阪神(★2対3☆)巨人 =リーグ戦13回戦(2020.09.07)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:メルセデス(3勝4敗0S)
(セーブ:デラロサ(1勝0敗9S))
敗戦投手:髙橋 遥人(2勝2敗0S)

本塁打
【阪神】糸原 健斗(3号・9回裏ソロ)

  DAZN
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◆巨人は3回表、1死満塁から松原の中飛に相手失策が絡んで1点を先制する。2-0となって迎えた5回には、岡本の適時二塁打でリードを広げた。投げては、先発・メルセデスが6回2安打無失点で今季3勝目。敗れた阪神は、打線が終盤に追い上げを見せるも及ばなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が高橋遥人投手(24)、巨人がメルセデス投手(26)。阪神は右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折から復活した糸原が「2番二塁」で47日ぶりにスタメン復帰。7月22日広島戦で負傷離脱したが、同21日までは自己最長を更新する12試合連続安打を記録。打率3割1分7厘の好成績を残していた。巨人先発のメルセデスに対しても今季3打数1安打。頼れるキャプテンが勝利に導く。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--阪神は糸原が2番二塁でスタメンに入った 真弓氏 今のタイガースで、150キロ近いストレートに対応できる選手は限られている。その1人が糸原だ。直球を得意にしている投手は、バチンと芯でとらえられると、「今日は球が走っていないのかな」と思ってしまい、力んでしまう。そこからリズムが狂う。誰か1人がいいヒットを打てば、相手投手が崩れるきっかけになるものだ。85年のタイガースは、オレが真っすぐに強かった。バースは速い球を打てなかったが、半速球は必ずしとめていた。オカ(岡田)は変化球を打つのがうまかったし、カケ(掛布)は両方打てていた。 この試合では糸原が突破口になることを期待したい。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--台風シーズンの甲子園で守備に就く注意点は 真弓氏 常に球場の旗は見ておかないといけない。試合開始の時と風向きが変わる場合がある。この時期は、バッターボックスからバックスクリーンのほうに吹くことが多くなる時もある。 --試合前には雨も降った 真弓氏 外野の芝生は注意が必要だ。ゴロの時は時に。芝がぬれていると、ライナー性の打球はスピンがかかる。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)がライブ評論します。--高橋は安定した投球を見せている。彼の良さは 真弓氏 高めのストレートだろう。角度のある投手ではない。打者には、その分、低いところから、浮き上がっているように見える。それでも、2回に岡本が痛烈な三塁ゴロを打った。アウトになったが、やはり投手は嫌なものだ。こういう打球が阪神にもほしい。

◆阪神が両リーグワーストの50失策目で巨人に先制点を許した。3回1死満塁で巨人松原の浅めの中飛を近本光司外野手(25)が捕球。三塁走者大城はタッチアップからのスタートをやめたが、近本からの本塁への返球がバックネット下のフェンスに直撃するほど大きくズレてしまい、大城が先制のホームを踏んだ。この時、甲子園は風がバックスクリーンから本塁方向に強く吹いていた。 4回には遊撃手木浪が51個目の失策を記録した。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--3回は巨人が連打でチャンスを作った 真弓氏 吉川尚が一、二塁間を破ったが、一塁走者の大城は絶対に三塁までいかなければならなかった。打球の勢いもそうだし、ライトの守備は不慣れな陽川。メルセデスのうまいバントに助けられた。2番松原は2ボールから直球を狙っていた。結果的に浅いフライだったが、しっかりと振り切っていた。狙い球を絞って振り切ることがタイガースの打者はなかなかできない。 近本の本塁悪送球は、解せない。走者が走ろうが走るまいが、ワンバウンドで返せばいい場面だ。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--4回に大城の浅い中飛で三塁走者の岡本が本塁に生還した 真弓氏 近本は肩でも痛いのか。走られるようなフライではない。それにしても、岡本のスタートは早かったように見えた。オレは現役時代、勝負の場面はフライング気味にスタートを切っていた。知らん顔していたが、内心はドキドキでね。1度だけアウトになったことがあるよ。4回で2点差になったが、力の差ではない。内容的には高橋のほうが勝っている。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--5回に巨人は岡本のタイムリーでさらに1点を追加 真弓氏 最初の打席で岡本は直球をとらえ、三塁に痛烈な打球を放った。これが効いている。バッテリーは直球を選択しづらい。2球続けて、変化球を投げたが、岡本は「直球は来ない」と読んでいたのだろう。その前に2番松原に送りバントの指示を与えるべきだと私は思った。1点取れば、阪神ベンチは状況次第で高橋の打席で代打を送らざるを得なくなるからだ。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--阪神打線は5回まで2安打無得点 真弓氏 東京ドームで3戦連続無得点ということがあったが、どれだけ打てなくても打席の立つ位置を変えたり、狙い球の絞り方など工夫をすれば、1点は取れる。例えばボーアは打席で両足の位置が捕手寄りだが、メルセデスのような左投手の内角球は見づらくなる。2回の見逃し三振はストライク判定に意外な表情を見せていただろう。あの内角球の軌道に対し、右足だけでも開き気味にして、構えれば、見やすくなるはずだ。いいフォームで打つことだけが、大事ではない。

◆今季初の中5日で先発した阪神高橋遥人投手(24)が、6回9安打3失点で降板した。 味方のミスもあって序盤から失点を重ねると、5回には4番岡本に左中間へ適時二塁打を浴びて3点目を献上。試合前まで今季巨人戦の防御率0・64と抜群の安定感だったが、悔しいマウンドになった。

◆阪神近本光司外野手(25)が7回の守りからベンチに退いた。6回、9番に代打で出た中谷がそのまま中堅手に入り、近本の打順に2番手投手ガンケルが入った。 この日の近本は3打席で3打数無安打。守っても3回には1死満塁から浅い中飛を捕球したが、本塁へ悪送球し今季チーム50個目となる失策を記録。4回にも1死二、三塁から浅い中飛でタッチアップした走者を刺せなかった。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--メルセデスは6回を2安打無失点で降板 真弓氏 阪神打線は6回で73球しか投げさせていない。6回も8番木浪からあっさりと3者凡退。昔話だが、現役時代、球宴前に岡山で広島戦があった。戦っていると、広島のベテラン連中が早く試合を終わらせたくて仕方がないように見えた。オレは「粘って、長い試合にしてやろう」と思ったよ(笑い)。結果、試合には勝ったんだけどね。でも、戦いとはそういうもの。相手の心理を読みながら、嫌がることをやる。まあ、オレも早く帰りたかったから、心理が分かったんだけど...。巨人は高橋と今季3度目の対戦。狙い球がハッキリしていたな。最初は凡打だったかもしれないが、直球をとらえた。

◆阪神糸原健斗内野手(27)が復活ののろしを上げるヒットを放った。 7回の第3打席、2番手高梨の変化球を右翼前へ運んだ。7月22日広島戦(甲子園)で右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折。2軍で調整を続けて4日1軍復帰した。47日ぶりにスタメン出場で7月21日広島戦(甲子園)以来のヒットを放った。

◆巨人岡本和真内野手(24)が適時二塁打を放った。 2点リードの5回1死一、二塁、阪神高橋の140キロを左中間へ運んだ。「打ったのはフォークですかね。CC(メルセデス)が頑張っているので、なんとか追加点が取りたかった。打てて良かったです」と援護点を喜んだ。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)が7回2死一、三塁から三塁強襲の適時打を放った。 右腕の大竹に対し1ボール1ストライクから甘く入ったスライダーを右翼へ大きなファウルを放つと、巨人は左腕大江を投入してきた。2球ボール球を見極めフルカウントから三塁手のグラブを弾く強烈な適時安打。「2ストライクからの、あのような継投は初めてだったけど、集中を切らすことはなかったよ。良いところに飛んでくれてよかったね」とコメント。右腕から苦手な左腕に打席途中で交代した原采配に対応した。

◆阪神が巨人に敗れ、3位に転落した。首位巨人とのゲーム差は8・5まで広がった。 7回、6番ボーアの適時内野安打、9回には糸原の左越えソロで1点差に迫ったが、あと1歩届かなかった。甲子園に巨人を迎えての4連戦は、雨天中止1試合を挟んで1勝2敗。今季の巨人戦の通算対戦成績は3勝10敗となった。

◆阪神糸原健斗内野手(27)が、9回に1点差に迫る3号ソロを放った。 2点を追う9回、先頭で打席に立ち、代わったばかりの巨人守護神デラロサの初球、真ん中直球を捉え、左翼ポール際へ流し打っての1発だった。 本塁打は7月21日広島戦(甲子園)以来。この日が右手有鉤(ゆうこう)骨骨折から47日ぶりのスタメン復帰。主将が首位巨人相手に、最後まで諦めない姿勢を見せた。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が7日の阪神-巨人13回戦(甲子園)のライブ評論します。首位巨人に対し、7・5ゲーム差の2位阪神が意地を見せられるか。85年の猛虎V戦士の真弓氏が伝統の一戦を解説します。--阪神は痛い連敗となった 真弓氏 CSのあるシーズンは、よほどの差がつかなければ、6位のチームでも3位に食い込むチャンスがあった。今年はCSがない。下位のチームはそのうち、来季のことを考え始める。これだけ首位と差が開けば、自チームの勝利だけで差を縮めるのは難しい。しかし消化試合も増えてくるので、いわゆる「巨人包囲網」というものは期待できない。残り2、30試合でペナントレースの行方は決まってくるだろう。それを考えれば、1つの勝ち負けが与える影響は大きい。この敗戦は痛い、というしかない。

◆巨人は3回に1死満塁で松原が中飛に倒れるも、近本の本塁への悪送球で1点を先制。阪神は3回まで1安打無得点。 巨人は4回に大城の犠飛で1点を追加。5回にも岡本の適時打でリードを広げた。阪神は2回以降得点圏に走者を置けずに無得点。 阪神は7回に1点、9回に糸原のソロで1点を返すが反撃もそこまで。巨人は2連勝。阪神は3位転落。首位巨人とのゲーム差は8・5に開いた。 巨人メルセデスは3勝目、デラロサは9セーブ目。阪神高橋は2敗目。

◆阪神ボーアが原采配に惑わされず、適時打を放った。 3点を追う7回2死一、三塁。右腕の大竹に対し1ボール1ストライクから甘く入ったスライダーを右翼へ大きなファウルを放つと、巨人は左腕大江を投入してきた。異例の交代だったが動じず、2球ボール球を見極めてフルカウントから三塁手のグラブを弾く強烈な適時安打。「2ストライクからの、あのような継投は初めてだったけど、集中を切らすことはなかったよ。良いところに飛んでくれてよかったね」。この打席の前まで対右腕の打率2割6分6厘に対し、対左腕打率は1割8分8厘だったが、苦手の左腕を攻略した。 5回は右寄りに守るボーアシフトの裏をかいた。通常なら三塁ゴロの打球で内野安打。8月26日中日戦以来10試合ぶり、今季11度目のマルチ安打で気を吐いた。

◆阪神が巨人に敗れ、3位に転落した。首位巨人とのゲーム差は8・5まで広がった。 7回、6番ボーアの適時内野安打、9回には糸原の左越えソロで1点差に迫ったが、あと1歩届かなかった。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -あと1歩という試合 うん、まあ。そうですけどね、ちょっとミスが響きましたね。 -高橋の投球は 状態は良くなかったかなというところですけど、ヒット打たれながらね、遥人はしっかり投げてくれたかなと思います。 -合格点 そうですね。1年やったく中で疲れも出てくるのでね。そういうといころでは、はい。 -序盤の失策が絡んだ失点が痛い きょうは近本で負けたかなと思ってます。ただ、僕はいつも『終わったことは変えられない。これからは変えられる』と選手に言っているので。近本自身が成長して、近本自身が残りの試合でどうやってチームを勝たせていくか、そういうことが求められる。また、チームとしても、こういう大事な試合でこのような結果っていうのは監督としても悔しいですし。ここから、確率、可能性っていうのは厳しくなりましたけど、どういう姿を見せていくかっていうのが僕らの課題かなと思います。 -糸原が活躍した もともと勝負強いですしね。1打席目も粘って粘ってしっかりファウル打っていた。どこに入れてもチームに貢献してくれる選手なんで健斗の仕事をしっかりやってくれてると思います。 -8回も岩貞が抑えた あのイニングをどう抑えるかっていうのが今やるべきことなんで。 -あすにつながる 先ほど言った通り一戦一戦やっていくしかない。 -糸原は守備面でもチームにも安心感 まあまあ出れなかった悔しさもあるし、キャプテンという立場も2年目になってよりチームを引っ張ろうとやってくれているし、ほんまは自覚と思いと、そういうものがしっかり繋がっているかなと思います。 -まだ50試合以上ある。巨人戦も残っている だからジャイアンツだけじゃない。俺らは。その中でジャイアンツに勝つというのは、当たり前。直接対決で他に勝つ以上のプラスがあるわけだから。巨人を倒すというのはもちろん大きな目標だし、そこがなければ優勝はないんだけど。でも明日からのDeNA戦があるわけだし、それだけを考えてやることはできない。さっきも言ったけど、一戦必勝しかない。 -7回の原監督の継投はどう見たか それは向こうの作戦なんで、僕は何とも思わないです。

◆阪神が巨人に敗れ、3位に転落した。首位巨人とのゲーム差は8・5まで広がった。 7回、6番ボーアの適時内野安打、9回には糸原の左越えソロで1点差に迫ったが、あと1歩届かなかった。 ▼阪神は最短10日に今季の自力優勝の可能性が消滅する。条件は8日から阪神がDeNA戦に●●●なら巨人が中日戦○○○または○○△、阪神●●△のときは巨人が○○○、など。なおシーズン全143試合だった昨季は、86試合目の7月16日中日戦に敗れ自力優勝が消滅している。

◆3回に中堅から本塁へ悪送球し、巨人に先制を許した阪神近本光司外野手(25)が試合後、「大事な試合で、自分のミスで失点してしまい、本当にやってはいけないミスをしてしまいました。あのプレーでチームが負けてしまったということをしっかり受け止めて、同じことを繰り返さないように、しっかりやっていきます」と反省し、次へ気持ちを切り替えた。 3回1死満塁で、巨人松原の浅めの中飛を近本が捕球。三塁走者大城はタッチアップからスタートを切るふりをしたが、近本からの本塁への返球がバックネット下のフェンスに直撃する悪送球に。その間に、大城が先制のホームを踏んだ。

◆巨人原辰徳監督が、カウント1ボール2ストライクからの「有言実行リレー」を駆使して、接戦に競り勝った。3点リードの7回。2死一、三塁からの3球目。大竹がボーアに特大のファウルを打たれた直後に、左腕の大江にスイッチした。 真ん中高めに入ったスライダーをファウルされ、危険を感じての交代-、ではなかった。「2ストライク、あるいは2ストライク1ボールなら大江を行かせようと。私も勇気はいりましたけど、宮本コーチと言っていた、有言実行をしたところですね」ともくろみ通りの交代劇だった。 伏線もある。左サイドスローの大江は、8月28日の中日戦でも7回2死一、三塁、カウント2-2から登板して1球で三振に打ち取った。ボーアには三塁内野安打を許して2点差に迫られたが、梅野を三振に切って最少失点に抑えた。原監督は「アウトカウント1つは取らないといけないと教育してますから」と言い「別に不思議じゃないでしょ。その風景に当てはまったというところですよ」と端的に采配を振り返った。

◆キャプテンは諦めない! 右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折を乗り越えた阪神糸原健斗内野手(27)が、スタメン復帰即、攻守に大奮闘した。 「2番二塁」で7月22日の広島戦以来、47日ぶりに先発。2点を追う9回先頭で、巨人デラロサの初球151キロ直球を左翼ポール際へ運んだ。「良い形で打つことができた」。今季3号は反撃のソロアーチ。1点差に詰め寄り、同点、サヨナラの夢を抱かせた。 7回の第3打席では、変則左腕高梨の内角スライダーを右前へ。その後ボーアの適時内野安打で1点目のホームを踏んだ。2安打1打点2得点。矢野燿大監督も「どこに(打順を)入れてもチームに貢献してくれる選手。健斗の仕事をしっかりやってくれてると思います」と敗戦の中で輝いた主将をたたえた。 守備でも魅せた。8回1死満塁のピンチで、亀井の内野ゴロを好捕すると迷わずホームへ送球。三走の吉川大を封殺し、4点目を防いだ。2軍でリハビリ中、バットを持てない日々に守備練習だけは毎日怠らずに取り組んできた。打って守って存在感を出し、完全復活を印象づけた。 糸原 けがした時から、リハビリ中もずっと支えていただいたトレーナーの方々や、自分に携わってくれたすべての方々のおかげで、グラウンドに立つことができている。すごく感謝しています。 4日に1軍復帰し、初のフル出場。久々の声援に「待ってくれていたファンの方々にもすごく励まされ、今日の試合の応援も含め本当に感謝しています」。8・5ゲーム差から奇跡の逆転へ。まだ54試合ある。胸に「C」マークを付けた、頼れる男がネバーギブアップでチームを引っ張る。【只松憲】

◆阪神高橋遥人投手の後を受けたリリーフ3人が無失点でつないだ。 7回に登板したジョー・ガンケル投手は先頭のウィーラーに四球を出すも、後続3人をしっかり打ち取った。8回にマウンドに上がった岩貞祐太投手は、連打から1死満塁のピンチを招いたが味方の好守備もあり、7戦連続無失点。最後は岩崎優投手が9回を危なげなく3者凡退に抑えた。巨人打線を抑え味方の反撃を待ったが、あと1歩及ばなかった。

◆巨人岡本和真内野手が、激走&適時二塁打で勝利に貢献した。 4回、大城卓三捕手の浅めの中飛に三塁からスタート。好判断で本塁に滑り込んだ。3回1死満塁では、浅めの中飛で三塁走者の大城はスタートのフリをし、焦った近本の悪送球で生還。似たような局面で、岡本の判断が光った。 5回には適時二塁打を放ち「CC(メルセデス)が頑張っていたので、何とか追加点が取れて良かった」とコメントした。

◆矢野阪神が「勝つしかない」と必勝を期した首位巨人戦で守り負け、今季最大タイの8・5ゲーム差をつけられた。中堅の近本光司外野手(25)が、浅い2度の本塁タッチアップで悪送球と力ない返球で2得点を献上。矢野燿大監督(51)は「近本で負けたかな」と厳しく指摘するしかなかった。高橋を今季初の中5日で立てたが、引退発表した藤川球児投手(40)も願う逆転Vが遠のく3位後退。10日にも自力Vの灯が消える。重い1敗を喫した。終盤の追い上げも、あと1歩届かなかった。首位巨人との崖っぷちの直接対決で敗れた。宿敵と今季最大に並ぶ8・5ゲーム差となった。「ちょっとミスが響きましたね」。矢野監督は敗因を端的に示した。 言葉通り、守備の乱れから主導権を渡した。0-0の3回表。1死満塁で松原の左中間寄り、浅めの飛球をセンター近本が捕球。タッチアップをうかがった三走大城は、数歩出たところでストップした。2死満塁になるはずが...。 中堅近本は本塁へ高い球で送球。これが大悪送球となった。バックネット下のフェンスにワンバウンドで当たる返球。1度止まった大城の先制生還を許した。 2点目失点もミスが絡んだ。4回先頭、岡本の打球を遊撃木浪はさばけず失策。その後、追加点につながった。この2点目献上は浅い中犠飛によるものだったが、3回のミスの影響か、近本の本塁送球は3バウンドと力ないものだった。 チームは7試合連続失策で、両リーグワースト51失策。近本の3回の返球ミスはチーム50個目のエラーだった。指揮官は言った。 矢野監督 きょうは近本で負けたかなと思ってます。ただ、僕はいつも「終わったことは変えられない。これからは変えられる」と選手に言っている。近本自身が成長して、近本自身が残りの試合でどうやってチームを勝たせていくか、そういうことが求められる。また、チームとしても、こういう大事な試合でこのような結果は監督としても悔しい。ここから、確率、可能性は厳しくなりましたけど、どういう姿を見せていくか、というのが僕らの課題かなと思います。 確かにチームはさらに窮地に追い込まれた。前カードまで4カード連続勝ち越していたが、中止1試合を挟んだ今カードは1勝2敗。差を詰めるはずが、逆に広げられた。3位転落。10日にも自力優勝が消滅する可能性がある。だが、すべてが終わっただけではない。巨人戦も15日からの3連戦を含め、残り11試合ある。悔しいミスも、敗戦も、今後の糧にし、結果で示すしかない。7回守備から交代となった近本も言った。 「大事な試合で、自分のミスで失点してしまい、本当にやってはいけないミスをしてしまいました。あのプレーでチームが負けてしまったということをしっかり受け止めて、同じことを繰り返さないように、しっかりやっていきます」 きっと虎は、このままでは終わらない。【松井周治】 ▼阪神は最短10日に今季の自力優勝の可能性が消滅する。条件は8日から阪神がDeNA戦に●●●なら巨人が中日戦○○○または○○△、阪神●●△のときは巨人が○○○、など。なおシーズン全143試合だった昨季は、86試合目の7月16日中日戦に敗れ自力優勝が消滅している。

◆阪神大山悠輔内野手が痛恨の併殺打で最後の打者になった。 9回に糸原のソロで1点差に詰め寄り、なお1死一塁。1発出れば逆転サヨナラの場面で、デラロサの外角150キロ直球が二ゴロ併殺で試合終了。球場の虎党からは大きなため息が漏れた。 第1、第3打席でも走者を置いた状況だったが凡退。試合前まで2試合連発と波に乗っていたが、この日は沈黙した。

◆巨人が1点差の接戦を制して貯金を今季最多の18とした。 原辰徳監督(62)は「勝ってはいたんですけど、なんかこう、劣勢感がありましたね。最後はしっかり粘ったというところに勝ったというところでしょうね」と言った。 左肘の違和感で離脱していた先発メルセデスには6回無失点で白星が付いた。「やや違和感という形で戦線から離しまして。大事に至らないというところで、ファームのゲームというのも考えたんですけれども、そこは投げる必要はないだろうと、阿部監督の中で調整してくれた。前よりもいいぐらいのリズムと投球、球も150キロも測定していましたし、安心しました」と評した。 高梨、大竹、大江をつぎ込んだ7回の継投については「7回が勝負イニングだと思いましたね。大竹をそのままというのももちろんあったんですけど、確率のいい継投をしようというところで高梨からいって。しかし、大竹がそれをカバーし、カウント2ストライク、あるいは2ストライク1ボールであるならば、大江をいかせようと言っていたものですから。私も勇気はいりましたけれども、宮本コーチと言っていた、有言実行したというところですね」と説明した。 大江はボーアに三塁内野安打を許して1失点したが、続く梅野は三振に打ち取り最少失点で切り抜けた。指揮官は「あそこはやはりアウトカウント1つは取らないといけないというように教育していますから。代えるという選択肢はありませんでした」と言った。 3得点だった打線については「もう1本というところがなかなかでない。タイガースも必死に戦いを挑んできたというところで、簡単には出なかったですね」と分析。阪神戦に勝ち越し「まあ、悪くはないですね。はい」と締めくくった。 ▼巨人は両リーグ一番乗りで40勝目。巨人が開幕65試合目で40勝に到達したのは07年以来で、原監督としては最速タイになる。

◆巨人大城卓三捕手が、得意の甲子園で2試合連続の3安打猛打賞を飾った。3回に左前打で出塁し、近本の悪送球で生還。4回には犠飛を放ち、6、8回にも安打を連ねた。 東海大相模3年夏に甲子園で準優勝。今季は打率5割7分1厘と甲子園の申し子と化す活躍に、原監督は「打撃もさることながら、リード面でも非常に良くなっていると思います。かなり厚みは増してきている」と攻守で評価した。

◆阪神高橋遥人投手は今季初の中5日先発で粘投したが、6回9安打3失点(自責1)で2敗目を喫した。「今日の試合の先発を任せていただいた中で、リズムが悪くなってしまい、攻撃にいい流れを持ってくることができませんでした」。 初回から直球で押し込み抜群の立ち上がり。味方の失策から失点したが、集中力は切らさなかった。0-3の6回には大城から連打を浴び無死一、二塁のピンチも、後続3人を打ち取り小さくガッツポーズ。完全に傾きそうな流れを必死につなぎ留めた。 「ジャイアンツを倒さなければ上にはいけない」と必勝を期したマウンド。巨人戦防御率0・64、被打率1割6厘の抜群の相性を買われたが、打線の援護にも恵まれなかった。「粘らなければいけない展開の中で、追加点を与えてしまったことも悔しいです」。そう反省の言葉を並べたが、1イニングの複数得点は許さず。巨人戦の防御率は0・90と踏ん張った。矢野監督は「状態は良くなかったかなというところですけど、ヒット打たれながら、遥人はしっかり投げてくれたかなと思います」と左腕を責めなかった。次戦は間隔を空けて、再び15日からの巨人戦(東京ドーム)に向かう見込みだ。【磯綾乃】

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)がライブ評論で注目プレーを解説。 巨人は3回に近本の本塁への悪送球で1点を先制。 4回に大城の犠飛で1点、5回にも岡本の適時打でリードを広げた。 阪神は7回に1点、9回に糸原のソロで1点を返すが反撃もそこまで。阪神は3位転落。首位巨人とのゲーム差は8・5に開いた。

◆阪神が巨人に敗れ、3位に転落した。首位巨人とのゲーム差は8・5まで広がった。 ▼阪神は今季巨人戦での総得点は29点で、1試合平均2・2点はカード別で最低。巨人戦でのチーム打率は1割9分6厘。セ全6球団のそれぞれの対戦球団別チーム打率も最低で、唯一の1割台に沈む。

◆涙の数だけ強くなった-。左肘の違和感から復帰した巨人クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(26)が、6回2安打無失点で3勝目を挙げた。 前回登板の8月19日の阪神戦では、左肘のコンディション不良で涙の2回降板。リハビリを経て、直球は最速150キロと威力を増した。阪神に連勝し、両リーグ最速の40勝到達で2位DeNAとのゲーム差は8。今季最多の貯金18で、最短12日にマジックナンバー「38」か「39」が点灯する。甲子園に岡本真夜の「Tomorrow」が流れた。メルセデスは1回1死、♪涙の数だけ強くなれるよ~ の登場曲とともに打席に阪神糸原を迎えた。3球目と5球目の直球は150キロを計測。前回登板の最速は146キロで、今季ここまでの直球は140キロ台中盤だった。「今日は特にストレートをしっかり使って、コースに投げ切れたのが良かった」。初回は13球中12球が直球で3者凡退に切った。 涙の日から19日がたった。前回登板の8月19日の阪神戦では、左肘のコンディション不良で2回で降板。ベンチ裏では原監督らに涙ながらに続投を志願したが、春先に患部の違和感で離脱したこともあり交代となった。左腕の思いに胸を打たれ、目に涙を浮かべていた宮本和知投手チーフコーチは「涙の決断は正解だった。パワーアップして帰ってきてくれた」と喜んだ。 大事を取った交代のおかげで早期に回復し「虎ハンター」ぶりも復活した。昨季まで過去2年間の阪神戦では4勝0敗、防御率1・02と抜群の成績を残した。しかし、今季は試合前時点で0勝2敗、防御率4・38と苦しんでいた。この日投じた全73球中、ツーシームを含めた速球系は53球で「感触もよかったし、アグレッシブなストレートは投げられている感覚はあった」と阪神打線を封じた。この姿に原辰徳監督は「前よりもいいぐらいのリズムと投球。150キロも測定していましたし、安心しました」と言った。 復活勝利を信じてきたメルセデスは「コーチ、監督含めチームメートも喜んでくれていた。この喜びが今日だけで終わらないように、次回以降も続くように」と必ず来る"Tomorrow"以降の戦いを見据えた。【久永壮真】 ◆メルセデスと宮本コーチVTR 8月19日の阪神戦(東京ドーム)でメルセデスが先発。試合前から左肘のコンディション不良を訴えており、結局2回で降板。2回の打席で代打を送られたメルセデスは悔しさからベンチで涙。続投志願するメルセデスに宮本コーチは思わずもらい泣きし、「本人は行きたいと。でも彼の体のことを思うと決断しないといけない」と気遣った。

◆スターティングメンバーが発表され、右手有鈎(ゆうこう)骨の骨折から回復した阪神・糸原健斗内野手(27)が「2番・二塁」で先発出場。47日ぶりに先発に名を連ねた。  糸原は7月22日の広島戦(甲子園)で右手の痛みを訴え、同28日に右手有鈎骨の骨部分切除術を受けていた。それでも、手術からわずか35日後、9月1日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)で実戦復帰。4日に1軍再昇格し、5日は守備から途中出場して2打席(結果は無安打)に立っていた。

◆阪神は2-3で巨人に敗戦。首位・巨人とのゲーム差は8・5に広がった。三回1死満塁から松原を浅い中飛に打ち取ったが、近本が本塁へ悪送球。先制点を献上した。さらに、四回には先頭の岡本のゴロを遊撃・木浪が失策。その後、1死二、三塁となったところで大城に中犠飛を許した。チームはここまで両リーグワーストの51失策。この日も課題の守備が乱れて2点を献上した。  今季初となる中5日で先発した高橋だったが、5回9安打3失点(自責1)。粘り強く投げたが勝利には結びつかなかった。

◆阪神は中5日で今季初めて高橋を先発させたが、近本の守りのミスが響いた。九回にスタメン復帰の糸原のソロアーチで1点差まで追い上げたが届かなかった。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。  --あと一歩という試合  「うん、まあ。そうですけどね、ちょっとミスが響きましたね」  --高橋の投球は  「状態はよくなかったかなというところですけど、ヒットを打たれながらね、遥人はしっかり投げてくれたかなと思います」  --序盤の失策が絡んだ失点が痛い  「きょうは近本で負けたかなと思ってます。ただ、僕はいつも『終わったことは変えられない。これからは変えられる』と選手に言っているので。近本自身が成長して、残りの試合でどうやってチームを勝たせていくか、そういうことが求められる。また、チームとしても、こういう大事な試合でこのような結果っていうのは監督としても悔しいですし。ここから、確率、可能性っていうのは厳しくなりましたけど、どういう姿を見せていくかっていうのが僕らの課題かなと思います」  --スタメンに復帰した糸原が活躍  「もともと勝負強いですしね。1打席目も粘って粘ってしっかりファウルを打っていた。どこに入れてもチームに貢献してくれる選手なんで。健斗(糸原)の仕事をしっかりやってくれていると思います」  --近本は四回の大城の犠飛の返球を思い切って投げたかった  「いやいや、どっちも(三回の失策と)でしょう。どっちも。どっちかというのはないんで。さっき言った通り。ちゃんと書いてよ、近本で負けたっていうとこだけにせんといてよ。その後が大事だというふうに。そこだけ切り取らんといてよ、それ約束してよ。そうじゃなかったら書かんといてな。近本で負けたっていうことだけ書くんやったら、やめてくれよ」  --まだ全体で50試合以上、巨人戦も多く残っている  「ジャイアンツだけじゃないの、俺らは(負け越しているのは)。その中でジャイアンツに勝つというのは当たり前。直接対決で他に勝つ以上のプラスがあるわけだから。巨人を倒すというのはもちろん大きな目標だし、そこがなければ優勝はないんだけど。でも明日からのDeNA戦があるわけだし、それだけを考えてやることはできない。さっきも言ったけど、一戦必勝しかない」  --七回の巨人・原監督のボーアの打席の途中での継投はどう見たか  「それは向こうの作戦なんで、僕は何とも思わないです」

◆阪神は終盤に追い上げたものの一歩、届かなかった。七回にボーアの内野安打で1点返し、九回は糸原が自身最多更新の3号ソロ本塁打。右手骨折から5日に途中出場で復帰し、7月22日以来の先発だった主将は七回には右前に運んでいたが「個人的にはいい形で打つことができたが、負けてしまったので悔しい」と笑顔はなかった。  定位置の二塁の守備でも軽快な動きを見せ、ブランクを全く感じさせなかった。「もう一度、チームが一つになって戦っていきたい」と前を向いた。

◆巨人のメルセデスは6回を投げて散発の2安打無失点と好投し、3勝目を挙げた。「非常にうれしい。直球をしっかりコースに投げ切れた」と納得の口ぶりだった。  二回は安打とボークで1死二塁を招いたが、ボーアと梅野を連続三振に仕留めた。三塁を踏ませず、6回を73球で片付けた。8月19日の対戦では左肘を痛めて2回で降板。ベンチで涙を流した悔しさを晴らし「早く1軍の舞台で投げたいと強く思っていた。それが試合にも出た」と白星をかみしめた。

◆痛恨のミスを犯した近本は試合後にざんげした。「大事な試合で、自分のミスで失点してしまい、本当にやってはいけないミスをしてしまいました。あのプレーでチームが負けてしまったということをしっかり受け止め、同じことを繰り返さないようにしっかりやっていきます」。三回の悪送球は2試合連続の失策。バットでも3打席凡退。六回2死で二ゴロに倒れ、七回の守備から交代を命じられた。このカード10打数無安打で、出塁すらできなかった。

◆今季初めて中5日で先発した高橋は自己ワーストタイの9安打を浴び、6回3失点(自責1)で降板。「リズムが悪くなってしまい、攻撃にいい流れを持ってくることができなかった」と肩を落とした。三回1死満塁。松原の浅い中飛で三走・大城は一度はタッチアップを諦めたが、近本が本塁に悪送球して失点。四回も木浪が遊ゴロをファンブルしたのをきっかけに失点したが「(五回に)追加点を与えてしまったことも悔しい」と言い訳にはしなかった。

◆大山は糸原のソロで2-3に迫った九回1死一塁で痛恨の二ゴロ併殺。甲子園から悲鳴にも似た声が上がると、最後の打者となった男は唇をぐっとかみしめた。この試合まで3試合連続で安打&打点と好調だったが、この日は七回にも1死一、三塁から浅い右飛に倒れるなど4打数無安打。ことごとくチャンスを生かすことができなかった。

◆ボーアが原監督の奇策に、意地の一打でお返しだ。0-3の七回2死一、三塁。左腕・大江から、10試合ぶりの打点となる三塁強襲安打を放った。  「いいところに飛んでくれたよ。2ストライクからあのような継投は初めてだったけど、集中を切らすことはなかったよ」  打席に入ったとき、マウンドにいたのは右腕・大竹だった。カウント1-1からの3球目。右翼ポール際に一瞬、同点3ランかと思わせるような大ファウル。アルプス席上段まで飛んだ打球を見て、原監督は即座に左腕の大江にスイッチした。  ボーアは2球連続ボールでフルカウントとなった後、チーム初得点となる適時打。矢野監督は「それは向こうの作戦なんで、僕は何とも思わない」と珍しい打席途中での投手交代には触れなかった。B砲は五回にも三塁内野安打を放ち、これも10試合ぶりのマルチ安打。久しぶりに存在感を示した。(三木建次)

◆このまま終わってたまるか-。主将の意地を乗せた白球が左翼ポール際に吸い込まれた。最後まで声援をくれた虎党に届ける、自己最多となる3号ソロ。糸原が小さく拳を握りしめた。  「自分に携わってくれたすべての方々のおかげで、グラウンドに立つことができています。待ってくれていたファンにもすごく励まされました。きょうの試合の応援も本当に感謝しています」  1-3で迎えた九回。デラロサの初球だった。151キロに振り負けることなく逆方向へ。打球は風に乗り、フェンスをギリギリ越えた。  右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折から回復後、7月22日の広島戦(甲子園)以来47日ぶりのスタメンだった。七回には右前打を放ち、復帰後初安打。反撃のホームを踏んだ。八回の守備では、1死満塁で代打・亀井の打球に横っ飛び。すかさずホームへ送球し、追加点を許さなかった。  再三のピンチでは、先発・高橋のもとへ何度も足を運んで鼓舞。胸に輝く「C」のマークは飾りじゃない。バットで、守備で、精神的支柱として。改めてその存在感の大きさを見せつけた。  矢野監督も「キャプテンという立場も2年目。よりチームを引っ張ろうとやってくれているし、自覚と、思いと、そういうものがしっかりつながっている」とうなずいた。巨人に今季ワーストタイの8・5差をつけられる悔しい敗戦も、もちろんまだあきらない。糸原は語気を強めた。  「切り替えて、あすからの試合に臨むことが大事。チームが一つにならなければ、勝つことはできない」  ユニホームのズボンのすそを膝下まで上げるクラシックスタイルで帰ってきたキャプテンが、チームにカツを入れる。(原田遼太郎)

◆巨人は7日、阪神13回戦(甲子園)に3-2で競り勝ち、両リーグ一番乗りで40勝に到達。クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(26)が6回無失点で3勝目を挙げた。前回8月19日の阪神戦で左肘のコンディション不良を訴えて"涙の降板"となった左腕が、約3週間ぶりのマウンドで復活を果たした。  あの日の涙を無駄にはしなかった。メルセデスは雨天中止の前日6日からスライドして迎えたマウンドで、文句なしの快投を披露した。  「コースへの投げ分け、変化球もまぜて投げることができて、失投もほぼなかった」  最速150キロの直球とカットボールを軸に、6回2安打無失点で3勝目を挙げた。73球の省エネで四死球0。故障明けの左腕のために"第2先発"として控えていた直江の出る幕もなかった。昨季まで通算4勝無敗だった阪神戦。今季は2連敗を喫していたが、4度目の登板で白星をつかんだ。  "涙の降板"の悔しさを晴らした。8月19日の阪神戦は左肘の異常を訴えて2回で交代。続投を志願したが、トレーナーと首脳陣の判断に従うしかなく「春先に肘の違和感で離脱していたこともあったので、チームに申し訳ない気持ちが強かった」と、ベンチでタオルをかぶって号泣。宮本投手チーフコーチがもらい泣きするほどだった。  ファームでのリハビリを経て好投。「おかげさまで簡単な筋肉の炎症で、すぐに戻れた。これからしっかり働きたい」と笑顔を取り戻した。  チームは両リーグ通じて40勝一番乗り。貯金は今季最多を更新する18とした。2位(DeNA)とのゲーム差も今季最大の8に。さらにメルセデスの復活で、先発ローテーションが6枚そろった。今季9勝の菅野や同7勝の戸郷を中心に好調。首位を独走する要素の一つとなっている。  故川上哲治氏が持つ監督の球団歴代最多1066勝まであと2勝とした原監督は、メルセデスについて「前よりもいいぐらいのリズムと投球。150キロも測定していたし、安心しました」と目を細めた。優勝へのマジックナンバー点灯は最短12日。リーグ2連覇へ、死角は見当たらない。(谷川直之)

◆観客席は普段以上に熱気を帯びた。それだけ勝ちたい試合だと誰もが知っていた。必勝を誓った直接対決は痛恨のミスで負け越し。矢野監督は重い1敗を受け止めた。  「大事な試合でこのような結果というのは、監督としても悔しい」  三回に歯がゆいプレーで先制を許した。1死満塁で、松原が浅い中飛。三走の大城はタッチアップを諦めていたが、近本が思い切り本塁に返球した。バックネットにダイレクトで当たる悪送球で、再スタートを切った大城がホームを踏んだ。  チーム今季50個目の失策は12球団ワースト。大事な試合で、弱点は連鎖した。四回先頭の岡本の遊ゴロを木浪が後逸。「51個目」からピンチを招き、大城の中犠飛で追加点を献上した。これも浅い飛球で、十分に補殺が可能な距離で力のないツーバウンド。将は「(三回の悪送球と)どっちもでしょ、どっちも」とつぶやき54試合を残して厳しい現実を認めた。  「(優勝の)確率、可能性というのは厳しくなりましたけど、どういう姿を見せていくかというのが僕らの課題」  7・5ゲーム差で迎えた4連戦を気合十分で迎えた。雨天中止を挟み、1勝1敗でこの日。「勝つしかない」とさらにムチを入れたが、空回り。巨人戦の1試合平均0・923失策は対戦別で最多だ。今季ワーストタイの8・5差に広がり、3位に転落。10日にも自力Vが消滅する状況を「厳しい」と認め、珍しく"戦犯"を名指しした。  「きょうは近本で負けたかなと思ってます」  虎将が特定の選手を敗因に挙げるのは異例だ。それだけ記憶に刻まれるべき敗戦。チームの中心と期待する背番号5だからこそ、叱咤した。「近本自身が成長して、近本自身が残りの試合でどうやってチームを勝たせていくか」と求めたが、チーム全体も同じだ。  「『終わったことは変えられない。これからは変えられる』と選手に言っている。巨人を倒すのはもちろん大きな目標だし、そこがなければ優勝はない。でも、明日からDeNA戦がある」  早くも崖っぷち。15年ぶりのリーグVへは首の皮一枚でつながっている状態だが、前を向いて戦う以外に奇跡への道はない。(安藤理)

◆う~ん...またもや巨人に勝てず。今季これで3勝10敗...。というかこの両球団ができてから僅かを除いて、ず~っとこういう図式がある意味確立されているんだから、優勝は遠きなのだ。  じゃ、どーしたら巨人に勝てるのか? って、言うか...。どーして巨人は阪神に勝ち続けているのか? その答えは幼き頃より50余年阪神を見続けている俺に言わせれば、いたって簡単なのだ。近本がやらかしたようなミス(三回悪送球で先制点を許す)とか? 否!! エラーは野球につきものなのだ!!(といいつつ、多すぎるけどさ)  そして、ハッキリ言わせてもらうと、九回に糸原のホームランで1点差に追い上げその後、1死一塁の場面で打席に大山、野球をあまり知らない小学生が「ホームラン打てー!!」というでしょう? でも、それはある意味正解で巨人は過去にあーいう場面で中心選手が本当に一発をどれほど打ったことか...。それが阪神のときた日には大山のゲッツーでゲームセット!! いや、大山個人を責める気は毛頭ないけど、そういう球団にしてしまった85年をこの先の未来のために、真剣に考えんと巨人は追い抜けんぞ!!

◆阪神は巨人に2-3で敗れ、4連戦を1勝2敗(残り1試合は雨天中止)で宿敵相手には3カード連続負け越しとなった。3位に転落し、首位との差は今季ワーストタイの「8・5」。3勝10敗と引き離される一方の現状を、阪神OBの本紙専属評論家・江本孟紀氏(73)が分析。「顔が見える」巨人の原監督に対し「顔が見えない」矢野燿大監督(51)と評した。  最低でも勝ち越さなければいけない巨人との4連戦は、痛恨の1勝2敗1雨天中止に。首位をひた走る巨人と、8・5ゲームも引き離されてしまった阪神。それは「顔が見える原監督」と「顔が見えない矢野監督」の差と言っていいだろう。  このコロナ禍のご時世で、あまりマスクをしない原監督はいつも顔がよく見えて、ルールを守ってしっかりマスクしている矢野監督は顔が見えない、という話ではない。  象徴的なのは七回のボーアに対して、カウント1-2から投手を大竹から大江にスイッチした継投。実は原監督は失敗している。メルセデスをもう1イニング投げさせるべきところを交代させた。その失敗をグラウンド上で取り返しに行ったのだ。監督は采配ミスをするし、それを謝る必要もない。自分で「ケツをふく」姿が、ナインに響く。もちろん、あの采配は、他の監督がなかなかできるものではないが。  対する阪神。メルセデスという投手が、故障明けで投球数に制限をかけてくることは、この情報時代だから分かっていたはず。なのに、阪神の打者は初球から、どんな球もポンポン打っていった。早打ちで相手を助けてしまった。粘って球数を増えさせれば、うまくいけば四回あたりで降板させることができたかもしれない。采配の見せ所だった。  ところが「さあ、打ってください」「どうか打ってください」という打者任せの野球。そこに「矢野」という監督の顔は見えてこない。初球を何でも打ちに行って勝てるほど、野球は甘くない。  弱点をいかに解消するか。ここも、監督の顔が見え隠れする部分。阪神が去年の戦いで分かった弱点は何か。守備だろう。12球団ワーストの102失策をどう修正するか。ところが、ことしもこの日の2失策を加えて51。巨人(16失策)の3倍以上だ。  2点目に直結した四回の木浪の守備などは、もっと後ろで処理すべき。雨の日の甲子園は打球が速くなることを、本拠地球場の選手なら知っているはず。矢野監督のもとで、欠点が全く解消できていないのは寂しい限りだ。「次や」「次、しっかり」と慰めあっていてはダメ。監督が厳しく接していかないと。  そして、一番残念なのは、あれほどいい球を投げている高橋を勝たせることができなかったこと。ミスで足を引っ張られ、ストレスがたまって崩れてしまった。高橋で勝たないと、巨人を追い上げるという話にもならない。  巨人が緊急トレードした。ここにも原監督の顔が見える。矢野監督もドンドンやればいい。動けばいい。矢野監督の顔が見える野球をしなければ、原巨人には追い付かない。(本紙専属評論家)

◆追い上げられて苦しんだ、終盤の巨人。  「こういうときに流れが変わることがある」  ニッポン放送の解説で、つぶやいた通りになったよ。  先発・メルセデスは6回無失点でお役御免。切れ、コントロールともよく、投球内容は上々で、テンポもよかっただけに、「流れが変わる」と心配したわけだ。  理屈では説明できないけど、そういう展開は、いやというほど見てきた。それが野球というスポーツなんだ。  復帰登板だとか、チーム事情はあるにせよ、メルセデスは73球しか投げていない。敵地・甲子園で、3イニングを残しての継投では、苦労するのは目に見えている。実際、高梨、大竹でピンチを招いた。  そもそも、9回を投げ切れない投手を先発で使う...という点からして、エモトには納得できないね。  まあ、大竹がボーアに大ファウルを打たれた時点で、カウント1-2から左の大江に代えるなど、原監督の始末の付け方は、さすがだったよ。それでも、この勝利が次につながるかというと、答えはノーだろうね。 (本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
40223 0.645
(↑0.006)
-
(-)
55320
(+3)
217
(+2)
83
(-)
38
(-)
0.261
(↑0.001
3.290
(↑0.02)
2
(1↑)
DeNA
33314 0.516
(-)
8
(↓0.5)
52291
(-)
268
(-)
67
(-)
13
(-)
0.273
(-)
3.800
(-)
3
(1↓)
阪神
32313 0.508
(↓0.008)
8.5
(↓1)
54275
(+2)
263
(+3)
63
(+1)
44
(-)
0.241
(↓0.001)
3.460
(↑0.04)
4
(-)
中日
31344 0.477
(-)
10.5
(↓0.5)
51235
(-)
285
(-)
37
(-)
18
(-)
0.240
(-)
3.800
(-)
5
(-)
ヤクルト
26355 0.426
(-)
13.5
(↓0.5)
54280
(-)
335
(-)
58
(-)
39
(-)
0.253
(-)
4.620
(-)
6
(-)
広島
25347 0.424
(-)
13.5
(↓0.5)
54286
(-)
319
(-)
68
(-)
25
(-)
0.265
(-)
4.430
(-)