巨人(★2対3☆)ヤクルト =リーグ戦5回戦(2020.07.12)・ほっともっとフィールド神戸=
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ヤクルト
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巨人
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勝利投手:高梨 裕稔(1勝1敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(1勝1敗4S))
敗戦投手:桜井 俊貴(1勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】青木 宣親(4号・3回表ソロ)
【巨人】中島 宏之(3号・4回裏ソロ)

  DAZN
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◆ヤクルトは初回、村上の適時打で先制に成功する。そのまま迎えた3回表には、青木がソロを放ち、リードを広げた。投げては、先発・高梨が5回2失点。その後は4投手の継投で逃げ切り、高梨は今季初勝利を挙げた。敗れた巨人は、9回に一打同点の好機をつくるも、あと一歩及ばなかった。

◆巨人は、吉川尚輝内野手(25)が4試合ぶりにスタメンに名を連ねた。11日のヤクルト戦でスタメン復帰した坂本勇人内野手(31)も「2番遊撃」でスタメン出場。7月2日の中日戦と同じオーダーを組んだ。

◆ヤクルトの球団通算8001号も、青木宣親外野手が放った。 1-0で迎えた3回2死、カウント2-1から巨人先発桜井の4球目、143キロ直球をバックスクリーン右へ運ぶ4号ソロで追加点を挙げた。「とにかく、打席の中で自分のスイングをすることを心がけました。いいスイングができて、いい角度で上がってくれました」とコメントした。 11日の巨人戦では、初回に球団通算8000号のメモリアル弾となる3号ソロを放っており、2試合連続本塁打をマークした。

◆ヤクルトの4番村上宗隆内野手(20)が、適時打を放った。 1点差に詰め寄られた5回2死一、二塁、カウント2ボールから巨人桜井の内角低め128キロカットボールにうまく合わせて右前打とし、1点を追加。桜井を先発マウンドから降ろした。 塁上で、両手でガッツポーズをした村上は「点を取られた後だったので、すぐに取り返したかった。積極的に仕掛けることができました。ランナーをかえすことができてよかったです」とコメントした。 1回には、2死一塁でカウント3-1から巨人桜井の内角高め141キロ直球を左中間へ。打球は高く上がったが、中堅手丸と左翼手亀井がお見合い。2人の間にポトリと落ちる二塁打で走者青木が一気に生還し先制点も挙げた。 開幕から4番に座り続ける若き主砲が打点を挙げ、存在感を見せた。

◆ヤクルトの先発、高梨裕稔投手は、5回を被安打5の2失点、100球でマウンドを降りた。 2-0で迎えた3回、2死二、三塁のピンチで巨人3番丸を徹底的に外角攻め。フルカウントから外角いっぱいに147キロの直球を投げ込み見逃し三振。右手でガッツポーズを決め、捕手西田と目線を合わせると笑顔を見せた。 「今日は先制点を与えないように、丁寧に投げることを心掛けました。野手の方が先制してくれたのでテンポよく投げることができました。ピンチの時は特に低めを意識して、大量失点しないように粘ることができました。また次回、今日の反省を生かして調整したいです」とコメントした。

◆巨人中島宏之内野手(37)が、地元・兵庫で凱旋(がいせん)アーチを放った。 2点を追いかける4回2死、ヤクルト高梨の139キロのカットボールを左翼席中段に運んだ。2点を追いかける5回2死一、二塁からは丸が中前適時打。「打ったのはフォーク。チャンスだったので、積極的にいきました。打てて良かった」とコメントした。

◆巨人ヘラルド・パーラ外野手(33)が、二塁ベースへのスライディングを守備妨害ととられ、同点のチャンスを逃した。 1点を追いかける6回1死一、三塁、炭谷の遊ゴロで二塁へ激しいスライディング。二塁手の山田哲が大きく体勢を崩した。併殺崩れで1度はスコアボードに1点が刻まれたが、ヤクルト高津監督がリクエスト。守備妨害と判定され、打者走者の炭谷もアウトを宣告された。 パーラには警告が与えられた。

◆ヤクルトは1回、4番村上の適時二塁打で先制。3回にも3番青木の2試合連続となる4号ソロで1点を追加した。 ヤクルトは4回に1点差に迫られたが、5回に村上の適時打で2点差に。巨人はその裏、丸の適時打で再び1点差に追い上げた。 ヤクルトが昨年4月以来の首位に立った。先発高梨は今季1勝目、石山が4セーブ目を挙げた。巨人は今季初のカード負け越しを喫し、2位に順位を下げた。先発桜井は今季初黒星。

◆ヤクルト先発の高梨裕稔投手は5回5安打2失点、100球で今季初勝利を挙げた。 2-0で迎えた3回、2死二、三塁で巨人3番丸をフルカウントから外角いっぱいに147キロ直球で見逃し三振。ガッツポーズを決め「最低限は投げられた。チームの勝ちにつながってよかった」。 打撃でもプロ初のマルチ安打を放ち、盗塁も試みた。「(安打は)たまたまです。なんとかチャンスを作りたかった。(盗塁の)スライディングは高校以来で、ドキドキしながら走りました」と笑った。

◆ヤクルトが今季初の4連勝で首位浮上。1回に村上の適時二塁打で先制し、3回に青木のソロ、5回に村上の適時打で加点した。高梨は5回2失点で今季初勝利。救援陣が無失点でつないだ。巨人は攻守にミスが出て4連敗で2位転落。

◆巨人ヘラルド・パーラ外野手が、二塁ベースへのスライディングを守備妨害と判定され、同点のチャンスを逃した。1点を追う6回1死一、三塁、炭谷の遊ゴロで二塁へ激しいスライディング。二塁手の山田哲が大きく体勢を崩した。 併殺崩れで1度はスコアボードに1点が刻まれたが、ヤクルト高津監督がリクエスト。守備妨害と判定され、打者走者の炭谷もアウトを宣告された。責任審判の丹波三塁塁審は「(スライディングが山田に)近すぎる。あまりに勢いがあり、ベースを越えている」と説明。正しいスライディングとされる「ボナファイド・スライディング」ではないと判定した。 ◆ボナファイド 英語でbona fideとは「正しい」の意味。ボナファイド・スライディングは「正しいスライディング」。スライディングは終了後、本塁を除いて、ベース上にとどまろうとすることが求められる。

◆ヤクルト4番村上宗隆内野手が2打点を挙げ、リーグ単独トップに立つ通算20打点とした。 1回2死一塁で巨人桜井の内角高め141キロ直球を左中間へ。打球は高く上がったが、中堅丸と左翼亀井がお見合い。2人の間にポトリと落ちる二塁打で、走者青木が一気に生還し先制点を挙げた。5回には右へ適時打。高津監督は「チャンスで回ってくることが多いので、どうかえすかが4番のテーマ。打席の中でもよく考えているし、すごくいい結果が出てきている」と評価した。

◆巨人は攻守のミスがスコアに絡み、今季初の4連敗で開幕から守り続けた首位から2位に転落した。原辰徳監督はグッと目を見開き「あぁ、そうですか。そうですね。そうですか、というところでしかない」と声の音量を少し上げ、独特な言い回しで受け止めた。 幻の同点劇が、重くのしかかった。1点を追う6回1死一、三塁。炭谷の遊ゴロに一走のパーラがセーフを狙った必死のスライディング。勢い余って二塁上の山田哲と激突。高津監督がリクエストし、この接触が守備妨害と判定され、打者走者の炭谷もアウト。パーラには警告が与えられた。 審判に説明を求めた原監督は、勝敗を分けたシーンを冷静に振り返った。「パーラも悪気はないんだけど、勢い余って。自分もセーフになりたかったわけだから、ベース板を通り越したところでああいう判断だったと。今後は注意して、そういうことのないように」と再発防止を誓った。 取ったはずのゼロも幻と化した。1回2死一塁、村上の左中間への飛球を中堅丸と左翼亀井がお見合い。記録は安打もミスで先制点を失った。指揮官は「細かなミスというのは、負けてる時は目立ちますよね。それをはねのけていくのがチーム力」とゲキ。1点届かず、今季初のカード負け越しも決まった。 長嶋終身名誉監督を超える原監督の通算1035勝目は、14日の広島戦に持ち越された。1点差の9回には新守護神の沢村を投入。勝利への執念を示した原監督は「もう少し点を取らないといかんね」と4戦連続1ケタ安打の打線に奮起を求めた。【久保賢吾】

◆前評判を、みんなで覆す! ヤクルトが巨人との首位攻防戦を3-2で制し、今季初の4連勝で初の首位に立った。高津臣吾監督(51)が指揮をとって19試合目。先発高梨裕稔投手(29)が今シーズン初勝利を挙げ、打線は少ないチャンスで4番村上宗隆内野手(20)が適時打を放ち、投打がかみあった。昨季最下位から、燕が下克上を狙う。ゆっくりと、マスク姿の高津監督がベンチから出てきた。就任後初めて、三塁線近くまで歩を進め佐藤球審に声をかけた。「これは、リクエストできますか?」。勝負どころと読んだ。6回1死一、三塁で巨人炭谷の併殺崩れの間に三走が生還し同点に。この際の二塁封殺の判定を巡り、リプレー検証を要求した。結果、判定は覆って打者走者もアウトの併殺打。得点も取り消された。「同点にされるか、チェンジになるか、すごく大きな1プレーだった。よかった」。選手とともに勝利をつかんだ。 キャンプイン前、選手に強いメッセージを打ち出した。「去年の悔しさ、悲しさ、むなしさを忘れずに、エネルギーにして戦おう」。過去は変えられないが、糧にできる。指揮官の根性と選手の意地が重なり合い、"反骨心"になる。5回、先頭で高梨が右前打で出塁。2死一、二塁からの村上の右前打で、二塁から一気にホームを駆け抜けた。この激走が結果的に貴重な追加点をもたらした。「1つでも前へ、1つでも上へ」という戦う意思の表れ。この日だけではない。開幕からナインは体現してきた。打線では山崎、西浦ら伏兵が躍動。チーム盗塁数16はリーグトップ。監督自らサインを出し、エンドランなどを積極的に仕掛ける。 親心が選手の闘志を育てる。練習中には山田哲ら中堅だけでなく、梅野、寺島ら若手にも積極的に声を掛ける。昨年まで3年間、2軍監督を務めており、目には優しさも込められている。「選手は息子たちと同世代。長男は梅野、寺島、次男は奥川と同じ学年。ファームでずっと見ている選手は、なんとかしてやりたいと思う」。 開幕時に想定していた勝ちパターンの長谷川、梅野は不調な時期もあったが、粘り強く使い続けた。この日も1点差の6回から長谷川-梅野-清水-石山とつなぎ、無失点リレー。開幕前には多くの解説者から最下位予想に挙げられたが、前評判は関係ない。初の首位。「一番上の気分は、悪くないですね」。この景色は、譲らない。【保坂恭子】

◆ヤクルト高津臣吾監督(51)は、出場選手登録を抹消となった捕手嶋について「嶋も非常に悔しいと思う。非常に残念。他の捕手にとってはチャンスなので、みんなで盛り上げてほしい」と話した。 また6回1死一、三塁で巨人パーラのスライディングを二塁ベース上で受けた山田哲が、7回の守備から途中交代したが、プレーの影響ではなく「疲れないと言ったら、ウソになる」と連戦の疲労を考慮した采配と説明。負傷ではないと話した。 ここまで青木、エスコバーらをコンディション調整のためにスタメンから外すなど、シーズンを見据えた配慮をしている。14日以降の戦いについても「来週からも、少しずつ休ませながらと思っている」と話した。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(20)が12日、巨人5回戦(ほっと神戸)に「4番・三塁」で先発出場。一回2死一塁から、中堅への先制適時二塁打を放った。  相手の先発右腕・桜井が投じた141キロの直球を捉えた打球は、高々と上がって左中間方向へ。左翼手・亀井と、中堅手・丸が捕球を譲り合い、両選手の間にポトリと落ちるラッキーな安打となった。  試合前の時点でセ・リーグトップタイの18打点を記録していた村上。4番に座る20歳が、試合開始早々しっかりと仕事を果たした。

◆ヤクルト・青木宣親外野手(38)が12日、巨人5回戦(ほっと神戸)に「3番・左翼」で先発出場。1点リードの三回2死から、バックスクリーン右への4号ソロを放った。  相手の先発右腕・桜井が投じた143キロの直球を一閃。前日11日の同戦で球団通算8000号のメモリアルアーチをかけたベテランは、2試合連続となる一撃に「とにかく打席の中で自分のスイングをすることを心がけました。良いスイングができて良い角度で上がってくれました」とうなずいた。

◆巨人・桜井俊貴投手(26)が12日のヤクルト戦(ほっと神戸)に先発し、4回2/3を5安打3失点。今季2勝目をつかむことはできなかった。  同球場での登板は2018年3月10日のオリックスとのオープン戦以来。この日は一回に味方の記録に残らないミスもあって先制を許すと、三回には青木にバックスクリーン右へのソロを被弾。五回2死一、二塁で村上に右前適時打を浴びたところで、降板した。  兵庫・神戸市出身の右腕は、ほっと神戸から約2キロの距離にある北須磨高を卒業し、実家も同球場のほど近く。立命大時代にも登板したことがあるマウンドでの"凱旋登板"で白星を飾ることはできなかったが、雄姿を届けた。

◆ヤクルト・高梨裕稔投手(29)が12日、巨人5回戦(ほっと神戸)に先発。5回100球を投げ、5安打2失点と粘りの投球を見せた。  「先制点を与えないように丁寧に投げることを心掛けました。野手の方が先制してくれたのでテンポよく投げることができました」  序盤から、切れのある直球を軸に巨人打線と対峙(たいじ)した。毎回走者を背負う苦しい展開も、「ピンチの時は、特に低めを意識して大量失点しないように粘ることができました」と要所を締めて大崩れはしない。三回1死二、三塁では、2番・坂本を右飛、3番・丸を見逃し三振に抑えた。  打っては二回に左前打、五回に右前打を放つなど「打」でも魅せた高梨。日本ハム時代の2016年に新人王に輝いた右腕は、「また次回、今日の反省を生かして調整したいです」とこれからもチームのために腕を振る。

◆巨人とのゲーム差0・5で迎えた首位攻防戦は、ヤクルトが1点を争う緊迫した一戦を制し、単独首位に立った。ヤクルトは引き分けをはさんで4連勝。一方の巨人は4連敗を喫した。  ヤクルトは一回2死一塁、村上が巨人先発・桜井の直球を捉え左中間に打球を放つと、左翼手・亀井と中堅手・丸が捕球を譲り合い、その間にポトリと落ちるラッキーな適時二塁打で1点を先制した。  三回には青木が中越え4号ソロ本塁打。球団通算8000号のメモリアルアーチを打った11日に続く一発で突き放した。  巨人は四回、中島の左中間ソロ本塁打で1点差に迫ったが、ヤクルトは五回、2死一、二塁で村上の中前適時打で3-1とした。  巨人はその裏、丸の中前適時打で再び1点差に詰め寄った。六回1死一、三塁で炭谷の遊ゴロ併殺崩れの間に三塁走者が生還したが、二塁ベース上で一走のパーラと山田哲が接触。パーラの激しいスライディングの影響で山田哲は一塁へ送球できなかった。ヤクルト・高津監督のリクエストの結果、守備妨害となり、1点は取り消された。  この重い1点を失った巨人は九回、抑えの石山を攻め立てて1死二塁のチャンスを作るも、大城が見逃し三振、石川が空振り三振に倒れた。ヤクルトは先発の高梨が今季初勝利を挙げた。  ◆ヤクルト・高津臣吾監督 「打つ方がチャンスらしいチャンスがなくて、よく粘ったゲームができた。今日取れたことがすごく大きい。ひとつでも前へという気持ちを常に持って戦っている。今、一番上ということで気分は悪くないんですけど。まだまだ成長していかなくてはいけないところはたくさんある。全力で戦っていく」

◆ヤクルトの青木が2試合連発の4号ソロを放ちチームの首位浮上に貢献した。1-0の三回2死で桜井の直球を捉えると、打球はゆっくりとバックスクリーン右のスタンドに入り「とにかく打席の中で自分のスイングをすることを心掛けた。いいスイングができて、いい角度で上がってくれた」とうなずいた。  前日11日に球団通算8000号を放ち、8001号も記録した。守る左翼後方にはヤクルトファンが陣取り「守っていても打席にいても、本当に勇気づけられている」と声援を力に変えた。(ほっと神戸) 高津監督(首位浮上に) 「気分は悪くない。でも、この時期なのであまり意識はしていない。勝っても反省、負けても成長していきたい」 高梨(5回2失点で今季初勝利) 「本当に最低限の仕事が何とかできた」

◆巨人の中島が3号ソロを放った。0-2の四回2死で、高梨の速球を完璧に捉えて左中間席へ運んだ。地元の兵庫県での一発を「強いボールに負けず、振り抜くことができた」と満足そうに振り返った。  2-3の九回にも先頭打者で右前打を放ち、好機につなげた。勝利はならなかったが、元気のない打線の中で37歳のベテランが存在感を見せた。 丸(五回に初球を適時打) 「チャンスだったので積極的にいった。打てて良かった」 原監督(五回途中3失点で今季初黒星の桜井に) 「粘り強く放ってたとは思うが、少しボール先行が多かった」

◆先発のヤクルト・高梨が5回5安打2失点で今季初勝利(1敗)を挙げた。毎回走者を背負ったが、三回1死二、三塁では2番・坂本を右飛、3番・丸を見逃し三振に抑えるなど粘りの投球。打っては2打数2安打で、二回には二盗を狙う(結果は失敗)など攻撃でも奮闘した右腕は「勝たせてもらったと思っているので、今度は自分が勝たせられるような投球ができれば」と次を見据えた。(ほっと神戸)

◆先発の巨人・桜井は4回2/3を5安打3失点。5回を投げ切れず、今季初黒星を喫した。ほっともっとフィールド神戸は実家から近く、母校・北須磨高から約2キロ。好投で故郷に錦を飾りたかったが、4番・村上に2本の適時打を浴びるなど踏ん張れなかった。原監督は「粘り強く放っていたとは思いますけどね。少しボール先行が多かったかな」と評した。(ほっと神戸)

◆巨人は、流れを呼び込めず今季初の4連敗となった。3試合が雨天中止となったこの週は3戦全敗。原辰徳監督(61)に笑顔はなかった。  「パーラも悪気はない。今後そのことは注意して、ないようにね。しかし、その前に何とかせにゃいかん。もう少し点を取らにゃいかんよね」  反撃ムードにブレーキをかけたのは2-3の六回のプレーだ。1死一、三塁で、一塁走者のパーラが炭谷の遊撃へのゴロで二塁ヘスライディングした際に二塁手の山田哲と接触。山田哲は一塁送球ができなかった。  ヤクルト・高津監督のリクエストによるリプレー検証で、併殺崩しの危険なスライディングと判定され、一走、打者走者ともアウトとなり、パーラには警告が与えられた。同点のはずが一転、無得点で攻撃終了となった。  丹波責任審判は「ベースに向けてスライディングはしているんですけど、勢いついて(ベースを)越えた」と説明。パーラが滑り込んだ後に、体がベースを通り越したことが、野球規則で規定されている"正しいスライディング"に違反したとみなされた。  守備では、一回2死一塁で、左中間に上がった飛球を左翼手の亀井と中堅手の丸が譲り合う格好で打球が間に落ち、適時二塁打とされた場面も。攻守で流れをつかみきれず、惜敗を喫した。  今季初めて首位の座を奪われたが、指揮官は「そうですか、というところでしかない」と一笑に付した。14日からは敵地での広島戦。一戦必勝の先にこそ、首位奪還がある。(谷川直之)

◆ヤクルトは12日、巨人5回戦(ほっと神戸)に3-2で勝利。引き分けを挟む4連勝で昨年4月20日以来、449日ぶりのセ・リーグ首位に立った。4番・村上宗隆内野手(20)が一、五回に適時打を放つなど3安打2打点。リーグ一番乗りで20打点に到達する活躍を見せ、勝利に貢献した。チームの好調の裏にあるのが、高津臣吾監督(51)のチームづくり。経験豊富な指揮官の"哲学"が躍進を支えている。  当初から3カ月遅れで始まった前例のないシーズン。高津監督率いるヤクルトが開幕19試合目、観客がスタジアムに戻ってから2試合目でリーグ首位に立った。  「この時期なので(順位を)そんなに意識することはないですけど、一つでも前へ、上へという気持ちで戦っている」  昨年4月20日以来449日ぶりの位置にも、指揮官は満足感に浸る様子なく視線を鋭くした。  勝利をもたらしたのは、高津監督が開幕から4番を任せる村上だった。まずは一回2死一塁。左中間深くへ打ち上げ、譲り合った左翼手・亀井と中堅手・丸の間にポトリと落ちる幸運な先制の二塁打を放った。  2-1の五回2死一、二塁では、桜井のカットボールをフルスイングで捉え、低いライナーで右前に運んだ。19試合目にして、今季リーグ一番乗りで20打点に到達する一打に「点を取られた後だったので、すぐに取り返したかった。積極的に仕掛けることができました」とホッとした表情。燕党から大きな拍手が送られ、左翼スタンドでは傘が揺れた。  新人王に輝いた昨季は36本塁打を放った一方で打率は・231と安定感を欠いた。しかし、今季は・357の高打率。指揮官は「4番打者のテーマというか、走者をかえすことに関してはいい結果が出てきている」とした上で「厳しい目で見ていきたい」と20歳の大砲に高い期待をかけた。  チームを支えるのが、高津監督が2017-19年の2軍監督時代に指導してきた若手選手たちだ。村上を筆頭に、5番打者に定着しつつあるプロ5年目の山崎や寺島、梅野、清水の救援陣らが結果を残している。昨季は首位に立った後にリーグワーストの16連敗を経験したが、その轍を踏まないだけの選手層が、今のチームにはある。  キャンプイン前日の今年1月31日。ミーティングで指揮官はナインに「一打席、一球、一試合、全員で成長していくこと」「昨季の悔しい、つらい、悲しい思いを胸に秘めて戦うこと」「ノビノビできる風通しのいい現場をつくること」の3点を強く求めた。  6月19日の開幕日には改めて「一打席、一球、一試合、一日、一年たったら、必ずうまくなってくれ。悔しい思いを胸に秘めて2020年に託そう」と語りかけた。現役時代に日米通算313セーブを挙げた元守護神が伝えた心構えが、「ノビノビ」とした若手の躍動につながっている。  「勝っても負けても反省すること、成長することはたくさんある。(選手の成長に)実感は多少あります」と高津監督はうなずいた。今季のチームスローガンは『NEVER STOP突き進め!』。戦いは、序盤。まだまだ立ち止まりはしない。(横山尚杜) ★若き救援陣が0封リレー  高津監督の教えは、若き救援陣の躍動にもつながっている。六-八回は、ソフトバンクから加入した21歳左腕・長谷川、同学年の梅野、昨年のD1位右腕で今季はリリーフを任される清水が、1回ずつ登板して無失点と好投して逃げ切った。特に、清水は10試合目の登板でも失点せず防御率0・00をキープ。現役時代に救援で日米通算313セーブを挙げた高津監督は"チルドレン"たちの活躍に「先発が5回で降りてしまったけど、よく粘ったゲームができた」と目を細めた。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ヤクルト
1171 0.611
(↑0.023)
-
(↓0.5)
10192
(+3)
91
(+2)
19
(+1)
16
(-)
0.247
(↓0.003)
4.240
(↑0.12)
2
(1↓)
巨人
1071 0.588
(↓0.037)
0.5
(↑0.5)
10290
(+2)
63
(+3)
22
(+1)
13
(+1)
0.261
(↓0.002)
3.470
(↑0.02)
3
(-)
DeNA
1190 0.550
(↓0.029)
1
(↓0.5)
10091
(+1)
71
(+2)
20
(-)
3
(-)
0.285
(↓0.007)
3.490
(↑0.07)
4
(-)
広島
891 0.471
(↑0.033)
2.5
(↑0.5)
10292
(+7)
74
(+2)
19
(-)
7
(-)
0.288
(↑0.003)
3.980
(↑0.12)
5
(-)
中日
8121 0.400
(↓0.021)
4
(↓0.5)
9973
(+2)
108
(+7)
12
(-)
3
(-)
0.261
(-)
5.050
(↓0.09)
6
(-)
阪神
7110 0.389
(↑0.036)
4
(↑0.5)
10250
(+2)
81
(+1)
18
(-)
13
(-)
0.230
(↑0.002)
4.360
(↑0.22)