巨人(☆7対6★)阪神 =リーグ戦15回戦(2020.09.16)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:田口 麗斗(4勝3敗0S)
(セーブ:中川 皓太(2勝1敗6S))
敗戦投手:青柳 晃洋(6勝5敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(19号・9回表2ラン)
【巨人】田中 俊太(1号・2回裏ソロ),立岡 宗一郎(1号・5回裏3ラン)

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◆巨人が破竹の9連勝。巨人は2回裏、田中俊のソロで先制する。2-0として迎えた5回には、立岡の3ランなどで一挙5点を奪い、リードを広げた。投げては、先発・田口が8回途中4失点で今季4勝目。敗れた阪神は、終盤に1点差まで追い上げるも、あと一歩及ばなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が青柳晃洋投手(26)、巨人が田口麗斗投手(25)。 阪神は前日15日の直接対決に敗れ、自力優勝の可能性が消滅。巨人に優勝マジック38が点灯した。阪神は今季、敵地東京ドームで7戦全敗。まずは1勝で反撃の姿勢を見せたい。 カギを握るのは中軸に座るサンズ、ボーアの新助っ人コンビ。2人は前日15日、東京ドームでようやく初安打を放ったが、敵地は大の苦手。サンズは13打数1安打、ボーアは26打数1安打と押さえ込まれている。2人のバットが目を覚ますか。 巨人は前日15日に途中交代した坂本、岡本がスタメンを外れた。4番には丸が入った。

◆巨人田中俊太内野手(27)が今季初のスタメン起用に応えた。「7番三塁」で先発出場。両チーム無得点の2回1死、阪神青柳の144キロを右翼席上段に運んだ。今季初安打が本塁打の1号先制ソロ。「ファームにいる時に阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただきました。思い切ってスイングした結果、最高の結果になってくれてうれしいです。ただ、次以降の打席が大事になるので集中して1球を無駄にしないようにしたい」と気を引き締めた。 この日から虫垂炎の元木ヘッドコーチに代わって、1軍ベンチに入った阿部ヘッドコーチ代行の前で恩返しの1発となった。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(26)が、5回途中で降板した。巨人の先発は両打ちの若林を含めると、1番から9番の投手田口まで左打者がずらり。坂本、岡本の主力2人を欠いた相手打線だったが、フレッシュな戦力につかまった。 初回は2四球を出しながら無失点で粘ったが、2回1死から7番田中俊に今季初安打となる先制のソロ本塁打を浴びた。4回も1死から田中俊に右翼へ二塁打を浴びると、立岡にファウルで粘られ、8球目のツーシームを中前に運ばれた。二塁走者の田中俊は一気に生還し2点目を献上。立岡もこれが今季初安打だった。5回先頭の丸に四球を出し、大城、若林に連打を浴びて3点目を失ったところで降板。7勝目はならなかった。 ▽阪神福原投手コーチ(青柳の投球に)「今日は全体的にコントロールが定まっていなかったし、左並びの打線を意識し過ぎたところもあったのかなとは思う。こればかりはずっと青柳の課題にもなっているし、これまで取り組んできたことを試合で出せるかというところと、これから先どう抑えていくかというところを、考えていかなければいけない」

◆巨人立岡宗一郎外野手(30)が今季初安打となる適時打を放った。 1点リードの4回1死二塁、フルカウントから阪神青柳の141キロを中前に運んだ。「三振だけはしないようにくらいついていきました」とコメント。2月に右手有鉤(ゆうこう)骨骨折のけがを負い出遅れており「焦りはありましたが今日、自分自身の開幕ができて本当に良かったです。リハビリをサポートしてくださった皆さんに感謝を伝えたいです」と話した。今季イースタン・リーグ公式戦では、打率2割9分、2本塁打。9月は打率4割6分7厘と調子を上げ、12日に初昇格していた。

◆阪神桑原謙太朗投手(34)が青柳の後を受けて登板したが、巨人打線を止められなかった。 2点ビハインドの5回、先発青柳が先頭の丸に四球を出し、大城、若林に連打を浴び3点目を失ったところで降板。桑原が今季2戦目のマウンドに上がった。しかし、田中俊に左前適時打を浴びて4点目を失うと、なおも無死一、二塁から立岡に初球の144キロ直球をとらえられ、今季1号となる右翼への3ランを許した。この回一挙5点を失い、5回までに0-7と苦しい展開になった。

◆阪神小林慶祐投手(27)が、オリックスからトレード移籍後初登板を果たし、2回2安打無失点デビューだった。 「すごく緊張はしましたが、野手の方やベンチの皆さんに声を掛けていただいたおかげで、思い切って投げることができました。2イニング投げさせていただき、ゼロで抑えることができて良かったです」。 0-7の6回にマウンドへ。先頭の丸に四球を出し、続く大城は高めの148キロ直球で空振り三振。若林に中堅へ二塁打を浴び1死二、三塁とされたが、サイクル安打に王手をかけていた田中俊をフォークで空振り三振。立岡は申告敬遠で2死満塁とし、最後は田口を二ゴロに仕留めた。 7回も続けてマウンドに上がると、松原をフォークで空振り三振。増田大を二塁への内野安打で出塁させたが、ウィーラーにファウル6球で粘られながら11球目のフォークで空振り三振。最後は吉川大を遊飛にうち取った。 小林は8月下旬に飯田との交換トレードで、阪神に移籍。オリックスでは今季7試合に登板し、6回2/3を11安打3失点、防御率4・05だった。

◆巨人阿部慎之助2軍監督(41)が、本拠地での阪神戦でベンチに入った。 元木大介1軍ヘッドコーチ(48)が腹痛のため都内病院で検査を受け、虫垂炎と診断され手術、入院。不在の間、同代行を務めることになった。 午後2時58分。巨人から報道陣へ、一斉メールが届いた。この日、元木ヘッドが腹痛のため病院で診察を受け、虫垂炎と診断された。同コーチが不在の間、阿部2軍監督が1軍ヘッド代行を務め、2軍監督代行は村田修一2軍野手総合コーチ(39)が務める。その旨が広報部から発表された。 そこから約15分後のことだった。午後3時15分過ぎ。真っ黒に日焼けした背番号「80」が、東京ドームの一塁側ベンチから姿を現した。昼の時点ではイースタン・リーグのDeNA戦のため、神奈川・平塚にいた阿部ヘッド代行。首脳陣とあいさつを交わし、1軍本隊に加わった。 試合前の円陣では「今日出る人、普段出てなくてスタートの人は、チャンスだと思って、こういう時に印象を付けておく。だからコンコンって打ったら『明日使おう』となるから。そう思って、チャンスだと思って頑張ってくれ」と鼓舞した。 ゲキに応えたのは、こんがりと焼けた「阿部チルドレン」。13日に1軍に昇格した田中俊が、2回に右翼へ先制の1号ソロ。「ファームにいる時に阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただきました。思い切ってスイングした結果、最高の結果になってくれてうれしいです」。今季10試合目でマークした初安打が本塁打。4回には右翼線への二塁打、5回にも左前へ適時打を放った。 昇格組が続いた。立岡は12日に1軍に合流。4回に中前適時打で今季初安打をマークすると、波に乗った。5回には右翼スタンドへ1号3ラン。坂本が軽い体調不良、岡本は軽い腰痛のため、ともに15日の阪神戦で途中交代。この日の先発を外れた。丸が90代4番を務めるなど、阪神青柳の前にスタメンに全員左打者(若林は両打ち)を並べた中、2軍からやって来た男たちが、前夜に優勝マジック「38」を点灯させたチームをもり立て、マジックを3つ減らした。【栗田尚樹】

◆巨人は5回に下位打線が爆発した。 無死一、三塁、若林晃弘内野手(27)が右前適時打を放つと、2回には先制弾を放っている田中俊太内野手(27)が左翼線への適時打で続いた。若林は「ランナーが三塁にいたのでバットに当てれば何とかなるという割り切りで思い切っていきました。つなぐことができて良かったです」。田中俊は「前の打席もしっかり振れたので、投手が変わっても同じ気持ちでしっかりと強く振りにいきました。追い込まれていましたが、なんとかねばって打てましたね」とコメントした。 適時打の2人を塁に置き、続いて打席に入った立岡宗一郎外野手(30)が、右翼席へ1号3ランを放ち、この回一挙5点を奪った。立岡は「打席に入る前に阿部さんにボールの軌道イメージを確認しました。うまく打てたと思います」と笑顔を見せた。

◆阪神が代打攻勢で4点を返し、3点差に迫った。7回まで先発田口に1安打無得点に抑えられていたが、0-7の8回に反撃。1死から2安打と死球で満塁とし、代打中谷が左越えの2点適時二塁打。巨人はここで2番手田中豊にスイッチするが、続く代打木浪が田中豊から右中間への2点適時二塁打を放った。 この回4安打を集め、一挙4得点。敗戦ムードから一転、一気に点差を詰めた。

◆巨人は2回に田中俊の1号ソロで先制。先発田口は3回まで1安打無失点。阪神青柳は3回まで2安打1失点に抑えた。 巨人は4回に立岡の適時打で追加点を挙げた。5回には若林、田中俊の適時打、立岡の1号3ランで5点を加えた。 阪神は8、9回に6点を返したが連敗。巨人は田口から田中豊、大江、デラロサ、中川とつなぎ、逃げ切って9連勝とした。田口が4勝目。阪神青柳が5敗目を喫した。

◆阪神が巨人に敗れ、今季このカードの勝ち越しがなくなった。先発の青柳晃洋投手(26)が5回途中5失点と打ち込まれ、2番手桑原謙太朗投手(34)も1回2失点と打線の勢いを止めることが出来なかった。 打線は終盤に反撃し、9回には大山悠輔内野手(25)の19号2ランで1点差にまで迫ったが、及ばなかった。巨人との差は今季最大の11・5ゲーム差に広がった。 今季早くもこのカードの勝ち越しが消滅した。阪神が巨人にシーズン勝ち越しを収めたのは、07年の14勝9敗1分けが最後。これで13年連続シーズン勝ち越しがなく、12年から9年連続負け越しのピンチだ。さらに、東京ドームでは開幕から8連敗。88年の同球場開場後最長の12年8連敗(2分け挟む)に並ぶワースト記録となった。

◆巨人が阪神を逃げ切って9連勝とした。田口が4勝目。阪神青柳が5敗目を喫した。   ▼巨人のマジックが38から35に減った。セ・リーグのアグリーメントに優勝球団決定の規定があり、勝率と勝利数が同じ場合は直接対決で勝ち越した球団、直接対決も同じ場合は前年順位の上位が優勝となる。 阪神は残り全勝で82勝34敗4分けとなり、巨人は残り35勝12敗で全勝の阪神に並ぶ。この場合、両チームの直接対決は12勝12敗で五分のため、前年1位の巨人が優勝。この日で巨人は阪神戦の負け越しがなくなり、マジックが3減った。今回のように首位○、M対象●で3減ったのは13年9月11日楽天以来。楽天○、ロッテ●の結果、楽天がロッテ戦の勝ち越しを決め、楽天のMが18から15に。引き分け数に差がある場合も3減ることがあり、93年9月29日には西武○、日本ハム●で西武のMが9から6に減った。

◆巨人が8年ぶりの9連勝を飾り、優勝へのマジックを「35」とした。 9回に1点差に迫られる展開に、原辰徳監督(62)は「なかなかですね。気を許したということではないのですが、相手チームも必死ですし、我々も1つ勝つのは大変だと改めて思いますね」と言った。 坂本、岡本の主軸をコンディション不良で欠く中、今季初スタメンの田中俊が1号ソロ含む3安打2打点、立岡は1号3ランを含む2安打4打点の活躍。 指揮官は「すばらしい。『阿部チルドレン』とでもいうんでしょうかね。よみうりランドで一生懸命、真っ黒になってきている2人が、7番8番で非常に大きな役割果たしてくれました」と賛辞を送った。 虫垂炎の手術で入院した元木ヘッドコーチに代わり、阿部2軍監督がヘッド代行を務めた。 原監督は「ワンチームですから。いかなる場合でもみんなで助け合いながらやるという中で、最善の策という中で、慎之助にはきていただいたというところですね」と言い「どういう場合でもカバーし合うということが大事なことだと思いますね」とチーム一丸を強調した。

◆阪神木浪聖也内野手はスタメン落ちの悔しさをひと振りに込めた。7月30日ヤクルト戦以来のベンチスタート。 中谷の適時打で2点をかえした8回、なお1死二、三塁に代打で登場し、田中豊のフォークをとらえて右中間へ2点二塁打を放った。「ベンチにいる時からずっと準備をしていましたし、初球から積極的にスイングしていけた結果が、タイムリーにつながったと思うので、打つことができてよかったです」と振り返った。

◆巨人先発の田口麗斗投手が7回まで1安打に抑える好投で4勝目を挙げた。 1回の先頭近本に安打を許してから、8回1死まで1人の走者も許さなかった。3年ぶりの完封も見えた中、死球を挟んで3連打を浴びて降板。 8回途中4失点の結果に「序盤からリズム良く投げることができましたが、8回にああいう形で降板することになり悔しいです。反省できることを明確にして次の登板につなげられるようにしたい」と引き締めた。

◆坂本、岡本を欠く巨人打線で、丸佳浩外野手が第90代4番として1安打3四球で4打席出塁した。 「気負うことなく、しっかりつなぐことができたと思います。今日は元木ヘッド、(坂本)勇人さん、(岡本)和真がいない中で、チーム全体で戦うことができてよかったです」と存在感を発揮した。

◆阪神が巨人に敗れ、今季このカードの勝ち越しがなくなった。先発の青柳が5回途中5失点と打ち込まれ、2番手桑原も1回2失点と打線の勢いを止めることが出来なかった。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -終盤に粘り 矢野監督 うん、まあね...。 -試合を振り返って 矢野監督 青柳がまずリズムを作ってくれないと。もうこれだけ投げてる立場やし、チームを引っ張るというようなところを俺らとしても期待したい。点を取られてるからそう見えちゃうのかもしれないけど、気持ちの部分でも。向かっていくというか、うまくやろうとしてて、そっちが先行しちゃって、一番大事な打者に向かっていくというところが、あまり感じられなかったかな。 -左打者9人が並んだ 矢野監督 左バッターというのは、並べられるのはこっちが変えられることじゃないじゃん。バッターに向かっていくことは自分で作っていけることだから。(左打者9人とか)関係ないやん。 -下位打線にやられた 矢野監督 やられ方は一緒じゃん。四球を出してやられるとか、自分のミスとかさ。それはうまくやられたということにはならないと思う。 -初回は無死一塁からの強行策 矢野監督 試合の中で別にバントするときもあれば、バントしないことが強攻だというのはそっちの勝手な考えだと思うけど。それはオレが考えてやることだから。 -巨人田口の印象 矢野監督 のらりくらりだよね。いいという感じはそんなに見えなかった。 -8回攻撃はつなぐ姿勢があった 矢野監督 でもまあそれ以前の昨日、今日とやっぱり球際という部分はうちの課題かな。ジャイアンツとの差というところではオレはそういうところを感じている。 -小林が初登板 矢野監督 ゼロで帰ってくるのは大事なこと。今までオリックスで敵として見ていたけど、味方として見るのは初めて。ゼロで帰ってきたことに価値があるんじゃないかな。 -明日なんとか勝ちたい 矢野監督 それはもう、俺らは毎試合そう思っている。こうなって阪神ファンのみなさんには腹立たしい思いをさせていると思うんで。それは重々承知しているんでね。できること、目の前の試合を目いっぱいいくしかないんでね。ずっとそれしかないんで。やりきります。

◆巨人岡本和真内野手が「軽い腰痛」で欠場し、17年10月3日から続いた連続試合出場が359試合でストップした。 坂本を含めた2人の復帰時期について、原辰徳監督は「明日は大丈夫だと思いますよ。でも見事な打線で、見事な4番ですから、彼らもおちおち休めないと思ったんじゃない。良薬になったと思いますよ」と言った。

◆阪神が巨人に敗れ、今季このカードの勝ち越しがなくなった。先発の青柳晃洋投手(26)が5回途中5失点と打ち込まれ、2番手桑原謙太朗投手(34)も1回2失点と打線の勢いを止めることが出来なかった。打線は終盤に反撃し、9回には大山悠輔内野手(25)の19号2ランで1点差にまで迫ったが、及ばなかった。巨人との差は今季最大の11・5ゲーム差に広がった。 矢野燿大監督(51)は「青柳がまずリズムを作ってくれないと。もうこれだけ投げてる立場やし、チームを引っ張るというようなところを俺らとしても期待したい。向かっていくというか、うまくやろうとしてて、そっちが先行しちゃって、一番大事な打者に向かっていくというところが、あまり感じられなかったかな」と、先発右腕に厳しい言葉を投げ掛けた。 今季早くもこのカードの勝ち越しが消滅した。阪神が巨人にシーズン勝ち越しを収めたのは、07年の14勝9敗1分けが最後。これで13年連続シーズン勝ち越しがなく、12年から9年連続負け越しのピンチだ。さらに、東京ドームでは開幕から8連敗。88年の同球場開場後最長の12年8連敗(2分け挟む)に並ぶワースト記録となった。 指揮官は「阪神ファンのみなさんには腹立たしい思いをさせていると思うんで。それは重々承知しているんでね。できること、目の前の試合を目いっぱいいくしかないんでね。ずっとそれしかないんで。やりきります」と力を込めた。

◆阪神大山悠輔内野手が、ネバーギブアップの19号2ランを放った。3点を追う9回1死一塁。 カウント2-0から守護神デラロサの150キロ直球を狙い澄まして振り抜いた。「しっかり自分のいいスイングができたと思います」。引っ張り込んだ当たりは、左翼席最前列まで届いた。0-7の大敗試合が一転6-7。最後はあと1点及ばず敗戦となったが、巨人に負けっ放しでは終われない阪神ナインの意地をバットに込めた。 プロ4年目でキャリアハイを更新中のシーズン本塁打は、トップの巨人岡本に2本差。阪神では86年バース以来、34年ぶり本塁打王への夢も膨らむ。この日は3試合ぶりの1発だったが、9月は特に好調で14戦6発。同僚のサンズ、DeNAソトと並んで月間本塁打はリーグトップだ。8回には、一挙4得点の足がかりとなる左前打で反撃の流れも作った。明日につながる1発で、まだまだファイティングポーズは崩さない。【奥田隼人】

◆阪神中谷将大外野手が2試合連続の代打安打で反撃ムードを高めた。0-7の8回1死満塁で登場。2ボール2ストライクと追い込まれながら、低めスライダーに食らいついた。 左翼フェンス直撃の2点二塁打で先発田口を降板させ、この回4得点を呼び込んだ。 「点差はありますが、1点ずつかえしていけば何が起きるか分からない」。ネバーギブアップをバットに込めた。

◆巨人阿部慎之助1軍ヘッドコーチ代行が、初陣を白星で飾った。元木ヘッドコーチが虫垂炎で手術する状況の中で「直々に原監督から連絡をいただきまして、今日の試合からベンチ入るようにと連絡をいただきました」と説明。 2軍監督として指導した田中俊、立岡が今季初のスタメン抜てきに応えて大活躍。同代行は「めちゃくちゃうれしいですよ」と言い「すごく結果も出して、本人たちが一番喜んでます。坂本、岡本、主力いない中で勝てた。チームとしてもいい自信につながったんじゃないかと思う」と安堵(あんど)した 原監督の隣で、初めて1軍の試合に参加した。 「僕も初めてでしたし。あの目線で1軍の試合を指導者として見るのは初めてだった。すごくいろいろなことを考えないといけないなと思いながら、ずっと試合を見てました。あの目線からだと難しい部分は感じますし、元木ヘッドが戻るまで、足を引っ張ることがないようにやれればいい。できることはやっていきたい」と引き締めた。

◆阪神は0-7から終盤の反撃で1点差まで迫ったが、先発青柳と桑原で喫した前半の7失点が重すぎた。自力V消滅一夜明けで意地が試されたが、巨人に勝てない屈辱の日々が続く。矢野燿大監督(51)は「阪神ファンのみなさんに、腹立たしい思いをさせている。重々承知している」と虎党の思いも察し、3戦目の奮起必勝を誓った。0-7から9回に1点差まで迫ったが、反撃はあと1歩届かなかった。自力V消滅一夜明けも、巨人のマジック減らしをアシストする黒星で、その差はついに11・5ゲーム。必勝を期して臨んだ直接対決で連敗し、突き放された。 "飛車角抜き"のG打線に、前半で7失点したことが最後まで響いた。巨人は坂本が軽い体調不良、岡本は軽い腰痛で先発メンバーから外れた。変則右腕の青柳に対し、左打者がずらり9人(若林は両打ち)。青柳は2回に田中俊に今季初安打となる先制弾を浴び、4回には立岡にこちらも今季初安打のタイムリーで追加点を許した。 矢野監督 気持ちの部分でも何かうまくやろうとそっちが先行しちゃって、一番大事な打者に向かっていくところが、あまり感じられなかった。 先発の軸として期待が高いだけに、攻めの姿勢が見えなかったことに、落胆の色を隠せなかった。試合前時点で青柳の今季被打率は右打者の1割8分6厘に対して、左打者は2割9分7厘。坂本と岡本の主軸2人を欠いたオーダーに攻略され、5回持たず6安打5四球で5失点降板となった。 これで東京ドームは開幕から8戦全敗。巨人本拠での開幕8戦8敗は1963年(昭38)以来57年ぶりの屈辱で、同年の球団ワースト記録であるG本拠開幕9戦9敗が目の前に迫ってしまった。そして、宿敵との対戦もこれで3勝12敗。同カードは08年から13年連続勝ち越しなしが決まった。矢野監督は「昨日、今日とやっぱり球際という部分はうちの課題かな。ジャイアンツとの差というところでは、そういうところを感じている」という。ただ、このままでは終われない。 矢野監督 こうなって、阪神ファンのみなさんには、腹立たしい思いをさせていると思う。それは重々承知している。できること、目の前の試合を目いっぱいいくしかないんでね。ずっとそれしかないんで。やりきります。 エース西勇を中5日で送り込む17日こそ、意地の勝利をつかみ取りたい。【松井周治】

◆文京区の東京ドームから西へ37キロ-。灼熱(しゃくねつ)の川崎市のジャイアンツ球場では、巨人阿部慎之助2軍監督(41)が「アメとムチ」を使い分け、若手を育てている。今季1軍に定着した松原や田中豊らも開幕は2軍。阿部流の指導法で1軍に送り出してきた。昨季引退した指導者1年目の「鬼軍曹」は、どのような指導を行い、若手を導いているのか。8月には気温が40度近くまで上がる。9月に入ってもまだまだ暑いジャイアンツ球場では、イースタン・リーグの試合後、弾丸ライナーが飛び交う。 打撃の主は、半袖のTシャツの袖をカットしタンクトップに変えた阿部2軍監督。丸太のように太い腕で、試合で活躍できなかった選手らの居残り練習で自らバットを握り実演する。選手に1時間ほど打たせ、気付けば日が落ちている。 指導者1年目の今季、スローガンに掲げたのは「考動」。考えて動くことを求めた。「2軍の選手は1軍に行くことが目的」とぶれず、自身も各選手に対して、何をすべきか考えて動く。20代前半が多く、阿部2軍監督は憧れそのもの。口で伝わりにくければ、手本を見せればいい。時にはブルペンでボールを受け打者目線で助言を送る。脇を固めるコーチ陣もかつて原巨人の中心を担った選手たち。一丸となってイキのいい若手を次から次へと1軍に送り込んでいる。 選手ファーストの気持ちと厳しさを併せ持つ。悪天候の日に室内で行った試合前練習。阿部2軍監督は、フリー打撃の順番を待つ若手選手を鳥かごに呼び、自ら打撃投手役を務め時間ギリギリまで打たせた。ボールを拾おうとする若手に「いいから早く行け」と言い、数十球のボールを1人で拾い集めた。一方で、1軍から落ちてきた経験豊富な選手も必要と考えれば3軍に落とす。「2軍もゲームがあるので追われてほしくない。3軍は鍛錬する時間がある」。陽岱鋼やロッテに移籍した沢村を3軍に送り己と向き合わせた。 試合でストライクが入らなかった投手、1軍で結果を残せなかった投手には、アメリカンノックで鍛え直す。きつくて音を上げる選手もいるが、終了時にはなぜかみんな笑顔になっている。田中俊や立岡と昇格したばかりの選手が活躍し「めちゃめちゃうれしい。おれはいいんだよ。俊太と立岡を褒めてあげて」。厳しい練習と言葉の裏には、愛情があふれていることを分かっている。だからきつくてもみんな笑顔になり、成長できる。【久永壮真】

◆こんがり日焼けした「阿部チルドレン」が、巨人に光を差し込んだ。元木大介ヘッドコーチ(48)が16日、都内の病院で虫垂炎と診断され手術を受け、入院した。代わって阿部慎之助2軍監督(41)が急きょ1軍ヘッドコーチ代行を務めることになった。田中俊太内野手(27)が先制1号ソロを含む3安打2打点。立岡宗一郎外野手(30)も1号3ランを含む2安打4打点。今月上旬に昇格した2人を中心に、チームは8年ぶりの9連勝。優勝マジックを3減らし「35」とした。午後2時過ぎ。いつもなら、グラウンドには選手と談笑する元木ヘッドコーチがいる。チームに「陽」をもたらす背番号「77」の姿が...なかった。同58分。巨人から報道陣へ一斉メールが届いた。元木ヘッドが腹痛のため病院で診察を受け、虫垂炎と診断された。同日中に都内の病院で手術を受け、入院することが決まり、阿部2軍監督が1軍ヘッドコーチ代行を務めることになった。 そこから約15分後の午後3時15分過ぎ。ジャイアンツ球場で太陽をたくさん浴び、真っ黒に日焼けした背番号「80」が姿を現した。昼の時点ではイースタン・リーグDeNA戦で、神奈川・平塚にいた。阿部ヘッド代行は試合前の円陣で「今日出る人、普段出てなくてスタートの人は、チャンスだと思って。こういう時に印象を付けておく。だからコンコンって打ったら『明日使おう』となるから。そう思って、チャンスだと思って頑張ってくれ」と言葉を掛けた。 ゲキに応えた「阿部チルドレン」が、チームに新たな「陽」をもたらした。13日に1軍に昇格した田中俊が、2回に右翼へ先制の1号ソロ。「ファームにいる時に、阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただきました」。4回には右翼線への二塁打、5回にも左前へ適時打を放った。 鍛錬を積んだ昇格組が続いた。12日に1軍合流した立岡は、4回に中前適時打で今季初安打をマークし、5回には右翼席へ1号3ラン。坂本が軽い体調不良、岡本は軽い腰痛のため、ともに15日の阪神戦で途中交代し、この日は欠場。丸が90代4番を務め、球団初となる左打者9人を並べた打線の中、今季初スタメンの2人が元気良く輝いた。 原監督は「阿部チルドレンと言うんでしょうか。読売ランドで一生懸命、真っ黒になってきている2人が、7番8番で非常に大きな役割果たしてくれました」。8年ぶりの9連勝で、優勝マジックは「35」。元木ヘッドコーチが離脱し、打線の軸を欠いても、こんがり焼けた男たちが強い巨人を支えている。【栗田尚樹】

◆巨人原辰徳監督は元木ヘッドコーチの虫垂炎の知らせを球場入り後に聞き、阿部慎之助2軍監督を呼び寄せた。「13時半ぐらいでしょうか。ワンチームですから。いかなる場合でも助け合う最善策」と説明。 ヘッドコーチ代行としてベンチ内で選手に声をかける姿には「彼は、選手個々もチームもよく知っているわけだから。最善の策を言ったと思います」と初陣を評価した。

◆阪神2番手の桑原謙太朗投手も巨人打線を止められず、5回に一挙5点を失った。 先発青柳が3点目を失った5回無死一、二塁でリリーフ。だが田中俊に左前適時打を浴び4点目を失うと、なおも無死一、二塁から立岡に初球の144キロ直球を右翼スタンドへ運ばれた。 右肘の不調から再起し、513日ぶりに登板した13日広島戦(甲子園)は、2/3回を無安打無失点に抑えたが、この日は1回3安打2失点。防御率は10・80となった。

◆阪神が巨人に敗れ、今季このカードの勝ち越しがなくなった。先発の青柳晃洋投手(26)が5回途中5失点と打ち込まれ、2番手桑原謙太朗投手(34)も1回2失点と打線の勢いを止めることが出来なかった。 打線は終盤に反撃し、9回には大山悠輔内野手(25)の19号2ランで1点差にまで迫ったが、及ばなかった。巨人との差は今季最大の11・5ゲーム差に広がった。   ▼阪神は東京ドームで開幕から8連敗。12年に並び、同球場での開幕連敗最長となった。もっとも同年は、8連敗中に2分けを挟んでいた。巨人の本拠地で開幕8戦8敗は、後楽園時代の63年9戦9敗に次ぎ、ワースト2位となった。 ▼阪神の今季の巨人戦は3勝12敗となり、カード勝ち越しがなくなった。これで08年以降、13年連続で巨人での勝ち越しなしが確定。残り9試合に全勝しない限り、12年からの9シーズン連続負け越しが決まる。 ▼阪神は1936年(昭11)7月15日の巨人との初対戦以降、通算826勝1086敗71分けで、勝率4割3分2厘。2リーグ分立後は741勝1002敗68分け、4割2分5厘。試合数の増えた2リーグ制での71シーズン中、勝ち越しはわずか10度(62、70、75、79、84、85、03、04、05、07年)しかない。 ▼現状のペースで巨人戦が推移すれば、今季24試合で4・8勝という計算になるため、5勝19敗で終わると仮定。過去の同カード最多借金は14(63年=7勝21敗、90、95年=6勝20敗)最低勝率は2割3分1厘(90、95年)。このままなら、今季は借金14でワーストタイ、勝率2割8厘は史上最低となる恐れがある。

◆巨人・阿部慎之助2軍監督(40)が1軍公式戦でベンチ入りした。この日、虫垂炎のため入院、手術することが発表された元木大介ヘッドコーチ(48)の代役として、1軍ヘッドコーチ代行を務める。また阿部2軍監督が1軍ヘッドコーチ代行を務める間は、村田修一2軍野手総合コーチ(39)が2軍監督代行を務める。

◆巨人・田中俊太内野手(27)が二回1死で阪神先発・青柳から今季1号ソロを放ち、先制した。  初球、内角129キロを鋭く振り抜いた。打球はぐんぐん伸びて右翼席上段へ着弾。2019年9月7日のヤクルト戦(神宮)以来のアーチで貴重な先制点をもたらした。  「ファームにいるときに阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただきました。思い切ってスイングした結果、最高の結果になってくれてうれしいです。ただ、次以降の打席が大事になるので集中して1球を無駄にしないようにしたい」とコメントした。

◆阪神は6-7で巨人に敗れて、敵地・東京ドームで、開幕から8連敗となった。巨人戦は通算3勝12敗となり、9試合を残して、13年連続勝ち越しなしが決まった。  巨人打線は岡本、坂本が不在だったが、先発した青柳が誤算だった。0-2で迎えた五回、四球と連打で1点を奪われて降板。2番手の桑原も適時打と立岡に3ランを被弾するなど、一挙5点を奪われた。  七回まで田口の前に1安打で無得点だった打線は0-7の八回に反撃。1死満塁から代打・中谷が左越えの2点二塁打。代打・木浪も2点二塁打で続き、3点差に。九回にはデラロサから大山が19号2ランを放って、1点差まで詰め寄ったが、あと1点が遠かった。  これで巨人とは今季最大の11・5ゲーム差となった。

◆左打者を並べた巨人が、阪神先発の右腕・青柳を打ち崩した。巨人は1分けを挟む今季初の9連勝。マジックを3つ減らし、「35」とした。先発の田口は今季4勝目を挙げた。  虎のサブマリン・青柳を相手に、先発9人に左打者(若林は両打ち)をズラリと並べた巨人打線。主力がスタメンから外れ、初スタメンの田中俊、立岡らフレッシュな打線が組まれた。  二回、その田中俊がいきなり見せた。1死で回ってきた打席で、初球を鋭く振り抜くと、打球はぐんぐん伸びて右翼席上段へ着弾。貴重な先制点をもたらした。  四回には立岡が1死二塁で中前適時打を放って2点目を奪うと、五回には若林の右前適時打で3点目を挙げて、青柳をノックアウト。続く無死一、二塁で田中俊の左前適時打で追加点。さらに立岡が3ランを放ち、巨人は五回大量5点を奪った。  巨人の先発左腕・田口は、7回まで阪神打線をわずか1安打に抑える好投。7-0と試合は決まったかに思われたが、八回に捕まった。1死満塁で中谷に2点適時二塁打を打たれたところで田口は降板。結局この回4点を失った。  九回、巨人・デラロサがマウンドに上がると、1死一塁で大山に19号ツーランを浴びて1点差に。代わった5番手・中川がボーア、陽川を三振に仕留め、なんとか逃げ切った。  巨人・田中俊は第1打席で本塁打、第2打席で二塁打、第3打席で左安打。三塁打が出れば、サイクル安打だったが、第4打席、第5打席は三振に打ち取られた。

◆巨人の岡本と坂本が欠場した。ともに前日15日の試合で途中交代しており、球団によると、今季初の欠場となった岡本が軽い腰痛、坂本は体調不良によるという。原監督は「17日は大丈夫だと思う」と軽症を強調した。

◆巨人はともに今季初先発した田中俊と立岡が勝利に貢献した。この試合から虫垂炎で入院した元木ヘッドコーチの代行を務めた阿部2軍監督は「めちゃくちゃうれしい。本人たちが一番喜んでいると思う」とまな弟子の活躍に目を細めた。  田中俊は二回に今季初安打となる先制ソロを放つなど3安打2打点をマークし「ファームで阿部2軍監督から『小さくなるな。本塁打を狙うくらい思い切ってスイングしろ』と指導していただいた」と感謝。立岡も4年ぶりの一発となる3ランを放ち「打席に入る前に阿部さんにボールの軌道イメージを確認した」とうなずいた。  原監督は「阿部チルドレンと言うのかな。非常に大きな役割を果たしてくれた」とうれしそうだった。

◆阪神は大量リードを許した終盤に粘りを見せた。0-7の八回に中谷と木浪がともに代打で2点二塁打。木浪は7月30日以来の先発落ちに発奮し「初球から積極的にスイングしていけた結果」と振り返った。  九回は大山が3試合ぶりの19号2ランを放ち、1点差まで追い上げた。高めの150キロの速球を左翼席へ運び「しっかり自分のスイングができたと思う」と淡々と話した。

◆巨人は優勝へのマジックナンバーを一気に三つ減らして「35」とした。通常は首位チームが勝ち、マジックの対象チームが負けた場合は2しか減らない。だが、この日、巨人が勝ち、今季阪神に負け越すことがなくなったためにあと35勝すれば、阪神が残り試合に全勝して82勝34敗4分けで並ばれても前年度順位が上位の巨人の優勝が決まる。  セの規定ではレギュラーシーズンの勝率が同じ場合、(1)勝利数(2)当該球団間の勝率(3)前年度順位-で順位が決まる。  最近では2013年に楽天がマジックを三つ減らしている。

◆高卒2年目の阪神・小幡が8月16日の広島戦(京セラ)から遊撃で先発出場していた木浪に代わって先発出場。二塁では10試合で先発出場したが、本職の遊撃では初の先発起用となった。守備では3度、打球を処理するなど軽快な動きを見せたが、バットでは三回1死で空振り三振に倒れると、六回1死の第2打席では中飛。八回に1死満塁の場面で代打・中谷を送られ、途中交代となった。

◆阪神・青柳は先発全員左打者を並べたG打線につかまり、五回途中6安打5失点で5敗目を喫した。二回に田中俊の先制ソロ、四回に立岡の適時打で2点を献上。五回は無死一、三塁で若林に適時打を浴びたところで降板し、矢野監督は「打者に向かっていくというところが、あまり感じられなかった」と不満を口にした。8月20日の巨人戦(東京ドーム)では6回1失点の好投も黒星。リベンジのマウンドで敵地での連敗を止めることができなかった。

◆交換トレードでオリックスから加入した阪神・小林が移籍後初登板。2回を無失点に抑え「すごく緊張したけど、野手の方やベンチの皆さんに声をかけていただいたおかげで思い切って投げることができた」と振り返った。六回は四球と安打などで2死満塁のピンチを招いたが、無失点で切り抜けた。「ゼロで抑えることができてよかった。チームの戦力になれるように頑張りたい」と力を込めた。

◆軽度の腰痛のため欠場した岡本に代わり、丸が移籍2年目で初めて4番(球団で第90代)に座った。1安打3四球と全4打席で出塁し「気負うことなく、しっかりとつなぐことができた。チーム全体で戦うことができてよかった」。この日は変則右腕の青柳対策として、左打者9人(両打ちを含む)の先発オーダーを組んだ。異例の起用で攻略した原監督は「(青柳は)右打者が非常に苦戦する投手。思い切っていってみようと」と説明した。

◆最大7点差からの阪神の反撃ののろしは、代打・中谷からだ。  「点差はありましたが、1点ずつかえしていけば、なにが起きるかわからないので...」  0-7の八回、1死満塁で完封勝利を意識しはじめた田口の投じたスライダーを捉えた。左翼フェンスを直撃する2点二塁打だ。  なおも1死二、三塁。不振で7月30日のヤクルト戦(神宮)以来のスタメン落ちとなった木浪も続いた。田口に代わって右腕の田中豊が2番手で登板すると、代打の江越にかわって"代打の代打"で打席へ。カウント1-2と追い込まれたが、フォークをおもいっきりたたくと打球は右中間へ。2者連続の2点二塁打で3点差に迫り、沈んでいたベンチのムードを一変させた。  「ベンチにいるときから、ずっと準備をしていましたし、初球から積極的にスイング(空振り)した結果がタイムリーにつながったと思う」と木浪。前日までの5試合は打率・118(17打数2安打)と結果を残せず、この日は高卒2年目の小幡に遊撃スタメンを奪われた。その悔しさをグラウンドで晴らした。  2人が刺激になったのは、巨人の脇役コンビの活躍だ。この日、岡本が腰痛、坂本は体調不良を理由にスタメンから外れたが、「7番・三塁」でスタメン出場した田中俊が二回の先制となる今季初アーチを含む3安打2打点。「8番・左翼」で出場した立岡も四回に適時打、五回には3ランと2安打4打点の大暴れ。負けるわけにはいかない-。ベンチで出番を待ちながらモチベーションを高めた。  勝利には結びつかなかったが、今後の戦いにつながる猛反撃を演出した。(三木建次)

◆諦めない姿、見せ続けろ!! 阪神は巨人に6-7で敗戦。東京ドームで球団ワーストタイの開幕8連敗を喫したが、九回に大山悠輔内野手(25)が2ランを放つなど、0-7から1点差まで追い上げた。今季の巨人戦勝ち越しがなくなり、自力優勝の可能性は消滅したままだが、最後まで諦めない戦いを続ければ必ず奇跡が起こる。  試合は続く。その思いと流れを後続につなぐように、大山が足早にベースを回った。ペナントレースも、まだ終わっていない。土壇場の粘りと若き大砲の一発が、はるか前を走る巨人への再度の宣戦布告になった。  「しっかり自分のいいスイングができたと思います」  九回、虎がもう一度立ち上がった。1死一塁で左翼席へ。一時は0-7の大差から1点差に迫る2ランで、抑えのデラロサをマウンドから引きずり降ろした。リーグトップの巨人・岡本と2本差の19号。軽い腰痛で欠場した相手の主砲に迫るアーチで、チームの意地を示した。  結果は屈辱が残った。連敗で巨人戦は3勝12敗。9試合を残し、13年連続勝ち越しなしが決まった。特に敵地では無残。東京ドームで開幕から8連敗は、2分けを挟んだ2012年に並ぶ球団ワーストタイ。矢野監督は終盤の攻撃について「でもまあ、それ以前」と制し、悔やんだ。  目の前で優勝へのマジックナンバー点灯を見せられた翌日に、巨人は岡本だけでなく、坂本も体調不良で欠場した。それでも、ともに無安打で今季初スタメンの田中俊と立岡に計5安打6打点を許し、一方的な展開。"飛車角落ち"にすらかなわない。一回先頭の近本の右前打の後は田口に手も足も出ず、七回まで走者も出せなかった。  ただ、その屈辱まみれの時間も大山が打ち破った。八回1死で左前打。目を覚ました打線は一挙4点を返した。11・5ゲーム差に広がったが、奇跡を信じさせるに値する猛反撃。牙が折れていないことを証明した。  背番号3は口癖のように言う。「毎試合悔しい思いをしている。でも、きのうはきのう、きょうはきょう。反省はして新たな気持ちで」。最近も「成長」という言葉を繰り返し使う指揮官は練習中、前夜に失点した馬場を呼び止めて助言を送った。戦いが続いていることの証し。すべて勝つつもり。「もう、俺らは毎試合そう思っている」と力を込めると、虎党に謝罪し、誓った。  「阪神ファンのみなさんには腹立たしい思いをさせている。それは重々承知しているので。できること、目の前の試合を目いっぱい、いくしかない。ずっとそれしかないので。やりきります」  あと1点届かなかったが、決して諦めない姿勢を最後に見せた。意地の粘りがライバルにプレッシャーをかけることにもつながる。この戦いを続ければ必ず奇跡が起こる。(安藤理)

◆巨人は16日、阪神15回戦(東京ドーム)に7-6で勝ち、8年ぶりの9連勝。貯金を「25」に増やし、優勝へのマジックナンバーを3つ減らして「35」とした。阿部慎之助2軍監督(41)が元木大介ヘッドコーチ(48)が虫垂炎で入院したことを受け、ヘッドコーチ代行を務める中、田中俊太内野手(27)、立岡宗一郎外野手(30)ら"阿部チルドレン"の活躍で勝利を飾った。  勝利が決まると、阿部ヘッドコーチ代行はオレンジ色のマスクに隠れた口元を緩ませた。真っ黒に日焼けした右拳で、原監督らとグータッチ。チームの連勝を9につなぎ、胸をなでおろした。  「周りのコーチの方々に助けられた1日でした。うれしいよりも、ホッとしたというのが正直なところ。僕が来て連敗が始まった、とか言われたくないからね」  指導者として初めて1軍ベンチに入った試合は、13日に1軍昇格した7番・田中俊が先制の1号ソロなど3安打2打点、12日に今季初昇格した8番・立岡が1号3ランを含む2安打4打点。2軍監督として汗だくで鍛えてきた"阿部チルドレン"2人の大活躍で勝ち、「めちゃくちゃうれしい」と目尻を下げた。  通算2132安打、406本塁打を誇る元名選手も目を丸くする、急展開の9月16日だった。腹痛を訴えた元木ヘッドコーチが虫垂炎と診断され、そのまま東京都内の病院で手術を受けて入院。細かい気配りや、チームを盛り上げることができる貴重な存在だった同コーチが不在の間、代行として阿部2軍監督が急きょ指名された。  原監督から直接電話で連絡が入ったのは、午後1時半頃。同6時開始のイースタン・リーグ、DeNA戦のため向かっていた神奈川・平塚市から呼び出され、村田修一2軍野手総合コーチに2軍監督代行を託して東京ドームへ向かった。  原監督から「慎之助らしさを出しなさい」と言われ、早速ヘッドコーチとして選手交代などの"采配"に奮闘。この日は体調不良の坂本、腰痛の岡本が大事を取って欠場する中、阪神の横手投げ右腕・青柳対策として先発に左打者9人を並べる新打線で臨んだ。  首脳陣、主力選手に非常事態が起きた日に、2軍生活が長かった男たちがチームを救った。田中俊は「ファームにいるときに阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただいた」と目の前で指導を実践。12年目の立岡は、今季1軍初先発で結果を出した。  「阿部チルドレンとでもいうんでしょうかね。(ファーム本拠地のジャイアンツ球場がある)よみうりランドで一生懸命、真っ黒になってきている2人が、7番、8番で大きな役割を果たしてくれました」  原監督はこう言って伏兵の活躍に目を細め、阿部2軍監督の招へいを「"ワンティーム"ですから。いかなる場合でもみんなで助け合いながらやる。最善の策」と説明した。ドタバタ劇が起こっても、9連勝。原監督の後継候補とも期待される阿部ヘッドコーチ代行にとって、忘れられない"初タクト"となった。(谷川直之) 右手の手術を経て今季初の先発出場を果たし、4年ぶりの本塁打を含む2安打4打点と活躍した巨人・立岡 「(手術で)焦りはありました。自分自身の開幕ができて、本当によかった。リハビリをサポートしてくださった皆さんに感謝を伝えたいです」

◆スタメンに控え選手が名を連ねた巨人に敗れた阪神。球団OBの江本孟紀氏(73)=本紙専属評論家=は巨人の控え選手たちの必死さ、異常な緊張感を見習えと指摘。さらに「厳しく競い合う巨人」と「そうでない阪神」の差も強調した。  勘違いしてはいけない。巨人が継投を失敗したから、最後は1点差になっただけで、七回までの戦いこそが、今の巨人と阪神の差をはっきりと示す試合内容だった。  つい数日前まで、2軍で泥まみれになっていた巨人の7番(田中俊)、8番(立岡)に面白いように打ち込まれた。彼らの打席での、異常なまでの緊張感を、阪神ナインも肌で感じたのではないか。  このチャンスを生かしたい、生かすしか生き残る道はない。彼らは必死だ。阪神が必死でないとは言わない。阪神の選手のレベルは、巨人のレギュラーと比べても遜色はない。ただ、必死さのレベルで、明らかに巨人の控え選手たちが上回っているのだ。ギラギラしている。そこに、バナナなんて登場することはあり得ない。厳しく競うチームが巨人なら、阪神は...。あえて言わないでおく。  気持ちの部分の差だけではない。今季の失策数。この日巨人は無失策で16。阪神は青柳が一塁への悪送球1を加えて54。巨人の3倍以上でもちろん12球団ワースト。昨年も日本一、失策を犯すチームだったが、課題が全く解消されていない。  ミスが多いチームの特徴は、ミスをした選手同士が「次頑張ろう」と慰めあう。巨人はどうか? ミスしたら2軍降格が待っている。落とされなくても、そう思ってプレーしている。ここでも厳しさの差が歴然としている。  この敗戦で気付いたことも指摘しておこう。六回ぐらいまでしか投げない相手先発に対して、初球から狙ってもいない球を振って、ポンポン早打ちしたら、相手を助けることになると思わないのだろうか。八回途中まで田口が投げたのは、巨人ベンチもミスだが、投げさせてしまったのは阪神打線だ。  読者の皆さまには申し訳ない。阪神が巨人戦で毎回、同じ失敗を繰り返すから、評論家としていろんな指摘をしたいのに、毎回、同じことしか言えなくなっている。  この日の巨人のスタメンに敗れたことに屈辱を感じてほしい。忘れてはいけないのは、ことしはCSがないこと。去年のような"滑り込み"進出なんてない。2位も6位も一緒。巨人の控えのような、異常な緊張感をもって残り試合を戦ってほしい。(本紙専属評論家)

◆まさに阿部効果。ズラリ並んだ"チルドレン"から、必死さがビンビン伝わってきた。アイツが打つならオレも! これぞ競争意識の高さ。今季の巨人の大きな特長だ。  ただでさえ、原監督は厳しい。ちょっとダメなら、すぐ落とされる。そこへもってきて、阿部2軍監督もベンチにいる。原と阿部、ダブルの"にらみ"が効いて、大型連勝で緩みがちな空気が、ピリリと締まる、最高のカンフル剤になったね。  ......と、すんなり終わっていれば、そう評価するつもりだった。せっかくの一流試合が二流へと、ぶち壊しだ。1点差の辛勝は、投手起用の失敗が元凶だよ。  先発の田口はもはや、7回以上は無理だと見限らないといかん。登板イニングは今季、6回がせいぜい。案の定、80球を超えたくらいでもう、下半身がふらつき、腕も振れなくなる。9回を投げ切ろうという強い気持ちなど、感じられないんだから。  1試合を任せられるのは菅野だけ。他は、信頼しても信用しない-。先発陣に対しても、原監督特有の厳しさを、適用すべきだね。 (本紙専属評論家)

◆巨人は8年ぶりの9連勝。貯金を「25」に増やし、優勝へのマジックナンバーを3つ減らして「35」とした。13日に1軍昇格した田中俊太内野手(27)が先制の1号ソロなど3安打2打点、12日に今季初昇格した立岡宗一郎外野手(30)が1号3ランを含む2安打4打点と活躍した。  米大リーグや巨人で投手として活躍した上原浩治氏(45)は同日、自身のツイッターで「主力が休んでも勝つ...2位とは何ゲーム差になったんだ」と脱帽。「いまはプレッシャーよりも、リラックスして試合に臨めてるような...」と指摘した。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
47224 0.681
(↑0.005)
M35
(↑3)
47352
(+7)
238
(+6)
95
(+2)
45
(+1)
0.260
(↑0.001
3.210
(↓0.04)
2
(-)
阪神
36344 0.514
(↓0.008)
11.5
(↓1)
46314
(+6)
303
(+7)
75
(+1)
48
(-)
0.244
(↓0.001)
3.610
(↓0.05)
3
(-)
DeNA
36355 0.507
(↓0.007)
12
(↓1)
44332
(+2)
299
(+3)
75
(-)
17
(+1)
0.273
(-)
3.770
(-)
4
(-)
中日
33395 0.458
(↓0.007)
15.5
(↓1)
43255
(+2)
320
(+9)
44
(-)
19
(-)
0.240
(↑0.001)
3.870
(↓0.08)
5
(-)
広島
29378 0.439
(↑0.008)
16.5
(-)
46325
(+9)
350
(+2)
75
(+3)
31
(-)
0.266
(↑0.002)
4.350
(↑0.04)
6
(-)
ヤクルト
27416 0.397
(↑0.009)
19.5
(-)
46304
(+3)
372
(+2)
67
(+1)
45
(-)
0.250
(↓0.001)
4.580
(↑0.03)