広島(☆14対2★)阪神 =オープン戦1回戦(2020.02.23)・コザしんきんスタジアム=
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阪神
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広島
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勝利投手:DJ.ジョンソン(1勝0敗0S)
敗戦投手:藤浪 晋太郎(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆広島は、ルーキーの宇草と2年目の正隨がともに2安打1打点の活躍。開幕一軍入りを狙う若手外野手が、そろって結果を残した。一方の阪神は、故障から復帰した糸井がオープン戦初出場。2安打をマークするなど、順調な回復ぶりを見せた。

◆広島大瀬良大地投手が今季初実戦で3回5安打1失点と粘投した。阪神戦に先発。最速146キロの直球とカットボール主体の組み立てで、毎回先頭打者を出しながらも、2回に菊池涼の好捕、3回に坂倉の盗塁阻止などバックのもり立てを得て、最少失点で切り抜けた。 右腕は「ヒット5本打たれているので、良かったでは終われないですけど、ランナーを出した中で粘れたのはよかったと思います」と振り返った。

◆昨季に左足首を手術した阪神糸井嘉男外野手(38)が約半年ぶりとなる復帰戦でいきなり2安打を放った。 「1番右翼」で先発出場。初回、広島先発大瀬良の直球を左翼線に運んで復帰即安打。カウント1-0からのファーストスイングで見せた。 3回の第2打席は右へ。大瀬良の135キロ変化球を今度は引っ張って右翼線へ。一気に一塁を蹴って悠々と二塁に到達した。昨年8月9日広島戦で盗塁の際に左足首を負傷し、同10月にメスを入れた。懸命なリハビリを経て、虎の超人が帰ってきた。

◆阪神藤浪晋太郎投手は繊細な制球を欠き、開幕ローテ争いでアピールできなかった。 強力カープ打線を相手に4回から登板。2イニングで41球を要し、被安打3、1奪三振、3者連続となる3四死球で3失点。2イニング目は1死一、三塁から9番高橋大に四球を与えると、途中出場の1番上本に押し出し四球を献上。なおも1死満塁から2番野間にはスライダーを引っ掛け、押し出し死球を許した。 勝負どころで制球が安定せず。「際どいところがボールになったりして、ボール先行になってしまった。その辺が良くなかった。結果を出していかないといけない立場なので...。ローテーションを投げている投手なら、これで良かったですと言えるんでしょうけど、結果を出さないといけない立場なので。大いに反省しないといけない」と厳しい表情だった。 前回16日の練習試合・楽天戦は3回3安打2四球で2失点。2戦連続でアピールに失敗した。 ▽広島鈴木誠(4回1死三塁で藤浪から中犠飛) 速い真っすぐに対応できたけど、あっちは気を使って投げてくれていた。引っ掛けるボールもありましたけど、シーズンで対戦するのが楽しみです。

◆阪神矢野燿大監督は投手陣のレベルアップを望んだ。2番手以降の4投手がいずれも失点しての大敗。 ベテラン能見については「初めての(実戦)登板でね。(調整は)本人に任せるということになる」と心配していない様子だが、藤浪、望月、飯田には「晋太郎もモッチーも飯田も(失点のパターンが)結局は一緒と思う」と指摘。「100点満点のボールが1球いって、あとは100点よりだいぶ低いボールがいっちゃうと試合では抑えるところにはいきにくい。ボール、ボールになって、ストライクを取りにいくとなれば、力のある球をゾーンに投げるのは難しい。今後のいい課題が出た」と修正を期待していた。

◆今季初実戦の阪神能見篤史投手が、1イニングもたず7安打7失点と炎上した。6回から3番手で登板。1死から長打を含む4連打を浴び、死球を出すなど本調子とはほど遠かった。 投げ込みの疲れがあったかと聞かれると「それ以前の問題です。(ボールを)試すどころじゃない」と足早にバスに乗り込んだ。

◆初回2死走者なし。阪神の先発ジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)が投げ込んだ147キロ直球は、広島長野の外角いっぱいに決まった。3個目のアウトを取ると、顔色を少しも変えずひょうひょうとマウンドを降りた。その後も内外角問わずストライクゾーンぎりぎりにテンポ良く決め、3回を無安打無失点と危なげなかった。 「真っすぐだけじゃなく他の球種も全部プレートの端、コースにしっかり投げ分けることが出来た。コントロールすることも出来たから、本当に良かったかなと思うよ」 打者10人のうち初球ボールは2人だけで、3Aでの4シーズンで与四球率1・19だった驚異の制球力を存分に見せた。 初めて対戦した広島打線からは舌を巻くコメントが相次いだ。2回に内角の真っすぐに詰まらされて一邪飛の4番鈴木誠が「コントロールがいいピッチャー。コースのいいところに決まっていた」と言えば、初回に三ゴロの田中広は「低めはボールが動くし、ストレートもピュッと来て速い。バリントンの球強いバージョン」と表現。広島で11~14年に計40勝を挙げた右腕バリントンの名前を挙げ、それより力強いボールを持っているとなれば、ガンケルの白星量産に期待が高まる。 矢野監督も「ほとんどストライクも先行出来ているし、ゴロもしっかり打たせられた。らしさは十二分に出してくれたと思う。申し分ない」と絶賛だった。その上で先発ローテーションの6枠入りに「十分に今の力では入ってくるでしょう」と"当確"を与えた。 ガンケルは「外角と内角を使い分けた後は、上だったり下だったり、全部のコースがまた有効になってくる。そこは原点というか、自分の持ち味」と自身の強みを理解。精密な制球力で打線を手玉に取っていく。【磯綾乃】 ▽阪神福原投手コーチ(ガンケルについて)「高さで間違えないし、いいものを見せてもらった。(イニングは)徐々に伸ばしていきます」

◆初回2死走者なし。阪神の先発ジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)が投げ込んだ147キロ直球は、広島長野の外角いっぱいに決まった。3個目のアウトを取ると、顔色を少しも変えずひょうひょうとマウンドを降りた。その後も内外角問わずストライクゾーンぎりぎりにテンポ良く決め、3回を無安打無失点と危なげなかった。ヤクルト山口スコアラー(ガンケルについて)「逆球がなかった。今日ぐらいの制球力があったら、ローテを守っていけると思う」

◆阪神原口文仁捕手が攻守で存在感を示した。「8番捕手」で先発し、新助っ人ガンケルを3回無安打無失点と好リード。「テンポよく、低め中心でガンケルの特徴を引き出せた」。広島主軸から凡打の山を築いた。 打っても中前打、左前打とオープン戦初安打を含む2打数2安打だったが、2番手以降の藤浪、能見で大量失点した部分を反省。「後のピッチャーも結果を出してあげられるように」とリード面を課題に挙げた。

◆阪神陽川尚将内野手は広島の4番手K・ジョンソン打ちで2試合連続安打とした。「9番一塁」で先発し、8回にNPBで2桁勝利4度の左腕からフェンス直撃の右越え二塁打。 「(前打席の三振で)バットが外回りしていたので、なんとか内回りする意識で」。2戦連続安打はチームで高山と2人だけ。「結果を出さないといけない。明日は明日で切り替えてやっていきます」。貪欲にアピールを続けていく。

◆虎の超人が「復活指数99・8%打」だ! 昨秋に左足首を手術した阪神糸井嘉男外野手(38)が23日、198日ぶりに実戦復帰して即マルチ安打を放った。オープン戦の広島戦(コザしんきんスタジアム)に「1番右翼」で先発。初回のファーストスイングで大瀬良から左前打、3回も右翼線への二塁打で2打数2安打とした。走塁では負傷の原因となったスライディングも軽快にこなした。「ヨシオ100%」での開幕へ順調なスタートを切った。糸井が限りなく万全に近い状態で帰ってきた。左足首の負傷で実戦を離れてから198日。完全復活への号砲はプレーボール後すぐ、打ち鳴らされた。第1打席。開幕投手に内定している広島大瀬良をいきなり捉えた。カウント1-0の外角低め直球に逆らわず、ファーストスイングで左前にはじき返した。真っさらな打席での初振り初安打。「一発目から気合が入ったので、よかったです。うれしいね」。笑みがこぼれた。 3回の第2打席は大瀬良の135キロ変化球を右翼線へ引っ張った。慎重に一塁を蹴り、全力疾走で二塁に到達した。初回の出塁後は昨年の負傷の原因となった二塁へのスライディングも敢行。「ちょっと気にしつつ(塁を)回ったりしましたけど『いけるな』というのはあります。強く振れたし、強く走れた。順調にはきていますけど(患部を)気にしつつ、ちゃんとやっていきたいなと思います」。昨年12月の契約更改で「98%」と答えた回復度については「99・8%」と胸を張って言い切った。 昨年8月9日広島戦で二盗の際に左足首を痛めて離脱。その後、腱(けん)に新たな損傷も見つかり、チームがクライマックスシリーズを戦っていた10月にメスを入れた。リハビリ生活中は「2カ月、歩くだけで痛かった時期があった。相当、不安というか、またグラウンドに戻れるかな」とずっと思っていたという。「みんなとこうやって野球ができて、ちょっと幸せでした」。苦しい期間を乗り越えてきた分、グラウンドに立ってプレーできる喜びを素直に受け止めた。 この日の糸井は今キャンプ名物の1日キャプテンも務めた。試合前の円陣では「もうね...言うことはないです。サイコーの1日にしましょう。レッツゴー!」とハイテンションで声出し。東京五輪の影響で例年より開幕が早いこともあり、阪神移籍後最速のオープン戦出場に向けて自らにも気合を入れていた。「残り1カ月を切りましたけど、もうケガせずにしっかりやっていきたいなと思います」。3月20日開幕戦へ「100%」の仕上げを目指す。【奥田隼人】 ▽阪神矢野監督(糸井の実戦復帰について)「体も元気。しっかり2打席でヒット2本打つのもたいしたもん。嘉男らしさはしっかり出たと思う。こういう感じでやってくれれば」 ▽阪神清水ヘッドコーチ(糸井について)「ベースランニングとか気にしてるようには見えたけど、そこら辺を戻していってくれればそれでよし。今日はOKだね」 ◆糸井の歩み 昨年8月9日広島戦で、二盗を試みてスライディングした際に左足を痛め退場。都内の病院で「左足首の関節鏡視下クリーニング術及び靱帯(じんたい)補強術」を受け、10月9日に退院した。今キャンプでは慎重に練習をこなし、2月7日には本格的にベースランニングを開始。19日には初めて全体練習にフル参加し、全力でのベースランニングやシートノックも難なくこなした。 ◆糸井の阪神移籍後初実戦 過去3年はいすれも3月半ばに初実戦を迎えていた。オリックスからFA移籍初年度の17年は右膝関節炎のため、3月15日初戦と出遅れた。18年は順調に推移したが、3月13日に初実戦。19年は右膝の炎症で、3月16日までずれ込んだ。2月中の実戦出場は移籍後最速となった。

◆今年は「KJ」も任せてください! 広島会沢翼捕手(31)が23日、昨季先発で1度だけコンビを組んだK・ジョンソン投手(35)の女房役を務め、好リードをみせた。阪神とのオープン戦(コザしんきんスタジアム)で助っ人左腕とともに6回の守備から出場。3回2安打1失点に導いた。打っても途中出場ながら3安打1打点。チームの扇の要が攻守で存在感を示した。何度も積極的にコミュニケーションをとった。昨季会沢がK・ジョンソンと先発でバッテリーを組んだのは4月16日の巨人戦のみ。この日は6、7回と無失点。8回に1点を失うも、多彩な変化球を駆使した巧みなリードで3回2安打1失点に導いた。会沢は「KJの使いたい球種の部分を含めて、いろんな話をしながらできた」と手応えを口にした。 例年助っ人左腕が先発時はベテランの石原慶がマスクをかぶることが大半だった。石原慶が現在宮崎・日南キャンプに参加中ということもあるが、佐々岡監督は「新コンビ」の可能性について「それを踏まえての準備ということでやっている。オープン戦でいろんな話をしながらやるだろうし、組んでみてからということになる」と話した。 K・ジョンソンは3イニングでコンビを組んだ会沢について「久しぶりでしたけど、石原同様に会沢も信頼していますし、投げたい球種を交ぜてくれたので、満足しています」。会沢は「性格も分かっていますし、どういう球種、ボールで打ちとりたいかも分かっているので」と冷静だった。 会沢はバットでも存在感を示した。6回1死一塁から阪神能見の変化球を左中間に運ぶ適時二塁打。7回には中前へ、8回には左前へ運び、途中出場ながら3安打を記録した。「追い込まれてからの変化球も打てたので、結果も内容もよかった。(打席で)常に新しい感覚は生まれるので、今は頭と体を一致させる練習からやっていければ」。チームの扇の要はどっしりと構えている。【古財稜明】

◆阪神「7番左翼」で先発した高山俊外野手が、オープン戦2試合連続安打でアピールした。3回に大瀬良の外角135キロを左前へはじき返した。 前日22日中日戦は4打数4安打。「昨日あれだけ打って、今日の入りはすごく大事にしていた。そこで打てたのはよかった」。四球で出塁した5回は盗塁も成功。「行こうと思ったところで一発で行けた」。バットに加え、積極走塁も見せた。

◆広島堂林翔太内野手が途中出場ながら3安打2打点とアピールに成功した。6回の守備から一塁に就き、その裏1死二塁で回った打席で能見から左前適時打。7回に内野安打を放ち、8回2死三塁でも左前適時打で勝負強さを発揮した。 「強く振ることを意識してやってきたことがいい結果につながっていると思う。1試合、1打席を大事にやっていきたい」。一塁の開幕スタメンを争う中、好調を維持している。

◆広島ドラフト2位の宇草孔基外野手(22=法大)がオープン戦でプロ初タイムリーを含むマルチ安打と存在感を示した。 6回の守備から出場し、その裏2死一、二塁から能見の変化球を中前へ適時打。8回には飯田の直球を中前にはじき返した。22日のヤクルト戦では空振り三振を喫しただけに「追い込まれても三振しないように、真っすぐじゃないと疑うことができた」。佐々岡監督は「対左腕でも思い切って打てている」と評価した。

◆阪神・糸井嘉男外野手(38)が23日、広島戦(コザしんきん)に「1番・右翼」で先発。今季初実戦で一回いきなり左前打を放った。  広島先発の大瀬良を相手にカウント1-0からの2球目、低めの直球を流し打ち。左翼線に運んだ。  糸井は昨年8月9日広島戦(京セラ)で二盗を試みてスライディングした際に左足首を負傷。同10月に左足首の関節鏡視下クリーニング術および靱帯(じんたい)補強術を行い、このキャンプでも別メニュー調整が続いていた。この日が負傷以来198日ぶりの実戦となったが、ブランクを感じさせない打棒を見せた。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(25)が23日、広島戦(コザしんきん)に四回から2番手で登板。2回3安打3四死球で3失点した。  四回先頭、左の代打・野間に左中間二塁打を許すと、左の代打・小園と対戦。一ゴロに仕留めたが、1死三塁とされると4番・鈴木誠に中犠飛を許した。  五回はピレラ、安部に連打を浴び、その後制球が定まらなくなった。高橋大に四球を出して1死満塁とすると、続く上本に四球、野間には死球。連続押し出しで2点を献上した。  直球は最速155キロを記録し、課題としてきた抜け球は見られなかったが、はっきりとした結果で進化を見せることはできなかった。

◆広島の大瀬良大地投手(28)が23日、阪神とのオープン戦(コザしんきん)で対外試合先発し、3回5安打1失点とまずまずの仕上がりをみせた。  「自分の球を投げることを意識した。良いものもあったが、甘く入ったところを打たれてしまった。安打をたくさん打たれているが、例年のこの時期と比べると悪くないと思う」  毎回走者を背負ったが粘った。一回1死一、二塁では糸原を直球で遊ゴロ併殺に。二回無死一塁では木浪をカットボールで二ゴロ併殺、上本を見逃し三振で脱出。三回無死一、三塁では陽川の三ゴロ併殺崩れの間に1点を失ったが、最少失点で踏ん張った。  一回に左前打、三回には右翼線二塁打を浴びた糸井については「初実戦で自分のスイングで対応できるのは、一線級で活躍されているからなのかな」と脱帽した。  すでに佐々岡監督から3月20日の開幕・中日戦(マツダ)の先発を託されている右腕は「開幕投手として見られているなかで結果が伴わないといけないところがある。そこが難しいですね」と2年連続の大役に向けて仕上げていく。

◆四回から2番手で登板した阪神の藤浪は押し出し四死球があり、2回を3失点。「ボールが先行した。球種をたくさん投げられたのは良かったが、いい結果が出なかった」と悔しがった。  連打でピンチを招いた五回は1死後に四球で満塁を背負い、上本には最初からボールが続いた末に四球。左の野間には初球を当ててしまった。  昨季は勝ち星なしに終わり、今キャンプでは手首を立てて投げることを意識するなど、試行錯誤してきたが、オープン戦初登板では成果を示せなかった。「結果を出していかないといけない立場。反省して次につなげたい」と生き残りへ決意を口にした。

◆阪神の新戦力、ガンケルが先発で3回を無安打、無得点に抑えて存在感を示した。打者10人のうち、初球がボールだったのは2人のみとストライク先行の投球。「直球だけでなく、他の球種も良かった。コーナーにしっかり制球できた」と満足げに振り返った。  28歳投手に米大リーグ経験はないものの、昨季はマイナー3Aで8勝を挙げた制球力が持ち味。上背196センチから投げ分け、三振も二つ奪った。開幕ローテーション入りへ期待を抱かせる好投だったが「対戦を重ねると相手打線も慣れてくる。いろいろと対策をしていかないと」と気を引き締めていた。 原口(バッテリーを組んだガンケルに) 「あれだけテンポよく投げてくれれば、チームのリズムも良くなる。特長が出ていた」

◆広島は開幕投手を務める大瀬良が3回で5安打を浴びても1失点と落ち着いていた。阪神は左足首の手術を受けた糸井が昨夏以来の実戦出場で2安打と全快をアピール。先発候補の新外国人、ガンケルが3回を無安打無失点と好投した。 阪神・能見(六回から3番手で登板し、2死しか取れずに7失点) 「試すどころじゃなかった。それ以前の問題」

◆--ガンケルの存在は大きい  矢野監督「四球で崩れることも考えにくいし、そんなに打球を上げられていないので、そういうピッチャーがいてくれるのは大きい。ここから研究されると思うのでね、それは投げていかないと分からない。今の段階でやれることは、精いっぱいやってくれたと思う」  --藤浪の状態は  「みんな一緒だよ。能見は初めての登板で、能見は本人に任せるということになると思うのでね。晋太郎(藤浪)もモッチー(望月)も飯田も結局は一緒だとは思うんだよね。ボール、ボールになってストライクを取りにいくとなれば、力のある球をゾーンへ投げていくっていうのはなかなか難しいから。いい課題が出た。より実戦に近づけてやっていける課題が出たと思う」  --24日のヤクルト戦は外国人野手3人が並ぶ  「打線の厚さはもちろん出ると思うし、守備機会もあればいいなと思うし。点をとるというのは俺らも楽しみやけど、ファンの人も楽しみやろうし、相手にとっては嫌なものになる。そのあたりを出していけるような試合になると思う。逆に日本人選手がそこに負けないぐらいの活躍してくれることを望んでいる。そういう相乗効果が出る形が楽しみ」

◆山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。(夏目漱石『草枕』)  それでネ、夕方になって...フト、そんなことを考えました。それというのも、みなさまも2、3面の対照的な紙面をご覧になってよくおわかりのように、本日の当番デスク堀啓介もちょいとした"山路"の凸凹を味わいました。  何、まだまだエクササイズの時間なのですからそれほどすったもんだするわけでもありませんが、できればスイスイッと「本日のシェフのおすすめ」新鮮な魚介類が産地直送でコザしんきんスタジアムから届きました! 日頃のみなさまのご愛顧にこたえて大サービス...と虎祭りで大展開したかったんです。  ベテラン板前『糸井』を1番に起用するという"演出"も用意してくれて、いきなり2安打! それが試合は2-14...。広島相手に自慢の投手陣が16被安打です。  それでも当番デスクの堀啓介は冷静そのもの。ご心配めさるな。我が虎番軍団も明るい。少しもひるむことなく取材に奔走してましたヮ。  まず、広島戦で沖縄市に記者陣が出払った後、宜野座の居残り組は阿部祐亮デスクが取材した。こういう場合でも矢野監督はキチンと朝から宜野座に顔をだしてベテラン勢と顔をあわせてから...おもむろにオープン戦にでかけるのだそうです。  で、宜野座で阿部が監督に挨拶をすると「おっ"エライ人"が朝からどないしたん」とニヤリ。「連日イイ天気でいいですねぇ」といえば、矢野監督は身をのりだしてきて「それが"最高"なんよ!」とニコッ。その笑顔に今季のキャンプが象徴されていると阿部はいう。まだ東大寺二月堂の「お水取り」もこないのに沖縄はほとんど半そでで取材が可能なのです。  ただし、この日は藤浪、能見らが広島にサービスしすぎて...。  その代わりといっちゃあなんだが、高知の2軍キャンプでは、ドラフト2位・井上広大外野手(履正社高)がドカンとアーチをかけている。これについては菊地峻太朗記者が声を弾ませて「とにかく落ち着いているし、何か我々にビンビンくるものを持ってるんです。だからこそ球団もここはじっくりと育てて、という思惑と期待が伝わってきますョ。なにしろクレバーな選手です」と、その未知の魅力にベタぼれしてきた。  実は冒頭に引用した漱石の『草枕』の舞台となったのは熊本県の「玉名温泉」というところで漱石は山を越えてこのひなびた温泉に宿泊し、そこで独特の人生観をかもしだす「小説」を書いた。筆者はわざわざその「玉名温泉」の旅館までいって漱石の泊まった宿に宿泊してみたことがある。なんでそんな酔狂な...とおもわれるかもしれないが、実はこの「玉名温泉」は真弓明信氏が阪神監督に就任したとき「子供のころから長嶋茂雄さんのファン」といいきり、彼自身も実は子供時代から三池工高のファンでその監督が原貢氏。真弓さんが生まれたのは玉名温泉のある「玉名郡」だった。当然、現在でも巨人原辰徳監督も尊敬している関係と絆がある。  真弓さんは阪神の監督に就任した2009年、こう熱く語っている。  「阪神の野球は1点でも少なく抑えて、1点でも多く取る!」  漱石はその玉名温泉の帰途にこう書き足した。住みにくさが高じると安いところに引っ越したくなる。どこに越しても住みにくいと悟ったとき、詩がうまれて画ができる...と。  これから先の矢野タイガースはどんな絵を描くのだろう、と「虎ソナ」を書きながら考えた...。

◆陽川が意地の一打だ。「その前の打席の三振はバットが外回りしていたので、なんとか内から出すようにした」。1-13の八回先頭で、エース左腕のK・ジョンソンの甘く入った直球をはじき返し、二塁打。相手の守備のミスもあり三塁に進むと、梅野の内野ゴロの間に生還した。それでも「僕は結果を出すしかない。明日は明日で、また切り替えてやっていきたい」と力を込めた。

◆糸井はこの日、1日キャプテンを務めた。試合前の円陣では、始めは隠れながらも輪の中心に。「もうねー、言うことはないです! サイコーの1日にしましょう! レッツ、ゴー!!」と久々に実戦へ出場できる喜びを全身で表現。プレーだけでなく、背中でもチームを引っ張った。

◆5番手で八回に登板した飯田は1回4安打1失点。「カウント負けしてしまったところが、だめでした」と反省した。無死一、二塁で三好を遊ゴロ併殺に打ち取ったが、続く堂林に左前適時打。球質については「感じは悪くないですけど」と分析も、ボール球が先行。最大の課題を克服できなかった。

◆「7番・左翼」でスタメン出場の高山は三回無死からの第1打席に、広島先発・大瀬良から左前打。前日から5打席連続安打となった。五回は四球。七回は一ゴロで連続打席安打は止まったが絶好調だ。「きのう(4安打)からの、きょうの入りを大事にしていたので打てて良かった。(五回の)盗塁も行こうと思った場面で一発で行けたので」。1番候補の一人は打って走って、納得の表情だった。

◆今季初登板した能見はまさかまさかの大乱調だ。3番手で六回に登場するも、2/3回を7安打1死球で7失点(自責5)。予定の1回もたずに32球で降板した。  「疲れもあった? それ以前の問題ですね。試すどころではなかった」  先頭の西川は初球で中飛に打ち取ったものの、直球は130キロ台前半。キレのない球はことごとく打ち返された。下位打線に4連打されると、上本には頭部死球を当ててしまい球場は静まり返った。打者一巡され、10人目の正隨に左前打されたところでベンチからタオルが投げ込まれ、望月にスイッチした。  40歳で迎える今季は第1クールで合計439球投げ込むなど昨季の反省から先発時代の調整に戻したが、現時点で不安の残る結果に。矢野監督は「本人に任せるということになると思うのでね」と話すにとどめた。

◆2本柱が揃って及第点の投球を披露した。  広島の大瀬良大地投手(28)とクリス・ジョンソン投手(35)が23日、阪神戦(コザしんきん)でともに対外試合に初登板。大瀬良は3回5安打1失点。ジョンソンも3回を2安打1失点にまとめた。  先発の大瀬良は毎回走者を背負ったが、2併殺を奪うなどして最少失点で切り抜けた。「たくさんヒットを打たれたが、例年より感覚は悪くない」。昨年12月の時点で3月20日の開幕・中日戦(マツダ)の先発に指名した佐々岡監督も「内容は気にしていない。本人に任せている」と信頼を強調した。  六回から登板したK・ジョンソンも、長年バッテリーを組んでいる石原慶が2軍調整中のため会沢との新コンビで臨んだが、「石原と同様に、会沢も信頼している。自分の投げたい球を投げさせてもらった」と好感触を口にした。 (柏村翔)

◆阪神の新外国人、ジョー・ガンケル投手(28)=前マーリンズ3A=が広島戦に先発し、3回無安打無失点と好投。矢野燿大監督(51)は開幕ローテへ「十分に今の力なら入ってくるでしょう」と明言した。一方、2番手で登板した藤浪晋太郎投手(25)は2回3安打3失点。押し出しを含む3四死球と課題を残し、先発ローテを狙う2人の明暗がはっきりと分かれた。  ストライクゾーンを目一杯に使い、強力打線を手玉に取った。ガンケルが3回無安打無失点の快投。アウトを一つ奪うごとに、ファンの期待と虎将の評価がぐんぐん高まる。コザに広がった青空のように、開幕ローテ入りへ視界は良好だ。  「コースにしっかり投げることができたし、それをコントロールすることができたのでよかった。有利なカウントで進めることができたので、そこもすごくよかったと思うよ」  2番・菊池涼、4番・鈴木誠ら主力が名を連ね、前日も7得点と好調な鯉打線を封じ込めた。一回はわずか8球で2死とし、3番・長野は147キロ直球で見逃し三振。三回1死から四球を許しただけで、無安打に抑えた。「内(角)と外を投げ分けた後には、上下の高低も有効になる。それが自分の持ち味」。  抜群の制球力で打者10人のうち初球ボールは2人のみ。内野ゴロも6つと持ち味を発揮。カープ打線が四回以降16安打14得点という結果を見ても、その投球は光る。  矢野監督は「ほとんどストライクも先行できている。ゴロもしっかり打たせられていた。らしさは十二分に出してくれた。申し分ない。(開幕ローテには)十分に今の力では入ってくるでしょう」と初めて明言した。  前回16日の楽天戦(宜野座)での2回無失点に続く好投。1軍外国人枠は4で、4番のボーアとセットアッパーのエドワーズは濃厚。24日のヤクルト戦(浦添)はボーア、サンズ、マルテが初めて揃って出場するなど野手3人プランもある中、ガンケルが文句なしの投球で、枠も開幕ローテもたぐり寄せた。  開幕カードで当たるヤクルト・山口スコアラーは「逆球もなかったし、よかった。ローテを守ったら嫌(な相手)」と警戒。二回に一邪飛の鈴木誠は「コントロールがいい。いいコースに投げられました。わざと球を動かしていた」と舌を巻いた。メジャー経験ゼロの196センチ右腕に漂う、大化けの予感-。  「(広島と)初めての対戦だったが、いい投球ができた。だけどこれから回数を重ねていくと相手も慣れてくると思うから、それを踏まえていろいろとやっていきたい」  本人に油断はない。あくまで「今の力では」というローテの椅子。ここから、さらに確かなものへ変えていく。 (織原祥平) ガンケルについて阪神・福原投手コーチ 「高さを間違えないし、いいものをみせてくれてよかった。(次回から)徐々にイニングをのばしたい」 ★先発は残り3枠  今季の阪神の開幕ローテは、開幕投手に決定している西勇に、矢野監督が大きな期待をかける高橋、昨季9勝の青柳が軸となる。残り3枠を岩貞や秋山、藤浪らが争う中で、実戦で安定した成績を残しているガンケルが大きくリードした形。また左肩の違和感で別メニュー調整しているガルシアは開幕が絶望的だ。

◆常に後手にまわり、苦しい投球が続いた。大炎上こそ免れたが、2試合連続失点の藤浪は立場を自覚して猛省した。  「(先発)ローテーションを投げている投手なら『これでいいです』といえるでしょうけど、結果を出さないといけない。大いに反省するところだと思います」  四回、先頭の野間の右中間二塁打と鈴木誠の中犠飛などで1点を失い、五回も大苦戦した。1死一、三塁から高橋大に四球で満塁とすると、上本の四球と野間の死球で、2者連続の押し出し。なおも満塁で追加点は防いだが、2回3安打3失点で3四死球。投手陣の14失点のきっかけを作ってしまった。  「際どい球があった部分もありましたけど、どうしてもボール先行、ボール先行だったので」  矢野監督は終盤に登板した望月や飯田とともに「みんな一緒。100点満点の球が1球いって、あとは100点よりだいぶ低い球がいっちゃうと、ゲームではなかなか抑えるというところにいきにくい」と指摘した。最速155キロも、ボール先行でストライクを欲しがれば、100点の球も生まれない。16日の楽天戦(宜野座)の3回2失点から前進とはいえない内容。これまでの直球とスライダー主体の投球に加え、カーブやフォークも使った右腕はしきりに反省を続けた。  「球種をたくさん使えたことはよかったけど、結果としていいように出なかった。反省して次回以降しっかりやっていきたいと思います」  開幕まで1カ月を切って、そろそろ結果が立場に直結する時期。復活が期待される大器は、まだ競争から抜け出せない。 (安藤理)

◆超人が帰ってきた! 阪神は23日、広島戦(コザしんきん)に2-14と大敗したが、昨年10月に左足首の手術を受けた糸井嘉男外野手(38)が「1番・右翼」で198日ぶりに実戦復帰。カープの開幕投手・大瀬良から、いきなり2打数2安打をマークした。「野球ができて幸せ」-。3月20日のシーズン開幕へ、もう心配は無用だ!!  実戦の緊張感、グラウンドの熱気、そしてファンの声援...。そのすべてが、超人の本能を呼び覚ました。糸井がまだ誰も踏み入れていない真っさらな打席へ。復活の証明は、プレーボール直後のひと振りで十分だった。  「まずは、みんなとまた野球をすることができて、幸せでした。きょうは、自分が試合に出られるという喜びを感じていた」  幸せという言葉に実感がにじむ。昨年8月9日の広島戦(京セラ)で左足首を痛めて戦線離脱して以来、実に198日ぶりの実戦。任された打順は「1番」で、しかも相手は、すでに開幕投手に決まっている大瀬良。「一発目から気合が入った」-。第1打席から全身に力がたぎった。  1ボールから2球目。ファーストスイングで直球をとらえ、ライナーで左翼線へ。慎重を期して一塁でストップも、三回の第2打席は大瀬良の135キロを右翼線へ引っ張った。左足首を気にしながらも、大きなストライドで悠々と二塁到達だ。  「強く振れたし、強く走れた。順調に来ているが(左足首を)気にしつつやっていきたい」  復帰戦で、いきなり2打数2安打。右翼の守備も3イニングこなした。「(打球が)飛んでこんかった...」と苦笑いしたが、打って、走って、守ってと躍動する糸井の姿が、ファンにとっても何より「幸せ」だった。  「歩くだけで痛かった時期もあった。相当、不安というか、またグラウンドに戻ってこられるかな...という気持ちでリハビリしていた。きょうは本当によかった」  昨年10月に左足首にメスを入れた。過酷なリハビリ生活。もちろん不安はあった。このキャンプも別メニューで調整。ベースランニングやシートノックなど全体練習に参加し始めたのは第4クール(18日~)からだ。練習後は、必ず左足首にアイシングを施し、細心の注意を払いながら、この日を迎えた。はやる気持ちをぐっと抑えながら、一歩ずつ進んできた復活ロード。試合後のホッとした表情が、すべてを物語っていた。  矢野監督も「体も元気やし、2打席でヒット2本打つっていうのも大したもん。野球をやっていてすごく楽しそうな姿が見えた。嘉男らしさはしっかり出た」と目を細めた。「2番・近本」が新打線の肝だが、生かすも殺すも「1番」の出塁次第。この日は昨季1番での出場1度の糸井を起用したが、さっそく結果を出した。長打力も足もある背番号7が元気なら、新1番候補として、期待は膨らむばかりだ。  「(足の回復度は)99・8%! 開幕まで残り1カ月を切ったし、けがなくやっていきたい」  3月20日、ヤクルトとの開幕戦(神宮)へ-。超人が残り「0・2%」を埋めたとき、虎はさらに強くなる。 (原田遼太郎) 糸井について清水ヘッドコーチ 「もちろんホッとしたよ。ベースターンとか少し、気にしているように見えたけど、(開幕までに)戻してくれればそれでよし。きょうはOKだね」 ★糸井の阪神移籍後の初実戦VTR  ◆2017年 右膝関節炎で出遅れ、3月15日のオリックス戦(京セラD)に「3番・DH」で先発出場。一回に中前打を放つなど2打数1安打1三振  ◆18年 3月13日のヤクルト戦(甲子園)に「5番・DH」で先発出場。2打数無安打も状態面に関しては「めっちゃいい」  ◆19年 3月16日の西武戦(甲子園)に「3番・右翼」で先発出場。一回に四球を選んで出塁すると、三回1死一、二塁で中前打。右膝付近炎症で出遅れたが「100%」と全快宣言

◆ガンケルが開幕オーダーに近い広島打線相手に完ぺきな投球。開幕ローテ候補に間違いなく入ってくるだろう。  注目したいのは真っすぐ、ツーシームともに146キロ前後で、時折、真っすぐより球速のあるツーシームを投げていた。これは球に指が掛かっている証拠。スライダーを含めて低めに制球されていて、打者10人中ゴロアウトが6個。普段は力で抑え込もうとしない、日本の野球向きの考え方の持ち主なのだろう。  一方でここ一番での強気な攻め方も披露してくれた。唯一のフライアウトは二回の鈴木誠(一邪飛)。強打者に対して追い込んでから最後は内角で詰まらせた。攻めの多彩さは「勝てる投手」の大事な要素。長い回を投げられるスタミナがどれだけあるのか、判断する必要はあるが、勝ち星を稼げそうなタイプだ。  藤浪は、抜け球がなかったことを評価してあげたいが、やはり右打者を迎えてどう攻めるか。この日は外角一辺倒。となると、スライダーの精度を上げないと抑えるのは難しい。当たり前のことだが、1つ1つクリアしていくしかない。もう少し時間がかかりそうだ。  能見に関してはキャンプ中に投げ込んできた疲れがあったのか、この日は球威がなさすぎ。判断材料にはならない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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