巨人(☆12対4★)広島 =リーグ戦23回戦(2019.08.29)・東京ドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
広島
1001001104901
巨人
021000000X12912
勝利投手:桜井 俊貴(8勝3敗0S)
敗戦投手:大瀬良 大地(10勝8敗0S)

本塁打
【広島】メヒア(6号・4回表ソロ)
【巨人】岡本 和真(26号・3回裏3ラン),丸 佳浩(23号・3回裏満塁)

  DAZN
チケットぴあ 巨人戦チケット予約 広島戦チケット予約
◆巨人は0-1で迎えた2回裏、大城の2点適時打で逆転に成功する。続く3回には、岡本の3ラン、丸のグランドスラムなどで一挙10点を奪い、試合を優位に進めた。投げては、先発・桜井が7回3失点の好投で今季8勝目。敗れた広島は、先発・大瀬良が3回途中10失点と炎上した。

◆広島大瀬良大地投手(28)が今季3度目の巨人戦先発に臨む。大瀬良の巨人戦は本拠地マツダスタジアムで5勝0敗も、敵地東京ドームでは2勝5敗と対照的。 今日は苦手敵地で好投し、首位巨人から白星を挙げられるか。

◆日本テレビ尾崎里紗アナウンサー(26)が29日、東京ドームで行われた巨人-広島23回戦で、球団公式マスコットガール「VENUS(ヴィーナス)」の一員として、チアダンスを披露した。 もともとは帰宅部で食いしん坊キャラの尾崎アナだが、今年3月に東京マラソンを完走。この日も健康的な太ももを見せながら、他のメンバーと同様、試合前には足を高く上げて踊りきった。 7回裏攻撃前には「闘魂こめて」のダンスも笑顔で披露。その様子は日テレ系地上波の生中継で映された。週2回スタジオや会議室で練習したことや、「中高は帰宅部だったので、青春を感じることができました」という尾崎アナのコメントも紹介された。 尾崎アナのチアダンスはレギュラー出演する情報番組「バゲット」(月~木曜午前10時25分)で7月に発表された企画で、苦手な「観客の生の反応が見える」状況に挑戦したという。

◆ラグビー日本代表で、3大会連続ワールドカップ(W杯)出場が決まった主将でフランカーのリーチ・マイケル(30)とSH田中史朗(34)が、巨人-広島23回戦(東京ドーム)で始球式を行った。 ラグビーボールを持ってマウンドに上がった田中が、キャッチャー役のリーチにスクリューパス。田中は「ストライクを取れたので100%のでき」と満足そうに話した。始球式前に巨人原辰徳監督と会話を交わしたという2人。リーチは「原監督から『ラグビーは人を泣かせられるスポーツ』と言われた。そういう意識で臨みたい」と金言をもらい意気込んだ。

◆夏男が、また打った。巨人岡本和真内野手(23)が、2試合連続の26号3ランを放った。 3回、2点にリードを広げ、なお無死一、三塁から広島大瀬良のカットボールを右翼席に運んだ。今月9本目のアーチに「最低でも外野フライという気持ちで打ちにいきましたが、最高の結果になりましたね! 逆方向にいいホームランになりました」とコメントした。

◆巨人大城卓三捕手(27)が、逆転の2点適時二塁打で桜井を援護した。 1点を追う2回1死一、二塁、広島大瀬良のカットボールを右翼線にはじき返した。「フルカウントだったので、ゾーンにきた球を集中して打ちにいきました。桜井も頑張っているので、逆転できてよかったです」とコメントした。

◆エース背信。広島大瀬良大地投手(28)が今季ワースト10失点を喫し、今季最短2回1/3で降板となった。 1回は3者凡退で滑り出すも、2回は死球と四球で招いたピンチから大城に右翼線へ2点打を浴びた。 3回も勢いづいた巨人打線を止められない。四球と安打で無死一、二塁とし、丸に適時打。岡本には外角カットボールを右翼席へ運ばれた。さらに3者連続長打を浴びて、この回6失点。犠打で1アウトを取り、1死二、三塁の場面で降板となった。代わった塹江が丸に満塁本塁打を浴びたことで、失点は10となった。 先発として2回1/3KOは1年目の14年6月7日ソフトバンク戦(マツダスタジアム)での1回0/3に次ぐ、早期降板となった。

◆巨人丸佳浩外野手が、古巣の広島相手に移籍後初となる23号満塁本塁打を放った。 4回2死満塁、広島塹江の147キロ直球をバックスクリーンにたたき込んだ。15年5月26日ロッテ戦以来、自身4度目のグランドスラムに「最近いいスイングができていなかったので、自分の中で『いいスイングをしよう』と心掛けた。最高の結果になりました」とコメントした。

◆巨人が、1点リードで始まった3回に4年ぶりとなる1イニング10得点を記録した。 先頭の亀井が四球で出塁。坂本勇が右前打でチャンスメークし、丸が適時打、岡本が2試合連続の26号3ラン、大城が2点適時二塁打を放ち、丸が移籍後初の23号満塁本塁打で2ケタに乗せた。巨人の1イニング2ケタ得点は、15年8月19日阪神戦の5回に記録した12得点以来だった。

◆巨人が、1点リードで始まった3回に4年ぶりとなる1イニング10得点を記録した。 ▼巨人が3回に岡本の3ラン、丸の満塁弾などで10得点。巨人の1イニング2桁得点は15年8月19日阪神戦の5回に12点記録して以来12度目。広島戦では75年7月6日の3回に10点挙げて以来2度目となり、東京ドームでも15年阪神戦に次いで2度目。 ▼3回の丸は適時安打と満塁弾で5打点。巨人で1イニング5打点は、川上が48年5月16日金星戦の1回に2ランと3ラン、同年10月16日大陽戦の5回に適時打と満塁弾、高田が72年6月23日ヤクルト戦の6回に適時打と満塁弾で記録して以来、47年ぶり3人、4度目の球団タイ記録。4度ともチームが2桁得点したイニングにマークしている。

◆巨人第62代4番の松井秀喜氏が第89代4番岡本和真内野手の1発を称賛した。 前監督の高橋由伸氏とともに日本テレビの中継でダブル解説。3回の3ランを「素晴らしいバッティングでしたね」とたたえた。右翼ポール際への当たりには「(逆方向への当たりは)彼の魅力。逆方向へ打てるバッターは今の野球には必要ですね」とうなった。 高橋氏は丸の満塁本塁打に「すごい打球でした。ひと伸び、ふた伸びありましたね」と話した。

◆広島は1回に松山の適時打で先制。巨人は2回に大城の2点適時二塁打で逆転すると、3回は岡本、丸の本塁打などで10得点。 広島は4回にメヒアの6号ソロで1点を返した。先発大瀬良は3回途中7安打10失点で降板。巨人桜井は6回まで5安打2失点。 広島は7回に1点、8回にもメヒアの適時打で1点を返したが、反撃もそこまで。桜井は8勝目、大瀬良は8敗目を喫した。

◆巨人は0-1の2回に大城の2点二塁打で逆転し、3回に一挙10得点。岡本の3点本塁打や大城の2点二塁打のほか、丸は満塁アーチなどで1イニング5打点。桜井が7回3失点で8勝目を挙げた。広島は大瀬良が10失点と大誤算。

◆広島は序盤から大量ビハインドの展開も、アレハンドロ・メヒア内野手が猛打賞と奮闘した。 4回に弾丸ライナーで左翼席にソロをたたき込むなど3安打2打点。「個人的にはいい本塁打になったと思う。でもチームが負けてしまったので悔しい。シーズンはまだ終わっていないので頑張りたい」。手痛い巨人戦負け越しも、前を向いて球場を後にした。

◆広島エース大瀬良大地投手(28)が今季最短2回1/3、自己ワーストタイ10失点で8敗目を喫した。 2回に連続四死球から大城の2点打で逆転を許した。3回は丸の適時打の後、岡本に右翼席へ3ラン。さらに3者連続長打を浴びるなど1死二、三塁で降板となった。「本当に情けない。結果を出すことができず申し訳ない」。エースとともに、4連覇の希望も崩れるような大敗だった。 ▽広島佐々岡投手コーチ(先発大瀬良に)「今日の球はそんなに悪いとは思わなかったけど、結果的に甘く入った」

◆巨人桜井俊貴投手が指揮官の思いに応えた。最速148キロの直球で押し切り、7回3失点で8勝目。 3回5失点で敗れた前回23日DeNA戦後、原監督に監督室に呼ばれ「どんな投手を目指してるんだ?」と活を入れられただけに「初回からぶっとばしました」と全力投球を貫いた。原監督も「原点に戻ったというか、本来の彼の良さをしっかり出そうとする中で投げ抜いてくれた」と評価した。

◆巨人第89代4番の岡本和真内野手(23)が、第62代4番の松井秀喜氏絶賛の26号3ランを放った。 3回無死一、三塁、大瀬良の外角カットボールを右翼ポール際へ運んだ。月間自己最多の9本目に「最高の結果。逆方向にいいホームランになりました」。昨春キャンプで直接指導も行った松井氏は「逆方向に大きい当たりが打てるのは彼の長所。それを見せてもらえて良かったです」と喜んだ。

◆逆転優勝を狙う広島にとって、絶対に負けられない巨人戦だった。今カード1勝1敗で迎えた3戦目の先発はエースの大瀬良大地投手。 一方、巨人の先発は桜井だっただけに「落とせない」という思いは強かっただろう。しかし、頼みのエースは巨人打線に木っ端みじんに打ち崩された。 これが大一番の重圧なのだろう。1点をリードした2回1死一、二塁、打席に大城を迎え、フルカウントになった。捕手の会沢は内角に大瀬良の一番の武器・カットボールを要求。しかし左打者の内角に投げきれず、右翼線を破る逆転の2点二塁適時打になった。 制球力のいい大瀬良が内角へ投げきれなかった理由はいくつも考えられる。まず1死一、二塁という状況。厳しく攻めすぎれば死球になるし、ボールゾーンで見逃されれば四球で1死満塁。犠飛や併殺崩れでも同点になる。さらにこのイニングで1死から大城と同じ左打者の阿部に死球を与えている。今季、与えた死球は1個だけ。的確な表現ではないかもしれないが「当て慣れていない投手」とも言い換えられる。少なくとも「ぶつけても仕方ない」と割り切り、厳しく内角を突くタイプではない。 内角に要求した捕手の会沢の気持ちも理解できる。大城の前の打者だったゲレーロには外角一辺倒の攻めで四球。そして大城へのフルカウントになるまでの攻めも外角一辺倒だった。本来なら投手有利のカウントにして内角球を1球でも見せておけばよかったが、ゲレーロにも大城にも3球目までがすべてボール。内角を突く余裕がなかった。苦し紛れに内角を突くなら、大瀬良が得意にしているカットボールという選択になったのだろう。 大一番になればなるほど、投手と捕手の考えに食い違いが出る。それが敗戦への悪い流れを作った。CSでも戦う可能性が高い東京ドームで、広島は嫌な敗戦を喫した。【小島信行】

◆巨人OBの松井秀喜氏(45)が、星稜の後輩奥川にエールを送った。 野球中継の解説で東京ドームを訪れ、試合後に報道陣に対応。母校星稜は夏の甲子園で準優勝となったことに「勝負はその時にいろいろありますよ。私の母校はね、いつもそういうところで負けてきたので。でも、今大会は厳しい試合も勝ち上がってきた。今までとはちょっと違うと思いますよ。新しい母校の戦いぶりを見せてもらいました。また、これからも楽しみにしたいと思います。(林)監督もね、ひとつ下の後輩ですし、これからも期待したいです」と悲願達成に胸をふくらませた。 エースとして活躍した奥川については「高校生で150キロ投げて、コントロールも良くて、スライダー、フォークボールが良かったら高校生でなかなか打てないと思いますよ。楽しみというより、応援していますよ。母校の後輩ですから」と期待感をにじませた。

◆エース背信。広島大瀬良大地投手(28)が、中5日で先発した首位巨人との一戦で今季最短2回1/3で自己ワーストタイ10失点を喫した。 3連勝が求められた首位巨人との3連戦を負け越し。3戦目は頼れるエースで大敗を喫し、ゲーム差も7・5に広がった。 広島の追い上げムードを高めるどころか、敵地東京ドームをお祭りムードにする結果となった。エース大瀬良が巨人打線にのみこまれた。1-2で迎えた3回。先頭の亀井に四球。そこから岡本の3ランを含め、6者連続安打。さらに四球と犠打で1死二、三塁で降板となった。1年目の14年6月7日ソフトバンク戦での1回0/3に次ぐ、早期KO。自己ワーストタイ10失点を喫した。「本当に情けない。結果を出すことができず申し訳ない」。エースとともに、広島の4連覇の希望も崩れていくような大敗だった。 今季登板22試合目は中5日での先発となった。前回から「疲労を取ることを重視してやってきた」が、本調子とはほど遠い投球内容だった。真っすぐが走らず、得意球のカットボールのキレも欠いた。何とか角度を付けようと、プレートを踏む位置をこれまでの真ん中から三塁側に変える工夫も見られたが、1回を切り抜けることしかできなかった。 この日は球質だけでなく、制球力も今季の大瀬良のものではなかった。「1発を警戒し過ぎてボール先行になってしまった。自分の間合いで投球できなかった」。首位巨人打線相手に何とか目先を変えようとしても、内角を突ききれずに甘くなっては痛打される。 1点リードの2回は1死から死球、四球でピンチを招き、逆転2点打を食らった。3回も四球と安打で無死一、二塁。丸に適時打を許すと、岡本には外角カットボールを右翼席へ運ばれた。さらに3者連続長打と散々な結果。一方巨人は3回裏途中に阿部、4回表前には坂本勇をそれぞれベンチに下げるなど楽勝ムード。両者のコントラストが今のチーム状況を表していた。 3連勝が求められた首位巨人との3連戦で1勝2敗と負け越した。ゲーム差は7・5に広がり、その背中は遠くにかすむ。緒方監督は悔しさを抑えながら言葉をつむいだ。「エースが打たれ、外野手は球際の弱さをみんな出すし、ファンの人に申し訳ない試合になった。こういう試合のあとが大事。広島に帰ってしっかりとまた明日戦えるかどうか」。すべての目標が失われたわけではない。諦めムードになるのはまだ早い。【前原淳】

◆巨人が広島に大勝し、マジック18とした。 原辰徳監督(61)は打者15人で10点を奪った3回の攻撃について「よくつながったし、相手側の守備というかね、それにも助かったというところもありますけれども。やっぱり4アウト、5アウトという形になるとね、ああいう風にたくさん点が入るんだなと、あらためて守備力というのは重要だなと思いましたね」。 4番岡本には2試合連続の3ランが飛び出した。 「いやいや、見事ですね。初球をライト方向に打てるというのはね、精神的にも、集中力というものが非常にできていたのではないでしょうかね」。 大城は2回の逆転2点適時二塁打を含む4打点。「もともと、打撃はね、いいものを持っている人ですし、このところ安打もちょこちょこ出ているのでね、あとは大きいのを打ってほしいですね」。 丸は移籍後初の満塁本塁打を放った。「ねえ。呼び水としてね、どんどん打ってくれるといいですね」。 先発桜井は8勝目を挙げた。「初回に点数は取られましたけれども、非常にこう、いい精神状態の中で原点に戻ったというか、本来の彼の良さというものを出そうとするね、そういう中で最後まで投げ抜いてくれたという感じですね」。 3回5失点だった前回登板後には監督室に呼んで問いただした。「どういう投手を目指しているんだい、というところですね。変化球投手にでも、あるいは小手先で、という部分は彼の中では決していい方向に行っているとは思いませんでした。今日は非常に力投して、投げ終わった時にはもうへとへとになってマウンドを降りる、という風な投手を目指そうじゃないか、というところで、きょうは良かったと思います」。 甲子園での3連戦に向けて「1戦1戦戦っていくことに全く変わりはありません」と言った。

◆最強コラボで完勝だ。ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表の主将でフランカーのリーチ・マイケル(30)と、SH田中史朗(34)が東京ドームを訪れ、始球式を行った。巨人原辰徳監督(61)は大のラグビーフリーク。熱いハグで健闘を誓い合った直後の一戦で、3回に岡本の3ラン、丸の満塁本塁打など1イニング10得点のビッグイニングで大勝。苦手広島に2勝1敗と勝ち越し、優勝へのマジックを18に減らした。試合開始17分前、普段は巨人選手が行き交う東京ドーム一塁側通路で、桜のジャージーを着た屈強な男たちが軽快にパス練習を開始した。始球式に登場したラグビー日本代表のリーチと田中が、楕円(だえん)のボールを小気味よく扱う。 体も温まった5分後。ベンチ裏からラグビーファンの原監督が現れた。2人に歩み寄り、熱い抱擁を交わす。「ラグビーは見ていると涙が出るスポーツ。本当に涙が出てくる。前回の南アフリカ戦のような熱い戦いを期待してます」。15年のW杯で日本代表が2度の優勝経験を誇る王国を破った番狂わせ。歴史的ジャイアントキリングの再現を期待して、広島との決戦の場に戻っていった。 1回に1点を先制された直後の2回。1死一、二塁から大城の右翼線二塁打で二塁走者のベテラン阿部、一塁走者ゲレーロが本塁へ激走し、逆転した。3回は1点を追加した後、4番岡本が右翼席へ2試合連続の3ラン。さらに丸にも満塁本塁打が飛び出した。6連打を含む打者15人の猛攻で10得点。指揮官は「よくつながったし、相手の守備(のミス)にも助けられた。あらためて守備力は重要だなと思いましたね」。チーム一丸で3回までに12点を奪い、試合を支配した。 ラグビーが持つ献身性やフォア・ザ・チームの精神。原監督は野球にも通ずる部分があると長く愛着を抱いてきた。15年W杯は「ラグビーの聖地」英国トゥイッケナムスタジアムで決勝を生観戦。大会前には日本代表候補合宿で訓示を行ったこともある。リーチは「前回大会で『鬼になれ』と言っていただき、いい言葉だと思ったのでチームミーティングでも何度も使わせてもらった」と感謝する。 野球もラグビーも、時には「鬼」となって戦う気構えが必要。W杯初戦、9月20日のロシア戦まで巨人は18試合を残し、5年ぶりVで前祝いとできる可能性は十分。「1戦1戦、しっかり戦っていくことに変わりはありません」。チーム一丸の精神で、その時に向かっていく。【前田祐輔】

◆優勝請負人が、名門球団のレジェンドに肩を並べた。巨人丸佳浩外野手(30)が、広島戦の3回に移籍後初となる23号満塁本塁打を含む1イニング5打点をマークした。巨人での1イニング5打点は史上最多タイで、過去には「打撃の神様」と称された川上哲治が2度、「塀際の魔術師」と称された高田繁が1度達成しただけ。47年ぶり史上3人目の快挙を成し遂げた。試合終了から約1時間30分後、ロッカールームを出た丸は球団レジェンドの写真が並ぶ通路を歩いた。金田正一、長嶋茂雄、川上哲治らの前を通り過ぎ、報道陣に囲まれた。球団史上3人目の1イニング5打点は川上、高田以来と聞き「思い残すことはないですね。名前を残せるのはうれしいですし、光栄なこと」と恐縮した。 3回の2打席にパワーと技術を織り交ぜた。この回1打席目の無死一、二塁、外角のスライダーにタイミングを崩されながら、ヘッドをうまく使って、テレビ解説で訪れた松井秀喜氏を「思ったより伸びた」と驚かせる左翼フェンス直撃の一打で1打点。2打席目の2死満塁で、15年5月26日ロッテ戦以来となる自身4度目の満塁弾を放ち歴史に名を刻んだ。 試合開始の約7時間前の午前11時ごろ、一番乗りでレジェンドが並ぶ通路を通って、試合に向けた準備を始める。「特別なことはせず、ほぼ毎回、同じです」と練習前にトレーナーのマッサージを受け、心と体をスイッチオン。試合後は入念な治療でリセットし、最後に球場を後にする。好不調の波に関係なく、開幕から継続し、安定した成績に結び付ける。 原監督からは「見事ですね」と絶賛された。球団史に残る偉業に、普段は冷静な受け答えの丸も少しテンションを上げたが、引き揚げる直前には「この試合は終わったこと。明日の試合で仕事ができるように、準備したいです」と次なる戦いに目を向けた。【久保賢吾】

◆広島が巨人に大敗し、ゲーム差が7・5に広がった。先発のエース大瀬良が2回に逆転を許すと、3回には岡本の3ランを含む6者連続安打を浴びるなど2回1/3、10失点で降板。序盤で試合はほぼ決した。 緒方孝市監督の談話は以下の通り。 -大瀬良投手の出来が珍しく悪かった 緒方監督 今日はカープらしいというか、うちらしい野球ができなかった。エースが打たれ、外野手は球際の弱さをみんな出すし、ファンの人に申し訳ない試合になった。こういう大事な試合なのに...。こういう試合のあとが大事。広島に帰ってしっかりとまた明日戦えるかどうか。 -試合前には球団から田中広輔選手が手術した発表があった 緒方監督 体調を万全に戻して、来シーズンに向けてしっかりリハビリしてもらいたい。

◆広島に快勝しM18。ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表の主将でフランカーのリーチ・マイケル(30)と、SH田中史朗(34)が東京ドームを訪れ、始球式を行った。巨人原辰徳監督(61)は大のラグビーフリーク。試合前、熱いハグで健闘を誓い合った。 「ラグビーは見ていると涙が出るスポーツ。本当に涙が出てくる。前回の南アフリカ戦のような熱い戦いを期待してます」 ◆原監督とラグビー 「ラグビーはそれぞれが自立していてチームが1つになり、キャプテンシーを発揮しているところが野球と一緒」と親和性を見いだし、オフには母校である東海大の試合を観戦するなど大のフリーク。「選手たちの息づかいが聞こえてくるし、迫力がありますね。ああいう迫力を出せるように、我々も見習わないといけない」とリスペクトしている。 代表戦も大好きで、15年W杯の南アフリカ戦後には「見事。最も番狂わせの起こりにくいスポーツだと思う。すごかった。素晴らしかった。後半の最後は『これぞラグビー』の攻めだった。反則を取られないよう、祈っていた。涙が出そうになりました」と賛辞を並べた。 前回W杯でヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズ氏とは親交が深く、代表候補合宿のミーティングに呼ばれ「世界で戦う心構え」について訓示を行った。ジョーンズ氏は宮崎キャンプや東京ドームを訪問し、阿部や大田(現日本ハム)をスカウトしたことも。

◆巨人・大城卓三捕手(26)が29日、広島23回戦(東京ドーム)に「7番・捕手」で先発出場。1点を追う二回1死一、二塁から、右翼線への2点二塁打を放った。  「フルカウントだったので、ゾーンにきた球を集中して打ちにいきました。桜井も頑張っているので、逆転できてよかったです」  相手の先発でエース右腕・大瀬良が投じた6球目、142キロのカットボールに体勢を崩されながらうまく対応。最後は片手一本で右翼線に運んだ。

◆巨人・岡本和真内野手(23)が29日、広島23回戦(東京ドーム)に「4番・三塁」で先発出場。2点をリードした三回無死一、三塁から右翼席へ26号3ランを放った。  「最低でも外野フライという気持ちで打ちにいきましたが、最高の結果になりましたね! 逆方向にいいホームランになりました」  相手の先発右腕でエース・大瀬良が投じた1球目、外角高めのカットボールを振り抜いた。前日に続く2試合連発。この日はテレビ中継の解説のため、球団OBで米大リーグ、ヤンキースのゼネラルマネジャー付特別アドバイザーの松井秀喜氏(45)が来場。キャンプで指導を受けた経験もある大先輩の前で、逆方向にアーチをかけた。

◆巨人・丸佳浩外野手(30)が29日、広島23回戦(東京ドーム)に「3番・中堅」で先発出場。打者一巡して迎えた三回2死満塁から、バックスクリーンへ23号満弾をたたき込んだ。  「最近いいスイングができていなかったので、自分の中で『いいスイングをしよう!』と心がけました。最高の結果になりました」  相手の2番手左腕・塹江が投じた3球目を捉え、24日のDeNA戦(東京ドーム)以来、4試合ぶりの一発。広島から移籍した今季、初となるグランドスラムでリードを広げた。

◆満を持してのマウンドで広島のエース大瀬良が崩れた。「強い気持ちはあるし、プレッシャーもある。力に変えて、いい結果をもたらすことができるように一生懸命、頑張りたい」。逆転優勝を狙い、中5日での先発に気合十分だったが、結果は自己ワーストに並ぶ10失点。今季最短の2回1/3でKOされた。  1-0の二回は連続四死球でピンチを招き、大城に得意のカットボールを右翼線に運ばれて逆転された。めった打ちに遭った三回も亀井の四球から。坂本勇、丸の連打で3点目を失い、岡本には右翼ポール際に3点本塁打をたたき込まれた。さらに外野陣の球際の弱さや拙守も重なり、3者続けての二塁打に...。流れを止められずに降板。代わった塹江は2死後に丸に満塁本塁打を浴びた。  28日の野村に続き、負けられないヤマ場で背信の投球。DeNA戦先発から1日前倒ししてのエース投入は完全に裏目に出た。

◆巨人の桜井は攻める気持ちを思い出して7回を3失点にまとめ、8勝目を手にした。一回から直球でぐいぐい押した効果は大きく、三回には3球続けたカーブで会沢を空振り三振。大量援護にも気を緩めず、力を込めた114球に「体力は使い果たした」と晴れやかな表情だった。  前回23日のDeNA戦は3回5失点。3敗目を喫した試合後に原監督から「おまえはどんな投手を目指しているんだ」と活を入れられたという。初心に帰って立ち直ることができ「期待されているのも感じた。本当にありがたい」と感謝した。 大城(二回に逆転の2点二塁打を放つなど、2安打4打点) 「追い込まれてもしっかり自分のスイングができた」 山下航(育成選手から7月に支配下選手登録。途中から左翼の守備でプロ初出場) 「やっぱり2軍とは違う雰囲気で緊張したが、丸さんが『守備位置を言うから俺の方を見ておけよ』と言ってくれた。安心してできた」

◆バックスクリーンでボールが弾むと、G党から大歓声があがった。三回。移籍後初の満塁弾を古巣から放った丸は「最高の結果」と喜んだ。猛攻を仕掛け、この回すでに6得点。この回2度目の打席に、グランドスラムでトドメを刺した。  前の打席の適時打と合わせて1イニング5打点は、球団最多タイ。背番号8の先輩でもある高田繁が1972年に記録して以来、47年ぶりで、川上哲治(1948年に2度)、高田に続く球団史上3人目(4度目)として名を残した。岡本との"OM砲"アベックアーチにもなり、「みんながつないだ結果。思い残すことはない」と笑った。

◆桜井が直球で攻めるスタイルを貫き、7回3失点で8勝目(3敗)を挙げた。変化球に頼って3回で降板した23日のDeNA戦後、原監督に呼ばれ「お前はどんな投手を目指してるんだ」と厳しい言葉を投げかけられたという。意地の好投を披露し、「初回からぶっ飛ばしていくぞと思っていた。リベンジの気持ちでいきました」と心地よい汗を拭った。

◆松井氏と高橋氏が、日本テレビ系の中継で初めてダブル解説を行った。松井氏は岡本について「彼の魅力ですね。逆方向に打てるのは、今の野球には必要。去年、下半身(が大事)という話はした。彼が覚えているか分からないけれど、できている」と語った。中継では、三回の攻撃中に交代した阿部に言及。松井氏が「早いですね。ここ(解説席)に呼びますかね」と笑わせ、高橋氏が「勝負どころで出番が増えてくるでしょう」と話すシーンもあった。

◆広島は、逆転優勝へのいちるの望みを託して中5日で首位巨人にぶつけたエース、大瀬良が大炎上。7安打を浴び、自己ワーストタイの10失点、今季最短の2回1/3でKOされ、8敗目を喫した。  「本当に情けないです。期待して投げさせてもらって、結果を残すことができなかった。チームに申し訳ない」  1-0の二回に大城に右翼線へ逆転の二塁打を浴びた。三回には丸の左越え適時打を皮切りに、岡本に3ラン、大城に2点二塁打を許し、そこまででこの回6失点。10人目の打者、1番・亀井に回ったところで降板となり、2番手・塹江が丸にトドメの満塁本塁打を浴びた。  巨人3連戦は1勝2敗で負け越し。残り20試合でゲーム差は7・5に広がり、セ・リーグ4連覇は絶望的な状況となった。 (柏村翔)

◆巨人は29日、広島23回戦(東京ドーム)に12-4で大勝。優勝へのマジックナンバーを1つ減らして「18」とした。三回に岡本和真内野手(23)の26号3ランなど7安打10得点で、2015年8月19日の阪神戦の五回(12点)以来、4年ぶりに1イニング2桁得点。球団OBでヤンキース・ゼネラルマネジャー付特別アドバイザーの松井秀喜氏(45)と、前監督の高橋由伸氏(44)がテレビ中継の解説で来場する中、まな弟子が躍動した。  東京ドームは沸きに沸いた。2点をリードした直後の三回無死一、三塁で、岡本が右翼席へ26号3ラン。バットを振り抜き、ゆっくり走り始めると、手のひらの感触を確かめながらうなずいた。  「最低でも外野フライという気持ちで打ちにいきましたが、最高の結果になりました! 逆方向にいいホームランになりました」  体勢を崩されず、捉えた。相手先発・大瀬良が投じた1球目だ。外角高めに来た137キロのカットボールに対して右足に体重を乗せ、右方向へ運んだ。2戦連発の一撃が打線を勢いづけた。  この回、6連打を含む7安打10得点と打者一巡の猛攻。丸が4年ぶりの満塁弾を放つなど、2015年8月19日の阪神戦の五回(12点)以来、4年ぶりに1イニング2桁得点を記録した。優勝を争う広島のエースを三回途中でKO。前日も好投手・野村を粉砕しており、クライマックスシリーズに向けての"予行演習"もバッチリだ。  偉大なOB2人の前で、成長した姿を見せた。この日はテレビ中継の解説として、現在はヤンキースの職に就く松井秀喜氏と、球団の特別顧問を務める高橋由伸氏が来場。ともに巨人の「生え抜き4番」として、重圧と戦ってきた先輩だ。  昨春のキャンプで、臨時コーチとして訪れた松井氏から直接指導を受けた。「頑張れよ」と背中を押された昨季は史上最年少で「打率3割、30本塁打、100打点」を記録するなどブレーク。14年のドラフト指名後、ジャイアンツ寮を見学した際には、素振りのため畳が傷んだ「松井部屋」を見て「これぐらい努力しないとすごい選手にはなれない」と感銘を受けた岡本は、今やしっかりと4番を守っている。  そして、もう一人の"師匠"が高橋氏。昨季は監督として、シーズン途中から4番を任せてくれた。結果が出なくても我慢強く起用してくれたからこそ、「シーズン終盤は疲れで下半身が使えなくなってくる」と、1年間戦う難しさを学んだ。オフには週4度のトレーニングで下半身を鍛え上げた。筋肉量は増え、17-18%だった体脂肪率は今春のキャンプイン時点で約15%。お菓子やジュースも断ち、1年間フルで戦えるボディーを作り上げるきっかけをくれたのも高橋氏だった。  マジックは1つ減って「18」。4番の大先輩である原監督も岡本の一発を「見事ですね。初球をライト方向に打てるというのは、精神的にも集中力ができていた」とたたえた。残り24試合。主砲のバットが勢いを加速させる。 (赤尾裕希)

◆試合は三回でほぼ決まった。三回の6連打や岡本、丸のホームランが目立つけれど、走塁のうまさが大量得点につながった。  二回は1死一、二塁で大城が右翼線に二塁打。このときの一走・ゲレーロは間一髪のホームインだったが、積極的な走塁で三塁の元木ベースコーチの判断もよかった。  大差がつく試合は1シーズンに何度もないが、普段からこういうことをやっていれば、勝ち星につながるし、クライマックスシリーズ(CS)や日本シリーズなど短期決戦こそ、細かいプレーが勝負を左右する。  広島はエースの大瀬良が三回に大きく崩れたが、外野陣にも記録に残らないミスが多く出た。マジック18となった巨人の優勝はほぼ間違いないと思う。2位・DeNA、3位・広島はともに巨人と互角の戦いを繰り広げているが、CS以降は、緻密な野球とミスをしないチームが勝ち上がるだろう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆広島は、逆転優勝へのいちるの望みを託して中5日で首位巨人にぶつけたエース、大瀬良が大炎上。7安打を浴び、自己ワーストタイの10失点、今季最短の2回1/3でKOされ、8敗目を喫した。  元広島投手の北別府学氏(62)はブログで大瀬良について、「長い野球人生において エースといえども時にはこのような無様な投球を見せてしまうこともあります」とねぎらった。  巨人3連戦は1勝2敗で負け越し。残り20試合でゲーム差は7・5に広がり、セ・リーグ4連覇は絶望的な状況となったが、「まだジァイアンツの優勝が決まったわけでは無いですし、ここはなんとか踏ん張り意地を見せないと後ろがみえてきます」と奮起を促していた。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
67502 0.573
(↑0.004)
M18
(↑1)
24570
(+12)
472
(+4)
153
(+2)
68
(-)
0.259
(-)
3.690
(-)
2
(-)
DeNA
63563 0.529
(↑0.004)
5
(-)
21508
(+4)
499
(+2)
134
(-)
37
(-)
0.247
(↑0.001)
3.790
(↑0.02)
3
(-)
広島
61593 0.508
(↓0.005)
7.5
(↓1)
20510
(+4)
515
(+12)
121
(+1)
68
(-)
0.253
(-)
3.690
(↓0.08)
4
(-)
阪神
55596 0.482
(-)
10.5
(↓0.5)
23444
(-)
493
(-)
82
(-)
78
(-)
0.250
(-)
3.550
(-)
5
(-)
中日
53632 0.457
(-)
13.5
(↓0.5)
25456
(-)
470
(-)
77
(-)
59
(-)
0.263
(-)
3.900
(-)
6
(-)
ヤクルト
48722 0.400
(↓0.003)
20.5
(↓1)
21557
(+2)
623
(+4)
145
(-)
53
(+3)
0.246
(↓0.001)
4.680
(-)