巨人(☆2対1★)阪神 =リーグ戦17回戦(2019.08.16)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
00020000X2401
勝利投手:桜井 俊貴(7勝2敗0S)
(セーブ:デラロサ(1勝0敗3S))
敗戦投手:髙橋 遥人(2勝5敗0S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(22号・4回裏2ラン)

  DAZN
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◆巨人が接戦を制した。巨人は1点を追う4回裏、岡本に2ランが飛び出し、逆転に成功する。投げては、先発・桜井が7回途中1失点の好投。その後は3人の継投で逃げ切り、桜井は今季7勝目を挙げた。敗れた阪神は、打線が相手を上回る8安打を放つも、1得点とつながりを欠いた。

◆阪神ヤンハービス・ソラーテ内野手(32)が2試合ぶりにスタメン復帰し、先制犠飛を放った。 1番近本、2番木浪と並ぶ新打順で5番二塁先発。1回1死満塁で中犠飛を決め、「打ったのはストレート。先制のチャンスだったし、バットをコントロールしてしっかりコンタクトすることを意識して、アグレッシブに打ちにいこうと思っていたよ。初回から1点取ることができて良かったね」と振り返った。

◆巨人岡本和真内野手(23)が、逆転の22号2ランを放った。1点を追いかける4回1死一塁、阪神高橋遥の直球を右中間席に運んだ。 「何とかつなごうという気持ちで、最高の結果になりました。桜井さんが粘って抑えてくれていたので、逆転できて良かった」とコメントした。

◆阪神は1回にソラーテの犠飛で1点を先制。先発高橋遥は3回まで2安打無失点。巨人先発の桜井は3回まで5安打1失点。 巨人は4回に岡本の22号2ランで逆転した。先発桜井は6回まで6安打1失点。阪神高橋遥は6回まで4安打2失点。 巨人は7回途中から継投で反撃をかわし2連勝。先発桜井は7勝目を挙げた。阪神は初回に挙げた1点のみで連勝を逃した。 巨人デラロサが3セーブ、阪神高橋遥人が5敗。

◆岡本が4回に逆転2ラン。岡本の逆転本塁打は4月14日ヤクルト戦、5月26日広島戦に次いで今季3本目。今季、巨人の逆転本塁打は岡本3本、ゲレーロ1本、ビヤヌエバ1本の5本で、坂本勇や丸は打っていない。岡本は昨年も逆転弾がチーム最多タイの3本。巨人で2年続けて逆転本塁打を3本以上打ったのは08年3本、09年3本の小笠原以来、10年ぶり。松井も2年連続3本以上は96、97年しかやっていない。 ▼巨人は早ければ20日にも優勝マジックが点灯。M点灯の条件は巨人が17、18日阪神戦、20日中日戦に3連勝、DeNAが17、18日広島戦、20日阪神戦に3連敗で、20日の広島の勝敗次第でM25かM26が出る。

◆巨人がリーグ60勝一番乗り。0-1の四回に岡本の22号2ランで逆転した。桜井は6回1/3を1失点と粘り7勝目。救援陣が無失点リレーで逃げ切った。阪神は拙攻で1回の犠飛による1点止まり。好投の高橋遥を援護できなかった。

◆阪神岩崎優投手は登板10試合連続と抜群の安定感を誇る。1点ビハインドの8回に登板。1死から2番坂本勇に四球を与えたが、3番丸、4番岡本を難なく仕留めた。「まだチャンスがあったので、とにかくゼロにと思っていました。今日は四球を出してしまったので、次は出塁させないようにしたい」。7月24日DeNA戦で失点して以来、無失点投球が続いている。

◆阪神大山悠輔内野手が敗戦の責任を受け止めた。1点を追う8回は1死一、三塁で打席へ。 だが、大竹の内角シュートに詰まらされ、三塁への併殺打に倒れた。勝敗が決する分岐点になっただけに猛省。「自分のなかでこういうふうにやりたいと思っていたことができなかった。1死一、三塁で最低限、やれることがあった。それができなかったのが負けの原因です」。同点犠飛も打てず。試合前まで得点圏打率は3割2分8厘と上々だったが、1、3回のチャンスも凡退し、精彩を欠いた。

◆阪神高橋遥人投手(23)が1球に泣いた。丁寧に投げ分け、被弾を防いでいくピッチングを心掛けたが、4番岡本に力負けした。 1点リードの4回1死一塁。2球目149キロ直球を捉えられた。力ある直球で押し込んだが、打球は右中間スタンド最前列に着弾。逆転2ランを許し、ガックリと肩を落とした。 それでも前向きだった。7回4安打2失点とゲームを作った。113球。淡々と試合を組み立てた。「ここ何試合か、試合を作ることができなかった。今日のよかったところは試合を作れたこと。良い点も悪い点も、すごく気づかせてもらって勉強になった」。ヒットを打たれても、抑えても表情を変えず、マウンドで腕を振った。だが打線の援護に恵まれず5敗目(2勝)を喫した。 前回9日広島戦はメヒアに逆転3ランを浴びて7回5失点。2日の同戦でもバティスタに満塁弾を浴びて5回2/3を7失点でKOされていた。この日も1発に泣いたが、矢野監督は「東京ドームで本塁打を怖がっていたらバッテリーも投球にならない。バッテリーで攻めていく気持ちが出ていた」と責めなかった。 7回表は先頭で打席が巡ってきた。続投か、交代か-。福原投手コーチに背中を押され、打席に向かった。指揮官は「下げる内容の投球じゃない。勝たせてやりたいのも、もちろんある」と続投の理由を説明。7回でも149キロを計測するなど、期待に応える投球だった。 捕手梅野にも感謝だった。「打ち込まれた前回、前々回より、ストレートはよくなかった。色々なボールをうまく使ってもらって、7回まで投げさせてもらったのは素直にうれしい」。勝ちゲームに等しい投球だったが敗戦投手になった。感情を表に出すことなく、悔しさを押し殺して次戦に向かう。【真柴健】

◆阪神の新外国人ヤンハービス・ソラーテ内野手は低空飛行が続く。 1回こそ1死満塁で中堅へ先制犠飛を放ったが、3回は1死一、二塁で空振り三振。 8回も無死一、二塁で二ゴロに倒れ、肝心な一打が出なかった。「最初のチャンスで点を取れて良かった。また、明日に向けてやっていく。すべてにおいて上を目指してやっていきたい」。左打席は37打数6安打で打率1割6分2厘。シーズン佳境も不安要素が消えない。

◆4連投の巨人大竹寛投手が好救援でチームを救った。 1点リードの8回無死一塁から登板。四球が絡み1死一、三塁としたが、阪神大山を三ゴロ併殺に仕留めてしのいだ。「粘り切れた。桜井に勝ちがついてよかった」と胸をなで下ろした。 広島での休養日となった前日15日は昼食にラーメン、夕食にはお好み焼きをペロリ。食欲旺盛なベテランが存在感を示した。

◆「キナチカ」が「チカキナ」で復活した。阪神ドラフト3位木浪聖也内野手が初めて2番起用された。 1回1死、桜井にカウント1-2と追い込まれながら146キロ直球をライナーで右前へ。「少ないチャンスだと思っていた。きっちり準備して臨めた」。1死満塁から5番ソラーテの中犠飛で先制のホームに滑り込んだ。 ドラフト1位近本との1、2番コンビ結成は開幕4戦目の4月2日巨人戦(東京ドーム)以来。前回は1番木浪、2番近本の並びだったが、順番が入れ替わっても対応した。1点を追う5回無死一塁では初球からバスターエンドランを敢行。「(2番は)いろんな状況がある。それに慣れないと使ってもらえない」。二ゴロで一塁走者を二塁に進め、「強打の2番」に成長する可能性も感じさせた。 矢野監督は2番木浪について「内容もいい」と評価した上で「1回ファームに行った。その中で試合に出る喜びとか悔しさとか、いろいろあると思う。レギュラーをしっかり取るまでは、そういう戦いがずっと続く。成長していってくれたら」と期待。今後「チカキナ」が定着する可能性もありそうだ。【佐井陽介】

◆巨人原監督(4試合連続ベンチを外れた中川について)「まだ投げられる状態ではなかったということ。明日あたり、少し光が見えるのでは」

◆阪神4番ジェフリー・マルテ内野手は勝負どころで凡退した。1点を追う5回1死一、二塁で桜井のカットボールを引っ掛けて三塁併殺打に倒れた。 8回は無死一塁で四球を選んだシーンを「あの状況では何であれ、塁に出ることが大事だと思っていた」と振り返った。 つなぎの打撃はこなしても、かえす打撃はまだすごみが出ない。得点圏打率2割2分9厘が物足りなさを物語っている。

◆まったりしている場合じゃなかった。6回裏、巨人の攻撃中。ここまで118球を投げた桜井俊貴投手が、一塁ベンチ前でキャッチボールを始めた。チームは台風10号の影響で当日移動でのゲーム。遠征に参加しなかった右腕は「自分は全然元気。まだまだ投げられました」。7回先頭の阪神高橋遥を見逃し三振に抑えたところでお役御免。自己最多125球で1失点。救援陣の負担を最小限にとどめ、7勝目をつかんだ。 ほっとひと息つく時が、戦闘態勢を整える。今季から試合前の軽食後にアイスカフェラテを飲むルーティンができた。「まろやかな感じが好き。試合前に飲んだ方が体が動いて、めっちゃ調子がいいんです」。牛乳ではなく豆乳で割るのがこだわり。割合はコーヒーが6、豆乳が4。ロッカーに腰を下ろし、カップを片手に心を落ち着かせる。マウンドでテンションを最高潮にするためのスイッチにしている。 ただ、万事がうまくはいかない。立ち上がりから変化球の制球に苦しみ、球数がかさんだ。初回に先制を許したが味方打線を信じて粘った。岡本の逆転弾が飛び出した直後の5回。2四球で1死一、二塁としたが、マルテを併殺に打ち取り、拳を握った。 今季8度目のクオリティースタート(6回以上自責点3以内)を達成。原監督も「今日はできれば引っ張りたかった。バトンを渡したのは見事」と安定感を評価した。次回登板は中6日で23日DeNA戦(東京ドーム)の予定。「反省が出たので、次はしっかり抑えたい」と落ち着いた投球を約束した。【桑原幹久】

◆42歳ベテランの闘志を見よ! 阪神福留孝介外野手(42)が孤軍奮闘の3安打を放ったが、後が続かずに1得点だけ。 投手陣を援護できない状況に「全員がやらないと。野手の責任」と重く受け止めた。矢野燿大監督(50)も「打ったらんとアカン」と打線にゲキ。糸井不在の中、志願出場を続ける福留の気迫がナインに伝わるか。逆転CSへこれ以上、後退は許されない。セ・リーグ最年長が窮地に追い込まれた虎に猛ゲキを飛ばした。巨人桜井に6安打を浴びせながら6回1得点と打線がつながらず1点差負け。 力投の先発高橋遥を見殺しにした。試合後にぞろぞろと続く敗軍の列。ベンチ裏から1人でてきた福留孝介外野手は目を見開いた。 「それは野手の責任だし、何とか点を取っていかないといけない。自分のことはどうこうじゃない。誰がじゃなく全員でやっていかないといけない」 表情は最後まで険しいまま。言葉には怒気が含まれていた。 体を張って結果で示した。3番左翼で出場すると、1回1死一塁の第1打席。カウント2-2からのチェンジアップを右翼前に運び1死一、三塁とチャンスを拡大。ソラーテの先制犠飛につなげた。3回にもチェンジアップを中前へ。5回に四球を選ぶと、8回には左腕高木の直球を二塁へ転がし全力疾走で内野安打をもぎ取った。7月28日巨人戦以来となる今季4度目の猛打賞。孤軍奮闘の活躍だった。 ベテランは悲壮な決意でグラウンドに立ち続けている。今月10日にチーム唯一の3割打者である糸井が左足首を痛めて出場選手登録を抹消された。矢野監督は「孝介は(糸井)嘉男もいない中で、ちょっと休みをなかなかつくってやれないけど、(本人が)いくと言ってくれている」と説明する。本来なら休養を挟みながら、先発出場するが、今は志願して先発メンバーに名を連ねる。阪神打線が苦手にする桜井にこれで6打数5安打の打率8割3分3厘。東京ドームでは28打数16安打の打率5割7分1厘と抜群の相性。打線から抜けるわけにはいかなかった。 逆転CS進出へ厳しい状況は続く。広島に代わって3位転落のDeNAとは4・5ゲーム差がある。矢野監督は「打者が打たなかったから負けただけ。打者がなんとかしたらなあかんよね。(高橋遥)あの投球で負けさせるわけにはいかないって」とゲキを飛ばした。勝負どころの巨人3連戦。その初戦を落とした事実は重い。ただ、ここで下を向くわけにはいかない。百戦錬磨のベテランがその姿勢をグラウンドで示した。【桝井聡】

◆4番の一振りで勝負を決めた。巨人岡本和真内野手(23)が逆転の22号2ランを放ち、チームを勝利に導いた。 1点を追う4回1死一塁、阪神高橋遥人の直球を右中間席に運んだ。12日からの広島3連戦を終え、帰京予定だった15日は台風10号の影響で交通機関がストップし、広島に延泊。この日の早朝に新幹線で移動する強行日程をはね返した。2位広島との差は4・5ゲームで、最短20日に優勝マジックが点灯する。岡本は「左やったら、一番速いです」とマークする高橋遥の直球に狙いを絞った。1点を追いかける4回1死一塁。1ボールからの149キロの直球だった。内寄りのボールに体をやや右側に傾け、しっかり距離を取って、右中間席に22号逆転2ランをぶち込んだ。「来たボールに素直に。芯ではなかったんですけど、いい感じでボールをとらえられて、しっかり押し込めた」と冷静に分析した。 強行日程もプラスに変えた。帰京予定だった15日、台風10号の影響で交通機関が乱れ、広島に延泊。遠征地での休養日を余儀なくされた。「前日から分かってたので。起きたら12時くらいで、ホテルの部屋でYouTubeを見たり、ゆっくりした」と休養に充てた。夜は元木コーチ、若林、増田大、山本、北村とともに焼き肉で栄養補給。早朝の約4時間の新幹線移動も爆睡で体調を整えた。 夏場でも「いっぱいご飯を食べられる」と胸を張る食欲旺盛な主砲は、頭の中から「疲れた」のワードを消し去った。昨季は8月に月間最多の8本塁打。今季もすでに5本塁打、16打点を稼ぐ。「『疲れた』って単語が頭の中にないから、僕は疲れないんです」。本音なのか、冗談なのかは謎。ただ、数字は明らかで、8月は本塁打、打点ともに今季の月間最多だった4月の7発、18打点を更新するペースで積み上げる。 魅力たっぷりの謎多き4番の活躍に、原監督も「(状態については)よく分かりませんね。まだ彼は途上の人。これからどんなに大きくなるか、僕自身も想像ができない人ですから。測ることはできませんね」と常識をも超えたスケールの大きさに、表現する言葉が見つからなかった。「まだまだ、頑張ります」。勝負の8月、「岡本の夏」が到来した。【久保賢吾】

◆巨人は阪神戦に競り勝ち、2位広島と4・5ゲーム差とした。 原辰徳監督(61)は1点差の展開に「何て言うんでしょう、2-1で勝つためにはこういうことがなきゃダメだなという感じですね」とチーム全体で勝ち取った白星を評価した。 4連投になったベテラン大竹には「いや、もう本当に、何とか(高木)京介がいい形でバトンを渡してくれればと思ったんですけれどね。このところ非常にちょっと酷使しているというかね、大竹には頑張ってもらっているんですけれども、素晴らしい役割を全うしてくれましたね」。 7勝目を挙げた先発桜井については「球数的にちょっと多いイニングがね、多少慎重にという部分があり過ぎるのかなという風にも見えるんですけれども、最少得点でね、バトンを渡すという部分では非常に成長していると思いますね」。 4番岡本には決勝2ランが飛び出した。 「あの1発しかないわけですからね、ジャイアンツの得点というのはね。ああいう貴重なところで打ってくれるというのは大きいですね」と評価。主砲の状態については「よく分かりませんね。まだ彼は途上の人ですから。これからどんなに大きくなるか、僕自身も想像できませんから、はかることはできませんね。でも、いい方向にいっているという風にね、いつでも思い続けて彼を後押ししているという風には言えると思います」と言った。

◆巨人岡本和真内野手(23)が逆転の22号2ランを放ち、チームを勝利に導いた。夏男の岡本は「8月」「東京ドーム」のキーワードを聞くと、楽しくも、ほろ苦かった中2の夏を思い起こした。中学硬式野球の日本一を決める「ジャイアンツカップ」。橿原磯城シニアに所属した中学2年時、準決勝で敗退し、決勝戦進出の2チームのみに与えられる東京ドームでのプレーを目前で逃した。「あと1勝やったんで、ほんまに悔しかった」。 開会式では長野(現広島)の始球式に胸を躍らせた。ジャイアンツ球場で行われた準々決勝では、中堅のラバーフェンスに当てる一振りで勝利に貢献した。「原監督と記念撮影させていただいたことを覚えています」。今夏は岡本が開会式にビデオメッセージ。17日の阪神戦後には東練馬シニア-世田谷西シニアの決勝戦が行われる。「頑張ってほしいですね」とエールを送った。【久保賢吾】

◆阪神は打線にあと一本が出ず、高橋遥人投手の好投を生かせなかった。 1回にソラーテの犠飛で先制しながら、2回以降は追加点を奪えずに逆転負け。 矢野燿大監督は、巨人を上回る8安打を放って9残塁の拙攻で後手に回った攻撃を振り返り「打者が打たなかったから負けただけ」とため息をついた。 矢野監督の一問一答は以下の通り。 -1点を追う7回に高橋遥を打席に立たせて続投 下げる内容の投球じゃない。岡本に打たれた2点はホームラン。球場どうこうは俺も言いたくはないけど東京ドームである程度、本塁打を怖がって投球していたらバッテリーも投球にならない。今日はバッテリーで攻めていく気持ちが出ていた。遥人は、前回より、さらに向かっていく気持ちはよく出てたと思う。 -大山にチャンスが回ってきていたが 悠輔1人じゃない。マルテだって打たなアカンし、ソラーテだってなんとかせなアカン。悠輔だけの責任じゃないけど、悠輔にも責任はもちろんあるよね。 -高橋遥の向かって行く姿勢を野手に求める (先発への援護を)やろうとしてもできへん時もあるけどチーム全体でやっていかないと。みんな、そんなつもりなく打席に立ってるとはまったく思わない。俺らプロである以上、結果から判断されて、結果で評価される。一番、得点の入るところに、チャンスメークをしっかりできている。あとは、かえす人がかえすだけのゲーム。悔しいね。 -福留が気を吐いた そういう部分(志願出場する気迫)をどんどん後ろにつなげていってくれたらいいんだけど、それができなかった。はっきりした負けの理由だと思います。

◆阪神のヤンハービス・ソラーテ内野手(32)が16日の巨人戦(東京ドーム)の一回1死満塁で、先制の中犠飛を放った。  「先制のチャンスだったし、バットをコントロールしてしっかりコンタクトすることを意識して、アグレッシブに打ちにいこうと思っていたよ。初回から1点取ることができてよかったね」  一回1死からD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が右翼線へ安打。福留も右前打で続いて一、三塁とすると、マルテが四球を選んで満塁に。2試合ぶりのスタメン出場となった助っ人が先制点をたたき出した。  カウント1-1から3球目、145キロをフルスイング。打球は高々と上がり、中堅への飛球に。三走・木浪がヘッドスライディングで生還し、1-0とした。

◆巨人・岡本和真内野手(23)が16日、阪神戦(東京ドーム)の四回に22号2ランを放った。  1点を追う四回1死一塁で、阪神の先発左腕、高橋がカウント1ー0から投じた低めの直球を右中間席へほうり込み、逆転。「なんとかつなごうという気持ちで、最高の結果になりました。(先発の)桜井さんが粘って抑えてくれていたので、逆転できてよかった」とコメントした。  2本塁打をマークした9日のヤクルト戦(東京ドーム)以来のアーチで4番の仕事を果たした。

◆阪神・高橋遥人投手(23)が16日の巨人戦(東京ドーム)に先発。三回まで無失点としていたが、四回に岡本に逆転2ランを献上した。  1-0の四回。先頭の坂本勇に左前打を許して無死一塁。丸は空振り三振に仕留めて1死としたが、続く岡本にやられた。  1ボールからの2球目、内角低めに投げようとした149キロ直球が真ん中に入ると、迷わず振り抜かれた。打球はぐんぐん伸びて右中間席へ着弾。痛恨の逆転2ランと被弾し、険しい表情で額の汗をぬぐった。岡本に対しては今季これまで6打席の対戦で1安打3三振と抑えこんできたが、悔しい一発となってしまった。

◆阪神・福留孝介外野手(42)が16日、7月28日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季4度目の猛打賞を記録した。  ベテランが全打席出塁&猛打賞と奮闘した。一回1死一塁の第1打席で右前打を放ち、先制機をお膳立てすると、三回1死でも中前打を放って好機を演出した。五回1死二塁では四球を選んで出塁。きわめつけは八回先頭の第4打席だ。初球にバントの構えを見せて揺さぶりをかけると、カウント2-2からの6球目。139キロ外角直球を振り抜いた打球は、二塁への高いバウンドのゴロに。全力疾走で一塁へ駆け抜け、内野安打をもぎとった。

◆巨人の桜井が七回1死まで1失点で乗り切り7勝目を手にした。自己最多の125球を投げ「持ち球を全部使った。(調子が)悪いなりに1点で抑えられて良かった」と納得の表情を浮かべた。 「ターニングポイント」と振り返ったのが2-1の五回、2四球で招いた1死一、二塁のピンチ。2ボールからマルテを三ゴロ併殺に仕留め「前回、阿部さんから2ボールになったら自分で間を空けて投げるように、と言われていた。アドバイスを生かせた」と感謝した。

◆阪神の高橋遥は7回2失点で7三振を奪う好投が実らず、5敗目を喫した。1-0の四回、4番岡本に逆転2ランを浴び、結果的にこれが試合を決め「一発で逆転されるとチームの士気が落ちてしまう」と悔やんだ。  打線の援護に恵まれず7月7日以来の3勝目はならなかったが、150キロを超える直球と切れのいい変化球を交え、3番丸からは2三振を奪った。矢野監督は「勝たせてあげたかった。向かっていくという姿勢はよく出ていたと思う」と評価した。

◆岩崎は1-2の八回から登板。1死から坂本勇に四球を与えるも、丸を捕邪飛、岡本を空振り三振に斬り、これで10試合連続無失点。「とにかくゼロでよかった。次は出塁がないようにしたい」と振り返った。5月にインフルエンザでの離脱もあったが、ここまで29試合に登板して2勝0敗、防御率0・79と安定した投球でブルペン陣を支えている。

◆木浪はプロ初となる2番で出場。一回1死から右前打を放つと、ソラーテの犠飛で先制のホームを踏んだ。「少ないチャンスで1打席目からしっかり準備して臨めた」。五回無死一塁からバスターを敢行。結果は二ゴロも、進塁打となった。「いろいろな状況があると思うのでそれに慣れないと使ってもらえない。練習でしっかりやっていきたい」と力を込めた。

◆梅野は高橋遥が岡本に被弾した逆転2ランにも「それ以降粘ってくれた。そのことが収穫だと思います」と前を向いた。2試合ぶりにバッテリーを組んだ2年目左腕を必死にリード。3打数無安打で迎えた1-2の九回無死一塁から今季14個目の投前犠打を決めてチャンスメークも、得点にはつながらなかった。

◆マルテは1-2の八回無死一塁で4球連続ファウルから、大竹の10球目を冷静に選び、2つめの四球でチャンス拡大。「(八回は)塁に出ることが重要。打てる球が来れば打つつもりだったが、塁に出ることを考えていた」。6試合連続で4番を張り、三回には左前打を放ったが、1点を追う五回1死一、二塁では最悪の三ゴロ併殺に倒れてしまった。

◆大竹が八回無死一塁から3番手で登板。マルテを歩かせたが、シュートを効果的に使ってソラーテを二ゴロ、なお1死一、三塁では大山を三ゴロ併殺打に仕留めた。「チームにも桜井にも勝ちが付いたのでよかった」。広島に足止めとなった前日15日は昼にラーメン、夜にお好み焼きを食べた。宿舎では温冷交代浴やストレッチで充実の一日を過ごし、4連投でも貴重な役目を果たした。

◆桜井からは一回の1点のみで、今回も攻略できずに今季3戦で3勝目を献上した。浜中打撃コーチは「中盤からカーブを狙っていこうと声を掛けたが、チャンスでカーブが来なかった。カットボールはストライクが入っていなかったので消していこうと話したが(六回の)梅野の場面ではカットボールで三振を取られた」と振り返り「僕の指示ミス。選手に申し訳ないです」とうなだれた。

◆♪たとえどんなに夢が遠くたって あきらめないとキミは言った  キャラクターとリアルライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」の声優、愛美さんらが始球式を行いました。阪神ベンチの上の三塁側スタンドに彼女たちのファンが陣取って声援を送り、伝統の一戦は普段と少し違う雰囲気でスタート...。  東京ドームのトラ番から聞いた話をそのまま書いてみましたが、虎ソナ班のオヤジには何のことやら。「僕も実は、よくは知りません」。ゲーム好きの新里公章も詳しくない。若手の箭内桃子も菊地峻太朗も、「やったことはないです。でもスタンドは、すごく盛り上がっています」。  編集局に救いの女神がいました。整理部の若手記者竹内あかりです。  「そのゲーム、やってます。音符が出てきてラインに重なったところでタップするんです。成功させると、最後まで演奏できるんです」  『太鼓の達人』みたいなもの? と言ったら、少し違うけどまあいいかという顔で、説明を続けてくれました。  「育てるゲームもあります。ライブをやってバンドのランクを上げていくと演奏できる曲が増えていくんです。愛美さんたちは、そこに出てくるバンドを実際に結成していて、武道館ライブもやっています。ゲームもアニメも実際の生ライブも全部楽しめるのが『バンドリ!』なんです」  始球式から時間がかかったけど、やっと理解できた。冒頭のフレーズはバンドリ!に登場するガールズバンド「Poppin'Party」の代表曲「前へススメ!」の歌い出しです。  「高橋投手もいつもと雰囲気が違いました」  チームと一緒に前日に東京入りした菊地によると、先発した高橋遥人は15日の神宮室内での練習中から表情が引き締まっていたそうです。  「ほんわかした話し方で表情に出さないタイプなんですが、今回は違います。先週(9日)の広島戦で4-0の四回に崩れてしまって、本当に悔しそうにしていました。ものすごく気合が入っています。きょうは期待できます」  力投しました。7回4安打2失点。しかし、打線の援護が...。  「糸井さんもすごく元気でしたよ」  こちらは、鳴尾浜で2軍選手の練習と糸井のリハビリを取材してから当日移動で東京ドームに乗り込んだ箭内の報告です。左足首の関節炎で離脱しているので落ち込んでいるかと思いきや、屋外での打撃練習を再開した超人は、打球も発言も超人でした。  「でも、まだ走れないので。時間はもう少しかかりそうです」  台風10号の影響で広島に足止めされていた巨人は、朝6時55分に広島市内の宿舎を出発し、午前11時23分に東京駅に着いてそのままゲームに臨んだそうです。この日に限っては、夏の長期ロードのど真ん中にいる阪神より巨人の方が苦しい状況だったのに、八、九回の好機も得点できず、悔しい1点差負け。  ♪たとえどんなに巨人が遠くたって あきらめない 阪神も「前へススメ!」 替え歌で歌ってみるけれど...首位とのゲーム差は9・5に開きました。

◆ソラーテが一回に先制の中犠飛を放ち、7日のヤクルト戦(神宮)以来の打点を挙げた。1死満塁でカウント1-1から、桜井の145キロ直球をフルスイング。「初回から1点取ることができてよかったね」。しかしその後の3打席では快音は響かず、チームも1点止まりで敗戦。「またあしたに向けてやっていくしかない。全体として上を目指してやっていくしかないです」と前を向いた。

◆腹が立つー!! もし見殺しに松・竹・梅があるなら、本日の高橋遥への阪神打線の見殺しは、間違いなく超一級の「松」なのだ。四回、岡本に逆転2ランを浴びたとはいえ、高橋遥の投球は素晴らしいものであった。  それでも巨人・桜井の投球が完璧だったら諦めもつくけど、再三のチャンスを芸術的なくらいにつぶすかー?!  五回1死一、二塁でマルテは高橋遥の傷口にヒットという特効薬を塗ろうとして、間違って"ゲッツーの塩"を塗りたくっちまうし...。八回は虫の息の高橋遥を生き返らせるチャンスもある1死一、三塁の場面で、大山がスタンドの阪神ファンを「ギャー」と大絶叫させるゲッツーで、ハイそれまでよ、だもん。  でも、俺は引っ張ってのゲッツーだから良しとしたのだ。どんだけ甘いんだよ、俺!!  打てないのはきのう、きょう始まったことじゃないんだし...。ならば矢野さん、きょう、明日じゃなくて3年先、5年先の阪神のために大山をもう一度、千尋の谷に落とし、4番で苦しんで何かをつかませる、に賭けてみませんか?!

◆――高橋遥を打席に立たせた七回はポイント  矢野監督 「ポイントは他にもあるよね、そこだけじゃないし」  ――続投させたのは  「東京ドームでホームランを怖がっていたら、ピッチングになれへんから。きょうはバッテリーですごく攻めていく気持ちが出ていたし。バッターが打たへんかったから負けただけで。(高橋)遥人は、前回よりさらに向かっていく気持ちは出ていたと思う」  ――あと一本出ていれば違う展開になった  「タラレバばっかり言うてもしゃあない」  ――高橋遥の姿勢をチーム全体に求めている  「プロである以上、結果から判断されて、評価される。一番得点の入るところにチャンスメークしっかりできているんでね。あとはかえす人がかえすっていうことだけのゲームやったと思う」  ――木浪は前回のゲームからのスタメンで、初回の得点を生んだが  「内容も良いんじゃない? なかなか出る機会が少ない中で一回、ファームも行ったし。その中で試合に出る喜びとか悔しさとか、いろいろあると思うから。そういうのは、レギュラーを何年かしっかり獲るまでは続くと思う。成長していってくれたらと思います」

◆一発に泣いたが、成長した姿を見せた。先発の高橋遥は7回4安打2失点と試合をつくった。  「何試合か試合をつくれていなかったので、つくれたことはよかったです。ああいう一発で逆転されてしまうとチームの士気も落ちてしまうので、反省です」  1-0の四回1死一塁で岡本に逆転2ランを献上。内角低めを狙った直球が甘く入り、右中間席へ持っていかれた。しかし反省はその一発のみ。五回以降の3イニングは無安打無失点に封じ、追加点を許さなかった。  敗戦を糧に、好投に結びつけた。直近2試合では0勝2敗、防御率7・82。それでもここ3試合で梅野、原口、坂本の3捕手と組んだ経験から吸収した。「自分のいい点、悪い点に気づかされて勉強になりました」。この日も直球の感覚はよくはなかったが、増えた"引き出し"で最少失点に。七回先頭で打席が回ってきても、代打は送られず。指揮官の信頼にも応えた。  「七回までを投げさせてもらえたのは素直にうれしいです」。次戦も好投して、白星をつかむ。 (箭内桃子) 高橋遥について阪神・福原投手コーチ 「いいピッチングができていたし、ボール自体も力があったので結果的にあれ(2ラン)が響いてしまった」

◆東京ドームに乗り込んで、燃えた。真夏の勝負どころで、状態があがってくればこれ以上頼もしい男はいない。福留が一人気を吐く3安打で、反骨心を示した。  「自分のことどうこうじゃない。自分としては状態を上げていかないと。野手の責任。点をとっていかないと」  球場を引き揚げる横顔に悔しさをにじませたが、宿敵の本拠地との好相性は健在だ。この日の安打を加え、今季は驚異の打率・571(28打数16安打)。打ちに打ちまくって、チームを鼓舞した。  一回1死一塁から、今季苦しめられている先発・桜井の外角低めチェンジアップをとらえて、しぶとく一、二塁間を破った。マルテが四球を選び、満塁でソラーテの先制犠飛につなげた。三回1死走者なしでは変化球を中前へ運び、八回先頭ではボテボテの二塁へのゴロに大激走。42歳が風のように一塁を駆け抜けて、内野安打をもぎとった。  肩で息をするところに代走・植田が出されてお役御免となったが、7月28日の巨人戦(東京ドーム)以来、出場13試合ぶり今季4度目の猛打賞。左足首を負傷した糸井を欠くなか、ベテランが必死に打線を引っ張った。  移動ゲームを挟み、現在6試合連続スタメン出場中。昨年までなら猛暑のこの時期は積極的休養を挟みながら起用されていた。だが、ここが勝負どころと見極めるからこそ、男の意地を矢野監督へ伝えていた。指揮官は「孝介も『行く』ということを言ってくれているし。そういう姿勢をね、見せてくれているから。そういう部分をどんどん後ろにつなげていってくれたらいいんだけど」。だが、3番を務める福留が打ちに打っても、4番以降がしょんぼり。将は「それができなかったというのが、負けの理由だと思います」と苦虫をかみつぶすしかなかった。  残り32試合、チームが苦しいときこそ打席に立ち続ける覚悟はできている。「誰がじゃなく、(打線)全員でやっていかないといけない」と福留。反攻の中心には背番号「8」がいる。 (新里公章)

◆最少失点でしのいだ。巨人・桜井俊貴投手(25)が6回1/3を6安打1失点で7勝目。広島遠征に帯同せず、関東で調整していた右腕がチームを救う好投を見せた。  「移動で中継ぎは疲れていたと思う。自分は全然元気なので、長い回を投げられたらいいなと思っていた」  一回1死満塁からソラーテの犠飛で先制されたが、1失点にとどめた。二回以降も再三走者を背負ったが、要所を締めた。味方が逆転した直後の五回は1死一、二塁で4番・マルテを三ゴロ併殺打に打ち取り、普段はおとなしい右腕が「流れを渡さないように。あそこがターニングポイントだった」と思わず雄たけびを上げた。  六回終了後、ベンチで宮本投手総合コーチから「(七回も)いくか」と聞かれ、「いきます」と続投志願。先頭の投手・高橋遥から見逃し三振を奪って125球で降板した。  チームは残り35試合。今季プロ初勝利を挙げた4年目右腕は、目標とする2桁勝利が夢ではなくなってきた。 (谷川直之) 好投の投手陣に巨人・宮本投手総合コーチ 「桜井は最少失点で抑えた。(中川)皓太がベンチにいない中、(高木)京介と(大竹)寛ちゃんが頑張ってくれている。投手陣の士気が上がる」

◆笛吹けど...。阪神は首位巨人との3連戦初戦で1-2と競り負けた。矢野燿大監督(50)は七回、好投の高橋遥人投手(23)を打席に立たせて続投。野手陣の奮起を促したが、八回1死一、三塁の同点機で大山は最悪の三ゴロ併殺に終わった。クライマックスシリーズ(CS)出場圏内へ、虎よ、今こそ必死さを、執念を見せてくれ!  左翼席を中心に「おぉっ!」と、どよめきが上がる。矢野監督が、あえて"どよめかせた"とも言えた。1点ビハインドの七回先頭で、打席には先発投手-。セオリーなら代打で反攻だが、六回まで2ランのみに封じていた高橋遥を、代える気にはならなかった。打席に送り、野手陣にメッセージを送ったが...。  「別に(ベンチに)下げる内容のピッチングじゃないし。勝たせてやりたいっていうのも、もちろんあるし。その姿を見てバッターがどう奮起するかっていうのもある」  何度も見殺しにしてきた。1球に泣かせてしまうには内容も良すぎた。ナインにも感じてほしかったが...。高橋遥が7回4安打2失点で投げきった直後。まだ勝ち星をつけてやれた八回の攻撃で、残酷な結果が待っていた。1死一、三塁で大山が最悪の三ゴロ併殺。  「こういうふうにやりたいと思っていたことができなかった。最低限やれることがあったけど、それができなかったことが負けの原因」  10日の広島戦(京セラ)から4番を外され、その後は好調だった大山も、責任を受け止めるしかなかった。先制した直後の一回2死一、二塁では空振り三振。三回2死一、二塁では二飛と、それ以前も、ここぞでの一打を放てなかった。  指揮官は「(大山)悠輔一人じゃないじゃん。マルテだって打たなアカンし、ソラーテだってなんとかせなアカンやろうし」と言いつつも「悠輔だけの責任じゃないけど、悠輔にも責任はもちろんある」と嘆いた。それほどに左腕を絶対に勝たせてやらなくてはいけない試合だった。狭い敵地で果敢に攻めた結果、四回に岡本の逆転2ランを浴びた。だが、二回には自ら安打を放ち、七回先頭でもファウルで粘りに粘った背番号「29」の姿を目に焼きつけ、野手に奮起してほしかった。  「バッターが打たへんかったから負けただけで。(高橋)遥人は、前回よりさらにこう向かっていくという気持ちは俺はよく出ていたと思う」  5カード連続でカードの頭を落とし、どうにも勢いに乗れない。これで首位巨人には9・5ゲーム差。3位DeNAとは4・5ゲーム差と、クライマックスシリーズ(CS)圏内もたぐり寄せられない。シーズンも半ばを過ぎ、終盤に差し掛かるしんどいところ。だからこそ、気持ちがモノをいう。だからこそ、高橋遥の姿を見て感じてほしかった。  「バッターが何とかしたらなアカンよね。あのピッチングで負けさすわけにはいかないって。あとはかえす人がかえすっていうことだけのゲームやったと思うんで。まあ悔しいね」  思いを込めタクトを振っても、大山と、かえすべき男たちに響かなかった。17日以降も響いてくれなくては、もう後がない。 (長友孝輔)

◆セ・リーグ首位の巨人は16日、阪神17回戦(東京ドーム)に2-1で勝ち、リーグ最速で60勝に到達した。1点を追う四回に岡本和真内野手(23)が、右中間席へ決勝の22号2ランを放った。台風10号の影響で広島に足止めされ、新幹線で帰京して即試合という厳しい日程だったが接戦をものにして2連勝。2位とのゲーム差を「4・5」に広げた。優勝へのマジックナンバー点灯は最短で20日。5年ぶりのV奪回へ、力強く勝利を重ねる。  勝利へのアーチが、ファンの待つ右中間席に飛び込んだ。0-1の四回1死一塁で、4番・岡本が逆転2ラン。勝利を呼ぶ2点をもたらしたヒーローは、お立ち台で納得の表情を見せた。  「桜井さんが、すごく頑張ってくれていたので何とかできてよかった。入ってくれてよかったです」  相手先発・高橋遥が投げた2球目、149キロの直球を「真っすぐがいいので、真っすぐをしっかり打ち返そう」と狙い撃ち、右方向へ運んだ。6試合ぶりの一発で流れを呼び込み、4番の仕事を果たした。  "夏男"だ。7月は2本塁打にとどまり、4番を外れることもあったが、8月に入って再びペースを上げてきた。  ブレークした昨季は8月に月別でいずれも最高の打率・340、8本塁打、28打点をマークした。今季も14試合で打率こそ・268ながら、5本塁打、16打点と着実に上昇気配。好調の理由を聞かれた23歳は「いっぱい、ご飯食べられますからね。それじゃないですか」と笑いを誘った。  "ドタバタ"も何のその。チームは広島との3連戦(マツダ)を14日に終え、台風10号の影響で予定を変更し、翌日も遠征先の広島にとどまった。この日は新幹線で移動してすぐの試合。それでも「移動ゲームっていうのは何回もありますし、いつもより朝が早かったぐらい」と、主砲は意に介さなかった。  災い転じて福と成す-。前日は山陽新幹線が終日運休するとあって、ここぞとばかりに午後0時過ぎまで寝まくった。その後もユーチューブを見て、昼寝して...。終盤戦を迎え、疲れがたまる体の回復に努めた。  夜は元木内野守備兼打撃コーチの計らいで「若手内野手」による"集会"が広島市内の焼き肉店で開かれた。岡本も若林、増田大、山本、北村と参加。「夏はピッチャーのほうが疲れてくる。野手でしっかりカバーできるように」と結束を固めた通りに活躍。トラブルを前向きに乗り越え、最高のパフォーマンスを発揮した。  チームはリーグ最速で60勝に到達し、2位とのゲーム差を4・5に広げた。前日はコーチ陣と中華料理を食べた原監督も「ああいう時間って、ありそうでないですからね。外にも出られない状況だったのでね。良かったと思いますね」と振り返った。どんな逆境もポジティブにはね返す。その先に、目指す頂がある。(赤尾裕希) ★ドーム直行  西日本を縦断した台風10号の影響で、前日15日に帰京できなかった巨人の首脳陣や選手は早朝からせわしなく移動した。この日午前6時55分に宿舎を出発し、同7時24分に広島発の新幹線に乗り込んだ。同11時23分に東京駅に到着すると、前日を休養にあてた選手の多くは東京ドームに直行した。

◆9連戦の後、長時間移動してのゲーム。巨人打線は明らかに疲れ気味で総じて振りが鈍く、五回以降はノーヒット。なんとか逃げ切った...と、一見すると地味で、しょぼい内容のようで、実は、いい勝ち方だった、ここまで苦しんできたことが、ようやく形になりはじめたからだ。  七回1死無走者から桜井に代えて左腕の高木。八回無死一塁では大竹。九回がデラロサ。試合を締めくくる顔ぶれが、そろってきたじゃないか。  リリーフの条件で重要なのは気の強さ。その点で、特に大竹はうってつけ。右打者の内角へシュートをばんばん投げ込み、向かっていく。デラロサも、速球で押したがるタイプ。それがこの日は速球を見せ球にして、スライダーで仕留めていた。抑えられるパターンを、つかんだと思うよ。  4番・岡本の2ランで勝ったことも大きい。中堅から右へ打ち込んでいるようでは、本来の打撃とはいえないけど、安打が出ているうちに本塁打も出る...という流れでヨシとしよう。坂本勇と丸へのマークと負担を減らすことが、岡本の役割でもあるんだから。  3連戦の頭を取ることも優勝への道。この1勝はいろいろな観点から、意味があるね。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆好投・高橋遥が岡本の一発に泣いて虎は惜敗。でも、阪神OBでサンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏(72)は、七回に高橋遥に代打を送らず続投させた矢野監督の判断を絶賛した。指揮官も、江本氏も、高橋遥に「エース」になれる可能性を感じたからだ。  だらしない虎を叱ってやろうと思って東京ドームに来たけれど、この試合に限ってはホメてやろうと思う。  矢野監督よ、よくぞ七回に高橋遥を打席に送った。よくぞ続投させた。見事な決断だった。  1点負けている状況だから反撃のために代打を送れとか、100球前後投げたから肩の状態を考えて交代だとか(高橋遥は六回終了時点で96球)、分かったようなことを言う方は多い。いつの間にか、奇妙な常識ができつつある。  でも、この日の高橋遥の投球を見ましたか? 素晴らしい球を投げていたでしょ。これは、間違いなく近い将来にエースになれる素材を持った投手だ。そんな可能性を持つ左腕を、6回96球で交代させていては、エースへの道なんて歩めない。まして、1-2の状況で交代したら、勝ち投手にもなれない。勝つことがエースへの第一歩。  長いイニングを投げてこそ、体もできてくるし、スタミナもつく。長く投げることで、思いがけない経験を積める。それが、エースになるための財産となる。球数ばかり気にして交代していたら、五、六回でヘタる投手にしかなれない。ステップアップは絶対にしない。  実際に高橋遥は七回裏の登板で意気に感じて、「負けるもんか!」という気迫をマウンドで出していた。上等! 上等! 素晴らしい投手が現れた。背番号もいい。阪神時代の私と同じだ。  確かに今の阪神は戦力的に厳しい。打線に援護してもらいたかったが、ずっとそんな話ばかりしている気がする。メンバーもいないから、打線の組み替えぐらいしか策はない。近本を3番にするとか。大山と岡本(巨人)は似ている。打たない4番、という点で。ならば、岡本のように4番に戻すのも一手。巨人はそれで成功した。人のふり見て...作戦だ。  でも、きょうばかりは「エースを作ろう」としている矢野監督にエールを送りたい。楽しみが1つできた。(サンケイスポーツ専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
60462 0.566
(↑0.004)
-
(-)
35522
(+2)
435
(+1)
139
(+1)
61
(-)
0.262
(↓0.001)
3.760
(↑0.02)
2
(1↑)
広島
57523 0.523
(↑0.004)
4.5
(-)
31471
(+4)
450
(+2)
110
(+2)
66
(-)
0.253
(-)
3.460
(↑0.01)
3
(1↓)
DeNA
56523 0.519
(↓0.004)
5
(↓1)
32468
(+2)
457
(+4)
123
(-)
34
(+1)
0.248
(↓0.001)
3.820
(-)
4
(-)
阪神
50556 0.476
(↓0.005)
9.5
(↓1)
32404
(+1)
469
(+2)
73
(-)
71
(-)
0.249
(-)
3.620
(↑0.01)
5
(-)
中日
49582 0.458
(↑0.005)
11.5
(-)
34420
(+4)
439
(+2)
72
(+2)
54
(+1)
0.261
(-)
3.930
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
44652 0.404
(↓0.003)
17.5
(↓1)
32504
(+2)
566
(+4)
132
(+1)
44
(-)
0.244
(-)
4.640
(↑0.01)