二塁打。このケース、ヤクルトの強打者に引っ張られる投球は、絶対にダメ。長打だけは許してはいけないケースだった。山田には慎重に、警戒しながら、結果が四球はやむを得ない。  最大の問題はバレンティンに対しての投球だ。初球ストライクで優位に立った。ここで捕手・梅野はフォークを要求。選択は正しい。ただし、どんなフォークを投げるか、バッテリーで意思の疎通ができていなかったのではないか。梅野の思いは、ワンバウンドでもOKの、ボールになるフォークだったはず。  ところが、フォークはストライクゾーンの、しかも真ん中あたり。完全に失投。昨年までなら、球にキレがあったから、少々の失投でも打者を打ち取ることができたが、ことしは、好不調の波が大きく、対応されてしまうケースが目立つ。守護神がフル稼働しないと、浮上の可能性は低くなる一方だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
543710.593
(↑0.004)
0
(-)
51473
(+4)
406
(+2)
118
(+1)
54
(-)
0.263
(-)
4.06
(↑0.02)
2
(↑1)
巨人
485010.49
(↑0.005)
9.5
(-)
44445
(+6)
402
(+4)
96
(+2)
47
(-)
0.261
(-)
3.88
(↑0.01)
3
(↓1)
ヤクルト
444710.484
(↓0.005)
10
(↓1)
51424
(+9)
452
(+10)
90
(+2)
54
(-)
0.266
(↑0.001)
4.42
(↓0.05)
4
(↑2)
阪神
404710.46
(↑0.007)
12
(-)
55348
(+10)
396
(+9)
53
(+1)
46
(+1)
0.246
(↑0.001)
4.04
(↓0.05)
5
(↓1)
中日
445210.458
(↓0.005)
12.5
(↓1)
46402
(+4)
440
(+6)
64
(-)
48
(+1)
0.262
(↑0.001)
4.39
(↓0.02)
6
(↓1)
DeNA
425020.457
(↓0.005)
12.5
(↓1)
49366
(+2)
426
(+4)
111
(+1)
56
(-)
0.247
(-)
4.17
(↑0.01)