ロッテ(★3対11☆)阪神 =交流戦1回戦(2019.06.04)・ZOZOマリンスタジアム=
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阪神
210010025111613
ロッテ
0300000003610
勝利投手:メッセンジャー(3勝5敗0S)
敗戦投手:涌井 秀章(3勝3敗0S)

本塁打
【阪神】梅野 隆太郎(5号・5回表ソロ),糸井 嘉男(4号・8回表2ラン),マルティネス(6号・9回表ソロ)

  DAZN
◆阪神は3-3で迎えた5回表、梅野がソロを放ち、勝ち越しに成功する。その後は、8回に糸井の2ラン、9回にはマルテのソロと原口の適時打などで5点を挙げ、試合を決めた。投げては、先発・メッセンジャーが6回3失点で今季3勝目。敗れたロッテは、投打ともに振るわなかった。

◆大腸がんから再起を目指してきた阪神原口文仁捕手(27)が日本生命セ・パ交流戦の開幕日である4日に出場選手登録された。この日からのロッテ戦(ZOZOマリン)に向けて3日に1軍合流していた。 この日はスタメンは外れた。 原口は昨年末に大病が発覚し、1月24日に大腸がんで手術を受ける意思を公表。2月春季キャンプは全休だったが、3月上旬に2軍合流、5月上旬に実戦復帰と復活ロードを歩んできた。 原口が1軍公式戦出場すれば昨年10月13日の中日戦以来となる。 今季2軍戦の成績は18試合出場で打率1割9分6厘、7打点。

◆阪神が糸井嘉男外野手(37)、大山悠輔内野手(24)の連続適時打で初回に2点を先制した。 交流戦開幕の初回、先頭の近本が中前打、続く糸原が四球で無死一、二塁の好機をつくる。DHで3番に入った糸井は、先発涌井の4球目、内寄り140キロの直球を振り抜いた。鋭い打球は一塁手鈴木の前で大きく跳ねて右翼へ転がり、近本が先制の本塁を踏んだ。糸井は「交流戦の初戦で、初回から先制することができて良かったです」と振り返った。 続く4番大山も初球のスライダーを中堅へ運び、2者連続適時打とした。糸井に続いた大山は「先制していい流れで回ってきたので、その流れに乗って自分も打つことができました。狙った球を1球で仕留めることができて良かったです」とコメントした。 2回2死には、一塁走者の近本が2番糸原の2球目にスタートを切った。糸原は大きく空いた三遊間を抜き、ランエンドヒットに成功。三塁に進んだ近本は、本塁への返球が乱れる間に一気に生還し、追加点を奪った。好投手涌井の立ち上がりを攻め、2回までに3点の援護を先発メッセンジャーにプレゼントした。

◆阪神梅野隆太郎捕手(27)が、ホームランラグーンに飛び込む勝ち越し弾を放った。 2回までに3点を先制するも同回に追いつかれ、3-3で迎えた5回。1死走者なしから6番梅野は、涌井の144キロの直球を右翼へはじき返した。 ZOZOマリン特有の強風にも乗った当たりは、今季から新設されたホームランラグーンに飛び込む5号ソロとなった。ここまで踏ん張る先発メッセンジャーに、勝利の権利をもたらした女房役は「相手投手の一番いいボールの真っすぐを狙って打つことができました。まだ中盤なので、勝利に導けるように守備も集中していきます」とコメントした。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が6回5安打3失点と粘りの投球で、3勝目の権利を持ってマウンドを降りた。 5月4日DeNA戦(甲子園)以来の勝ち星を狙って、中9日で先発したメッセンジャーは2回まで3点の援護をもらう。しかし、2回裏に3四球で制球に苦しみ、犠飛と2点適時打で同点にされた。 その後は走者を出すも要所を締める粘りの投球で追加点は許さなかった。5回に梅野の勝ち越しソロで勝ち投手の権利をもらい、6回114球の熱投で7回から2番手藤川にマウンドを託した。

◆大腸がんから再起を目指してきた阪神原口文仁捕手(27)が昨年10月13日中日戦以来、234日ぶりに1軍公式戦に出場した。 4点リードの9回1死三塁で代打登場。1ボール2ストライクから右腕レイビンの144キロスライダーを思いきり振り抜き、左翼フェンス直撃の適時二塁打を決めた。二塁ベースにヘッドスライディングすると、虎党から割れんばかりの拍手と大歓声。このボールは記念球としてロッテ側から三塁ベンチに転がされ、矢野監督が受け取った。 前日3日、1軍遠征先のチーム宿舎に合流。交流戦開幕戦となったこの日、出場選手登録された。 原口は昨年末に大病が発覚し、1月24日に大腸がんで手術を受ける意思を公表。2月春季キャンプは全休だったが、3月上旬に2軍合流、5月上旬に実戦復帰と復活ロードを歩んできた。 今季2軍戦の成績は18試合出場で打率1割9分6厘、7打点。

◆阪神が初回、糸井、大山の適時打で2点を先制。2回にも1点を加点した。ロッテは2回、荻野の2点適時打などで同点とした。 阪神は5回、梅野の5号ソロで勝ち越し。ロッテはチャンスを作るもあと1本が出ず、阪神1点リードのまま終盤に入った。 阪神が終盤に加点し、押し切った。大腸がんから回復した原口が9回に代打で登場し、適時打。メッセンジャーが3勝目を挙げた。ロッテ涌井は3敗目。

◆ロッテは投手陣が終盤に打ち込まれ、今季ワーストタイの11失点で大敗した。 先発涌井が味方のミスや不運な安打で波に乗れず5回4失点で降板。4番手西野が糸井に4号2ランを浴びると、5番手レイビンは1回持たず、5失点と炎上した。井口資仁監督は「ミスもありましたし、なかなか追い越せなかったので、ずっと向こうのペースで行ってしまった」と悔やんだ。

◆原口とレギュラーの座を争った男が試合を決めた。阪神梅野隆太郎捕手(27)が交流戦では2年ぶり、2試合連続V弾となる5号決勝ソロで勝利に導いた。原口が1軍に合流した中でも、正捕手として存在感を十分に見せつける1発。梅野弾の不敗記録も昨季から10試合に伸ばした。 一振りで仕留めた。3-3の同点で迎えた5回1死。先発涌井の3球目、外角への144キロ直球をフルスイング。捉えた逆方向への打球は千葉の夜空に舞い上がり、ZOZOマリン特有の強風にも乗った。長い滞空時間を経て、今季から新設されたホームランラグーンの右翼席に着弾した。 「相手投手の一番いいボールの真っすぐを狙って打つことができた。しっかりコンパクトできた。何とか入って良かった」 交流戦では17年6月11日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来、2年ぶりの1発。6回5安打3失点で粘りの投球を見せた先発メッセンジャーに3勝目をもたらす貴重な一打で試合を決めた。 この日から原口が1軍に合流し、復帰初打席でタイムリー二塁打を放った。「厳しいところからで、かっこよすぎる」と、同じ捕手としてレギュラーを争ってきた仲間の復活を喜んだ。 「けがの功名」はコンパクトな左足の踏み込みを生んだ。4月2日巨人戦で左足薬指を骨折。3割台後半を推移していた打率は、月が変わると2割台に割り込んでいた。転機は5月中旬。打席で自打球が左足を直撃すると、心配する周囲をよそに笑い飛ばした。「当たったから、また打てるわ!」。無理に踏み込めないから、体は前に突っ込まない。再びバットは快音を奏で、安定して3割台をキープしている。 矢野監督は「リュウ(梅野)もすごい。流れが行ったり来たりしている中での、あの1発やった」と絶賛した。梅野が本塁打を打てば、今季はこれで5戦全勝。昨季からも6月27日DeNA戦(横浜)から10連勝だ。頼れる男の1発で、交流戦の幸先よいスタートを切った。【奥田隼人】

◆戦場に帰ってきた。大腸がんからの再起を目指してきた阪神原口文仁捕手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」の開幕戦、ロッテ1回戦(ZOZOマリン)の9回に代打で出場。左越えの適時二塁打を放った。 昨年10月13日の中日戦以来となる1軍戦出場。鮮やかな復活打でチームの大勝発進に貢献した。二塁ベース上の原口は、かみしめるように笑みをこぼした。「本当に1軍は素晴らしい舞台だなと、あらためて思いました」。9回1死三塁。初球から思い切りフルスイングした。2球目も迷わずバットを振り抜いた。カウント1-2からの4球目。打球は大きく舞い上がり左翼フェンスを直撃した。一塁ベースを蹴って、原口は二塁へヘッドスライディングした。 「自分の中ではあまり緊張していなかったんですけど、終わってみたら胃がキリキリ痛いですね」。"復帰第1号"のボールはロッテナインから阪神ベンチへ。矢野監督自ら受け取って、原口に手渡した。「原口! 原口!」。試合後も原口を包む大歓声は止まなかった。「本当にたくさんの方に支えられてここまで来られて、たくさんの方に感謝しかないです」。待ちに待った瞬間だった。 昨年末に大腸がんであることが発覚した。1月末に手術を終えたことを公表し、懸命にリハビリを続けた。3月上旬から2軍に合流。「つらい気持ちというのはなかった」。後ろ向きになることはなかった。2軍でフリー打撃を再開した直後の鳴尾浜。練習前の円陣で原口が大きな声で叫んだ。 「人生を幸せに生きるコツは、小さな幸せを見つけること! アンテナを張っていくことが野球にもつながっていく。今日も小さな幸せを見つけて練習頑張りましょう!」 野球ができること、ファンの温かい声、全てに感謝しながら1歩ずつ進んできた。困難を乗り越えたからこそ、グラウンドの1つ1つに小さな幸せを感じた。 9回に代打で出場するまでも、原口はベンチで懸命に戦っていた。チームメートに大きな声援を送りながら、1つ1つのプレーをじっと見つめ、膝に置いた手帳に書き込んだ。そこにはすでに勝利に向けて戦う原口の姿があった。「チームもすごくいい雰囲気。戦力に加わっていけるように頑張っていきたいと思います」。強い男が帰ってきた。【磯綾乃】

◆阪神大山悠輔内野手が4番の働きを見せた。1点を先制した1回無死一、三塁。涌井の初球スライダーをとらえ、中前に適時打を放った。 9回も右中間に2点適時二塁打をマークしたが、4回の満塁機に右邪飛で凡退したのを反省。「本当に大事な満塁の場面で、あの場面で打たないといけない」。同点の局面だっただけに、主砲の自覚たっぷりだった。

◆阪神糸井嘉男外野手が3安打3打点の活躍でチーム2年ぶりの交流戦開幕試合勝利を呼んだ。豪快なアーチが飛び出したのは1点リードの8回だった。 2死一塁でロッテ西野の内角球をさばき、右翼席へ。打った瞬間、本塁打と分かる会心の打球だった。4号2ランだ。 1回には試合を動かしていた。無死一、二塁で涌井から直球を捉え、右前適時打。鮮やかな先制パンチを繰り出し「打ったのはストレート。交流戦の初戦で、初回から先制することができてよかったです」と振り返った。 4回には三塁内野安打を放ち、5月15日以来、今季4度目の猛打賞。昨年の交流戦でチームトップの打率3割4分4厘をマークしたスラッガーが、大勝発進への原動力となった。 試合後は言葉少なだった。「もう、今日は...」。9回に大腸がんからの再起を目指してきた原口のプレーに心を打たれた1人でもある。「すごいことだと思います。感動しました」。チームメートの復活をしっかりと胸に刻んだ。 パ・リーグを知る交流戦での虎浮上のカギを握る男。エネルギーを快音に変える。

◆阪神のドラフト1位近本光司外野手は交流戦突入後もスタイル全開の猛打賞&1盗塁だ。1回は先頭で中前打を放つと、3番糸井の適時打で先制のホームを踏む。「初めての投手でしたけど、しっかり自分のタイミングで自分の打撃ができました」。4回にはリーグ単独トップの16盗塁目となる二盗に成功。「初めての投手で情報が少ない中、ストレートを狙っていい結果につながりました」と納得した。 6回に中前打、9回にも中前適時打。3安打で早くも今季21度目のマルチ安打となった。これはシーズン53回ペースで、リーグ新人記録となる巨人長嶋茂雄の48回を上回る勢いだ。試合後は謙虚に「もっといいところで打てるように頑張ります」と落ち着いた表情。ルーキーとは思えない存在感を放っている。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が交流戦初戦から好発進だ。9回、先頭でレイビンの速球を完璧にとらえ、左翼に6号ソロ本塁打。「いい打席だったね。感触も良かった。チーム的にいいし、全員で勝ちたいと思っているよ」。7試合連続安打にのばし、今季、本塁打を放った6戦は全勝の「神話」を継続だ。

◆阪神原口文仁が打撃の師匠として仰ぐ掛布オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザーも試合前、激励した。 「『頑張れ』と言ったよ。いい目をしていた。あの体の張り具合と目力があれば大丈夫じゃないか。交流戦でチャンスがくるだろうし、彼は節目のときに打つからね」。言葉通りの活躍に目を細めていた。

◆大腸がんからの再起を目指してきた阪神原口文仁捕手(27)が9回に代打で出場。左越えの適時二塁打を放った。昨年10月13日の中日戦以来となる1軍戦出場。鮮やかな復活打でチームの大勝発進に貢献した。試合後の原口の談話は以下の通り。 --1軍復帰戦 原口 緊張感はファームで初めての時の方があったんですけど。終わってみたら、緊張感はあったのかなと後で思いました。 --スタンドからすごい声援 原口 しっかり目に焼きつけるようにスタンドを見て打席に入りました。最後に甘いボールが来たので、それをしっかりとらえられた。頭を越えるかな、ぐらいに思っていたんですけど。 --チームメートからも祝福 原口 ベンチに帰って皆さんからも祝福されて、すごくうれしかったです。矢野監督がボールを手渡してくれたのも1つのサプライズでした。 --1軍復帰が決まってから、どういう心境 原口 若干緊張はありましたけど、これから野球人生リスタートだと思いながら今日を迎えられました。 --いろんな思いがあった 原口 ヒーローインタビューでは伝えきれないことが本当にたくさんあるんですけど。支えてもらった家族であったり、ファンの方であったり、チームでもスタッフの皆さん、選手の皆さん、本当に感謝しかない。1軍の舞台に帰ってきて1打席目でヒットが出た。たくさんの方に感謝したいです。 --これからは 原口 今日1本目が出た。自分のやるべきこと、目の前のことをしっかり準備して、結果を求めてやっていきたいです。 --手術から4カ月あまりでの1軍の打席 原口 僕の中ではもっと早いことをイメージしてベッドの中で考えていたので。多くの方に手助け、サポートをしてもらって、本当にありがたい気持ちと、うれしい気持ちです。 --4カ月は早い復帰だと感じた 原口 僕の中では常に前向きに、今日こうして結果を出すことをイメージしながら日々過ごしてきた。気持ちの部分で早くなったんじゃないかなと思います。 --病気を抱える方にも勇気を与えた 原口 最初のスタートとしては良かったと思う。これを続けて、たくさんのメディアの方にも全国に発信していただいて、前向きに頑張っている皆さんのためにも、これからも僕も頑張ります。 --ネクストバッターズサークルで大歓声 原口 (高山)俊もちょっとやりづらい打席になってしまったと思う。ちょっと申し訳なかったけど、たくさんの方が声援をくれて、ロッテのファンの方々も大きな拍手をしていただいて、すごくありがたい気持ちでした。 --結果を出すために冷静に打席に入れた 原口 梅野がああやって2つ走ってくれて、場面的には自分のバッティングをするだけだった。今までやってきた通り打席に立ちました。 --打席に入る前にスタンドを見上げていた 原口 家族に行ってくるよ、と。これから頑張るよ、という気持ちもありながら。ロッテファン、タイガースファンの皆さん、たくさん声援をくれた。これからまた新しい野球人生が始まるものがスタートするという意味でお辞儀をさせてもらいました。いい結果になって良かったです。 --同じポジションを争う梅野とお立ち台にあがった 原口 僕は本当はヒーローではないので。梅野だったりランディだったり糸井さんがヒーローのところを、ロッテの関係者の方にも無理を言って出してもらった。本当にありがたい気持ちと、ファンの声援に応えられたのはすごくうれしい気持ちでいっぱいです。 --スタンド総立ちだった 原口 それはもう本当にありがたいことです。皆さんがたくさん発信していただいているおかげで、こういう恵まれた野球人生を今過ごせている。これからも皆さんに元気になってもらえるように頑張ります。 --久々の1軍ベンチ。今年のチームの雰囲気は 原口 選手1人1人も、監督コーチもすごく元気を出して選手を盛り上げてくれる。すごくいい雰囲気でやれている。その場に今日、急に入ってついていけるかなって心配だったんですけど、なんとかいけそうな気がします。 --矢野さんのガッツポーズは 原口 見てなかったです。見る余裕ないです(笑い)。 --打球は 原口 抜けるだろうなと思いながら、(二塁で)アウトになるんだなと思って、ちょっと強引に行ってしまったな、と。わざと(送球を)スルーしてくれたのかな(笑い)。ああいう形でヒットになって良かったです。

◆阪神矢野燿大監督が原口の復活劇を演出した。 9回1死三塁で代打起用。見事に応えた一打に満面の笑みで「俺らには分からん思いをフミは持って、打席でも走塁でもしっかり表現してくれた。素晴らしい打撃と気持ちがあった。今日はどこかで絶対、使いたいなと思っていた。メチャメチャうれしかった」と振り返った。2軍の実戦復帰から1カ月もたたないスピード復帰。指揮官は理由を「交流戦の頭で、何かムードをリセットするなかのプラスアルファでフミを呼んだ部分もあった」と明かす。 1軍合流した原口に「楽しみにしてるぞ」と声を掛けると「自分も楽しみます」と返ってきたという。矢野イズムを地でいく劇的な適時打だった。

◆阪神が大腸がんからの再起を目指してきた原口文仁捕手の代打適時二塁打など11点を挙げ快勝した。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -原口のヘッドスライディングは気持ちが入った そこにともなって結果を出すのがスゴイ。「緊張したか?」と言ったら「ファームにいる時の方が緊張した」って(笑い)。落ち着いて、初球から振りに行っているところもスゴイ。 -どういう感情だった 俺は現役時代、一緒にやっている。本当に試合に出たい、うまくなりたいを常に持って、フミには失礼かもしれんけど、うまい選手じゃない。だけど、ここまではい上がってきて。腰を痛めたり、がんになって。いろんなものがあった中を乗り越えてきた。1個1個がフミを大きくしている。一番すごいのは折れない。「コイツすごいな」というのがずっとあって。本当に両手で矢野ガッツしました(笑い)。 -どう受け止めたのか フミのいままでの頑張りに対する野球の神様に、というと大げさかもしれんけど、作ってもらったような舞台のなかで映画のような結果まで出してくれた。みんなが打ったというのもあるけど、ムードに乗れる1勝。すべてがドラマとか映画のような感じやった。 -戦力としても大きい マルテも状態が上がってきているけどファーストもありえる。使っていける戦力としても大きい。ランディも粘ってくれた。申し分のないウチとしては交流戦勝ちのスタートを切れた。

◆大腸がんから復活した阪神原口文仁捕手(27)が、2戦連続で代打出場した。 出場選手登録された前日4日は4点リードの9回1死三塁で代打登場し、左翼フェンス直撃の適時二塁打で1軍復帰戦を飾っていた。 この日は1点を追う5回1死一、三塁で代打登場。右腕岩下の外角フォークを空振り三振したが、連日の大歓声を浴びた。

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が4日のロッテ戦(ZOZOマリン)で一回に先制の右前適時打を放った。  「打ったのはストレート。交流戦の初戦で、初回から先制することができてよかったです」  一回、D1位・近本(大阪ガス)の中前打、糸原の四球で無死一、二塁で打席へ。カウント1-2からの4球目、内角140キロを振り抜いた。打球は一塁手の左でバウンドが変わり、右前へ転がっていく適時打に。1点を先制すると、なおも無死一、三塁で大山。初球の外角120キロを中前へはじき返し、2点目を追加。一回から2点を先取し、上々のすべり出しとした。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(27)が4日のロッテ戦(ZOZOマリン)で五回1死から勝ち越しの5号ソロを放った。  「相手投手の一番良いボールの真っすぐを、狙って打つことができました」  3-3で迎えた五回。1死走者なしで打席に入り、3球目の144キロ直球を振り抜き右翼ホームランラグーンに放り込んだ。2日の広島戦(マツダ)の二回にも先制ソロを放っており、2戦連続の本塁打となった。

◆交流戦歴代2位タイの24勝を挙げている、ロッテの涌井秀章投手(32)が4日、阪神1回戦(ZOZOマリン)に先発。5回9安打4失点でマウンドを降りた。  一回、先頭のルーキー・近本に中前打で出塁されると、糸原に四球で一、二塁。3番・糸井の打球は一塁手の手前でバウンドが変わる不運な右前適時打で先制を許した。続く大山にも適時打を打たれ、一回から2失点を喫した。  二回には2死一塁から糸原にヒットエンドランを決められ、左前打。さらにこの打球を処理した左翼手・菅野の本塁への送球を捕手・吉田が後逸(記録は菅野の悪送球)し、さらに1点を失った。  その裏に味方が同点に追いついたが、五回1死無走者から6番・梅野に右翼ホームランラグーンに飛び込む5号ソロを打たれ、勝ち越しを許した。  交流戦の通算勝利数は、昨年引退した巨人・杉内2軍投手コーチの26勝に次いで、ソフトバンク・和田と並ぶ歴代2位の24勝を誇る涌井だが、5回9安打4失点、100球で降板。現役単独トップの25勝目を手にすることはできなかった。

◆阪神のメッセンジャーは3-0の二回に同点にされた。自身3連敗中の悪い流れを止めたかったが、9四死球と苦しんだ5月25日のDeNA戦に続き、制球難からリードを失った。  37歳の大黒柱は「球速を気にする年齢ではない。若い頃とは違う」と話していた通り、緩急と制球を生かすスタイルに変えた。しかし二回は2四球と安打で満塁を招いて犠飛で1点返され、さらに四球を与えた後に荻野に左前へ2点打。過去2年続けて黒星を喫していたロッテに一気に追い付かれた。

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が4日のロッテ戦(ZOZOマリン)で八回2死一塁から右翼席最深部へ特大の4号2ランを放った。  1点リードで迎えた八回。2死から糸原が中前打で出塁し、迎えた第5打席だった。1ボールからの2球目、146キロ直球を一閃。打った瞬間それとわかる当たりに、豪快にバットを放り投げた。超人の大きな大きな一発で、6-3とリードを広げた。

◆阪神・原口文仁捕手(27)が4日のロッテ戦(ZOZOマリン)の九回1死三塁で代打で登場。左翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。  今年1月に大腸がんを公表し、この日に1軍昇格。割れんばかりの大歓声とともに打席に入った。カウント1-2からの4球目、141キロを振り抜いた。打球はぐんぐん伸びて左翼フェンスに直撃。原口は二塁まで全力疾走し、ヘッドスライディング。"開幕戦"の初打席は、リードを5点に広げる適時打に。詰めかけた虎党たちを感動の渦に包み込んだ。

◆阪神は、4日のロッテ戦(ZOZOマリン)に11-3で快勝。交流戦開幕を白星で飾った。  一回に糸井、大山の連続適時打で2点先制。3-3の五回1死で梅野が勝ち越しの5号ソロ。糸井が八回2死一塁から右翼席最深部へ特大の4号2ランを放った。  今年1月に大腸がんを公表した原口が1軍に昇格し、九回1死三塁で代打で登場。左翼フェンス直撃の適時二塁打。さらに近本の適時打、大山の2点二塁打で、一挙5点で駄目を押した。

◆ロッテのジョシュ・レイビン投手(31)が4日、阪神1回戦(ZOZOマリン)の九回に5番手で登板。1回を持たず、3安打3四死球5失点で降板した。  守護神候補として期待されて来日したが、右肩の違和感や右脇腹痛で出遅れ、今月2日に初昇格。同日の初登板では1回を無安打1四球無失点におさえたが、この日は3点ビハインドの九回に登板して、いきなり先頭のマルテに6号ソロを被弾。さらに続く梅野を四球で出すと、二盗、三盗を許してピンチを広げ、この日1軍復帰の代打・原口に左越え二塁打、近本に中前適時打で2失点。続けて2四死球を与えて満塁のピンチを招いたところで降板を告げられた。  代わった田中が、続く大山に右中間を破る2点打を浴び、計5失点。散々な内容に終わったレイビンについて、井口監督は「コントロールも含めて苦しい部分がある。(クイックも)ちゃんとやってくれないと、いいところでは投げられない」と厳しい表情をみせた。

◆大腸がんの手術から復活した阪神・原口文仁捕手(27)が4日のロッテ戦(ZOZOマリン)の九回1死三塁で代打で左翼フェンス直撃の適時二塁打。試合後のヒーローインタビューで「本当にたくさんの人に感謝の気持ちしかないです」と、復帰への思いを語った。  --おかえりなさい  「ありがとうございます!!」  --1軍どうですか  「1軍は素晴らしい舞台だなあと改めて思いました」  --ここまでの道のりは  「本当にたくさんの方々に支えられてここまで来られたので、本当にたくさんの人に感謝の気持ちしかないです」  --チャンスで代打。あのときの心境は  「自分の中ではあまり緊張してないと思っていたんですけど、思っていたら、胃がキリキリ痛いですね」  --ヘッドスライディングも  「ヘッドスライディングをするのも2、3年ぶりなんで。ちょっと勢いに任せていってしまいました」  --この日をファンは待っていた  「チームもすごいいい雰囲気でやっているので、その輪に戦力として入っていけるように頑張っていきたいと思います。ありがとうございました」

◆ロッテは4日、阪神1回戦(ZOZOマリン)に3-11で敗戦。連勝が2でストップし、借金は再び2となった。  交流戦歴代2位タイの通算24勝を挙げているエース涌井が先発するも、一回から2失点。二回には左翼手・菅野の本塁への送球を捕手・吉田が後逸(記録は菅野の悪送球)するミスもあってさらに1点を失った。  三回に阪神先発・メッセンジャーの3四球にも助けられ、三木の左犠飛、荻野の2点打で同点に追いついたが、四回1死一、三塁の勝ち越し機で9番・吉田のセーフティースクイズが投手のほぼ正面に転がり、三塁走者がタッチアウトとなるなど無得点に終わった。  すると直後の五回に、涌井が梅野に勝ち越しソロを被弾。八回には4番手の西野が、2死から糸井に特大2ランを許し、九回にはレイビンも打ち込まれ、16安打11失点で大敗を喫した。  井口監督は「ミスもありましたし、ずっと向こうのペースでいってしまった。(バントミスは)練習からしっかりやっていかないと、特に7、8、9番がしっかりしないと上位につながらない。(先発の涌井も)立ち上がりは、しっかりいってほしかった」と厳しい表情だった。

◆阪神・矢野燿大監督は4日のロッテ戦(ZOZOマリン)に11-3と快勝。試合後、大腸がん手術から復活した原口の適時二塁打に「すべてがドラマとか映画のような感じ」と語った。  --原口のヘッドスライディングは気持ちがこもっていた  「ねえ。そこにともなって結果を出すのがスゴイと思う。『緊張したか?』と言ったら『ファームにいる時の方が緊張した』って(笑)。落ち着いて初球から振りに行っているところもすごいと思う。戻ってくるときに多分、俺らには分からん思いをフミ(原口)は持って、それを打席でも走塁でもしっかり表現してくれた。素晴らしい打撃と気持ちがあったね」  --出番はああいう場面を想定していたのか  「今日はどこかで絶対、使いたいなと思っていた。みんながいい形を作ってくれた。リュウ(梅野)も三塁まで盗塁してくれたところでまた、楽にというのはないかもしれないけど、そんな余裕はないかもしれんけど。みんながフミの舞台を作ってくれて、フミ自身がそれをああいう結果を出してくれてというね。どっちもあると思う」  --紆余曲折あった  「俺は現役時代を一緒にやっているしね。現役時代をやっていて、試合に出たいとか、うまくなりたいとかを常に持っていた。フミには失礼かもしれないけどね。うまい選手じゃないと思うのよ。だけど、ここまではい上がってきたね。腰も痛めたり、がんにもなって...。常に試練というか、いろいろなことがあった中で乗り越えてきたんでね。その1個、1個がフミを大きくしていると思う。あいつの一番、すごいのは折れないというか。その気持ちが現役時代にやっている時から『こいつ、すごいな』っていうのがずっとあって。結果も出してくれるっていうね。本当に両手で矢野ガッツしました」  --監督は原口のヒットを見てどんな感情を  「もうネクスト(バッターズサークル)から雰囲気をファンの人が作ってくれたり。映画じゃないけど、舞台が整っていく中で、なんかフミの今までの頑張りに対する、野球の神様っていうと大げさだけど、作ってもらったような舞台の中で映画のようなというか、そんな結果まで出してくれたんで。メチャメチャ嬉しかったし。交流戦の頭というところで、何かムードをリセットする中のプラスアルファというところでフミを(1軍に)呼んだってところもあったんで。そう意味でも、みんなも打ったというのもあるけど、ムードに乗れる一勝になったのでね。すべてがドラマとか映画のような感じやった」

◆ロッテは投手陣が今季ワーストに並ぶ11失点と崩壊した。先発の涌井は、味方の守備の乱れなどもあって5回4失点で降板。九回は新外国人のレイビンが5点を失った。井口監督は「涌井は立ち上がりをしっかりいってほしかった。(レイビンは)制球も含めて、なかなか苦しいところがある」と手厳しかった。  レイビンは抑え候補として獲得したが、故障などで出遅れて今季2試合目の登板だった。井口監督は「まだ投げる場面もある」と復調に期待した。

◆ロッテは毎年恒例の限定ポスターで「その読み、的外れやのぉ~」と阪神・矢野監督を"挑発"。これを受けて、仕掛け人の梶原広報が敵将のもとへ謝罪に向かった。「ヘッドロック」を覚悟したが、矢野監督は「ええよ。面白いやん。面白いことして盛り上げようや!」と歓迎。"歴史的和解"に、かつてサンケイスポーツの阪神担当記者だった梶原広報は「感謝、感謝です」と胸をなで下ろしていた。

◆昼過ぎに阪神ナインのバスがZOZOマリンスタジアムに到着すると、神妙な顔をしたロッテの球団職員が直立不動...。逆に虎ナインが一瞬「ン、何かあったの...」という表情。  少し説明をします。  まず、その球団職員は梶原紀章広報メディア室長です。彼は実は元サンスポのトラ番記者でした。機敏な動きとユーモアタップリのセンス、何よりもスタミナが尽きることがない...。それを見込んでサンスポは若い頃から泣く子がますます泣き出すほどの? トラ番に起用しました。ソノ姿がロッテ球団の目にとまったらしく、スカウトされまして...さぁそこからの猛烈なサービス精神とサンスポ育ちのDNAで名物広報マンとして頑張ってきました。  その梶原流で、5月28日の「虎ソナ」でちょっと紹介させていただきましたが、交流戦開幕にあわせて恒例の"挑発ポスター"を企画。阪神についても大胆不敵なキャッチコピーをつけた。それはいくらなんでも...とロッテ球団自身、腰がひけるほどの刺激的なものでした。そこに原口選手が復活という希望の話題...。  千葉が故郷で"里帰り"した堀啓介デスクは、「梶原さんがバスの到着と同時に、矢野監督に謝罪にいくと聞いていたんで。注目していたんですが、監督のもとに来たのは、練習が始まってからでした。『遅かったじゃないですか。バスの前でポスターを持って謝罪するのかと思いましたよ』と言うと『そうしたかったけど...』と苦笑いでした」という。  つまり、阪神のバスが球場に到着するのを彼は"最敬礼"で出迎える予定だったが、原口選手の復帰で、バスの前には報道陣がずらり。さすがに邪魔するわけにはいかなかったというわけ。  「偶然ですからね...矢野監督も気にするなョ...という表情で梶原氏と笑顔で写真にもおさまってました...。試合前の原口選手の打撃練習にも柵越えが出ると水色の『原口タオル』が一斉にゆれて...みんな原口選手の元気な姿を誰もが待っていたんですよ...」と長友孝輔。  キャップ大石豊佳は「いわば阪神にとっては原口選手の復活に、みんなが集中している緊張感がゲーム前から漂っていましたから注目してください」という。  そして一回から近本の元気はつらつぶりと糸原の巧打ぶり。そして梅野捕手のパンチの効いた打撃...でゲームの主導権をとってはいたが、先発のメッセンジャーがやや千鳥足...。  こうなってくると「原口の出番」に焦点があたってくるが...まずその前にもう少しクリーンアップが打ってもらいたい。千葉の気まぐれな風と戯れている感じがして、イライラさせられた。  そして、注目の原口選手は九回、大歓声の中、代打で登場し、強烈な打球は左翼フェンスを直撃する適時二塁打。最後は気迫のヘッドスライディングをみせてくれました。元気に戻ってきた原口選手のいきなりの活躍に、スタンドの虎ファンも涙を流していました。  みなさん、ロッテの交流戦ポスターの阪神へのコピーはこうでしたよね。  「その読み、的外れやのぉ~」  梶原広報殿、そっくりそのままそちらにお返しさせてもらいますヮ。野球を愛するファンの誰もに、熱いモノがこみ上げた打球のすがすがしさ...。

◆互いに「7番・左翼」に名を連ねた。高山とロッテの菅野だ。2015年秋のドラフト会議。明大の会見場で高山(阪神1位)、坂本(同2位)、上原(日本ハム1位)と名前が呼ばれる中、唯一人、指名漏れしたのが菅野。仲間を思う3人の複雑な表情が印象的だった。試合前に高山に聞くと「会いましたよ。ちょっとしか話せなかったですけどね」と笑顔。日立製作所を経て昨年、ロッテ入りした同級生と、同じ舞台で対決とは感慨深い。「そうですね」とうれしそうだった。

◆世の中に神様がいるかどうかは知らないけど、少なくとも全国の虎党は本日、野球の神様がいることをハッキリ知ったのだ!!  今年1月に大腸がんを公表し手術。その原口文仁が九回、代打でタイムリーツーベースを放ち、自らのバットで病魔まで断ち切ったのだ!! ウウウ~。その瞬間、勝ち負けを超越した野球というドラマの素晴らしさに多くの人が涙した。  しかし、神様!! 神は乗り越えられない試練は与えないなんて言うけどさあ、原口を育成に落としてはい上がらせたり、昨季は球団代打記録タイの23安打を記録したのに、大腸がんから本日の奇跡の復活劇って...。この強い精神力をたたえて、秋に猛虎がVを決める代打満塁逆転優勝ホームランくらいのご褒美を用意してなかったら許さねーかんな!!  原口君おかえり! そして、本当におめでとう! さぁ、わが阪神は鬼門の交流戦1コ目から好スタートを切ったのだ!  元号が令和に変わって強いパ・リーグの時代は終わったのだ!! というくらいにコテンパンにしてやろーじゃねーか!!

◆--原口のヘッドスライディングは気持ちがこもっていた  矢野監督 「ねえ。そこにともなって結果を出すのがスゴイと思う。『緊張したか?』と言ったら『ファームにいる時の方が緊張した』って(笑)。戻ってくるときに多分、俺らには分からん思いをフミ(原口)は持って、それを打席でも走塁でもしっかり表現してくれた。素晴らしい打撃と気持ちがあったね」  --紆余曲折あった  「俺は現役時代を一緒にやっているしね。試合に出たいとか、うまくなりたいとかを常に持っていた。腰も痛めたり、がんにもなって...。常に試練というか、いろいろなことがあった中で乗り越えてきたんでね。その1個、1個がフミを大きくしていると思う。あいつの一番、すごいのは折れないというか。その気持ちが現役時代にやっている時から『こいつ、すごいな』っていうのがずっとあった。本当に両手で矢野ガッツしました」

◆16安打11失点で大敗。連勝が2で止まり、借金は再び2となった。歴代2位に並ぶ交流戦通算24勝を挙げているエース・涌井が5回9安打4失点で3敗目。9回に5番手で登板したレイビンは、2/3回を3安打3四死球5失点で途中降板と投手陣が踏ん張れなかった。梅野に2盗塁を許す散々な投球に、井口監督は「コントロールも含めて苦しい部分がある」と険しい表情を見せた。

◆原口の恩師である帝京高・前田三夫監督(69)はネットニュースでまな弟子の劇打を知り、大喜びだ。  「苦しみながらも、よくここまで復帰できたなというのが率直な気持ちです」  教え子の大病にショックは大きかったが、気を使わせたくはなかった。連絡を入れたのはユニホーム姿でリハビリを開始した3月7日と、2軍で実戦復帰した5月8日の2度だけ。「無理するなよ」と声をかけると、電話の向こうから「大丈夫です。一生懸命調整して、復帰できるように頑張ります」と明るい声が返ってきたという。  前田監督は6日が70歳の誕生日。2日早い古希祝いのお礼に「応援や激励を感謝の気持ちで受け止めて、これからもがんばってほしい」とエールを送った。

◆自身も白血病と戦った経験がある虎党の俳優・渡辺謙(59)が4日、ツイッターを更新。「今日は一日江戸で仕事の為、試合は見られず。でも嬉しいニュースです。原口君辛かった今までを振り切るような炎のフェンス一撃弾!! おそらく一生忘れられない感触だった事でしょう」と興奮気味にツイート。「ここまで来るのに費やしたエネルギー、相当なものだったと。まだまだ焦らず、ゆっくりしっかり戦力に戻って下さい」と続けた。

◆マルテが豪快な一発で試合を決めた。6-3の九回、先頭でレイビンの155キロの速球をとらえ、虎党で埋まった左翼席上段へ6号ソロ。「いい打席だった。感触もよかったよ」。これで7試合連続安打と好調。「チーム的にも(状態が)いいし、いつものリズムで、チーム全員で、勝っていきたい」と笑顔でバスに乗り込んだ。

◆粘って、耐えて、久しぶりの白星だ。先発のメッセンジャーが4試合ぶりに勝利。力投で今季3勝目(5敗)を挙げた。  「最初に3点取ってくれたにも関わらず、追いつかれたのは悔しいですけど、その後も勝ち越してくれましたし、粘って粘ってなんとか粘れたかなと思います」  二回までに打線が3点を先取。登板4試合、20イニングにわたり無援に泣いてきたこれまでとは一転、優位に投げられたはずだったが...。二回に3失点。3四球と2安打であっさりと同点を許してしまった。それでも三回以降は直球の割合を増やすなど配球を工夫。走者を得点圏に背負いながらも要所を締め、スコアボードにゼロを並べた。  終わってみれば6回5安打3失点。ロッテ戦では2013年5月23日以来7年ぶりの白星だ。交流戦の"開幕投手"として堂々のピッチングでチームの勝利に貢献した。  自身にとっても虎にとっても、特別な試合になった。昨季バッテリーを組んだ試合もあった原口の1軍復帰戦。復活を心待ちにしていた"女房役"は九回1死三塁で劇的な適時打を放った。  「最高ですね。原口くんがどれだけ努力する子かも知っていますし、本当に元気をもらっている。あんな場面であんないいヒットを打つんですから。スバラシイ! アンビリーバブル!」  ジーン・バッキー氏の持つ球団外国人最多の日本通算100勝の記録まであと2勝。二重にも三重にもうれしい勝利に、久しぶりの笑顔があふれた。ここからもう一度、メッセンジャーが虎のエースとして勝ち続ける。 (箭内桃子)

◆試合後、ZOZOマリンスタジアムの左翼席に陣取った阪神ファンからは「原口コール」がわき起こった。それに応えて原口文仁捕手(27)は梅野とともにヒーローインタビューに登場。久々にファンの前で、肉声を聞かせた。  (試合後のヒーローインタビュー)  --チャンスで代打に出た。あのときの心境は  「あまり緊張してないと思っていたんですけど、終わってみれば胃がキリキリ痛いですね」  (TVインタビュー)  --1軍昇格が決まってからの心境は  「移動日を挟んでいたので緊張はありましたけど、これから野球人生はリスタートと思いながら迎えられました」  --ここまでの思い  「ヒーローインタビューで伝えきれないことがたくさんある。家族や関係者、チームスタッフ、選手のみなさん。野球ができることに感謝しかない。また1軍に帰ってきて、1打席目で結果が出た。本当にたくさんの方のおかげ。感謝しかないです」  (記者の囲み)  --梅野とお立ち台  「本当は僕はヒーローじゃない。ロッテの関係者の方に無理を言って出してもらった。本当にありがたい気持ちと声援に応えられて、すごくうれしいです」

◆風のことなら、誰よりも理解している。白球は海から右翼へと吹く潮風に乗り、ぐんぐん伸びた。決勝の5号ソロで破顔一笑。梅野が、また虎を勝たせた。  「真っすぐのタイミングに合わせて、甘くなかったけど、しっかりコンタクトできました」  涌井が立ち直る気配を漂わせ始めた五回1死。外角144キロ直球を狙い、バットを伸ばす。快音とともに放たれた白球は潮風に乗り、今季から設置されたホームランラグーンに着弾した。待望の決勝弾で幕張の夜空に六甲おろしを響かせた。  2日の広島戦(マツダ)に続き2試合連発。昨年の6月27日のDeNA戦(横浜)で3号を放って以来、梅野が一発を放った試合は10連勝だ。矢野監督も「リュウ(梅野)もすごいよ。流れがいったりきたりしている中での、あの一発やったし」と頭を下げた。  捕手を務めるからこそ投手との"交流"を忘れるはずがない。メッセンジャーを誰よりも信じているのが梅野だ。相棒が4月20日に登録抹消となり、2軍調整。その後、1軍に再合流すると、すぐ言葉を交わした。何とわずか2週間でツーシームを習得し、ブルペンで披露してみせたのだ。  目を丸くした梅野も「右打者の内角にしっかり投げられるように投げ始めたみたい。外側に間違えないように」。急造で覚えてきた新球にも勇気を持ってサインを出し、6回3失点で3勝目へと導いた。今季、メッセが登板した9試合全てで先発マスク。梅野が信じるから、メッセも梅野を信じてくれる。  「自分たちが味わっていないようなことで、わからないこともあると思うけど、乗り越えて結果を残すのはかっこよすぎるな...と」  帰ってきた"同級生"の原口にも思いをはせた。頼もしい選手会長に率いられ、チームは今季最多タイの16安打で快勝。誰よりもナインを信じる梅野が、もっと虎を勝たせてくれる。

◆パ・リーグを知り尽くす超人が、ド派手な花火で開幕戦を彩った。自ら描いた放物線に酔いしれ、ゆっくりと歩き出す。糸井が4号2ランを含む3打点の大暴れ。虎を連勝に導き、原口の復帰戦を勝利で飾った。  「(原口の姿に)感動しました。本当にすごいことだと思う」  4-3のまま試合は終盤へ。迎えた八回2死一塁で打席に立った。初球に狙いをすまし、一閃。打った瞬間に行ったとわかる完璧は一発は、ロッテを突き放す貴重すぎる2ラン。ひと振りが呼び水となり、九回にも一気に5得点を挙げた。  一回無死一、二塁では強烈な打球が赤土でイレギュラー。右前に抜ける先制打で、試合の主導権を握った。同じくベテランの福留が負傷離脱している中、今季3度目の3打点で、虎をグッと勝利へと押し上げた。パ・リーグとの対戦でDHの起用法が焦点だったが、矢野監督は糸井に託した。ここまで欠場は1試合のみ。打撃に専念させた効果はてきめんだった。  「これからも頑張れよ」  ともに自主トレで汗を流してきた今成亮太氏(現タイガースアカデミーコーチ)が昨オフ、現役を引退。日本ハム時代からのかわいい弟分の節目に肩をたたき、言葉を送った。「どういう感覚で打っているんですか?」と今成氏に助言を求められたときには真摯(しんし)に向き合い、自分なりの答えを差し出した。互いに切磋琢磨してきた師弟関係だ。1月には今成氏の引退のために用意されたトークショーに福留、オリックス・吉田正とともに、正装で出席。超人トークで、虎党の笑いを誘った。  「今でも(球場に)よくおるやん」  クラブハウスで顔を合わせれば「持ってけよ」とシャツやパンツを気軽にプレゼントする。2人の"交流"は健在だ。今成氏も「けがだけが心配です。糸井さんを1年間みたいファンはたくさんいると思うし、僕もそのひとり」とエールを送る。ひとつの別れがまた、超人を強くした。  四回にも内野安打を放ち、今季4度目の猛打賞を記録。超人はもう止まらない。パを相手に、思うままに暴れてみせる。 (竹村岳) 貴重な2ランを放った糸井について阪神・浜中打撃コーチ 「もちろん大きかった。久々に右翼に完璧なホームランだった。ああいうところで追加点が取れたら、いいつながりができる」

◆ウオォ~! やっぱりスゴい!! 「日本生命セ・パ交流戦」が開幕し、阪神はロッテ戦(ZOZOマリン)に11-3で大勝。今年1月に大腸がんを公表し、この日今季初めて1軍に登録された原口文仁捕手(27)が九回に代打で登場し、フェンス直撃の左越え適時二塁打を放った。頼もしい男の復活で貯金は今季最多タイの「6」。首位広島とは3ゲーム差や~!  こうなると信じ続けてきた。だから緊張も、涙もいらない。決意と覚悟を胸に、原口がはじまりの一撃だ。ヘルメットを取って場内に一礼する。思いを込め、力を込めて、いきなりの代打・左越え適時二塁打だ。  「家族に『いってくるよ、これから頑張るよ』って気持ちもありながら。タイガースファン、ロッテファンの方がたくさん声援をくれた。ここからまた野球人生で新しいものがスタートする、という意味でお辞儀させてもらった。いい結果になってよかったです」  7-3の九回。ネクストに立った瞬間、敵地は声にならない声であふれた。レイビンにカウント1-2と追い込まれたが、感覚を研ぎ澄まして捉えた。二塁へは見せたことのないようなヘッドスライディング。虎党の視界がにじむ中、圧巻のカムバック打の完成だ。  大腸がんが判明し、約5カ月で初安打初打点。「本当に信ずればそうなるのであり、必ず、信じた通りにさせるのである」。自筆の言葉をスマートフォンの壁紙にしていた、この男だけには、この光景が見えていた。  手術後は絶食となったが、食欲は全開。1歳目前だった娘が隣でパンを食べ始めると「ちょうだ~い!」と叫んだ。夫人は優しく、むくんだ足をさすりながらほほ笑んだ。早食いの習慣が抜けないことを夫人に叱られつつ、徐々に食事量を増やしていった。  退院して間もない2月には、別のことで叱られた。「他球団のキャンプをあんなにしっかりと見た現役選手って、僕が初めてなんじゃないですかね?」。夫人の観戦用だったプロ野球の有料放送をずっと見ていた。「広島って、あんな練習をしていたんですね...」。目からウロコの期間だったが、興奮してテレビにかじりついていれば疲れてしまう。電源を切られた日もあった。夫人の家事中、買い物中にコッソリと見たりもした。  もう1人、強く信じていた人が矢野監督だ。春季キャンプのブルペン。観覧していた少年が背番号「94」のユニホームを着ていた。「原口、好きなん? フミは絶対に帰ってくるからな!」。絶対は現実になった。原口の放った"記念球"が三塁側に帰ってくると自ら捕球して手渡した。「きょうはどこかで絶対、使いたいと思っていた。フミの今までの頑張りに対する、野球の神様っていうと大げさだけど。すべてがドラマとか映画のような感じやったね」。原口が強く強く思い描いてきた筋書きで、虎は最高の交流戦白星発進だ。  「あまり緊張してないと思っていたんですけど、終わってみたら、胃がキリキリ痛いですね」  少しだけ目に光るモノを見せつつヒーローインタビューで笑った。この先も信じ、見えている。強い強い原口が、新しい一歩を踏み出した。 (長友孝輔) 原口の復帰後、初安打に阪神・揚塩球団社長 「よかったです。すごいですね。チームもさらに乗っていく? そうですね」 阪神・谷本球団副社長兼本部長 「素晴らしい。涙が出ました...。すごい当たりでしたね」

◆メッセンジャーにとって、きっかけとなる勝利だろう。3失点した二回は、もう少し大胆にいっていいのに、と思いながら見ていた。まるで終盤の1点差のような窮屈な投球だったからだ。  フォークなど変化球ばかりで、それを見逃されてボール、ボールに。下位打線なのに、自分から苦しい投球をしてしまった。相手が明らかに直球狙いだったとはいえ、それでも、やはり変化球は直球ありきだ。球速、球威は全盛期から衰えたといっても角度はあるし、投球技術もある。もう少し、真っすぐで攻めていっていい。  実際、1点リードをもらった五、六回は直球が増え、非常に大胆になった。梅野のリードも思い切りがあり、特に六回先頭のレアードを、フルカウントから141キロの真っすぐで空振り三振に抑えたのは見事。バッテリーの強い信頼を感じた。この投球を、一回からやれれば、もっと勝ちはついてくるはずだ。  チームにとっても、広島に勝って入った交流戦で初戦を取れた。流れ的に大きいし、火曜日のカード頭にメッセンジャーをもってきた意味がある1勝だった。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆「日本生命セ・パ交流戦」が開幕し、阪神はロッテ戦(ZOZOマリン)に11-3で大勝。今年1月に大腸がんを公表し、この日今季初めて1軍に登録された原口文仁捕手(27)が九回に代打で登場し、フェンス直撃の左越え適時二塁打を放った。  元広島投手の北別府学氏(61)は5日、ブログで「原口選手 ガン闘病を乗り越えて復帰おめでとう!!」と祝福。「私も少しばかり病気を抱えていますが、チキンなもので誰にも言わない言いたくない」と明かした上で、「原口選手のそんな強靭なメンタルを心から尊敬します」と絶賛した。

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
100 1.000
(-)
-
(-)
1711
(-)
3
(-)
3
(-)
3
(-)
0.390
(-)
3.000
(-)
2
(-)
ソフトバンク
100 1.000
(-)
0
(-)
176
(-)
4
(-)
4
(-)
1
(-)
0.344
(-)
3.000
(-)
3
(-)
DeNA
100 1.000
(-)
0
(-)
173
(-)
1
(-)
1
(-)
0
(-)
0.333
(-)
1.000
(-)
4
(-)
日本ハム
100 1.000
(-)
0
(-)
177
(-)
6
(-)
2
(-)
2
(-)
0.324
(-)
3.600
(-)
5
(-)
西武
100 1.000
(-)
0
(-)
175
(-)
4
(-)
0
(-)
2
(-)
0.250
(-)
3.000
(-)
6
(-)
巨人
100 1.000
(-)
0
(-)
173
(-)
2
(-)
2
(-)
0
(-)
0.250
(-)
2.000
(-)
7
(-)
楽天
010 0.000
(-)
1
(-)
172
(-)
3
(-)
2
(-)
0
(-)
0.250
(-)
3.000
(-)
8
(-)
広島
010 0.000
(-)
1
(-)
174
(-)
5
(-)
1
(-)
0
(-)
0.205
(-)
1.640
(-)
9
(-)
ヤクルト
010 0.000
(-)
1
(-)
176
(-)
7
(-)
2
(-)
0
(-)
0.211
(-)
6.520
(-)
10
(-)
ORIX
010 0.000
(-)
1
(-)
171
(-)
3
(-)
1
(-)
0
(-)
0.278
(-)
3.000
(-)
11
(-)
中日
010 0.000
(-)
1
(-)
174
(-)
6
(-)
1
(-)
0
(-)
0.097
(-)
6.750
(-)
12
(-)
ロッテ
010 0.000
(-)
1
(-)
173
(-)
11
(-)
0
(-)
0
(-)
0.188
(-)
10.000
(-)