阪神(★4対12☆)巨人 =リーグ戦4回戦(2019.04.19)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:菅野 智之(3勝1敗0S)
敗戦投手:メッセンジャー(1勝2敗0S)

本塁打
【巨人】小林 誠司(1号・2回表3ラン),岡本 和真(7号・5回表ソロ),坂本 勇人(5号・8回表2ラン)
【阪神】木浪 聖也(1号・7回裏3ラン)

  DAZN
◆巨人は2回表、小林の3ランで先制する。その後、5回には岡本のソロ、8回には坂本勇の2ランが飛び出すなど、終わってみれば14安打で12得点を挙げた。投げては、先発・菅野が7回途中3失点で今季3勝目。敗れた阪神は守備の乱れもあり、投手陣が大量失点を喫した。

◆阪神-巨人戦はともに開幕投手を務めた阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)と巨人菅野智之投手(29)の投げ合い。両投手の先発対決は過去4度あり、結果はメッセンジャー3勝0敗と菅野に対して負けなし。今日はどちらに軍配が上がるか。

◆巨人小林誠司捕手(29)が、先制の1号3ランを放ち、同学年のエース菅野を援護した。2回1死一、二塁、阪神メッセンジャーのカーブを左翼席に運んだ。 甲子園初アーチに「しっかり振ることができました」とコメント。4回に右前打、5回にも中前打で固め打ちした。

◆巨人の岡本和真内野手が、2試合ぶりの7号ソロ本塁打を放った。5点リードの5回、阪神メッセンジャー投手の直球を強烈な打球で左中間の最深部に運んだ。 「先頭だったので、何とか塁に出ようと思っていました。いいホームランになってくれました」とコメントした。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が5回途中で6点を失い、降板した。2回1死一、二塁で、巨人小林に初球のカーブを左翼スタンドに運ばれ、3失点。 4回は田中俊、小林に連打を許し、1死二、三塁から遊撃・北條の失策などで2点を失った。5回は先頭の岡本に7号ソロを浴び、無死一、二塁のピンチを残して守屋と交代した。巨人菅野との開幕投手対決は、試合前半のメッセンジャー降板であっけない幕切れとなった。

◆阪神木浪聖也内野手(24)が、巨人のエース菅野からプロ1号を放った。0-6で迎えた7回2死一、三塁で菅野のスライダーを捉え、右翼ポール際に3ラン。右手でガッツポーズをつくり、会心の笑顔でダイヤモンドを1周した。 「チャンスで回ってきた打席だったので、がむしゃらに、思い切ってスイングしていきました」 木浪は前日18日のヤクルト戦で1回に空振り三振を喫した際、振り逃げを試みず、一塁に走らなかった。その次打席を迎えた3回に交代を命じられていた。 この日は先発メンバーから外れて6回の守備から出場していた。

◆巨人は小林誠司捕手が1号先制3ランを放つなど14安打12得点を奪う猛攻、投げてはエース菅野智之投手7回途中3失点の力投で3勝目。 小林は5打数4安打3打点の固め打ちであと三塁打が出ればサイクルヒットの大活躍。ヒーローインタビューは以下の通り。 -2回に先制の3ラン 小林 すごくうれしい気持ちですけど、チームが勝って良かった。 -どんな気持ちで打席に 小林 積極的にバットを振っていこうと思っていた。練習の成果が出て良かった。 -リードした菅野も3勝目 小林 反省点はいっぱいあるけど、援護したことがなかったので、それができて良かった。 -三塁打が出ればサイクルだった 小林 全く(そんな考えは)なかった。 -平成最後の伝統の一戦でカードの頭を取った 小林 始まったばかりなので、基本に戻って結果を出せるように練習したい。上位打線は調子がいいので下位が塁に出て上位に回せれば。粘り強く、しつこい打撃をしていきたい。

◆巨人が今季最多12得点で大勝。小林が2回の先制1号3点本塁打を含むプロ初の4安打と活躍した。菅野が7回途中3失点で3勝目。守備の乱れもあってメッセンジャーが崩れた阪神は、このカードは昨年から1分けを挟んで7連敗。

◆阪神メッセンジャーが5回途中8安打6失点でKOされた。 2回1死一、二塁で小林に先制3ランを献上。5回は岡本にソロ本塁打を浴びた。その直後に亀井の打球が右手付近を直撃。続くゲレーロに左前打を許したところで降板となった。右手に打球を受けた影響で、試合中に兵庫県内の病院へ向かった。診断結果の発表は20日以降になる見込み。球団関係者は「大事ではないと思います」と説明したが、不安が募る。

◆巨人坂本勇人内野手がバックスクリーンにダメ押しの5号2ランを放った。 7点リードの8回2死一塁、阪神桑原の真ん中に入ったスライダーを完璧に捉えた。4試合ぶりの1発にも「風にだいぶ助けられましたよ。その前のチャンスで打たないと」と好機での凡退を反省した。

◆10年ぶりに2番で先発した阪神糸井嘉男外野手が、猛打賞でベンチの起用に応えた。巨人菅野対策で組んだ超攻撃的オーダー。その肝が、日本ハム時代の09年9月12日ロッテ戦以来の2番に入った糸井だった。 1回は菅野から右前打で出塁。6回には二塁内野安打、8回には左腕高木から右翼手の頭を越える二塁打。守備のミスも多発し大敗した伝統の一戦で、自身今季初の3安打を放ち気を吐いた。 神宮からの移動日ゲームとなったこの日、糸井は甲子園での試合前練習に姿を現さず、室内練習場で調整した。試合前には「今着いたわー」などとジョークをいいながらベンチ入り。サプライズ起用にも超人は余裕たっぷりだった。だが、試合後は険しい表情のまま、沈黙を貫いた。8回には二塁走者として、大山の二塁打で本塁で憤死した。悔しさを、次にぶつけるしかない。

◆巨人原辰徳監督が勝ってかぶとの緒を締めた。 今季最多の12得点で圧勝するも「少し、残塁も多い。(相手に)やや助けられた部分もある」と振り返った。優勝した87年以来となる開幕から阪神戦4連勝とし「そうでしたか。明日、明後日とすぐに来る。しっかりと戦いたいと思います」と次戦以降に目をやった。

◆バットでエースを強力援護した。巨人小林誠司捕手(29)が2回に先制の1号3ラン。その後も右前打、中前打、二塁打と重ね、プロ初の4安打でチームを大勝に導いた。 規定打席には未達ながら、打率は3割6分1厘をマーク。菅野と同い年、平成元年生まれの女房役が存在感を示した。よいっしょ!っと小林が力強く持ち上げた。2回1死一、二塁。阪神メッセンジャーの初球に両腕を目いっぱい伸ばした。真ん中低めのボールゾーンに沈む大きなカーブをリフトアップ。「積極的に振っていこうと思った。練習の成果が出て良かった。バットであまり援護したことがないので、今日はそれができて良かった」と、浜風にも邪魔されず左翼席へ先制の1号3ランを放り込んだ。 平成元年生まれが平成の最後にギリギリ滑り込んだ。プロ入り後、甲子園139打席目で待望の初アーチ。試合前の時点で同球場の通算打率2割4分3厘と聖地との相性は悪くはない。キャンプ中から原監督から直接指導を受けるなど、課題の打撃向上に取り組んできた。黒土にまみれながらの全力プレーで甲子園に潜む"魔物"をものみ込んだ。2打席以降も安打を重ねてプロ初の4安打で大いに暴れた。 鍛え抜いたオフが価値ある1発へと導いた。社会人野球の日本生命の施設にこもり、単独でハードトレを敢行。例年以上にウエートトレを取り入れた。自主トレ中は堺市内の実家を拠点とし、朝夕は母親の手料理をほおばった。「鍋が多かったかな。やっぱり、おかあのご飯が一番おいしい。いろいろ気を使って作ってくれた。めちゃくちゃ食べましたよ」。栄養面満点の食事が肉体改造を助長した。 原監督も小林の打棒を大いにたたえた。「最初の3ランが非常にいいところで小林が打ってくれた。主導権をにぎれたのが良かった」と8番打者の1発を勝因に挙げた。「コーチも監督もキャンプからずっと教えてくださったので、打ててよかったです。下位が塁に出て上位につなげばなんとかなる。粘り強くしつこくいけるようにしたい」と小林。恐怖の8番打者が目を覚ました。【為田聡史】

◆元号をつなぐ大エースが平成最後の3連戦となる「伝統の一戦」の初戦をとった。巨人菅野智之投手(29)が6回2/3を3失点でリーグトップタイの3勝目。序盤から危なげない投球内容で虎打線を沈黙させながらも、6点リードの7回に3ランを浴びた。17年8月19日DeNA戦以来、608日ぶりにイニング途中での悔しい降板。平成元年生まれの菅野、平成最後の甲子園マウンドは新時代「令和」への続きを含ませた。唇をかみ、菅野はゆっくりとマウンドから降りた。6点リードの7回2死一、三塁、阪神木浪に3ラン。新人からは初被弾で6回2/3を3失点、118球で戸根にバトンを渡し、自身608日ぶりにイニング途中で降板した。「それは、そうですね」。報道陣の「投げきりたかったか」の問いに即答した。 マウンドで「なぜ」を追求し、阪神打線を封じた。1回終了後、投球時に感じた阪神打線の反応を自己分析した。「もう少し変化球マークかなと思ったんですけど、真っすぐ対応できていた」。2回以降は要所で変化球を有効に利用。7奪三振中、5個を変化球で奪った。「全球種、だいたいコントロールできた」。洞察力を投球術の高さで再現し、リーグトップタイの3勝目をたぐり寄せた。 「全てが野球に通じる」の信念を持ち、私生活でも「なぜ」を追求する。1月のハワイ自主トレ中、後輩の中川、宮国、桜井とすしを食べに出掛けた。食事中、椎茸(しいたけ)の握りを注文。隣に座る桜井と椎茸の名前の由来に話題が及んだ。答えがわからず、「それで終われば、あいまいなまま。『なぜ』と思ったら、答えを見つけないと」と宿題にした。 翌日、スマホで検索した桜井から、2つの答えを聞いた。1つ目は「椎の木に育つ茸」。2つ目は季節に関係なく、1年間収穫できることから「四季茸」と呼ばれ、それが変化して「しいたけ」になったというものだった。「こういう姿勢が、大事なんだよ」。菅野の言葉を聞いた後輩3人は体現し、今、1軍のブルペンで待機する。 平成最後の「伝統の一戦」3連戦の初戦を白星で飾った。力感のないフォーム、高めでの勝負。今年も自らに課した課題をクリアする。「もうちょいですね。でも、やりたいことはできています」。次回は中5日で25日のヤクルト戦(神宮)。平成最後の登板を白星で締め、新たな元号「令和」に向け、エースはもっと進化する。【久保賢吾】

◆阪神ドラフト4位の斎藤友貴哉投手(24=ホンダ)が巨人戦で無失点デビューを飾った。17日に初昇格したばかりの背番号48は、3番手でマウンドへ。3四球を出したが、重量打線相手に2回1安打無失点と踏ん張った。 7回は先頭の田中俊に四球、小林に二塁打を許し無死二、三塁のピンチを招くも、後続を3者凡退。「0点(に抑える)というのは中継ぎにとって大事なことだと思うので、そこに関しては良かった」。最速は151キロをマーク。「あがってしまって、ストライクを取れる球がなかなかなくて、変化球を投げられなかった」。そう振り返ったが、走者を背負っても動じず、真っすぐを押し込んだ。 妻子持ちながら、1年目は野球に集中するため"単身赴任"で入寮を決意。2月のキャンプは近本やホンダ同僚、木浪とともに1軍の沖縄で過ごした。キャンプ後は2軍に合流となったが、武器の直球に磨きをかけ、変化球の精度を高めながらこの日を待っていた。 初登板が伝統の一戦。「見渡す限りお客さんがいて、緊張してあがってしまった。次からは緊張感を力に変えて、どんどんやっていきたいと思います」。初々しくも頼もしかった。【磯綾乃】

◆巨人菅野智之投手が今季3勝目を挙げた。7回に新人の木浪にプロ1号を献上したが、菅野が新人に1発を浴びたのはプロ入り初めて。 今季の失点はソロ本塁打4本と3ラン1本の7点と、すべて1発による失点となった。これで菅野の阪神戦は通算27試合に登板して14勝7敗、防御率1・65。平成の巨人-阪神戦は768試合目だったが、平成のこのカードで通算100イニング以上投げた両軍投手の中では槙原(巨人)の1・81を抑えて菅野の1・65が最高防御率になっている。

◆甲子園が、伝統の一戦が泣いている。阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。20日にも最下位転落の危機に陥り、猛虎の意地が試される。神宮で演じた1試合5本塁打の勢いが消えた。平成最後の巨人3連戦の第1戦は、平成最悪の悲劇になった。序盤の大量失点が響いて、追撃むなしく大敗...。開幕から巨人戦は●●●●が並ぶ。4戦4敗スタートは87年までさかのぼる。昭和62年以来、実に32年ぶりの悪夢になってしまった。 反撃ムードは一気にしぼんだ。3点差に迫った8回だ。桑原が山本に右中間適時三塁打を許して2点を失い、小林の飛球を中堅近本が落球適時失策、坂本に2ランを被弾...。6失点。大観衆はぞろぞろと席を立った。今季の巨人戦4試合で37失点の惨状だ。敗戦後、矢野監督も険しい表情で振り返った。「ジャイアンツと戦う意味では、投手がやっぱり頑張っていかないと」。苦渋の色がにじんだ。 勝負手で難攻不落の菅野に立ち向かった。昨季は6試合で3敗(2勝)し、防御率1・98に抑えられた。2番に糸井を置くサプライズオーダー。6点を追う6回は2死後、糸井の内野安打から一、二塁の好機を築くが、前日2本塁打の大山が菅野の外角低めスライダーに空を切った。同じく神宮で2打席連発の中谷を3番に入れ、昨季、菅野にアーチを浴びせた陽川を2軍から招集して7番で先発させたが、実らなかった。 打てない上に守れない。致命傷は遊撃北條の2失策だった。3点ビハインドの4回1死二、三塁。前進守備を敷き、北條がゴロを捕る。だが、本塁送球がそれて梅野が三塁側に身をよじらせる。その間に三塁走者田中俊の生還を許してしまった。その直後の一、三塁で丸の打球は二塁正面へ。4→6→3の併殺コースだったが、北條が一塁に悪送球...。いたずらに失点を重ね、勝機は遠のいた。 矢野監督も手厳しく振り返る。「全部、点になったんかな...。みんな普通に投げていればというところ。北條の2つはもちろん、そう。近本の落球もね。ああいうミスをして、流れがこっちに来ない状況になってしまう」。今季最多の12失点。昨季、大苦戦した甲子園で今年も2勝5敗だ。借金は再び今季最多タイの4個に増えた。あぁ、聖地が泣いている。【酒井俊作】

◆阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。阪神藤本敦士内野守備走塁コーチ(北條の2失策に)「下半身が使えていない。1つめ(の失策)をやったから、2つめで力が入って自分のバランスで(処理)できなかった。乗り越えていかないといけない」

◆阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。阪神近本光司外野手(8回にプロ初失策)「余裕がないかなというのが、今ある。もうちょっと実戦の感覚が大事かなと思います」

◆阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。阪神筒井壮外野守備走塁コーチ(8回に近本が落球失策)「言い訳できない。結果がすべて。1つのプレーであそこまでになるのを真摯(しんし)に受け止めてやっていくしかない」

◆阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。阪神北條史也内野手(2つの適時失策に)「試合に出させてもらっていて、ああいうプレーをしてチームとランディ(メッセンジャー)に迷惑を掛けてしまった。これからもっと頑張ります」

◆阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。▼阪神が巨人戦でシーズン初戦から4連敗したのは、2009年(平21)に1分けを挟み4連敗して以来、10年ぶり。今季のように4戦連続の敗戦となると、1987年(昭62)の7戦7敗以来32年ぶりで、平成唯一となった。

◆菅野との投げ合いでCSを含めて5戦4勝0敗だった阪神メッセンジャーが、5回途中8安打6失点でKOされた。 2回1死一、二塁で小林に先制3ランを献上。5回は岡本にソロ本塁打を浴びた。その直後に亀井の打球が右手付近を直撃。続くゲレーロに左前打を許したところで降板となった。打球を受けた影響で、試合中に兵庫県内の病院に直行。その後球場に戻ると、右手を処置した様子もなく、普段通りに帰途に就いた。球団関係者は「大事ではないと思います」と説明。診断結果の発表は20日以降となる見込みだ。

◆甲子園の夜空を、阪神木浪が思い切り殴った。ライトポール際への着弾を見届けると、右拳をグッと突き上げる。堪えていた感情が爆発した。 「チャンスで回ってきた打席だったので、がむしゃらに思い切ってスイングしていきました」 6点を追う7回2死一、三塁で、打席が巡ってきた。内角にきた129キロスライダーを強振。プロ第1号は球界を代表する投手・菅野からの3ランだ。寒空の甲子園で、新顔が唯一の見せ場を作った。「初めてのホームランだったので、素直にうれしかった。(菅野から)打てたのは誇りに思う」。表情には出さないが、内心は必死だったに違いない。 18日に"懲罰交代"を受けたばかりだった。初回にワンバウンドのフォークを空振り三振。だが、振り逃げを試みず、一塁へ走ろうとしなかった。矢野監督は「やることやらん選手とか、諦めるような選手を使いたくない」と鬼采配でベンチへ下げた。ワンプレーを全力で取り組めなかったことに反省は尽きなかった。 「自分が悪かったので。使ってくれた監督に感謝したい。結果が残せてよかったです」 遠く離れていても、家族はいつも味方だ。18日の試合後に携帯電話を見ると地元・青森からLINEが届いていた。「何か失敗した後にはチャンスが来るもの。菅野はコントロールが良いから、フルスイングしたら(本塁打が)あるかもよ!」。父・弘二さん(51)からだった。背中を押すメッセージが見事に的中した。その言葉を信じて振ったからこそ、打球は伸びた。心から支えてくれる家族へ恩返しを-。記念のボールは両親にプレゼントだ。 指揮官も「菅野から打ったのは自信になると思う」と、この日の1発を認めた。9回にもライトの頭上を越す適時二塁打を放ち、全4打点をマーク。懸命に取り組めば、ミスは取り返せる。その気迫が、木浪にはある。【真柴健】

◆19日の巨人戦(甲子園)に先発する阪神・メッセンジャーは18日、チームには帯同せず、兵庫・西宮市内の鳴尾浜での球団施設での残留練習に参加。キャッチボールなどで汗を流した。巨人とは今季初対戦となるが「特に意識することはない。やることをやって相手を抑えられるようやっていきたい」と力を込めた。巨人には昨季4試合に登板、1勝2敗と負け越しているが、甲子園では今季初、平成では最後の伝統の一戦。初戦で勝利をつかみ取りたい。

◆阪神は19日、巨人戦(甲子園)に大幅な打順変更で臨み、糸井が阪神では初めて、日本ハム時代の2009年以来10年ぶりとなる2番に入った。一回1死の第1打席では、菅野から右前打。得点にはつながらなかったが、さっそくチャンスメークした。  また中谷が昨年6月23日以来の3番に入り、1軍昇格したばかりの陽川が「7番・一塁」でスタメン出場した。

◆巨人・小林誠司捕手(29)が19日、阪神4回戦(甲子園)に「8番・捕手」で先発出場。二回1死一、二塁の1打席目に左翼席へ先制1号3ランをたたき込んだ。  相手先発・メッセンジャーが投じた1球目、109キロのカーブをすくい上げた。今季32打席目で初アーチ。先発したエース・菅野を援護する一発となり、何度も手をたたいて喜びを表現した。

◆阪神・北條史也内野手(24)が19日の巨人戦(甲子園)に「8番・遊撃」で出場したが、致命的な連続失策を犯した。  3点ビハインドの四回1死二、三塁。坂本勇が放ったゴロを処理し、三走の本塁生還を防ごうとしたが、本塁送球が浮いてしまい、田中俊が生還。さらに一、三塁から、丸の二ゴロで阪神サイドは4-6-3の挟殺プレーで切り抜けようとしたが、北條の一塁送球が悪送球となり、もう1点を追加された。  足を引っ張られる形となったメッセンジャーは五回先頭・岡本にソロアーチを浴びるなど、五回途中6失点で降板した。

◆阪神のランディ・メッセンジャー投手(37)が19日の巨人戦(甲子園)に先発し、五回途中6失点(自責4)でKOされた。  二回、小林に3ランを浴びて先制を許すと、四回には遊撃・北條が続けて送球ミスする2失策で2点を献上。さらに五回には先頭・岡本に左中間スタンド中段に運ばれる特大ソロで6点目を失うと、亀井、ゲレーロに連打されたところで降板した。  巨人の先発は菅野で、ともに開幕投手をつとめたエース対決。阪神は糸井を日本ハム時代の2009年以来10年ぶりとなる2番に起用するなど、大幅に打線変更して対策したが、五回まで2安打無得点。これまでの投げ合いは4戦でメッセンジャーが3勝0敗だったが、序盤はあまりにも対照的な内容になった。

◆巨人・岡本和真内野手(22)が19日、阪神4回戦(甲子園)に「4番・一塁」で先発出場。5点リードの五回先頭で、左中間席への7号ソロをたたき込んだ。  「先頭だったのでなんとか塁にでようと思っていました。いいホームランになってくれました」  相手先発・メッセンジャーが投じた2球目、138キロの直球を一閃。昨季、打率・404、8本塁打を記録した得意の阪神戦で、2試合ぶりの一発を放った。

◆阪神のD3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=が19日の巨人戦(甲子園)で日本を代表するエース菅野からプロ初本塁打となる3ランを放った。  「チャンスで回ってきた打席だったので、がむしゃらに思い切ってスイングしていきました」  木浪は0-6の六回表の守備から出場。七回2死一、三塁で打席に入り、カウント0-1からの2球目、内角129キロスライダーを振り抜き、右翼席へ放り込んだ。それまで甲子園は完敗ムードだったが、プロ38打席目での一発で反撃のノロシをあげた。

◆阪神は19日の平成最後の巨人3連戦の初戦(甲子園)で、3失策と守備の乱れも目立ち、4-12で完敗。これで開幕からの巨人戦は4戦全敗となった。  菅野のエース対決となったメッセンジャーが二回、小林に3ランを浴びて先制を許すと、四回には遊撃・北條が続けて送球ミスする2失策で2点を献上。さらに五回には先頭・岡本に左中間スタンド中段に運ばれる特大ソロで6点目を失うと、亀井、ゲレーロに連打されたところで6失点KO。  打線は糸井を日本ハム時代の2009年以来10年ぶりとなる2番に起用するなど、大幅に変更。途中出場のドラフト3位・木浪(ホンダ)七回に菅野からプロ初本塁打となる3ランで3-6としたが、八回に登板した桑原が味方の失策も絡み、坂本勇に2ランを浴びるなど大量6失点。木浪は九回にも適時二塁打を放ち、4打点の活躍も及ばなかった。

◆阪神・矢野燿大監督は19日の巨人戦(甲子園)で4-12で大敗。3失策が失点につながり、試合後は「改善していくしかない」と淡々とした口調で振り返った。  --守備のミスが痛かった  「全部点になったんかな? もちろん反省してうまくなっていって、改善していくしか」  --北條も普通に投げられていれば  「もちろんみんな普通に投げていればっていうとこ。北條の2つはもちろんそうだし、近本の落球もね。もちろん反省すべき点は改善していかないと。ああいうミスをして、流れがこっちにこない状況になってしまうのでね。うまくなるように練習を頑張っていきます」  --打線変更。糸井2番はカンフル剤としての意味も  「いやいや、自分の中で考えはあるんだけど。それはみんなに言えるような(ことではない)。作戦とかいろんな状況のことなんで、いえることじゃないけど。カンフルとかそういうとではないんだけど」  --メッセンジャーの失点が大きかった  「もちろん、相手は菅野やしね。三振で切り抜けた後の初球やったしね。まぁ風にも乗ったし、どうしてもフライが欲しいところでフォームゆるんだかなっていのもあるけど。もちろんランディに頑張ってもらってという試合になると思ってたので。あそこで3点というのは苦しい展開になったと思うから。ピッチャーがね、頑張っていかないと」

◆阪神のドラフト4位新人、斎藤が六回にプロ初登板した。巨人打線に対して2回を1安打無失点。3四球を出したが、最速151キロの直球で押し「中継ぎではゼロというのが大事。そこに関しては良かった」と誇らしげだった。  山形中央高から桐蔭横浜大、ホンダを経て入団した投げっぷりの良さが持ち味の右腕投手。七回のピンチは、あと1本を許さなかった。「次は緊張を力に変えていきたい」と力強かった。

◆巨人の菅野は援護にも恵まれ、ストライクゾーンに次々と投げ込んだ。6安打を浴びても7奪三振。3勝目を挙げ「やりたいことはできた。低め低めに投げられた感じはあった」と、一定の手応えを口にした。  それでも、七回に阪神新人の木浪に3点本塁打を許し、118球で途中降板になったことには「詰めが甘かった。もう少しでしたね」と反省。原監督は「また次につなげるということでいい。(降板は)球数というのもあったし、戦略の一つ」と説明した。

◆阪神のランディ・メッセンジャー投手(37)が19日の巨人戦(甲子園)の五回に亀井のライナー性の打球が右手に直撃し、試合途中で兵庫県内の病院へ向かった。病院では患部のレントゲンを撮影。詳細は20日に発表される。  この日は二回に小林に3ランを浴びるなど踏ん張れず。五回は右手に打球が直撃した後も投球を続けたが、続くゲレーロにも左前打を浴びたところで降板した。終わってみれば4回0/3を8安打6失点。2敗目(1勝)を喫した。

◆阪神のD4位・斎藤友貴哉投手(ホンダ)が19日の巨人戦(甲子園)でプロ初登板し、2回1安打無失点。六回からマウンドに上がり、走者を出しながらも、最速151キロの直球で踏ん張った。  伝統の一戦での初マウンドに「真っすぐで押せたことはよかったです。お客さんがたくさんいて、緊張してあがってしまった部分はありました」と初々しく振り返った。

◆阪神が19日の巨人戦(甲子園)で4-12と大敗。4万2364人が詰めかけた甲子園はため息...。大阪府池田市の山本玲くん(6)=小学生=は「ことし甲子園に来るのは3回目だけど、全部負け。いっぱい打って勝つところが見たい」と残念そう。奈良市の伊藤信行さん(70)は「打つか、抑えるかしないと。野手は打てる選手か、守れる選手かを徹底して使い続けるべき」と力説した。また大阪市の篠原里歩さん(27)=会社員=は「木浪くんのホームランが出た時は逆転できるかもと」、大阪市の大野修吾さん(19)=大学生=は「(近本と)2人とも甲子園でホームランを打てるのはすごい。もっとスタメンで使ってほしい」と"キナチカ"に期待を寄せた。

◆男には負けてもうれしい夜があるんやー!! 近本、木浪の今年生まれた2匹の虎は、正真正銘牙をむく野生の虎やー!!  「な、なんでやねん!? 前夜のヤクルト戦で3号アーチと2ベースを打っているのに、なんでスタメン外されるんや!?」の思いをバットで示した七回の代打ヒットの近本!! ほえたでしょー!!  もう一匹の野生の虎は、またえげつなく鋭い牙を持ってたよー! の木浪。こちらは前日、振り逃げで走らなかったことが矢野監督の怒りにふれて2打席目で代打を送られたその無念を胸に、本日プロ初ホーマーの3ランを日本の大エース菅野相手にガブリとかみついた上に、阪神の全得点をあげる。ええでエ! ええでエ! の武者ぶるいさえ誘う反骨心!!  ルーキーが牙をむいたのにエースのメッセ、8番・小林に先制3ランを許して恥ずかしくないんかア!? 守備の要のショートを任されているのに2エラーの北條よ、悔しくないんかい!? そして宿敵・巨人に開幕から4連敗...このままでもいいんかい、猛虎軍団!? 平成最後の伝統の一戦、何があっても勝てよ!!  ちなみに昭和最後の一戦(63年)も1-9で大敗してるんだよ。その歴史を変えろー!!

◆"挫折"を味わって、そこから...。  「つまらないものですけど、お土産です」  ポップコーンとチョコレートパイを山のように抱えて、デスク白石大地が2週間ぶりに出勤してきました。一足早い大型連休? ではありません。新聞社にゴールデンウイークなど存在いたしません。ゴルフ担当も兼ねる白石は米男子ゴルフ「マスターズ」の取材で7日から17日まで米国に出張。タイガー・ウッズの完全復活V、14年ぶり5度目のマスターズ制覇を見届けてきたのです。  「いいものを見させてもらいました。今も興奮が残ってます」  大会中、松山英樹にはなんとかついて回れた白石ですが、ウッズについて歩くのは不可能だったそうです。  「ギャラリーがいっぱいで人の頭しか見えないんです。"雰囲気"だけを確認にコースにときどき出て、プレーはモニターで見ていました」  メディアセンターの雰囲気もすごかったらしい。最終日を首位でスタートしたモリナリ(イタリア)が12番で"池ポチャ"してタイガーが2打差を追いつくことになった瞬間、拍手をしてしまった米国の記者が何人もいたそうです。  「全英オープンに3度、全米プロにも3度取材にいきましたが、あんなことは初めてです。ほかの選手はやりにくかったと思います。それだけ応援されている中で、期待に応えて優勝するタイガーもすごい。一番印象深いメジャー大会になりました」  そんな話を聞きながら本日の当番デスク(CD)堀啓介や紙面総括のレース部長土井高志らと一緒に「オーガスタ」の袋に入ったチョコパイをほおばって、『日本のタイガー』にエールを送りながら甲子園の試合を見守ったのです。  「TG戦で僕が一番印象に残っているのは、巨人のガルベスが審判員にボールを投げつけた試合(1998年7月31日、阪神○6-1)です。三塁側で見ていました。大豊さんに2本、坪井さんにもホームランを打たれて、ガルベスがいらいらしているのが、僕にもわかりました」  平成最後のTG3連戦の取材の応援に駆けつけていたデスク阿部祐亮は当時中学1年生でした。もう一人、応援取材の三木建次は「俺もその年。98年の4月下旬の土曜日。一回に9点取られて、大敗(4月25日、阪神●2-13)した試合や」。  三木は当時、夕刊フジの阪神担当で、夕刊フジは土曜日が休み。「自分でチケットを買って」家族サービスでスタンドで観戦していたのです。で、あまりの大敗にわーわー騒いでいると、他紙の若い記者が"同業者"と気づかずに三木に『ファンの声』を取材にきて、「茨木市在住、会社員 33歳」と名乗った三木は「金返せ~!!」と一言。翌日のそのスポーツ紙の大きな見出しになりました。  2人とも「一番印象深い」のが、いい試合じゃないのが悲しい。そしてこの日も...。ただ、新人木浪にプロ1号が飛び出しました。好投していた菅野を6回2/3で降板に追い込む3ラン。しかも、前日の"懲罰交代"の汚名返上の一発です。  20日は、この日はサブデスクだった白石が当番デスクです。米国で、タイガーのパワーをたっぷり浴びてきた男に、流れを変えてもらいましょう。

◆--守備のミスが  矢野監督「全部点になったんかな? 反省してうまくなっていって、改善していくしか...。反省すべき点は改善して。ああいうミスをして、流れがこっちにこない状況になってしまう。うまくなるように練習を頑張っていきます」  --糸井2番はカンフル剤としての意味も  「いやいや、自分の中で考えはあるんだけど。カンフルとかそういうことではない」  --七回の3点でムードが傾きかけたが  「ああいうところで抑えれば流れはくる。クワ(桑原)もちょっといい状態じゃないのでね。まぁ、まだまだ(シーズンは)あるんで」  --八回の糸井の走塁死は難しいところ  「難しいっていうか...嘉男(糸井)がああいう形っていうのは、なかなか...。ワンアウトやったよね。そういうのも含めて改善していきます」

◆岡本が五回先頭で、左中間席へ7号ソロをたたき込んだ。ここ5戦4発と好調の主砲は広島・鈴木と並び、本塁打はリーグ1位になった。昨季は打率・404、8本塁打を記録した得意の阪神戦で大きなアーチを描き、「先頭だったので、何とか塁に出ようと思っていました。いいホームランになってくれました」と笑みを浮かべた。

◆6点リードの八回2死二塁から、阿部が代打で登場。桑原の5球目を中前に落とす適時打で試合を決定づけた。今季はここまで代打で7試合に出場しているが、6打数4安打で驚異の打率.667。40歳のベテランは「風だよ、風。風が押してくれた。初戦を取れたので、またあした(20日)も頑張ります」とほほ笑んだ。

◆阪神・陽川尚将内野手(27)が19日、出場選手登録され、巨人戦に「7番・一塁」で先発出場。菅野から昨季3打数2安打と好相性だったが、3打数無安打に終わった。  代わって山崎憲晴内野手(32)が登録抹消された。

◆木浪のホンダ時代の恩師・岡野勝俊監督はテレビで観戦。木浪の本塁打の瞬間もしっかりと見届け「すごいうれしそうでしたね。シーズンに入って警戒されていましたけど、ホームランが出たのはいい兆しだと思います」とひと安心。社会人時代を振り返り「悩んでいるときとかも、あそこまで感情を出すことはあまりなかった」と満面の笑みの教え子に驚いていた。

◆阪神のランディ・メッセンジャー投手(37)が19日の巨人戦の五回に、亀井の鋭いライナーを右手に当てた。続くゲレーロにも左前打を浴びて4回0/3を8安打6失点で降板し、試合途中に兵庫県内の病院へ。患部をレントゲン撮影した。詳細は20日に発表される。  この日は二回に小林に3ランを浴びるなど踏ん張れず、悔しい2敗目を喫した。

◆10年ぶりの「2番」で糸井が気を吐いた。どんなに劣勢でも、懸命に出塁し、長打も放った。指揮官の大胆起用に、超人らしいつなぎで応えた。  「...」  今季初の3安打でも、結果が大敗では糸井に語れることはなかった。無言でクラブハウスへと続く階段を登っていった。  チームの今季19戦目。矢野監督はここまで13通りのオーダーを組んできたが、14通り目で、これまで福留の休養日以外では不変だったクリーンアップを、ついに変えた。何としても菅野を打ち崩そうと、前日18日のヤクルト戦(神宮)でそろって2打席連続本塁打を放った中谷、大山を3、4番に。そして、その前に糸井が入った。  2番を打つのは日本ハム時代の2009年9月12日、ロッテ戦(札幌ドーム)以来、3506日ぶり。超人は、それでもいきなり適応する。一回1死で右前打すると、0-6の六回2死でも二塁内野安打で菅野からマルチ安打だ。  9点を追う八回は高木から右越え二塁打。その後、大山の左中間フェンス際への当たりで、中堅手・重信が捕球できずに二塁打となったのを確認してから本塁を狙うも、憤死。矢野監督から「ハーフウエーでも嘉男(糸井)の足やったら、もちろんかえってこないとあかんと思う」と苦言を呈されたが、大敗でも「恐怖の2番」ぶりは際立っていた。  今季初実戦となった3月16日の西武とのオープン戦(甲子園)では「3番」に入り初安打。その試合後に「僕は2番がいいです。ガチ(本気)って書いておいて」と報道陣を通じて冗談ともつかない"アピール"をしていた。「つなぎ役」の枠に収まらない「強打の2番」は、近年の球界のトレンドでもある。ひと月を経て実現した形だが、矢野監督は「自分の中で考えはあるんだけど。それはみんなに言えるような(ことではない)。作戦とかいろんな状況のことなんで」と、真意はベールに包んだ。  敗れはしたが、虎打線がつながり、希望をつないでいくための、大きな選択肢が備わった。 (長友孝輔)

◆巨人・菅野智之投手(29)は19日、阪神4回戦(甲子園)に先発し、6回2/3で118球を投げて6安打3失点。今季3勝目(1敗)を挙げた。七回にドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=に3ランを浴びて降板したが、虎打線に的を絞らせず7奪三振。次回は中5日で25日のヤクルト戦(神宮)に先発予定だ。  エースが勝利への流れを作った。菅野は七回途中まで6安打3失点で、同僚の山口と並びリーグトップの3勝目。試合後は冷静に振り返った。  「力感なく投げられたと思いますけど、ちょっとツメが甘かったなと。でも、やりたいことはできている。全球種をだいたいコントロールできていたので」  臨機応変に対応し、序盤から順調にアウトを重ねた。「変化球マークできているのかなと思ったけど、真っすぐ対応できていたので、変化球をうまく使えたかな」。七回2死一、三塁から途中出場のルーキー、木浪に右越え3ランを被弾。この時点で球数が118に達していたため降板となったが、平成最後となる「伝統の一戦」3連戦の初戦で勝利を呼び込んだ。  変化がなければ、進化はない。昨季、2年連続で沢村賞を受賞するなど圧倒的な成績を残しても「変化をしないで、現状に満足することが一番怖い」と前だけを見続ける。今春のキャンプからは無駄な力が入らないように、力感のないフォームを追求。さらに...。今年からは試合前練習でのキャッチボールをやめ、試合直前にだけ行う調整法へと変更した。  「ビジターの時は時間がないから。マッサージをする時間とか」。ここまで4試合に登板し、ビジターが3試合。前回は本拠地・東京ドームでの登板だったが、新しい調整法を崩さなかった。次回登板は中5日で25日のヤクルト戦(神宮)の予定。最善の調整で最高の投球を見せる。  女房役・小林の活躍にも感謝しながら「とりあえず、カードの頭を取ることができてよかったです」。エースが今年も勝利を呼ぶ。 (赤尾裕希) 菅野について巨人・原監督 「打たれない方がいいけど、プロの選手はそうそう抑えられない。次につなげればいいと思います」

◆伝統の一戦で、またしても負の歴史が刻まれた。平成最後となる巨人3連戦は、甲子園で屈辱の大敗で幕開けだ。投壊に守乱で、平成初、32年ぶりのG戦開幕4戦4連敗。矢野監督は懸命に悔しさを押し殺した。  「(ミスが)全部、点になったんかな。もちろん反省してうまくなっていって、改善していくしか...」  メッセンジャーと菅野のエース同士の激突。過去4度はメッセの3勝0敗で、耐えながら勝機を見いだすプランだったが、早々に崩壊した。  二回1死一、二塁から小林に3ラン被弾。「相手は菅野やしね。あそこで3点は苦しい展開になった」と肩を落とした指揮官だが、本当の悲劇はここからだった。  0-3の四回1死二、三塁。前進守備で坂本勇を遊ゴロに仕留めたが、北條が本塁悪送球。一度は止まった三走・田中俊に生還を許した。さらに1死一、三塁。丸の二ゴロで併殺のはずが、送球を受けた北條が今度は一塁へワンバウンド送球。一塁・陽川のグラブにおさまらず(北條の失策)5失点目だ。  「1軍の試合に出させてもらって経験もしているので、ああいうプレーをしたらダメ。ランディ(メッセンジャー)に迷惑をかけた」と猛省の北條。矢野監督は「ああいうミスをして、流れがこっちにこない状況になってしまう」と嘆いた。  負の連鎖はまだ終わらない。七回にD3位・木浪の3ランで3点差に迫った直後、八回に桑原が2死から山本に2点三塁打を許すと、続く小林の中飛をD1位・近本光司外野手(大阪ガス)が落球。坂本勇にはトドメの2ランを浴びるなど6失点し、聖地は怒号とため息に包まれた。  今季初の1試合3失策で、ワーストの12失点。甲子園での巨人戦12失点は18年ぶりで、G戦2試合連続2桁失点は17年ぶり。何より宿敵相手に4試合で計37失点と、屈辱に屈辱を重ねた。  「もちろん、反省すべき点は改善していかないと。うまくなるように練習を頑張っていきます」  必死に前を向いた指揮官だが...。気づけば最下位カープにも1ゲーム差。開幕前「巨人(を倒すこと)はやっぱり喜んでもらえるところ。昔の人たちが作ってくれた伝統の一戦といわれるところを、受け継いだ戦いをしていきたい」と誓っていたが、突きつけられたのは厳しすぎる現実だった。 (大石豊佳) 菅野から安打を放つも、プロ初失策をおかした阪神D1位・近本 「風は頭の中でわかっていた。甲子園の難しさを実感しました」 八回に登板し、4安打6失点(自責2)の阪神・桑原 「打たれたので何もないです。自分の力不足で試合を壊してしまいました」 ★1987年の阪神  2度目の吉田義男監督の3年目。4月後半に7連敗を喫するなど最下位に沈み、5月には掛布が腰痛で2軍落ち。バース、キーオが孤軍奮闘も、チームは最後まで浮上することなく41勝83敗6分け、球団ワースト勝率・331に終わり、首位巨人と37・5ゲーム差で9年ぶりの最下位。日本一からわずか2年で吉田監督は退任した。

◆悔しさをバネに! ルーキーに続け!! 阪神は甲子園で巨人との「平成最後の伝統の一戦」初戦に4-12で大敗。32年ぶり、平成では初となる開幕からのG戦4戦4連敗を喫した。屈辱的敗戦の中、途中出場のドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=が巨人・菅野からプロ初本塁打を放つなど4打点。このまま負けっぱなしで終われない!!  意地と執念を込めた白球が右翼ポール際に飛び込むと、右腕を突き上げた。今季ワースト12失点と屈辱にまみれた聖地の夜空に、若虎の咆吼が響く-。木浪がプロ初アーチ。しかも、あの菅野をとらえる3ランで、球界のエースをマウンドから引きずり降ろした。  「打てたのはすごく誇りに思います。積極的にいこうと。(ベンチから)タイミングだけはずっと合わせていました」  六回の守備から遊撃に入り、0-6の七回2死一、三塁で打席へ。2球目の129キロスライダーに反応した。菅野は呆然。甲子園では試合前時点で防御率1・33を誇った右腕を6年ぶりに7回持たずに、降板させた。  九回2死三塁でも左腕・吉川光から右越え二塁打でプロ初のマルチ安打&4打点。大敗の中、チームの全打点をたたき出す活躍に、矢野監督も「菅野から打つのは自信にもなると思うし、最後しっかり打ったのはなんとかしたいっていう気持ちがよかったんじゃないかな」とうなずいた。  悔しさを噛みしめた前夜-。18日のヤクルト戦(神宮)で一回に空振り三振した際、振り逃げの可能性があったにもかかわらず、走らなかった。指揮官から「やることやらん選手とかあきらめるような選手は使いたくない」と"懲罰交代"を受けた。だからこそ、最後まで絶対にあきらたくなかった。必死に食らいつき「自分が悪かったのに監督が使ってくれた。本当に感謝しています」と表情を引き締めた。  チームは開幕から巨人戦4試合4連敗。平成最後の伝統の一戦となるこのカードで平成初、1987年(7連敗)以来の屈辱を味わった。しかも平成の30年間でシーズン勝ち越しはたった4度で7年連続負け越し中。まさに負の歴史。しかし昨年まで木浪はいなかった-。必死のルーキーが、新たな歴史をこじ開けようと、もがいている。  「開幕を1軍で迎えることになりました」  開幕前夜。2年を過ごしたホンダの岡野監督に電話をかけた。想像以上の重圧、不安、期待。全てが始まる前に恩師と言葉を交わしたかった。初安打の際には、岡野監督から「これからだよ」とメールが届いた。この日は同門のD4位・斎藤もプロ初登板。「あいつ、きっと(マウンドで)慌てると思いますよ」と笑顔で期待していたが、元気な姿が、お世話になった人たちへの恩返し。これからが、始まりだ。  「思い切っていくことが自分自身の中で、いいことだと思いました」  借金は今季ワーストタイ「4」。何より巨人に昨年から1分けを挟んで7連敗だ。このまま平成を終われない。虎の令和を明るく照らすべく、木浪が走る。ルーキーの奮闘に虎ナインは燃えないわけにいかないはずだ。 (竹村岳) ★記念球「一生忘れられないです」   木浪の記念球を手にしたのは大阪府の大橋礼翔くん(13)=中学生。「ずっと0点で、1号が自分のところにきてうれしかったです」と興奮。今季2度目の観戦で初めてホームランボールをキャッチし、「一生忘れられないです」と最高の思い出を届けてくれた感謝。ボールは試合中に木浪の手元に渡り、両親に手渡すという。

◆敵地で猛打さく裂だ!! 巨人は19日、阪神4回戦(甲子園)に12-4で大勝。"平成最後の伝統の一戦"となる3連戦の初戦を今季最多得点で制した。平成元(1989)年生まれの小林誠司捕手(29)が二回に先制の左越え1号3ランを放つなど、プロ入り後初の1試合4安打と大暴れ。チームにとって、対阪神の開幕4戦4勝は1987(昭和62)年以来で、平成では初の快挙となった。  甲子園の歓声が銀傘に反響してグラウンドに降り注ぐ。二回1死一、二塁。小林がメッセンジャーのカーブを捉えた。高々と舞い上がった打球は甲子園名物の浜風に乗り、G党が待つ左翼席へ。先制の1号3ラン。背番号22は一塁を回ったところで右拳をグッと握った。  「すごくうれしい。チームが勝ってよかった。積極的にバットを振っていこうと思っていた」  平成最後の伝統の一戦。敵地で小林のバットが光った。四回無死一塁で走者を三塁へ進める右前打を放ち、五回は中前打。七回には痛烈な右中間二塁打を放った。  プロ入り後初となる1試合4安打で3打点をマーク。この猛打が呼び水となり、岡本、坂本勇に一発、代打・阿部にも適時打が飛び出すなど今季最多の12得点。3連戦の初戦を制した。  リードではエース・菅野から信頼され、盗塁阻止率は3年連続でリーグトップ。打力が課題だった。打率は2016年から・204、・206、・219。昨年11月の秋季キャンプ中、3度目の監督復帰を果たした原監督から「最低でも(打率)・240。本心からいえば・250」とノルマを課され、3月7日の関西燦燦会でも「(同)・200ぐらいの打率なら大阪に置いていく」とハッパをかけられた。

◆大勝の中で、エモトは巨人に不安を見いだした。菅野だよ。  打線は得点を計算できるようになった。昨年までのように、援護のなさに不安を抱える必要もない。だから、いけるところまで...ではなく、緻密に精密に...でもなく、9回から逆算し、完投を考えて投げていればいい。  それが、七回途中まで3失点で降板。菅野にとっての3失点は、他の投手でいうと、4、5点に匹敵する。かなりのKOだよ。  昨年から、やたらと投げたがるのが、左打者の外角を狙ったスライダー。ボールゾーンから曲がり、外角ぎりぎりに入れば、打者は虚を突かれる。確かに、いい決め球にはなる。  が、この球はコントロールするのが難しい。そして、ひとたび甘く真ん中に寄ると、痛い目にあう。七回、近本と木浪に打たれたのが、まさにこれ。今季ここまで、本塁打されているのは、その危険と隣り合わせの球なんだ。  これだけやられるパターンが固まってきているんだから、もう、切り替えどき。左打者には、オーソドックスに、シュート系を使った方がいい。  菅野が崩れたら、いくら打線がよくても、優勝はおぼつかない。しっかり抑えないといかんよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆上位が打てなくても下位がカバーできる巨人と、阪神との打線の差は歴然だ。特に、この日のような"反発力勝負"になってしまうと太刀打ちできない。巨人に開幕から4連敗。選手層を急に厚くすることは難しく、今後、この実力差を埋めるためには僅差をしのぐという試合展開に持ち込むしかない。  だからこそ、センターラインを作り上げる時期にきているのではないか。四回の北條の2連続悪送球、八回の近本の失策。すべてが失点につながる痛恨のミスとなったが、試合勘が如実に出た。確かにレギュラーとして決め手に欠く選手が多いが、その中でも決めないと、連係プレーなどほころびがさらに出てくる。今の状態であれば二塁・糸原、遊撃・木浪、中堅・近本で経験を積ませ、成長させることが最適だろう。課題が出ても試合を踏まえ、ひとつずつクリアさせることだ。  八回、桑原のコントロールミスも目立った。投打ともに原点に戻り、守り勝つ野球を目指すこと。できることを確実にやるだけだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
1171 0.611
(↓0.036)
-
(-)
124103
(+2)
81
(+4)
22
(-)
6
(+1)
0.251
(↓0.001)
3.980
(↓0.02)
2
(-)
巨人
1070 0.588
(↑0.025)
0.5
(↓1)
12689
(+12)
71
(+4)
28
(+3)
5
(-)
0.281
(↑0.005
3.870
(↓0.01)
2
(-)
中日
1070 0.588
(↑0.025)
0.5
(↓1)
12676
(+4)
54
(+2)
17
(+1)
13
(-)
0.282
(↑0.002)
3.140
(↑0.07)
4
(-)
DeNA
990 0.500
(↓0.029)
2
(-)
12573
(+1)
67
(+2)
20
(+1)
4
(-)
0.245
(↓0.002)
3.370
(↑0.09)
5
(-)
阪神
7111 0.389
(↓0.023)
4
(-)
12475
(+4)
104
(+12)
16
(+1)
7
(-)
0.240
(↑0.002
4.580
(↓0.08)
6
(-)
広島
6120 0.333
(↑0.039)
5
(↑1)
12554
(+2)
93
(+1)
15
(-)
5
(-)
0.211
(↑0.001)
4.130
(↑0.22)