ヤクルト(★0対4☆)巨人 =クライマックスシリーズ2回戦(2018.10.14)・明治神宮=
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巨人
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ヤクルト
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勝利投手:菅野 智之(1勝0敗0S)
敗戦投手:原 樹理(0勝1敗0S)

本塁打
【巨人】長野 久義(1号・2回表ソロ),マギー(1号・4回表ソロ),亀井 善行(1号・4回表2ラン)

  DAZN
◆巨人が一発攻勢で3年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。巨人は2回表、長野のソロで先制に成功する。4回には、マギーのソロと亀井の2ランでリードを広げた。投げては、先発・菅野が9回を1与四球のみに抑える投球でノーヒットノーランを達成。敗れたヤクルトは、投打ともに精彩を欠いた。

◆巨人が菅野のノーヒットノーランで2連勝を飾った。7回2死までパーフェクト投球、許した走者は四球による1人だけだった。打線は2回に長野のソロで先制し、4回にマギーのソロ、亀井の2ランと一発攻勢でリードを広げた。 ヤクルトは完敗だった。先発の原が4回4失点と崩れ、打線は迫力不足で沈黙した。

◆巨人がエース菅野智之投手の好投でヤクルトに連勝を収め、17日から始まるセ・リーグ覇者広島とのファイナルステージ進出を決めた。 菅野が9回打者28人に113球を投じ無安打1四球無失点のポストシーズン史上初となるノーヒットノーラン。打線も7安打で3本塁打で4得点の一発攻勢で援護し、投打にヤクルトを圧倒した。 試合を終えた菅野は「最高の気分です。何と表現していいのか分からないけど達成感はすごくある。途中から(完全試合を)狙っていました。四球はもったいなかったけど、満足しています。高橋監督と1日でも長く野球ができるようにフル回転で頑張ります」と話した。 巨人は2回、2死走者なしの場面で6番長野が、ヤクルト原の真ん中低め143キロ直球をバックスクリーン左へ豪快に運ぶ先制本塁打。4回には先頭の3番マギーが左翼へソロ本塁打、なおも1死一塁から7番亀井の右越え2ランで4-0とリードを広げた。 投げてはレギュラーシーズンで勝利数、防御率、奪三振のセ3冠を獲得した絶対的エースの菅野が仁王立ち。7回2死から山田哲人に四球を与えたものの、それまで1人の走者も許さない圧巻の完全投球だった。 シーズンは借金4のギリギリ3位でつかんだ2年ぶりのCSで、かつて勝率5割未満チームが日本シリーズに出た例はない。今季限りで退任する高橋由伸監督の下、史上最大の下克上日本一へ、巨人が最初の関門を突破した。 ◆ファイナルステージ(6試合制)はリーグ戦1位とファーストステージの勝者が対戦。4勝した球団が日本シリーズへ進出。リーグ戦1位にはアドバンテージ(1勝)があり、実質3勝で勝ち抜ける。

◆巨人のエース菅野智之投手(28)が史上初となるポストシーズンでのノーヒットノーランの快挙を達成した。 1人の走者も許さず迎えた7回2死、3番山田に四球を与え完全試合は途切れたが、9回を投げ打者28人に対し7奪三振の内容だった。圧巻の投球を見せた絶対的エースはお立ち台で「最高の気分です、ハイ」と快挙を振り返った。 チームは快投に導かれ広島とのファイナルステージ進出を決めた。「僕らは挑戦者。高橋監督と1日でも長く野球ができるように頑張りたい」と話した。 ポストシーズンでのノーヒットノーランは史上初。07年日本シリーズ第5戦では中日山井が日本ハムに対し8回まで完全投球。9回を岩瀬が3者凡退で退け、継投による完全試合が達成されている。

◆巨人長野久義外野手(33)が先制のソロ本塁打を放った。 2回2死走者なし、ヤクルト原の真ん中低め143キロ直球をバックスクリーン左へとぶち込んだ。豪快な1発に、ベンチ前でキャッチボールを行っていた先発菅野も両手を挙げて大喜び。序盤に大きな援護点となった。

◆巨人ケーシー・マギー内野手(36)が点差を広げるソロを放った。 1点リードの4回、先頭打者として打席に入るとヤクルト原の初球を逃さなかった。ど真ん中に入った125キロのスライダーを左翼席中段へとはじき返した。「打つ方向は意識せずに、来たボールを強くたたくことだけを心掛けた。腕の伸びたところでしっかりと捉えられたよ」とコメント。 2回の長野のソロに続く1発攻勢で、ヤクルトに重圧をかけた。

◆巨人亀井善行外野手(36)が"トドメの1発"を放った。2点リードの4回2死一塁からヤクルト原の141キロ直球をすくい上げ、右翼席中段へと放り込んだ。 「『甘いボールが来ないかなぁ』と思って打席に入ったんですが、初球のそのボールを、ひと振りで仕留めることができて良かったです」と振り返った。特大の1発はチーム3本目となる本塁打。4回までに4点を奪い、先発原を4回でKOした。

◆巨人のエース菅野智之投手が史上初となるポストシーズンでのノーヒットノーランの快挙を達成した。 1人の走者も許さず迎えた7回2死、3番山田に四球を与え完全試合は途切れたが、9回、打者28人に113球を投じ無安打1四球無失点、7奪三振の投球内容だった。 試合後の菅野のヒーローインタビューは次の通り。 -今の気持ちは 菅野 最高の気分です。 -CSでのノーヒットノーランはポストシーズン初の快挙 菅野 何と表現していいかわからないですけど、達成感はすごくあります。 -小林とのバッテリーで達成 菅野 (ノーヒットノーランは)6回くらいから意識した。小林は今シーズン2回目のノーヒットノーラン(を達成した捕手となる)なので(達成を)意識してくれたんだと思います。 -7回、8回にはマウンド降りるときにガッツポーズも出た 菅野 途中から完全に狙ってたので。(7回2死から山田に与えた)フォアボールはもったいなかったですけど、まあ満足してます。 -打線の援護もあった 菅野 昨日もいい流れでチームがつないでくれたので、何とか波に乗って今日も投げることができました。 -これでファイナルステージ進出 菅野 僕たちは挑戦者なので。(今季限りで退任する)高橋監督と1日でも長く野球をできるように最後までフル回転で頑張りたいなと思います。 -ファンへ 菅野 一緒に広島行きましょう!

◆巨人小林誠司捕手(29)が今季2度目のノーノーを喜んだ。初回から菅野を好リード。7回2死からヤクルト山田哲に四球を与えて完全試合は逃したが、「勝負しに行った。あれだけのいいバッター。フォアボールは致し方ない」と切り替えて準完全試合に導いた。 今季は7月27日の中日戦で山口俊とのコンビでノーノーを達成。マスクをかぶり、2度目の偉業をつかんだ。「周囲からいろいろなことをいっぱい言われる中で、いつも以上にプレッシャーがかかる中、さすがのピッチングでした。こういう緊迫した中、自分をコントロールして落ち着いて投げるのがさすがだった」と最後まで力投を続けた菅野をねぎらった。

◆巨人長野久義外野手(33)が決勝の先制ソロを放った。2回2死からヤクルト原の甘く入った143キロ直球をバックスクリーン左へとたたき込んだ。 1発攻勢の口火を切り、先発菅野を援護。ノーヒットノーランの偉業達成に貢献した。 「(菅野)智之がナイスピッチングだったので。みんな一丸で勝てたと思います。広島で頑張ります」と下克上へ、次の広島戦に目を向けた。

◆短期決戦で一番大切な事は、何なのか。菅野の快挙を見届けた巨人上原は「ひと言で...難しいなぁ」と歩を緩め、少し考えた。「執念というか...ここ一番はアドレナリンが出るんだよ」とクラブハウスに消えた。 2連勝ストレート突破の潮目は13日の初戦、巨人1点リードの5回2死二塁にあった。救援した上原は、ヤクルトの3番山田哲を空振り三振に抑え、悠々とイニングをまたぎ、揺れる流れを引き寄せた。 局面を意気に感じ、本分に徹した。「すごい成績を残したバッター。とにかく必死に投げた。40を過ぎて、いい場面で使ってもらえること。応援してくれる人がいる限り必死に投げるだけ」と言い、加えた。「向こうのポストシーズンで、うんと厳しい場面で投げてきたからな」。 13年、レッドソックスのクローザーとして世界を極めた。言葉の端ににじませた誇りと意地。ヤクルトの宮本ヘッドコーチは、一塁側ベンチで上原の気迫を感じていた。長く敵として戦い、国際試合でともに戦い、底知れぬ力を熟知していた。「オレは43歳シーズンに引退したけど...43になっても変わってない。ホントしぶとい。シーズンのトータルで結果を出す人と、ここ一番で結果を出す人がいる。調子とかじゃなくて、本当に強い人は、ここ一番でも結果を出す。勝負への執念深さかな」と語った。 山田哲は試合後「短期決戦の難しさを、あらためて感じた」と言った。上原は「必死にやれば広島にもチャンスはある」と言った。1球にアドレナリンを込める。湧き上がる力の源が「執念」に集約されるのだろう。巨人が執念でヤクルトを上回った。【宮下敬至】

◆菅野にノーヒットノーランを食らい、ヤクルトの今季が終了した。最終戦のため右翼スタンド前まで全員であいさつに行くと、ねぎらいの拍手が注がれた。小川監督は「とにかくコメントすることがない。今日は。勝負ですので勝負に負けたということ」。完敗を冷静に振り返った。 選手層の薄さが響いた。打率チームトップの青木を故障で先発から欠くと、CS2試合18イニングで4安打1得点。対菅野には第1ストライクを狙う積極打法で打開を狙ったが、制球力でねじ伏せられた。 球団史上最悪の96敗を喫した昨季から、チームは1年で激変した。首脳陣が一新し、30勝を上積みし2位。小川監督は「シーズンを通して選手はよく頑張った」と評価も「優勝争いをしたわけではない。個々のレベルアップをしていかないといけない。来年に向け変化していかないと」。好素材の多い若手を鍛え、来季は頂点を狙う。【斎藤直樹】

◆巨人菅野智之投手(29)が、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦でノーヒットノーランを達成した。7回2死からヤクルト山田哲に四球を与えた以外は走者を許さなかった。CSや日本シリーズなどポストシーズンで、1人で投げ切っての無安打無得点試合は史上初。2連勝で3年ぶりにCSファイナルステージに進んだ巨人は、17日から広島と日本シリーズ進出を争う。 一瞬の静寂の後、菅野は両腕を突き上げた。9回2死、28人目の坂口への113球目は外角高めの直球。打球は中堅方向に飛んだ。クルリと振り返る。落下点に入る陽岱鋼を確認。両手を広げた。「最高の気分。実感はないけど、歓声を聞いてすごいことをしてしまったんだな」。達成感がこみ上げた。 中4日の強行軍も平然と受け入れ、マウンドに立った。この日は速球を140キロ台前半にとどめ、スライダーを軸にイニングを重ねた。バレンティンら主軸には140キロ台後半の速球で押し込んだ。「6回くらいから意識した。矛盾しますけど早く1本出てほしかった。0点に抑えていたけど、どこか苦しい投球でした」。偉業達成までの道中は険しい道だった。単なる中4日ではない。前回登板は勝てばCS進出が決定するシーズン最終戦の9日阪神戦。その試合も中4日で、かつ自身プロ入り2度目の救援登板を担った。先発では百戦錬磨も、リリーフ経験は皆無に等しい。試合中盤でスタンバイ。今季無安打無得点を達成し、守護神に回った山口俊に助言を求めた。アドバイスに従い、先発時とは異なる準備を実践。1日限定の"守護神"であっても勝つために何ができるのかの最善策を求めた。完璧主義を貫く執念が、大記録達成の一助になった。リーダーとして周囲にも勝利へのこだわりを求める。6月のオリックス戦の試合前だった。京セラドームのバックヤードで2年目の谷岡へ強い口調で問い掛けた。「優勝する気でやってるか?」。1軍にいるだけでは意味がない。「同じベクトルで戦うことが大事。チームとしての喜びを共有しないと」。チームの先頭に立って鼓舞し続けた。一世一代の快投でファイナルステージに導いた。「おそらく人生で初めて」と記憶にないノーヒットノーランで勢いをつけて、3位からの日本一へ突き進む。17日からはV3王者広島と敵地で対する。「僕たちは挑戦者。高橋監督と1日でも長く野球ができるように、最後までフル回転で頑張りたい」。広島に屈するつもりは毛頭ない。日本シリーズを制するため、必ず東京ドームに舞い戻る。【桑原幹久】

◆今季限りで退任する巨人高橋由伸監督(43)が、3年ぶりのファイナルステージへと導いた。信頼するエース菅野は無安打無得点を達成し、スタメンに戻した亀井は4回にダメ押しの2ランを放った。次の関門は3年間苦汁をなめ続けてきた王者広島との対戦。「ジャイアンツ・キリング」の完成へ、破竹の快進撃で突破する。 試合の主役は快挙を達成した菅野だったが、試合後の最大のヒーローは高橋監督だった。今季、神宮での最後の戦いを終え、ファンの待つ左翼席へ、あいさつへと歩む。「ヨ・シ・ノブ~! ヨ・シ・ノブ~!」。帽子を取り、秋の心地よい風を浴びながら、歓喜と愛情の詰まった声に応えていた。 就任から3年間で計210勝した。そのうち41勝を稼いでいるエースの快刀乱麻の投球に、これまでは「特に言うことがない」と端的に答えることも多かった。形容する言葉を探すのが難しそうだった。だが、今月に入って辞任が決まってから雰囲気が変わった。言葉に厚みが増した。この夜もそうだった。 高橋監督 この終盤に来ての投球はすごいよね。突き抜けたというか、力はあるから。いい悪いはその日の調子がある。この日もあったと思うけど、まったく感じさせない。文句のつけようのない結果を残し続けているのは、何と言っていいか、言葉が出ないよね。 すごみを表現するのは変わらず困難な作業だが、畏敬の念が強まっている。終盤に入り通常の中6日から中5、中5、中4、中4と間隔を詰め、なお結果を残す絶対的右腕に「負担は掛けているが、やってくれる投手と思っている」と懸命に賛辞を添えた。 ヤクルト戦は野球人生の節目の相手だった。プロ初出場も神宮で迎えた。現役最終年となった15年のCSファイナルは終戦の最後の打者となった。「ペナント最後の試合もヤクルト戦だったんだよね」。通算成績の最後の数字として残る一戦。「だけど、誰と対戦して、どんな結果か覚えていない。その時は現役を続けるつもりだったから」。15年10月4日、東京ドームで杉浦(現日本ハム)の前に二ゴロだった。記憶に残らない戦いだった。 監督として最後の一戦はヤクルト戦にはならなかった。史上最高の下克上「ジャイアンツ・キリング」の舞台は、苦難を味わわされた広島へと移る。「僕らは一番下ではないけど、チャレンジャー。今回の2試合と同じように、とにかく思い切ってぶつかっていきたい」。永遠に不滅の記憶に残る戦いを刻み続ける。【広重竜太郎】

◆菅野の次回登板について巨人斎藤投手総合コーチは、中4日でCSファイナル3戦目での登板も視野に入れた。 「中4日? 俺たちは行ってほしいよ。(最終的には)体と相談しながらになる」と説明。ノーノーの快挙には「完投させるつもりはなかったけど8回に『もういいよ』って伝えたら『頑張ります』ということだった」と、上機嫌でたたえた。

◆巨人菅野がノーヒットノーランを達成。07年日本シリーズ第5戦で中日が山井、岩瀬のリレーで完全試合を記録しているが、ポストシーズンでノーヒットノーラン投手は初。1安打完封も過去いない。許した走者は7回2死からの山田哲だけ。6回2/3以上を完全に抑えたのは日本シリーズで07年第5戦山井の8回、62年第2戦村山(阪神)の7回1/3、CSで08年2S第5戦涌井(西武)の6回2/3に次いで4人目。なお、公式戦のノーヒットノーランは79人、90度あり、走者1人だけのノーヒットノーランは16人、17度。 ▼CSで菅野の完封は13年ファイナルS第2戦に次いで2度目。プレーオフ、CSで通算2完封は足立(阪急)成瀬(ロッテ)に並び3人目の記録。 ▼打球で最も多かったのが外野飛球の11本。公式戦では75年4月神部(近鉄)の11本を最後に出ていない。

◆巨人菅野は70年ぶりに復活した崇高な香りで身を包んでいた。開幕から間もないころ。戦後生まれの世代には覚えのないような香りを漂わせていた。「ルイ・ヴィトンの香水。去年、70年ぶりに復活したんです」。さりげなく明かした。1946年以降は香水を生産しなかったフランス老舗ブランドのフレグランスだった。 この日の快挙は「70年ぶり」どころではない。80年を超えるプロ野球史に新事実をしるした。史上初のポストシーズンでのノーヒットノーラン。野球人として唯一無二の存在に名を刻んだ。だが特別、大きな驚きはない。レギュラーシーズンで"香り"をぷんぷんと漂わせていたからだ。 5月11日中日戦で7者連続奪三振。巨人では54年大友工、03年久保裕也、12年杉内俊哉に並ぶタイ記録だった。同18日DeNA戦ではプロ初本塁打。巨人投手のV弾は04年の工藤公康以来14年ぶりだった。シーズン8完封は78年鈴木啓示(近鉄)以来、40年ぶり。3年連続の最優秀防御率は56~58年の稲尾和久(西鉄)以来2人目でセ・リーグでは史上初だった。 塗り替えた数字、呼び起こした記録を挙げればきりがない。トップ・オブ・トップの偉人たちがしるしてきた歴史とも互角以上の勝負を挑み続けている。【巨人担当・為田聡史】

◆巨人・長野久義外野手(33)が14日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦に「6番・中堅」で先発出場。二回二死から、バックスクリーン左への先制ソロを放った。  しっかりと振り抜いた。相手先発・原が投じた143キロの外角直球を捉えた一発は、自身にとってCS初本塁打。先発のエース・菅野を援護する先制弾となった。

◆巨人・亀井善行外野手(36)が14日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦に「7番・右翼」で先発出場。2点リードの四回二死二塁から、右翼席への2ランを放った。  「『甘いボールが来ないかなぁ』と思って打席に入ったんですが、初球の"そのボール"をひと振りで仕留めることができてよかったです」  一発攻勢で攻め立てた。二回には長野が先制ソロ、四回先頭でもマギーが左中間ソロで追加点。そして、前日13日の第1戦でも打点を挙げていたベテランが、リードを4点に広げる一撃を放ち、この回限りで、ヤクルト先発の原をマウンドから引きずりおろした。

◆巨人のケーシー・マギー内野手(36)が14日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦に「3番・三塁」で先発出場。1点リードの四回先頭で、左中間席へのソロ本塁打を放った。  「打つ方向は意識せずに、来たボールを強く叩くことだけを心掛けた。腕の伸びたところでしっかりと捉えられたよ」  完璧な当たりだった。相手先発・原が投じた1球目、125キロのスライダーをフルスイング。大きな弧を描いて、スタンドで弾んだ。12日に36歳の誕生日を迎えた助っ人にとって、誕生日後初アーチ。同日は川崎市のジャイアンツ球場で全体練習に参加していたため、多くのG党から「誕生日おめでとう」と祝福されていた。

◆ヤクルトの原が3本塁打を浴びて4回4失点で敗戦投手となった。菅野に投げ負け「調子は悪くなかったが...。こういうところで抑えられる投手になりたい」と悔しさを隠さなかった。  二回に長野に速球をバックスクリーン左に運ばれて先制を許すと、四回は先頭打者のマギーにソロ、2死一塁で亀井に2ランを打たれた。レギュラーシーズンでは110回2/3を投げて被本塁打はわずか3。ゴロを打たせて取る持ち味を発揮できなかった。プロ3年目で迎えた初のCSの舞台は苦い結果に終わった。 ヤクルト・小川監督 「勝負に負けたということ。シーズンを通して選手はよく頑張った。優勝争いをしたわけではないので、この悔しさを次につなげないといけない」 ヤクルト・田畑投手コーチ(3本塁打を許した原に) 「もったいない部分はあるが、しっかり勝負した結果。チーム全体として力負け。しょうがない」 バレンティン(菅野に) 「日本で一番の投手。素晴らしい投球だった」 坂口(菅野に) 「結果が全ての短期決戦なので。この悔しさを持って来年に向けて準備したい」

◆巨人は先発の菅野が史上初となるクライマックスシリーズ(CS)での無安打無得点試合を達成し、3年ぶりとなるCSファイナルステージ(17日開幕、マツダ)進出を決めた。打っては3本の本塁打でヤクルト先発の原をKO。ヤクルトは2戦合計で4安打と、自慢の打線が沈黙し敗退した。  巨人は二回二死から6番・長野がバックスクリーン左最前列に飛び込むソロ本塁打を放ち先制した。四回には先頭の3番・マギーが左中間スタンドへソロ本塁打を放つと、二死一塁から7番・亀井が右翼席へ2点本塁打を放ち突き放した。  ヤクルトは五回から継投策。2番手・カラシティ、3番手・ハフがそれぞれ1イニングを三者凡退に抑え、七回に登板した4番手・梅野は坂本、田中俊に連打を浴びながらも無失点で切り抜けた。  菅野は七回二死まで完璧に抑えていたが、3番・山田に四球を与える。完全試合の達成はならなかったが、続く4番・バレンティンを空振り三振に切って取った。八回も三者凡退、九回二死で迎えた1番・坂口を中飛に打ち取り大記録を達成した。  過去に行われたセ・リーグのCSで、レギュラーシーズンの勝率が5割を切りながらもファイナルステージに進出したのは2013年の広島以来2チーム目。もしファイナルステージを勝ち上がり、日本シリーズに進出すれば、史上初めての事例となる。

◆巨人は先発の菅野が史上初となるクライマックスシリーズ(CS)での無安打無得点試合を達成し、3年ぶりとなるCSファイナルステージ(17日開幕、マツダ)進出を決めた。  以下、菅野の一問一答。  --今の率直な気持ちは  「最高の気分です」  --CS史上初の快挙  「なんて表現していいかわからないですけど、達成感はすごくあります」  --マウンドでも気持ちは  「途中、六回くらいからですかね、意識したんですけど、(捕手の)小林はたぶん、(7月27日の山口俊に続く)今シーズン2回目のノーヒットノーランなので、意識してくれたんだと思います」  --七、八回にはガッツポーズ  「途中から完全に狙っていたので。ただ(七回二死からの)フォアボールはもったいなかったんですけど、満足しています」  --打線も頼もしかった  「昨日もいい流れでチームがつないでくれたので、何とか波に乗って今日も投げることができました」  --ファイナルステージに向けて  「僕たちは挑戦者なので、(今季限りで辞任する)高橋監督と長く、一日でも野球ができるように、最後までフル回転でがんばりたいなと思います」  --ファンへ  「一緒に広島に行きましょう!」

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)は14日、セ、パ両リーグともに第2戦が行われ、セはレギュラーシーズン3位の巨人が菅野の無安打無得点の好投で2位ヤクルトを4-0で破り、2連勝として3年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。  無安打無得点試合の快挙を成し遂げた巨人の菅野は、喜びをかみしめるように語った。  ――今の気持ちは。  「まだ実感が湧かない。すごいことをしたんだなと歓声を聞いて感じている。まさか自分が(球史に)名前を刻めるとは思っていなかった。恥じない活躍をしていかないと」  ――試合中は何を考えていたか。  「矛盾するが、どこかで早く1本出てほしいなと正直思っていた。0点に抑えていたが、ちょっと苦しい投球だったと思う。全然100点じゃない。細かい反省点はいっぱいある。1-0だったらできていたかと言ったらそんなことはない」  ――七回に四球を出して完全試合は逃した。  「しょうがないとも思うし、もったいなかったなとも思う。ただ、悔やんでもしょうがない。満足している」  ――広島とのファイナルステージへ抱負は。  「僕らは挑戦者。高橋監督と一日でも長く野球ができるように、最後までフル回転して頑張りたい」

◆14日、東京都新宿区の神宮球場で行われたプロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦で、巨人の菅野智之投手(29)がノーヒットノーランを達成した。レギュラーシーズン2位のヤクルトを破ってファイナルステージ進出を決めた快投に、敵地に集まった巨人ファンからは歓声が上がった。  菅野投手が最後の打者を中飛に仕留めて両手を突き上げると、オレンジ色で染まった左翼席を中心に「菅野、菅野」の大合唱が起きた。バックネット裏で菅野投手のタオルを回して応援した埼玉県鴻巣市の会社員、中野巧さん(22)は「圧巻だった。五回ぐらいから雰囲気があった。七回の四球が本当にもったいなかった」と興奮気味に振り返った。  千葉県船橋市から両親と観戦に訪れた中学2年の山県祐真さん(14)は「菅野投手の投球が、すごかった。こんな試合を見られて良かった」と感激した様子で話した。  日本シリーズ進出を懸けたCSの舞台での快挙にヤクルトファンからも拍手を送る姿があった。静岡県藤枝市から来た会社員の八木みなみさん(28)は「負けて悲しいけど、菅野投手は文句なしだった」と話した。

◆菅野の快投をリードで支えた巨人の小林は「いつも以上にプレッシャーがかかっている中で、いつも通りの投球をしてくれた。さすがだなと思った」と同じ29歳のエースに感心しきりだった。  ポストシーズンでのノーヒットノーランは史上初。「緊迫した中でも、しっかり自分をコントロールしている。落ち着いて一球一球投げている印象があった」と振り返った。 亀井(四回に2ラン) 「(菅野)智之があんな投球をしていたから、何とかしないといけないと思っていた」

◆ヤクルトにゆかりのある土地からも大声援が送られた。  前日13日の第1戦では、8年前から田植えイベントなどで、交流を続けている新潟・燕市が「応燕イベント」と称し、市役所でパブリックビューイングを開催。この日は、1999年から春季キャンプを行っている沖縄・浦添市も屋富祖公民館で屋外パブリックビューイングを開催した。  「ヤクルトのCS突破を応援するため、市民が集まることができる環境で勝利の喜びを分かちあいたい」と浦添市観光振興課の担当者。昨季のリーグ最下位から「再起」を誓い、今季のスタートを切った"原点の地"でも、燕ファンが戦況を見守っていた。

◆亀井が2点リードの四回、右中間席中段へ2ランを放った。前日13日の第1戦は、代打で中前に落ちる適時打を放ち、この日は中押しの一発。ファーストステージはラッキーボーイ的存在となった。勝負強い36歳は「智之(菅野)があんな投球をしていたから、何とかしないといけないと思っていた」とエースの偉業をアシストし、ホッとした表情だった。

◆2日のDeNA戦で左太ももを痛めた青木は2試合連続で欠場。CS敗退をベンチで見届け、「やっぱり負けたら悔しいね」とため息をついた。米球界から7年ぶりに復帰した今季は打率・327をマークするなど、チーム躍進の原動力となった。「自信にしていい部分とまたやらないといけない部分があると思う。このシーズンをプラスに捉えたい」と来季を見据えた。

◆菅野とバッテリーを組んだ捕手の小林は「こういう緊迫した中でも自分をコントロールできていた」と堂々たる投球に最敬礼。七回二死から山田哲に四球を許した直後、マウンドで声を掛けるなど"阿吽(あうん)の呼吸"で支えた。実は2010年6月10日の全日本選手権準々決勝で、東海大のエースだった菅野に小林の同志社大が七回コールドながら無安打無得点を許した因縁がある。「もちろん覚えていますよ。神宮でね。でも、あれは参考記録ですからね!!」と笑いながら、今度はともに達成した快挙を喜んだ。

◆3番で出場した山田哲は七回二死からチーム唯一の出塁となる四球を選び、菅野の完全試合を阻止することで精いっぱい。一回はカーブ、四回は147キロの外角直球に空振り三振を喫した。CSは2試合で計6打数無安打に終わり「短期決戦の難しさを改めて知った。昨年と比べたら成長はできた。このままで終わらないように来年、頑張りたい」と悔しさを押し殺した。

◆菅野の志願による大記録達成だった。斎藤投手総合コーチは、今後を見据えて途中降板を視野に入れていたが「八回で『もういいぞ』と言ったら本人が『いきます。頑張ります』と言うから。100球で降りても(疲労度は)あまり変わらないよね」と明かした。17日開幕のCSファイナルステージ(広島、マツダ)は、中4日の登板なら19日の第3戦に先発可能で、斎藤コーチは「それは考えます。本人(菅野)と相談して決めたい」と説明した。

◆セ・リーグ2位のヤクルトは14日、同3位・巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦(神宮)に0-4で敗れ、3年ぶりのファイナルステージ進出を逃した。昨季、球団ワーストの96敗から始まった再起の物語が、幕を閉じた。  「勝負ですから。勝負に負けたということ。悔しさを次につなげていかないといけない」  菅野の前に打線が屈辱の無安打無得点。歓喜に沸く敵軍の姿を前に、短期決戦で連敗を喫した小川監督は現実を受け止めた。  左太ももを痛めた青木を欠く打線は、2試合で計4安打1得点に終わった。この日は2番に川端、7番に上田を起用したが、七回二死から山田哲が四球で出塁したのみ。「執念」をテーマに築き上げた粘り強い戦いを、重圧がかかる舞台で発揮できなかった。  昨季96敗を喫してリーグ最下位に沈んだチームは、レギュラーシーズンで75勝66敗2分けの2位に躍進した。チーム打率・266はリーグ1位。課題だったチーム防御率は同4位の4・13。逆転勝ち38度はリーグ2位。指揮官は、その結果を「選手の頑張り」と評価し、早くも来季を見据えた。  「まだまだ優勝争いをしたわけではない。来年に向けてスタートしていかなければいけない。個々にレベルアップをして、どうチーム力を上げていくか。変化も必要になってくる」。2年契約の2年目。最後に味わった悔しさを糧に小川ヤクルトが再出発を図る。 (長崎右)

◆巨人・長野久義外野手(33)が、二回に自身のクライマックスシリーズ(CS)初本塁打となる先制ソロを放ち、勝利を引き寄せた。四回にはケーシー・マギー内野手(36)のソロ、亀井善行外野手(36)の2ランも飛び出すなど、ヤクルトのお株を奪う本塁打攻勢で相手を圧倒した。  神宮の"制空権"を、この夜は巨人が握った。まずは二回、長野が先制弾。チームの勢いを表すような思い切りのいいスイングだった。  「智之(菅野)がナイスピッチングだった。(柵越えは)ギリギリでしたね」  2連勝でのファーストステージ突破に、長野が声を上ずらせた。原の低めの直球をバックスクリーン左へ。CS通算33戦目、131打席目で自身初となる本塁打。これが口火となった。  勢いづいたチームは四回にマギーの左中間席へのソロ、亀井の右中間席への2ランでリードを広げた。他球場と比べて狭く、本塁打が出やすい敵地・神宮球場で、ヤクルトのお株を奪う一発攻勢。序盤の援護で、菅野の無安打無得点試合達成をアシストした。  長野は今季、得意とする8月に打率・473をマークするなど打率・290、13本塁打、52打点。9年目で打棒の健在ぶりを示し、特にレギュラーシーズン終盤は2度のサヨナラ打を放ってチームを2年ぶりのCSに導くなど圧巻の活躍を見せた。  淡々と試合に臨む"天才"は、今年からルーティンをつくった。東京ドームでの試合前。無人のトレーニングルームに入り、伊藤トレーニングコーチと2人きりでシンプルな腹筋運動を毎日繰り返した。涼しい顔で快打を連発するスマートな男も、人知れず歯を食いしばっていた。全ては勝利のため。陰で重ねた苦しみが勝負の大一番で実を結んだ。  「神宮で勝てないとか、(第1戦で先発した)小川君に勝てないとか、みんな悔しい思いをしていた。一丸となって勝てたと思います」。殊勲の長野が白い歯を光らせた。4番・岡本、5番・阿部の両大砲が2戦連続無安打でも、頼もしい打者たちがガッチリと脇を固めている。 (谷川直之) 四回、左中間席へのソロ本塁打を放った巨人・マギー 「打つ方向は意識せずに、来たボールを強くたたくことだけを心掛けた。腕の伸びたところでしっかりと捉えられた」

◆クライマックスシリーズ(CS)史上初の無安打無得点試合を達成した巨人・菅野智之投手(29)は、勝利を飾った前日13日の第1戦を振り返りながら周囲に感謝。17日からのファイナルステージに向け、チーム一丸となっている状況に強い自信を示した。  -1四球を与えただけの準完全試合  「途中から完全に(完全試合を)狙っていたので、四球はもったいなかったですけど満足しています」  --打線の援護は  「昨日(13日)も、いい流れでチームがつないでくれたので、何とか波に乗って投げることができました」  --ファンに向けて  「一緒に広島へ行きましょう!」  (ヒーローインタビューを終えて囲み取材)  --改めて投球を振り返って  「とにかくストライク先行。矛盾するかもしれないですけど、どこかで『早く1本出てほしいな』と正直思っていました。0点に抑えていたんですけど、少し苦しい投球だった気がします」  --七回二死での四球後、マウンドに野手が集まった  「変わらずに攻めていこうということと、(打者が)バレンティンだったので一発だけ警戒していこうという相談。強気に誠司(小林)が引っ張ってくれたんじゃないかなと思います」  --大記録を成し遂げた一番の要因は  「昨日の試合が一番力になりました。(13日に先発した)今村も試合前にすごく緊張していましたけど、気持ちが入っていましたし、後輩やチームメートが頑張る姿を見て奮い立った」  --上原は第1戦後に菅野投手に「1人で投げ切ってほしい」と期待していた  「とんでもないことを言ってくれたなと思いましたし、きょうも朝、(上原さんに)会った瞬間に『何てことを言ってくれたんですか』と言いました。でも『本当に1人で投げ切りましたよ』と報告できたので、上原さんも喜んでくれたと思います」  --次はファイナルステージ  「チームが一丸となって戦っていますし、シーズン中にない雰囲気だと思います。どこまでいけるか、自分自身でも楽しみにしています」

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦が行われ、3位の巨人が、2位・ヤクルトに4-0で勝ち、2連勝でファイナルステージ進出を決めた。先発の菅野智之投手(29)が、無安打無得点試合を達成。CSや日本シリーズなどポストシーズンで、1人で投げ切ってのノーヒットノーランはプロ野球史上初めてとなった。チームは、17日からリーグ王者の広島と日本シリーズ進出を懸けて敵地で戦う。  神宮の杜を支配した。菅野は、坂口を148キロの直球で中飛に仕留めると、捕球を待たずに両手を突き上げた。CS史上初のノーヒットノーラン。偉業に女房役の小林と熱く抱擁を交わした。  「最高の気分です。何と表現していいか分からないですけど、達成感がすごくあります。こういうプレッシャーのかかる場面でできて満足しています」  CS進出を決めた9日の阪神戦にリリーフ登板し、状態を考慮して中4日で上がった第2戦のマウンド。好リードに導かれ、連続無失点もレギュラーシーズンから5試合、41イニングに伸ばした。  常にストライクを先行させた。延べ28人中18人の打者に4球以上を要したが、2球目までにストライクを取ったのは16度。10人の打者を3球以下で2ストライクに追い込んだ。許した走者は四球での1人だけという準完全試合。18・44メートルの空間を挟んで小林と"会話"し、圧巻の制球力で快記録を打ち立てた。  「唯一、神経を使って投げた」と振り返るのは七回二死の場面だ。山田哲に四球を与えて完全試合の可能性が消えても、気持ちを切らさなかった。続くバレンティンを7球目のスライダーで空振り三振に斬り「小林は(7月27日の中日戦での山口俊に続く)今シーズン2回目のノーヒットノーランなので、意識してくれたんだと思う」と感謝。主将の坂本勇からも祝福され「あまり褒められたことがないんですけど、『すげーな』と言ってもらえたのでうれしい」と笑った。  圧倒的な技術があっても過信せず、地道な努力を怠らない。今季レギュラーシーズンでは勝利数、防御率、奪三振の3冠に輝き、200投球回や10完投に初めて到達するなどさらなる進化を見せたが、完封した6月15日のロッテ戦では、ひそかにベンチにノートを持ち込む姿があった。その狙いをエースは「(交流戦のため)バッターの特徴とか、1回しか対戦しない相手だから分からない。イニング間に見て確認していた」と明かす。  この日は何度も戦ったヤクルトが相手だったが、各打者の特徴を記した"脳内ノート"を開いてねじ伏せた。それでも「小さな反省点がいっぱいある」と襟を正し「まさか、自分がそこ(CSの歴史)に名前を刻めるとは思っていなかったですけど、その名に恥じない活躍をしていかないといけない」と続けた。  レギュラーシーズンを勝率5割未満で終えたチームが日本シリーズに進出すれば、初の快挙だ。「(今季限りで退任する)高橋監督と一日でも長く野球ができるように最後までフル回転で頑張りたい」。史上最大の下克上へ、エースの快投がドラマの始まりとなる。 (赤尾裕希) ファイナルステージ進出に巨人・高橋監督 「(菅野には)何と言っていいか、言葉が出ない。文句のつけようがない結果を残し続けている。(広島戦へ向け)僕らはチャレンジャー。この2試合と同じように戦いたい」 ★ファンの声  ◆中野巧さん(22)=埼玉県鴻巣市、会社員 「圧巻だった。五回ぐらいから雰囲気があった。七回の四球が本当にもったいなかった」  ◆山県祐真さん(14)=千葉県船橋市、中学2年 「菅野投手の投球が、すごかった。こんな試合を見られてよかった」

◆ああいうシーンは久々に見た。昔の大投手がそうだった。いまや菅野くらいだね。なにかって? アンパイアが、菅野の投球を予測して、小林がミットを構えるのと同時か、それより前に、コースに寄っている。また、コントロールが抜群で、そこにピタッとボールが来るから、気持ちよく「ストライク!!」と右手が挙がる。球審まで引き込んだ、見事なピッチングだったよ。  小林との呼吸もかつてないほど合っていた。これまでは結構、サインに首を振るケースが多かったけど、この日は1度だけ。制球力に加えて、球審、そして捕手との相性までピタリとくれば、これくらいの結果は残す。そういう投手だよ。  ヤクルト打線は、最後まで硬さが取れなかった。こちらもしょせん、2位。優勝したわけではない。開き直って、破れかぶれの策に出るくらいでもよかった。バント攻めをするとか...。菅野が打席に立ったとき、わざと四球で歩かせ、塁上を走らせ、リズムを崩すとか...。そういうことも昔の野球では、やっていたよ。  まあ、いずれにしても巨人はこの2戦で、チームの一体感が強まった。さあ、おぜん立ては整った。ファイナルでも一気に広島を飲み込まないとね。 (サンケイスポーツ専属評論家)