ソフトバンク(☆4対3★)楽天 =リーグ戦1回戦(2020.07.07)・福岡PayPayドーム=
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楽天
2010000003511
ソフトバンク
21001000X4612
勝利投手:千賀 滉大(1勝0敗0S)
(セーブ:森 唯斗(0勝1敗3S))
敗戦投手:弓削 隼人(2勝1敗0S)

本塁打
【楽天】浅村 栄斗(8号・3回表ソロ)
【ソフトバンク】柳田 悠岐(4号・1回裏2ラン),栗原 陵矢(3号・2回裏ソロ)

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◆ソフトバンクは2点を先制された直後の1回裏、柳田に2ランが飛び出し同点とする。その後3-3となって迎えた5回には、無死二塁から柳田が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・千賀が今季初勝利。敗れた楽天は、打線が4回以降1安打と振るわなかった。

◆ソフトバンク千賀滉大投手が、右上腕部違和感からの復帰初戦で160キロ超えの直球を投げ込んだ。 楽天1回戦の1回、先頭・茂木への4球目に自己最速タイとなる161キロを記録した。159キロを3球続けた後だった。5球目の内角159キロで見逃し三振に仕留めた。

◆楽天島内宏明外野手(30)がソフトバンク先発千賀の剛速球を捉え、先制の2点適時二塁打を放った。 初回2死一、二塁、カウント2-2から外角155キロ直球を強振。中堅やや左フェンス直撃の当たりを放ち、二者を生還させた。 ロッテとの前カードで25打数13安打、打率5割2厘と絶好調の島内は広報を通じて「打ったのはまっすぐ。昨日コンビニに行ったらお婆(ばあ)ちゃんにいきなり声をかけられてバッティング指導を受けました。そのとおりに打ったら奇跡が起きました。お婆ちゃん、ありがとう。(真剣な表情で)」とコメントした。

◆楽天浅村栄斗内野手がソフトバンク千賀から、3戦連発の8号ソロを放った。1点を勝ち越された直後の3回1死。内角低めの初球124キロカーブをすくい上げ、左翼席中段へ強烈な打球をたたき込んだ。 「打ったのはカーブ。打ててよかったです」と淡々と振り返った。

◆ソフトバンクは0-2の1回に柳田が同点2ラン、2回に栗原の3号ソロで勝ち越し。楽天は3回に浅村の8号ソロで同点とした。 ソフトバンクは5回に柳田の適時打で勝ち越し。先発千賀は4回から2イニングを無安打無失点。6回終わって4-3とリードした。 ソフトバンクがそのまま逃げ切って勝利。千賀は今季初登板初先発で初勝利をマークした。楽天の連勝は3でストップした。弓削が今季初黒星。

◆楽天弓削隼人投手がソフトバンク柳田に力負けした。初回に同点2ラン、5回に決勝の中前適時打を献上。 いずれも初球の直球をたたかれた。開幕から自身2連勝で臨んだが、6回4失点(自責3)で今季初黒星。「力勝負だとどうしても劣ってしまう。次に対戦する時はもう少し頭を使って投げられれば」と反省した。

◆楽天三木肇監督(ソフトバンクとの今季初戦を落とし)「うちの打線も粘ったが、それ以上に粘られた。非常に悔しいゲーム。明日に向けて切り替えたい」。

◆ソフトバンクの1番栗原陵矢捕手が一時勝ち越しの3号ソロを放った。同点の2回1死。弓削の141キロの直球を右翼スタンドへライナーで突き刺した。 「ランナーに出ることを考えて打席に入りました。甘く来た球を芯でしっかりとらえることができたと思う」。今季、本拠地ペイペイドームでの初アーチ。チームの勝利に貢献し納得顔で振り返った。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が、1発を含む3打点の活躍で首位楽天との6連戦先勝に貢献した。 2点を先制された直後の1回に左翼テラス席に同点の4号2ランを放つと、3-3の5回は中前へ決勝タイムリー。復帰先発した千賀のために「なんとかしたい」思いをバットに込めた。所沢、札幌と続いた長期遠征を終え、16日ぶりに戻った九州は甚大な豪雨災害に見舞われていた。九州を野球で元気づけるためにも、7月反攻を引っ張る。やっぱり「スイートホーム」は心地よい。今季初登板となったエース千賀がいきなり初回に2点を失った。思わぬ? ビハインドの展開を柳田の一振りで振り出しに戻した。1回1死一塁。柳田は初球から強振した。楽天先発弓削の134キロのカットボールを振り抜くと、大きな放物線を描いて左翼テラス席に舞い落ちた。同点の4号2ラン。「打った瞬間に入ると思いました」。バットを放り投げると、悠々とダイヤモンドを周回した。逆方向への1発は柳田の真骨頂でもある。高く舞い上がった打球にアーチを確信した。 7試合ぶりの本塁打だった。6月28日の西武戦(メットライフドーム)で3号を放つと、札幌での日本ハム6連戦はノーアーチに終わった。安打は生まれるが、スタンドインしない打撃に「飛距離が出ない...」と漏らしていた。「千賀が今季初めての登板だったので何とかしたいな、と思っていました」。3-3の同点で迎えた5回無死二塁では、「技」で貴重な一打を放った。弓削の内角寄りの141キロの直球を逆らわずに中前にはじき返した。「コンパクトなスイングで打ち返すことができた」。千賀に白星を届ける決勝タイムリーに白い歯がこぼれた。 チームは開幕ダッシュに失敗したが、これで7勝8敗(1分け)。16日ぶりに帰ってきた地元九州は豪雨に見舞われ、つらい七夕の夜となったが、前を向くしかない。「命が一番大事。野球をやるしかないんで。相手は首位のチームなんで何とか勝ちたいと思っていた」。人数制限付きながら、10日からは有観客となる。本拠地ペイペイドームでの豪快な打撃を生でファンに披露できる。チームはこの日の白星でペイペイドーム通算999勝となり、大台の1000勝にリーチをかけた。7月反攻へ、柳田のバットが、チームを引っ張る。【佐竹英治】

◆ソフトバンク高橋礼投手が2回無失点の好救援で勝利に貢献した。 千賀に代わって6回から登板。きっちり3者凡退で抑えた。7回は味方のエラーも重なり2死満塁のピンチを招いたが、4番浅村を一邪飛に仕留め千賀の白星を守った。「四球からつながれて、ピンチをつくってしまったところは反省しないといけない。でも千賀さんの復帰の登板で0点で抑えることができてよかった。チームの役に立ててよかったです」とホッとした表情だった。

◆ソフトバンク千賀の"女房役"甲斐拓也捕手も復活勝利をアシストした。同点で迎えた4回1死一塁。辰己が二盗を試みたが「甲斐キャノン」発動でタッチアウトにした。 千賀もマウンド上でグラブを右手でたたいて「援護射撃」を喜んだ。4試合ぶりに甲斐を起用した工藤監督も「(千賀との)黄金コンビですから。楽天に勝ったし甲斐本人も自信になったでしょう」と笑顔だった。

◆ホットゾーンは逃さない。楽天浅村栄斗内野手(29)が得意の低めを捉え、両リーグトップの8号ソロを放った。ソフトバンク千賀の制御されたカーブを、豪快に左翼席まですくった。 3戦連発はいずれも低めだ。1発を放った試合の不敗神話は途切れたが、23打点も両リーグ断然トップ。新型コロナウイルスによる自粛期間が長期にわたっても関係なし。迫力満点の打撃を継続している。浅村が"絶好球"をショットした。1点を勝ち越された直後の3回1死。ソフトバンク千賀の初球、真ん中低めの124キロカーブ。モーションに合わせて目いっぱい引いたバットを、解き放ってしならせた。 快音を残し、打球は一直線に左翼席中段まで進んだ。「反応? そうですね。千賀みたいな投手は一番速い真っすぐに合わせて打たないと、どの球種も合わない。しっかりたまって反応できました」。3戦連発の8号ソロ。初回に161キロを投じた剛腕を苦笑いさせた。 網にかかった獲物は、一撃で刺す。4日から続く3発は全て真ん中から低めの球を仕留めた。「低めの球は、自分自身好きなゾーン。一番手が伸びるし、一番飛距離も出る」とポジティブなイメージを持っている。フルスイングが信条。「ホームランを狙っているわけではないし、ホームランを打ちたいと思って打席に入っているわけではない」と鍛え抜いた体を余すことなく使い切り、右に左にすっ飛ばす。 苦境に屈しなかったからこそ、リーグ2冠と好調を維持できている。新型コロナウイルスによる活動休止は3月30日から5月8日まで続き、12球団で最も長かった。球団施設を利用できず、生きた球を40日間見ることができなかった。「もどかしい気持ちでいっぱいでしたし、普通に野球をやることが当たり前に思っていた。野球ができないつらさを改めて感じました」。 耐え忍んだ。自宅や公園など限られたスペースを活用。自らの打撃動画でフォームの改善点を探り、5年目の13年から続ける10種類以上の体幹トレーニングも欠かさなかった。「マイナスに考えず、とにかくポジティブに。やれることをやるしかない」。右ひざが地面につきそうなほど豪快なスイングを、地道に築き上げた土台が支えている。 1発を放った際の不敗神話は切れた。1点を追う7回2死満塁。高橋礼の前に一邪飛に倒れた。「たまたま今はホームランが出ているけど、そういうタイプでもない。またしっかりヒットを打って、自分の役割を明日からやりたい」。勝利につながる一打だけを狙う。【桑原幹久】

◆ペイペイドームではこの日から四足歩行の犬型ロボット「スポット」が左中間席に20台陣取った。 7回裏の攻撃前は、球団応援歌に合わせてお尻を振って踊った。ロッテとの開幕3連戦で5台置かれた人型ロボット「ペッパー」も、20台に"増員"。柳田が1回に2ランを放った際は腕を振って喜びを表現した。ともに31日まで稼働し、球場を盛り上げる予定。

◆ソフトバンクは0-2の1回に柳田の4号2ランで追いつき、3-3の5回にも柳田の中前適時打で1点を勝ち越した。今季初登板の千賀が5回3失点で勝利を挙げた。9回を抑えた森が3セーブ目。楽天は連勝が3で止まった。

◆ソフトバンクの絶対エースが復活した。キャンプ途中から右上腕部の張りなどで出遅れていた千賀滉大投手(27)が楽天戦に今季初先発。5回4安打3失点で打線の援護もあり白星をマークした。初回に自己最速タイ161キロをマークするなど6奪三振。頼れる右腕復活で首位楽天への追撃態勢を整える。すべての力を込めた。ソフトバンク千賀の右腕から放たれた剛速球は161キロを計測した。昨年の開幕戦でマークした自己最速タイを復活マウンドで見せた。 1回、楽天先頭打者の茂木へ、初球から159キロを3球続けた。カウント1-2からの4球目。三振を奪いにいった直球が161キロ。ファウルになったが復活を印象づけるには十分な数字だった。 千賀 1軍の舞台はやはり違う。気持ちの入りようも違う。 苦しかった。制球にバラツキがあり、変化球の精度ももうひとつだった。それでも踏ん張った。「ダメだったので、どうしようと思った。昨年ほど球の質は行ってないと思った」。右ふくらはぎ、右上腕部の負傷から復活してきた日々を思い出した。1回に2点を奪われ3回には浅村に1発を浴びたが、その後は失点を許さず5回94球で4安打3失点。負けるわけにはいかなかった。 「マウンドでも(ドームの屋根に当たる)雨の音が聞こえてました。テレビで見てもすごい被害が出ている。これ以上、被害が大きくならないことを願うばかりです」。九州地方を襲う豪雨での被災者によりそい、マウンドで踏ん張る力にした。新型コロナウイルス感染拡大防止のため開幕が遅れたが、その期間に徹底的にフォームを修正した努力は実った。 試合前に監督室に足を運び、工藤監督にあいさつした。「エースとしての自覚があるのか、開幕に間に合わなかったことを気にしていたんですかね」(工藤監督)。千賀も「こうやって投げられるているのも周囲の人のおかげだと思った。勝てたのも野手、中継ぎの方のおかげ」と感謝の気持ちを忘れず責任回数を投げきった。 開幕ローテーションを担うようになった16年からのシーズン初登板ではこれで4勝1敗。唯一の1敗は17年の楽天戦だった。リベンジも果たしての復活劇。そしてペイペイドーム通算999勝で1000勝にリーチをかけた。「今日は勝たせてもらったので、今度はこれを返せるような投球をしたい」。大黒柱の言葉には、それでも"復活"してないエースのプライドがにじんでいた。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンクの絶対エースが復活した。キャンプ途中から右上腕部の張りなどで出遅れていた千賀滉大投手(27)が楽天戦に今季初先発。5回4安打3失点で打線の援護もあり白星をマークした。初回に自己最速タイ161キロをマークするなど6奪三振。頼れる右腕復活で首位楽天への反撃態勢を整える。◆千賀の直球 1回は剛速球投手だった。自己最速タイの161キロを記録するなど、29球のうち18球が直球で17球が155キロ以上。直球率62%で平均球速は157・8キロだった。一方、2回からは変化球の多い配球にチェンジ。65球のうち直球は24球で割合は37%と変化球投手並み。平均球速は152・8キロで、155キロ超えも3球にとどまったが、失点は2回以降の方が少なかった。

◆ソフトバンクの絶対エースが復活した。キャンプ途中から右上腕部の張りなどで出遅れていた千賀滉大投手(27)が楽天戦に今季初先発。5回4安打3失点で打線の援護もあり白星をマークした。初回に自己最速タイ161キロをマークするなど6奪三振。頼れる右腕復活で首位楽天への反撃態勢を整える。向上心の塊のような千賀だが、周囲への目配せも、成長の要因の1つになっているようだ。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月から2カ月間、自主練習を余儀なくされた。日本が、世界がコロナで苦しんでいる姿を見て、野球ができる喜びも知るようになり、周囲へのサポートにも目を向けるようになった。5月上旬に、ともに育成選手として歩んできた甲斐と共同で「GIFT FOR FUKUOKA KIDs ホークス千賀&甲斐 共同コロナ支援:福岡の子供達へサポートを」と題してクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げた。あっという間に目標の200万円に到達。結局700万円が集まり、自身のインスタグラムを通じて感謝の気持ちを伝えた。 後輩たちの成長にも一役買ってでている。カブスのダルビッシュ有への訪問をともにしたチームメートの石川をはじめ、2年目右腕の杉山とも自主トレから行動をともにし、フォームなどの指導を行っている。杉山は「投球だけでなく、投手としての気持ちの面でも教えてもらうことは多い」と話す。自主トレをともにした阪神浜地にも6月のタマスタ筑後でのウエスタン・リーグでの試合の際に、アドバイスを送るなど、広い視野で球界発展を見据えている。 自身は出遅れてしまったが、野球ができる環境に感謝。野球界全体への恩返しとともに、後輩たちの指導にも目を向け、自身の成長につなげている。【ソフトバンク担当=浦田由紀夫】

◆ホットゾーンは逃さない。楽天浅村栄斗内野手(29)が得意の低めを捉え、両リーグトップの8号ソロを放った。ソフトバンク千賀の制御されたカーブを、豪快に左翼席まですくった。 3戦連発はいずれも低めだ。1発を放った試合の不敗神話は途切れたが、23打点も両リーグ断然トップ。新型コロナウイルスによる自粛期間が長期にわたっても関係なし。迫力満点の打撃を継続している。浅村が"絶好球"をショットした。1点を勝ち越された直後の3回1死。ソフトバンク千賀の初球、真ん中低めの124キロカーブ。モーションに合わせて目いっぱい引いたバットを、解き放ってしならせた。 快音を残し、打球は一直線に左翼席中段まで進んだ。「反応? そうですね。千賀みたいな投手は一番速い真っすぐに合わせて打たないと、どの球種も合わない。しっかりたまって反応できました」。3戦連発の8号ソロ。初回に161キロを投じた剛腕を苦笑いさせた。 網にかかった獲物は、一撃で刺す。4日から続く3発は全て真ん中から低めの球を仕留めた。「低めの球は、自分自身好きなゾーン。一番手が伸びるし、一番飛距離も出る」とポジティブなイメージを持っている。フルスイングが信条。「ホームランを狙っているわけではないし、ホームランを打ちたいと思って打席に入っているわけではない」と鍛え抜いた体を余すことなく使い切り、右に左にすっ飛ばす。 苦境に屈しなかったからこそ、リーグ2冠と好調を維持できている。新型コロナウイルスによる活動休止は3月30日から5月8日まで続き、12球団で最も長かった。球団施設を利用できず、生きた球を40日間見ることができなかった。「もどかしい気持ちでいっぱいでしたし、普通に野球をやることが当たり前に思っていた。野球ができないつらさを改めて感じました」。 耐え忍んだ。自宅や公園など限られたスペースを活用。自らの打撃動画でフォームの改善点を探り、5年目の13年から続ける10種類以上の体幹トレーニングも欠かさなかった。「マイナスに考えず、とにかくポジティブに。やれることをやるしかない」。右ひざが地面につきそうなほど豪快なスイングを、地道に築き上げた土台が支えている。 1発を放った際の不敗神話は切れた。1点を追う7回2死満塁。高橋礼の前に一邪飛に倒れた。「たまたま今はホームランが出ているけど、そういうタイプでもない。またしっかりヒットを打って、自分の役割を明日からやりたい」。勝利につながる一打だけを狙う。【桑原幹久】

◆ソフトバンクの絶対エースが復活した。キャンプ途中から右上腕部の張りなどで出遅れていた千賀滉大投手(27)が楽天戦に今季初先発。5回4安打3失点で打線の援護もあり白星をマークした。初回に自己最速タイ161キロをマークするなど6奪三振。頼れる右腕復活で首位楽天への反撃態勢を整える。すべての力を込めた。ソフトバンク千賀の右腕から放たれた剛速球は161キロを計測した。昨年の開幕戦でマークした自己最速タイを復活マウンドで見せた。 1回、楽天先頭打者の茂木へ、初球から159キロを3球続けた。カウント1-2からの4球目。三振を奪いにいった直球が161キロ。ファウルになったが復活を印象づけるには十分な数字だった。 千賀 1軍の舞台はやはり違う。気持ちの入りようも違う。 苦しかった。制球にバラツキがあり、変化球の精度ももうひとつだった。それでも踏ん張った。「ダメだったので、どうしようと思った。昨年ほど球の質は行ってないと思った」。右ふくらはぎ、右上腕部の負傷から復活してきた日々を思い出した。1回に2点を奪われ3回には浅村に1発を浴びたが、その後は失点を許さず5回94球で4安打3失点。負けるわけにはいかなかった。 「マウンドでも(ドームの屋根に当たる)雨の音が聞こえてました。テレビで見てもすごい被害が出ている。これ以上、被害が大きくならないことを願うばかりです」。九州地方を襲う豪雨での被災者によりそい、マウンドで踏ん張る力にした。新型コロナウイルス感染拡大防止のため開幕が遅れたが、その期間に徹底的にフォームを修正した努力は実った。 試合前に監督室に足を運び、工藤監督にあいさつした。「エースとしての自覚があるのか、開幕に間に合わなかったことを気にしていたんですかね」(工藤監督)。千賀も「こうやって投げられているのも周囲の人のおかげだと思った。勝てたのも野手、中継ぎの方のおかげ」と感謝の気持ちを忘れず責任回数を投げきった。 開幕ローテーションを担うようになった16年からのシーズン初登板ではこれで4勝1敗。唯一の1敗は17年の楽天戦だった。リベンジも果たしての復活劇。そしてペイペイドーム通算999勝で1000勝にリーチをかけた。「今日は勝たせてもらったので、今度はこれを返せるような投球をしたい」。大黒柱の言葉には、それでも"復活"してないエースのプライドがにじんでいた。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンク・柳田悠岐外野手(31)が7日、楽天戦(ペイペイドーム)に「3番・中堅」で先発出場。一回1死一塁から左翼テラスに4号2ランを突き刺した。  「打った瞬間に入ると思いました。自分のいいスイングでしっかり打てましたし、先制されてすぐに取り返せたのはよかったです」。先頭の栗原が死球で出塁。今宮の遊ゴロの併殺崩れで走者が入れ替わり、柳田の出番だ。134キロを強振。打った瞬間は行方を見つめながら歩き出したが、ふらふらとあがった白球は左翼テラスに届いた。今季初先発、同期入団の千賀のために試合を振り出しに戻した。  柳田の本塁打は6月28日の西武戦(メットライフ)以来。打線に火をつけた。

◆楽天・島内宏明外野手(30)が7日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)の一回2死一、二塁から先制となる中堅フェンス直撃の2点二塁打を放った。  千賀の155キロの直球を強振。「昨日コンビニに行ったら、おばあちゃんにいきなり声をかけられて、バッティング指導を受けました。その通りに打ったら奇跡が起きました。おばあちゃん、ありがとう」とジョークを交えた"島内節"を披露した。  浅村栄斗内野手(29)は、三回1死から同点となる左越えソロ。リーグトップの8号に「打ったのはカーブ。(味方先発の)弓削(ゆげ)頑張れ」とコメントした。

◆ソフトバンク・栗原陵矢捕手(24)が7日の楽天戦(ペイペイドーム)で「1番・左翼」で先発。同点の二回1死、右翼席に一時勝ち越しの3号ソロを突き刺した。  「ランナーに出ることを考えて打席に入りました。甘くきた球を芯でしっかり捉えられたと思います」。楽天・弓削の141キロ直球を振り抜いた。2日の日本ハム戦(札幌)以来で、左腕からは今季初のアーチだ。今季初先発の千賀に勝ち越し点をプレゼントした。4日に24歳となった若手の有望株が、日を追うごとに頼もしくなっている。

◆ソフトバンク・千賀滉大投手(27)が7日の楽天戦(ペイペイドーム)で今季初先発。5回94球で3失点で降板した。球団広報を通じたコメントには、反省の思いがあふれていた。  「簡単に先制点を与えてしまい、逆転してもらってもすぐに追いつかれ、野手の皆さんには本当に申し訳ないです。リズムも悪く、カードの頭をかませてもらったのに5イニングしか投げることができなかったことをしっかりと反省しないといけない」  注目の初球は159キロ。茂木を見逃し三振に斬った。しかし、安打と四球で2死一、二塁のピンチをつくると島内に中越えの2点二塁打。いきなり先制点を献上した。  千賀はキャンプ終盤から右前腕部の張りで離脱。慎重にリハビリを重ね、6月7日のオリックス2軍との練習試合(オセアンBS)で実戦復帰。当初は今月7日のウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)で先発予定だったが、波に乗り切れない1軍事情もあり、白羽の矢が立った。  この日の試合前には監督室に足を運んだ。工藤監督は「エースの自覚として開幕に間に合わせられなかったことがちょっとでも頭にあるのかなと。そんなこと気にしなくていい」と期待していた。  千賀は三回1死、浅村に124キロのカーブを左翼席に運ばれたが、五回1死からブラッシュ、浅村を連続で空振り三振。5回3失点で、最速は自己最速タイの161キロだった。チームは直後の五回無死二塁、柳田の中前適時打で勝ち越し。勝利投手の権利を持って2番手の高橋礼にバトンを託した。

◆ソフトバンクは0-2の一回に柳田の4号2ランで追いつき、3-3の五回にも柳田の中前適時打で1点を勝ち越した。今季初登板の千賀が5回3失点で勝利を挙げた。九回を抑えた森が3セーブ目。楽天は連勝が3で止まった。

◆楽天は2年目左腕の弓削が6回4失点(自責点3)で今季初黒星を喫し、連勝が3で止まった。2点を先制した直後の一回に柳田に2ランを浴び、3-3の五回には先頭を失策で出塁させると、再び柳田に勝ち越し打を許した。  ともに初球を捉えられた弓削は「しっかり戦略を立ててからでないと駄目。次に対戦するときにはもう少し頭を使って投げられればと思う」と雪辱を期した。

◆ペイペイドームではこの日から四足歩行の犬型ロボット「スポット」が左中間席に20台陣取った。七回裏の攻撃前は、球団応援歌に合わせてお尻を振って踊った。  ロッテとの開幕3連戦で5台置かれた人型ロボット「ペッパー」も、20台に"増員"。柳田が一回に2ランを放った際は腕を振って喜びを表現した。ともに31日まで稼働し、球場を盛り上げる予定。

◆七夕のマウンドに帰ってきた。雨音が響くペイペイドームで、ソフトバンク・千賀が今季初登板。右前腕の張りなどで出遅れていたエースが、首位楽天を相手に5回3失点で初勝利を挙げた。  「無事に投げられていることが僕にとっては一番。きょうは(野手の)みなさんのおかげ」  感謝を胸に94球を投じた。2月から満足に投げられず、筑後のファーム施設で長いリハビリに励んだ。「向こうのトレーナーさん、コーチに感謝したい。それが一番」。思いを込めた初球は159キロ。茂木を見逃し三振でスタートした。2死から島内に2点二塁打を許し、三回には浅村に一発を浴びたが要所で粘り、自己最速タイの161キロをマークした。  声援のない公式戦登板は初めてで「難しかった」というが、1993年3月に福岡ドームとして誕生した本拠地ペイペイドームで、チーム通算999勝目。エースで"1000勝"に王手だ。  試合前には監督室に足を運んだ。「特別な行動じゃない」と笑ったが、2年間守った開幕投手も東浜に譲り、チーム16試合目での復帰。エースとして反省の思いが自分を突き動かしたのは、当然のことだった。同一チームとの6連戦が続く今季。工藤監督は「はじめは大事」と火曜日を千賀に託していくつもりだ。  九州を襲っている豪雨。指揮官は午前8時からテレビのニュースを見つめた。千賀にも地元の知人から連絡があったといい「試合中も雨の音が聞こえた」。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月に甲斐と行ったクラウドファンディングでは700万円以上の支援金が集まった。人を思いやり行動できる千賀だから、被害の中心にいる人が心配だった。だからこそ野球で、元気と勇気を与える。  「テレビを見てもすごい(雨の)映像が流れている。これ以上、大きな被害が出ないように」  借金は「1」となり5割復帰にも王手。九州を背負う鷹のエースとして、未来を照らす。(竹村岳)

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
楽天
1150 0.688
(↓0.045)
-
(-)
10496
(+3)
49
(+4)
17
(+1)
16
(-)
0.294
(↓0.009)
2.870
(↓0.03)
2
(-)
ロッテ
1060 0.625
(↑0.025)
1
(↑1)
10466
(+8)
70
(+6)
15
(+1)
16
(+1)
0.241
(↑0.007)
4.320
(↓0.12)
3
(-)
西武
781 0.467
(↓0.033)
3.5
(-)
10474
(+6)
81
(+8)
13
(-)
9
(+1)
0.245
(↑0.002)
4.440
(↓0.2)
3
(1↑)
ソフトバンク
781 0.467
(↑0.038)
3.5
(↑1)
10467
(+4)
69
(+3)
19
(+2)
11
(-)
0.228
(↓0.002)
4.290
(↑0.08)
5
(1↓)
日本ハム
691 0.400
(↓0.029)
4.5
(-)
10455
(+1)
84
(+7)
14
(-)
7
(-)
0.213
(↓0.005)
4.790
(↓0.12)
6
(-)
ORIX
5101 0.333
(↑0.047)
5.5
(↑1)
10462
(+7)
67
(+1)
15
(+2)
10
(-)
0.242
(↑0.006)
3.730
(↑0.25)