ヤクルト(☆3対2★)阪神 =リーグ戦14回戦・明治神宮=
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阪神
02000 0000 2100
ヤクルト
20100 000× 390
勝利投手:ブキャナン(9勝8敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝1敗2S))
敗戦投手:秋山 拓巳(5勝9敗0S)
  DAZN
◆ヤクルトは初回、青木とバレンティンの適時打で2点を先制する。その後同点とされるも、3回裏にバレンティンが再び適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・ブキャナンが6回2失点の好投で今季9勝目。敗れた阪神は、10安打で2得点と打線がつながりを欠いた。

◆ヤクルト先発のデービッド・ブキャナン投手が、6回2失点で勝利投手の権利を得たまま降板した。  2回に4安打を浴びて2失点したが、粘り強く打たせて取る投球に徹した。100球を投じて9安打を浴びながらもリードを守ったまま、救援陣に託した。  「調子自体は悪くなかった。2回に失点してしまったがゴロの安打だったので切り替えはすぐにできた」と振り返った。

◆阪神秋山拓巳投手は自身4連敗となる9敗目を喫した。  代名詞である繊細な制球力を欠き、5回途中で90球を要して被安打6の3失点。「上位にばかり打たれてしまった。そこに尽きます」と猛省。これで6月7日オリックス戦以来、出場選手登録抹消期間も含めて2カ月以上も白星から遠ざかることとなった。

◆阪神梅野隆太郎捕手(27)が、2安打1打点と敗戦の中、気を吐いた。  2点を追う2回、2死一、三塁からブキャナンの内角への147キロ直球をはじき返し、三塁線を抜ける適時打二塁打。初回に2点を奪われるなど、相手に傾いた流れを一振りでくい止めた。「神宮ではある程度打ち合いになる。なんとか打てるところで1本とは思っていた」と振り返った。  この日は4回の第2打席でも2死一、二塁の好機から左前打を放った。打撃好調の梅野は8月に入り、月間打率3割5分1厘をマーク。下位打線ながら、チームをバットでもぐいぐい引っ張っている。

◆ヤクルトが1点差を守りきり、50勝に到達した。  2-2の3回にバレンティンが2打席連続適時打となる決勝の適時二塁打。先発ブキャナンが6回2失点で9勝目を挙げ、7回からは梅野、近藤、石山と無失点リレーを決めた。  借金を1とし、自力優勝の可能性も復活。小川淳司監督は「よく粘ったと思います。(自力優勝の可能性が復活)まだ借金を抱えているチームなので、おこがましいです」と話した。

◆阪神糸井は4番で出場したが4打数無安打だった。5回1死一、二塁では二ゴロ併殺に倒れた。  前日は右膝の状態を考慮されて途中交代。状態が不安視されていることに「悪そうに見えた?」と報道陣に逆質問した。金本監督は「どうしたんかな。気分的にも乗っていない感じやったね」と心配そうだった。

◆阪神北條は連続試合出塁を23とした。  2打席凡退後の5回に左前打。4試合連続のマルチ安打にはならなかったが、「今はストライクを振っていこうとしている。ベンチから準備してやっていかないといけない。しっかり続けていきます」と目の前の打席に集中する姿勢を示した。

◆阪神秋山はまたも勝てず、自身4連敗となる9敗目を喫した。持ち味の繊細な制球を欠き、4回1/3を90球で被安打6の3失点。6月7日オリックス戦以来、出場選手登録抹消期間も含めて2カ月以上も白星から遠ざかることとなった。  「上位にばかり打たれてしまった。そこに尽きます」。試合後は猛省の言葉が続いた。1回から35球を要する苦しい立ち上がり。1、2番に2者連続でフルカウントから痛打を食らい、あっさり先制点を献上。さらに4番バレンティンにも左翼フェンス直撃の適時打を浴びた。2回に自身の適時打で同点に追いついたが、3回にはストレートの四球からまたもバレンティンに右中間適時二塁打を許し、これが決勝点となった。  5回1死一、二塁、再びバレンティンを迎えた場面での降板。メッセンジャーに次ぐ先発陣の柱としては寂しいタイミングでマウンドを去り、最後は「また頑張りたい」と神妙な表情のまま力を込めた。

◆阪神梅野が奮闘した。2点を追う2回2死一、三塁。カウント1-1からの3球目、ブキャナンの内角への147キロ直球をコンパクトにはね返した。打球は三塁線を鋭く抜け、1点差に迫る適時打となった。  「神宮ではある程度打ち合いになる。なんとか打てるところで1本とは思っていた」  8月に入り、梅野のバットが熱量を上げている。この日は第2打席でも左前打を放ち、3打数2安打。打率はまだ2割3分9厘ながら、梅野も「いい方向には進んでいる」と話したように、8月は3割5分1厘。下位打線を引っ張っている。昨季も8月は3割2分6厘と、絶好調だった。今季も夏男ぶりを存分に発揮している。  守備でも投手を支える。現在盗塁阻止率は3割4分。シーズンが始まる前に掲げていた目標のひとつで、現在セ・リーグトップを走る。ここぞの場面で決めてきた犠打も「21」と両リーグ通じてトップタイ。この日は悔しい1点差負けを喫したが、上位争いは続く。僅差の勝負を勝ちきるため、選手会長が攻守で執念を見せ続ける。【古財稜明】

◆阪神は相手を上回る10安打を放ちながら、ウップンのたまる2得点。2位ヤクルトに悔しい1点差負けを喫した。象徴となってしまったのが7回無死一塁で二ゴロ併殺に倒れた中谷将大外野手(25)。金本知憲監督(50)は「あそこをファウルにするとかしないと、彼の先は見えない」と各球団が徹底する内角攻め克服へ、厳しい言葉を投げかけた。  中途半端なハーフライナーが、もどかしさの象徴だった。1点を追う7回。先頭梅野が四球を選ぶ。最低でも走者を得点圏に進めたい局面だ。ヤクルト梅野が投じた2球目は内角速球だった。中谷は右打ちを試みるが、どん詰まりで二塁正面へ。山田哲が一塁に送球し、一塁坂口から二塁カバーの遊撃西浦に転送。一、二塁間で行き場を失った梅野が挟殺されて、4-3-6-4の併殺に終わった。  同点機を築くはずが2死走者なしになった。するりと勝機は逃げ、ヤクルトを上回る10安打を放ちながら敗戦。金本監督も「ヒットは出たけど巡り合わせが悪かった」と首をかしげた。中谷は6回裏の守備から途中出場。7回はこの日、初めての打席だった。ベンチから送りバントの指示はなく、ノーサインの「打て」だった。だが課題の内角速球を攻略できず、指揮官も大砲候補に苦言を呈した。  「あそこをファウルにするとかしないと、彼の先は見えない。あれだけ見え見えで(内角球を)投げてきて、それを打ち返せないのは、去年からずっとか。もう、セ・リーグの全球団にばれている。何とか、そこを今後、クリアしないと、やっぱりプロ野球ではな」  阪神屈指の打球の飛距離を誇り、昨季はチーム最多20本塁打。指揮官は「レギュラーを取る力はあるんだけど。守れるし。そこだけよね」と言う。今季は打率2割3分8厘、3本塁打にとどまる。期待が大きいからこそ、厳しく指摘した。打線が活性化する神宮で4試合連続2桁安打を刻みながら、5カードぶりにカード初戦を敗戦。若武者の苦悩が浮き彫りになった夜だった。【酒井俊作】

◆阪神・秋山拓巳投手(27)がヤクルト3連戦の初戦に先発。4回1/3を3失点で降板した。  ヤクルトの先発はブキャナン。秋山は一回、先頭の坂口、青木の連打で1点を先制されてなお一死二塁のピンチ。続く山田哲は見逃し三振に斬るもバレンティンに左翼フェンス直撃の適時打を浴び、この回2点を奪われた。  二回に二死一、三塁から梅野と自身の適時打で同点としたが、三回一死一塁から再びバレンティンに適時二塁打を浴び、勝ち越しを許した。四回は燕打線を3者凡退に斬るも、五回一死一塁から山田哲に四球を与えてピンチを作り、バレンティンを打席に迎えた場面で降板となった。阪神の2番手・岡本はバレンティン、雄平を左飛に打ち取り、この回を無失点でしのいだ。

◆ヤクルトの青木が一回に4戦連続安打となる先制二塁打を放った。  安打で出塁した坂口を一塁に置き、フルカウントからの6球目、秋山の浮いた外角速球を左中間に打ち返し「甘く入ってきた球をミスショットすることなく、しっかりと自分のスイングができた」と満足げに話した。  16日の巨人戦に続く打点。36歳のベテランが打線で存在感を示し続けている。

◆ヤクルトが阪神3連戦の初戦に3-2で競り勝った。ウラディミール・バレンティン外野手(34)が三回に勝ち越し打を放つなど、2打点で勝利に貢献。先発のブキャナンは6回9安打2失点の粘投で9勝目(8敗)を挙げた。  15日に優勝へのマジックナンバー「32」が点灯した広島がこの日、DeNAに敗れたため、ヤクルトに自力優勝の可能性が復活。広島のマジックは消滅した。  一回、先頭の坂口が左前打で出塁すると、続く青木がカウント3-2から左中間へ先制の適時二塁打。なおも無死二塁で山田哲は見逃し三振に倒れるも、バレンティンが左翼フェンス直撃の適時打を放ち、この回2点を奪った。  二回二死一、三塁から阪神・梅野、秋山に適時打を放たれ同点とされたが、三回一死一塁からバレンティンが右中間へ適時二塁打を放ち、1点を勝ち越した。  その後は両軍得点がないまま、ブキャナンは六回の打席で代打を送られ降板。七回からは梅野-近藤-石山が1イニングずつを無失点で抑えた。 バレンティンの話 「きょうはアゲインストな風ですから、ホームランを打つことは難しいと思いました。ですから、逆方向とかライナーを打つことを心がけて打席に入りました」

◆阪神は好機を生かし切れなかった。0-2の二回に梅野の左翼線二塁打で1点返し、投手の秋山の中前打で追い付いたが、勝ち越しを狙った梅野が本塁アウトに。勝ち越された直後の四回は2死から3連打で塁を埋めたが、秋山が二ゴロに倒れ、金本監督は「ちょっと巡り合わせも悪かった」と思い返した。  五、七回には併殺打で反撃の芽をつぶした。2安打で先発起用に応えたロサリオも「チームの成績が大事だと思うので満足していない」と悔しがった。 阪神・梅野(二回に適時二塁打) 「神宮はある程度打ち合いになると思っている。打てるところで打たないといけない」 阪神・香田投手コーチ(秋山に) 「逆球が多かった。(五回途中での交代に)あそこが勝負どころと思っていた」

◆ヤクルトのバレンティンが2-2の三回に放った勝ち越し二塁打を含む2安打2打点の活躍で勝利に導いた。  試合前から強風が吹いていたことから「本塁打を打つのは難しい。ライナーを打つことを心掛けた」という。三回は1死一塁で秋山の投じた甘い球を鋭い打球で右中間へはじき返した。今季96打点として打点王争いで独走中。「4番の仕事は打点を挙げること」と胸を張った。 小川監督(石山に) 「心強い。近藤も含めて後ろの投手は疲れていると思うが、何とかもうひと踏ん張りしてほしい」 ブキャナン(チーム勝ち頭は6回2失点で9勝目) 「打たせて取ることができた。チームに貢献できてうれしい」 近藤(25ホールド目) 「抑えられて良かった」 ヤクルト・梅野(好救援) 「緊張した。もっと上を目指して頑張る」

◆糸井は1点を追う五回一死一、二塁で二ゴロ併殺。右腓骨の骨折があった足の不安で途中交代した前日16日の広島戦(京セラ)に続き、2戦連続無安打に終わった。金本監督も「どうしたんかな。なんか気分的にのってないような感じだったね」と心配顔。足の状態の影響について問われたが「いや、それはわからん。本人に聞いて」と語るにとどめた。 2安打で先発起用に応えた阪神・ロサリオ 「チームの成績が大事だと思うので満足していない」

◆守護神・石山が九回を3者凡退で締め、20セーブ目を挙げた。球団の日本投手で20セーブに到達したのは2005年の石井弘寿(現投手コーチ)以来。「自分の数字は気にしていない。チームが勝てばいいという気持ち」と笑みを浮かべた。母校の金足農高は夏の甲子園大会で8強入り。「刺激をもらっています。自分もいい報告ができるように」と言葉が弾んだ。

◆この日31歳の誕生日を迎えた俊介が3試合ぶりに先発出場。四回二死一塁で右前打を放って好機を広げたが、得点にはつながらず。二回一死一、三塁での凡退を悔やんだ。犠飛でも得点の場面だったが、初球を浅い中飛に倒れた。「反省しないといけない部分。もっと練習します」と厳しい表情だった。

◆先発・秋山は五回途中6安打3失点で9敗目(5勝)を喫した。立ち上がりから球のキレ、制球力ともに悪く、一回に坂口&青木の連打で先制を許し、バレンティンにも適時打を献上。「自分がしっかりとした状態で上がれていないのが原因。上位に打たれてしまっている」。6月7日のオリックス戦(甲子園)以来勝ち星から見放されている現状。金本監督は「今イチやったな。走りもコントロールも...」と首をひねりっぱなしだった。 秋山について阪神・香田投手コーチ 「逆球が多かった。(五回途中での交代に)あそこが勝負どころと思っていた」

◆北條は連続試合出塁を「23」に伸ばした。1点ビハインドの五回一死から、5試合連続安打となる左前打。「今は打席の中でストライクをしっかり振っていこうと思っています」。1番を打つ糸原が出ればつなぎ、出なければ自分が何とか出塁する。攻守で躍動も、七回二死一塁の第4打席での力ない遊飛について「二死から糸原さんが出てくれたので(続いて)出たら、また違ったのかなと思います」と悔やんでいた。

◆何やねん...。この季節は...。秋みたいに、しっとりした虎の敗戦は!? 二回が終了して2-2。よっしゃー、狭い神宮! 風もビュンビュン! こりゃ終わってみたら、両軍合わせて30得点ゲームになるでェと腕まくりしたのに、その後はヤクルトの三回の1点だけで、ともにゼロ行進でゲームセット...。ハックショ~ン! 久しぶりに気温の下がった東京で風邪をひいちまったわ!!  秋風のようにお寒い虎打線はさておき、本日は『虎の通信簿』じゃなくて『燕の通信簿』をお届けするのだ。  五回終了時に打ち上げられる夏の夜空を彩る花火、100点! みんな傘を振り上げての『東京音頭』も、球団事務所は青山というオシャレな土地なのに、下町の人情を感じさせてくれるし、サイコー! そして、野球マニアとしてはファウルゾーンにブルペンがあり、次の投手を予想できる唯一の球場が好きー! 燕の背番号38、19歳の梅野君の直球勝負ええね~。夏休み最後のプレゼントに、28日からの甲子園での3連戦で、阪神・才木vsヤクルト・梅野の19歳先発対決を演出してくれー!!

◆"2年越しの約束"が実現することを信じて早朝から奮闘しています。  高校野球担当の須藤佳裕は、第1試合の試合前取材の時間(午前6時半)に合わせて、最寄り駅の阪神なんば線「桜川駅」を午前5時33分発の電車に乗って甲子園球場に向かいました。  「早朝は直通の電車がないので尼崎駅で乗り換えます。この電車が梅田駅を出るときから超満員で、体が"逆くの字"になったまま甲子園までいく状態なんです」  大会は13日目。疲れがピークになるころですが、この日は第1試合で母校の近江が常葉大菊川に快勝して8強入り。「全然眠くないです」。渾身の原稿は5面でご覧になってください。  その須藤が入社1年目の2016年夏、滋賀大会決勝を取材したときのことです。3-0で高島を破り、甲子園出場を決めた近江が、彦根球場から歩いてすぐの学校で父母、選手、応援にきていたOBらで祝勝会を開催することになり、多賀章仁監督から「須藤記者も来ないか」と誘っていただいていました。  「これから原稿を書きますので」  「そうか。じゃあ、甲子園で優勝したら、祝勝会に来てくれよ」  「はい!!」  第98回大会は初戦敗退で実現しませんでしたが、1回戦で智弁和歌山を、2回戦で前橋育英を撃破した今大会は面白い展開になっています。  「準々決勝で対戦する金足農の吉田投手は難敵ですけど、3試合を1人で投げてきている。近江はきょう好投した林投手を含めて左右2枚ずつの『4本の矢』です。4番の北村内野手も絶好調です。勢いに乗っているし、楽しみです」  母校愛にあふれる須藤の頭の中には、大会第16日の予定もできあがっているようでした。  そのころ、甲子園を離れているトラ番は、ヤクルトが「燕パワーFRIDAY」で緑色のユニホームを着用する神宮球場で、名物グルメの「神宮パイン氷」をめぐって喧々囂々(ごうごう)となっていました。  「長友、なんやそのかき氷」  ベテラン編集委員上田雅昭がすっとんきょうな声をあげています。トラ番サブキャップ長友孝輔が「きょうは8月17日。817でパイナップルの日だから」と、燕パワーユニホームに合わせて緑に着色されたパイナップルが盛られたかき氷(本来は黄色)を買ってきたからです。  「それ食べるのか」  キャップ阿部祐亮も気味悪そうにしながら携帯でパシャパシャ。トラ番箭内桃子だけが「わ、おいしそう」と食べたそうにしていました。実際、黄色の日も緑色の日も、女性ファンを中心に1日3000食売れる人気グルメなのだそうです。  前日までの広島3連戦を久々に勝ち越して、トラ番たちもなんだかにぎやかでした。  「広島を逆転するのは正直もう難しい。けど、2位にはならなあかん。2位はすぐそこなんやから」  上田も力が入っていました。しかし、広島も巨人も負けて、2位浮上の絶好のチャンスだったのに、2桁安打しながら2点どまりという不思議な負け方。黄色を緑でコーティングしたアレが、この不思議を招いたのか?

◆奇妙な回転がかかった小フライが舞い上がる。あぁ...。虎党の誰もがため息をつく。二塁・山田哲が中谷の打球をワンバウンド処理し、一塁送球でアウトにした後、一走・梅野が一、二塁間で挟殺。最悪の併殺に金本監督は腕組みし、口をとがらせた。  「ノーサインだから。迷いもクソもないでしょ。こっちは『打て』といっているんだから。あそこをファウルするとかしないと、やっぱり彼の先は見えないわね」  1点を追う七回、先頭・梅野が四球。六回途中から中堅に入れていた中谷の第1打席だった。  送りバントのサインはなし。しかし、燕の右腕・梅野の初球、真ん中直球を見送り、次は内角直球をしゃくり上げるように逆方向へ-。中途半端な打撃で同点機も追い上げムードも消滅した。  「もうこんだけ、あれだけ見え見えで投げてきて、それを打ち返せないというのは...」  内角を苦手とする中谷には、逆転の発想を教えてきた。昨季20本塁打をマークし、相手がさらに内角を突いてくる。だから、それを狙い打て。ヒットゾーンに飛ばせずとも相手に迷いを生じさせることができれば、しめたもの。それがプロの世界で長く飯を食うための条件だ。それだけの能力があると信じているからこそ、厳しい言葉になった。  「レギュラーを獲る力はあるんだけど、守れるし...そこだけよね。そこをクリアしないと、プロ野球ではな...」  打線は4試合連続2桁安打も2点止まり。勝てば2位浮上も失敗した。秋風が吹く中、中谷は無言で引き揚げた。もどかしさだけが残っていた。 (阿部祐亮)

◆  ――リリーフが踏ん張っていただけに、点を取りたかった  金本監督 「まぁね。ヒットは出たけどねぇ。もうちょっと...巡り合わせが悪かったかな、と」  ――七回、中谷は併殺。迷いがあったのか  「それは本人に聞いて。ノーサインだから。迷いもクソもないでしょ。こっちは『打て』といっているんだから」  ――内角の直球  「あそこをファウルするとかしないと、やっぱり彼の先は見えないわね。もうこんだけ、あれだけ見え見えで(内角に)投げてきて、それを打ち返せないというのは...。今年...昨年からずっと、か。セ・リーグなら全球団バレているわけですから。何とかねぇ。レギュラーを獲る力はあるんだけど、守れるし...そこだけよね。そこをクリアしないと、プロ野球ではな...。見え見えできているのに、打てないんだから」

◆頼むで、神宮男!! 阪神はヤクルトに2-3で惜敗したが、8番・梅野隆太郎捕手(27)が2安打1打点。今季のヤクルト戦は打率・405、神宮では同・583と大暴れ。拙攻の連続で沈滞したムードを、18日から払拭してや!!  一振りで流れを取り戻した。二塁に到達し、ポンと両手をたたく。取られたら取り返すのみ。"神宮男"の梅野が、2安打1打点で気を吐いた。  「神宮は打ち合いになることが多いので、何とか打てるときに1本と思っていました」  2点を先制された直後の二回だった。一死からロサリオ、鳥谷の連打で一、三塁の反撃機。俊介が中飛に倒れて二死となったが、そのまま終わらせるわけにはいかなかった。  カウント1-1からの3球目。ブキャナンの内角低め147キロ直球を振り抜くと、打球は左翼線への適時二塁打に。すぐさま1点を返し、序盤の劣勢ムードを振り払った。  ツバメを相手にヒットを量産している。今季のヤクルト戦では打率・405(37打数15安打)と絶好調。特に神宮では打率・583(12打数7安打)と驚異の数字をマークしている。ここまでの打率は・239にとどまっているが、"神宮の梅野"はひと味違う。ヤクルトとはクライマックスシリーズ進出争いでライバルになりそうだけに心強い数字だ。  攻守に存在感は増すばかりだ。今季はこの日でチーム最多の78試合目のスタメンマスク。自慢の強肩で盗塁阻止率は・340。2位の中村(ヤクルト)の・296を大きく離してトップに立っている。それでも、捕手として大事にしているのはそれ以外の部分も大きいという。  「盗塁を刺すのもそうだけど、ワンバウンドを止めることだったり、もっとリードを勉強したり。そういうところからピッチャーの信頼を得られるようにしていかないと。もちろん、打つのもそう」  まだまだ打って、守って、信頼を勝ち取っていく。「個人の成績よりも、打ち合いになることが多いので、それがいい方向になっているのではないかと思います」と控えめに振り返った。"打てる捕手"がいれば、虎はもっと上に行ける。 (箭内桃子)

◆ヤクルトは17日、阪神14回戦(神宮)に3-2で勝利。首位・広島がDeNA戦で敗れ、自力優勝の可能性が復活した。4番のウラディミール・バレンティン外野手(34)が三回に決勝の適時二塁打を放つなど2安打2打点の活躍でセ・リーグトップの96打点。2013年に記録した自己最多の131打点を上回るペースで打点を荒稼ぎしている。  本塁打は試合前から捨てていた。2-2の三回一死一塁。バレンティンは阪神先発、秋山が投じたカットボールを右中間へはじき返した。  「きょうは試合前から風が吹いていた。フライを打っても難しいと思っていた。ライナーを打つことを心がけていた」  一走の山田哲が一気にホームイン。右打者にとっては強い逆風が吹いた本拠地の天候を逆手に取り、二塁ベースで両手をたたき喜んだ。一回にも左翼線に適時打を放ち、ともに貴重な2打点だ。  「4番打者なので打点を挙げることが自分の仕事」とリーグ1位の96打点。60本塁打を放った2013年の131打点すら上回る134打点ペースをキープしている。  ヤクルトでは8年目の34歳。チームでもベテランの域にさしかかろうとしている。今ではクラブハウスでは青木と「今、チームはどうすべきか」、「若い選手にはどんな声をかけたらいいか」と話し合うほど。青木も「あいつはチームを少し離れたところで見ることができる。バレンティンとチームのことを話す機会が多い」と頼もしそうに語る。  チームは2連勝で自力優勝の可能性が復活した。これで借金1となり、18日も勝てばついに完済となる。  本塁打も現在29本。7度目の大台にも迫っている主砲は「アシタ! ダイ30号!!」と頼もしい。さらなる浮上へ、燕打線の中心を担っていく。 (横山尚杜)

◆ヤクルトの戦いに勢いを感じる。打線を引っ張っているのは坂口、青木の1、2番コンビ。この日も一回に2人の連打であっさり先制点を奪うなど、見事に機能した。  長丁場のペナントレースを戦う上で、打線を組むときに重要なのは、左打者をいかに機能させるか。左よりも右投手の方が多いのだから、左打者が機能するチームの方が得点力は上がる。その点でヤクルトは理想的だ。  坂口、青木というヒットメーカーが試合を動かし、右の大砲2人(山田哲、バレンティン)を挟んで、雄平、川端という仕事人が5、6番で控える。相手からみれば、実に厄介な打線だ。  青木のリーダーとしての役割も見逃せないだろう。試合に負けたときなど、苦しい状況のときに選手を鼓舞してくれるベテランがいると、チームはうまく回る。青木は、その役割をしっかり果たしていると聞く。チームが一丸となって戦っているのが見て取れるし、何よりも雰囲気がいい。広島を追撃できるとすれば、ヤクルトだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆ロースコアの1点差ゲームなのに、淡々と終わってしまった印象が強い敗戦。近鉄OBのサンケイスポーツ専属評論家、佐野慈紀氏(50)は立ち上がりに乱れ、2失点の先発・秋山に苦言を呈した。「逃げるな」と少年野球時代から知っている愛媛県の後輩にゲキ。力を評価しているからこそ、厳しかった。  広島3連戦は、目の前でマジック点灯されたものの、執念も感じたし、これからの勢いを予感させる戦いを見せていた。ところが、神宮に舞台を移すと、せっかくの上昇機運が全くなくなってしまっていた。残念だ。  大きな理由は、やはりいきなり2点を失った秋山の投球だろう。確かに今のヤクルト打線は1番から5番まで、非常に強力。どう攻めるのか、興味深く見ていた。ところが、いざプレーボールがかかると、持ち味の「攻めの投球」が全く影を潜めていた。  秋山の場合の「攻めの投球」は決して剛球で押すわけではない。緩急を駆使しての攻め。ところが、立ち上がりから、どういう訳か、直球一本。緩急を忘れたかのように、打たれても打たれても直球勝負だった。  リードする梅野が「秋山に感覚をつかませるため」に直球主体にしたのかもしれない。でも、ちょっと偏りすぎ。その直球の制球も思うようにいかず、際どいストライクが投げられない状態。苦しんで、ベルト付近へ。特にクリーンアップに対しては、攻めるというよりも、逃げている印象が強かった。  二回から、突然のように緩急を使い始めたが、遅すぎ。前回登板(9日巨人戦)に続く立ち上がりの失点で、チームに勢いをつけるどころか、出鼻をくじかれた感じ。昨年の投球を思いだすためにも「逃げるな」と言いたい。それが好調時の秋山の投球なのだから。  先発投手は我慢強く投げさせていた金本監督が五回途中であえて秋山に交代を命じたのも、秋山に感じてほしいものがあったのだろう。  さい配的には、前日決勝打の大山をスタメン起用してみるのも面白かったのでは、と感じた。もちろん、勢いを継続する一手として。勢いが伝わる野球を見せてもらいたい。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
604120.594
(↓0.006)
0
(-)
40527
(+5)
454
(+7)
134
(+2)
58
(-)
0.265
(-)
4.03
(↓0.03)
2
(-)
ヤクルト
505110.495
(↑0.005)
10
(↑1)
41469
(+3)
491
(+2)
96
(-)
55
(-)
0.267
(-)
4.38
(↑0.02)
3
(-)
巨人
525620.481
(↓0.005)
11.5
(-)
33486
(+1)
452
(+6)
110
(+1)
50
(-)
0.259
(↓0.001)
3.92
(-)
4
(-)
阪神
475110.48
(↓0.005)
11.5
(-)
44394
(+2)
437
(+3)
60
(-)
50
(-)
0.249
(-)
4
(-)
5
(-)
DeNA
465620.451
(↑0.005)
14.5
(↑1)
39413
(+7)
486
(+5)
125
(+3)
59
(-)
0.25
(↑0.001)
4.35
(↓0.01)
6
(-)
中日
485910.449
(↑0.006)
15
(↑1)
35449
(+6)
482
(+1)
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