中日(☆3対0★)阪神 =リーグ戦23回戦(2019.09.14)・ナゴヤドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:大野 雄大(9勝8敗0S)
敗戦投手:望月 惇志(1勝1敗0S)
  DAZN
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◆中日は1点を先制して迎えた3回裏、福田が犠飛を放ち追加点を挙げる。そのまま迎えた5回には、ビシエドの適時二塁打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・大野雄が9回を1四球のみに抑える快投でノーヒットノーランを達成。敗れた阪神は、打線が大野雄の前に沈黙した。

◆中日大野雄大投手が阪神23回戦でノーヒットノーランを達成した。19年ソフトバンク千賀滉大以来、史上81人目(通算92度目)の快挙。中日では13年山井以来。 6回1死で京田の失策で初出塁を許し、完全試合ペースが途切れたがこれに動揺することなく、7回まで毎回三振を奪うなど阪神打線を封じて偉業達成した。

◆阪神望月惇志投手は5回3安打ながら3失点を喫し、プロ初黒星がついた。 「無駄なランナーを出してしまいましたし、悔しい投球になりました」。1点ビハイドの3回に味方の失策で走者を出すと、大野雄のバントを足を滑らせ捕球できず(記録は投安)。その後1死満塁となったが、犠飛による1失点でしのいだ。 大野雄の無安打無得点を目の当たりにし「素直にすごいですし、見習うところもたくさんある」と糧にした。

◆中日大野雄大投手が阪神23回戦でノーヒットノーランを達成した。19年ソフトバンク千賀滉大以来、史上81人目(通算92度目)の快挙。中日では13年山井以来。 最後は高橋周平のファインプレーで偉業達成するとマウンド上で喜びを爆発させた。お立ち台では「満員のナゴヤドームのお客さんの前で決められて最高です。信じられない気分です。(9回にマウンドに上がる時に)ファンの皆さんの大野コールがあったんで狙おうと頑張りました。先日ソフトバンクの千賀投手が達成したときに『お客さんのため息を聞きたくなかった』というのを思い出して俺はため息つかせそうやなと思って頑張りました」と喜びをかみしめた。

◆中日は大野雄大、阪神は望月が先発。中日は2回に暴投から1点を先制、3回にも1点を追加した。大野雄は3回をパーフェクト。 中日は5回2死二塁からビシエドの右越え二塁打で1点を追加。大野雄大は失策出塁を許したが、6回まで無安打無失点を継続した。 大野雄大は7回以降も無安打無得点を続け、セ・リーグでは今季初のノーヒットノーランを達成し9勝目を挙げた。阪神望月がプロ初黒星。

◆阪神は中日大野雄大投手の無安打無得点投球に屈した。最近では06年9月16日に中日山本昌(当時41歳)に喫して以来、13シーズンぶり。 試合後の矢野監督は「絞りづらいというか、ツーシームがね、結構速いし、真っすぐに見えるところでなかなかね」とツーシームに苦戦したと語り、「見ていると簡単ではないけど、うちの課題。向こうにリズムよく投げられた」と脱帽した。ただ「2敗になるわけじゃない」とあくまでも1つの敗戦と捉えた。

◆中日大野雄大投手(30)が阪神23回戦でノーヒットノーランを達成した。19年ソフトバンク千賀滉大以来、史上81人目(通算92度目)の快挙。中日では13年山井以来。6回1死で京田の失策で初出塁を許し、完全試合ペースが途切れたがこれに動揺することなく、7回まで毎回三振を奪うなど阪神打線を封じて偉業を達成した。 試合後の大野雄のヒーローインタビューは以下の通り。 -ナゴヤドームで大記録が生まれました。ノーヒットノーラン達成、大野雄大投手です。今の気持ちは? 大野雄 満員のナゴヤドームのお客さんの前で達成できて、最高です! -大記録を達成した今の気分は 大野雄 信じられない気分です。ホントに、絶対打たれるやろなと思って、5回くらいから投げてたんで。でも最後の回はマウンドに向かうときにファンのみなさんの大野コールがあったんで、狙おうと思って頑張りました。 -最終回、最後の打者の打球が高橋周平選手のところに来ました。そのときの気持ちは 大野雄 いい当たりだったんで、どうかなと思ったんですけど、周平がいいところにいてくれたんで。めちゃくちゃ喜んじゃいました、ハイ。 -マウンド上で跳びはねてましたね 大野雄 ちょっとね、やり過ぎかも知れませんが、ほんまに一生に1回達成できるかどうかのものだと思いますし、喜びを表現してしまいました。 -振り返ると、いい立ち上がり、どんな立ち上がりでしたか 大野雄 前回の登板に続いて、立ち上がりが良くて、狙ったところに狙った球を投げられたんですけど、前回よりはそんなに球は走ってなかったんですけど、コントロールよくコースにきっちり投げられたから、こうなったと思います。 -味方の援護もあって5回を超えてランナー1人も出さずに後半でしたが 大野雄 ほんまにどっかで打たれると思っていたんですけど、2アウトランナー二塁からの京田のプレーで、もしかしたらあるかなと思いました。 -リプレー検証もありましたが 大野雄 でもあれで、無理にバッターと勝負しなくてよくなったんで、四球が出せるということで、なので全然、エラーはしゃあないと思って切り替えられました。 -ナゴヤドームではノーヒットノーランは山本昌さんと2人しか成し遂げていない大偉業です 大野雄 今でも信じられないですけど、そうやって山本昌さんと一緒に名前が歴史に残るのはすごくうれしいことですし、加藤がね、途中で代わっちゃったんですけど、加藤と大野奨太さんに、あとは野手のみなさんに感謝したいです、 -バック、監督なんと声を掛けられたんですか 大野雄 やっぱりみんな何も言ってこなかったんですけど、僕は気づいてたんで、もちろん、狙ってはいたんですけど、みんな静かになるもんですね、やっぱり。 -本当にすごいことをやりとげましたね 大野雄 いやあ、ホントですね。先日、ソフトバンクの千賀投手が達成したときに「お客さんのため息を聞きたくなかったから頑張った」と言ってんのを思い出して、オレはため息つかせそうやなと思って投げてました。 -9勝目、4年ぶりの2桁勝利も見えてきました 大野雄 そうですね、最後までそこは狙っていきたいですし、チームも連敗してたんで、それを止められたのもよかったと思います。 -次はどんな思いでマウンドに 大野雄 しっかり1週間調整して、またこのような投球ができるようにしっかりやっていきます。 -ファンのみなさんに感謝の気持ちを伝えて下さい 大野雄 本当に、このノーヒットノーランはみなさんと一緒に達成したものだと思いますし、今日1日はこの喜びに一緒に浸って、また明日からはドラゴンズが勝っていけるように応援の方よろしくお願いします!

◆中日大野雄大投手がノーヒットノーランの快挙で完全復活を印象づけた。阪神打線を相手に序盤から危なげない立ち上がりを見せた。回を追うごとに球場内の期待は高まる。大野雄に話しかけるナインはやはりいなかった。5回から意識していたという。「ホンマにどこかで打たれると思った」。 達成の予感は6回に芽生えた。2死二塁で木浪の打球を京田がファインプレーで遊ゴロにした。直前に京田はエラーしていたが、そのミスを帳消しに。「あのプレーでもしかしたらあるかな、と思った」。脳裏によぎったのは、6日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成したソフトバンク千賀の言葉だ。「1本打たれたら、スタンドからため息がくると思っていたので...。それだけはと思っていた」。その気持ちは大野雄にも分かった。「俺はため息つかせるやろな」。試合中にそうつぶやいた。しかし9回、マウンドに上がる時、ファンの「大野コール」に自らを奮い立たせた。「あのコールがあったから、狙おうと思った。信じられない気持ち。最高です」。最終回も3者凡退に抑え、記録達成の瞬間を迎えた。 大野雄は13年から3年連続2ケタ勝利を挙げたが、次第に低迷。昨年はルーキーイヤー以来の未勝利に終わった。今季は何ごともプラス思考にとらえ、前向きな気持ちでマウンドに立った。これで8勝目。最高の投球で4年ぶりの2ケタ勝利が見えてきた。

◆中日大野雄大投手(30)が阪神23回戦でノーヒットノーランを達成した。19年ソフトバンク千賀滉大以来、史上81人目(通算92度目)の快挙。中日では13年山井以来。6回1死で京田の失策で初出塁を許し、完全試合ペースが途切れたがこれに動揺することなく、7回まで毎回三振を奪うなど阪神打線を封じて偉業を達成した。 ▼大野雄が今月6日の千賀(ソフトバンク)以来、プロ野球81人、92度目のノーヒットノーランを達成した。セ・リーグでは18年7月27日山口俊(巨人)以来となり、中日では13年6月28日山井以来12人、12度目。中日は巨人の16度に次いで多いが、巨人は複数回達成の投手が3人おり、12人は巨人と並んで最多。中日は1リーグ時代に2度、2リーグ制後に10度で、2リーグ制後では巨人の9度を抜いて最多となった。また、この試合は途中で捕手が加藤から大野奨へ。捕手が交代して達成は68年5月16日城之内(巨人)以来、51年ぶり6人目と珍しい。 ▼同じ月に2人以上が達成は、85年6月4日郭泰源(西武)同9日田中幸(日本ハム)以来となり、43年5月の3人を含め7度目。今回の9日間で2人は71年8月19日藤本(広島)同21日高橋善(東映)の3日間、43年5月22日藤本英(巨人)同26日別所(南海)の5日間、85年6月4日郭泰源、9日田中幸の6日間に次いで短かった。

◆中日大野雄大投手(30)が14日、阪神23回戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成した。打者29人、126球で、史上81人目(通算92度目)の大記録を刻んだ。 6日のソフトバンク千賀に続く達成に「千賀はファンにため息をつかせないように投げたけど、オレはため息つかせそうやな」と、笑いを交えて喜びを表現。中日では13年山井以来、巨人と並び球界最多12人目の快挙を達成した。無邪気な子どものように、大野雄が跳びはねた。この日の最速タイ。こん身の151キロ直球を近本に捉えられたが、三塁・高橋のグラブに収まるのを見届けると、マウンドの上で3度ジャンプして喜んだ。 「まさか。信じられない気分。今日は無駄な力がなく、バランスよくいろんな球が投げられた。全部良かった」。直球もフォークボールもツーシームもさえた。初めて走者を出した6回1死二塁で、代打上本をフォークボールで空振り三振。7回、大山に初めて四球を許しても乱れない。主砲マルテを内角への139キロ直球で見逃しの三振に取った。打者29人に対し、失策、1四球の2出塁を許しただけで、山本昌に続くナゴヤドームでの竜2人目のノーヒッターになった。 昨年はプロ1年目以来の未勝利に終わった。終始、ネガティブな思考に支配された。「序盤に打たれたら敗戦コメントを考えていた」と振り返る。昨秋キャンプから塚本コンディショニングコーチと改善に取り組んだ。同コーチから「プロは実現性が高い能力がある。ヒーローになると思っていかないと」と提案され、プラス思考への切り替えを意識。9勝8敗、防御率2・59。大野雄は笑顔で「間違いなく9年で最も安定した成績を出せている。その(プラス思考の)おかげ」と明かした。 ソフトバンク千賀が6日、12球団で今季初のノーヒットノーランを達成した。「彼はいつかする人。僕には縁がないと思っていた」と第三者の目で見ていたが、自身もやりとげた。「千賀が『ファンのため息を聞きたくなかったから頑張った』と言ってたが、オレはため息つかせそうやなと思って投げてました」。お立ち台では大野雄節で、ファンも沸かせた。 自宅のリビングルームには、1枚の大きな額がある。かつて選出された侍ジャパンのユニホーム。大学時代から日本代表にあこがれ、プロでもこだわり続ける。0勝に終わった昨季も、そのユニホームを見て復活を誓い、闘志をかきたてた。プロ初のノーヒットノーランの記念球。「大事にします」。これからの野球人生の力の源が、また1つ増えた。【伊東大介】 ◆大野雄大(おおの・ゆうだい)1988年(昭63)9月26日、京都府生まれ。京都外大西では2年夏、3年春に甲子園出場(2年夏は登板なし)。佛教大では京滋大学リーグMVP3度。10年ドラフト1位で中日入団。15年プレミア12で侍ジャパン選出。183センチ、83キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸6000万円。 ▽中日加藤(スタメンで大野雄をリードも5回にマルテのバットを左手に受け、交代) 変化球が低めに決まっていた。途中で病院に行ったが、速報で見ていた。チームが勝ってよかったです。 ▽中日大野奨(6回からマスクを被り、リード) (ノーヒットノーランは)初めて。なかなか経験できないことを経験させてもらった。今日はフォークボールの高さの間違えがなかった。 ▽中日与田監督(大野雄について) 今日は4、5回から(記録を)やれるかなと思った。球のばらつきも少なかった。12年の侍ジャパンコーチのときに雄大と初めて話して、球界のエースになれる雰囲気を感じていた。 ▽阪神木浪 全て良かったと思います。甘いボールを仕留めきれなかったというのはあります。 ▽阪神マルテ いつも通りのいいピッチャーでしたが、今日は特に良かった。彼にとってはすごくいい1日になったと思う。ゾーンに来た球をしっかり打とうと思っていたけど、彼が一枚上だった気がします。

◆6回1死からの阪神梅野のゴロを一塁に悪送球し、失策での初出塁を許した中日の遊撃・京田陽太は暗い表情だった。「エラーしてしまったので何とも言えない。僕のエラーがなかったら完全試合だった」と肩を落とした。 それでも大野雄大は「あのエラー直後の好守備でノーヒットノーランがいけると思った。さらにうまくなって助けて欲しい」と京田をかばった。

◆あぁ、痛恨のノーヒットノーラン...。阪神が赤っ恥をかいた。中日戦で大野雄に無安打無得点を食らい、屈辱的な完敗。矢野燿大監督(50)は「2敗になるわけじゃない」と前を向いたが、3位広島と4・5ゲーム差となり、5位中日が再び0・5差に接近だ。06年9月16日に山本昌に達成されて以来、13年ぶりにノーヒットノーランの引き立て役。貧打&拙守が響き、15日の巨人戦に負ければV逸が決まる。下位停滞に追い打ちをかける悪夢だった。マウンドで躍動する大野雄に歯が立たない。9回も異様なムードにのみ込まれた。2死。あと1人。近本のライナーは三塁を襲ったが高橋が好捕...。逆転CSを狙う立場だがノーヒットノーランを食らった。矢野監督は淡々と振り返るしかなかった。 「状態は良かったから、そんなに簡単に、なかなか崩せないなと。立ち上がりを見ても思っていた。絞りづらいというかツーシームがスピードも結構速いし、真っすぐに見えるところでなかなか。見てると簡単ではないけど、うちの課題」 プレーボール直後から兆しがあった。1回、好調の先頭木浪がいきなり得意な内角球にバットを折られる二ゴロ。近本は低めに制球されたフォークに空を切った。打者2巡目に入る4回攻撃前に円陣を組んでも変わらない。6回1死で梅野が敵失で出塁するまで完全投球だ。9三振を奪われ、四球も1つだけ。粘れず、浜中打撃コーチは猛省した。 「むちゃくちゃ良かったから。真っすぐとフォークの軌道が、まったく一緒の軌道。なかなか打つのは難しい。セーフティーをしたり、揺さぶりをかければ良かった。僕の指示も出せなかった。僕の責任もある」 前日13日に本塁打を放ったベテラン福留は休養日。刺客に送り込んだ北條、陽川も返り討ちにされた。2三振の北條も「真っすぐとツーシームの見極めができなかった。1球もボールに当たらなかった」と脱帽した。見落とせないのは守備力の差だ。6回、木浪の安打性のゴロを京田に好捕されると、8回も梅野の打球を高橋の好守で阻まれた。球際に強く、中日の失策数はリーグ最少41。同ワースト96でポロポロこぼす、阪神の守備とはあまりにも対照的だった。ナゴヤドームはやはり鬼門だ。06年9月16日、山本昌に幻惑されて以来、またも、この球場で屈辱を味わった。それでも指揮官は「この負けも痛いけど、2敗になるわけじゃない。残りの戦いで俺らがどういう姿勢を見せるかの方が大事」と話す。3位広島と4・5ゲーム差に広がり、5位中日は0・5差に迫る。15日の巨人戦に敗れれば、14年連続V逸が決まる。矢野阪神がじわじわ追い詰められている。【酒井俊作】▼06年9月16日(阪神0-3中日) 首位中日を4ゲーム差で追う2位阪神は、15日から敵地ナゴヤドームでの3連戦に臨んだ。初戦に完封負けした阪神は16日の第2戦で左腕山本昌と対戦。無安打のまま9回を迎え、最後は赤星が三ゴロに倒れて41年ぶりのノーヒットノーランを食らった。走者は失策で出た1人だけだった。勝負どころで連敗し、ゲーム差は6に広がった。直後から9連勝するなど巻きかえしたが、中日のペースも落ちず、10月10日に中日の優勝が決定。最終的に3・5ゲーム差で2位に甘んじた。ナゴヤドームで1勝10敗と大きく負け越したのも響いた。

◆阪神梅野隆太郎捕手が攻守で力を発揮できなかった。望月を懸命にリードしたが、先取点を与え「戦いなんで...。バッテリーで先制点をなんとか取られないようにと思っていました。試合はまだ続くので」と声を落とした。 打撃では6回に敵失で出塁したが、大野雄に3打数無安打。「三振を取れるピッチャーで、打たされる投球をされた。リズムを与えてしまった」と悔やんだ。

◆阪神能見篤史投手(40)が7回に3番手で登板し、今季登板が50試合に到達した。 40歳以上のシーズンで50試合は17年の中日岩瀬(当時43歳)以来、NPB史上2人目の快挙。試合後に報道陣から伝え聞くと「いやいや、まぁまぁ。仕事としてね。それだけ投げられてるのはね」と謙遜してタクシーに乗り込んだ。 この日は3点ビハインドでマウンドへ。テンポのいい投球で大野雄、大島、京田の3人をわずか10球で料理して、味方打線の奮起を待った。今季は同様にビバインドの展開での登板も目立つが「元気で投げられてるのが一番」と泰然自若とし、「結果は出ていないけどね」と自嘲気味のジョークをまじえる落ち着きがある。 チームは守護神の藤川を筆頭に助っ人のジョンソン、左腕岩崎ら盤石の救援陣がそろっている。ここに若手の島本や守屋も頭角を現し、ポジション争いは激しくなっている。それでも、能見も若い選手には負けていられない。中日大野雄の無安打無得点に沸いた試合で、40歳はいつものように顔色を変えず黙々と腕を振った。残り10試合も、身を粉にしてマウンドに向かう。【真柴健】

◆阪神近本光司外野手の連続試合安打は11で止まった。「1日1本はと思っていたんですけど...。また明日からですね」。 大野雄の快投には「真っすぐとツーシームが良くて、その2球種にやられた。内にも外にも良いボールが来ていた」と脱帽した。現在147安打で新人のリーグ記録153安打まであと6本で、残り10試合を迎える。

◆-打者にとっては悔しい結果になった。大野雄の投球をどう見たか 立ち上がりからいいな、と思って見てたけどね。 -リズムに乗らせてしまったのか モッチー(望月)も打たれたというよりはエラーもあったり、自分の四球とか(点の)向こうに流れがいくような点の取られ方はあった。そういうところで向こうにリズムよく投げられたというのはあると思う。 -監督もノーヒットノーランの経験があるが終盤は打者に緊張感が出るか バッターは...。まあまあ普通の気持ちでは立てないけど、向こうの方が緊張してんじゃないの? -守備のほころびも出た。3回、マルテの失策から望月もバント処理で転倒 あれもアウトにしにいった結果だから、それをどうこうっていうのは言いにくい。もちろん、ミスをなくさなあかんし。 -北條や陽川を抜てきして大野雄対策を施した いろいろあるんだけど、いろんなことを含めて変えただけで。大野対策というか、いろいろある。 -明日からリベンジだ もちろん。2敗になるわけじゃない。別にノーヒットノーランが2敗になるんやったら痛いけどね。この負けも痛いけど、2敗になるわけじゃない。明日から全力で行きます。

◆中日大野雄大投手(30)が14日、阪神23回戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成した。打者29人、126球で、史上81人目(通算92度目)の大記録を刻んだ。現地で観戦した美優奈夫人(30)が、夫への祝福と感謝を語った。 -大記録を目撃 お母さん(大野の母早苗さん)と子ども2人(4歳長女と1歳次女)と見ていたんですけど、その瞬間ははっきり覚えてないです(笑い)。うれしかったです。すごく貴重な体験をさせてもらいました。 -昨季は0勝と苦しんだが、家庭では落ち込んだ様子を見せなかった そうですね。家では野球の話はあまりしません。家の中には暗い気持ちを持って帰らない。そこがすごいなと思います。 -登板前日の夕食は夫人お手製のカレーを食べて試合に向かう 前日に何を作ればいいか私が迷ってしまう。だからカレーって決まっていれば私も迷わない。彼の優しさだと思います。もちろん昨日も。ずっと牛肉のカレーだったんですけど、今年に入ってからかな。チキンカレーに替えたんです。そうすると結果が良くて。今はチキンカレーです。 -今日はお祝い 今日はちょうど娘2人とクッキーを作ったんです。型を抜いて飾りを付けて。勝ったらパパにあげようねって。だから今から渡すのが楽しみです。

◆中日大野雄大投手(30)が14日、阪神23回戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成した。打者29人、126球で、史上81人目(通算92度目)の大記録を刻んだ。9回表の守備が始まる直前、大野雄がマウンドに向かって歩き出すと、ナゴヤドームに詰めかけた竜党から大野コールが沸き起こった。「最終回の大野コールをもらって、狙おうと思った」。声援が、大記録への勇気になった。 大野雄はファンを大事にする。幼少期から母早苗さんに育てられた。初の開幕投手を務めた16年から、ひとり親の親子を毎月1回10組招待する活動を続けている。自費開催の「大野雄大招待プロジェクト-Yudai's Monthly Invitation-」だ。 「学生時代にソフトバンクの和田さんが投球数にかけて、ワクチンを寄付している姿に憧れた。プロに入ったら何かをしたかった。去年は1軍にあまりいなかったけど、今年はいるので、ナゴヤドームで会えるときは、来場された皆さんと会っている」。ファンを思う活動への感謝も、大記録を祝うスタンドからの声援に込められていたはずだ。【中日担当 伊東大介】

◆中日-阪神戦(ナゴヤドーム)が14日、行われ、阪神は先制を許した。先発した望月惇志投手(22)の暴投で生還を許した。  0-0の二回、先頭のビシエドが中堅フェンス直撃の二塁打。高橋の二ゴロで1死三塁とされると、阿部に投じた139キロフォークを梅野が止められず。ビシエドに生還を許した。  先発登板はプロ初勝利を挙げた8月22日のDeNA戦(京セラ)以来で、それ以降は中継ぎ要員として調整していた。

◆中日-阪神戦(ナゴヤドーム)が14日、行われ五回が終了。阪神は3点のリードを許し、打線は大野雄大投手(30)の前にひとりの走者も出すことができず。完全投球を許した。  今季、大野との対戦は5度目。2勝を献上し防御率1・95の天敵に対し、大幅にスタメンを入れ替えた。福留を先発から外し、3番に大山。プロ初の5番を北條に託し、左翼には大野から今季7打数3安打の陽川を据えたが...。手ごわかった。  一回、先頭の木浪は二ゴロ。近本は空振り三振とルーキーコンビが出塁できず。大山も平凡な遊ゴロに倒れた。二回1死には北條、陽川が連続三振。四回も木浪、近本が連続三振に終わるなど、きりきり舞いされた。六回から反撃することができるか。

◆中日・大野雄大投手(30)が14日の阪神戦(ナゴヤドーム)で史上81人目、92度目のノーヒットノーランを達成した。9回126球を投げて無安打無得点、9奪三振、1四球だった。  最速151キロの直球と、スライダー、シュートなどの多彩な変化球で阪神打線を翻弄。五回まではパーフェクト投球だった。  六回1死から梅野の遊ゴロを処理した京田の送球が本塁方向にそれ、捕球したビシエドが打者走者・梅野にタッチしたかに見えたが、判定はセーフ。与田監督がリクエストしたものの、リプレー検証でタッチしていないことが確認され、判定は覆らなかった。七回には1死から大山を四球で歩かせたがここも後続を打ち取り、許した走者はこの2人だけだった。  ノーヒットノーランは今季2度目。ソフトバンク・千賀滉大投手(26)が今月6日のロッテ戦(ヤフオク)で育成選手出身では史上初となるノーヒットノーランを達成している。

◆中日の大野雄大投手(30)がノーヒットノーランを達成した。6日のソフトバンクの千賀に続く史上81人目(通算92度目)で、球団では2013年6月28日の山井(対DeNA)以来6年ぶり。  126球を投げて、許した走者は味方の失策と四球の2人だけ。試合は3-0で中日が連敗を「2」で止めた。  大野雄の試合後の一問一答は以下の通り。  --いまの気持ちは  「満員のナゴヤDのお客さんの前で達成できて最高です!」  --大記録を成し遂げたいまの気持ちは  「信じられない気分です、本当に本当に。五回くらいからは絶対打たれるやろなって思って投げていたので。でも最後の回は、マウンドに向かうときにファンのみなさんの大野コールがあったので、狙おうと思って頑張りました」  --最後の打者を打ち取ったときの気持ちは  「いい当たりだったのでどうかなと思ったんですけど、(高橋)周平がいいところにいてくれたので、めちゃくちゃ喜んじゃいました」  --マウンド上で飛び跳ねていた  「ちょっとやりすぎかもしれないですけど、一生に一回達成できるかのものだと思いますし、喜びを表現しちゃいました」  --立ち上がりの手応えは  「前回の登板に続いて立ち上がりがよくて、狙ったところに狙った球を投げられたんですけど、前回よりはそんなに球は走ってなかったんですけど、コントロールよく、コースにきっちり投げられたからこうなったと思います」  --ナゴヤDでは13年前の山本昌以来、2人目の偉業  「今でも信じられないですけど、そうやって山本昌さんと一緒に、名前が歴史に残るのはすごいうれしいことですし、加藤(匠馬)が途中で代わっちゃったんですけど、加藤と大野奨太さんに、あとは野手のみなさんに感謝したいです」  --バックや監督にどんな声をかけられた  「みんな何も言ってこなかったんですけど、僕は気付いていたのでもちろん。狙ってはいたんですけど、みんな静かになるもんですね」  --大偉業をやり遂げた  「先日、千賀投手が達成したときに『お客さんのため息を聞きたくなかったので頑張った』って言っていたのを思い出して、俺はため息つかせそうやなと思いながら投げていました」  --9勝目を挙げ、4年ぶりの2桁勝利も見えてきた  「最後までそこは狙っていきたいですし、チームも連敗していたので、そこを止められたのもよかったと思います」  --次のマウンドに向けて  「しっかりと1週間調整して、またこのような投球をできるように、しっかりやっていきます」  --ファンにひと言  「このノーヒットノーランはみなさんと一緒に達成したものだと思いますし、きょう一日はこの喜びに一緒にひたって、また明日からドラゴンズが勝っていけるように、応援よろしくお願いします!」

◆大野雄の快挙を支えた女房役も喜びを共有した。先発捕手の加藤の負傷交代により、六回からマスクをかぶった大野奨は「いろんな打者の傾向を考えながらいこうと思った」と言う。サウスポーが今季復調した要因として「ことしに関しては直球のラインがずれない」と分析した。  好リードを見せていた加藤は五回にマルテの振り切ったバットが左手に当たり、その後に交代を強いられた。「申し訳ない気持ちだが、達成できて良かった。変化球も低く決まっていた」と話した。

◆大野雄は「僕は『お客さんにため息をつかせそうやな』と思って投げていた」と笑った。6日のロッテ戦(ヤフオクドーム)でノーヒットノーランを達成したソフトバンク・千賀の「この声援をため息と悲鳴に変えてはいけないと、すごく気持ちが入った」というセリフを引用したもの。また、過去にナゴヤドームでの達成は、2006年9月16日の阪神戦での山本昌(中日)だけ。通算219勝の左腕は憧れの存在で、大野雄は「一緒に名前が残るのはうれしいこと」と、しみじみと話した。

◆虎地獄じゃ~!(涙) 中日・大野雄にノーヒットノーランを食らっただけでも失神寸前なのに...。俺たち虎党は5年連続6度目の開幕投手を務め、プロ野球通算98勝を挙げ、さらに今年は日本選手扱いにまでなったランディ・メッセンジャーの引退発表を前日に耳にして傷心の身だったんだからな~!! ウェ~ン、虎党はサンドバッグかー!?  でもさあ...。屈辱的な記録は許しちゃったけど、最後の打者がセ・リーグ新人最多安打を狙う近本だったというのは意味があった...と思う。必ずやこの悔しさを、そう遠くない将来バットに込め虎党の無念を晴らしてくれると信じとるわー!!  もちろん、近本だけでなく本日の若虎中心のメンバー全員、プロとして最も恥ずかしいことをやらかしてしまったことを忘れたらあかんでェ!!  悔しいけど、大野雄は大記録達成オメデトウ! テレビで張本さんが「アッパレ!!」を絶叫して血管が切れないか、そっちが心配だよー。さらに、途中で女房役のキャッチャーが加藤から大野奨に交代しての、いわば『再婚ノーヒットノーラン』で、何かすごすぎの脱帽やー!!

◆--大野雄は絞りづらかった  矢野監督「絞りづらいというか、ツーシームがね、結構速いし真っすぐに見えるっていう。ところでなかなかね、見てると簡単ではないけど、うちの課題やと思う」  --守備のほころび、マルテのところから望月のバント処理のところが  「あれはアウトにしにいった結果だから、それをどうこうっていうのは言いにくいけど、なくさなあかんし」  --北條の起用や大山の3番など、大野対策で打線を組んだが  「対策というかいろいろあるんだけど、いろんなことを含めて変えただけで。大野対策っていうか、まぁいろいろある」  --また明日から  「別にノーヒットノーランが2敗になるんやったら俺もね。この負けも痛いけど、2敗になるわけじゃないんでね。残りの戦いを俺らがどういう姿勢を見せるかというのが大事なんで。明日から全力で行きます」

◆昨夜は虎党の皆さまはいかがおすごしでした。  泣き疲れて...涙もかれはてて、見上げると"迷"月があざ笑うかのように...こういう時に孤独な酒をシミジミと一人傾けるのもオツなものでございますゾ。  ま、そうカッカしないで、まだ「大人って長いよゥ...これから」。それに振り回される人生はまだまだ続くんですヮ。私なんか、もう何年間もこういう「台風のなかで糸をプツンと切られた凧みたいに、暴風雨の中を吹き飛ばされて」きたことか...。  そういえば中継のサンテレビの解説で掛布雅之さんがシミジミと「僕はノーヒットノーランをこんなマジマジと見たのは初めてです...」と言っていたが、そうめったにちょくちょく"遭遇"するものでもないから「ああ、長生きはしてみるもんやなぁ...アハハ」とつぶやいてみましょう。(ただし小声で...)  この日のナゴヤドームにはデスクの阿部祐亮が駆けつけました。「ここんとこ名古屋というと僕の出番なんスよ」(だったら2度ともう来るんじゃねぇ!)  そこで元阪神で今は中日の巡回野手コーチを務める立石充男さんとバッタリ。立石さんは「与田監督は1軍に上げたらすぐサッと使ってくれるので選手もはりきって頑張るんだョ」。威勢のいい若手がピチピチしてきているという。その一方で虎は悔しいけどここに来て、ベテランや外国人選手の退団が次々と決まった。  それで思い出すのは1988年の星野仙一監督2年目の中日。夏場の大事な時に郭源治の大車輪の働き。が、彼の弟が突然の死...郭は黙ってそのまま台湾に戻らず、中日のために投げ続ける腹をきめる。それを当時の星野仙一監督が「源治、弟のために帰ってやれ...」「いやチームのVが大事です」と、相当なやりとりがあって郭は台湾に戻り、とんぼ返りをして、それからの鬼神のごとき抑えの働き。彼はストッキングに『念弟』と刺しゅうを入れ、いつもそれに触れて投げ...星野竜は2年目に優勝する。  残念ながらこの年、村山阪神はバースが息子の病気で退団。そして掛布もまた腰痛が悪化して...31年前のこの9月14日に突然、引退を申し出た。  バタバタッと主砲が消えていく...端境期というにはあまりにも極端な現象が起きて、第2次村山阪神は貧打にあえぎ最下位。指揮官はうめいた。  「こってり負けた...」  そしてこの夜、ナゴヤドームは何が起きたのか。メッセンジャーの退団。3番は福留に代えて大山。4番マルテ、5番北條...3人の本塁打は合計で29本! 巨人の坂本勇、丸、岡本で何本打ってるかご存じか皆の衆ッ! 91本です。伝統の両チームの計算機は足し算が全然違うのじゃないかと、もう一度言わせてもらいたい。  大野投手がイイ球を投げていたから...ノーヒットノーランというのはあきらかにメンタリティーに差があったのだ。  2006年の明日(9月16日)同じナゴヤドームで、阪神は41歳1カ月の山本昌に史上最年長でノーヒットノーランを許してしまった。しかも四回、三塁森野のエラーがなけりゃ『完全試合』だったのだゾ。皮肉じゃないがあらためて森野選手、ありがとう! キミのおかげで不名誉の●は助かったのだ。もっとも彼はゲームセット直後、この夜のような狂喜乱舞には加わらなかった。気持ちわかるなぁ...。

◆チームは2つの失策を記録。今季98個目とし、球団では2000年(101失策)以来となる大台まであと「2」としてしまった。三回に加藤のゴロの打球を一塁・マルテがはじいて後逸すると、続く大野雄の送りバントの打球を捕球しにいった望月が足を滑らせて、一、二塁とした。この守乱に矢野監督は「あれはアウトにしにいった結果だから、それをどうこうっていうのは言いにくいけど、なくさなあかん」。八回にも1死一塁で大山が二塁へ悪送球し、ピンチを広げた。

◆11試合連続安打中だった近本だが、4打数無安打。九回2死から鋭い打球を放ったが、結果は三直で最後の打者となった。「内にも外にもいいボールがきていたので、自分の打席のなかでは打つボールはなかった」。残り10試合で、長嶋茂雄(巨人)のセ新人最多153安打まで、あと「6」で足踏み。「1日1本は打とうと思っていたんですけど...。あしたから打ちます」と気持ちを切り替えた。

◆先発捕手は加藤だったが、五回にマルテの振り切ったバットが左手に当たって負傷交代。六回から大野奨がマスクをかぶった。ノーヒットノーランの投手を2人の捕手でリードしたのは、1968年5月16日(対大洋)の巨人・城之内邦雄の快挙を森昌彦、槌田誠が支えて以来、51年ぶり6度目。「申し訳ない気持ちだが、達成できてよかった。変化球も低く決まっていた」と加藤。大野奨は「いろんな打者の傾向を考えながらいこうと思った」と振り返った。

◆望月は5回3安打3失点(自責2)でプロ初黒星を喫した。「無駄なランナーを自分で出してしまった。悔しい投球になった」。二回1死三塁から自らの暴投で先制を許すと、三回には失策や死球などで満塁とされ、福田の犠飛で失点。五回にも適時二塁打を浴びて失点を重ねた。4四死球と制球も乱れ「僕のミスでピンチを作っている」と反省しきりだった。

◆不惑の年にして、壁であるはずの「50」を力強く破った。3番手としてバトンを受けた能見は1回無失点。今季50試合目のマウンドでも、クールな姿は同じだった。  「仕事としては(できた)ね。元気に投げられることが一番。結果は出ていないけどね」  七回からマウンドに上がると、まずは大野雄を見逃し三振。大島を二ゴロ、京田を一ゴロで任務完了。シーズン終盤に入っても、頼もしさは健在だ。  40歳での50試合登板。球界を見渡しても、43歳シーズンの2017年に50試合に登板した岩瀬仁紀(中日)以来2人目の快挙。能見は「一緒にしては失礼」と謙遜したが、51試合目に能見が登板すればレジェンドを超える。球団では、福原投手コーチも安藤2軍育成コーチも、40歳を迎えるシーズンでユニホームを脱いだ年齢。17ホールドは、今も勝利の一角を担う証だ。  「今後も変わらず? そんな感じで」  積み重ねてきた全てが、存在価値の証明。志半ばで引退するメッセンジャーの分まで、まだまだマウンドに立ち続ける。 (竹村岳)

◆中日・大野雄大投手(30)が14日の阪神23回戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成し、9勝目を挙げた。打者29人に126球を投げ、許した走者は六回の遊ゴロ失策と七回の四球による2人だけ。6日に成し遂げたソフトバンク・千賀滉大投手(26)に続く史上81人目(通算92度目)で、セ・リーグでは昨年7月の巨人・山口俊投手(32)以来の快挙となった。  拳を握りながら、何度も飛び跳ねた。大野雄がノーヒットノーランを達成。大歓声に包まれながら、駆け寄る捕手・大野奨とジャンプして抱擁、全身で喜びを表した。  「信じられない気分。最高です。(ガッツポーズは)ちょっとやりすぎたかなと思ったけど、一生に一度のことなので」  九回は「大野コール」の中、先頭の代打・原口を遊ゴロ。続いて新人コンビの木浪を遊ゴロ、近本を三直に仕留めた。最後の126球目を含めて、ともにこの日最速の151キロの直球だった。  「九回は木浪、近本だったので、抑えられるかなあと思ったが...。最後の力を振り絞って投げた」。仏教大時代に七回コールドで完全試合の経験はあるが、九回を投げきってのノーヒットノーランは、アマチュア時代も含めて初めてだ。  五回まで完全投球。六回1死で梅野のゴロを処理した遊撃・京田の一塁送球がそれた。捕球したビシエドが打者走者にタッチしたかに見えたが、判定はセーフ。与田監督がリクエストしたものの、判定は覆らなかった。  「でも、あれで(完全試合が消えて)四球でもいい、という気持ちで投げられた」。直球と多彩な変化球を駆使し、低めに沈むボール球も振らせて得意の虎退治。通算58勝61敗、防御率3・32ながら、阪神戦に限れば12勝4敗、防御率2・03と抜群の相性だ。  入団3年目の2013年から3年連続で2桁勝利をマークしたが、ここ3年は不調。昨季は2軍暮らしがほとんどで、0勝3敗だった。「何かを変えないといけない」-。チームきっての酒豪は、今年2月から禁酒をスタートさせて継続中だ。「きょうは(飲酒を)やっちゃいましょうか」と笑いを誘った後、「シーズン中はしっかりと(禁酒を)やります」と気を引き締めた。  4年ぶりの2桁勝利まで、あと1勝。チームのクライマックスシリーズ出場は厳しいが、4位・阪神とは0・5ゲーム差に再び接近した。  「チームの順位を一つでも上にあげたい」。復活を遂げた30歳。その瞳はまぶしかった。 (三木建次) 大野雄の完全投球が止まる一塁への悪送球を六回に記録した中日・京田 「ノーヒットノーランと完全試合とは(価値が)違う。僕に責任はある」 4打数無安打で連続安打が11試合で止まり、三直で最後の打者となった阪神・近本 「内にも外にもいいボールがきていたので、自分の打席の中では打つボールはなかった」 3打数無安打の阪神・梅野 「打たされる投球をされて、相手にリズムを与えてしまった」

◆最後の最後まで矢野監督の険しい表情は崩れないまま、試合が終わった。2度捕手として導き、1度は打者でやられたノーヒットノーラン。監督としても就任1年目で屈辱を味わわされた。  「なかなか簡単には崩せないかな、と立ち上がりを見ても思ってたし。打たれたというよりエラーとか四球とか、向こうに流れがいくような点の取られ方はあったと思う。そういうところで向こうにリズムよく投げられたというのはある」  五回まで完全に抑えられ、六回1死から梅野の遊ゴロが失策を誘い、ようやく一塁を踏んだ。そこから二盗を仕掛けて揺さぶりもしたが、左腕が動じることはなかった。七回1死から大山が四球を選んだが、最後まで快音は出なかった。  それまで今季4度対戦していた大野雄には2勝0敗、防御率1・95と抑えられ、打線を組み替えた。今季初めて大山を3番に置き、糸原を外して北條を先発。前日に3ランを放った福留を休養させて陽川を起用するなど、右打者を多く並べたが、結果には結びつかなかった。  13年前の悪夢が脳裏をよぎったに違いない。2006年9月16日のナゴヤドーム。打者として山本昌に無安打無得点を食らったが、打席を追うごとの重圧に「力んでしまった」と振り返っていた。捕手では1996年に中日で野口茂樹、98年に阪神で川尻哲郎の無安打無得点をアシストも。「(終盤に)バッターはまあ普通の気持ちでは立てないけど、向こうの方が緊張してんじゃないの」。心理的には打者有利との経験も、采配では阻止できなかった。  「この負けも痛いけど、2敗になるわけじゃない。残りの戦いを、俺らがどういう姿勢を見せるかというのが大事」  3位広島と4・5ゲーム差に広がり、5位中日とは再び0・5差。15日からの首位巨人との2連戦(東京ドーム)で1敗すれば優勝が完全消滅する。矢野虎が崖っ縁に追い込まれた。 (大石豊佳) 阪神・浜中打撃コーチ 「(大野雄は)ストレートもフォークも軌道が一緒で、打つのは難しいかなと思ったけどもう少し工夫があってもよかった。セーフティーをしたり、そういう揺さぶりが。でも僕の指示も出せなかった責任もある」 二塁でプロ初先発し、4タコの木浪 「(大野雄は)真っすぐがよかったと思いますけど、甘い球を仕留められなかった」 2018年9月22日の広島戦(マツダ)以来の3番で出場した大山 「しっかり切り替えて頑張ります」 今季初5番で2打席連続三振に終わった北條 「1球もボールがバットに当たってないですし、自分としても悔しかった。(狙い球を)絞っていたけど、それがはずれたので、全然打てなかった」 ★前回の阪神無安打無得点VTR  2006年9月16日の中日戦(ナゴヤドーム)で、山本昌の前にノーヒットノーランを食らった。球団では1965年に広島・外木場に喫して以来、41年ぶりの屈辱。走者は四回、敵失で赤星が出塁しただけという"準完全"だった。ナゴヤドームでは開幕から10連敗。首位中日に2戦連続の完封負けで6ゲーム差と開いた。岡田監督は「1年間、負けたままでは終わられへん」と、翌17日の中日戦(○2-0)から9連勝。一時は2ゲーム差まで接近したが、最終的に3・5差の2位でリーグ連覇はならなかった。

◆球に切れがある。直球が強い。変化球が低めに決まる。一、二回を見ただけで、大野雄が絶好調であることは分かった。  阪神の各打者がどういう対応をするかを楽しみにしていたが、工夫することなく、ただ凡打の山を築いただけだった。狙い球を仕留めきれず、ファウルでカウントを稼がれ、追い込まれると低めのフォークに空を切る。その繰り返しだった。  直球対策として打席での立ち位置を通常より前にするのも有効。低めの変化球を思いきって捨てることや、セーフティーバントの構えなどで揺さぶるなど方法はあった。  選手だけじゃなく。ベンチワークも攻めの姿勢が欠けていた。  六回2死二塁。タイミングが合わない木浪に代打を送ってもよかった。七回2死一塁で北條に代打・糸原も「?」。3点を追う場面。ベンチには原口や中谷もいた。糸原は守備からでもよかったのではないか。  矢野監督なりに最善を尽くしただろうが"普通"に戦って"普通"にやられた一戦だった。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
72582 0.554
(↓0.004)
M6
(-)
11623
(+5)
529
(+6)
167
(+1)
78
(+1)
0.260
(-)
3.740
(↓0.01)
2
(-)
DeNA
68633 0.519
(↑0.004)
4.5
(↑1)
9561
(+7)
564
(+4)
153
(+1)
38
(-)
0.246
(↑0.001)
3.890
(↓0.01)
3
(-)
広島
69653 0.515
(↑0.004)
5
(↑1)
6565
(+6)
565
(+5)
134
(+1)
78
(+1)
0.253
(-)
3.590
(-)
4
(-)
阪神
61666 0.480
(↓0.004)
9.5
(-)
10500
(-)
544
(+3)
89
(-)
90
(+1)
0.251
(↓0.002)
3.550
(↑0.01)
5
(-)
中日
62682 0.477
(↑0.004)
10
(↑1)
11511
(+3)
512
(-)
82
(-)
61
(-)
0.265
(-)
3.790
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
54782 0.409
(↓0.003)
19
(-)
9613
(+4)
686
(+7)
154
(+1)
57
(-)
0.244
(-)
4.700
(↓0.01)