広島(☆7対0★)阪神 =リーグ戦16回戦(2019.08.02)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:大瀬良 大地(8勝6敗0S)
敗戦投手:髙橋 遥人(2勝3敗0S)

本塁打
【広島】バティスタ(25号・6回裏満塁)

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◆広島が3連勝。広島は初回、會澤の内野ゴロなどで2点を先制する。そのまま迎えた6回裏には、バティスタにグランドスラムが飛び出すなど、打者一巡の猛攻で一挙5点を加えた。投げては、先発・大瀬良が9回無失点で今季8勝目。敗れた阪神は、投打ともに振るわなかった。

◆今季の阪神高橋遥人投手(23)は先発した10試合で、援護点は合計16点だけ。5点以上援護があったのは5月30日巨人戦のみで、6月13日ソフトバンク戦から6試合連続2点以下と打線に恵まれない。 今日は味方の援護を受けて白星をつかめるか。

◆広島が1回に阪神二塁ソラーテの適時失策で先制点を奪った。阪神高橋遥から対戦3試合目、16イニング目での初得点は幸運な形で生まれた。 1回、1番西川が右前打で出塁して、2番菊池涼がランエンドヒットを右前打でつなぎ、無死一、三塁とチャンスを広げた。1死から鈴木が四球で歩き、満塁。松山の二塁へ弾んだゴロにバウンドを合わせるように逆シングルで取ろうとしたソラーテがファンブル。三塁走者西川が先制のホームを駆け抜け、打者走者もセーフとなった。 広島はさらに1死満塁から会沢の三ゴロの間に1点を加えて、この回2得点とした。

◆広島が1回1死満塁から阪神二塁ソラーテの敵失で先制。さらに内野ゴロで1点追加。先発大瀬良は3回まで1安打の立ち上がり。 広島が6回に突き放した。2死一、二塁から西川の適時打と、バティスタの25号満塁弾で一挙5得点。高橋遥をKOした。 広島が阪神を投打に圧倒して3連勝。2桁安打7得点を援護に、先発大瀬良は今季2度目の完封で8勝目。阪神高橋遥は3敗目。

◆阪神ドラフト1位近本光司外野手は2戦連続となる2安打を大先輩にささげた。この日、同じ淡路島出身で虎の名二塁手だった鎌田実氏の訃報を聞かされた。「お名前はずっと知っていて、寮にもレリーフがあるので...」とショックを隠しきれなかった。 広島戦では1回と9回に中前打を放ち、これで今季109安打。「僕ができることは塁に出ることなので」。シーズン159本ペースとなり、セ・リーグ新人最多記録の58年長嶋茂雄(巨人)153安打を超える勢いを保っている。

◆力投を続けていた阪神先発の高橋遥人投手(24)が、最後に捕まった。 3点ビハインドの6回2死満塁。打席にはバティスタ。投じた114球目は、はかなくも左翼スタンドに消えた。 「立ち上がりが悪かった。エラーを引き寄せてしまったのは自分のせい。チームの代表として投げさせてもらっているにも関わらず試合を壊してしまいチームに申し訳ない気持ちです」 5回2/3を自己ワーストタイの7失点(自責6)で降板。ソラーテの拙守など野手陣に足を引っ張られた形だ。3位広島とのカード初戦を任されたが、期待に応えられなかった。 広島打線には相性がよかった。新人だった昨季はプロ入り初登板初先発した4月11日の広島戦(甲子園)で7回2安打無失点と抑え、プロ初勝利をマーク。今季は7月7日に甲子園で対戦し8回4安打無失点で勝ち投手となっていたが、この日は沈んだ。試合後は「試合をつぶしてしまって申し訳ない。(6回の)ああいうピンチでも続投させてもらっている。申し訳ないのと悔しいです」と唇をかんだ。 矢野監督は「自分の投球はある程度してくれた。あそこも球数はもちろん増えている。疲れも出てくるというのも分かっている。遥人の経験になると思ったので続投させた」と左腕をかばった。高橋遥は今季3敗目。次戦でやり返すしかない。【真柴健】

◆今季1軍初昇格の阪神岡本洋介投手が1回1/3を無失点に抑えた。先発高橋遥が満塁本塁打を浴びた直後の6回2死から登板。 2四死球で一、二塁と走者を背負ったが、会沢を直球で三飛。7回も2死一、三塁とピンチを招くも、本塁は踏ませなかった。岡本は「ゼロで帰って来られて良かった。少しでもチームの助けになりたい」と今後を見据えた。

◆絶好調の広島西川龍馬内野手がまた4安打を放った。1番中堅で先発。 1回先頭で、阪神先発高橋遥から右前打。1死満塁となった後、敵失の間に三塁から先制のホームを踏んだ。「何としても塁に出ようと思っていました」。2回の2死走者なしでは絶妙のセーフティーバントを決め、6回には中前適時打。さらに1安打を重ねた。連続試合安打を13に伸ばし、1番としての存在感をまた高めた。

◆エース復活!! 広島大瀬良大地投手(28)が今季2度目の完封勝利でチームを3連勝に導いた。カットボール主体の投球から一変、この日はフォークを多投。横の変化だけでなく、縦の変化球を多投し、阪神打線を困惑させた。志願の完封で中継ぎ陣を休ませるエースの働き。投打ががっちりかみ合い、首位巨人との差を3ゲームに縮めた。変わり身を見せた大瀬良の投球が阪神打線を惑わせた。最大のピンチとなった2点リードの4回。1死一、二塁で福留に対し、3球目フォークで追い込むと、最後の勝負球もフォーク。中飛に打ち取った。いつもは直球とカットボールを主体にする右腕が、この日はフォークを多投。横変化主体の投球に縦変化を多く加え、手玉に取った。7回1死から再び福留には2球フォークを含めた4球で追い込むと、最後は外角低めに直球をズドン。見逃し三振を奪った。投球の幅を広げた124球で今季2度目の完封勝利を挙げた。 捕手会沢との息が合った。1回はフォークなし。2回から徐々に増やした。「打者にはチェンジアップの感覚だったと思うのですが、アウトを結構取れた。反応もしてくれたので、邪魔になったのかなと」。前回までは1試合に数球しか投じないフォークをこの日は23投も投じた。そのうち左打者に20球。困惑させた。 防御率5点台に沈んだ6、7月は得意球カットボールの精度を欠き、同時に効果的だったフォークの精度も落ちていた。試行錯誤を繰り返し、カットボールはこの日も「ボチボチ」の出来も、シンカーのように落とすよう改良したフォークが完封に導いた。「力で押すときは押したい。それが理想。自分のベストピッチだと思う。悪いなら悪いなりにそういう投球もあり。今日も結果的にそうなった」。新たな形を見つけたことも収穫だった。 東京から蒸し暑い広島に移動したばかりの試合で1人投げきったのはエースの自覚。「中継ぎの人たちに世話になっていたので、行けるところまでいかせてもらおうと思った」。8回のマウンドを直訴し、再度聞かれた9回のマウンドにも志願して上がった。緒方監督も「今日はもう大地の投球、エースの投球に尽きる」と最敬礼。苦しんでいたエースがたくましさを増して、よみがえった。【前原淳】 ▽広島会沢「(配球は)打者の反応を見ながら。今日は大地が素晴らしい球を投げてくれた」 ▽広島佐々岡投手コーチ「8回で終わるのと完封するのは気持ちが違う。移動日なしの連戦。大地が(中継ぎのことを)考えて行きたいと思ったことが大きい」

◆広島サビエル・バティスタ外野手(27)が、豪快なダメ押し弾で3連勝を引き寄せた。 3点リードの6回2死満塁で阪神高橋遥の高め速球を打ち砕き、昨季の自己最多に並ぶ25号グランドスラム。難敵を攻略した。 高橋遥は7月7日の今季初対戦で8回0封され、昨年4月11日には7回0封でプロ初勝利を献上した相手。それでも、いずれの試合にも出ていないバティスタに苦手意識などなかった。 東出打撃コーチからは「とにかく振れ」と指示されている。フルスイングで相手をびびらせ、空振りしながらタイミングを合わせればいい。外角の変化球を意識しすぎると、打撃を崩す欠点がある。助言をかみしめ、長所を発揮した。緒方監督は「まったく今日はノーカン(ノー感じ)だったけど、ああいうことがあるからね」と笑った。 2人の恩人に贈る1発でもあった。1人はドミニカ共和国への一時帰国から戻ったばかりのクレート通訳。自分の性格も打撃の特徴も理解し、遠征先のナイター後は食事をしながらリラックスできる環境をつくってくれる。もう1人は、入れ替わりで帰国したフェリシアーノ通訳。離れていても、ネットを通じ気にかけてくれる。 12ゲーム差をつけられていた巨人が敗れ、3ゲーム差に近づいた。バティスタは「あと5本打ちたい。打ったらまた目標を考える。タイトルは意識しないけど取れたらいい」と不敵に笑った。V字回復の7月を経て、8月も打ちまくって巻き返す。【村野森】

◆広島が3連勝し、首位巨人とのゲーム差を3に縮めた。先発大瀬良大地投手(28)が完封で8勝目。打線は1回に敵失絡みで2点を先制し、6回にサビエル・バティスタ外野手(27)の25号満塁弾などで突き放した。緒方孝市監督(50)の談話は以下の通り。 -理想的な勝ち方 緒方監督 今日はもう大地のピッチング、エースのピッチングに尽きる。最後まで力むことなく丁寧に打たせて取った。三振を意識したような投球でもなかったし、立ち上がりは調子よさそうには見えなかったけど、ギアを入れるところでは、ランナー背負ったところでしっかり入れていた。バッテリーの完封。ゲームを締めてくれた。ナイスリード。ナイスピッチング。打線は、前回高橋遥から点を取れていなかったからね。1、2番がいい形で得点の形をつくれた。そこからエラーが絡んだとはいえ、初回の2点は大きかった。6回、バティスタはまったく今日ノーカンだったのに(満塁弾)ね。期待していないとはいえないけど、ああいうことがあるからね。それも、その前の打順でしっかりキクがつなげていたから。(相手)ピッチャーも力が入った。今日は本当にナイスゲームでした。明日またがんばります。

◆サビエル・バティスタ外野手が満塁本塁打を放ち、広島は7月19日巨人戦から13試合連続本塁打となった。 前半戦終了時の広島は84試合で73本塁打。本塁打数は巨人107本、DeNA100本、ヤクルト92本に次いでリーグ4位だったが、球宴後は16試合で28本塁打となり、後半戦の本塁打は巨人の16本を上回りリーグ最多。28本のうちバティスタが最多の7本を記録し、バティスタはバレンティン(ヤクルト)と並び後半戦のセ・リーグ本塁打王になっている。

◆阪神が打線テコ入れで糸井嘉男外野手(38)を2年ぶりに1番で起用。3番二塁に新外国人ソラーテ内野手(32)を置いた。 しかし糸井は6回に一塁走者で飛び出し盗塁死。ソラーテも初回に痛恨のタイムリーエラーを犯すなど守備で精彩を欠いた。3位広島に完敗し、4・5ゲーム差に開いた。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -高橋遥は6回も打ち取った当たりだった 打たれたという感じはバティスタ...。最後は詰まりながらも持っていかれた。そこまで完全に打たれたヒットは少なかったんでね。 -大瀬良について すごいいいと思わんけどねえ。のらりくらりというか。もちろん、コントロールというか、1球1球の同じ球種でもちょっとタイミングを変えたりとか。そういうところで、打てなかった。最後は点差的に流れを向こうに作っちゃった。完封されたらもちろんダメだけど、されてしまった。 -打線は明日考えるか そうやね。全体的にソラーテが来て、どれが何がいいのか、まだ分からない。考えます。

◆阪神は2日の広島戦(マツダスタジアム)で0-7と完封負け。夏の長期ロードの初陣で大敗発進となった。試合後、矢野燿大監督は「3番・二塁」で起用したソラーテについて「何がいいのかっていうのがまだわからない」と首をかしげた。  --高橋遥は不運も  「打たれたという感じは、バティスタ...最後は詰まりながらも持っていかれたけど。完全に打たれたというヒットは少なかったんでね」  --打線改造で1番に糸井を起用した  「ソラーテの使い方がどうなのか。嘉男もよく出塁をしてくれる。そういうところでどうかなと。やってみようってことでやってみたけど」  --走塁も前へという気持ちで  「それはあるけど、痛いは痛いよね、もちろん。流れはどうしてもあそこでよしっていうところでアウトになったっていうのはね」  --ソラーテの守備はまだ慣れも必要  「慣れなのか...確かに簡単な打球ではないけどね、あれで結果遥人のピッチングも苦しくなって、立ち上がり2点になっちゃったのもあるし。もちろん捕ってもらいたい打球ではあったと思うけど」  --打線はまた明日再考  「そうやね。全体的にソラーテがきてどれが何がいいのかっていうのがまだわからない。考えます」

◆広島の1番西川が4安打1打点と大暴れし、打線を活気づけた。2-0の六回2死一、二塁から中前へ適時打。マウンドの高橋遥が無死から背負ったピンチを切り抜けそうになった場面で巧打を放ち、ダメージを与えた。菊池涼の四球、さらにバティスタの満塁本塁打を引き出した。  13試合連続安打とした一回は菊池涼とエンドランを決め、2点先制の突破口となった。リードオフマンを任されている後半戦は第1打席に注力した結果、16試合で4本の初回先頭打者アーチを含む(修正前:9安打に1四球と絶好調で)9安打に1四球と出だしに見事な働き。絶好調で「自分でも怖い」と驚きを隠せなかった。 緒方監督(3連勝に) 「きょうはもう大地(大瀬良)。エースの投球に尽きる」 会沢(大瀬良に) 「良かった。素晴らしい球を投げてくれていた」 バティスタ(六回に自己最多に並ぶ25号満塁本塁打) 「うれしい。少し詰まったけど、しっかり押し込むことができた」

◆阪神・高橋遥人投手(23)が2日、広島戦(マツダ)に先発し、5回2/3を投げ9安打3四球8奪三振7失点(6自責点)で降板。今季3勝目(2敗)はならなかった。  一回に二塁を守るソラーテの失策もからんで2失点し、二回以降は追加点を与えなかったが、0-2の六回に西川のタイムリー、さらに2死満塁からバティスタに今季25号の満塁弾を浴び、ベンチがタオルを投げた。  打線も六回まで無得点と無援護にも泣き、若き左腕はワーストタイの7失点でマウンドを降りた。

◆阪神・西勇輝投手(28)が2日、先発予定の3日の広島戦(マツダ)に向け、キャッチボールやダッシュなどで調整。試合に向け闘志を燃やした。  「(最近は)僅差の試合が多く、中継ぎ陣への負担は目に見えて分かること。先発投手が一人でも多く投げることに意味がある。なんとか粘って勝ちを呼び込めるように」  マツダスタジアムでは今季2試合に登板し、1勝、防御率0・56と好相性。5勝目に向け「1つのアウト、1つの勝利を目指して、しっかりみんなで頑張っていきたい」と力を込めた。

◆阪神は大瀬良に5安打で完封され、広島戦の連勝が4で止まった。  糸井を今季初めて1番で先発起用したが、2点を追って先頭で左前打を放った六回、やや先走って盗塁死となり、矢野監督は「よし、というところでアウトになったのは痛い。最後は点差的に向こうに流れをつくってしまった」と嘆いた。  直後の守りで先発の高橋遥はバティスタに満塁本塁打を喫するなどしてKO。この日も中盤につかまり、3敗目となった2年目サウスポーは「何回も同じミスをしている。何とか変えていきたい」と雪辱を期した。

◆「コラー! ソラース、その守備、どないかならんのかー!!」  「ダンカンさん、落ち着いてください。確かに大敗の決勝点は一回のタイムリーエラーですが、名前だけはキチンと覚えてください。ソラーテですから!!」  「完全な併殺コースのゴロをそらしてるから、ソラーテかと思ったわ。虎党期待のソラーテをどう使えばよいのよ? 特別に阪神にだけDHを認めてくれません? やっぱり駄目だよねェ~! 参ったな...正直、六回の5失点につながるメヒアのポテンヒットも、慣れた野手なら補殺していたと思うんだよなあ...」  きちんと守っていれば若虎・高橋遥(5回2/3で8奪三振)がエースと呼ばれる日がさらに近くなったと思うと...悔しい~!! でもソラーテの打撃には大期待だし...矢野さん、どないしますねん?!

◆ソラーテの一回の拙守に、コーチ陣も厳しい表情だ。藤本内野守備走塁コーチは「打球が跳ねて判断が鈍った。ゲッツーが取れていたら試合の流れが変わっていた。(ソラーテが)不慣れなのもあるが(高橋)遥人には申し訳ない」と沈痛だ。久慈内野守備走塁コーチは「ゲッツーで終わり。イレギュラーもしていない。(六回の後方への飛球も)アレも全然違うところに(追って)行っていた」と厳しかった。

◆今季1軍初昇格&初登板した岡本は2安打2四死球もなんとか無失点でつないだ。「少しでもチームの助けになるように投げたかった。ゼロで帰ってこれるようにやっていくだけです」。六回2死からマウンドに上がると鈴木にいきなり死球。松山にも四球を与えたが、会沢を三飛に打ち取った。七回も2死一、三塁とされたが、代打・曽根を二ゴロに抑えた。

◆ソラーテは一回1死満塁で松山のゴロを弾き、適時失策となって決勝点を献上した。「難しいバウンドだった。対応するのが難しかった」。来日7試合で早くも3つ目のエラーを記録したが「明日はまた違う日だから一日一日覚えながら、やっていきたい」と前を向いた。打っては四回に左前にポトリと落とし、10打席ぶりのヒットを記録。ただ、セクシーさは影を潜めていた。

◆高橋遥は5回2/3を投げて自己ワーストタイの7失点(自責6)で今季3敗目。「立ち上がりが悪かった。(カードの)初戦を任せられたのに、試合を壊してしまった」。一回に連打と四球で1死満塁とされると、二塁・ソラーテの適時失策などで2失点。六回はバティスタに満塁弾を許した。「いつも中盤のピンチで続投させてもらっても、ほとんどの確率で打たれている。申し訳ないし、悔しい」と猛省した。

◆--高橋遥は不運も  矢野監督 「バティスタには詰まりながら持っていかれたけど、完全に打たれたヒットは、少なかったんでね」  --援護がない  「自分のピッチングはある程度してくれていた。あそこ(六回)も球数は増えているし、疲れも出てくるというのもわかっているんだけど、そんないい当たりのヒットでもないしね。俺の中では(高橋)遥人の経験になると思ったんで、続投させた。結果的には、それが痛いホームランにはなったんだけど」  --大瀬良について  「すごいいいと思わんけどねえ。同じ球種でもちょっとタイミングを変えたりとか、そういうところで打てなかった。それで完封されたらもちろんダメだけど」  --ソラーテの守備はまだ慣れも必要  「確かに簡単な打球ではないけどね、あれで結果、遥人のピッチングも苦しくなって、立ち上がり2点になっちゃったのもあるし。もちろん捕ってもらいたい打球ではあったと思うけど」

◆一回1死満塁で、ソラーテが松山の二塁右へのゴロをはじいて...。  あんな打球、あの人なら簡単に捕ってすぐ二塁にバックトスして、左打者でもあっさりゲッツーに仕留めていた。そう思ったオールドファンもいたと思います。鎌田実さんが亡くなりました。  この子、ヒマそうにしとるな...。1996年、当時、夕刊フジのトラ番だった現中日担当のビヤ樽三木建次は、甲子園の記者席で隣に座っていた鎌田さんから、こう話かけられました。  「私の原稿、チェックしてくれないか」  「僕がですか!?」  「うん、おかしい表現がないかみてくれ」  評論原稿を自ら書いていた鎌田さんは、そう言ってビヤ樽に"校閲"を依頼してきたのです。それが2人の最初の会話でした。鎌田さん、頼む相手、間違えてます。  「俺もそう思った。でも、周りの記者は忙しそうに記事を書いていて、俺は夕刊フジでスポーツ紙より締め切りに余裕があるから、のんびりしてた。それで声をかけてきはったんやと思う」  守備シフトの図、選手の動きを細かく描いたメモ、それをまとめた原稿。毎回、すごい量だったそうです。以来、ビヤ樽が鎌田さんの原稿をチェックするという恐れ多い関係が続き、5年前の2014年にはサンスポのオフ企画「プロ野球三国志」で鎌田さんの連載も担当することになりました。そのとき、あらためて話を聞いて、ビヤ樽の印象に残ったのが「大根切り」のバッティングの裏話でした。  優勝した1962年、当時の藤本定義監督は送りバントが嫌いで、1番・吉田義男が出塁すると「バントはアウトがひとつ増える。打てばヒットになる場合もある。打って進めろ。やり方は任せる」と2番打者の鎌田さんに要求していた。  サインも鎌田さん自身が出していた。バットの先をさわれば次のボールでエンドラン。バットでホームプレートを叩いたら次のタマで...。ばれないように試合ごとにサインを変え、動くだけで実は何もサインを出していない三塁コーチャーを見るふりもしていたが、見破る相手もいた。巨人の捕手・森昌彦だ。  「鎌ちゃん、ここは何球目でやるつもり?」  言葉で揺さぶり、実際にウエストしてきたという。  「そのタマをたたきつけてゴロにしたんですよ。あの年、60回くらいそれをやって、失敗した記憶がないと。打率は・199だったけど、鎌田さんは『一番活躍できた年』と言うてはった」  今は、そんな個性的な選手が...思い出を振り返るビヤ樽は、涙声になっています。  「三国志の連載のときは、逆に鎌田さんが毎回、原稿をチェックしてくれた。『ここのニュアンス、少し違う』とか、『この動きの説明はおかしいよ』とか。最終回の原稿のあと『ありがとう。一生の思い出になるわ』と言ってもらった。俺も、鎌田さんから一生の思い出をもらった」  一生の思い出...のあと鎌田さんはこんなことも話したそうです。  「淡路島出身のプロ野球選手、私以外にも何人かおるけど、まだスーパースターっておらんのよなあ。出てきてほしい」  近本選手、君のことです。

◆広島・呉市出身の高野が移籍後初めて地元で凱旋登板し、三者凡退に抑えた。「この3連戦でなんとか結果を出そうと、そういう気持ちでした」。八回に3番手でマウンドに上がると、先頭のバティスタを高めの149キロで見逃し三振。続く4番・鈴木を高めの変化球で左飛に打ち取ると、最後は野間をフォークで空振り三振に仕留め「結果的に三振にできたのは、個人的によかった」と振り返った。

◆99試合目で初めて試した「1番・糸井」。0-2の六回、先頭で出塁して期待通り! のはずが、直後にまさかの飛び出し盗塁死。矢野監督もしばらく顔を上げることができなかった。  「痛いは痛いよね、もちろん。流れはどうしてもあそこで『よし!!』っていうところで、アウトにっていうのはね」  一回に2点を失いながら先発の高橋遥が踏ん張り、中盤に突入。1番から始まる六回が反撃のチャンスだった。期待に応えて糸井は左前打。続く近本も2球続けてボールを選び、機運は高まった。しかし、3球目を投げる前に糸井が突然、飛び出した。大瀬良は悠々と二塁へ投げてアウト。清水ヘッドコーチは「空回りしちゃったんだろう」と超人の胸中を思いやったが、虎のチャンスは一瞬で無残に散った。  その裏に高橋遥が崩れ、終盤は意地の反撃すら見せられず、今季11度目の完封負け。糸井は試合後、報道陣の問いかけに無言のまま、帰りのバスに乗り込んだ。  「ソラーテの使い方がどうなのか。嘉男(糸井)もよく出塁をしてくれる。そういうところでどうかなと」と矢野監督は打線組み替えの意図を説明。チームトップ出塁率・400の超人をリードオフマンとし、ソラーテを3番に置いて勝負強さにかけたが、かみ合わなかった。Aクラスを争う3位広島との直接対決を落とし、鯉の背中が遠のく4・5差だ。  「ソラーテが来て、何がいいのかっていうのがまだわからない」  新助っ人を得てムードは変わったが、なかなか投打がかみ合わない。試行錯誤する時間は、着実に減っていく。(大石豊佳)

◆偉大な先輩にささげるマルチ安打が、ヒットメーカーとしての新たな勲章にもつながった。この日、球団OBで名二塁手として活躍した淡路島出身の鎌田実氏の訃報が流れた。同じ淡路島出身の近本が追悼の安打だ。  「お名前は知っていました。寮(虎風荘)にも名前が入ったレリーフがあるので」  知らせを聞いたのは試合前の練習中。報道陣から聞かされ「そうなんですか」と驚いた。鎌田氏は故郷で少年野球に携わっており「地元では名の通った方。淡路で野球をしている人はみんな知っていると思います」と近本も話していたことがあるレジェンド。神妙な顔で故人へ思いをはせ、この日の一戦に臨んだ。  7月4日のDeNA戦(横浜)以来の「2番・中堅」。一回1死で、早速快音を響かせた。先発・大瀬良の127キロスライダーを中前へ弾き返し、今季108本目のHランプを灯して、チャンスメークした。  ここは後続が倒れて先制できなかったが、四、六回に凡退して迎えた0-7の九回1死。再び大瀬良から今度は中前へと運んで、109安打目を記録した。4打数2安打で31度目のマルチを記録し、これで虎の新人では8位の岡田彰布(1980年)に並んだ。シーズン換算だと157安打。高山が持つ球団記録の136本超えはもちろん、長嶋茂雄が持つセ・リーグ記録(153安打)の更新すら視野に入ってきた。  「前の打者に関係なく、そのとき回ってきた状況で考えていました。本塁打を打つことではなく、塁に出る。そういうことが仕事で、きょうはできたと思います」  久々の2番でも、問題なし。イトチカでもチカソラでもOK! 背番号5の孤軍奮闘に、空の上から大先輩もほほえんでいたに違いない。(新里公章)

◆広島・大瀬良大地投手(28)が2日、阪神16回戦(マツダ)に先発し、5安打に抑えて今季2度目の完封勝利。7-0の快勝に導き、8勝目を飾った。3連勝したチームはセ・リーグ3位で、首位・巨人に3ゲーム差まで接近。リーグ3連覇中の赤ヘル軍団が逆転Vを視界に捉えた。  27個目のアウトを手にし、汗が浮かぶエースの頬がようやく緩んだ。大瀬良が単打5本に抑え、無四球で今季2度目の完封勝利。猛暑だった本拠地・マツダスタジアムのマウンドで124球を投げ抜き、8勝目を手にした。  「きついけど、最後まで投げ切るのが理想。最近はふがいない投球が続いていたので、何とか意地を見せたかった」  過去17試合の先発で合わせて100三振を奪っていた本格派が技巧派に"化けた"。カットボールとフォークボールで目先を変え、打ち気をそらす。直球が走らなくても、コースを突く丁寧な投球で凡打を積み重ね、三塁を踏ませなかった。  6月中旬から7月上旬まで自身4連敗を喫したが、これで両リーグトップとなる5完投。「中継ぎにも迷惑を負担をかけていたので、(九回も)いかせてもらいました。ほっとしました」。  夏場に強い。最多勝に輝いた昨季も8月は無傷の3勝で防御率1・53だった。「水分補給をこれまで以上に気をつけてやりたい」という夏男は、疲労回復効果があるサプリメントを溶かしたという「秘密のドリンク」を愛飲する。  「体重が落ちないように意識して」と、この日はイニングの合間に大きなボトルに自ら補充しながら計4リットル以上をぐいぐい飲み、力に変えた。  チームの阪神戦の連敗を4で止め、3連勝に導いた。打たせて取る新境地を開いた右腕は「これから大事な試合が続いていく。一つ道をつくれたのかな」と納得顔だ。  セ・リーグ3位のチームは首位・巨人に3ゲーム差に迫り、緒方監督は「(大瀬良)大地、エースの投球に尽きるでしょう」と絶賛した。4連覇を目指す広島。得意の夏にエースが輝いた。

◆打てん、守れん...。阪神は夏の長期ロードの初戦で、広島に0-7と今季11度目の完封負け。先発・高橋遥人投手(23)を援護するどころか拙守で足を引っ張る内容に、球団OBで92勝を挙げた上田二朗氏(72)=サンケイスポーツ専属評論家=は野手陣に「しっかり守ってやれ」と猛ハッパ。3位広島とは4・5ゲーム差に拡大し、借金「4」に逆戻りした。  見ていて悲しくなってきた。高橋遥があまりに可哀想だ。私は投手出身だから、当然、投手の立場に立つ。一生懸命に投げていた。投げている球も悪くなかった。若い投手がマウンドで頑張っていたら、支えるのが野手。でも、この日の高橋遥は、わかりやすいぐらいに孤立無援だった。  打線よ、援護してやれ! 援護できないのなら、せめてしっかり守ってやれ!  試合中、何度つぶやいたことだろう。  一回1死満塁からの松山の何のヘンテツもない二ゴロをソラーテがはじく。併殺で終わっていたところが、結果的に2点先行される、最悪の立ち上がりに。  二回の西川のバント。高橋遥が打球を処理した。ところが前進してきたマルテは、一塁ベースカバーに戻らない。記録は内野安打。でも、ミスだ。言葉を失った。  六回の会沢、メヒアの右前へポトリと落ちる連打。右翼の守備位置からほとんどチャージせずに前へ出てくる糸井。チャージしても安打かもしれない。でも、目一杯のプレーなら、責めることはしないが、あれは...。  糸井は六回にも不可解な走塁があった。無死から左前打を放つ。まだ2点差。盛り上がった。ところが続く近本の時に、投手が投げる前にスタートを切ってしまい、投-遊とボールが渡ってタッチアウト。考えられない。プレーの意味を糸井に聞いてみたい。  みんなで高橋遥の足を引っ張ってどうする。  ソラーテの打順を日々入れ替えて、今は探っている状況なのだろう。それがうまく機能せずに、なかなか得点できない。打線には波があるからやむを得ないが、せめて守りはしっかりしてほしい。あまりに残念な試合だった。  チームの大先輩・鎌田実さんが亡くなられた。ご冥福を祈りたい。  蝶が舞うような優雅な守備の名手だった。今のような「捕る」グラブではなく、開いたままのグラブで打球の勢いを殺してのグラブトス。あんなうまい守備の人は見たことがない。  当時、試合前のシートノックでは、コーチがわざと簡単な正面の打球を打ち、吉田義男さんや、三宅秀史さん、鎌田さんが内野の連係をファンに披露していた。ド派手な「踊るような守備」と表現していいだろう。  そんな守備の伝統を持つタイガースなのに...。この夜も光景は寂しすぎる。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
53421 0.558
(↓0.006)
-
(-)
47460
(+2)
389
(+4)
123
(+1)
57
(-)
0.266
(↓0.001)
3.790
(↓0.01)
2
(-)
DeNA
51453 0.531
(↑0.005)
2.5
(↑1)
44412
(+4)
386
(+2)
111
(+1)
29
(-)
0.249
(-)
3.560
(↑0.02)
3
(-)
広島
51463 0.526
(↑0.005)
3
(↑1)
43413
(+7)
397
(-)
101
(+1)
56
(-)
0.251
(-)
3.440
(↑0.03)
4
(-)
阪神
45495 0.479
(↓0.005)
7.5
(-)
44360
(-)
409
(+7)
66
(-)
67
(-)
0.250
(↓0.001)
3.500
(↓0.02)
5
(-)
中日
44530 0.454
(↑0.006)
10
(↑1)
46368
(+5)
384
(+4)
58
(+3)
51
(-)
0.261
(-)
3.890
(-)
6
(-)
ヤクルト
38592 0.392
(↓0.004)
16
(-)
44431
(+4)
506
(+5)
106
(+2)
39
(-)
0.239
(↑0.001)
4.660
(↑0.03)