DeNA(★7対8☆)阪神 =クライマックスシリーズ1回戦(2019.10.05)・横浜スタジアム=
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阪神
00010043081201
DeNA
30004000071401
勝利投手:ドリス(1勝0敗0S)
(セーブ:藤川 球児(0勝0敗1S))
敗戦投手:エスコバー(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】北條 史也(1号・7回表3ラン)
【DeNA】筒香 嘉智(1号・1回裏3ラン)

  DAZN
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◆阪神がファイナルステージ進出に王手をかけた。阪神は6点ビハインドの7回表、北條の3ランなどで4点を返す。続く8回には木浪の適時打で1点差に迫ると、2死二三塁の好機から北條が適時打を放ち、試合をひっくり返した。敗れたDeNAは、救援陣がリードを守れず、痛い敗戦を喫した。

◆赤パン出陣で甲子園帰還や!! セ、パ両リーグで5日にクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージが開幕する。 DeNAと激突する阪神矢野燿大監督(50)は4日、日本シリーズで本拠地甲子園に戻ってくることを誓った。最終盤に逆転CSへとつなげた6連勝中は験担ぎで赤いパンツを連日着用。大一番もあやかりたい。大勝負に打って出る矢野監督は下着の色にまでこだわる。CS開幕直前の会見で知られざる事実を明かした。1敗すれば敗退が決まる瀬戸際で驚異の6連勝。逆転CSを決めた奇跡的な日々の験担ぎを問われると包み隠さず言った。 「あんまり験を担がないタイプだったけど監督になってから、むちゃくちゃ担ぐようになって。いまは違いますけど赤いパンツはいたり。球場にくるときは毎日。何種類かある。そのパンツを順番にはいてます」 会見中、笑いも起きたが、指揮官は勝つために真剣だ。「来るときに勝負には赤いパンツがいいって話だから赤いパンツをはいている。俺は野村(克也)さんみたいにユニホームの下にははいてない。球場に来るとき」と説明。勝負パンツで自宅から球場入りしていたという。この日は甲子園練習を指揮後、決戦の地の横浜に移動。ビジター戦のため、ホテルの自室で赤パンツをはいて過ごす。 「俺もやめようかなとは思うんよ。しんどい。また赤いパンツかと思いながら。でも、やらなかったら気持ち悪いからやっている」 赤は闘志をくすぐり、戦国時代も朱塗りのよろい甲冑(かっちゅう)などに身を包む「赤備え」と呼ばれる部隊があったほど。矢野監督も、真田幸村ら名将が愛したカラーにあやかる。敵将のラミレス監督は過去の短期決戦で奇襲を仕掛けた。警戒する選手を問われると「監督じゃないですか」と矛先を変えるが「何が起こっても『こういうことがあるんだな』という受け止め方でやればいい」と泰然としている。 相手先発は石田に決まり、今季13勝の今永は試合途中から第2先発で控える可能性も浮上する。だが「いいんじゃない。別にウチは嫌なイメージは何もない」と意に介さない。朗報もある。左足の張りで別メニューだったマルテの4番復帰が決定。指揮官は「ウチは挑戦者。何も守るものはない。甲子園で野球を、日本シリーズをやれるのは最高の幸せ。帰ってこれるよう精いっぱい頑張ります」。今季限りで阪神を去る鳥谷と必ずや甲子園に帰る。連勝中の超積極的な継投など、攻めの采配で赤鬼と化す。【酒井俊作】

◆セ、パ両リーグでクライマックスシリーズのファーストステージが開幕。DeNAと激突する阪神矢野燿大監督は4日、日本シリーズで本拠地甲子園に戻ってくることを誓った。 矢野監督の一問一答 -ファーストステージは超短期決戦だ。どう戦う 最後の6戦、6連勝しないとCSに出られないところで、いい意味で予行演習できた。戦い方はそのような形になっていくと思う。ウチの一番の強みは投手陣。最少失点で抑えることを考えながら、やっていく。 -2年前に甲子園でDeNAに負けた。雪辱だ 過去は変えられない。これからのことは僕らが変えていく。新しいものを作っていけるようにやるだけ。 -投打のキーマンは 打つ方は近本がやっぱりキー。相手にとったら嫌な存在。投手陣に関しては全員。投手が打者に向かっていくのがポイントになる。 -14年はCSの勢いで日本シリーズに進出した まだ強いチームにはなれていない。ここからの戦いでまだまだ強くなれる。僕たちが成長していきながら日本シリーズに行って、どんどん成長して強いチームになれると信じています。 -鳥谷は雰囲気を変えられる存在だ このメンバーで戦えるのは、いつもあることではない。トリの力は大きなものがある。雰囲気が変わる部分も、もちろんある。俺も都合よく采配を振れるかどうか分からないけど、チームが勝つために必要。

◆赤パン出陣で甲子園帰還や!! セ、パ両リーグで5日にクライマックスシリーズのファーストステージが開幕する。 DeNAと激突する阪神矢野燿大監督(50)は4日、日本シリーズで本拠地甲子園に戻ってくることを誓った。最終盤に逆転CSへとつなげた6連勝中は験担ぎで赤いパンツを連日着用。大一番もあやかりたい。 大勝負に出る矢野監督は下着の色にまでこだわる。CS開幕直前の会見で知られざる事実を明かした。6連勝で逆転CSを決めた、最終盤の奇跡的な日々の験担ぎを問われ「あんまり験を担がないタイプだったけど監督になってから、むちゃくちゃ担ぐようになって。いまは違いますけど赤いパンツはいたり。球場に来るときは毎日。何種類かある。そのパンツを順番にはいてます」と語った。 さらに「勝負には赤いパンツがいいって話だから赤いパンツをはいている。俺は野村(克也)さんみたいにユニホームの下にははいてない。球場に来るとき」と説明。勝負パンツで自宅から球場入りしていたという。この日は甲子園練習を指揮後、決戦の地の横浜に移動。ビジター戦のため、ホテルの自室で赤パンツをはいて過ごす。 赤は闘志をくすぐり、戦国時代も朱塗りのよろい甲冑(かっちゅう)などに身を包む「赤備え」と呼ばれる部隊があったほど。矢野監督も、真田幸村ら名将が愛したカラーにあやかる。敵将のラミレス監督は過去の短期決戦で奇襲を仕掛けた。警戒する選手を問われると「監督じゃないですか」と矛先を変えるが「何が起こっても『こういうことがあるんだな』という受け止め方でやればいい」と泰然としている。 朗報もある。左足の張りで別メニューだったマルテの4番復帰が決定。指揮官は「ウチは挑戦者。何も守るものはない。甲子園で野球を、日本シリーズをやれるのは最高の幸せ。帰ってこれるよう精いっぱい頑張ります」。連勝中の超積極的継投など、攻めの采配で赤鬼と化す。ハマの主砲が、キーマンとなる。DeNAは4日、5日から始まる阪神とのファーストステージを前に横浜市内のホテルで記者会見を行った。登壇したラミレス監督は「キャプテン筒香がキープレーヤーになる。彼は高いプライドとチームを必ず勝利に導くという強い気持ちを持っている。チームみんなが彼についていけばCSを勝ち抜ける」と言った。同席した筒香も「公式戦とCSはまったくの別物。事実として負け越しているけれど、明日からは別物」と力強い言葉で応えた。 ハマのエースは「JOKER」となる。今永はブルペン待機することになった。ラミレス監督は「彼には1日以上投げてもらう」とエースのフル回転を示唆した。今永は「言われたところで、投げるだけ。自分としては先発の時も、リリーフのような気持ちで投げている。目の前の打者に対して、100%の力で投げるだけ。リリーフだからということは関係ない」となりふり構わず、マウンドに向かう。主砲とJOKER。投打の軸が、CS突破の切り札となる。 ◆CSファーストステージの主なルール シーズン2位と3位が3試合制で対戦。球場は2位のホーム。引き分けを除いた勝ち数が同じ場合は2位球団が勝者。延長戦は12回まで。12回表終了時や12回裏の攻撃中に後攻の勝ち上がりが確定した場合、その時点でコールドゲームとなる。予告先発は両リーグとも実施。

◆阪神のクライマックスシリーズ(CS)突破のキーマン、ドラフト1位ルーキー近本光司外野手(24)の勝負強さに、古巣・大阪ガスの橋口博一監督(52)が太鼓判を押した。社会人時代は大一番で結果を残し、自ら道を切り開いてきた。その勝負強さを間近で見てきた橋口氏は、近本が勝利への突破口を開くことを確信している。 「持ってるかもしれないですね」。橋口監督はそんな言葉で、近本のCSでの活躍を予言した。ルーキーでいきなりの大舞台も気後れすることなく暴れ回るはず。18年1月から監督に就任し、ドラフト1位で指名されるまでの過程を見てきたからこそ言える言葉だ。 大阪ガス入社当初、近本の描く未来に「プロ」の言葉はなかった。周囲にも「普通にサラリーマンとして歩むと思っていた」と話していたという。転機は昨年4月のJABA岡山大会。近本は5試合で3本塁打を放った。実はその直前、近本は負傷していた。橋口監督は「去年の春先、2月か3月でしたか、自打球を当ててあまり練習出来なかったんです。1カ月以上かな、試合にも出ていなかった」と振り返る。だが、復帰直後に大貢献。プロが現実味を帯び始める暴れっぷりだった。 近本の評価を決定的にしたのが、その後の7月の都市対抗。近本は打率5割2分4厘で首位打者に輝き、最優秀選手に贈られる橋戸賞を受賞。「よう打ちましたからね。打ったし、走ったし。でも本人はまだ調子悪い感じだと、そういうふうに言ってました。そんなに絶好調な感じではないけど、うまいぐらいにヒットが出たり」。本調子でなくても大舞台で結果を残し続け、プロへの扉を開いた。 橋口監督は近本の武器を「思い切り」という。「乗ったら手のつけられないタイプ。社会人の時も1打席目打ったら3本打つ、みたいな。最初からガンガンいくほうがいいと思うしね」。レギュラーシーズンとは違う緊張感に包まれる短期決戦。それでも、近本が打って走って活躍する姿は変わりないに違いない。【磯綾乃】

◆セ・リーグCSファーストステージのDeNA-阪神戦前に、バックネット裏スタンドにDeNA初代監督の中畑清氏(65)が登場した。 この日はCS本拠地初開催を記念して、DeNAが12年に発売したチケット「~感謝、そして夢~新・熱いぜ!チケット」が特別に復活。50組100人のファンが招待された。中畑氏はサプライズゲストとして現れ、ファンにチケットを手渡した。 DeNA体制となり、初めて挑んだ12年シーズン。最終戦に発売した企画チケットがあった。内野指定SS席のペア購入者(定価1万1000円)が、1人1000円ずつを加えることで(合計1万3000円)、16年シーズンまでに球団がCSに進出した際、横浜スタジアム開催試合の内野指定席ペア観戦券が付いてくるというチケットだった。 しかし16年シーズンに3位でCSに進んだものの本拠地開催権は得られず、当時のチケットの権利は失効。しかし今季、レギュラーシーズン2位で初めて横浜スタジアムでCSを開催できるということで、当時から応援し続けてくれているファンのために、サプライズゲスト付きで権利が復活。当時チケットを購入したファンが招待された。 中畑氏は「こうやってみんなに期待されて、本拠地開催を目標にやってきたんだから。夢がかなったよね。オレは自分の時代には出来なかったけど、そういうチームになってくれたんだなって、喜びは同じようにある。手渡したチケット? オレが欲しいなと思ったよ。ここのチケット簡単に取れないから。プラチナカードと呼ばれるチケットになりつつあるのはめちゃうれしい」と笑顔を見せた。

◆DeNA筒香嘉智外野手が、先制の3ランを放った。0-0の1回無死一、二塁。阪神先発・西のフォークに体勢を崩されながらも、右中間スタンド中段まで運んだ。「低めの変化球に対して崩されることなくうまく捉えることができました。貴重な先制点となりうれしいです」と振り返った。 右手小指打撲の影響で、9月22日に登録を抹消され、そのままレギュラーシーズンを終えた。2軍でリハビリをこなし、1軍合流した1日に行われた紅白戦では浜口から左中間へ"復帰弾"を放っていた。主砲が完全復活を印象づけた。

◆阪神先発の西勇輝投手(28)が打球を足に受け、1死も取れずにわずか12球で緊急降板した。 初回、1番神里から連打で無死一、二塁のピンチを招くと、3番筒香に先制3ランを浴びた。4番ロペスにも左前安打を許し無死一塁。続く5番宮崎の鋭い打球はゴロで西の左すね付近を直撃した。西は打球を拾いに行くも、内野安打となった。 ベンチからトレーナーや福原投手コーチ、矢野監督がマウンドに向かい、西は治療でベンチに下がった。その後、マウンドに戻ることはなく、2番手守屋へ交代となった。 西は前回登板の9月28日のDeNA戦(横浜)でも、右足首付近に打球を受けた。この時は痛みを堪え、5回4安打無失点と好投を見せたが、2戦連続のアクシデントに見舞われた。

◆球団初勝利を挙げた元大洋の今西錬太郎氏が、始球式に登場した。 95歳ながら、きれいな山なりのボールでワンバウンド投球を披露し、ファンからは温かい拍手が送られた。今西氏は「本日、始球式でマウンドへ上がらせていただいた際、70年前の球団創設後初めての開幕戦の記憶が鮮明によみがえってきました。久しぶりの投球で緊張しましたが、お客様からの大きな拍手と歓声に、とてもワクワクしました。今日の試合は絶対勝ってもらいたいという、願いを込めて大切に1球を投げ込みました。これから頂上決戦に向けて戦いが続きますが、チームには自分の力を出し切って勝ちをつかみとってほしいです」とコメントした。 今西氏は阪急のエースとして活躍した後、1950年(昭25)の球団創設と同時に大洋へ移籍。初代背番号「18」を背負った。同年3月10日、下関で行われたセ・リーグ開幕戦で開幕投手を務め、国鉄スワローズ(現ヤクルト)を相手に2安打完封。チームに初勝利をもたらした。

◆CSの"開幕投手"となったDeNA先発の石田健大投手は、4回3安打1失点で役目を終えた。 2日に行われた三菱日立パワーシステムズとの練習試合(横浜)で2イニングを投げて以来、中2日での登板。走者を出しながら、要所を締めた。5回からは2番手でエース今永が、マウンドに上がった。

◆阪神は梅野隆太郎捕手(28)の犠飛で1点を返した。 3点を追う4回、先頭の5番大山が左中間への二塁打で出塁。続く糸原の右飛で1死三塁に。7番梅野は、DeNA先発石田の高め直球を右翼に打ち上げ、三塁走者大山が生還。2点差に迫った。 阪神は先発西が初回、3番筒香に3ランを浴びて先制を許した。直後には打球を左足に受けて緊急降板。急きょマウンドに上がった2番手守屋が無死一、二塁のピンチを無失点に抑えた。2回からは3番手ガルシアがロングリリーフ。4回まで追加点を許さない好投を見せた。

◆阪神北條史也内野手(25)が反撃の3ランを放った。 6点を追う7回。1死から代打高山、代打木浪がDeNA3番手バリオスに連打を浴びせて1点を返した。4番手エスコバーに代わった後、1番近本も内野安打でつないで1死一、二塁。2番北條がカウント1-0から高め154キロ直球を左翼席に運んだ。この回、一挙4点を返して2点差に迫った。

◆DeNAは1回無死一、二塁、3番に入れた筒香が先制3ランを放った。阪神は、先発西が宮崎の打球を左足に当て1回途中降板。 阪神は4回に梅野の犠飛で1点を返したが、DeNAは5回に筒香、ロペス、柴田の適時打で一挙4点を追加した。 阪神は7回に北條の3ランなどで4点を返すと、8回にも北條が逆転適時三塁打を放つなど一挙3得点。逆転で先勝した。勝利投手はドリス、敗戦投手はエスコバー。

◆DeNAは初回に1番神里和毅外野手から5番宮崎敏郎内野手まで5者連続安打。プレーオフ、CSで四死球や犠打を挟まない5者連続安打は08年2S第2戦巨人が5回にマークして以来6度目のタイ記録。 ポストシーズンで初回先頭から5打数連続安打は日本シリーズの58年第2戦巨人(3四死球挟む)CSで09年2S第1戦中日(1犠打挟む)10年ファイナルS第1戦中日(1犠打、1四球挟む)の3度あったが、初回先頭から5者連続安打はポストシーズン史上初めて。

◆3位阪神が終盤に6点差をひっくり返した。1-7の7回に代打木浪が適時打、北條は3点本塁打で計4得点。8回は木浪の適時打で1点差に迫り、北條が逆転の2点三塁打を放った。6回以降は救援陣が無失点。8番手の藤川が締めた。 2位DeNAは1回に筒香が西から3ランを放って主導権を握り、5回に4点を加えたが、エスコバー、国吉らが痛打された。 クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージ第1戦を勝利すると83%の確率でファイナルステージへ進出している。

◆阪神が最大6点のビハインドをひっくり返し、CSファーストステージ突破に王手をかけた。立役者となったのは、北條史也内野手(25)。6点を追う7回。1死から代打高山、代打木浪が連打で1点を返し、さらに1番近本が内野安打で一、二塁と好機が続いたところで、反撃の3ラン。 2点差で迎えた8回には、1点をかえし、なおも2死二、三塁の場面で中越えの逆転2点三塁打を放った。 5打点と暴れた北條の試合後のインタビューは以下の通り。 -今の気分 疲れました。 -ここちよい疲れでは 最高な疲れですね。 -5打点の活躍 僕が5打点するのはなかなかないんで、みんなのおかげだと思ってます。 -一時は厳しい展開、どんな気持ちで戦っていた 序盤に点数入れられたんですけど、みんなが諦めない気持ちを持って、プレーしてたんで、最後まで分からない、分からなくなったのも、みんなの気持ちのおかげだと思ってます。 -逆転の一打。どんな気持ちの準備で 打席入る前に、福留さんとしゃべって、「今日は俺の日ちゃうからお前いってこい」と言われたんで、まあもう、決めたろうと思って打席に入りました。 -シーズンとは違った雰囲気 完全アウエーの中で、やったのは初めてなんで、いつも通りの思い切ったプレーをしようっていう気持ちだけで、戦ってました。 -レギュラーシーズンから7連勝。チームの雰囲気は いつも練習から試合入る前まで、ずっといい雰囲気でやれてるので、これを明日もつなげて、明日も勝てるように頑張ります。 -明日勝てば突破、意気込みを あした決める気持ちで、きょうみたいに諦めない気持ちを持って、全力でプレーしたいと思います。

◆阪神青柳晃洋投手が6日DeNA戦にCS初先発する。 「僕に出来ることは、任された回をゼロで帰ってくること。しっかり準備していきたい」と落ち着いて話した。横浜は地元でもあり「家族、友達も来てくれるので、そういう意味でもいいピッチングが出来るように」と意気込んだ。

◆阪神オネルキ・ガルシア投手は笑顔のロングリリーフで劇的勝利の土台を作った。 3点ビハインドの2回に早くもマウンドへ。3イニングを1安打無失点に抑え、試合を落ち着かせた。まさかの序盤救援にも「1イニング目からずっと準備していたからね」と余裕の表情。「これ以上点を取られたら苦しいと思っていた。粘って粘ってと思っていた」と大逆転勝ちに満面の笑みだった。

◆阪神の守護神藤川球児投手はしびれる展開をしのぎ、自身初のCSセーブを記録した。 大逆転で1点リードした9回裏に登板。2死から5番宮崎の右翼への大飛球が1度は右飛と判定されながら、リクエストでフェンス直撃二塁打に。最後は2死一、二塁で7番柴田を左邪飛に仕留めた。「展開的にチームの流れに乗って投げただけ。みんな頑張ってくれた」と柔らかい笑顔。「(CSは)内容うんぬんじゃない。結果だけですから」と納得顔で引き揚げた。

◆阪神岩崎優投手はもはや貫禄の3者連続三振を決めた。大逆転に成功した直後の8回裏に登板。 前打席まで4打数4安打だった1番神里から空振り三振を奪うなどDeNA打線を圧倒した。「逆転した流れでいきやすかった。普通にいけたら抑えられると思っていました。また明日取れるように頑張ります」と力を込めた。

◆後がなくなった。2位DeNAが痛恨の逆転負けを喫し、3位阪神に王手をかけられた。6点リードで迎えた7回、3番手のマウンドはバリオス。1死から連打で失点すると、4番手エスコバーにチェンジ。 だが、北條に3ランを許し、イニングをまたいだ8回にも失点。1点差まで詰め寄られた。ラミレス監督は「7-1で非常にいい展開だった。その後、バリオスとエスコバーがやられて流れが向こうへ行ってしまった」と継投が裏目に出た。 ブルペンには三嶋もいた。武藤もいた。守護神・山崎は今季は回またぎも経験済み。8回途中から投入する選択肢もあった。その上で、ラミレス監督は「今日、試合中にした決断で後悔することはない。エスコバーを続投させた決断にはまったく後悔していない。ああいうことは、野球では起こり得ること」と、引きずることはなかった。 前を見据える希望はある。シーズン最後に右手小指打撲で抹消された筒香が復帰。今季初の3番起用に応え、初回の先制3ランなど4打点の活躍を見せた。「JOKER」として2番手でマウンドに上がった今永も、2回を1安打無失点とエースの働きを見せた。筒香が「野球は何が起きるか分からない。こういうこともある」と言えば、今永も「雰囲気は悪くない」と切り替えを強調した。勝てばいい。ラミレス監督は「あと2試合勝つにはまず明日勝たなければならない。しっかり準備して明日の試合に集中して、しっかり勝ちたい」と意気込んだ。総力戦で、一戦必勝だ。【栗田尚樹】

◆CS史上最大の逆転劇の裏に阪神近本光司外野手(24)は決死の覚悟があった。 5点を追う7回1死一塁、エスコバーの初球、抜けたスライダーが近本の頭部すれすれを通過。剛腕助っ人の荒れ球にのけ反ったが、おじけづかなかった。 「あの球がもう1球続けてくることはないと思った。次に来たら『当たってもいい』と思っていた。しっかり踏み込めました」。7球目を直球を振り抜くと、俊足を飛ばし遊撃内野安打。続く北條の3ランを呼び込んだ。1点差の8回2死一塁では右前打を放ち、すかさず二盗に成功。この日2個目の盗塁を決めると、またも北條の中越え適時打で逆転のホームを踏んだ。 「しっかり自分が出塁すること、後ろにつなぐことがしっかり出来た。一番いい得点に貢献することが出来た」。初回にも安打を放ち5打数3安打の猛打賞。さらにポストシーズンでの新人のマルチ盗塁は、史上初という快挙になった。 次の塁を果敢に狙う勇気は、社会人時代にも培われていた。ある時、大阪ガス・橋口博一監督は近本に指示した。「アウトでもいいからどんどん走れ、アウトにならんと分からんこともあるやろうから」。すると近本はすぐに「ほんまに走っていいんですか? ほんまにいいんですか?」と全てで盗塁を狙う姿勢を示したという。橋口監督は「アウトになっても全然かまへんから、勇気だけは絶対失うな。それがなくなったら絶対走れなくなる」と常に声を掛けていた。失敗を責めず積極性を重んじる土壌は、矢野阪神にも共通する部分。シーズン36盗塁で盗塁王になる一方、盗塁死は15を数えた。持ち前の前向きな姿勢も加わり、失敗をおそれず、武器を磨いてきた。 打って、走って、CSでも存在感は十分。ゴールデンルーキーは大舞台でも輝いた。【磯綾乃】

◆ラッキーボーイは俺だぁ~。阪神木浪聖也内野手(25)が途中出場ながら2安打2打点と大逆転勝利に貢献した。 6点を追う7回1死二塁から代打出場すると、バリオスから中前適時打を放ち反撃ののろしを上げた。8回にはエスコバーから右前適時打をマーク。初の大舞台で輝いたルーキーは「ちゃんと準備はしていたんで、あそこでタイムリーが2本出て良かった」とはにかんだ。 プロ1年目のシーズンがルーキーをたくましく成長させた。今季はセ・リーグの新人では同僚近本に次ぐ113試合に出場。3桁にあと1歩の95安打を積み上げた。2日前には甲子園の1軍練習から離れて、鳴尾浜で行われた2軍の練習試合に志願して出場。試合勘を失わないために実戦で調整する道を自ら選択した。その姿を見た矢野監督も「プロになってきた。(CSで)ラッキーボーイになってくれれば」と目を細めていた。 数年前とまるで違う。大学時代の恩師である亜大・生田勉監督(53)が証言する。「(大学時代は)なんせ、すぐ緊張するんですよ。サイン間違いに、けん制アウトに、もうミスばっかり。せっかくのチャンスも全然だめ。使えばエラーしたり、ミスしたり。いつも怒られて...」。プロでの自信が木浪を大きく変えた。 指揮官の言葉を借りれば、「奇跡」は始まったばかり。木浪は「勢いが付いたら止まらないと思う。自分がそういう(ラッキーボーイ的な)存在になれば。自分のこともしっかりやってチームが勝てればいいですね」と力強く言った。矢野阪神には頼もしいラッキーボーイがいる。【桝井聡】

◆これが奇跡の始まりや。阪神がプレーオフ、クライマックスシリーズ(CS)史上最大の逆転劇で、CSファーストステージ突破に王手をかけた。 DeNAに最大6点のリードを許した一戦で、北條史也内野手(25)が終盤に5打点の活躍。7回に反撃3ラン、8回には逆転2点三塁打を放ち、劇的勝利を呼んだ。シーズン最終盤に6連勝して逆転CS進出を決めた虎が、下克上ロードを突っ走る。神経を研ぎ澄ましていた。1点差まで追い詰めた8回2死二、三塁。北條が振り抜いた。「どんどん甘い球を振っていこうと。最後まで集中力は絶対に切らさず、ここ一番で集中できた」。国吉の外角カットボールを捉えた。打球は前進守備を敷いていた中堅神里の頭上を越えた。一気に三塁まで到達すると、勢いそのまま三塁側ベンチに向かってド派手にガッツポーズ。ベンチも総立ちでヒーローを祝福した。 7回1死一、二塁では2点差に迫る反撃の3ランを放っていた。「点差が開いても諦めない気持ちはみんなあった。そういうのが結果的にホームランになった」。初回に3点を先行された。5回にも4点を奪われ、最大6点ビハインドの苦しい展開だった。だが、7回の1発で勝利への扉に手を掛け、8回の一打でCS史上最大の逆転劇を結実させた5打点だ。 試合前には矢野監督がナインを奮い立たせていた。練習直前のミーティング。「6連勝してCSに来たことは、俺は奇跡だと思っていない。みんなの力、粘り、諦めない気持ちでここに来たと思う。CSを勝って、甲子園で日本シリーズを戦おう。今日から奇跡のスタートだ」。かけ声通り、6点差となっても誰も諦めなかった。指揮官は試合後、大逆転劇に目を潤ませた。「全員で野球できたのがすごくうれしい。常々、苦しい時どうするかとか、諦めないとか...」。感情が高ぶり、続く声が出ない。約20秒の沈黙。鼻もすすって、声を震わせながら絞り出した。「...そういう野球をできました」。会見で"泣く"のは6月9日の日本ハム戦で原口がサヨナラ打を放って以来2度目だった。 もちろん、北條も諦めない男の1人。今季は序盤から遊撃を新人木浪に奪われ、終盤は大山と三塁を競い合った。決して多くない出場機会。だが、ベンチでは誰よりも大声を張り上げ、準備を怠らなかった。本拠地甲子園での試合後は、残ってバットを振り続けた。陰の努力を知る清水ヘッドコーチは「あいつは試合が終わっても、どんな時でも打っている」という。そんな男のバットで、虎は奇跡への1歩を踏み出した。 北條は「明日決める気持ちで。今日みたいに諦めない気持ちを持って、全力でプレーしたい」と誓った。王手から一気に決めてみせる。【奥田隼人】

◆阪神の守護神藤川球児投手はしびれる展開をしのぎ、自身初のCSセーブを記録した。▼39歳2カ月の阪神藤川がCSで初セーブ。ポストシーズン(プレーオフ、CS、日本シリーズ)では最年長セーブとなった。これまでの最年長は15年CS1S<2>戦の福原忍(阪神=38歳9カ月)。

◆阪神先発西勇輝投手がアクシデントに見舞われた。1回無死一、二塁。筒香に低めフォークをすくわれ、右翼に先制3ランを浴びた。直後もロペスに左前へ運ばれ、宮崎の打球が左足直撃。転倒し、降板を強いられた。 DeNAには今季1勝1敗、防御率1・88と善戦していたが1死も奪えず5連打でKO。プロ初の屈辱だった。ベンチで劇的勝利を見届けたが、試合後は少し左足を引きずりながらバスへ。「今までも何回かシーズン中に若い頃から足には打球が当たっていたけど、今まで当たったことがない場所」と説明した。 左足親指付近を痛めたとみられる。矢野監督は「踏み出す方の足。指の繊細なところに打球が当たっていたので、ちょっと難しいという判断」と言い、金村投手コーチも「明日の状態を見てから。中継ぎでも投げてもらいたいけど」と話した。この日は12球の投球で、軽症なら、今後の救援登板やCSファイナルステージ初戦の9日巨人戦での先発も視野に入りそうだ。

◆阪神がプレーオフ、クライマックスシリーズ(CS)史上最大の逆転劇で、CSファーストステージ突破に王手をかけた。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 (自ら切り出して) どんな記事書いてくれんねん。えぇ? どんなん書いてくれますか? -最後も手に汗握る ずっと手に汗握ってたわ(笑い)。最後だけちゃうわ。すごい。ホンマにすごい。選手が、すごい。 -最大で6点差だった 今のチームの目指す野球というか、全員で戦うという。控えというか、スタートで出ていないメンバーも、もちろん大きな戦力。投手も全員でつなぐ野球ができた。もちろん全体のヒーローはもちろん北條。だけど全員で野球できたのがすごくうれしい。常々、苦しいときどうするかとか、あきらめないとか。まあ、うん............。(約20秒の沈黙後に声を震わせて)そういう野球できました。 -先発西が負傷し、1回途中の守屋から継投した 最後、人数が足らなくなるかなという部分があったけどいくしか。始まる前から言ってるけど、ウチはいくしかない。そうなったらなったで考えるしかない。野手も早い回からいってたんで...。(約8秒の沈黙後に)うん...。 -木浪もラッキーボーイだ 1個の塁を進むこともすごいこと。みんなの見ようによって、誰がヒーローにもなるような試合。 -ジョンソン不在で岩崎が好投した 優もずっとね、防御率を見てもそうやし、ちょっと1年のなかでは休む時間もあったけど、帰ってきてからは、ほぼほぼフル回転で常に苦しい場面で。ある意味、総動員。この場面で、いつも通りできるっていうすごさを感じた。 -この1勝はどうか このCSで成長していける。クライマックスが始まる前に言ったけど俺らはまだ強いチームじゃない。でも、強くなれる戦いをしていってくれている。 -6日に決めたい もちろん明日、決めにいくつもり。今日と同じように、また全員で戦う形になる。ウチは全員が戦力で、全員が必要。そういう戦いを明日もやっていきます。

◆後がなくなった。2位DeNAが痛恨の逆転負けを喫し、3位阪神に王手をかけられた。6点リードで迎えた7回、3番手のマウンドはバリオス。1死から連打で失点すると、4番手エスコバーにチェンジ。だが、北條に3ランを許し、イニングをまたいだ8回にも失点。1点差まで詰め寄られた。ラミレス監督は「7-1で非常にいい展開だった。その後、バリオスとエスコバーがやられて流れが向こうへ行ってしまった」と継投が裏目に出た。 ブルペンには三嶋もいた。武藤もいた。守護神・山崎は今季は回またぎも経験済み。8回途中から投入する選択肢もあった。その上で、ラミレス監督は「今日、試合中にした決断で後悔することはない。エスコバーを続投させた決断にはまったく後悔していない。ああいうことは、野球では起こり得ること」と、引きずることはなかった。 前を見据える希望はある。シーズン最後に右手小指打撲で抹消された筒香が復帰。今季初の3番起用に応え、初回の先制3ランなど4打点の活躍を見せた。「JOKER」として2番手でマウンドに上がった今永も、2回を1安打無失点とエースの働きを見せた。筒香が「野球は何が起きるか分からない。こういうこともある」と言えば、今永も「雰囲気は悪くない」と切り替えを強調した。勝てばいい。ラミレス監督は「あと2試合勝つにはまず明日勝たなければならない。しっかり準備して明日の試合に集中して、しっかり勝ちたい」と意気込んだ。総力戦で、一戦必勝だ。【栗田尚樹】

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは5日、セ・パ両リーグで開幕する。  5年目左腕のDeNA・石田が初戦の先発を任された。今季は中継ぎも先発も経験し、ハマスタで18試合(4先発)、41回を投げて防御率1.98の実績で指名された。「評価してもらったことに感謝して、きれいなマウンドに立ちたい」。今季13勝のエース今永については、ラミレス監督は「仮に先発させて負けてしまうと使うことができなくなるので」と、中継ぎ待機も示唆した。 (横浜) DeNA・ラミレス監督 「レギュラーシーズンとはアドレナリンの量が変わる。小さなミスで勝敗の流れが変わる」

◆セ・リーグ3位、チーム1位の172回1/3を投げたイニングイーターからの"変身"だ。5日のファーストステージ第1戦(横浜)に先発する阪神・西勇輝投手(28)が4日、甲子園でショートダッシュなどで調整。チームへの献身を強調した。  「先発としては責任の回数は投げたいが、チャンスで(打席が)まわってきたら打者がいったほうが点が入る確率は高い。交代でもかまわない。そこは覚悟しています」  CSの登板はオリックス時代、2014年のファーストステージ第3戦・日本ハム戦(5回1/3を6安打1失点)で経験済み。どんな役割も受け入れる。  矢野監督も「いつも西は苦しい時もどんな時も笑顔で投げてくれる姿っていうのはタイガースにとって一番大きなモノになってるんで。一番いいピッチャーでスタートできる」と全幅の信頼で送り出す。先陣を切り、西スマイルで勝利に導く。(新里公章)

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは5日、セ・パ両リーグで開幕する。セ2位のDeNAは横浜市内のホテルで会見を行い、「4番・左翼」で出場する筒香嘉智外野手(27)が必勝宣言。アレックス・ラミレス監督(45)もキーマンに指名した。  新たな球団史を刻むときがきた。初の本拠地でのCS開催に向け、主砲の筒香が必勝を誓った。  「野球本来の楽しさ、その中にある真剣勝負を全員が感じられるか。まずはファーストステージ突破に向けてやっていきたい」  ハマスタにほど近いホテルでラミレス監督らとともに前日会見で意気込みを述べると、すぐに球場へ移動。練習前のミーティングでは桑原らに一発芸を披露させるなど、明るいムードをつくった。フリー打撃では快音を響かせ、守備練習でも心地よい汗を流した。  シーズン終盤に右手小指への死球の影響で出場選手登録から外れたが、もう不安はない。ラミレス監督も2番からソト、ロペス、筒香、宮崎の打順を明言。この日の会見では指揮官に「チームを引っ張る気持ちが強く、彼自身もその気持ちが強い」とキーマンに指名された。シーズン途中には2番に入ったこともある主砲だが、"指定席"の4番として、3位の阪神を迎え撃つ。  今季の阪神戦は8勝16敗1分けを喫し、分が悪いが「レギュラーシーズンとCSは全然違う」と自信をのぞかせた。2017年も10勝14敗1分けと負け越していたが、CSファーストステージでは、敵地・甲子園で2勝1敗と勝ち越し、日本シリーズまで駆け上がった。筒香はこのカードで打率・357を残して貢献している。  「ホームでできるのはこの上ない幸せ。ファンの方と一緒に勝利を喜び合えるように全力でいきたい」。横浜スタジアムを埋め尽くすファンへ、力強く突破を誓った。 (湯浅大) ★筒香の2017年CSの阪神戦VTR  2位の阪神と対戦したファーストステージでは3試合ともに「4番・左翼」で出場。第1戦は4打数1安打。土砂降りの雨の中で行われた第2戦は、同点の七回無死一、三塁で勝ち越しの右前適時打を放ち、一挙6点の猛攻につなげた。この日は6打数4安打2打点と大当たり。第3戦は4打数無安打だったが、チームは勝ってファイナルステージ進出を決めた。3試合で打率・357、0本塁打、2打点。ファイナルステージは4勝2敗(アドバンテージの1敗含む)で広島を下した。

◆トリがジョーカーや! 阪神の鳥谷敬内野手(38)が4日、甲子園の全体練習に参加。今季限りでの退団を明言しているだけに、日本シリーズに進出できなければこの日が最後の甲子園...。矢野燿大監督(50)は起用法について「全部いい場面」と明言。おいしいところを全て持っていき、必ず甲子園に帰ってくる。  この景色と一緒に、プロとして歩んできた。慣れ親しんだやさしい秋風ですら、今は恋しい。「最後」には、させない。必ずまた甲子園に帰ってくる。鳥谷が全体練習に参加。大勢のカメラマンが歩み寄ったときには「こうやって写真を撮られるのも最後か。この生活も終わるな」と笑った。  充実の汗を流し、クラブハウスまで全力疾走で駆け抜けていく足取りは軽そうだった。フリー打撃では33スイングでライナー性の当たりを連発。遊撃の位置で軽快にノックを受けるなど、いつも通りの調整で汗を流した。日本シリーズに進出できなければ、鳥谷にとって「本拠地・甲子園」はこれが最後。1日でも長く、タテジマを着ていられる時間を長くしたい。  8月29日、球団から引退勧告を受け、31日には今季限りでの退団を自ら明言。グラウンドに立てばスタンドから虎党からの大声援が球場を包み込んできた。トリなら、流れを変えられる-。それは、タクトを振る矢野監督が一番知っている。  「いい場面っていうかなぁ...でも全部いい場面になるんじゃないの。先頭バッターでいくところでもいい場面だろうしさ、トリがいくところって全部いい場面でしょ」  起用法について具体的に明言した。先頭打者としての出番なら、自慢の選球眼が輝く。得点圏でもこれまで何度も走者をかえし、虎を窮地から救ってきた。打席に立つ全てが「いい場面」だ。5年前、2位から日本シリーズに進出した2014年のCSでは打率・391(23打数9安打)と大きく貢献。"ジョーカー"として出番を待ち、虎のために全力を尽くす。  「トリの力っていうのは大きなものがあると思うし、雰囲気が変わるっていう部分ももちろんあるし。チームが勝つためにというところでは必要だと思うのでね。トリの力っていうのは」  指揮官も不変の信頼を寄せた。2年ぶり8度目のCSは、タテジマでは最後。ファンからもらってきた愛情は、必ず倍以上で返していく。 (竹村岳) ★精力的に調整  鳥谷はシーズン最終戦となった9月30日の中日戦(甲子園)で代打で登場。右飛に倒れるもその後、遊撃の守備に就くなどして満員のファンをわかせ「(CSに向けて)頑張ります」と話していた。2日以降の全体練習にも参加し汗を流すなど、精力的に調整。2007年から7度のCSだけでなく2005、14年の日本シリーズ、13年ワールドベースボールクラシック(WBC)など短期決戦を知り尽くした男が、虎の大きな力となる。

◆阪神・西勇輝投手(28)が5日のDeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)に先発し、一回無死一、二塁で筒香に先制の右中間3ランを浴びた。  一回、先頭の神里に右前打、続くソトに左前打を浴びて一、二塁。筒香を打席に迎え、カウント1-2からの4球目、低め133キロを振り抜かれた。すくい上げた打球は放物線を描いて右中間席へ。主砲に手痛い一発を浴びて3点を先制された。

◆阪神・西勇輝投手(28)が5日のDeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)に先発し、先頭から5連打。宮崎の中堅に抜けそうな当たりが左すねに直撃し、1死も取れないまま降板した。  無死一、二塁で筒香に先制3ランを献上すると、ロペスにも左前打を浴びてなおも無死一塁。さらに宮崎への初球、外角140キロを鋭く振り抜かれると、中堅へ抜けそうな当たりを捕球しようと試みた西の左すねに直撃。手当のためベンチへ引き揚げたが、そのままマウンドに戻ってくることはなかった。

◆DeNAの初代監督・中畑清氏(65)が5日、クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージ阪神戦の試合前にサプライズ登場した。「みなさんは"貴重品"だね。よくしぶとく残っていたね!」  太陽のような笑顔で語りかけたのは"幻チケット"を手にしたDeNAファン55人。断トツの最下位だった2012年に発売したチケット「~感謝、そして夢~新・熱いぜ!チケット」を購入した熱心な猛者たちだ。  球団創設初年度のシーズン最終戦に発売された同チケットは、内野指定席SS席のペア(定価1万1000円)を購入しひとり当たり1000円を加えると、16年シーズンまでにCS進出を果たした場合の横浜スタジアム開催試合の内野指定席ペア観戦券が付いてくるという企画。  チームは16年にシーズン3位となったが、本拠地開催ではなかったため特典は実現しないまま、チケットの権利が失効していた。球団では長らくチームを応援し続けてきたファンのため、特別に権利を復活させることを決定。連絡がついた購入者のうち希望したファンを試合に招待した。  中畑氏は、同チケット氏が発売された当時を振り返って「アタマに来たね! 何を考えてんだと思ったよ」と笑わせるとともに、「みんなよく諦めずにいてくれたよ。夢がかなったよね」と低迷期から支えてきたファンに感謝。待ち望んだCSの本拠地開幕戦を前に「みんなで盛り上げましょう!」と気勢を上げた。

◆セ・リーグ2位のDeNAは5日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ阪神戦(横浜)にのぞみ、立ち上がりから猛攻を見せた。  一回に先頭の神里が阪神先発・西の初球、スライダーを右前打し出塁すると、ソトも左前打で続き無死一、二塁。好機で打席に立った3番・筒香は、しっかり下半身を残して変化球を捉え、右中間席前列に運ぶ3ランを放った。  「低めの変化球に対して崩されることなく、うまく捉えることができました。貴重な先制点となりうれしいです」と筒香。この日の試合前、筒香の3番についてラミレス監督は「先制攻撃が大事になり。彼がキープレーヤーになるだろう」と話しており、まさに予言的中となった。  初の本拠地開催に沸くハマスタが最高潮の盛り上がりを見せるなか、続くロペスも左前打。さらに宮崎の打球が西の左足付近を直撃する内野安打となり、先頭から5者連続安打。西はそのまま負傷交代し1死もとれずKO。マウンドには二番手・守屋が上がった。

◆DeNAとして初の本拠地で迎えたクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの初戦で、95歳の大レジェンド、今西錬太郎氏が始球式を務めた。  今西氏は阪急のエースとして活躍する中、1950年の球団創設と同時に大洋へ移籍し、初代背番号18を背負った。同年3月10日、下関で行われたセ・リーグ開幕戦(球団史上初の公式戦)で開幕投手を務め、国鉄スワローズ(現ヤクルト)相手に2安打完封でチームに初勝利をもたらした。この年は10勝を挙げた。  当時の復刻ユニホーム姿で登場し、95歳とは思えぬ立派な足取りでマウンドに立つと、見事なワンバウンド投球で満員のスタンドから大きな拍手が送られた。  「本日、始球式でマウンドへ上がらせていただいた際、70年前の球団創設後初めての開幕戦の記憶が鮮明に蘇ってきました。久しぶりの投球で緊張しましたが、お客さまからの大きな拍手と歓声に、とてもワクワクしました。今日の試合は絶対勝ってもらいたいという、願いを込めて大切に1球を投げ込みました。これから頂上決戦に向けて闘いが続きますが、チームには自分の力を出しきって勝ちをつかみとってほしいです」とエールを送った。

◆阪神の梅野隆太郎捕手(28)が5日、DeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)で1点を返す犠飛を放った。  3点を追う四回、先頭の大山が左中間を破る二塁打。糸原の右飛で1死三塁となったところで、DeNAの三浦投手コーチがマウンドへ。一度、完全にベンチへ戻り、ラミレス監督が投手交代を告げようとするもすでに三浦投手コーチが一塁線をまたいでしまっていたため、認められず。先発の石田が続投することになった。  結果は梅野が2球目の143キロを弾きかえし、右犠飛。1-3とした。

◆阪神・島本浩也投手(26)が5日のDeNAとのクライマックスシリーズファーストステージ第1戦(横浜)の五回から4番手で登板。筒香、ロペスの適時打を含む4連打などで4失点を喫した。  1-3で迎えた五回。1死から神里、ソトに連打を許して一、三塁のピンチをつくると、これまでプロ通算14打席で無安打に封じてきた筒香についにやられてしまった。初球、138キロを振り抜かれて右前へ。1点を追加されると、続くロペスにも三塁ベースに直撃する左翼線適時二塁打を浴びて1-5に。その後2死満塁で迎えた柴田にも右前適時打を浴びてさらに2点を追加されてしまった。  レギュラーシーズンでは横浜スタジアムでの7試合で防御率0・00と抜群の好相性を誇っていた左腕。シーズン同様の好投を披露することはできなかった。

◆阪神の北條史也内野手(25)が5日、DeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)で3ラン。最大6点差から2点差に迫る一発で、横浜の虎党をわかせた。  1-7の七回1死。代打・高山が左翼線を破る二塁打を放つと、続く代打・木浪が中前適時打。近本が遊撃内野安打で好機を広げ、北條が打席に立った。154キロ直球を打ち上げると、打球は虎党で埋まる左翼席に着弾。一気に2点差にまで迫り、反撃ムードを高めた。

◆阪神の北條史也内野手(25)が5日、DeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)で5打点。八回2死二、三塁から中越えの2点三塁打で一気に逆転に成功した。  2点を追う八回1死二塁で木浪が右前適時打で1点差。代走・植田を送ると、続く近本も右前打でつなぎ、北條だ。近本が二盗で二、三塁となり国吉の140キロカットボールをセンターへ。前進守備の外野を大きく越える三塁打で、左腕を力強く突き上げた。  北條は七回には3ランを放っており、5打点の大活躍。矢野監督の起用に、見事に応えた。

◆下剋上で日本一を目指す阪神は、最大6点差をひっくり返しDeNAに勝利。ファイナルステージ進出に王手をかけた。5打点の北條史也内野手(25)との一問一答は以下の通り。  --試合を振り返って  「疲れました。最高の疲れ」  --5打点の活躍  「僕が5打点することはなかなかない。本当にみんなのおかげ」  --七回に3ラン  「たまたま入った」  --八回には勝ち越し打  「打席に入る前に福留さんから、『きょうはおれの日じゃないから、おまえがいってこい』と言われた。『決めたろ』と思って打席に入った」  --レギュラーシーズンから7連勝  「いい雰囲気でやれている。あすも勝てるようにがんばる。あす決める気持ちで、全力でプレーしたい」

◆リーグ3位から下剋上で日本一を目指す阪神は、最大6点差をひっくり返しDeNAに勝利。ファイナルステージ進出に王手をかけた。  シーズン終盤に見せた6連勝の勢いのままにDeNAに逆転勝利。先発の西が一回に3点を奪われると五回にも4点を奪われ1-7と苦しい展開に。それでも七回、1死二塁から代打・木浪が中前適時打を放つと、1死一、二塁のチャンスで北條が左スタンドへ3ランを放ちこの回4点を奪った。さらに八回、2死二塁から再び木浪が右前適時打を放つと、なおも二、三塁とチャンスを広げ、北條が中越えの2点三塁打を放ち試合をひっくり返した。  ヒーローの北條は「疲れました。最高な疲れですね。僕が5打点するのはなかなかないのでみんなのおかげだと思います。明日決める気持ちで、今日みたいに諦めないで全力でプレーしたいです」とファンの声援に応えた。

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが5日、横浜スタジアムで行われ、3位阪神が最大6点差を覆して2位DeNAに8-7で先勝した。  阪神は先発の西が一回に筒香に先制3ランを浴びたあと、左足に打球を受け、1死もとれずに降板する波乱の幕開け。四回には梅野の犠飛で1点をかえしたが、五回には4番手の島本がつかまって4失点。1-7と大差をつけられた。  しかし、七回に代打・木浪のタイムリーと北條の3ランで2点差に迫ると、八回には再び木浪と北條のタイムリーで3点を奪い、逆転。最後は岩崎-藤川とつないで1点差を守り切った。  殊勲の北條は「あしたもきょうみたいにあきらめない気持ちで、勝てるように頑張ります」と連勝での突破をにらんだ。

◆下剋上で日本一を目指す阪神は、最大6点差をひっくり返しDeNAに勝利。ファイナルステージ進出に王手をかけた。DeNAのアレックス・ラミレス監督との一問一答は以下の通り。  --最大6点差をひっくり返された  「いい展開できていたが、向こうに流れがいってしまった」  --選手起用は  「特に変えたところはない。後悔することはない。こういうことは起こりうること」  --第2戦へ向けて  「あす勝たなければ2勝できない。あすの試合に集中したい」

◆DeNAの筒香は先制3ランを含む4打点と気を吐いたが、勝利にはつながらなかった。逆転負けに「野球は何が起こるか分からない。みんなが思った通りにはなかなか行かない。明日に向けて準備する」と悔しさをにじませた。  今季初めて3番で起用され、一回は無死一、二塁で西の低めの変化球を右中間席へ運び「崩されることなく、うまく捉えられた」と自賛した。3-1の五回にも適時打。レギュラーシーズン終盤に右手小指のけがで欠場が続いたが、変わらぬ存在感を発揮した。  横浜スタジアムで初のCSに臨み、3万1832人が詰めかけた。主将の筒香は「これだけのファンの方に大声援をもらえて幸せ」と話し、勝利での恩返しに意欲を示した。

◆阪神は近本が3安打2得点で1番打者の役割を果たした。5-7の八回、1点差に追い上げてなお2死一塁で右前打。さらに、この日2盗塁目の二盗を決め、北條の逆転の2点三塁打につなげた。「一番、いい得点に貢献できた」と充実した表情だった。  左の剛腕エスコバーと対した八回は顔付近に来た3球目の154キロをのけぞってよけ、直後の低めの球を捉えた。レギュラーシーズンで159安打を積み重ねた新人は「(また内角に)来たら当たるぐらいの、それぐらいの気持ちで。しっかり踏み込めた」と度胸が据わっていた。

◆DeNAのエドウィン・エスコバー投手(27)が5日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの阪神1回戦(横浜スタジアム)の4番手で登板したが、1回1/3を5安打5失点で黒星を喫した。  「自分のキャリアで一番悪い結果かもしれない。リードを守れなかったのは、自分の責任」  大勝ムードの漂う7-1の七回、3番手・バリオスが代打・木浪に適時打を許し5点差とされ、なお1死一塁でマウンドに上がった。しかし、近本に内野安打で一、二塁とされ、北條に3ランを被弾。2点差に迫られた八回も続投すると、2死二塁から再び木浪に適時打を打たれ1点差。さらに近本に右前打を許し、一、三塁とピンチを広げて降板。代わった国吉が、北條に逆転の2点三塁打を浴びた。  試合後、肩を落とした助っ人左腕は「明日はすぐにやってくる。切り替えて、フレッシュな気持ちで自分のできるベストを尽くしたい」と話した。

◆レギュラーシーズン2位のDeNAは5日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦にのぞみ、同3位の阪神に7-8と逆転負けを喫した。  痛い敗戦にもひと筋の光明となったのが「1番・中堅」に抜てきされた神里和毅外野手(25)だ。一回に初球の変化球を捉えた右前打が、筒香の先制3ランを呼び込んだ。五回にも追加点の契機となる中前打を放つなど5打数4安打と活躍。「勢いをつけられるようにストライクが来たら振っていこうと思っていた」と手応えを残した。  レギュラーシーズンでは9月13日に出場選手登録を抹消され、順位確定後の同下旬まで2軍で過ごした。課題だった打撃の修正に取り組む際、嶋村2軍打撃コーチから「もっと適当に振っていい」とアドバイスを受けたことが復調の道を切り開いたという。  「ボールを見過ぎちゃうと逆に詰まってしまう。いろいろと考えすぎず、感覚で振るようにしたことがいい方向につながったと思う」と神里。  阪神に先手をとられる逆転負けにもリードオフマンは前を向く。「残り2試合勝てばいい。まず明日阪神を倒して勢いに乗れるようにしたい」と力強く誓った。

◆DeNAの筒香嘉智外野手(27)が5日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの阪神1回戦(横浜スタジアム)に「3番・左翼」で出場。先制3ランを含む、4打数2安打4打点の活躍でチームを引っ張った。  「これだけのファンの大きな声援をもらって、試合ができることは人生でもなかなかない、幸せなこと」  チームは悔しい逆転負け。ファイナルステージ進出へ、後がなくなったが「野球は何が起こるかわからないので、みんなの思い通りにはなかなかいかない。終わってしまったことは変えられないので。一戦一戦、明日に向けて選手は準備するだけ」と気持ちを切り替えた。

◆DeNAはクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦で阪神に7-8で敗れた。  四回には珍しい"継投ミス"もあった。先発の石田が3-0の四回に1死三塁のピンチを招くと、三浦投手コーチがマウンドへ。その後、一塁ベンチへ戻った後にラミレス監督が球審のもとを歩み寄り、投手交代を告げようとしたが認められなかった。  監督かコーチがマウンドへ行った後にファウルラインを越えると次打者に投げないといけないためで、指揮官は「ルールは分かっていたが、そこは意識していなかった。私の責任」と認め、三浦投手コーチも「僕のミスです。(ベンチに)戻ってしまった。選手に迷惑をかけた」と"謝罪"した。  当初はここでバリオス投入を意図していたようだが、交代できずに石田を続投。石田は最少失点でこの回を切り抜けたが、七回から登板したバリオスは2失点と阪神打線につかまり、結果として相手を勢いづける投球内容となってしまった。

◆球団創設の1950年3月10日の開幕戦(対国鉄、下関)で先発した今西錬太郎氏(95)が始球式に登場した。46年に阪急でデビューした今西氏は50年に大洋へ移籍し、通算88勝。当時の復刻ユニホームで95歳とは思えない見事なワンバウンド投球を披露し、「久しぶりの投球で緊張しましたが、お客さまからの大きな拍手と歓声にとてもワクワクしました」と満面の笑みを浮かべた。

◆(自ら口を開き)  矢野監督 「どんな記事書いてくれんねん。え? どんなん書いてくれますか?」  --最後も手に汗握る  「ずっと手に汗握ってたわ。最後だけちゃうわ」  --西にアクシデントがありながら、守屋からつないだ  「最後、人数が足らなくなるかな...という部分があったけど。行くしか、始まる前から言ってるけど、うちは行くしかないんでね。なったらなったで、考えるしかないかなというところで、行けるだけ行ってみようと」  --木浪も言っていた通りラッキーボーイになった  「みんながラッキーボーイやけど。1個の塁を進むことも、すごいことやし。それはみんなの見ようによって、誰がヒーローにもなるような試合やったと思うし。最後の八回、九回もね...。ピッチャーはしんどいしね」  --ジョンソンもいない中で岩崎は気迫も感じた  「優(岩崎)もずっとね、防御率を見てもそうやし、ちょっと1年の中では休む時間もあったけど、帰ってきてからはほぼほぼフル回転で、常に苦しい場面で。ある意味いつも通り、この場面で、いつも通りできるっていうすごさを感じたけど」  -送り込んだ代打が、次々安打で流れが変わった  「まあ、そうやね。こんな試合を1人では流れを変えにくいと思うし。まあ、最初に言ったように、ピッチャーも野手もみんなが諦めない、つなげたっていうのが、こういう結果になったと思います」  --西は左足に打球が当たってしまって  「西も行く気持ちをもちろん持ってくれていたし。でも踏み出す方の足やし、ちょっと指の繊細なところに打球が当たっていたんで。ちょっと難しいなという判断で代えました」  --この1勝はどういうものに  「みんなにとって大きい。俺らはもちろん、ファンの人もそう。このCSで成長していける、クライマックス(シリーズ)が始まる前に言ったけど、俺らはまだ強いチームじゃない。でも、強くなれる戦いをしていってくれているのでね。そういう部分でもチームにとっても大きいし、こういう姿をファンの人に見せられたというのもね。俺らはプロだから大きいしね」  --明日決めたい  「もちろん明日、決めにいくつもりだしね。今日と同じように全員で戦う形になると思うしね。うちは全員が戦力で、全員が必要なんで。そういう戦いを明日もやっていきます」

◆親友に50年来の熱狂的DeNAファンがいる。試合後、ハマスタで観戦していた彼からLINEが届いた。  「ベイスターズファンを続けていく自信がなくなりました...」  その気持ち、察して余りある。もし阪神が、この展開でひっくり返されたら、どうやって自分を励ますのか。どん底でしかない。  キャップ大石豊佳は矢野監督の試合後の涙を目撃。その情報を耳にして一瞬、エッ泣いたん!? と驚いたが、考えてみれば、それぐらいの劇勝かもしれない。指揮官のこの試合にかけた熱き思いが伝わってくる光景だ。  8-7。世にいう「ルーズベルトゲーム」。その昔の米大統領が「野球は8-7が一番面白い」と称したことから名付けられたスコア。このハマスタの試合をルーズベルト大統領が見たら「やっぱり面白いだろ!」と胸を張ったに違いない、奇想天外の試合だった。  いきなり先発・西の左足に打球が直撃して降板。絶対的中継ぎの島本が7月30日以来の失点。予期せぬ悪い出来事が次々と。一時は6点のビハインドに意気消沈。かと思えば、ラミレス監督が次々と変なさい配を繰り返す。投手交代を失敗したり、ヘロヘロの投手を打席に送って続投させたり。  九回2死からは、フェンス際の捕球で、ラミレス監督のリクエストが成功。アウト、試合終了が一転、一打同点の大ピンチに。最後までハラハラドキドキ。このシナリオは、なかなか書けない。  運命の大一番の試合前。ハマスタには、この対戦には因縁の人がいた。NPBの杵渕和秀セ・リーグ統括。といってもお分かりにならないか。2年前。甲子園で阪神とDeNAが激突したCS第1ステージの第2戦。豪雨の中、試合を強行して、その現場責任者としてマスコミから袋だたきにあった人物だ。最高のスマイルで...  「天候を心配していたけれど、きょうは晴れて良かったなあ。あっ、こんなコメント、書いたらダメですよ」  そうはいかない。書かせてもらいます。誰もが思う、偽らざる本音だから。晴天の下でのCS開幕。野球日和。何よりです。  大阪・難波のサンスポ編集局では、やや入れ込みすぎの当番デスク阿部祐亮が"正装"で決戦を迎えていた。  「きょうは阪神のユニホームを着て仕事をします。朝から家の近所で必勝祈願もしてきましたから」  熱狂的虎ファンがデスク席に座っている、という不思議な光景に、社内でも賛否両論。ところが、一回、筒香が先制3ランを打った直後に阿部から電話が...。  「今、脱ぎました。まったく役に立ちません」  その効果かどうか。大敗の展開が、CS史に残る奇跡の試合となっていった。  そしてできあがったこの紙面。1面から4面まで、奇跡の猛虎がてんこ盛り。実は1週間前の9月28日。阪神がDeNAに圧勝したその日。最初の打ち合わせでは、阪神が1面から大展開...と決まっていたのだが、直後にラグビー日本代表がアイルランドに、奇跡の逆転勝利。日本列島に大興奮を伝えるべく、一気に1面から5面までラグビーに。  この夜も日本代表はサモアと戦っていたが...  「1面は阪神です。こんな試合ですから」  阿部が断言。タテジマ史に残る勝利、どうぞ満喫してください。

◆ビリビリビリビリ~、フグにあたったくらいにしびれたァ!! えっ、何フグにあたったのかって? 決まってんじゃねーか! 『トラフグ』よ!!  しかし、このペナント終盤から続く阪神の奇跡はどーなってんの?  一回に虎の先発・西が筒香に3ランを浴びた上に、1死もとれず5連続安打。おまけに涙の負傷退場のKOで普通、勝ちまっかァ!? 六回が終わって1-7。しかもスタンドは青、青、青の完全アウェーで逆転しまっかァ!?  猛虎ナインの誰かが勝利の女神でもたぶらかした? いえ、いえ、全ては実力でーす!!  特に北條、木浪、近本の1994年生まれトリオの大ゲームでの心臓の強さ...。ホントに阪神の選手ですかあ!?  3ランと逆転の2点三塁打を放った北條。代打出場で2安打2打点の木浪。そして、その2人に挟まれ、ヒットや盗塁でキッチリとつないだ近本...。久しぶりに牙をむく若虎を目にして俺、ジワ~っと目頭を熱くしちまったじゃねーか!!  よっしゃ! 君らの力でレギュラーシーズン終盤からの7連勝を、16まで伸ばして今年はもう負けなしの日本一やったろーやないか!!

◆球団からの引退勧告を拒否し、退団での現役続行を目指す鳥谷は、チームの野手で唯一、出番なし。CSで敗退すれば縦じまのユニホーム姿は最後となる。矢野監督は鳥谷の起用法について「全部いい場面で」と話しており、勝負どころでの登場が期待される。

◆エース・今永が五回から2番手で登板。2回1安打無失点と好投した。CSでは2017年のファイナルステージ以来のリリーフ登板に「ソワソワしたし緊張もした。何とかゼロで、というのは意識したので良かった」と胸をなでおろした。第2戦も展開次第で連投する可能性がある。「気持ちが先行して力を出し過ぎてしまうので、体を緩めることを意識したい」と事前準備の必要性を説いた。

◆「1番・中堅」で出場した神里が一回先頭で右前打を放つなど、5打数4安打2得点と大活躍。「勢いをつけられるようにストライクが来たら振っていこうと思っていた」と手応えを示した。9月13日に出場選手登録を抹消され、打撃を修正。嶋村2軍打撃コーチの「もっと適当に振っていい」との助言が復調の契機になったという。痛い黒星にも「残り2試合勝てばいい」と前を向いた。

◆観戦した藤原崇起オーナー(67)=電鉄本社会長=は大逆転勝利に「びっくりしますねぇ。やっぱりみんなが力を合わせてっていうのが出てきたので、よかったと思います」と、えびす顔を浮かべた。6日も敵地に乗り込む予定だが、ともに日帰りだという。弾丸ツアーでファーストステージ突破を見守る。

◆DeNAは、阪神に7-8で逆転負けを喫した。六回までに最大6点差をつけたが、継投がはまらなかった。四回1死三塁の場面では、規定により投手交代が認められない痛恨の"ミス"もあり、アレックス・ラミレス監督(45)は「私の責任」と振り返った。先制3ランを含む2安打4打点と活躍した主将の筒香嘉智外野手(27)は、2年前に続く連勝でのファイナルステージ進出を誓った。  静まりかえったベンチ裏が、ショックの大きさを物語っていた。崖っぷちに立たされ、ラミレス監督は「バリオス、エスコバーが打たれて流れが変わってしまった」と唇をかんだ。  3番で起用した筒香の3ランで先制し、最大6点差をつけた。エース・今永を五回から起用するなど短期決戦ならではの策も次々とはまり、大勝ムードが漂っていた。  しかし、今季3試合に投げただけのバリオスを7-1の七回に登板させると一気に暗転。1死から痛打を浴び、慌てて送ったエスコバーを打席に立たせてまで続投させたが1回1/3で5失点。それでも、指揮官は「続投に後悔はない」と言い切った。  思い切った采配はラミレス監督の真骨頂だけに、全ては結果論。一方で悔やまれるのは3-0で迎えた四回の場面だ。  先発・石田が1死三塁のピンチを招くと、三浦投手コーチがマウンドに向かった。続いて投手交代を告げるため指揮官もベンチを出たが、既に三浦コーチがファウルラインを越えてベンチに戻っており、規定により交代が認められなかった。  ラミレス監督は「ルールは分かっていたが、意識はしていなかった。私の責任」と説明した。当初のプランは、ここでバリオス投入。本来、反撃を許した七回は別の投手が投げているはずだった。  「明日に向けて頑張ろう!」。主将の筒香は試合後にロッカーで仲間を鼓舞し「勝って明後日(第3戦)に進みたい」と前を向いた。同じく阪神と対戦した2017年は、初戦黒星から連勝でファナルステージに進出した。球団初の本拠地CS。簡単には終わらせない。 (湯浅大) 四回の場面についてDeNA・三浦投手コーチ 「僕のミスです。(ベンチに)戻ってしまい、選手に迷惑をかけた」 先発で4回1失点のDeNA・石田 「緊張はしたが、丁寧に投げて最少失点で抑えることができてよかった」 1回1/3を5失点で敗戦投手となったDeNA・エスコバー 「自分のキャリアで一番悪い結果。リードを守れなかったのは、自分の責任」 ★野球規則5・10 プレーヤーの交代(一部抜粋)  【注2】監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った後、ファウルラインを越えて引き上げたら、その投手は、そのときの打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない。ただし、その打者に代打者が出た場合は、この限りではない。

◆真っ青に染まった敵地でも、自慢の救援陣が差を見せつけた。六回以降4つのゼロを確実に並べ、逆転を呼び込む鉄壁リレー。1点のリードを守り、試合を締めくくったのは守護神・藤川だ。  「チームの流れに乗って投げただけ。みんな頑張ってくれたので」  一打同点のピンチも動じなかった。8-7の九回。筒香、ロペスを打ち取り2死で打席に宮崎を迎えた。2球目、外角高め148キロを捉えられた打球を右翼手・高山がフェンスにぶつかりながら捕球しゲームセット!  と思われたが、ここでラミレス監督がリクエスト。フェンスダイレクトと判定され、2死二塁に。状況が一転したが「1回(気持ちを)切って。いくつか展開を想定していました」と冷静に後続を断った。  勝敗を分けたのはブルペンだった。六回終了時で6点リードしていたDeNAは救援陣が七、八回に崩壊。計7失点で大逆転を許したが、虎投は違う。六回以降を能見-ドリス-岩崎-藤川とつないで散発3安打無失点。流れを引きよせた。  "一大事"も一丸で乗り越えた。シーズン中に主に勝ちパターンの八回を任されてきたジョンソンがこの日、夫人の出産立ち会いのため帰国。代わって、1点を勝ち越した直後の八回は岩崎がマウンドへ。「流れ的に行きやすかった。ふつうに行けば抑えられると思っていました」。大和、神里、ソトをK、K、Kの完ぺき投球。見事に役割を果たしてみせた。  「(大事なのは)内容うんぬんではなくて結果だけだから」と力を込めた藤川。炎の8人継投。虎には頼もしい勝利の方程式がそろっている。 (箭内桃子)

◆154キロ直球が顔面スレスレにきたら、誰だってビビる。だが近本は、むしろ、燃えた。恐怖を上回る勇気が、着地する右足を前へ踏み込ませた。直後、快速左腕エスコバーの142キロスライダーを右前へ。八回、北條のミラクル打につなげた。  「(顔面スレスレの)あの球は、もう1球続くことはないんじゃないか。と思っていました。来たら、当たったれと(笑)。それぐらいの気持ちで。(安打は)しっかり踏み込めました」  同じルーキーの木浪の適時打で1点差に詰め寄り、なおも2死一塁から根性のアシスト打を決めた。北條の打席でこの日2つ目の二盗も決め、揺さぶった。今季対戦打率・667(3打数2安打)の相手とはいえ、一歩も引かなかった。  一回先頭ではいきなり中前打を放ち、打線に勢いをつけた。五回にはニゴロだったが塁に残り、CS初盗塁となる二盗、さらに七回には遊撃内野安打で北條の3ランをお膳立てした。「しっかり出塁することと、後ろにつなぐことができた」。猛打賞&2盗塁に大きくうなずいた。  公言していた盗塁王を獲得し、シーズン159安打。長嶋茂雄(巨人)の153を超え、セ・リーグ新人安打記録を樹立した実力を大一番でも発揮した。「自分たちの仕事ができたと思います。よかったです」。6点差をはね返した打線のなかでセ・リーグ新人王候補が強烈な存在感をみせつけた。 (新里公章) ★CSファーストステージ  3試合制で行われ、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出する。延長は十二回まで。セ・リーグはステージの勝ち上がりが確定した時点でコールドゲームとし、十二回裏を実施しない。引き分けの場合、再試合は行わない。セはファイナルステージ前日までに所定の試合を消化できない場合、その時点で勝利数の多い球団を勝者とする。パ・リーグはダブルヘッダーを実施する場合がある。勝利数が同じ場合はレギュラーシーズン上位チームが勝者となる。両リーグとも予告先発を実施。

◆この大一番をベンチで迎えた悔しさを、表現できる男だ。転んでもただでは起きない強さを持つから、木浪はラッキーボーイになった。七回の代打出場からチームを奮い立たせて救う、2安打2打点だ。  「ちゃんと準備はずっとやっていた。それがあそこでタイムリー2本につながったと思います」  最初の出番は"劣勢も劣勢"の七回1死二塁。まだ1-7だった。能見の代打で自身初のCSの打席へ送られると、カウント1-1からバリオスの148キロを捉えた。打球は速い球足で中前へ。二走の高山が悠々生還した。そこから、北條の3ランで5-7に迫った。  "普通"ならこれで終わりだ。だが、チャンスはまた巡ってきた。2点を追う八回2死二塁ではエスコバーから右前適時打。1点差として、また北條の逆転打を呼んだ。  シーズン最終盤はスタメンを外れる日もあった。3日の1軍の全体練習には参加せず、2軍の大阪ガス戦(鳴尾浜)への出場を志願。矢野監督からは「ラッキボーイに」と期待されていた。  「開幕1番」でスタートしてもプロ初安打は18打席目だった。夏場には2軍落ちも経験。振り返れば悔しさが成長させてくれた野球人生だった。  亜大の3年だった2015年秋の明治神宮大会。決勝の明大戦。高山らと戦った試合で木浪はベンチにいた。  「神宮の思い出は...。自分が試合に出ていないときに優勝したことですかね。日本一になったとき、ベンチにいたこと。それが一番印象が強い」  ベンチから見えるすべてを目に焼きつけた。ここから見ているだけでは嫌だと心に刻んできた。そして打って勝たせた。  「勢いがついたら止まらないと思う。(ラッキーボーイという)そういう存在になれればいいですけど、まずは自分のことをしっかりやって、チームも勝てればいい」  思い切りよく、殴り込んでみせた初CS。みんなで起こす奇跡を黙ってみているつもりはない。 (長友孝輔) ★矢野監督のラッキボーイ指令  3日、木浪が2軍の大阪ガスとの練習試合(鳴尾浜)に出場。矢野監督は志願だったことを明かし「ある意味、プロになってきたな」と目を細めた。さらにラミレス監督のジョーカー的存在である今永に打率・429と好相性だったことについては「ラッキーボーイになってくれれば、それはそれで最高」と期待していた。

◆大、大、大逆転や! クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕し、セはレギュラーシーズン3位の阪神が2位のDeNAに8-7で勝利。北條史也内野手(25)の3ランを含む5打点の活躍でCS史上最大の6点差を逆転した。矢野燿大監督(50)は全員野球に感涙。6日に勝てば5年ぶりのファイナルステージに進出する。この強さ、ハンパないって! 日本一いけるで!  誰も諦めていなかったからこそ、白球はもうひと伸びして奇跡に変わった。八回2死二、三塁。北條の打球が中堅手・神里の頭上を襲った。三塁上で腕を突き上げる。青一色の横浜スタジアムで虎がCS史に名を刻む大逆転を演出した。自己最多、5打点のMVPは興奮を隠しきれなかった。  「打席に入る前に(後ろを打つ、この日無安打の)福留さんから『きょうは俺の日じゃないから、お前がいってこい』と言われました。『決めたろ』と思って打席に入りました。めちゃめちゃ、うれしいです」  絶望的な展開だった。先発・西が1死も奪えず、左足に打球を直撃させて3失点KO。五回の島本の4失点も加わり、1-7と傷が広がった。  しかも、ジョンソンは夫人の出産で緊急帰国し、不在。だが、6連勝締めで3位に滑り込んだ虎はここから底力を証明した。  ぐいぐいと詰め寄り、八回にはついに1点差。なお2死二、三塁とすると「ここ一番。集中力は切らさずに」と北條が国吉の140キロを振りきった。前進守備の相手を驚かす2点三塁打。CS史上最大となる6点差での逆転ドラマが完成した。  5点差を追いかけていた七回1死一、二塁には左越えに3ラン。反撃の火をつけたのも北條だった。自身初のCSで、シーズンでも経験のない5打点の大暴れ。ナインの結束を誰よりも喜んだのが矢野監督だった。試合後のベンチ裏。声を震わせ、涙を浮かべていた。  「常々、苦しいときどうするとか、諦めないとか。まぁ、うん...。そういう野球できました」  会見中に約20秒、声を詰まらせた。「すごい。ホンマにすごい。選手が、すごい」。就任1年目。「ファンを喜ばせる」を合言葉に選手とともに苦楽を乗り越えてきた。だから午前11時25分、チームバスが到着すると、ベンチ裏でナインに輪を作らせた。  「みんなの力、粘り、あきらめない気持ちでここにきたと思う。きょうからが奇跡のスタートだ。CSを勝ち上がって、日本一になって、初めて奇跡になる」  指揮官の言葉を北條はしっかりと受け止めた。関係者によると、前日4日、甲子園での全体練習後、北條は室内練習場にこもり、黙々と打っていたという。「2番・遊撃」でCS開幕を迎えることをこの時点では知らない。ベンチでは常に声を枯らし、時にはナインを笑わせるムードメーカーは並々ならぬ決意で横浜へと乗り込んでいた。  「いい雰囲気でやれています。最高の疲れです! 明日決める気持ちで全力プレーします」  6日に勝てば、5年ぶりのファイナルステージ進出が決まる。こんな激勝、見たことがない。奇跡の日本一に向け、筋書きのない船出だ。 (竹村岳) 北條について阪神・浜中打撃コーチ 「あの(七回の)一発で流れが変わったし、最高のホームラン。勝負強いし、気持ちも強い。凡打をしても切り替えるうまさがあるし、今シーズンで一番しびれました」 ★2017年のCSファーストステージDeNA戦(甲子園)  10月14日の第1戦を福留の決勝2ランで2-0と先勝したが、第2戦で随所にミスが絡んで6-13の惨敗。雨天により試合開始が1時間3分遅延し、グラウンドコンディションは最悪だった。雨天中止を挟んだ16日の第3戦は先発した能見が0回1/3で3失点KO。1-6でファーストステージ敗退となった。

◆こういう勝利を本当の奇跡と呼ぶのだろう。シーズン終盤に6連勝してギリギリでCSに進出してきた阪神だが、あの時は、順位が決まった後のチームが大半で、モチベーションが必ずしも高くなかった。その相手に必死で向かっていったのだから、ある意味、勝って当然。でも、この日の勝利は実力以外の勢いを感じた。まさしく奇跡だ。  奇跡の中には、ラミレス監督の考えられないさい配もあった。投手交代を失敗する、ありえないことまで起きた。でも、この際、その神風に乗ればいい。短期決戦は勢いに乗ったもの勝ちだ。  ただし、指摘しておきたいことがある。それは、序盤のリードされているときは、シーズンで苦しんだときと同じ野球をやっていた、ということ。たとえば五回の失点。ロペスの打球は記録は三塁線の二塁打だが、大山のプレーは"失策"。腰が高い、軽率、雑。すべて当てはまる。シーズンで12球団最多の102失策した、そのままの光景だった。  ミスは怖い。せっかくの風も止めてしまう。決して見逃すことはできない。  (サンケイスポーツ専属評論家)

◆ふだん、小手先の投手リレーばかりしていると、大事な試合でこうなる。DeNAだよ。  七回、北條にまさかの3ランを浴び、動揺したエスコバーをその裏、打席に立たせ、八回も続投。しかも3安打されるまで引っ張った。精神的なショックを受け、手投げになっていることに、気付かないのかね。  そもそも、バリオスが1点取られたくらいで、慌ててエスコバーを投入するかな。得点差といい、登板機といい、エスコバーの持ち場ではなかった。本人のモチベーションにも影響するよ。  それ以前に、四回1死三塁で石田から今永にスイッチしようとしたとき、迷っているうちに、マウンドへ行っていた三浦コーチが、ラインをまたいで戻ってきて、交代が認められなかった。躊躇(ちゅうちょ)する場面ではない。そのための今永配転じゃないか。あそこで石田が打たれた犠飛も、実は効いたよね。  それもこれも突き詰めれば、一回の攻撃。3点取ってなお無死一、二塁。西をKOし、守屋に代わると、伊藤光に普通に打たせて、右飛。送りバントで二、三塁とし、もう2点、少なくとも犠飛で1点、取りにいくべき。一気に試合を決めに行く姿勢を見せないから、最後に響くわけだ。  他にも突っ込みどころは多々あれど、単刀直入に言うと、ベンチワークの失敗! (サンケイスポーツ専属評論家)

◆野球評論家の張本勲氏(79)が6日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・0)の名物コーナー「週刊・御意見番」に生出演。セ・クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第1戦でCS史上最大となる6点差を逆転した阪神をたたえた。  5日のセ・CSファーストステージ第1戦は、レギュラーシーズン3位の阪神が2位のDeNAに8-7で勝利。北條史也内野手(25)の3ランを含む5打点の活躍でCS史上最大の6点差を逆転した。  番組ではこのニュースを取り上げると、張本氏は「6点開いたじゃないですか。もうダメだと思いましたよ。テレビ切ったからね」と自身もまさか逆転するとは思っていなかった表情。続けて「阪神は日本一すごいファンがついているのと、プレーを必死に一生懸命やりますよ。大体、打ったら全力疾走しないんですよ、これはプロのコツなんですよ。だけど彼たちはどんな場面でも一生懸命走っているから。監督はいい指導をしていると思いますよ」と、逆転にいたった要因を挙げた。

◆5日のDeNAとのクライマックス・シリーズファーストステージ第1戦(横浜)の一回に左足に打球が直撃して降板した阪神・西勇輝投手(28)が、6日の第2戦の試合前練習に参加。軽いダッシュやキャッチボール、投球動作の確認などで患部の状態をたしかめた。  前日5日の一回に宮崎のライナー性の当たりが左足に直撃し、爪を負傷した。ファーストステージを突破した場合ファイナルステージでの登板も見込まれるが「頑張って治す方向で。今は固定してカバーもしています。きのうのきょうなので」と回復を待つ。

◆DeNAは、阪神に7-8で逆転負けを喫した。六回までに最大6点差をつけたが、継投がはまらなかった。今季3試合に投げただけのバリオスを7-1の七回に登板させると一気に暗転。1死から痛打を浴び、慌てて送ったエスコバーを打席に立たせてまで続投させたが1回1/3で5失点を喫した。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)はブログで、「短期決戦では調子の悪いピッチャーを引き伸ばすのは危険だ。DeNAはその調子の悪いエスコバーに回跨ぎをさせたことが痛かった」と敗因を指摘。「ストレートが全然きていなかったし だからこそ変化球ばっかり投げていたと思うんだけども あれで打たれちゃってはもう手の施しようがない」と解説した。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕し、セはレギュラーシーズン3位の阪神が2位のDeNAに8-7で勝利。北條史也内野手(25)の3ランを含む5打点の活躍でCS史上最大の6点差を逆転した。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)はブログで、「阪神もやってくれたね。7回に4点 8回に3点 後半にきて6点差をひっくり返して勝った」と絶賛。「この勝ちは阪神にとっておっきいよ」「阪神の方はますます勢いがついてくる」と警戒していた。

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