阪神(☆4対1★)中日 =リーグ戦4回戦(2020.07.17)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
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勝利投手:青柳 晃洋(3勝1敗0S)
(セーブ:スアレス(0勝0敗4S))
敗戦投手:大野 雄大(0勝3敗0S)

本塁打
【中日】ビシエド(8号・4回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は3回裏、サンズの適時打などで3点を先制する。2点差とされて迎えた7回には、糸原が適時打を放ちリードを広げた。投げては、先発・青柳が7回1失点の好投。その後は岩崎、スアレスとつないで逃げ切り、青柳は今季3勝目を挙げた。敗れた中日は、攻守に精彩を欠いた。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が青柳晃洋投手(26)、中日が大野雄大投手(31)。 開幕からスタメン起用が続いたリードオフマン近本が、打撃不振により今季初のスタメン落ち。1番には糸井、中堅には今季2度目の先発となる陽川が入った。 開幕ダッシュこそ遅れたものの、4カード連続勝ち越し中と勢いに乗る。中日には敵地での前カードで3タテを食らっているだけに、本拠地で借りを返したいところ。先手を取りたい一戦だが、立ちはだかるのは大の苦手とするエース左腕大野。通算25試合で対戦し、12勝を献上している。黒星を付けたのはわずか4度しかない。通算対戦防御率も1・99と押さえ込まれており、17年6月29日の対戦から4連勝を許している相手だ。今季初対戦で天敵打ちとなるか。

◆反省を即、次に生かす。高い対応力が「スピード出世」を支えている。阪神の新助っ人ジェリー・サンズ外野手(32)が初めて3番起用され、貴重な2点二塁打で期待に応えた。 「長い人生、2番から8番まで打ってきた。早い打順で打つのは好きなんだ」 2番糸原のラッキーな内野安打が適時失策を誘い、天敵大野雄から先制点をもぎ取った直後。3ボールから外角ツーシームを逆らわず右中間に運んだ。 「1打席目みたいに引っかけると三塁ゴロ、遊ゴロになってしまう。ああいう打撃が理想的だったね」 1回2死では外角ツーシームを三ゴロ。2打席目で早くも修正できるクレバーさが頼りになる。 前日16日中日戦は8回に同点弾を放ち、逆転勝利に導いた。一夜明け、今度は初のクリーンアップ起用で5試合連続安打を決めた。 「慣れてきたのもあるし、打席を積ませてもらっていることも大きいね」 6月上旬の練習試合で調子が上がらず、開幕は2軍スタート。6月27日に1軍昇格後、昨季の韓国球界打点王が徐々に本領発揮の気配を見せ始めている。 甲子園まで観戦に訪れてくれるモーガン夫人と2人の息子が元気の源。前夜は本拠地初のお立ち台でトラッキー人形をゲットし、「1つだったら子どもたちがけんかになるから、早く2つ目がもらえるように頑張るよ」と冗談交じりに気合を入れ直していた。 2日連続のお立ち台こそお預けとなったが、今夜も貴重な働きぶりを披露。お土産の人形がなくても、子供たちがすねることはないだろう。【佐井陽介】

◆阪神の新助っ人ジャスティン・ボーア内野手(32)がダイナミックなハッスルプレーで場内を沸かせた。  6回1死無走者の第3打席。中日先発大野雄から右翼線へ強烈なライナーを放った。ボーアは迷わず二塁へ向かったが、右翼平田の好返球でアウトとなった。 指揮官もその積極性を評価する、B砲の走塁意識。この場面もスライディングの最後までタッチをかいくぐろうと体をひねらせ、最後は遊撃手京田の上に「ボディーアタック」のような形で乗ってしまった。球界最重量122キロの体を受け止めた京田は一時うずくまったが、無事にプレー続行。ボーアの積極走塁と京田のガッツプレーに、場内からは拍手が起こった。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(26)が「ゴロ打たせ職人」の本領を発揮し、7回4安打1失点と好投を見せた。 虎の変則右腕は、キレある直球と多彩な変化球で打ち取る投球術が持ち味。この日も低めへの制球が抜群で、中日打線から凡打の山を築いた。奪った21アウトのうち、併殺打1つを含み実に17個がゴロアウト。失点はビシエドに浴びたソロ本塁打のみで、外野手が7回までに打球を処理したのは3度だけだった。 打線から4点の援護ももらい、7回97球。今季3勝目の権利を手にし、8回からは救援陣にマウンドを託した。

◆阪神が接戦を制して2連勝を飾り、4位に浮上。最大8あった借金を2まで減らした。 打率1割台の近本光司外野手(25)を昨年7月3日DeNA戦以来、1年ぶりにスタメンから外した一戦。試合前時点で通算25試合対戦で防御率1・99と抑え込まれていた中日大野雄大投手(31)を相手に、運も味方につけた。 3回、先頭の木浪聖也内野手(25)がバットを折りながら、小フライを二塁前に落として内野安打に。1死一、二塁で今度は2番糸原健斗内野手(27)の当たり損ねのゴロが三塁線ファウルゾーンからフェアゾーンに戻り、三塁内野安打が適時失策を誘って先制した。 その直後、3番ジェリー・サンズが1死二、三塁から右中間2点二塁打を放ち、一気に試合の主導権を握った。 打線は2点リードの7回に糸原の左前適時打で追加点をあげ、ダメを押した。 先発青柳晃洋投手(26)は終始、安定した投球を披露。4回に4番ビシエドの右越えソロで1点を許したが、7回4安打1失点でハーラートップに並ぶ3勝目をあげた。

◆阪神は3回1死一、二塁から2番糸原の三塁内野安打が適時失策を誘って先制。3番サンズの2点二塁打でリードを3点に広げた。 中日は3点を追う4回、4番ビシエドが右越え8号ソロ。阪神青柳は6回まで3安打1失点。中日大野雄は6回まで6安打3失点。 阪神は7回にも2番糸原の適時打で追加点を挙げ、2連勝で4位浮上。青柳は7回1失点でリーグ最多に並ぶ3勝目を記録した。中日大野雄は3敗目。

◆試合終盤に珍?現象が起きた。 9回、新守護神のスアレスがリリーフカーに乗って、マウンドに登場。投球練習を終えると、帰ったはずのリリーフカーがなぜか出入り口から頭を出した。え、もう降板? スアレスはきょとんとした表情でリリーフカーを見つめたが、無事に戻ったことを見届けると何事も無かったように投球へ。リリーフカーはバックでなかなか駐車位置に戻ることが出来ず、1度前進した様子。観客からは自然と拍手が沸き起こった。 試合はスアレスが9回を1安打無失点で締め、阪神が連勝を決めた。

◆中日開幕投手の大野雄大が、3連敗を喫した。昨季、ノーヒットノーランを含む3勝と相性のいい阪神戦だったが、7回途中9安打4失点(自責2)でこの日も勝てず。 「(阪神先発)青柳と比べると投球のリズムが悪く、攻撃のリズムを悪くしてしまった。もう少しテンポよく投球できれば良かった...」と肩を落とした。

◆中日ドラフト1位石川昂弥内野手が、昨年のセンバツ優勝以来の甲子園に足を踏み入れた。 東邦(愛知)のエース兼中心打者として活躍したグラウンドを見て「懐かしいなぁと思いました。(試合前練習は)高校時代は投手だったので、少し違う感じがしました」。この日は出場機会はなかったが、今カード残り2試合での活躍が注目される。

◆29歳の誕生日だった阪神陽川尚将内野手が、プロ7年目で初の中堅スタメンで奮闘した。左腕大野雄対策で7回先頭で左前打。昨季放った6安打中、3安打が大野雄からだった好相性を発揮した。 前日プロ入り後初めてセンター守備に就いたが、矢野監督は「またいい左ピッチャーということがあれば、こういうオプションもある」と満足そうだった。

◆反省を即、次に生かす。高い対応力が「スピード出世」を支えている。阪神の新助っ人ジェリー・サンズ外野手(32)が初めて3番起用され、貴重な2点二塁打で期待に応えた。 「長い人生、2番から8番まで打ってきた。早い打順で打つのは好きなんだ」 2番糸原のラッキーな内野安打が適時失策を誘い、天敵大野雄から先制点をもぎ取った直後。3回1死二、三塁、3ボールから外角ツーシームを逆らわず右中間に運んだ。 「1打席目みたいに引っかけると三塁ゴロ、遊ゴロになってしまう。ああいう打撃が理想的だったね」 1回2死では外角ツーシームを三ゴロ。2打席目で早くも修正できるクレバーさが頼りになる。 前夜のヤクルト戦は8回に同点弾を放ち、逆転勝利に導いた。一夜明け、今度はクリーンアップ初起用で5試合連続安打を決めた。 「慣れてきたのもあるし、打席を積ませてもらっていることも大きいね」 6月上旬の練習試合で調子が上がらず、開幕は2軍スタート。6月27日に1軍昇格後、昨季の韓国球界打点王が徐々に本領発揮の気配を見せ始めている。 甲子園まで観戦に訪れてくれるモーガン夫人と2人の息子が元気の源。前夜は本拠地初のお立ち台でトラッキー人形をゲットし、「1つだったら子どもたちがけんかになるから、早く2つ目がもらえるように頑張るよ」と冗談交じりに気合を入れ直していた。 2日連続のお立ち台こそお預けとなったが、今夜も貴重な働きぶりを披露。お土産の人形がなくても、子供たちがすねることはないだろう。【佐井陽介】

◆阪神が接戦を制して2連勝を飾り、4位に浮上。最大8あった借金を2まで減らした。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -青柳の好投は 矢野監督 もう申し分ないですし、青柳らしく低めにしっかり投げ切って、ゴロ打たせて、堂々と打者に向かっていくピッチングをしてくれましたし、7回までいってくれたのも大きいです。 -安定感は抜群 矢野監督 もう、安心してみてられますね。 -サンズが貴重な適時打 矢野監督 ラッキーな形でつながりましたけど、あの2点はやっぱり大きいですし、サンズもね、そういうところで打ってくれるの期待してきてもらってるので、ああいう場面をどんどん作って、サンズに返してもらいたいですね。 -5試合連続安打と好調 矢野監督 そうですね、だいぶ落ち着いてやっていますし、中身、内容もよくなってきてるので、ますます楽しみになってきました。 -糸原の適時打も貴重 矢野監督 なかなか追加点が入らない中でね。どうしてもムードというか。流れが来てない中での、あの1点というのは、本当に大きかったんでね。ケント(糸原)らしく、本当にしぶといヒットでした。 -打撃は好調 矢野監督 打つ方は上がってきたんでね。あとは走塁を頑張ってくれたらなと。サンズの当たりでも、あの走塁ではちょっと寂しい。走攻守で全部で引っ張っていってもらいたいです。 -4位浮上  矢野監督 そのあたりも気にして戦っていますけど、目の前の試合を全力で戦っていくというのが一番やれることなのでね。明日も、その気持ちで戦っていきます。 -青柳の打席で継投  矢野監督 2アウト、ライナーなしやったら行こうと思っていた。チャンスになったら勝負行くって決めてたんで。まあセイヤ(木浪)がバントを決めてくれていたら、代打に行くつもりだったんだけど。近本の盗塁で状況が変わったんでね。もともと送ったら勝負行くつもりだった。 -岩崎、スアレスは落ち着いてきた 矢野監督 まだねえ。もっといいのが知っているから。まだまだ上がるだろうし。まあでも、任せているんでね。どんな形でもゼロで抑えるということでやってくれているんで、任せます。

◆阪神青柳晃洋投手(26)が驚異の"ゴロ投手"ぶりを発揮し、7回4安打1失点でハーラートップタイの3勝目を挙げた。「ほとんどゴロだったので、非常に良かったかなと思いますね」。初回先頭の大島から3連続内野ゴロを奪うなど凡打の山。失点はビシエドに浴びたソロ1点に抑えた。 試合後は糸原とお立ち台へ。「僕自身でアウト取ったのって少ないんで、内野の方々がしっかりアウト取ってくれたのが良かったかなと思います。鉄壁のセカンドがいるんで」と感謝。二塁を守った糸原は「ゴロピッチャーなんで、もう常に準備して、足を引っ張らないように...いや本当に頼もしいんですごいと思います!」と笑顔で応えた。 この日、21個のアウトのうち、17個をゴロアウトで奪った(1併殺含む)。今季4試合のゴロアウト率52・8%は、規定投球回を投げた12球団の投手の中で1位を誇る。打者のタイミングを狂わせる「クオータースロー」は、大学時代の友人が名付けてくれたもの。横手投げと下手投げの中間から投げるスタイルは、球界でも唯一無二の存在。調整方法も青柳ならではだ。 キャッチボールは最初、上投げで始めて距離を伸ばす。その後、距離を縮めるとともに上投げから横投げ、下投げへと徐々に腕を下げていく。「横から80メートル投げられても、その投げ方と(マウンドまでの)18・44の投げ方と絶対違うので。そうすると自然と体も上がっちゃって、手だけで投げたりしてしまう」。上から投げた方が肩が動くため、まずはしっかり肩を作るためでもある。小学6年生の時に今の投げ方を始めたが、周囲にお手本に出来るような似た選手はいなかった。自らの経験で作り上げ、中学生の時から続けている独自の練習方法だ。 6月30日に今季初黒星を喫した中日にリベンジし、4試合で3勝1敗。防御率もセ・リーグの先発陣で2位の1・50と抜群の安定感。「助けてもらいながら、アウトを積み重ねていきたい」。次も内野手陣と一緒に、ゴロアウトの山を築いて勝利をつかむ。【磯綾乃】 阪神矢野監督(青柳について)「自信を持って本人は投げられていると思うし、バッターも分かっていてもなかなか打球を上げられないっていうのが、今の青柳の強みだと思う」

◆途中出場した阪神近本光司外野手が今季7個目の盗塁を決めた。7回無死一塁の場面で陽川の代走で出場。木浪が捕邪飛に打ち取られ、続く青柳への1球目で二盗を決めた。 この日は昨年7月3日DeNA戦以来、380日ぶりにスタメンから外れた。昨季長嶋茂雄越えのセ・リーグ新人最多安打を放ったヒットマンは、打率1割7分5厘と苦しむ。健在の俊足披露から足がかりをつかみたい。

◆イトイトずばり! 矢野阪神が天敵大野雄対策で組み替えた打線的中で快勝、4位に浮上だ。不調の近本を今季初めて先発から外し、1番糸井&2番糸原コンビを初結成。3回に糸井が四球で好機を広げると、糸原が三塁ファウルゾーンからフェアに転がり変わる"秘打"の内野安打が悪送球を誘って先制。6回にも糸井の遊安、糸原の適時打で中押しするなど、全4得点にからんだ。中谷ら5人の入れ替えも敢行するなど"動の虎"が7月反攻だ。「イトイト」が勝利のリズムを織りなした。糸井と糸原の新1、2番コンビがチーム初結成。全4得点にからんだ。 先制はくせ者糸原らしい"秘打"から生まれた。0-0の3回、チームの天敵大野雄を攻め、木浪の安打と糸井の四球で1死一、二塁。追い込まれたが、外角低めのフォークに食らいついた。三塁線ギリギリのファウルゾーンを転がった打球は、強烈なスピンがかかって一転、フェアゾーンに入った。全力疾走で内野安打をもぎ取ると、三塁溝脇の送球ミスも誘って先制点をゲットした。 人気野球漫画「ドカベン」で殿馬一人が繰り出す秘打「G線上のアリア」をほうふつとさせる珍安打。本人も「僕らしいヒットかなと思います」と苦笑い。今季初3番に入ったサンズの2点打につなぎ、幸先よく3点を先制した。 中押しも「イトイト」の連打だった。2点リードの7回。2死二塁から糸井が遊撃へ内野安打。一、三塁から糸原が猛打賞となる左前適時打で4点目を入れた。4年目糸原は自己最長の9試合連続安打。昨季の中日戦で1割7分1厘と封じられた打のヒーローは「去年からやられっぱなしだったので、絶対にやり返してやろうと。(3回の秘打は)今日はもう、あれが全て。あのヒットがあったから3本打てました」と笑顔を見せた。 昨年ノーヒットノーランを食らった大野雄に対し、大胆な打線組み替えも成功した。不振の近本を今季初めてスタメンから外し、新中軸はサンズ、大山、ボーアのSOB。陽川は中堅でプロ初先発させた。中谷と坂本を1軍に呼び、高山と上本を2軍に落とすなど、今季最多5人の入れ替えも敢行。4カード連続勝ち越しと勢いに乗る中でも最善を求め、活性化を促した。 矢野監督は「チカの状態もなかなか上がらない中で、陽川センターというカードは今まで考えとしてはなかった。今から長いチームとして戦っていく上でやってみていいんじゃないかと」と説明。近本の奮起にも期待をかけた。 前回対戦3連敗した中日に一つお返しして4位に浮上。最大「8」の借金も「2」まで減らした。お立ち台で糸原は「今チームは一丸となっているので、連勝を伸ばしていけるように頑張ります」と宣言。攻めダルマと化し、一気の上位浮上を目指す。【奥田隼人】 ▼阪神の投手を除く先発パターンは、22試合で13通り目となった。9日巨人戦から前日16日ヤクルト戦まで7試合連続同じスタメンで臨み、この間5勝2敗。結果を出していたが、果敢な打線改造が成功した。 ▼阪神が大野雄に黒星をつけたのは、17年4月28日以来3シーズンぶりで通算5度目。昨年9月14日の対戦ではノーヒットノーランを喫するなど12勝を献上していた。

◆阪神は三回に敵失で先制した後、なおも1死二、三塁で「3番」に入ったサンズが右中間に2点二塁打を放った。5試合連続安打と好調。過去13試合はすべて「6番」で出場していたが、初のクリーンアップでの起用に応えた。チームは近本を今季初めて先発から外すなど大幅に打線を変更。昨季は6度の対戦で3勝を献上した中日・大野雄から3点リードを奪った。

◆阪神・糸原健斗内野手(27)が17日、中日4回戦(甲子園)の七回に左前適時打を放ち、追加点を挙げた。  3-1の七回2死一、三塁で打席に立つと、先発・大野雄の外角の147キロ直球を左前へはじき返した。  三回の第2打席では、9試合連続安打となる三塁内野安打、五回にも左前打を放っており、今季初の猛打賞を記録。中日・大野雄とは通算で打率・167(12打数2安打)と苦戦してきたが、難敵を打ち崩した。

◆中日・大野雄大投手(31)が17日、阪神4回戦(甲子園)に先発し、七回途中9安打4失点(自責2)だった。  「青柳投手と比べると投球のリズムが悪く、それが攻撃のリズムを悪くしてしまったと思います。もう少しテンポよく投球できればよかったのですが」  低めへの制球がさえる上々の立ち上がりも、落とし穴は三回だった。1死一、二塁で2番・糸原の打球は、三塁線への弱いゴロを溝脇がランニングスローするも一塁へ悪送球し、先制点を献上。さらに二、三塁で、3番・サンズに右翼への2点適時二塁打を浴びた。クリーンアップの前に走者をためないことを注意点に挙げていたが、警戒したとおりの失点となってしまった。  粘りの投球を続けたが、七回は2死一、三塁で糸原に左前適時打を浴び4点目を献上。ここで阿波野投手コーチが球審からボールを受け取った。  阪神には昨季、9月14日(ナゴヤドーム)にノーヒットノーランを達成するなど6試合に先発して3勝0敗と好相性を示し、2017年4月28日(甲子園)以降、負けがない。開幕ローテの中でただ一人、未勝利の状況で"お得意さま"から今季初星を手にしたかったが、またしてもお預けとなってしまった。

◆中日のビシエドが四回、8号ソロ本塁打を放った。7月から一気に調子を上げており、ホームランは6本目で20打点目。甘い直球を逃さず右翼席へ運び「感触がよかったし、打った瞬間ホームランだと思った。いいスイングで打てた」と笑顔を見せた。七回も緩い内野ゴロを全力疾走してこの試合3安打目をもぎ取った。  確実性に加え、今季は打球が上がるようになったことで本塁打も増えている。巨人の岡本や広島の鈴木誠らとの本塁打王争いも見ものだ。

◆阪神は中日に4-1と競り勝った。三回1死一、二塁で糸原が三塁内野安打。三塁・溝脇の一塁悪送球で先制すると、なおも二、三塁からサンズが右中間を破る2点二塁打を放って3点のリードを奪った。3-1の七回には糸原が左前適時打。昨季0勝3敗でノーヒットノーランを喫するなど、苦手にしていた大野雄を攻略した。  先発した青柳は緩急をつけて、相手打線に的を絞らせずにゴロアウトは計16個。7回を投げて失点は、四回のビシエドの一発だけで今季3勝目。九回はスアレスが締めて4セーブ目を挙げた。  阪神は前回、敵地で3連敗を喫した中日に今季初勝利。中日と入れ替わって4位に浮上した。

◆中日のドラフト1位・石川昂弥内野手(19)=東邦高=が17日、阪神4回戦(甲子園)にベンチ入り。出場機会はなかったが、全国制覇を成し遂げた3年春の選抜以来となる甲子園への"凱旋(がいせん)"だった。  「グラウンドに出たときに『懐かしいなあ』と思いました。僕は高校時代は投手だったので、少し違う感じがしました」  エース兼主砲の主将としてチームをけん引。エースナンバーを背負って出場し、史上初となる決勝での"完封&2発"を達成し、1992年の星稜・松井秀喜らに並ぶ1大会最多タイの3本塁打と大活躍した。  試合前は三塁でノックを受けたほか、フリー打撃でも22スイングでサク越え3本とファンを魅了した。18日以降の出場に期待が高まる。

◆阪神・スアレスが3点リードの九回に登板。2死から安打を許したが、京田を一ゴロに抑えて今季4セーブ目を挙げた。「(2点差の)昨日に続いて大事な展開での登板だったから集中してマウンドに上がったよ」。12日に藤川が右肩コンディション不良で登録抹消されて以降、すべての勝ち試合を締めている右腕は「チームの状態がいいし、自分もチームの勝ちを守れるように、これからもこの投球を続けていきたい」と胸を張った。

◆阪神・ボーアが積極走塁&必死の守りで沸かせた。六回1死から右翼線への当たりで二塁に激走するもアウトに。その際、二塁ベースカバーに入った京田の上に乗っかり、タッチをかいくぐろうとして巨体をひねるポーズにスタンドは大爆笑。九回2死一塁の守りでは、京田の放った二塁ベース寄りのゴロを横っ飛びで捕球すると、一塁に飛び込むようにベースタッチ。助っ人の全力プレーに、再びスタンドからは大きな拍手が起こった。

◆八回に登板した2番手の阪神・岩崎は、四球と安打で1死一、二塁のピンチを招いたが、平田を空振り三振、代打・福田は直球で二ゴロに打ち取った。矢野監督は、九回を締めたスアレスと岩崎について「もっといい(とき)のを知っているから。まだまだ(調子は)上がるだろうし。でも、どんな形でもゼロで抑えるということでやってくれているんで、任せます」と信頼を口にした。

◆先発メンバーの発表で甲子園がざわついた。阪神・近本が今季初めてスタメンから外れた。矢野監督は不振のリードオフマンとチームに刺激を与えた。  「チカ(近本)の状態も上がらない中、陽川のセンターというカードは今まで考えとしてなかった。いろんな状況を考えたときにやってみていいんじゃないかと」  苦手の左腕、大野雄に対して打撃好調の陽川をプロ初の先発中堅で使った。打率・175の近本は過去5試合も19打数5安打。昨年7月3日のDeNA戦(横浜)以来のベンチスタートの屈辱を味わった。それでも七回先頭で陽川が左前打を放つと、代走の背番号5が二盗。リーグトップの7盗塁で追加点を呼んだ。  指揮官は「悔しさとか、みんながどんなふうに戦っているとか、いろんな思いがチカにも出てくる。そういう意味でも陽川が打ってくれて、あそこで代われたのはチーム全体として意味がある」とチームの活性化とリードオフマンの奮起を期待した。

◆狙いすました打撃で広い外野に白球が弾んだ。3番起用に応えた阪神・サンズの一打で、難敵・大野雄から主導権を奪った。  「(狙う)ゾーンを少し上げて外野に飛ばそうという意識だった。得点圏に走者がいる場面。3ボールでも、1球みる気持ちはなかったよ。しっかりスイングできれば、狙った通りに打てる自信もあったよ」  1点を先制した三回、なおも1死二、三塁で3ボールからツーシームに反応した。外角球を素直に右方向へ。「いいツーシームがある投手は、ああいう打撃が理想。ああいうアプローチが必要な投手だと思っていたよ」。イメージ通りに右中間への2点二塁打。一気にリードを広げた。  5試合連続安打で、矢野監督も「内容もよくなってきてるので、ますます楽しみ」と拍手を送った。打線を改造し、初めて3番で起用。近本を外し、糸井を開幕第2戦以来の1番に戻した。空いた主軸の一角に好調の助っ人を選んで大成功。6番から職場を変えた大砲も胸をたたいた。  「長い野球人生で2番から8番までひと通り打ってきたと思うけど、早い打順で打つのは好き。多く打席もまわってくるし、気に入っているよ」  開幕前の不振で2軍スタートも、打撃投手の間で「バットの出かたがきれい。打つと思う」と評判だったという。ボーアのパワーが目立つが、他球団スコアラーから「日本に慣れてきたら打ちそう」という声が多かったのはサンズだ。  「修正もあるけど、打席が増えてきて、どんどん自信を持って打席に立てている。球をみて慣れてきたし、経験を積ませてもらっているのは大きいことかな」  昨季の韓国球界の打点王の実力は本物。両新助っ人の加入で得点力倍増-。開幕前に描いた理想に確実に近づいてきた。(安藤理)

◆どんな状況でも冷静に、小気味よく右腕を振ってゴロの山を築いた。阪神・青柳が今季最長の7回を投げ、ハーラートップタイの3勝目。竜の開幕投手・大野雄に投げ勝ち、甲子園での今季初めてのお立ち台の上で、満面の笑顔だ。  「僕自身でアウトをとったのは少ないので。内野の方々がしっかりアウトにしてくれたからかなと思います!」  まさに威風堂々。走者を出してからが真骨頂だった。六回無死一塁で平田をツーシームで遊ゴロ併殺。七回も先頭のビシエドに内野安打を許したが、続く阿部を外角ツーシームでニゴロ。1死二塁と得点圏に走者を背負ったが、溝脇を三ゴロ、京田もシンカーで芯を外し三ゴロに料理した。  「今日はツーシームとシンカーがよかった。引っかかっていたスライダーをカットボールで代用できたり、組み立てや配球で抑えられた」  7回4安打1四球で1失点。四回にビシエドに浴びたソロ本塁打のみに抑えた。アウト21個のうち、ゴロは16個と、打たせて取る持ち味を存分に発揮し、攻撃にもリズムを生み出した。  安定感あふれる投球に矢野監督も「もう申し分ない。青柳らしく低めにしっかり投げ切って、ゴロ打たせて、堂々と打者に向かっていくピッチングをしてくれた。七回までいってくれたのも大きい」と褒めちぎった。  3月の実戦では投球フォームのばらつきもあり、安定した結果を残すことができずにいた。それでも開幕から好調を維持できているのは、チームの活動休止期間に充実した時間を過ごせたからだ。帝京大時代にお世話になったトレーナーに相談し、胸椎や股関節の可動域を広げるトレーニングに着手。独特なサイドスローに大切な体の動きや練習方法を一から見直したことが、いまの好投につながっている。  「今日みたいなピッチングができたら、また勝ちが近づくと思うので、今日みたいなピッチングを続けていきたい」  昨季自己最多9勝を挙げ、完全覚醒を期す5年目。防御率1・50も西勇を抜いてチームトップ、リーグ2位に浮上した。目標の「13勝」へ、白星を積み重ねていく。(織原祥平)

◆竜に今季初勝利で、4位浮上だ! 阪神は甲子園で中日に4-1で快勝。主将の糸原健斗内野手(27)が、適時打を含む3安打を放って、難敵の中日・大野雄を有言実行で攻略した。2連勝で、借金も2に。さらに上を目指して、虎の勢いは加速していく!!  待ちに待った対戦で、糸原の執念が大野雄を攻め立て、竜を圧倒した。やられ続けて、たまるか-。虎の主将が、お立ち台で胸を張った。  「僕らしいヒットかなと思います。きょうはあれが全てです。あのヒットがあったから、3本打てました」  まずは三回の"自画自賛"の一打だ。先頭の木浪がバットを折られながらもヘッドスライディングで出塁(二塁内野安打)すると、犠打と四球で1死一、二塁となり、打席へ。2ストライクからしぶとくバットに当てた打球は一度ファウルゾーンを転がったが...。気持ちが乗り移ったかのように方向を変え、フェアゾーンへ。慌てた三塁手が一塁に悪送球。二走・木浪が生還し、待望の先制点をもぎ取った(記録は内野安打と失策)。  「相手からしたら、すごく嫌な点の取り方だと思う」。大野雄に対し、実にチーム24イニングぶりの得点を奪い、二塁上でガッツポーズ。直後のサンズの2点二塁打は、糸原のいぶし銀の一打があってこそだった。  今季初対戦の竜の開幕投手には昨季3勝を献上し、9月14日のナゴヤドームではノーヒットノーランの屈辱も味わった。矢野監督は近本をスタメンから外すなど大幅な打順変更を決断。チーム一丸で攻略に挑んだが、誰よりも雪辱に燃えていたのが、糸原だ。  「去年からやられっぱなし。絶対にやり返してやろうという気持ちだった。しっかりと準備して臨むことができて結果につながった」  大野雄には昨年まで通算打率・167(12打数2安打)。中日戦も昨季は打率・171。コロナ禍で満足に練習ができなかった5月、中日と、大野雄の攻略を公言し、"おうち時間"で一心不乱に左腕の投球映像を見て、研究を重ねた。  「ツーシームと他の外のボールも両方、追っかけていた。割り切って、今年はやっていく」  対策を胸に、自信を持って打席に立てた。五回は完璧にとらえ、左前打。七回2死一、三塁では貴重な追加点となる左前適時打で、左腕をノックアウトした。自身の記録を更新する9試合連続安打に今季初の猛打賞。ナゴヤドームでの3連敗(6月30日-7月2日)の借りをひとつ返す、今季中日戦初勝利だ。  大野雄に3年ぶりに黒星をつけ、矢野監督も「最初の対戦で、ラッキーもあったにしても負けをつけることができた。きょうも完全に抑えられてしまう形になると、また嫌なムードで戦ってしまう」とナインの反発力にうなずいた。チームも今季最高の4位に浮上。糸原が力を込めた。  「今、試合に出てる選手も出てない選手も一丸となっている。連勝を伸ばしていけるように頑張ります」。もう怖いものはない。虎の主将がさらに、頼もしくなった。(原田遼太郎)

◆虎のオールドファンには懐かしい~! かつて阪神には『仏のゴローちゃん』のニックネームで愛された選手、遠井吾郎さんがいた。  2020年、ゴローちゃん二代目を襲名する男が現れたー!! その男こそ、本日も低めに投球を集めゴロアウトの山を築き、見事3勝目をあげた『Mr.ゴロちゃん』青柳晃洋投手なのだ!  本日はなんと7回21アウト中16ゴロアウト(ゴロで併殺を取っているから17アウト?)。今季はここまで4登板で72アウト中44個がゴロアウトなのだ! よっしゃ、こーなったら球は低いが勝ち数は高いで最多勝取ったれー!  懐かしいといえば、中日の前身名古屋軍に戦前ハリスという外国人捕手がいて、マスク越しに片言の日本語で♪モ~モタロサンモ~モタロサン-と歌い、みんなから親しまれたそうだ。中日との第2戦、A・マルティネスにキャッチャーで桃太郎の歌をリクエストしまーす! 最後に糸原の3安打にサンズの2点タイムリーお見事!!

◆阪神・青柳に真の成長を感じた。丁寧に、意識して、低めの両サイドに投げ分け、ゴロの山を築いていった。四回のビシエドの一発も風に乗った打球で、ほぼ完璧に中日の打者を抑え込んだ。  特に目を引いたのは、左打者の外角へのツーシーム。同じ右投げの変則フォームだった私が「その球種が投げたかった」と思うほど"えげつない球"だ。そして"えげつない球"を生かしたのは、打者の内角を攻める強気な姿勢。怖がらずに懐へ投げ続けた。  投球の際、最後に球を離す瞬間の非常に繊細な指先の感覚が重要なのだが、青柳はそれを身に付けたのではないか。「プロの制球」を見せつけた投球だった。  以前は、青柳といえば「暴れる君」と呼ばれるぐらいに、球が暴れるケースが目立った。その姿が完全に消えている。「暴れる君」が持ち味という評論家の声も聞いたが、それは大間違い。制球が乱れた時、投手はどれほど不安か。今の青柳から、そんな不安は一切感じられない。2桁勝利は当然、さらに上積みできそうな投球内容だった。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
1471 0.667
(↑0.017)
-
(-)
98120
(+2)
71
(+1)
29
(+1)
15
(-)
0.266
(↑0.001)
3.250
(↑0.05)
2
(-)
ヤクルト
12101 0.545
(↓0.026)
2.5
(↓1)
97110
(+2)
117
(+9)
21
(-)
18
(-)
0.251
(-)
4.700
(↓0.22)
3
(-)
DeNA
12120 0.500
(↓0.022)
3.5
(↓1)
9698
(+1)
86
(+2)
21
(-)
4
(-)
0.282
(-)
3.580
(↑0.02)
4
(1↑)
阪神
10120 0.455
(↑0.026)
4.5
(-)
9871
(+4)
98
(+1)
23
(-)
15
(+1)
0.243
(↑0.002
4.290
(↑0.17)
5
(1↑)
広島
9121 0.429
(↑0.029)
5
(-)
98108
(+9)
104
(+2)
24
(+2)
9
(+1)
0.290
(↑0.007)
4.450
(↑0.11)
6
(2↓)
中日
10141 0.417
(↓0.018)
5.5
(↓1)
9587
(+1)
118
(+4)
14
(+1)
5
(-)
0.257
(↓0.003)
4.500
(↑0.08)