巨人(☆6対5★)阪神 =リーグ戦23回戦(2019.09.15)・東京ドーム=
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阪神
0103001005900
巨人
20100012X6603
勝利投手:マシソン(2勝2敗1S)
(セーブ:デラロサ(1勝0敗7S))
敗戦投手:ジョンソン(2勝3敗0S)

本塁打
【巨人】坂本 勇人(36号・3回裏ソロ),石川 慎吾(4号・7回裏ソロ),ゲレーロ(20号・8回裏2ラン)

  DAZN
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◆巨人が接戦を制した。巨人は2点ビハインドで迎えた7回裏、代打・石川のソロで1点差に迫る。そのまま迎えた8回には、ゲレーロの2ランが飛び出し、逆転に成功した。投げては、5番手・マシソンが今季2勝目。敗れた阪神は、5番手・ジョンソンが痛恨の一発を浴びた。

◆阪神のルーキー木浪聖也内野手(25)は今季4本塁打のうち、巨人戦で2本塁打を記録。阪神の新人が巨人戦で3本塁打以上は80年岡田(3本)が最後。 対戦3試合で2発と好相性の菅野から1発を打てるか。

◆巨人岡本和真内野手(23)が、先制の2点適時二塁打を放った。 1回1死一、二塁、1ボールから、阪神岩貞の内角126キロを右中間にはじき返した。「ランナーをかえせて良かった。先制点を取れたのは大きいですね」とコメントした。

◆阪神鳥谷敬内野手(38)が同点の2点適時打を放った。 1-3の4回2死一、三塁、8番梅野が申告敬遠で2死満塁に。9番岩貞に代わって鳥谷がバッターボックスに立った。大歓声に包まれるなか、菅野の4球目、内角に入ったカットボールをとらえた。打球は一、二塁間を抜ける右前打。三塁走者のマルテに続き、二塁走者の糸原も激走で生還し、同点に追いついた。 続く1番木浪も菅野の2球目、内角へのカットボールをとらえて4点目の中前適時打。この回一気に逆転に成功した。 今季初打点を挙げた11日ヤクルト戦(甲子園)に続き、今季初の2打点。今季限りでの退団を表明しているベテランの一打で勢いづいた。

◆巨人阿部慎之助捕手(40)が左手の付近に死球を受け、途中交代した。 6回1死一、二塁。カウント1-1から阪神岩崎の142キロ直球が直撃。当たった瞬間、表情をゆがめ、背中から倒れ込んだ。トレーナーが付き添いながらベンチへ戻り、代走吉川大が送られた。試合中に病院へ向かった。

◆阪神近本光司外野手(24)が、プロ野球新人単独6位となる今季148安打目を放った。4-3の7回先頭で迎えた第4打席、宮国の138キロ直球をはじき返し投手強襲安打。 147安打で並んでいた50年河内卓司(毎日)を抜き、単独6位に浮上した。 近本は暴投で二塁に進塁すると、2死二塁から糸原の中前適時打で生還。2点差に広げる大きな5点目をもぎ取った。

◆阪神の先発岩貞祐太投手(28)が3回3安打3失点で降板した。初回1死から坂本勇に四球を与え2死一、二塁とされると、岡本に右翼線へ適時二塁打を許し2点を先制された。 3回には1死から坂本勇にソロ本塁打を浴びた。4回の攻撃で2死満塁の好機で代打鳥谷を送られ降板。 「先発投手として長いイニングを投げることが出来ず、役目を果たすことが出来ませんでした。連戦が続くなか、中継ぎの方々に負担をかけてしまい申し訳ないです」と早期降板を悔やんだ。

◆阪神鳥谷敬内野手(38)が同点の2点適時打を放った。 1-3の4回2死一、三塁、8番梅野が申告敬遠で2死満塁に。9番岩貞に代わって鳥谷がバッターボックスに立った。 大歓声に包まれる中、菅野の4球目、内角に入ったカットボールをとらえた。「自分の打席に集中して、積極的に振りに行きました。ランナーをかえすことが出来て良かったです」。打球は一、二塁間を抜ける右前打。三塁走者のマルテに続き、二塁走者の糸原も激走で生還し、同点に追いついた。 続く1番木浪も菅野の2球目、内角へのカットボールをとらえて4点目の中前適時打。「鳥谷さんが目の前で同点にしてくれたので、それに続いてなんとしても逆転したいという強い気持ちで打ちました。鳥谷さんに続くことが出来て良かったです」。この回一気に逆転に成功した。 今季初打点を挙げた11日ヤクルト戦(甲子園)に続き、今季初の2打点。今季限りでの退団を表明しているベテランの一打で勢いづいた。

◆巨人は1回に岡本の2点適時二塁打で先制。阪神は2回に梅野の適時打で1点を返した。巨人は3回に坂本勇の36号ソロで追加点。 阪神は4回に代打鳥谷の2点適時打で追い付き、木浪が勝ち越し適時打を放った。巨人菅野は4回6安打4失点で降板した。 巨人は7回に石川のソロで1点差に追い上げ、8回にゲレーロの2ランで逆転勝ち。5番手マシソンが2勝目、デラロサが7セーブ目。阪神は2連敗。ジョンソンが3敗目。

◆巨人が競り合いを制した。3-5の7回に石川のソロ本塁打で迫ると、8回にはゲレーロが20号2ランを放って逆転した。8回を三者凡退に抑えたマシソンが2勝目を挙げた。阪神は救援陣がつかまり、逃げ切れなかった。

◆阪神が巨人に敗れ、今季の優勝が完全に消滅した。阪神は残り9試合に全勝しても70勝67敗6分けの勝率5割1分1厘で、巨人が残り10試合を全敗した場合の73勝68敗2分け、勝率5割1分8厘を上回れないため。 ▼阪神のV逸は14年連続。オリックスが96年を最後に23年連続、DeNAは今季を逃すと98年以来21年間優勝がないが、阪神はその2球団に次ぎ、ロッテと並んで長期間優勝がない。ここ10年間を見ても、巨人が12~14年、広島が16~18年と3連覇しており、ライバルに差をつけられている。

◆巨人はアレックス・ゲレーロ外野手の逆転2ランで競り勝ち、自力でマジック5とした。 原辰徳監督(61)は、前日に9回1死満塁のサヨナラの好機で凡退するなど、4打数無安打だったゲレーロの本塁打に「何というかチームにとってもね、本人もかなり落ち込んでいたという点でね、まさに起死回生だったんじゃないでしょうかね」とたたえた。 7回には代打石川のソロで1点差に追い上げた。 「もちろん彼の思いきりの良さが出たし、少しでも勢いのある人がグランドに立った方がいいだろうということでね、彼を残していい形になったと思いますね」。 先発菅野は4回4失点で降板したが、救援陣が粘り、競り勝った。 「こういう状況の時にはね、みんなで力を出し合うというね。そういう意味ではブルペン陣、よく頑張ったと思いますね」 マジックが減り、5年ぶりの優勝が近づいてきた。 「まだまだが『またまた』ぐらいになったかなと。濁点は取れたよね」と着実に前進している。

◆腰痛による離脱から復帰登板だった菅野智之投手(29)は、4回6安打4失点で降板した。 「どういう風な形になるか分からないですけど、チームに迷惑をこれ以上かけられないので、しっかりとした形でまたマウンドに上がれるように最善を尽くしたい」と言った。 1回は3者凡退で打ち取る順調なスタートを切ったが、2回に1点を返されると、2点リードの4回は鳥谷、木浪に適時打を浴びて逆転を許した。 降板は自ら申し出たといい、登録抹消するかは16日に判断される。 原監督は「初回を見てる限り、良かったなと思ったんですけど。こんなピッチャーではないと思います」と話した。

◆長年「虎の顔」を任されてきた男の意地を見た。今季限りでの退団を表明している阪神鳥谷敬内野手(38)が球界のエース、巨人菅野を打った。2点を追う4回2死満塁で代打登場。「積極的に行こうと思っていました」。2ボール1ストライクから内寄りに入ったカットボールを見逃さず一、二塁間を抜いた。一時は試合を振り出しに戻す2点打。「自分のバッティングができたのは良かった」と冷静に振り返った。 8月29日、球団から事実上の戦力外通告といえる"引退勧告"を受けた。同31日には今季限りでの退団を自ら明かした。虎ひと筋で16年目。今後他球団での現役続行を模索するにせよ、現役引退を選ぶにせよ、虎戦士として東京ドームで戦うのはこの2連戦が最後となるかもしれない。 「代打鳥谷」がコールされると、黄色が目立つ球場左半分だけでなく、オレンジ色に染まった右半分からも惜しみなく拍手が送られた。「満塁のチャンスだったので、あまりそこまで聞いている余裕はなかったですけど...。ありがたいです」。得点圏に走者を置いた場面では今季初の適時打。「伝統の一戦」で重圧を背負い続けた男のプライドがにじみ出た。【佐井陽介】

◆「まさかの1発」と言ったら失礼かもしれないが、1点を追うの8回2死一塁からのゲレーロの逆転2ランには驚かされた。1点ビハインドの6回1死満塁では空振り三振。1発を打つ直前は前打者の吉川大が送りバントを失敗。試合展開からも、そこまでの打席内容からも"期待薄"の雰囲気は漂っていた。しかし、ゲレーロの特性を細かく振り返ってみると、決して「まさか」ではなかった。 まず触れておきたいのが、今試合でのゲレーロの打席内容だ。本塁打前の3打席はそれぞれ違う投手から四球、遊ゴロ、三振で球数は計16。直球とフォークにはスイングしていたが、カットボール(2球)とスライダー(3球)はすべて見逃していた。変化球の比率が高くなる得点圏打率は、試合前時点で2割2分2厘。これだけでは根拠としてそれほど強くはないが「曲がり球」を打ちにいく確率は低い打者に分類できる。 本塁打の打席を振り返る。カーブが2球ボールになり、3球目のカーブを見逃してストライク。「そろそろ直球」は誰もが考える状況。打たれた直球の危険度は上がっていた。 状況別の打率(ともに試合前時点)を見ても、走者一塁での打率は3割2分6厘(43打数14安打)で2番目に高かった。カウント2-1での打率も2割8分6厘で3本塁打を放っている。打率2割3分台でも、このシチュエーションでは"3割級の打者"だった。 漠然と見ていれば「まさかの1発」と感じる本塁打だが、ゲレーロにとっての好条件は、しっかりそろっていた。「納得の1発」と表現を変えてもいいほどだった。【小島信行】

◆阪神の4番ジェフリー・マルテ内野手が執念のヘッドスライディングを見せた。2回に右前打を放つと、4回先頭では菅野の外角変化球を左中間へ運び激走。 二塁に頭から突っ込んだ。優勝の可能性はなくなったが「残り試合も全力で勝ちを拾っていけるようにやっていく。それが今後につながっていく」と闘争心を失うことはなかった。

◆勝利した原監督が、2つの采配を自ら律した。7回に適時打を許した場面は、宮国がカウント1-1とした時点で「ストライクだったらピッチャー交代、ボールだったら歩かそうと思ってました。そしたら仕留められた」と3球目が適時打になった。 4回は2死一、三塁から8番梅野に申告敬遠を選択し、9番岩貞への代打鳥谷に適時打を許した。「僕は交代しないと思ってたらピンチヒッターが出てきた。チームに迷惑をかけたなというところですね」と自ら口にした。

◆涙の一撃だ。巨人アレックス・ゲレーロ外野手(32)が1点を追う8回に逆転の20号2ランを放ち、試合を決めた。23打席ぶりの安打が5試合ぶりの劇的弾となり、チームは3位以内が確定。2年連続のクライマックスシリーズ進出が決定し、優勝マジックを5とした。最短Vは19日。腰痛からの復帰戦となった先発の菅野智之投手(29)は4回4失点で降板した。こらえきれなかった。ゲレーロが決勝のホームベースを踏む直前、右手で目頭を押さえた。1点を追う8回2死一塁。阪神ジョンソンの外角高め151キロを仕留めた。左中間席最深部へ逆転の20号2ラン。うつむいたままナインの祝福を小走りで抜け、ジャビット人形を受け取らずにベンチ裏へ隠れた。「ホームランでの涙は人生で初めて。感動的な一打になった」。32歳の男泣きで劣勢をひっくり返した。 陽気な印象と裏腹に、繊細さを秘める。「キューバ出身だから常に明るいとみんなは思っているけど、落ち込む時は落ち込むよ」。結果が出ず、気分が沈んだ時は1人の時間をつくる。電気を消した部屋でテレビだけをつけ、座り込みながら映画鑑賞にふける。お気に入りの映画はカーアクションが売りの「ワイルド・スピード」シリーズ。気分転換しながら、異国の地で戦っている。 試合前時点で9月は打率1割9分4厘、得点圏では9分1厘と低迷。前日14日広島戦の試合前には早出で打撃練習も敢行したが、サヨナラ機を含む2度のチャンスで凡退した。「昨日は僕が犠牲フライさえ打てなかったから負けた。使い続けてくれたことに感謝したい」。指揮官の信頼に何としても応えたかった。 原監督も涙の1発に「本人もかなり落ち込んでいたという点で、まさに起死回生」と称賛した。試合後、目を赤く腫らしたゲレーロは「早く優勝を決めたいね」とニヤリ。涙はもういらない。リーグ優勝まで駆け抜ける。【桑原幹久】

◆阪神は5番でスタメン復帰した主将の糸原健斗内野手が、一時リードを2点に広げる5点目の適時打を放った。 7回2死二塁で宮国のカーブをとらえて中前へ。4回無死二塁でも四球を選び、2出塁した。優勝の可能性は消えたが、残るCS争いへ「明日も試合があるので、一戦一戦しっかりやるだけです」と声を振り絞った。

◆阪神ピアース・ジョンソン投手が痛恨の逆転2ランを浴びた。 7回2死から登板し、坂本勇をパワーカーブで三ゴロ。イニングまたぎの8回は、先頭の丸に四球を与えた。2死までこぎつけたが、ゲレーロに甘く入った151キロの直球を左翼席へ運ばれた。試合後は「何とも言えないです」と言葉少なに帰路に就いた。55試合で39ホールドを挙げ、被本塁打は1本だったが、勝負どころで悔しい被弾となった。 ▽阪神福原投手コーチ(イニングまたぎのジョンソンについて)「負担をかけてしまった。もうひと踏ん張り。しょうがない」

◆阪神木浪聖也内野手が一時勝ち越しの適時打を放った。鳥谷の2点適時打で追いついた4回、なお2死一、三塁。菅野のカットボールをとらえて中前に運んだ。「勢いでいこうと。鳥谷さんに続けたのはうれしかったです」。 試合は終盤逆転され、優勝の可能性が消滅。「このチームでやれるのもあと少しですし、頑張っていきたい。1試合でも多く、長くやりたいです。勝つだけです」と懸命に前を向いた。

◆阪神が巨人相手に痛恨の逆転負けを喫し、14年連続のV逸が決まった。 1点リードの8回、セットアッパーのジョンソンがゲレーロに逆転2ランを浴びて逃げ切りに失敗。矢野燿大監督(50)は「今こそ、戦う姿勢とか気持ちが問われる」と懸命に前を向いた。クライマックスシリーズ(CS)進出もさらに厳しい状況に追い込まれたが、残り9試合に全力を尽くす。

◆阪神が伝統の一戦で痛恨の逆転負けを喫し、14年連続のV逸が決まった。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -ジョンソンもこん身の力を出し切って、打つべき手は打った うん、まあ、もちろん。 -流れはよかった うーん。まぁ...。仕掛けるしかないしね、こっちも。行くとこまで行って、そういう「勝つ」気持ちをしっかり出してやってくれた結果なんで。それは受け止めるしかないと思います。 -先発の岩貞も早めに下げて仕掛けた いや、だって、追いつかな勝たれへんやん。 -4回に鳥谷が満塁で良い形で打った もちろん、いいムードになった。あそこで、こっちに流れを変えてくれる一打だった。もちろん大きかったし。それを期待して打ってくれたので良かった。 -優勝が消滅した。CSを目指して全力で戦う うん、うん。俺らはそれしかできへんし。今日みたいな形で毎日毎日、目の前の試合をどう勝つかを考えて、みんなで頑張っていきます。

◆阪神が伝統の一戦で痛恨の逆転負けを喫し、14年連続のV逸が決まった。 1点リードの8回、ジョンソンがゲレーロに逆転2ランを被弾。逆転でのCS進出もより厳しい状況に追い込まれた。矢野燿大監督(50)は就任1年目の優勝を目標に掲げたが、得点力不足は解消されず。投手陣は奮闘したが、守備のミス連発で勝利を逃す場面も目立った。V逸の要因を検証し、大砲助っ人の獲得など来季巻き返し策を検討していく。残酷な敗北で今季も優勝の可能性が消滅した。1点リードの8回だ。ジョンソンは2死一塁にこぎつけた。だがゲレーロへの4球目で暗転。外角高めの151キロをとらえられた逆転の20号2ランは左中間最深部へ突き刺さった。阪神には少ない本塁打の破壊力を、まざまざと見せつけられた。 昨年10月、最下位に沈んだ金本監督の後を受けて矢野監督が就任。1年目から本気だった。「優勝してファンを喜ばせたい」と言い続けた。だが、今季134試合目で14年連続のV逸が決まった。CS進出も厳しいが、指揮官は「今こそ、戦う姿勢とか気持ちが問われるような状況になってきている」とファイティングポーズを崩さず。残り9戦、逆転CSを狙って、死力を尽くすことを約束した。 優勝に必要なものを突きつけられた。優勝目前の巨人は3回、坂本勇が36号。岡本29発、丸27発と長打力を押し出す。対照的に阪神はリーグ5位の89本塁打。最多が大山の13発でマルテの12発が続く。リーグ最下位のチーム505得点が現実だ。矢野監督は「点を取って勝つのが一番」と理想を明かした。開幕から24歳の大山に期待して4番に固定したが、8月末からは先発を外れる日もあった。 得点力不足解消の目玉補強だったマルテも、打率こそ2割8分7厘だが、他球団の主砲に比べれば、アーチ数が物足りない。夏場に緊急補強したソラーテは造反退団でナバーロは2軍。助っ人野手が機能したと言い切れない。多くの得点が望めず、指揮官は何度も「1年間戦う上では、接戦を取っていくのが大事」と話した。だが、投手陣は奮闘を重ねたが、守備でモロさを露呈。チーム失策数98はリーグワーストで、敗戦に直結する試合も目立った。 3年契約2年目の来季も矢野監督の続投は既定路線だ。藤原オーナーも7月に「当然そういうことです」と認めた。9月上旬など幾度も編成会議を開いた。矢野監督も参加して現有戦力を検証。球団幹部は「打つ方を補強しないといけない」と危機感を募らせる。今後は大物助っ人など、野手補強も検討に入っていく。 打倒巨人に執念を燃やした伝説の助っ人、バッキー氏への弔い星もかなわなかった。V逸の厳しい現実を突きつけられ、編成トップの谷本球団副社長兼球団本部長は「一番ご声援いただいたファンの方に申し訳ない。悔しいですね」と謝罪した。必死にCSを目指しながら、来季の逆襲体制も整えていく。【酒井俊作】

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(28)が15日の巨人戦(東京ドーム)で右前打。チームとして12イニングぶりの安打を放った。  「4番・一塁」で出場すると二回、先頭で菅野の高めの直球をとらえライナーで右前に運んだ。その後、高山の右前打などで2死一、二塁とすると梅野が131キロスライダーを右前に落とす適時打。同じく12イニングぶりの得点となった。  阪神は前日14日の中日戦(ナゴヤドーム)で大野雄に1四球と失策のみの無安打無得点試合を喫した。13日の同戦の八回に高山が5号ソロを放って以来、安打から遠ざかっていた。

◆巨人・岡本和真内野手(23)が15日、阪神23回戦(東京ドーム)に「4番・三塁」で先発出場。一回1死一、二塁から右中間へ先制の2点二塁打を放った。  「ランナーをかえせてよかった。先制点をとれたのは大きいですね」  相手の先発左腕・岩貞が投じた128キロの変化球を呼び込み、しっかりと逆方向へ打ち返した。チームは1日の岩貞との対戦で6回無失点に封じ込まれ、そのまま零封負け。苦戦を強いられた相手から、気持ちよく先制した。

◆阪神・岩貞祐太投手(28)が15日の巨人戦(東京ドーム)に先発し、一回1死一、二塁から岡本に右中間へ適時二塁打を浴びた。  一回、1死から坂本に四球、丸に左前打を浴びて一、二塁とされると主砲にやられた。岡本に対し、1ボールからの2球目。高めに浮いた126キロスライダーを振り抜かれ、右中間へ。2点を先取される適時打を許してしまった。

◆阪神・岩貞祐太投手(28)が15日の巨人戦(東京ドーム)に先発し、三回2死から坂本勇に36号ソロを献上し1-3とされた。  1-2で迎えた三回。菅野を二ゴロ、亀井を空振り三振で2死としたが、坂本勇にやられた。カウント2-1からの4球目、低め130キロチェンジアップを拾われ、左翼席へ。手痛い一発を浴び、再び点差を2点に広げられた。

◆巨人・桜井俊貴投手(25)が15日、東京ドームでキャッチボールなどを行い、自身初の中4日で先発するあす16日の阪神戦に向けて調整した。  「(中4日は)あまり変わらない。とにかくマジックを減らすことを優先して、あとから結果がついてくれば」  前回、11日のDeNA戦(横浜)では4回67球の6安打5失点で降板。球数が少なかったこともあり、中4日での登板が決まった。4年目の今季は6月の交流戦から先発に転向し、ここまで8勝4敗、防御率3・84。対阪神は5試合に登板し、3勝1敗、防御率2・38と好相性なだけに期待がかかる。

◆巨人・坂本勇人内野手(30)が15日、阪神戦(東京ドーム)の三回、左中間席へ36号ソロをほうり込んだ。  1点リードの三回2死。阪神・岩貞のチェンジアップを泳ぎながらもバットの芯で捉え、「うまくバットに乗せることができました」と納得のコメント。  7日のヤクルト戦(神宮)以来の一発で1986年の原辰徳(現監督)に並ぶ36本に並び、球団の生え抜きの右打者では歴代2位に浮上した。この日を含め、残り9試合で同1位の1968年に長嶋茂雄が放った39本も狙える位置にいる。

◆阪神の鳥谷敬内野手(38)が15日の巨人戦(東京ドーム)に代打で登場。2点右前打で試合を振り出しに戻すと、ドームは耳をつんざく大観戦に包まれた。  「自分の打席に集中して、積極的に振りにいきました。ランナーを返すことができてよかったです」  2点を追う四回、マルテの二塁打で口火を切ると、2四球も絡んで2死満塁。岩貞のところで、代打・鳥谷が告げられた。4球目、139キロのカットボールを引っ張るとゴロで一、二塁間を破る適時打。続く木浪も中前適時打を放ち、逆転に成功した。  試合前の時点で鳥谷は得点圏で35打数1安打。打率・029だった。満塁でも8打数無安打。これが今季初の得点圏での適時打で、複数打点を記録したのも今季初となった。  8月29日、球団から引退勧告を受け、今季限りで阪神を退団することを明言している鳥谷。試合前の練習ではスタンドから「ありがとう鳥谷!!」と声が飛んでいた。

◆巨人・菅野智之投手(29)が15日、出場選手登録され、阪神23回戦(東京ドーム)に先発した。4日の中日戦(上毛敷島)に先発した際に腰痛を発症し、2回4失点で降板。翌5日に出場選手登録を抹消され、最短の10日で1軍に復帰した。  一回を3者凡退に抑えて好スタート。だが、味方が2点を先制した直後の二回2死一、二塁。梅野に右前適時打とされ、1点を返される。三回は三者凡退としたが、四回だった。  先頭のマルテに、逆球となった外角高めの直球を左中間寄りの二塁打とされ、続く糸原に四球を与えて無死一、二塁。その後、高山の空振り三振、大山の中飛、梅野の四球(申告敬遠)で2死満塁となってからだ。代打・鳥谷に2点右前適時打を浴び、木浪にも中前適時打とされ、この回3失点。五回からは、高木にマウンドを譲った。  エースとして覚悟を持って臨んだ先発マウンド。4回78球を投げ、6安打4失点で降板となった。それでも、ポストシーズンを考えれば、菅野の存在は必要不可欠。エースの完全復活が待たれる。

◆阪神・木浪聖也内野手(25)が15日の巨人戦(東京ドーム)の四回2死一、三塁で中前適時打を放ち、勝ち越しに成功した。  「鳥谷さんが目の前で同点にしてくれたので、それに続いて何としても逆転したいという強い気持ちで打ちました。鳥谷さんに続くことができてよかったです」  四回、鳥谷の右前2点打で同点に追いついた直後に打席に入ると、勢いそのままにたたみかけた。1ストライクからの2球目、内角135キロを鋭く振り抜き中前へ。4-3と勝ち越す貴重な一打となった。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が15日の巨人戦(東京ドーム)で投手を強襲する内野安打。今季148本目の安打を放ち、新人単独6位に浮上した。  4-3で迎えた七回先頭、フルカウントから138キロを弾き返すと、打球はマウンドで跳ね二塁前方へ。快足を飛ばして内野安打を勝ち取った。13日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、2試合ぶりの安打で出塁すると、暴投で二進。糸原の中前打で一気に生還し、貴重な5点目のホームを踏んだ。これが今季75得点目。高田繁(巨人、1968年)と並んで歴代10位となった。  安打数は並んでいた河内卓司(毎日、50年)を抜いて単独6位に。歴代4位、京田陽太(中日、17年)の149安打まで残り「1」とした。セ・リーグ記録の長嶋茂雄(巨人、58年)までは残り「5」だ。

◆阪神・岩貞祐太投手(28)が15日の巨人戦(東京ドーム)に先発し、3回3安打3失点。今季3勝目を挙げることはできなかった。  「先発投手として長いイニングを投げることができず、役目を果たすことができませんでした。連戦が続く中、中継ぎの方々に負担をかけてしまい申し訳ないです」  一回に岡本の右中間二塁打で2点を先制されると、1点差に迫った後の三回には坂本勇に左翼席へソロを被弾。負ければ優勝の可能性が完全に消滅する大一番で、先発の役割を果たすことはできなかった。

◆プロ8年目の巨人・石川慎吾外野手(26)が代打で出場し、左翼2階席の看板付近を直撃する超特大の4号ソロを放った。  3-5と2点を追う七回1死で代打で起用された。阪神の左腕、岩崎がフルカウントから投じた142キロの直球を思い切り引っ張り、左翼席に陣取る阪神ファンの頭上を越す特大アーチ。「打った感触、ホームランだとは思う感触はありました。(飛距離は)プロ1じゃないですかね」と笑顔を見せた。今季の阪神戦は15打数8安打と好相性だ。  8月24日のDeNA戦(東京ドーム)の延長十一回に放ったサヨナラ2ラン以来となる3号に続く代打での一発。かつて代打の切り札としても活躍した後藤打撃コーチからの「データも大切だけど、打席でしか感じられない野性的な部分も絶対必要だ」という言葉を胸に、フルスイングで結果を出した。  今季15安打はすべて左投手から放っている"左キラー"として、存在感をアピールした。

◆阪神・岩崎優投手(28)が15日の巨人戦(東京ドーム)の六回から登板し、七回1死で代打石川に左翼席へ特大ソロを浴びて4-5とされた。  岩崎は六回から4番手で登板。六回は3四死球を出しながらも無失点で切り抜けたが、七回に伏兵にやられた。フルカウントからの6球目、内角142キロ直球をガツン。左翼の上方、日本製粉の広告に直撃する特大ソロを被弾し、1点を失った。

◆巨人の阿部が六回の打席で投球を指付近に受け倒れ込んだ。そのままベンチに下がり、代走と交代した。球団によると、試合中に東京都内の病院に行った。試合後に原監督は「検査に行ったと思うんですが。まだ私の耳には(結果は)入ってません」と話した。

◆今季限りで阪神を退団する38歳の鳥谷が代打で意地を見せた。1-3の四回2死満塁で菅野から右前へ2点適時打。「積極的にいこうというところだった。自分の打撃ができたのはいいこと」と振り返った。  今季は打撃不振に苦しみ、この打席の前まで得点圏では35打数でわずか1安打。それでも代打がコールされると球場は大歓声に包まれた。チームは逆転負けしたが、矢野監督は「期待していた。流れを変えてくれる一打だった」とたたえた。 岩貞(3回3失点で降板) 「失投を打たれた。長い回を投げられず、役目を果たせなかった」 マルテ(2安打するも優勝の可能性がなくなり) 「全力で戦っていくことで勝ちを拾える」 木浪(3-3の四回に適時打) 「何としても逆転したいという強い気持ちで打った」

◆腰痛から復帰した巨人の菅野は4回6安打4失点だった。球威、制球ともいまひとつで、3-1の四回、代打鳥谷に2点適時打、木浪に適時打を浴びて逆転され「あれ以上マウンドにいても迷惑を掛ける」と自ら降板を申し出た。  宮本投手総合コーチは「腰というところで10日間じゃ足りなかったのか、力が入っていなかった」と心配そうに語った。16日に再度、出場選手登録を外すか判断するという。 石川(七回に4号ソロ) 「感触はかなり良かった。フルカウントだったので来た球を素直に打とうと思った」

◆--流れ的にはよかった  矢野監督「仕掛けるしかないしね、こっちも。行くとこまで行って、そういう『勝つ』っていう気持ちをしっかり出してね、やってくれた結果なんで。それは受け止めるしかないと思います」  --先発の岩貞も早めに下げて仕掛けた  「いやだって、追いつかな勝たれへんやん」  --鳥谷が満塁で良い形で打った  「いやもちろん、いいムードになったしね。あそこでこっちに流れが、変えてくれるような一打だったので。もちろん大きかったし。それを期待してね、打ってくれたので、うん。良かったと思います」  --優勝が数字上なくなったが、CSを目指して全力で  「今こそそういうことが問われる、戦う姿勢とか気持ちが問われるような状況になってきているんでね」

◆いくらなんでも...こっちは抑えの切り札ジョンソン。相手は最近、調子の出ない「夏バテのゲレーロ」だから今夜こそは虎快勝で美味い酒がのめる...ハズだった。  だが、打席にいたのは誰よりも早く球場入りして、すさまじい形相で汗をかき、それこそ吐きそうになるほど練習をしていたゲレーロだった。打った瞬間、誰もが歓声をあげた。逆転2ラン! ベンチに戻ってきて...彼は目頭をおさえてベンチの奥にかけこんだ。思わずこみあげるものがあったのだ。  いきなりこんなことから入るのは本意ではないが、まだ前日ナゴヤドームの中日・大野雄の「ノーヒットノーラン」の屈辱を引きずっていたからだ。  まず、その左腕に四苦八苦した夜、日本時間の日付が変わった深夜、米国で元阪神投手ジーン・バッキーさんががんで天国に旅立っていた。実はこの「バッキーさん危篤」という情報は連載取材後、交流があったシアトル在住の丹羽政善通信員から運動部長大澤謙一郎には届いていた。そして残念ながら訃報が届いた。バッキーさんの娘さんは「亡くなる前まで日本にもう一度行って、王サンに会いたいとずっと話していました。王サンに知らせてほしい」と丹羽通信員に頼んでいたそうで、1997-99年までダイエー(現ソフトバンク)担当だった大澤は朝ソフトバンクの王貞治球団長に電話を入れた。すると王会長は大変驚かれて「そうか...」としばらく絶句した後「本当に残念だね。お花を贈りたいんだけど、アメリカでもそういうことをするのかな。日本式しか分からないから、申し訳ないけど、調べてくれないかな」。世界の王からのミッションに大澤はあちこち電話して調べ上げ、米国ではお花にメッセージカードを添えてお葬式に届ける風習があることが分かった。大澤がそのことと告別式(18日)の日時を伝え、王会長はバッキーさんのお葬式にお花を贈る手配を整えられた。  王さんとバッキーさんといえば1968年9月18日の巨人戦(甲子園)でのファイト。四回、乱調のバッキーは王さんにビーンボールまがいの1球を投げて両軍入り乱れて大乱闘はあまりにも有名だ。  筆者はバッキーさんが住んでいた甲子園球場裏の木造長屋の例の和式トイレ(別名ぼっとん便所)もみせてもらったものだ。ドリス夫人とともに1962年に阪神の入団テストを受けたのは真冬。当時の藤本定義監督は甲子園から少し離れた川崎重工グラウンドでの投球で、ノーコンでストライクが入らないこの投手を「そやからおもろい。こいつはモノになる!採用ッ」。  よく練習した。そして65年6月28日、甲子園の巨人戦で2時間23分、118球。あのON全盛の巨人打線を2四球1失策だけの『ノーヒットノーラン』も達成し、その瞬間、彼はマウンドでそれこそ大野雄のように跳ね回った。  1年だけ近鉄でプレーしてユニホームを脱いだが、しばらく高校の教職につきながら牧場を経営して「コレ、みんなタイガースのおかげネ」といっていた。遠征先でもドリス夫人の荷物を抱えてハイハイハイッと3度返事するナイスガイを「ゲレーロの涙」からソッと思い出したのである...。

◆「よっしゃ! ノーヒットの翌日は9本もヒットを打った!! 阪神バンザーイ!!」って、アホか~!? 勝利をほぼ手中に収めたと思った八回2死から、ゲレーロに逆転2ラン浴びるかァ!?(涙)  この思わせぶりの敗戦はなんだ? これならノーヒットノーランの方がスパッと諦められて、よっぽどええわ。いや、良くない! 良くないから!!  2点を先制されたものの大エース・菅野を4回でKO、いいね~!! しかも今季限りで虎のユニホームに別れを告げる鳥谷の虎党への惜別の贈り物にも見えた代打同点2点タイムリーに、涙ポロリ...。六回は岩崎が四球と2つの死球で巨人さんを1死満塁とその気にさせての無失点斬り!! ムフフ...。  セ・リーグ新人最多安打を狙う近本にも148本目が出て、あと5本となったァ!! いよいよだよ~と、ウキウキさせておいての黒星...。『勝つ勝つサギ』じゃね~か!!  だけどさあ、冷静に考えたらやっぱ巨人の3ホーマーはデカいなあ...。来季100ホーマーの助っ人の夢でも見るか~、のふて寝するわ~ZZZ...。

◆1点リードの八回に登板したジョンソンがゲレーロに痛恨の逆転2ランを浴びた。先頭の丸にフルカウントから四球を選ばれ出塁を許すと、2死一塁から外角高め151キロをフルスイングされ、左翼席中段へ。今季2本目の被弾となり、3敗目に「何とも言えないです」と悔しさをにじませた。

◆先発の菅野が4回6安打4失点で降板。4日の中日戦で腰痛を発症して以来のマウンドだったが、本来の投球は影を潜めた。交代は自ら申し出たと言い、原監督は「本人から、ということだからコンディションではないでしょうか」と説明。エースは「チームに迷惑をこれ以上かけられない。しっかりとした形でまたマウンドに上がれるように最善を尽くしたい」と語った。登録抹消などは、16日に判断する。 菅野について巨人・宮本投手総合コーチ 「明日(16日)、どういう状況かというのを聞いて、それからの判断になると思う。腰というところで、10日間では足りなかったのかという感じです」

◆ときに選手へ厳しい言葉も投げかける原監督だが、それは自身にも向けられた。2点リードの四回2死一、二塁で8番・梅野を申告敬遠。次打者で先発・岩貞を迎える場面で「僕は交代しないと思っていた」が相手は代打・鳥谷を起用した。「私の考えになかった。監督になって初めて『ここは抑えてくれ、ピッチャー!』と思った」。しかし、2点打を浴びて同点となり「迷惑をかけた」と反省を口にした。

◆勝負強さが戻ってきた。鳥谷が虎党の大歓声に頭を下げ、言葉を紡いだ。  「満塁のチャンスだったので、そんな(声援を聞くような)余裕はなかったですけど。ありがたいです」  2点を追う四回、マルテの二塁打に2四球も絡むなど2死満塁。岩貞の打順で「代打・鳥谷」が告げられた。カウント2-1からの4球目、菅野の139キロのカットボールを右前へ。一、二塁間を破る2点打で試合を振り出しに戻した。  今季初めて得点圏での適時打となり、これが2084安打目。「自分のバッティングができたのはよかった」。得点圏では35打数1安打で打率・029、満塁でも8打数無安打だった。  16日が虎のユニホームを着て最後の東京ドームでの試合。今季限りでの退団を表明しているなか、残り9試合で存在感を放つ。 (竹村岳)

◆セ・リーグ首位の巨人は15日、阪神23回戦(東京ドーム)に6-5で勝ち、優勝へのマジックナンバーを「5」に減らした。1点を追う八回に、アレックス・ゲレーロ外野手(32)が左中間席へ逆転の20号2ランを放った。前日14日の広島戦では好機で凡退していた助っ人の"発奮弾"で、2年連続12度目となるクライマックスシリーズ(CS)進出を決め、5年ぶりのリーグ優勝へも秒読み段階に入った。  大歓声が本拠地を包んだ。1点を追う八回2死一塁で、ゲレーロが左中間席へ逆転2ラン。打った瞬間、それと分かる一撃に右拳を上げた。  「非常に感動的な一打になった。特に昨日、得点圏で全く打てず負けたわけだから」  ジョンソンが投げた高めの151キロの直球を強振。祝福のジャビット人形を受け取ることも忘れ、ホームイン時には目頭を押さえて涙ぐんだ。  前日の広島戦では七、九回の好機で凡退し、チームは敗戦。試合後に原監督は「勝負強い人、勝負弱い人がはっきり見えた」と厳しく指摘した。それでも、3試合連続で先発メンバーに名を連ねた助っ人は「使い続けてくれたことに感謝したい」と奮起した。  菅野が復帰戦で4回4失点。六回には阿部が左手甲付近に死球を受けて交代した。嫌なムードを振り払う20号。球団でシーズン20本塁打を4人以上記録するのは2010年のラミレス(49本)、阿部(44本)、小笠原(34本)、坂本勇(31本)以来。ゲレーロと抱き合った原監督は「チームにとっても本人にとっても、まさに起死回生」と手をたたいた。  優勝へのマジックナンバーを「5」に減らし、最短での優勝決定は1日延びて19日となった。「まだまだが『またまた』ぐらいになったかなと。濁点は取れたよね」と指揮官。巨人が「また」一歩、5年ぶりのV奪還に近づいた。 (赤尾裕希)

◆阪神は巨人に逆転負けを喫し、9試合を残してリーグ優勝の可能性がなくなった。14年連続のV逸に矢野燿大監督(50)は「結果を受け止める」と神妙な面持ちで話し、谷本修球団副社長兼本部長(54)も「ファンに申し訳ない」とざんげ。わずかに可能性が残されているクライマックスシリーズ(CS)進出へ、前を向くしかない。  夢が絶たれる大きな一撃が左中間席に消えた。矢野虎の1年目Vが完全に消え去った。敵地東京ドームに駆けつけた虎党から漏れたため息。指揮官は突きつけられた現実を認めるしかなかった。  「『勝つ』っていう気持ちをしっかり出してね、やってくれた結果なんで。それは受け止めるしかない」  前日14日の中日戦(ナゴヤドーム)で13年ぶりのノーヒットノーランを喫してから一夜。1敗すればV逸の崖っ縁で迎えた2連戦初戦。必死で食い下がったが、散った。  今季4度目のイニングまたぎで5-4の八回もマウンドを託されたジョンソンが、2死一塁でゲレーロに痛恨被弾。虎が誇るリリーフエースが、虎にはない派手な一発でやられたのがどこまでも残酷だった。今季89本塁打でリーグ5位の虎に対し、巨人はトップの170本塁打。この日も3発で破壊力が際立った。G倒に執念を燃やした伝説の助っ投、バッキーさんが他界した日に、力の差を見せつけられた。  14年連続のV逸が決まった。球団首脳も、重い足取りで球場から引き揚げた。揚塩球団社長は「悔しいです。まだシーズンは終わっていないですから。頑張ります」と声を絞り出し、谷本球団副社長兼本部長は「一番は、ご声援をいただいているファンの方に申し訳ない。(可能性が残るCS進出へ)あと一球あと一打にもう少し集中して、やっていきたい。残り9試合ですか。悔しいです」と、歓喜を待ち続ける虎党にざんげした。  1-3の四回2死満塁、先発・岩貞の打席で代打・鳥谷を送り出し、同点の右前2点打。今季限りで虎を去る男が生み出してくれた流れも、まさかの形でフイにした。悔しすぎる日だからこそ、矢野監督は語気を強めた。  「今こそそういう、戦う姿勢とか気持ちが問われるような状況になっている。毎日毎日その目の前の試合をどう勝つか」  V逸という事実、CSが遠のく厳しい現実からも目を背けず、戦い抜くしかない。 (長友孝輔) 優勝の可能性が消滅したことについて阪神・糸原 「明日も試合があるので一戦一戦全力でやるだけです」

◆今年の阪神を象徴する試合となった。四回2死満塁で岩貞に代打・鳥谷を送り、早めの勝負をかけた矢野監督の采配はファインプレーといえる。中継ぎ陣への信頼も厚いからこそ。同時に、シーズンを通した課題も、浮き彫りとなった。  無死一、二塁で高山は打球を引っ張り込まないといけない。なんとしてもバットに当て、最低でも走者を進めないといけないのに、三振だった。大山はカウント有利(3-1)、投手が苦しい状況で力が抜けたような中飛。あそこで仕留めないと4番には戻れない。  2死一、三塁から梅野敬遠で満塁となり、代打となるわけだが、その前に得点を奪えたはず。結局、先発を3回で降ろしたシワ寄せが岩崎、ジョンソンのイニングまたぎにつながり、失点した。本塁打をポンポン打てるわけではないなら、もっとしつこく攻めないと。点を取れるときに確実に取る。これを徹底できなければ、残り試合はもちろん、来季も同じようなことになってしまう。  また前日にノーヒットノーランを許した中日・大野雄しかり、今季は左投手に苦しんでいるが、この日も中継ぎで左腕が出てくると淡々と凡退していく印象だ。左を多く打つなど練習の工夫や、研究。左打者が多いだけにチームとして対策を練らなければ。これも来季への"宿題"だ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
73582 0.557
(↑0.003)
M5
(↑1)
10629
(+6)
534
(+5)
170
(+3)
78
(-)
0.259
(↓0.001)
3.750
(↓0.01)
2
(-)
DeNA
69633 0.523
(↑0.004)
4.5
(-)
8567
(+6)
566
(+2)
155
(+2)
38
(-)
0.247
(↑0.001)
3.870
(↑0.02)
3
(-)
広島
69663 0.511
(↓0.004)
6
(↓1)
5572
(+7)
573
(+8)
135
(+1)
79
(+1)
0.254
(↑0.001)
3.620
(↓0.03)
4
(-)
阪神
61676 0.477
(↓0.003)
10.5
(↓1)
9505
(+5)
550
(+6)
89
(-)
90
(-)
0.251
(-)
3.570
(↓0.02)
5
(-)
中日
62692 0.473
(↓0.004)
11
(↓1)
10513
(+2)
518
(+6)
82
(-)
62
(+1)
0.264
(↓0.001)
3.810
(↓0.02)
6
(-)
ヤクルト
55782 0.414
(↑0.005)
19
(-)
8621
(+8)
693
(+7)
157
(+3)
58
(+1)
0.245
(↑0.001)
4.710
(↓0.01)