西武(★2対8☆)巨人 =交流戦3回戦(2019.06.13)・メットライフドーム=
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巨人
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西武
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勝利投手:桜井 俊貴(3勝1敗0S)
敗戦投手:郭 俊麟(1勝1敗0S)

本塁打
【巨人】炭谷 銀仁朗(3号・4回表3ラン),阿部 慎之助(3号・5回表2ラン)
【西武】木村 文紀(3号・7回裏ソロ)

  DAZN
◆巨人は初回、1死三塁の好機から丸が適時打を放ち、幸先良く先制に成功する。その後は4回表に炭谷の3ラン、続く5回には阿部の2ランが飛び出すなど、着実に追加点を挙げた。投げては、先発・桜井が7回1失点の好投で今季3勝目。敗れた西武は、投打ともに振るわなかった。

◆巨人丸佳浩外野手(30)が、先制の適時打を放った。1回1死一塁で打席に立ち、初球に一塁走者の亀井が二盗を成功。悪送球の間に三塁に進塁し、4球目に右前適時打を放った。 「打ったのはストレート。亀井さんが作ってくれたチャンスだったので、何とかしたかった。先制点を取れて良かった」とコメントした。

◆巨人炭谷銀仁朗捕手(31)が、古巣西武を相手に今季3号3ランを放った。1点リードの4回2死二、三塁、西武郭の初球の直球を左翼席にたたき込んだ。 前日12日は決勝打をマーク。連夜の活躍に「コンパクトに振り抜くことができました。いい追加点になってくれたと思います。桜井も頑張っているし、どんどん援護したいです」とコメントした。

◆巨人が初回に先制。1死三塁から丸が二塁外崎のグラブの下を抜く右前適時打を放った。西武は序盤、毎回走者を出したが無得点。 巨人は4回にも2死二、三塁から炭谷が左翼席へ豪快な3ラン。5回にも阿部に右越え2ランが飛び出し、着実に加点した。 西武は7回に木村のソロで1点を返すにとどまった。巨人は桜井が3勝目。昨季パ覇者に連勝で4カード連続の勝ち越しを決めた。西武郭が初黒星。

◆巨人阿部慎之助捕手(40)が、今季3号2ランを放ち、リードを広げた。 4点リードの5回2死二塁、西武小川の126キロスライダーを右翼席に運んだ。自身が持つプロ野球記録を更新する通算230人目からの1発に「打ったのはスライダー。風だね」とコメントした。

◆前回6日の広島戦で今季初先発初勝利を挙げた西武郭俊麟投手だったが、2戦連続白星はならなかった。「慎重に投げないといけない。各イニングの先頭を抑えること。それができれば試合をつくれる」と話していたが、慎重になりすぎて最初から制球に苦しんだ。 初回先頭の亀井に四球を与えた後、1死三塁から丸の右前適時打で先制を許した。2回にも2四球。4回にも阿部を歩かせた後、陽の二塁打で2死二、三塁とされ、炭谷に初球の真ん中143キロ直球を左翼席中段へ運ばれた。 結局4回66球を投げ、4安打4失点(自責3)、2三振4四球で2番手小川にマウンドを譲った。「初回から制球良く投げることができませんでした。また有利なカウントに持っていくことができず、自分を苦しめてしまいました。先発投手としての役割を果たすことができず申し訳ない」とうなだれた。

◆巨人加藤脩平外野手(20)が13日、プロ初の1軍昇格を果たした。前日12日の試合後に吉報が届いた。この日は川崎市のジャイアンツ球場で荷物を用意し、午前9時に西武戦に向け、メットライフドームに出発。試合前の打撃練習では緊張からか1球目でバットを折ったが、平常心を取り戻すと持ち前の鋭い打球を連発した。 磐田東時代から1年春の県大会からレギュラー出場。3年夏はエース&3番の"二刀流"で活躍した。16年育成ドラフト2位で外野手としてプロ入り。9日に育成から支配下登録され、さっそく1軍でのチャンスが与えられた。初々しい表情でベンチから戦況を見つめ「出番をもらえたら少ないチャンスでもアピールしたい」と意気込んでいた。

◆巨人阿部慎之助捕手(40)が、史上42人目のプロ通算350二塁打を達成した。 7回1死一塁から二塁打を放ち、節目に到達した。巨人の生え抜きでは川上、長嶋、王に次ぐ、4人目の快挙を成し遂げた。6月1日の中日戦では、史上19人目の400本塁打を達成。350二塁打、400本塁打ともに達成した選手は14人目だった。

◆セ2位巨人がパ4位西武を投打で圧倒。先発桜井が7回1失点好投。打線は炭谷、阿部が本塁打を放ち8得点。西武は自慢の打線が2得点とふるわなかった。

◆1軍初昇格の巨人加藤脩平外野手(20)がレジェンドからバトンを託された。13日西武戦の7回に通算350二塁打を放った阿部の代走としてプロ初出場。若林の左前適時打で生還し、プロ初得点もマークした。7点リードの9回無死一塁の場面で初打席にも入り、二飛に倒れた。 磐田東時代から1年春の県大会からレギュラーをつかんだ。3年夏はエース&3番の"二刀流"で活躍した。16年育成ドラフト2位で外野手としてプロ入り。9日に育成から支配下登録され、会見で「将来は丸さんのような打者になりたい」と目を輝かせていた。8回の守備からは丸に代わり中堅の守備にもついた。目標としてきた1軍での門出で持ち味を発揮した。

◆西武辻監督が巨人バッテリーに脱帽した。まず昨年までのチームメート炭谷に打たれた4回の3ランに触れ「あそこの3点がなければ分からなかった。あれがすべて。初球の外真っすぐがど真ん中(に入った)やろ。最初は引っ張って、追い込まれたら押っつけてくる。特徴は知ってるのに、あれはないよな」。 さらに7回1失点に封じられた桜井については「真っすぐ、カット...あれだけ制球がいいとは。3-2でも右打者の内角に投げられる。今日は彼には完敗だった」と話した。

◆「緩急ボーイズ」のトリを務めた巨人桜井俊貴投手が3勝目を挙げた。 落差のあるカーブを全111球中30球、約27%投じ、西武打線を3安打1失点。プロ最長の7回を投げきり「短い回を集中するつもりで7回までいけた。腕を振ることだけ考えて投げられた」と充実感を漂わせた。先発でプロ初勝利を挙げた6日楽天戦に続き、自身2連勝を決めた。

◆「記録の達人」が獅子を沈めた。巨人阿部慎之助捕手(40)が5回に3号2ランを放つと、7回には史上42人目の通算350二塁打をマーク。巨人の生え抜きでは川上哲治、長嶋茂雄、王貞治以来4人目。「6番DH」で今季4戦目のスタメンで2打数2安打2打点と活躍、クリーンアップを後ろから支えた。チームも交流戦開幕から3カード連続勝ち越しで、セ・リーグ最上位の3位をキープした。記録に一切の興味を示さなかった。阿部が薄暗いメットライフドームの通路を抜け、地上へと続く、長い階段を上がる。息を切らしながら「微妙だよね。なんとも言いようがない。すべてにおいて微妙だよね」。ただ、球場駐車場まで届いた自身の応援歌は心地よく聞こえた。6点リードの7回1死一塁。西武粟津の外角シンカーをシャープなスイングで捉え、左中間を真っ二つに破った。史上42人目の350二塁打を涼しい顔で決めた。 1日に到達した史上19人目の通算400号と350二塁打を併せ持つのは、捕手では野村克也以来2人目。5回には小川から今季3号2ランを放ち、自身の記録を更新する史上最多の通算230人斬り。外寄りのスライダーを右翼ポール際に放り込み「風だよ」とさらりと振り返った。 古巣との戦いで躍動した炭谷がまぶしく映った。4月中旬の鹿児島遠征。同じテーブルで豚しゃぶをつついた。FA加入の後輩に「今までの自分の経験を信じてやればいい。俺が出来なかったこと(移籍)を銀ちゃんはやっている。それだけでも十分すごいと思うよ」と熱っぽく語りかけた。経験を踏まえたアドバイスとして「巨人は打てる捕手がレギュラーをつかむ」とも伝えた。小林、大城を含めた正捕手争いに刺激を与えつつ、自身もバックアップ体制を整える。 15年目の交流戦で気がつけば、セ・リーグ打者では初の交流戦60発にも達した。ここでも記録は右から左に流して「全チームに勝ち越せるように、みんなでやっていくしかない」とだけ言った。今日14日からは北海道に舞台を移し、首位日本ハムに挑む。ベテラン阿部が存在感とオーラーで、少し後ろからチームを束ねる。【為田聡史】

◆巨人炭谷銀仁朗捕手が、古巣相手に連日の攻守の活躍で勝利に貢献した。「向こうも僕のことをわかってるので、一概には言えないです」と言ったが、「山賊打線」を相手に先発桜井を7回1失点と好リード。カーブを有効に使って、的を絞らせず、好投に導いた。「構えたところにきっちり投げてくれたので、リードが楽でした」と桜井をたたえた。 バットでも、貴重な追加点を呼び込んだ。1点リードの4回2死二、三塁から西武郭の初球の直球を3号3ラン。「うれしかった」と前日12日の同戦での決勝打に続き、試合の流れを大きく引き寄せた。一塁側でヒーローインタビューを受け「いいところを見せられて良かったです」とかみしめた。

◆巨人の交流戦勝敗は楽天に○●○、ロッテに○●○、西武に●○○。巨人が交流戦開幕から3カード連続で勝ち越したのは、2試合でカードが変わった12年、オリックス、ソフトバンク、西武に各2連勝して以来7年ぶり。 原監督だった12年はセ・リーグのチームで初めて交流戦を制したが、今季はどうか。

◆巨人阿部慎之助捕手(40)が5回に3号2ランを放つと、7回には史上42人目の通算350二塁打をマークした。 ▼阿部が13日の西武3回戦(メットライフドーム)の7回、粟津から左中間へ二塁打を放って達成。プロ野球42人目。初二塁打は01年3月30日の阪神1回戦(東京ドーム)で星野伸から。巨人で350二塁打を達成したのは王貞治422、長嶋茂雄418、川上哲治408に次ぎ4人目。 ▼阿部が交流戦通算60本目の本塁打。交流戦60本塁打以上は中村(西武=72本)に次いで2人目。小川からは初本塁打で、本塁打を打った投手数は歴代最多を更新する通算230人目。

◆巨人・丸佳浩外野手(30)が13日、日本生命セ・パ交流戦の西武3回戦(メットライフ)に「3番・中堅」で先発出場。一回1死三塁から、先制の右前適時打を放った。  「亀井さんが作ってくれたチャンスだったので、なんとかしたかった。先制点をとれてよかった」  この回先頭の亀井が四球で出塁し、二盗と捕手の悪送球で作った好機。丸が、相手の先発右腕・郭俊麟が投じた4球目、146キロの直球を強く弾いた。打球は二塁手・外崎のグラブの下を抜けて、先制打に。4カード連続勝ち越しを目指すチームを、勢いづける一打となった。

◆巨人・阿部慎之助捕手(40)が13日、セ・パ交流戦の西武3回戦(メットライフ)に「6番・DH」で先発出場。4点リードの五回2死二塁から、右翼ポール際へ3号2ランをたたき込んだ。  「打ったのは、スライダー。風だね」  右手にバットを握ったまま、打球の行方を見つめる。スタンドインを確認すると、背番号10はゆっくりと走り出した。相手の2番手左腕・小川が投じた126キロを一閃。通算402号とし、通算本塁打数歴代18位・山崎武司の403本にあと「1」と迫った。

◆巨人・炭谷銀仁朗捕手(31)が13日、セ・パ交流戦の西武3回戦(メットライフ)に「9番・捕手」で先発出場。1点リードの四回2死二、三塁から左翼席への3号3ランを放った。  「コンパクトに振り抜くことができました。いい追加点になってくれたと思います。桜井も頑張っているし、どんどん援護したい」  相手の先発右腕・郭俊麟が投じた143キロの直球を振り抜き、5月24日の広島戦(東京ドーム)以来となる一発となった。前日12日には3打数1安打2打点で、昨年まで13年間プレーした古巣の本拠地でチームの勝利に貢献していた炭谷。かつての"庭"で連夜の活躍だ。

◆西武は投打に振るわず勝率が5割に戻った。郭俊麟は一回に丸の適時打で先制されると、四回2死二、三塁から炭谷に不用意な初球の直球を左翼席へ運ばれた。4回4失点で今季初黒星を喫し「先発投手としての役割を果たすことができず、申し訳ない気持ちでいっぱい」とうなだれた。  打線は桜井を攻略できず、七回まで木村のソロによる1点に抑えられた。自慢の強打が影を潜め、辻監督は「あれだけ制球がいいとは。彼に完敗」と潔く認めた。

◆巨人は13日、西武3回戦(メットライフ)に8-2で快勝。先発の桜井が好投し、打っては炭谷、阿部に一発が飛び出した。阿部はプロ野球史上42人目となる通算350二塁打も達成した。これで交流戦は全3カードで勝ち越し。セ・リーグ首位の広島に1ゲーム差に迫った。原監督の試合後の主なやりとりは以下の通り。  --桜井が好投  「そうですね、いいピッチングでしたね。躍動感があるしね。緩急もつけられるし」  --炭谷の本塁打が効果的に  「いやあ、効果的どころじゃないね。先制、中押し、ダメ押しというね。非常にいい点の取り方でしたね。6番7番8番9番くらいで点が入るというのは大きいですね」  --阿部が本塁打。ファウルにならなかった  「あの辺は技術でしょうね。彼の独特の体の柔らかさ、柔軟性も含めてね。パワーと、それと技術ですね」  --阿部が通算350二塁打も達成  「恐れ入ります」  --加藤が1軍デビュー  「ピンチランナーの時に出てくるのが遅いから代えるのをやめようかと思った(笑)。まだ1軍の時間についてこれてない。三分の一拍子くらいだよ。俺たち四分の一拍子くらいだから」  --桜井は救援から先発に戻って変わった  「リリーフの時に覚えたことが先発で(生きている)ね。やっぱり球種が多いということ、コントロールを身につけたというのは、水を得た魚のごとく機能しているんではないかなと思いますね。先発ピッチャーの方がリリーフピッチャーよりどちらかというとおおらかに戦えるわけですし。そういう点では厳しいリリーフの中で、先発ピッチャーになったという。そういう点では彼の中で非常に楽になってるのではないかなという風に思わせるくらいね。普通は先発からリリーフにするケースの方が多い。それはでもあんまりいいリリーフにならないケースが多いね」  --交流戦も折り返し  「そうですね。いいペースで来ていると思います。初戦を取られながらも2つ勝てたというのは大きいと思いますね」  --優勝した2014年以来、交流戦の勝ち越しはない  「まだ安心できませんが、しかしこれまではいい戦いをしていると思いますね」

◆西武のドラフト4位ルーキー粟津が3番手でプロ初登板して2回2失点だった。0-6の七回にマウンドに上がると1死二、三塁と走者を背負い、若林に変化球を左前に運ばれて2点を失った。八回2死一、二塁のピンチでは岡本を遊ゴロに仕留めたが「ファームのときより、全然球が行かなくて、力みがあったと思う」とほろ苦いデビューとなった。  山形・山本学園高から東日本国際大を経て入団。右横手投げから多彩な変化球を交える投球が持ち味だ。「早い段階で1軍で投げさせてもらっていい経験になった」と今後の活躍を期した。

◆同学年の西武・秋山と巨人・坂本勇が試合前に談笑した。「いろいろな所で一緒にやってますからね」と秋山。2015年の国際大会プレミア12や17年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でともに戦った仲だ。秋山は坂本勇の印象を聞かれ「ただのスーパースターですよ」とポツリ。「巨人というチームで背負っている物が違う。それを乗り越えて今の成績や築いてきたものがある」と敬意を表わしていた。

◆自慢の強力打線が桜井の前に4安打と沈黙。2カード連続の負け越しで貯金がなくなった。辻監督は右腕について「真っすぐも、カットボールも、あれだけコントロールがいいとなかなか点は取れない」と脱帽。四回には昨季まで西武に在籍した炭谷に3ランを浴び「あの1球が全て。あそこ(真ん中)にいったら打たれる」と苦言を呈した。

◆1日に通算400号のメモリアルアーチを打ったばかりの阿部が、また偉業を達成した。DHで先発出場し、4-0の五回に小川から右翼ポール際へ3号2ラン。ファウルゾーンから戻ってくるような軌道でスタンドインし「勇気を持って振った。風だね」と、自身が持つプロ野球記録を更新する通算230人目からの1発を冗談めかして振り返った。七回には左中間へ今季3本目の二塁打を放ち、通算350二塁打に到達。球団の生え抜きでは川上哲治、長嶋茂雄、王貞治以来4人目の記録となった。

◆10日に支配下選手登録され、この日初昇格した加藤が1軍デビューを果たした。七回に阿部の代走で出ると、直後の適時打で二塁から生還して初得点をマークした。守備では中堅に入り、九回の初打席は二飛。ドキドキのデビュー戦を終えた20歳は「打球がすごく伸びるので守備が一番緊張した」と振り返った。原監督は「(代走時に)出てくるのが遅いから、代えるのをやめようかと思ったよ」と笑った。

◆ついに鯉の尻尾が見えた!! 日本生命セ・パ交流戦は13日、巨人が西武最終戦(メットライフ)に8-2で快勝。先発の桜井俊貴投手(25)が7回4安打1失点の好投で今季3勝目(1敗)を挙げた。前回6日の登板で先発初勝利を挙げた4年目右腕の活躍で、首位・広島に1ゲーム差まで迫った。最大5・5ゲーム差をじりじりと追い上げ、4カード連続の勝ち越し。5月20日以来の首位奪回が見えてきた。  鋭い眼光がようやく緩んだ。一塁側ベンチで勝利の瞬間を見届けた桜井が、駆け足でベンチを飛び出した。  「長い回を考えるより短い回に集中する。恐れて投げるよりも、攻めて打たれてもしようがないや、というぐらいで投げていました」  両リーグ1位、25本塁打の山川を筆頭に強力な西武打線に真っ向勝負を挑んだ。宮本投手総合コーチが命名した「緩急ボーイズ」の一角として送り込まれた25歳は、全111球中30球(約27%)の緩いカーブでタイミングをずらし、最速148キロの直球で押し込んだ。  疲れも見え始めた六回1死。内角直球で山川の左脇腹に死球をぶつけ、森には四球で一、二塁。自らが招いたピンチだったが、中村を再び厳しい内角直球で三ゴロ併殺打に仕留めた。自己最長の7回を4安打1失点。111球の熱投だった。  過去3年間は勝利なし。5月31日の中日戦(東京ドーム)後、ロッカールームで首脳陣から先発転向を言い渡された。「目標がかなった」と原監督の抜擢(ばってき)に応え、6日の楽天戦に続き先発2連勝だ。  チームは5月にエース・菅野の離脱もあり、9勝13敗1分けと大きく負け越したが、6月に入ると桜井の台頭もあり、8勝3敗。1日に首位・広島と最大5・5あったゲーム差を1ゲームまで縮めた。  大きな決断が、先発での好投を生んでいる。中継ぎをしていた5月上旬に2軍落ちすると、ドラフト1位で指名された立命大時代を思い返した。「一番疲れずに、いい状態を保っていたときの生活はどうしていたかな?」。当時は、筋力トレーニングを一切せず、走り込みのみ。「試してみよう」と思い切って、原点回帰に踏み切った。  投げる筋力は、投げて鍛えた。キャッチボールの1球目から強い球を投げ込むように意識改革。投げて、走って、体を鍛え抜いた1カ月。下半身は安定し、肩の可動域も広がった。「イメージと体の動きが一致してきた」と12球団1位の総得点307の西武打線を力強い直球で攻め抜いた。  チームは4カード連続の勝ち越し。14日の日本ハム戦(札幌ドーム)に勝ち、広島が負ければ、5月20日以来の首位に再浮上する。  原監督も「躍動感がある。コントロールを身につけたというのは、水を得た魚のごとく機能しているのではないかな」と独特の表現で25歳を絶賛した。交流戦は6勝3敗。ペナントレースとのダブル制覇へ、上昇気流に乗ってきた。(赤尾裕希) 四回に5月24日以来の本塁打となる3号3ランを放ち、桜井を好リードと前日の決勝打に続く活躍を見せた巨人・炭谷 「(本塁打は)コンパクトに振り抜くことができた。(古巣の本拠地で)いいところを見せられてよかったと思う」 ★"サクライ体操"  宮本投手総合コーチが、好投した桜井のベンチ裏での行動について明かした。「ベンチに帰っても、後ろで体操をやっているんだよね。マエケン体操はメジャーだけど、"サクライ体操"はこれからだね。はやらせないと」と証言。集中力を切らさず、次のイニングへの準備も兼ねた動きで、桜井自身も「できることはやって、次の回につなげていこうという感じで」と明かす。宮本コーチは「彼が2桁勝てば"サクライ体操"のDVDを出すぞ」と冗談で笑いを誘った。

◆桜井は一言でいえば「投げっぷり」のいい投手。コースに投げるのは初球か追い込んでからくらいで、あとは腕を振り、勢いで勝負できる。かわすタイプが多いセ・リーグには珍しいパ・リーグ型の投手だ。  「投げっぷり」の良さは緩急にも生きる。あれだけ腕を振ってくると、打者は自然と"かかと足体重"になる。思い切って踏み込めず、カーブなど緩い球への反応が遅れる。  桜井の良さを生かしたのが炭谷のリードだ。炭谷は投手に楽をさせない捕手。投げたい球を気持ち良く投げさせるのではなく、打者に対して最も有効な球を躊躇(ちゅうちょ)なく徹底して投げさせる。セ・リーグは外角低めを中心に組み立てる捕手が多いが、炭谷は内角に弱い打者には徹底的に内角を突く、これもパ・リーグ型。桜井との相性は抜群だった。  巨人の2連勝は炭谷が立役者になった。性格は優しい男だが、リードに関しては頑固で練習熱心。試合前のアーリーワーク(早出練習)は、私が西武の打撃コーチだった2008年に炭谷の希望で始めたものだ。2軍戦との"親子ゲーム"も希望して出場し、朝5時から2軍のアーリーワークもこなしていたほど。活躍を見られるのはうれしい。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆4年目の覚醒か-。巨人・桜井俊貴投手(25)の躍進が著しい。13日には、日本生命セ・パ交流戦の西武戦(メットライフ)に先発。7回1失点で先発2勝目を挙げた。  「沈黙の3年間」とでも言うべきか。2016年のドラフト1位で立命大から入団。即戦力の期待をかけられた右腕だった。だが、「巨人のドラ1」という重圧を体は感じていたのかもしれない。1位指名を受けた15年10月22日のドラフト会議。その翌日から、謎の症状に襲われた。  朝、目が覚めると、大汗をかいているのだ。決して寝られていないわけではなかったが、洋服は滝に打たれたかのように全身びしょぬれ。それが数日間続いた。「寝られましたし、体は何ともなかったんですけど」と振り返るが、見えない"何か"に襲われていたのだ。  そんなこともあったが、プロ1年目の16年は開幕1軍入りを果たすなど、順調にいくかと思われた。だが、3月30日のDeNA戦(横浜)で右肘痛を発症。「そこからの道のりが長いです」と、腫れ上がった右腕を治すリハビリ生活が始まった。  最初はキャッチボールもできず、ただ歩いたり、走ったりするのみ。やっと球を投げられるようになっても再び痛みがぶり返し、中断。一進一退の日々に「何してるんだろうって感じです。野球をするためにプロの世界に入ったのに、なんでボールを投げていないんだろうって。つまらない毎日。目標がなかったです」とどこに向かうべきか、自信を見失うこともあった。  やっと右肘が完治したのは、シーズン終盤。だが、1軍の復帰登板はなく1年目を終えた。2年目は先発ではなく、リリーフに挑戦。背番号が「21」から「36」となって再出発の年だった。それでも、19試合に登板し、0勝1敗、防御率5・67。決して納得のいく数字ではなかった。  3年目の昨年は、1軍登板なし。リリーフでスタートしたが、シーズン途中に先発に転向。育成の選手に混ざりながら、3軍戦のマウンドに上がる日々も経験した。  そして、迎えた勝負の4年目。5月23日に右肘痛を発症したときと同じ相手、DeNA戦(東京ドーム)で救援ながらプロ初勝利。6月6日の楽天戦(楽天生命パーク)では1163日ぶりの先発で勝利を挙げるなど、ようやく沈黙を破った。  桜井は振り返る。「けがをしたから駄目だったというわけではなく、けがをして知った部分もある。4年間がしんどかったわけでもないです。しんどいですけど、しんどい中でもたくさんいいことはあった。そんな苦労した感じはないです」と。  右肘が完治した1年目の冬。台湾で行われたウインター・リーグに参加した。術後ということもあり、投球の感覚が戻らず、腕の振りも鈍くなったが、好調時の映像をチェック。「自分の体について考えられました。それまでは感覚で投げていて、いいときはどうだったのか気づけました」とフォームを見直すなど、マイナスな状況の中でも、プラスになるよう取り組み続けた。  同世代や後輩が、次々とプロ初勝利を挙げていく。自身に付いていたのは黒星のみ。だが、決して焦りはなかった。「そこは、別にその人のタイミング。人それぞれ。気にはせず。焦るじゃないですか? 考えたら。焦りが一番駄目ですから」と自身ができる最善、最速のペースで歩みを進めてきた。  どこかひょうひょうと。いや、堂々と。人に流されず、黙々と野球に取り組んできた。宮本投手総合コーチは「遅咲きのヒーロー」と称した。背番号は2度変われど、己は変わらず。沈黙を破った先には何があるのか。覚醒の4年目はまだまだ続く。(赤尾裕希)

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ソフトバンク
621 0.750
(↑0.036)
-
(↓0.5)
936
(+3)
28
(-)
15
(+1)
9
(+1)
0.242
(↓0.007)
2.930
(↑0.35)
2
(1↓)
日本ハム
621 0.750
(-)
0
(-)
935
(+2)
30
(+2)
6
(-)
4
(-)
0.269
(↓0.014)
2.660
(↑0.31)
3
(-)
巨人
630 0.667
(↑0.042)
0.5
(↓0.5)
944
(+8)
29
(+2)
14
(+2)
8
(+2)
0.272
(↑0.007
3.080
(↑0.26)
4
(-)
DeNA
540 0.556
(↓0.069)
1.5
(↓0.5)
933
(+1)
33
(+3)
9
(+1)
3
(-)
0.268
(↓0.013)
3.690
(↑0.04)
5
(-)
楽天
540 0.556
(↓0.069)
1.5
(↓0.5)
930
(+3)
39
(+11)
2
(-)
2
(-)
0.250
(↑0.009)
4.160
(↓0.86)
6
(-)
阪神
441 0.500
(↓0.071)
2
(↓0.5)
940
(-)
34
(+3)
6
(-)
9
(-)
0.246
(↓0.017)
3.040
(↓0.04)
7
(1↑)
ORIX
440 0.500
(↑0.071)
2
(↑0.5)
1027
(+6)
31
(+5)
4
(+1)
8
(+4)
0.237
(↑0.002)
3.930
(↓0.16)
8
(1↓)
西武
450 0.444
(↓0.056)
2.5
(↓0.5)
938
(+2)
47
(+8)
8
(+1)
10
(+1)
0.265
(↓0.013)
4.940
(↓0.26)
9
(1↑)
ヤクルト
350 0.375
(↑0.089)
3
(↑0.5)
1041
(+11)
32
(+3)
8
(+1)
5
(+2)
0.229
(↑0.017)
3.490
(↑0.07)
10
(1↓)
中日
360 0.333
(↓0.042)
3.5
(↓0.5)
939
(+5)
36
(+6)
4
(-)
2
(-)
0.257
(↑0.006)
3.940
(↓0.29)
11
(1↑)
ロッテ
360 0.333
(↑0.083)
3.5
(↑0.5)
934
(+3)
52
(+1)
6
(-)
5
(-)
0.232
(↓0.007)
5.630
(↑0.58)
12
(1↓)
広島
261 0.250
(-)
4
(-)
930
(+2)
36
(+2)
6
(-)
5
(+2)
0.198
(↓0.009)
3.360
(↑0.32)