阪神(★3対7☆)DeNA =リーグ戦8回戦(2020.08.01)・阪神甲子園球場=
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DeNA
10012110171305
阪神
0002000103710
勝利投手:今永 昇太(4勝2敗0S)
敗戦投手:西 勇輝(2勝3敗0S)

本塁打
【DeNA】ソト(8号・1回表ソロ),大和(2号・4回表ソロ),佐野 恵太(5号・5回表2ラン),宮﨑 敏郎(7号・6回表ソロ),梶谷 隆幸(8号・7回表ソロ)

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◆DeNAは2-2で迎えた5回表、佐野の2ランで勝ち越しに成功する。続く6回には宮崎のソロ、7回には梶谷のソロが飛び出すなど、一発攻勢でリードを広げた。投げては、先発・今永が7回2失点の好投で今季4勝目。敗れた阪神は、先発・西勇が試合をつくれなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、DeNAが今永昇太投手(26)だ。阪神は2連敗中で、前日7月31日の同カードを引き分けた。エース対決になった8月初戦で連敗脱出を図る。

◆DeNAタイラー・オースティン内野手(28)が、首の張りのためベンチ入りメンバーから外れた。 前日7月31日の同カード、6回2死の右翼守備で阪神ボーアの大飛球を追い激しくフェンスに激突。捕球できず二塁打とされ、その場にうずくまったが、すぐに復帰してプレーを続け、7回には同点適時打も放っていた。 試合前にオンライン取材に応じたラミレス監督は「試合後に衝突で首に違和感や張りがあると言っていて、今日もまだ張りがあったので、ラインアップから外しました」と説明した。 走攻守で全力プレーを続ける新助っ人は、これまでも右肘上部の張りや左太ももの張りで、たびたび欠場。7月13日には右手人さし指痛で登録抹消となり、同23日に再登録された。

◆「ウル虎の夏2020」のイベントとして、現在はタイガースアカデミーコーチを務めるOB今成亮太氏(32)が試合前に登場。「ものまね」でスタメン紹介を行った。 「1番、陽川」のアナウンスが流れると、今成氏は陽川の打撃フォームをまねした後にゴリラポーズ。1番陽川から9番西勇の、そして最後に矢野監督の現役時代のものまねまで披露。自身のものまねをされた選手たちからは笑みがこぼれ、観客を盛り上げた。 スタメン紹介終了後のミニトークタイムでは「梅野選手、目の前にいたんですけど、『僕のはあまり似ていませんでした』と言っていました。一番自信あるのは植田選手ですが、一番面白かったと思います」と笑いを誘った。司会者から要望が多かったと促されると、上本の独特な打撃フォームも見事に再現。その後、試合直前には守備位置に就く選手の呼び出しも行った。 このイベントは「ファンともっと!」プロジェクトの一環として、「ヒーローインタビューをもっと楽しくしてほしい」というファンの意見から実現したもの。阪神が勝利した場合は、今成氏によるヒーローインタビューも行われる予定で、2日も同様に開催される。

◆阪神梅野隆太郎捕手(29)が執念の打撃で同点打を放った。 2点を追う4回1死満塁。今永に追い込まれたあと速球、チェンジアップ、スライダーをことごとくファウルで6球粘った末の11球目を攻略。甘く入ったチェンジアップをとらえて、三遊間を破った。 「負けている場面でしたし、なんとか追いつきたいという一心で打席に入りました。自分の仕事ができて良かったです」。一時は同点に追いつく2点タイムリーで先発西勇をもり立てた。打率はリーグ上位に位置する。打撃好調な司令塔の面目躍如だ。

◆DeNA佐野恵太内野手が左翼ポール直撃の5号2ランを放った。同点の5回2死三塁、西勇の6球目、外角高めを逆らわずに振り抜いた。ここ10試合で5本目となる1発に「コンパクトなスイングで捉えることができました。ランナーが三塁にいた状況だったので、何とかランナーをかえすことを意識して打席に入りました」と笑顔で話した。

◆阪神がエース対決で完敗した。先発西勇輝投手(29)は球が高めに浮き、オリックス時代の15年9月5日日本ハム戦以来、5年ぶりの1試合4被弾でKOされた。 対照的にDeNA先発の今永昇太投手(26)は2点を勝ち越した直後の5回以降、7者連続三振を奪い、阪神打線を圧倒した。阪神は引き分け1戦を挟んで3連敗となり、7月18日以来の借金生活に逆戻りした。

◆DeNAは1回、ソトの8号ソロで先制した。先発今永は3回まで無失点の力投。阪神は3回、2死二塁の好機を生かせず無得点。 阪神は4回に梅野の2点適時打で追いつく。DeNAは6回までに4本塁打の1発攻勢を仕掛け、3点リードで終盤へ。 DeNAは6、7回にも本塁打を放ち、5発7得点で貯金生活へ。今永は4勝目。阪神はエース西勇が踏ん張れず借金1となった。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手が今季初めて甲子園の右翼で先発出場し、転倒してしまった。 3回2死に佐野の右翼線への安打を捕った際、芝生で足を滑らせて転び、三塁打にしてしまった。開幕前の実戦でも甲子園の右翼を守るなど準備を重ねてきたが、今後も精度を上げていく。打撃では8回無死二、三塁で三遊間への深いゴロを遊撃の名手大和に阻まれ、ゴロアウトになった。打点を記録したが、無安打だった。

◆阪神はDeNA今永に7者連続三振の屈辱を味わった。 2点を勝ち越された直後の5回、先頭西勇が空振り三振してから歯が立たない。 6回はサンズ、大山、ボーアのクリーンアップ3人が空振り三振...。中盤は早いカウントからカーブを織り交ぜられて、幻惑された。7回先頭の梅野まで7個のKが並んだ。 矢野監督は「今永とずっと毎日やるわけじゃない。明日は明日の投手が来る」と切り替えた。同一投手から7人連続三振はソフトバンク森唯斗に15年6月10日に喫して以来、球団史上最長タイ。

◆甲子園の一部スタンドが「密集状態」になった。この日、発表された観衆は新型コロナウイルス感染対策のため上限とされている5000人を下回る4968人。だが、前日7月31日までと比べてライト外野席や一塁側ベンチ後方の内野席にファンが片寄っていることは一目瞭然だった。なぜ、このような現象が起こったのか...? 球団は7月10日に、当初の予定通り8月1日から観客の上限を5000人から1万8000人に引き上げてチケットを発売するとリリースした。しかし、政府がイベントの入場者数の制限緩和を見送ったことを受けて、方針を変更せざるを得なくなった。7月23日には8月上旬に主催する5試合(1、2日のDeNA戦と4~6日の巨人戦)で上限5000人を維持すると発表した。 この試合も当初は1万8000人分を売り出す予定だったために、人気のあるライト外野席などから席が埋まっていったとみられる。この日はアルプス席が初めて開放されたが、三塁側アルプス席はわずか数十人。一方、黄色に染まった右翼スタンドからは力強いメガホンの音が鳴り響いた。【桝井聡】

◆DeNAの「つなぎの4番」佐野恵太内野手が決勝5号2ランを含む4打数4安打2打点と爆発した。 二塁打で出ればサイクル安打達成という9回2死の最終打席は左前打で、惜しくも偉業達成はならなかったが、ここ10戦で5本塁打の爆発力で、強力打線をけん引した。 第5打席、小川一平投手の2球目をはじきかえすと、チームメートやベイ党から「行け~」と声援が飛んだ。1度は一塁を回りかけたが、すぐに戻り記録達成ならず。「もちろん打席に入る前に分かってましたけど、さすがにアウトになるなと。もっともっと足が速ければ狙ったかもしれませんが」と苦笑いで振り返った。 アーチ量産態勢に入ったかに見えるが本人は冷静だ。「本塁打が出てからも大きいの意識することなく自分のスイングが出来ている。狙って入るとよくないことが多いので」。地に足をつけて中軸を担っていく。

◆阪神近本光司外野手が、DeNA今永に苦戦する打線のなかで孤軍奮闘した。 復調ぶりを示したのは1回だ。150キロ速球を痛烈なゴロで中前へ。球威がある高めの球にも負けず押し返した。打撃は上昇気配を示しており、3度目の猛打賞をマーク。7月に長らく1割台だった打率を、今年最高の2割4分4厘まで戻した。 矢野監督は「チカが出たら盗塁を想像して、警戒するところではキーになる選手。チカの当たりが出てきているのはプラス材料」と評価した。この日は塁上に立つと脚力も光り、1試合2盗塁。今季12個目の盗塁を積み上げ、セ・リーグトップを独走する。リードオフマンが本調子になれば、得点力アップにつながる。

◆阪神が引き分けを挟んで3連敗となり、7月18日以来の借金生活に逆戻りした。矢野燿大監督(51)の主な一問一答は以下の通り -西勇らしくない投球。長いシーズン、こういうこともある 矢野監督 まあ、あるでしょ。そんなにね、1年間ずっとなかなか簡単には(いかない)。 -疲労もたまる時期 矢野監督 それもあると思うし。それがプロとして1年間戦う難しさでもあるしね。でもそこは経験あるんで、西に任せてます。 -打線は 矢野監督 まあね、流れもあるしね。2点取ったところで、よしというところの(もう)1点というところもある。打線自体のつながりっていうのがね、現状、前回のヤクルトからちょっと打てない。どうしても中継ぎが踏ん張れないっていう形のゲームになってしまっている。 -DeNA今永が良かったと言うよりも自軍の状態を上げることが大事 矢野監督 もちろんそうなんだけど。今永とずっと毎日やるわけじゃないんで。明日は明日のピッチャーが来るので。その中で1人1人が、また状態を上げていくのが大事になってくる。 -近本がいい働き 矢野監督 もちろんチカが出たら、やっぱり盗塁っていうところを想像して、警戒するっていうところで言うとキーになる選手。チカの当たりが出てきてるのは1つプラスの材料。その回数が多くいけば得点になる。返す時のバッティングが今ちょっとね。もちろん、気持ちはみんな返したいっていう気持ちが出てるのもこっちに十分伝わってるし、そこでどれだけ対応していくかというのが、ピッチャーも打たせない、打者も力みが出てくる難しさもあると思う。そこがポイントかな。 -梅野が粘って適時打 矢野監督 頼もしかったね。あんだけ粘ってしぶといヒットでつなげてくれたというのは、本当にあそこでムード変わった。そういうところでは。ワンバウンドもよく止めて、リュウも捕手として大変なことも分かっているし、その中であのヒットというのは、チーム全体にとっても大きいヒットでした。

◆1発攻勢に泣いた夜に、選手会長のバットが火を噴いた。阪神梅野隆太郎捕手(29)が連夜の快音を響かせた。 0-2の4回、安打と2四球から1死満塁で巡ってきた第2打席。カウント2-2から6球ファウルで粘り、DeNA今永の甘く入った11球目を逃さなかった。135キロチェンジアップをとらえ、打球は三遊間を破った。「負けている場面でしたし、なんとか追いつきたいという一心で打席に入りました。自分の仕事ができて良かったです」。エース左腕に粘り勝ち。一時は同点に追いつく2点適時打で、気を吐いた。 前日7月31日には先制3ラン。チーム21イニングぶりの得点で、0行進を止めていた。毎年恒例のイベント「ウルトラの夏」2試合目にして、合計7打数3安打5打点1本塁打。球場に駆け付けたファンが、イエローを基調とした特別ユニホームで埋まるなか、梅野のバットは元気だ。矢野監督も「頼もしかったね。あれだけ粘ってしぶといヒットでつなげてくれたというのは、本当にあそこでムードが変わった」とうなずいた。 この日は西勇が4度、能見が2度、伊藤和、小川がそれぞれ1度ずつと、合計8度のワンバウンド投球に、体を張って止めた。合計5被弾したが、正捕手としての仕事を黙々とこなしている。現役時代は捕手だった指揮官も「ワンバウンドもよく止めて。リュウ(梅野)も捕手として大変なことも分かっている」と評価した。 開幕当初は原口、坂本との併用が続いたが、6月28日DeNA戦(横浜)からここまで27試合はすべて先発出場。打率3割4分、35安打はチームトップ。湿りがちな打線を梅野が支えている。【只松憲】

◆阪神西勇輝投手はぼうぜんとした様子で、打球の行方を見つめた。 同点に追いついた直後の5回2死三塁。DeNA4番佐野に、フルカウントから高めのシュートをはじき返された。打球は左翼ポールを直撃。勝ち越しの2ランを浴びた。 いつも笑顔がトレードマークだが、この日は表情がさえない。初回、4回はともに2試合からソトと大和にソロ本塁打を浴びた。そして5回に3本目の2ラン...。悪夢はまだ終わらなかった。6回に先頭の宮崎にまたもレフトスタンドへ運ばれた。1試合4被弾は、オリックス時代の15年9月5日、日本ハム戦以来、自己ワーストタイ。1試合2被弾以上は阪神移籍後初めてのことだった。右腕は試合後、言葉を残さずに球場を後にした。常に好投できるわけではない。矢野監督は「まあ、あるでしょ。そんなにはね。1年間、ずっとなかなか簡単には...」とかばった。 エースが6回7安打5失点で無念の降板。悪い流れは止まらなかった。7回に2番手で能見が登板。先頭の梶谷に投じた初球、143キロ直球はバックスクリーン左横に吸い込まれた。DeNAの5本目の本塁打に、詰めかけた阪神ファンは声も出ないようだった。 1試合計5被弾は、18年5月11日広島戦以来。甲子園に限れば、ちょうど10年前の10年8月1日中日戦で6本塁打を浴びて以来だ。パワーを見せつけたDeNA打線とは反対に、阪神打線に今永に7者連続三振を喫するなど投打で屈辱を味わった。 西勇は開幕投手を務めた6月19日から、6戦連続でクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)。前回まで4戦連続で120球前後の力投を見せていた。今季初めて4点以上を失った。疲労も蓄積する時期で、指揮官は「それ(疲れ)もあると思うし。それがプロとして1年間戦う難しさでもあるしね。でもそこは経験あるんで、西に任せてます」と変わらぬ信頼を口にした。 前日7月31日の引き分けを挟んで3連敗。勝率5割を切り、借金生活に逆戻り。Aクラス再浮上へ、ここが踏ん張りどころだ。【磯綾乃】 ▼西勇の1試合被本塁打は自己最多タイ。オリックス在籍の15年9月5日の日本ハム戦4被本塁打に続き2度目で、19年の阪神移籍後では最悪となった。 ▼阪神投手の1試合4被本塁打は、17年5月10日、東京ドームでの巨人戦で岩貞が4被本塁打して以来。またチーム5被本塁打は、18年5月11日マツダスタジアムでの広島戦で5本打たれて以来、2年ぶり。 ▼甲子園での阪神投手個人の同一試合4被本塁打、チーム5被本塁打以上となると、いずれも10年8月1日中日戦以来。先発下柳剛が4被本塁打し、救援の久保田智之も2本塁打を浴び計6被本塁打。くしくも10年前の同じ日付だった。なおこのときは、0本塁打の阪神が、8-7の「ルーズベルトゲーム」で勝利を収めている。

◆ハマの「IT(意識高い)エース」こと今永昇太投手(26)が、7者連続を含む7回10奪三振2失点の力投で4勝目を挙げた。2点を勝ち越して迎えた5回無死から7回1死まで圧巻の奪三振ショー。侍ジャパンでもエース候補となる左腕が底力を見せ、チームは引き分けを挟んで3連勝。7月16日以来の貯金1をもたらした。エース今永にスイッチが入った。互いに開幕投手を務めた阪神西勇との3度目の直接対決。4回に制球を乱して2点を失った左腕が、5回の4番佐野の勝ち越し2ランで目を覚ました。 今永 4回にふがいないピッチングをしてしまい、コーチから強がっても良いから弱気な姿を見せるなと言われ意識をしました。三振は狙ってはいませんでしたが三振からテンポが良くなりました。 5回無死、西勇から空振り三振を奪うと、7回無死の梅野まで7者連続奪三振。続く木浪は右飛で記録は途絶え、代打北條にはこの日5本目の安打を許したが、最後は代打中谷を空振り三振。10奪三振をマークし、納得の表情でベンチへ引き揚げた。 この日まで3勝2敗、防御率2・92は立派な数字だが、意識高きエースには不満が残っていた。前回登板の25日広島戦(横浜)の前には「悪いなりにもそれなりに抑えることは出来ている。でも、調子が良い時は相手を圧倒して『手も足も出ない』という部分を見せつけていかないといけない。いつでも点を取れると思われてしまってはダメ。圧倒できるところを他の5球団に見せつけていかないと」。ただのローテーション投手ではなく侍ジャパンでも軸となる「絶対的エース」としての自覚のあらわれだ。 この日は140キロ台後半の直球を軸に、110キロ台のカーブで緩急をつけ、得意のチェンジアップで空振りの山を築いた。中盤はまさに猛虎打線に「手も足も出させない」投球。東京五輪が開催されていればフル回転していたであろう左腕が"期間中"に最高のパフォーマンス。奪三振54は巨人菅野らを抜いてリーグ1位に浮上。トップだった奪三振率は11・05にまで上昇した。 雨中の開幕戦では、敗れてなお広島大瀬良の好投に目を凝らし、タイプの異なる西勇からも「投げていて勉強になる投手なので、必ず投げ合いを制したい」と意識高く臨んで結果を示した。IT企業DeNAのITエースが、さらなる高みを目指していく。【鈴木正章】 ▼今永が5回の西勇から7回の梅野まで7者連続奪三振。7者連続奪三振は18年の菅野(巨人)と松井(楽天)以来だが、DeNAでは60年鈴木隆(8者連続)94年佐々木(7者連続)に次いで26年ぶり3人目。

◆安定感抜群のエースがまさかのアーチ攻勢を受けた。阪神西勇輝投手(29)がDeNA打線のパワーに屈し、自己ワーストタイの4被弾。6回5失点で今季3敗目を喫した。チームでも10年8月1日中日戦以来となる甲子園5被本塁打。左腕今永に7者連続三振を奪われるなど投打で屈辱の1日となった。引き分けを挟んで3連敗で借金1。ここが踏ん張りどころだ。西勇はぼうぜんとした様子で、打球の行方を見つめた。同点に追いついた直後の5回2死三塁。DeNA4番佐野に、フルカウントから高めのシュートをはじき返された。打球は左翼ポールを直撃。勝ち越しの2ランを浴びた。 いつも笑顔がトレードマークだが、この日は表情がさえない。初回、4回はともに2試合からソトと大和にソロ本塁打を浴びた。そして5回に3本目の2ラン...。悪夢はまだ終わらなかった。6回に先頭の宮崎にまたもレフトスタンドへ運ばれた。1試合4被弾は、オリックス時代の15年9月5日、日本ハム戦以来、自己ワーストタイ。1試合2被弾以上は阪神移籍後初めてのことだった。右腕は試合後、言葉を残さずに球場を後にした。常に好投できるわけではない。矢野監督は「まあ、あるでしょ。そんなにはね。1年間、ずっとなかなか簡単には...」とかばった。 エースが6回7安打5失点で無念の降板。悪い流れは止まらなかった。7回に2番手で能見が登板。先頭の梶谷に投じた初球、143キロ直球はバックスクリーン左横に吸い込まれた。DeNAの5本目の本塁打に、詰めかけた阪神ファンは声も出ないようだった。 1試合計5被弾は、18年5月11日広島戦以来。甲子園に限れば、ちょうど10年前の10年8月1日中日戦で6本塁打を浴びて以来だ。パワーを見せつけたDeNA打線とは反対に、阪神打線は今永に7者連続三振を喫するなど投打で屈辱を味わった。 西勇は開幕投手を務めた6月19日から、6戦連続でクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)。前回まで4戦連続で120球前後の力投を見せていた。今季初めて4点以上を失った。疲労も蓄積する時期で、指揮官は「それ(疲れ)もあると思うし。それがプロとして1年間戦う難しさでもあるしね。でもそこは経験あるんで、西に任せてます」と変わらぬ信頼を口にした。 前日7月31日の引き分けを挟んで3連敗。勝率5割を切り、借金生活に逆戻り。Aクラス再浮上へ、ここが踏ん張りどころだ。【磯綾乃】 ▼阪神が同一投手から7者連続三振を奪われたのは球団ワーストタイで、5年ぶり5度目。なおプロ野球最長は9人連続で、南海が57年阪急戦で梶本隆夫に、西鉄が58年東映戦で土橋正幸にそれぞれ喫している。

◆DeNAが甲子園球場で5本塁打。甲子園のチーム1試合5発以上は、中日が10年8月1日阪神戦で6本(森野3、和田、堂上直、ブランコ)を記録して以来10年ぶり。 DeNAの同球場1試合5発は球団初。また、甲子園でチーム5人が本塁打は、85年6月28日阪神戦の巨人(原、篠塚、クロマティ2、吉村2、槙原、中畑の6人=8本)以来35年ぶり。

◆ハマの「IT(意識高い)エース」こと今永昇太投手(26)が、7者連続を含む7回10奪三振2失点の力投で4勝目を挙げた。2点を勝ち越して迎えた5回無死から7回1死まで圧巻の奪三振ショー。侍ジャパンでもエース候補となる左腕が底力を見せ、チームは引き分けを挟んで3連勝。7月16日以来の貯金1をもたらした。 エース今永にスイッチが入った。互いに開幕投手を務めた阪神西勇との3度目の直接対決。4回に制球を乱して2点を失った左腕が、5回の4番佐野の勝ち越し2ランで目を覚ました。 今永 4回にふがいないピッチングをしてしまい、コーチから強がっても良いから弱気な姿を見せるなと言われ意識をしました。三振は狙ってはいませんでしたが三振からテンポが良くなりました。 5回無死、西勇から空振り三振を奪うと、7回無死の梅野まで7者連続奪三振。続く木浪は右飛で記録は途絶え、代打北條にはこの日5本目の安打を許したが、最後は代打中谷を空振り三振。10奪三振をマークし、納得の表情でベンチへ引き揚げた。 この日まで3勝2敗、防御率2・92は立派な数字だが、意識高きエースには不満が残っていた。前回登板の25日広島戦(横浜)の前には「悪いなりにもそれなりに抑えることは出来ている。でも、調子が良い時は相手を圧倒して『手も足も出ない』という部分を見せつけていかないといけない。いつでも点を取れると思われてしまってはダメ。圧倒できるところを他の5球団に見せつけていかないと」。ただのローテーション投手ではなく侍ジャパンでも軸となる「絶対的エース」としての自覚のあらわれだ。 この日は140キロ台後半の直球を軸に、110キロ台のカーブで緩急をつけ、得意のチェンジアップで空振りの山を築いた。中盤はまさに猛虎打線に「手も足も出させない」投球。東京オリンピックが開催されていればフル回転していたであろう左腕が"期間中"に最高のパフォーマンス。奪三振54は巨人菅野らを抜いてリーグ1位に浮上。トップだった奪三振率は11・05にまで上昇した。 雨中の開幕戦では、敗れてなお広島大瀬良の好投に目を凝らし、タイプの異なる西勇からも「投げていて勉強になる投手なので、必ず投げ合いを制したい」と意識高く臨んで結果を示した。IT企業DeNAのITエースが、さらなる高みを目指していく。【鈴木正章】 ▼今永が5回の西勇から7回の梅野まで7者連続奪三振。7者連続奪三振は18年の菅野(巨人)と松井(楽天)以来だが、DeNAでは60年鈴木隆(8者連続)94年佐々木(7者連続)に次いで26年ぶり3人目。

◆阪神は「ウル虎の夏2020」のイベントとして、現在はタイガースアカデミーコーチを務めるOB今成亮太氏(32)が爆笑マイクパフォーマンスでスタンドを沸かせた。試合前に一塁側カメラマン席前で「ものまね」でスタメンを紹介。「1番、陽川」のアナウンスが流れると、陽川の打撃フォームをまねした後にゴリラポーズ。1番陽川から9番西勇の投球フォームまでまねると、最後は矢野監督の現役時代のものまねまで披露。ナインの笑いを誘い、観客を盛り上げた。スタメン紹介終了後のミニトークタイムでは「梅野選手、目の前にいたんですけど、『僕のはあまり似ていませんでした』と言っていました。一番自信があるのは植田選手ですが、一番面白かったと思います」と自画自賛。司会者から要望が多かったと促されて、上本の独特な打撃フォームも見事に再現。その後、試合直前には守備位置に就く選手の呼び出しも行った。勝利の時には試合後のヒーローインタビューも予定していたが、同様に開催する2日にお預けとなった。※ものまね答え=(上から)陽川、西勇、サンズ、ボーア、大山、梅野、近本、植田、木浪、矢野監督、上本

◆DeNAのアレックス・ラミレス監督は1日、阪神8回戦(甲子園)の試合前に、救援陣の起用法について言及した。  7月29日に不振の守護神・山崎の配置転換を決め、前日31日まで"代役守護神"を務めた三嶋とともに3連投。指揮官は「ヤス(山崎)は3連投以上の経験もあるので、心配ない。三嶋は今までと違うところで投げてきたので、きょうは極力使わないようにしたい」と語った。  三嶋に代わる"代代魔神"には「きょうはクローザーは石田でいこうと思う」と、前日まで13試合連続無失点で防御率0・79を誇る左腕・石田健大を指名した。

◆DeNAのタイラー・オースティン内野手(28)が1日、阪神8回戦(甲子園)のベンチ入りメンバーを外れた。  ラミレス監督は試合前に「フェンスにぶつかった昨日の試合後、首に張りがあると。今朝もチェックしてまだ張りがあるということで、無理をさせるより投手2人(パットン、エスコバー)を入れた方がいいと思った」と説明した。  オースティンは7月31日の同戦で、六回2死からボーアの右翼後方への大飛球を追ってフェンスに激突(結果は二塁打)。直後の七回には、第4打席で左前に同点打を放っていた。  オースティンは開幕直前に右腕の張りを訴え、開幕スタメンを外れた。その後も、左太ももの張り、右手人さし指付近の負傷とたびたび故障を繰り返している。

◆先発した阪神・西勇輝投手(29)が一回にソトに8号ソロ、三回に大和に2号ソロ、五回に佐野に5号2ラン、六回に宮崎に7号ソロを被弾。オリックス時代の2015年9月5日日本ハム戦(ほっと神戸)以来、5年ぶりに4被弾し5失点。今季7試合目の登板で初めてクオリティスタート(QS、6回3失点以内)に失敗した。DeNAの先発・今永とは今季3度目の投げ合いとなったが、ライバルは五回まで4安打2失点と好投している。

◆昨季本塁打なしに終わったDeNAの大和が今季2号ソロを放った。1-0の四回2死無走者、2ボール1ストライクから西勇の内角球を巧みにさばき、浜風に乗せて左翼席に届かせた。「バッティングカウントだったので思い切りいった。打った瞬間、手応えは十分だった」と笑顔を見せた。  キャンプでは飛距離アップを目指して打撃改造に取り組み、成果は確実に出ている。これまで2018年の2本塁打がシーズン最多で早くも並んだ。前夜は延長十回の好機で放った大飛球がサンズの好捕に阻まれたが、32歳のベテランが5試合ぶりの先発出場で意地を示した。

◆阪神はDeNAに3-7で敗れた。これで引き分けを挟んで3連敗で、7月18日の中日戦(甲子園)以来の借金「1」となった。  先発した西勇は一回2死からソトにソロを打たれると、四回には大和にソロ。その裏に梅野の左前への2点適時打で同点に追いついたが、五回2死三塁から佐野に勝ち越しの2ランを打たれた。  六回には宮崎にソロを被弾。西勇の1試合4被弾はオリックス時代の2015年9月5日の日本ハム戦(ほっと神戸)以来、5年ぶり。この日は6回7安打5失点で今季7試合目の登板で初めてクオリティスタート(QS、6回3失点以内)に失敗した。  七回には能見が梶谷にソロを浴びて、この試合5本の本塁打を打たれた。  甲子園球場は1924年8月1日に竣工(しゅんこう)。この日が96歳の"誕生日"だったが、勝利で飾れなかった。

◆DeNAが5本塁打で快勝。1分けを挟んで3連勝とした。同点の五回に佐野が勝ち越し2ラン。六回は宮崎、七回は梶谷のソロで加点した。今永が7回2失点で4勝目。西勇が崩れた阪神は1分けを挟んで3連敗で、借金1となった。  甲子園で初本塁打となった佐野は、「高校時代から甲子園に憧れていた。打ててよかった」と笑顔。4打数4安打の固め打ちで九回の打席で二塁打を放てば、サイクル安打だったが、「二塁打を打ちたいと思っていたが、足が遅いのでやめておいた」と左安打に苦笑いだった。

◆DeNAが本塁打攻勢で3連勝。先発の今永は今季4勝目を挙げた。  先発は阪神・西勇、DeNA・今永、ともに開幕投手を務めたエース同士の投げ合い。投手戦の様相だったが、際立ったのはDeNA打線の破壊力だった。一回、ソトが8号ソロで先制すると、四回に大和が2号ソロ、五回に佐野が5号2ラン、六回に宮崎が7号ソロ、七回に梶谷が8号ソロと、四回から七回には毎回アーチが飛び交った。  今永は7回5安打2失点10奪三振で降板。八回に2番手のパットンが1点を失うも、九回、宮崎の右前適時打で突き放した。その裏には石田がマウンドに上がり、三者凡退に打ち取った。西勇は6回7安打5失点で3敗目。  ◆佐野恵太内野手 「(4安打5度の出塁に)丁寧な自分のスイングができた打席が続いた。(五回の本塁打は)憧れていた甲子園球場でホームランが打てて良かった。先のことを考えずに全力でプレーしています。明日も勝って連勝を伸ばせるように頑張りたい」

◆阪神はDeNAに3-7で敗れた。これで引き分けを挟んで3連敗で、 借金「1」となった。  4本塁打を浴び、6回7安打5失点だった先発西勇について、矢野監督は「まあ、(こういうことは)あるでしょ。そんなにね、1年間ずっと、なかなか簡単には」と話した。  停滞ぎみの打線については「流れもあるしね。2点取ったところで、よしというところの(もう)1点というところもあるし、打線自体のつながりっていうのがね、現状、前回のヤクルトからちょっと打てないんで。どうしても中継ぎが踏ん張れないっていう形のゲームになってしまっているので」と話した。  3安打で復調気配の近本については「もちろんチカ(近本)が出たら、やっぱり盗塁というところを想像して(相手が)警戒するというところでいうと、キーになる選手。チカの当たりが出てきているのは一つプラスの材料やし、その回数が多くなれば得点になるんで」などと話した。

◆個人的にもメモリアルな一発を放ったのは、5試合ぶりにスタメン出場の大和。四回に左翼席へ2号ソロを放った。プロ入りから12年間、甲子園を本拠地とする阪神でプレーしたが、同球場での本塁打は初めて。「打った瞬間、の手応えでした。めちゃくちゃうれしいです」と15年目で初の"聖地弾"に、普段はクールな32歳も声を弾ませた。

◆2番手の能見はこの日の初球をスタンドに運ばれた。七回先頭で梶谷に左中間へのソロ。143キロが真ん中付近に入った。7月29日のヤクルト戦(神宮)に続き、自身2試合連続の被弾で今季3本目。2死から佐野にも右前打を浴び、今季は左打者に被打率・368と苦戦している。

◆先発の今永は7回5安打2失点、10奪三振で4勝目。阪神・西勇と今季3度目のエース対決を制した。四回、梅野の2点打で同点に追いつかれたが、五回先頭から圧巻の7者連続三振。「狙ってはいませんでしたが、三振からテンポが良くなった」と振り返った。左腕の力投にラミレス監督も「しっかり修正して、エースにふさわしい投球」とたたえた。

◆ピリッとしない打線の中で、梅野がまた気を吐いた。満塁で走者をかえす連日の活躍だ。  「負けている場面でしたし、なんとか追いつきたいという一心で打席に入りました。自分の仕事ができてよかったです」  しぶとい打撃を見せたのは0-2の四回だ。安打と連続四球で1死満塁の好機。先発・今永にカウント2-2から6球ファウルで粘り、11球目の甘いチェンジアップを左前へと運んだ。  前日7月31日にも3ランを放ち、チームの全打点を挙げる活躍。矢野監督も「頼もしかったね。粘って、しぶとくヒットでつなげてくれてムードも変わった。チームにとっても大きい、いいヒットだった」と称賛した。  これで3試合連続安打&2試合連続打点。打率・340はチームトップでリーグでも4位につける。梅野の奮闘は、敗戦の中で希望の光だ。(織原祥平)

◆スタートを切るたび、ベースを奪うたびに甲子園がわいた。塁に出るからこそ目立つ魅力。近本に輝きが戻ってきた。矢野監督は3連敗の中で光に注目した。  「チカ(近本)の当たりが出てきているのは一つプラスの材料やし、その回数が多くなれば得点になるので」  一時は同点に追いついた四回の攻撃も、起点は切り込み隊長だ。先頭で右前打。二進後に大山の打席で三盗に成功した。バッテリーにプレッシャーを与え、大山とボーアの連続四球の後に梅野が2点打。改めて攻撃パターンを実感した指揮官は、背番号5に攻撃陣の復活の鍵を託した。  「もちろんチカが出たら、やっぱり(相手が)盗塁というところを想像して警戒するというところで、キーになる」  リードオフマンは八回無死一塁でも、一走・陽川とのヒットエンドランで右前打。7月26日の中日戦(ナゴヤドーム)以来今季3度目の猛打賞とすると、すかさず二盗を決めた。初の1試合2盗塁で、リーグトップの12個目。打率・244は、まだ物足りない。それでもチームトップの20得点は、いかに得点力を左右する存在であるかを証明している。  下降気味の打線について、清水ヘッドコーチは「打撃コーチがいろいろ考えてくれている。選手を信じてやっていきます」と話した。近本も必死で不振を脱出した一人だ。7月下旬まで打率1割台で低迷し、一時は先発から外れた。遠征中も時間を探して井上打撃コーチとロングティーに励むなど苦心の末、スタメンに復帰後の6試合は22打数11安打で打率・500。心配な攻撃陣だが、"導火線"の稼働は救いだ。(安藤理)

◆阪神はDeNAの一発攻勢の前に3-7で敗れて、1分けを挟んで3連敗で、7月18日の中日戦(甲子園)以来の借金「1」に逆戻りした。先発の西勇輝投手(29)が自身ワーストタイの1試合4被弾と崩れ、甲子園で10年ぶりの1試合5被弾。この日は本拠地の96度目の"誕生日"だったが、勝利で祝うことはできず。踏ん張りどきや!  甲子園開場96周年の節目の日に、虎党のため息が満ちあふれた。しかも5度も。本拠地で10年ぶりに5本塁打を浴び、借金生活に逆戻り。4被弾した西勇に、矢野監督も複雑な表情を浮かべた。  「まあ、あるでしょ。そんなにね、1年間、ずっとなかなか簡単には。プロとして1年間、戦う難しさでもあるしね。でも、そこは経験があるんで、西に任せてます」  今季7度目の登板で初めて崩れた右腕だけに、かばうしかなかった。本人もコメントを発することなく、あまりに信じられない結果だった。  一回2死からソトにソロを許して先制されると、四回2死では元阪神の大和に甲子園初本塁打を献上。梅野の2点打で追いついてもらった直後の五回には、1死から死球を出すと、けん制悪送球で三進される独り相撲。すると、2死三塁から佐野に2ランを許してあっさり勝ち越された。  今季初めてクオリティースタート(6回3失点以下)に失敗すると、六回先頭の宮崎にも被弾。オリックス時代の2015年9月5日の日本ハム戦(ほっともっと神戸)以来、自身5年ぶりとなる自己ワーストタイの1試合4被弾。安定感抜群の投球を続けてきたエースが6回5失点。まさに目を疑う光景だった。  2番手の能見も七回先頭で梶谷に中堅左に運ばれた。甲子園でチームとして5被弾するのは、2010年8月1日の中日戦以来。ちょうど10年ぶりの屈辱となった。  「(四回に)2点取ったところで『ヨシッ』というところの(もう)1点というところもあるし。打線自体のつながりっていうのがね、前回のヤクルト戦からちょっと打てない」  打線も今永に五回から七回にかけて7者連続三振を奪われる屈辱。クリーンアップがそろって無安打に終わったのも今季2度目で、左腕にいいように抑え込まれた。7月28日のヤクルト戦(神宮)では18安打20得点と大暴れしたのに、以降4戦はすべて3得点以下で引き分け「1」を挟んで今季4度目の3連敗。"祭り"の後遺症は、まだ続いていた。  この日は当初の予定通りなら観客が最大5000人から1万8000人に拡大される日だったこともあり、先にチケットを売っていた右翼席は多くの虎党が集結していた。今季最多4968人で甲子園のバースデーを祝うどころか、負の記録ばかり並べてしまった。  ゲーム差なしで迎えた3位との直接対決を落とし、Aクラス再浮上に失敗。清水ヘッドコーチは「(チームは)いい状態にはないが、ここでなんとか踏みとどまらないと」と鼓舞した。矢野虎の梅雨明けが待たれる。(大石豊佳)

◆歴史に残る花火大会だ!! DeNAは1日、阪神8回戦(甲子園)に7-3で勝利。二塁打が出ればサイクル安打だった4打数4安打をマークした4番・佐野恵太内野手(25)の5号決勝2ランを含む、甲子園では球団史上初となる1試合チーム5本塁打が飛び出した。得意の空中戦を制し、引き分けを挟んで3連勝。7月16日以来の貯金「1」とし、2位・ヤクルトに0・5ゲーム差に迫った。  これがベイの野球だ。黄色く染まった敵地のスタンドに、強力打線が次々とアーチをかけた。梅雨明け、そして夏の訪れを告げる、球団史上最大の"甲子園大花火大会"で、阪神を圧倒した。  幕開けはソト。不振が続いていた2年連続本塁打王が一回に、11試合ぶりの8号ソロを放った。「最近当たっていなかったソトの一発が、チームに勢いを与えた」とラミレス監督。大和、佐野、宮崎、梶谷にも一発が飛び出し、八回まで全得点を本塁打で刻んだ。  前日の守備でフェンスに激突したオースティンが、首の張りのため欠場。打率・320、4本塁打、15打点を記録している新助っ人砲が不在でも、超重量打線の威力は健在だ。今季18度目の2桁安打もマークした。  花火大会の最大の"演出家"は、海を渡った筒香の後を受け、今季から主将&4番を務める佐野。2-2に追いつかれた五回、逆方向となる左翼ポールを直撃する決勝2ランを放ち「追い込まれてから、コンパクトに打てた」とうなずいた。28試合目での待望の一発から10試合で5発。それでも「大きいのを意識すると良くない」と自らの打撃を失わず、打率・355は広島・堂林に次いで堂々のリーグ2位だ。  6-3で迎えた九回の最終打席で二塁打が出ればサイクル安打だったが、左中間への安打を放ち一塁でストップ。「もっともっと足が速ければ狙っていましたが、遅いのでやめときました」と照れ笑いを浮かべながらも、フォア・ザ・チームを貫き、勝利に導いた。  打席だけではない。新主将はチームの調和を重視する。遠征中も新型コロナウイルス感染予防のため外出は禁止。"缶詰生活"の中、テレビゲームでチームを一つにする。戸柱や三嶋だけでなく、ソトまで通信対戦で「マリオカート」を楽しみ、ストレスを軽減。29日の巨人戦前には、円陣で自らギャグを披露しナインの爆笑を誘った。そこから引き分けを挟んで3連勝。筒香とも違う、ムードメーカーの佐野にしかできない明るい雰囲気づくりが、チームに活気を呼び込んでいる。  昨季も8勝16敗1分けと毎年苦手にする阪神戦に、今季は4勝3敗1分けと白星が先行。7月16日以来の貯金生活に突入し、2位・ヤクルトにも0・5ゲーム差と接近した。「チームはまとまってきている。いい流れを次にも持っていけるようにしたい」と佐野。多くの花火大会が中止となる列島で、とにかく明るいDeNAが希望の光を灯す。(浜浦日向)

◆また今永に...。DeNAのエースを崩しきれなかったことが完敗の最大の要因。本紙専属評論家・土井正博氏(76)は「同点にした直後の四回2死一、二塁では代打だ」と試合前半であっても福留、もしくは原口を送るべきだったと主張。好投手を相手にしたときは、勝負どころを見誤らない采配を阪神ベンチに求めた。  勝敗を分けたポイントは四回だった。1死から梅野の2点適時打で同点にして、なお一、二塁。木浪は中飛に倒れた。続く植田がそのまま打席に立ったが、私なら代打だ。常識的には右の原口だが、今永が得意とするチェンジアップを投げにくくする意味で、左の福留でもOKだ。この日の今永は左打者の近本、木浪に打たれていた。とにかく、あの場面で勝負をかけるべきだった。  好投手攻略には鉄則がある。チャンスは少ない。だから、チャンスが巡ってきたときは、絶対に逃してはいけない。  阪神は今季、今永に2回連続で抑えられ、3度目の対戦。苦手意識を持つか、行けるぞと思えるか。分岐点の試合だったと思う。  今永は、私も中日のコーチ時代に対戦している。球威があって変化球も一級品。トップクラスの投手だ。ただ、受け身になるともろさを持つ。自軍がリードした展開なら、持ち味の投球を発揮して手が付けられないが、揺さぶられたりすると制球を乱したりする。  四回、俊足・近本が出て、今永の悪い面が出た。2四球、近本の盗塁などで満塁に。ここで同点で満足してはいけなかった。逆転を狙わないと。だからこその「四回でも代打」なのだ。案の定、この回を乗り切って、余裕の出た今永は手が付けられない。その後の7連続三振が象徴している。  7月28日のヤクルト戦(神宮)で20点を奪って以降、打線が下降線といわれるが、好投手に当たれば、そうは打てない。好投手に対したときは、後半勝負とはかぎらない。見極めはベンチの大事な仕事だ。  選手個々には、自分の役割を果たせと言いたい。三回無死一塁からの植田のバント失敗はダメ。バントもバッティングも、ポイントは同じ。バントができないものは、バッティングも上達しない。  みんなが自分の役割をしっかりこなさないと、同じ投手に何度でもやられることになる。(本紙専属評論家)

◆ドーン! ドーン! ドーン! ドーン! ドーン!!  甲子園で5発の花火(ホームラン)。何しとんねん!? えっ、本日は『花火の日』? (ホントです)この夏はコロナのせいで全国で花火大会が中止になっているから、せめてここでお客さんに楽しんでいただこうと...。う~ん、そーいうことならOKや...。って許したいんやけど、許せなーい!! と、言ってもその5発中4発を打たれた虎の先発・西勇の投球は見ているこちらが「キャ~甘い」「いや~甘い」「ヤバイ甘くね~」と、まるでJKのこの夏のスイーツ試食会のごとく真ん中寄りに球が集まっていたのだ...。  だけど、だけど、これまで6度先発して全てクオリティースタート(6回以上自責点3以下)は責められませ~ん。  責められるべきは、梅野以外得点を上げられない涙ウルウル虎の夏打線!! いや、その前に当たればデカイが確率の低い陽川を1番に起用したり、キラリと光るものはあるけど、まだまだスタメンは?の植田を使ったりの矢野采配がクオリティー打線(俺が命名した六回までに3得点は奪うコト)とかけ離れているような気がしてならないのだけど...。矢野さんも花火好きなのかー!?

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
22112 0.667
(↑0.011)
-
(-)
85179
(+11)
110
(+3)
52
(+1)
23
(-)
0.267
(↑0.004)
3.070
(↑0.01)
2
(-)
ヤクルト
17154 0.531
(↓0.017)
4.5
(↓1)
84166
(+1)
187
(+3)
34
(-)
22
(+1)
0.251
(↓0.003)
4.750
(↑0.09)
3
(-)
DeNA
18172 0.514
(↑0.014)
5
(-)
83158
(+7)
138
(+3)
43
(+5)
5
(-)
0.273
(↑0.002
3.670
(↑0.02)
4
(-)
阪神
16172 0.485
(↓0.015)
6
(↓1)
85145
(+3)
145
(+7)
37
(-)
28
(+2)
0.247
(↓0.001)
3.830
(↓0.1)
5
(-)
中日
15212 0.417
(↑0.017)
8.5
(-)
82120
(+3)
173
(+1)
19
(-)
7
(-)
0.247
(↓0.001)
4.190
(↑0.09)
6
(-)
広島
12194 0.387
(↓0.013)
9
(↓1)
85156
(+3)
171
(+11)
37
(+2)
15
(-)
0.280
(↓0.001)
4.530
(↓0.14)