広島(☆2対1★)阪神 =リーグ戦7回戦(2020.08.08)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:大瀬良 大地(4勝1敗0S)
(セーブ:フランスア(0勝1敗4S))
敗戦投手:藤川 球児(1勝3敗2S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(9号・2回表ソロ)
【広島】長野 久義(3号・1回裏ソロ)

  DAZN
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◆広島が接戦を制した。広島は初回、長野のソロで幸先良く先制する。1-1となって迎えた7回裏には、代打・坂倉が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・大瀬良が7回1失点の好投で今季4勝目。敗れた阪神は、打線が終盤の好機を生かせなかった。

◆阪神先発の西勇輝投手(29)は広島戦で通算7勝1敗。19年5月17日に甲子園で黒星を喫するも、敵地マツダスタジアムではオリックス時代を含め5勝0敗。 今日も広島相手にキラーぶりを発揮し、チームに白星を呼び込めるか。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、広島が大瀬良大地投手(29)のエース対決だ。阪神は今週1勝3敗で、悪い流れを食い止めたい。西勇はマツダスタジアムで通算6試合に登板して無傷の5勝、防御率2・05と無類の強さを誇る。相性の良さを生かせるか、注目のマウンドになる。大瀬良はコンディション不良のため、7月25日に出場選手登録を抹消されており、復帰登板になる。カープは8月に4勝2敗と白星が先行。勢いをつかみたいところだ。

◆阪神の4番大山悠輔内野手(25)が意地の9号同点ソロだ。 1点先制された直後の2回、先頭で打席へ。大瀬良の内角ツーシームを完璧にとらえ、痛烈なライナーで左翼席に運んだ。「点を取られた直後の先頭バッターだったので出塁する意識を持ってスイングをした結果、良い形でとらえることができました。もっと援護できるように頑張ります」とコメントした ここまで3試合14打席無安打と不調で、前日7日には矢野監督が「その打順を打っている自覚とプライドはあると思う。前を向いて4番にふさわしいバッターになっていってくれたらいい」と話していた。指揮官の期待に応える一撃で試合を振り出しに戻した。

◆"夏男"絶好調。広島長野久義外野手(35)が1回に阪神先発西勇から3号先制ソロを放った。 1回2死走者なしから外角スライダーに粘り腰でバットを振り抜くと、打ち上げた飛球はそのままバックスクリーン左のスタンドに着弾した。「打ったのはスライダー。風に乗ってくれました」。無風に近い状態にもかかわらず、広報からお決まりの謙遜コメント。これで7試合連続安打、6試合連続打点とした。この5試合で3本塁打と量産しており、8月に入って"夏男"の当たりが止まらない。

◆阪神西勇輝投手(29)が、広島大瀬良大地投手(29)とのエース対決となった一戦で、1歩も譲らない投げ合いを演じた。 1回に長野に先制ソロを打たれたが、打線が追いついた直後の2回以降は無失点。4回をのぞくイニングで走者を背負ったが、踏ん張り続け、6回4安打1失点。 同点で迎えた7回の攻撃。1死満塁の場面で打席を迎え、代打を送られた。

◆広島が1回に長野の3号ソロで先制。阪神は2回に大山の9号ソロで追いついた。復帰登板の広島大瀬良は3回まで1安打投球。 中盤は両先発による投手戦。広島大瀬良は走者を出しながらも粘り、阪神西勇は6回無死二塁も本塁を踏ませなかった。 広島は7回に代打坂倉が勝ち越し打。復帰の大瀬良が4勝目を挙げ、2カード連続勝ち越し。阪神は4カード連続勝ち越しなし。藤川3敗目。

◆阪神西勇輝投手の力投は報われなかった。広島大瀬良との投げ合いは終盤へ。同点の7回1死満塁で回ってきた打席に送られた代打福留が併殺打に倒れ、勝ち運を引き寄せられなかった。淡々と「今日の代打も仕方ないこと。それまでの2打席で僕が打ってたら、また変わってただろうし、代打とかもなかったかもしれない。でも、それは結果論」と振り返った。 必死に粘った。1回、長野に先制ソロを左中間に浴びた。前回の1日DeNA戦で自己ワーストタイの4被弾を喫した悪夢がよぎったが、踏ん張る。2回は連打で一、二塁のピンチを背負うが2死後、西川をスライダーで一ゴロに詰まらせた。シュートもフル活用しながらゴロを量産。西勇は「最少失点で切り抜けて良かった」と振り返った。 マツダスタジアムは通算6試合登板で無傷の5勝、防御率2・05と得意な球場だった。この日は4四球ながら6回4安打1失点にしのいだ。矢野監督は「西に勝たせてやらないとダメな試合」と渋面だった。

◆阪神の新助っ人ジョー・ガンケル投手が6試合連続無失点の好投だ。 1点を追う8回からマウンドに上がり、先頭松山をフォークで二ゴロ。続く会沢をスライダーで遊直、菊池涼を直球で空振り三振と3者凡退。先発からブルペン要員となった7月25日中日戦からゼロを続けている右腕は「自分の持っている球種を使ってストライクゾーンで勝負出来ている」と好調の秘訣(ひけつ)を明かした。

◆阪神大山悠輔内野手(25)が、指揮官の直接指導に応える同点の9号ソロを放った。1点を追う2回先頭の第1打席、広島のエース大瀬良の内角144キロツーシームを完璧にとらえた。「点を取られた直後の先頭バッターだったので。出塁する意識を持ってスイングをした結果、いい形でとらえることができました」。引っ張り込んだ弾丸ライナーは、スタンドに向かって一直線。11試合ぶり、8月は初となる本塁打が左翼席中段に突き刺さった。 "緊急4者会談"の成果がすぐに表れた。試合前まで、3試合14打席連続無安打。前日7日の試合後に矢野監督は「前を向いて4番にふさわしいバッターになっていってくれたら」と奮起を促していた。試合前練習の開始前には、バットを持った矢野監督と井上、新井両打撃コーチがベンチ前に集まり約5分間、大山に身ぶり手ぶり指導した。背番号3は脱帽、直立の真剣なまなざしで耳を傾け、最初の打席で豪快なアーチをかけた。 ただ2打席目以降、快音は響かず4打数1安打に終わった。再び1点を追う8回2死三塁の勝負どころでは、塹江に対して力ない遊飛に倒れた。矢野監督は大山への指導の意図を「1年間ずっと調子いいということはなかなかない。もがきながら、何かつかんでくれたらなということで、こっちもアドバイスや気付いたことは伝えるようにしている」と説明した。 続けて、昨年から4番を任せている大山のさらなる奮起を待ち望んだ。「4番はチャンスで回ってきたり、責任のある打順。そういうところでは、悠輔自身の成長はチームとして必要。こちらとしても何とか後押しというか、あいつ自身もそう思っていると思うので。そういうのをチームとしても作っていきたい」。チームを勝利に導くのが、4番のバットだ。【奥田隼人】

◆阪神近本光司外野手が連続試合安打を7試合に伸ばした。「1番中堅」で先発出場し、8回先頭の第4打席。2番手塹江の前に転がったボテボテのゴロを、自慢の快足で内野安打とした。 8月に入って毎試合安打を重ね、月間打率は4割4分8厘。打線のカギを握るリードオフマンが、好調を維持している。

◆阪神は西勇輝投手が6回4安打1失点の力投も、7回に藤川球児投手が坂倉に決勝打を浴び連敗。4カード連続勝ち越しなしとなった。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -7回は好走塁を含めて、いい形でつないだだけに得点がほしかった 矢野監督 それはね、試合の流れを振り返ると、そうなんやけど...。 -先発西勇も力投していた 矢野監督 西に勝たしてやらないとダメな試合やったと思うし、まあ、ランナーを出しながらも西らしく粘って投げてくれた結果、こういう試合になったし。だからこそ勝たせてやりたかったなと思います。 -クリーンアップを組み替えた 矢野監督 悠輔(大山)もボーアもあんまりよくないんでね。よくない状態で2人並ぶよりは、サンズを間に入れることでいい効果が出ないかなと思って。 -大山を指導。本塁打はきっかけになる 矢野監督 すぐ良くなるということではないかもしれないけど、こちらの気付いたことは伝えていきたいし。まあ、もがきながら。1年間ずっと調子いいってことはなかなかないんで。もがきながら何かつかんでくれたらなってことで、こっちもアドバイスするし、気付いたことは伝えるようにしている。4番ってチャンスで回ってきたり、責任のある打順なんで。悠輔自身の成長というのはチームとして必要。そこを、何とか後押しというか。あいつ自身もそう思っていると思うので。そういうのをチームとしても作っていきたい。 -7回藤川は先頭を大事に行き過ぎた 矢野監督 大事にと言うか、(7回チャンスを逸した)流れの中でどうしても、次のイニングが難しいのはあるけど、四球というのはやっぱり得点に絡みやすいので。そのあと、よく1点でしのいでくれたというのはあるけど。 -明日は 矢野監督 チームの状況的にも我慢やし、我慢やからこそ、こういう試合は取りたいんやけどね、まあまあ明日やるしかないので、明日何とか全員で一丸でとりにいきます。

◆広島は前日に2安打3打点の鮮烈デビューした羽月隆太郎内野手にアクシデントが起きた。2試合連続先発出場した2回。三塁守備でボーアのファウルフライを追った際に後頭部を気にするそぶりを見せた。 ベンチからトレーナーや山田内野守備走塁コーチが飛び出して一時ベンチ裏に下がったが、グラウンドに戻って7回に代打が送られるまでプレーした。佐々岡監督は試合後「分からない。でもたいしたものではない」と説明した。

◆今季初めて2番で先発した阪神木浪聖也内野手は無安打に終わった。 4回には先頭で一塁内野安打のジャッジだったが、広島のリクエストが成功して一ゴロに覆るなど3打数無安打。3試合連続ヒットで止まった。昨季は8試合スタメンで出た打順で、今年初めて1番近本との"チカキナ"コンビを結成。8回は犠打で近本を二塁に進めはしたが、勝利につながらなかった。

◆広島・羽月隆太郎内野手(20)が8日、阪神7回戦(マツダ)に「2番・三塁」でスタメンに名を連ねた。  高卒2年目、俊足自慢の左打者は前日7日の1戦目でプロ初出場をスタメンで飾り、2安打3打点の活躍でチームの勝利に貢献した。ヒーローインタビューで「明日も頑張るので応援よろしくお願いします」と意気込んでいた。

◆阪神・大山悠輔内野手(25)が、0-1で迎えた二回、左翼スタンドへ9号ソロを放った。  「点を取られた直後の先頭バッターだったので、出塁する意識を持ってスイングをした結果、良い形で捉えることができました。もっと援護できるように頑張ります」  広島の先発・大瀬良の144キロツーシームを一閃。弾丸ライナーで白球は左翼席へ突き刺さった。ここ3試合は無安打と状態の上がらなかった虎の4番だが、15打席ぶりの安打は、試合を振り出しに戻す同点弾。7月26日の中日戦(ナゴヤドーム)以来に放った一発で、復調の兆しを見せた。

◆広島・羽月隆太郎内野手(20)が8日、阪神7回戦(マツダ)に「2番・三塁」でスタメン出場。前夜2安打3打点で鮮烈デビューを飾ったヒーローだが、この日は一時酸欠とみられる症状でフラフラになるハプニングがあった。  1-1の二回1死。ボーアの三塁席へのファウルを追いかけた直後だった。右手で首の後ろを抑えると、苦しそうな表情を浮かべてその場にしゃがみ込んだ。慌てて、一塁ベンチから松原チーフトレーナーや高ヘッドコーチらが飛び出し、球場は騒然。一旦はベンチに下がったが、数分後には三塁の守備につき、プレーを続行した。

◆阪神・藤川球児投手(43)が、1-1の同点で迎えた七回に2番手で登板。自身のミスも絡んだ失点で広島にリードを許した。  先頭の代打・大盛に四球を与えると、続く1番・西川の打席で、一塁への牽制(けんせい)を悪送球。西川は空振り三振としたが、代打・坂倉に中前打を浴び、1-2とリードを許した。藤川は2日のDeNA戦(甲子園)以来の登板。失点は7月11日のDeNA戦(甲子園)に3失点を喫して以来だった。

◆阪神は広島に1-2で敗れ、借金3とした。  先発の西勇は、一回に長野に一発を浴びるも失点はこれだけ。テンポのいい投球で6回4安打1失点と好投した。1-1の七回からは2番手で藤川が登板。西勇から受け継いだ流れを引き継ぎたかった藤川だが、先頭の代打大森に四球を与えると、西川の打席で一塁への牽制(けんせい)を悪送球。自身のミスでピンチを広げると代打・坂倉に中前打を浴び、これが痛恨の失点となった。  打線は4番・大山が、二回に9号ソロで15打席ぶりの安打としたが、得点はこれだけ。六回は無死一、三塁の好機も梅野の投ゴロで、三走・サンズがタッチアウト。植田が四球で1死満塁としたところで、矢野監督は西勇に代打・福留を送り勝負に出たが、大ベテランは二ゴロ併殺に終わった。  連敗で5位・広島とのゲーム差はなくなった。

◆阪神は1-2で広島に敗れ、借金は3となった。矢野監督は好投の先発西勇について「勝たしてやらないとだめな試合やった。ランナーを出しながらも西勇らしく粘って投げてくれた結果、こういう試合になったし。だからこそ勝たせてやりたかったなと思います」  クリーンアップを組み替えた。糸井を3番に入れ、大山、サンズ、ボーアと並べたが、大山のソロアーチの1点のみ。  「(大山)悠輔もボーアもあんまりよくないんでね。よくない状態で2人並ぶよりは、サンズを間に入れることでいい効果が出えへんかなと思って」と説明。  試合前には大山に打撃指導もしていた。本塁打が復調のきっかけになるかどうかについては「まあ、すぐよくなるということではないかもしれないけど、こちらの気付いたことは伝えていきたいし。まあ、もがきながら。一年間ずっと調子いいってことはなかなかないんで。もがきながら何かつかんでくれたら。悠輔自身の成長というのはチームとして必要。そこをこちらとしても、何とか後押しというか。あいつ自身もそう思っていると思うので。そういうのをチームとしても作っていきたい」と話した。  七回、先頭打者を四球で歩かせ、決勝打を浴びた藤川については「四球というのはやっぱり得点に絡みやすいので、その後よく1点でしのいでくれたというのはあるけど、まあそんな感じかな」と話した。

◆広島の坂倉が七回に代打で勝ち越し打を放った。藤川の外寄りのフォークボールを中前に運んだ。「追い込まれていたので何とかして食らいついていった。ヒットになって良かった」と塁上で両手を上げて喜んだ。  正捕手には会沢がいるため、出場機会が限られるが、打率は4割を超え、持ち味の打力を発揮している。坂倉は「打てると思った球を振りにいくことしか考えていない」と好調の要因を分析した。

◆阪神の4番大山が、15打席ぶりの安打となるソロ本塁打を放った。先制された直後の二回、先頭打者で大瀬良の内寄りのツーシームを強振。左翼席へ放り込む9号に「出塁する意識を持ってスイングをした結果、いい形で捉えることができた」と納得の様子だった。  だが、八回の好機で遊飛に倒れるなど、2打席目以降は無安打。矢野監督は「4番は責任のある打順だし、(大山)悠輔の成長はチームにとっても必要。もがきながら何かつかんでほしい」と悩めるスラッガーの奮起に期待した。

◆阪神は七回に登板した藤川が自らのミスから勝ち越しを許し、3敗目を喫した。先頭打者に四球を与えると、けん制悪送球でピンチを広げ、代打坂倉に適時打を浴びた。矢野監督は「四球は得点に絡みやすい。よく1点でしのいでくれたというのはあるが...」と渋い表情だった。  7月に40歳を迎えた。日米通算250セーブが迫るが、右肩のコンディション不良から復帰した後は中継ぎとしての起用が続く。制球に苦しむ場面も多く、まだ本来の姿を取り戻せていない。 西勇(6回1失点) 「流れを感じながら、最少失点でいけたので良かった。次に生かせればいいかなと思う」 ガンケル(6試合連続無失点) 「いい投球ができて良かった。持っている球種をうまく使い、ストライクゾーンで勝負ができている」

◆1-1で迎えた七回1死満塁。広島・大瀬良が外角ギリギリのシュートで、西勇の代打・福留を二ゴロ併殺に斬ると、珍しく右拳を握った。  「最高の結果。普段はみせないガッツポーズでみんなが何かを感じてほしかった」  思いが通じたかのように直後の七回だ。大瀬良の代打・大盛の四球から、代打・坂倉の決勝打で、今季チームトップの4勝目をつかんだ。  7月25日にコンディション不良で抹消。中14日の復帰登板で7回119球、1失点の力投に、佐々岡監督も「本調子ではない中で粘り強く投げてくれた」と絶賛した。  「僕が投げることでメディアを通じて若い子に伝わって欲しい」と語る右腕は長崎で育ち、広島でプレー。6日の午前8時15分、東京遠征中のチーム宿舎で1人黙とうした。75年前の8月6日、広島に原爆が投下された。3日後の午前11時2分には長崎にも...。毎年この時期は強い使命感を持って登板する。  今季初の1点差勝利で連勝を飾り、2カード連続の勝ち越し。エースの復帰で真夏の反攻が本格化する。(柏村翔)

◆決断も、勝負手も実らなかった。真夏のロードは連敗発進。5位・広島にゲーム差なしまで迫られた阪神・矢野監督は苦しい胸の内をさらけ出した。  「我慢の(とき)。チームの状況的にも我慢やし、我慢やからこそ、こういう試合は取りたいんやけどね」  14試合ぶりにサンズ、大山、ボーアのクリーンアップを解体した。サンズを初の5番、ボーアを6月25日のヤクルト戦(神宮)以来の6番で起用した。  「(大山)悠輔もボーアも、あまりよくないんでね。よくない状態で並ぶより、サンズを間に入れることで、いい効果が出ないかなと思って」  1-1の七回は、その両助っ人の連打から好機が生まれた。1死満塁で、好投の西勇に代打・福留。それでも切り札が二ゴロ併殺に倒れ、直後に勝ち越された。7月16日以来の借金3。「あした、なんとか全員で一丸で取りにいきます」と言葉を振り絞った。(安藤理)

◆マウンドで踏ん張り続けたが、勝てなかった。七回1死満塁。外野フライでも1点が入る場面で、代わりに出た福留は二ゴロ併殺に終わった。西勇はベンチで悔しさをにじませる。1失点の好投も打線の援護は1点止まり。エースが悔いたのはバットでの貢献だった。  「きょうの代打も仕方ないことだと思っているので。それまでの2打席で僕が打っていたりとかしていたら、また(展開も)変わってただろうし、代打とかもなかったかもしれない。それは結果論なので。しっかり打撃の方でも貢献できるようにやるだけです」  勝ち越しを信じて気迫の投球を見せた。一回2死から3番・長野に左中間への先制ソロを浴びたが、以降は無失点投球。六回の2死一、二塁のピンチもゼロで切り抜けた。6回4安打1失点で降板。バトンを受けた藤川が打たれ、3試合ぶりの白星はならなかった。  「昨日のそういう(敗戦の)流れを感じながら、最少失点でいけてよかったと思います」  矢野監督は「走者を出しながらも西らしく粘って投げてくれた結果、こういう試合になった。だからこそ勝たせてやりたかった」とかばったが、五回2死一、二塁で空振り三振ではなく、Hランプを灯していれば...。鯉の大黒柱・大瀬良との投げ合いに結果的に敗れる形。西勇は2三振に終わった打撃を悔やんだ。  マツダスタジアムでは通算7試合で5勝0敗、防御率1・98と無類の強さを誇るが、その相性のよさを生かせなかった。  「打線の兼ね合いもあるし、作戦もあるし。仕方ないこと。次に生かせれば」  6月19日の巨人との開幕戦(東京ドーム)でプロ1号を放ったこともある。次は投げて打って、白星をつかむ。(織原祥平)

◆期待を乗せた白球はあっという間に左翼スタンドへと飛び込んだ。大山が響かせた久しぶりの快音は一時同点に追いつく一発で矢野監督の思いに応えた。  「点を取られた直後の先頭バッターだったので、出塁する意識を持ってスイングをした結果、いい形で捉えることができました」  1点を先制された直後の二回だ。カウント1-1から大瀬良の内角球を振り抜いた。弾丸ライナーで放たれた打球は左越えのソロ。苦しんでいた4番から7月26日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、11試合ぶりのアーチが飛び出した。  7月上旬から負傷したマルテに代わって4番に座ると7月は月間打率・299と好調。だが、8月に入るとなかなかあたりが出ず、前日7日まで3試合で14打席連続無安打と急失速。自身の不調とともに、チームも勝てない試合が多くなった。  そんな状態を気に掛けた矢野監督から試合前練習でメスが入った。指揮官は井上、新井両打撃コーチとともに大山を囲むと、バットを手に身ぶり手ぶりで熱血指導。マツダスタジアムの三塁側ベンチ前で、5分ほどの"矢野塾"が開かれた。  そして、第1打席で"一発"回答。虎将は「すぐよくなるということではないかもしれないけど。もがきながら何かつかんでくれたら」とうなずいた。  2打席目以降は凡退。特に1-2の八回は2死三塁と同点の好機だったが遊飛に倒れた。4番としてはチャンスで結果を残してほしかったが...。  「4番ってチャンスで回ってきたり、責任のある打順。そういうところでは悠輔(大山)自身の成長というのはチームとして必要。こちらとしても、何とか後押しというか。そういうのをチームとしても作っていきたい」と矢野監督。この日は調子の上がらないボーアらの打順を組み替えたが「4番・大山」は動かさず-。大山の成長はチームにとって不可欠だ。  マツダでは7月4日から2試合連発などで一気に調子を上げた、いい思い出がある。苦しい期間を乗り越えて真の4番打者へと成長する。(菊地峻太朗)

◆マツダスタジアムの練習中に、矢野監督が不振の大山に熱烈指導。そして試合で大山が二回に同点本塁打。「恩返し」だ。すぐに結果が出た。いい上司と、期待に応える部下。こういうシーンは原稿が書きやすくなるし、見ていても気持ちいい。  試合前。今回の広島遠征には帯同せず、大阪・難波のサンケイスポーツ編集局内で勤務のトラ番・織原祥平が広島にいる司令塔・安藤理の指示を電話で受けていた。  「安藤さんは、熱いんです。懇切丁寧に指導してくださるし、例えるならソフトバンクの熱男・松田選手みたいですね」  ここにも、いい先輩と、かわいい後輩の関係があった。隣で織原の1年先輩・原田遼太郎もウンウンとうなずいている。  あんな上司がいたら、たまったもんじゃない...と思いながら、大人気ドラマ「半沢直樹」を毎週見ている。  ミスをしたら「わびろ、わびろ、わびろ、わびろ、わびろ、わびろ、わびろ...」と怒鳴りまくる。その一方で自分のミスは「知らな~~い」とすっとぼける。伊佐山部長役の市川猿之助の演技がすごすぎて、このご時世であり得なさ過ぎて、ドラマの世界だと分かっていても、ハラハラ、イライラ。でも、楽しんでいる。  あんなメチャクチャな部長は、わがサンスポにいない...と言いたいところだが、大昔には結構、ムチャクチャな方がいた...ような気がする。えっ、誰かって? 口が裂けても言えないです。これ、読んでるかもしれないし。"倍返し"する能力もなく、違う部署へ去っていった方もいたような。記憶違いかもしれないけれど。  今のサンスポですか? 実に平和な、牧歌的な組織です。  運動部のデスク席の一角。2台並んだパソコンの前に、編集局次長・生頼秀基と運動部長・大澤謙一郎が仲良く並んで、和気あいあい、何やら作業を進めている。いつもと違う場所に座ってるから、聞いてみた。  --何してるんや?  「生頼さんは本日サンスポコムのウェブ編集長の担当なので、今、ネット速報の作業もされているんですよ」  大澤が説明。この業務に関しては経験豊富な部長大澤が、局次長生頼にアドバイスを送っているようだ。  「なかなか慣れないですわ」と言いつつ、そこは見出しを付ける整理部で鳴らしたスペシャリスト生頼。手際よく、各地の記者が送ってくる速報記事を処理していく。  ふと、生頼が操作中のパソコン画面を見たら、見出しの部分に「半沢直樹」と記されている。しかも、片岡愛之助演じるオネエ言葉の宿敵・黒崎の記事だ。この黒崎がネット上では大人気。  「証券取引等監視委員会事務局証券検査課統括検査官」  これがドラマの中の黒崎の肩書。長すぎるのが逆に話題になっている。  「実は僕もきょうだけは『サンケイスポーツ編集局次長兼整理部長兼ウェブ編集長』と肩書きが長いです」  "サンスポの黒崎"生頼も苦笑いだ。  7年前「倍返し」が流行語大賞にも輝いた「半沢直樹」だが、今回は繰り返し出てくる「恩返し」も流行の気配。ただ、この夜の阪神は、大山の恩返し弾以降は誰も...。いつもドラマのように逆転勝ちできるとは思っていないけれど、1点差負けはやっぱり悔しい。

◆アチャ~、この負けは痛て~!! エースの西勇が6回を投げ、長野に許した一発だけの1点に抑えたのに、打線が見殺し地獄をつくりだしてどないすんねん!!  地獄といえば、怖い怖い鬼がつきもの!! 1-1の七回1死満塁で出ましたア、福留さま!!  虎党にとって神様、仏様。だが、広島から見たら、この場面の福留さまは鬼以外の何者でもなかっただろうなあ...。グへへへへ...。  「よっしゃ! 虎の勝ち越し点いただき!」と思ったら、セカンドゴロゲッツー。地獄行きはこっちだった~!  その裏からは百戦錬磨の藤川球児、鬼の登場や! 「ムフフ、先頭は2年目の大盛やって、かわいそう...。さて、ど~やって料理したろうか...」のはずが、あり得ない四球とけん制悪送球の独り相撲で自ら地獄へ落ちたー!! ガックリ!!  さあ、このまま「GO TO 虎ブル」の連敗地獄を見ないように、矢野監督、本物の鬼になって勝ちまくってくれー!!

◆"夏休み"の虎に緊急提言! 阪神は投打とも精彩を欠き、広島に惜敗。2カード連続負け越しで、夏のロードは8年ぶりの連敗発進となった。阪神OBで楽天初代監督の田尾安志氏(66)=本紙専属評論家=は打線の活性化に「3番・梅野」を推奨。投手陣を含め、適材適所の選手起用を求めた。  一気に勝負をかけた七回1死満塁で代打・福留がまさかの併殺打。勝負の世界だから、こういうこともある。ただ、それ以前に「より点を取れる打順」を組んでいただろうか。スタメン発表時点から疑問が沸き上がっていた。  今、阪神で最もポイントゲッターとして期待できるのは誰か? 答えは明白。梅野だろう。チームトップの打率(・311)を誇り、勝負強さも兼ね備えている。私なら梅野を3番に据える。  最近はずっと6番だったが、この日は7番に下げた。ということは、次が8番・植田で、9番は投手。この並びだと相手は、一番マークする相手に対して、きわどいコースを攻め、場合によっては勝負を避ける選択肢もでてくる。後続打者を考えれば当然だ。  3番に置けば、後ろは大山、外国人ら一発長打がある。梅野を簡単に歩かせることはできない。1番・近本が復調気配だけに、調子のいい1番、3番で好機をを広げ、得点するパターンが、今の阪神にとって正解の打順ではないか。  攻撃で梅野の打順に疑問が残った以上に首をかしげたのが「一番調子のいい投手」の使い方。最近の中継ぎで一番安定しているのは間違いなく望月だ。本来ならベンチは、同点の七回に望月を投入できる態勢を整えておくべきだった。最近の投球内容なら藤川より望月が上だろう。  ところが一昨日(7日、広島戦)、2点差に追い上げた五回に望月を投入せず、5点差に広がった九回に投げさせた。6日(巨人戦)にも1イニング投げており、3連投を避けるために、この夜は登板を回避せざるを得なかった。  私が言いたいのは、7日の試合でまだ勝機の残るときに投げさせなかったのなら、"敗戦処理"のような使い方もすべきではなかった。温存しておけば、1点勝負のこの夜は投入できたはず。  ここまで望月にこだわる背景には、藤川の状態の悪さも関係している。七回、先頭打者を歩かせて、それが決勝点に直結した。ことしの藤川は、このパターンが非常に多い。「先頭打者への四球は投手の失策」。改めて指摘しておきたい。  間合いの長さも気になる。もともと間合いが長い投手ではある。ただ、抑えの場合は野手も「この回さえ守れば試合終了」と割り切って守れるが、中継ぎの場合は、次の攻撃へのリズムも考えて、ポンポンと投げてほしいのが心情。偉大な抑え投手の藤川だが、今は中継ぎの一員。野手の気持ちを理解して、もう少しテンポよく投げてもらいたい。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
24152 0.615
(↓0.017)
-
(-)
79194
(+1)
143
(+3)
58
(+1)
24
(-)
0.251
(↓0.003)
3.440
(-)
2
(1↑)
DeNA
22192 0.537
(↑0.012)
3
(↑1)
77180
(+5)
155
(+4)
51
(+2)
8
(+1)
0.275
(↑0.001)
3.490
(↑0.04)
3
(1↓)
ヤクルト
19185 0.514
(↓0.014)
4
(-)
78191
(+4)
209
(+5)
37
(+1)
29
(+1)
0.254
(↓0.001)
4.580
(↓0.01)
4
(-)
阪神
18212 0.462
(↓0.012)
6
(-)
79169
(+1)
170
(+2)
40
(+1)
35
(-)
0.245
(↓0.001)
3.700
(↑0.06)
5
(-)
広島
17204 0.459
(↑0.015)
6
(↑1)
79193
(+2)
193
(+1)
48
(+1)
16
(-)
0.283
(↓0.002)
4.340
(↑0.09)
6
(-)
中日
17243 0.415
(↑0.015)
8
(↑1)
76132
(+3)
189
(+1)
21
(+1)
9
(+2)
0.237
(↓0.002)
3.980
(↑0.07)