巨人(★0対11☆)阪神 =リーグ戦16回戦(2020.09.17)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:西 勇輝(7勝3敗0S)
敗戦投手:サンチェス(4勝3敗0S)

本塁打
【阪神】近本 光司(6号・1回表ソロ),近本 光司(7号・6回表ソロ),ボーア(13号・7回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は初回、近本の先頭打者本塁打などで幸先良く2点を先制する。その後は6回表に近本、7回にはボーアがそれぞれソロを放つなど、終わってみれば14安打で11得点を挙げた。投げては、先発・西勇が9回4安打無失点の快投で今季7勝目。敗れた巨人は、投打ともに振るわなかった。

◆巨人坂本勇人内野手(31)が巨人-阪神16回戦の試合前練習に参加し、ロングティーやフリー打撃で汗を流した。 15日の同戦で軽い体調不良を訴え、6回の守備から交代。16日は練習にも姿を見せず、欠場していた。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、巨人がエンジェル・サンチェス投手(30)。 西勇は前回巨人と対戦した9月4日(甲子園)で好投し、自身巨人戦初勝利を挙げた。チームは今季、敵地東京ドームで8戦全敗。エースの力投で、嫌な流れを払拭(ふっしょく)できるか。 巨人は2戦連続で主力の坂本、岡本がスタメンを外れた。

◆巨人岡本和真内野手(24)が、練習を再開した。巨人阪神16回戦(東京ドーム)の試合前練習でティー打撃の後、フリー打撃を行った。 15日の同戦では「軽い腰痛」で7回の守備から交代。16日の同戦は試合前練習も行わず欠場し、連続試合出場が359試合でストップしていた。

◆阪神の1番近本光司外野手(25)が、先頭打者初球本塁打を放った。 プレーボール直後の初球、先発サンチェスの高め150キロ直球を強振。6号ソロを右翼席に運んだ。自身、今季3本目の先頭打者弾となった。 「コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました。結果的にホームランになってくれて、先制することができて良かったです」 サンチェスからは開幕3戦目の6月21日(東京ドーム)でも先頭打者弾を放っており、相性の良さを見せつけた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(29)が、2回の守備から途中交代した。何らかのアクシデントがあったとみられる。 この日は「2番捕手」で先発。初回に左翼へ二塁打を放ち2点目のホームを踏み、2回は四球で出塁し、3点目のホームを踏んだ。しかし、2回の守備から捕手は坂本に交代。ベンチでは監督ら首脳陣が梅野を取り囲み、状態を聞くような姿があった。 梅野は今季ここまで71試合に出場し、うち67試合でスタメンマスクをかぶった。63安打23打点を挙げ、打率は2割8分3厘。11日広島戦(甲子園)で自身初の2番に座るなど、攻守に活躍を見せていた。

◆阪神近本光司外野手(25)がこの試合2本目のアーチをかけた。 5点リードの6回先頭の第4打席。2番手桜井のチェンジアップを捉え、右中間へ7号ソロ。 「(2回以降)追加点が取れていなかったですし、投手が代わったタイミングだったので塁に出ることを意識していました。相手より先に点を取ることができて良かったです」 初回、先発サンチェスから放った先頭打者初球本塁打に次ぐアーチでリードを広げた。 3連戦の初戦となる15日にも菅野から2本塁打を放っており、リードオフマンが3戦4発となった。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)が19試合ぶりとなる1発を放った。 6点リードの7回1死無走者。2番手桜井の高め148キロ直球を振り抜き、右中間席へ運ぶ13号ソロ。8月26日中日戦(甲子園)以来となる、アーチで追加点をもたらした。 試合前まで敵地東京ドームは27打数1安打、打率0割3分7厘と封じられていたが、この日は5回にも二塁打を放つなどここまで2打数2安打2四球。苦手としていた球場で、B砲のバットが久しぶりに火を噴いた。

◆阪神が開幕から続く東京ドームの連敗を「8」でストップした。初回から1番近本光司外野手(25)が、先頭打者初球本塁打を放つと、6回の4打席でも右越えソロ。今カード3戦4発の活躍でチームを勝利に導いた。中5日で登板したエース西勇輝投手(29)も自身初の2試合連続完封勝ちで7勝目を挙げた。 阪神は前日16日の巨人戦に敗れ、88年の同球場開場後最長の12年8連敗(2分け挟む)のワースト記録に並んでいたが、不名誉記録の更新を目前で止めた。9回にも4得点を加え、14安打11得点。今季苦しんだ東京ドームでのうっぷんを晴らすように打ちまくった。首位巨人との差は10・5ゲーム差となった。

◆阪神新外国人ジェリー・サンズ外野手(32)が3点目をたたき出した。 2回2死一、二塁から巨人サンチェスの直球をセンター前に運んだ。今季初対戦となったサンチェスとは、韓国・キウム時代に対戦経験があり、通算9打数5安打、打率5割5分5厘、2本塁打と得意としていた。この試合が始まるまで得点圏打率4割2分6厘は両リーグトップ。得点圏の鬼がまた勝負強さを見せた。

◆阪神近本光司外野手が今季3本目(通算4本目)の初回先頭打者本塁打。阪神打者のシーズン3本は11年マートン以来。巨人サンチェスからは6月21日に次ぎ今季2本目になる。 阪神打者が同じ投手からシーズン2本の先頭打者本塁打は、64年吉田義男(伊藤=巨人から)75年中村勝広(佐伯=広島から)83年真弓明信(定岡=巨人から)に次いで4度目。近本は初球打ち。巨人戦でプレーボールを本塁打した阪神の打者は、07年9月8日の鳥谷(久保から)以来。

◆阪神は近本の初回先頭打者弾で先制。2点リードの2回はサンズの適時打などで3点を追加。巨人は3回まで1安打無得点。 阪神は6回に近本の2発目となる7号ソロで追加点。先発西勇は6回まで3安打無失点。巨人先発サンチェスは5回5失点で降板。 阪神が終盤にも得点を重ね、11得点で大勝。西勇は自身初の2戦連続の完封で7勝目。サンチェスは3敗目。巨人は連勝が9で止まった。

◆阪神西勇輝投手(29)が2戦連続の完封勝ちで、今季開幕からのチームの東京ドームでの連敗を8で止めた。西勇は自身初の2戦連続完封勝ちで、阪神投手では14年のメッセンジャー以来、日本人では92年の湯舟以来28年ぶりとなった。     <阪神の今季の東京ドームでの巨人戦全9試合> <1>6月19日 ●2-3 開幕投手の西勇が本塁打を含む2打点を挙げ、6回1失点と好投。だが2番手岩崎が吉川尚に逆転2ランを浴び痛恨の黒星発進。   <2>6月20日 ●1-11 4番ボーアが2度の満塁機を生かせず4打数無安打。ドラフト6位小川が5失点するなど7回だけで8失点と、リリーフ陣も炎上。   <3>6月21日 ●1-7 近本の今季初安打となる先頭打者弾で先制するも「スミ1」。ボーアを6番に下げるも機能せず、阪神史上初の開幕巨人戦3連敗。   <4>8月18日 ●0-1 先発高橋が7回2安打1失点と好投するも、打線が援護できず。またも菅野に散発3安打に抑え込まれて完封負けを喫した。   <5>8月19日 ●0-8 初回の好機で4番大山が併殺打。直後にガルシアが先制点を献上。巨人メルセデスが2回で緊急降板も、7人の継投を前に無得点。   <6>8月20日 ●0-2 青柳が自己最多8三振を奪う好投で6回1失点も、4番にサンズを置いた打線改造が実らず。連続無得点イニングが36となった。   <7>9月15日 ●3-6 近本が菅野から2打席連続弾を放つなど3度リードを奪うも、高橋ら投手陣が粘れず。自力V消滅で巨人のマジック点灯を許した。   <8>9月16日 ●6-7 左打者9人を並べた打線に青柳と桑原が打ち込まれ前半で7失点。大山の2ランなど終盤1点差まで迫るも、1点届かず。   <9>9月17日 ○11-0 西勇が自身初となる2戦連続完封勝ち。近本が先頭打者本塁打を含む2発、ボーアに待望の1発が出るなど打線も大量援護した。

◆巨人が06年6月30日(東京ドーム)以来の0-11で大敗し、連勝が9で止まった。 東京ドームでの黒星は8月28日以来となり、同球場での連勝も10でストップ。坂本、岡本が2試合連続で欠場した打線は、無得点に終わり、阪神西勇の前に完封負け。今季ワーストの3失策と歯車がかみ合わなかった。9回の守備では三塁手・田中俊が、連続で失策を犯し、失点のきっかけをつくった。その後、イニング途中ながら途中交代でベンチに退いた。試合後、原辰徳監督(62)は「こういうゲームは2度とやってはいけないゲームだね。やりたくないゲームだね。(田中俊の途中交代については)最善の手でしょうね」と厳しかった。

◆巨人坂本勇人内野手と岡本和真内野手が2試合連続で欠場した。15日の阪神戦で軽い体調不良と軽い腰痛で途中交代。 16日の同戦では試合前練習にも参加せず欠場していた。 この日は、ともに試合前練習でフリー打撃を行っていたが、ベンチ入りメンバーから外れた。原監督は2人の状態について「昨日よりはるかに今日はよかったと思います。明日は大丈夫だと思います」と18日DeNA戦での復帰を期した。

◆阪神梅野隆太郎捕手(29)が右脇腹の張りで途中交代した。 2番捕手で出場。初回に左翼へ二塁打を放って2点目のホームを踏み、2回は四球出塁後に3点目のホームを踏んだ。だがその裏の守備からベンチに下がり、捕手は坂本に交代した。試合中に都内の病院に向かったとみられる。 矢野監督は「ちょっと試合に出るには難しいなという判断」と説明。今後の出場は様子を見ながら判断する。梅野は71試合に出場し、うち67試合でスタメンマスクをかぶった。打っては打率2割8分3厘で23打点。11日広島戦(甲子園)から初の2番を任され、攻守に欠かせない存在になっている。

◆阪神坂本誠志郎捕手が緊急出場で今季初の猛打賞を記録した。 スタメンマスクの梅野が右脇腹の張りで交代し、2回裏の守備から途中出場。落ち着いたリードで西勇を完封勝利に導いた。打っては9回に右中間適時二塁打を放つなど、3安打1四球で全打席出塁。「いつも準備はしているので、特別なことをした意識はないです。いつまでもジャイアンツにやられっぱなしではいけない。そういった思いを持ってプレーしました」と冷静に振り返った。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手がお得意サンチェス打ちだ。2回2死一、二塁から先発右腕の直球を中前へ適時打。 今季初対戦となったサンチェスとは、昨季までプレーした韓国球界で対戦経験があり、通算9打数5安打、打率5割5分5厘、2本塁打の好相性だった。リーグトップの得点圏打率4割2分1厘を誇る4番は「みんなが良い形でつないでくれたから、何とかかえしたいと思っていた」と振り返った。

◆阪神ボーア内野手が福留の助言を生かし、東京ドームの呪縛から解き放たれた。6点リードの7回1死、桜井の高め148キロを振り抜き、右翼席に13号ソロを届かせた。2発を放った8月26日中日戦以来、19試合ぶりのアーチ。「やっと、という感じはあるね。前にホームランを打ってから、結構長い期間がたっていたので」と安堵(あんど)した。 試合前練習中、福留と打撃論を話し合う場面があった。「チームメートから何か意見を得たいなと思っていて。選手の動向を一番見ている福留さんに聞いてみたいと思ったんだ」。春季キャンプのころと現在との違いを比較してもらい、「すごく助けになったよ」と感謝した。 東京ドームはチーム同様、鬼門だった。試合前時点で29打数1安打の打率0割3分4厘、0打点。この日の1発が東京ドーム初アーチだった。5回にも右中間二塁打を放ち、3四球も含めて全5打席出塁を記録。ようやく負のイメージを完全に吹き飛ばした。

◆阪神のキャプテン糸原健斗内野手が好走塁で流れを呼び込んだ。 2点リードの2回2死一塁から左前打で出塁。続くサンズがセンター前に落ちるタイムリーを放つと、一塁から激走。巨人の中継がもたつく間に本塁を陥れた。矢野監督は「うちらしい野球ができた」と絶賛。「ホームランもたくさん打ってほしいけど、こういう野球がタイガースの野球だと思う」と目を細めた。

◆開幕から続く東京ドームの連敗を「8」でストップした。 初回から1番近本光司外野手(25)が、先頭打者初球本塁打を放つと、6回の4打席でも右越えソロ。今カード3戦4発の活躍でチームを勝利に導いた。中5日で登板したエース西勇輝投手(29)も自身初の2試合連続完封勝ちで7勝目を挙げた。 阪神は前日16日の巨人戦に敗れ、88年の同球場開場後最長の12年8連敗(2分け挟む)のワースト記録に並んでいたが、不名誉記録の更新を目前で止めた。9回にも4得点を加え、14安打11得点。今季苦しんだ東京ドームでのうっぷんを晴らすように打ちまくった。首位巨人との差は10・5ゲーム差となった。矢野監督の一問一答 -見事な試合 先制できましたし、西(勇)もいい形で投げてくれたので、いい試合になりました。 -西は2試合連続完封 状態はそんなに良くなかったと思うんですけど、その中でも丁寧に投げていく、状態にあまり左右されずに投げる、西の引き出しの多さというか、技術が出たかなと思います。 -打線は活発だった 追う立場の僕たちはどんどん点を取るということが大事なんですけど、1戦2戦と悔しい思いをしたので、今日はしっかりやってくれました。 -近本がすごい ホームランもね、東京ドームで良く出ていますし、相性良くというか、そういうのはあるかもしれませんね。 -15、16日の悔しさがあった もちろんね、ここで勝ってないというのはもちろん分かっていましたし、悔しい思いをずっとしてるので。十分に思いを込めた中でやられたのですごく悔しかったです。 -東京ドームで一矢報いた まだ一矢報いただけなので、またジャイアンツと戦う時までに挑戦できる形をつくっていきたい。 -梅野は 試合に出るには難しいかなという判断をしました。 -先発の西は中5日でもさすが 序盤にポンポンと点が入ると、ある意味逆に難しいというか。球数少なくいきたいし、簡単にアウト取りたい気持ちも出てしまうと思うけど。でも、しっかり結果で出す、という。やっぱりさすがかなと。 -スライダーをいつもより使っていたり、投球術の幅広さを感じさせた 捕手も変われば多少変化も出てくる部分があったと思うし、点差があったからもしかしていろいろ試した部分もあると思うし。いろんな要素があると思う。 -2試合連続完封は自身初と 嫌な流れの中できて、投げ切ってくれるのは助かるし、さすがっていう姿を見せてくれている。やっぱりそれに続くピッチャーがね。昨日の青柳もなんかおとなしいというか、向かっていくというか...そういうのが俺はちょっと少ないかなと思ったんだけど。もう1回、そういうのを大事にしていきたいと再確認できたかなと思うけど。 -近本が見事な2発だった 東京ドームは相性もいいし。先制できたのも大きいし、(初回は)1点だけじゃなく、もう1点いけたというのも価値があった。先制できて、次入らないパターンも多かったけど、2回もいけたから。勢い、流れをこっちにもって来られたかな。 -2回の攻撃ではサンズも持ち味、糸原の好走塁もあった。 うちらしい野球ができたし、サンズもしぶといというか。こういう野球をやっぱり野球をやりたい。つなぎ役があるからこそ、そういう試合になる。もちろん決めるとことが一番大事ではあるかもしれないけど。ホームランもたくさん打ってほしいけど、こういうような野球がタイガースの野球だと思う。そういうところでは、それぞれが持ち場で持ち味を出してくれた。 -ボーアが久々に本塁打 ボーアのところで試合を決めるというか、今日もいい1発だったと思うし。今日は流れの中で打った1本だと思うんだけど。ボーア自身が試合を決めるような、そういう場面での打点、ホームランをどんどん増やしてくれるとチームはもっと上にいくと思う。試合の中の流れで大きな1本というのをこれからまた期待していきたい。 -嫌な流れの中、勝利という結果に結びついた 気持ちはありますけど「負けました」では、なんの言い訳もできない。プロとしてやっぱり結果で示す、という思いで戦っている。次は10月にジャイアンツ戦があるんで。そこまでの戦いの中でもう1度、ちゃんと挑戦権を持ってこれるような戦いをすることが大事だと思うんで。また10月に甲子園でしっかり戦える状態に持っていけるように頑張ります。 -梅野の交代は 俺が今言えることはない。試合にあのまま出させるのは、俺の中ではやめた方がいいという判断で代わったので。俺の中で言えることはない。

◆阪神西勇輝投手(29)が、プロ初の2戦連続完封勝ちでチームを救った。「本当にずっと連敗が続いてましたんで、ドームで勝つことの大変さもそうなんですけど、無事に完封できてよかったと思います」。 阪神の投手では14年のメッセンジャー以来、日本人では92年の湯舟以来28年ぶりのスゴ技で、チームトップの7勝目。中5日での快投はさすがのエースの姿だった。 マウンドで時折首をかしげるそぶりとは裏腹に、巨人打線を次々手玉に取っていった。初回を3者凡退でスタートすると散発4安打。5回からは先頭打者をきっちり抑え、反撃ムードさえ起こさせなかった。7点差の9回1死二、三塁で打席に立つと、外低めのスライダーを強振。相手の悪送球を誘って8点目をもぎ取った。「本当に三振してもいい場面なんですけど、野球っていうのは何が起こるか分からない」。勝利が決まるその瞬間まで、全力プレーだった。 リベンジを期した場所だった。19年10月13日のCSファイナルステージ第4戦。同点の6回2死三塁、丸に三塁線へ意表を突くセーフティーバント決められた。素早く一塁へ送球するも、わずかにそれて決勝点を献上。西勇はグラウンドに膝をついたまま動けなくなった。「最後の最後でミスが出た。ギリギリのアウトを取れるようになりたいし、なるべきだと思う」。チームも終戦した悔しさを胸に、成長を誓った1年前。この日は9回2死一塁で因縁の丸を一ゴロに打ち取り、会心の笑顔でゲームを締めた。 開幕から女房役だった梅野が2回で負傷交代するも動じず。自身も8月15日広島戦(京セラドーム)から5連勝だ。「巨人相手にチーム一丸となって、いい戦いができたと思います」。首位巨人の連勝を9で止め、一矢報いた。だが、これだけでは満足しない。【磯綾乃】

◆阪神西勇輝投手が11日広島戦(甲子園)に続き、2試合連続で無四死球完封勝利。 阪神投手の2試合連続完封は14年メッセンジャー以来だが、日本人では92年湯舟が9月10、16日の広島戦で記録して以来。2試合連続の無四死球完封はダルビッシュ(日本ハム)が11年6月1日阪神戦、同8日中日戦と続けて以来になり、阪神では69年5月7日広島戦、同11日巨人戦の若生以来、球団51年ぶり。

◆阪神梅野隆太郎捕手(29)が、17日巨人16回戦(東京ドーム)で右脇腹の張りを訴え、途中交代した。 2番捕手で出場。初回に左翼へ二塁打を放って2点目のホームを踏み、2回は四球出塁後に3点目のホームを踏んだ。だが、その裏の守備からベンチに下がり、捕手は坂本に交代した。試合中に都内の病院に向かったとみられる。矢野監督は「ちょっと試合に出るには難しいなという判断」と説明。今後については、様子を見ながら判断される。 梅野はここまで71試合に出場し、うち67試合でスタメンマスク。打っては打率2割8分3厘で23打点。11日広島戦(甲子園)から初の2番を任され、攻守に欠かせない存在になっている。矢野監督は「今言えることはない」と話すにとどめた。負傷の程度は不明。ただ、慎重を期さないといけない箇所でもある。離脱となれば大きな痛手となるだけに、軽傷であることを祈るしかない。

◆猛虎の意地だ。阪神が14安打11得点の猛攻で、開幕からの東京ドーム連敗を8で止めた。主役は1番近本光司外野手(25)だ。初回の開始13秒、プロ初の初球先頭打者弾で序盤の5得点を導くと、6回にも中押しの7号ソロ。巨人戦3戦4発の奮闘でマジック減らしを停滞させた。首位とは10・5差あるが、目の前の1戦1戦を勝つしか道は開けない。残り45試合、ネバーギブアップで戦い抜く。石山球審のプレーボールからわずか13秒。電光石火の近本弾が右中間席に跳ねた。先発サンチェスの初球、150キロ高め直球に力負けせず振り抜いた。「コンパクトにスイングすることを強く意識して、打席に入りました」。6号ソロはプロ初の先頭打者初球本塁打。先頭弾は今季3本目で、サンチェスからは開幕3戦目に続く2発目となった。 これ以上負けられない。近本の意地が詰まっていた。敵地に乗り込んだ首位巨人戦で力なく2連敗。目の前でマジック点灯も許し、今季東京ドームで開幕8戦8敗と巨人敵地で57年ぶりの屈辱を味わった。開幕9戦9敗なら球団ワーストに並ぶ一戦で、初回の一振りで打線を活気づけた。 遠征先でも愛する家族の存在が力になっている。新人年の昨年7月に第1子となる長女が誕生。守るべきものがまた一つ増えた。遠征中は毎日欠かさず電話で言葉を交わし、パワーをもらっている。仕事柄、家を長期間離れることも多く「(愛娘に)忘れられたらどないしようというのはありますね」と苦笑いすることも。パパの顔ものぞかせながら、グラウンドでは全力プレーに変換している。 1本では満足しない。5点リードの6回には桜井のチェンジアップを右中間席へ運び、この日2本目の7号ソロで中押しした。初戦の15日にもエース菅野から2発を放っており、今カードは3戦4発の大暴れだ。バットの握りを指数本分短く持つことで速球に対応。「しっかり捉えられるようにという意識」でジャストミートし、1発を量産している。先頭打者での出塁、得点に狙いを定め、ここ10試合の第1打席は10打数7安打で打率7割。うち6出塁で先制ホームを踏み、1番の役割を果たしている。 近本の2発が14安打11得点の猛攻を呼び、巨人の敵地でようやく今季初白星。矢野監督も近本の働きを絶賛した。「東京ドームでは(今季5本塁打で)相性もいいし、先制できたのも大きい。先制できて次入らないパターンも多かったけど2回もいけたから。勢い、流れをこっちにもって来られた」。まだ10・5ゲーム差と巨人の背中は遠いが、目の前の試合を勝っていくしかない。背番号5がその先頭に立ち、チームを引っ張っていく。【奥田隼人】

◆巨人の長旅が終わり、ライバルとの勝負付けは済んだ。本拠地での阪神戦に完敗、連勝が9で止まった。12年前の08年、同じ9月。12連勝を記録し、最大13差あった阪神との差を一気に詰め、大逆転優勝の布石としている。データの徹底比較と当時を知る担当記者の回顧から強さの中身に迫る。08年9月の12連勝中、打っては勝ち、勝っては原稿を書きまくった。「今日は誰が?」。プロ野球記者1年目。攻撃中のドキドキ感が忘れられない。13試合計96得点で、1試合平均は驚異の7・4点。31本塁打を量産した破壊力の記憶は強く残っている。 最大のサプライズは9月24日の広島戦だった。前日の延長12回にリリーフした東野が、中0日で先発。メンバー表を見た広島ブラウン監督が発した「アンビリーバブル...」から約3時間40分後。平成で3人目となる「登板翌日の先発、完投勝利」が生まれた。 出番に飢えた若武者たちが、死に物狂いで臨んでいた。ブルペンを支えた山口と越智は真顔で言った「毎試合、これが最後かもしれない、腕が飛んでもいいくらいの気持ちで投げる」の迫力に身震いがした。 干支(えと)が1周し、巨人は再び9月に大型連勝を重ねた。あの時との違いは...スコアブックを開くと、ある数字に驚いた。 連勝が始まったのは、5日の阪神戦。11-2で大勝した。雨天中止を挟んだ7日の同戦へページをめくる。目についたのは赤字の「S」。デラロサ5、高梨2、中川1と8試合連続でセーブを挙げた。最大13差。阪神を猛追した08年のような高鳴りは少ない。先発2・51、救援2・39の防御率が「最後は勝つ」の安心感につながっている。 何より、開幕11連勝の菅野がいる。9連勝中も2勝。「究極のエース対決」と称された中日大野雄、ポテンシャル抜群の阪神高橋に投げ勝ち、38年春のスタルヒンの球団記録に並んだ。 阿部チルドレンの躍動で沸いた翌日、連勝は9で止まった。2位から猛烈にまくった12年前の白星街道とは状況も中身も、裏打ちも違う。ただ、変わらない太い芯がある。原監督と坂本の存在感だ。【久保賢吾】   ◆08年の12連勝との比較 08年は13試合(1分け含む)で96得点43失点で、期間中の平均得点は7・4点。阿部が7本、李承ヨプが6本打つなど、13試合でチーム31本塁打と打線の爆発が連勝を支えた。一方、今年の連勝期間は10試合(1分け含む)で46得点25失点。平均得点4・6点は08年には劣るが、失点は平均2・5点に抑えている。失点が少ないだけ接戦の展開が多く、10試合中9試合が3点差以内。そのうち5試合が1点差での勝利と、僅差の試合を勝ち切っている。期間中の防御率を見ても先発2・51、救援2・39とどちらも優秀で、接戦に強い投手陣の活躍が連勝につながっている。

◆負け続けていた東京ドームでの巨人戦で今季初勝利を飾った17日の試合後、阪神矢野監督は次のように語った。「気持ちはありますけど『負けました』では、なんの言い訳もできない。プロとしてやっぱり結果で示す、という思いで戦っている。次は10月にジャイアンツ戦がある。そこまでの戦いの中でもう1度、ちゃんと挑戦権を持ってこれるような戦いをすることが大事だと思う。また10月に甲子園でしっかり戦える状態に持っていけるように頑張ります」。この日、虎は大勝し、巨人本拠での開幕からの連敗を8で止めた。 その試合の中で待望の1発が出た。ボーアの13号ソロだ。8月26日中日戦以来、実に19試合ぶりのアーチ。さらに東京ドームでは試合前時点で29打数1安打(打率3分4厘)で0打点と苦しんでいた。矢野監督は「ボーアのところで試合を決めるというか、今日もいい1発だったと思う。今日は流れの中で打った1本だと思うが、ボーア自身が試合を決めるような、そういう場面での打点、ホームランを増やしてくれるとチームはもっと上にいくと思う」と語る。その通りだと思う。4番サンズが18本塁打、5番大山が19本塁打と、この2人が主な得点源となってきた。ここにボーアが復調すれば...。 現時点で巨人に優勝マジックが点灯している。虎は勝ち続けるしかない状況だ。少しでも巨人との差を詰めるには、やはり彼の力は欠かせない。ちなみに、阪神で20発超トリオは04年金本34本、今岡28本、アリアス25本のケースが最後。助っ人の20発超コンビは95年グレン23発、クールボー22発が最後。それも実現する固め打ちが見たい。【阪神担当 松井周治】

◆阪神がいきなり先制した。1番・近本がサンチェスの初球、高めの150キロの直球を右翼スタンドに運ぶ6号ソロ。「コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました」。6月21日の巨人戦(東京ドーム)以来の先頭打者ホームランで、スコアボードに「1」を刻んだ。  阪神は今季、開幕からここまで東京ドームで8連敗中。この日敗れると巨人戦の9年連続負け越しが決まるところで、勢いづける一発。先発の西勇を援護した。

◆阪神は七回にジャスティン・ボーア内野手(32)が13号ソロを放ち、7-0とリードを広げた。六回から登板した2番手・桜井の高めに浮いた148キロの直球をフルスイングで捉え、右中間スタンドへ豪快なアーチをかけた。  今季入団の新助っ人は開幕カードも行われた東京ドームで、今カード前までの6試合で22打数無安打。15日の3打席目に中前打を放ってようやく初安打していたが、この試合前まで打率・034だった。  この日は一、三回に四球を選び、五回の3打席目は右中間二塁打。そしてこのホームランと、これまでの鬱憤を晴らす大暴れとなった。

◆阪神のジャスティン・ボーア内野手(32)が6-0の七回に、13号ソロを放った。東京ドームでは35打席目で待望の初アーチとなった助っ人は、球団広報を通じてコメントを発表。「近本が2本打った姿に刺激され、自分も打つことができたね。あとは、きょうの試合前練習で福留さんからアドバイスをもらって、そのおかげで打つことができたよ」と、アドバイスをもらったベテランへの感謝を示した。

◆阪神の近本が初回先頭打者弾を含む2本塁打をマークした。一回、サンチェスが投じた初球の150キロの浮いた速球を引っ張り、右翼席へ運んだ。今季3本目、通算4発目の初回先頭打者本塁打に「コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入った」とうなずいた。  5-0の六回には桜井の低めに沈む変化球をすくい上げ、右中間席へ7号ソロを運んだ。菅野からプロ2年目で初の2打席連続本塁打をマークした15日に続く、1試合2発。「(三回以降)追加点が取れていなかったし、投手が代わったタイミングだったので、塁に出ることを意識していた」とコメントした。  開幕直後は不振にあえいだが、夏場から復調。月間打率が3割5分2厘だった8月に続き、9月も好調を維持している。

◆巨人の連勝は9でストップした。先発のエンジェル・サンチェス投手(30)が5回5失点(自責点3)、7安打6四球と乱調だった。  試合開始から10秒も立たないうちに阪神が先制した。サンチェスが投じた150キロの初球を近本が強振すると、ボールは右翼席に突き刺さった。なおも2死満塁から押し出し四球で、この回2失点。二回には1死一、二塁からサンズに中前適時打を浴びると、味方守備も乱れて3失点。三回以降は走者を出しながらもスコアボードに0を並べたが、五回の自身の打席で代打を送られて交代した。  巨人2番手の桜井は六回、近本にこの日2本目のソロ、七回にはボーアに一発を浴びた。九回には守備の乱れなどで4失点。好調だった巨人打線は阪神先発・西勇の前に沈黙した。

◆阪神が11得点を奪って大勝し、このカードの東京ドームでの連敗を8で止めた。以下、矢野燿大監督の一問一答。  --いい勝利になった  「先制できましたし、西勇もいい形で投げてくれたので、いい試合になりました」  --西勇は2試合連続の完封。内容は  「状態はたぶんそんなによくはなかったと思うんですけど、その中でも丁寧に投げていた。状態にあまり左右されず投げるという西勇の引き出しの多さというか、技術が出たと思います」  --打線もつながりがあり、活発に  「追う立場の僕たちがどんどん点を取るっていうのは大事なんですけど、(このカードの)1戦2戦で悔しい思いしたので、きょうはしっかりやってくれました」  --近本がすごかった  「ホームランもこの東京ドームでよく出てましたし、相性よくというか、そういうのもあるかもしれないですね」  --1、2戦目の悔しさは  「もちろんね、ここで勝ってないのはわかってましたし、悔しい思いはずっとしてるんでね。それは十分に思いを込めた中でやられたんで、すごく悔しかったです」  --梅野の状態は  「ちょっと今ここではっきり言える状態じゃないですけど、試合に出るには難しいと判断しました」  --ボーアは久々に本塁打も  「ボーアのところで試合を決めるというか、きょうもいい一発だったと思うし。きょうは流れの中で打った一本だと思うんだけど。ボーア自身が試合を決めるような、そういう場面での打点、ホームランをどんどん増やしてくれると、チームはもっと上にいくと思うんで。試合の中の流れで大きな一本というのを、これからまた期待していきたい」

◆高めへの抜け球が目立ち、甘い球は痛打された。巨人先発のサンチェスが来日ワーストの5失点。試合をつくることはできなかった。  一回、先頭の近本にいきなり初球を左越えソロとされると、そのまま悪い流れを断ち切れなかった。梅野に左中間二塁打、2死からは大山に遊撃内野安打を浴び、ボーア、陽川に連続四球で押し出しに。初回から2失点を喫した。  二回も立て直すことができず、直球は捕手が取れないほど高めに抜ける場面も。宮本投手チーフコーチがタイムを取ってマウンドに駆け寄ると、サンチェスは指先を気にするしぐさを見せる様子もあった。2死から糸原、サンズ、大山のクリーンアップに3連打を浴び、味方の失策も絡んで計3失点。二回で5点のビハインドを背負ってしまった。  試合前日には「アグレッシブに自分らしいピッチングをして先発投手の役割を果たしたい」と意気込んでいた右腕。今季はここまで7試合で4勝2敗、防御率2・25としていた。チームは引き分けを挟んで今季最長の9連勝中で、優勝へのマジックを35として迎えた一戦。勢いに残って好投を披露したかったが、序盤から制球に苦しみ本領発揮とはいかなかった。(箭内桃子)

◆阪神・梅野が二回の攻撃終了後、坂本と交代した。試合後、矢野監督は「俺が今言えることはないから。試合にあのまま出させるのは、俺の中ではやめた方がいいという判断で代わったんで。それは後から聞いてくれれば。俺の中で言えることはない」と話した。  球団によると、右脇腹の張りによるもの。18日の出場は当日の様子を見て決める。

◆阪神・近本が初回先頭打者弾を含む2本塁打をマークした。一回、サンチェスが投じた初球の150キロの浮いた速球を引っ張り、右翼席へ運んだ。  阪神で初回先頭打者本塁打を初球でマークしたのは2016年3月31日のヤクルト戦での高山以来。今季3本目、通算4発目の初回先頭打者本塁打に「コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入った」とうなずいた。  5-0の六回には桜井の低めに沈む変化球をすくい上げ、右中間席へ7号ソロを運んだ。菅野からプロ2年目で初の2打席連続本塁打をマークした15日に続く、1試合2発。「(三回以降)追加点が取れていなかったし、投手が代わったタイミングだったので、塁に出ることを意識していた」とコメントした。  開幕直後は不振にあえいだが、夏場から復調。月間打率が・352だった8月に続き、9月も好調を維持している。

◆巨人は打線が散発4安打に終わった。コーナーを突く西勇に手を焼き、完封勝利を許した。今季3度目の零敗を喫し、原監督は「いい投球をされているとはいえね」と苦言を呈した。  岡本が軽い腰痛、坂本は体調不良のため2試合連続で欠場した。原監督は「16日より、はるかに今日は良かったと思います。18日は大丈夫だと思います」と話した。

◆阪神・西勇輝投手(29)が、11日の広島戦(甲子園)に続いて、自身初となる2試合連続完封勝利を飾り、ヒーローインタビューを受けた。チームは東京ドームで今季9戦目にして初勝利。前日16日の敗戦で巨人戦9年連続負け越し決定の危機が迫っていたが、崖っぷちで踏ん張った。快投した右腕の喜びの声は次の通り。  --今の気持ちを  「ずっと連敗が続いてましたので、このドームで勝つことの大変さもそうなんですけど、無事に完封できてよかったと思ってます」  --初の2試合連続完封勝利  「本当にうれしいんですけど、次の試合がありますので、しっかり気持ち入れて、次の登板に向けて頑張りたいと思います」  --エースとして、昨日、一昨日の悔しさは  「本当にこう、流れというのか、すごく難しくて、なかなか勝つことができなかったんですけど、なんとか自分がリズムよくと思いながらマウンドに立ってましたし、序盤から味方が点数を入れてくれたので、本当に楽に投げることができました」  --最後(大量リードの九回の打席)も打ちにいきました(結果は三ゴロ失策で1点追加)  「三振してもいい場面ですけど、野球っていうのは何が起こるかわからないので。必死なプレーを見て、子供たちも見てくれてると思いますので、最後まで全力疾走、がんばっていきたいと思います」

◆梅野の負傷で急きょ出場した坂本が3打数3安打1打点と大暴れ。「どんな形でもチームに貢献することが1番ですし、練習していることをしっかり出せた」と拳を握った。二回からマスクを被り、昨年7月27日の巨人戦(東京ドーム)以来のバッテリーとなった西勇の完封をアシスト。「西さんと話をしながら、アウトを1つ1つ積み重ねていけたかなと思います」とうなずいた。

◆4番・サンズがまた勝負強さを発揮した。追加点が欲しい2-0の二回2死一、二塁。韓国リーグ時代に通算9打数5安打2本塁打と好相性だったサンチェスの148キロ直球に詰まりながらも中前に運んだ。丸が悪送球して一走まで生還、一気に2得点(打点は1)して試合の流れを決定づけた。「みんながいい形でつないでくれたから、なんとかかえしたいと思っていたよ」。相変わらずリーグトップの得点圏打率は・421と、頼もしい限りだ。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(29)が17日、巨人16回戦(東京ドーム)に「2番・捕手」で先発出場したが、二回の守備から退いた。球団広報は右脇腹の張りを訴えたと説明。攻守のキーマンのアクシデントに矢野監督が複雑な表情を浮かべた。  「試合にあのまま出させるのは、俺の中では、やめた方がいいという判断で代わった」  1-0の一回無死で左越え二塁打。二回2死からは四球を選び、ともに得点につなげた。しかしサンズの中前適時打で二塁から本塁へ全力疾走した際に微妙な表情を浮かべており、直後に坂本と交代した。  東京都内の病院を受診し、18日からの中日戦(ナゴヤドーム)出場は当日の様子を見て判断する。1軍捕手は坂本と2人しかおらず、3人目は不可欠。2軍で打率・361と結果を残している原口が有力候補だ。

◆大山が序盤の猛攻の立役者となった。1-0の一回2死二塁ではしぶとく遊撃内野安打で2点目へとつなぎ、4-0とした二回2死二塁では右前へダメ押しタイムリー。「流れに乗って打つことができました。何点あってもいいと思うので、打つことができてよかった」。2試合連続のマルチ安打で上昇気配を漂わせた。

◆首位を独走するチームの姿はなかった。今季ワーストタイの11失点。2桁失点と零封負けは、ともに今季3度目。常に一戦必勝を掲げる巨人・原辰徳監督(62)は、連勝を9で止めた惨敗が許せない様子だった。  「こういうゲームは二度とやってはいけない。やりたくないね。それ(ミス)以上のことはない。きょうは。先発投手の点の取られ方も含めてね」  サンチェスが近本に初回先頭打者弾を浴び、押し出し四球などで二回までに5失点。加えて指揮官がいらだちを募らせたのは、7点差の敗戦ムードで迎えた九回だ。  3番手・田中豊が打者一巡で4失点した中、悪送球、捕球ミスの連続失策を犯した三塁手の田中俊を即刻交代。指揮官は「(投手に)4アウトも5アウトも取れ、というのは酷な話。(交代は)最善の手」と険しい表情で振り返った。  打線も西勇の前に散発4安打に止まり、二塁すら踏めなかった。前日に続いて体調不良の坂本と腰痛の岡本が欠場。この日はベンチ外だったが、ともに軽症で試合前練習を通常通りこなしており、原監督は「(状態は)昨日よりはるかによかった。明日は大丈夫だと思います」と18日のDeNA戦(横浜)での復帰を示唆した。  優勝へのマジックナンバー「35」は変わらず。2位・阪神とは10・5ゲーム差と首位の座はゆるぎないが、原監督は最後も「こういうゲームは二度としない、したくない、させない」と繰り返した。(谷川直之)

◆天国の"恩人"に勝利を届けた。今季4勝目のウイニングボールは今までにない特別なもの。ソフトバンク・東浜は涙で言葉を詰まらせた。  「(ウイニングボールは)いつもは大事にしないんですけど、大事に保管してしっかりお供えしたい」  前日16日、チームに衝撃が走った。3軍のコンディショニング担当を務めていた川村隆史さんが、3軍の遠征先である神戸市内で、くも膜下出血のため55歳で急逝。工藤監督やコーチは試合前に伝えられ、選手たちは試合後に緊急に開かれた全体ミーティングで訃報を知った。  この日は全員が喪章をつけてプレーした。29年間にわたってチームをサポートしてきた川村さんは、確かな技術と明るい人柄で、多くの選手やスタッフに愛された。東浜にとっても大事な人。右肘手術で苦しんだ昨季、リハビリ組で常に前向きな言葉をかけてくれたのが川村さんだった。  絶対に負けられないマウンド。序盤からカーブでカウントを整えて緩急を付け、的を絞らせなかった。三~五回は立て続けに得点圏に走者を背負っても粘り、八回1死二塁では大田、中島をともに変化球で打ち取った。何より無四球と、課題の制球が安定。登板間の調整で「キャッチボールの時からリズムとテンポを気にして投げていた」と意識して取り組んできたことが実った。  今季最長の8回を無失点で投げ切り、0-0の九回に打線が2点を勝ち越して白星がついた。同じ沖縄県うるま市出身のドラフト1位で、4歳下の日本ハム・上原とのしびれる投げ合いで意地を示した。  「開幕して自分の中でも、もがきながらやってきて、やっとチームに貢献できた」  天国の川村さんのために、3年ぶりのリーグ優勝、そして4年連続の日本一をつかみ取る。

◆試合開始から数秒で、乾いた打球音が敵地に残る屈辱の余韻を一掃した。ようやく爆発した虎の意地。近本が1球で火をつけた。  「コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました。結果的に本塁打になって、先制することができてよかったです」  一回先頭の初球、サンチェスの150キロを右翼席にたたき込んだ。6号ソロは、6月21日の右腕との初対戦を再現する先頭打者本塁打。通算4本目で、初球のプレーボール弾は初めてだ。東京ドームで8連敗を喫した前夜は終盤に6点を返したが、反攻のバトンを最初の打者がつないだ。  さらに5-0の六回先頭で、7号ソロを右中間へ。驚いたように目を丸くすると、照れくさそうにベンチに帰った。2番手・桜井が登板した直後に、またも立ち上がりを砕いて攻撃が加速した。まさに切り込み役。19試合ぶりの2桁得点の起爆剤になった。  「追加点が取れていなかったし、投手が代わったタイミングなので、塁に出ることを意識していました」  15日に菅野から2打席連続アーチを放ったばかりだ。自身初の1試合2発から2日後に再現。3戦4発で、チーム唯一の3試合連続安打も記録した。このカード前まで今季の巨人戦は打率・115、東京ドームでは同・080。9月7日の甲子園では送球ミスなどが失点に直結し「あのプレーでチームが負けてしまった」と話すなど、G戦で特に悔しさを味わってきた男の意地が、ついに勝利につながった。  8月以降は好調をキープしながら、この3連戦は普段よりもさらにバットを短く持った。グリップから拳1個。「相手投手の球速も速いし、ボールに力もある。少し短く持つことによって、しっかり捉えられるように」。巨人の投手陣を意識した対策もバッチリ。想像以上の成果で待望の1勝をたぐり寄せた。  「4本塁打は特に意識していませんが、先頭で塁に出る意識を強く持った中、ああいった形で本塁打になったことはよかったと思います」  虎の猛打は常に背番号5から。奇跡の逆転へ、リードオフマンが足を止めることは許されない。(安藤理)

◆右中間スタンドに突き刺さる打球を、しばらく目で追いかけた。ボーアが8月26日の中日戦(甲子園)以来、実に19試合ぶりの13号ソロ。東京ドームでは35打席目で待望の初アーチだ。  「本当に感触はよかったよ。『やっと』という感じはあるね。前(12号)に、ホームランを打ってから、けっこう長い期間がたったので」  6-0の六回、桜井の投じた148キロの直球を捉えた。ここまで東京ドームではホームランどころか、試合前時点で打率・034(29打数1安打)、0打点。まったく結果を残せておらず、開幕から8戦全敗の"戦犯"となっていた助っ人が、一発を含む2安打3四球と、5打席すべてに出塁した。  「近本が2本打った姿に刺激されて、自分も打つことができたね」  先頭打者弾にダメ押し弾を放って刺激をくれた近本とともに、B砲が感謝したのは、試合前練習中、打撃へのアドバイスをしてくれた球界最年長43歳の福留だ。  「春季キャンプと今の自分を比べて、どこが違うかと。この数試合、いい感覚になりつつあったが、何か1つまだ足りない部分があると思ったから。福留さんからアドバイスをもらって、そのおかげで打つことができたよ」  メジャー通算92発を誇る助っ人だが、9月に入って本塁打ゼロで、ヒットが出ても単打ばかり。大山(19本)やサンズ(18本)に本塁打数で抜かれて、いら立ちを隠せなかったが、ようやくきっかけをつかんだか。  「残り試合は、まだあるから、この勢いをつなげていけたらいいね」  東京ドームの呪縛から開放された大砲は、残り45試合、チームに奇跡を起こすために本塁打を量産する。(三木建次)

◆猛虎のエースの意地を見た! 阪神は西勇輝投手(29)が自身初の2試合連続完封を決めて7勝目。11-0と圧倒し、今季9試合目にして初めて東京ドームで巨人に勝った。マジック35の首位Gとは10・5ゲーム差と厳しい状況は変わらないが、残り45試合、最後まで必死に戦う。全力疾走あるのみだ!!  これまでの悔しさを、すべて107球に込めた。西勇が敵地のド真ん中に仁王立ち。自身初の2試合連続完封勝利で、チームの東京ドームでの開幕からの巨人戦連敗を「8」で止めた。  「ずっと連敗が続いていたので、この(東京)ドームで勝つことの大変さもそうなんですけど、無事に完封できてよかったと思います!」  思えば、6月19日の開幕戦。6回1失点で降板後、チームが逆転負けしたのが屈辱の"起点"だった。虎のエースの意地-。最後までマウンドを守り抜き、試合後に安堵の笑みを浮かべた。  カード3連勝すべく、中5日で組み込まれた今回の登板。初戦で自力Vが消滅し、2連敗という苦しい形で巡ってきたが「なんとか自分が」と強い気持ちで立ち向かった。捕手の梅野が二回の守備で交代するアクシデントも、代わった坂本と息はピッタリ。生命線のシュートに加え、序盤からスライダーを効果的に使って散発4安打。二塁すら踏ませなかった。  「目の前の一戦一戦を大事にしていくしかない。巨人にチーム一丸となって、いい戦いができたと思う」  自身5連勝でチーム単独トップの7勝目。前回11日の広島戦(甲子園)からの2試合連続完封勝利は、球団では2014年のメッセンジャー以来6年ぶり、日本人選手では1992年の野田浩司、湯舟敏郎以来、28年ぶりの快挙だ。さらに2試合連続の無四死球完封は1969年の若生智男以来51年ぶりとなった。  プロ12年目を迎えても際限のない向上心が原動力だ。オフから「苦手なことにチャレンジする」をテーマにトレーニングに励んできた。昨年11月から3回が限界だった懸垂に取り組み、2月の春季キャンプの時点では15回できるまでに成長した。「自分の体を(思い通りに)操れる筋肉を作りたかった」。これまで流してきた汗が、すべて今につながっている。  エースの圧巻の投球に矢野監督は「(連敗の)嫌な流れの中で投げ切ってくれるのは助かるし、さすが。引き出しの多さというか技術が出た」と目を細めると、語気を強めた。「次は10月(2~5日)に巨人戦がある。そこまでの戦いの中でもう一度、ちゃんと挑戦権を持ってこれるような戦いをすることが大事」。  10・5ゲーム差でも、絶対にあきらめない-。西勇も九回1死二、三塁の打席で三ゴロ(失策)に全力疾走。今季6打点目を挙げた。  「三振してもいい場面でしたけど、野球は何が起こるか分からないので。必死なプレーを子供たちも見てくれていると思うので、最後まで全力疾走で頑張っていきたいと思います」  残り、まだ45試合。優勝の可能性が1%でもある限り、ファイティングポーズを取り続ける。(織原祥平)

◆どういう投球をすれば相手を抑えられるかを、西勇が改めて教えてくれた。スピードではない。シュート、スライダー、そこに落とす球の組み合わせ。ファウルでカウントを稼ぐ。細かな制球で打者を打ち取った。三、四回に先頭打者に出塁を許したが、次打者を内野ゴロで進塁させない。これが西勇の真骨頂。さらにテンポの良さが、味方打線に好影響を与えた。  ただ、巨人とのゲーム差は大きい。ここまで開くほど戦力差があるとは思えないのだが。一気に縮めることはできない。いいプレーの積み重ねをしていくしかない。二回に敵失を見逃さず生還した糸原の好走塁などは好例だ。  個人の成績至上主義は全く賛同しないが、現在の阪神の状況では、選手個々が自分の成績をこれまで以上に意識して、頭に描きながらプレーすることも浮上のきっかけになるのでは。  西勇ら先発投手陣は目の前の勝ち星を狙っていく。サンズ、大山は本塁打王を考えてみては。おそらくこれまで抑え気味だった「個人成績を意識する思考」が、チームに勢いをつけることもあるはずだ。(本紙専属評論家)

◆安定感のある西勇との対戦で、二回までに0-5。阪神にもエースで負けられない、東京ドームで何とか勝利をという意地がある。巨人は岡本と坂本を欠いているとなると、一方的な展開で終わっても仕方がない。  首位を独走しているチームでも、長いシーズンの間にいくつかは、こういう試合がある。あえて苦言を呈するならば、せっかく先発出場のチャンスをもらった田中俊、立岡らが情けなかった。前日16日は確かに勝利に貢献したが、続けてアピールできないようではレギュラーの座は遠い。  お金を払って球場へ足を運んでくれた巨人ファンには申し訳ないが、これだけの完敗だと首脳陣にショックはないものだ。9連覇時代にもこういう試合はあったが、川上哲治監督は何も言わないし、ミーティングでのお小言もなかった。  18日は相手も球場も変わる。「明日、頑張ろうぜ」の一言で出直すことだろう。ただ、2試合続くようなら、選手は説教を覚悟した方がいい。 (本紙専属評論家)

◆たとえ前日までの対戦成績が3勝12敗だろうが...東京ドームで8連敗だろうが...巨人のキャプテン坂本と4番・岡本の名がメンバーになかろうが...首位・巨人と11・5ゲームと大きく差をつけられていようが...。  本日の大勝でよっしゃー! これで巨人アレルギーは払拭したでェ!! 取りも取ったり11点! 投げてはエース・西勇の二塁をふませぬ2試合連続完封。30年前、左腕・猪俣が9月5日の大洋戦で達成したのを思い出した。  いやオールドファンは「えーっ、イノマタってあの?」と驚くのでは。何しろ、あまりの制球の悪さから「ミスターB」と呼ばれたほど。米国ですし職人になったと聞いたとき、ネタをシャリから外してんじゃねーの!? と思わず突っ込んでしまうくらい虎党に愛される男だったのだ。  西勇の完封に隠れていたけど、3試合4本塁打の近本のパワーは、将来に向けて「3番」を試す時期なんじゃないですかー!?

◆点が入る時は簡単なんもんだ。8月に、ここ東京ドームで3試合連続完封負けした時は、1点取るのが悲願だったのに。  勝つときはアッサリ勝てるもんだ。東京ドームで8試合、必死で戦っても勝てなかったのに、近本2発、ボーアもドカン。西勇がスイスイと完封ショー。  巨人打線を見たら、素直には喜べない...という意見が多いのは知っているが、無視をして素直にハシャぐ。それが阪神ファンの流儀だから。  「巨人の背中が見えます」なんて言えない状況ではある。さすがに「行けるぞ」「まだまだ」と気軽に原稿に書きづらい状況になってきている。それでも書く。それがトラ番記者の流儀だから。  どんな状況でも、緊張感を持って伝統の一戦を取材するぞ! 読者にいい原稿を届けるぞ!  この逆境で気合を入れ直したサンスポのトラ番部隊。東京ドームからサブキャップ安藤理、若手の織原祥平が、生の息遣いを伝えてきた。大阪・難波のサンスポ編集局ではキャップ大石豊佳、ベテラン三木建次が控え、テレビ画面を凝視して、1球たりとも見逃さないぞ、の姿勢だった。  午後7時。それまで巨人-阪神戦を生中継していたBS日本テレビから地上波の読売テレビ系列にリレー中継。画面が切り替わった。BS日本テレビから流れてきたのは、あの超人気番組「笑点」のテーマソング。ところが、テレビの前の三木記者は、全く気付かない。  --お~い、トラ番記者が「笑点」見て、何の記事書くんや?  周囲から指摘を受けてようやく気付いた三木。大慌てでリモコンをガチャガチャ。緊張感なさすぎじゃないのか?  でも許してやってください。首位巨人と10ゲーム以上引き離されて、たまには、ごくマレに、ほんの一瞬、こういう油断もします。経験豊富で先が見通せる三木編集委員ぐらいのベテランになると、なおさらだ。悪いのは離され過ぎてる阪神なのだから。  入社3年目、トラ番2年目の織原記者は、こんなシーズンの経験がないので、戸惑い&ショックを受けていた。  「連敗した16日夜も、仕事が終わってホテルまで歩いて15分の道のり、ずっと悔しくて。このご時世ですから外出もできないので、そのまま寝ようとしたんですが、なかなか寝付けなかったです」  一方、社内では運動部長・大澤謙一郎が今後の紙面作りも考えて心配顔だ。  「追い上げてくれることを祈ってるんですが、もしズルズルといくようだったら、11月上旬まで、どうやって紙面展開したらいいのか」  去年までなら、クライマックスシリーズ(CS)があった。最後まで3位争いが起きたりするから、"消化試合"ってのが存在しないシーズンが、長く続いていた。その舞台が、ことしのセ・リーグに限っては行われない(パ・リーグは1位vs2位でやる)。  「今から急きょ、CSをやろうって提案するってのはどうですかね? 巨人以外の5球団は賛成ですよね」  言っても詮ない話だが、大澤部長がそう言いたくなる気持ちも、よ~く分かる。  例年以上に盛り上がるだろうなぁ、CS進出争いは-。妄想です。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
47234 0.671
(↓0.01)
M35
(-)
46352
(-)
249
(+11)
95
(-)
45
(-)
0.258
(↓0.002)
3.250
(↓0.04)
2
(-)
阪神
37344 0.521
(↑0.007)
10.5
(↑1)
45325
(+11)
303
(-)
78
(+3)
48
(-)
0.246
(↑0.002
3.560
(↑0.05)
3
(-)
DeNA
36365 0.500
(↓0.007)
12
(-)
43332
(-)
308
(+9)
75
(-)
18
(+1)
0.271
(↓0.002)
3.830
(↓0.06)
4
(-)
中日
33395 0.458
(-)
15
(↑0.5)
43255
(-)
320
(-)
44
(-)
19
(-)
0.240
(-)
3.870
(-)
5
(-)
広島
29378 0.439
(-)
16
(↑0.5)
46325
(-)
350
(-)
75
(-)
31
(-)
0.266
(-)
4.350
(-)
6
(-)
ヤクルト
28416 0.406
(↑0.009)
18.5
(↑1)
45313
(+9)
372
(-)
69
(+2)
45
(-)
0.252
(↑0.002)
4.520
(↑0.06)