阪神(★0対1☆)中日 =リーグ戦21回戦(2019.08.28)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
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勝利投手:小笠原 慎之介(1勝1敗0S)
(セーブ:岡田 俊哉(2勝2敗9S))
敗戦投手:青柳 晃洋(6勝9敗0S)

本塁打
【中日】阿部 寿樹(6号・6回表ソロ)

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◆中日は0-0のまま迎えた6回表、阿部のソロが飛び出し、試合の均衡を破る。投げては、先発・小笠原が7回途中無失点の好投。その後は3人の継投でリードを守りきり、小笠原は今季初勝利を挙げた。敗れた阪神は、先発・青柳が力投するも、打線が援護できなかった。

◆8月1日以来の甲子園開催試合に向けて、阪神園芸がグラウンドの整備を始めた。 前日から降り続く雨の影響を受けて、グラウンドの内野部分には前夜からシートが敷かれていた。雨が止んだ午後4時過ぎからシートをはがし、トンボを使いながらグラウンドをならし始めた。シートのおかげで、内野部分はほとんど雨の影響を受けていない模様だ。 前日27日は雨天中止となっており、約1カ月ぶりの甲子園ゲームへ向けて準備が進められている。なお、開門時間は午後4時30分に変更された。

◆阪神ピアース・ジョンソン投手(28)が体調不良を訴えてベンチを外れた。 この日の試合前練習には参加したが、大事を取ってベンチを外れる形となった。病院には行っておらず、29日以降は当日の様子を見ながら判断する。

◆阪神は、ルーキー「キナチカ」コンビの1、2番が復活した。 スタメンが発表され、新人の木浪が「1番遊撃」、近本が「2番中堅」に入った。 同打順は開幕戦から4戦まで起用されたオーダーで、4月2日巨人戦(東京ドーム)以来の並びとなった。木浪は試合前まで「2番遊撃」で7試合連続先発出場し、うち6戦で複数安打と好調をキープしている。 「7番右翼」には、俊介が今季初スタメンで抜てきされた。先発は7勝目を目指す青柳。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(25)が7回8安打1失点も、痛恨の1球に泣いた。 先発予定だった27日同カードが雨天中止となり、今季2度目のスライド登板。13日中日戦(7回6安打無失点)、20日DeNA戦(52/3回6安打無失点)と2戦連続無失点の右腕は、チーム単独トップの7勝目を目指してマウンドに上がった。 毎回、安打や四死球で走者を背負うも、粘り強い投球。緩急を使って要所をしのぎ、得点を与えない。5回には連打で無死二、三塁のピンチも、2番京田を空振り三振。続く福田、ビシエドを連続で三ゴロに打ち取り、本塁を踏ませなかった。 しかし6回。1死無走者から6番阿部に甘く入ったスライダーを左中間席へ運ばれ、先制点を許した。 7回105球を投げて最少失点も、リードを許して7回でマウンドを降りた。 打線は青柳を援護できない。今季3度目の先発で初勝利を狙う小笠原の前に沈黙。初回、先頭の木浪が左前安を放ってからは、6回1死まで無安打に封じ込まれた。7回途中で降板した左腕に3安打無得点。7回には2番手藤嶋から2死二、三塁の絶好機を作るも、8番梅野の代打鳥谷が二ゴロに倒れ、得点はならなかった。

◆序盤は両チームともに無得点。中日は1回から3回まで先頭打者が出塁したが、バント失敗などで得点につながらず。 中日が6回、阿部の6号ソロで1点を先制した。阪神は4回2死一、二塁の得点機を逃し、6回まで中日小笠原の前に無得点。 中日は6回の1点を継投で守り、連勝。先発の小笠原は今季初勝利を挙げた。阪神は7回2死二、三塁の絶好機も逃し、連敗した。阪神青柳は9敗目。

◆阪神ピアース・ジョンソン投手(28)が風邪の症状による体調不良を訴え、28日の阪神-中日21回戦(甲子園)を欠場した。 試合前練習は参加したが、大事を取ってベンチから外れた。病院には行かず、29日以降は当日の様子を見て判断する方向だが、試合後、矢野監督は「明日は(ベンチに)入ると思うよ」と話した。この日は先発要員の望月がベンチ入りし、中継ぎ待機する形となった。

◆甲子園と好相性の中日阿部寿樹内野手が決勝アーチを放った。 6回1死走者なしで青柳のカウント2-2からのスライダーを浜風に乗せ、左翼スタンドへ2戦連発となる6号ソロ。「行くかなと思って走りました。甘いボールをしっかり捉えられたのが良かった」。 これで8戦連続安打で、好調を持ち込んだ甲子園での今季成績も打率4割8分1厘、2本塁打、8打点とした。

◆阪神近本光司外野手が初今季131安打とし、セ・リーグ新人では歴代8位の99年福留(中日)に並んだ。 6回1死で小笠原のスライダーをとらえて右前打。「狙い球と違っていたんですけど、いい感じで当てることが出来た」。福留が空振り三振となった8球目に二盗を狙ったが惜しくも失敗。「もう少し自分の時間があればと思います。どうしてもピッチャーに合わせてしまったのはありました」と反省したが、積極的な姿勢を見せた。2番での出場は2日広島戦(マツダスタジアム)以来だった。

◆阪神木浪聖也内野手が4月2日巨人戦以来の1番で、8試合連続安打とした。 初回、先発小笠原の直球を左前へ運んだ。「先頭で出たかったので、打てて良かった」。1番には「あまり変わりない。(さまざまな作戦に)しっかりした準備ができれば」と話した。 開幕オーダーだった2番近本と打順が並ぶ「キナチカ」コンビも復活し「2人で(チームを)盛り上げられたら」と気持ちを切り替えた。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が痛恨の憤死で好機を逸した。 1点を追う7回。先頭打者で遊撃へのゴロを全力疾走で内野安打とし、一塁送球が乱れたのを確認して果敢に二塁を狙った。しかし、ヘッドスライディングも及ばずアウト。「いつも積極的にいこうと心がけている。(走塁死は)残念だったけど、その気持ちを忘れずにやっていきたい」。 4番に座って初の甲子園だったが、前向きな姿勢が裏目に出た。

◆阪神島本浩也投手がわずか8球で8回を抑えた。先頭の高橋を3球で右邪飛に仕留めると、テンポ良く3者凡退。 「リズム良くゼロで抑えようと思っていた。うまくいって良かった」と胸をなでた。これで1日中日戦から10戦連続無失点と安定感を維持。ジョンソンが体調不良で不在の中で踏ん張った救援陣に、矢野監督は「みんなもシマ(島本)もしっかり投げてくれた。責任はしっかり果たしてくれました」とねぎらった。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が痛恨の憤死で好機を逸した。 1点を追う7回。先頭打者で遊撃へのゴロを全力疾走で内野安打とし、一塁送球が乱れたのを確認して果敢に二塁を狙った。しかし、ヘッドスライディングも及ばずアウト。 ▽阪神筒井外野守備走塁コーチ(7回、マルテの走塁死について)「送球を見て、本人の判断で行ったので...。こちらからは何も言えないかな」

◆阪神先発の青柳晃洋投手が1球に泣いた。3回まで毎回先頭打者を出しながらも、バント阻止や併殺で切り抜け無失点。5回も小笠原に二塁打を浴び、無死一、三塁のピンチを背負ったが三振と2本の内野ゴロでホームを踏ませなかった。だが0-0の6回1死。阿部に甘く入ったスライダーを左中間スタンドに運ばれ、許した唯一の失点が決勝点になってしまった。 青柳 スライダーの続け球がいいところに行ったんですが、ホームランになったことを考えたら他の選択肢もあったのかと思います。 連続無失点は17回2/3で途切れ、チームワーストの9敗目を喫した。 矢野監督は「青柳の1つの成長の部分と課題の部分」と表現。走者を背負ってからの粘りを高く評価した一方で、カウント2-2から浴びた痛恨の被弾を残念がった。ただ打線の援護もなく、7回1失点は先発として十分な結果。敗戦は、青柳の責任だけではない。

◆阪神が長期ロードから27日ぶりに帰ってきた甲子園で悔しい0-1負けを喫した。 矢野監督は7回、一打逆転の好機に好調鳥谷敬内野手を代打起用したが二ゴロ凡退。鳥谷の発言から去就が注目され、この日一番の大歓声を浴びたが残念な結果になった。約5カ月ぶりに1番木浪、2番近本を並べた新打線も不発。ただ、3位広島との3・5差が変わらなかったのは救いか。29日こそ六甲おろしを歌いたい。甲子園が沸きに沸いた拍手喝采は報われなかった。1点を追う7回2死二、三塁。矢野監督がベンチを飛び出して勝負手を打つ。背番号1もバットを持って出てくる。代打鳥谷-。万雷のコールが降り注いだ。藤嶋との勝負だ。だがカウント1-1からの3球目、外角低めフォークを引っ掛けて二ゴロ...。通算2082安打のベテランは「狙い球というよりストライクが来たら打っていこうと思っていました」と悔しがった。 矢野監督は「あそこはもうトリって決めていた。俺はあそこは総合的に、すべてのことを含んで鳥谷で勝負したいと思っただけ」と言い切った。この日の試合前練習は雨のため室内練習場で行った。打撃は鋭い打球を連発。7、8月は21打数9安打、打率4割2分9厘と調子を上げ、もともと夏場に強いタイプだ。経験、勝負勘。プロ16年目の力量に託したが不発だった。 5年契約最終年の今季は厳しい立場にさらされている。この日の凡退で今季初打点もお預け。25日ヤクルト戦後には、今年最後の神宮での試合を終えて「自分もこれが最後(の神宮)になるかもしれないので、いい打席だったと思います」と意味深発言。谷本球団副社長兼球団本部長も「ああいうコメントを本人が発したのは、正直な気持ちだと思う。どこかで話をしてもいいなと思っています」と言及し、来季の去就会談を行う方針を明かしていた。 神宮で心境を吐露してから初めて本拠地でプレー。この日は声援に応えられなかった。長期ロードを終えて1日中日戦以来、27日ぶりの甲子園。指揮官は1番木浪、2番近本に打線を替えた。開幕4戦目の4月2日巨人戦(東京ドーム)以来の並びだ。1回に木浪が出塁したが、近本の痛烈ライナーは投直...。昨季、1勝2敗で防御率2・19と苦戦した小笠原相手にツキもなく、終わってみれば今季12度目の完封負け。甲子園での今季勝率5割復帰もお預けになり、2年連続で中日戦負け越しも決まった。 指揮官も「ゼロじゃ、勝てない。やはり悔しい。勝負どころで1本出ない、うまくいってないのは中日戦は特にそういうのが多い」と嘆く。3位広島との3・5ゲーム差は動かず厳しい戦いが続く。【酒井俊作】

◆左肘手術を乗り越えた中日小笠原慎之介投手(21)が、今季初、昨年7月28日巨人戦以来の勝利を挙げた。 初回に先頭木浪に左前打を許したが、近本を投直併殺に打ち取ってリズムに乗った。4回2死からはマルテ、糸原に連続死球。スタンドから虎党の怒号が飛ぶ中でも崩れず、続く大山を131キロの変化球で中飛に打ち取り危機を脱出した。「野手の皆さんに感謝です。今日は何とか粘れた。次につなげられたら」。緩急を使って打たせて取り、今季3試合目で最長の6回2/3を投げ、3安打無失点。阿部のソロでもらった1点を守ってマウンドを譲った。 初めて開幕投手を務めた昨年は5勝止まりで、9月にはプロ入り2度目の左肘軟骨除去手術に踏み切った。開幕1軍を目指した今年は左肩痛を発症し、実戦復帰は6月23日のウエスタン・リーグ広島戦までずれ込んだ。2軍で5試合に投げ、防御率1・50。10日DeNA戦で満を持して今季初登板したが、2試合続けて勝てなかった。「とにかくチームの力になれるようにやっていくだけです。(出遅れを)特別意識することはなかった。甲子園での初勝利? いやいや全然。ビジターなんで。また次も頑張りたい」。15年夏の甲子園大会で東海大相模のエースとして優勝した思い出のマウンドで復活。プロでも好相性の"ホーム"は5試合で3勝1敗となった。 2年連続で阪神戦勝ち越しを決め、与田監督もエース候補生の好投を褒めたたえた。「(初回に併殺とした)ああいう打球を捕れるのは、投球フォームのバランスがいいから。今年はそこまで(長いイニングを)求めていない。小笠原は故障上がり。今年は準備段階。今は100球以内で十分」。この3試合の球数はそれぞれ88、98、88。リミッター解除はまだ先ながら、頼れる左腕が先発ローテーションに戻ってきた。【伊東大介】

◆阪神が27日ぶりに帰ってきた甲子園で負けを喫した。 矢野燿大監督は7回、一打逆転の好機に好調鳥谷敬内野手を代打起用したが二ゴロ凡退。 矢野監督は「あそこはもうトリって決めていた。俺はあそこは総合的に、すべてのことを含んで鳥谷で勝負したいと思っただけ」と言い切った。 その他一問一答 -もどかしい試合 チャンスは作ったのにかえせないのが一番の原因。青柳もよく粘って、内野陣もよく守ったのは良かったんですけど。ちょっと決定打が出なかったですね。 -小笠原が良かった ビシバシ決まってるとか球が走ってるとは、あまり感じなかった。チャンスで1本が出なかった。 -明日に向けて やっぱり課題は今シーズン通して、点を取ること。明日は何が何でも点を取りに行って全員で勝ちます。 -青柳は状態は良くないなかでしのいだ そうやね。でも本塁打も追い込んでから。もったいないちゃ、もったいない。走者を出しながら粘れるところと、内野陣で特にショートゴロが多かった。みんな踏ん張った。粘ってくれたのはあったので、こういう僅差のゲームになった。 -打順で1、2番を入れ替えた意図は 自分が捕手やったら、開幕からやっているように、こっちの方が嫌。(木浪)聖也は打順が8番だったりしたけど、状態も上がってきた。それやったら、もともと自分のなかでそうしたい、その方が自分では嫌という部分があったので、それをしただけやけど。 -鳥谷起用は状態の良さが理由か すべての、状態も、いろんなことを含めて、それがいいと判断したので勝負しました。

◆阪神・青柳晃洋投手(25)が28日の中日戦(甲子園)に先発し、六回に左中間へ先制ソロを被弾した。  六回、先頭の高橋を一ゴロで1死。続く阿部をカウント2-2と追い込んでからの5球目だった。真ん中に入った123キロスライダーを振り抜かれた。白球は浜風にも後押しされ、ぐんぐん伸びて左中間席前列へ飛び込む一発となり、打球の行方を見つめ、額の汗をぬぐった。  五回には無死一、三塁のピンチを切り抜けるなど、走者を出しながらも粘りの投球を続けていた右腕。味方の援護を待って力投していたが、先に得点を許してしまった。

◆阪神の近本光司外野手(24)が28日の中日戦(甲子園)の六回1死で小笠原から右前打を放ち、今季131安打目。新人で歴代7位の福留に並んだ。  1点を先制された直後の六回。1死走者なしで打席に入り、カウント1-1からの3球目、外角低め132キロを右前へはじき返した。  これで今季131安打となり、1999年に福留が残した新人歴代7位の記録に並んだ。

◆阪神・青柳晃洋投手(25)が28日の中日戦(甲子園)に先発したが、7回8安打1失点で今季7勝目をつかむことはできなかった。  毎回走者を背負う苦しい投球も、要所をしのいで粘投。味方の援護を待ちながら力投を続けたが、六回に手痛い一発を浴びた。1死から阿部に左中間席へソロを献上。0-1とリードを許したままマウンドを降り、白星を手に入れることはできなかった。

◆中日の阿部が0-0の六回、2試合連続の本塁打となる6号ソロで均衡を破った。青柳の甘く入ったスライダーをしっかりとバットに乗せ、左中間席へ運んだ。「いくと思ったが、むちゃくちゃ走った。チームが勝って良かった」と安堵の表情を浮かべた。  これで8試合連続の安打と好調を維持している。「結果が出てくれている。調子を落とさずに最後までいきたい」と意気込む阿部の一発が決勝点となった。 与田監督(救援陣も無失点) 「僕の采配を正解にしてくれるのも選手のおかげ。踏ん張ってくれた」

◆阪神の青柳は7回を阿部のソロによる1失点と粘ったが、打線の援護がなく9敗目を喫した。先発の役目は果たしたものの、阿部には追い込んでから甘く入ったスライダーを左中間席へ運ばれ「最少失点で踏ん張ることはできたが、一発で負けたのが反省」と悔やんだ。  8安打を浴びるなど毎回走者を背負った。それでも持ち味のゴロを打たせる投球で2併殺を奪い、大量点は許さなかった。矢野監督は「粘ってくれたことで僅差のゲームになった」と力投をねぎらった。 木浪(1番で先発出場、1安打) 「打てて良かった。好調を維持していくだけ」

◆阪神のジョンソンがベンチ入りメンバーから外れた。球団によると、練習前に体調不良を訴えたため、大事を取ったという。来日1年目の今季はここまで49試合で2勝2敗、36ホールドと活躍している。

◆「人間は常に迷っている。迷っている間は常に何かを求めている」と言ったのは独の文豪ゲーテです。  この朝、当番デスクの阿部祐亮は、ハチに追いかけられている夢を見た。「なぜかわからないんです。ただ、やたらブンブンと僕を攻めてくるんですョ...」  どうやら見た夢を実に細かく記憶しているらしい。そんなもの忘れちまった方がラクなのに...と言ったらクスッと笑った。とにかく食前、食後に食間でも「タイガース」でゲップがでそうな我がサンスポのデスク連中は、黄色と黒のしま模様のハチたちに夢の中まで追いかけられているのであります。  矢野監督はこの試合から近本を1番から外し、木浪と入れ替えた。これについてはトラ番キャップ大石豊佳が「もともと開幕から4試合は木浪1番、近本2番でスタートしてます。このコンビを入れ替えた狙いは、"近本2番"にウエートを置いていたと思います。矢野監督の"原点"ですからね。近本の1番もキリリとしてますが、好調な木浪なら1番も期待できます。初心にかえっての変更じゃないですか。期待してください」。ナルホド...と思った。  しかし...だ。阪神は小笠原にてこずった。というより小笠原の"術中"にハマっている。なんとなくズルズルと相手のペースにはまるというのは、この夏場にはよくあることだ。  46年前の1973(昭和48)年8月30日に、阪神江夏豊が甲子園での中日戦に先発し、なんと延長十一回を一人で投げきり、「延長戦ノーヒットノーラン」なんて空前絶後のピッチングをやってのけた日だ。おまけにその延長十一回の裏、打席が回った江夏は右翼ラッキーゾーンへサヨナラ本塁打を放ち、自分でケリをつけている。  とんでもない快記録のシーンにトラ番ピヨピヨ記者時代に遭遇したことは幸運だったのだろうか...。それとも現在の若虎たちの動きを大阪・難波の編集局でモニターTVを見ながら、思わずブツブツ文句ばかりが口をついて出る俺の人生って何なのだと思った。  ゲーテというおっさんは73歳の時に19歳の少女に恋をして結婚を申し込んで...ものの見事にヒジ鉄をくらった。そんなの当然じゃろが...となるが、常に何か夢を追い続けるゲーテには文句を言いたくないが、モノには常識的な限界というものがあるじゃろが...とも思うのだ。  この夜の矢野阪神の"必死の思い"は、相変わらずの貧打でとても切なかった。これが相手投手が江夏豊ならあきらめもつくが...。  それに言いたくはないが、この時の江夏は心臓の疾患で、ニトログリセリンを離せなかった。残暑の厳しいこの夜と同じ雨もようのコンディションのなかで、江夏はどんな思いで142球を投げ続けたのか。そして怪物相手に投げ合った松本も121球...ビートの効いたアップテンポの投手戦は実にさわやかだった。  それと比べて...正直こんなに歯ぎしりしたくなる"貧打競演"はなんというべきか。最後は大山のゲッツーでジ・エンドである。  ゲーテはまたこうも言っている。  「自分ひとりで石を持ち上げる気がなかったら、ふたりでも石は持ち上がらない...」

◆小笠原が6回2/3を散発3安打に抑え、今季初白星。神奈川・東海大相模高時代に全国制覇した思い出のマウンドで、昨年7月以来の勝利を手にし「粘って投げることができた」と笑みを浮かべた。昨年9月に左肘の遊離軟骨を除去する手術を受けて出遅れた。今季3度目の登板で好投し、「チームが勝てるようにやっていくだけだった。次も頑張りたい」と力を込めた。 今季初勝利の小笠原に中日・与田監督 「終盤はフォームが崩れたが、本当によく頑張ってくれた」

◆違うー! ついこの間まで灼熱(しゃくねつ)の太陽の下で必死に白球を追いかけ、見る者の胸を熱くした高校野球の甲子園じゃなーい!!  わが阪神は5連勝の反動をある程度は覚悟していたけど、久しぶりに本拠地に帰ってきて、今季まともに投げていない中日・小笠原に六回まで2安打。終わってみれば零封負けはないやろー!!  弱いんだから負けるのは仕方ないにせよ、まだわずか1点差なのに九回1死一塁から大山のバットに当てただけの力のない投ゴロ併殺打でゲームセットが、今季の阪神を象徴しているのだ!!  大山悠輔、あんたに2019年に105試合で4番を張ったプライドはないんかー?! 九回に1点差でランナーがおるんやでェ...。そんなもん、「すんまへん。おいしいところをいただきます。左翼席に逆転サヨナラホームランをぶち込んでくるわー!!」と打席に入らんで、強者がひしめき合うプロ野球の世界で、この先どうすんの~?!  すまん。つい頭に血が上って大山君を責めてしまったけど、しょせん昨季は最下位のチームなのだから、猛虎ナインよ、高校野球のような必死さを見せてくれー!!

◆--もどかしい試合だった  矢野監督 「青柳もよく粘って、内野陣もよく守ったというところは良かったんですけど。ちょっと決定打というか、そこが出なかったですね」  --中日先発・小笠原がよかったのか  「あんまりそんな風には見えなかったですけどね。そんなビシバシ決まってるとか、球が走ってるとか。そんな感じにはあまり感じなかったんで、チャンスで一本が出なかったってところですね」  --代打・鳥谷の意図  「あそこはもうトリって決めてた。決めてたことで勝負しようと」  --ジョンソンがベンチ外でもリリーフ陣は踏ん張った  「いつも通り投げてくれたし、(大山)悠輔も九回のプレーはすごくよかったと思うし。みんなも、シマ(島本)もしっかり投げてくれたのでね。責任はしっかり果たしてくれました」  --ジョンソンは明日は  「明日は(ベンチに)入ると思うよ」

◆マルテが痛恨の走塁ミスを犯した。1点を追う七回先頭、三遊間へのゴロを放ち、遊撃内野安打。京田の一塁悪送球で二塁を狙ったが、憤死した。ヘッドスライディングで気迫を示し「いつも積極的にいくことを心がけている。アウトになってしまったが、そういう気持ちを忘れないように」と話したが...。反撃機を手放してしまった。

◆阪神のピアース・ジョンソン投手(28)が28日、体調不良のため、中日戦(甲子園)のベンチから外れた。  球団広報によると、ジョンソンは異変を覚えながら練習に参加したという。キャッチボールを終えるとダッシュなどは行わず、クラブハウスへと引き揚げていた。  来日1年目の今季は49試合に登板し2勝2敗、防御率1・10。リーグトップの36ホールドを挙げていた。今後は状態をみて判断するが、矢野監督は中日戦後、「明日は(ベンチに)入ると思うよ」と軽症を強調した。  代わって望月惇志投手(22)が中継ぎに配置転換され、ブルペン待機した。

◆木浪は4月2日の巨人戦(東京ドーム)以来の「1番」で出場。第1打席で小笠原の直球を左前へはじき返した。「先頭で塁に出たいと思っていたので打ててよかったです」。0-1の八回無死一塁では一塁線へ絶妙な犠打。久しぶりに「キナチカ」の打順となり「近本が2番だからということではないけど、2人で盛り上げられたらという気持ちはあります」と力を込めた。

◆スライドで先発した青柳は7回8安打1失点の粘投も7勝目ならず。六回に阿部に浴びたソロが決勝点となり、悔しさをにじませた。「一発で負けてしまったので反省です。別の選択肢もあったと思う」。毎回走者を背負う苦しい投球も、バックの好守に助けられながら切り抜けた。「野手の方々が守ってくれたおかげで何とか最少失点で踏ん張ることができました」と頭を下げた。

◆8月2日の広島戦(マツダ)以来となる「2番」で出場した近本は、六回1死で小笠原から右前打を放った。「狙い球と違ったけど、いい感じで当てることができました」。今季131安打となり、新人歴代14位の福留(1999年、中日)と並んだ。続くその福留の打席で二盗を試みるも三振ゲッツー。「もう少し自分の時間があればよかった。投手に合わせてしまった」と反省した。

◆"時の人"の登場に甲子園のボルテージは最高潮に達した。いまだ打点も本塁打もゼロ。でも、ドラマの主役になることを誰もが願っていた。鈍い打球音が響き、力のない二ゴロ。一瞬にして、ため息へと変わった。  「狙い球というよりも、ストライク(ゾーン)にきたら打っていこうと思っていたんですが...」  汚名返上できる舞台は整っていた。1点を追う七回。相手も小笠原から藤嶋に代わっていた。2死から大山が中前打で出塁し、代打・高山も左中間二塁打でつなぐ。二、三塁。選択肢として原口もいたが、矢野監督が、切り札として選んだのは鳥谷だった。  「俺はもう、あそこは総合的に、すべてのことを含んで鳥谷で勝負したいと思っただけ。すべての、状態もいろんなことを含めて、それがいいと判断したので勝負しました」  矢野監督は説明した。すべて代打で登場した8月の11打席(試合前まで)で打率・444(9打数4安打)と状態を上げていたが、5年契約最終年で去就が注目される男の力、意地を信じたいという部分もあったはずだ。だが、カウント1-1からの3球目、外角低めの変化球をとらえられず...。今季は得点圏で40打席連続適時打なしだ。  鳥谷は25日のヤクルト戦(神宮)後、「神宮というか、自分も最後かもしれないので、いい打席だったと思います」と発言し、去就問題に発展。前日27日には自分の進退について「どうするかは僕の自由ですからね」と話していた。  来季も健在を示したかったが...。次こそ-。万雷の拍手で迎えてくれた虎党の期待に応えたい。 (織原祥平) 好機で凡退した鳥谷について阪神・清水ヘッドコーチ 「打つ、打たないで、何もいうことはない。監督が鳥谷に期待してあそこで使っているわけだから、こちらは何も言うことはない」

◆原点回帰も実らず...。阪神は夏の長期ロードを終え、27日ぶりに甲子園に帰ってきたが、今季12度目の完封負け。中日に2年連続のカード負け越しが決定した。矢野燿大監督(50)は「1番・木浪、2番・近本」と開幕当初のオーダーに戻したが、拙攻の山...。残り23試合。何とかしてくれ!  やはり、同じだった。27日ぶりに戻ってきた甲子園が泣いていた。つながらない。かえせない。相手失策から逆転への機運が高まった九回1死一塁。大山の投ゴロ併殺で今季12度目の完封負けが決まった。矢野監督はもう嘆きっぱなしだった。  「まあゼロじゃね、勝てないんでね。やはり悔しいですね。チャンスは作ったのに、かえせないっていうのが一番の原因だと思います。やっぱり課題は、今シーズン通して点を取るということ」  夏の長期ロードを勝率5割で乗り越えてのリスタート。雨天で開門が30分遅れ、試合開始が危ぶまれたにもかかわらず、3万9355人の観衆が胸を躍らせていた。  原点回帰でここから巻き返す。その思いをスタメンに表した。「1番・木浪、2番・近本」。18日の巨人戦(東京ドーム)から8試合続けていたコンビの順番を入れ替え、"キナチカ"に-。  「自分が捕手やったら、開幕からやっているようにこっちの方が嫌かな」  開幕から4月2日の巨人戦(東京ドーム)まで貫いていたもの。当時は木浪に結果が出ず、北條や糸原に切り替えたが、148日ぶりに戻した。つまり、矢野野球の一丁目一番地から、逆転でのクライマックスシリーズ(CS)を狙おうとしたわけだ。  しかし...。6イニングで走者を出しながらも、3併殺。木浪は一回に左前打を放つも、近本は不運ともいえる投直併殺。六回には1死後、近本が一、二塁間を破ったが、続く福留の打席で三振併殺。皮肉にも今季を象徴するような拙攻となった。  「こういう試合が多いような感じはするんだけど。なかなか勝負どころで1本出ないか、うまくいってないっていうのは中日戦は特にそういうのが多いね」  中日に2年連続負け越し。13敗のうち、5敗が1点差負けという歯がゆさだ。  「明日は何が何でも点を取りに行って全員で勝ちます」  3位広島も敗れ、CS圏への3・5ゲーム差が変わらなかったのは、せめてもの救いか。残り23試合。力を振り絞るしかない。 (大石豊佳)

◆中日の先発・小笠原は調子がいいようには見えなかった。緩急を使って上手にごまかされた感じだ。なのに阪神打線は直球に詰まり、変化球を引っ掛けた。狙い球が絞れていなかったのだろう。  スタメン野手が1試合で4度打席に立つとしよう。直球なら直球、変化球なら変化球を狙って、相手バッテリーに「これを投げたら、打たれるのではないか」というところを作っていかないといけない。そうしなければこの日のように打たされるか、三振かということになってしまう。4打席、そういう駆け引きを続ければ、どこかでとらえられる確率は高まる。初めていいバッティングができるというものだ。  今季、阪神は攻めが遅い試合が多い。序盤に相手の攻めを見ている傾向が強いからだろう。すごく打つチームならそれでもいい。だが、打てないチームは試合開始と同時に勝負をかけないといけない。相手の投手に「これを投げたら...」と早々に考えさせないと。試合前にミーティングもしていると思うが、来季に向けての課題だと思う。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
66502 0.569
(↑0.004)
M19
(↑1)
25558
(+6)
468
(+2)
151
(+3)
68
(-)
0.259
(-)
3.690
(↑0.01)
2
(-)
DeNA
62563 0.525
(↑0.004)
5
(-)
22504
(+7)
497
(+6)
134
(+2)
37
(-)
0.246
(-)
3.810
(↑0.01)
3
(-)
広島
61583 0.513
(↓0.004)
6.5
(↓1)
21506
(+2)
503
(+6)
120
(+2)
68
(-)
0.253
(-)
3.610
(↓0.02)
4
(-)
阪神
55596 0.482
(↓0.005)
10
(↓1)
23444
(-)
493
(+1)
82
(-)
78
(-)
0.250
(-)
3.550
(↑0.02)
5
(-)
中日
53632 0.457
(↑0.005)
13
(-)
25456
(+1)
470
(-)
77
(+1)
59
(-)
0.263
(-)
3.900
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
48712 0.403
(↓0.004)
19.5
(↓1)
22555
(+6)
619
(+7)
145
(+2)
50
(+3)
0.247
(-)
4.680
(↓0.01)