DeNA(☆4対0★)阪神 =リーグ戦13回戦(2019.07.02)・横浜スタジアム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
0000000000610
DeNA
00101002X41111
勝利投手:上茶谷 大河(5勝3敗0S)
敗戦投手:西 勇輝(3勝7敗0S)

本塁打
【DeNA】佐野 恵太(3号・3回裏ソロ)

  DAZN
チケットぴあ DeNA戦チケット予約 阪神戦チケット予約
◆DeNAは3回裏、佐野のソロで先制する。そのまま迎えた5回には、佐野の適時二塁打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・上茶谷が6回途中無失点。その後は小刻みな継投でリードを守り、上茶谷は今季5勝目を挙げた。敗れた阪神は先発・西が好投するも、打線が援護できなかった。

◆9連戦の初戦先発が託された阪神・先発西勇輝投手(28)が、6回8安打2失点で降板した。3回2死、佐野に右翼へ先制のソロ本塁打を献上。 5回にも1死一塁から佐野に中越え二塁打を浴び、2点目を許した。毎回走者を出しながらも他の失点は許さず粘り強く投げ続けたが、味方の援護に恵まれず降板。4勝目は次回以降に持ち越しとなった。 西はこの試合前まで13試合に先発しチームトップの91回1/3を投げていた。開幕からローテーションを守るなど安定感ある投球を続けているが、5月10日の中日戦以来、2カ月近く勝ち星がない。

◆阪神が1イニングで4三振を喫した。 0-1の5回無死一塁から、高山、木浪が連続で空振り三振。西が左前打で2死一、二塁とし、続く近本がカウント1-2から低めのチェンジアップに空振りするも、捕逸により振り逃げ。2死満塁の好機となったが、最後は糸原が空振り三振に倒れた。阪神は1イニングで4つの空振り三振を喫した。

◆DeNAと阪神の同率3位対決。DeNAは3回に佐野の右翼スタンドへの3号ソロで先制。先発は上茶谷。阪神先発は西。 DeNAは5回、佐野の左中間への適時二塁打で追加点。上茶谷は6回途中6安打無失点で石田に継投した。 DeNAが継投で逃げ切り、単独3位に浮上。勝率も5割復帰となった。上茶谷が5勝目。敗れた阪神は4連敗。打線にあと1本が出なかった。西が7敗目。

◆阪神は今季76試合目で、首位巨人とのゲーム差が6・5に開いた。阪神がセ・リーグ優勝を果たした5シーズンのうち、最大のゲーム差を覆した逆転優勝は64年の6・5差。阪神が今季リーグ制覇すれば、球団史上最大タイの逆転Vとなる。 なお金本監督時代の過去3年で首位との差が6・5以上になったのは、16年69試合目(6月18日、7差)17年69試合目(6月29日、6・5差)18年39試合目(5月20日、7差)。

◆阪神が4連敗を喫し、約2カ月ぶりにBクラスに転落した。同率3位対決で注目されたDeNAとの第1ラウンドは、0行進を今季最長の22イニングに伸ばす完敗で2試合連続完封負け。矢野燿大監督(50)は貧打のテコ入れ策として、不調の近本光司外野手(24)を1番から外す可能性を示唆した。首位巨人とは6・5ゲーム差に拡大。過去最大の逆転優勝を果たした1964年(昭39)のデッドラインに並んでしまった。またも本塁が遠かった。DeNAファンの勝ちどきが響く横浜スタジアムの三塁ベンチ裏。敗戦を見届けた矢野監督らが緊急のコーチミーティングを開いた。6安打で2戦連続の完封負け...。22イニング連続無得点の窮状を打破すべく、打開策を練った。指揮官は渋い表情で自ら切り出した。 「明日はちょっと、いろいろ入れ替えようかなと思って。現状、状態がもちろん良くないから点を取れない。ムードもなかなか変化がない。1回、ちょっと変化を持たせるところでも、いろいろ考えようかなと」 深刻な貧打に陥り、首位巨人と6・5ゲーム差。球団の過去最大の逆転Vを飾った64年のゲーム差と並び、優勝のデッドラインを迎えた。ついに矢野監督は断を下す。打線改造-。浜中打撃コーチも「このままでは点が取れない。動いていかないと」と危機感をにじませた。4月20日の巨人戦以降、新人近本が死守してきた1番変更もてこ入れの一策になるだろう。5月に3割4分だった打率は2割6分1厘まで急降下。同コーチは「(1番変更は)あるのはあるかも。彼自身が1本出さないと」と、入れ替えを示唆した。 得意のハマスタでも、好転しない。今季は試合前まで同球場で5勝1敗。打線が爆発する好相性を誇るがこの日は沈黙。5回は2安打で2死一、二塁。近本が振り逃げで出塁し、労せず満塁機が巡ってきた。だが糸原は上茶谷の沈むチェンジアップに空を切る。1イニング4三振の珍記録だけがむなしく残った。 6回は先頭糸井、大山の連打で無死一、二塁。期待が高まるなか2死満塁まで進むと、DeNAラミレス監督は左腕石田を投入する。木浪はそのまま打席に入ったが二ゴロ。気合は空回りし、2イニング連続で満塁のチャンスを逃して自ら勝機を手放してしまった。 先発西が粘っても必死の反撃が実らない。指揮官は「苦しいのは苦しい。いつも苦しいからこそ、楽しくとか、苦しいときこそ前を向いてと自分にも言い聞かせている。いまもそんな状態」と言う。勝負の夏場を生き残るためにも、踏ん張りどころだ。【酒井俊作】 ◆64年阪神の逆転優勝 82試合を消化した7月18日、首位の大洋(現DeNA)から6・5差をつけられ、前半戦を終えた。球宴を挟み猛追を開始。9月に残った大洋との直接対決4試合に全勝して詰め寄った。先に全日程を終了したライバルに対し、阪神は残り3試合でマジック2が点灯。同30日中日戦ダブルヘッダー第1試合に勝って優勝を決めた。後半戦58試合を34勝21敗3分け、勝率6割1分8厘で勝ち進んでの快挙だった。

◆阪神先発の西勇輝投手(28)は、6回8安打2失点と粘ったが無念の7敗目を喫した。「9連戦の頭なので」と長いイニングを投げられなかったことを悔やんだ。3回2死から、佐野に右翼へ先制のソロ本塁打を被弾。5回も1死一塁から佐野に中越え二塁打を浴び、2点目を許した。毎回走者を出しながら試合はつくったが、味方の援護にも恵まれなかった。 開幕からここまで14試合に先発。うち12試合で先制を許し、4試合はこの日も含めて本塁打で先制された。それでも防御率は2・77、イニング数も97回1/3とチームトップ。矢野監督は「西の仕事はやってくれた。防御率もずっといいなかで、負けが増えていくのは気持ちの部分で西も大変だけど、ベンチの一番前で野手を迎えたり。そういう姿を見ると、より申し訳ない」と白星が遠い右腕を思いやった。 チームは4連敗で約2カ月ぶりのBクラスに転落したが、西自身も約2カ月勝利が遠ざかるが、後ろは向かない。「本当にここで粘って耐え忍んでいくしかない。自分の成績よりチームの勝ちを意識している」。次もチームの勝利のために腕を振る。【磯綾乃】

◆阪神5番マルテが悔しさをにじませた。 先頭で迎えた2回に中前打で出塁したが、続く梅野の二直で一塁に戻りきれずに併殺。6回には無死一、二塁の場面で外角変化球を打ち上げて左飛に倒れた。「横浜が勝ったということは、彼(DeNA上茶谷)が良かったということ。もう少しチームに貢献したかった」と下を向いた。

◆阪神1番近本光司外野手は4打数ノーヒットだった。初回に空振り三振に倒れると、5回2死一、二塁のチャンスは三振の振り逃げ。 7回の打席にはヒット性の当たりも左翼手筒香に好捕された。「こっちで狙いにいったボール(球種)と違うボールもあるので。考えていってもダメなんで難しいですね...」と渋い表情。6月の月間打率が1割7分9厘(95打数17安打)と苦しんだルーキーだが、月が変わってもトンネルの出口が見えない。

◆阪神は8試合連続無失点と安定感を誇っていた小野泰己投手がダメ押しの2点を献上した。 2点ビハインドの8回から登板。先頭宮崎の中前打から2死一、二塁とすると、2者連続四球で押し出し。続く大和には左前適時打を浴びてマウンドを降りた。小野は「リリーフなので明日もある。しっかり抑えられるように頑張ります」と前を向いた。

◆7回に2番手でマウンドに上がった阪神岩崎優投手が3者連続三振に仕留めた。先頭エスコバーはセフティーの3バント失敗。 続く神里は140キロ真っすぐで、岩崎は123キロのスライダーでともに見逃し三振に斬った。「また次、しっかりやります」。5月初旬にインフルエンザに感染して離脱したが、6月中旬の復帰後は5試合連続無失点の安定感だ。

◆DeNAラミレス監督の采配が的中した。「阪神に強く、右投手に強い」と相手先発・西に対し、2番に佐野を起用。先制弾と適時打で期待に応えた。6回2死満塁では、好投していた上茶谷から石田に継投。無失点で切り抜け、勝利をもたらした。「絶対に勝たないといけない試合だった。すごく重要な試合だった」とうなずいた。

◆長いトンネルを抜けた。DeNAが、4月19日以来の5割復帰を果たし、単独3位に浮上した。ラミレス監督が「ローテーションの中で、最も安定している1人」と絶大な信頼を置くドラフト1位上茶谷大河投手(22)が、阪神との同率3位対決で6回途中無失点。16年今永らに並ぶ球団新人タイ記録の自身5連勝で5勝目をマークした。 1点リードの5回2死満塁で糸原をフォークのようなチェンジアップで空振り三振。チームの急上昇とは、反比例するような落差で、試合の行方を左右する局面を切り抜けた。この渾身(こんしん)の変化球の原動力には、父から受け継ぐ「指の強さ」があった。 ボールの縫い目を完璧にキャッチした。強く握りしめられたチェンジアップは打者の手元でギュイーンと落ちた。指のかかりが半端ない。糸原も完全にタイミングを外され、腰を落とした。「三振を取りたいところで取れた。あそこは気持ちで取りにいきました」。振り逃げで招いた満塁のピンチ。この回4つ目の三振を奪い、拳を突き上げた。 上茶谷家の伝統である"つかむ"能力がある。幼少期、自宅で夕食を取っていた時のこと。ダイニングテーブルの上空に、蚊が舞った。目で追うのも、やっとなスピード。父は何と、左手の親指と人さし指でキャッチした。人並み外れた集中力と指の力があって成せる技。両手でたたくわけでもなく、もちろん新聞紙でたたくわけでもなく「どや」と左手の2本の指を見せつけた。その姿に憧れたタイガ少年。「めちゃくちゃ格好良かったですね」と親譲りの"秘技"を受け継ぎ、チェンジアップという武器を手に入れた。 最大11あった借金を完済したチームとともに、さらに上昇気流に乗る。「今永さんみたいに長いイニングを投げないとこれから先は勝てない」と課題を克服し、たくさんの勝利をキャッチしていく。【栗田尚樹】

◆DeNA上茶谷大河投手が5月18日ヤクルト戦から5連勝。DeNA新人の5連勝は、82年金沢次男、16年今永昇太に次いで3人目の球団タイ記録。すべて先発では今永に次ぎ2人目になる。 DeNAの新人が5勝を挙げたのは16年今永(8勝)、17年浜口(10勝)、18年東(11勝)に次いで4年連続。同一球団の新人投手が4年連続で5勝以上は、52~55年阪神、59~62年巨人に並び、2リーグ制後3度目。

◆阪神・西勇輝投手(28)が2日のDeNA戦(横浜)に先発し、6回を8安打2失点。試合をつくったが、今季4勝目を手に入れることはできなかった。  三回2死で佐野に右翼ウイング席へ特大のソロを浴びて先制を許すと、五回にもやられた。1死一塁で、またしても佐野に左中間への適時二塁打を浴びて0-2に。なんとか最少失点で粘ったが打線の無援にも泣き、5月10日の中日戦(甲子園)以来、7試合ぶりの白星はつかめず。七回の攻撃で代打を送られ、降板となった。

◆阪神が2016年5月24日以来となる1イニング4三振を喫した。  1点を追う五回、1死一塁から高山、木浪が空振り三振も先発の西が左前打を放ち2死一、二塁。続く近本はカウント1-2から空振り三振するも、捕逸により振り逃げ。しかし、満塁の好機で打席に立った糸原はカウント2-2から空振り三振に倒れ、無得点に終わった。  阪神の1イニング4三振は、16年5月24日のヤクルト戦(神宮)で八木に対し、北條、大和(振り逃げ)、ゴメス、原口が倒れて以来。

◆険しい表情でマウンドを降りた。2日のDeNA戦(横浜)に先発した阪神・西は6回2失点と試合を作ったが、チームの連敗をストップすることはできなかった。  「梅野が良いリードをしてくれましたが、9連戦の初戦を短いイニングで降りてしまい悔しい投球となりました」  チームは前カードの中日戦(ナゴヤドーム)で2連敗を喫し、3連敗中だった。連敗脱出へ「みんなが勝ちを求めないといけないし、ひとりで空回りしても仕方がない。全員で戦えればいいと思う」と力を込めていた右腕。相手先発のD1位・上茶谷大河投手(東洋大)との息詰まる投手戦の中で、先に流れを手放してしまった。  打たれた瞬間、顔をしかめるしかなかった。まずは0-0の三回。先頭の上茶谷に中前打を許し無死の走者を背負ったが、続く神里を二ゴロ併殺に仕留めて2死走者なし...。しかし、ここから佐野に右翼ウイング席への特大ソロを被弾。カウント1-0から2球目、内角低め130キロスライダーを捉えられると打球はスタンドに着弾した。  さらに、五回にも、またしても佐野にやられた。1死一塁で打席に迎え、今度は初球142キロを鋭く振り抜かれ、左中間を真っ二つにされた。適時二塁打とされ、0-2と点差を広げられた。  今季はこれまで13試合に登板し、3勝6敗、防御率2・76。DeNAに対しては通算8試合で5勝0敗、防御率2・60と好相性を残していた。この日もオールスター前最後の9連戦の初戦に抜てきされ「夏場はみんなが苦しい時期になってくると思うけど、しっかり全員で乗り越えて。イニングもそうですし、チームに勝ちが転んでくるように投げるだけ」と意気込んでいたが、登板7試合連続白星なし。またしても笑うことはできなかった。

◆阪神・矢野燿大監督は2日、横浜スタジアムでDeNAに0-4で敗れて、4連敗。打線が完全沈黙して、2試合連続の零封負けで、DeNAと入れ替わって、4位に転落した。借金2となった矢野監督は試合後、コーチミーティングを開いた後、報道陣の取材に応じ、3日から打順を組み替えることを明言した。  低調な打線についての打開策を問われ「ねえ。ちょっと分からないけど、明日はちょっと、いろいろ入れ替えようかなと思って」と話した。1番近本から4番大山までほぼ不動のオーダーを組んでいたが、深刻な得点力不足に陥っていた。  1番(近本)も含めてのテコ入れかについては「いろいろ、うん。現状、状態がもちろん良くないから点を取れない。ムードもなかなか変化がない。1回ちょっと変化を持たせるところでも、いろいろ考えようかなと」と具体策については言及しなかった。  苦しい状況が続くが「苦しいのは、苦しいしね。いつも苦しいからこそ、楽しくとか、苦しいときこそ前を向いてというのは自分にも言い聞かせているしね。今もそんな状態だと思うしね。そういう気持ちで明日も戦っていくかなと思います」と話した。

◆今季初めて2番で先発に起用されたDeNAの佐野が、三回に西から豪快に右越えに放り込む先制の3号ソロ。「内角のスライダーに内側からバットを出すことができた」と持ち前のパンチ力を発揮、五回は左中間に適時二塁打を放った。  6月30日の広島戦で九回2死から代打で同点打を放った左打者は「使われたら毎回打つつもり」とレギュラー奪取へ気合の入った表情。ラミレス監督も「彼を2番に据えたということは攻撃的にいくということ。起用に応えてくれた」と満足そうだった。 石田(六回2死満塁で救援し、木浪を二ゴロに仕留める) 「上茶谷に失点を付けないようにという気持ちだった。今は中継ぎでいい経験ができている」

◆--先発の西は粘っていたが  矢野監督 「1点、1点の2失点やし、粘り強くというかね。西の仕事はやってくれたと思う。ずっとこんな感じが続いている。防御率もずっといいなかで負けが増えていくのは、気持ちの部分で西も大変な部分はあるけど、ベンチの一番前で野手を迎えたり。そんなことをしてくれている姿を見ると、より申し訳ないというか」  (続けて)  「(打線が)何とかしてやってくれよ、という思いと、もちろん監督としても、何とかせなあかんし、打者陣が何とか点を取らないと」  --打線は低調が続いているが打開策は  「明日はちょっと、いろいろ入れ替えようかなと思って」  --1番(近本)も含めてか  「いろいろ、うん。現状、状態がもちろん良くないから点を取れない」  --いつでも再スタート、か  「今もそんな状態だと思うしね。そういう気持ちで明日も戦っていくかな、と思います」

◆♪少し背の高い あなたの耳に寄せた おでこ♪  「誰か、カブトムシいりませんか」  当番デスク(CD)の阿部祐亮が同世代の編集局員に声をかけています。昨年の今ごろ、自宅の玄関ドアの前で死にかけていたカブトムシを助けて飼育し始めたという話を、虎ソナでも紹介しました。1年経ってそのカブトムシ君に、こどもが次々と誕生しているらしい。  「雄1匹だけじゃかわいそうだから、あのあと雌を1匹ペットショップで買ったんですよ。つがいで飼育していたら20個くらい卵を産んで。それがサナギになって、いま孵化しているんです」  長男・遥人くん(8)の友だちにあげたりしているけれど、それでもまだ生まれたてが6匹いて、サナギもまだまだいるそうで、誰か、こどもがカブトムシを飼いたいという人いませんか? となったのです。そう話す阿部の右腕にはプツプツと赤い斑点ができていました。  「孵化したカブトムシをサナギと同じ飼育ケースに入れておけないので、きのう別のケースに"引っ越し"させていたんです。そしたら1匹の雌がガリガリッと。育ててやった恩を忘れてひっかきやがったんですよ。誰が育ててやったと思ってんだ。恩返ししろ!!」  で、この日はそのカブトムシにこう言い含めてから、阿部は出社したのです。  「いいか、いま阪神は3連敗中なんだ。借金1になってしまって3位に並ばれたDeNAというチームときょうから3連戦なんだ。頼むぞ、勝たせてくれ。恩返ししてくれよ」  鶴じゃあるまいし、相手はカブトムシなのに。はい、重症です。  横浜に出張しているトラ番たちは強気でした。一番若い菊地峻太朗は「この球場は相性がいい。全体的に打線もここでは打っていますから、(中日に連敗した)ナゴヤドームとは違って、期待できると思います」。普段は慎重な発言が多いベテラン編集委員の上田雅昭も、珍しく希望的観測を口にしました。  「横浜に来ると、いっつもそういう気分になる。阪神は、"死にかけたとき"にここに来て、いつも助けられている。今年も巨人に3連敗(4月19-21日)して、借金6になって単独最下位に落ちて、もうダメかとなったときがあった。あのときも、ここで3連勝して息を吹き返した。そんな夢みたいなことを、また許してくれるかどうかやけど、今年だけじゃなくここは昔からそういうことが続いているから」  今回もまた...。しかし、チャンスはつくってもここぞでの1本が出ないまま零封負け。相性が良かった横浜で初戦を落として、4位に転落です。  実は上田は、阪神がソフトバンクに8-2で勝った6月12日以来、勝ちゲームの取材ができていません。「休みの関係でそうなったんやけど、あのあと2勝しかしてないからな。長いこと、見てないわ」。  ♪スピード落としたメリーゴーランド 白馬のたてがみが揺れる♪  スピードを落とした虎のたてがみも、揺れ始めています。

◆わが阪神の試合に触れる前に、ポツリと年寄りのつぶやきをば...。  中日の応援歌の♪お前が打たなきゃ誰が打つ~♪の『お前』が不適切で応援団は自粛するそうである。これは時代だから、どーのこーの言うつもりはないけど、1974年に発表された『燃えよドラゴンズ!』(歌・板東英二)の歌詞は♪トラを殺して優勝だ~くじらを食べて優勝だ~そしてにっくきジャイアンツ 息の根止めて優勝だ~いいぞがんばれドラゴンズ 燃えよドラゴンズ~♪ 現在なら動物愛護団体が押し寄せてきそうな歌を元気に明るく、力いっぱい歌っていたのだ。時代は変わります。変わらないのは阪神の弱さだけとは、いと悲し...。  2試合連続の零封負けで4連敗(涙)。とにかく打てない。原因は素人でも、はっきりわかる! ルーキー近本の疲労からの打撃不振と、ベテラン福留の欠場なのだ!!  えーい、お前ら。いや失礼。えーい、あなた方に訂正させてください。新人と42歳に頼って、どないすんじゃア!! 時代は変わる...。いえ、あなた方の力で、強い阪神の歴史に変えてください!!

◆DeNAは2日、阪神13回戦(横浜)に4-0で勝利。1分けを挟んで今季最多に並ぶ4連勝を飾り、単独3位に浮上した。ドラフト1位・上茶谷大河投手(22)=東洋大=が六回途中まで6安打無失点と好投。両リーグ新人最多の5勝目(3敗)を挙げ、球団の新人記録に並ぶ5連勝をマークした。  上茶谷は、打席でも存在感を放った。三回の第1打席では西から鮮やかな中前打を放ち、2打席目も芯で捉えた中飛でファンを沸かせた。投球の評価を問われた三浦投手コーチも第一声で「ナイスバッティングだったね」と笑顔を見せた。自身4勝目を挙げた6月23日の楽天戦でも先制の2点打をマーク。巨人・坂本勇の打撃フォームをまねしてから打撃も絶好調で"サ茶モト"が恐怖の9番打者になりつつある?!

◆近本は4打数無安打。五回に振り逃げで出塁しただけにとどまり「狙っているボールと違うボールだった。考えてもダメなんですけど...。難しいですね」と悔しがった。七回1死では左翼に鋭い打球を放つも、筒香の好守にはばまれた。「バットでボールを捕まえきれていない。捕まえられていたら、落ちていた。ボールの下をたたいてしまった」。リーグ戦再開後は12打数1安打。浮上のきっかけがほしい。

◆マルテは2点を追う六回無死一、二塁で左飛。ひと振りでチームを救うことはできず「向こうが勝ったということは、彼(上茶谷)が良かったということ。もう少し貢献したかった」と悔しがった。二回先頭で中前打を放ち、先発復帰した6月21日の西武戦(甲子園)から6試合連続安打。しかし、直後の梅野の二直で一塁を飛び出し、併殺に。沈痛の表情だった。

◆昨年7月17日以来となる2番に入った佐野が、2戦連続の殊勲打を放った。0-0の三回に右翼席上部に新設された「ウィング席」へ推定飛距離136メートルの3号ソロを運び、五回は左中間へ適時二塁打。「(本塁打は)プロに入って一番飛んだと思う。2番? バントは苦手なのでサインが出たらどうしようと思った」と笑わせた。6月30日の広島戦でも九回に同点打を放っており、殊勲安打は今季4本目と勝負強さが光る。

◆中継ぎで8試合に登板して防御率0・00を誇っていた小野が、ついに失点した。八回から3番手で登板するも、2安打と四球で1死満塁。ここで伊藤光に痛恨の押し出し四球を出すと、さらに大和に左前打を浴び、ダメ押しの4点目を与えてしまった。試合後は「明日もあるので、明日、抑えられるようにがんばります」と必死に前を向いた。

◆リーグ戦再開後、7打数3安打と奮闘していた木浪だが、この日は4打数無安打。六回2死満塁では石田にスライダーで二ゴロに打ち取られ「チャンスで打って点を取るのが求められている。ここぞで打つ準備をしていきたい」と振り返った。守備では一回に二遊間の打球に追いつき、1回転して一塁に好送球も、五回には悪送球。「いいプレーだったけど、その後が...」と悔やんだ。

◆また、白星に恵まれなかった。6回8安打2失点。先発の役目を果たした西は我慢の連続だった。  「自分たちはゼロを求めて投げているし、野手も誰かが打ってやろうという気持ちは絶対ある。まだ借金2なので、いつでも取り返せるし、いつでもAクラスとも思う。みんなで粘って、耐え忍んでいくしかない」  三回に佐野に右翼へ先制ソロを被弾。五回にも左中間へ適時二塁打を浴びるなど2安打2打点を許した。これで先発した9試合連続で先制点を献上。さらに5月10日の中日戦(甲子園)以来、7試合にわたって勝ち星なしと苦しい戦いが続く。  「先制点や勝ちというのは意識しない。自分の仕事をちゃんとすれば自ずと勝ちはついてくる。自分が試合をつくればいいだけ」。チームの勝利だけ、求めていく。

◆屈辱の完封負けだった。選手が足早に引き揚げ静寂に包まれたベンチ裏に異様なムードが漂った。コーチ陣が緊急ミーティングを開催。今季ワーストの22イニング無得点を止める打開策は、1つしかなかった。  「明日はちょっと、いろいろ入れ替えようかなと思って」  約15分間の会議後、矢野監督が打線の組み替えを決断したことを明かした。特にドラフト1位・近本光司外野手(大阪ガス)が深刻だ。この日も五回2死一、二塁で空振り三振を喫するなど、4打数無安打。最高で・340まであった打率も・261まで低下した。「現状、(近本の)状態がもちろん良くないから点を取れない。ムードもなかなか変化がない。1回ちょっと変化を持たせるところでも、いろいろ考えようかなと」と指揮官。57試合連続で1番を任せてきた快足新人を動かす計画を明かした。  打線全体でいえば、DeNAのD1位・上茶谷大河投手(東洋大)に対してチャンスがなかったわけじゃない。五回は2死満塁で糸原が空振り三振。3年ぶりとなる1イニング4三振という珍記録も樹立した。さらに六回も2死満塁でD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が二ゴロ...。その直前に左腕・石田を投入するなど小刻みな継投策を繰り出したラミレス監督とは対照的に選手を信じた起用が裏目となった。  「苦しいのは、苦しいしね。いつも苦しいからこそ、楽しくとか、苦しいときこそ前を向いてというのは自分にも言い聞かせている」  虎将は暗示をかけるように懸命に前を向いた。  首位巨人とは6・5ゲーム差に広げられた。阪神の過去5度のリーグ制覇で最大逆転は1964年の6・5ゲーム差。優勝へのデッドラインという土俵際で、今度こそ、策がハマるのか。屈辱にまみれた2試合連続完封負け&今季4度目の4連敗。このまま転がり落ちることだけは避けたい。 (大石豊佳)

◆あるぞ、緊急トレード! 阪神が巻き返しに向け、補強に乗り出す可能性が2日、浮上した。パ・リーグの複数球団が虎の2軍練習をチェック。最終局面を迎えているもようだ。この日、DeNAに0-4で敗れ、今季4度目の4連敗。22イニング連続無得点で4位転落した虎をフロントが全面支援する。  打てず、守れず、投げきれず...。球宴前、最後の9連戦。勝負の7月に入っても、虎のジリ貧傾向は変わらなかった。補強期限まで1カ月を切った。ついに、動く。阪神が緊急トレードに乗り出す可能性が急浮上した。  球界関係者の話を総合すると、現在、阪神は水面下でトレードを画策しているという。  この日、交流戦での対戦を終えたパ・リーグ球団の調査担当が、甲子園や鳴尾浜を訪れ、阪神の2軍練習に熱視線を送っていたことが判明。阪神の球団幹部は横浜スタジアムで「ウチだけですね、(トレードを)やっていないのは...。別に、そんな、狙ってやっているわけじゃなくて、たまたまでしょうけどね」と意味深な発言をした。  交流戦終了後、巨人-日本ハム、中日-オリックスで複数交換トレードが成立し、この日も、広島(下水流)と楽天(三好)との人的交換が発表された。ペナントレースは折り返し地点を過ぎ、7月末の補強期間終了まで各球団、積極的な動きをみせている。阪神も戦力的に足りない部分が多く、交渉は最終局面を迎えている可能性が高い。  他球団の編成幹部は今の阪神の補強ポイントについて「投手と外野手ではないか」と推察する。  42歳のベテラン福留が両ふくらはぎを痛めて、離脱中で外野は手薄。2017年に20本塁打を放った中谷やベテランの域に入った俊介が2軍暮らしで、右打者が特に手薄という現実もある。  投手に関してはセットアッパーのジョンソンが蓄積疲労により6月をほぼ離脱し、その間、チームは4勝9敗2分けと苦しんだ。矢野監督は助っ人右腕の今後について適度な休養を挟みながら起用する方針を固めており、球団首脳は「これからの時期は投手は何人いてもいい」と話す。  現在、支配下登録は67人。育成ドラフト1位・片山雄哉捕手(25)=BCL福井=ら育成組の昇格を含めても、1軍の70人枠までには、まだ余裕がある。マルテ、ナバーロに続く、第3の新外国人野手獲得の選択肢もあるが、まずはトレードで戦力不足を補うことを目指すもようだ。  DeNA戦は2試合連続、今季8度目の完封負け。22イニング連続無得点と打線に決定力不足が目立ち、今季4度目の4連敗。4位に転落した。  3日には藤原崇起オーナー(電鉄本社会長)が東京都内でのオーナー会議に出席後、横浜を訪れ、初めてビジター試合を観戦する。矢野虎が正念場を迎えている今、フロントの底力が問われている。打線強化か、それとも守り勝つ野球を目指すのか。いずれにしても、打てる手を打って、難局突破に動く。

◆DeNAは2日、阪神13回戦(横浜)に4-0で勝利。1分けを挟んで今季最多に並ぶ4連勝を飾り、単独3位に浮上した。ドラフト1位・上茶谷大河投手(22)=東洋大=が六回途中まで6安打無失点と好投。両リーグ新人最多の5勝目(3敗)を挙げ、球団の新人記録に並ぶ5連勝をマークした。チームは5月16日に最大11あった借金を47日で"完済"し、勝率を4月19日以来の5割に戻した。  主砲・筒香の大きな声が響き渡る。  「オッケー! ナイスゲーム!!」  投のヒーローは帽子を脱いで頭を下げ、ハイタッチの祝福を受けた。チームを単独3位に押し上げる力投を見せた上茶谷は、新人らしく控えめに振り返った。  「先に点を取ってもらったので、投げやすくしていただきました」  前半戦を締めくくる9連戦。ラミレス監督が「最も重要な試合の一つ」と位置付けた初戦で、新人右腕は低めへの制球力を武器に阪神打線の前に仁王立ちした。  好投の理由は投球術だけではない。新人離れしたメンタルの強さにある。0-0の二回2死一塁でプロ初のボークを犯して二進を許した。だが「プレートを外さない牽制(けんせい)で、高校(京都学園高)時代に公式戦で3回くらいやっている。投げた瞬間に『あ、絶対にボークやな』と思いました」と冷静に受け止め、続く木浪を一直に仕留めた。  五回2死一、二塁では近本を空振り三振に斬ったが、捕手の伊藤光が捕球できず振り逃げ(記録は三振と捕逸)で出塁され、満塁のピンチを背負った。ここでも続く糸原を三振に仕留め、この回全てのアウトを三振で奪う"離れ業"。1回4奪三振のプロ野球タイ記録にも「(東洋)大学時代にやったことあります」といってのけた。  チームは5月16日に最大11(14勝25敗)あった借金を47日で完済。勝率を4月19日以来の5割に戻し、同16日以来の単独3位に浮上した。同日からの10連敗は上茶谷から始まり、連敗が止まった同29日の巨人戦先発も上茶谷。5月18日にプロ初勝利を挙げた右腕は、そこから5連勝でチームの快進撃を演出した。  新人の5連勝は1982年の金沢次男、2016年の今永昇太に並ぶ球団記録。何かを"もってる"活躍を続ける上茶谷は「ここで終わりじゃないので、まだ勝ちたい。5連勝とか意識していない」と言い切り、ラミレス監督は「今永に匹敵する」と今季8勝のエースと同格の信頼を口にした。2位・広島とも1・5ゲーム差。勢いに乗るDeNAに、梅雨空は似合わない。 (湯浅大)

◆どうしたら点が取れるの? 深刻なタイムリー欠乏症に陥った阪神に対し、阪神OBでサンケイスポーツ専属評論家の八木裕氏(54)も「打線を動かすしかない」と断言。不振の近本を1番から外し、糸井、糸原、高山ら、少しでも調子が上の選手たちをいろいろ組み替えて、現状を打開できる打線を「探す」作業をせよ、と訴えた。  リーグ戦再開後の3試合でわずか1得点。上茶谷は立ち上がりから素晴らしい内容だったし、確かに各チームのローテーション投手は簡単に打てるものではないが、現状の阪神打線は「線」として機能していないから深刻だ。  交流戦終盤から好調だった糸井も今は普通。個々の打者を見渡しても、「すごく調子がいい」と言い切れる打者は不在。特に野球では1番打者と4番打者が打たなければ点は入らないのだが、この2人が特に良くない。  近本は打席で、上げた左足を降ろすスピードが異常に早い。本来の「間」が取れていない証拠で、球に差し込まれてしまっている。  大山の場合は、以前にも指摘したが、体重移動が長すぎて、タイミング良く打とうとしても差し込まれる。  得点力不足打開のために、さすがにベンチも動くしかないだろう。打順を変更して、いかに「線」に近づけられるか。全体的に調子が落ちているから「この打順」とは言いにくいが、より良い打順を探す作業に入る必要がある。  単純に考えればいい。少しでも状態が上の選手を並べるしかない。具体的に名前を挙げるなら、糸井、高山、糸原。さらには梅野、マルテ。  矢野監督が「4番・大山」にこだわるのなら、糸井、高山、糸原らを1番から3番までで、どう組み合わせるか。新たな打順を固定するのではなく、とりあえずどんどん試して、探していけばいい。ある程度、得点できれば、その時に開幕時の理想型だった近本を1番ないし2番に置く打順に戻す。今は動くべきだ。  もちろん、選手個々がミーティング、練習という準備の段階から努力していくことが必要なのは言うまでもない。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
41301 0.577
(↑0.006)
-
(-)
71352
(+6)
284
(-)
99
(+4)
42
(-)
0.262
(-)
3.600
(↑0.05)
2
(-)
広島
38353 0.521
(↓0.007)
4
(↓1)
67301
(+1)
305
(+3)
71
(-)
49
(-)
0.247
(↓0.001)
3.340
(↑0.02)
3
(-)
DeNA
36362 0.500
(↑0.007)
5.5
(-)
69297
(+4)
292
(-)
87
(+1)
23
(-)
0.247
(↑0.001
3.630
(↑0.05)
4
(1↓)
阪神
35374 0.486
(↓0.007)
6.5
(↓1)
67291
(-)
313
(+4)
51
(-)
54
(+1)
0.248
(↓0.001)
3.450
(↓0.01)
5
(-)
中日
33400 0.452
(↓0.006)
9
(↓1)
70278
(-)
288
(+6)
44
(-)
39
(-)
0.256
(↓0.001)
3.840
(↓0.02)
6
(-)
ヤクルト
29462 0.387
(↑0.009)
14
(-)
66335
(+3)
399
(+1)
87
(+2)
27
(-)
0.237
(↓0.001)
4.690
(↑0.04)