ヤクルト(☆6対3★)阪神 =リーグ戦16回戦(2020.09.25)・明治神宮野球場=
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阪神
1101000003901
ヤクルト
10020120X61002
勝利投手:梅野 雄吾(2勝0敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝2敗12S))
敗戦投手:西 勇輝(7勝4敗0S)

本塁打
【阪神】ボーア(15号・2回表ソロ)
【ヤクルト】青木 宣親(16号・1回裏ソロ),荒木 貴裕(1号・7回裏2ラン)

  DAZN
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◆ヤクルトが逆転勝利。ヤクルトは2点ビハインドで迎えた4回裏、エスコバーの適時打で同点とする。その後は、6回に2死一二塁から西浦が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・梅野が今季2勝目。敗れた阪神は、打線が中盤以降の好機を生かせなかった。

◆ヤクルトが連敗を3で止めた。1-3の4回にエスコバーの2点適時打で追いつくと、6回に西浦の適時打で勝ち越し。7回には代打荒木が1号2ランを左翼席にたたき込んだ。6回に登板した2番手梅野が2勝目。7回からはマクガフ、清水、石山が走者を出しながらも無失点で踏ん張った。阪神は先発西勇が6回4失点と誤算だった。 阪神は25日午後、新たに4選手が新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性と判定されたと発表した。陽性となったのは、糸原健斗内野手(27)と陽川尚将内野手(29)、岩貞祐太投手(29)、馬場皐輔投手(25)。阪神では今月20日まで1軍に同行していた浜地真澄投手(22)の新型コロナウイルス感染が24日夜に判明。1軍の監督、コーチ、選手、チームスタッフ147人がPCR検査を実施していた。 あわせてチームスタッフ2人の感染も発表した。この6人をのぞく141人は陰性と判定された。 この日、選手の大量入れ替えを行い、9選手を昇格、10選手を抹消した。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、ヤクルトが高梨裕稔投手(29)。阪神は前日24日夜に浜地真澄投手(22)が新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性判定を受けた。さらにこの日、1軍メンバーのうち陽性確定者4人、濃厚接触者2人、球団独自で濃厚接触者とした4人を含めた計10人の出場選手登録を抹消。その余波を受ける形で、1、2軍の大量入れ替えを行った。チーム全体が有事に見舞われた異例の状況だが、臨時の実行委員会が開かれ、NPBおよび専門家チーム、ヤクルトと相談した上で方針を固め、試合開催に至った。

◆ヤクルトは、神宮球場での阪神16回戦(午後6時開始)を予定通りに行うことを発表した。ヤクルトの発表は以下の通り。   阪神タイガースとの本日の公式戦開催について   阪神球団が本日午後に公表しましたように、阪神タイガースで昨日24日に新型コロナウイルス陽性の判定を受けた浜地真澄投手に続き、新たに1軍選手4名とスタッフ2名の計6名が陽性判定を受けた、との連絡を阪神球団から受けました。当球団としては、本日14時30分からのNPB(日本プロフェッショナル野球組織)の臨時実行委員会の議論をもとに、本日18時からの阪神タイガースとの公式戦開催について検討した結果、以下の理由で予定通り本日の試合を開催することを決定しましたので、お知らせします。 【本日の公式戦開催の理由】 1.浜地投手に加え、本日新たに陽性判定を受けた阪神タイガースの1軍の選手・スタッフ6名は、陰性判定だった1軍の選手4名も含め、すでに全員が隔離されている。 2.管轄の保健所からは、本日陽性判定を受けた1軍の選手・スタッフ6名について「濃厚接触者はいない」との判断を受けている。(9月19日の会食に参加しながら、本日、陰性判定だった1軍の選手4名については、阪神球団が自主的な措置としてチームから隔離したもの)。 3.本日新たに陽性判定を受けた1軍の選手・スタッフ6名はいずれも無症状であり、他の1軍メンバーや監督・コーチ、スタッフに体調の異状を訴えるものは皆無である。   --以上が本日の公式戦開催の理由になります。   阪神球団では、陽性判定者・濃厚接触者及び会食に同席した陽性判定者以外の4名の選手を除き、登録選手の中から選手を補充したチーム編成で本日の試合に臨んでいます。 当球団としては、阪神球団から「本日以降、改めて万全な感染対策を講じる」との連絡を受けていることや、主催者として主催球場である神宮球場の導線管理など考えられる限りの感染対策を引き続き実施することによって、グラウンド上の感染は、十分に防止できると判断しています。もちろん観客の皆様にも、本日の試合を安心して観戦していただけるように対応してまいりますので、何卒ご理解・ご協力をお願いいたします。 なお、専門家グループからは、「複数の陽性者が出ているので保健所の意見を受けて慎重に判断し、しっかりと感染防止に取り組んでいただきたい」とご意見をいただいております。

◆阪神西勇輝投手の3戦連続完封の夢は、開始早々に打ち砕かれた。 サンズの適時打で1点を先制した1回裏、2番青木に1ボールから2球目の内角低めスライダーを捉えられ、右翼席へ同点ソロを浴びた。 西勇は前々回11日の広島戦(甲子園)、前回17日の巨人戦(東京ドーム)で、2試合連続完封勝利を達成。3戦連続完封となれば、1966年(昭41)のバッキー以来54年ぶりの快挙だった。

◆阪神がジャスティン・ボーア内野手(32)の15号ソロで勝ち越しに成功した。 1回に4番サンズの適時打で先制したが、直後にエース西勇がヤクルト青木に同点ソロを献上。1-1の2回先頭で、フルカウントからヤクルト高梨の8球目、低めのカーブをすくい上げた。「追いつかれてしまった後の先頭バッターだから、まずはチャンスを作るためにしっかりコンタクトすることを意識していたよ。結果的にフェンスオーバーすることができて良かったね」。滞空時間の長い打球は、そのまま右中間席に着弾した。 ヤクルト戦では今季5本目。中日戦と並び、カード別本塁打最多タイの1発となった。

◆ヤクルトのキャプテン青木宣親外野手が、同点の16号ソロを放った。 1点を追う初回1死、阪神の先発西勇輝投手の2球目、内角低めの130キロスライダーを右翼スタンドへ運んだ。「タイミングよく、しっかりと振り抜くことができました。ホームランになってよかったです」とコメントした。 20日広島戦以来の本塁打で、昨季と同じ16本に並んだ。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(32)が異例の試合開催のなか、先制点をたたきだした。 1回1死一塁で、一走の荒木が二盗に成功。得点圏に走者を置き、サンズはヤクルト高梨の内角144キロ直球を詰まりながら中前へ運んだ。「荒木がいい仕事をしてチャンスを作ってくれたので、かえすことを意識したよ。ストレートに詰まらされてしまったけど、振り切ることができたから落ちてくれたし、西に先制点をプレゼントできてよかったね」。直近2カードは21打数3安打と打棒が止まりつつあった助っ人だったが、第1打席で持ち前の勝負強さを発揮した。 チームは前日24日夜に浜地が新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性判定を受けた。さらにこの日、1軍メンバーのうち陽性確定者4人、濃厚接触者2人、球団独自で濃厚接触者とした4人を含めた計10人の出場選手登録を抹消。その余波を受ける形で、1、2軍の大量入れ替えを行った。チーム全体が有事に見舞われた異例の状況で試合は開催されたが、4番のバットで先制点をもぎ取った。

◆代役スタメンの阪神小幡竜平内野手(20)が、リードを広げる貴重な追加点を呼んだ。 2-1の4回。1死から7番坂本が右中間フェンス直撃の二塁打でチャンスメークした。1死二塁となり、小幡はヤクルト高梨の外角高め直球を逆方向へ。打球は左中間を抜け、快足を飛ばしてプロ初の三塁打とした。「つなぐ意識で打席に入りました。強気に打ちにいったことがいい結果につながりました。ここからも集中して頑張ります」。 試合前には、これまで二塁でスタメン出場していた糸原が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、遊撃スタメンを張っていた木浪も球団独自の濃厚接触者として出場選手登録を抹消されていた。小幡は代役として16日巨人戦(東京ドーム)以来、出場6試合ぶりの遊撃スタメン。20歳の若虎が、チームの緊急事態を救う一打を放った。

◆阪神が痛恨のスクイズ失敗で、勝ち越しのチャンスを逃した。 3-3の6回。先頭大山の四球と、次打者ボーアの左中間フェンス直撃の二塁打で無死二、三塁と絶好の得点機を作った。 ここで7番坂本はカウント2-1からの4球目にセーフティー気味にバットを寝かせたが、ヤクルト2番手梅野の外角低めに落ちていくカットボールに空振り。飛び出していた三走の大山が挟殺プレーでアウトになり、1死二塁とチャンスが縮小した。その後坂本、8番小幡は連続三振に終わり、追加点とはならなかった。 その直後の守りで、ヤクルト西浦の左前適時打で勝ち越しを許した。チャンスのあとのピンチだったが、エース西勇が粘れなかった。

◆ここまで7勝を挙げていた阪神先発の西勇輝投手(29)が、6回6安打4失点で降板した。6回には足を滑らせる場面もあったが、大事には至っていない模様だ。 6回1死一塁、4番村上との対戦中に右足をさすり、マウンドで何度かジャンプするしぐさを見せた。村上に四球を与え、2死一、二塁では6番西浦を1ボール2ストライクと追い込んだが、外低めのシュートを捉えられ勝ち越しの左前適時打。投球の際に体勢を崩していたが、福原投手コーチは「最後少し滑らせてしまった感じでしたけど、明日になってみないとわからないところはあると思いますが、現状は幸いそんなに心配するような状態ではないと思います」と話した。

◆ヤクルトの代打荒木貴裕内野手が、バスターで1号2ランを放った。 4-3で迎えた7回無死一塁、9番マクガフの代打で打席へ。阪神2番手能見の初球は犠打の構えで、低めのボールを見逃し。2球目も犠打と見せかけたが、高めの143キロ直球をバスターでとらえ、左翼スタンドまで運んだ。スタンドのファンだけでなく、ベンチのチームメートも大盛り上がり。作戦が的中し笑顔の高津監督ともエアハイタッチをかわした。「コンパクトに振り抜けて、結果ホームランになってよかったです」とコメントした。

◆この日緊急昇格した阪神能見篤史投手(41)が、痛恨の2ランを浴びた。 先発西勇の後を受け、3-4の7回に登板。先頭の西田に中前打を浴び無死一塁から、荒木に外高めの直球をレフトスタンドへ運ばれた。 24日夜に新型コロナウイルス感染が判明した2軍の浜地に加え、この日新たに、1軍の4選手とチームスタッフ2人の感染が判明。保健所が指定した濃厚接触者2人に、球団が独自に濃厚接触者と同様に扱うことを決めた4人を含む計10人が出場選手登録を抹消され、能見ら9人が緊急昇格。大量19人の入れ替えを行っていた。 能見はこの日から開催予定だったウエスタン・リーグ中日との3連戦(ナゴヤ)で登板する予定だったが、緊急事態を受けて急きょ東京入りしていた。

◆阪神で選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明する緊急事態が起きた。2軍で浜地真澄投手(22)の感染が24日夜に確認され、1、2軍首脳陣と選手、スタッフら全員のPCR検査を実施。25日に糸原健斗内野手(27)陽川尚将内野手(29)岩貞祐太投手(29)馬場皐輔投手(25)の1軍4選手、同スタッフ2人の感染が判明した。濃厚接触者らを含めて計19人を入れ替えて臨んだ25日のヤクルト戦(神宮)は逆転負けした。虎がショッキングな事態に見舞われた。球団は25日午前に2軍の浜地が新型コロナに感染したと発表し、午後には糸原と陽川、岩貞、馬場の4選手と1軍スタッフ2人の計6人の感染も明らかにした。20日まで1軍に同行していた浜地の感染が24日夜に判明したため、1、2軍の監督、コーチ、選手、チームスタッフ147人全員がPCR検査を受けた。その結果、大量感染の発覚となった。 浜地は21日から軽度の頭痛を感じていて、24日に鼻づまりや軽度の頭痛、倦怠(けんたい)感を申告して病院を受診した。直近は2軍調整で、22日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)に中継ぎ登板。ただ、11日から20日までは1軍登録されており、球団によると、19日には遠征先の名古屋市内の飲食店個室で、馬場を含むチームメート計4人で会食した。行動履歴を保健所に提出した結果、同席した小川と岩崎は濃厚接触者と判断され、出場選手登録を抹消された。 一方で19日は福留と糸原、陽川、岩貞、江越、木浪、小林、スタッフ1人の8人が同市内の別の飲食店を貸し切って会食。そのうち岩貞、陽川、糸原とスタッフ1人が陽性判定を受けたため、球団では念のためこの会食の参加者を濃厚接触者と同様に扱うことを決め、出場登録から外した。これで計10人が外れる緊急事態となった。 阪神では3月に藤浪ら3選手が感染。外出自粛が呼びかけられる中、他に4選手と球団外の人物とで知人宅で会食したことが問題視された。現在は感染拡大状況などを考慮し、広島と名古屋の遠征時は球団指定日に限り、球団関係者や家族との外食を許可し、9月は19日が指定日だった。外食時は個室や4人まで、手洗い徹底という制限をつけており、8人での会食は球団ルールから外れていた。 25日にナゴヤ球場で行われる予定だった2軍中日戦は中止に。名古屋に遠征している首脳陣、メンバー、スタッフ40人はPCR検査の結果、全員が陰性だった。名古屋遠征のメンバーから9選手が1軍に招集され、藤浪らが急きょ東京入り。計19人に及ぶ大量入れ替えとなった。"名古屋組"は1軍の移動バスが神宮の室内練習場に到着してから約1時間後に合流。複数感染に陥ったチームは、ドタバタで臨んだナイターでヤクルトに競り負けた。【松井周治】 ◆感染拡大防止特例2020(通称特例2020) 新型コロナウイルス感染や、その疑い(選手および家族)、発熱があったり、濃厚接触者となった場合、特例2020による登録抹消選手として公示し、代替選手を指名できる。 ・感染していない場合は通常の10日間を待たずに再登録可能。再登録によって抹消される選手は代替選手とは限らない ・代替選手が抹消された場合、10日間を経ずに再登録が可能 ・通常の選手異動で抹消されていた選手が10日間を経ていなくても代替選手として登録できる ・選手数や同一選手の特例適用回数制限を設けない ・不正な申告が認められた場合はチーム、選手に制裁を科す ・適用選手は抹消日から1、2軍の練習に合流する日までの期間がFA日数と追加参稼報酬の計算に加算される

◆緊急事態に追い込まれている阪神が、逆転負けでWショックとなった。 1回に4番ジェリー・サンズ外野手の適時打で先制したが、2試合連続完封勝利を収めていたエース西勇輝投手が、直後の守りで青木に同点ソロを被弾。その後一進一退の攻防が続き、6回にヤクルト西浦に勝ち越し打を許した。この日緊急昇格した2番手能見篤史投手も2ランを献上。ジャスティン・ボーア内野手の15号ソロも空砲に終わった。 阪神は試合前に選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明。濃厚接触者らを含めて計19人の1、2軍入れ替えを行い、ドタバタでヤクルト戦に挑んでいた。この日は首位巨人が勝利し、ゲーム差は今季ワーストの12・5。奇跡の逆転優勝が、またしても遠のいた。

◆阪神は初回、サンズの適時打で1点先制。ヤクルトは1回、青木の同点16号ソロ。阪神は2回、ボーアの15号ソロで勝ち越し。 阪神は4回、小幡の適時打で1点追加。ヤクルトは4回、エスコバーの2点適時打で同点。6回、西浦の適時打で1点勝ち越し。 ヤクルトは7回に代打荒木の1号2ラン。継投で逃げ切り、連敗を3で止めた。ヤクルト梅野が2勝目。石山は12セーブ目。阪神は2連敗。西勇が4敗目。

◆この日緊急昇格した阪神北條史也内野手(26)が、3点差の9回先頭に代打で登場した。5球目のフォークを左前に運んで出塁。1死一塁からは、同じく急きょ昇格した高山俊外野手(27)が代打で出場も、一ゴロ。走者を進められなかった。 24日夜に新型コロナウイルス感染が判明した2軍の浜地に加え、この日新たに、1軍の4選手とチームスタッフ2人の感染が判明。保健所が指定した濃厚接触者2人に、球団が独自に濃厚接触者と同様に扱うことを決めた4人を含む計10人が出場選手登録を抹消され、北條ら9人が緊急昇格。大量19人の入れ替えを行っていた。この試合、緊急昇格したメンバーでは北條らのほか、能見篤史投手(41)や上本博紀内野手(34)も出場した。

◆代役スタメンの20歳阪神小幡竜平内野手が、プロ初の長打となる左中間への三塁打で追加点を挙げた。 球団独自判断の濃厚接触者として、この日登録を抹消された木浪に代わり「8番遊撃」で先発。2-1の4回1死二塁で、高梨の外角直球を逆方向へ流した。「つなぐ意識で打席に入りました。強気に打ちにいったことがいい結果につながりました」。16日巨人戦以来のスタメンで、若虎が存在感を出した。

◆ヤクルトは、試合開催に向け粛々と準備を進めた。阪神側から一報が入ったのは、24日の夜。1軍選手のPCR検査結果が判明するまで待って、阪神と協議を始めた。 主催者として、神宮球場の選手の導線コントロールや、ベンチの消毒など対策を引き続き徹底することを確認。グラウンド上の感染は、十分に防止できると判断した。江幡専務は「(阪神が)ちゃんと感染対策もしていたし、感染している人は(メンバーを)外れている。濃厚接触者もちゃんとチェックして、念には念を入れて。我々として、何も疑義を挟むこともない」と話した。 現場には、小川GMや斎藤チーム運営部長らが情報を共有し、説明。チームは通常通りのスケジュールで早出、全体練習をこなし試合に備え、大きな混乱なく午後6時のプレーボールを迎えた。

◆先発した阪神の西勇輝投手は6回6安打4失点で降板し、球団54年ぶりとなる3戦連続完封の快挙はかなわなかった。先制した直後の1回裏、2番青木に右越えソロを浴び4球で同点とされ、夢は早々と打ち砕かれた。 6回2死一、二塁では、6番西浦に体勢が崩れて投じた球を勝ち越しの適時打とされた。試合後、福原コーチは右腕について「最後少し滑らせてしまった感じでしたけど、現状は幸いそんなに心配するような状態ではないと思う」と話した。

◆緊急昇格した阪神北條史也内野手がバットでアピールした。 8回の守備から遊撃で出場。3点差の9回に回ってきた自身の第1打席で、ヤクルトの守護神石山から左前打で出塁した。 矢野監督は「ジョー(北條)もファームで必死に頑張ってたと思う。そういう気持ちが出てた」と評価。この日緊急昇格したメンバーでは北條のほかに高山、上本が代打で登場したが、無安打に終わった。

◆阪神藤浪晋太郎投手は1軍緊急昇格でブルペン待機した。先発予定だったこの日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)は浜地の新型コロナウイルス感染で中止。さらに1軍で6人の感染が判明した昼すぎ、遠征先の名古屋から急きょ東京入りした。 ヤクルト戦では救援陣の1人として準備。26日もブルペン待機する可能性が高い。救援登板すればレギュラーシーズンでは1年目の13年以来となり、10月1日中日戦での先発復帰も視野に入る。

◆阪神の谷本修球団副社長兼本部長(55)はヤクルト戦後、複数の新型コロナウイルス感染者が出たことについてオンラインで取材に応じ、冒頭に「プロ野球界の関係者の皆様、マスコミ関係者の皆様、保健所の皆様、それ以上にファンの皆様に大変ご心配をおかけしたことを本当に申し訳なく思っております」と謝罪した。 今回は名古屋遠征中の今月19日の2つの会食に参加したメンバーから多くの感染者が出た。感染経路の特定については保健所管轄のため、自身から発するのはふさわしくないとした上で、経路は「はっきりはしていないと思います。ただ、会食が原因であろうと推測がつくような結果となっているところでございます」とした。 球団指定日の外食時は個室限定で人数は4人まで、2時間程度の制限を設け、マスク必着、食事前後の手洗い・うがい、手指の消毒をルールとして設けていた。だが、1つの外食は8人で行われ、4人までという球団ルールから逸脱している。この件については「非常にゆゆしき事態」とした。ただ「4名の会食においても同じく陽性が出ている」ため、球団指定日に外食を認めたことなど「私の判断がミスジャッジだったと反省しております」と受け止めた。9月の球団指定日は19日の1日だけ。それでも、感染者が出た。3月に藤浪らが感染した際も集団による会食で感染が広がった可能性を指摘された。今後の対応について、「首都圏の遠征では認めていない。首都圏以外は必要最低限、認めてきた。今後は会食自体を見直す必要がある」と言及した。 なお、クラスターの認定に関しては「保健所の管轄のようですが(相談や報告の中で)クラスターというお話はでてきてございません」と説明した。

◆緊急事態の中、阪神の矢野燿大監督(51)ら残されたナインは力を尽くしたが、あと1歩及ばず逆転負けした。矢野監督の一問一答は以下の通り。   -大変な状況だったが選手は集中していた 矢野監督 いやいや、そういう、いるやつでどう頑張れるか、ってとこだったと思うし。そういう気持ちはみんな持ってやってくれた。 -北條、小幡もチャンス生かした 矢野監督 ジョー(北條)も、ファームで必死に頑張ってたと思うし、そういう気持ちが出てたと思うし。いい部分ももちろんあったのでね。 -西勇は不運な当たりも 矢野監督 ちょっとアンラッキーな場面があったんで、うん、きょうはアンラッキーやったね。 -投球内容は 矢野監督 悪くはないと思うし、丁寧に投げてくれてはいた。いつもの西の投球だったんじゃないかなと思う。 -足を滑らせた場面も 矢野監督 この状況やしね。大丈夫だよ。 -昨晩から検査なども始まって、試合までドタバタだったが、どのような心づもりで試合を迎えた 矢野監督 いや、まあ...やれることをやるしかないしね。その瞬間に精いっぱいやるしかないので。苦しい状況は状況だし、まあでも、いる選手にとってはチャンスやし。やれることを精いっぱいやっていこうかな、やっていくしかないんだろうなという気持ちで。 -この状況はどう受け止めている 矢野監督 ん...(しばし沈黙)。まあ、どうなんかな...(しばし沈黙)。まあ、さっきの感じやけどね。ちょっと言葉が難しい...。なんとも言いようが難しい。

◆ヤクルトは、試合開催に向け粛々と準備を進めた。阪神側から一報が入ったのは、24日の夜。1軍選手のPCR検査結果が判明するまで待って、阪神と協議を始めた。 主催者として、神宮球場の選手の導線コントロールや、ベンチの消毒など対策を引き続き徹底することを確認。グラウンド上の感染は、十分に防止できると判断した。江幡専務は「(阪神が)ちゃんと感染対策もしていたし、感染している人は(メンバーを)外れている。濃厚接触者もチェックして念には念を入れて。しっかり対応すれば試合は開催できると、ある意味試金石になると思う」と話した。 現場には、小川GMや斎藤チーム運営部長らが情報を共有し、説明。チームは通常通りのスケジュールで練習をこなし、大きな混乱なく白星を手にした。

◆阪神で選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明する緊急事態が起きた。 2軍で浜地真澄投手(22)の感染が24日夜に確認され、1、2軍首脳陣と選手、スタッフら全員のPCR検査を実施。25日に糸原健斗内野手(27)陽川尚将内野手(29)岩貞祐太投手(29)馬場皐輔投手(25)の1軍4選手、同スタッフ2人の感染が判明し、浜地とスタッフ2人は入院した。濃厚接触者らを含めて計19人を入れ替えて臨んだ25日のヤクルト戦(神宮)は競り負けた。緊急事態の中、残された阪神ナインは力を尽くしたが、あと1歩及ばずヤクルトに逆転負けした。矢野監督も「いるやつでどう頑張れるか、ってところだったと思うし。そういう気持ちはみんな持ってやってくれた」と懸命の戦いを振り返った。 同点の6回無死二、三塁。坂本がカウント2-1からスクイズを仕掛けた。しかし、2番手梅野の外低めカットボールに空振り。三塁走者の大山が挟殺となり、勝ち越し機を逃した。その裏に粘投を続けていた西勇が、西浦に決勝の左前適時打を許した。攻めの采配は実らなかった。 新型コロナ感染者が出た影響で、計19人を入れ替えた一戦。ベンチには精神的支柱の福留、主将の糸原がいない。ブルペンでは29試合に登板した岩崎や、5勝を挙げている岩貞の姿もない。この日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)に先発するはずだった藤浪は遠征先から駆け付け、中継ぎ待機。同じく緊急昇格だった能見は7回に2番手で登板し、無死一塁から荒木にバスターで2ランを浴びた。この日は宿舎でのミーティングもできず、"名古屋組"が球場にたどり着いたのは、試合開始の約1時間半前。ドタバタ感は拭えなかった。 この状況の受け止め方を問われ、矢野監督は約20秒間、言葉を詰まらせた。「うーん...。まあ、どうなんかな...。ちょっと言葉が難しい...。なんとも言いようが難しい」。気持ちの整理は簡単ではないはずだ。それでも、急きょの出番で奮闘も光った。木浪に代わって「8番遊撃」で先発した小幡は、4回1死二塁からプロ初長打となる三塁打を放ち3点目を呼び込んだ。代打では緊急昇格の上本、北條、高山が出場。北條は3点差の9回に先頭で左前打を放った。全員が最後まで諦めない姿勢を見せた。 指揮官は複雑な感情を抱えながらも、必死に前を向いた。「まあ...やれることをやるしかないしね。その瞬間に精いっぱいやるしかないので。苦しい状況は状況だし、でも、いる選手にとってはチャンスやし」。首位巨人とは今季最大12・5ゲーム差。どんな状況でも、戦い続けるしかない。【磯綾乃】 ○...25日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)は中止となったが、谷本副社長は26日以降の2軍戦の開催に向けて関係各所と最終協議中とした。浜地以外の2軍選手はPCR検査で全員陰性だったため、関西に残っているメンバーを招集することなどを検討。「なんとか試合を挙行したい。明日以降は試合再開を見込んでおります」。鳴尾浜での残留練習についても「支障ない者は再開させます」とした。

◆阪神で選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明する緊急事態が起きた。2軍で浜地真澄投手(22)の感染が24日夜に確認され、1、2軍首脳陣と選手、スタッフら全員のPCR検査を実施。25日に糸原健斗内野手(27)陽川尚将内野手(29)岩貞祐太投手(29)馬場皐輔投手(25)の1軍4選手、同スタッフ2人の感染が判明し、浜地とスタッフ2人は入院した。濃厚接触者らを含めて計19人を入れ替えて臨んだ25日のヤクルト戦(神宮)は競り負けた。▽ヤクルト高津監督(阪神からコロナ陽性者が出て)「我々も、もっと気をつけないといけない。プロ野球として活動している以上、同業者で相手ではあるがすごく心配。これ以上感染が広がらないことを願っている。(試合は)やっぱりいつもとは少し違う入り方だったかな」

◆ヤクルト荒木の"代打びっくりバスター弾"が試合を決めた。本人もベンチも、ファンも驚きの1号2ラン。チームの連敗を3で止め、カード初戦を白星で飾った。 4-3で迎えた7回無死一塁、代打で呼ばれた。犠打の構えで阪神能見の初球、低めボールを見逃し。代打の切り札は、冷静だった。サインはバスター。三塁手大山の前進守備が見えた。2球目も犠打の構えをしたが、投球動作を見てヒッティングに切り替え。「三遊間にしっかり転がそう」。高めの143キロ直球をとらえると、打球は三遊間を飛び越えて左翼スタンドへ。「びっくりですね。本当に。たぶん全員びっくりしたと思う」と笑顔。作戦が的中し驚きの表情を見せた高津監督も「ちょっと本塁打は想像していなかったので」と笑った。 阪神からコロナ陽性者が出たことで、チームには動揺もあった。次々と更新される情報。雨も降り、試合は開催されるのか-。その中でも早出から、いつも通りに練習。「僕だけじゃなく、チームとしても難しい試合の入り方だった。でもしっかり勝てたということは、1人1人がいい準備をできたと思う」。いつも通りの努力を続ける。だから、ここぞで驚きの当たりが生まれる。【保坂恭子】

◆ヤクルトは25日、同日午後6時からの阪神戦(神宮)の開催を発表した。  阪神がこの日、2軍の浜地真澄投手(22)が新型コロナウイルスの感染を調べる検査で陽性と判定されたと発表。1軍の監督、コーチ、選手ら全員のPCR検査が実施された。  これを受けて、ヤクルトは午後2時半からNPBの臨時実行委員会などで協議して、開催を決定した。球団リリースによる公式戦開催理由は以下の通り(原文ママ)。  (1)浜地投手に加え、本日新たに陽性判定を受けた阪神タイガースの1軍の選手・スタッフ6名は、陰性判定だった1軍の選手4名も含め、すでに全員が隔離されている。  (2)管轄の保健所からは、本日陽性判定を受けた1軍の選手・スタッフ6名について「濃厚接触者はいない」との判断を受けている(9月19日の会食に参加しながら、本日、陰性判定だった1軍の選手4名については、阪神球団が自主的な措置としてチームから隔離したもの)。  (3)本日新たに陽性判定を受けた1軍の選手・スタッフ6名はいずれも無症状であり、他の1軍メンバーや監督・コーチ、スタッフに体調の異状を訴えるものは皆無である。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(32)が一回に先制の中前適時打を放った。  「荒木がいい仕事をしてチャンスを作ってくれたので、かえすことを意識したよ。ストレートに詰まらされてしまったけど、振り切ることができたから落ちてくれたし、西に先制点をプレゼントできてよかったね」  2死二塁から高梨の144キロを強振した。詰まりながらも中前に運び、二走・荒木が一気に生還。サンズの3試合ぶりの安打&打点で幸先よく先制した。  この日は試合前に行われたPCR検査の結果を受け、糸原、木浪らレギュラーを含む10人の出場選手登録が抹消された。思わぬ形で主力選手を欠くことになった阪神だが4番がしっかりと打線を牽引(けんいん)した。

◆阪神のジャスティン・ボーア内野手(32)が二回に勝ち越しの15号ソロを放った。  「追いつかれてしまった後の先頭バッターだから、まずはチャンスを作るためにしっかりコンタクトすることを意識していたよ。結果的にフェンスオーバーすることができてよかったね」  1-1で迎えた二回の先頭で打席へ。フルカウントからファウルで粘り8球目、高梨の116キロのカーブをとらえた。打球は右中間スタンドへ。B砲の3試合ぶりの一発で阪神が再びリードした。

◆ヤクルト・小川泰弘投手(30)が25日、自身がアンバサダーを務めるスイスの腕時計ブランド「ファーブル・ルーバ」から、8月15日のDeNA戦(横浜)で達成したノーヒットノーランを記念して同社製の腕時計を贈られた。  「やっぱりうれしいですね。こういう形にしていただいて。一生残るものですし。時計ということで自分も身につけるものをいただいて、励みにしてまた頑張ろうと思います」  腕時計の裏側には「NO HITTER 15・8・2020 YASUHIRO OGAWA」と記されている。小川にとって一生の記念になりそうだ。

◆阪神・小幡竜平内野手(20)が「8番・遊撃」で先発出場。四回にプロ初の長打となる適時三塁打を放ち、貴重な3点目を挙げた。  2-1で迎えた四回1死二塁だった。小幡は、高梨の142キロを振り抜くと、打球は中堅・浜田の頭上を越えた。高卒2年目の若虎が今季40打席目でプロ初の三塁打。長打を放つのも、これがプロ初だった。  この日はPCR検査の結果を受け、出場選手登録を抹消された木浪に代わって16日の巨人戦(東京ドーム)以来の先発出場。チームの危機に、バットでしっかりと結果を残した。

◆阪神が勝ち越しの大チャンスを逃した。  3-3で迎えた六回だった。ヤクルトは先発の高梨に代わって梅野がマウンドへ。先頭の大山が四球で出塁すると、ボーアが二塁打を放ち、無死二、三塁。是が非でも1点が欲しい場面だった。  続く坂本はカウント2-1からスクイズを失敗。バットに当てることができず、三塁を飛び出していた大山はタッチアウトになった。さらに坂本、小幡と連続で空振り三振に終わり、絶好のチャンスをものにできなかった。

◆驚きの一発だ!! ヤクルト・荒木貴裕内野手(33)が4ー3の七回無死一塁に代打で登場。2球続けてバントの構えを見せたが、強打に転じて「バスター弾」を左翼席にたたき込んだ。  能見の直球を捉えた1号2ランでリードを3点差に広げ、「コンパクトに振り抜けて、結果ホームランになってよかったです」とうなずいた。

◆ヤクルトが逆転勝ち。2番手・梅野が2勝目を手にし、石山が12セーブ目。チームの連敗を「3」で止めた。  先発・高梨が一回に1点を失うも、その裏に青木の16号ソロで同点。その後、2点をリードされたが、四回にエスコバーの中前2点適時打で3-3と再び試合を振り出しに戻した。  阪神は六回無死二、三塁のチャンスで坂本がスクイズ失敗。後続も倒れ、好機を生かせなかった。直後の六回2死一、二塁でヤクルトは、西浦の左前適時打で勝ち越しに成功した。七回には無死一塁から代打・荒木に1号2ランが飛び出し、6-3とリードを広げた。  新型コロナウイルスの影響で主力を欠くことになった阪神は逆境を跳ね返すことができず。3戦連続完封が期待されたエース・西勇も6回4失点で4敗目(7勝)を喫した。

◆阪神はヤクルトに3-6の逆転負けで2連敗。貯金は2となった。  3試合連続完封勝利を目指した先発の西勇が誤算だった。1点を先制した直後の一回、青木に同点ソロ。3-1の四回、エスコバーに同点2点打を許すと、六回には西浦に勝ち越しの適時打を浴び、6回4失点で降板。今季4敗目(7勝)となった。  打線は一回にサンズが先制打、二回にボーアが勝ち越しの15号ソロ。四回には小幡の適時三塁打などで序盤は小刻みに加点した。だが、3-3で迎えた六回無死二、三塁の好機で坂本がスクイズを失敗するなど、無得点に終わったのが痛かった。  この日、新型コロナウイルスのPCR検査で7人(スタッフ2人を含む)が陽性と判定された。1軍メンバーの濃厚接触者を含む10人が出場選手登録を外れ、2軍から9人を緊急招集。計19人を入れ替えて試合に臨んだが、コロナショックを打ち破ることはできなかった。

◆午後6時。神宮球場では、通常通りプレーボールがかかった。試合前、相手の阪神側で、新たに1軍登録の4選手とスタッフ2人の計6人が新型コロナウイルスに感染していることが判明。試合開催について、関係者は困惑していた。  ヤクルト側は開催を決定した理由について発表。前日24日に陽性判定された浜地に加え、新たに感染が判明した6人全員が隔離されていること、管轄の保健所から新たに感染した6人に「濃厚接触者」はいないと判断されたこと、新たに感染が判明した6人はいずれも無症状で、チーム内に体調の不良を訴えている人間が皆無であることを挙げた。  不安が広がったが、グラウンドに立てばやるしかない。それを体現したのが、今季から主将に就任した38歳の青木だ。1点を先制された直後の一回1死から、右翼席への16号ソロを放った。先発右腕・西勇のスライダーを捉え「タイミングよくしっかりと振り抜くことができました。ホームランになって良かったです」とうなずいた。  3-3と同点の六回先頭では中前打を放ち、2死一、二塁から西浦の左前適時打で生還した。チームは現在、最下位に沈む。それでも「苦しいシーズンは来年以降も絶対にあるわけで、ないわけがない。だからこうやって苦しいときにどうやって成長するかも大切なことだと思う」と青木。どんな苦境でも、背中でプレーでチームを引っ張る。(赤尾裕希)

◆コロナ騒動の中、頼みの綱だったエース・西勇も崩れた。一回1死、2番・青木にスライダーを右翼席に運ばれた。同点ソロを献上。マウンド上で悔しそうな表情をみせた。  「(完封)できたらうれしいですし、できたことに越したことはないですが。まずは自分の仕事をまっとうしたいですね」  前日24日の甲子園での最終調整後、力強く話して東京入りした。  11日の広島戦(甲子園)、17日の巨人戦(東京ドーム)と、2試合連続無四球で完封勝利。3試合連続完封なら、球団では1966年のジーン・バッキー以来54年ぶり。無四球での達成であればプロ野球史上初(1950年の2リーグ分立後)の快挙だった。  だが、この日は個人記録よりもマウンドからチームを鼓舞することで頭がいっぱいだった。新型コロナウイルスのPCR検査で7人(スタッフ2人を含む)が陽性と判定された。その中には岩貞がいた。岩崎も濃厚接触者として登録を抹消され、勝ちパターンで投げる左腕2人がベンチにいない。自分に求められているものは何か-。答えはひとつ。  西勇がモットーにしているのは「長いイニングを投げてチームの勝利に貢献すること」だった。  1-1の二回、ボーアが右中間に15号ソロを放って、勝ち越すと、四回には1死二塁から木浪に代わって遊撃で先発出場した高卒2年目の小幡が左中間に適時三塁打。ネクストバッターサークルにいた西勇は手をたたいて喜んだ。  オリックス時代も含めて、神宮では4戦3勝負けなしだった。試合前の時点で7勝3敗、防御率2・12。データ上では1試合3失点以上は取られていない。二回、三回と無失点で切り抜け、ここから西勇がアクセル全開との快投かと思われたが...。  3-1の四回2死から連打などで二、三塁とされ、エスコバーに中前にポトリと落とされる2点打で追いつかれると、六回無死二、三塁の好機。坂本のスクイズ失敗もあり、得点できず。直後の六回、西勇は西浦に勝ち越しの適時打を許し、七回の攻撃で代打を告げられた。6回6安打4失点。悔しい4敗目となった。  (三木建次)

◆ヤクルトの西浦が勝ち越し打を放ち、阪神のエース西勇に黒星を付けた。3-3の六回2死一、二塁で低めの変化球にしぶとく食らい付いて左前へ運び「チャンスで何とかしたいと思っていた。抜けてくれて良かった」と喜んだ。  1-3の四回2死一塁では右前打を放って盗塁も決め、同点につなげた。初球のスライダーを詰まりながらも右前に落とし「追い込まれると難しい投手なので積極的にいった」と満足そうだった。

◆チーム内に5選手のコロナウイルス感染者が出た阪神は選手を19人入れ替えて試合に臨んだが、ヤクルトに3-6で敗れた。試合後の矢野燿大監督との一問一答は以下の通り。  --大変な状況で選手は集中して戦った  「いやいや、そういうね、いる奴でどう頑張れるかってことやったと思うし。そういう気持ちはみんな持ってやってくれたかなと」  --小幡の適時三塁打や北條の安打など、出番をつかんだ選手も結果を出した  「ジョー(北條)もファームで必死に頑張ってたと思うし、何とかしたいという気持ちがすごく出てたと思う。いい部分も、もちろんあったんでね」  --西勇は不運な打球も多かった  「ちょっとアンラッキーな場面があったんで。うん、アンラッキーやったかな」  --投球は普段通り  「悪くはないと思うし、丁寧には投げてくれたと思う」  --足を滑らした場面も  「この状況(降雨)やしね。大丈夫だよ」  --陽性者が続出する状況で、どんな心構えで試合を迎えたか  「いや、まあ...。やれることをやるしかないしね。その瞬間に、精いっぱいやるしかないんで。苦しい状況は状況やし、でもいる選手にとってはチャンスやし、やれることを精いっぱいやっていこうかな、やっていくしかないだろうなという気持ちで」  --この状況をどう受け止めているか  「うーん...。(しばらく沈黙の後)まあ、どうなんかな。(再び沈黙して)さっきの(言った)感じやけどね。ちょっと言葉が難しい、なんとも言いようが難しい」

◆守備から途中出場した北條が、九回の第1打席で左前打を放った。この日はプレーボールの約3時間前に、2軍遠征先の名古屋から新幹線に飛び乗って東京入り。8月22日のヤクルト戦(神宮)以来となる1軍の打席で快音を残した。"緊急出動"でしっかりと結果を残し、矢野監督は「ジョー(北條)もファームで必死に頑張っていたと思うし、何とかしたいという気持ちがすごく出ていた」とうなずいた。

◆ボーアが1-1の二回、高梨の116キロカーブをすくい上げ、右中間席へ一時勝ち越しとなる15号ソロを放った。「チャンスを作るためにしっかりコンタクトすることを意識した。結果的にフェンスオーバーすることができてよかったね」。六回の第3打席は左中間へ二塁打を放ちチャンスメーク。糸原ら主力選手を欠くなか、打線を引っ張った。

◆4番のサンズが一回2死二塁から先制の中前適時打を放った。「荒木がいい仕事をしてチャンスを作ってくれた。ストレートに詰まらされたけど、振り切ることができたから落ちてくれたね」。これが3試合ぶりの安打&打点だったが、得点圏打率・406と勝負強さは健在だった。

◆ヤクルトは1点リードの七回無死一塁、代打で出場した荒木貴裕内野手(33)が、バントの構えから強打するバスターで左翼席へ1号2ラン。打った本人もビックリのバスター弾で勝利をたぐり寄せた。  「サードがすごく前に来ていたのが見えていたので、三遊間に転がそうと思ったら、入っちゃいました。ビックリですね。追加点になってよかったけど、全員ビックリしたと思います」  一発に1万3217人の観衆も唖然(あぜん)。緊急昇格した能見と対戦し、1球目をバントの構えで見送った後の2球目。サイン通りではあったが、転がそうと思った球が何とスタンドに飛び込んだ。  プロ11年目の今季は主に代打出場で打率・167。一時は2軍降格も経験し「心は何回も折れたので、折れるものはなくなりました」と苦笑いを浮かべる。それでも日々の努力で結果を残した。  サインを出した高津監督は「ホームランは想像していなかった。もうちょっと、どっしりしておきます」と笑顔でたたえた。(赤尾裕希)

◆勝ち越し打を許し、悔しそうに両膝に手を置いた。3-3で迎えた六回2死一、二塁。阪神・西勇は自慢のシュートを西浦に投げ込んだが...。打球は無情にも、しぶとく三遊間を抜けていった。コロナ騒動で計19人が入れ替わる緊急事態。頼りにされていた。エースとして、期待に応えられなかったことへの怒り、悔しさがにじみ出た。  矢野監督は「悪くはないと思うし、丁寧には投げてくれたと思う。ちょっとアンラッキーな場面(打球)があったんで」と必死にかばったが、敗因はやはり、6回6安打4失点で降板した右腕の背信投球に尽きる。  打線は背中を押してくれた。しかしサンズが先制打を放った直後の一回に、青木に被弾。小幡の適時三塁打で2点リードとなった直後の四回2死二、三塁からは、エスコバーに中前へポトリと落ちる同点2点打。チームの勢いに水を差す格好となった。  11日の広島戦(甲子園)、17日の巨人戦(東京ドーム)と2試合連続無四球で完封勝利。3試合連続完封なら球団では1966年のバッキー以来、54年ぶりの快挙だった。「まずは自分の仕事をまっとうしたい」とチームの勝利のために投げることを誓って上がったマウンドだったが...。  この日、新型コロナウイルスのPCR検査で7人(スタッフ2人を含む)が陽性と判定され、その中には岩貞もいた。岩崎も濃厚接触者として登録を抹消され、勝ちパターンで投げる左腕2人がベンチにいなかった。  コロナショックを打ち破るべく、指揮官が思い描いていたのは西勇が八回まで投げ、九回はスアレスで締める"必勝リレー"だ。しかし、チームを鼓舞したかったエースにとって、痛すぎる4敗目となった。(三木建次)

◆まさかの戦力ダウン...。1、2軍を大量に入れ替えた阪神はヤクルトに3-6で逆転負けした。2連敗で、首位巨人と今季最大の12・5ゲーム差となり、矢野燿大監督(51)は「なんとも言いようが難しい」-。逆転優勝への構想が崩壊した。  急造メンバーでは勝てない。さらに厳しい戦いが待っている。またも緊急事態に直面した矢野監督は壮絶な一日を振り返り、絶句した。数秒間の沈黙。言葉を選ぶことができなかった。  「うーん...まあどうなんかなぁ...。ちょっと言葉が難しい。なんとも言いようが難しい」  前日24日の夜に浜地の新型コロナ陽性が発覚。ナインのPCR検査の結果を待つ不安な朝を迎え、最悪の結果が待っていた。選手、スタッフを含め、7人の新型コロナウイルスの感染が判明。濃厚接触者を含む10選手を登録抹消。岩貞、岩崎と中継ぎの柱に加え、糸原&木浪の二遊間、長打力を発揮していた陽川が1軍戦線から消えた。藤浪、能見ら9選手を2軍から呼んで戦ったが、甘くはない。六回無死二、三塁の好機で坂本がスクイズを失敗し、無得点。指揮官のタクトが鈍ると、西勇はその直後、勝ち越しを許した。  3月には藤浪ら3選手が球界で最初にコロナに感染した。活動自粛中の指揮官は「多大な迷惑をおかけした。反省と責任がうちにはある」と謝罪。それでも、「未来は変えられる」と頂点を目指して出直した。この日の敗戦で、巨人とは今季最大12・5ゲーム差。厳しい状況でも「もう一度挑戦できるように」と必死に追いかけていた矢先で、悲劇が繰り返された。タテジマの代表として安易に言葉を発することはできなかった。  矢野虎では通常、前日にスタメンが伝えられる。各自が役目に備えてじっくりと準備するため。ベンチ入りが大きく入れ替わったこの日は、どっしりと構えられるわけもなかった。  「いるやつでどう頑張れるか、というところだった。そういう気持ちをみんな持ってやってくれた。いい部分ももちろんあった」。残ったメンバーをねぎらったが...。  「やれることをやるしかない。その瞬間に、精いっぱいやるしかないので。苦しい状況は状況。でもいる選手にとってはチャンス。やれることを精いっぱいやっていこう、やっていくしかないんだろうという気持ちで(試合に)臨んだ」  10月の奇跡への道はイバラの道となった。日本一を宣言し、数々の苦難に挑んできた2020年。コロナ禍で始まり、コロナ禍で終わるのか-。大きな試練となった。(安藤理)

◆西勇にとって、嫌なことや計算できないことばかりが起こるゲームになった。  3試合連続完封を目指すどころか、いきなり一回に青木にソロを被弾。自分の投球を取り戻した矢先の四回2死からは、5番の浜田から3連打を浴びた。3、4番を打ち取り「ここからは大丈夫だろう」という気持ちもあったかもしれない。先発投手が陥りがちなところで、気持ちはすごく分かる。5-7番の第1打席の結果(三振、三振、遊ゴロ)からは想像できない打たれ方で、同点とされてしまった。  そして六回の攻防に完全に不運が出た。無死二、三塁で坂本が試みたスクイズは「西勇の投球なら1点リードすればつないでいける」というベンチの計算もあったはず。だが狙って外したわけでないような球が、バットが届かないところへ来てしまった(空振りで三走がタッチアウト)。その裏、勝ち越しを許した西浦の左前打も完全に打ち取っていた当たり。雨でぬれた人工芝が打球を加速させていた。  マウンドで足を滑らせていたのも心配だが、大事に至らないことを祈るしかない。これ以上ないような悪い流れに、西勇までも飲み込まれてしまった。 (本紙専属評論家)

◆憎むべきは新型コロナウイルスである!!  よって、日本中誰が感染しても不思議でないこの状況において、複数の感染者が出た阪神を責めることはできない...。されど、阪神は本日の試合を行うべきなのだろうか? と俺が鬱々(うつうつ)としている間に、球団史上54年ぶりの、バッキー投手と並ぶ3試合連続完封勝利を狙い、西勇が神宮のマウンドへ向かっていた...。  う~ん...。その結果は一回に2番の青木にいきなり完封の夢を砕かれるアーチを浴び、その後もおよそ西勇らしからぬ投球。完封どころか6回4失点で黒星を喫してしまったのだった。グスン!!  さすがの西勇も19人の入れ替えで平常心ではいられなかったのだろう...。本日はコロナ「特例2020」同様に許しちゃうのだ!!  1点を追う七回、四球で出た近本に盗塁のサインを出してほしかった!! 二塁に行けば3日の"マクガフ再び"で、走者のいない一塁に牽制(けんせい)球を放ってくれて、労せずして同点にしてくれたかもしれなかったのに~? と重い空気のときこそカラ元気でもいいから、上を向けー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
52254 0.675
(↑0.004)
M26
(↑2)
39388
(+8)
276
(+4)
103
(+1)
50
(+1)
0.260
(↑0.001)
3.290
(↓0.01)
2
(-)
阪神
40384 0.513
(↓0.006)
12.5
(↓1)
38350
(+3)
331
(+6)
85
(+1)
50
(+1)
0.245
(-)
3.570
(↓0.04)
3
(-)
DeNA
39405 0.494
(↓0.006)
14
(↓1)
36358
(+3)
330
(+5)
85
(+1)
21
(-)
0.267
(-)
3.750
(↓0.02)
4
(-)
中日
38415 0.481
(↓0.006)
15
(↓1)
36294
(+4)
347
(+8)
49
(+1)
20
(-)
0.245
(↑0.001)
3.850
(↓0.05)
5
(-)
広島
31428 0.425
(↑0.008)
19
(-)
39354
(+5)
399
(+3)
82
(+1)
34
(-)
0.266
(-)
4.560
(↑0.04)
6
(-)
ヤクルト
31456 0.408
(↑0.008)
20.5
(-)
38351
(+6)
412
(+3)
82
(+2)
46
(+1)
0.253
(↑0.001
4.620
(↑0.02)