阪神(☆6対2★)広島 =リーグ戦5回戦(2019.05.01)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:才木 浩人(2勝0敗0S)
敗戦投手:野村 祐輔(2勝1敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(1号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神は1-2で迎えた5回裏、近本と糸原の連続適時打などで4点を挙げ、逆転に成功する。続く6回には、マルテの来日初本塁打となるソロが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・才木が今季2勝目。敗れた広島は、打線が相手を上回る11安打を放つも、つながりを欠いた。

◆広島田中広輔遊撃手(29)が、定位置の「1番」を外れ、「8番」で先発した。 打撃不振に苦しみ、打率は1割6分8厘まで落ちていた。1番を外れるのは4月12日DeNA戦(横浜)に8番で先発して以来、今季2度目。当時は1試合で1番に復帰している。

◆広島田中広輔内野手(29)が午後2時59分に「令和初失策」を記録した。2回の守り。先頭大山の打球をファンブルし、素早く拾い上げて一塁送球したが、送球はワンバウンドに。 一塁バティスタがはじき、田中広に失策が記録された。

◆令和最初の一戦となったこの日、甲子園では入場者全員に「令和最初の一戦観戦証明書」が配られた。 金色に縁取られた表面には「貴方が令和最初となるプロ野球セ・リーグ公式戦 阪神タイガース対広島東洋カープの試合を 阪神甲子園球場にて観戦されたことを ここに証します」と書かれ、裏面には矢野燿大監督(50)が直筆の「令和元年」を持つ写真が入った特別仕様。 試合開始2時間後までに入場した観客に配られる。

◆広島の改造打線が2点を先制した。田中広が「定位置」の1番から8番に下がり、1番野間、2番菊池涼、3番バティスタの並び。3回1死から野間が左前打で出塁。菊池涼が先制の左翼線二塁打、バティスタも左翼へ適時二塁打を放った。 菊池涼は「打ったのはフォーク。先制点につながるヒットになってよかったです」と話し、バティスタは「打ったのはストレート。インコースの速い球に対していい反応で打つことができました」と振り返った。

◆阪神の「令和初打点」は、梅野隆太郎捕手(27)が記録した。 2点を追う4回、3連続四球で1死満塁の好機をつくった。打席に立った梅野は、レフトへ抜けそうな鋭い打球を飛ばしたが、三塁手の安部が好捕。送球間に三塁走者の糸原が生還し、1点をかえした。 梅野は、新元号「令和」の典拠となった万葉集の一節「梅花の宴」の舞台となった福岡・太宰府市近く、同那珂川市の出身。名前にも「梅」が入るなど縁ある男が、令和の虎1点目をもぎとった。

◆甲子園の令和初戦は「スカイマークタイガースジェットデー」として開催された。スカイマーク社では虎マークをつけた3代目タイガースジェット機が全国各地で運航している。 17年度定時運航率1位の同社は現在、全社をあげて顧客満足度NO・1を目指している。ここまで2年連続2位につけており、航空業界トップにのし上がるため、特に接客の強化に取り組んでいるところだ。 この日は「令和元年」とプリントされたハンドタオルを1万5000人のファンに配布。親子二代で阪神ファンの小林紘典CS推進室室長は「うちもナンバーワン、阪神にも優勝してほしいですね」と話した。 植木奈穂美さん、渡里彩さんが阪神植田、広島堂林に花束贈呈。試合開始が遅れて中止になった始球式で投げる予定だった長広海南江さんは「若い選手がでてきたから楽しみです。同じ年の藤浪選手に頑張ってほしい」とエールを送った。 スカイマーク市江正彦社長は「プロ野球は地域性がでていて面白い」、佐山展生会長も「阪神にはなんとか2位までには入ってほしいですね」と熱戦を見つめた。

◆阪神近本光司外野手(24)が、01年に赤星が記録した阪神新人最多連続安打の12試合連続安打に並んだ。 1点を追う5回1死二、三塁、近本が野村の2球目のスライダーをとらえ、2点適時中前打を放った。「みんなが作ってくれたチャンスだったので、なんとしても打つというシンプルな気持ちで打ちました」。逆転の大きな一打は、虎の令和初安打、そしてあこがれの赤星憲広氏の記録に並ぶ節目の安打となった。 勢いは止まらず続く糸原の2球目に二盗、3球目に三盗と持ち味の足でかき乱した。「先の塁を狙って、隙があればいつでも行くぞ! という気持ちで狙っていました」。ルーキーに発奮したかのように糸原、大山もヒットを放ちこの回一挙4得点。一気に逆転に成功した。

◆令和初先発となった阪神才木浩人投手(20)は、5回7安打2失点で降板した。初回、1番野間への初球で151キロを計測するなど、勢いのある直球を投げ込んだ。3回に3連打を浴び2失点。それでも6三振を奪うなど、持ち味も見せた。 降板した直後の5回裏に打線が一挙4得点し、逆転に成功。勝利投手の権利を得た。「先発投手として、もっと長いイニングを投げたかったですが、球数が多く流れをつくる投球ができませんでした。逆転してくれた野手の方々に感謝しかありません」とコメントした。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が来日1号を放った。5-2で迎えた6回1死、菊池保の高めに入った144キロ直球を左中間スタンドへたたきこんだ。 4月29日に1軍昇格し、デビューから3試合目、11打席目に待望の初ホームランが飛び出した。「初日からいい結果が出なくて、自分自身少し焦っていた部分もあったので、この瞬間を迎えることができて本当に良かったです」。 広島を突き放す貴重な6点目。ベンチに帰りハイタッチを求めるマルテに、ナインは素知らぬ態度。直後に手荒い祝福をするメジャー流の「サイレント・トリートメント」で、新助っ人の1号を温かく祝った。 虎の令和1号になったことについてマルテは「自分にとっての初めてのホームランが、こういった記念すべき日に重なってうれしく思います」とコメントした。

◆阪神が令和初戦となった広島戦で鮮やかな逆転勝利を飾り、勝率5割復帰に成功した。 逆転打を放ったのは平成最後のドラフトで1位入団した近本光司外野手(24)だった。1点を追う5回。1死二、三塁で近本は広島野村の2球目を捉え、逆転の2点中前打。阪神にとってはこの日初安打で、令和の虎初ヒットを刻んだ。近本自身にも記念の一打。あこがれのOB赤星憲広氏に並ぶ阪神新人記録の12試合連続安打を大事な場面で達成してみせた。近本は直後に二盗、三盗をマーク。虎ファンの大歓声を呼んだ。 6回には虎1号も飛び出した。新外国人ジェフリー・マルテ内野手(27)が来日1号を左中間スタンドへ運び去った。 しっかりと継投も決まり、最高の形で時代をまたいだ連勝を継続。今季初の4連勝となり、最大6あった借金を完済し、3位に浮上した。

◆広島が3回に2点を先制。1死一塁で菊池涼が適時二塁打。バティスタも適時二塁打で続いた。阪神は3回まで無安打無得点。 阪神は5回に逆転。1死二、三塁から近本が逆転の中前2点打。さらに後続もたたみかけた。6回にはマルテが来日1号を放った。 阪神は6回からの継投も決まり、今季初の4連勝。勝率を5割に戻し、3位に浮上。広島は4連敗を喫した。 阪神才木が2勝目、野村が1敗目。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が放った「阪神令和1号」のホームランボールとバットは、2日から甲子園歴史館で展示されることになった。 マルテは5-2の6回1死から左中間へ来日1号となる本塁打を放った。

◆阪神ジョンソン投手のゼロ行進が時代をまたいだ。4点リードの8回に2安打されても本塁は踏ませなかった。 デビュー以来12戦連続無失点。「ここ最近はチームが1つになって、みんな、いい仕事をできている。野球をやっていて楽しいよ」と充実感をにじませた。

◆阪神が令和初戦となった広島戦で鮮やかな逆転勝利を飾り、勝率5割復帰に成功した。 逆転打を放ったのは平成最後のドラフトで1位入団した近本光司外野手(24)。あこがれのOB赤星憲広氏に並ぶ阪神新人記録の12試合連続安打を大事な場面で達成してみせた。近本は直後に二盗、三盗をマーク。虎ファンの大歓声を呼んだ。6回には虎1号も飛び出した。新外国人ジェフリー・マルテ内野手(27)が来日1号を左中間スタンドへ運び去った。勝利に貢献した2人がお立ち台に上がった。-5回に逆転打 近本 ヒットが打ててなかったんで、シンプルにアウトコース来た球だけを狙って打ちました。 -12試合連続ヒットで赤星氏に並んだ 近本 あこがれの先輩だったので、ほんとに並ぶことができたのでよかったです。 -1試合3盗塁も記録 近本 やっと自分の武器が、アピールできたんかなと思います。頑張ります。 -守りでも活躍した 近本 いや、よかったです。 -マルテ選手は初本塁打 マルテ アリガトゴザイマス。 -この甲子園で、初めて令和でホームランを打った選手。平成から令和に元号が代わったが、知っていますか マルテ 知ってましたね。きのう聞いたので、こんな日本の特別な日に、自分の初めてのホームランを打てて、そしてチームも勝てたので、本当にそれがうれしいです。 -チームメートがベンチでサイレントトリートメントで迎えた マルテ チームメートのみんながいい仕事をしていたので、なんとか自分もという気持ちで入りましたし、実際にホームランを打って、ああいう迎え方されましたけれども、うれしかったですね。 -4月はほとんど1軍にいなかった マルテ 1カ月長かったんですけれども、ファームの方々にもお世話になって、こうして戻ってこられたので、これからファンの人たちのために、いいショーを見せられるように、応援しっかりしていただいて、私もしっかり頑張りたいと思います。 -チームは4連勝。近本選手に最後、威勢よくしめてもらいましょう 近本 令和でも、チーム全体、ファン全体、戦っていきますので、これからもご声援よろしくお願いします。ありがとうございました。

◆阪神が逆転勝ちで、今季初の4連勝を飾った。令和初戦を制し、3位に浮上。 試合後の矢野燿大監督(50)の談話は以下の通り。 -近本の12試合連続安打は球団の新人タイ記録 誰もやってきていないことに挑戦できる。また、並んだのもスゴイ。記録は抜けるときはどんどん抜いてもらって。プラスにしていってもらったらいい。 -プロ初の三盗だ 状況的に相手のスキを突いた。ただ、足が速いことだけで走った盗塁ではないんでね。そういう部分でも価値ある盗塁だった。 -今季初の4連勝で勝率5割復帰。3位に浮上。令和になっていい流れだ そうですね。本当に打線も今日は安打数は少なかったけど、いいところで1本出るようになってきています。投手は本当にそれぞれが頑張ってくれている。タイガースの形ができてきている。この流れを大事に、また、思い切ってやっていきたい。1個1個が自信になる。こういう野球を俺らがやっていくんだというのを積み重ねていけると思う。ウチのチームは春からも言っているように、成長していかないといけない。 -5回、代打北條の初球での犠打も大きい 俺もバントは現役時代してきたけど「代打バント」はめちゃくちゃ難しい。その確率が高いのが相手も分かっているなかで、一発で決めたのは流れをこっちに呼んだバント。あれ(近本)を打たせたのは北條ということも言えなくはない。

◆広島が阪神に逆転負けし、8連勝後に4連敗となった。名手田中広輔内野手(29)が、らしくない2失策を記録した。 緒方孝市監督(50)の談話は以下の通り。   -田中広の2つ目の失策が痛かった。 緒方監督 イレギュラーしたんじゃない? -チームでミスが続いている 緒方監督 集中してやってくれている。ミスはでることもある。 -田中広を8番に降格 緒方監督 打線の流れをみながら考えていく -1番に戻さないか 緒方監督 打線の流れを見ながら...。 -野村は慎重にいきすぎたか 緒方監督 そうですね...。

◆阪神糸原健斗内野手が近本に続いてたたみかけた。5回。逆転打を放った近本が二盗、三盗を決めて1死三塁となった場面で、右翼線へ適時二塁打。「近本が打ってくれたので、勢いにのっていきました」。 その後、大山の適時打で生還。「勝てたことが一番良かったです」と連勝キープを喜んでいた。

◆「虎の令和1号」は、新助っ人のバットから生まれた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が、来日初ホームランを放った。5-2の6回1死。3ボールから菊池保の144キロ直球を左中間スタンドへたたきこんだ。エンゼルスで主に左投手相手にスタメンで起用されたマルテは、クラブハウスでも陽気で兄貴分的な存在だった。 昨年、メジャーデビューしたベネズエラ出身のブリセーニョ捕手は「良い兄貴みたいな人。僕がメジャーにいた時、彼といつも話していたよ。メジャーのことをよく教えてくれたし、人生についても話した。素晴らしい人間」と懐かしむように話した。マルテ自身はドミニカ共和国出身だが、同じ南米出身で1歳年下の後輩の助けとなるよう、常に気遣ってきた。 南米系だけでなく、日本から二刀流でメジャーに挑戦した大谷とも積極的に交流。ブリセーニョによれば、「みんなで日本語を学ぼうともしたよ。『トモダチ』、『ゲンキデスカー? ゲンキデス』とか、他にもあるけど、忘れちゃった」と笑った。国籍を超えたチームの和の中心にはマルテがいた。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆チームの令和最初の「ホールド」は阪神岩崎優投手だった。5-2の6回に2番手として、才木を救援して無失点。 守屋、ジョンソン、ドリスとつないだが、4点差ついていたためホールドが記録されたのは岩崎だけ。5試合連続無失点と上り調子だ。

◆広島先発野村祐輔投手が4四球に泣き、5回5失点で今季初黒星を喫した。4回1死から3連続四球を与えるなど1失点。5回も先頭打者の四球をきっかけに4失点。味方の失策が絡んだが「自分が出した走者。出さなければああいう展開にはならなかった」と話した。 佐々岡投手コーチは「ここ何試合か(先発の与四球連発が)続いている。先発がこうなるとゲームをつくれない」と手厳しかった。

◆5回2失点で2勝目を挙げた阪神才木だが、やはり平常心ではなかった。令和初戦という節目の先発に「意識しないようにしたんですが、やっぱり少し力も入ってしまった」と苦笑いした。 最速152キロ。初回から150キロ台を8球投げるなど快調だったが、2回に2連打を浴びた。3回には3連打で2点を先制された。それでも1死二塁で鈴木にフォークを振らせて三振。会沢も遊ゴロで傷口は最小限。5回の攻撃でチャンスに打順が回ってきたため代打が出された。矢野監督は生命線の直球の走りを評価し「まだまだ成長段階。スケールの大きな投手になれる」とさらなる飛躍を期待した。 「粘れたのはよかったと思うけど、守備からリズムをもっていったり、中継ぎに負担かけない投球はできなかった。梅野さんがうまくリードしてくれました」。まだ20歳。新時代のヒーロー候補は令和でチーム初の勝利投手になっても、満足しなかった。【柏原誠】

◆令和の虎を担う男が、新時代初日に輝きを放った。阪神は先手を奪われたが、ルーキー近本光司外野手(24)が5回に逆転の2点中前打。あこがれの赤星憲広氏に並ぶ阪神新人記録の12試合連続安打を重要な場面で決めてみせた。直後に二盗、三盗をマークするなど1試合3盗塁。走攻守の活躍でチームを今季初の4連勝に導いた。勝率5割復帰で3位浮上。平成と令和をまたぐ虎の反攻が止まらない。絶好調のルーキーが虎の令和初ヒットを刻んだ。1点を追う5回1死二、三塁。1番近本が広島野村の2球目外角スライダーをふり抜いた。「得点圏だったのでシンプルに。しっかりと踏み込んでセンターラインを狙っていった」。ズバリ狙い通りの一撃で打球がセンター前に弾む。チーム初安打が黄金週間の甲子園を熱狂させる逆転2点適時打になった。 近本ショーはこれで終わらない。続く糸原の2球目に快足を飛ばして二塁を陥れると、間髪入れず、3球目に三盗成功。「データとか、雰囲気とかを感じながらですね」。左打者が打席に立つ三盗は捕手が見やすいというリスクもあるが、独特の嗅覚でセオリーをも覆す。四球で出塁した7回にも1試合3個目の盗塁を奪った。 令和の時代にニュースター誕生の予感だ。5回のタイムリーで12試合連続安打をマーク。01年赤星が記録した阪神のルーキー連続安打記録に並んだ。矢野阪神のリードオフマンとして定着し、梅野に次ぐ打率3割2分7厘、チームトップの17打点、8盗塁。7回には中越え打で二塁を狙ったバティスタを、素早い送球で二塁アウトに。走攻守。すべての面でチームに欠かせない。 前夜、ナイターゲームを終えた近本が向かったのは神戸市内の斎場だった。大阪ガス前監督である竹村誠氏が4月28日、胆管がんのため、57歳という若さで亡くなった。近本を社会人野球の道に導き、熱く指導してくれた監督の通夜。その祭壇の前で誓った。「僕が出来ることはプロで活躍すること。見ていてください」-。天国の恩師に恥ずかしいプレーは見せられなかった。 ルーキーの快進撃とともにチームも今季初の4連勝。3カード連続で勝ち越しを決め、ついに借金完済。勝率5割復帰で単独3位に浮上した。矢野監督もニューヒーローを「どれもすばらしいプレー。近本の味が出ている。試合の中ですごく大きな状況や場面が多いので頼もしい」と絶賛する。近本の躍動が、令和時代を迎えた阪神の希望だ。【桝井聡】

◆「虎の令和1号」は、新助っ人のバットから生まれた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が、来日初ホームランを放った。5-2の6回1死。3ボールから菊池保の144キロ直球を左中間スタンドへたたきこんだ。 「良い感じで打てたと思う。昨日は初めての甲子園で焦りがあった。今日も焦りがあったけど、記念すべき日に、自分としても特別な日を迎えられたのは良かった」。猛虎の歴史にも刻まれる記念の1号。はにかみながらハイタッチを求めるマルテにナインは素知らぬふり...。「うれしかった。そういうことを選手間でやるのは好きです」。直後にもみくちゃにされ、メジャー流のサイレント・トリートメントで祝福された。 大リーグで活躍した母国ドミニカ共和国のヒーローを夢見た。あこがれはマニー・ラミレスと、アルバート・プホルス。「小さい頃からずっとテレビもやっていたし、彼ら2人が活躍してる姿というのはずっと見ていた。もちろん活躍もしてたから、長くずっとやられてると思う。そういう意味でもすごく憧れていたよ」。大リーグではエンゼルスで大谷と出会うなど、日本の野球を知るうちにどんどん興味を持った。勝利のために自分の仕事を果たす-、組織的な野球を経験してみたくなった。 メジャー通算30本塁打の実績を期待されながら、3月中旬に右ふくらはぎの張りを発症し、開幕2軍。鳴尾浜でトレーニングを重ね、約1カ月後にやっと甲子園の大歓声を浴びた。日本にとってこの日は「令和元日」の節目の日。マルテになじみはないが「昨日聞いて勉強したよ。そんな日に打てて忘れられない日になったし、ファンの方もホームランが見られたことは良かった」。真面目な助っ人がチームの一員になった。【磯綾乃】

◆矢野阪神が令和元年の初陣を鮮やかな逆転勝ちで飾った。1点を追う5回。敵失に乗じて4点を奪い、今季初の4連勝だ。矢野燿大監督は「相手のミスでラッキーもありましたけどね。ワンチャンスで、効率良く点も取れました。いい試合になりました」と振り返った。 序盤はチェンジアップなどを駆使する野村に封じられて苦戦した。先発才木が赤ヘル打線に安打を浴びながら5回2失点でしのぐ。中盤は急転の反攻。6回にマルテが本塁打を放つなど大技小技で強敵を倒した。指揮官は言う。「野村もいい状態で来ている。いい投手と若い才木の対戦で勝てたのも大きい。逆転で勝った部分も大きい。今日の試合の中身、意味はある。本当に大きな1勝」。会心の白星に手応えは十分だ。 2019年5月1日。平成から元号が変わった。新時代を前に、指揮官も心新たにした。球団から求められ、墨汁たっぷりの太筆を執る。紙にしたためたのは「令和元年」だ。力強い筆跡に決意がにじむ。この日、ファンに配られた「観戦証明書」でも披露した。矢野監督は「何でも縁起がいいものは勝ちたい。毎日勝ちたいと思って、俺らはやっている」と語気を強める。勝率5割に復帰し、単独3位に浮上。昨季最下位からの御一新にふさわしい門出になった。【酒井俊作】

◆令和の虎を担う男が、新時代初日に輝きを放った。阪神は先手を奪われたが、ルーキー近本光司外野手(24)が5回に逆転の2点中前打。あこがれの赤星憲広氏に並ぶ阪神新人記録の12試合連続安打を重要な場面で決めてみせた。直後に二盗、三盗をマークするなど1試合3盗塁。走攻守の活躍でチームを今季初の4連勝に導いた。勝率5割復帰で3位浮上。平成と令和をまたぐ虎の反攻が止まらない。▼ルーキー近本がプロ初の1試合3盗塁。新人の1試合3盗塁以上は、10年5月9日オリックス戦で4盗塁した荻野(ロッテ)以来。セ・リーグの新人では01年8月17日横浜戦の赤星(阪神)以来18年ぶり。

◆名手がまさか...。広島田中広輔内野手(29)が、12球団の「令和初エラー」を含む2失策を記録し、4連敗のきっかけになった。打順が1番から8番に降格となり、2安打で意地を見せたが、持ち味の堅い守備が乱れた。12球団ワーストのチーム失策数は28試合目で27個に増え、波に乗れない要因の1つになっている。新時代に突入したが、王者の正念場が続く。まさかの光景だった。広島の5回無死一塁の守り。遊撃田中広が、木浪の併殺コースの打球を捕球しそこね、オールセーフの失策となった。打球がイレギュラーした不運はあったが、処理できても、いい当たり。先発野村がこれをきっかけに崩れ、この回4失点。展開は一気に劣勢に動いた。 田中広 (野村)祐輔がいいピッチングをしていたのに足を引っ張った。僕が試合を壊してしまった。申し訳ない。 2回にも、名手田中広らしからぬ失策があった。大山の三遊間への当たりに対し、正面に入りながらファンブル。素早く拾って一塁送球したが、ワンバウンドの悪送球となった。これが午後2時59分。12球団の「令和初失策」となった。前日4月30日にも同じような打球を捕り損ねており、2日で3失策を犯したことになる。失策数は、リーグトップに並ぶ「5」となった。 田中広はこの日「定位置」の1番から8番に打順を降格されていた。試合前まで打率1割6分8厘。1番を外れるのは4月12日DeNA戦(横浜)以来2度目だ。前回は1試合で1番に戻ったが、今回は何の保証もない。2安打したが、高ヘッドコーチは「(代役1番の)野間もいい働きをしていたし、すぐには戻さない」と話す。田中広にとって、厳しい状況が続く。 12球団ワーストのチーム失策は、28試合目で27に増えた。ほぼ1試合に1個、失策が記録されている。緒方監督は「(田中広の2つ目の失策は)イレギュラーしたんじゃない? (守備陣は)集中してやってくれているし、ミスは出ることもある」とかばったが、乗れない原因の1つになっているのは確かだ。 田中広は、3連覇の原動力となったキーマンの1人。早く攻守で本来の姿を取り戻したい。【村野森】

◆阪神・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が1日、広島戦(甲子園)の五回にチームの『令和』初安打&初適時打を決めた。球団の新人タイ記録となる12試合連続安打にもなった。  広島の先発・野村を相手に1-2の五回、2つの四球と犠打で1死二、三塁で近本が打席へ。1ボールからの2球目を中前に運び、逆転の適時打を放った。これがこの試合のチーム初安打で初適時打。さらに続く糸原の打席で二盗を決めると、さらに続けて三盗に成功。期待のドライチが、記念すべき令和の一発目を次々と記録した。

◆阪神の新外国人ジェフリー・マルテ内野手(27)が1日、広島戦で来日1号。これがチームの『令和』1号となった。  5-2の六回1死、3ボールからの4球目を強振。高めの144キロ直球を左中間スタンドに運んだ。右ふくらはぎの負傷で出遅れ、この日が3試合目。11打席目でかけた初アーチは、阪神の記念すべき令和1号となった。

◆阪神は年号が令和となって初戦だった1日の広島戦(甲子園)を6-2で勝ち、白星で飾った。三回に2点を先行されたが、四回1死満塁で、休養日の福留に代わって5番に入った梅野の三ゴロでまず1点。五回には四球に敵失、犠打で作った1死二、三塁の好機に、D1位・近本光司外野手(大阪ガス)が"チーム令和初安打"となる中前2点打を放って、逆転に成功。近本は二盗、三盗を決めて、続く糸原が右翼線にタイムリー二塁打で4-2と追加点。さらに大山の一塁線を破るタイムリーで5-2とした。  六回には打順が7番に下がっていた新外国人マルテが、菊池から左中間へ来日1号ソロを放ち、4点差。新外国人の"チーム令和1号"でリードをさらに広げた。  先発・才木は5回7安打2失点で今季2勝目。岩崎、守屋、ジョンソン、ドリスのリレーで締めくくった。阪神は平成から令和へ年号をまたいで4連勝で5割復帰。中日と入れ替わって3位に浮上した。

◆広島は11安打を放つも2得点に終わり、8連勝後に4連敗となった。緒方監督は「打線の流れを見て判断している」と不振の田中広を1番から8番、野間を1番に置くなど打順を組み替えたが、つながりに欠けた。  田中広は打撃で2安打と好材料を見せ「続けていきたい」。ただ、五回無死一塁でゴロをはじくなど守備での2失策に「足を引っ張ってしまった。僕が試合を壊してしまった。申し訳ない」と猛省した。

◆1日の広島戦(甲子園)の五回に逆転の中前2点打を放った阪神のD1位・近本光司外野手(大阪ガス)と1号ソロを放った新外国人のジェフリー・マルテ内野手(27)がお立ち台に上がった。以下そのやり取り  --五回、まだチームは無安打だったが、打席に入ったときの気持ちは  近本「ヒットが打てていなくて、シンプルにアウトコースを来た球だけを狙って打ちました」  --12試合連続安打。赤星憲広に並んだ  近本「あこがれの先輩に並ぶことができて、よかったです」  --その後は3盗塁の活躍  近本「いやー、やっと自分の武器がアピールできたかなと思います。頑張ります」  --マルテ選手は令和になったことは知っていましたか  マルテ「知っていました。きのう、聞きました。日本のそんな特別な日に打てて、チームも勝ってうれしいです」  --打ったときの感触、ベンチに戻るとサイレントトリートメントも待っていた  マルテ「チームがみんながいい仕事をしていたので、自分も打ちたいと思っていました。ああいう迎え方をされて、うれしかった」  --開幕からけがで1カ月間、ファームでした  マルテ「1カ月間は長かった。ファームの方にもお世話になった。これからファンにいいショーを見せられるように、頑張ります」  --平成の最後で勝って、令和の最初で勝って、すごくいい流れで来ている。盛り上げて締めてください  近本「令和でもチーム、ファン全体で戦って、頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました!」

◆広島の野村は四球からリズムを崩し、5回5失点で今季初黒星を喫した。平成元年生まれの野村にとって、令和初マウンドはほろ苦いものに終わり「ここ、というところで抑えられなかった」と声を落とした。  2-0の四回に3連続四球で走者をため、三ゴロの間に1失点。五回は先頭打者への四球、田中広の失策でピンチを招き、そこから一気に4失点で逆転を許した。「自分が四球で走者を出さなければ、ああいう形になってなかった」と責任を背負った。 広島・高ヘッドコーチ(4連敗に) 「無駄な四球やエラーが出ている。地に足を着けてやらないといけない」 広島・佐々岡投手コーチ(野村に) 「先頭打者への四球(がもったいない)。向こうのペースになる」

◆1日の広島戦(甲子園)を逆転勝ちで飾り、平成、令和と年号をまたいで今季初の4連勝とした阪神・矢野燿大監督は試合後、まず先発の才木ら投手陣をたたえた。  「才木も状態はそんなに悪くなかったと思うんですけど、2点で頑張ってくれましたしね。その後のピッチャーもよく行ってくれたんでね。いい試合になりました」  五回、逆転2点中前打に二盗、三盗を決めた近本については「本当にいい場面で打ってくれて、すぐに盗塁して、また次のチャンスを広げるところとね。守備も、あそこで刺してくれた(七回のバティスタ)のも大きいですしね。どれも素晴らしいプレーでね。これからも、こういうプレーをしてくれると期待しています」と話した。  貴重な追加点となった六回、マルテの1号ソロについては「3ボールから見事に打ちましたし、けがで出遅れた分、頑張ろう、やってやろうという気持ちはマルテ自身あると思います。いいキッカケにしてもらいたい。本人が一番、スッキリしたと思います」  絶賛したのは北條の送りバントだった。五回、先頭のマルテが四球、木浪が敵失で出塁し、無死一、二塁の場面で代打で登場。1球で三塁線に送りバントを決めた。  「もう本当ね。俺もバントは現役時代してきたけど、代打バントってめちゃくちゃ難しいからね。一発で決めているっていうのは流れをこっちに呼んだバントとも言えるし。本当試合の展開の中では地味なんだけど、すごく大きなバントやと思うし。あれ(近本の逆転打)を出したのは、北條ということも言えなくはないと思う。それぐらい価値がある」  5割に復帰で3位に浮上。2日の予告先発は好調岩田。貯金を狙う。

◆阪神の藤原崇起オーナー(67)=電鉄本社会長=が1日、「平成最後の日」に続いて「令和最初の日」も広島戦(甲子園)を観戦。2日連続の甲子園で逆転快勝を見届け、超ご機嫌だった。「きのう、きょうとおめでたい時に勝ててよかったです」。ルーキー近本の逆転打&盗塁、新外国人マルテの1号など見どころ満載の試合の感想を報道陣から求められると「みなさんに喜んでもらえてよかった」と満面の笑みで家路に就いた。

◆令和初戦の先発を任された阪神の才木が2勝目を挙げた。7安打を浴びながら5回2失点と踏ん張ると、代打を送られた五回に味方が4点を奪って逆転。「もっと長いイニングを投げたかったが、粘れたのはよかった」と振り返った。  三回は1死から3連打で2点を失ったが、150キロ超の直球主体に6三振を奪った。矢野監督は「状態はそんなに悪くなかった。よく2点で頑張ってくれた」と評価した。 矢野監督(逆転打の近本に) 「素晴らしい。これからもこういうプレーをしてくれると期待している」 糸原(五回に適時二塁打) 「追加点が欲しい場面だった。打ててよかった」

◆阪神のドラフト3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は1日、広島戦(甲子園)で送りバントできなかったことを反省した。「決めなきゃダメですね。やることをやらないといけない。それだけです」。1-2の五回無死一塁で送りバントを試みたが、ファウルで2ストライクと追い込まれてヒッティングに変更。結果的に相手の失策で一、二塁となったが喜べなかった。チームは今季初の4連勝も自身は無安打に終わり「明日は打ちます」と力強く誓った。

◆2日の広島戦(甲子園)に先発する阪神・岩田は1日、ダッシュなどで調整した。今季3試合目で初の甲子園登板にも「普通にやるだけです。考えていません」と平常心を強調した。完投勝利を含む1勝0敗、防御率2・40と安定感を発揮しており、長いイニングを投げてのリリーフ陣の負担軽減へ「それができたら最高です」と腕をぶした。

◆阪神の新外国人、ジョンソンは1日、広島戦(甲子園)で八回から登板。1回を無失点に抑えて、開幕から12試合無失点とした。「いわれたところで投げるだけなので準備していました」。2本の単打で2死一、二塁とピンチを背負ったが、小窪を初球のカーブで三ゴロに仕留めてスコアボードに「0」を刻んだ。「ここ最近はチームが一つになってみんないい仕事ができていると思うので、野球をやっていて楽しい」と笑顔で話した。

◆令和初戦を任された若虎が甲子園のマウンドでほえた。阪神・才木が1日、広島戦(甲子園)に先発し、5回7安打2失点。粘りの投球でしのぎ、2勝目を手にした。  「粘れたのはよかったけど、攻撃にリズムを持っていったり、中継ぎの方に負担をかけないピッチングができなかった」  まず反省が口をついた通り、先制点を与えてしまった。三回1死から野間に高めに浮いたカーブを左前にはじき返されると、続く菊池涼には左翼線へ適時二塁打。バティスタにも初球の内角直球を左翼線に運ばれ、2点目を献上。「ボール先行になったり、ファウルで粘られたり、カウントをうまく作れなかった」と振り返った。  それでも1-2の五回は意地をみせた。1死一塁から西川を外角低めのスライダーで見逃し三振に斬ると、会沢は外角低めの147キロの直球で空振り三振。持ち味の直球に変化球を織り交ぜ、追加点を与えなかった。  今季は開幕ローテ入りこそ逃したが、これで2戦2勝。勝利数は西、青柳、桑原と並びチームトップだ。登板機会2連勝はプロ初。五回に代打・北條を送られて103球で降板したが、矢野監督は「まだ行かせようと思っていたけど、打線があそこで打ってくれたので」と明かしつつ「投げた中で勝ちがついて、またいい意味で収穫と反省ができると思う」とさらなる成長に期待した。

◆阪神・梅野が1日、広島戦(甲子園)で令和チーム初打点を記録。四回の守備ではダイビングキャッチで先発・才木をもり立てた。  「自分が(才木を)引っ張っていこうと思って、サインする場面もあった。苦しんだのは、次のピッチングで生きてくるところもあると思う」  一回こそ三者凡退に抑えたが、三回には連打を浴びて2点を先行される苦しい展開。女房役の闘志が燃え上がった。四回1死一塁、広島・野村がバントを失敗した打球は一塁線へフワッ。一塁・マルテが猛ダッシュしても届かないような飛球に頭から飛び込むと、ミットを伸ばして懸命にキャッチ。ピンチの芽をつんだ必死のプレーが、そのまま攻撃につながった。  四回1死から3連続四球で満塁となって、打席へ。初球、外角高めのスライダーをとらえると、痛烈な打球は三塁線へ飛んだ。これは安部の好守に阻まれて二塁封殺とされたが、一塁に激走して併殺崩れの間に三走・糸原が生還。泥臭くつかんだ虎の令和初打点が反撃ののろしとなった。  「僕も勉強になる部分はあるし、やりがいのあるピッチャー。引き出せていけたらと思います」  今季初の4連勝という結果以上に、才木のさらなる可能性を感じたことに手応え。頼れる選手会長が、令和の虎をさらなる高みに引き上げる。

◆阪神・北條が1日、広島戦(甲子園)で逆転劇を演出した。五回無死一、二塁で才木の代打として登場。初球で三塁前に犠打を決め、一挙4得点へとつなげてみせた。「バントを決めることしか考えていなかった。あういう場面でしっかりできないと、ダメ」。5試合ぶりの出場だったが、送り出した矢野監督も「代打バントってめちゃくちゃ難しい。地味なんだけど、すごく大きなバント。あれ(近本の逆転打)を出したのは、北條ということも言えなくはない。それぐらい価値がある」と絶賛した。

◆阪神・糸原は1日、広島戦(甲子園)で貴重な4点目をたたき出した。3-2の五回1死三塁から野村の内角138キロを右翼線へ弾き返す適時二塁打。チームの4連勝に貢献し「勝てたことが一番よかったです」と声を弾ませた。4試合連続安打とバットも好調。新主将として、令和も先頭に立って引っ張っていく。

◆新しい時代『令和』が日本中で笑顔に包まれて幕をあけました。  しかし...少しヒンヤリとした雨空に包まれた甲子園はゲームができるのか...と思いつつ出社すると、編集局は意外に熱気に包まれていた。当番デスク野下俊晴はいつものようにブスッとしていたが、窓際の虎ソナ班の方がソワソワしていた。  甲子園の試合前の練習は室内となり...試合開始も30分遅らせて...令和の雨が気になりました。  なのに...この日、編集総括の局次長生頼秀基(整理部長)とわが運動部長大澤謙一郎は、このところタイガースが元気だから、やたら鼻息が荒い。こういうのを手の平返しというのでしょうか。そういう私めも思わずニヤリと笑みがこぼれてしまうのだ...。  「おい、今日勝ったら阪神は14勝14敗の勝率5割や!」。フムフム、それで中日が巨人に負けたら...「なんと阪神は3位に浮上するやん! 令和の奇跡や」とエスカレートしてきて、すっかり甲子園の外野席でビールを手にねじりはちまきの状態ですヮ。  -萱草(わすれぐさ) 垣もしみみに植えたれど 醜(しこ)の醜草 なほ恋ひにけり...  「忘れ草を垣根にびっしりと植えてみたら、これまでが(ちょっとうれしい好調ぶりが)思いだされてますます恋しくなった...」と阪神ファンの歌が万葉集にも取り上げられてマス(うそデス)。でも、少なくとも生頼局次長と大澤運動部長は早くからうるさかったんです。  その頃、トラ番キャップ大石豊佳は「室内での練習ですから、試合前は地味です。え、今日のキーマンですか? やはり近本選手でしょう。2001年の赤星憲広選手の新人連続試合安打の記録もかかっているし...」という。  ホントか? 相手は王者赤ヘルだぜ? といいつつ見ていたら、三回に3長短打で広島が先制。ホラみたことか...編集総括席と運動部長席はシーン...当番デスク席の野下はブスッとしたまま...。  と、すでに読者の皆さまは何度もスコアを穴があくほどごらんになったハズだから、突如として四回から野村投手が乱気流に突入して、それに近本のピチピチトレトレの生きの良さが火をつけ、広島らしからぬエラーも出て...さぁそうなると再び生頼、大澤のOOコンビが息を吹き返して「ウワォ! 次から次へとこんなに令和時代の初もの尽くしになるなんて!」「もう紙面のあちこち初だらけや!」とうるさいったらありゃしない。  実はこの新時代の初日は、当然ながら初記録が話題になる。それで編集局ではやじ馬みたいに「ワッ、これでは"初"という活字がなくなるッ」と整理部長兼務の生頼が少しも笑えないジョークをとばしていたけど編集局はてんやわんや。  だが、黙々と「初モノ尽くし」の時間をチェックしていたのは、最先端のキャップ大石豊佳なのだ。最後に彼は「こんなに緊張したのも初でした...」とホッ。これで猛虎は昭和も平成も初戦は白星。令和はいい時代になりそうな予感...。  しかし、急に強くなった虎諸君に令和の初万葉歌(巻六)を送っておく。  -前日(おとつひ)も昨日も今日(けふ)も 見つれども明日さへ見まく欲しき君かも...(最近毎日みている強い虎なのに、明日までみていたいあなたであることョ...)という意味です。

◆新時代『令和』の幕が開けた~!! そして、虎の夜明けの到来なのだ。  令和最初の一日に勝利して、わが阪神は見事に借金返済。令和の『令』=『レイ』=『(借金)0』。まさに、猛虎黄金時代のスタートを予言しているとしか思えない。  五回の初安打が新人・近本の逆転の2点タイムリーだったり(球団タイ記録の12試合連続安打)、六回には出遅れていた新外国人・マルテの初本塁打が飛び出したり...。これぞ、猛虎流の『新』にこだわったお祝いなのだ!! 日本も阪神も、佳き日を迎えられました。バンザーイ!! バンザーイ!!  に、しても...。この虎のたくましさは何だ? 3年連続セ・リーグ王者で試合巧者の広島相手に、今季4勝1敗という強さ。本日なんて、広島の11安打に対し、阪神はわずかに4安打...。それでも6-2と快勝するんだから、確実に何かが変わろうとしているのは間違いない。  さあ、若虎たちよ、新しき時代にキラキラとまぶしいくらいに輝く虎の歴史を作るために、牙をむけー!!

◆(TVインタビュー)  --逆転勝利で4連勝  矢野監督 「ワンチャンスというか、効率よく点が取れました。才木も2(失)点で頑張ってくれました。いい試合になりました」  --近本は走攻守で活躍した  「本当にいい場面で打って、すぐ盗塁して、また次のチャンスを広げるところとね。守備も、あそこ(七回)で刺してくれたのも大きい」  --プロ初の三盗も  「状況的にね。ただ足が速いだけで走ったという盗塁ではない。そういう部分でも価値ある盗塁だったと思います」  (記者の囲み取材)  --相手の隙を突く野球ができてきた。成熟している  「そんなに簡単に、成熟するとは思えないけど、1個1個が自信になっていくと思う。こういう野球を俺らはやっていくんだ...というものを、積み重ねていける。ウチは成長していかないといけないチーム。タイガースらしい試合ができるのが、これからの課題だし、挑戦するところ」  --元号が変わっての白星  「毎日勝ちたいと思って、もちろん俺らはやっているし。チームが(勝率)5割とかももちろんあるけど、いいピッチャー(野村)と、ウチの若い才木っていう対戦の中で勝てたっていうのも大きなとこやし、逆転で勝ったという部分も大きいし。本当に大きな1勝だと思います」

◆阪神の藤原崇起オーナー(67)=電鉄本社会長=が「平成最後の日」に続いて「令和最初の日」も観戦。2日連続の甲子園で連勝を見届け、超ゴキゲンだった。「きのう、きょうとおめでたい時に勝ててよかったです」。ルーキー近本の逆転打&盗塁、新外国人マルテの1号など見どころ満載の試合の感想を報道陣から求められると「みなさんに喜んでもらえてよかった」と満面の笑みで家路に就いた。

◆D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は犠打ができなかったことを反省した。「決めなきゃダメですね。やることやらないといけない」。1-2の五回無死一塁で送りバントを試みたが、ファウルで2ストライクと追い込まれてヒッティングに変更。結果的に相手の失策で一、二塁となったが、喜べなかった。チームは今季初の4連勝も自身は無安打に終わり「明日は打ちます」と誓った。

◆阪神は広島に6-2で逆転勝ちし、令和初戦を白星で飾った。D1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が五回、チームの令和初安打となる逆転2点打を放ち、3盗塁を決めるなど大活躍。12試合連続安打で球団の新人最多記録にも並んだ。  絶対に活躍を届けたかった。4月28日に大阪ガス野球部の前監督・竹村誠さんが胆のうがんのため、57歳でこの世を去った。入社へと導いてくれた恩人の訃報に、4月30日の広島戦(甲子園)の試合後、近本は「実はお通夜の方にいかせていただきました。僕ができることはこれから活躍していくことだと思う。そういうところを『見ていてください』と伝えました」と明かした。聖地の大歓声は、きっと天国の恩人にも聞こえたはずだ。

◆北條が逆転劇を演出した。五回無死一、二塁で才木の代打として登場。初球で三塁前に犠打を決め、一挙4得点へとつなげてみせた。「バントを決めることしか考えていなかった。ああいう場面でしっかりできないと、だめ」。5試合ぶりの出場だったが、送り出した矢野監督も「代打バントってめちゃくちゃ難しい。地味なんだけど、すごく大きなバント。あれ(近本の逆転打)を出したのは、北條ということも言えなくはない。それぐらい価値がある」と絶賛した。

◆糸原は3-2の五回1死三塁から野村の内角138キロを右翼線へ弾き返す適時二塁打で、貴重な4点目をたたき出した。チームの4連勝に貢献し「勝てたことが一番よかったです」と声を弾ませた。4試合連続安打とバットも好調。新主将として、令和も先頭に立って引っ張っていく。

◆令和最初の試合を任された若虎が甲子園のマウンドでほえた。先発した才木が5回7安打2失点。粘りの投球でしのぎ、2勝目を手にした。  「粘れたのはよかったけど、攻撃にリズムを持っていったり、中継ぎの方に負担をかけないピッチングができなかった」  まず反省が口をついた通り、先制点を与えてしまった。三回1死から野間に高めに浮いたカーブを左前にはじき返されると、続く菊池涼には左翼線へ適時二塁打。バティスタにも初球の内角直球を左翼線に運ばれ、2点目を献上。「ボール先行になったり、ファウルで粘られたり、カウントをうまく作れなかった」と振り返った。  それでも1-2の五回は意地をみせた。1死一塁から西川を外角低めのスライダーで見逃し三振に斬ると、強打者・会沢は外角低めの147キロの真っすぐで空振り三振。持ち味の直球に変化球を織り交ぜ、追加点を与えなかった。  今季は開幕ローテ入りこそ逃したが、これで2戦2勝。勝利数は西、青柳、桑原と並びチームトップだ。登板機会2連勝はプロ初。五回に代打・北條を送られて103球で降板したが、矢野監督は「まだ行かせようと思っていたけど、打線があそこで打ってくれたので」と状況次第で続投プランがあったことを明かしつつ「投げた中で勝ちがついて、またいい意味で収穫と反省ができると思う」とさらなる成長に期待した。  節目の試合での勝利に、才木は「チームもすごく勢いづく。意識しないようにしていたが、ちょっと力が入ったかな。反省して次回は投げたい」と前を見すえた。もっともっと大きくなって、令和の虎投を背負う存在になる。 (織原祥平)

◆扇の要のド根性が逆転劇を引き寄せた。四回、梅野が守備ではダイビングキャッチで先発・才木をもり立てると、攻撃では令和チーム初打点を記録。選手会長が反撃へののろしを上げて、勝利への道筋を示した。  「自分が(才木を)引っ張っていこうと思って、サインする場面もあった。苦しんだのは、次のピッチングで生きてくるところもあると思う」  一回こそ三者凡退に抑えたが、三回には連打を浴びて2点を先行される苦しい展開。女房役の闘志が燃え上がった。四回1死一塁、広島・野村がバントを失敗した打球は一塁線へフワッ。一塁・マルテが猛ダッシュしても届かないような飛球に頭から飛び込むと、ミットを伸ばして懸命にキャッチ。ピンチの芽をつんだ必死のプレーが、そのまま攻撃につながった。  四回1死から3連続四球で満塁となって、打席へ。初球、外角高めのスライダーをとらえると、痛烈な打球は三塁線へ飛んだ。これは安部の好守に阻まれて二塁封殺とされたが、自身は一塁に激走して併殺崩れの間に三走・糸原が生還。泥臭くつかんだ、虎の令和初打点だった。  「僕も勉強になる部分はあるし、やりがいのあるピッチャー。引き出せていけたらと思います」  今季初の4連勝という結果以上に、才木のさらなる可能性を感じたことに手応え。頼れる選手会長が、令和の虎をさらなる高みに引き上げる。

◆体がのけぞるほどド迫力のスイングと乾いたインパクト音に、甲子園がどよめいた。打球はぐんぐん伸びて左中間スタンドへズドン! マルテが来日初本塁打を虎令和1号というメモリアルなアーチで刻んだ。  「(改元のことは)知っていました。日本の特別な日に打てて、チームも勝ってうれしい。これからファンにいいショーを見せられるように、頑張ります」  来日初のお立ち台で、虎党の大歓声を浴びた。  無安打(1四球)で迎えた5-2の六回1死。3ボールとした2番手・菊池保の高め144キロをひと振りで捉えた。豪快な今季1号ソロを来日11打席目でかっ飛ばし、ダイヤモンドを一周して首脳陣とハイタッチも、ナインはシーン...。  アレッ? と思ったかどうかはわからないが、階段を降りてベンチに入ると同時にワッと囲まれて体中を叩かれる手厚い祝福。米大リーグではやりのサイレントトリートメントに「うれしかった。選手間でそういうことをするのは好きだよ」とはにかんだ。  3月のオープン戦中に右ふくらはぎの張りを訴えて実戦から離れたが、下は向かなかった。チームメニューとは別で上半身中心で慎重にウエートトレをこなし、復活に備えた。4月24日の2軍戦で復帰し、平成のうちに1軍へカムバック。そして待ちに待った1発だ。「ファームの方にもお世話になった」と感謝の思いもバットに込めた。  海の向こうにも吉報を届けた。米大リーグ・エンゼルス所属時代、同じドミニカ共和国出身のプホルスとドライブに出かけた。打率3割、30本塁打、100打点を10年間続けた大打者に車のキーを渡され「これ、あげるよ」と愛車をプレゼントされた。豪快な計らいに大感激。母国の英雄に何度もグッドニュースを届ければ、虎もそれだけ白星を積み重ねていける。  矢野監督は「チームにとってもそうですけど、本人が一番、スッキリしたと思います」と目を細め、1軍合流後に3連勝中のマルテも「自分がいる限り、全部勝ちたい。今も選手がチームになって集中できている。続けられるようにしたい」と力を込めた。くしくも平成最初の虎本塁打も助っ人のフィルダーだった。令和に目覚めた助っ人が、自慢のバットで勝利を呼び込む。 (新里公章) 六回に1号ソロを放ったマルテについて阪神・浜中打撃コーチ 「まだ3試合目だけど、結果として1本が出てほっとしたと思う」 ★歴史館で展示  甲子園で令和1号を放ったマルテのバットとホームランボールは、2日から甲子園歴史館での展示が決まった。大歓声やサイレントトリートメントでの祝福に「満足していますし、ファンの方にもいい1日になったと思います」と振り返った助っ人。節目の1発をきっかけに、一気に調子をあげていく。 ★阪神・平成初戦VTR  村山監督のもと、平成元(1989)年4月8日の広島との開幕戦(広島市民)が平成初戦。打線は先発・北別府の前に7回無得点に抑えられ、0-4で迎えた八回。先頭の佐野から中野、和田の3連打で満塁とすると代打・金森の2点打で逆襲開始。続くフィルダーが初アーチとなる3ランを左翼席にたたき込み、逆転に成功した。八、九回を無失点に抑えた中西が勝利投手。10年ぶりの開幕戦勝利だったが、このシーズンは5位に終わった。

◆令和の主役はキミだ! 阪神は広島に6-2で逆転勝ちし、令和初戦を白星で飾った。D1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が五回、チームの令和初安打となる逆転2点打を放ち、3盗塁を決めるなど大活躍。12試合連続安打で球団の新人最多記録にも並んだ。今季初の4連勝で借金を完済し、3位に浮上。令和は猛虎の時代や!  今季最多4万6563人が詰めかけた聖地を揺るがす地鳴りとともに、令和の虎が元気な産声をあげた。六甲おろしの中心は、逆転2点打のD1位・近本。令和初日に初めて立つ甲子園のお立ち台。振り返った黄色一色の景色は、格別だった。  「改めて、あんなに応援してくださっているんだ...と。まさか令和元年の最初に立てるとは思わなかったです」  チームは四回まで先発・野村の前に無安打だった。1-2の五回、四球に敵失が絡んで1死二、三塁。外角131キロスライダーに踏み込み、ライナーで中前に運ぶ2点打で試合をひっくり返した。平成6年生まれのルーキーが令和チーム初安打&適時打を放ち、堂々と左腕を突き上げた。  圧巻はここからだ。次打者・糸原の2球目に二盗を決めると3球目には三盗。糸原の二塁打で4点目のホームを踏んだ。七回にも二盗を決め、プロ初の1試合3盗塁。七回にはバティスタの中堅フェンス直撃の打球をストライク送球し、二塁を狙ったB砲を補殺した。チームを4連勝に導き、最大で「6」あった借金もこれで完済だ。  快音は止まらず、これで12連続試合安打。「憧れの先輩に並ぶことができてよかった」。2001年に赤星憲広がマークした球団新人記録に並んだ。走攻守で中心に立つルーキーに、矢野監督も「どれも素晴らしいプレー」と絶賛。現役時代にともに戦った赤星の記録に並んだことにも「抜けるときに抜いてもらって、どんどんプラスにしていってもらえたら」と背中を押した。  「新人王、盗塁王になれるように頑張ります」  昨年末、大阪ガスの納会。部員らの前ではっきりと目標を口にした。7月の都市対抗野球大会で橋戸賞(最優秀選手賞)に輝き、打撃部門の表彰がある度に壇上へ。この納会には現役引退する選手も出席する中、盃を交わして最後のひとときを楽しみ、プロの世界へと飛び込んだ。開幕から1カ月で肩を並べた虎の先輩・赤星は、ゲームの中でも憧れの存在だった。  「マジでそれやな...。確かに使ってたわ」  少年時代に遊んだ「実況パワフルプロ野球」でも、使っていたという偉大な先輩。「ウィリアムスとかも使ってたかな。めっちゃ強かった」。近本少年もプロ野球選手となり、4月から本人として同じゲーム内に登場した。現実世界でも、一歩ずつ憧れの存在へと近づいている。  「令和でもチーム全体で、ファン全体で戦っていきます! ご声援、よろしくお願いします!」  得点圏打率・429はセ3位。勝負強さで平成最後の勝利にも、令和最初の勝利にも貢献した。新時代に誕生した虎の新星は憧れすら飛び越え、歴史に足跡を刻む。 (竹村岳)

◆打って、走って、守って。すべてができないと世代のスターにはなれないが、近本はこの日の活躍で、スターへの階段を間違いなく1ステップ上がった。相手優勢の流れを止めて、引き寄せるプレーができる選手だ。  打撃で素晴らしいのは投手の状態、その時の状況などを把握して狙い球を決められること。五回の逆転打の場面。甘いコースには投げてこない野村の力を頭に入れ、カウント1-0から難しい外よりを狙って、それを見事に打った。決して簡単な球ではない。  連続盗塁も、決して動じない精神力があるからこそ。並外れた洞察力を持っている。野球の考え方がすでにプロレベルに達している。今の阪神の勢いは近本が引っ張っているといってもいい。  マルテの来日1号にも触れておきたい。結果として本塁打が出たことは今後、リラックスして打席に立てることを考えると大きい。ただし、難しいコースを強引に振りにいってのファウルでは右手が離れるなど、内容は「?」。この先、厳しい攻めをされたらどうなるか。まだまだ注視していく必要はある。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
17100 0.630
(↑0.015)
-
(-)
116133
(+5)
99
(+1)
36
(+1)
14
(+4)
0.267
(↑0.003)
3.440
(↑0.1)
2
(-)
ヤクルト
16121 0.571
(↓0.022)
1.5
(↓1)
114147
(+1)
130
(+5)
39
(+1)
11
(-)
0.255
(↓0.003)
4.170
(↓0.04)
3
(1↑)
阪神
14141 0.500
(↑0.019)
3.5
(-)
114115
(+6)
128
(+2)
22
(+1)
18
(+4)
0.240
(↓0.003)
3.740
(↑0.06)
4
(1↓)
中日
13140 0.481
(↓0.019)
4
(↓1)
11699
(+1)
90
(+5)
21
(-)
16
(-)
0.269
(↓0.002)
3.240
(↓0.08)
5
(-)
広島
12160 0.429
(↓0.015)
5.5
(↓1)
11593
(+2)
126
(+6)
24
(-)
11
(-)
0.228
(↑0.003
3.710
(↓0.03)
6
(-)
DeNA
11170 0.393
(↑0.023)
6.5
(-)
115110
(+5)
124
(+1)
34
(-)
5
(+1)
0.241
(↑0.002)
3.900
(↑0.11)