巨人(☆5対2★)阪神 =クライマックスシリーズ1回戦(2019.10.09)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
23000000X5602
勝利投手:山口 俊(1勝0敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(0勝0敗1S))
敗戦投手:望月 惇志(0勝1敗0S)

本塁打
【巨人】丸 佳浩(1号・1回裏ソロ),岡本 和真(1号・1回裏ソロ)

  DAZN
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◆巨人がファイナルステージ初戦を制した。巨人は初回、丸と岡本の2者連続本塁打で先制に成功する。続く2回裏には、亀井と坂本勇の連続適時打で3点を挙げ、リードを広げた。投げては先発・山口が8回途中1失点の好投。敗れた阪神は、先発・望月が誤算で、打線も振るわなかった。

◆巨人が、丸佳浩外野手(30)と岡本和真内野手(23)の「マルオカ」コンビのアベック弾で2点を先制した。 まずは3番丸。1回2死、フルカウントから阪神望月の真ん中152キロ直球を捉えた。打った瞬間、ゆったりと歩き出すほど完璧な当たりはバックスクリーン左へ飛び込む1号先制ソロとなった。「追い込まれて、外の真っすぐをしっかり打ち返すことができた。クライマックスシリーズは先制することが大事なので、先に点がとれて良かった」と昨季まで3連覇した広島時代の経験を結果につなげた。 続く4番岡本も、フルカウントから真ん中へ甘く入ったフォークボールを逃さなかった。左翼席への1号ソロで追加点を生み出し、主導権をつかんだ。

◆初戦の先発を任された阪神望月惇志投手(22)が2回5安打5失点3四球で降板となった。 初回にいきなり、リーグ優勝打線の洗礼を浴びた。先頭の亀井に四球を与え、坂本を遊ゴロ併殺に仕留めた直後だった。3番丸にフルカウントから、中堅へ先制ソロを浴びた。歓声も静まらぬうちに、4番岡本にも左翼へ2者連続のソロを許した。 2回も巨人打線の勢いは止まらず、2死一、二塁から亀井に左翼へ適時二塁打を浴びると、坂本勇には中前へ落ちる2点適時打。序盤に痛い5失点となり、3回は代打を送られた。 巡ってきた大役だったが「大事な初戦を任せていただいたのに、早々にマウンドを降りることになり、チーム、応援してくれているファンの方々に申し訳ないです」と悔やんだ。

◆3回から登板した阪神岩貞祐太投手(28)が好救援した。2回5失点だった先発望月に代わりマウンドへ。 5番阿部、6番ゲレーロを連続で空振り三振に仕留めるなど3者凡退。4回も8番小林、9番山口と連続三振を奪い、17球で2回無安打無失点で能見にバトンを託した。 プロ6年目で初の中継ぎ登板。終始落ち着いた様子で仕事を果たした。

◆巨人は1回に丸、岡本の連続ソロで2点を先制。2回は亀井、坂本勇の適時打で3点を追加した。阪神望月は2回5失点で降板。 阪神は4回1死満塁から暴投の間に1点を返した。2番手岩貞から能見に継投。巨人先発の山口は6回まで2安打1失点に抑えた。 巨人は先発山口が8回途中1失点で降板。継投でつなぎ、逃げ切った。阪神は2点どまりで黒星スタートになった。 巨人山口が1勝、田口が1セーブ、阪神望月が1敗。

◆巨人が先勝した。1回に丸、岡本の連続ソロで2点を先制。2回は亀井、坂本勇の適時打で3点を追加した。先発山口が8回途中1失点と好投。継投でつなぎ、逃げ切った。阪神は2点どまりで黒星スタートになった。 ▼巨人は初回に3番丸、4番岡本が連続本塁打。岡本は現在23歳3カ月で、18年ファイナルS<1>戦鈴木(広島)の24歳1カ月を抜くプレーオフ、CSの最年少4番アーチとなった。プレーオフ、CSの2者連続本塁打は18年1S<3>戦のデスパイネ→中村晃(ソフトバンク)以来14度目で、巨人では14年ファイナルS<4>戦のセペダ→坂本以来3度目。3→4番の連弾は04年2S<1>戦の井口→松中(ダイエー)に次いで2度目になる。日本シリーズで巨人の3→4番連弾は、王→長嶋が69年<6>戦の6回、70年<4>戦の3回、72年<5>戦の3回に記録しており、ポストシーズンでは47年ぶりチーム4度目の3→4番連弾だった。今季の巨人は公式戦で初回の得点が両リーグ最多の96点。公式戦同様、CSでも初回得点の速攻が決まった。

◆「マルポーズ」で勢いよくスタートを切った。1回2死。巨人丸佳浩外野手がフルカウントからの外角152キロをガッチリ押し込んだ。打球はバックスクリーン左への1号先制ソロ。4年連続でCSファイナルに進出し、短期決戦を熟知している。「3人で終わると、嫌な感じの流れになる。先制することが大事なので先に点が取れて良かった」と併殺直後の1発で先手を取った。 丸弾はベンチにも一体感をもたらす。広島からFA加入1年目。オープン戦から阿部の発案で「マルポーズ」が生まれた。原監督を含む首脳陣もそろって両手を頭上でくっつけ、新名物として浸透した。9月28日のレギュラーシーズン最終戦以来11日ぶりの真剣勝負に「立ち位置、スイング軌道、細かいことはたくさんある。いい準備ができた。信じてやるだけだった」。自身通算5本目のCS弾となる先制パンチを決めた。【為田聡史】

◆東京ドーム巨人が先勝した。1回に丸、岡本の連続ソロで2点を先制。2回は亀井、坂本勇の適時打で3点を追加した。先発山口が8回途中1失点と好投。継投でつなぎ、逃げ切った。▼巨人が<1>戦に勝ち、アドバンテージの1勝を含め2勝。巨人のファイナルS出場は10度目だが、ファイナルSの<1>戦に勝ったのは13、15年に次いで3度目。15年<2>戦からのファイナルSでの連敗を6で止めた。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗は過去22チームあり、17年広島を除いた21チームがシリーズに進出。突破率は95%と高い。

◆今季限りで退団する阪神鳥谷敬内野手は好機を広げられなかった。 4点を追う5回無死一塁、大歓声を浴びながら代打登場。フルカウントから山口の直球を打ち返したが、二塁正面を突いて併殺打に倒れた。「点差もあったので、何とかつなごうと思っていたんですが...」と厳しい表情。次戦以降も勝負どころで出番を待つ。

◆巨人が快勝し通算成績を2勝0敗とした。1回2死から丸と岡本の連続ソロで2点を先制。2回に亀井の適時二塁打などで3点を加えた。山口は8回途中まで1失点と力投。阪神は先発した望月が制球難で2回5失点。救援陣は踏ん張ったが、打線が暴投と押し出し四球による2点に終わった。

◆CS初登板初先発の阪神望月惇志投手は2回5安打5失点3四球で降板した。 初回は併殺で2死を奪った直後に、3番丸、4番岡本に被弾。「ゲッツーで2アウト取って、ああいうところを含めて技術的に上げていかないと」。2回も2死一、二塁から亀井、坂本に連続適時打を浴び、3回に代打を送られた。「こういう雰囲気、こういう試合で、しっかり抑えられる球を見つけないと、と監督、コーチにも言われました」。この経験を糧にしたい。

◆7回の三塁守備から出場の阪神北條史也内野手がチームに流れを引き寄せた。 8回に左安打を放つと、9回には執念で押し出し四球をもぎ取った。「一発勝負なので、調子というよりは1打席1打席集中してやっている。負けたら意味がないので」。ファーストステージからのラッキーボーイを継続したいところだ。

◆阪神4番手守屋功輝投手が2回を無安打無失点に抑えた。「調子は悪くない。(3番手の)能見さんがいいピッチングをしていたので、自分も0で続こうと思いました」。 ファーストステージDeNA戦から、CSは3試合4回イニング0封だ。今後もイニングまたぎでの登板が想定されるが「常に交代と言われるまで、気持ちを切らさずにやっています」と頼もしく語った。

◆阪神岩貞祐太投手(28)はプロ6年目で初の中継ぎで2イニングを完全投球した。5点ビハインドの3回に2番手で登板。いきなり5番阿部、6番ゲレーロを連続三振に仕留めるなど4奪三振。 レギュラーシーズンでは過去に1度もなかった救援マウンドだったが「出し切るしかないので。ペースとかは考えずに」難なく対応した。金村投手コーチは今後の起用法について「スクランブルだからいろいろなことが考えられる」と説明。17球しか使わなかっただけにフル稼働にも期待がかかる。

◆強行出場の阪神福留孝介外野手が「3番左翼」で気迫のフル出場だ。 4回2死から巨人山口の変化球を右翼前に運びチーム初ヒット。続くマルテの右前打、糸原の四球で三塁まで進むと、暴投でホームを踏んだ。ファーストステージの7日DeNA戦で左足に死球を受けて負傷。出場も危ぶまれたが最後までグラウンドに立ち続け「(左足の負傷は)関係ない」と涼しい顔で話した。 試合後はナインに語り掛けるように力を込めた。「これで負け(敗退)が決まったわけじゃない。2敗、3敗になるわけじゃない。切り替えていくしかない」。チームにとって精神的支柱でもある福留は決して下を向くことはなかった。極限の試合が続くポストシーズンでその存在は必要不可欠。経験豊富なベテランは、最後の最後までグラウンドで戦う覚悟だ。

◆阪神ルーキーの中堅近本光司外野手がファインプレーでもり立てた。7回、巨人亀井の大飛球を背走してジャンピングキャッチ。中堅フェンスにぶち当たりながらもボールを離さなかった。 「攻撃で流れを作れなかったので守備からと思っていた」。バットでは4打数ノーヒットだった。

◆阪神木浪聖也内野手が9月22日のDeNA戦(甲子園)以来の1番で先発したが、5打数無安打に終わった。 9回に1点をかえし、なおも2死満塁で打席に立ったが、三ゴロに終わった。「なかなか甘いボールは来ないので、1球を大事にやっていきたい。イチ(最初)はやっぱり大事。明日もそれを意識してやっていきたい」と話した。

◆大事な初戦に勝利した巨人原辰徳監督(61)は「簡単にはいきませんね」と切り出した。 4点リードの9回は、守護神デラロサが連続四球で2死満塁とした場面で田口にスイッチした。 「今日はスライダーの精度が全くなかったですね。ボールそのものは走っているとは思ったんですけど。いい薬になるでしょう」 CSファーストステージで競り勝った阪神に先勝。 「初回、2回といい攻撃ができたというところにね、少し流れは止まったような感じはしましたけれどもね。でもやっぱりあともう1点というのがなかなか取れなかったというのが、こういうゲーム展開になったんでしょうね」 1回は丸、岡本に連続ソロが飛び出した。 「見事ですね。初回の2点も、次の3点取ったイニングも大きかったですね」 1番亀井、2番坂本勇を含め、4番までに打点が付いた。 「大きいと思いますね。うちの中心選手ですから。久々のゲームでしたけれどもね、今日は勝利がついたというところが非常に良かったところだと思いますね」 先発山口は8回1失点と好投。 「非常に粘り強く、慎重に投げて、ナイスピッチングだったと思いますね。7回の先頭打者だったんですけれども、もう少し、まだボールは走っているというなかで彼をマウンドに上げました」 アドバンテージを含めて2勝となった。 「あんまりアドバンテージのことは考えていないんですけれども、初戦を取れたということで、この勢いを持って明日に向かうというところだけですね」

◆巨人は2回に亀井善行外野手、坂本勇人内野手の連続適時打で3点を追加した。2死一、二塁から三塁線を破る適時二塁打を放った亀井は「いい追加点になった」と喜び、中前に2点適時打を放った坂本勇は「亀井さんがつないでくれたので打てて良かった」と言った。 1番から4番までが全員打点を挙げる展開に、原監督は「大きいと思いますね。うちの中心選手ですから」と歓迎した。

◆阪神がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの初戦を落とした。先発望月惇志投手が2回5失点KOも、3回以降は3投手の無失点リレーで反攻を待った。巨人の守護神デラロサを引きずり出し、9回は1発が出れば逆転というところまで追い詰めた。リーグ優勝した巨人に1勝のアドバンテージがあり、阪神は2敗。それでも矢野燿大監督(50)は「もう1つ負けられる」と強気だった。敗色濃厚の阪神が、一筋縄ではいかないしぶとさを見せつけた。4点を追う9回1死後に連打で巨人抑えのデラロサに襲いかかる。球を見極め、押し出し四球で3点差に迫り、なお2死満塁。1発逆転の展開で巨人ベンチもたまらず左腕の田口を投入する。木浪は三ゴロに打ち取られて敗れたが、激戦でDeNAとのファーストステージを制した不屈の闘志を知らしめた。 シーズン最後の6連勝で逆転CSを決めるなど、一貫して攻めの采配を振る矢野監督は強気に言う。「ある意味、ウチにとっては必要な負けと、俺はそう思っている。ある意味、もう1個負けられるわけだから、それをどうするか。日本シリーズに出るために最後、こうやってデラロサ出してこういう戦いをできた」。優勝した巨人に1勝のアドバンテージがあり、敗戦。残り2敗で、CS敗退が決まるが、連投で疲れがたまる勝ちパターンの中継ぎ陣を温存できた。"織り込み済み"の1敗なのだろう。 巨人との初陣先発を託したのはプロ4年目、22歳の望月だ。だが、初回から王者巨人の1発攻勢にのみ込まれる。2死後、丸へのフルカウントからの6球目。梅野はミットを内角に構えたが、速球はシュート回転して真ん中へ。完璧に仕留められ、バックスクリーン左へ運ばれた。その直後、岡本に左翼席へアーチを浴びた。痛恨の2者連続被弾...。2回も立て直せず3失点。大役を果たせず、悔しい5失点KOになった。 プロ1勝の望月を抜てきしたのは理由がある。指揮官は「一番、元気なヤツはモッチーかなと思った。経験も積ませられる。投手はみんな多く投げている。総合的に判断してモッチー」と説明した。将来を見込んで大舞台を任せた。結果こそ残せなかったが、大胆なタクトだった。登板過多が続く救援陣をカバーすべく岩貞がロングリリーフ要員で招集された。3回から2イニング無失点に抑え、生命線はさらに太くなった。 指揮官は続ける。「みんなよく投げてくれた。だから、最後、こういうゲームになった。投手が作ってくれた部分が大きい」。下克上での日本シリーズ出場に向け、第2ラウンドの逆襲を期す。【酒井俊作】

◆支えてくれた大先輩のために-。クライマックスシリーズ(CS)自身初先発の巨人山口俊投手(32)が、阪神打線を8回途中1失点に抑え、CS初勝利を挙げた。4回2死まで無安打投球。立ち上がりからフルスロットルで飛ばし、4安打7奪三振と圧倒した。今季限りで現役を引退する阿部の花道を飾るため、是が非でも勝ちたい一戦で、3冠右腕がきっちりと結果を出した。声が聞こえた。5点リードの4回2死満塁。マウンドに輪ができた。中心に立つ山口は左を向き、耳をすませた。「思い切ってどんどん点差もあるし勝負していけ」。阿部からの声だ。落ち着いた口調で発せられた言葉で気持ちを整理した。暴投で1点を失い、四球を挟み、なおも2死満塁。大山を中飛に打ち取り、崩れなかった。「最少失点に抑えられたのでよかったです」。得点圏に唯一走者を置いたピンチをしのいだ。 決戦の地に立つまでの道のりにも、常に大先輩の存在があった。16年オフにDeNAからFA移籍。「ところどころで声をかけてくださって助かりました」と慣れない新天地にもすんなりと溶けませてくれた。今年2月26日。春季キャンプ中の練習試合で1016日ぶりにマスクをかぶった阿部とバッテリーを組み「腕を強く振れ」とアドバイスをもらった。「本当にお世話になったので、阿部さんを日本一で送り出したい」。結果で恩を返したいと心から思った。 だからこそ、大事な初戦で転ぶわけにはいかなかった。2回までに5点をもらい「ぶざまなピッチングはできないと思った」。序盤から得意球のフォークを惜しみなく使った。5回からはスライダーを軸に組み立て、的を絞らせなかった。「探りなんていらない。初球から飛ばしていく。それだけです」。一心不乱に打者へ立ち向かい、下克上を狙う猛虎打線を黙らせた。 8回1死一塁。交代を告げられ、ベンチへ小走りで戻ると阿部が待っていた。左手で背中をポンとたたかれ、126球の熱投をねぎらわれた。今後は14日の第6戦に中4日で備え、日本シリーズに進めば敵地での初戦、2戦目のいずれかの登板を見据える。「いい形で初戦がとれた。まだまだ1戦1戦気を引き締めて戦っていきます」。チーム、そして阿部のために。大きな1勝をつかんだ。【桑原幹久】

◆今季限りで引退する巨人阿部慎之助捕手が「5番一塁」で先発し、ファンから大歓声を受けた。 三振、三振、中飛と3打数無安打でベンチに下がったが、一塁の守備位置から積極的に投手陣に声をかけるなど、チームをもり立てて勝利に貢献した。

◆巨人岡本和真内野手(23)が、クライマックスシリーズ(CS)初本塁打を放ち、阪神とのファイナルステージ(S)初戦を勝利に導いた。1回2死、丸が先制ソロを放った直後に左翼席に豪快なアーチを運んだ。昨季はファーストS、ファイナルS合計で18打数1安打、打率5分6厘と低迷。「逆CS男」と悔しさを味わった。雪辱を誓った今シリーズで最高のスタートを切った。巨人は先勝でアドバンテージ1勝と合わせ2勝とした。スタンドが沸く中、岡本は攻撃的な姿勢で打席に向かった。「すごく打ちづらい」と吐露するアーチ直後の打席。初球ファウルの後、勝負はフルカウント。フォークにタイミングを合わせ、CS初アーチを左翼席に運んだ。5回の左前打でマルチ安打を達成。お立ち台では1安打と沈黙した昨年のCSの話題を切り出し「去年は1本だったんで、今日の試合で2本打ったのでキャリアハイです」とスタンドを爆笑に包んだ。 苦い経験から、どんな試合でも「いつも通り」で臨むと決めた。マジック4で迎えた9月20日のDeNA戦。坂本勇が円陣で話した「僕も緊張してるし、若い選手もすごく緊張すると思うけど、こういう試合に出られる状況を幸せに」の言葉が胸に響いた。普段はあまり緊張しないタイプだが、主将の熱い言葉に「力みすぎて」最初の3打席に凡退した。 岡本 緊張しながらやったんですけど、全然あかんかったんで、かっこつけんと、僕は僕らしく、いつも通りやろうと思った。 4打席目に適時二塁打を放ち、5打席目には2年連続となる30号でチームの勝利に貢献した。思い返せば、昨年のCSでも「打たないと」の思いが強すぎ、大ブレーキ。今年は「短期決戦は自分の結果よりも、チームの勝利」を強く意識し、初戦で去年の悪夢を払拭(ふっしょく)した。 この日の試合前ミーティング、静寂の中で首脳陣、選手、スタッフ全員が手をつなぎ、思いを1つにした。原監督流の「勝負の儀式」で闘魂を注入。「一丸となって、暴れるのみ」と熱いゲキも飛び、気持ちを奮い立たせた。独特な雰囲気が漂った中でも「ファンの歓声とか、すごく楽しかった」と受け止めた。 今季7度目の「マルオカ弾」で主導権を奪って、初戦を制した。試合前には丸から目薬をさしてもらって、視界もクッキリ。「早くあと2試合で決めて、日本シリーズに行きましょう」と力強く宣言し、大歓声を浴びた。【久保賢吾】

◆阪神がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの初戦を落とした。リーグ優勝した巨人に1勝のアドバンテージがあり、阪神は2敗。それでも矢野燿大監督は「もう1つ負けられる」と強気だった。 その他の一問一答は以下の通り。 -望月は変化球の制球に苦しんだ 総合的にまだまだ発展途上の投手。こういう試合に投げたことで、物足りない部分やもっとこうしないといけないところが見えたんじゃないかな。 -岩貞が第2先発 中継ぎ以降、みんな投げている。今日は自分の中ではある程度、そういうところで、投手にいってもらって。 -巨人先発の山口は絞りきれなかったか 絞り切れなかったというか調子が良かったよね。特に立ち上がりは、ちょっといいコースに来ているし、フォークも切れているし、そう簡単に打てる状態ではなかった。だからこそ、失点を少なくいければよかったと思うけど。中盤以降は見極めというか、何とかみんなもできつつあった。前半の立ち上がりは調子いいと思っていて見ていた。 -10日は高橋遥が先発する。中2日だが球数も少なかったのも判断材料か それもあるし、投げられる人がなかなか現状いないので。気持ち的にも大変な部分もあると思う。それも、もちろん分かっている。でも、勝つことも、経験を積ませることも総合的に考えて遥人でいくと決めた。思い切りいってくれたらいい。

◆巨人岡本和真内野手(23)が、クライマックスシリーズ(CS)初本塁打を放ち、阪神とのファイナルステージ(S)初戦を勝利に導いた。1回2死、丸が先制ソロを放った直後に左翼席に豪快なアーチを運んだ。昨季はファーストS、ファイナルS合計で18打数1安打、打率5分6厘と低迷。「逆CS男」と悔しさを味わった。雪辱を誓った今シリーズで最高のスタートを切った。巨人は先勝でアドバンテージ1勝と合わせ2勝とした。 スタンドが沸く中、岡本は攻撃的な姿勢で打席に向かった。「すごく打ちづらい」と吐露するアーチ直後の打席。初球ファウルの後、勝負はフルカウント。フォークにタイミングを合わせ、CS初アーチを左翼席に運んだ。5回の左前打でマルチ安打を達成。お立ち台では1安打と沈黙した昨年のCSの話題を切り出し「去年は1本だったんで、今日の試合で2本打ったのでキャリアハイです」とスタンドを爆笑に包んだ。 苦い経験から、どんな試合でも「いつも通り」で臨むと決めた。マジック4で迎えた9月20日のDeNA戦。坂本勇が円陣で話した「僕も緊張してるし、若い選手もすごく緊張すると思うけど、こういう試合に出られる状況を幸せに」の言葉が胸に響いた。あまり緊張しないタイプだが、主将の熱い言葉に「力みすぎて」最初の3打席に凡退した。 岡本 緊張しながらやったんですけど、全然あかんかったんで、かっこつけんと、僕は僕らしく、いつも通りやろうと思った。 4打席目に適時二塁打を放ち、5打席目には2年連続となる30号でチームの勝利に貢献した。思い返せば、昨年のCSでも「打たないと」の思いが強すぎ、大ブレーキ。今年は「短期決戦は自分の結果よりも、チームの勝利」を強く意識し、初戦で去年の悪夢を払拭(ふっしょく)した。 この日の試合前ミーティング、静寂の中で首脳陣、選手、スタッフ全員が手をつなぎ、思いを1つにした。原監督流の「勝負の儀式」で闘魂を注入。「一丸となって、暴れるのみ」と熱いゲキも飛び、気持ちを奮い立たせた。独特な雰囲気が漂った中でも「ファンの歓声とか、すごく楽しかった」と受け止めた。 今季7度目の「マルオカ弾」で主導権を奪って、初戦を制した。試合前には丸から目薬をさしてもらって、視界もクッキリ。「早くあと2試合で決めて、日本シリーズに行きましょう」と力強く宣言し、大歓声を浴びた。【久保賢吾】 ▼巨人は初回に3番丸、4番岡本が連続本塁打。岡本は現在23歳3カ月で、18年ファイナルS第1戦鈴木(広島)の24歳1カ月を抜くプレーオフ、CSの最年少4番アーチとなった。プレーオフ、CSの2者連続本塁打は18年1S第3戦のデスパイネ→中村晃(ソフトバンク)以来14度目で、巨人では14年ファイナルS第4戦のセペダ→坂本以来3度目。3→4番の連弾は04年2S第1戦の井口→松中(ダイエー)に次いで2度目になる。日本シリーズで巨人の3→4番連弾は、王→長嶋が69年第6戦の6回、70年第4戦の3回、72年第5戦の3回に記録しており、ポストシーズンでは47年ぶりチーム4度目の3→4番連弾だった。今季の巨人は公式戦で初回の得点が両リーグ最多の96点。公式戦同様、CSでも初回得点の速攻が決まった。

◆阪神・望月惇志投手(22)が9日の巨人とのクライマックスシリーズファイナルS第1戦(東京ドーム)に先発し、一回2死から丸に中越えの先制ソロ、岡本に左越えソロを被弾して2点を失った。  一回、先頭の亀井に四球を出しながらも続く坂本を遊ゴロ併殺に仕留めて2死に。しかし続く丸にフルカウントからの6球目、外角152キロを中堅スタンドに持って行かれて先制を許すと、続く岡本にもやられた。またしてもフルカウントから、139キロフォークをを捉えられて左翼席へ。連続弾を献上し、2点のビハインドを背負ってしまった。

◆巨人・丸佳浩外野手(30)、岡本和真内野手(23)が9日、阪神とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第1戦(東京ドーム)の一回、2者連続アーチをマークした。  巨人は一回、先頭の亀井が四球で出塁するも坂本勇が遊ゴロ併殺。2死走者なしで打席に入った3番・丸は、阪神・望月が外角に投じた152キロの直球をバックスクリーン左へ。先制ソロでスタンドを沸かせ、「追い込まれて、外のまっすぐをしっかり打ち返すことができた。クライマックスシリーズは先制することが大事なので、先に点がとれて良かった」とコメントした。  さらに、続く4番・岡本もフルカウントから甘く入ったフォークボールを左翼席中段に突き刺し、2者連続のソロとした。ポストシーズンを前に「去年は全く何もできなかったので、今年は僕に任せてください!」と意気込んでいた岡本が、有言実行の一発でチームに勢いをもたらした。

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦が行われた東京ドームで9日、試合前に巨人と阪神の監督、選手らが、巨人で前人未到の通算400勝を達成し6日に死去した金田正一さんに黙とうをささげた。  東京ドームの22番ゲート前には故人を悼み記帳所が設置され、多くのファンが訪れた。

◆阪神・望月惇志投手(22)が9日の巨人とのクライマックスシリーズファイナルS第1戦(東京ドーム)に先発し二回に亀井、坂本に連続適時打を浴びて3失点。0-5とリードを広げられた。  二回、1死一、二塁から山口は一犠打失敗で2死一、二塁に。亀井を打席に迎え、1ストライクからの2球目だった。138キロフォークを捉えられ、左翼線への適時二塁打に。0-3とされると、なおも2死二、三塁から坂本には初球126キロを振り抜かれて中前へ。さらに2点を追加される適時打を献上し、0-5とされた。

◆阪神・望月惇志投手(22)が9日の巨人とのクライマックスシリーズファイナルS第1戦(東京ドーム)に先発し、2回5安打5失点で降板した。  一回に丸、岡本に連続弾を浴びて2点を先制されると、二回にも猛攻につかまった。2死一、二塁から亀井に左翼線への適時二塁打を許して0-3とされると、なおも2死二、三塁から坂本に中前適時打を献上。0-5と突き放された。  望月はこの日がCS初登板。託された大一番で快投を披露したかったが、悔しい登板となった。

◆リーグ王者の巨人が阪神に快勝し、6年ぶりの日本シリーズ進出へあと2勝とした。  リーグ3位から下剋上を狙う阪神の勢いと止めた。巨人は一回、丸、岡本の連続弾で2点を先制。さらに二回2死一、二塁から亀井が左翼線へ適時二塁打、なおも二、三塁から坂本勇が中前2点打を放ち序盤で5点を奪った。  投げては先発の山口が7回1/3を投げ4安打1失点の好投を見せ、勝利を呼び込んだ。  ヒーローの山口は「しっかりと一人ひとり勝負する気持ちで投げました。(8回は)投げきりたかった。勝つしかないと思ってマウンドに上ったので、チームが勝ててよかったです」と笑みを浮かべた。

◆阪神が9日、巨人とのクライマックスシリーズファイナルS第1戦(東京ドーム)に臨み、2-5で敗れた。先発した望月惇志投手(22)が2回5失点と誤算。序盤のビハインドが最後まで響いた。  一回2死から丸に中越えの先制ソロ、岡本に左越えソロを被弾し、いきなり2点を失った。二回1死一、二塁から亀井の適時二塁打で0-3とされると、なおも2死二、三塁から坂本には初球126キロを振り抜かれて中前へ2点打。0-5とされた。  阪神は四回に山口の暴投で1点、九回にも2死満塁から押し出しで1点を追加したが、届かなかった。

◆巨人の田口が好救援しセーブを挙げた。5-2の九回2死満塁のピンチで登板し、木浪をスライダー2球で追い込み、3球目の速球で三ゴロに仕留めて試合を締めた。  九回に登板したデラロサが押し出し四球で1点を失った嫌な流れを断ち切った。力強くガッツポーズし「いつ言われてもいいように気持ちの準備は前もってできていた。ベスト(の状態)でマウンドに上がれた」と胸を張った。

◆15勝で最多勝に輝いた山口と投げ合うには、プロでまだ1勝しか挙げていない阪神の望月には荷が重かった。雰囲気にのまれ、連続アーチを浴びるなど2回5失点。先発の駒不足の中で抜てきされたものの、いきなり劣勢を招き「こういう試合で抑えられるボールを身につけないといけない」と肩を落とした。  長身から投げ込む速球は魅力があるが、変化球を見極められた。一回、坂本勇を併殺打にした直後、丸に152キロを中越えにたたき込まれた。続く岡本には落差のないフォークボールを左翼席に放り込まれた。二回も2死から失点。亀井、坂本勇に連続タイムリーを許して0-5とされた。  矢野監督は「ある意味、必要な負け」と分が悪かったことは織り込み済み。22歳のホープには「まだまだ発展途上。課題が見えたんじゃないか」と今後に期待した。

◆阪神は9日、巨人とのクライマックスシリーズファイナルS第1戦(東京ドーム)で2-5で敗戦。巨人は1勝のアドバンテージがあるが、矢野燿大監督は試合後、「ある意味うちにとっては必要な負け」と巻き返しへ自信をみせた。  --まずは望月の球威にかけた  「一番、元気なヤツがモッチー(望月)かなと思っただけで。あとは経験も積ませられるのもあるし。投手はみんな多く投げているので。総合的に判断してモッチーかなと」  --内容としては変化球の制球に苦しんだ  「まあまあ、総合的にまだまだ発展途上の投手なので。こういう試合に投げたことで、自分の足りない部分やもっとこうしないといけないとダメだというところが見えたんじゃないかな」  --岩貞は第2先発という起用  「中継ぎ以降、みんな投げているから。今日は自分のなかではある程度、そういうところで、投手にいってもらってっていう」  --我慢して流れを変える投球だった  「みんな、それ以降は。サダ(岩貞)もね、みんな2イニングずつか。みんなよく投げてくれたし。だから、最後こういうゲームになれたし。それはそこのピッチャーが作ってくれたっていう部分が大きいと思う」  --山口は絞りきれなかった  「絞りきれなかったというか、ちょっと調子がよかったよね。特に立ち上がりはいいコースに来ているし、フォークもキレているし、そう簡単に打てうような状態ではなかったんで。だからこそ、失点少なくいければよかったと思うんだけど。中盤以降は見極め、なんとかできつつあったけど、ちょっと前半立ち上がりは調子いいなと見ていたけど」  --四回、九回とあと一歩まで。明日やり返す要素も  「もちろんそうやし、ある意味うちにとっては必要な負けっていうか、俺はそう思ってるんだけど。ある意味もう1個負けられるわけだから、それをどうするかっていうね。日本シリーズ出るためのものとしては、最後こうやってデラロサだしてこういう戦いもできたし。俺の中ではそういう風に理解してるんだけど」  --明日は高橋遥。中2日だが球数も少なかっただけに  「それもあるし、なかなかみんな、投げられる人がね。なかなか現状いないので。(高橋)遥人にもちょっと、うーん...どうなんやろね。気持ち的にも大変な部分もあると思うけど。それも、もちろんわかっているしね。でも、勝つことも、経験を積ませることも総合的に考えて遥人でいくと決めたんでね」  --高橋遥らしく行ってほしい  「だって行くしかないねんから。いつも通り。ある意味、ここにきてそういう場数を踏んでという登板になると思うんでね。いい意味で経験できている部分もあるんでね。なかなか落ち着いてというわけにはいかないと思うけどね。遥人のボールを投げるしかないんでね。思いっきりいってくれたらいいと思います」

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが開幕し、レギュラーシーズン3位の阪神は1位の巨人に2-5で敗戦。「7番・三塁」でスタメン出場した大山悠輔内野手が、反撃の機運を断ち切ってしまった。  四回に巨人先発・山口の暴投で1点をかえし、高山も四球を選んで2死満塁と攻め立てたが、高めの変化球に初球から手を出して中飛に倒れた。前日は自主練習でロングティーを行ったが、3打数無安打と結果につながらず。七回の守備からベンチに下がった。  清水ヘッドコーチはチャンスで期待に応えてほしかったか問われ「もちろん、もちろん」と残念がった。CS計4試合出場で打率・100(10打数1安打)と苦しんでいる。

◆阪神の収穫はサウスポー岩貞の好投だった。三回から2番手で2回を無安打無失点、4奪三振と完璧に抑えた。入団以来、レギュラーシーズンでは中継ぎの経験はないが「どの役割でも腕を振っていくだけ。出し切るしかない」と伸びやかな球を投げ込んだ。  リリーフ陣に疲労が蓄積する中、この日出場選手登録された。今季巨人戦は防御率2・81と好相性で、第2戦以降にも期待がかかる。「しっかり準備して、気持ちをつくっていきたい」と勇ましかった。

◆--先発の望月は  矢野監督「一番、元気なヤツがモッチー(望月)かなと思っただけで。あとは経験も積ませられるのもあるし。投手はみんな多く投げているので。総合的に判断して。まだまだ発展途上の投手なので。自分の足りない部分が見えたんじゃないかな」  --岩貞は第2先発  「中継ぎ以降みんな投げているから。今日は自分の中ではある程度、そういうところでいってもらって、っていう」  --相手の山口は  「調子がよかったよね。特に立ち上がりはいいコースに来ているし、フォークもキレているし、そう簡単に打てる状態ではなかったんで」  --第2戦の高橋遥は中2日で  「なかなか投げられる人がね、現状いないので。気持ち的にも大変な部分もあると思うけど。それも、もちろんわかっている。行くしかないねんから。思いっきりいってくれたらいいと思います」

◆悔しい! 悔しい! 悔し~い!!  だけど、この俺の悔しさは優勝チームの巨人に負けたことじゃない。それ以上に先発した4年目、22歳の望月惇志が、先発陣の充実している他球団なら絶対にありえない、この大ゲームにほうらせてもらったのに、自分の武器である速球を信じず、「打たれないように...打たれないよう...投球をまとめるように...」と若き特権を自ら放棄した、2回5失点なのだ!!  望月くんのこの先のためにひと言、言わせてもらう。ダメ元で開き直れないものは、永遠に変わらんでェ!! 大きく育てよ!!  アドバンテージを入れて2敗は正直厳しい! でも、わが阪神には負けても大収穫があったのだ!! 三回から八回まで岩貞、能見、守屋で許したヒットはわずか1本なのだ!!  かくなる上は、矢野スペシャルの高橋遥、島本、ガルシア、守屋、能見、島本、ドリス、岩崎、藤川、岩貞、そこに先発の青柳も加わったれー! の一人一回必殺リレーで球史に残る奇跡を起こしたろーや!!

◆多少は想定していたけれど、やはり「現実」を突きつけられるとムカッ腹が立つ...巨人はベスト投手の山口ですヮ。  「どや、これが優勝チームの真の姿やで...おとといおいで!」といわれているような剛速球に、思わず難波の編集局から東京ドームの記者席の編集委員上田雅昭に電話を入れてみた。  「なんとかならんか...」  「何をどないせぇと言うんですか」  「そやから、なんとか...」  すると上田はいささかあきれ気味で「何をウダウダ言うてくるんですか...」と電話の向こうで苦虫を噛みつぶしているのがわかる。  「試合前にセレモニーがありまして、それで5年前(2014年)の東京ドームを思い出しとったんですヮ。あの年は藤浪晋太郎をファーストステージで温存できて、東京ドームの決戦で和田監督は初戦に藤浪を投入...彼は7回で117球。四球1、失点1と藤浪の"雄たけび"がドームに響き渡って巨人のアドバンテージの1勝をチャラにした。しかし、今年はその藤浪がおらんのですヮ。それが現実。先輩、もう引きずらんと行きましょうや...」  そんなこというても...なんか悔しいやないか。試合前からトラ番キャップ大石豊佳も「練習でも特に気負いもなく、いつもと同じ感じでした。5年前の日本シリーズに阪神が巨人に4連勝して進出してきたとき、僕はソフトバンクの担当でしたから...ちょっと上から目線で虎をみてまして...結果は4勝1敗。本音をいえば望月の見切りどきが分水嶺と思います...」と言ってきた。  何か明るいニュースはねぇのか...と思ったところに編集局に飛び込んできたのがスウェーデン王立科学アカデミーが「ノーベル化学賞」に旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)ら3人を選んだというニュース。  ここんとこ、学校の先生のイジメとか、父親の幼子への虐待とか、やりきれない事件が多かったけれど、やっとウレシイ話題が飛び込んできて救われた。吉野氏はリチウムイオン電池を研究されて携帯型の電子機器などの普及に大いに寄与されたらしい。  実はこの日にもう一つの明るい外電が届いた。先日、亡くなられた金田正一氏について米のニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂が「400勝投手の訃報を悼む」として顕彰している。筆者はピヨピヨ記者時代に鹿児島にロッテ監督だった金田正一氏を訪ねたことがある。  「おッ、ちょうどいいとこに来た。これから俺は打撃練習に投げるんや。ウオームアップの相手をしてくれや」といわれてOKした。後ろでマネジャーがやや青い顔をしている。カネやんは「大丈夫や、なッ」と彼は軽々といきなりカーブを投げた。もちろんまったく捕れない。次はピュッと速球...これも捕球できなかった...。この夜の先発望月にこれほどの"キレ球"があったらなぁ...と思ったけど、もう遅いヮ。

◆球団OBで、6日に急性胆管炎のため86歳で死去した金田正一氏の冥福を祈り、阪神戦前に30秒間の黙祷(もくとう)がささげられた。東京ドームの22ゲート前には記帳所も設けられ、現役時代の写真と花が並べられ、多くのファンが列を作った。また、米ニューヨーク州クーパーズタウンにある米国野球殿堂は公式ツイッターで「日本のプロ野球の通算最多勝記録を打ち立て、ただ一人の400勝投手である金田正一さんを忘れません」と追悼のメッセージを送った。

◆デラロサの押し出し四球で5-2となった九回2死満塁で、田口が4番手として登板。木浪をスライダー2球で追い込むと、最後は外角直球で三ゴロに打ち取り、CS初セーブを挙げた。レギュラーシーズンで55試合に登板した24歳左腕は「きょうはきょうのベストでマウンドに上がれた。いつでも大丈夫です」と今後のフル回転を誓った。

◆プロ通算1勝ながら、CSでの初登板先発を託された22歳の望月は、2回5安打3四球で5失点と役割を果たせず。一回に丸、岡本に連続被弾すると、二回には亀井、坂本勇に連続適時打を許した。「こういう試合でしっかり抑えられる球を身につけていかないといけないです。技術的なところを上げていかないと」と悔しさをにじませた。金村投手コーチは「なかなか経験できる舞台ではない。今後に生かしてほしい」と奮起を促した。

◆キャプテンの糸原が1-5の九回に執念をみせた。1死走者なしで守護神のデラロサの初球154キロを中前へ弾き返すと、2死満塁から北條の押し出し四球で2点目のホームを踏んだ。「最後は追い上げたので、絶対にあしたにつながる。勝てるように頑張ります」と逆襲を誓った。CS計4試合出場で打率・313(16打数5安打)と好調をキープ中だ。

◆CS初の「2番」で先発出場した近本は4打数無安打に終わった。「真っすぐを打ちにいけなかった。山口さんと小林さんに自分の考えを読まれてしまいました」。それでも中堅の守備では七回1死、亀井のライナー性の当たりをフェンスにぶつかりながら好捕。「守りからでも流れをつかめればと思ったんですけど。(あしたは)チームが勝てるようにしたいです」と力を込めた。

◆能見が5日のDeNAとのファーストステージ第1戦(横浜)以来の登板で2回1安打無失点と好投。「(間隔が空いたが)いつも通りいけました」。五回2死一塁では今季限りでの引退を表明している阿部を打席に迎え、中飛に。「抑えるのが難しいバッター。きょうは打ち取れましたけど、明日以降もしっかり仕事ができれば」と先を見据えた。

◆七回の三塁守備から出場した北條が1安打1打点と存在感を放った。八回先頭で山口のスライダーを捉えて左前打。九回2死満塁ではデラロサから押し出し四球を選ぶ、これでCSではチーム最多の7打点。「一発勝負なので、何とかしたいと思ってやっています。1打席1打席が勝負なので」とうなずいた。

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが開幕し、レギュラーシーズン3位の阪神は1位の巨人に2-5で敗戦。  第2戦に先発する高橋遥は、中2日での抜てき。7日のDeNAとのファーストステージ第3戦では先発し、3回を1安打無失点と好投。球数はわずか28球だった。2年目の左腕は「他の投手はほとんど僕より投げているし、連投もしている。(自分は)全然大丈夫です」と話しており、スクランブル登板へ気合十分だ。

◆「7番・三塁」で2試合ぶりにスタメン出場した大山が、反撃の機運を断ち切ってしまった。四回、山口の暴投で1点を返し、なお2死満塁で打席に立ったが、高めの変化球に初球から手を出して力ない中飛に倒れた。前日は自主練習でロングティーを行ったが、3打数無安打と結果につながらず、七回の守備からベンチに下がった。清水ヘッドコーチはチャンスで期待に応えてほしかったか問われ「もちろん、もちろん」と残念がった。CSは計4試合出場で打率・100(10打数1安打)と苦しんでいる。

◆阪神・岩貞祐太投手(28)が9日、1軍に昇格。第2戦の先発とみられていたが、ブルペン待機して0-5の三回から2番手で登板。2回を無安打無失点、4奪三振と完璧に抑えた。  「明日以降の戦いに切り替えてしっかり準備してやりたいと思います。キャッチャーに向かって思いきって腕を振って投げていくだけです」  好救援に加え、球数が17球と少なかったこともあり、今後は先発起用の可能性も含めて総力戦のキーマンとなりそう。代わって中谷将大外野手(26)が出場選手登録を抹消された。

◆3点リードの二回2死二、三塁で坂本勇が中前2点打。外角低めの変化球に食らいつき、序盤で一気に阪神先発の望月を崩した。前を打つ亀井に続いて貴重な追加点を挙げた主将は、「亀井さんがしっかりつないでくれたので、打ててよかった。いいところに落ちてくれた。勝てたのが一番大きい」と白星発進に笑みを浮かべた。

◆左翼席に陣取った虎党から大歓声を受けながら、東京ドームのバッターボックスに向かった。今季限りでの退団を表明している鳥谷が、1-5の五回無死一塁で代打として登場。フルカウントから山口の145キロ直球をとらえるも二ゴロ併殺に倒れ、試合後は悔しさを隠さなかった。  「点差もあったので、なんとかつなごうと思っていたのですが...」  このメンバーと勝ちたい、チームの役に立ちたい-。そんな決意がにじみでたのは、一回の守備の前のウオーミングアップだった。  鳥谷が三塁ベンチから出てきて、左翼の守備に就いた福留に向かってボールを投げた。それから2人のキャッチボールが始まった。通常は若手が相手をする仕事を、ベテランは積極的に、柔和な表情でこなした。  DeNAとのCSファーストステージを前にした4日の甲子園練習。矢野監督は「トリ(鳥谷)がいくところって全部いい場面でしょ」と熱く話していた。初出場だった7日のファーストステージ3戦目は0-0の四回2死一、二塁で四球。この日も得点圏ではなかったが、無死という状況。だからこそ、期待に応えたかった。  スタンドには『鳥谷敬を甲子園でもう一度』というボードを持ったファンの姿があった。東京ドームで「虎の鳥谷」を終わりにするわけにはいかない-。必ず甲子園に戻る。きょうこそ、ここ一番で勝利に貢献するヒットを打つ。 (三木建次)

◆勢いのある阪神打線の前に、どっしり立ちはだかった。大事な初戦を託された巨人・山口俊投手(32)がCS初先発で勝利。レギュラーシーズンの「伝統の一戦」とは違い、左中間席まで埋め尽くしたG党からの大歓声に頬を緩めた。  「初球から飛ばしていく。それだけでいきました。序盤からあれだけ点を取ってもらったので、ぶざまなピッチングはできないと思った」  地中に根を張った大木のように強固な下半身から、最速151キロの直球とフォークボールを投げ込む。四回に1点を失ったが、「最少失点で抑えられたのはよかった」。7回終了時で115球だったが、八回も続投を志願。7回1/3を1失点、126球の力投だった。  今季はエースの菅野が3度離脱する中、投手陣の柱として最多勝(15勝)、最高勝率(・789)、最多奪三振(188)の3冠に輝いた。そんな山口もユニホームを脱げば、大黒柱として家族を支える2児の父親。球宴前の7月11日。32歳の誕生日を迎え、家族から祝福された。  食卓に愛妻の手料理とケーキが並び、部屋にはパーティー用の大きなバルーンで『HAPPY BIRTHDAY 32』の文字が飾られた。英語が堪能な長女からは、似顔絵とともに『I love Daddy』と書かれた手紙のプレゼント。「子供に我慢をさせたくない。その一心です。今の僕の野球は」。最も身近な存在が自身の支えだ。  次は中4日で14日の第6戦にスタンバイする。「一戦一戦、気を引き締めて戦っていきます」。7年ぶりの日本一に、背番号11は欠かせない。 (赤尾裕希) 山口について巨人・宮本投手総合コーチ 「ブルペンからすごい球を投げていた。3冠のプライドでしょう。(第6戦に登板の可能性は)あり得るが、そこまでもつれたくない」

◆たかが1敗。盛り返すチャンスは、まだまだ残っている。42歳の福留が力強く顔をあげた。奇跡の物語は続いている。百戦錬磨のベテランが、不屈の闘志を燃やした。  「これで負けたわけでもないし、1敗が2敗、3敗になるわけでもない。切り替えてやるだけです」  敗戦にも強気な矢野監督に呼応するように、CSファイナルステージ突破だけを見据えた。  パーフェクト投球を続けていた山口相手に、突破口を開いたのも背番号8のバットからだった。0-5の四回、2死走者なしから甘く入ったスライダーを一閃。打球を右前へ飛ばし、続くマルテも右前打で続くと、糸原も四球を選んで満塁。高山の打席の暴投で、チーム初得点となる反撃のホームを踏んだ。  今季、東京ドームでは12試合で打率・442(43打数19安打)、3本塁打、7打点とメチャクチャ打った。相性通りの快音を響かせ、第2戦以降も逆転突破へのキーマンであることを、自ら証明した。  DeNAとのCSファーストステージ第3戦(7日、横浜)では第1打席に左足つま先付近に死球を受け「かなり痛いです」と、珍しく!? 弱気な発言もあった。それでも患部の腫れとも戦いながら、中1日で「3番・左翼」でスタメン出場。不安を払拭した。  試合前練習からフルメニューをこなし、チーム宿舎への帰り道も「(足の具合は)関係ないです」と頼もしかった。清水ヘッドコーチも「孝介(福留)の代わりはいない。足の状態次第だけど、頑張ってもらうしかない」と全幅の信頼を置いた。  巨人に4連勝した2014年のCSファイナルステージでは打率・286、1本塁打、2打点と大活躍。当時の歓喜を知るチーム最年長42歳が、やり返す。誰よりも逆襲を確信し、第2戦へと挑む。 (新里公章)

◆敗れて不敵、"最高の負け方"だ! セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが開幕し、レギュラーシーズン3位の阪神は1位の巨人に2-5で敗戦。Gにはリーグ優勝による1勝のアドバンテージがあり、0勝2敗となったが、矢野燿大監督(50)は日本シリーズ進出へ向けて「必要な負け」と超強気。そのココロは-。  勝ちどきをあげる宿敵を背に、矢野監督が不気味にほほえんだ。大事な初戦を落とし、リーグ覇者のアドバンテージも合わせて、0勝2敗。過去ここから巻き返したチームは2年前のDeNAだけ-。しかし、傍目には苦しい状況にも、虎将は極めて強気だった。  「ある意味うちにとっては必要な負けっていうか、俺はそう思ってるんだけど」  今季も10勝15敗とやられ、8年連続で負け越しを食らっている巨人に、二回までに5点を奪われて黒星発進。しかし、指揮官にとっては想定内の負け...。いや、負けの中でも理想的といえる負け方だったというのだ。  まず先発投手だ。今季3冠に輝いた山口に対して、虎は22歳、プロ通算1勝の望月を抜てき。苦戦は承知の上だった。  加えて0-5の三回以降は、この日昇格させた岩貞、そして能見、守屋が2イニングずつ無失点リレー。「みんなよく投げてくれた。だから、最後こういうゲームになれた。それはピッチャーが作ってくれた部分が大きい」。被安打わずか1で、改めて虎のブルペン陣の脅威を見せつけ、巨人の勢いを止めた。  結果、4点差を保って九回に抑えのデラロサを出させると、糸原、高山の連打などで2死満塁から北條の押し出し四球で1得点。ここで巨人はたまらず交代。「最後にこうやってデラロサを出して、こういう戦いもできた」。相手守護神を"KO"することで、効果的なジャブとなった。  そして何より、DeNAとのCSファーストステージでフル回転させた岩崎やドリス、藤川という勝利の方程式を温存できたのは、今後に向けての大きな収穫だった。  「もう1個負けられるわけだから。それをどうするかっていうね。日本シリーズに出るためのものとして」  ファーストステージでは「すべて勝ちに行く」と話して臨んだが、6試合のファイナルステージは違う。選手の疲労度なども考えて、どううまく「2敗」するか。目指すのは日本シリーズのみ。残りを「4勝1敗」で勝ち抜くためには、理想的な形で"負けられた"というわけだ。  10日の第2戦は2年目の高橋遥を先発に送る。ファーストステージ第3戦は28球だったとはいえ、中2日という勝負手を打った。「勝つことも、経験を積ませることも総合的に考えて(高橋)遥人でいくと決めた」。将来のエース候補に託し、勝ちに行く。  今季の開幕前。「優勝するチームは60敗できる。いい60敗をしよう」と熱弁した。結果的にシーズンでは68敗を喫したが、そのすべてを糧にして崖っぷちからここまで上り詰めた。このファイナルステージでも"最高の負け"から、はい上がる。 (大石豊佳) ★CSファイナルステージ  6試合制で行われ、先に4勝した球団が日本シリーズに進出する。レギュラーシーズン1位球団には、1勝のアドバンテージが与えられる。延長は十二回までで、ステージの勝ち上がりが確定した時点でコールドゲームとする。また先攻球団が十二回表を無得点で終了した際、裏は行わない。引き分けの場合、再試合は行わない。セ・リーグは悪天候による中止などで予定試合を消化できない場合、勝利数が多い球団が勝者。勝利数が並んだ場合は1位球団が勝者となる。予告先発はセ、パ両リーグとも実施する。

◆ファイナルステージ(6試合制)がセ、パ両リーグで開幕した。セは5年ぶりに優勝した巨人がレギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神に5-2で勝利。リーグ優勝チームに与えられるアドバンテージを含めて2勝0敗とした。一回に3番・丸佳浩外野手(30)、4番・岡本和真内野手(23)が2者連続本塁打。『OM砲』が活躍したリーグ王者は10日の第2戦に勝ち、日本シリーズ進出に王手をかける。  完璧な手応えを得て、岡本は一塁へ弾むように走り出した。一回2死から左翼席中段へ2者連続ソロ。3位から勝ち上がってきた阪神の勢いを封じた。  「丸さんがいい流れを作ってくれたので僕もそれに続こうと。打った瞬間、入ったと思った」  この一発の直前、4番・岡本の前を打つ丸が「最高のスイングができた」と152キロの直球をバックスクリーン左へ運ぶ先制ソロ。続く岡本は甘く入ったフォークボールを仕留めた。2人が着火した打線は二回にも3得点。主導権を握った。  ポストシーズンでの巨人の3、4番による連続本塁打は、1972年の阪急との日本シリーズ第5戦(西宮)の三回に3番・王貞治、4番・長嶋茂雄の『ON』がマークして以来47年ぶり。岡本(O)と丸(M)の『OM』が、V9時代の象徴だった黄金コンビに並ぶ輝きを放った。  岡本は、広島から今季加入した丸と兄弟のように仲が良い。交流戦期間中の6月。仙台市内の焼き肉店で開催された決起集会で、志願して丸の隣の席に座った。体調維持のため断酒中の先輩と同じく、ノンアルコールの飲料を口にしながら野球談議に花を咲かせた。  「甘い球に絞って狙う」などと、単純明快な思考で打席に立つ丸について「シンプルに考えていて分かりやすい」。4番の重圧に苦しむ時期も愛のあるイジリで励ましてくれた。レギュラーシーズンで31発。活躍することで恩返しをした。  この日の試合前。緊張感が漂うベンチで、丸から両目に目薬をドバドバとかけられ、ナインが和むシーンがあった。昨季のCSは5試合で18打数1安打だったが、この日は2安打1打点。冗談交じりに効果を口にした。  「(CSの)キャリアハイです。目薬のおかげで(球が)よく見えた」  岡本と丸のアベック弾はシーズン中に6度、2者連発は2度。お立ち台では丸が「何とか後ろの"岡本さん"につなげられるようにと思った」と笑顔。7歳下の主砲を持ち上げるおなじみのコンビ芸で、4万5277人が詰めかけた東京ドームのスタンドを沸かせた。  レギュラーシーズン終了から10日間、実戦から離れていた巨人。一体感を高めるために試合前、ベンチ裏で全員が手をつないで輪を作り、主将の坂本勇が「投手も打者も常に攻める気持ちを持っていきましょう!」と声をかけた。  声を張り上げた坂本勇、亀井を含めた1-4番が全打点をマーク。阪神と激突した14年のファイナルステージは4連敗を喫したが、同じ過ちは繰り返さない。「(阪神の)流れが止まったような気がします。久々のゲームで勝利が付いたというところが良かった」と原監督。12年以来7年ぶりの日本一へ、大きな一歩目を踏み出した。 (谷川直之) ★1972年日本シリーズのON連弾VTR   10月28日、3勝1敗で迎えた阪急との日本シリーズ第5戦(西宮)の三回。0-1に3番・王が右越えにシリーズ1号ソロを放ち「どうだい、あの飛びよう。シリーズで一本も出ないなんて、みっともないもんな」。4番・長嶋が左越えに勝ち越しソロで続くと黒江、森にも一発が飛び出し、1イニング4本塁打のシリーズ新記録を樹立。「1イニング4ホーマーは新記録でしょう? そうだよね」とミスター。8-3で快勝し、日本シリーズ8連覇を達成した。 ★CSファイナルステージ  6試合制で行われ、先に4勝した球団が日本シリーズに進出する。レギュラーシーズン1位球団には、1勝のアドバンテージが与えられる。延長は十二回までで、ステージの勝ち上がりが確定した時点でコールドゲームとする。また先攻球団が十二回表を無得点で終了した際、裏は行わない。引き分けの場合、再試合は行わない。セ・リーグは悪天候による中止などで予定試合を消化できない場合、勝利数が多い球団が勝者。勝利数が並んだ場合は1位球団が勝者となる。予告先発はセ、パ両リーグとも実施する。

◆「ファーストステージはしょせん二流と三流...あ、間違えた、2位と3位の戦いだった」-。8日に「TOKYO MXテレビ」でコメントしたら、大ウケした。まさに巨人が、優勝チームらしい、ファイナルらしい、王道野球をみせたね。  公式戦でわずか1勝の望月。この失礼な先発投手に対して、いきなりビンタ2発ともいえる、丸と岡本の本塁打。坂本勇も二回に2点打。優位に立つ打力で、阪神の出はなをくじいた。  試合間隔が空いて、各打者の調子がどうなっているのか、気にかけてはいた。特に、迷い道にハマると、不振が長引くタイプの岡本が、心配だった。この3人が好調を維持してシリーズに入れたのは、なによりだよ。  加えて、山口を八回途中まで投げさせたおかげで、九回にドタバタしながら、逃げ切った。これもある意味、シーズン通りの展開かな。敗退していった、どこかのチームとは違う。小手先の早めのリレーに走らず、落ち着いた野球をしたね。  もう1つ、シーズン通りだったのが、三回以降、追加点が取れず、打ち止め感があったこと。くれぐれも油断せず、調子を落とさず、王道を貫くことだよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆基本的に結果論は好きではないけれど、この試合に関してはちょっと言わせてもらう。テーマは「短期決戦でのベテランの起用法」だ。  まず鳥谷。4点ビハインドの五回無死一塁から代打で登場して二ゴロ併殺打に終わったが、ここは若手で良かった。今季限りで退団するとはいえ、相手はまだまだ嫌がる打者だ。ならば、もっと終盤の得点圏に走者がいる場面が面白かったのではないか。経験が生かされる打席のほうが、鳥谷の持ち味は出たはず。  望月の先発起用にもひと言。いろいろな事情があるのは理解する。でも、CSファイナルの初戦にシーズン1勝の投手はあまりに荷が重い。意外な人選でも、予告先発ルールがある以上、奇襲にもならない。案の定、いきなり若い投手が出ていったら、往復ビンタを食らわされて「スミマセンでした」で終わった試合になってしまった。  この難しい試合で、先発を任せるのなら能見だったのではないか。どうせ長いイニングは投げさせないはず。短いイニングで、何とかうまく滑り出したいのなら、経験豊富なベテランの力を借りるべきだった。  短期決戦ならではのベテランの起用法がある。それを阪神は誤ったような気がする。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆巨人・山口俊投手(32)がCS初先発で勝利。7回終了時で115球だったが、八回も続投を志願。7回1/3を1失点、126球の力投だった。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)はブログで、「山口は完璧なピッチング」と絶賛。その一方で「彼は本当によく投げてくれている。だからこそ、試合がもつれ第6戦に山口を投げさせることを考えた時 今日はちょっと投げすぎたかな、そんな思いもあるんだけどね」と指摘した。  山口は今季、エースの菅野が3度離脱する中、投手陣の柱として最多勝(15勝)、最高勝率(・789)、最多奪三振(188)の3冠に輝いた。

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