広島(★2対7☆)巨人 =リーグ戦4回戦(2020.07.14)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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巨人
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広島
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勝利投手:菅野 智之(3勝0敗0S)
敗戦投手:九里 亜蓮(1勝1敗0S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(6号・3回表3ラン)
【広島】メヒア(2号・7回裏ソロ)

  DAZN
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◆巨人が連敗を4で止めた。巨人は3回表、丸の適時打と岡本の3ランで4点を先制する。そのまま迎えた6回には、パーラの適時打などで3点を挙げ、試合を優位に進めた。投げては、先発・菅野が5回無失点で今季3勝目。敗れた広島は、投打ともに振るわなかった。

◆マツダスタジアムは観客を入れて今季初めて試合を行った。広島市の松井一実市長が始球式を務め、鳴り物やカープ名物のスクワット応援が行えない中、約5000人が拍手などでエール。 大瀬良のレプリカユニホームを着て来場した広島市の西村恵利子さん(29)は「今日が開幕戦みたいな気持ちです。心の中でしっかり応援します」と笑顔。上野打撃投手の現役時代の上下ユニホームを着て訪れた同市の大塚徹さん(45)は「試合を見られるだけで感謝です」と喜んだ。

◆巨人丸佳浩外野手(31)が先制の適時二塁打を放った。3回1死一、三塁、外角低めいっぱいの147キロ速球を逆らわず左前に転がした。 左翼手ピレラの隙を突き一気に二塁を陥れた。「何とか1点取りたかった。いいところに飛んでくれてよかった」とコメント。鮮やかなバットさばきと走塁に、今季初めてマツダスタジアムで観戦する広島ファンからも、思わず拍手が起きた。

◆巨人岡本和真内野手(24)が、広島鈴木誠に並ぶリーグ2位タイの6号3ランを放った。先制した直後の3回1死二、三塁、広島先発九里のチェンジアップを捉え、左翼ポール際に運んだ。 「チャンスで何とかしたかった。ホームランという最高の結果になって良かったです」とコメント。ダイヤモンドを1周すると、三塁走者の坂本、二塁走者の丸と踊るように跳びはねながら肘タッチ。ルンルンでベンチに戻った。

◆途中出場の広島アレハンドロ・メヒアが8試合ぶりの2号ソロを放った。 6点を追う7回、ケムナの代打で登場。この回先頭で鍵谷の144キロ直球を初球打ちし、カープファンの待つ右中間スタンドまでかっ飛ばした。「大振りにならず、いいポイントで捉えることができたね。結果的にホームランになって良かった」。6月26日中日戦以来の1発。右のパワーヒッターがバットで存在感を示した。

◆絶好調の広島堂林翔太内野手が3試合連続適時打を放った。7番三塁で先発出場。7点を追う6回2死一塁から沢村の初球、内角低め153キロ直球を捉え、左中間を破る適時二塁打。 「初球から積極的に打ちにいきました。いい反応で捉えることができました」。8回2死からも左前打でマルチ安打をマーク。首位打者をキープした。

◆巨人原辰徳監督(61)が監督通算1035勝目を挙げ、並んでいた長嶋茂雄終身名誉監督(84)の監督勝利数を抜いて巨人歴代で単独2位となった。 また巨人歴代1位は川上哲治氏で1066勝。この勝利であと31勝に迫った。 ▽原監督のコメント「戦う分においてそういうこと(記録)を忘れて一心不乱にやっている。1つ1つの積み上げることが大事。(川上哲治氏の記録は)明日の勝利を目指すことで近づくのかな」

◆巨人が連敗を4で止め、再び首位に返り咲いた。菅野が今季3勝目。九里は今季初黒星。

◆巨人が3回に2四球から好機をつくり、丸の適時二塁打で先制。岡本が左翼ポール際へ3ランを放ち、一挙4点を奪った。 巨人は6回、パーラの適時打で1点、相手守備の失策でさらに2点を追加。広島は6回裏、堂林の適時二塁打で1点を返した。 広島は7回にメヒアの2号ソロで反撃も、巨人が逃げ切り、連敗を4でストップした。菅野が今季3勝目。九里は今季初黒星。

◆巨人ヘラルド・パーラ外野手(33)が適時打を放った。 4点リードの6回無死一、三塁、広島D・ジョンソンのチェンジアップを右前に運んだ。第1打席でも右前打を放っており、マルチ安打とした。

◆4987人が集まった広島で、巨人原辰徳監督がミスターを超える節目の勝利に到達した。「すごく偉大な先輩であり、私にとって大変強く影響を受けた先輩の1人」と感謝して、続けた。「我々は戦場にいる。そういうことは忘れて一心不乱に今日のゲーム。喜んでいられない。それが本音です」。 選手の状態を見極めながら、最善策を打つ。5回まで109球の先発菅野に6回の好機で代打を送ると、直後にはデラロサの代役としてクローザー指名しながら、前回登板で2四死球を出した沢村を投入。有観客試合3試合目での初勝利に「初めて?それは失礼しました」と笑った。 中止になった7日の甲子園から前例のない長期遠征が続き、東京ドームに戻るのは28日。例年とは違う変則日程にも「全てを受け止める」とぶれることはない。兵庫の宿舎では大ヒットした北野武監督の映画「アウトレイジ」シリーズを見てリフレッシュ。ユーチューブ観賞にもトライする。巨人歴代1位の監督通算1066勝に向けて「1つ1つの勝利を積み上げていくことがとても大事。明日の勝利を強く目指す」と言った。オンとオフを切り替えながら、チームと共に前進する。【前田祐輔】

◆この日ばかりは、完敗にも乾杯だ。広島が今季本拠地初の有観客試合を勝利で飾れず、連勝も2で止まった。マツダスタジアムには4987人のファンが集まった。広島は投手を中心に守り勝つ野球を展開できず、終盤に2点を返すのが精いっぱい。それでもファンは1つ1つのプレーに一喜一憂した。ボールパークに日常が帰ってきた。次戦こそ、ファンと笑顔で喜び合いたい。限られたチケットを手にした思いからか、終盤まで席を立つファンは少なかった。広島の本拠地有観客試合初戦は完敗。中盤6回を終え、1-7。5点差となった9回にフランスアがボール球を連発しても、拍手が湧いた。投打ともに完敗ムードにも、広島ナインの真剣勝負に最後まで温かい拍手を送られた。 ファンがいる、当たり前の光景が帰ってきた。鳴り物は禁止。応援旗や横断幕もない。1プレーに拍手が起こり、ため息が漏れる...。ファンは何とか広島ナインに力を送ろうと、1人1人の手拍子がときに大きな音となった。マウンドで九里が3ボールとカウントを悪くしたとき、右翼鈴木誠がスライディングキャッチしたとき、そして7点ビハインドの6回に堂林が適時二塁打を放ったとき...。大きな拍手がマツダスタジアムを包んだ。 好投手菅野が先発する巨人を倒すゲームプランが崩れた。先発九里は前回までの2試合と同じ3イニング目に失点。先頭菅野へのストレートの四球から4失点のビッグイニングで流れを切った。2番手D・ジョンソンは6回に2つの失策が絡んで3失点。拙守が重なった分だけ、7点ビハインド以上の重みが感じられた。 攻撃陣は好投手を相手に最低限の役割をこなした。先発菅野に5回までわずか4安打無得点も、5回まで109球を投げさせた。無抵抗ではなかった。大量得点差もあって菅野が降板した6回以降は、巨人中継ぎ陣から毎回の6安打2得点と意地を見せた。 僅差に持ち込むゲームプランを遂行できず、連勝が止まった。無観客での本拠地試合は1勝3敗の負け越し。佐々岡監督が「ファンの声援が選手の力になると思うので、また頑張っていきたい」と話していた有観客試合初戦も黒星発進となった。本拠地試合はまだ55試合残っている。ファンの拍手に応える使命はある。【前原淳】

◆先発の広島九里亜蓮投手(28)が5回4失点で今季初黒星を喫した。両軍無得点の3回、1死一、三塁から巨人丸に左中間へ適時二塁打を打たれ先制点を献上。直後の岡本には左翼越えの3ランを浴び、相手に流れを受け渡した。 右腕は「あの回(3回)の先頭打者への四球からなので、そこが全てだと思います」と反省。この日が本拠地で初の有観客試合だったこともあり、「いつも通り温かい声援を送っていただいた中で、結果としていい投球ができなかった。悔しいだけです」と肩を落とした。

◆広島堂林翔太内野手(28)が3試合連続適時打を含むマルチ安打と気を吐いた。 7番三塁で先発出場。7点を追う6回2死一塁で沢村の初球、内角低め153キロ直球を捉え、左中間を破る適時二塁打。「投手が代わった中で、2打席打てていなかったので切り替えて打ちにいけました」。8回2死では2安打目となる左前打を放った。 この日からマツダスタジアムには観客が入り、堂林が打席に立つ度に大きな拍手が送られた。「やっぱりお客さんが入った方が気が引き締まる。より1つでも多くプレーをしたい気持ちになりました」と振り返った。マルチ安打で打率は4割1分9厘まで上昇。首位打者を独走中だ。「がむしゃらに1つでもヒットを打てるように泥臭くやっていきたい」と気合を口にした。

◆巨人のエースが、指揮官と自らのメモリアル勝利をダブルで飾った。菅野智之投手(30)がリーグトップタイの今季3勝目。自身180試合目の登板で、球団4位となるスピード記録で通算90勝に到達した。先週は3試合が雨天中止。巡り巡って、歴史的な瞬間をともに"戦場"で迎えた。 菅野 やっぱりそういう運命を感じながら今日は投げられましたし、そういうのに携われて、本当にうれしいです。 エースへの道を示してくれたのはおじであり、監督でもある原監督だった。2年目の14年3月15日。ソフトバンクとのオープン戦後だった。指揮官から呼ばれ、言われた。「開幕、いくぞ」。今でも身震いする自身初となる大役のマウンド。あの時の胸の鼓動、野球人としての興奮は今もなお、強く刻まれている。 あれから6年後の今季。球団史に残るエースへと進化した男に、原監督から示されたのは全幅の信頼感だった。自身6度目となる開幕投手を託されたのは昨年のオフ。宮本投手チーフコーチから伝えられた。原監督からは「宮本コーチから聞いたか? 頼んだぞ」。短い言葉だが、それで十分だった。 エースの使命を胸に、マウンドに上がる。だから、チームの連敗を4で止めても反省を示した。無失点ながら、5回109球で降板。コンビを組んだ大城に対し「ちょっと窮屈な思いをさせてしまって、申し訳なかったなという思いはあります」と謝った。向上心、探求心の塊のような男が、チームの進みべき道を示す。【久保賢吾】

◆2代目若大将が、初代若大将に記念の勝利を届けた。1点を先制した直後の3回、4番岡本和真内野手(24)が左翼ポール際にリーグ2位タイとなる6号3ランを運び、原辰徳監督(61)に監督通算1035勝目をプレゼント。原監督は長嶋茂雄終身名誉監督(84)を抜き、巨人史上単独2位の勝利数に到達した。同1位の川上哲治氏の1066勝まであと31勝。チームは連敗を4で止め、再び首位に返り咲いた。ベンチでは「初代若大将」の両拳が待っていた。岡本は3回1死二、三塁、体勢を崩されながらも低めのチェンジアップをすくい上げ風に乗せた。ファウルに切れそうだった打球は、左翼ポールを巻くようにスタンドイン。ダイヤモンドを1周すると笑顔で出迎えた原監督とエア・グータッチをかわした。指揮官の節目の1035勝目を大きく引き寄せる1発。「4連敗していたんでそれを止められて、勝てて良かった」と喜んだ。 今春キャンプ中に「2代目若大将」を襲名したが、謙虚な姿勢は変わらない。キャンプ終盤には「若大将」の呼び名について「本当にありがたい言葉ですけど。僕はあくまで2代目ですから。恐れ多いというか全然違いますよ!」と謙遜していた。謙虚な姿勢が引き寄せたのか、この日の本塁打は「神風みたいな形で吹いてくれた」と原監督が表現する風に守られるように、スタンドに届いた。 先代の心配も杞憂(きゆう)に終わった。原監督は「2代目」に指名直後、呼び名の浸透具合を気にしていた。「僕はいつも『若大将』と言っている。それがみんなに伝わっていない」と話していた。だが、岡本は今季ここまで19試合で18通りの打線を組んでも、唯一4番に座り続け、開幕ダッシュに貢献。「若大将」もすっかり定着した。 節目の勝利を引き寄せ恩返しを果たし、2日ぶりに首位に返り咲いた。「ずっと負け越している(広島)相手。1試合1試合頑張りたい」と岡本。恩返しは、これだけでは済まさない。【久永壮真】

◆巨人菅野智之投手が通算90勝目。巨人で180試合目に90勝到達は(1)39年スタルヒン143試合(2)05年上原156試合(3)84年江川176試合に次ぐ4位のスピードになる。5回で降板したが、6回を投げずに白星を手にしたのはプロ入り初めて。 ▼菅野はチームの連敗を4で止めた。菅野が入団した13年以降、巨人の4連敗以上は32度あるが、このうち連敗脱出の勝利では菅野の6度が最多(2位はマイコラス4度)。

◆広島は14日の巨人4回戦で、マツダスタジアムでは今季初めてとなる有観客試合を行った。全席指定で、約5000人が入場した。  広島県府中市の大森勝勇さん(83)は、鈴木誠の背番号「51」時代の「℃℃℃ユニホーム」を着用し、バックネット裏から観戦。「良い場所で見ることができて運が良かった。カープは市民球場の前の県営球場のときから応援している。ファン歴は50年以上になるかな。みんな頑張ってほしいですね」と声をはずませた。  球場内はマスクの着用が義務付けられている。入場前には全員が検温を実施し、37・5度以上は入れないなど、NPBのガイドラインに沿って安全に運営している。  プレーボール前には、広島市の松井一實市長(67)が始球式を務めた。

◆巨人は14日の広島戦(マツダ)で5-0の六回、1死二、三塁の好機で9番・菅野に打席が回ると、代打・ウィーラーを起用。強いゴロを前進守備の遊撃・田中広が捕れない失策で、2者が生還した。  5回4安打無失点ながら109球を投げていた菅野を思い切って代える原監督の代打策が"的中"し、7-0とリードを広げた。

◆巨人・菅野智之投手(30)が14日、広島戦(マツダ)に先発し、5回4安打無失点で交代した。4連敗中と不振のチームの連敗阻止を託されたエースが、広島打線を封じ込めた。  前回3日の中日戦(東京ドーム)で1安打完封したのに続き、この日も快投を披露。109球と球数は多かったものの、連打を許さず、5三振を奪った。5-0の六回の攻撃ではヘルメットをかぶるなど打席に立つ準備をしていたが、1死二、三塁の好機で代打・ウィーラーを送られた。  今季3勝目の権利を手にして、救援陣にバトンタッチ。このままチームが勝てば、原監督は長嶋茂雄終身名誉監督を上回る監督通算1035勝目となる。

◆広島・鈴木誠也外野手(25)が14日、巨人4回戦(マツダ)に「4番・右翼」で先発出場。八回にはコンディション不良の西川に代わって、5年ぶりに中堅の守備に就いた。  鈴木誠が中堅を守ったのは、2015年6月7日の楽天戦(マツダ)以来、1864日ぶり。背番号「1」が右翼ではなく中堅の位置に就くと、約5000人の観客はどよめいた。

◆巨人が岡本の3ランなどで奪ったリードを守り、連敗を4で止め、首位に返り咲いた。5回4安打無失点の先発・菅野が3勝目。広島は四球や失策が失点につながり、連勝は2でストップした。  巨人は三回、広島先発の九里から先頭の菅野が四球を選び出塁。その後1死一、三塁で丸のフェンスを直撃する左越え適時二塁打で先制し、続く岡本が左翼ポール際へ6号3ランを放った。  六回、巨人は大城が広島の遊撃手・田中広の悪送球で出塁すると、無死一、三塁とチャンスを広げ、パーラの右前適時打で追加点。さらに1死二、三塁で、代打・ウィーラーの遊ゴロを田中広が後逸し、さらに2点を加え7-0とした。  広島はその裏に堂林が左中間を破る適時二塁打で1点を返し、七回にも先頭のメヒアが右中間席へ2号ソロを放ったが及ばなかった。 長嶋監督の通算勝利数を上回った巨人・原監督  「忘れていました。ここのところ、苦しい戦いが多かったものですから、忘れていました。言われて(ヒーローインタビューで質問されて)、思い出しました。  (長嶋氏は)すごく偉大な先輩であり、強く影響を受けさせていただいた。感謝(の気持ち)はありますが、あまり、喜んでもいられないのが本音でございます。  (川上監督の通算1066勝へは)一つ一つの勝利を積み上げることがとても大事。明日の勝利を強く目指すことで、近づいていく」

◆広島は序盤の大量失点が響き、観客の戻った本拠地で今季初の3連勝を逃した。佐々岡監督は九里が投手への四球から崩れ「菅野への四球が全て。チャンスはあると思ったけど、ビッグイニングをつくられたのは大きい」と嘆いた。  0-0の三回、九里が先頭打者の菅野にストレートの四球を与えると1死後にも坂本に四球。このピンチで丸に二塁打、岡本には一発を浴びた。5回4失点で今季初黒星を喫し「無駄な走者を出して失点するのは、一番してはいけないこと」と悔しがった。

◆本拠地での有観客開幕。佐々岡監督は「声援は選手の力になる。雰囲気が違った」と感謝したが、完敗で3連勝を逃し、巨人・原監督の通算1035勝の引き立て役に。先発の九里は三回先頭で、投手の菅野への四球から4点を失い、5回6安打で今季初黒星。指揮官は「もったいない。反省してもらわないと困る」と手厳しかった。

◆4番の"神風弾"で突き放した。巨人・岡本和真内野手(24)が、1点を先制した直後の三回1死二、三塁で6号3ランを放った。  「最後(ファウルゾーンに)切れるかなと思ったら帰ってきてくれた。4連敗したので、それを止められてよかった」  九里の低めのチェンジアップに泳がされたが、粘り腰で捉えた。左翼線上を伸びた打球は、風に押し戻されるように左翼ポール際へ飛び込んだ。  通算1035勝を達成した原監督は「神風が吹いてくれたような...。そのあとの内容がイマイチだけど、あの打席に関してはよかったと思います」。ニヤリと笑った。2015年にドラフト1位で入団。長嶋終身名誉監督の3と原監督の8を合わせた背番号「38」を託された(現在は25)。  入団6年目で不動の4番に成長した主砲は「調子がいいあとには打てないときもある。何とか最低限(の仕事)はできるように心掛けてはいます。ヒットをほしがらず、一日一日頑張りたい」と、自覚たっぷりの言葉で締めた。(谷川直之)

◆巨人は14日、広島4回戦(マツダ)に7-2で快勝。原辰徳監督(61)が監督14年目で通算1035勝とし、長嶋茂雄終身名誉監督(84)の1034勝を超えて、球団単独2位、歴代では単独12位となった。巨人の監督通算最多勝利はV9に導いた川上哲治氏の1066勝で、あと「31」に迫った。チームは投打がかみ合い、連敗を4でストップ。ヤクルトと入れ替わり、首位の座を奪回した。  広島の夜風が心地いい。快勝でミスターを超えた原監督は、記念の「1035」がかたどられた金色のバルーンを笑顔で掲げた。  「このところ苦しい戦いが多かったものですから、忘れていました。振り返ることは僕がユニホームを脱いだとき。われわれは戦場にいるわけだから、そんな余裕はありません。あまり喜んでいられないのが本音のところでございます」  監督通算勝利数で長嶋終身名誉監督に並んだ4日の中日戦(東京ドーム)から10日。3度の雨天中止を挟む4連敗とチーム状態は下降気味だったが、ようやく投打がかみ合い、通算1035勝を達成した。  原監督のおいでもあるエース・菅野が中10日で広島戦にまわり、5回無失点。最速152キロの直球を軸にピンチさえも作らなかった。おじの800勝(14年4月4日、中日戦)、900勝(15年5月26日、西武戦)もプレゼントしてきたエースは「運命を感じながら投げられた。そういうことに携われて本当にうれしい」と喜んだ。  ミスターと原監督は、監督と選手、そして監督とコーチとしてともにチームを支えた間柄。「すごく偉大な先輩であり、大変強く影響を受けた1人」という。原監督いわく、2000-01年のヘッドコーチ時代は"中間管理職"。「A案とB案があって、自分はB案と思って(長嶋監督のところへ)いく。でも、監督は『A案でいこう』という。そういうときも選手には自分の意思として(A案だと)伝える。そうでないと組織は崩壊する。そういうことは勉強したね」と懐かしむ。  日々学び続けて14年。自分に限界は作らず、監督生活を送ってきた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が遅れ、ステイホーム生活を送っていた4月はゲーム機を手に取り「脳トレ」や「漢検」の勉強に励んだ。11泊12日の長期遠征に出ている現在は一切の会食を自粛し、宿舎ではスマートフォンでYouTubeや北野武監督の映画『アウトレイジ』シリーズを鑑賞している。  そんな柔軟性が監督としての持ち味だ。2軍から好調で昇格してきた若手は即起用。今季は楽天で出番がなかったウィーラーがトレードで加入すると、入団会見の日に先発出場させた。若者の声に耳を傾け、周囲の変化にも柔軟に対処する采配で勝利を積み重ねてきた。  巨人の監督で通算勝利数トップは川上哲治。V9に導いた大先輩は14年間で1066勝を挙げた。「一つ一つの勝利を積み上げていくのがとても大事なこと。明日の勝利を強く目指すことで近づいてくると思う」と令和の名将は"極意"を説いた。狙うは常勝軍団の再構築とリーグ連覇の達成。61歳の若大将は、果てしない遠くを見据えている。(伊藤昇)

◆巨人・原辰徳監督(61)が、長嶋茂雄終身名誉監督(84)を超える監督通算1035勝を記録した。原監督を長年間近で見てきた江本孟紀氏(72)=本紙専属評論家=が、その「名将」たるゆえんを明かした。  長嶋茂雄さんの下で監督業を勉強し、長嶋さんを超えた。はっきりとした目標設定があるからこそ、意欲と執着心が生まれ、成果を出せる。原監督がそれを実証したね。  境遇も長嶋さんと似ている。1度クビになり、返り咲いて、なお実績を重ねているところだ。素晴らしいことだよ。  2人の違いは-。長嶋さんは人のよさが出て、温情を捨てきれない面があった。原監督には、生え抜きも外様も、ベテランも若手も関係ない。駄目なら落とす。良ければすぐ使う。勝つために非情に徹している。  ベースにあるのは、東海大相模高時代の監督だった父・貢さん。決して、えこひいきしない。何かあると、真っ先に自分が殴られたという。根っこの部分で"情"がつながっていれば、どんなに厳しく接しても大丈夫。10代にして、そこを学んだのだろう。  プロ入り当時の監督、藤田元司さんからも、人の使い方と采配を大いに学んだ。極意は「時を待つ」。信念を持って起用していれば、最後は期待に応えてくれる。至る所でその姿勢が見える。  何といっても原自身に、実体験がある。不振が長引き、「原を外せ」とバッシングが巻き起こったときも、起用し続けてくれた。その結晶が1989年、近鉄との日本シリーズ。原は第5戦で満塁本塁打。第7戦で2ランを放ち、3連敗4連勝での日本一に貢献した。思わぬところで、神がかり的な力を発揮させるのも、監督の力量だということを、身をもって知っているわけだ。  父・貢さん、長嶋さん、藤田さん。師匠たちから吸収したものを、自分なりに消化した。それが最大の特長だね。  そんな原監督も、世間では「名将」と呼ばれない。なぜか。男前だからだ。ずる賢そうなオッサン...という名将のイメージとは対極にいるからだ。人を見かけで判断してはいけない。原監督は立派な名将だよ。(本紙専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
巨人
1171 0.611
(↑0.023)
-
(↓0.5)
10197
(+7)
65
(+2)
23
(+1)
13
(-)
0.261
(-)
3.390
(↑0.08)
2
(1↓)
ヤクルト
1181 0.579
(↓0.032)
0.5
(↑0.5)
10095
(+3)
97
(+6)
20
(+1)
16
(-)
0.242
(↓0.005)
4.350
(↓0.11)
3
(-)
DeNA
1290 0.571
(↑0.021)
0.5
(↓0.5)
9996
(+5)
74
(+3)
20
(-)
4
(+1)
0.285
(-)
3.420
(↑0.07)
4
(-)
広島
8101 0.444
(↓0.027)
3
(↓0.5)
10194
(+2)
81
(+7)
20
(+1)
7
(-)
0.288
(-)
3.980
(-)
5
(1↑)
阪神
8110 0.421
(↑0.032)
3.5
(↑0.5)
10156
(+6)
84
(+3)
19
(+1)
13
(-)
0.237
(↑0.007)
4.280
(↑0.08)
6
(1↓)
中日
8131 0.381
(↓0.019)
4.5
(↓0.5)
9876
(+3)
113
(+5)
13
(+1)
3
(-)
0.257
(↓0.004)
4.960
(↑0.09)