中日(☆6対3★)阪神 =リーグ戦2回戦(2020.07.01)・ナゴヤドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:山本 拓実(1勝1敗0S)
敗戦投手:秋山 拓巳(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】梅野 隆太郎(2号・3回表ソロ),ボーア(1号・9回表ソロ)

  DAZN
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◆中日は1点を追う4回裏、高橋の適時打などで2点を挙げ、逆転に成功する。続く5回には、平田とビシエドの適時打などで4点を加え、リードを広げた。投げては、先発・山本が6回2失点の好投で今季初勝利。敗れた阪神は、先発・秋山が試合をつくれず、守備も精彩を欠いた。

◆中日-阪神のスタメンが発表された。中日の先発は今季初勝利を狙う山本拓実投手(20)、阪神の先発は2月の実戦から34回連続無失点中の秋山拓巳投手(29)。阪神は17回連続無得点中の打線をいじらず、前日6月30日と同じスタメンで勝負する。

◆3試合連続でスタメンマスクをかぶった阪神梅野隆太郎捕手(29)が今季2号となる先制弾を放ち、チームの連続無得点を19イニングでストップさせた。 3回1死から右腕山本の甘く入った直球をとらえ、右翼フェンスをぎりぎりでオーバーさせた。チームとしては6月28日DeNA戦の1回以来、20イニングぶりの得点となった。 「1打席目の入りから良い形で打つことができました。アキ(秋山)が頑張っている中で先制点を取ることができて良かったです」 開幕直後は原口、坂本との併用が続いたが、定評のある強肩とブロック力だけでなく、パンチ力でもアピールしている。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が痛恨の適時失策を喫した。 同点に追いつかれた直後の4回2死一塁。6番阿部の三遊間へのゴロをさばいたまでは良かったが、二塁送球が遅れた上に引っかけて悪送球。力を込めた送球が右翼に転がってフェンスに到達する間に、一塁走者の高橋に勝ち越しのホームインを許した。 試合前時点で2勝8敗と苦しむチーム状況の中、まさかの失策に三塁ベンチは重苦しいムードに包まれた。

◆阪神にまたも衝撃の適時失策が飛び出した。 4点ビハインドとなった直後の5回1死一、三塁。5番高橋の二塁正面への平凡なゴロを糸原健斗内野手が後逸。併殺コースと思われた当たりを適時失策し、6点目を奪われた。 同点に追いつかれた直後の4回2死一塁にはジェフリー・マルテ内野手(29)が適時失策していた。6番阿部の三遊間へのゴロをさばいたまでは良かったが、二塁送球が遅れた上に引っかけて悪送球。力を込めた送球が転々とする間に、一塁走者の高橋に勝ち越しのホームインを許していた。 試合前時点で2勝8敗。貧打と中継ぎ陣の不調に苦しむ状況で、守備陣までリズムを崩し始めている。

◆阪神秋山拓巳投手(29)の2月の実戦からの連続無失点イニングが、37で途切れた。中5日で先発し、2回まで完全投球。3回に1点の援護をもらい、その裏1死から木下拓に初安打を許すも、無失点で切り抜けた。 だが4回1死からアルモンテに右翼線二塁打を打たれ、暴投で三進を許した。ビシエドは遊ゴロに抑えたが、高橋に中前に適時打を打たれ、1-1の同点に追いつかれた。さらに味方の失策で1-2と勝ち越された。 秋山は5回に3点目を失い、なおも1死満塁でビシエドに2点適時打を打たれて降板。馬場が救援したが、二塁・糸原の失策で6点目を失った。 今季2試合目の登板は5回途中6失点(自責4)だった秋山は「自分自身で苦しい投球にしてしまい、大事なところで粘りきれず悔しい投球となりました」と振り返った。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(32)は10打席ぶりの安打が適時打となった。 5点を追う6回2死三塁、山本から三遊間を抜いた。 6月27日DeNA戦で決勝の逆転3ランを放ってから安打がなかったが、苦しいゲームの中で反撃の一打を決めた。

◆阪神望月惇志投手(22)が今季初めて登板した。2-6の7回に4番手でマウンドへ。いきなり先頭の平田に中前打。続くアルモンテの打球は投-遊-一の併殺かと思われたが、打球を処理した望月の遊撃への送球が大きくそれ、1死も取れず。だが無死一、二塁のピンチで踏ん張り、ビシエドを二ゴロ併殺。高橋も抑えて無失点で切り抜けた。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手がついに左投手を打ち、来日1号をマークした。 9回無死から先頭で中日守護神岡田と対決し、スライダーをライナーで右翼席に運んだ。 「うれしかったよ。右左関係なく、自分のスイングができてホームランになって良かったです」 試合前の時点で、2月の実戦から対左腕は27打席連続無安打。28打席目にして飛び出した安打が、メモリアルアーチとなった。 これで4試合連続安打。 「チームが勝てていないので、勝つためにもっと打たないといけない。どうやって今からチームが勝っていくのか、どうやって自分が力になれるのかを考えてやっていきたいと思います」と巻き返しへ気合十分だ。

◆阪神が痛恨の適時失策連発で3連敗を喫し、2リーグ分立後では96年以来2度目となる開幕4カード連続負け越しとなった。 矢野燿大監督は試合後、守備の乱れについて「あれじゃあ、ピッチャーは大変だよね。打線もちょっと点を取れない中で。まあ、痛いし。なんとも言いようがないけど」と静かに振り返った。 3回に8番梅野隆太郎捕手が先制の2号ソロ。チーム全体で20イニングぶりとなる得点で滑り出した。 だが、2月の実戦から試合前まで34回連続無失点中だった先発秋山拓巳投手が守備のミスから崩れた。 1点リードの4回裏、5番高橋に中前適時打を献上。20年実戦38イニング目で初失点を許すと、直後の4回裏2死一塁からジェフリー・マルテ内野手が痛恨の適時失策を喫した。 6番阿部の三遊間へのゴロをさばいたまでは良かったが、二塁送球が遅れた上に引っかけて悪送球。一塁走者の高橋に勝ち越しのホームインを許した。 秋山は5回途中6失点。6失点目は秋山降板直後の5回1死一、三塁、二塁手の糸原健斗内野手が正面のゴロを後逸した適時失策による失点だった。 指揮官は「エラーの点もアキには悪かった。点を取られないということで、どうしても苦しい投球をさせてしまった。なんとかね、1点でも少なく頑張ってほしいなと思ったけど、これは打線の絡みと守備の絡みもあるんで」と秋山を気遣った。 貧打と中継ぎ陣の不調に引っ張られる形で、この日は守備陣が2つの適時失策を含む3失策と崩壊。最下位に沈んだ96年以来の開幕4カード連続負け越しが決まった。 2勝9敗の借金7で単独最下位。首位巨人とのゲーム差は5・5のままだが、早くも窮地に追い込まれている。

◆阪神小川一平投手(23)が、6回に3番手で登板した。 6回に味方打線が1点を返し、2-6の6回裏にマウンドへ。先頭の木下拓を左前打で出塁させたが、代打の井領を併殺に取るなど、2試合連続の無失点で切り抜けた。早くも6試合目の登板のルーキーは「先頭バッターを出したあと、落ち着いて投げることができたのはよかったです。ただ回の先頭バッターを簡単に出してしまったのは反省点なので、次回の登板に生かせるように頑張ります」と次を見据えた。

◆中日は山本、阪神は秋山が先発。阪神は3回、梅野の2号ソロで先制した。秋山は3回1安打無失点と好投した。 中日は4回に高橋の中前適時打と敵失で2-1と逆転、5回に4点追加した。先発山本は6回2失点で降板した。 阪神は3連敗を喫し、2リーグ分立後では96年以来2度目となる開幕4カード連続負け越しとなった。借金は7。中日は借金1。勝ち投手は中日山本で1勝目、負け投手は阪神秋山で1敗目。

◆かつての戦友からのサプライズも、連敗ストップはならなかった。恒例の試合前の円陣の声出しは仲野トレーナーが務めた。 「今日はテレビの前でいても立ってもいられないっていうやつから熱いメッセージ来てるんで、聞いてもらおうかなと思って」。そう切り出すと、ナインにiPadの画面を見せた。そこには昨季限りで引退した元阪神の横田慎太郎氏(25)の姿が。のぞき込むナインに画面越しに熱い言葉が送られ、最後に横田氏が「今日も1日前を向いて頑張っていきましょう! さあ、行こう!」と締めるとナインは大盛り上がり。力をもらったが、横田氏に勝利を届けられなかった。

◆2月の実戦からゼロ行進を続けていた阪神秋山が、通算38イニング目で失点を喫した。「自分自身で苦しい投球にしてしまい、大事な所で粘り切れず悔しい投球となりました」。味方の失策も絡み、4回1/3、7安打6失点で今季1敗目を喫した。 初回、2回は危なげなく3者凡退。3回も無失点で切り抜けたが、1-0の4回1死からアルモンテに右越え二塁打。自身の暴投で三塁へ進まれると、2死三塁から高橋に同点の中前適時打を許し、なおも2死一塁からマルテの悪送球で2点目を失った。 連続無失点イニングが37でストップすると、5回は4本の安打と四球で3点を失い、1死一、三塁の場面で降板した。今季初登板だった前回6月25日ヤクルト戦は7回途中無失点。中5日での登板となった右腕に、矢野監督は「エラーの点もアキには悪かったし、点を取られないということで、どうしても苦しい投球をさせてしまった」。安定感を見せてきた秋山でも、悪い流れは止められなかった。

◆阪神が痛恨の適時失策連発で3連敗を喫し、2リーグ分立後では96年以来2度目となる開幕4カード連続負け越しとなった。▼阪神が中日に連敗し、開幕から4カード連続で負け越した。これは96年以来2度目。同年は巨人、中日、広島、ヤクルトにいずれも1勝2敗で負け越し、5カード目の巨人戦に2勝(1試合は雨天中止)してストップ。だが、その後も上向かず、4月23日から6連敗。5月も5連敗、4連敗するなど苦戦が続いた。5月11日に最下位に転落するなど終始下位に低迷。期待されたマース、クレイグら助っ人野手も不発で、チーム打率、得点はリーグ最下位。藪、湯舟、川尻ら投手陣を援護できなかった。9月13日には藤田監督が休養。柴田ヘッドコーチが代行したが、最終的に5位横浜と1差の54勝76敗、勝率4割1分5厘で最下位に終わった。

◆あぁ、自滅の虎...。阪神が拙守連発で96年以来となる開幕4カード連続負け越しを喫した。4回にマルテ、5回に糸原が失点に直結する失策を犯し、試合の流れを手放した。貧打&投壊に加え、課題である守備も乱れて、三重苦で借金は「7」に膨らんだ。もう、何やってもアカンわ...。窮地の猛虎が拙守連発で96年以来、2度目となる開幕から4カード連続負け越しを喫した。開幕から3度目の3連敗で2勝9敗。借金はあっという間に7まで膨らんだ。試合後の矢野監督は力なく話した。「あれじゃあ、ピッチャー、大変だよね。打線もちょっと点を取れない中で。まあ、痛いし。何ともいいようないけど...」。指揮官が「あれ」と話したのは試合を決めた2つの適時失策だ。 試合中盤に目を覆いたくなるようなシーンが続いた。4回、高橋に同点適時打を浴びた直後の2死一塁。阿部のゴロを捕球した三塁マルテが二塁へまさかの悪送球。右翼方向にボールが大きくそれた。カバーに入った糸井も遅れ、ボールは右翼ファウルゾーンを転々。一気に一塁走者が生還し、勝ち越し点を献上してしまった。 信じられないプレーはこれで終わらない。4点ビハインドとなった直後。5回1死一、三塁の場面。高橋の二塁正面への平凡なゴロを二塁手糸原がファンブル。併殺コースと思われた当たりを適時失策し、6点目を奪われた。7回には4番手望月も二塁に悪送球を記録。1試合3失策とディフェンスが崩壊した。 幸先は良かった。3回、梅野が先制の2号ソロを放ち、20イニングぶりにスコアボードに得点を刻んだ。さあ、ここからというところで守備のミスが続き、11試合目にして今季5度目の逆転負け。昨季、12球団ワーストの102失策を犯したが、今季はこの試合まで2失策。慢性的な貧打に、中継ぎのほころびが目立つなか、ポジティブ要素だった守備が乱れた。 首位巨人とは5・5ゲーム差のままだが、黒星を積み重ねる矢野阪神に危険な数字が迫る。阪神がリーグ優勝した過去5シーズンのうち、首位との最大ゲーム差は64年の6・5差。2日に阪神●、巨人○なら、デッドラインに足が乗る。9回に飛び出したボーアの来日初アーチが唯一の救い。もう、負けられない。5位中日に「3タテ」だけは避けたい。【桝井聡】

◆待ちに待ったB砲が、ようやく火を噴いた。阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)に、待望の来日1号が飛び出した。4点ビハインドの9回先頭。初球だった。中日の左腕岡田が投じた外角118キロスライダーをとらえた。打球は弾丸ライナーで右翼席に着弾。巨体を揺らしながら、シーズンで初めてダイヤモンドをゆっくり1周した。 「うれしかった。自分のスイングができて、ホームランになって良かったよ」 開幕から11試合、39打席目でようやく飛び出た初アーチ。ボーアはサラリと振り返った。 左腕から打ったことにも意味がある。本塁打の打席まで、春季キャンプ中の初実戦から対左投手は27打席無安打。シーズンでも9打数無安打だった。「左アレルギー」が騒がれ、相手の先発が左腕の場合にはスタメンを外れる試合もあった。それだけに、周囲の不安を和らげる一振りにもなった。 優しき助っ人はバットが不調でも、明るさは絶やさない。「ゲームに集中するだけ。打てないことにストレスはないよ。自分のスイングを信じるだけさ」。日頃の練習ではチームメートの名前を日本語で呼ぶなど、積極的にコミュニケーション。エラーをしても、打てなくても、人前で決して下は向かない。8回守備前のボール回しでもマウンド上の22歳望月に近寄ってボールを渡し、声をかけて鼓舞していた。 開幕4番から不振で打順を下げていたB砲の1発。矢野監督は「何でもキッカケにしてもらえればいい」と評価した。4試合連続安打で調子は上向きつつある。首脳陣も日頃から話すように、打球の角度が調子のバロメーターを示す。ボーアは「チームが勝てていないので、勝つためにもっと打たないといけない。(勝利のために)どうやって自分が力になれるのかを考えてやっていきたいと思います」と力を込めた。打線のカギを握る主砲が、ようやく目を覚ました。【奥田隼人】

◆阪神近本光司外野手が、今季初めて途中交代となった。「1番中堅」で先発したが、7回裏の守備で投手の望月が1番に入り、大山が1軍公式戦で初めて中堅の守備に就いた。 この日は5回2死で、中日山本から中前打。2戦連続の安打としたが、他の3打席は2つの遊ゴロと三直で凡退。矢野監督は近本の途中交代について「まあまあ、それはね、オレが判断することだから」と言葉を濁したが、打率は1割4分と、まだ本調子とはいえない状態だ。 中日3連戦の直前、矢野監督は近本の復調を信じ、起用を続ける方針を話していた。「信じてというか、もちろん我慢して。我慢というか、使っていくつもり」。 しかしこの日、ついに途中交代に踏み切った。開幕前から矢野監督は「2番近本」構想を掲げていたが、開幕3戦目の21日から近本を1番で起用。その日に先頭打者弾を放ったが、リードオフマンの状態は上がらず、打線全体も苦しんでいる状況だ。 清水ヘッドコーチは「ヒットが出たらまた変わるんだろうし、チカはやってもらわないと困るんで。とにかく前向きに。何も怖がることはない」と近本の背中を押した。前日6月30日には今季初めて逆方向への安打も出ており、勝利のためにも完全復活が待たれる。

◆中日平田良介外野手が2番として初タイムリーを決めた。5回1死一、三塁で秋山から貴重な中押し中前適時打。「いいところで打てて良かったです」。 今季は攻撃的な2番に指名されたが、開幕から4試合18打数1安打でスタメン落ち。前日6月30日から2番に復帰して初マルチ。与田監督も「このままいってほしい」と期待をかけた。

◆3年目の中日山本拓実投手(20)が今季初勝利を挙げた。 阪神戦(ナゴヤドーム)に先発して6回5安打2失点。チームに初の連勝をもたらした。初めて開幕ローテーションを託された167センチ右腕は「2ケタ勝利への1歩目」とニヤリ。昨季のプロ初勝利に続いて阪神戦の先発は2戦2勝とし「虎キラー」襲名の1歩目にもなりそうだ。山本が167センチの全身を使って最速150キロの直球を走らせた。これに110キロ台のカーブにチェンジアップ、スライダー、カットボールを配合。緩急を自在に操って阪神打線に的を絞らせなかった。3回に梅野に先制ソロを被弾しても崩れない。4回2死満塁は木浪をチェンジアップで左飛。6回はサンズに適時打を許したが失点はそこまで。虎打線の看板、マルテとボーア、サンズの「MBS」トリオにつながりを許さず、しっかり分断した。「今年は2ケタ勝利を目標にしています。第1歩目を踏み出せました」。ファンがいない本拠地のお立ち台で今季初勝利の喜びをかみしめた。 昨年7月31日の阪神戦(甲子園)で6回1失点でプロ初勝利を挙げた。昨年は3勝を手にしたが、ローテーションを維持できなかった。今年は開幕前の練習試合でアピールし、初めて開幕ローテ入り。2戦目でプロ4勝目を挙げた。前日6月30日は先輩柳が緩急を使って阪神打線を封じ込めた。一夜明け、練習中にその柳から「緩急をしっかり使え」とアドバイスをもらった。先輩からのバトンをつなげたトラ退治だった。 同姓の同じ右腕オリックス山本に憧れる。3年目で最優秀防御率のタイトルを手にした1学年上の先輩。昨オフに初対面し、練習法などを吸収してきた。LINE(ライン)を交換し「分からないことがあったら質問します」と食らいつき、"弟子入り"後初勝利にもなった。今年は先発ローテを守るため「体にいいと聞いている」と、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中、寮での朝食時に青汁、夕食後には熱いトウモロコシ茶を飲み続けた。体調管理に気を配り、自覚も高まってきた。 兵庫・宝塚市出身で、少年時代は阪神のファンクラブ会員だった。これで阪神戦は先発すれば2戦2勝。竜投の虎キラーとしての1歩目もしっかりと刻んだ。【伊東大介】

◆8回に3番手で登板した中日祖父江大輔投手が1回無失点で切り抜けた。 先頭糸原を3球で空振り三振、糸井も空振り三振で、最後のマルテも遊ゴロ。 最速146キロをマークするパーフェクトリリーフにも「1試合1試合、精いっぱい投げるだけです」と言葉は控えめでも、開幕から登板した6試合連続無失点と存在感はピカイチだ。

◆阪神が96年以来となる開幕4カード連続負け越しを喫した。4回にマルテ、5回に糸原が失点に直結する適時失策を犯した。開幕から2勝9敗で借金は7に膨らんだ。矢野燿大監督(51)は守備の乱れを嘆いた。 -守りが乱れた 矢野監督 あれじゃあ、ピッチャーは大変だよね。打線もちょっと点を取れない中で。まあ、痛いし。なんとも言いようがないけど。 -先発秋山は5回途中6失点 矢野監督 エラーの点もアキ(秋山)には悪かったし、点を取られないということで、どうしても苦しい投球をさせてしまった。なんとかね、1点でも少なく頑張ってほしいなと思ったけど、これは打線の絡みと守備の絡みもあるんで。 -新外国人ボーアに待望の1発 矢野監督 なんでもきっかけにしてもらえればいい。チーム全体として点を取れない、打てないという苦しい中で。 -大山が中堅で途中出場 矢野監督 今後というのはゼロではないけど、やれるところでやっておいてもマイナスにはならないんじゃないかなと。 -近本が途中交代 矢野監督 まあまあ、それはね、オレが判断することだから。

◆今季6試合目の先発マスクを被った中日木下拓哉捕手が攻守で輝いた。緩急を織り交ぜる好リードで山本の今季初勝利をアシスト。打ってもチームただ1人の猛打賞で気を吐いた。 プロ初の3安打より「山本に勝ちがついたことがうれしい」と笑顔。加藤、郡司との正捕手争いの中で、存在感を放った。

◆中日与田剛監督(今季初の連勝) 「どっちに転んでもおかしくない展開だったが、切り抜けてくれたのは非常に助かった。まだ勝ち越せていないので、そこを目指したい」

◆あぁ、自滅の虎...。阪神が拙守連発で96年以来となる開幕4カード連続負け越しを喫した。4回にマルテ、5回に糸原が失点に直結する失策を犯し、試合の流れを手放した。貧打&投壊に加え、課題である守備も乱れて、三重苦で借金は「7」に膨らんだ。もう、何やってもアカンわ...。窮地の猛虎が拙守連発で96年以来、2度目となる開幕から4カード連続負け越しを喫した。開幕から3度目の3連敗で2勝9敗。借金はあっという間に7まで膨らんだ。試合後の矢野監督は力なく話した。「あれじゃあ、ピッチャー、大変だよね。打線もちょっと点を取れない中で。まあ、痛いし。何ともいいようないけど...」。指揮官が「あれ」と話したのは試合を決めた2つの適時失策だ。 試合中盤に目を覆いたくなるようなシーンが続いた。4回、高橋に同点適時打を浴びた直後の2死一塁。阿部のゴロを捕球した三塁マルテが二塁へまさかの悪送球。右翼方向にボールが大きくそれた。カバーに入った糸井も遅れ、ボールは右翼ファウルゾーンを転々。一気に一塁走者が生還し、勝ち越し点を献上してしまった。 信じられないプレーはこれで終わらない。4点ビハインドとなった直後。5回1死一、三塁の場面。高橋の二塁正面への平凡なゴロを二塁手糸原がファンブル。併殺コースと思われた当たりを適時失策し、6点目を奪われた。7回には4番手望月も二塁に悪送球を記録。1試合3失策とディフェンスが崩壊した。 幸先は良かった。3回、梅野が先制の2号ソロを放ち、20イニングぶりにスコアボードに得点を刻んだ。さあ、ここからというところで守備のミスが続き、11試合目にして今季5度目の逆転負け。昨季、12球団ワーストの102失策を犯したが、今季はこの試合まで2失策。慢性的な貧打に、中継ぎのほころびが目立つなか、ポジティブ要素だった守備が乱れた。 首位巨人とは5・5ゲーム差のままだが、黒星を積み重ねる矢野阪神に危険な数字が迫る。阪神がリーグ優勝した過去5シーズンのうち、首位との最大ゲーム差は64年の6・5差。2日に阪神●、巨人○なら、デッドラインに足が乗る。9回に飛び出したボーアの来日初アーチが唯一の救い。もう、負けられない。5位中日に「3タテ」だけは避けたい。【桝井聡】 ▼阪神が中日に連敗し、開幕から4カード連続で負け越した。これは96年以来2度目。同年は巨人、中日、広島、ヤクルトにいずれも1勝2敗で負け越し、5カード目の巨人戦に2勝(1試合は雨天中止)してストップ。だが、その後も上向かず、4月23日から6連敗。5月も5連敗、4連敗するなど苦戦が続いた。5月11日に最下位に転落するなど終始下位に低迷。期待されたマース、クレイグら助っ人野手も不発で、チーム打率、得点はリーグ最下位。藪、湯舟、川尻ら投手陣を援護できなかった。9月13日には藤田監督が休養。柴田チーフコーチが代行したが、最終的に5位横浜と1差の54勝76敗、勝率4割1分5厘で最下位に終わった。

◆阪神は3試合連続で同じ先発メンバーを組んだ。3番・糸井の後にマルテ、ボーア、サンズの外国人トリオ。17イニング連続無得点で前日6月30日は零封負けを喫したが、試合前の円陣では笑顔と拍手もみられ、気持ちを切り替えてのぞむ。  3試合連続で先発を外れているベテランの福留は練習中にアメリカンノックを敢行するなど、たっぷり汗を流して出番に備えた。

◆阪神は1日、中日戦(ナゴヤドーム)前の円陣の様子を球団の公式インスタグラムで動画で公開した。動画では脳腫瘍の影響で昨季、現役を引退した横田慎太郎氏(25)から激励メッセージを受け取っている様子が映されていた。  仲野トレーナーが円陣の中心へと移動し、声出しを行うかと思いきや「『テレビの前でいてもたってもいられない』というやつからメッセージがきているので見てもらおうかなと思う」と切り出し、横田氏のメッセージを紹介。最後に「今日も一日、上を向いて頑張っていきましょう! さあ、行こう!」と声をかけると、選手たちも笑顔で反応していた。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(29)が先制点となる2号ソロを放った。  両チーム無安打で迎えた三回、1死から先発・山本の2球目、外角の147キロ直球を左中間席へと運んだ。6月25日のヤクルト戦(神宮)以来、5試合ぶりに本塁打を記録。チームは6月28日のDeNA戦(横浜)の一回以来、20イニングぶりの得点で先制した。

◆阪神・秋山拓巳投手(29)が四回に適時打を浴び、実戦38イニングぶりに失点した。  今季2度目の先発で、1-0の四回、1死からアルモンテに右翼線二塁打。その後2死三塁とピンチを広げ、高橋に直球を中前にはじき返され、失点した。試合前まで春季キャンプの実戦から34イニング連続無失点中だったが、38イニング目で記録が止まった。  その後、なおも2死一塁で阿部を三ゴロに打ち取ったかに思われたが、マルテの悪送球で2点目を献上し、逆転を許した。

◆中日・山本拓実投手(20)が1日、阪神2回戦(ナゴヤドーム)に先発し、6回5安打2失点と粘投した。  「リードしたまま次のピッチャーに渡すことができて良かったが、6イニング目に、もったいない点の取られ方をしてしまった。次回はもっとイニングを延ばせるようにしたいし、今日の反省と収穫を生かして、しっかりまた次に向けてやっていきたいです」  阪神・秋山拓巳との「タクミ対決」で自己最速タイの150キロをマークするなど攻めの投球を展開した。三回は梅野に先制ソロを浴びたものの、その後は粘りの投球で今季初勝利を目指した。

◆阪神・大山悠輔内野手(25)が七回の守備から途中出場し、近本に代わって、プロ入り後、初めて中堅の守備についた。  2-6の七回に中堅の守備につくと、先頭の平田の中前打を処理するなど無難にこなした。6月20日の巨人との開幕2戦目(東京ドーム)では「5番・左翼」で先発出場。左翼での公式戦の先発出場は2018年8月19日のヤクルト戦(神宮)以来、671日ぶりで、中堅の守備はプロ初となった。

◆阪神は九回に新外国人ボーアが右翼に来日1号を放ったが、中日に3-6で敗れて、このカードの負け越しが決定した。今季早くも3度目の3連敗で、1996年以来24年ぶりとなる開幕から4カード連続の負け越しとなった。  春季キャンプの実戦から34イニング連続無失点中だった秋山が先発も、1-0の四回、1死からアルモンテに右翼線二塁打。その後2死三塁とピンチを広げ、高橋に直球を中前にはじき返され、失点した。無失点記録は38イニング目で止まった。  打撃陣は二回に梅野の2号ソロで先制するも、その後は沈黙。1-1と同点に追いつかれた四回2死一塁の場面では、マルテが三ゴロを二塁へ悪送球。最悪の形で逆転を許すと、1-5と差を広げられた五回は1死一、三塁で二塁・糸原が失策を犯し、さらに1点を献上。投手陣を援護するどころか、逆に足を引っ張った。  1996年以来、球団ワーストタイ記録となる開幕4カード連続の負け越し。開幕11試合で2勝9敗で、矢野虎ががけっぷちに追い込まれた。

◆目はうつろだった。悔しさをにじませて、虎ナインが待つ三塁側ベンチに小走りで戻った。"無失点男"の阪神・秋山が4回1/3回を7安打6失点(自責5)で、まさかの降板だ。  「自分自身で苦しい投球にしてしまい、大事なところで粘り切れず悔しい投球となりました」  0-0の三回、8番・梅野に先制ソロが飛び出すとネクストバッターズサークルで笑顔。まずは、秋山のペースかと思われた四回だった。  1死からアルモンテに右翼線二塁打。2死三塁から高橋に137キロ直球を中前に運ばれ、あっさりと同点に追いつかれると、なおも2死一塁。阿部の打球を処理した三塁手のマルテが二塁に悪送球。右翼ポール際にボールが転々とする間に、一塁走者・高橋が生還。味方の守備にも足を引っ張られた。これで春季キャンプの実戦から続いていた連続無失点記録は「37」で止まった。  さらなる悪夢は、五回だ。1死一、三塁で、平田に中前適時打。続くアルモンテを四球で歩かせて1死満塁から、ビシエドに左前へ2点打を浴び、矢野監督からタオルを投げこまれた。  「きょうは初回の入り、先頭打の入りを大事にして、しっかり踏ん張っていけば、長いイニングを投げられると思う」と試合前。その言葉通り一回をわずか11球。二回も10球で三者凡退と、順調な滑り出しだった。  今季初登板だった前回6月24日のヤクルト戦(神宮)は七回途中6安打無失点の好投。打線の援護がなく、勝ち星はつかなかったが、矢野監督も「ずっとよく投げてくれている」と評価していた。  この日は、同23日に先発したガンケルが2軍降格したため、一日繰り上がって「中5日」でのマウンド。「関係ないです」と気合でマウンドに上がったが、矢野虎の悪い流れを断ち切ることはできなかった。

◆阪神は中日に敗れ、開幕11試合で早くも今季3度目の3連敗。3失策と守備の乱れでもったいない失点が多かった試合について矢野燿大監督は「あれじゃ投手は大変だよね。打線も点が取れないなかで。まあ、痛いし。本当に言いようがないけどね」と話した。  先発秋山も粘ったが援護できない展開に「アキには悪かったし、点取られへんっていうのも、どうしても苦しい投球をさせてしまった。もう1点、2点少なくってところで頑張ってほしかったけど、それは打線の絡みと守備の絡みがあるので。アキらしくは投げてくれたと思っています」と話した。  九回、新外国人ボーアに待望の来日1号。  「何でもきっかけにしてもらえればいい。チーム全体として点が取れない打てない、苦しいなかで、本塁打は大事な貴重な(きっかけ)。何かきっかけにしてくれたら」と話した。  近本に代えて、大山を中堅の守備に就かせたことには「今後もゼロではないけど、やれるところでやっておいてもマイナスにはならないんじゃないかな」と話した。

◆阪神・サンズが意地を見せた。1-6の六回2死三塁で、山本の低め変化球を左前へ適時打。初出場となった6月27日のDeNA戦(横浜)で逆転3ランを放って以来、10打席ぶりの快音となった。それでも出場4試合で打率・143(14打数2安打)と低迷。連敗ストップへバットで結果を残し、勝利に導く活躍をする。

◆虎を目の前にすれば、虎以上に牙をむく。3年目右腕の中日・山本が力強く右腕を振り、2度目の登板でつかんだ今季初勝利。チームには11試合目で初となる連勝をもたらした。  「前回、負けてしまったので絶対勝つぞという気持ちでマウンドに上がった」  今季初登板で黒星を喫した6月24日のDeNA戦(横浜)は直球とスライダー中心。そこから一転、今回は球種を幅広く使って的を絞らせないことを狙った。直球は自己最速タイをの150キロをマークした一方、0-1の四回2死満塁では木浪をチェンジアップで崩して左飛に。直後の逆転劇を呼び込んだ。6回を5安打2失点。先発の役目を果たす粘りの99球だった。  兵庫・宝塚市出身で進学校の市西宮高卒。小学生のころには阪神のファンクラブに入会していたほどの虎党だ。プロ入り後、阪神戦で先発した試合はプロ初勝利を挙げた昨年7月31日(甲子園)と合わせて2戦2勝。竜のユニホームに袖を通しても猛虎愛は深まるばかり。"虎キラー"襲名も夢ではない。  1月31日に20歳の誕生日を迎え、2月のキャンプイン後にオリオンビールで酒を解禁した。今回は成人になって初勝利。初めて味わう勝利の美酒は、格別だ。  「自分の目標は2桁(勝利)。まだまだシーズンは始まったばかり。第一歩を踏み出せたかなと思います」  初の開幕ローテに入った今季、勝利への思いはより今まで以上にどん欲だ。開幕カード以来、2カードぶりの勝ち越しで波に乗る。反攻の7月、その扉は山本の右手で開かれた。(須藤佳裕)

◆高卒5年目の阪神・望月が今季初登板し、2回無失点に抑えた。「初登板で自分の持ち味であるストレートでどんどん押していくことができたのはよかった」。七回に登板すると、安打と自らの失策で無死一、二塁としたが、併殺などで危機を脱した。昨季先発でプロ初白星を挙げた右腕は「また明日からも投げる場面は0点で抑えれるように頑張りたい」と気持ちを切り替えた。

◆中5日で先発した阪神・秋山は4回1/3を7安打6失点(自責5)で今季初黒星を喫した。「自分自身で苦しい投球にしてしまい、大事な所で粘り切れず悔しい投球となった」。四回に高橋に適時打を許し、春季キャンプから続いていた実戦での連続イニング無失点も「37」でストップ。貧打に加え、味方失策が失点に絡むなど不運もあり、矢野監督は「アキ(秋山)には悪かった。どうしても苦しい投球をさせてしまった」と頭を下げた。

◆珍しい選手交代にもチーム状況が表れた。七回の守備で、近本が今季初めて退いた。代わりに大山がプロ初の中堅で出場。清水ヘッドコーチは新たな選択肢を広げた。  「打順の兼ね合いというか、(大山が)チカ(近本)のところでいったからだけど。練習させて、どういうことでもできるようにしたかったというかね」  打順の巡りで「1番」に投手の望月を入れたこともあったが、矢野監督も「やっておいてマイナスにはならない」と今後を見据えた。外国人選手の加入で今季の大山は途中出場が多いが、得点力不足解消のために打力を生かす新たなプランだ。  ただ、打率・140の近本も本来は外れることは考えにくい選手。2試合連続安打で復調の気配もあるが、昨年7月3日のDeNA戦(横浜)で先発を外れて以来のベンチ。清水ヘッドは「やってもらわないと困る。何も怖がることはない。とにかく前向きにやってくれれば」と完全復活を願った。

◆横田、すまん。選手会長の一発は空砲に終わったが...。絶対に負けられない決意をバットに込めた一撃は、0-0の三回1死だ。阪神・梅野が先制の2号ソロ。チーム20イニングぶりの得点を刻む白球が、右翼スタンド最前列に飛び込んだ。  「1打席目の入りから良い形で打つことができました。アキ(秋山)が頑張っている中で先制点を取ることができてよかった」  試合中に広報を通じてコメントしたが、先発の秋山が四回に逆転されると五回には4本の長短打を浴び、6失点KO。元同僚の激励に勝利で応えることはできなかった。  サプライズは試合前恒例、ベンチ前での円陣だった。仲野トレーナーが手にしたタブレットで流されたのは、2017年に脳腫瘍を患い、昨季限りで引退した横田慎太郎氏(25)からのメッセージ動画だった。  「最後に必ず幸せになれると信じて頑張ってください。きょうも一日、前を向いて頑張っていきましょう!」  梅野は特別な思いで聞き入っていた。2014年入団の同期(横田氏が2位、梅野が4位)。年齢は大卒の梅野が4歳上だが、鹿児島県出身の横田氏(梅野は福岡県)とは、担当スカウトも同じ田中秀太氏。昨年9月26日に行われた引退試合(ウエスタン・ソフトバンク戦)後のセレモニーでは高山、北條、中谷らと騎馬を組み、横田氏を担いで登場するほどの間柄だった。  「さあ、いこう!」  "特別出演"した横田氏の肉声を聞き、梅野らナインは雄たけびをあげたが...。気合が空回りしたかのように痛い逆転負け。きょうこそ、志半ばでユニホームを脱いだ仲間に虎ナインから「勝利」というメッセージを届ける。(三木建次)

◆勝負どころでのミスもあり"史上最悪スタート"だ。今季最多3失策も響いて、早くも今季3度目の3連敗。矢野監督は頭をかいて戦況を見守った。  「(守備が)あれじゃ投手は大変だよね。打線も点がとれない中で。まあ、痛いし。本当にいいようがないけどね」  1-1の同点とされた四回、なおも2死一塁でマルテが阿部の三ゴロを二塁へ悪送球。右翼・糸井のカバーも間に合わず、ボールが外野を転々とする間に決勝点を失った。五回に先発の秋山がつかまり、さらに糸原の失策で追加点も献上。就任2年目で最多タイの借金7に膨らんだ。  11試合で2勝9敗は球団史上ワーストだ。開幕から4カード連続の負け越しも1996年以来の球団ワーストタイで、過去にこの状況から優勝したチームはないという事実...。開幕早々、崖っぷちに立たされた。

◆悔しい敗戦でも、最後の最後に希望の光があった。白球が弾丸ライナーでスタンドへ吸い込まれる。開幕から39打席目。阪神・ボーアがついに来日初アーチだ。しかも、苦手とする左投手から放った価値ある一撃だ。  「うれしかった。右左関係なく自分のスイングができてホームランになってよかったね」  2-6で迎えた九回だった。中日の守護神・岡田の118キロスライダーを一閃。今まで幾度となく空振りを喫してきた、左投手の外角へ逃げる変化球にうまく合わせた。バットの先っぽでもB砲のパワーにかかれば、スタンドインには十分。ものすごい勢いで右翼席へ着弾した。  春季キャンプの実戦から、対左投手に27打席無安打が続いていた。メジャー時代から抱えてきた欠点が露呈し、左の今永が先発だった6月26日のDeNA戦(横浜)はスタメンを外される屈辱も味わった。  一本が遠く、左投手との打席を重ねるたびに重圧も増していく。それでも「別に右投手、左投手という考え方はしていない。右投手に対しては打てていなくても質問をされることはないと思う」。過度に意識することで自分のスイングができなくなることだけは、避けたかった。これで不名誉な連続記録とはおさらば。左腕から、最高の形で初めての「H」ランプを灯した。  これでスタメン復帰した6月27日のDeNA戦から4試合連続安打。その間、打率・385(13打数5安打)と開幕直後の不振を乗り越え、状態も上向きだ。"初"を連発し、肩にのしかかる重荷も次々と消えていく。矢野監督は「何でもきっかけにしてもらえればいい。チーム全体として点が取れない打てない苦しいなかで、本塁打は大事な貴重なもの」とさらなる爆発を願った。  チームは今季3度目の3連敗でV確率ははやくも0%に。初アーチにも笑顔なく球場を引き揚げたB砲は「チームが勝てていないので、勝つためにもっと打たないといけない。どうやっていまからチームが勝っていくのか、どうやって自分が力になれるのか考えてやっていきたいね」と語気を強めた。次は空砲で終わらせない。勝利に導くアーチを描く。(原田遼太郎)

◆「環境大臣のコイズミさん、大変です! 6月19日以降、二酸化炭素の量が大幅に増加しています」  「な、なにー!? いよいよ、本格的な夏を迎えるというのに、二酸化炭素が増えれば温暖化となり、しかも、今季はコロナでマスクを付けて呼吸が苦しい...。原因は何だ?」  「いや...。まだ正式ではありませんが、日本中の虎党のため息による、二酸化炭素の排出ではないかと」  「全国の虎党のため息?」  「ハイ、阪神があまりにも弱いために、ファンのため息により二酸化炭素が増え...」  「そりゃマズイ、どーしたらいいんだ!?」  「いや、それは阪神に勝ってもらうしか...。しかし、期待の助っ人マルテは決勝大エラーをするわ、ボーアは11試合目でやっと付け焼き刃みたいな1号だし、サンズもDeNA戦の逆転3ランの後はわずか1安打...。頼りの助っ人がこれでは、ハ~ア!」  「君! ため息をついているぞ~!! 国土交通大臣のアカバです!! いーじゃないですか、わが国の観光インバウンドはコロナで99%減ですよ! 今季外国人が8人もいる阪神さんが新外国人獲得に乗り出せば、呼び水になるかもしれませ~ん!!」。て、半分まじで怒っているのだ!!

◆はやV率0%。阪神は今季ワースト3失策など攻守に精彩を欠き、中日に3-6で敗れた。今季11試合で3度目の3連敗。開幕4カード連続負け越しは1996年以来の球団ワーストタイで、過去優勝した球団はない。OBで楽天初代監督の田尾安志氏(66)=本紙専属評論家=は「プロじゃない」と断罪。2勝9敗と球団ワースト発進となった矢野虎は、ここから這い上がれるのか...。  こんなひどい試合は久しぶりに見た。はっきり言わせてもらう。これはもう、プロじゃない。  失策の内容が悪すぎ。勝負にいっての、ギリギリの失策ではなく、考えられないミスばかり。記録では3失策。だが、四回のマルテの悪送球で打者走者が一気に三塁に進んだシーンなどは、Eマークは灯っていないが、右翼・糸井がバックアップできていなかった。やるべきことをやっていない。同点になった場面の直前の秋山の暴投も痛かった。  戦力がないとは思わない。私を含めて、かなり多くの評論家が、阪神を優勝候補に挙げている。投手力は昨年のレベルを維持していたし、攻撃面は外国人を補強して、点が取れる打線になっていた。何人もの「プロの目」が強いと判断していたのに、開幕早々、まさかこんな寂しい試合を見せられるとは...。順位が決まった、目標のない終盤かと思ったぐらいだ。  私が監督を務めた2005年の楽天も弱かった(38勝97敗1分)。誕生当時は戦力もなく、誰が見ても弱いから、ファンはヤジることもしない。仙台のファンは本当に優しかった。でも、それはプロとして恥ずかしい。  2勝9敗となり、開幕から4カード連続負け越しは、1996年の藤田平監督の時代以来とか。あの頃も戦力がなく、負けるのは仕方がないようなチームだった。  今、どう表現したらいいか、正直困っている。今後は、厳しく批判するのを辞めようかと思ってしまう。戦力があるから、優勝できそうだから、常に厳しい視線で、「ダメなものはダメ」と指摘してきた。これからは「大丈夫だ」「頑張れ」と応援し続けなければいけないのか。タイガースは、この程度のチームではないはず。  今は球場に来られないファンが、テレビの前で必死で応援してくれている。そのファンが、このダラけた"ように見える"試合をどう思うだろうか。  冒頭で「プロではない」と言った。「プロです」というのなら「じゃあ何とかしてみろ」と言いたい。野球をして、お金をもらっている。ならば、それぐらいの意地を見せろ!  こういうケースは、あれこれ対策を提言したりするものだが、この試合内容では、それ以前の問題。矢野監督が、ダラけた"ように見える"選手たちをいかにシメられるか。「やっぱりプロだった」と唸る試合を見せてほしい。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
731 0.700
(↓0.078)
-
(-)
10962
(+3)
37
(+5)
15
(-)
9
(+1)
0.276
(↓0.001)
3.360
(↓0.16)
2
(1↑)
DeNA
740 0.636
(↑0.036)
0.5
(↓1)
10952
(+5)
37
(+3)
11
(+1)
0
(-)
0.296
(↑0.003)
3.210
(↑0.03)
3
(1↓)
広島
541 0.556
(↓0.069)
1.5
(-)
11046
(+3)
31
(+4)
15
(-)
3
(-)
0.280
(↓0.001)
2.900
(↓0.05)
4
(-)
ヤクルト
550 0.500
(↑0.056)
2
(↑1)
11041
(+4)
47
(+3)
11
(+1)
6
(-)
0.256
(-)
3.860
(↑0.31)
5
(-)
中日
560 0.455
(↑0.055)
2.5
(↑1)
10939
(+6)
47
(+3)
6
(-)
1
(-)
0.273
(↑0.001
4.310
(↑0.14)
6
(-)
阪神
290 0.182
(↓0.018)
5.5
(-)
10922
(+3)
63
(+6)
9
(+2)
9
(-)
0.202
(↑0.001
5.460
(↓0.02)