巨人(☆2対0★)阪神 =リーグ戦19回戦・東京ドーム=
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阪神
00000 0000 020
巨人
01010 000× 270
勝利投手:メルセデス(4勝2敗0S)
敗戦投手:秋山 拓巳(5勝10敗0S)
  DAZN
◆巨人は2回裏、1死満塁の好機から山本が押し出し四球を選び、先制点を挙げる。そのまま迎えた4回には、メルセデスの適時二塁打が飛び出し、追加点を挙げた。投げては、先発・メルセデスが9回無失点の快投で来日初完封。敗れた阪神は、打線がわずか2安打と振るわなかった。

◆阪神エフレン・ナバーロ内野手が代打でチーム初安打を決めた。 左腕メルセデスの前に無安打無得点に抑えられて迎えた6回、先頭で登場。痛烈な中前打を決め、嫌な雰囲気を吹き飛ばした。これでメルセデスに対しては通算4打数3安打。「そこまでノーヒットだということには気付いていたよ。代打は難しいけど、内容のある打席にしたいと思っていたんだ」と思慮深く振り返った。

◆阪神秋山拓巳投手は5回7安打2失点で10敗目を喫した。 2回に押し出し四球で先制点を献上すると、4回には投手のメルセデスに適時二塁打を浴びた。ファウルで粘られて球数もかさみ、5回で111球を要した。6月7日オリックス戦(甲子園)を最後に白星から遠ざかる右腕は「四球が絡んで先制点を与えてしまい、球数が多くなって短いイニングでの降板となってしまいました。自分の役割を果たすことができず、チームに申し訳ないです」と振り返った。

◆巨人クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手が投打に躍動し、チームを勝利に導いた。 まずはバットで見せた。1点リードの4回2死一塁。両打ちのメルセデスは左打席に立つと、カウント2-2から阪神秋山の139キロ直球を右手一本ではじき返した。左中間を破る適時二塁打で貴重な追加点を挙げた。来日18打席目で初安打をマークし「スーパースーパーうれしいよ。自分でもまさかと思った」と喜びをはじけさせた。 本職の投球では両コーナーの低めを丁寧に投げ分けた。二塁すら踏ませず、被安打2、来日初完封勝利で4勝目。育成出身投手の完封は球団では初の快挙に「初ヒットと同じ日にできるとは思っていなかった。(2つの記念球は)スペシャルなボールなので、しっかり管理したい」と笑顔だった。

◆巨人のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(24)が投打に大活躍だ。阪神をわずか2安打に抑え、来日初完封で4勝目。4回には阪神秋山から、左中間に適時二塁打を放った。18打席目での来日初安打が、チーム25イニングぶりの適時打。3連敗阻止、2位再浮上の立役者となった。 びっくり仰天の初体験だった。1点リードの4回2死一塁。両打ちのメルセデスが左打席に立った。カウント2-2。秋山の139キロ直球に右手1本のスイングで食らいついた。左中間を破る適時二塁打で、貴重すぎる追加点をもたらした。18打席目での来日初安打はチーム25イニングぶりの適時打。「自分でもまさかと...。びっくりしました」。高々と掲げた右腕をゆらゆらとさせて、ドミニカンらしい独特のリズムで喜びを表現。信じられないと言わんばかりにヘルメットに両手を当てた。 いつ以来の安打か問われると「う~ん...覚えていないよ。プロに入ってからは打席に立ったことがないからね」。最後に打った安打は14歳。地域の草野球だ。好きな打者はマニー・ラミレス、アルバート・プホルス、ロビンソン・カノで「ラミレスのものまねはよくやっていたよ」。強打者に憧れた少年時代からすくすく成長し、異国の地で大人になっての"初安打"だ。 一方、本職の投球は大人の投球だった。右打者を7人並べた相手打線に、カット気味の直球とスライダーで内角を攻めた。外角へ沈むチェンジアップとのコンビネーションで5回まで無安打投球。二塁すら踏ませぬ好投で2安打初完封。4勝目を挙げた。 高橋監督が"孝行息子"の活躍を「正直、あんまり期待していなかったけど、びっくりしました。ヒットも打ったし、1人でとは言わないけど、大活躍の1日」と大絶賛すれば、メルセデスは「ホームランでもゴロでもいい。とにかく力強く振っていきたい」。びっくり仰天の成長期が止まらない。【桑原幹久】

◆阪神岩崎は打者5人から4三振を奪う快投を見せた。 2点ビハインドの6回から登板し、1回2/3を完全投球。「ここ何試合かは先頭打者を出してしまっていた。そこをしっかり抑えていけるようにしたい」。勝利にはつながらなかったが、復調気配を漂わせた。

◆阪神秋山拓巳投手(27)はマウンドで天を仰いだ。際どい判定もあったとはいえ、本来の制球は影を潜め、逆球も頻発。ロースコアの接戦に持ち込んだが、スイスイ投げるメルセデスとは対照的。5回7安打2失点、111球を要して降板した。2回に与えた決勝点はプロ初の押し出し四球。4回の追加点では投手のメルセデスに来日初安打となる適時二塁打を食らった。 「四球が絡んで先制点を与えてしまい、球数が多くなって短いイニングでの降板になってしまいました。自分の役割を果たすことができず、チームに申し訳ないです。(投手に打たれた場面も)抑えないといけないところでした」 外角いっぱいに寸分たがわぬボールを投げ込み、マウンドで仁王立ち。そんな秋山らしさが、なかなか完全復活しない。ファウルで粘られて球数も増えた。香田投手コーチは「(判定は)お互いさまですからね。もう少し秋山らしいコントロールがほしいですね。粘ったのかもしれないですけど、点の取られ方もよくない」と指摘した。 何よりの良薬となるであろう白星からも見放されている。これで自身5連敗となり、リーグワーストの10敗目。6月7日オリックス戦(甲子園)を最後に、約2カ月半も白星から遠ざかる。同日時点で2・09だった防御率も、3・86まで上がった。壁を乗りこえれば、それは身を守る盾にもなる。秋山の復調なくして、チームの上位進出はない。【池本泰尚】
▼阪神秋山が2回に押し出し四球。秋山は昨年5月30日のロッテ戦で押し出し死球があるが、四球は初めて。昨季、159回1/3で与四球16個(与四球率0.90)という抜群の制球力を誇った。今季は105回で18個(与四球率1.54)と、すでに昨季の個数を超えている。

◆右打者ずらりオーダー実らず...。阪神が巨人メルセデス対策として右打者を7人並べる先発オーダーを組んだが、まさかの2安打完封負けを喫してしまった。5回まで無安打。結局、最後まで二塁すら踏めない完敗だった。浮上への足がかりをなかなかつかめず、虎が苦しんでいる。 難敵攻略のベストオーダーを組んだはずが、完全に裏目に出てしまった。先発メルセデスに散発2安打に終わり、巨人史上初の育成出身の完封勝利を献上してしまった。G党が沸く東京ドームの三塁側スイングルーム。金本監督は「やっぱり、良かったですね。球もよく動いているし、低めに来たりね。コースに決まったわね。『インカット』とかな。ちょっと厳しかったな...」と脱帽した。 ベンチの思惑が外れてしまった。データよりも感性を信じたが、この日は通用しなかった。試合前、メルセデスの左右打者への被打率にはある傾向があった。 右打者 1割8分6厘 左打者 3割3分3厘 サウスポーだが右打ちを封じ、左打ちに苦戦する特徴が出ていた。7月18日は7回を無得点で抑えられていた。この日は2度目の対戦。右打者を7人並べる打線を組んだ。指揮官は「もちろん、左投手だからというのもある。多少、左打者の方がいいというデータはあったんですけど。少ないデータですからね。そこまでの明らかなものというのはちょっと、まだ僕らは感じられなかった」と説明。1番は不動のレギュラーを張る糸原ではなく、俊足の植田を刺客に送り込んだ。 だが、プレーボール直後から難攻不落の予感が漂った。先頭植田が角度のある速球で懐を突かれ、足元をえぐるカットボールで空を切った。北條も同じパターンで2者連続空振り三振。この攻めを何度も繰り返され、右打者は23打席でわずか1安打。まるで歯が立たなかった。6回に先頭の代打ナバーロが中前へ。左打者のチーム初安打が巡り合わせの悪さを物語る。片岡ヘッド兼打撃コーチも「右のインコースに入ってくる真っスラ。あれが良かった」と険しい表情だった。 1度も二塁に進められなかった。6回無死一塁では植田がバント失敗。出塁してもしつこいけん制で二盗できず。指揮官は「外国人投手は足の速いランナーを嫌がりますから」と期待したが反撃の糸口にはならなかった。長期ロードは11勝11敗。残り2戦で何としても勝ち越したい。試合後は北條、植田、大山がバットを握って約40分の居残り練習。悔しさは打ってはね返すしかない。【酒井俊作】

◆巨人は先発のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(24)が阪神打線を相手に9回、113球を投げて7三振を奪うなど2安打に抑え、来日初完封で4勝目(2敗)を挙げた。球団の育成出身投手の完封は初。メルセデスは四回に来日2年目で初安打となる左中間適時二塁打を放ち、チームの連敗を2で止めた。  阪神は秋山が先発した。巨人は二回、一死満塁から山本が押し出し四球を選び、1点を先制した。四回には二死一塁とし、メルセデスが左中間に適時二塁打を放ち、2-0とした。メルセデスはテンポのいい投球で最後までマウンドを守った。

◆2試合連続で無得点に終わっていた巨人が、二回に押し出し四球で先制した。21日のDeNA戦の六回以来、23イニングぶりの得点となった。  二回は先頭の岡本が四球で出塁。阿部が中前打、1死後に大城が右前打でつないで満塁とし、8番山本が四球を選んだ。四回には投手のメルセデスに適時二塁打が飛び出し、2-0とリードを広げた。

◆巨人は1-0の四回に下位打線の攻撃で追加点を挙げた。2死から8番山本が右前打で出塁し、投手のメルセデスが適時二塁打を放った。  連打の前に7番大城は、いったん本塁打と判定された右翼ポール際への当たりがリプレー検証でファウルになっても、粘って秋山に計15球投げさせていた。高橋監督は「ファウルになったのは残念だったけど、粘って雰囲気を変えてくれた。7、8、9番で1点取ったのは大きかった」と振り返った。 巨人・斎藤投手総合コーチ(メルセデスに)「右打者の内角を攻めて、意識付けできていた」

◆ --メルセデスに攻略の糸口が見つからず...  金本監督「ですね、よかったですね、やっぱ。球もよく動いているし。うーん、コースに決まったらね、イン(コース)カット(ボール)とかね」  --あれだけ右打者の懐に食い込むと...  「ちょっと厳しかったな、やっぱな」  --右打者を並べた  「データも少ないし、もちろん左(投手)だから、ということも。多少の左(打者)の方がいいというデータもあったんですけど、まあだから、少ないデータのアレですからね、そこまでの明らかなものというのは、まだ僕らは感じられなかったから」  --それより、植田らで足でかき乱そうと  「まあそうですね、外国人のピッチャーって足の速いランナーを嫌がりますからね」  --六回のバント失敗の後はスタートしてほしかった  「うーん...まあ、サインは出してましたけど」  --ナバーロのスタメン落ちは守備面(外野)も考慮したのか  「うーん、まあ、ね。うーん...守備で2試合くらいちょっと、(ミスが)あったからね。まあ、あるとしたらファーストでしょうね」  --ロサリオは、きょうのメルセデス(の出来)だと難しかったか  「まあちょっと、しんどいわね。きょうは右バッターみんなしんどかったと思うよ」

◆ヒデェー! 酷すぎるよタイガース!!  1ゲーム差で追う巨人とこの3連戦で形勢逆転やと鼻息を荒くしていたら、いきなりの2安打零封負けって...。稲川淳二さんの真夏の怪談より虎党を凍えさせて、どないすんじゃー!!  内容もサイテー。例えば、阪神の攻撃が始まった五回の巨人ベンチにて...。「岡本、重信、亀井の外野陣、なにベンチに座ってんの? 守備に就いて!」「あ、大西外野守備走塁コーチ、ホントに僕たち必要ですか? 四回まで外野に一つもきていませんよ...。もう退屈で退屈で。フワ~ッ」と生あくびなんて冗談があっても不思議ではない阪神打線...(涙)。  かつて名将・野村克也氏は『固定観念は悪、先入観は罪』と言ったのだ。前日、中日の右腕・吉見に左打者を6人並べて試合を落とし、本日はメルセデスに右打者を7人(植田は両打ち)並べ零封負け...。右には左、左には右という縄文時代の言い伝えみたいな起用は卒業しません?  えっ、データだとメルセデスは左打者の方に打たれている? 俺、もう頭がパンクするー!!

◆3試合ぶりに先発マスクをかぶったD3位・大城(NTT西日本)がメルセデスを好リード。打撃でも助けた。四回一死で初球を右翼ポール際へ大飛球。本塁打の判定はリプレー検証で覆ったが、ファウルで粘って秋山に計15球を投げさせた。最後は左飛に倒れたが、メルセデスの適時打を引き出し「雰囲気を変えてくれた」と高橋監督。大城は「食らいつくという気持ちだった」と必死さをアピールした。

◆厳しい表情で首をかしげた。汗びっしょりになりながら腕を振ったが、なかなか球審の手は上がらない。秋山が5回で111球を要する苦しい投球。リーグワーストとなる10敗目を喫した。   一度は命拾いしたが...。0-1の四回一死。秋山は大城に初球138キロをとらえられ、大飛球は右翼ポール際へ。一度は本塁打と判定されたが、リプレー検証の結果、ファウルに覆り、1ストライクから試合再開となった。ただ、その大城に15球粘られると(左飛)、二死から山本、メルセデスの連打で1点を失い、流れを変えられなかった。

◆ナバーロは好調をキープだ。前回対戦でも2安打していたメルセデスに対し、六回に代打で登場すると、見事に初球を中前打。「代打は難しいけど、幸運だった。もちろん、軌道とかは頭にあった」と胸を張る。ロサリオが4戦ぶりに一塁で先発出場したため、4試合ぶりにスタメン落ち。外野での起用も選択肢の1つだが、金本監督は「2試合くらいちょっとね、(外野守備でミスが)あったからね。あるとしたらファーストでしょうね」と話した。

◆阪神は二塁も踏めず今季ワーストの2安打。8度目の無得点負けで2連敗を喫し、借金6だ。あえて右打者を並べた金本監督は、メルセデスをたたえるしかなかった。  「よかったですね、やっぱ。球もよく動いているし。インカット(右打者の内角カットボール)とかね。(あれだけ食い込むと)ちょっと厳しかったな、やっぱな」  前回7月18日の対戦で2安打していたナバーロが六回先頭、代打で中前打したのがチーム初安打。結果的に対策が裏目に出たが「(左打者の方が打っているのは)少ないデータのアレですからね、そこまでの明らかなものというのは、まだ僕らは感じられなかったから」と説明した。 メルセデスについて阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ  「右(打者)のインコースに真っスラ。あれがよかった」

◆久しぶりの出番で助っ人の面目躍如...どころか育成出身左腕、メルセデスの引き立て役になってしまった。「5番・一塁」で4試合ぶりにスタメン出場したロサリオだが、3タコ1三振。球場別では最多タイ3本塁打を放っている東京ドームで、バットはむなしく空回りした。  「まあ、ちょっとしんどいわね。(ただロサリオに限らず)きょうは右バッターみんな、しんどかったと思うよ」  起用した金本監督は、そうかばったが...。二回一死の1打席目は外角高めのチェンジアップに空振り三振。0-1の四回二死一塁では1ボールから低め127キロ変化球に手を出し、ボテボテの捕ゴロだ。七回一死は2ボールと打者有利のカウントから、真ん中高めの直球を打ち上げて平凡なフライ。足取りも重く、引き揚げた。  年俸3億4000万円で加入した待望の新4番は開幕から外角への変化球の対応に苦しみ、2軍落ち。7月17日に1軍復帰後は7月月間打率・297(37打数11安打)、3本塁打をマークしたが...。8月は・259(58打数15安打)と再び下降線。8月上旬には球団幹部が「正直、現状では(残留は)厳しいと言わざるを得ない」と話すなど、来季の残留はここからの上昇が条件なのだが、兆しがなかなか見えないのが、現状だ。  金本監督は3試合連続でスタメンから外した前日23日の中日戦(ナゴヤドーム)後、「言いようがない」とニガ笑いを浮かべていた。この日、来日初アーチをかけ、看板直撃弾を放った東京ドームで、復活の足掛かりを期待したが...またも裏切られた。金本阪神のキーマンと言われ続けている大砲だが、もはや残り38試合。負けられない戦いが続く中、残された時間は多くはない。 (新里公章)

◆厳しい表情で首をかしげた。汗びっしょりになりながら腕を振ったが、なかなか球審の手は上がらない。秋山が5回で111球を要する苦しい投球。リーグワーストとなる10敗目を喫した。  「四球が絡んで先制点を与えてしまい、球数が多くなって短いイニングでの降板となってしまいました。自分の役割を果たすことができず、チームに申し訳ないです」  自慢の制球が定まらない。二回は先頭の岡本を歩かせると阿部、大城に安打を浴びて一死満塁。続く8番・山本に3球連続ボールで球場がざわめき始める。何とか4球目、142キロ直球でカウント3-1としたが、最後は142キロ直球が内角に外れ、押し出し四球に...。22イニング連続無得点だった巨人に、先制点を許してしまった。  「(自分としては)いいところのボールもあったんですけど...。『低めに低めに』という意識が四球になってしまいました」  四回には二死から山本に安打を許すと、投手のメルセデスに、高めに浮いた139キロ直球を中堅左にはじき返された。来日初安打となる適時二塁打を浴びて、痛恨の2失点目。「抑えないといけなかった。もったいなかったと思います」と肩を落とした。  これで5勝10敗。昨季チームトップの12勝(6敗)を挙げた勝ち頭が、大きな壁にぶつかっている。開幕前には金本監督からメッセンジャーとともに先発の「2本柱」に指名された27歳。それだけにこの不調はチームの苦闘に直結している。  2軍でのリフレッシュ調整後も3試合勝てず、6月7日のオリックス戦(甲子園)で勝利して以降、7試合白星なし。昨季は25試合で与四球16と抜群だった制球力も、今季はこの日の3四球で、17試合目にして18。制球の狂いが修正できない。  チームは残り38試合で借金6。4位に沈んでいる。虎が浮上するには、秋山の復活は不可欠だ。(箭内桃子)
秋山について阪神・香田投手コーチ 「(きわどい判定も)お互い様ですから。秋山らしいコントロールを見せてほしかったんですが...。四球からの失点だったり、投手に打たれてしまうのがね」

◆巨人は24日、阪神19回戦(東京ドーム)に2-0で勝って連敗を2で止め、2位に浮上した。先発した左腕のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(24)が、今季4勝目を来日初完封で飾った。9回を2安打に抑え、打っては四回に来日初安打&初打点となる左中間への適時二塁打。7月に支配下登録を勝ち取ったドミニカンが、投打で勝利に貢献した。  大歓声に包まれた打球が左中間を破った。走者の山本が一塁から一気に生還。四回二死、投手のメルセデスが貴重な2点目をたたき出した。  「自分でも"まさか"という感じ。安打は14歳の頃に遊びの野球で打ったことはあるけど、プロになってからは(今季を迎えるまで)打席に立ったことがない」  下位打線で1点をもぎ取った。一死で左飛に倒れた大城が秋山に15球も投げさせ、二死から山本が右前打。そして両打ちのメルセデスが左打席から適時二塁打。登板7試合目、18打席目での初安打&初打点に、二塁塁上で右手を突き上げた。  ドミニカ共和国出身の24歳。両打ちは少年時代からの習慣だという。無邪気に白球を追った当時は、同国出身で米大リーグで活躍するマニー・ラミレスやロビンソン・カノらに憧れ、ときに打撃フォームをまねていた。  左腕は本業でも光った。六回先頭の代打・ナバーロに中前打されるまで無安打。右打者が7人並んだ阪神打線に二塁すら踏ませず、2安打でシャットアウト。113球でつかんだ今季4勝目を来日初完封で飾った。  「右打者に対するスライダーがよかった。緩急もつけて、狙い通りの投球でした。完封と初安打を同じ日に達成できると思っていなかった。"スーパー"がたくさんつくほど、うれしいです!」  2日のDeNA戦(横浜)で飾った完投勝利が人生初だったから、今回の完封も初めて。さらに今季の巨人で5人目の完封勝利達成者。同一シーズンで5人以上は、日本一となった2000年に6人が記録して以来、18年ぶりとなった。  初登板から25イニング連続無失点など巨人に欠かせない先発投手となったメルセデスは、日本の夏の風物詩も勉強済みだ。秋田・金足農高の吉田輝星投手(3年)が脚光を浴びた甲子園大会を、ダイジェスト番組などでチェック。「負けたら終わりというのを、他の選手に説明してもらった。それだけやる気にあふれているし、最後まで諦めない姿勢、どうしたら勝てるかを必死になって探して戦っている姿が参考になった」。プロ野球と違った一発勝負。投打に活躍する高校球児のようなプレーを見せた。  高橋監督は「メルセデスは安打も打ったし、大活躍の1日ですね。(四回は)大城が粘ったところから8、9番で1点を取ったのは大きい」と称賛。チームは連敗を2で止めて2位に浮上した。25日には、左脇腹の肉離れで離脱していた坂本勇が1軍に合流。メルセデスが勢いをつけた巨人が、大きな反攻を開始する。 (吉村大佑)

◆ズラリ7人並べた右打線が沈黙し、阪神は屈辱の今季ワースト2安打で巨人に完封負け。クライマックスシリーズ出場圏内に入るには順位が上のライバルには絶対負けられないのに...。サンケイスポーツ専属評論家で阪神OBの江本孟紀氏(71)は、左打者に相性が悪い左腕・メルセデスだけに「完全な作戦失敗」とバッサリ。福留ら主力を外した金本知憲監督(50)に「今こそ総力戦で」と訴えた。   伝統ある阪神と巨人の戦いで、まさかこんな貧打戦を見せられるとは思わなかった。巨人打線は2試合連続完封負けの直後の試合だから、はっきり言ってどん底に近い。ところが、阪神はそれを上回る貧打だった。決してメルセデスが良かったわけではない。  はっきり言おう。完全な作戦失敗。メルセデスという投手は、左腕でありながら左打者を苦手にしている。というより、懐が広く見える右打者に対して、気持ちよく投げるタイプだ。過去の対戦成績も、圧倒的に左打者に打たれている(試合前時点で対左打者は60打数20安打で被打率・333。右が97打数18安打で同・186)。  こんなデータはどこのチームも持っている。我々だって知っている。最近、メルセデスと対戦したセ・リーグのチームは、むしろ左打者を積極的に起用していたほど。阪神だって一度、対戦している(7月18日の甲子園で7回0封)から、ある程度の傾向と対策は得ているはずだ。前回対戦で唯一2安打したのは、左打者のナバーロだということも。  なのに、あえて右打者をズラリと7人並べた。万が一、左投手だから、という理由なら、これはもう「古い野球」と言わざるを得ない。もし、右打者のほうが効果的と判断したのなら、それは仕方ない。が、皮肉なことに代打で送ったナバーロがまたもヒット。八回の代打攻勢も糸原、福留...。左打者ばかりだった。原口らベンチの右打者は登場しないまま...。  右打線を組んだことにより、福留、糸原、鳥谷らがスタメンから消えてしまった。メルセデスには左打者、というデータを信じ切れなかったこと以上に、主力が何人もいない打線になってしまったことの方が疑問が湧くし、気になる。  福留は体調面を考慮して、3連戦に1試合程度の割合で、相手先発が左腕の時に休む。糸原も状態をみながら、スタメン落ちの日を作っている。フルシーズンを考えての起用と聞く。ベンチ裏の事情はあるだろう。  ただ、優勝が厳しく(首位広島と13・5ゲーム差の4位)、何とか3位以内を争う状況になっている現状で、巨人に引き離されることは絶対に避けなければならない。上にいる2位巨人、3位ヤクルトには何が何でも勝ち越す必要がある。  そのためには何が必要か。「総力戦」しかない。福留には気の毒かも知れないが、休養を取るのは巨人戦以外でなければならない。ベンチも、相手がどこでも関係ないような起用をしていては下手をすれば5位、6位に落ち込む可能性だって出てくる。総力で戦うのは、最終盤ではなく、今だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆  江本 「メルセデスの完封で勝つには勝ったけど、巨人打線は...。得点は押し出し四球にメルセデスのタイムリー。実質的には(22、23日のDeNA戦に続き)3試合連続で無得点よ」  大久保 「やっぱり、そうきますか」  江本 「読みが悪い。秋山のシュート回転してくる甘い球に対して、狙いがことごとく逆。あわてて打つから詰まる。それでもなお、振り回すんだから、なあ」  大久保 「工夫も足りません。バットを短く持つとか、打席で投手寄りに、本塁寄りに立つとか。相手は打たれるまで同じ攻め方できますから、凡打の繰り返し...」  江本 「そう。もう少し考えて打たんと。洞察力がなさすぎる」  大久保 「相手にも考えさせることですね。狩猟でも2パターンあるじゃないですか。猟銃でバーンと撃つのと、ワナを仕掛けるのと。ワナに銃弾は必要ないし、獣も異変を察知すれば遠回りしてくれる。そういう工夫ですよね」  江本 「お、デーブ。過激な例えだな。それなら俺も、過激にいわせてもらおうか。今の打線にはもう、伸びしろがない。このままでは2位も難しい! 坂本勇、はよ戻ってこい!!」  大久保 「まあまあ...。穏便な締めとして、メルセデスをほめます。四球で崩れない。テンポがいいから相手に考える暇を与えない。『考える』。結局これが、共通テーマでしたね」

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
644320.598
(↓0.006)
M23
(-)
34564
(+3)
489
(+5)
143
(+2)
65
(-)
0.268
(↑0.001)
4.1
(↑0.01)
2
(↑1)
巨人
565820.491
(↑0.004)
11.5
(↑1)
27508
(+2)
466
(-)
116
(-)
52
(-)
0.259
(-)
3.84
(↑0.03)
3
(↓1)
ヤクルト
525510.486
(↓0.005)
12
(-)
35505
(+3)
527
(+6)
104
(+2)
58
(-)
0.27
(-)
4.46
(↓0.01)
4
(-)
阪神
495510.471
(↓0.005)
13.5
(-)
38412
(-)
460
(+2)
64
(-)
51
(-)
0.249
(↓0.002)
3.99
(↑0.01)
5
(-)
DeNA
495920.454
(↑0.005)
15.5
(↑1)
33436
(+6)
506
(+3)
134
(-)
61
(+1)
0.251
(↑0.001)
4.3
(↑0.01)
6
(-)
中日
516210.451
(↑0.005)
16
(↑1)
29469
(+5)
510
(+3)
71
(-)
51
(-)
0.263
(-)
4.31
(↑0.01)