阪神(★0対1☆)巨人 =リーグ戦12回戦(2019.07.09)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:桜井 俊貴(4勝1敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(0勝0敗1S))
敗戦投手:ガルシア(2勝4敗0S)
  DAZN
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◆巨人は両軍無得点で迎えた8回表、代打・中島の内野ゴロの間に得点を挙げ、先制に成功する。投げては、先発・桜井が7回5安打無失点の力投で今季4勝目。4番手・田口がプロ初

◆9日に甲子園で行われる阪神-巨人12回戦は、グラウンド整備のため、試合開始を遅らせる。雨天に備え、8日の試合後に内野にシートがかけられていた。18時開始予定が18時10分ごろになる見込み。

◆阪神先発のオネルキ・ガルシア投手(29)が立ち上がり早々、アクシデントに見舞われた。初回、2死二塁で岡本の打球を右足首に受けた。 はね返ったボールを捕手の坂本が処理し、一塁へ送球。その後、ガルシアは歩きかけて三塁線付近に座り込んだ。ベンチから矢野監督、ナイン、トレーナーらが駆け寄り、状態を確認したが、ガルシアは自力で歩いてベンチに戻った。 福原投手コーチやトレーナーに付き添われて2回のマウンドに上り、足元を確認。続投となった。

◆巨人岡本和真内野手(22)が通算257試合、1035打席目でプロ初の送りバントを決めた。 1点リードの9回無死一、二塁、阪神小野の初球の真ん中直球を一塁方向へ転がし、投犠打とした。球場にはざわめきも起こったが、1死二、三塁とチャンス拡大に貢献した。

◆巨人は1回無死二塁も、後続が倒れ逸機するなど3回まで無得点。阪神は3回1死一、二塁で後続が連続三振。先制機を逃した。 巨人は6回まで重信の2安打だけとガルシアを攻略できない。阪神も6回2死満塁で得点できず、両軍無得点で終盤に入った。 巨人は8回1死三塁から代打中島の遊ゴロの間に1点を先制し、逃げ切った。阪神は今季9度目の完封負け。巨人桜井4勝目、田口が初セーブ、阪神ガルシア4敗目。

◆接戦を制した巨人が貯金を今季最多16とした。桜井は力強い直球を軸に7回無失点で4勝目。0-0の8回、先頭のビヤヌエバの二塁打を足場に均衡を破った。阪神は相手を上回る7安打を放って零敗。ガルシアの好投を生かせなかった。

◆阪神は最短で球宴明けの16日にも自力優勝の可能性が消滅する。 10日から巨人○○○で阪神●●●のとき、17日以降に巨人は阪神戦12試合に全敗しても他球団との49試合に全勝すれば、最終成績99勝43敗1分けで勝率6割9分7厘。阪神は同じ時期に残る57試合に全勝しても、96勝43敗4分けで6割9分1厘に終わり、巨人を下回るため。

◆巨人原辰徳監督(60)が、勝負に徹する継投策で1点差を守った。9回、マシソンが先頭から2死を奪った後、自らマウンドに足を運んだ上で左の高山に左腕田口を投入。4連投の田口がプロ初セーブを挙げた。 原監督は「マシソンは故障明けで今日が3連投。ブルペンにいいピッチャーがいますから、少しでも軽くしようと」と説明。バスに乗る直前、田口に「気持ちいいだろ? 最後を締めくくるのは」と声を掛け、田口は「最高でした」と汗をぬぐった。

◆巨人の4番岡本和真内野手がプロ初の犠打を決めた。9回無死一、二塁から、初球を一塁前に転がした。 257試合、1035打席目の犠打に「緊張しました。阿部さんだってあれだけすごい打者なのにバントしている。打てるに越したことはないですけど、しっかり頑張っていきたい」と言った。 原監督は「ゲームを勝ちにいくという部分で最善策。そんなに不思議ではないです。巨人では」と説明した。

◆7日広島戦で左手首を痛めた阪神梅野隆太郎捕手は、2戦連続で欠場した。 試合前練習では負傷後、初めてティー打撃を行い、患部の状態を確認した。ベンチでは最前列で仲間を鼓舞するも惜敗。 10日の前半戦最終戦へ「みんな必死ですけど、(自分が)出られたら流れを変えられるかもしれない。状態を見てですけど、ラストを締めくくりたい。そういう気持ちで挑んでいきたい」と出場に意欲を見せた。

◆阪神先発のオネルキ・ガルシア投手が投打に奮闘したが、甲子園初勝利はまたお預けになった。 初回2死二塁で、岡本の打球が右足首内側を直撃するアクシデント。グラウンドに倒れ込むように尻もちをつき、苦しみの表情をみせた。「もちろん痛いですけど、試合に出ている限りは投げ続けたいので。すぐ治ると思います」。 だが屈強な助っ人は動じなかった。2回以降は尻上がりに調子を上げ7回まで0封。8回にビヤヌエバの二塁打、バント、内野ゴロの間に決勝の1点を失ったが、わずか4安打で先発の役割は十分は十分果たした。「自分の仕事ができたことには満足しています。結果はこうなってしまったけど、これがベースボール。次にみんなで勝てるようにやっていきたいです」。4敗目にも前を向いた。 打っては3回1死一塁で試みたスリーバントが勢いよく転がり内野安打になるなど、来日初の1試合2安打をマーク。「それにも満足しています。スーパーマンのように投打ともに頑張りたかったんですけど、残念です」。次回こそ白星をプレゼントしたい。 ▽阪神福原投手コーチ(ガルシアについて)「ゲームも作ってくれましたし、ゴロも途中多かったですし。良かったと思います」

◆阪神糸井嘉男外野手は日本ハム時代の12年9月度以来、3度目の受賞となった。 「考えてなかったので、最初はビックリしましたけどうれしい気持ちが最初でした」と喜び、全ての球団関係者に感謝を示した。 交流戦を戦った6月は21試合に出場し、28本の安打を積み重ねた。月間打率3割5分4厘と得点圏打率5割8分8厘は堂々のリーグトップをマーク。阪神では18年3、4月度のメッセンジャー以来、同野手では16年5月度の原口以来の受賞となった。 17年シーズンからタテジマに袖を通してからは初の月間MVP。「タイガースで活躍したいと思って来ているので良かったです」と胸を張った。 「夏男」はさらに調子を上げている。7月も8試合で12安打、月間打率3割6分4厘と勢いは止まらず。この日も6回に中前打を放ち、5試合連続安打とした。阪神で8月の通算月間打率は3割5分を超えており、まだまだ快音は増えそうだ。 6月の猛打で打率を3割台に乗せるも、現状に満足はしない。「夏場以降は爆発したい。チームの順位を上げていけるように活躍したい」。チームは首位巨人に水をあけられているが「何が起こるか分からないというか、誰も諦めてない。逆に、追い上げたら面白いでしょ?」と静かに闘志を燃やす。勝負の季節は、これからだ。【奥田隼人】

◆阪神大山悠輔がマルテの三直に飛び出し、痛いダブルプレーとなった。 4回1死から左前安打で出塁。続くマルテが引っ張った打球は鋭いライナーとなったが、三塁ビヌバエバのグラブに収まった。一塁走者大山は安打性の当たりに飛び出して帰塁できず。数少ないチャンスを生かすことができなかった。

◆「ポリバレント・クローザー」の巨人中川皓太投手(25)が、1回を無失点に抑えた。 左打者の近本、糸原に回る1点リードの8回から登板。先頭の代打上本に安打を浴びたが、後続を断った。「自分で試合の状況を察知しながら、ブルペンで準備した」とコメントした。 「ポリバレント」とはサッカー用語で、06年にサッカー日本代表の監督だったオシム氏が推奨した。1試合の中で自分のポジションを変化させ、対応できる選手を意味するが、8回でも9回でも、イニングまたぎでも対応する中川にピッタリの言葉。中川も「(周りでも)少し浸透してきてます」と笑顔で話した。

◆「マイナビオールスターゲーム2019」(12日東京ドーム、13日甲子園)の「プラスワン」投票による出場選手が9日、発表され、阪神原口文仁捕手(27)が最後の1人に選ばれた。 球宴は3年ぶり2度目の出場で、大腸がんから再起した背番号94が感謝の恩返しを誓った。ナイターは巨人に0-1で敗れて首位とのゲーム差が今季最大の8・5に拡大。16日にも自力優勝消滅の危機を迎えたが、不屈の男はネバーギブアップで戦い続ける。くちびるを噛み締めた。虎党の悲鳴、G党の歓声を聞きながら、無念さがこみ上げた。1点を追った9回2死一塁で、巨人田口のチェンジアップに空振り三振。巨人とのゲーム差は今季最大の8・5に開いた。「甘い球があったのに、それをミスショットしてしまった。それが一番(悔しい)です」。三振前のファウルを悔やんだ。 試合前にはうれしい出来事があった。「プラスワン」により、球宴出場の最後の1枠を決めた。大腸がんから再起し、絶望に打ち勝った不屈の男が、3年ぶりの夢舞台をつかんだ。「半年前を考えると、誰もが想像もしていなかったと思う。元気なところが(テレビに)映れば、それだけでもいい。そこまで欲は出さずに、元気にやるところを見てもらえれば。そういう気持ちで楽しみたい」。病魔と闘った冬を振り返った。 昨年末、人間ドックを受診し、大腸がんと診断された。まさか...。だれもが言葉を失う衝撃の告知にも、くじけなかった。家族、チームメートら待っていてくれる人のため、必ずまたバットを握る。グラブを手にする。その一念でグラウンドに帰ってきた。6月復帰戦でいきなりヒット。甲子園ではサヨナラ安打も放った。感動を呼んだ姿が、ファンの高い支持を得た。 晴れの舞台へ、矢野監督からは指令も出た。「普段、しぶといバッティングを見せてると思うけど、甲子園でホームラン、狙えばいいんじゃないかな」とエールを送った。伝え聞いた原口は、感謝しつつも「狙っても打てない。偶然を期待したいです」と応じた。 この日の敗戦で16日にも自力V消滅の危機が迫る。だが絶望的な状況に立たされても、あきらめなければ前を向ける。代打三振の悔しさを振り切り、原口は「またいい結果を出せるようにしっかり準備します」と力を込めた。不可能を可能にしてきた姿こそ、希望になる。

◆神戸市出身の巨人桜井俊貴投手(25)が「近くて遠かった甲子園」で人生初勝利を挙げた。躍動感あふれるフォームから内角を果敢につき、直球、カーブ、チェンジアップで緩急をつけ、7回5安打無失点。今季4勝目を挙げ、15日の後半戦開幕投手(対ヤクルト)に内定した。北須磨高(兵庫)では甲子園に無縁だった右腕の力投で、今季79試合目で初となる1-0の最少得点勝利。貯金は今季最多の16とした。おりゃー! っと、ボールに魂を込めた。0-0の6回2死満塁。鬼のような目をした桜井が、右腕をちぎれんばかりに振った。狙った外角からやや中には入ったが、阪神マルテのバットを押し込んだ。「気持ち、それだけです」。力のない遊ゴロでしのいだ。右拳を小さく握り、憧れた甲子園のマウンドで躍動した。 先発転向後、全4戦で炭谷とバッテリーを組んだが、この日のスタメンマスクは小林。初コンビでも姿勢はぶらさず、6人並んだ左打者の内角を攻めまくった。人生初の甲子園での勝利に「ピンチになると360度から攻撃されている感じがしましたが、負けないようにと投げて、いい結果になりました」と喜んだ。 8年前には今の姿を想像もできなかった。兵庫・神戸市出身。甲子園は実家からは約1時間の距離にあるが「テレビで見る球場。高校時代は限りなく遠い場所でした」。北須磨高2年の時、甲子園で開催された審判講習会に手伝いで参加。ストライク、ボール判定の研修で"初登板"した。だがストライクを投げすぎてしまい「審判の練習にならない」とクレームを受けた。「めちゃめちゃ投げやすかったので。あえてボール球を投げました」。帰る際には「もう来ることはないだろう」と思い、手ではなくスパイクの歯についた土を袋に入れて持ち帰った。 立命大時代に1度登板したが敗戦。勝利には無縁だと思ったマウンドでヒーローになれた。球場に駆けつけた両親にも親孝行ができた。次回は中5日で15日ヤクルト戦(長野)で後半戦開幕投手を務める。「勝つということを意識して、このまま独走したいです」。力強い言葉が成長の証しだ。【桑原幹久】 ▽巨人原監督(4勝目の桜井について)「非常に安定感があるしね、ストライクゾーンを広く使って投球できていた。バッターも非常に嫌がっている雰囲気がありましたね」

◆巨人は、今季79試合目で初となる1-0の最少得点勝利を挙げ、貯金は今季最多の16とした、 1点差ゲームを制した巨人原辰徳監督(60)は「勝ち切ったというか、逃げ切ったというか、本当に小さな差ですけどね、1対0で勝ったというのは価値があると思いますね」。 8回は無死二塁から増田大を代走に送り、犠打で三進後、中島の遊ゴロの間に前日に続き決勝のホームを踏んだ。「そうですね。助けたと思いますね」 9回無死一、二塁からは4番岡本にプロ初犠打のサインを出し、最後まで勝利にこだわった。 「我々はゲームを勝ちにいくという部分でね、あそこは最善策であろうというところですね。サードランナーを少し、ベンチサイドの我々が焦らせたかなというのは反省としてありますけどね。そんなに不思議ではないです。巨人では」 先発桜井は7回無失点の力投で4勝目。 「もう非常に安定感があるしね、ストライクゾーンを広く使って投球できていたのは、成長のあとがあると思いますね」 9回は2死を取ったマシソンから田口にスイッチ。 「マシソンは故障明けということもあって、今日で3連投なんですね。投げさせなければいいじゃないかと、言われるかもしれないけど、少しでも軽くして、ブルペンにいいピッチャーいますから。そこの時点では田口に任せようと、判断しました」 10日は前半戦最終戦となる。 「総力戦でね、少し、休むことができるわけですから、2時間、3時間、この時間をしっかり集中してね。楽しんでいきたいと思います」

◆どちらが勝ってもおかしくない好ゲームだったが、実践した野球のレベルは、一枚も二枚も巨人が上だった。 勝負どころの8回表1死三塁、内野ゴロの間に両チーム唯一の得点が入った。代打中島が初球を打った遊ゴロは、阪神の前進守備の三遊間を破りそうだったが、遊撃木浪が横っ跳びでキャッチ。しかし、三走がバットに当たるか当たらないかでスタートするギャンブルスタートだったため、1点が入った。 プレーそのものは防げなかったが、最善の努力をしたか? と聞かれれば「していない」と答えられる。前日の試合でも代走出場した三走の増田大は、ギャンブルスタートを決めている。「また同じスタートだろう」と考えていい状況。それなら1球ぐらいはボールゾーンで様子を見てもいい。カウントが悪くなれば四球でいいし初球から外角低めの直球では「ゴロを打ってください」と言わんばかりの攻め方。細心の注意を払ったとはいえなかった。 9回表1死二、三塁ではギャンブルスタートだった坂本勇が飛び出し、捕手のけん制でアウト。たまたま相手のミスを突けたが、もっと早いカウントでけん制するべき。さらに2死二塁のフルカウントから亀井に直球勝負。結果は中前打でバックホームで失点は防げたが、走者がスタートの切りやすくなった状況で安易な勝負をしていた。 前半戦残り2試合で迎えた1戦。惜しみなく投手をつぎ込んだ巨人に対し、阪神は勝ち試合で登板する投手を出さなかった。両チームの立場が逆なら、まだ分かるのだが...。【小島信行】

◆どちらが勝ってもおかしくない好ゲームだったが、実践した野球のレベルは、一枚も二枚も巨人が上だった。 勝負どころの8回表1死三塁、内野ゴロの間に両チーム唯一の得点が入った。代打中島が初球を打った遊ゴロは、阪神の前進守備の三遊間を破りそうだったが、遊撃木浪が横っ跳びでキャッチ。しかし、三走がバットに当たるか当たらないかでスタートするギャンブルスタートだったため、1点が入った。 プレーそのものは防げなかったが、最善の努力をしたか? と聞かれれば「していない」と答えられる。前日の試合でも代走出場した三走の増田大は、ギャンブルスタートを決めている。「また同じスタートだろう」と考えていい状況。それなら1球ぐらいはボールゾーンで様子を見てもいい。カウントが悪くなれば四球でいいし初球から外角低めの直球では「ゴロを打ってください」と言わんばかりの攻め方。細心の注意を払ったとはいえなかった。 9回表1死二、三塁ではギャンブルスタートだった坂本勇が飛び出し、捕手のけん制でアウト。たまたま相手のミスを突けたが、もっと早いカウントでけん制するべき。さらに2死二塁のフルカウントから亀井に直球勝負。結果は中前打でバックホームで失点は防げたが、走者がスタートの切りやすくなった状況で安易な勝負をしていた。 前半戦残り2試合で迎えた1戦。惜しみなく投手をつぎ込んだ巨人に対し、阪神は勝ち試合で登板する投手を出さなかった。両チームの立場が逆なら、まだ分かるのだが...。【小島信行】

◆先発初対決の桜井は予想以上に難攻不落だった。阪神打線が躍動感あるマウンドさばきに圧倒された。3回。1死から坂本が左前打で出塁し、ガルシアは三塁ビヤヌエバの真横を抜くバントヒット。だが、近本が桜井の冷静な配球に封じられた。1-1から内角高め速球をファウル。その直後、対角線へのチェンジアップに空を切った。糸原も内角を厳しく攻められ、沈む球で空振り三振に倒れた。 桜井を7回まで打ち崩せず、今年9度目の完封負けで巨人に連敗。今季最大の8・5ゲーム差に広がってしまった。矢野監督が「打線がどう点を取るか。チャンスメークまではいくんだけど、あと1本というところがね。課題」と嘆いた。 引き締まった好ゲームを見せても、試合巧者の巨人にわずか及ばない。指揮官は「あと1本というところがね。打線は水ものとは言うけど。俺らが上に行くためにはどう点を取るかがチームとしての課題。そういうところで負けた試合」と危機感を募らせた。数字の上は、早ければ後半戦再開直後の16日に自力優勝の可能性が消滅する。セ・リーグの貯金を独占する巨人の独走を阻むためにも、攻撃の精度アップが課題だ。 再び借金を背負い、前半戦は今日10日の巨人3戦目を残すだけ。指揮官は語気を強める。「いつも同じになって申し訳ないけど、負けたモノは取り返せない。明日、何とか勝って後半につなげられるように」。勝率5割ターンが後半戦への希望になる。【酒井俊作】

◆巨人は9日、阪神12回戦(甲子園)を戦う。試合に先立って先発メンバーが発表された。重信が6月4日の楽天戦以来となる1番で起用。桜井は先発に再転向後、4試合連続で炭谷とバッテリーを組んでいたが、今日は小林と組むことになった。陽岱鋼は練習中に起きたとみられるコンディション不良のためベンチ外。前日に体調不良で欠場した若林ベンチ入りした。阪神の野手は全員前日と同じメンバー。

◆阪神のガルシアが来日2年目で初めて1試合複数安打をマークした。  三回は1死一塁から試みたバントが、前進してきた三塁手の横を抜く形で安打になった。先頭だった六回は桜井のカーブを右前打。「打者の仕事もしないといけない」と意欲的だった左投手が打撃でも存在感を見せた。  投げては一回に岡本の打球を右足付近に受けて倒れ込む場面もあった。それでも痛みに耐え、中盤まで快調に回を重ねたが、0-0の八回に1点を奪われた。

◆巨人・陽岱鋼外野手(32)が9日、阪神12回戦(甲子園)を欠場した。球団は試合前の練習で右足の親指の付け根に痛みを感じたためと発表。ベンチ入りメンバーも外れた。  当初は「1番・右翼」で先発予定だったが、急きょ重信慎之介外野手(26)が起用された。原辰徳監督(60)は「ちょっと足の方があまりよくないということで、急きょ重信を1番で(起用した)」と説明。「重信らしい(打撃で)よかったと思いますね」とチームでただ1人マルチ安打をマークした重信をたたえた。  陽岱鋼については、明日以降は状態を見て判断する予定。

◆巨人は2試合連続の1点差勝利をもぎ取った。九回の守り。原監督は故障明けのマシソンが3連投だったことを考慮して2/3回で交代させ、田口を投入して逃げ切った。原監督は「1-0で勝てた。価値はあると思う」と息をついた。  田口は高山に打球が二塁ベースに当たる不運な安打を許しながら、続く代打原口を空振り三振に仕留めた。プロ初セーブを記録し「最後にみんなとハイタッチできるのは、先発とはまた違った歓喜だった」と喜びをかみしめた。

◆巨人・岡本和真内野手(23)が9日、阪神12回戦(甲子園)でプロ初の犠打を記録した。九回無死一、二塁で初球を投前に転がし、プロ5年目で初の送りバント成功させた。  前日までの5試合で14打数2安打(打率・143)、この日も3打数無安打と本調子ではない。「緊張しました」と振り返った4番は「打てていないので仕方ないです。阿部さんみたいなすごい打者でもバントしている(プロ通算31犠打)ので。決められてよかった。打てるに越したことはないけど、しっかり頑張りたい」。チームに求められた役割をきっちりとこなした。

◆巨人は9日、阪神12回戦(甲子園)に1-0で勝利し、今季5度目の零封勝利。先発の4年目右腕・桜井俊貴投手(25)が7回101球を投げ、5安打無失点の好投で4勝目を挙げた。兵庫県出身の右腕が、憧れの甲子園で自身初勝利。チームは連勝で貯金を今季最多の「16」とし、2位とのゲーム差を「8・5」を広げた。  宮本投手総合コーチは、好投した桜井について「よかったですね。彼のアグレッシブさというのが出ていたしね。彼がああやって早く自分のゾーンを作って、そこに入り込んでく。彼独特の"桜井ワールド"を見せてもらいましたよ」とたたえた。  3日の前回登板(対中日、東京ドーム)では、3回3失点で降板した桜井。そこからの修正について宮本コーチは「一歩一歩前進しているなと。一歩一歩本当にスター街道をね、上り詰めているんじゃないですか」と賛辞を惜しまなかった。

◆巨人は9日、阪神12回戦(甲子園)に1-0で勝利し、今季5度目の零封勝利。先発の4年目右腕・桜井俊貴投手(25)が7回101球を投げ、5安打無失点の好投で4勝目を挙げた。兵庫県出身の右腕が、憧れの甲子園で自身初勝利。チームは連勝で貯金を今季最多の「16」とし、2位とのゲーム差を「8・5」を広げた。--プロで初めて甲子園での先発。どんな思いでマウンドに上がった  「甲子園は結構投げやすいイメージがあったので、そのイメージ通り投球できたと思います」  --六回二死満塁のピンチは  「とにかく、先に点をやらないという思いだけで投げましった」  --どこが良かった  「きょうは気持ちが、それだけだと思います」 --地元甲子園。両親も駆けつけた  「やっぱり、こうやっていいピッチングをできたのは、野手の皆さんのおかげだと思う。それに感謝して、親の前でいいピッチングができたのでよかったと思います」  --首位走る中で、ローテーションを守っている  「とにかく勝つということを意識して、このまま独走したいと思います」  --次へ  「いい流れで来ているので、この気持ちを忘れず、しっかり抑えていきたいと思います」

◆トホホホ...。80余年のそのほとんど、わが阪神が巨人軍に負け続けてきたその理由がハッキリと分かったような敗戦にガックリ...。  1点ビハインドの九回、阪神はもう1点追加されればジ・エンドの場面で1死二、三塁と絶体絶命のピンチを迎える...。ところが崖っぷちをキャッチャー坂本が飛び出していた三塁走者の巨人の方の坂本(勇)を刺す! さらに2死二塁から亀井のセンター前ヒットで万事休すと肩を落としかけたが、センター近本がNBA・八村級のアリウープバックホームで二塁走者の丸をタッチアウトオオオー!!  さあ、ミラクルディフェンス2つで流れは180度変わったでェ!! こーなりゃ、居眠りしてようが阪神の逆転勝利が野球の常識と来たもんや!!  しかし、その野球の常識が全く通用しないでゼロ行進の零封負けだってんだから、もはや普通にやってもどーにもなりまへ~ん!!  ならば、あえて常識破りで毎試合投手は全員1イニングずつで交代するとかでもやらないと、永遠に巨人には勝てないと俺は半ばマジに思うのだ!!

◆0-0の八回1死三塁。D3位・木浪聖也内野手(ホンダ)は中島の三遊間へのゴロに飛びついたが、本塁へ投げられず、決勝点に...。「本来は(本塁で)アウトにしたかったですけど、(三走・増田大の)スタートもよかったので、いっぱいいっぱいのプレーでした」と話した。

◆--九回、坂本が坂本勇を三塁けん制死。近本の本塁送球で丸を憤死させたり...  矢野監督 「いいプレーやったね、誠志郎(坂本)の2つ。バックホームも、バウンド的にも難しいんだけど。ああいう勝負どころでアウトにできるのは、どっちのプレーもね。投げる方も結構、ランナーと重なるから勇気がいるんだけど。そういうところでね、攻めたプレーというか。バックホームも、タッチプレーにしても難しいとは思うんだけどね。うん、ナイスプレーでした」  --巨人先発・桜井が良かったか  「悪くはないよね。状態としては良いと思うけどね」  --桜井はカーブが効いたか  「どうなんやろ...。カーブはアクセントにはなるけど。スピードガンよりも球は来てそうな感じはあるし、投げっぷりっていうか。そういうのはいいピッチャーな感じはあるし。小っちゃい変化のボールも、縦変化もあるし。一応、全球種あるんで」

◆巨人・陽岱鋼外野手が9日、阪神12回戦(甲子園)を欠場した。球団は試合前の練習中に右足親指の付け根に痛みを感じたためと発表。体調不良で前日8日の同戦を欠場した若林晃弘内野手はベンチ入りした。

◆梅野の左手首痛により、2戦連続でスタメンマスクをかぶった坂本が攻守で躍動した。三回1死でチーム初安打となる左前打。三回には重信の二盗を阻止し、九回1死二、三塁では三走・坂本勇をけん制死させた。「勝てていないので、悔しいです」と振り返ったが、矢野監督は「ナイスプレーでした」とたたえた。

◆憂き我を さびしがらせよ 閑古鳥...という芭蕉の思い詰めたような句がある。  いくら切ない試合をしても、甲子園に閑古鳥は鳴かない。改めてタイガースってなんて幸せなチームなんだろうと思う。なにしろ若い時から誕生日も父の日も阪神中心でも、家族になぁに気にしなくてイイよ。僕はみんなの笑顔が最大のプレゼントなんだから...アハハハッなんていっちまったから...今でも「お父さんって照れ屋なんだから...」なんてレッテルをはられて、相変わらずアハハ、そうなんだよ...グスンとなる。  本日の当番デスク阿部祐亮は前日はアマチュア担当デスクで、やはり深夜帰宅。愛妻がPTAの料理教室で551の焼売と豚まんを作ってきて、冷蔵庫に入れてあったそうだが「深夜に疲れ切って冷たい豚まんサカナに独り酒...オツなもんです。さて今夜もまた歯がゆい拙攻で僕は冷たいサカナで独り酒なんでしようかねぇ...」と弱気なことをぬかしたが、ゼイタクいうんじゃねぇよ。ゼイタクを...。  つまりだ。この日の雨模様の空と、甲子園での阪神の練習の報告を聞くと、さて今日はいくらTG戦でも、最近の借金生活と巨人との差を思うとスタンドはどうなるんだろ...と思ったけれど、これがものすごい! 本当にファンはありがたい...。  この日は球宴のプラスワン投票で阪神の原口文仁捕手が選ばれた。大腸がんから復帰して頑張る原口の姿が甲子園で見られる...それを思うだけで熱いモノがこみあげる。彼の会見に出席したトラ番新里公章は「本当にうれしそうでした。目が輝いていましたョ」と電話をくれた。甲子園という舞台はファンの琴線をしっとりと刺激する。幸せなチームだ。常にファンが背中を押してくれる。  試合前には6月の「大樹生命 月間MVP」の表彰式に糸井選手。満員の甲子園に映えた。雨もあがっていた...。実はこの日、鳴尾浜で福留選手がロングティーとトス打撃を開始している。取材した菊地峻太朗は「福留選手の胸中は一刻も早く復活したいと燃えていたと思います」という。  つまり...タイガースは常にファンの熱気に少々の弱気や不安、消化不良などはあのマンモスをおおいつくした歓声が許さない。それがプレッシャーになる場合もあるが、大きな支えとなる。  以前、世紀のトレードで虎の4番になった山内一弘さん(故人)に問うたことがある。その時にヤマさんは真剣にこうまくし立てた。  「タイガースの選手は、このタテジマの人気のありがたさがよく分かってない。一度、外のチームに出てみたら、そのありがたさが身に染みる。プレッシャー? それは甘えにすぎん!」  本音でした。なにしろ阪神に小山正明投手との交換でやってきて、彼は最初に「なんとまぁこのチームは練習をせんのゥ!」とびっくりして、身銭をきって練習用マシンを買って寄付しようとまでした。すると当時の球団社長が「そんな余計なことはせんでよろしい!」とムッとされていた。  さてそんなことをグチッてる間に甲子園の伝統の戦いはどないになっとるんじゃろ...とモニターTVをチラ見したら...ああこれがまぁいつもの"終の棲家"かご覧の通りの"タコ焼きオンパレード"じゃないですか!  誰とはいわないが拙走あり、相変わらずの冷え冷えの独り酒でした。それでも昨夜も虎党の皆さまは声をからして...芭蕉のわび、さびがわかりますかタイガース諸君よ。

◆糸井は六回2死一塁で中前打を放ち、5試合連続安打。試合前には6月の「大樹生命 月間MVP賞」に選ばれ「(7年ぶりの受賞に)驚いていますし、うれしい」と目を細めた。阪神の野手の受賞は2016年5月の原口以来。後半戦に向けては「爆発したい。何が起こるかわからんし、誰もあきらめていない。逆に追い上げた方がおもしろいでしょ」と話していた。

◆1点リードの九回無死一、二塁で原監督は4番・岡本に送りバントを指示。主砲は5年目で初の犠打に成功した。その裏は3連投のマシソンを送り、2死走者なしの場面で左打者の高山を迎えたところで左腕の田口にスイッチ。指揮官は継投の理由を「マシソンは故障明けということもあって。ブルペンにいい投手がいますから」と説明した。田口は無失点で切り抜け、プロ初セーブを記録した。

◆巨人の前半戦首位ターンは既に確定していたが、この日の勝利で巨人がリーグの貯金を独占して前半戦を終えることも決まった。1球団の貯金独占で前半戦を終えるのは、昨年の広島(貯金11、2位巨人=借金1、同年リーグ優勝)が記録しているが、巨人では1971年(貯金23、2位ヤクルト=貯金0、同年リーグ優勝)以来48年ぶり2度目。  巨人が2位に7.5ゲーム差以上をつけて前半戦を折り返すのは、94年(2位ヤクルトに8.5差)以来25年ぶり9度目で、過去8度はいずれもリーグ優勝。

◆痛みに耐えた。よく頑張った。8回4安打1失点で誰が責めようか。赤色に染めた髪形のようにガルシアが燃えていた。  「スーパーマンのように、投打ともに頑張りたかったが、残念ながら、こういう結果になった。最後まで投げたかった。試合に出ている限りは」  激痛に襲われ、たまらず座り込んだのは、試合開始直後だった。一回2死二塁。岡本の痛烈なゴロに右足を出した。見事、トラップ! 勢いを失った打球を捕手・坂本が処理し、ピンチを脱出。チェンジ。駆け寄ったトレーナーとともにベンチに戻った。  降板か!? 危惧される中、二回もマウンドに戻り、0を刻む。打席では三回1死一塁でバント安打。六回先頭では一、二塁間突破。八回1死三塁で代打・中島の遊ゴロの間に1点を失い、4敗目(2勝)を喫したが、完投志願の左腕に矢野監督は「ガルシアは文句ないでしょ。打線がどう点を取るか」とうなずいた。  チームはメジャー通算75発のヤンハービス・ソラーテ内野手(32)=前マーリンズ3A=を獲得。矢野監督がマルテとの野手2人制を選択すればガルシアは2軍に落ちる立場にある。  「自分が決定するわけではないので、何もいえない。自分の仕事をするだけ」  ひたむきに腕を振るだけ。ガルシアが激変だ。(新里公章) ガルシアについて阪神・福原投手コーチ 「いいピッチングだった。ゴロも多かったですし、よかった。(打球が当たった右足は)大丈夫だと言っていました」

◆同じパターン...。阪神は打線の決定力不足が響き、巨人に完封負け。再び借金1となり、巨人とは今季最大の8・5ゲーム差。16日にも自力優勝の可能性が消滅する。10日は前半戦ラスト。とにかく打ち勝て!  課題が課題のまま、前半戦が終わってしまう。0-1で今季9度目の零封負け。借金1に逆戻りだ。また打てず、また投手を見殺しにして、前半戦での勝ち越しナシが決まった。矢野監督は必死で前を向き、10日の一戦だけを見つめた。  「打線は水物とは言うけど。俺らが上に行くためには『どう点を取るか』っていうところが、チームとしての課題になる。そういうところで負けたっていう試合だと思う。いつも同じになって申し訳ないけど、負けたものは取り返せないんで。あした、なんとか勝って後半につなげられるように、するしかない」  6月12日まで最大6あった貯金は、一気に目減りした。7月5-7日の広島3連戦(甲子園)に3連勝し、前半戦の「貯金ターン」が見えたかと思った矢先だったが「水物」の打線はまた冷え切った。前夜は今季ワースト16残塁の拙攻でGに3-4の惜敗。そして、この日は巨人より2安打多い7安打を放ちながら、あと一本を欠き続けた。 象徴的な場面は2度。三回はガルシアの安打もあり、1死一、二塁の好機を作ったが、D1位・近本光司外野手(大阪ガス)、糸原が空振り三振。六回も無死一塁で近本が走者を進められない、中飛。この2人が計7打数無安打では、打線が機能するはずがない。  観戦に訪れていた藤原崇起オーナー(67)=電鉄本社会長=も「あしたがあるさ!」と言い残し、球場を後にした。10日に、勝つしかない。そうすれば、勝率5割でオールスター期間に入れる。とにかく5割を死守するしかない。  ここからG3連勝、T3連敗となれば、16日に自力Vが消滅する。これ以上、立ち止まっているわけにはいかない。矢野監督も「打線がどう点を取るか。チャンスメークまでは行くんだけど、あと1本というところがね、課題だと思うんで。そこかなと思う」と、あと一本を求め続けた。それさえ出れば、勢いに乗れる。前半戦の最後、虎は絶対に打ち勝つ。 完封負けを喫した打線について阪神・浜中打撃コーチ 「直球がよかったし、インサイドも来ていた。左打者は迷う部分があったと思う。いいところから変化球を落とされた。もう少し、しっかり見極めができたらよかったが...。向こうの投手(桜井)も調子がよかった。切り替えてやっていくしかない」

◆左翼席一角に陣取ったG党から、何度も起こるコール。今季4勝目は、巨人・桜井俊貴投手(25)にとって甲子園での野球人生初勝利となった。  「とにかく勢いを相手に与えないという思いでマウンドに立っていました。特別な1勝とかは思わない。勝てたことがよかったです」  勝利のために、最善を尽くした。3日の中日戦(東京ドーム)は3回3失点で降板。先発に転向し、好調だった6月上旬のフォームと見比べて分析。打者に球種を分かりにくくするため、球を長く持ち、より打者側でリリースする意識でフォームを修正した。  ただ、甲子園は簡単に勝たせてはくれなかった。序盤から両軍のスコアボードに「0」が並んだ。最大のピンチは六回2死満塁。「とにかく先に点を与えない。それが強気の投球にも出た」と最後はマルテを直球で遊ゴロに仕留めた。7回5安打無失点の好投でチームにとって今季5度目となる零封勝利に貢献。チームの貯金は今季最多の16、2位とのゲーム差を今季最大の8・5に広げた。  出身地の神戸市垂水区から車で約40分ほどだが「限りなく遠い球場」と桜井は言う。マウンドに初めて立ったのは兵庫県立北須磨高2年時。甲子園大会...ではなく審判員の技術向上などで行われる「審判講習会」の手伝いだった。ストライクを投げすぎて「ちょっとボールを投げよう」と注意されたのは一つの思い出。立命大時代も勝利とは無縁だった。  5年ぶりのV奪還へ、原監督からも大きな戦力として認められており、次回は中5日で後半戦初戦となる15日のヤクルト戦(長野)に登板予定。その後も中5日が続く見込みだ。「さらに良くできる時間はあると思うので、もう一回、自分を見つめ直してやっていきたい」と桜井。甲子園の風に乗り、白星を重ねる。(赤尾裕希)  ●...桜井は立命大3年時に一度だけ、甲子園で阪神戦を観戦した。相手はヤクルトで阪神の先発は藤浪だったが、自身が座ったのは燕党が陣取る左翼席の上部。球場を支配する虎党の応援に圧倒されたからだ。この日は、フィールドの真ん中に陣取った桜井。「ピンチになれば、360度から攻撃されている感じがしましたけど、負けずに投げようと思っていたので結果に出てよかった」と汗をぬぐった。

◆2戦とも勝たなければいけなかった。8日はここまでがんばってきたジョンソンが失点し、この日はガルシアが一回に打球を受けながら好投。ここで野手が奮起してこそチームは乗っていく。ところが、勝てそうな試合展開で結局、続けて敗れた。これは痛すぎる。  指摘したいのは2つの場面だ。三回。1死一塁からガルシアのバントが幸運な安打になり、押せ押せとなったところで、1番・近本、2番・糸原が空振り三振に倒れた。凡打も三振も同じアウトだが、三振は「何も起きない」。下位が作った好機で1、2番が連続三振では流れなど来ない。  六回は先頭のガルシアが右前打。続く近本に打たせたのは最低でも走者を入れ替えたいからだ。しかし、引っ張るには好都合のチェンジアップを中直。いい当たりかは関係ない。1死一塁でガルシアが残ったことがすべてだ。糸原も遊ゴロで2死一塁。1、2番で走者が進むことなく3番・糸井が中前打とは、あまりにもチグハグだった。  確かに桜井はカーブが要所で決まりチェンジアップも効いた。緩急がよかったが、阪神打線に狙い球を絞っている感じは受けなかった。仕留められなければ粘るという姿勢もなく、制球に不安のある桜井に7回1四球、101球は淡泊。これは選手個々の課題だ。  対して巨人は八回、前日に代走で活躍した増田大を再び代走で起用。犠打と内野ゴロで決勝点を挙げ、九回は4番の岡本にバント。最後は2死から原監督自らマウンドに行き、マシソンから田口に代えた。ヒットも阪神より少なく、救援陣も盤石ではない。それでも勝ちきってしまう強さを、巨人に感じた。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆1-0の接戦なんだから、桜井と巨人のリリーフ陣、それに阪神・ガルシアと、両軍の投手が踏ん張ったことは、間違いない。ただ、その中で、点差以上に、両チームの差を感じたね。  チャンスで打てない典型的なパターン。必ずボール球に手を出すんだ。  ポイントは阪神の八回の攻撃。先頭の代打・上本が中前打、近本が送って1死二塁。ここで糸原が投ゴロ、糸井が空振り三振。どちらも中川の、外角低めへボールになるスライダーだった。  ピッチャーというものは、当然ながら、打たれたくないわけだから、打たれそうにない球を投げてくる。ピンチになればなるほど、ボール球を振らせようと思う。それを見送って、甘くなる球を待つのが、バッターというもの。なんでもかんでも勢い込んで、明らかなボール球にまで手を出したら、いかんのだ。  実は巨人も、昨年まではそうだった。外角低めのくそボールを、内角高めを打つようなスイングで空振りするシーンを、何度も見せられた。そこから脱却できた巨人と、相変わらずボール球に引っかかる阪神。その差が、今のゲーム差に表れているとも言えるかな。  セの灯が消えないよう、あえて阪神にハッパをかけておくよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆今季4勝目は、巨人・桜井俊貴投手(25)にとって甲子園での野球人生初勝利となった。序盤から両軍のスコアボードに「0」が並んだ。最大のピンチは六回2死満塁。最後はマルテを直球で遊ゴロに仕留めた。7回5安打無失点の好投でチームにとって今季5度目となる零封勝利に貢献。チームの貯金は今季最多の16、2位とのゲーム差を今季最大の8・5に広げた。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)はブログで、「阪神が桜井を潰すなら1,2回だったけど まっすぐ高めのボール球をファウルしたり 振ってくれたりするから 桜井も楽になっただろうよ」と指摘。「球の力はあるし 1軍の先発にも慣れてきたところだろう。3回からはスイスイと投げてたもんね。そんで結局『0』に抑えちゃって桜井もやるもんだね。ナイスピッチング!」と評価していた。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
47311 0.603
(↑0.006)
-
(-)
64385
(+1)
309
(-)
106
(-)
49
(+1)
0.262
(↓0.001)
3.590
(↑0.05)
2
(1↑)
DeNA
39402 0.494
(↑0.007)
8.5
(-)
62332
(+9)
323
(+4)
100
(+2)
25
(-)
0.246
(-)
3.660
(-)
2
(-)
阪神
39404 0.494
(↓0.006)
8.5
(↓1)
60312
(-)
334
(+1)
55
(-)
58
(-)
0.249
(↓0.001)
3.390
(↑0.03)
4
(-)
広島
38423 0.475
(↓0.006)
10
(↓1)
60316
(+3)
339
(+6)
73
(-)
51
(-)
0.244
(↑0.001)
3.470
(↓0.04)
5
(-)
中日
36430 0.456
(↑0.007)
11.5
(-)
64304
(+6)
309
(+3)
46
(-)
41
(-)
0.261
(↑0.002)
3.790
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
33482 0.407
(↓0.006)
15.5
(↓1)
60361
(+4)
423
(+9)
92
(-)
31
(+1)
0.238
(↑0.001)
4.640
(↓0.05)