ヤクルト(★1対10☆)阪神 =オープン戦2回戦(2019.03.20)・明治神宮=
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阪神
503100100101215
ヤクルト
1000000001510
勝利投手:青柳 晃洋(2勝0敗0S)
敗戦投手:星 知弥(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(3号・1回表3ラン),ナバーロ(1号・1回表ソロ),糸原 健斗(1号・1回表ソロ),ナバーロ(2号・3回表2ラン),梅野 隆太郎(1号・3回表ソロ)

  DAZN
◆ヤクルトは、先発・星が3回途中7失点。開幕ローテーション入りへ結果を残すことができなかった。一方の阪神は、5本の本塁打が飛び出すなど12安打10得点。開幕戦の相手に対して一発攻勢で快勝した。

◆阪神ドラフト3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)が初回に右前打を放ち、オープン戦17安打目を記録した。 オープン戦安打数の球団新人記録(80年以降)は16年に高山が記録した17本で、球団最多タイとなった。 開幕スタメンを目掛けて、新顔がアピールを続ける。

◆阪神大山悠輔内野手(24)が先制3号3ランを左翼席に放り込んだ。 「94年組」が躍動した。1番木浪、2番近本の新顔コンビが作った好機を4番大山が決めた。初回1死一、二塁。ヤクルト先発の星が投じた130キロカットボールを捉えた。 勢いづいた「19年型猛虎打線」は、6番ナバーロ、7番糸原にもアーチが飛び出して、初回に5点を奪った。

◆阪神エフレン・ナバーロ内野手(32)が左方向に2打席連発で、開幕スタメン入りをアピールした。 初回、ヤクルト先発の星が投じた初球148キロを強振。鍛えたパワーで1号ソロを左翼スタンドまで運んだ。1本では終わらない。3回1死一塁の第2打席でも、星の142キロ直球を捉えて2号2ランを左翼スタンドまで届かせた。 新助っ人のジェフリー・マルテ内野手(27=エンゼルス)は、右ふくらはぎ痛の影響で、今回の関東3連戦には帯同しておらず、関西で調整中。ここがアピールチャンスと言わんばかりに、来日2年目のナバーロが、バットでアピールを続けている。

◆ヤクルトのつば九郎が際どい時事ネタで球場を盛り上げた。 阪神戦の7回、ラッキーセブンの攻撃前に「東京音頭」が流れる中、一塁ベンチ前に登場した。丸イスの上に音に合わせて踊る「ダンシングつば九郎」を置き、おなじみのフリップ芸で商品をアピール。フリップの2枚目をめくると「『いだてん』のだいやくねらってます」とコカインを使用したとして逮捕されたピエール瀧容疑者ネタを披露し、球場の笑いを誘った。

◆開幕ローテ入りを確実にしている阪神青柳晃洋投手(25)が6回4安打1失点と好投した。 初回に先頭坂口の右翼線二塁打(右翼糸井のファンブルで三進)、続く青木の中前適時打でいきなり失点。だが、2回以降はツバメ打線を寄せ付けずゼロ行進。得意のスライダー、シュートをコーナーにズバッと決まり最少失点で切り抜けた。

◆ヤクルト塩見泰隆外野手が同級生対決に敗れた。阪神先発の青柳は帝京大野球部の同期。 遊ゴロ、空振り三振、見逃し三振と3打数無安打に抑え込まれ「完敗です。大学の時よりも良くなっていた。今日は打てると思っていたんですけど、いい投手です」と苦笑い。「今日、電話かけておきます」と親しい間柄をにじませ、シーズンでの再戦を願った。

◆ヤクルト星知弥投手の2軍降格が決まった。 開幕ローテ入りをかけて阪神戦に先発も2回1/3を投げて4本塁打を浴びるなど6安打7失点。「見ての通りです。変化球が決まらなかった。カウント球だったりを投げられるようにするのが課題」とうなだれた。 田畑投手コーチは「競争に負けて明日からファームに行く。どこまで意識してできるか」と奮起を期待した。

◆ベテラン阪神鳥谷敬内野手も調子を上げている。7回2死一塁で代打で登場。 風張のスライダーを完璧に捉え、右中間へ適時二塁打を放った。「今の時期は打席に立てればいい。それを重ねていくだけです」。前日は10日ぶりにスタメン出場して1安打1打点1盗塁。この日で出場4試合連続安打とし、オープン戦打率を3割ジャストに乗せた。

◆阪神3番糸井嘉男外野手も状態の良さをアピールした。 2打席凡退で迎えた4回2死の第3打席で、左腕中沢の137キロを右中間へ二塁打。大山の四球を挟み、福留の右前適時打でホームにかえった。「(聞く相手は)福留さんでしょ?」とにやり。古傷の右膝炎症で今季初実戦は16日までズレ込んだが、出場4試合で打率5割と結果を残し続けている。

◆ヤクルト梅野雄吾投手が今季初の連投で結果を示した。9回から7番手で登板。最速149キロの直球をコースに投げきり、19日に続いて無安打無失点に抑えた。 開幕後を見据えた起用に「この時期に連投できたので、生かしたい」と手応えを口にした。勝利の方程式入りへ「クイックでスピードが落ちた。今後の課題にしたい」と総仕上げに入る。

◆阪神が本番想定の必勝リレーでゼロを並べた。7回から2番手能見篤史投手が左打者2人を抑えると、代打山田哲人にすぐさま桑原謙太朗投手へスイッチ。スライダーで空振り三振に仕留めた。 点差は開いていたが、8回にジョンソン、9回は藤川と流れるような継投。矢野燿大監督は「そういうことをあまりしてなかった。そういうふうに作っていくことがお互いのためにもなる」と、オープン戦残り4試合でもシーズンを見据えた継投を試す。

◆阪神の9回は藤川球児投手が締めくくった。先頭広岡と代打大引はともに145キロの真っすぐで凡打。 塩見には144キロを左中間二塁打にされたが、最後は荒木を146キロで中飛に仕留めた。「まだ(シーズンは)始まってない。まだまだ途上」とさらり。最速148キロだったが「これからもっと上がってくる。調子がいいとか悪いとかじゃない」と貫禄たっぷりだった。

◆阪神ドラフト1位の近本光司内野手(24=大阪ガス)も、初回の一挙5得点に一役買った。先頭木浪に続いて、星の初球142キロをとらえて右前へクリーンヒット。チャンスメークで大山の3ランなどを呼び込んだ。 「しっかり初球から準備できていたので」。8回にもマクガフから三塁内野安打を放ち、オープン戦5度目のマルチ安打で、打率3割6厘と好調を維持している。4回の中堅守備では、前方への雄平の飛球にダイビングキャッチを試みたが1歩及ばず。「あの守備は練習。可能性を広げられたら」と貪欲だった。

◆来日2年目の阪神エフレン・ナバーロ内野手(32)が来日初の1試合2本塁打で開幕スタメンに前進だ。 オフに鍛え上げたパワーを見せつけたのは1回だ。大山の3ランの余韻が残る中、星の速球を強振。緩いフォローの風に乗って、黄色い左翼席に吸い込まれた。 お祭り騒ぎの三塁側ベンチ。右腕を突き上げて力こぶを作り、指さしたのは矢野監督だ。パワーアップをたたえるジェスチャーにN砲も笑う。3回も再び星の速球をとらえて2ラン。2打席連続アーチに指揮官も胸をなでおろした。 「(投手の)右左をそんなに気にしない。対応能力もある打者。そこに長打力が出てくれば、より心強い打者になってくれると思う。結果が出ると、こっちとしても安心できる。心強い打撃を見せてくれた」 ナバーロの覚醒は、チームにとって収穫だろう。大砲候補の新外国人マルテが16日に右ふくらはぎの張りを訴え、前日19日からの関東遠征3試合を欠場。開幕を万全に迎えるのが難しい状況だが、ライバル不在のチャンスを生かした。2月の沖縄・宜野座キャンプから外国人枠も競争させる方針。開幕メンバーの決定はまだ先になるが、指揮官に強烈な存在感を示した。 「勝負を決める打撃をできる打者という印象はもともとある。勝負強くて、さらに長打力という形になって、あの打順にいれば、すごく相手にとっては嫌な打者になっていくと思う。このままいってくれたらな」 昨季途中に入団して3本塁打。アベレージヒッターの印象だが、長打力アップを目指して筋力強化に明け暮れた。両腕や胸板はたくましさを増し、成果を示した。ナバーロは言う。「センターから逆方向にと思って取り組んできた。それができたのはよかった。自分としても、力強くなっている」。もはや、代役にとどまらない。イメージチェンジすれば、助っ人として脅威が増す。【酒井俊作】

◆4番の一撃で暗雲一掃だ! 阪神大山悠輔内野手(24)が、ヤクルトとのオープン戦(神宮)の初回にリーグトップタイとなる先制の3号3ランを放った。「19年型猛虎打線」に火をつけ、9シーズンぶりにオープン戦で1試合5発が飛び出した。昨季、最下位確定など多くの苦汁をなめた神宮で大勝。29日からの開幕カードで対戦するヤクルトを退け、準備を整えた。4番大山は失投を見逃さなかった。初回1死一、二塁でヤクルト星のど真ん中への130キロカットボールを狙い澄ましてスイング。白球は高い放物線を描いて、左翼席に着弾した。手応えありの1発はリーグ最多に並ぶ先制の3ラン。ベンチ前でナインに迎えられ、背番号3はニンマリした。 「(本塁打は)よかったと思います。(4番は)そのとき、そのときの役割があるので、しっかり頑張ります」 初回から「94年組」が躍動した。ドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)、同1位近本光司外野手(24=大阪ガス)の新顔1、2番コンビが連打で先制機を演出。このチャンスで同じく24歳の大山がガツンと一撃をかました。4番のアーチを皮切りに打線が火を噴いた。ナバーロ、糸原の連続アーチも飛び出して初回に一挙5得点。3回にはナバーロが2打席連発、梅野も1号ソロで続き、1試合5発をマークした。真夏の夜空ではないが、一足先に「神宮花火大会」をやってみせた。 昨季の神宮では苦い記憶を残した。チームとしては9月19日にV逸、10月8日には最下位が決定...。6月末には糸井が死球を受けて右足骨折で離脱し、岩田、岩貞の危険球退場などもあった。終盤にはヤクルト相手に公式戦10連敗フィニッシュ...。そんな苦手意識を拭い去るように、開幕カード前哨戦に2桁得点で大勝。「ヤク払い」に大成功だ。 勝利を呼び寄せた大山のアーチに、矢野監督は「全体的にいい打席が増えている。キャンプ、オープン戦の終盤になってきて、こういう形で入れるようになってきたというのは、いいこと。自信を持っていってもらったらいい」と背中を押した。開幕戦も4番起用が決定的。3番糸井、5番福留の頼もしいベテランに挟まれた若武者が、どっしりと構える。【真柴健】

◆阪神のドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)が、オープン戦球団新人最多の17安打(80年以降)に並んだ。1番遊撃で出場すると、初回の第1打席にヤクルト星の143キロ直球を捉えて右前打。16年にルーキーだった高山がオープン戦で記録した数字に到達し、「1番で出ていて初回に出るということを意識しているので」と振り返った。 ただ、その表情は決して明るくない。初回にチーム5安打5得点と大爆発の火付け役となったが、2回に四球をもぎ取った後は3連続三振。いずれも先頭で迎えた打席でチャンスを作れなかった。木浪は「1打席目は良かったんですけど、四球の後の3打席は反省です」と悔しさをにじませた。オープン戦最多安打で並ぶヤクルト塩見を突き放すこともできなかった。 求められるレベルは高い。矢野監督は「ライバルだっているわけやから。トリ(鳥谷)だって、あそこでいいヒットを打っている。北條だって内容のある打撃守備をしている。それは1日1本ではレギュラーになりにくいところ」と、ゲキを飛ばす。開幕1番ショートを確定させるためにも、もっともっと打ちまくる。【桝井聡】 ▼阪神の新人木浪が20日のヤクルト戦も1安打し、9試合連続安打。オープン戦の安打数が17本となり、オープン戦の球団新人最多安打(80年以降)の16年高山に並んだ。木浪は13試合に出場し、3月3日のソフトバンク戦以外の12試合で安打を放っている。残りは4試合あり、現在のペースなら球団記録の更新は間違いなさそうだ。

◆阪神のドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)が、オープン戦球団新人最多の17安打(80年以降)に並んだ。 青森に住む木浪の両親が、応援のため車で神宮球場へ駆けつけた。記録となる17安打目に父弘二さん(51)は「まさか、ここまで打つとは。(オープン戦で)20本ぐらい打ってほしいですね」と、笑みを浮かべ長距離移動の疲れも吹き飛んだ様子だった。21日ロッテ戦(ZOZOマリン)も観戦予定。

◆阪神は20日、ヤクルトとのオープン戦(神宮)の一回に大山、ナバーロ、糸原の本塁打で5点を先制した。  一回、先頭のD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)がオープン戦球団新人記録に並ぶ17安打目を右前打でマーク。D1位・近本光司外野手(大阪ガス)も右前打で続くと、打線に火がついた。  1死後、大山が左中間へ3ラン。2死後、ナバーロが左翼スタンドぎりぎりへソロを放つと、糸原もバックスクリーンへソロを放り込み、連続弾。ヤクルトの先発・星から3本塁打で5点を先制した。

◆阪神は20日、ヤクルトとのオープン戦(神宮)で打線が爆発、5アーチを放ち、10-1で圧勝した。  一回には1死一、二塁から4番大山が左中間に3号3ランを放ち、先制。2死後、ナバーロ、糸原の2者連続ソロアーチで5点を奪った。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は一回、右前打を放ち、オープン戦17安打とし、高山俊のオープン戦球団新人記録に並んだ。  三回には1死からナバーロが左翼席に2打席連続アーチとなる2ランを放って追加点。さらに2死走者なしから梅野が左翼へソロを放ち、9-1とリードを大きく広げた。  七回には代打鳥谷の右中間適時二塁打で10-1とした。  先発青柳は6回を投げ、4安打1失点(自責点は0)。開幕ローテ入りを確実にした。七回以降は能見、桑原、ジョンソン、藤川のリレーで0点に抑えた。  阪神は29日の開幕戦で対戦するヤクルトに勝利。昨年終盤、オープン戦と続いていたヤクルト戦での連敗を11で止め、オープン戦通算4勝8敗1分けとなった。

◆先発枠入りを狙っていたヤクルトの星は2回1/3を投げ、4本塁打を含む6安打7失点と崩れて2軍降格が決まった。変化球でストライクが取れず、速球を狙い打たれ「見ての通り。変化球が良くならないと」と肩を落とした。  一回は大山に3ランを浴び、2死からナバーロ、糸原にも連続本塁打された。三回にナバーロに2打席連続の本塁打を許したところで降板。小川監督は「今日の感じでは厳しい」と渋い表情で話した。

◆阪神・大山悠輔内野手(24)が20日、ヤクルト戦(神宮)で一回に3号3ラン。昨季から11連敗中だったヤクルトに、一回から3本塁打5得点の猛攻の口火を切った。  「自分が出たところでやるしかない。よかったと思います」  一回からビッグイニングを演出した。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)、同1位・近本光司外野手(大阪ガス)の連打で無死一、二塁。糸井が三邪飛に倒れた直後に一振りで勝負を決めた。  カウント1-1からの3球目。ヤクルト先発・星の真ん中130キロカットボールをフルスイングで捉えた。打球はきれいな放物線を描き、左中間席へ着弾。3号3ランで、球場の半分を黄色に染めた虎党を沸かせた。さらに若き4番の後を追うようにナバーロ、糸原にもソロが飛び出し、この回一挙5得点。虎のオープン戦での1試合5発は2010年2月27日のオリックス戦(安芸)以来9年ぶりだ。  阪神は昨季ヤクルトに対し8月18日(神宮)以降10連敗を喫し、10勝15敗。今季も2月23日のオープン戦(浦添)初顔合わせで黒星を喫し、対ヤクルト戦の連敗を「11」まで伸ばしていた。  「その時その時の役割があるので、しっかり頑張ります」  まだまだ虎を勝利へ導く一発を放ち続ける。

◆先発の星は6安打7失点で、2回1/3でノックアウトされた。21日から2軍で再調整を命じられた3年目の右腕は、「変化球が良くならないと...。カウント球と決め球を投げ分けられるように」と言葉少な。4試合連続で一回に失点している先発陣に、小川監督は「オープン戦も残り少ない。投手がしっかりしないといけない」と反省を促した。

◆誰がこんなてんやわんやを想定してました。  そら俺はそろそろ阪神は打ち始めると思てた。な、いうてたやろ...ウソつけ。朝っぱらから顔さえみればボヤキ倒してたのは誰だ。  そうです、むしろ"怪"晴というべき暖かさでした。編集委員上田雅昭は神宮の記者席から、こんな電話をくれました。  「銀座線の外苑前で降りたら、もう新国立競技場がほとんどでき上がっとるからキレイな青空やった。それにさすがに偉容をほこってリンとしている。それをみながら神宮の木立をくぐって球場入りするのは気分がいいですヮ」。  結構シリアスな上田は「そやからきっと今日は阪神が元気を出して勝つと思いますヮ」なんて安っぽいことは言わなかったのです。  それにこの日は元阪神監督の中西太氏(解説者)が試合前の練習から阪神の若手を見つめていた。上田は我がピヨピヨ軍団に「あの人はな...」とかつて"怪童"と呼ばれた猛打者を説明してやりながら、繰り広げられる"臨時野球教室"を眺めていた。今ではすっかり好々爺になられた中西太さんが最強のライオンズの4番として打席でプリプリッと腰をふるとパ・リーグの投手はみんな震え上がったものだ。そのバットをつまようじぐらい軽々と扱って...平和台球場では彼の打球に相手のショートがライナーだと思ってジャンプしたらそのまんま球場のバックスクリーンのはるか上を越えて消えてしまった! 元ヤクルトと阪神の監督...教え方も上手かった。その御利益がこの日は若虎に乗り移ったのか。なんなら球団は開幕シリーズは中西元監督に大好物のイチゴでも送り届けて29日から京セラドーム3連戦に来てもらうのもいいか...。  当然、開幕戦でぶつかる相手のヤクルトだからギトギトの背脂こってりラーメンみたいな味付けの打線を並べるだろうと思ったら虎番サブキャップ長友孝輔は「意外と"塩味打線"というかバレンティンもスタメンに出ていませんし、阪神の若アユたちを少し自由に泳がせてみるか...というのかもしれませんよ」という。  それが、おっとどっこい大波乱。以前から「太流指導」は何度もおどろかされたものである。  だから...まずヤクルト投手陣が度肝を抜かれて、こんなにボカスカ打つなんて...話が違う。  実は試合前に運動部長大澤謙一郎が「コレ差し入れ。食べてください...」と虎ソナ班の席に持ってきたのは届いたばかりの『トラッキー、ラッキー、キー太のイラスト入りタイガースちくわ』だ。これはサンスポが甲子園歴史館でトークショーを開催する際にご協賛いただいているフジミツ(山口県長門市)の新商品で、チーズ入り、ウインナー入り、かにかまの3種類。29日のプロ野球開幕に合わせて、阪神甲子園駅にあるコンビニ、アズナス甲子園などで発売する予定だ。フジミツさんは130年もの歴史を誇り、山口県でトップの練り物製造会社。当然ながらこれが美味い。当番D阿部祐亮は試合の途中であまりにもホームランがバカスカでるものだから「僕の左ウチワはボロボロですヮ」とベタなジョーク。  その午後3時半頃、東京は靖国神社のさくらを気象庁の専門家がおごそかに登場してキー局の実況アナが目の色をかえて取り囲み、それをまた物見高い江戸っ子がワッと囲み...おごそかに「エー、只今咲いたのは4輪...あと1輪が不足ですので...本日は"開花宣言"は出来ません」だと。もう一足先に阪神桜はパッと開花しちゃってるんだぜ、お役人様ァ。  岐阜は清水川堤、大阪は大阪城西の丸庭園、広島は縮景園の桜...ま、もうすぐですぞ、皆様ッ。

◆3年目右腕の梅野が九回に登板し、1回を無安打無失点の好投。「シーズンに向けて連投できたのはよかった」と収穫を明かす一方で、「(味方失策で走者を許し)クイックになってからスピードが落ちた部分があった。そこは今後の課題。一試合一試合、同じフォームで投げられるように」と課題を掲げた。勝利の方程式入りへアピールを続ける。

◆--七回の継投はシーズンを見すえていた  矢野監督 「まあ、そうやね。そういうことをあまりしていなかったし。シーズンになったらああなるだろうというところで、そういうふうにしていくところもね。やっぱり今後、そういうふうに作っていくことが(ベンチと投手)お互いのためにもなると思うんで。そういうふうにできたので良かった」  --八、九回の流れの1つとしてジョンソン、藤川のパターンも  「まあまあね、まだ、まだというか、ジョンソンもずっといい。(勝ちパターンは)シーズン前にもちろんいい形を作りたいけど、ある意味ね、シーズンに絶対合わせないとダメなことはないんで、シーズン中に固まる部分でもいいと思うんで。まあ、みんなの状態が上がっていけば、いろんなオプションを作れるのでいいかなと思います」

◆5発乱れ打ちの締めくくりは梅野だった。三回2死から左翼席にドカンと1号ソロ。「追い込まれて粘っている中で、ある程度のゾーンに来たらと思っていた。見極めてうまく打てました」。淡々と振り返った強打の8番打者は「開幕に向けて、打っちゃいけない球を打ってたら確率を下げてしまうんで」と貪欲にレベルアップを誓っていた。

◆神宮の空に漂う花粉も、燕への苦手意識も吹き飛ばした。ガツンといった打球が一直線に伸びて中堅へ着弾する。オープン戦35打席目で飛び出した今年1号のアピール弾で、新主将・糸原のバットも"開花宣言"だ。  「塁に出ようとした結果が、ホームランになってよかったです」  大勝に力強く貢献し、胸を張った。大山、直前のナバーロの本塁打の余韻が残る一回2死走者なし。2ボールから明大の後輩でもある星の147キロを鋭く振り抜いた。2者連発。虎の猛爆祭りを彩った。ベンチに戻るとうれしいサイレントトリートメント(バラバラで失敗?)が待っていた。  昨季チームで唯一の全試合出場を果たした。二塁争いの主役とみられていたが、打率1割台と思わぬ不振にあえいだ。三塁手としての準備もした。ボテボテの内野安打を放てば「これで変わることもありますから」と自分に暗示をかけながらトンネル脱出を図った。  「感じはいいです。あしたからも頑張っていきたいです」  開幕二塁は、俺に任せろ-。前哨戦で、まさに一発回答。ようやく、糸原らしさが戻ってきた。 (新里公章)

◆"マルテ代役"任せろ! 阪神のエフレン・ナバーロ内野手(32)が一回にソロ、三回に2ランと連発。ジェフリー・マルテ内野手(27)が右ふくらはぎ痛で開幕ピンチの中、培った長打力を証明した。  風はほぼなかった。腕っぷしの強さだけで、真っ青な空へ運び去った。リプレー映像のようにナバーロが描いた2打席連続弾が、ヤクルトも「マルテ不在」のソワソワもふっ飛ばしてしまった。  「きょうはいい打席が多く出た。このままシーズンへ向けてやっていきたい。センターから逆方向へと思っていた。良い感じで打てたので、これを続けていきたい」  大山の先制3ランの熱気も冷めやらぬ一回2死走者なし。「6番・一塁」で先発出場すると初球148キロをかち上げた。グングングングンと伸び、そのまま左翼席最前列にストン。オープン戦1号とすると三回1死一塁でも2打席連続の左越え2ラン。来日初の1試合2発でヤクルト先発・星をKOしてみせた。  途中加入の昨季は3本塁打。1本だけならまだしも、立て続けならば、もうパワーだ。「2打席連発? 何回かあるよ」と不敵に笑った助っ人砲を、矢野監督も「(投手の)右左をそんなに気にしない。対応能力もある打者。そこに長打力というのが出てくれば、こっちとしても心強い。もともと守備うまいんで使いやすい」と絶賛した。  開幕一塁を期待された新助っ人のマルテが、16日に右ふくらはぎの張りを訴えペースダウン。矢野虎の「最初の危機」だった。指揮官も「最後には決めるしかない。いい悩みはあった方がいい」とマルテ待ちを悩みつつ、N砲について「あの打順(6番)にいれば、すごく相手にとっては嫌」と期待を隠さない。  1月に伊藤隼と合同で行った米ロサンゼルスでの自主トレでは、ヨガの動きを取り入れ、腰から重さ20キロはあろうかという鉄球をぶらさげてのトレーニングを行うなど体をいじめ抜いた。甲子園でのオープン戦で再会した巨人・ゲレーロにも「すごい体が大きくなったな!!」とビビらせた。  「自分としても力強くなっていると思う。結果が出るようになっていると感じるよ」  当初メッセンジャーを除けば「第5の助っ人」となるはずだった。蓄えてきた脅威のパワーで、このままチームを救ってしまうかもしれない。 (長友孝輔)

◆燕撃破の先制パンチや!! 阪神・大山悠輔内野手(24)が20日、ヤクルト戦(神宮)で一回に3号3ラン。昨季から11連敗中だったヤクルトに、一回から3本塁打5得点の猛攻の口火を切った。開幕カードでぶつかる相手に締めて5発をお見舞いし、虎の打ち上げ花火も満開や!!  東京の桜の開花宣言より一足先に、虎が燕に負けま宣言!!  「3・29」の相手であるヤクルトを5本塁打10得点で粉砕した。起爆剤となったのは他でもない、4番大山の一発だ。  「自分が出たところでやるしかない。よかったと思います」  一回からビッグイニングを演出した。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)、同1位・近本光司外野手(大阪ガス)の連打で無死一、二塁。糸井が三邪飛に倒れた直後に一振りで勝負を決めた。  カウント1-1からの3球目。ヤクルト先発・星の真ん中130キロカットボールをフルスイングで捉えた。打球はきれいな放物線を描き、左中間席へ着弾。3号3ランで、球場の半分を黄色に染めた虎党を沸かせた。さらに若き4番の後を追うようにナバーロ、糸原にもソロが飛び出し、この回一挙5得点。虎のオープン戦での1試合5発は2010年2月27日のオリックス戦(安芸)以来9年ぶりだ。  阪神は昨季ヤクルトに対し8月19日(神宮)から10連敗を喫し、10勝15敗。今年も2月23日のオープン戦(浦添)初顔合わせで黒星を喫し、連敗を「11」にまで伸ばしていた。このまま開幕カードでも引きずってしまうのか-。そんな不安を吹き飛ばす一発攻勢に、矢野監督も「ホームランがこんなにポンポン出るというのも、そんなに多くないかもしれないけど。でも打てない打線でもないと思うんでね、いい形で行けるかなとは思う」と満足顔だ。  生で観たレジェンドの雄姿が、まだ瞼の裏に鮮明に残っていた。18日の移動日。全体練習が休みだったこの日、新大阪から東京に入ると、足を運んだ先は東京ドームだった。先輩の坂本を誘い、「巨人-マリナーズ」を三塁側の内野席で観戦。お目当てはイチローだった。安打を放つ姿こそ見られなかったが、その一挙手一投足には球場全体から割れんばかりの歓声が沸き起こる。戦う舞台もキャリアも雲の上の存在だが、同じプロ野球選手。アスリートとしてプレーでファンを喜ばせる姿に、刺激を受けないわけがなかった。  どれだけつまずいても、早い段階から大山を4番に定めることを明言していた指揮官は「こういう形で(開幕に)入れるようになってきたというのはいいこと。自信を持っていってもらったらいい」とうなずいた。  勝てば大統領、負ければ-。これが、虎の4番。想像を絶する重圧に打ち勝てばチームを押し上げることができる。  「その時その時の役割があるので、しっかり頑張ります」  まだまだ虎を勝利へ導く一発を放ち続ける。いよいよ、シーズン開幕。「3・29」から燕を打ち砕く準備はできている。 (箭内桃子) 大山について阪神・浜中打撃コーチ 「4番として自信を持って行ける。準備もしっかりできていると思う。4番としての役割を果たしてくれた」

◆この日の並びで、6番にマルテかナバーロが入る打順が開幕スタメンになるのではないか。新打線の威力が顕著だったのが一回の攻撃。1、2番のルーキーコンビが好機を作り、4番大山の長打で返す。理想的だった。  個人的意見を言わせてもらえれば、1番に盗塁のできる近本、2番に三振の少ない糸原の並びの方が嫌。あえて2番近本の理由は外角球への対応のうまさだ。この日は右前に引っ張ったが、左中間から左に打てるのが近本の持ち味。木浪が出塁した際、近本に対し相手は引っ張らせないようにと外角攻めをしてくる。  そこで流し打ちが得意な近本に「引っ張らなくてOK」の指示を出す。超積極的な矢野監督ならでは意図が垣間見える。  好調を維持し続ける2人だが、打席を重ねる中で一流の左腕にはまだまだ苦労しそうな予感はある。長いスパンの固定は難しいかもしれない。でも、その時の1、2番候補には糸原、上本、北條らがいる。層は間違いなく厚くなっている。  4番大山も本塁打の後の2打席の四球がいい。無理に狙いにいかなくても、5番福留以下につなげば...の気持ちでいい。試行錯誤は続くだろうが、面白い打線が組めるのではないか。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(2↑)
ソフトバンク
830 0.727
(↑0.027)
-
(↓0.5)
43
(+4)
37
(+3)
10
(+1)
6
(-)
0.242
(↑0.004)
3.270
(↑0.13)
2
(1↓)
広島
732 0.700
(↓0.078)
0.5
(↑0.5)
51
(-)
40
(+1)
7
(-)
5
(+1)
0.232
(↓0.006)
3.280
(↑0.17)
3
(1↓)
楽天
631 0.667
(↓0.083)
1
(↓0.5)
48
(+3)
33
(+4)
7
(-)
7
(+1)
0.251
(↓0.008)
2.830
(↓0.16)
4
(-)
ORIX
742 0.636
(↑0.036)
1
(↑0.5)
50
(+2)
40
(-)
8
(-)
15
(-)
0.262
(↓0.006)
1.940
(↑0.16)
5
(-)
巨人
850 0.615
(↑0.032)
1
(↑0.5)
52
(+6)
51
(+3)
10
(+1)
10
(+2)
0.236
(↑0.004)
3.790
(↑0.07)
6
(2↑)
DeNA
563 0.455
(↑0.055)
3
(↑0.5)
48
(+1)
58
(-)
11
(-)
4
(-)
0.247
(↑0.001)
3.790
(↑0.31)
6
(2↑)
西武
561 0.455
(↑0.055)
3
(↑0.5)
51
(+3)
57
(+1)
6
(+1)
16
(+2)
0.254
(↑0.005)
3.580
(↑0.24)
8
(2↓)
ロッテ
461 0.400
(↓0.044)
3.5
(↓0.5)
46
(+1)
43
(+3)
7
(+1)
10
(+1)
0.238
(↓0.003)
3.710
(↑0.03)
9
(2↓)
日本ハム
352 0.375
(↓0.054)
3.5
(↓0.5)
44
(+3)
38
(+6)
13
(+1)
7
(-)
0.271
(↓0.008)
3.870
(↓0.29)
10
(-)
ヤクルト
590 0.357
(↓0.028)
4.5
(↓0.5)
59
(+1)
70
(+10)
13
(-)
17
(+1)
0.249
(↓0.006)
4.410
(↓0.44)
10
(-)
中日
591 0.357
(↓0.028)
4.5
(↓0.5)
37
(-)
49
(+2)
6
(-)
6
(-)
0.205
(↓0.003)
3.090
(↑0.15)
12
(-)
阪神
481 0.333
(↑0.06)
4.5
(↑0.5)
43
(+10)
56
(+1)
10
(+5)
13
(-)
0.231
(↑0.007
4.050
(↑0.36)