ヤクルト(★3対8☆)阪神 =リーグ戦18回戦(2019.08.23)・明治神宮野球場=
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阪神
30100003181011
ヤクルト
00101010031020
勝利投手:髙橋 遥人(3勝5敗0S)
敗戦投手:山田 大樹(4勝2敗0S)

本塁打
【阪神】木浪 聖也(4号・3回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は初回、マルテ、糸原、大山の3者連続適時打で3点を先制する。4-3で迎えた8回表には、再びマルテ、糸原、大山に連続適時打が飛び出しリードを広げた。投げては、先発・高橋遥が今季3勝目。敗れたヤクルトは、投手陣が振るわなかった。なお、この試合でヤクルト・山田哲が33連続盗塁成功のNPB新記録を達成した。

◆ヤクルト山田哲人内野手(27)が、盗塁の連続成功を33とし、日本新記録を樹立した。 0-3で迎えた1回2死一塁、遊ゴロで走者が入れ替わる形で出塁。続く4番バレンティンの初球に仕掛けた。阪神捕手梅野が二塁に送球したが、余裕のセーフ。山田哲は表情を変えずに、ズボンについた土を払った。今季28個目の盗塁で、成功率は100%。昨季8月26日DeNA戦から33回連続で成功。11~15年にソフトバンク福田がマークした日本記録を抜き、新記録を樹立した。

◆阪神が4番マルテからの3連続適時二塁打で先制に成功した。 初回、2死から3番福留が四球を選んで出塁。続くマルテは追い込まれてから5球ファウルで粘り、ヤクルト先発山田大の低め変化球を左中間へはじき返した。一塁走者福留が激走で一気に本塁に生還し、適時二塁打となった。 マルテは「しっかりボールにコンタクトできるように集中したことで、アグレッシブな結果になったね。チームの勝利に貢献できるようにまだまだ頑張るよ」と振り返った。 その後も5番糸原、6番大山が連続適時二塁打で続き、いきなり3点を奪った。 糸原は「自分の持ち味である粘りのバッティングができました。まだ序盤なので、もっといきます」。大山は「いい流れに乗って打つことができました。もっと(高橋)遥人の援護をできるように頑張ります」とそれぞれコメントした。 先発は7月7日広島戦(甲子園)の2勝目を最後に勝ち星から遠ざかる2年目左腕高橋遥。京セラドーム大阪でDeNAに3連勝した勢いそのままに、援護点をプレゼントした。

◆阪神木浪聖也内野手(25)が追加点となる1発を放った。 3点リードの3回。先頭打者として打席に入り、先発山田大の高め浮いたスライダーを左中間席へ運んだ。先発高橋遥を援護する4号ソロ。 「1打席目(二ゴロ)が悔しい凡打となったので、なんとしても塁に出るという気持ちで打ちにいった結果がホームランとなって良かったです」 試合前まで4試合連続マルチ安打中。好調をキープするルーキーの勢いが止まらない。

◆ヤクルト大引啓次内野手(35)が、史上302人目となる通算1000安打を達成した。 0-4の3回1死一塁で迎えた第2打席、カウント3-1から高め直球をとらえ左前打とした。 一塁上で大きく手をたたくと、右手の拳をスタンドに向かって突き上げた。つば九郎から記念のボードを受け取り、ヘルメットを脱いでファンの声援に応えた。 法大からオリックス入りし、プロ1年目の開幕戦07年3月24日ソフトバンク戦にスタメン出場。初打席で初安打をマークして以来、プロ13年目で到達した大台。残り1本に迫った際は「たっぷりとかみしめたい。プレッシャーよりもワクワクする」と話していたベテランが、ついに目標を達成した。 ▽ヤクルト大引(3回に左前打を放ち通算1000安打を達成)「今季の目標だった。何度も諦めそうになったが、支えてくれた人たちに感謝したい。家族の前で打ててよかった」 ▼通算1000安打=大引(ヤクルト) 23日の阪神18回戦(神宮)の3回、高橋遥から左前打を放って達成。プロ野球302人目。初安打はオリックス時代の07年3月24日のソフトバンク1回戦(ヤフードーム)で斉藤和から。

◆阪神のドラフト1位、近本光司外野手(24)が128安打で球団新人安打数の4位、01年赤星憲広氏に並んだ。 初回に内野安打で127安打目、8回の第4打席で右前安を放ち、マルチ安打で4位タイとした。 赤星氏は同じ左打ちの外野手として、近本が憧れと口にする存在だ。 2安打目を放つ直前、1点をリードする7回の守備では、1死三塁の場面でバレンティンの中飛を捕球すると、タッチアップを狙った三塁走者山田哲を本塁で補殺。リクエストで判定が覆り、同点を阻止した。 残り試合数は同試合を含めて27試合。球団新人安打記録は16年高山の136安打。セ・リーグ記録は58年長嶋茂雄氏の153安打。

◆阪神先発の高橋遥人投手(23)が6回8安打2失点(自責1)の好投を見せた。 7月7日広島戦(甲子園)の2勝目を最後に、勝ち星から遠ざかっている左腕は、粘りの投球。走者を背負う場面が多くなるも、要所を締めた。4-1で迎えた5回には安打と失策で1点を失い、なおも1死二、三塁のピンチ。ここで5番雄平、6番村上を連続三振に斬り、流れを渡さなかった。 ここ数試合は好投が続きながらも打線の援護に恵まれていなかったが、この日は初回に3点、3回に1点をもらった。102球の熱投で3勝目の権利を手にし、7回から2番手ドリスにマウンドを託した。 降板後、高橋遥は「ストレートの走りは良くなかったのですが、梅野さんがうまくリードしてくれたおかげで思い切って投げることができました。序盤から援護していただいた野手の方々にも感謝です」と投球を振り返った。

◆阪神は1回マルテ、糸原、大山の二塁打で3点先制。3回に木浪の4号ソロ。ヤクルトは3回、バレンティンの内野ゴロで1点。 ヤクルト先発山田大は5回4失点で降板。ヤクルトは5回、バレンティンの内野安打と敵失がからみ1点を返した。 阪神は8回にマルテ、糸原、大山の適時打で3点。高橋遥が3勝目。ヤクルトは2桁安打もつながりを欠いた。山田大は2敗目。

◆ヤクルト山田哲人内野手が初回に二盗を決め、18年8月26日DeNA戦から33度連続で盗塁に成功。11~15年福田(ソフトバンク)がマークした32度を抜いて連続盗塁成功のプロ野球新記録となった。 これで山田哲は通算163盗塁だが、盗塁失敗は21度しかなく、盗塁成功率が8割8分6厘。通算150盗塁以上の成功率3傑を出すと、(1)山田哲・886(2)西川(日本ハム)・866(3)イチロー(オリックス)・858。通算150盗塁以上では、成功率も山田哲がトップに立っている。

◆虎がCS争い参戦へ、勢いに乗ってきた。チーム4連勝を呼び込んだのは、先発高橋遥人投手(23)だ。ヤクルト強力打線を相手に6回8安打2失点。前日に30号を放ったばかりのヤクルト村上から3三振を奪う気迫の投球で、7月7日以来の自身3勝目。打線の援護に恵まれなかった左腕の勝利で、2位DeNAと3・5ゲーム差、3位広島とは3ゲーム差だ。高橋遥が張り裂けそうなミット音を神宮に響かせた。6回2失点(自責1)。毎回の9奪三振でヤクルト打線を抑え込んだ。「ピンチの時は三振、追い込んでからも三振を狙いにいって取れた。梅野さんに感謝です」。リードに感謝したが、堂々の102球だった。 若きゴジラを斬った。30本塁打の19歳ヤクルト村上から3打席連続空振り三振。「村上君は真っすぐに強いイメージがあった。1、2打席目は変化球で。最後は真っすぐで(三振が)取れてよかった」。圧巻だったのは、直球で空振りを奪った5回だ。味方の失策も絡むなど2点差に追い上げられ、なおも1死二、三塁で5番雄平を変化球で空振り三振に。迎えた6番村上を、完全なボールゾーンの高め直球で連続三振に仕留めた。走者は背負ったが、流れは渡さなかった。 これで自身最多の3勝目。先発登板14試合でQS(クオリティースタート・6回以上3失点以内)は9度目で、防御率は2・86。好投しても勝ち星に恵まれない日々が続いたが「試合を作るのが自分の役割」と言い聞かせた。「最近勝てていなかった。チームの勝ちにも貢献できていなかった。去年2勝だったので、去年を超えられてすごいうれしいです」。7月7日広島戦以来の白星。フラッシュライトを浴びて笑った。 プロの世界。負けて学ぶことはあっても、負けて楽しいことは1つもない。ただ、あの夏の熱い戦いが懐かしい記憶を思い出させる。高校3年の夏、甲子園出場はならなかった。「もちろん勝つつもりだったんで...」。敗戦の翌日は予定がなく同学年全員で海へ。「静岡の海はきれいで、楽しかったので上手に(気持ちが)切り替えられました」。甲子園を目指した仲間との思い出も胸に、プロの世界で躍動している。 矢野監督は「調子はあまり良くなかったけど、勝負ところで我慢というか、攻めた投球ができてこうなった」と23歳左腕を褒めた。今季3度目の4連勝をチームは飾ったが、全て先発投手に勝ち星がついてのもの。残り26試合。逆転CS出場を狙って、波に乗っていくだけだ。【真柴健】 ▽阪神福原投手コーチ(高橋遥について)「(ずっと勝利が付かず)しんどかったと思いますよ。あまり言わないですけど。(先発に勝ちが付き)それが一番。いいリズムになる」

◆阪神鳥谷敬内野手が9回に今季初盗塁を決めて、16年連続盗塁にのばした。 代打で登場し無死二塁で三塁内野安打で出塁すると二塁走者梅野と重盗を決めた。「(得点圏での安打は)野球をやっている間は、その(打ちたい)思いがずっとある。(盗塁は)梅野についていっただけ」。球団では53~69年にかけて17年連続で記録した吉田義男に次ぐ史上2番目の長さ。NPBでは南海広瀬、広島衣笠が記録した22年連続が最長だ。

◆阪神梅野隆太郎捕手が渋く勝利に貢献した。 最大の見せ場は1点差に詰め寄られた7回1死三塁の局面だ。バレンティンの飛球は中堅へ。近本の送球はやや高くなったが左腕を伸ばして捕ると滑り込んでくる山田哲とクロスプレーになった。 1度は市川球審がセーフのジャッジを下したが、リクエストでアウト判定。間一髪、同点犠飛を阻んだ。「いいタイミングは分かっていた。何とか上からたたきつけるように、うまくアウトになってくれた」。9回は二盗と三盗に成功して生還。捕手で12盗塁に積み上げた。

◆阪神のドラフト1位、近本光司外野手(24)が128安打で球団新人安打数の4位、01年赤星憲広氏に並んだ。 まずは初回の第1打席。先発山田大から遊撃への内野安打で127安打目。8回の第4打席も先頭。3番手坂本の外角高め直球を引っ張り、鋭い当たりで一、二塁間を破った。「最高です。自分の中ではどんな形でもいいので出塁しようと思っていた。ボール球だったけど、タイミングが合いました」。マルチ安打で128本目とした。赤星氏の記録に肩を並べ「光栄です」と笑顔を見せた。 同じ左打ちの外野手、リードオフマンとして姿が重なる近本と赤星氏。球団と仮契約を結んだ昨冬から憧れと語り、意識してきた。「(赤星氏)2世というよりは超えるような選手になりたい。目指していかないといけないと思っています」。その言葉通り、ルーキーイヤーから記録を塗り替えていった。5月2日広島戦(甲子園)で13試合連続安打を放ち、赤星氏の持つ球団新人の連続試合安打記録を更新。盗塁数も25で、赤星氏が盗塁王を獲得した新人時代の39を追いかけている。残りは26試合。安打数では、136安打で球団新人記録の16年高山を射程圏に捉え、153安打でセ・リーグ記録の58年長嶋茂雄も十分に狙える数字だ。 7回には試合を左右するビックプレーも飛び出した。1点差に迫られ、なおも1死三塁のピンチ。バレンティンの中飛を捕球すると、タッチアップを狙った三塁走者山田哲を刺すべくノーバウンド送球。いったん、判定はセーフとなったがリクエストで判定が覆り、同点機をつんだ。両リーグトップの10補殺目。「ラインをしっかり出そう、強く投げようと思っていた。ボールは高かったですけど、アウトになって良かったです」と振り返った。矢野監督は近本の好返球に「(走者を)殺す意欲でしっかりアウトにできたのは大きい」と評価。スーパールーキーが憧れのスピードスターを越えていく。【奥田隼人】

◆不振にあえいでいた阪神大山悠輔内野手が2安打2打点と覚醒モードだ。 6番三塁で出場すると、4番マルテ、5番糸原の二塁適時打で2点を先行した直後。1回2死二塁の場面だ。ヤクルト山田大の内角直球をふり抜き右中間へ運んだ。「いい流れに乗って打てました」。初回から中軸の3者連続となる適時二塁打で3点をもぎ取った。 悔しさを力に変えた。大山が4番を外れたのは今季106試合目となる今月10日広島戦。20日DeNA戦では、2三振を含む3打数無安打と内容も乏しく6回途中で交代を命じられた。その後も矢野監督から打撃指導を受けるなど、打線復活のキーマンが大山だった。 4番マルテ、5番糸原、6番大山の新オーダーが相乗効果を生んでいる。8回にも2死三塁から4番マルテが左前適時打で貴重な追加点。5番糸原が左翼へ適時二塁打。6番大山も中越えの適時二塁打と続いた。 マルテは4番に入って打率3割4分2厘と好調。糸原は今季5番で打率5割9分7厘と高打率を残す。復調の気配が漂う大山は「今日の試合は今日で終わり。また明日に向けて準備していきたい」と表情を引き締めた。あれだけ苦しんだ虎打線につながりが生まれつつある。【桝井聡】

◆ヤクルト山田哲人内野手(27)が、盗塁連続成功の日本記録を樹立した。 1回、バレンティンの初球にいきなり仕掛けた。余裕のタイミングで今季28個目の成功。昨季8月26日DeNA戦からは33連続で成功させ、11~15年にソフトバンク福田がマークした日本記録を抜いた。日本球界初の「40本塁打・40盗塁」達成へ突き進む。いつも通りの涼しげな表情で、山田哲は左膝についた土をはらった。0-3で迎えた1回2死一塁、バレンティンの初球に仕掛けた。完璧なタイミングのスタートで、捕手梅野が二塁に送球したが余裕のセーフ。広島からの早朝移動で、コンディションは万全ではなかったが「体が重くて中間走の伸びはなかったけど、スタートは完璧に近かった。スタートがよかった分セーフになった」と淡々。今季28個目で、昨季8月26日DeNA戦から33連続で成功させ、新記録を作った。 山田哲流の盗塁とは、捕手との勝負ではなく、投手との勝負-。「捕手は気にしない。投手のけん制やクイックを見ている。スタートが大事」。投手と自分の駆け引きに集中する。その考え方について、土橋内野守備走塁コーチは「投手のタイミング、モーションを見て、自分のタイミングと計ってしっかり分かっている天才肌。スタート、中間走の伸び、スライディングもすべていい。だからマークされていても決められる」とポイントを挙げる。 チームは最下位で、この日も敗れた。試合後の表情もさえなかったが「走塁で流れが変わる可能性がある。続けていくことが大切。守備、打撃以外でも足でしっかり貢献したい。足の力で勝つ野球もある」。シーズン前から「究極の数字」として意識していた成功率100%も維持。本塁打は31発をマークしており、史上初の「40本塁打・40盗塁」も、かなわない数字ではない。【保坂恭子】

◆ヤクルトは、拙守も響き、満員御礼の神宮球場で勝てなかった。7回には3-4まで迫ったが、終盤に中継ぎ陣が失点し追い上げムードはなくなった。 阪神と同じ10安打を放ちながら3得点。試合後には、クラブハウスで緊急の全員ミーティングを行った。小川監督は「あと1本が出なかったのが今日の試合。こんなにお客さんが入っているのに、こんな試合をしていたらダメ」と語気を強めた。

◆阪神梅野隆太郎捕手が渋く勝利に貢献した。勝負への貪欲さを見せたのは4点リードの9回だ。先頭で出塁すると、立て続けに二盗、三盗に成功。木浪の一ゴロの間に生還した。いぶし銀だった。 「走れる捕手」の面目躍如だ。今季12盗塁となり、捕手だけでの同数盗塁は球団で50年徳網茂(135試合)以来、69年ぶりの快挙。梅野は言う。「塁に出ている以上、走塁への意識は強く持っている。トライして積極的にいけている。自分のためにも自信になる」。捕手登録選手では95年関川以来の12個目だが、関川は外野手としても26試合に出場。梅野の脚力が際立っている。 フォア・ザ・チームの盗塁敢行だ。「相手バッテリーも、真っすぐ系が多くなるから」。走れると分かれば、敵も警戒して次打者は速球系に的を絞りやすくなる。捕手らしく、相手の配球心理まで思いをはせる。矢野監督も「リュウの足だけで取った1点と言ってもいい」と褒めた。 守備も存在感を示した。1点差の7回1死三塁。バレンティンの飛球は中堅へ。近本の送球は浮いたが、左腕を伸ばして捕ると滑り込んでくる山田哲とクロスプレー。市川球審はセーフのジャッジを下したがリクエストでアウト判定だ。間一髪、同点犠飛を阻んだ。無安打でも、堂々と立役者になった。【酒井俊作】

◆強気の投球とは裏腹なギャップで、阪神高橋遥人投手(23)はファンをきゅんとさせる。 ピンチで三振を奪っても、大げさなガッツポーズはしない。マウンドを降りると素朴に戻る。小走りでベンチに向かって一直線。帽子を取って、ぺこぺことハイタッチで迎えられる姿も愛嬌(あいきょう)がある。 球場でペンを走らせると「こんな僕のサインで、本当にいいんですかね?」と、なぜか困惑した表情で話す。報道陣からの質問にも丁寧に受け答えする。「今の、うまく話せてましたか? うーん、やっぱり今のはやり直しで!」。人間味のあるトークで、ほのぼのとさせる。 この日のお立ち台でも「えーと...。毎試合毎試合、一生懸命みんなやってると思うんで...。1つでも上の順位になれるように、僕も少しでも力になれるように頑張ります!」と、優しい表情でスタンドに手を振った。期待のホープ左腕は、周囲をもえさせられる。【阪神担当=真柴健】

◆阪神は1回マルテ、糸原、大山の3連続二塁打など8得点で快勝し4連勝。 先発の高橋が6回8安打2失点(自責1)の好投を見せ3勝目を挙げた。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -高橋遥は5回のピンチで粘った 勝負どころは遥人も分かっていると思う。調子はあまり良くなかったと思う。いい投球をしても勝ちがつかないのは本当の波には乗りにくい。勝負どころで、今日はよく粘ってくれた。 -先発に勝ちがつくと高橋遥も乗っていける 周りのバックアップももちろんあった。打線も先制を3点して。もう1点加えて。(7回は)近本も送球は高かったけどアウトにできた。リュウ(梅野)も高いからって、ちょっとあきらめたらセーフになっちゃう、きわどいところ。あきらめずにタッチに行って。みんなの粘りが遥人を勝たせた。遥人はいい投球でなかなか勝てないところも多かった。みんなが1つ、しっかり返してくれた。 -中軸が活躍する マルちゃんの1本も。中盤、ずっと流れが向こうに行った状態であの1点は大きかった。向こうは絶対にゼロで行きたいところの投手を出して1点取れたのは中軸が、マルちゃんがしっかり打ってくれたおかげ。 -3連勝後で大きい勝利 俺らは勝ち進んでいくしかない。内容もチームとしていい流れ、いい勝ち方ができている。4試合連続で先発に勝ちがついたのかな。ある意味、中継ぎ陣をいろんなパターンで使いながら勝てている。いい流れ。

◆阪神・西勇輝投手(28)が23日、先発予定の24日のヤクルト戦(神宮)に向けてダッシュなどで調整。神宮球場では今季初となる登板に気合を入れた。  「チームが勝てるピッチングをしたいです。(味方の)打線がいいので、流れに乗っていけたらと思います」  前日22日には高卒4年目の望月がプロ初勝利。普段からアドバイスを送るなどかわいがっていた後輩の一人で「気に掛けていた選手がああやって勝ったりすると、自分にとっても刺激にしていきたいと思います」とうなずいていた。  ヤクルト戦には今季2試合に先発して1勝1敗、防御率2・57。7月21日の前回対戦(甲子園)では、7回4安打2失点で白星を挙げた。流れに乗り、今季6勝目を狙う。

◆阪神・大山悠輔内野手(24)が23日のヤクルト戦(神宮)の一回2死二塁で右中間へ適時二塁打を放ち、3-0と点差を広げた。  「いい流れに乗って打つことができました。もっと遥人(高橋)の援護をできるように頑張ります」  マルテ、糸原の連続適時打で2-0とし、なおも2死二塁。2球で2ストライクと追い込まれながらも、カウント1-2からの4球目を捉えた。打球は右中間への適時二塁打に。一回に3点を先取し、先発・高橋遥を援護した。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(27)が23日、阪神18回戦(神宮)の一回に二盗を決め、プロ野球新記録となる33連続盗塁とした。  一回、遊ゴロ併殺崩れで一走となると、続くバレンティンの初球にスタートを切った。昨年の5連続盗塁に加え、今季は開幕から28連続となり、2011年-15年に福田秀平(ソフトバンク)が達成した32連続を抜き、記録を更新した。  1シーズンでの連続盗塁成功のプロ野球記録は、1964年に南海・広瀬叔功がマークした「31」。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(28)が23日のヤクルト戦(神宮)で一回2死一塁で先制の左中間二塁打を放った。  「しっかりボールにコンタクトできるように集中したことでアグレッシブな結果になったね。チームの勝利に貢献できるようにまだまだ頑張るよ」  一回2死から福留が四球を選んで出塁。すると4番・マルテがファウルで粘ってフルカウントからの10球目を振り抜いた。打球は左中間へ転がっていき、先制の二塁打に。4試合連続安打と好調をキープしている助っ人が一回から好機をものにした。

◆阪神・糸原健斗内野手(26)が23日のヤクルト戦(神宮)の一回2死二塁で右中間へ適時二塁打を放った。  「自分の持ち味である粘りのバッティングができました。まだ序盤なので、もっといきます」  一回、マルテの左中間二塁打で先制し、なおも2死二塁で主将が魅せた。カウント2-2から129キロスライダーをコンパクトに振り抜き、右中間へ。打順5番で打率・600と頼もしいキャプテンが追加点を挙げ、点差を広げた。

◆阪神・木浪聖也内野手(25)が23日のヤクルト戦(神宮)の三回先頭で右中間席へ4号ソロを放った。  「1打席目が悔しい凡打となったので、なんとしても塁に出るという気持ちで打ちにいった結果がホームランとなってよかったです」  三回、先頭で打席に入りカウント1-1からの3球目。高め125キロスライダーを一閃すると、白球はきれいな放物線を描いて右中間席へ飛び込んだ。14日の中日戦(ナゴヤドーム)以来の一発で4-0とリードを広げた。

◆ヤクルト・大引啓次内野手(35)が23日、阪神18回戦(神宮)で三回の第2打席に左前打を放ち、通算1000安打を達成した。プロ野球通算302人目。  初安打は、オリックス時代の2007年3月24日にソフトバンク戦で斉藤和己投手から放った。

◆ヤクルトの大引が三回1死一塁で左前打を放ち、通算1000安打を達成した。プロ13年目、1281試合目での大台到達。球団マスコット「つば九郎」から記念のボードを受け取り、感無量の表情を浮かべた。  法大から2007年にオリックス入りし、日本ハムを経て15年からヤクルトでプレー。「一番思い出に残っているのは(07年の開幕戦初打席での)プロ初安打。プロ野球人生が始まると思って集中して臨んだ。1000本の第一歩」と話していた35歳のベテランは、五回には中前に運んだ。

◆阪神・高橋遥人投手(24)が23日のヤクルト戦(神宮)に先発し、6回8安打2失点(自責1)の力投を見せた。  毎回のように走者を背負ったが、粘り強く投げた。要所で三振を奪って切り抜け、毎回の9奪三振。五回には味方の失策による失点で2点差に迫られながらも動じず。リードを保った。  七回の攻撃時に代打・原口が送られお役ご免。先発としての役割を果たした。

◆阪神のドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が23日のヤクルト戦(神宮)で2安打。今季128安打とし、新人では球団OBの赤星憲広氏に並んだ。  「1番・中堅」で先発し、一回、遊撃へのボテボテの当たりで快足を飛ばし、内野安打。4-3の八回には右前打を放ち、先頭打者として128安打目を放った。近本にとって赤星氏は、ドラフトで指名されて以降「目標」と口にし続けてきた大先輩。数字で偉大な先輩に並び、必死にホームベースを目指した。  守備でもビッグプレーをみせた。七回1死一、二塁からドリスが2球連続暴投。1点差とされ、なお1死三塁でバレンティンの飛球は近本のもとへ。これを本塁にノーバウンド返球。一度はセーフの判定も、リクエストで覆りアウトに。全力プレーでリードを守った。

◆阪神は23日のヤクルト戦(神宮)に8-3で勝ち、4連勝を飾った。一回にマルテ、糸原、大山の3者連続適時二塁打で3点を先制。4-3の八回にはマルテからの3連続適時打で突き放した。  試合後、矢野監督は「俺らは勝ち進んでいくしかないし。またその内容もね、チームとしていい流れというか、いい勝ち方ができている」と満足げ。高橋遥が6回2失点で3勝目を挙げ、「これで4試合連続で先発に勝ちがついたのかな。まあ、ある意味、中継ぎ陣もいろんなパターンで使いながら、勝てているんでね。いい流れかなと思います」とチームの勢いを感じ取っていた。 鳥栖・フェルナンドトーレス

◆阪神の近本が七回、好返球でチームを救った。1点差に迫られてなお1死三塁で、バレンティンの中堅への飛球を捕球後、素早くノーバウンドで捕手の梅野に投げ込み、三塁からタッチアップした山田哲を本塁アウトに。リプレー検証でセーフ判定が覆った際どいプレー。「強く投げようと思った。ボールがそれたけど、アウトになって良かった」と安堵した。  八回は右前打で追加点の起点となり、7戦ぶりに複数安打をマーク。今季128安打とし、目標とする阪神OBの赤星憲広氏の新人時の安打数に並んだ。「光栄です。次の1本はいい形で打ちたい」と充実感を漂わせた。 矢野監督(高橋遥に) 「調子は良くなかったけど、攻めた投球をしてくれたのがこういう結果になった」 阪神・筒井外野守備走塁コーチ(近本の好返球に) 「練習通りのプレー。自信につなげていってほしい」 マルテ(一回に先制の左中間二塁打) 「しっかりボールにコンタクトできるように集中した」 糸原(一回に適時二塁打) 「自分の持ち味である粘りのバッティングができた」 大山(一回に適時二塁打) 「いい流れに乗って打つことができた」 木浪(三回に4号ソロ) 「1打席目が悔しい凡打となったので、何としても塁に出るという気持ちで打った」

◆--高橋遥は  矢野監督「その勝負所で、あそこ(五回)で我慢というか、攻めたピッチングができた。いいピッチングをしても勝ちがつかないっていうのは本当の波には乗りにくいんで。勝負所でよく粘ってくれた。周りのバックアップももちろんあったし。みんなの粘りが遥人を勝たせたと思う」  --3連勝で乗り込んできて、初戦を取れた  「俺らは勝ち進んでいくしかないし。内容もね、いい流れというか、いい勝ち方ができている。4試合連続で先発に勝ちがついたのかな。中継ぎ陣も、いろんなパターンで使いながら、勝てているんでね」  --八回に岩崎を投入  「目の前に必死に勝ちにいっているんだけど、その中でも(中継ぎの)バリエーションが作れるっていうのは、うちの強みだと思うんでね。いろいろ考えながらやっています」

◆審判は見ていた! いや、野球の神様は見ていた! いやいや、リクエストのVTRは見ていたー!!  虎の先発・高橋遥は六回まで9奪三振。高卒2年目で30本塁打の燕のゴジラ、村上(かわいいんだか、怖いんだか分からねーよ!)を3打席全て空振り三振に仕留めていた。七回から2番手で登板したドリスが1点差に詰め寄られ、なお走者を三塁に置いてバレンティンに犠飛を許しギャ~!!  またまた悲運の左腕・高橋遥の白星が消えたー、ガッカリ...。と思ったらVTRは見ていたー!! 矢野監督のリクエストで、タッチアップした三走はタッチアウト~!!  打線はここ4試合で3度目の8得点。まさにVTRの再生のようでたまりまへ~ん!! 藤浪、メッセンジャー、ガルシアが機能せずに、借金3なら強いのでは? こいつは、ひょっとしたらひょっとするでー!!

◆神宮は試合直前までかなり雨が降っていたらしい。当然だが、試合前の練習は右翼後方の向こうにある室内練習場で準備をしている。  それでちょいと嫌な予感がした。というのもここのところ阪神は9日から京セラドームで広島戦→ナゴヤドームで中日戦→東京ドームで巨人戦(ここではよくエアコンが効いていてみんなは震え上がって3タテを食らいましたぞ。しかも得点は1、2、3点と夜店でくじ引きをやってんじゃねぇんだ)  でもって20日から3日間は京セラドームでございました。つまりここ12日間はクーラーがガンガン効いていてまるで「軽井沢でテニスをしているような...」環境でございました。  そしてタイガースは再び神宮という"露天"のグラウンドにUターンしての試合です。  「というても神宮は人工芝ですからなぁ、雨でぬかるむことはそんなにないし...」と編集委員上田雅昭はいう。つまりは...空模様に試合の『責任転嫁』はできないわけです。  しかも...エアコンの効いた軽井沢球場(ドーム)での最近の成績は●○○●△○●●●○○○どうです。そんなにヒドイことはなかった印象でしょ。この高校野球期間中の長期ロードはフロントの必死の配慮でカイテキだったけれども...やはり神宮は油断がならなかったのです。  と、そこに竹村岳記者がわざわざ電話をくれて「きょうの始球式は誰が登板したと思います」わかるわけねぇだろが...「アパホテルの女性社長です」だと。ビジネスホテルとして利用しているサラリーマンの方はよくご存じの名物社長の元谷芙美子さんが登場したという。  だからどうだというのではない。でも何かが起きそうな気配がした。  それで大阪・難波の編集局窓際『虎ソナ班』でちょいとヒンヤリとした空気が襟元を流れたわけです。  そしていきなり初回の阪神は近本がせっかく出塁したのに...木浪の打球が間の悪いゴロとなりゲッツー。あーあ...と思ったら福留四球、マルテ、糸原、大山の3連続二塁打で一挙に3点先制。なんかヘンなのです(大山まで長打が続いたのに...)そして三回には木浪が山田大の125キロのスライダーを右中間に運び...突き放したわけ。しかし、その木浪が五回裏にはやらんでもいいエラーを演じて、これがチーム今季92個目の失策。なんかモヤッとしてヘンなのですヮ。  それで何気なく昨年のこのムシムシする季節の我がサンスポをひっぱりだしてきて"振り向き"ました。するとどうです。2018年のこの季節、ここ8月の1週間はほとんど大阪桐蔭の4番藤原恭大外野手(現ロッテ)が連日1面トップで打つわ打つわ...揚げ句の果てに昨年の8月24日付はどんな1面の見出しだったと思いますか。  『運命の10・25ドラフト、金本監督、藤原引く!』-球団幹部託す「監督」しかいない!  とグイグイと藤原恭大選手が縦横無尽に我がサンスポのトップで躍動していたのです。つまり、こんなに連続で新聞の1面を飾ったのも珍しい。それほどの大フィーバーしてたのですぞ。そのド派手なことったら...。  あれからちょうど1年。皆さまご存じのごとくドラフトでは1位指名阪神、楽天、ロッテの3球団で...彼はロッテに。改めて虎は辰己が4球団の争いでハズレて3度目で近本を射止めたのです。  その近本が八回にヒットから俊足を生かしてマルテ、糸原、大山の3連続長短打でついにヤクルトにトドメをさしたのです。どうですか。イヤな感じをふきとばしたのは何だったか...虎は見事に雄たけびを取り戻したのです!

◆鳥谷が九回無死二塁から代打で三塁内野安打を放ち、今季得点圏32打席目で初安打。「野球をやっている間はそれ(チャンスで貢献したい思いは)ずっとあるので」。無死一、二塁からは二走・梅野との重盗を決め、16年連続盗塁を記録。「梅野についていっただけ」とクールに振り返った。

◆梅野が九回に二盗、三盗を決め、今季12盗塁とした。九回先頭で相手失策で出塁すると、続く代打鳥谷の1球目ですかさずスタート。1つ目を成功させると、無死一、二塁で迎えた近本の打席でも1球目で鳥谷との重盗を決めた。「塁に出たら盗塁の意識を強く持っていかないと。積極的にいけたことはいいことと思います」と振り返った。

◆七回に1点差に迫りながら、バレンティンが八回に糸原の左前打を後逸(記録は適時二塁打)するなど試合終盤に守備のミスが続出した。小川監督は「こんな試合をやっているようでは駄目。これだけお客さんが入っているわけだから」と険しい表情。試合後にクラブハウスで全体ミーティングを行った。

◆プロ13年目の大引が三回に左前打を放ち、通算1000安打を達成した。「今季はこれを目標にやってきた。支えてくれた人たちに感謝したい」。法大から2007年にオリックス入りし、日本ハムを経て15年からヤクルトでプレー。低迷するチームが若手を積極的に起用する中、1281試合目で節目に達した35歳は「もっと早く達成したかった」と率直な思いも口にした。

◆糸原は一回2死二塁で右中間へ適時二塁打を放つと、八回2死二塁でも左越え適時二塁打。「マルテが前で打っていたので、続こうと思ってタイムリーになってよかったです」。5番では5試合で打率・579(19打数11安打)、4打点と好調だ。"トリ"の大山は一回2死二塁から右中間二塁打、八回2死二塁では中越え二塁打で計2打点。「1点でも多くという気持ち。(高橋)遥人の投げるときに援護できていなかったので点が取れてよかったです」。6番では打率・343と、こちらも頼もしい。

◆4-2の七回に登板した2番手ドリスが2安打に自身の2暴投が絡んで1失点。「みなさんに助けられました。きょうはそれだけです」。1死一、二塁から2球連続暴投で1点差。なおも1死三塁でバレンティンの中堅浅めの飛球で三走・山田哲がタッチアップ。近本の送球はセーフの判定も、矢野監督のリクエストが成功してアウトになり、1失点でしのいだ。

◆粘って、しのいだ。先発の高橋遥が自己最多の3勝目。7月7日の広島戦(甲子園)以来、実に6試合ぶりの白星に安堵の笑顔が浮かんだ。  「点を取ってもらったので同点まではいいと思って投げました。青柳さん、秋山さん、もっちー(望月)と勝ち投手になっていていい流れで来ていたので、思い切って投げられたと思います」  6回8安打2失点。不運な当たりもあり、毎回のように走者を背負った。この日の最速は149キロで「ストレートの走りはよくなかった」という。それでも要所で三振を奪ってねじ伏せ、毎回の6回9Kだ。  遊撃・木浪の悪送球で2点差に迫られた五回1死満塁では、雄平を128キロ、村上を148キロで連続の空振り三振。直近5試合で4本塁打と当たっていた燕の若き大砲・村上は、3打席連続で空振り三振に仕留め「梅野さんがうまくリードしておかげ」と頭を下げた。  これで20日のDeNA戦に先発した青柳以降、4試合連続で先発が勝ち投手に。球団では2016年9月19-25日以来3年ぶり。強力救援陣に加えて、先発陣も確実に上昇気流に乗った。  思い出のグラウンドに新たな爪痕を刻んだ。亜大時代、リーグ戦で何度も登板した神宮球場のマウンド。プロではこの日が初登板で「初回は周りを見渡してから入りました」。酸いも甘いも味わった"古巣"での凱旋登板で堂々の投球。「しっかりここで勝てたことはうれしいです」と勝利をかみしめた。  「一つでも上の順位になれるように、僕も少しでも力になれるように頑張ります!」  まだまだ初々しさの残るヒーローインタビューで決意を新たにした。先発の一角として欠かせない存在になり始めている2年目左腕が、これからも虎を勝利へ導く。 (箭内桃子)

◆強烈な打球が遊撃手の右を抜け、そのまま左中間も破った。マルテが二塁上で大きく息を吐く。4番が先制打にダメ押し打と、ここぞという場面で見事に仕事を果たし、打線に火をつけた。  「チームのために自分ができることをやっている。打ててよかった」  まずは一回2死一塁。左腕・山田大に対して粘って、10球目。真ん中低めのツーシームを振り抜いた。先制の適時二塁打。ここから5番・糸原、6番・大山と怒涛の3者連続の適時二塁打で一気に3点を奪った。  2死走者無しからの、大きな先制劇。まだ終わらない。4-3と1点差に追い上げられ、迎えた八回は2死三塁から左前へ適時打を放った。代走・植田を送られ、お役御免。再び糸原と大山が二塁打で続き、2度の3連続タイムリーで、試合を決めた。先陣は、常にマルテだ。  4番がよく似合う。10日の広島戦(京セラ)から大山に代わり、4番を任された。ここまで12試合で打率・342(38打数13安打)、1本塁打、7打点の大活躍。4戦連続で安打も放ち、チームの4連勝に大きく貢献。それでも「みんなががんばって勝っているのだと思う」と謙虚に話した。  海を渡ってやってきた日本で、結果を残すために努力を重ねている。配球も熱心に学んでいるが、さらにはファンを楽しませるため、日本語も積極的に覚えていっている。プレー、そして野球以外の部分でも、着実に対応してきている。  投打がかみ合った4連勝。矢野監督はヒーローを選ぶのが難しいと問われて「ホンマやなぁ、誰なんやろ。誰がヒーローって言っていいのか分からんくらい、みんながそういう気持ちを出してやってくれている」とうれしい悲鳴だが...。  「マルちゃん(マルテ)のあの(八回の)一本も、中盤ずっと流れが向こうに行っている状態での、あの1点というのは大きかった。中軸が、マルちゃんがしっかり打ってくれたおかげ」。4番がどっしりしていれば、チームは勝つ-。  「何事もポジティブに考えていきたい。一つ一つ勝っていきたい」とマルテ。ソラーテ抹消で助っ人野手は1人だが、頼もしい軸がいれば、猛虎打線はもっと乗っていける。 (菊地峻太朗)

◆刺した、救った! 今季最長タイ4連勝だ!! 阪神はヤクルトに8-3で勝利。ドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が七回に好返球で同点ホームを狙った山田哲を刺すと、八回は球団新人歴代4位の赤星憲広氏(43)に並ぶ128安打目を放ち、ダメ押し点をお膳立て。3位広島に3ゲーム差と迫った。  170センチの体を全て使った。渾身のバックホームが糸を引くように梅野のミットに収まった。土煙が舞うクロスプレー、息を飲むファン。審判の両手が広がった。ああ、同点...。しかし矢野監督がリクエスト。判定が覆る! アウト-。神宮の杜に歓声が響く。近本が虎を救い、今季最長に並ぶ4連勝に導いた。  「ラインをしっかり出したいと思っていた。ボールは高かったですけど、強く投げられたのでよかったです」  4-2で迎えた七回だった。1死一、二塁からドリスが2球連続暴投。1点差となり、なお1死三塁。バレンティンの飛球が中堅に上がった。三走は一回にプロ野球記録の33連続盗塁を打ち立てた快足の山田哲。返球は少し浮いたが、本人が意識したように左右はぶれず間一髪、仕留めた。  両リーグトップの10補殺目。外野手の2桁補殺は2017年の広島・鈴木以来だ。思えば3月29日の開幕戦(京セラ)、相手も同じヤクルトで一回にいきなり好返球でピンチを阻止。補殺で始まったプロ人生。矢野監督も「結果アウトにしてくれたんで、100点だと思う」と満点を送った。  高橋遥の勝ち投手の権利も死守すると、直後の八回だ。先頭で右前打。貴重な5点目のホームを踏み、ダメ押しの3点を演出した。35度目のマルチ安打で稼いだヒットは128安打目。01年の赤星の球団新人歴代4位の記録に肩を並べた。  「そうなんですか? 光栄です」  新人王&盗塁王に輝いた偉大な先輩を、ずっと目標としてきた。2度のリーグVに導いたレッドスターに負けない、攻守での大活躍。シーズン156安打ペースは、16年の高山俊の球団記録(136)も、1958年の巨人・長嶋茂雄のセ・リーグ新人最多安打(153)も上回る。  7月13日のオールスター(甲子園)では史上2人目のサイクル安打を達成。直後の15日、中日戦(ナゴヤドーム)の練習前に球宴サイクル"第1号"の元ヤクルト・古田敦也氏(54)を見かけ、挨拶に向かった。  「"ナニワのスター"から"全国のスター"になりましたね。知名度も上がったと思いますし、そういうのってだいぶ違いますから。そのまま軌道に乗る選手もいっぱいいる」と古田氏。同じ兵庫県出身で地元の話に花が咲いたという。「(球宴を)きっかけにもうひとつ、ふたつ上にいける」と同氏から太鼓判も押された。近本への注目度と期待度は、日を追うごとに高まっている。  「(八回の安打は)最高ですね。いいところで打てたらいい」  借金も3に減らし、3位カープと3ゲーム差。残り26試合、大逆転CSへ向かって、近本がシーズン佳境を駆け抜ける。 (竹村岳) ★補殺  英語ではassist(アシスト)。アウトが成立した過程で、送球を行ったり、送球の方向を変えるなどしてアウト成立を補助すること。内野手は主にゴロを処理すれば補殺が記録され、外野からの中継プレーの場合は外野手、内野手ともに補殺がつく。ちなみに「刺殺」は飛球を捕ったり、送球を受けたり、打者にタッチなどすること。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(27)が23日、阪神18回戦(神宮)の一回に今季28個目となる二盗に成功。昨季から続く連続盗塁成功は「33」となり、連続盗塁成功のプロ野球新記録を達成した。「100%の足」で盗塁数もリーグ1位タイとなった。チームは3-8で敗れたが、燕の主砲は打と足で貢献を続ける。  二塁手のタッチは全く間に合わなかった。一回2死一塁。山田哲がバレンティンの打席で初球に二盗を成功。昨年8月26日のDeNA戦から続く連続盗塁成功を「33」とし、プロ野球新記録を打ち立てた。  「スタートは完璧に近い形でいけた。移動ゲームで体も重く、中間走とスライディングはそこまでだったけれど、スタートがよかったぶん、セーフになったかな」  自画自賛のスタートだ。阪神の先発左腕、高橋遥のクイックモーションを完全に盗み、昨季の盗塁阻止率リーグ2位(・320)の梅野の強肩も及ばなかった。今後は06-07年に米大リーグでイチロー(マリナーズ)がマークした45連続盗塁成功という高い数字も待ち構えている。  50メートル走は5秒7。日本球界でトップクラスの俊足は盗塁にこだわりがある。「意味のない盗塁はしたくない。ここぞ、というところで走って、貢献できるような選手でありたい」。28個の盗塁のうち、4点以上をリードした場面で走ったのは4度だけ。それ以外は僅差や、ビハインドで成功させてきた。  重圧がかかる場面でスタートを切るために重視していることはリードしたときのフォームだ。  〔1〕必ずいいスタートを切れること  〔2〕牽制(けんせい)球がきても戻れること  どちらにも対応できる構えを理想とし、両脚にかかる重心の比率は50%ずつ。さらにつま先に重心を置き、やや前屈みに構えることで、牽制で逆をつかれた場合も、素早く帰塁ができる。  今季28盗塁のうち、3球目以内にスタートを切ったのは24度。打者への負担もかけず、「走塁で流れを変えることができる。打撃や守備だけではなくて、走塁で活躍できることも野球の一つ」と相手バッテリーの包囲網をくぐり抜けてきた。  今季28盗塁で中日・大島に並びセ・リーグ1位となった。史上初の盗塁死なしの盗塁王へ-。飽くなき探究心で、山田哲は記録に挑戦し続ける。 (横山尚杜) ★半端ない身体能力  山田哲の高い身体能力は、兵庫・宝塚市立御殿山中時代から発揮されていた。宝塚市内の12校の中学生が集まって運動能力を競う連合大会に出場し、1年時は100メートル走に参加。当時の50メートル走は6秒台前半で、8人で争う決勝に進出。山田哲以外は3年生の陸上部員の中で6位に入った。2年時は走り幅跳びで出場。上級生や陸上部員を制して優勝した。「確か、6メートル近く跳んだかな」。全国でも通用するほどの跳躍力を見せた。

◆高橋遥の素晴らしさを改めて印象づけられた投球だった。6回で8安打を許したが、4本は内野安打。しかも、記録は遊撃内野安打になった五回のバレンティンの打球は実質的には失策。さらに悪送球が重なっての失点で、味方に足を引っ張られる展開になりながら、その後に連続三振でしのぐ精神的強さは見事だった。  基本の真っすぐの力が一級品な上に、真っすぐとカットボール、スライダーがすべて同じ位置から出てくるから、打者は相当打ちにくい。100球近くになっても球威、キレが落ちないのも頼もしい。スライダーが後半、カーブのように遅くなるのは気になったが、カットボールの威力が落ちていないから大きな問題ないだろう。  唯一、指摘したいのは配球。すごい球を投げているのだから、序盤からもっと3球勝負すべき。1人の打者を打ち取る球数が多すぎる印象がある。もちろん、技術的に思ったコースに投げられずにボール球になったケースもあるだろうが、3球勝負すれば、球数も減って、七、八回まで投げられる。もっと自分の球に自信を持っていい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
64482 0.571
(↓0.006)
-
(-)
29544
(+1)
455
(+5)
144
(-)
67
(-)
0.260
(↓0.001)
3.710
(↓0.01)
2
(1↑)
DeNA
59553 0.518
(↑0.005)
6
(↑1)
26483
(+5)
480
(+1)
129
(+2)
36
(+2)
0.247
(-)
3.830
(↑0.02)
3
(1↓)
広島
59563 0.513
(↓0.005)
6.5
(-)
25493
(+1)
483
(+4)
116
(-)
68
(-)
0.253
(-)
3.570
(-)
4
(-)
阪神
54576 0.486
(↑0.004)
9.5
(↑1)
26436
(+8)
483
(+3)
81
(+1)
78
(+3)
0.250
(↑0.001
3.550
(↑0.01)
5
(-)
中日
51622 0.451
(↑0.005)
13.5
(↑1)
28441
(+4)
461
(+1)
74
(+1)
59
(-)
0.263
(↑0.001)
3.930
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
47682 0.409
(↓0.003)
18.5
(-)
26537
(+3)
599
(+8)
140
(-)
47
(+1)
0.246
(-)
4.680
(↓0.02)