阪神(☆5対4★)巨人 =リーグ戦11回戦(2020.09.04)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
巨人
0000002204700
阪神
02000300X51012
勝利投手:西 勇輝(5勝3敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝0敗13S))
敗戦投手:戸郷 翔征(7勝3敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(14号・2回裏ソロ),サンズ(15号・6回裏2ラン)

  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 巨人戦チケット予約
◆阪神は2回裏、大山のソロなどで2点を先制する。そのまま迎えた6回には、サンズの2ランと小幡の適時打で3点を加え、相手を突き放した。投げては、先発・西勇が8回途中4失点で今季5勝目。敗れた巨人は、打線が終盤に1点差まで迫るも、反撃は及ばなかった。

◆阪神西勇輝投手(29)が今季開幕戦以来の巨人戦先発。巨人戦はオリックス時代を含め通算10試合で0勝4敗、防御率4・06。 西勇が公式戦で勝利がないのは巨人戦とオリックス戦だけで、今日勝てば11球団目の勝利となる。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、巨人が戸郷翔征投手(20)。今季阪神は、戸郷に対して2戦2敗と分が悪い。野手打率も43打数7安打で1割6分3厘だ。ボーア、サンズの両助っ人も合計10打数で無安打。エース西勇は、開幕戦で巨人に6回4安打1失点と好投しただけに、打線の援護があれば勝機はある。2位阪神は首位と7・5ゲーム差。4連戦初戦を白星で飾りたい。

◆阪神西勇輝投手(29)がスリーバントスクイズを決め、自らを援護した。 大山の14号ソロで1点を先制し、なおも1死一、三塁で、9番西勇は2球続けてバント失敗。それでも3球目を一塁線に転がし、捕球した巨人一塁手中島がタッチしている間に、三塁走者ボーアが生還した。

◆阪神大山悠輔内野手(25)が2回に先制の14号ソロを放った。19年に並ぶ自己最多タイとなった。 2回の先頭で打席に立つと、3ボール1ストライクから巨人先発戸郷のスライダーをとらえ左翼席へ運んだ。「先制点を取ることができて良かったですし、しっかり自分のスイングをすることができました」。今季、この試合前までの対戸郷は6打数2安打だった。チームにとっても対巨人29イニングぶりの得点となった。

◆阪神の4番ジェリー・サンズ外野手(32)が2-0の6回に追加点となる15号2ランをバックスクリーンへたたき込んだ。 無死三塁、2ボール1ストライクから戸郷の低めの直球を豪快にたたいた。「(6回先頭の)糸井さんがツーベースを打ってくれて、(代走の)江越が三盗を決めてくれたから、ホームまでかえしたいと思っていたし、かえすことのできるボールを待っていた。ミスショットすることなくバックスクリーンまで運ぶことができて良かったよ」。ここ5試合で4本塁打と量産している。2回にソロを放った大山に14号で並ばれたが、この時点で再びチーム単独トップとなった。

◆阪神小幡竜平内野手(19)が5戦ぶりの適時打を放った。巨人戸郷から4点を奪い、なおも6回1死一、二塁の好機で、1ストライクからの2球目の直球を左翼線へ運び、二塁走者大山が生還した。9戦連続で二塁のスタメンとして起用され、この日は初めての巨人戦出場。「戸郷投手は高校の宮崎選抜でもチームメートでしたし、試合前から絶対に打ちたいと思っていました。食らいついて打つことができてよかったです」とコメント。延岡学園時代、聖心ウルスラ学園の戸郷と同じ宮崎県でしのぎを削った右腕から、うれしい適時打となった。

◆巨人先発の戸郷翔征投手(20)が、6回途中でマウンドを降りた。 2回に大山に先制の1発を浴びると、2点ビハインドの6回にはサンズに2ランを許すなど5回2/3を10安打5失点。「調子自体は悪くなかったのですが球威を意識しすぎてその分コースが甘くなってしまいました。左のインコース、右のアウトコースへの精度を高めなければいけません」とコメントした。

◆阪神の新守護神ロベルト・スアレス投手(29)が、1点差に追い上げられた8回2死一塁のピンチで登板。好調の丸に真っ向勝負を挑み、159キロのど真ん中直球で空振り三振を奪った。 前日3日ヤクルト戦はベンチ入りメンバーには入っていたが、休養のためベンチには入っていなかった。休養十分の守護神が、巨人に傾いていた試合の流れを引き戻した。

◆2位阪神が首位巨人との直接対決4連戦の初戦を制し、ゲーム差を6・5に縮めた。終盤に追い上げられたが、なんとか耐えて巨人の連勝を5で止めた。 前回対戦した8月18日から20日までの東京ドーム3連戦は3戦連続完封負け。半月前の屈辱を脳裏から消し去ったのは5番大山悠輔内野手(25)だ。2回、先頭で右腕戸郷のスライダーをとらえ、左翼席に自己最多タイの14号ソロを届かせた。 大山の先制弾で巨人戦29イニングぶりの得点を記録すると、なおも2回1死一、三塁から9番西勇輝投手(29)がスクイズを成功させて2点目をゲット。試合を優位に進めた。 2点リードの6回には4番ジェリー・サンズ外野手(32)がバックスクリーンに15号2ランを運ぶ。さらに8番小幡竜平内野手(19)が左前適時打を放ち、一気に突き放した。 先発の西勇は6回終了時点で1安打無失点の安定感。終盤に失点を重ねたが、8回途中4失点で今季5勝目。オリックス時代を含めて、巨人戦11試合目の登板で初めて白星を手にした。

◆阪神が逃げ切った。2回先頭の大山が14号ソロを放ち先制すると、さらに1死一、三塁から西勇のスクイズで2点を先取。6回にはサンズの15号2ラン、小幡の適時打で3点を追加した。先発の西勇は8回途中4失点で5勝目。スアレスが13セーブ目。巨人は終盤、岡本の適時打などで1点差まで詰め寄るも及ばず、連勝が5でストップした。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手も戸郷打ちだ。2回、大山の先制弾の直後。左中間二塁打で得点機を演出した。 過去2試合、戸郷には6打数0安打に抑えられていたが、快音を響かせた。その後、1死一、三塁となった場面で三走として西勇のスクイズで生還。守備でも2回2死一塁で吉川尚の一塁線への打球を処理する好プレー。攻守でG倒に貢献した。

◆巨人は西勇輝投手を相手に1点差に迫ったが、あと1点届かなかった。 5点を追う7回、丸の適時二塁打、代打大城の適時打で2点を返し、なおも1死一、三塁。ウィーラーもベンチに残る中で「足も速いし、ダブルプレーもないだろうと」(原監督)と代打に重信を起用したが、3ボールから投ゴロ併殺打で好機を逃した。元木ヘッドコーチは「思い切って、打てのサインだから。紙一重」と唇をかんだ。

◆阪神西勇輝投手(29)が「伝統の一戦」の初勝利をつかんだ。「本当に強い相手ですし、本当に初戦勝たないと流れというものを引きつけられないと思いました」。初回から持ち味の制球力を発揮し、前日3日に13得点した打線を6回まで1安打。1点差に迫られた8回途中に降板したが、7安打4失点、123球の力投だった。 打席でも2回に大山のソロで先制した後、1死一、三塁で2球失敗から3球目で執念のスクイズを一塁線に転がし、貢献した。これでオリックス以外の11球団制覇となり、それ以上に首位との4連戦初戦で大きな白星だった。「本当に無事に勝つことが出来て良かったですし、球児さんの思いをしっかり選手全員が受け止めて、頑張っていかないといけないなと思いました」。お立ち台でどうしても伝えたい思いだった。 1日に引退会見を終えた藤川からゲキを受けた時、西勇は言葉の端々から巨人戦に懸ける熱い気持ちを感じ取った。「今まで外様で、伝統の一戦と言っていいものなのか、感じていいものなのかと悩んでいました。それも関係なく向かっていく気持ちが大事だなと再確認できた。伝統の一戦の一員として加わって、躍動していければいい」。昨季オリックスからFA移籍。生え抜きではない自分が「伝統の一戦」の重みを口にしていいのか-。そんな迷いを拭い去ってくれた。 藤川が引退会見を行っていた同時刻、甲子園に藤川の登場曲、LINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れていた。仕掛け人は西勇だった。「言葉の重みはすごく大事に受け止めて、球児さんが花道を飾れるように、みんなで一生懸命やらないといけない」。3連勝で今季5勝目は重みのある白星。レジェンド右腕が抱いてきた思いを、新たなエースがしっかり受け取った。【磯綾乃】

◆阪神江越大賀外野手は足で巨人バッテリーを攻めた。6回、二塁打を放った糸井の代走として出場。4番サンズへの初球に三盗を試み、セーフに。今季3個目の盗塁で重圧をかけ、直後にサンズのバックスクリーン弾で生還した。 矢野監督も「あの場面で勇気をもってスタートをきるのもすごいこと。途中からいく選手のああいうプレーって大変なプレーなんですけど、失敗を恐れずチャレンジしてくれて。それがサンズのホームランを呼び込めたかなと思います」と称えていた。

◆阪神は2回に大山の自己最多に並ぶ14号ソロで先制。西勇のスクイズで2点目を挙げた。先発西勇は3回まで無失点。 巨人は6回まで1安打無得点。阪神は6回、サンズの15号2ラン、小幡の適時打で3点を挙げ、リードを5点に広げた。 阪神西勇は8回途中4失点でオリックス時代も含めて巨人戦初勝利。首位巨人は6回途中5失点の戸郷が誤算で6連勝を逃した。 阪神西勇輝は5勝目、スアレスは13セーブ目。巨人戸郷は3敗目。

◆新人王レースを走る巨人戸郷翔征投手が、プロワーストの5失点で5試合ぶり黒星を喫した。 2回無死、阪神大山に対して「右のアウトコース」となる外角スライダーが高めに浮き、左翼席に運ばれた。「球威を意識し過ぎて、その分コースが甘くなってしまいました。左のインコース、右のアウトコースへの精度を高めなければいけません」。マウンドの戸郷から見て、一塁側サイドへの制球力。今後の課題を感じ取った。 先制ソロの直後は、1死一、三塁から2ストライクと追い込んだ西勇にセーフティースクイズを決められた。原監督は「2点目がいけないね。ツーナッシングから簡単にね。何かバッテリーに工夫が必要でしょうね」と指摘。6回には三盗を決められた直後に2ランを許すなど、再び3点を失い98球で降板した。8月は4戦4勝、防御率0・37と菅野とともに故障者が続いた先発陣を支えたが、チームの連勝も5でストップ。指揮官は「戸郷も順調に来ているから、少し自分自身見つめ直してね。あの場面で三盗されたり、いい糧として、いい教本、教材になる」と求めた。【前田祐輔】

◆2年目の阪神小幡竜平内野手(19)が6回に高校時代のライバルで同学年の巨人戸郷から適時打を放った。6回。4点差をつけてなお1死一、二塁で、1ストライクからの2球目直球を左翼線へ運び、二塁から大山が生還。終わってみれば1点差勝ちだっただけに、貴重な5点目となった。 9戦連続スタメンで、この日は初めて「伝統の一戦」に出場。「そこまで強く意識することはなかったが、相手が戸郷で、高校時代から顔なじみだったので、そこだけ意識していました」。小幡は延岡学園、戸郷は聖心ウルスラ学園とともに宮崎の強豪でプレーしたが、この日が高校時代も含め初対決。「昨年から活躍しているのを見て悔しかった。今日は絶対に打ってやろうという気持ちで臨んでいた」。2回も右前打を放ち、3打数2安打1打点と攻略した。 2人は宮崎県選抜でチームメートだった。2年前の8月31日に宮崎でアジア選手権前のU18侍ジャパンと練習試合で対決。小幡は5番遊撃、戸郷は2番手で登板した。相手には、それぞれドラフト1位の中日根尾、ロッテ藤原、広島小園、日本ハム吉田がいて、1学年下のヤクルト奥川ら18人中8人がプロ入りしたが、全員現在は2軍で奮闘中。現在1軍でプレーしているのは侍の相手だった小幡、戸郷だけだ。 小幡は8月29日広島戦(マツダスタジアム)に続いて2度目、甲子園では初のお立ち台に立ち「2年目の小幡です。自分も覚えてもらえるように頑張ります」と笑顔でアピール。阪神の10代選手が巨人戦で適時打を打ったのは91年新庄以来。若虎の象徴がチームに勢いをつけている。

◆阪神矢野監督が繰り出した継投も決まった。8回に1点差に迫られ、なおも2死一塁の場面で、西勇に代わって守護神スアレスを投入した。剛腕ストッパーは159キロの直球で丸を空振り三振に。9回は中島を投ゴロ、大城を遊ゴロ、最後はウィーラーを中飛に仕留めて勝利を決める13セーブ目。今季初のイニングまたぎでのセーブだった。 矢野監督は「こういうことも想定して、スアレスには(肩を)つくってもらっていた。ジャイアンツを追いかける立場としては、こういうこともしていかないとダメかなと、思い切っていきました」。前日3日はスアレスをベンチ登録していたものの試合メンバーに入れず、今回の4連戦に備えさせていた。巧みに操り、巨人との差を詰めていく。

◆2位阪神が首位巨人との4連戦初戦を取った。2回に大山悠輔内野手(25)が今季G戦初アーチとなる先制の14号ソロで、宿敵から29イニングぶり得点。この1発を口火にこの回2点を先取し、6回も3点を加えて逃げ切った。前回東京ドームで味わった同一3連戦零封負けの悔しさを甲子園でまず1つお返し。6・5差とし、この4連戦でのマジック点灯を阻止した。残り13試合ある「伝統の一戦」が逆転Vの行方を握る。大山の1発がG倒への号砲だった。両軍無得点の2回。先頭打者で巨人戸郷の外角高めスライダーを捉えた。「入ってくれ、と思って走っていた」。打球は浜風に乗って左翼席へ。宿敵からの29イニングぶりの得点が生まれた。 前回は半月前に東京ドームで対戦し、巨人本拠地では57年ぶりとなる3連戦3完封負けを喫した。大山の今季G戦初アーチで、このカードの0行進に終止符。勢いに乗って2回は西勇のスクイズで加点し、6回はサンズの2ラン、小幡の適時打プラス大山の激走生還で3点を奪った。「チーム全員が一丸となっての点数。そういう点数をもっともっと増やしていけるように」。今季2戦で2勝を稼がれ、1点しか奪えていなかった売り出し中の戸郷を攻略した。矢野監督は「悠輔のホームランという形でリズムはできました」と納得顔だった。 大山は19年に並ぶ自己最多のシーズン14本目。「自分超え」に王手をかけたが「ホームランがすべてではない」と語ったことがある。「どういう形で打てたか、どういうスイングができたか。なんで打てたのか...。そういうことの方がよっぽど大事」。今春キャンプから練習試合や紅白戦、ケース打撃後さえも自分の打席を動画で見返してきた。打席で感じたスイングと、外から見るスイングは一致しているのか。時には現代らしからぬ? 静止画を見つめて分析したことも。過程を大事にするからこそアーチは生まれる。「これで満足しているようでは...まだまだです。レベルアップしていきたいのはずっと思っている。1本でも多く打つことを目標にしています」。探求心の結晶が大事な場面で結果に表れている。 首位巨人との4連戦の初戦をまずは1点差で逃げ切った。6・5ゲーム差とし、この4連戦での自力V消滅はなくなった。差を縮めるにはあと13試合ある直接対決に勝つことが近道。矢野監督は「先のことを考えるとどうしても苦しくなるんですけど、ぼくらは1戦1戦、目の前の試合をどう戦うか。1戦1戦を全員で戦っていきたいと思います」と奇跡の逆転優勝へ、勝ってカブトの緒を締めた。【只松憲】

◆パパは貯蓄上手デ~ス! 絶好調の阪神ジェリー・サンズ外野手(32)が今季2本目の甲子園バックスクリーン弾でG倒に導いた。2点リードの6回無死三塁。戸郷の真ん中に入った147キロ直球を寸分狂わず強振した。中堅丸が一瞬で追う気をなくした豪快弾。チーム単独トップとなる15号2ランで試合の流れを決定づけた。 直前に3番糸井が一塁強襲の二塁打で出塁し、代走江越が三盗を決めていた。「チャンスを広げてもらっていた。強くたたいて外野まで飛ばせるボールを待っていた」。両リーグトップの得点圏打率を誇る勝負師。集中力が高まらないわけがなかった。今季2戦で防御率0・66と抑え込まれていた戸郷を打ち砕き、直近8試合で6本塁打。厳しい内角攻めにもフォームを崩さないメンタルが頼もしい。 この日は家族が観戦に訪れていた。チーム、自身ともに今季2度目の「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」で再び賞金100万円を贈られ、「子供が大学に行く費用をしっかりためたいね」と冗談交じりに照れ笑いだ。チームも家庭も貯金でウハウハ!?優良助っ人の勢いが止まらない。【佐井陽介】

◆阪神小幡竜平内野手(19)が6回に高校時代のライバル巨人戸郷から適時打を放った。6回。4点差をつけてなおも1死一、二塁の好機で、1ストライクからの2球目直球を左翼線へ運び、二塁から大山が生還。終わってみれば1点差勝ちだっただけに、貴重な5点目となった。 9戦連続スタメンで、この日は初めて「伝統の一戦」に出場。   ▼阪神の10代選手による巨人戦での打点は、平尾博司が95年6月13日に犠飛で記録して以来、25年ぶり。適時打に限ると、新庄剛志がプロ初出場の91年9月10日の9回、初打席を中前タイムリーで飾って以来、29年ぶり。

◆2位阪神が首位巨人との4連戦初戦を取った。2回に大山悠輔内野手(25)が今季G戦初アーチとなる先制の14号ソロで、宿敵から29イニングぶり得点。この1発を口火にこの回2点を先取し、6回も3点を加えて逃げ切った。前回東京ドームで味わった同一3連戦零封負けの悔しさを甲子園でまず1つお返し。6・5差とし、この4連戦でのマジック点灯を阻止した。矢野燿大監督の一問一答 -厳しいゲーム。接戦をものにした めちゃくちゃドキドキして、みんなが粘って粘ってやってたので、あとは応援するだけでした。 -打ちあぐねてきた戸郷に大山が見事な先制 そうですね。やっぱり先制できてリズムはできましたし、悠輔のホームランという形で。それで終わらずにもう1点いけたっていうのも大きかった。 -2点目は西勇のスクイズで 西は投げるだけじゃなくてバッティングもいいですし、本当に野球センスがすごくある。打つ方にも期待しています。 -中盤には糸井の二塁打から江越の盗塁、サンズの2ラン うちの野球はこういう野球。(江越は)あの場面で勇気をもってスタート切るのもすごいこと。途中からいく選手のああいうプレーって大変なプレーなんですけど、本当に失敗を恐れずチャレンジしてくれて。それがサンズのホームランを呼び込めたかなと思います。 -サンズは勝負強い 走者を置くと集中力高めて。チームのために来てくれて頼もしいです。 -小幡にもタイムリー ピッチャーも同級生で、宮崎で一緒に戦ったりしてるピッチャーだと思いますし。そういうところでは向かっていって積極的に2本打ってくれたっていうのはうれしいですね。 -西勇が好投 ほんと西らしくね、気合も入っていましたし。気持ちが入ると心が乱れるっていうのはありがちなんですけどね。気持ちが入りながらもちゃんとコントロールしながらね。西がまずリズムを作ってくれたのが、一番の勝因。 -スアレスをイニングまたぎで こういうことも想定してスアレスには(肩を)つくってもらっていた。ジャイアンツを追いかける立場としてはこういうこともしていかないとダメかなと思って、思い切っていきました。 -4連戦初戦をとった ゲーム差とか先のことを考えるとどうしても苦しくなるんですけど、ぼくらは1戦1戦目の前の試合をどう戦うか。明日からも1戦1戦を全員で戦っていきたいと思います。 -今日は特に選手から戦う姿勢が見えた。 みんなも分かってくれているし、巨人に負けてるのは分かっているし、巨人を追っかける立場っていうのも十二分に分かってくれている。もちろんその気持ちはすごく感じたし。さっきも言ったようにそれをまずつくってくれたのが西で。本当に気合も入ってテンポもよく抑えてくれたっていうのが先制につながったのでね。みんな気合入りながら、でもしっかり気持ちをコントロールしながら、やってくれたかな。 -小幡は同い年の戸郷相手に燃えている 宮崎で日本代表と宮崎代表が戦ったときに、戸郷が投げて竜平(小幡)が出ているはずなので。そういうところでは活躍で圧倒的に上にいかれている同級生に対して、負けられない気持ちもあるだろうし。それを結果で出すことは簡単ではない。打つことは良かったので、あそこ(7回)の先頭打者のエラーはね。あそこで捕れば西もリズム良くいけたイニングでこのゲーム(接戦)になっていない可能性もあるのでね。打てたことは、より前を向いてやっていけばいい。でもあそこで、しっかり守って小幡だな、と言われるところまでこれるようにしてほしいなと思います。 -西に託した (8回は)岡本のところでも(継投が)頭にあったんだけど、西にいかしたい気持ちの方が上回っていた。そこまでの投球を見ていたら、代える理由もなかった。気持ちの中で任せよう、と。スアちゃん(スアレス)もイニングまたぎもね、あの流れの中でいってくれた。全員で頑張ってうちらしい野球ができた勝ちというのは大きいかなと思います。 -昨日(試合前に)スアレスを帰宅させた意味があった まあまあ、結果的には...それはどうかは分からないけど、自分のやることをしっかり、大賀(江越)の盗塁も海(植田)の盗塁も。キャプテン(糸原)も帰ってきたしね。出るチャンスはなかったけど、健斗(糸原)も声を出してくれていたんでね。みんながみんなちゃんと役割を果たそうという気持ちを出してやってくれたかなというのが一番、手応えを感じています。 -小幡は高卒2年目で伝統の一戦のタイムリーは新庄以来 メディアの方がそういう数字好きなんで。何でも名前を残せるのは将来、いまはあまりピンと本人はこないやろうけど、それはそれでそういうのをまだまだ残していけるチャンスがあるというのはね。それを頭にありながらやることはまずないんでね。目の前のプレーをした結果ついてくるんで。それはごほうび、おまけの部分だと思います。

◆阪神が先制に成功した。二回先頭の大山悠輔内野手(25)が、先発の戸郷翔征投手(20)から左翼スタンドに14号ソロ。阪神は戸郷に今季2戦2敗だが、幸先のいい一発となった。さらにその後、1死一、三塁のチャンスで西勇がスクイズを決めて追加点を挙げた。  大山はセ・リーグ本塁打王争いでトップを走る巨人・岡本の「19」に次ぐ2位タイに浮上。7・5ゲーム差の2位で迎えた首位との4連戦初戦で主砲が勢いづけた。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(32)が、今季2度目となる「100万円アーチ」を放った。2-0の六回無死三塁、先発の戸郷からバックスクリーンへ15号2ラン。  「ミスショットすることなくバックスクリーンまで運ぶことができてよかったよ」  甲子園では今季『ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞』として賞金100万円が設定されており、7月21日広島戦に続いて2度目のゲットとなった。  サンズの一発後、1死一、二塁で高卒2年目の小幡(延岡学園)が同学年で同じ宮崎県内の高校出身の戸郷(聖心ウルスラ学園)から左前適時打。リードを5点に広げて、戸郷をKOした。  先発の西勇輝投手(29)は六回まで1安打無失点と好投している。

◆巨人の高卒2年目右腕・戸郷翔征投手(20)が先発。今季8勝目を狙ったが、阪神打線に痛打を浴び、五回途中5失点で降板した。  戸郷は8月を負けなしの4連勝。エース・菅野智之投手(30)に次ぐ、巨人先発陣の柱として活躍していた。2位・阪神とのゲーム差を広げるべく、マウンドに上がったが、虎打線の一発攻勢を食らった。  試合が動いたのは二回、阪神の攻撃。先頭打者の大山が戸郷の5球目の甘く入った変化球を振り抜き左翼席へ運び、14号ソロで先制した。  巨人打線は阪神・西勇の巧みな投球術に沈黙し、6回まで1安打と苦戦。戸郷は六回、サンズに2ランを浴びると、その後、小幡の左翼線への適時打で5点目を献上したところでマウンドを降りた。

◆阪神が逃げ切り、5-4で勝利した。二回に大山の14号ソロ、西勇のスクイズで2点を先制。六回にはサンズの15号2ランと、高卒2年目・小幡が適時打を放ち、リードを5点として巨人・戸郷をKOした。  先発・西勇は六回まで1安打無失点と好投するも、七回に3安打を浴びて2失点。さらに八回には岡本に2点適時打を許し、合わせて4失点したところで降板した。それでも八回途中から登板したスアレスがイニングをまたぎ、無安打無失点に抑えて5-4で勝利。2位・阪神は、巨人に6・5ゲーム差とした。

◆阪神が5-4で巨人4連戦の初戦に勝利。首位・巨人とのゲーム差を「6・5」に縮めた。先発した西勇輝投手(29)は八回途中まで7安打4失点(自責点3)で、巨人からプロ初勝利。古巣のオリックスを除く11球団からの勝利となり甲子園のお立ち台に立った。一問一答は以下のとおり。  --大事な巨人戦4連戦の初戦でした  「4連戦のカード頭ということで長いイニングを投げるのは当然なんですけど、なんとかリズムよくイニングを稼ぐことを考えて投げてました」  --中継ぎ(投手)も登板が続く中、エースとして長いイニングをという強い思いが?  「それもありますし、1人1人と思いながら結果八回まで行けたんですけど、最後の1人を抑えられなくて悔しいです」  --巨人戦はプロ入り初勝利です  「ありがとうございます」  --伝統の一戦での勝利は改めて  「去年まで外様感が強かったので伝統の一戦っていうのをそこまで重く受け止めていなかったんですが、この前の(今季限りで引退する藤川)球児さんの発言ですごく大事な試合だと改めて認識できましたので、本当に無事に勝つことができてよかったですし、球児さんの思いをしっかり選手全員が受け止めて頑張っていかないといけないなと思いました」  --巨人の連勝を5でストップ  「本当に強い相手ですし、この初戦を勝たないと流れというものを引きつけられないと思ったので、チーム一丸となって勝ててよかったです」  --ファンへメッセージを  「たくさんの応援ありがとうございました。最後の最後までたくさんの方が残っていただいて勝利を届けることができましたので、明日も是非球場に足を運んでください」

◆巨人・戸郷翔征投手(20)が4日、阪神11回戦(甲子園)に先発登板。5回2/3を投げて、ともに自身ワーストとなる10安打5失点で降板した。  二回に4番・大山の左越えソロなどで2失点。三回以降は持ち直したかに見えたが、六回にサンズにバックスクリーンへ2ランを許すなど5安打で3失点し、2死二、三塁で降板を告げられた。  今季は高卒2年目ながら菅野とともに先発ローテーションを引っ張る存在となり、試合前時点で7勝2敗、防御率1・90と抜群の安定感を誇っていた。しかし、この日は甘い球を阪神打線に捉えられた。

◆阪神は巨人に競り勝ち、6・5ゲーム差に迫った。試合後の矢野燿大監督との主な一問一答は以下のとおり。  --厳しいゲーム。最後は接戦をものにした  「めちゃくちゃドキドキして、みんなが粘ってやってくれたので、あとは応援するだけでした」  --打ちあぐねてきた戸郷だったが、大山が見事な先制弾  「先制できたのでリズムはできましたし、悠輔(大山)のホームランという形で。それで終わらずにもう1点いけたっていうのも大きかった」  --2点目は西勇のスクイズで  「西は投げるだけじゃなくてバッティングもいいですし、本当に野球センスがすごくあるんでね。打つ方にも期待しています」  --小幡にもタイムリー  「そうですね。ピッチャー(戸郷)も同級生で、宮崎で一緒に戦ったりしてると思いますし。そういうところでは向かっていって積極的に2本打ってくれたっていうのはうれしいですね」  --スアレスをイニングまたぎで投げさせた  「こういうことも想定してスアレスには(肩を)作ってもらっていたんで。巨人を追いかける立場としてはこういうこともしていかないと駄目かなと思って、思い切っていきました」

◆阪神は大山&サンズがバットで難敵を粉砕した。まずは二回。乾いた打球音とともに、白球は左翼席に突き刺さった。大山が昨季の自己最多に並ぶ先制の14号ソロ=写真。巨人戦の連続イニング無失点を「28」で止める一発となった。  「しっかりと自分のスイングをすることができてよかった。先制点を取ることができて、よかったです」  2戦2敗の戸郷がカウント3-1から投じた高めのスライダーを見逃さなかった。巨人戦は今季11試合目で初打点だ。  ボーアが左中間に運ぶ二塁打で続き、1死二塁からは9試合連続スタメン出場の高卒2年目、小幡が右前へクリーンヒット。同じ宮崎県出身で、同学年の戸郷とのプロ初対決で結果を出すと、西勇が一塁線にセーフティースクイズ。三走・ボーアが懸命に走って生還し、2点目を奪った。  絶対に負けられない一戦だった。首位・巨人とは7・5ゲーム差で迎えた甲子園での直接対決4連戦。このカードで負け越すようなことがあれば、7日に目の前で優勝マジックを点灯される可能性があった。前日3日、矢野監督は熱い思いを語っていた。  「やられていることも、僕ら自身が一番、分かってますし、勝たないと巨人を引きずり落とせない、僕らが上に行けないのは重々分かっています。タイガースファンのみなさんの思いも十分に分かっている。その思いを、この4連戦、しっかりぶつけていきたいと思います」  ここまで2勝8敗。前回8月18-20日の対戦では、25年ぶりの3試合連続完封負けを喫した。六回にはサンズがバックスクリーンに15号2ラン。難敵・戸郷をついにKOした。(三木建次)

◆阪神のホープ小幡が「高校の宮崎選抜でもチームメートだった」という同学年の戸郷から適時打を含む2安打。攻略に大きな役割を果たし「絶対に打ってやろうという気持ちで試合に臨んだ」と誇らしげに話した。  二回は右前打で好機を広げ、続く西勇のスクイズにつなげた。六回は1死一、二塁から左翼線へ流し打ってチーム5点目を生んだ。先にブレークした戸郷に「去年から活躍しているのを見て悔しかった」という対抗心を快打につなげ、甲子園のお立ち台に初めて上がった。

◆前日3日に疲労を考慮されてベンチ外となっていた阪神・スアレスが、ソフトバンク時代だった昨年8月31日の西武戦以来のイニングまたぎ。1点差とされた直後の八回2死一塁で登板すると、丸を空振り三振に斬った。九回も三者凡退に仕留めて、13セーブ目。矢野監督は「ジャイアンツを追いかける立場としてはこういうこともしていかないとだめかなと思って、思い切っていきました」と勝負手だったことを明かした。

◆前回対戦は3試合連続完封負けで、巨人戦は27回連続無得点の中、迎えた一戦。大山のアーチで負の連鎖を止めた。  「流れ、勢いをつけるというか、そういうところでは先取点が大きくなると思っていた。まずは先取点が取れて、勢いに乗れたかなと思います」  二回先頭、戸郷に先制パンチを食らわせた。高めに浮いたカットボールにフルスイング。左翼スタンドにほうり込み、右こぶしを握った。自身もこれが今季の巨人戦で初打点。流れを変える一発となった。  14号ソロで早くも自己最多の昨季にも並んだ。鈴木誠(広島)、丸(巨人)に並ぶリーグ3位。それでも「これで満足しているようでは、まだまだ。レベルアップしていきたいのはずっと思っている。1本でも多く打つことが目標」と首を振った。

◆終盤に1点差まで追い上げたが届かず、巨人の連勝は5でストップ。原辰徳監督(62)が、二回の2失点目を勝敗のポイントに挙げた。  「2点目がいけないね。バッテリーには工夫が必要でしょうね」  先制された二回、なお1死一、三塁で西勇にスクイズを決められた。カウント0-2で1球外してもいい場面。指揮官は既に7勝の20歳右腕に「戸郷も順調に来ているから、自分自身を見つめ直して」と促した。  西勇がスクイズを決めた際、打球を処理した中島と激突し、本塁への送球が遅れる"不運"もあった。西勇が一塁線の内側を走っているようにも見え「それじゃなきゃぶつからない」と指揮官。球審には守備妨害ではと説明を求めたが「一連の流れ、と。多くを語る必要はない」と感情をしまい込んだ。  2発を浴びて自己ワースト5失点で3敗目の戸郷は「球威を意識しすぎてコースが甘くなった」と反省した。13連戦は、あと9試合。まだ2位とは6・5ゲーム差あるが、原巨人は細部にこだわり、貪欲に勝利を追い求める。(伊藤昇)

◆122キロの巨体を揺らし、ボーアが猛然と突っ込んだ。左足から滑り込み、タッチを交わしてホームイン。1点だけでは勝てない-。矢野監督の執念が助っ人にも乗り移り、つかんだ2点目が、流れを引き寄せた。  「もうみんな分かってくれている。巨人に負けているのは分かっている。追いかける立場というのも、十二分に分かってくれているしね。もちろんその(逆襲の)気持ちはすごく感じた」  二回、大山の一発で先制した直後だ。ボーアが左中間二塁打を放つと、1死のあと小幡も右前打で1死一、三塁。ここで西勇が追い込まれてもバットを横にした。三走が決して足の速いわけではないボーアでも、追加点をもぎ取りにいった。  打球は一塁線に転がり、一塁・中島が西勇をタッチアウトした数秒の間も奏功して、B砲が本塁を陥れた。それまで2戦2敗、1得点しかできていなかった戸郷から足攻で追加点。指揮官は「終わらずにもう1点、いけたというのも大きかったと思います」とガッツポーズした。  六回には先頭で二塁打した糸井に代走・江越を送ると、続くサンズの初球ですかさず三盗。これで犠飛でも1点とゆとりが出た。結果、S砲が火を噴いて最高の結果に。前回8月18-20日の東京ドームでは3戦連続で完封負け。普通に打っていては勝てない。足を使い、隙を見逃さないしぶとい攻めで得点を重ねた。矢野監督は「うちの野球はこういう野球。失敗を恐れずチャレンジしてくれて、それがサンズのホームランを呼び込めた」と期待に応えたワンプレーをたたえた。  「ゲーム差とか先のことを考えるとどうしても苦しくなるんですけど、僕らは一戦一戦目の前の試合をどう戦うかというつもりで。明日からも一戦一戦を全員で戦っていきたいと思います」  まだ6・5ゲーム差と巨人の背中は遠いが、直接対決は13試合も残っている。しぶとく、泥臭く攻めて、チャンスをたぐり寄せていくだけだ。(大石豊佳)

◆白球は左翼線で弾んだ。小幡がライバル・戸郷から勝利を引き寄せるタイムリー。一塁上で、白い歯をのぞかせた。  「打った瞬間はファウルかな? と思った。歓声でやっとヒットを打ったと感じた。頭、真っ白でした」  六回、サンズの15号2ランで4-0とし、なおも1死一、二塁。押せ押せムードの中、戸郷の直球を逆方向へはじき返した。虎の10代野手が巨人戦でヒットを放つのは、1991年9月10日(東京ドーム)の新庄剛志以来。偉大な先輩に続く大きな一打だ。  気合を入れて臨んでいた。小幡の母校・延岡学園高と戸郷の聖心ウルスラ学園高は同じ宮崎・延岡市。対戦したことはなかったが、宮崎県選抜としてU18日本代表とともに戦った経験がある。  「去年から活躍していたのをみて、すごく悔しいなという気持ちもあった」  戸郷は昨年、1軍デビュー。今季は開幕ローテ入りして3連勝など大活躍していた。小園(広島)とともに、意識するライバルとして名前を挙げていた存在。初対戦の二回1死二塁では初球を右前打。8月29日の広島戦(マツダ)以来となるマルチ安打で、同級生対決を制した。  矢野監督は「活躍で圧倒的に上にいかれている同級生に対して、負けられない気持ちもあるだろうし。それを結果で出すことは簡単ではない」と目を細めた。  この日、正二塁手だった糸原が1軍に復帰したが、スタメンで起用してくれた将の期待に応えた。「誰にでも負けたくないですね」と力を込めた19歳。初の甲子園のお立ち台では、ファンに向けて自己紹介で締めた。  「2年目の小幡です。同期では近本さん、木浪さんが去年から活躍していますけど、自分も覚えてもらえるように頑張ります」  まだまだ走り出したばかり。若虎が逆襲への大きな力になる。(菊地峻太朗)

◆1分1秒でもマウンドに立ち続けたい-。甲子園の中心で誰よりも勝利への執念を見せたのが、西勇だった。123球の熱投で、プロ12年目にして巨人から初白星。お立ち台で喜びを口にした。  「去年まで外様感が強かったので、伝統の一戦というのをそこまで重く受け止めていなかったんですが、球児さんの発言ですごく大事な試合だと改めて認識できました。本当に無事に勝つことができてよかったです」  六回まで二塁を踏ませない完璧な投球。七回に小幡の失策からピンチを招いて2失点。八回2死二、三塁で岡本に2点打を浴び、交代が告げられた。それでも7回2/3を4失点(自責3)と試合を作って5勝目を挙げた。  勝たなければならない理由があった。「先輩が残してくれたものは偉大ですし、後輩が受け継ぐのはもちろんのこと。最後のミーティングでの言葉にも重みがあった」。1日に藤川が引退会見。クラブハウスを訪れ、ナインにハッパをかけた。虎戦士なら、巨人に向かっていけ-。当日の練習では西勇自らが動いて、藤川の登場曲を球場に流し、チームの士気を高めた。生え抜きではないため、伝統の一戦には気後れする面もあったが、それも吹っ切れた。  これで巨人からも初勝利を挙げ、古巣・オリックス以外の11球団から勝ち星。11度目の挑戦で手にした1勝にも「誰だろうが先発に勝ちがつくことはいいこと」と冷静に振り返った。  「言葉を大事に受け止めて、球児さんが花道を飾れるように、みんなで一生懸命やらないといけない」  思いは一つ。虎を支えてきた先輩をもう一度、G倒のマウンドに立たせるためにも。チームを勝ちに導くために、腕を振る。(織原祥平)

◆大逆襲の始まりだ! 阪神は首位・巨人に5-4で競り勝った。六回にジェリー・サンズ外野手(32)が値千金の15号2ラン。前回、東京ドームで対戦した8月18-20日はすべて完封負けという屈辱を食らったが、本拠地に戻ってリベンジした。貯金は今季最多の「3」だけど、ゲーム差はまだ「6・5」。勝って勝って勝ちまくって、首根っこをつかまえるで!  打った瞬間、白球はバックスクリーンに向かって一直線。サンズは満面の笑みを浮かべてダイヤモンドを一周すると、すっかり虎党の間でもおなじみになった「ハッピーハンズ」の儀式で、ベンチを盛り上げた。  「いい形になってよかった。糸井さんが打ってくれて、江越が三盗を決めてくれたから。ホームまでかえしたいと思っていたんだ」  二回に大山の一発などで2点を先制。そろそろ追加点がほしかった六回だ。先頭の糸井が二塁打で出塁すると、代走・江越が三盗に成功。2人のためにも...という思いも込めて、直球をフルスイング。最後は1点差に迫られただけに、値千金の一発となった。  首位・巨人にこの4連戦で負け越せば、7日にも宿敵に優勝マジックが点灯する可能性があった。だが、初戦を制したことで8日以降となり、甲子園でともされることは阻止。それ以外にも価値ある1勝となった。  前回8月18-20日の東京ドームでは、25年ぶりの3試合連続完封負け。まずはその嫌な流れを断ち切った。さらに、先発・戸郷は前回の第3戦の先発。七回途中まで3安打しかできず、11三振を奪われた。8月5日の初対決(甲子園)でも八回途中でわずか1得点、10三振。S砲も4打数無安打に抑えられていた。  だが、この日は三回の中前打と合わせて2安打2打点。難敵をついに攻略し「戸郷投手は阪神相手にすごくいい投球をしていた。しっかりプランを立ててインコース、アウトコースを見極められた」と胸を張った。  うれしいプレゼントもあった。今季からユニ・チャームから賞金100万円が贈呈される「バックスクリーンホームラン賞」ができた。第1号は7月21日の広島戦でサンズだった。そして2本目も...。賞金の使い道を問われると「子供が大学に行く費用をためたい。それにあてたいと思います」と笑顔。これでここ8戦で6発という暴れっぷり。この日も球場に来ていた家族の前で、頼もしいところを披露した。  得点圏打率・447は引き続きリーグトップ。15本塁打は19発の巨人・岡本に続く単独2位だ。ボーアの陰に隠れて目立たない存在だったが、この1カ月で立場は逆転。甲子園で打席に立つと、虎党のメガホンがもっとも響き渡る。矢野監督も「ランナーを置くと集中力を高めて、チームのために打ってくれて。頼もしいです」と絶賛した。  「明日もいい形で、巨人戦に向かえるかなと思います」  頼りになる助っ人はニッコリ。貯金は今季最多の3となったが、ゲーム差はまだ6・5。グングン縮めるためにも"サンズ祭"をまだまだ終わらせるわけにはいかない。(三木建次)

◆虎がほえたー!  二回、大山の先制14号や! 西勇のスクイズで2点目や! 六回はサンズの15号2ランにピチピチの19歳・小幡のタイムリーで今季ここまで2敗、防御率0・66の戸郷を10安打5失点のボコボコ、サンドバッグ状態にしたったわー! よっしゃ、こよいは虎勝利の大宴会や!! 飲めや~、歌えや~って...。そーはいくかいな!  開幕カードは、東京ドームで3連敗。さらに前回は屈辱の3試合連続零封負け...。それをこんな1勝でごまかされるかー! この甲子園対決4つ全部勝ったら宴会も考えたるわ~。  その一方、何という荒々しく美しい西勇のマウンドであったことか...。オリックス時代から対巨人で白星がない? いや、そんなことやなくて「負けたらセ・リーグのV争いを消してしまうやないかー!」の最初から命さえ削るような全身全霊を尽くした魂のピッチング...。まさしくホンモノの虎をそこに見た!  さ、2戦目先発の藤浪晋太郎! 巨人の打者にボールさえ当てさせないビッグ投球やったれー!!

◆戸郷が正念場を迎えている。さすがに疲労がたまっているのか。球速こそ出ているものの、ストレートの質が落ちたように映る。  もともと、シュート回転はしていた。その曲がり幅が、大きくなった。右打者の外角を狙うと、中へ中へと入り、甘くなる。内角を狙うと、外れてボールになり、カウントを悪くする。ストライクゾーンが右方向(右打者寄り)にズレて、苦しいピッチングになっている。  上体に頼って投げると、体の開きが早くなって、こういう球筋になる。つまり、下半身が十分に使えていないのか...。疲労と表現したのは、そういう理由からだ。  高卒のプロ2年目。体の線は細く、まだ発展途上。1シーズンを乗り切るのは、楽ではないだろう。首脳陣もここまで、登板間隔や球数を考慮して、大事に扱ってくれている。  それでも、優勝へ向けて、欠かせないピースであることも確か。その使命感も燃やして、今の自分に何が必要なのか、見つめ直してほしい。 (本紙専属評論家)

◆阪神にとって一番大事なのは、4連戦の初戦に勝つことだから、その点では「いい試合」だった。ただ、終盤の反撃を許したのは、今後を考えると大きな不安材料だ。  継投が遅かった。この一点に尽きる。七回の西勇は、一気に疲れが出てきていた。最後は併殺でしのぎ、辛うじていい形で終われたのだから、そこで交代すべきだった。  エースだから続投させたのか、本人が志願したのか、定かではないが、八回に岩貞、九回にスアレスという任せられる投手がいるのだから、キッチリ継投に入るべき。  西勇は好投手であることは間違いないが、点差が開くと"それなりの投球"をしてしまう癖がある。その傾向をベンチが把握していれば、なおさら交代だった。  継投が遅れたため、阪神はスアレスにイニングまたぎを強いる結果に。同時に、静かに終わらせることができたはずの巨人打線に勢いをつけてしまった。5日以降の戦いに影響しかねない、阪神ベンチが見せた隙だった。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
38223 0.633
(↓0.011)
-
(-)
57306
(+4)
213
(+5)
83
(-)
38
(+1)
0.260
(↓0.001)
3.330
(↓0.03)
2
(-)
阪神
32293 0.525
(↑0.008)
6.5
(↑1)
56271
(+5)
249
(+4)
61
(+2)
44
(+2)
0.243
(↑0.001
3.440
(↑0.01)
3
(-)
DeNA
31314 0.500
(-)
8
(↑0.5)
54273
(+12)
262
(+12)
63
(+1)
13
(-)
0.269
(↑0.002)
3.830
(↓0.13)
4
(-)
中日
30334 0.476
(↑0.008)
9.5
(↑1)
53229
(+4)
274
(+2)
36
(+1)
17
(-)
0.240
(-)
3.790
(↑0.03)
5
(-)
広島
25327 0.439
(-)
11.5
(↑0.5)
56280
(+12)
301
(+12)
66
(-)
25
(-)
0.266
(↑0.002)
4.300
(↓0.08)
6
(-)
ヤクルト
25345 0.424
(↓0.007)
12.5
(-)
56269
(+2)
329
(+4)
56
(+1)
39
(-)
0.249
(↓0.001)
4.710
(↑0.01)