巨人(☆6対3★)阪神 =リーグ戦14回戦(2020.09.15)・東京ドーム=
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阪神
1010100003902
巨人
01010301X61100
勝利投手:菅野 智之(11勝0敗0S)
(セーブ:デラロサ(1勝0敗13S))
敗戦投手:髙橋 遥人(2勝3敗0S)

本塁打
【阪神】近本 光司(4号・3回表ソロ),近本 光司(5号・5回表ソロ)

  DAZN
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◆巨人は2-3で迎えた6回裏、岡本と大城の適時打で3点を挙げ、逆転に成功する。そのまま迎えた8回には、大城の2打席連続となる適時打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・菅野が6回3失点で今季11勝目。敗れた阪神は、先発・高橋が振るわなかった。

◆今季の阪神は巨人戦13試合を消化して3勝10敗。特に敵地東京ドームでは6戦全敗中で、1試合平均得点は1・5点と貧打に苦しんでいる。同球場で開幕7連敗となると12年以来の屈辱となるが、打線が奮起して白星をつかめるか。

◆両チームのスタメンが発表された。先発投手は巨人が菅野智之(30)、阪神が高橋遥人(24)。 巨人は勝てば優勝マジック38が点灯し、阪神にとっては負けられない一戦。高橋は今季巨人戦3試合に登板し、防御率0・90に抑え込んでいる。打線は11日からの広島3連戦で、2番に捕手の梅野を入れて3連勝。この日も「2番梅野」を継続し、今季6戦全敗の東京ドームで白星をつかむ。

◆開幕11連勝を狙う菅野から、阪神が初回に先制に成功した。 1番近本がファウルで粘り8球目、真ん中に入った148キロ直球を捉えて右前打を放った。続く2番梅野が初球できっちり投前犠打を決めると、3番糸原が初球をとらえて中前適時打。「チカ(近本)と梅野さんがいい形でつないでくれましたし、そんなにチャンスは多くないと思うので、絶対にこのチャンスをものにしたいと思っていました。先制することができて良かったです」。ここまで無傷の10勝を挙げ、防御率1・44を誇る巨人のエースから3人で先制。全カード広島戦から取り入れた「2番梅野」が、この日も初回からうまく機能した。

◆阪神近本光司外野手(25)が、巨人のエース菅野から特大勝ち越しソロ本塁打を放った。 同点に追いつかれた直後の3回2死走者なし、近本が高めに入った150キロ直球を振り切った。打球は右翼スタンド上段に着弾。「2死からでも塁に出てチャンスを作るために、コンパクトに強くスイングする意識で打席に入りました。甘い球を仕留めることができましたし、結果的に最高の形になって良かったです」。特大の今季4号本塁打に、マウンドの菅野も苦笑いを浮かべるしかなかった。 菅野はこの試合の前まで被本塁打4。追いつかれた直後にすぐに勝ち越し、大きな1発となった。

◆巨人吉川尚輝内野手(25)が同点に追いつく適時打を放った。1点を追う2回2死一、三塁、阪神高橋の129キロスライダーを中前に運んだ。 「すぐに追いつけたのは良かったです。まだまだ打ちたいですね。勝ち越したい。集中します」。連続試合安打を9に伸ばす1打で、試合を振り出しに戻した。

◆巨人坂本勇人内野手(31)が、6回表の守備から途中交代した。1点を追いかける5回2死、見逃し三振に倒れ、直後の守備から若林と交代した。若林が二塁に入って、吉川尚が二塁から遊撃に回った。

◆阪神近本光司外野手(25)が、巨人のエース菅野から2打席連続の勝ち越し本塁打を放った。1試合2発はプロ入り後初めて。 また、菅野から2打席連発を放ったのは、これまで16年7月28日、広島田中広の1度のみ。阪神選手が菅野から1試合2発を放ったのは初となった。 2-2の5回1死、菅野の真ん中に入ったスライダーをとらえた。打球は右翼スタンドへ一直線。「前の打席と同じように、コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました。(高橋)遥人も頑張っていますし、同点に追いつかれた直後だったので、早く勝ち越すことができて良かったです」。1-1に追いつかれた直後の3回2死でも、高めに入った150キロ直球を振り切り右翼へ特大のソロ本塁打を放っており、2打席連続で大きな勝ち越しの1発となった。 近本は初回にも先制につながる右前打を放っており、これで今季8度目の猛打賞となった。

◆阪神高橋遥人投手(24)が6回途中で無念の降板となった。 初回を3者凡退でスタートすると、中盤までボールを低めに集め、粘りの投球。5回までに奪った6個の三振は全て見逃しと、巨人打線は直球に手が出なかった。 しかし3-2の6回、先頭の松原に右翼へ二塁打を許すと、亀井、岡本と3連打を浴び同点。さらに丸に右前打を浴び、無死満塁としたところでマウンドを降りた。開幕11連勝を狙う菅野と互角に投げ合ってきたが、先にマウンドを降りる形となった。 続いてマウンドに上がった岩貞は、無死満塁から中島を空振り三振に仕留めたが、続く大城に右翼へ2点適時打を浴び、勝ち越しを許した。

◆巨人菅野智之投手(30)が開幕11連勝を飾り、チームに原政権下では最速となる残り48試合でのマジック38が点灯した。 6回を7安打3失点。意地を見せる阪神に先制を許し、近本には3、5回に2打席連続ソロを許したが、大崩れはせず。エースの力投を打線も丸、岡本の適時打など11安打で6点を挙げて援護した。 菅野は38年春のスタルヒンに並ぶ球団記録となる開幕投手からの11連勝。勝利への執念をみせた。   ▽原監督(M点灯に)「いやいや。志半ば。戦い半ば。僕は全く意識していません」 ▽巨人菅野(球団記録に並ぶ11連勝)「うれしいです。(要因は)まずは体調管理じゃないですかね。今日はあまり体調が良くなかったのですが、感謝したいです。今日勝てばマジックが点灯すると頭に入っていたので、絶対に勝ちたいと思って投げました。(バッテリーを組んだ大城に)リードはあんまりだったんですけど、バッティングで取り返してくれたと思います」

◆阪神が巨人に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。巨人に優勝マジック38が点灯し、菅野に開幕11連勝を許す、ダブルで悔しい敗戦となった。 初回、巨人先発の菅野から1番近本が右前打を放つと、2番梅野が犠打で好機を広げ、3番糸原の中前適時打で幸先良く先制。その後2度同点に追いつかれるも、近本の2打席連続本塁打で勝ち越していた。 しかし3-2の6回、それまで粘りの投球を続けていた阪神高橋が3連打を浴びて同点とされ、無死満塁の場面で降板。続いてマウンドに上がった岩貞が、1死満塁から大城に右翼へ2点適時打を許し、この回に逆転を許した。 矢野監督は「第1戦をどうやってとるか、全員で戦っていくしかない」と意気込んでいたが、首位巨人にあと1歩及ばなかった。

◆巨人菅野智之投手(30)が開幕11連勝を飾り、チームに原政権下では最速となる残り48試合でのマジック38が点灯した。 6回を7安打3失点。意地を見せる阪神に先制を許し、近本には3、5回に2打席連続ソロを許したが、大崩れはせず。 エースの力投を打線も丸、岡本の適時打など11安打で6点を挙げて援護した。 菅野は38年春のスタルヒンに並ぶ球団記録となる開幕投手からの11連勝。勝利への執念をみせた。 ▽原監督(M点灯に)「いやいや。志半ば。戦い半ば。僕は全く意識していません」

◆巨人菅野智之投手(30)が開幕11連勝を飾り、チームに原政権下では最速となる残り48試合でのマジック38が点灯した。 6回を7安打3失点。意地を見せる阪神に先制を許し、近本には3、5回に2打席連続ソロを許したが、大崩れはせず。 エースの力投を打線も丸、岡本の適時打など11安打で6点を挙げて援護した。 菅野は38年春のスタルヒンに並ぶ球団記録となる開幕投手からの11連勝。勝利への執念をみせた。 ▽巨人菅野(球団記録に並ぶ11連勝)「うれしいです。(要因は)まずは体調管理じゃないですかね。今日はあまり体調が良くなかったのですが、感謝したいです。今日勝てばマジックが点灯すると頭に入っていたので、絶対に勝ちたいと思って投げました。(バッテリーを組んだ大城に)リードはあんまりだったんですけど、バッティングで取り返してくれたと思います」 ▽巨人原監督(菅野の11連勝に)「今日が一番不安定だったところもあると思いますが、みんなの力でつなげられたのはいいこと。粘りは見事ですね。4点目をあげなかった。4点をあげると、どうしても攻撃に転ずるケースが出てくる」

◆阪神は1回に糸原の適時打で先制。2回に巨人吉川尚の適時打で追い付かれたが、3回は近本の4号ソロで勝ち越した。 阪神は同点の5回に近本の2打席連続の5号ソロで勝ち越し。巨人は6回に岡本の適時打、大城の2点適時打で逆転した。 巨人は8回に大城の適時打で1点を追加。7回から高梨、大竹、デラロサとつなぎ8連勝。菅野が開幕11連勝、デラロサは13セーブ目。阪神は4連勝でストップした。高橋が3敗目。

◆巨人が8連勝を飾り、優勝マジック38が点灯した。 1回に先制を許すなど、3度リードを許したが追い付き、逆転した。 原辰徳監督は「3人で攻撃が終わるか、ランナーが出たら、1点、1点。集中した6回ですが、亀井が無死二塁からつなげたのが大きいですね。その後は見事な打撃だったと思います」と評価した。 7番大城、8番吉川尚がともに適時打を放つなど下位打線が好調をキープする。指揮官は「打率も上がってきてますしね、貴重なところで打点。相手チームも嫌なバッターになってきていると思いますね」 エース菅野智之投手には開幕11連勝となる白星がついた。「投球そのものも非常にいいんでしょうけど、周りで守って、点数を取るという点でも、彼の1人だけの力ではないと思う。非常にいいコンディションの中で、今日が一番ちょっと不安定だったところもあると思いますが、みんなの力でつなげられたのはいいことだと思いますね」。 マジック点灯については、「志半ば、戦い半ばです」と引き締めた。

◆セ・リーグ首位の巨人が、2位の阪神と対戦。 巨人は1点を追う6回に岡本の適時打と大城の2点適時打で3点を奪い、勝ち越し。8回にも大城が適時打を放ち追加点。継投で逃げ切り勝利した。菅野は6回3失点で開幕から11連勝。阪神は近本の2打席連続弾など3度勝ち越すも、守り切れず敗れた。 巨人に優勝マジック38が点灯。阪神は自力優勝の可能性が消滅した。

◆阪神高橋遥人投手(24)でも、巨人を止められなかった。力投を続けたが、6回途中9安打で今季ワーストの5失点。「野手の方々に先制してもらい、追いつかれてしまった後にもすぐに取り返してもらったにもかかわらず、粘ることができず逆転されてしまい、チームに申し訳ないです」。降板後はベンチの最前列で、味方の逆転を待つように懸命に見守った。思いは届かなかった。 巨人のエース菅野と今季2度目の投げ合い。中盤まで互角に渡り合った。初回、1番坂本に148キロ直球で内角を攻め、見逃し三振。奪った6三振はすべて直球の見逃しと、巨人打線に手を出させなかった。2度同点に追いつかれながらも、ボールを低めに集めて粘りの投球を続けた。しかし3-2の6回、先頭の松原に右翼へ二塁打を許すと、3連打で同点に。さらに丸に右前打を浴び、無死満塁となったところで無念の降板。続いてマウンドに上がった岩貞が1死満塁から2点適時打を浴び、3敗目を喫した。 ここまで巨人戦3試合で防御率0・90と抑え込んできたが、ついに強力打線につかまった。前回菅野と投げ合った8月18日(東京ドーム)では7回2安打1失点と好投するも、3安打完封した菅野に敗戦。この日も、相手エースにあと1歩及ばず。矢野監督は「悪いわけじゃないんだけど。こういう試合で勝ちきる投手になっていってもらいたいなという感じかな」と話した。11連勝の強さを見せつけられた悔しさは、これからの糧にする。【磯綾乃】

◆阪神が背水の陣となった巨人3連戦の初戦を落とし、今季73試合目で自力優勝の可能性が消滅した。序盤から先手を取る展開も中盤以降に投手陣が踏ん張れなかった。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -菅野から効果的に得点 矢野監督 全体としては積極的にいきながら崩す1歩手前まではいけたかなと思います。課題としてはもう1点、もう2点取れなかったというね。 -近本が積極的にいい攻撃 矢野監督 もちろん素晴らしいね。文句ない打撃でした。 -先発の高橋が6回を投げ切ってほしかった 矢野監督 もちろんね。全部タラ、レバなっちゃうし、あれなんだけど、先頭打者、松原のところ(右翼線二塁打)を簡単に入りすぎた部分はあるけど、バッテリーで何とか。ジャイアンツ戦も何回も対戦が増えてきているんで、工夫してやろうとしているところは見えたし。まあ悪いわけじゃないんだけど。こういう試合で勝ちきる投手になっていってもらいたいなという感じかな。 -6回無死満塁で限界だったか 矢野監督 限界というか、あのままいっても流れが変わらないと思ったんで、代えただけやけど。 -7回のバスターエンドランは 矢野監督 勝負にいった結果なんでね。責任というか、それは俺自身が受け止めているし。俺としてはいくべきところでいったというところです。 -作戦で悩まれた部分は 矢野監督 いや、悩んでないよ。 -東京ドームで勝てない現状がある中で明日、明後日もある 矢野監督 それはね。いろいろ、受け止めていかないといけない部分があるし。今日もやっぱり球際であったり、ここで1発決めるとか、そこの差が出たゲームだったかな。現状、俺らも成長していかなあかんし、そういう部分がジャイアンツに上回られてしまったかなというところはあるんで。球際とか、ここ抑えたらというところの勝負どころって、試合の中で何回もあると思うんだけど、そこでピッチャーも粘れるか、打者も決められるか、つなげられるかというところになるんだけど、そこの部分は俺らの成長がもっともっと必要かなと思います。 -巨人に優勝マジックが点灯 矢野監督 それは俺らに関係ないよね。俺らのやるべきことは優勝マジックが出たからといって、何も変わることはない。それはジャイアンツに出たというだけであって、可能性はゼロじゃない。何も変わらないし、この1敗で下向いて野球やるわけじゃない。明日また成長して、前向いて野球やれる試合にすればいい。相手のことは関係なく、自分たちが成長できること、勝つことを考えてやっていきます。

◆阪神糸原健斗内野手が先制打を放ち、チームにとって東京ドーム36イニングぶりの得点を奪った。 初回1死二塁で先発菅野の147キロツーシームを中前に運んだ。「そんなにチャンスは多くないと思うので、絶対にこのチャンスをものにしたいと思っていました」。前回の敵地巨人3連戦は屈辱の3試合連続完封負け。同カードは負傷で出場していなかった主将が意地を見せた。

◆巨人坂本勇人内野手(31)、岡本和真内野手(24)がともにコンディション不良のため、15日の阪神14回戦(東京ドーム)で途中交代した。 坂本は第3打席で三振に倒れた直後の6回の守備から交代し、岡本は中前に同点適時打を放った後に、7回の守備からベンチに下がった。原辰徳監督(62)は「(坂本は)今日のバッティングを見る限り、他の選手を出した方が戦力になるだろうというところです。(岡本)和真もそういう感じです。今年は、早め早めというのは今始まったことではない。大事には至らないと僕の中では思ってます」と説明した。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手&ジェリー・サンズ外野手の新助っ人コンビが東京ドーム初安打を放つも、好機で1本が出なかった。 ボーアが26打席目、サンズが14打席目でようやく敵地初安打を放ったが、いずれも走者なしの場面。先発菅野に対し、ボーアは4回1死一、三塁で遊飛、サンズは5回2死二塁で空振り三振。勝負どころの得点圏で、頼みの助っ人が封じられた。

◆阪神矢野燿大監督(51)が7回の勝負手を振り返った。 6回に逆転を許して迎えた7回の攻撃。先頭小幡のヒットと近本の四球で無死一、二塁のチャンスを作った。続く梅野の打席で1ボールからの2球目にバスターエンドランを敢行。だが、巨人高梨の内角スライダーに空振りを喫し、二塁走者の小幡は三塁タッチアウト。チャンスがつぶれた。矢野監督は「勝負にいった結果なんでね。責任というか、それは俺自身が受け止めているし。俺としては、いくべきところでいったというところです」と冷静に話した。 連勝が4でストップし、首位巨人に今季最大となる10・5ゲーム差をつけられた。自力優勝の可能性が消滅し、巨人には優勝マジック38が点灯した。矢野監督は「俺らのやるべきことは優勝マジック出たからといって、何も変わることはない。ジャイアンツに出たというだけであって、可能性はゼロじゃない。何も変わらないし、この1敗で下向いて野球やるわけじゃない」と前を向いた。

◆巨人が8連勝を飾り、優勝マジック38が点灯した。 1回に先制を許すなど、3度リードを許したが追い付き、逆転した。残り48試合でのマジック点灯は、原監督にとって就任14年目で最速になった。「志半ば、戦い半ばです」と言い「マジックというのは5ぐらい出るとちょっと意識するぐらい。まさにマジックですから」と引き締めた。

◆阪神が背水の陣となった巨人3連戦の初戦を落とし、今季73試合目で自力優勝の可能性が消滅した。序盤から先手を取る展開も中盤以降に投手陣が踏ん張れなかった。起死回生を狙った矢野燿大監督(51)の采配も不発に終わり、東京ドームでは開幕7連敗。巨人のマジック点灯を許し、15年ぶりのリーグ制覇は遠のいた。虎が東京ドームで1つも勝てないまま、巨人の優勝マジック「38」点灯を許した。3度のリードも逆転負け。矢野監督は宿敵のM点灯を受け止めつつ、前を向いた。 「俺らのやるべきことは、優勝マジックが出たからといって、何も変わることはない。可能性はゼロじゃない。この1敗で下向いて野球やるわけじゃない。明日また成長して、前向いて。相手のことは関係なく、自分たちが成長できること、勝つことを考えてやっていきます」 勝負手は実らなかった。逆転された直後の7回表。無死一、二塁と2番手高梨を攻めた。2番梅野は初球、バントの構えから1ボールを選んだ。2球目。バスターエンドランを仕掛けた。だが、投じられた球は梅野の足元に食い込むボール球の変化球。空振りで二走小幡が三塁タッチアウト。その後も得点できず。矢野監督は「勝負にいった結果なんでね。責任というか、それは俺自身が受け止めているし。俺としてはいくべきところでいったというところです」と振り返った。 先発に高橋をたて、近本が菅野打ちの2発。6回のピンチでは、奮闘する岩貞も投入した。それでも対菅野に4戦全敗となる敗戦で、東京ドームは7戦全敗。6月19日の開幕戦から同球場で3連敗。前回8月の敵地3連戦では3試合連続完封負け。悔しい思いを喫し続けてきた地で、この日も無念の黒星となり、指揮官は言った。 「いろいろ受け止めていかないといけない部分があるし。今日も球際であったり、ここで決めるとか、そこの差が出たゲームだったかな。現状、俺らも成長していかなあかんし、そういう部分がジャイアンツに上回られてしまったかなというところはある。球際とか、ここ抑えたらという勝負どころって、投手も粘れるか、打者も決められるか、つなげられるかというところになる。成長がもっともっと必要かなと思います」 攻撃陣のたたみかける力、投手陣の踏ん張り、守備力。1つ1つは小差でも積み重ねは大きな差になる。10・5ゲーム差となり、今カードで自力優勝の可能性が復活することもない。だが、決して、戦いは終わりを迎えたわけではない。それを示すためにも、まずは東京ドームでの今季初勝利を刻みたい。【松井周治】

◆阪神救援陣も巨人打線を止めることはできなかった。2番手岩貞祐太投手は同点の6回無死満塁で登板。1死から7番大城に2点適時打を許した。 3番手馬場皐輔投手は7回から登板。イニングをまたいだ8回、再び大城にダメ押し適時打を浴びた。守りから反撃の流れを作ることができなかった。

◆難攻不落の絶対的エースを相手に、鬼門でどう戦うか。拳1つ分の空白に、この一戦に懸ける執念がにじみ出ていた。阪神近本光司外野手(25)は普段より短く持ったバットを最短距離で、それでいて強くボールにぶつけた。 「前の打席と同じように、コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました」。再び同点とされた直後の5回表1死。巨人菅野の甘く入ったスライダーを寸分狂わず、とらえた。今度は観客も予感があったのだろう。「カンッ」と乾いた衝突音が響いた瞬間、東京ドーム全体がどよめいた。 打球はライナーのまま右翼席中段で跳ねる。プロ初の2打席連発となる勝ち越しソロだ。菅野相手の2打席連発は11球団を見渡しても16年7月28日の広島田中広以来、4年ぶり2度目。阪神では1試合2発すら初となる大仕事をやってのけた。それでも近本は厳しい表情を崩すことなく、ダイヤモンドを回った。ただただ、勝ちたかった。 今季は東京ドームで全敗。前回戦った8月18日からの3連戦は3戦連続完封負けを喫していた。近本自身、試合前時点で今季東京ドームの成績は25打数2安打、打率0割8分。屈辱まみれの数字を塗り替えるためには変化が必要だった。今季10打数2安打と分が悪かった菅野を相手に、バットを短く持った。 初回は先頭で148キロ直球を右前にはじき返し、3番糸原の中前適時打で先制のホームを踏んだ。同点とされた直後の3回2死には150キロ直球を右翼席上段まで届かせていた。14試合ぶりの4号ソロ、そして5号ソロ。一時は勝ち越し弾となるアーチを2度もかけながら、勝てなかった。現実は厳しい。 試合後、矢野監督から「素晴らしい。文句ない打撃でした」と最大限の称賛を受けた。だが、何よりも欲したモノを手にすることはできなかった。今カードは残り2試合。今度こそ、執念を勝利につなげて笑いたい。【佐井陽介】

◆巨人は「恐怖の7、8番コンビ」の活躍で逆転勝利した。1点先制された直後の2回は8番吉川尚が中前に同点適時打を放ち、同点に追い付いた直後の6回は7番大城が右前に決勝の2点適時打を運んだ。8回のダメ押し適時打を含め、3打点の大城は「上位にいいバッターの先輩たちがいますので、何とか下位が(チャンス)メークすれば得点につながる」と言った。 9月の月間打率は大城が4割1分7厘、3本塁打、吉川尚は4割5分2厘と下位打線が打線に厚みを生んでいる。原監督は「非常に恐怖の7、8番という感じがしますね。2人が束になっていい感じ」と評価。大城が先発マスクをかぶった試合は12連勝中で、指揮官は「インサイドワークを含めて、周りが良く見えるようになった。守りに関しては非常に成長している」と菅野の連勝を支えるリード面への信頼も増している。

◆阪神が背水の陣となった巨人3連戦の初戦を落とし、今季73試合目で自力優勝の可能性が消滅した。序盤から先手を取る展開も中盤以降に投手陣が踏ん張れなかった。起死回生を狙った矢野燿大監督(51)の采配も不発に終わり、東京ドームでは開幕7連敗。巨人のマジック点灯を許し、15年ぶりのリーグ制覇は遠のいた。▼阪神は16日の巨人戦に敗れると、今季このカードの勝ち越しがなくなる。阪神が巨人にシーズン勝ち越しを収めたのは、07年の14勝9敗1分けが最後。12年連続シーズン勝ち越しがなく、12年から8年連続負け越しを継続中だ。

◆平成生まれのエースが、昭和、平成、令和と破られなかった球団史の扉を開いた。巨人菅野智之投手(30)が、6回7安打3失点で開幕戦から11連勝。38年春のスタルヒンの球団記録に82年ぶりに並んだ。自身の登板試合では、初点灯となるマジック「38」を点灯。原政権下では、13年(46試合)を超える最速となる残り48試合で記録した。チームは今季初の8連勝(1分け挟む)で、リーグ2連覇へ一気に加速する。球界を彩る数々のG戦士の中で、たった2人の重みを菅野は心で受け止め、空から見守るスタルヒンへ思いを込めた。 菅野 数々のすばらしい記録を残している方だと知っていますし、まさか自分がそこに並べるとは思ってもなかった。こうやって、スポットライトが当たることに対して、スタルヒンさんも喜んでくれてるのかなと思います。 85年目を迎える伝統ある球団で、38年春のスタルヒンの球団記録に並ぶ開幕投手からの11連勝を成し遂げた。その事実に驚きながら、偉大すぎる先人の功績に敬意を表した。 「今日はあまり体調が良くなかった」と、近本に16年7月28日広島戦の田中広以来、自身2度目となる2打席連続被弾。それでも自らが掲げる"勝利の鉄則"で流れを引き戻した。ひもとくカギは、得点した直前のイニングに隠される。この日奪った三振は5だが、4つはイニングの最後の打者。注目すべきは2回、4回、6回で、その全てで得点を挙げた。 菅野にとって、三振は攻撃へと転じる最大の武器である。「球場やベンチも『うわ~っ』て感じになる。ただ抑えるだけじゃなく、流れを引き寄せるにはそういうのも必要ですし、ピンチの時こそ、三振で終わるというのが大事」。ターニングポイントに挙げた4回2死満塁。「コース重視よりも球威を重視した」と151キロの直球で木浪を空振り三振に抑えた。 大きな変革を遂げ、大記録を成し遂げた。2年目の14年。自らの人生観について「『やれば良かった』と思うことはあっても、『何でやったんだろう』ってことはないです。1度決めたことは突き進めます」と言った。1月、腕から始動する新フォームに挑戦。「変われる勇気」と「変わらない信念」を軸に今なお変化し、究極を追い求める。 自身の登板試合では初点灯となるマジック「38」をともした。残り48試合での点灯は原政権下では史上最速だった。チームは1分けを挟み、今季初の8連勝で2位阪神と10・5差。リーグ2連覇へ独走態勢のチームの中心に、無敵の開幕投手が君臨する。【久保賢吾】

◆巨人菅野智之投手(30)が開幕11連勝を飾り、チームに原政権下では最速となる残り48試合でのマジック38が点灯した。▼菅野が開幕11連勝。開幕から11連勝以上は13年田中(楽天)以来15人、17度目。巨人では38年春に11連勝のスタルヒン、66年に13連勝の堀内に次いで3人目になる。今季の菅野は開幕投手を務め、この日が13試合目で防御率1・64。開幕投手で開幕11連勝以上は04年に12連勝の岩隈(近鉄)以来5人目となり、巨人では1リーグ時代の38年春のスタルヒン、セ・リーグでも82年北別府(広島)に並ぶタイ記録だ。登板13試合以下で開幕11連勝したのは6人目だが、菅野のように13試合以下、防御率2点未満で達成は1リーグ時代の47年御園生(阪神)48年中谷(南海)と菅野の3人だけと、文句のつけようがない開幕11連勝となった。

◆阪神近本光司外野手の1試合2本塁打はプロ初。阪神打者の2打席連続本塁打は、8月27日中日戦サンズ、9月8日DeNA戦大山に続き今季3度目。 ▼阪神打線が菅野に1試合複数の本塁打を見舞ったのは、18年3月30日2本(福留、大山)19年5月15日4本(糸井、福留、木浪、大山)に続き3度目。ほかに15年10月11日のCSファーストステージ第2戦で2本(ゴメス、マートン)がある。リーグ戦とCSを通じ、菅野から1試合2本塁打を記録した阪神打者は近本が初だ。 ▼菅野から2打席連発となると、16年7月28日に広島の田中広輔が記録したのに続き近本が2人目で、阪神では初。

◆巨人丸佳浩外野手(31)が「4番中堅」でスタメンに名を連ね、第90代4番となった。 開幕から全試合で4番に入っていた岡本和真内野手(24)は、15日の同戦で7回の守備から軽い腰痛で交代。試合前練習ではフリー打撃などを行っていなかった。 丸は15日の阪神戦で3安打を放つなど、9月は打率3割3分3厘と調子を上げていた。 15日に軽い体調不良で6回の守備から交代した坂本勇人内野手(31)もスタメンから外れた。

◆負ければ自力優勝が消滅する阪神が早々に先制した。一回先頭の近本が右前打を放つと、4試合連続2番で先発した捕手・梅野の投犠打で1死二塁。ここで糸原が初球を中前に運んだ。開幕から無敗で11連勝を目指す巨人・菅野からわずか10球、5分で先制点を奪取した。  前回8月18-20日の東京ドームでは3試合連続完封負け。ここで得点するのは開幕カード3戦目の6月21日、一回に近本が先頭打者ホームランを放って以来36イニングぶりとなった。

◆阪神は1-1の三回2死、近本が4号ソロを放って勝ち越した。菅野の高めの150キロを右翼席上段へ。巨人のエースからの自身初本塁打となった。  「2死からでも塁に出てチャンスを作るために、コンパクトに強くスイングする意識で打席に入りました。甘い球を仕留めることができましたし、結果的に最高の形になって良かったです」  今季は過去の巨人戦で打率・115、対菅野も10打数2安打と苦戦していたが、一回先頭の第1打席も右前打で先制点の起点になった。

◆阪神・近本が巨人のエース・菅野から2打席連続で本塁打を放った。1-1の三回2死、150キロの直球を右翼席上段に運んで勝ち越しの4号ソロ。再び同点で迎えた2-2の五回1死は、スライダーを右翼席に運んだ。  「前の打席と同じように、コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました。遥人(先発の高橋)も頑張っていますし、同点に追いつかれた直後だったので早く勝ち越すことができて良かったです」  5号ソロで自身初の1試合2発。菅野は今季初めて1試合複数本塁打を許した。

◆巨人が競り合いを制して8連勝。先発の菅野は6回7安打3失点で開幕11連勝となり、開幕投手としては1938年春にスタルヒンがマークした球団記録に並んだ。また阪神の自力優勝の可能性がなくなり、巨人に優勝へのマジックナンバー「38」が点灯した。  試合は序盤から点の取り合いに。阪神が一回1死二塁から糸原の中前打で先制するが、巨人は二回2死一、二塁で吉川尚が中前打を放ち同点。阪神は直後の三回に近本の4号ソロで勝ち越すものの、巨人も四回に丸の中前打で追いついた。  阪神は五回、近本のこの試合2本目となる5号ソロでみたびリードを奪う。巨人は六回、先頭の松原、続く亀井の連打で無死一、三塁とすると、岡本の中前打でまたも追いつく。その後一死満塁とすると、大城の右前2点打で勝ち越した。  巨人は八回にも1点を奪いリードを広げると、最後はデラロサが締めた。

◆阪神は巨人に3-6で敗れて、自力優勝の可能性が消滅した。  先発した高橋は3-2の六回。無死一、三塁から岡本に同点適時打を浴びると、続く丸に右前打を許して無死満塁。ここで岩貞にスイッチしたが、1死後、大城に2点適時打を浴びて、この回3失点。高橋は六回途中9安打5失点だった。  打線は10連勝中の菅野に対して、糸原の適時打、近本の2打席連続のソロで3点を奪ったが、及ばなかった。  チームは今季、東京ドームで6月19日からの開幕カードで3連敗を喫すると、8月18-21日は3戦連続完封負け。勝ちがなく、これで7連敗となった。

◆巨人が競り合いを制して8連勝。先発の菅野は6回7安打3失点で開幕11連勝となり、開幕投手としては1938年春にスタルヒンがマークした球団記録に並んだ。また阪神の自力優勝の可能性がなくなり、巨人に優勝へのマジックナンバー「38」が点灯した。  以下、菅野の一問一答  --スタルヒンの記録に並んだ  「うれしいです」  --連勝の要因は  「まずは体調管理じゃないですかね。今日はあまり体調良くないですけど。チームに感謝したいです」  --M38が点灯  「きょう勝てばマジックが点灯するというのは頭に入っていたので、絶対に勝ちたいっていう一心で投げました」  --マスクをかぶった大城が活躍  「リードはあんまりだったですけど(場内笑う)、バッティングで取り返してくれたと思います」

◆阪神は巨人に敗れて、自力優勝の可能性が消滅。巨人にマジック38が点灯した。矢野燿大監督(51)のコメントは以下の通り。  --菅野から効果的に点を奪った  「全体的には積極的にいって、崩す一歩手前まではいけたかなというところもあるし、課題としてはもう1点、2点取れなかったという」  --近本が2本塁打  「もちろん、すばらしい。文句ないバッティングでした」  --六回途中、高橋を降板させた。限界だった  「限界っていうか、あのままいっても流れが変わらないと思って代えただけやけど」  --七回はバスターエンドランで勝負した  「まあ、勝負にいった結果なんで。その責任は俺自身が受け止めているし、まあ、俺としては、いくべきところでいったというところです」  --悩んだか  「いや、悩んでないよ」  --巨人に優勝マジックが点灯した  「それは俺らに関係ないよね。俺らのやるべきことは、優勝マジックが出たからといって何も変わることはない。この1敗で下を向いて野球やるわけじゃない。明日また成長して、前向いて野球やれる試合にすればいい」

◆巨人が逆転勝ちで今季初の8連勝を飾った。2-3の六回に岡本の適時打と大城の2点右前打で3点を奪い、八回にも大城の適時打で1点を加えた。  菅野は6回を7安打3失点と粘り、開幕戦から11連勝となり、開幕投手としては1938年春にスタルヒンがマークした球団記録に並んだ。  米大リーグや巨人で投手として活躍した上原浩治氏(45)はこの日、自身のツイッターで「巨人、菅野選手 開幕11連勝...比べる相手がスタルヒン!? 正直、凄すぎて分からないや」と戸惑いながらも、「ずっと張り詰めてる『糸』が切れないように、ゆっくり休んで、また次回も頑張って下さい」とエールを送っていた。

◆巨人の大城が2安打3打点でチームの8連勝に貢献した。捕手としても菅野を開幕11連勝に導き「いつも野手陣が助けられている。今日は助けたかったので良かった」と笑顔を見せた。  3-3の六回1死満塁では勝ち越しの2点適時打。岩貞の変化球を右前へ運び「つなぐ気持ちだった」と満足げに振り返った。5-3の八回にも中前へ適時打を放ち、今季30打点として昨季マークした自己最多に並んだ。

◆阪神の高橋は8月18日に続き、菅野との投げ合いに敗れた。5回0/3を9安打5失点で3敗目を喫し「粘ることができず逆転されてしまい、チームに申し訳ない」とうなだれた。  打線が先手を取っても追い付かれ、3-2の六回に先頭から4連打を浴びて降板。次代のエース候補と期待を寄せる矢野監督は「こういう試合で勝ち切るピッチャーになっていってもらいたい」と成長を促した。

◆巨人の坂本と岡本がともにコンディション不良で途中交代した。坂本は六回の守備から、岡本は七回の守備から退いた。球団によると、ともに大事を取っての交代。

◆高橋は5回0/3を9安打5失点で3敗目。一回に先制点をもらったが、二回に失点。三回に再びリードするも四回に追い付かれ「野手の方々にすぐに(点を)取り返してもらったにも関わらず、粘ることができず逆転されてしまい、チームに申し訳ないです」と猛省した。3-2の六回には、岡本の同点打を含む4連打を浴びて降板。粘りきれなかった。

◆競れば競るほど、差を見せられた。巨人のマジック点灯を許した矢野監督は現実を受け止めた。  「やるべきことは、優勝マジックが出たからといって何も変わることはない。可能性はゼロじゃない。相手のことは関係なく、自分たちが成長できること、勝つことを考えてやっていきます」  直接対決10試合を含む47試合を残し、自力優勝の可能性が消えた。菅野と今季4度目の対戦で初めて3得点。3度リードを奪いながら、六回に逆転を許した。2点を追う七回は、無死一、二塁で勝負手に選んだバスターエンドランも失敗。4度の得点圏で、すべて得点した相手の勝負強さを思い知らされた。  「球際だったり、ここで一発決めるとか。そこの差。そこの部分は俺らの成長がもっともっと必要」  今季最大10・5ゲーム差。奇跡を起こすには、常識を超える進化が求められる。

◆巨人は15日、阪神14回戦(東京ドーム)に6-3で勝ち、優勝へのマジックナンバーを「38」で点灯させた。  優勝へのマジックナンバーを点灯させた巨人・原監督は「全く意識しない。志半ば、戦い半ば」と気を緩めず。現日程での最短優勝決定日は10月8日だが「まだ、意識しない。『5』で意識するぐらい。まさに"マジック"ですから」と泰然自若としていた。開幕11連勝を達成した菅野については「今日が一番不安定だったが、粘りは見事。みんなの力でつなげられたのはいいこと」と賛辞を贈った。

◆七回無死一、二塁で痛恨のバスターエンドラン失敗。打者は梅野で、1ボールから2球目に仕掛けた。内角のボール球を空振り。二走・小幡が盗塁死に終わった。梅野は二ゴロ、糸原が遊ゴロで無得点。矢野監督は「勝負にいった結果。責任は俺自身が受け止めている。俺としては、いくべきところでいった。(選択は)悩んでない」と振り返った。投手の高梨が前の打者の近本に対し、ストライクを取るのに苦労していたところでの奇襲だった。

◆女房役が雄たけびを上げた。六回だ。同点に追いつき、なおも1死満塁。巨人・大城卓三捕手(27)が決勝の右前2点打を放った。  「いつも(菅野に)野手陣が助けられている。今日は助けたかった」  一塁塁上でベンチの菅野へガッツポーズすると、東海大相模高、東海大の先輩もそれに応じて腕を突き上げた。八回にも中前適時打を放って、2安打3打点。バッテリーでお立ち台に呼ばれた。  規定打席には到達していないが、打率・317に上昇。打てる捕手として開花し始めている。原監督は絶好調の7番・大城、8番・吉川尚を「恐怖の7、8番なのかな。2人が束になっていい感じ」とたたえた。  さらに指揮官は守備面も絶賛。3年目捕手が先発マスクをかぶった試合は12連勝中で「インサイドワークも含めて、周りがよく見えるようになった」と合格点を与えた。(伊藤昇)

◆振り抜いた打球は右翼席へと一直線。えっ、またいくの?  負けられない一戦で、近本が意地の2打席連続本塁打。好投手・菅野に渋い表情をさせてみせた。  「塁に出てチャンスを作るために、コンパクトに強くスイングする意識で打席に入りました。甘い球を仕留めることができましたし、結果的に最高の形になってよかったです」  一回先頭で右前打を放ち、先制点を演出。そして1-1に追い付かれた三回2死だ。菅野の150キロ直球をフルスイング。クリーンアップの強打者が放ったような豪快な弾道で、右翼席上段まで運んだ。さらに2-2と再び追い付かれた直後の五回1死。今度はスライダーを一閃し、ライナーで右翼席中段へぶち込んだ。  「前の打席と同じように、コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入りました。同点に追いつかれた直後だったので、早く勝ち越すことができてよかったです」  菅野から1試合で2打席連続で本塁打を放ったのは、2016年7月28日の広島戦(京セラ)での田中以来2人目。この日、開幕から11連勝を決めた巨人の絶対的エースに、確かな爪痕を残した。  巨人戦の打率は、この日を含めても・161。それでも、自力優勝消滅がかかった試合で集中力はいつも以上に高まった。12日の広島戦(甲子園)以来、今季8度目の猛打賞。この日まで東京ドームでは35イニングで「0」が続いていたが、それも打ち破った。大暴れのリードオフマンの話題になると、矢野監督は「すばらしい。文句ないバッティングでした」と手放しでたたえた。  試合には敗れ、自力Vの可能性は消滅。巨人に優勝マジック「38」が点灯した。だが、まだ優勝が決まったわけではない。シーズンもまだ終わっていない。可能性がある限り、近本は勝利のためにバットを振る。(菊地峻太朗)

◆巨人は15日、阪神14回戦(東京ドーム)に6-3で勝ち、優勝へのマジックナンバーを「38」で点灯させた。エースの菅野智之投手(30)が、6回7安打3失点で開幕から無傷の11連勝を達成。開幕投手としては1938年春にスタルヒンがマークした球団記録に並び、82年の北別府学(広島)のセ・リーグ記録にも並んだ。72試合目でのマジック点灯は2リーグ制以降の球団最速。1分けを挟む今季初の8連勝で、リーグ2連覇へ前進した。  エースのプライドを白球に乗せ、菅野がマウンドに仁王立ちした。3度のリードを許す苦しい展開をしのぎ、大きな1勝をその手につかんだ。  「チームに感謝したい。1点を与えても、次の1点を与えないようにと心掛けていました」  72試合目でのマジック点灯は2リーグ制以降では球団史上最速。意外にも菅野自身、過去に登板試合での点灯がなく、勝てばマジックが点灯する一戦へ「絶対に勝ちたい一心でマウンドに立ちました」と強い思いを抱いていた。  一回に先制を許し、三回と五回には近本に2打席連続でソロを浴びた。1試合で同じ打者に2本塁打を許すのは4年ぶり。三者凡退は二回の1度だけと、決して本調子ではなかった。  それでも、1-2の四回2死満塁のピンチで、木浪をこの日最速となる151キロの外角直球で空振り三振に仕留めるなど踏ん張った。「自分が出せるマックスの球を投げようと。あそこはターニングポイントでした」。六回に大城の2点打でチームが勝ち越すと、ベンチ前で何度もガッツポーズ。その姿が、勝利への意志を表していた。  偉大な記録に到達した。開幕戦からの11連勝は、38年春のスタルヒン以来となる球団タイ記録。球界初の300勝投手の偉業に一つ、肩を並べ「まさか、自分がそこに並べるとは。スタルヒンさんも喜んでくれているのかなと思います」と感慨に浸った。  そんな今は亡き伝説の名投手の「喜び」を代弁したのは、美容業界で活躍するスタルヒン氏の長女、ナターシャさんだ。「亡くなって長い年月がたち、いまなお父・スタルヒンの名が出てくるのは娘として、とてもうれしいことです。菅野投手が父の記録と並び、破ることで、ますますプロ野球を盛り上げ、多くの人々に夢と希望を与え続けてくれることを心から願っています」と本紙に祝福のメッセージを寄せた。  チームは2年ぶりの8連勝。負けないエースを旗印に、原巨人が2連覇へ猛進する。(箭内桃子)

◆阪神の自力V消滅に際し、トラ番の大石豊佳キャップが緊急寄稿。巨人の独走を許した原因を、糸井や福留らベテラン勢が不振だったことに求めつつ、その代わりに若虎が台頭してきていることに注目した。巨人に優勝マジック「38」が点灯したとはいえ、残りまだ47試合。若手への世代交代を進めつつ、戦うことを提言した。  こんなにも早く、自力V消滅という憂き目を味わうことになった。しかし、成績はまだ貯金3の2位。誤算もあったが、少しずつ明るい兆しに転換させられている証拠だと思いたい。  今季の最大の誤算はベテラン陣の不振だった。糸井は打率・238の本塁打「1」。福留も打率・158。開幕から守護神を任せた藤川はコンディションが整わず、今季限りで引退を決断することになった。能見も22試合で防御率5・74で、使いどころを定めきれないまま2軍行き。新外国人5人の獲得を要請したことは大当たりとなっただけに、矢野監督にとってベテランのここまでの不振は痛恨だった。  しかし、その痛みを、少しずつ新しい力に変えつつある。高卒2年目の小幡を抜てきし、2018年ドラフト1位の馬場を救援として起用。この日、先発した高橋はエース級の働きを見せつつあり、矢野虎1期生の近本は不動の主力に育った。自力V消滅の危機で挑んだこの巨人戦で、意地を見せたのは彼らだった。  残り47試合、この流れを加速させることが必要不可欠だ。自力優勝が復活する可能性もあり、ここからの戦いも高いレベルでの緊張感の下、貴重な経験を積む場になる。選手会長の梅野、主将の糸原は結果を残して求心力を高めており、頼りになる外国人もいる。若手がのびのび戦える土台は整いつつある。  阪神は昨年、鳥谷が退団し、今季限りで藤川も退く。18年に杉内、西村、山口が引退し、昨年は阿部が引退した巨人と似た流れを感じる。現時点で両球団に差があるのは、次々に台頭した若手の勢い。矢野監督は若虎がベテランに取って代わるチャンスを、与え続けてほしい。(阪神キャップ)

◆2020年は新型コロナウイルスで日本中が沈み込んでいる中、せめてテレビの向こうのプロ野球ファンを熱くするのが、日本で一番愛されているプロスポーツの役目じゃねーのか!?  それが巨人は48試合も残しての史上最速のマジック『38』点灯って...。阪神はコロナ自粛中なにしとったんや?  菅野に開幕11連勝のスタルヒンに並ぶ記録は作らせるわ、対戦成績は3勝11敗と全く相手にもならないで...。  そして、俺個人が最大の『屈辱』と感じているのは巨人のスタメンは純和製じゃねーか!! あー! 俺が小学1年の時に阪神ファンになってから、中学3年までの巨人V9時代。ONをはじめ柴田、高田・土井・広岡(黒江)、国松(末次)、森、もちろんピッチャーも日本人のトラウマになんで、半世紀もたって、苦しめられなきゃいけないんだ。  それにしても、巨人は正直強い!! その強さは平均の強さなのだ!! 阪神は5番・大山以降、ここ一番に実に弱い...。『井の中の虎』は、もうやめよーぜ!!

◆阪神は巨人に3-6で敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。阪神OBの本紙専属評論家、田尾安志氏(66)は競り合いながらも最終的にきっちり勝ちきる巨人と比べて、阪神は「勝負どころに弱い」と指摘。選手に意識面での変革を求めた。矢野燿大監督(51)は「やるべきことは何も変わらない」と必死に前を向いた。  7戦全敗となった今季の東京ドームのゲームでは、一番勝てそうなゲームだった。菅野の状態も良くなかった。追い詰めるには追い詰めたが、結局は「ジャイアンツは球際に強く、勝負どころに強い。逆にタイガースは球際に弱く、勝負どころにも弱い」という差だけが際立ったように思う。  この日象徴的だったのは、1点リードの四回2死満塁で三振に倒れた木浪だ。カウント2-2から振ったのは、外角高めの完全なボール球。あんな球に手が出るのかというところだった。三振という結果だけを言っているわけではない。甘い球まで見逃して、一度もバットを振らずに追い込まれてしまった。勝負強いバッターであれば、ガンガン振って勝負を決めにいっている。見ていて非常に物足りない。このあたりに勝負弱さを感じる。何か、自分で自分を苦しめているようですらあった。  これまでもずっと見てきて、タイガースの選手からはチャンスのときにすごく弱気な印象を受ける。「初球を打って凡退したらどうしよう」とか、そんなことでも考えているのではないか。そう見える。チャンスに強いバッターは「打てなかったらどうしよう」という発想がまずない。「どうやって目立ってやろうか」「ヒーローになってやろう」というくらいの意識でないと。なかなかああいうプレッシャーの中で、良い結果というのは出ない。  私自身も現役時代、代打を経験してそれを感じた。逆転打が狙える状況であれば、必ず同点打ではなく逆転打を狙った。「次のバッターにつなごう」だなんて思っている間は打てなかった。タイガースの若手に、そういう意識を持って打席に立っているバッターが何人いるのか。悪い結果が出たらどうしよう...という発想が頭にある内に、甘い球を見逃してしまっている。  ジャイアンツはもう、2位とのゲーム差も開いて、極端に言えば相手も気にせずチーム内での競争をしている。プレッシャーもない。どうやって監督にアピールしようとか、若い選手がそういう意識の中でやっている。「よし、打ってアピールしてやろう」と。失敗したらどうしようという意識なんて、今は多分ないんじゃないか。まさにそういうところから来ている。ジャイアンツベンチが特に何かをやったというのはなく、ムチを入れずに馬なりで勝たせてしまっている。  10・5ゲーム差あって、マジックがどうこうといえる立場でもない。それよりも、残りゲームは自分たちの野球をどれだけしっかりとできるか。意志の強さ、球際、勝負どころの強さ。そういうところをどう養っていくかということを、考えていくしかない。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
46224 0.676
(↑0.004)
M38
(-)
48345
(+6)
232
(+3)
93
(-)
44
(+1)
0.259
(↑0.001
3.170
(-)
2
(-)
阪神
36334 0.522
(↓0.007)
10.5
(↓1)
47308
(+3)
296
(+6)
74
(+2)
48
(-)
0.245
(-)
3.560
(↓0.04)
3
(-)
DeNA
36345 0.514
(↑0.007)
11
(-)
45330
(+8)
296
(+3)
75
(+2)
16
(+2)
0.273
(-)
3.770
(↑0.01)
4
(-)
中日
33385 0.465
(↓0.006)
14.5
(↓1)
44253
(+3)
311
(+6)
44
(+3)
19
(-)
0.239
(-)
3.790
(↓0.03)
5
(-)
広島
28378 0.431
(↑0.009)
16.5
(-)
47316
(+6)
348
(+3)
72
(+1)
31
(+1)
0.264
(-)
4.390
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
26416 0.388
(↓0.006)
19.5
(↓1)
47301
(+3)
370
(+8)
66
(+1)
45
(+1)
0.251
(-)
4.610
(-)