阪神(☆8対4★)巨人 =リーグ戦9回戦(2019.05.29)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:藤川 球児(3勝0敗0S)
敗戦投手:桜井 俊貴(1勝1敗0S)

本塁打
【巨人】丸 佳浩(8号・1回表ソロ),坂本 勇人(17号・3回表ソロ),丸 佳浩(9号・8回表ソロ)
【阪神】マルティネス(5号・8回裏2ラン),高山 竜太朗(1号・12回裏満塁)

  DAZN
◆阪神が劇的なサヨナラ勝利。阪神は2点を追う8回裏、マルテの2ランが飛び出し同点とする。そのまま迎えた延長12回には、代打・高山がグランドスラムを放ち、試合を決めた。投げては、7番手・藤川が今季3勝目。敗れた巨人は8番手・池田が痛恨の一発を浴びた。

◆巨人坂本勇人内野手(30)は通算200本塁打へあと1本。 坂本勇のプロ1号は08年4月6日阪神戦で、100号が14年3月28日阪神戦。1500安打、1500試合も阪神戦で達成しており、阪神相手にまた記録達成なるか。

◆巨人丸佳浩外野手(30)が、先制の8号ソロ本塁打を放った。 1回無死一塁から、坂本勇が併殺打に倒れた直後、1ストライクからのスライダーを中堅バックスクリーンに運んだ。「甘い球を1発で仕留めることができて、良かったです」とコメントした。

◆巨人坂本勇人内野手がリーグトップの17号ソロ本塁打を放ち、史上104人目となるプロ通算200本塁打を達成した。 1点リードの3回2死、阪神青柳の141キロ直球を中堅バックスクリーン左に運んだ。「いい追加点になった。これからも1本1本、チームのために積み重ねていきたいと思います」とコメントした。 天敵を攻略した。先発の阪神青柳とは試合開始前の時点で通算18打数2安打、打率1割1分1厘。前日28日の練習後には「打ててない投手を打つのはプロとして楽しみ。変則ですし、タイミングを取るのは難しいけど、それを打つのがプロ。いろいろ考えながらやります」と意気込んでいたが、結果で体現した。 節目の200号も、阪神戦だった。プロ1号は08年4月6日阪神戦で、100号が14年3月28日阪神戦。1500安打、1500試合も阪神戦で達成した。中学生までは兵庫で暮らし、幼少期に観戦にも訪れた甲子園で記録を刻んだ。 今季は主に2番を任されながら、月間本塁打数が自己最多の10本に到達した。本塁打争いはトップの17本で打率、打点ともに上位にランクイン。巨人史上、最強の2番打者が打線を引っ張る。【久保賢吾】

◆巨人坂本勇人内野手(30)がリーグトップの17号ソロ本塁打を放ち、プロ通算200本塁打を達成した。3回2死、阪神青柳の141キロ直球を中堅バックスクリーンに運んだ。「いい追加点になった。これからも1本1本、チームのために積み重ねていきたいと思います」とコメントした。 先発の青柳とは試合開始前の時点で通算18打数2安打、打率1割1分1厘。前日28日の練習後には「右打者は打ててないわけですし、打ててない投手を打つのはプロとして楽しみ。変則ですし、タイミングを取るのは難しいけど、それを打つのがプロ。いろいろ考えながらやります」と意気込んだが、結果で示した。

◆阪神上本博紀内野手(32)が反撃打を放った。 3点を追う5回2死二、三塁。左腕今村にカウント1-2と追い込まれながら、外角フォークを右中間に運んだ。1点差に迫る2点二塁打となり、一塁側ベンチの矢野監督も力強くガッツポーズした。

◆阪神青柳晃洋投手は5回8安打3失点で降板した。 1回いきなり3番丸に先制ソロを浴びると、3回には相性が良かった2番坂本勇にも通算200号となる中越えソロを献上。3回にも失点し、3点を追う5回1死一塁で代打を送られた。 降板後は「大事なカードの頭で簡単に先制点を許してしまい、先発としての役目を果たすことができず、チームに申し訳ないです」とコメントした。

◆巨人坂本勇人内野手がリーグトップの17号ソロ本塁打を放ち、史上104人目となるプロ通算200本塁打を達成した。 ▼通算200本塁打=坂本勇(巨人) 29日の阪神9回戦(甲子園)の3回、青柳から今季17号を放って達成。 プロ野球104人目で、巨人では7人目。初本塁打は08年4月6日の阪神3回戦(東京ドーム)で阿部から。坂本勇は1574試合出場しているが、そのうち遊撃手で1552試合。遊撃手で1000試合以上出場して200本塁打は7人目。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)が起死回生の同点2ランを放った。 2点を追う8回2死一塁、内角低め直球を軸回転で強振。左翼ポール際最前列席に5号2ランを届かせ、「ゾーンを決めて打つことができたよ。チームのために打つことができて最高の気分だね」と振り返った。 矢野監督は思わず夜空に拳を突き上げるガッツポーズ。マルテも感情を爆発させながらダイヤモンドを回った。

◆巨人は1回、丸の8号ソロで先制。3回には坂本勇が通算200号となる17号ソロ。阪神は序盤から走者を出すが生かせず。 巨人は4回に大城の二塁打で1点追加。阪神青柳は5回3失点で降板。阪神は5回、上本の2点二塁打で1点差とした。 巨人は8回に丸の9号ソロで2点差としたが、阪神はその裏、マルテの5号2ランで追いつき延長戦に持ち込んだ。

◆阪神高山俊外野手が劇的な代打サヨナラ満塁本塁打で試合を決めた。4-4で迎えた延長12回1死満塁。右翼ポール際に運び去る今季1号がグランドスラムだ。 打った瞬間、高山が右手を高々と突き上げた。矢野監督もベンチから飛び出しド派手なガッツポーツだ。 高山にとっては昨年6月12日の日本ハム戦以来、351日ぶりの一発がチームにデッカイ白星をもたらした。 お立ち台に立った高山も興奮冷めやらぬ様子だった。 「自分が打ったのかよくわからない。不思議な感じ。(感触は)完ぺきでした。でも(打球がファウルに)切れないかだけが心配だった」。 甲子園の大歓声に背中を押されてダイヤモンドを一周。ホームベース付近で待つチームメイトの歓喜の輪に飛び込むと"祝勝水"をぶっかけられるなど、手荒い祝福を受けた。 「耳に水が入ってまだ抜けてないけど、本当にうれしかった。ジャイアンツに勝ったらこれだけ皆さん喜んでくいれる。明日も貢献できるよう頑張ります」。 高山のサヨナラ打は16年5月21日の広島戦(甲子園)で中崎から右前打を放って以来2度目。甲子園の巨人戦10連敗の球団ワースト記録を阻止する大きな1勝を高山がもたらし、矢野阪神が巨人を抜き、2位に浮上した。

◆最高や! 阪神が今季5度目のサヨナラ勝ちで不名誉記録を免れた。8回にジェフリー・マルテ内野手(27)が起死回生の5号同点2ランを放つと、12回1死満塁で代打高山俊外野手(26)が右翼ポール際に1号グランドスラム。甲子園の巨人戦10連敗の球団ワースト記録を阻止する大きな1勝。矢野阪神が巨人を抜き、2位に浮上した。あまりにも劇的な幕切れだった。12回裏1死満塁。代打高山が鮮やかな放物線を描いた。右翼ポール際に今季初アーチとなるグランドスラム。チームは今季5度目のサヨナラ勝ちで巨人を抜き、2位に浮上した。「自分が打ったのか、よく分からない。不思議な感じです」。ヒーローはお立ち台で興奮気味に話した。 もう1人のヒーローはマルテだった。2点を追う8回2死一塁。沢村の内寄り低め143キロ直球を軸回転でフルスイング。切れない。むしろラインの内側に戻ってきた。マルテが打ち上げた白球はまるで意思を持っているかのように、最後の最後、左翼ポール際ぎりぎり最前列席に飛び込んだ。いったんファウルゾーンに向かったようにも見えた飛球は起死回生の同点5号2ランに変身した。 「ゾーンを決めて打つことができたよ。チームのために打つことができて最高の気分だね」 フェンスによじ登った左翼手重信のグラブにはそっぽを向く、憎らしいほど虎党びいきの弾道。試合が振り出しに戻った瞬間、一塁側ベンチの矢野監督は破顔して夜空に右拳を突き上げた。 右ふくらはぎの張りで開幕から出遅れ、4月下旬に1軍昇格後も打率2割前半。右投手相手では試合前時点で打率1割6分だっただけに、右腕沢村からの1発には首脳陣もホッと胸をなで下ろしただろう。 26日の敵地DeNA戦でも2ランを記録。中2日での2戦連発でいよいよ本領発揮か。この日は来日初の猛打賞。3点を追う5回は先頭で左前打を決め、この回2得点の反撃をけん引。延長11回裏は再び先頭で左前打を放ち、無死満塁の好機に作った。一塁守備でもゴロに飛びつき、失点を防ぐ場面もあった。 調子の上がらなかった助っ人に、打撃不振から抜け出せなかった高山。2人のアーチで、巨人戦の甲子園10連敗を阻止。矢野阪神が完全に上昇気流に乗った。

◆阪神は、今季5度目のサヨナラ勝ちで不名誉記録を免れた。8回にジェフリー・マルテ内野手(27)が起死回生の5号同点2ランを放つと、12回1死満塁で代打高山俊外野手(26)が右翼ポール際に1号満塁弾。甲子園の巨人戦10連敗の球団ワースト記録を阻止。巨人を抜き2位に浮上した。-今どんな気分ですか 高山 いやもう、自分が打ったのかよく分からない、なんか不思議な感じですね。 -手応えは 高山 完璧でしたね。ただ切れないかなとそれだけが心配でしたけど、完璧でした。 -切れずにホームランに、試合を決めた瞬間は 高山 なにも考えられなくて、夢中で走ってました、はい。 -選手に、監督に迎えられました、覚えてますか 高山 水の勢いが強すぎて、耳に水が入ってまだ抜けてないんですけど、でも本当にうれしかったです。 -今季初打点がサヨナラ満塁ホームラン、最高ですね 高山 最高です! -同点ホームラン、マルテ選手です マルテ どうもありがとうございます。 -ホームランの感触は マルテ 本当に満足してます。みんなで迎えてくれたことが本当にうれしくて、チームのためになってうれしかったです。 -あらためて甲子園の声援はどうですか マルテ いつも応援ありがとうございます。自分たちもいいショーを見せられるように全力で尽くすので、また応援に来てください。 -巨人に勝って2位浮上です。今後に向けてひと言 マルテ 1日1日、100%で戦えば、こういう結果が出ると思うので、これからも全力でやっていきたいなと思います。 -高山選手、メッセージを 高山 やっぱりジャイアンツに勝ったら、これだけみなさんが喜んでくれるので、明日もまた勝てるように、チームに貢献できるように頑張ります。

◆巨人が、延長12回にサヨナラ満塁本塁打を浴び、3位に転落した。 4-4で迎えた延長12回、7番手の桜井俊貴投手(25)が1死から福留に四球、梅野の安打で一、二塁とされ、今季初登板の池田駿投手(26)にスイッチ。フルカウントから木浪を四球で歩かせ、代打高山に2ボールから右翼席に飛び込む満塁本塁打を浴びた。 原辰徳監督(60)は「粘って、粘ってだけどね。最後はちょっと池田に荷が重かったかな。彼は経験値のある投手、というところでしたけどね。こういう緊張感のあるゲームの中で、いかに度胸を据えて野球ができるか。見極めるという点ではいいところも出ているし、弱いところも出ているところが、今後の部分でしょうね」と振り返った。

◆巨人沢村拓一投手(30)が痛恨の1球を悔やんだ。 2点リードの8回から登板。2死一塁から阪神マルテへの初球、真ん中やや低めの143キロ直球を左翼ポール際へ同点2ランとされた。「あの場面で一番やってはいけないことがホームラン。コースを意識しましたが、真っすぐがシュートして中に入ってしまった。一番やってはいけないケースで、ホームランを打たれしまっている。反省したい」とうなだれた。 今季は先発転向でスタートも1試合だけで降格し、5月にリリーフへ再々転向で1軍昇格。17日中日戦で981日ぶりのセーブをマークしてから4試合連続無失点中だったが、痛い1発を浴びてしまった。 試合後、原監督は「その辺は本人がどう感じてるかね」と反省を促しながら「しかし勝ち越されなかったところも、そこはそこで評価する必要がある」と変わらぬ信頼も口にした。

◆巨人高木京介投手が絶体絶命のピンチを魂の16球でしのいだ。 11回無死満塁で登板。一打サヨナラの場面で阪神近本を中飛、代打鳥谷を空振り三振。最後は糸井をど真ん中142キロの力強い直球で中飛にねじ伏せた。勝利にはつながらなかったが役割を遂行し「逆に開き直ってバッターと思い切って勝負しようと思った。何とかゼロに抑えられて良かった」と汗をぬぐった。

◆阪神島本浩也投手が気迫の5奪三振で巨人の勢いを止めた。 2点を返し1点差とした直後の6回から救援し、2回を1四球だけの無失点。中島、ゲレーロ、小林、陽岱鋼、坂本勇と右の主力級を三振に切った。「点を取った次のイニングだったので、いい流れを持ってこようと思いました」。受けた梅野も「どちらに傾くか分からない状況で、シマの中でもベストピッチだったと思う。いい流れを作ってくれた」と絶賛だった。

◆巨人高木京介投手(29)が絶体絶命のピンチをしのいだ。 延長11回無死満塁から登板。阪神のドラフト1位ルーキー近本を浅い中飛、続く代打鳥谷を直球で空振り三振。最後は糸井に2ボールからど真ん中の142球直球で中飛にねじ伏せ、こん身のガッツポーズとともにほえた。勝利にはつながらなかったが、窮地で好救援を見せ「もう、とにかく気持ちでいきました。逆に開き直って、バッターと思い切り勝負しようと思った。何とかゼロに抑えられてよかったです」と汗をぬぐった。 今季は14試合に登板し、2ホールド、防御率2・45と安定した投球を続けている。原辰徳監督は「ああいうのも奇跡みたいなものだよね。しかし強さというものは非常に感じますよね」と称賛した。

◆巨人今村信貴投手(25)が原監督に志願の続投でピンチを脱出し、6回2失点と好投した。 3点リードで迎えた5回、2死二、三塁から上本の2点適時二塁打で1点差。6回2死三塁のピンチではマウンドに駆け寄った原監督から「俺はここは交代だと思う。どうだ?」と聞かれたが「いかせてほしいです」と志願。気迫でマルテを抑えた。 原監督は「何とか6回を投げ切らせたいところもあった。肥やしにできるゲームですよ。緊張感というのは、そこでどういう風に戦える姿を描けるか。それは肥やしになると思いますよ」と話した。今村は「あそこ(5回のピンチ)で抑えられたのは次につながります」と話した。

◆執念の継投がサヨナラ勝ちにつながった。延長12回、最後にマウンドに上がったのは阪神藤川。2死一、三塁のピンチで巨人中島に向き合うと、直球で2ストライクと追い込み、最後は133キロフォークで空振り三振。「何も言うことはないですね」。わき上がる大歓声を背に、興奮したようにこぶしを力強く突き出した。 巨人との死闘でも、救援リレーは盤石だった。9回はドリスが1安打無失点。10回に登板したジョンソンも無失点で能見につないだ。「ブルペンだけじゃなく、ベンチ総動員で勝ち得た勝利。最高だよ!」。試合後は劇的な勝利に大喜び。前カードのDeNA戦(横浜)は登板機会がなく、雨天中止も入れて"5連休"で充電に成功。最強のブルペン陣は総力戦で無類の強さを見せる。 これでジョンソン、藤川、ドリスの3人が投げた試合は、7勝1分けと負けしらず。矢野監督は「普通で行けば球児もすごく嫌な場面。これは打たれても仕方ないという流れで行ってくれた。みんなが頑張ってくれたというのはあります」。「JFD」が新たな不敗神話を作った。【磯綾乃】

◆阪神が劇的なグランドスラムで2位に浮上した。12回1死満塁で高山俊外野手(26)が、右翼ポール際に今季1号の代打満塁サヨナラ本塁打を放った。阪神-巨人の伝統の一戦では史上初となる劇弾は、甲子園での巨人戦10連敗という球団ワースト記録を阻止する大きな1発になった。甲子園の夜空に白球が舞った。代打サヨナラ満塁本塁打という劇的すぎるエンディング。ヒーローは高山だ。ベースを一周するとナインに歓喜のシャワー浴びせられ、本塁で尻もちをついて苦笑い。「いや~もう、自分が打ったかよく分からない。テレビで見ている感じで自分じゃないようだった...」。駆け寄ってきた矢野監督を見つけると熱く抱擁。指揮官の背中には、泥だらけになった高山の手形がくっきりと残った。 無我夢中だった。4-4と同点で迎えた延長12回1死満塁。植田に代わって打席に立った。この日ベンチに残った最後の野手だった。まさに総力戦。「(植田)海にも頑張ってくださいと言われたのでそういう気持ちで打った」。2ボールからの3球目。押し出し四球も頭にちらつくカウントで、迷いはなかった。高めの変化球を鋭いスイングでふり抜く。大歓声に押された打球は右翼ポール際に飛び込んだ。高山が「(人生で)たぶん初めて」というサヨナラ弾。代打サヨナラ満塁弾となれば、阪神では96年グレン以来。巨人戦に限れば、球界初のミラクルだ。 午後10時30分に決着がついたロングゲームだったが、高山の1日は早朝から始まっていた。この日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)に志願して出場。「結果も出なくて打席にも立ちたかった」。ルーキー近本、木浪らの台頭でこの試合まで出場20試合とチャンスも激減。必死にもがいていた。今季から気分を一新するために打撃手袋、エルボーガードなどを光り輝く金色に変更。3年前の新人王が、がむしゃらに野球に向き合っていた。 筋書きのないドラマでチームは巨人を追い抜き、2位に浮上した。定着しつつある「矢野ガッツ」を連発した矢野監督もさすがの出来事に「うれしいですけど野球ってすごいですね」と声を上ずらせた。そして「こんなドラマが、想像しないようなことばかりが起きてね」と大感動だ。昨年7月から続いていた球団ワーストタイとなる甲子園の巨人戦連敗も9でストップ。貯金は今季最多の5まで積み上がった。猛虎の進撃が止まりそうにない。【桝井聡】

◆阪神藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)も劇的過ぎるサヨナラ勝ちに大興奮だ。高山のヒーローインタビューをしっかり聞き届けると会心の笑顔で登場。、「家に帰って、涙を流しながら寝ます!」と笑わせた。 まさに福の神だ。昨秋オーナー就任して1年目だが、今季の公式観戦試合は8戦8勝で何と勝率10割。この日はマルテの1発が出るまで劣勢で、ついに不敗神話が途切れ、しかも球団史上初の甲子園巨人戦10連敗の屈辱付きかと思われた。だがそこから劣勢を跳ね返して逆転。しかも球界史上初の巨人戦代打サヨナラ満塁本塁打を呼び込むのだから、ますます神がかりだ。 福の神ぶりを問われると「今日は私の番じゃないでしょう」と選手の奮闘をたたえた。「ファンのみなさんのご声援がすごかった。またまた全員野球できてしまった」。超がつくエビス顔で歓喜に沸く甲子園をあとにした。

◆切れない。むしろラインの内側に戻ってきた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)の飛球はまるで意思を持っているかのように、最後の最後、左翼ポール際ぎりぎり滑り込んだ。 2点を追う8回2死一塁。沢村の内寄り143キロ直球を強振。いったんファウルゾーンに向かったはずの飛球を、スライス気味に左翼席最前列にねじ込んだ。 「ポールの近くに飛んだからチャンスはあると思った。チームのために打てて最高の気分だね」 起死回生の同点5号2ラン。フェンスによじ登った左翼手重信のグラブからボールが逃げた瞬間、矢野監督は夜空に右拳を突き上げた。一塁ベンチ前、M砲が弓を引くようなポーズを披露すると、甲子園のボルテージは最高潮に達した。 「みんながいつもアクティブな気持ちでやれるようにと思ってね」。仲間を思い、26日DeNA戦で1発を決めた時にお披露目した本塁打ポーズ。実はこれ、母国・ドミニカ共和国の某有名コメディアンから拝借したギャグポーズだった。 かつて西武で一世を風靡(ふうび)した大砲デストラーデのポーズをまねたのか?陸上短距離界レジェンド、ボルトのポーズがモチーフか?あらゆる想像が飛び交っていたが「ドミニカの芸人がやっていてね」と照れ笑い。26日の試合後にはベンチ裏で同ポーズを知るガルシアと"共演"。今後、虎党にも一気に浸透していきそうな気配だ。 3点を追う5回に反撃の口火を切る左前打も放ち、来日初の猛打賞を記録。一塁守備でもゴロに飛びつき、失点を防いだ。何より左翼ポール際で切れなかった打球は、インサイドアウトのスイングが成り立っている証。「しっかりそういうスイングをするように心掛けているよ」と納得顔だ。 試合前時点で対戦打率1割6分だった右投手も攻略し、2戦連発でサヨナラ勝利に貢献。1発を放てば5戦全勝中。いよいよマルテの季節が近づいてきたのかもしれない。【佐井陽介】

◆阪神矢野燿大監督が劇的サヨナラ勝ちに「551蓬莱クラス」の大興奮だ。 終盤以降、救援陣が踏ん張り、野手もつなぐ。延長12回1死一、二塁では途中出場の木浪が追い込まれながら四球でつないだ。全員野球でつかんだ白星を「みんなデカイやろ。『551の蓬莱』やぞ(笑い)。あるときーないときーあるときーないときー言うて。コマーシャルできるんちゃう? 今日の試合で」となぞらえた。関西で有名なCMは名物の豚まんがあるときは家族全員が大喜び、ないときは肩を落とす内容。指揮官自身もガッツポーズを連発。全員が全力を尽くし、大笑いできた1勝ということか。

◆阪神近本光司外野手が2安打を連ねた。5回は2死一塁から右翼線に鋭く打ち返す二塁打。続く上本の2点打につなげた。 「カウント2-0だったので甘いボールが来たら思い切っていこうと思っていました」と持ち前の強いスイングでチャンスを広げた。最近6試合で13安打と好調を維持している。

◆阪神が劇的なグランドスラムで2位に浮上した。12回1死満塁で高山俊外野手(26)が右翼ポール際に今季1号の代打満塁サヨナラ本塁打を放った。▼阪神高山が17年鵜久森(ヤクルト)以来、プロ野球17人目(セ・リーグ11人目)の代打満塁サヨナラ本塁打。阪神では96年グレン以来、23年ぶり4人目。延長12回以降は98年広永(オリックス)以来3人目。セの延長制限が12回になった01年以降、12回に打ったのは初めて。 このカードでの満塁サヨナラ本塁打は60年王(巨人=投手村山)76年末次(同=投手山本和)に次いで3本目だが、代打では高山が初めてだ。

◆阪神は12回1死満塁で代打高山俊外野手(26)が右翼ポール際に1号満塁弾を放ち、甲子園の巨人戦10連敗の球団ワースト記録を阻止。 巨人を抜き2位に浮上した。   矢野燿大監督の 一問一答は以下の通り。   -最後に残っていた野手の高山を送った心境は 俊もなかなか先発で出られなくて。本当に悔しい思いをしている選手。ベンチでもすごく声を出してくれて。エリート選手がいまベンチにいるのはすごくつらいと思う。心の成長をいつも感じていた。悔しい思いをあそこにぶつけてくれたんじゃないかなと思う。めちゃくちゃうれしいです。 -劇的アーチ 決めに行く場面で2ボールになった。押し出しとか、いろんな気持ちも出るところ。俊自身、打って決めたい思いがあの打撃につながったと思う。サヨナラ満塁ホームランなんて。人生に何回もあれば、もちろんいいけど俺にとっても忘れられない試合になった。俊自身もそういう1本になったと思う。 -延長11回無死一、二塁で打席に向かう糸原に声を掛けた 迷った。最初、バントのサインを出したけど「打ったほうがええやろ」と思い直して。「決めてこい!」みたいなことを言った。 -マルテは雰囲気を変える同点アーチだった 流れを持って行かれてるところで、あの1本で一気に追いつけた。あとの2本の安打も素晴らしい流れを作ってくれた。文句ない。 -甲子園で昨季から巨人に9連敗していた 目の前の試合をどう勝つかということしか頭にない。試合前は多少考えているけど始まったら関係ない。例えば6連敗はかえってこない。目の前の試合を勝つことでしか、かえせない。

◆巨人・丸佳浩外野手(30)が29日、阪神9回戦(甲子園)に「3番・中堅」で先発出場。一回2死の1打席目に、バックスクリーンへ先制の8号ソロを放った。  「甘い球を一発でし仕留めることができてよかったです」  相手先発・青柳が投じた、甘く入った133キロのスライダーを見逃さず、5月15日の阪神戦(東京ドーム)以来、9試合ぶりの一発となった。

◆巨人・坂本勇人内野手(30)が29日、阪神9回戦(甲子園)に「2番・遊撃」で先発出場。三回2死の2打席目に、バックスクリーン左への17号ソロを放った。  「いい追加点になった」  相手先発・青柳が投じた4球目、141キロの直球を一閃。25日の広島戦(東京ドーム)以来、2戦ぶりの一発は、史上104人目の通算200号となり「これからも、一本一本チームのために積み重ねていきたいと思います」と胸を張った。  多くの節目の記録を、阪神戦で達成している。プロ初出場は2007年7月12日に東京ドーム、プロ初本塁打は08年4月6日に東京ドーム、通算100号は14年3月28日に東京ドーム、1500安打は17年7月9日に甲子園、1500試合は18年7月16日に甲子園。いずれも阪神戦で達成している。  巨人選手の通算200本塁打以上は、王貞治の868本、長嶋茂雄の444本、阿部慎之助の399本、原辰徳の382本、松井秀喜の332本、高橋由伸の321本の計6人で、坂本勇は7人目となる。

◆阪神・青柳晃洋投手(25)が29日の巨人戦(甲子園)に先発し、5回8安打3失点で降板。自己最多となる5勝目はお預けとなった。  「大事なカード頭で簡単に先制点を許してしまい、先発としての役目を果たすことができずチームに申し訳ないです」  一回2死から丸にバックスクリーンへ8号ソロを浴びて先制を許すと、三回2死からは坂本にも中越え17号ソロを被弾。坂本はこれが通算200本塁打のメモリアルとなった。青柳は坂本に対して試合前までは18打数2安打と得意としていたが、この日は痛打された。五回にも3点目を失い、その裏に代打を送られて降板。この回に上本の2点打で1点差に迫ったが逆転には届かず。青柳は自身最多となる5勝目をかけて挑んだが、勝利の権利をつかめずにマウンドを降りることになった。

◆阪神は29日、巨人戦(甲子園)に延長十二回、サヨナラ勝ち。貯金「5」として巨人と入れ替わって2位に浮上した。何よりうれしいのは昨年7月16日以来、1分けを挟んで9連敗中だった甲子園での巨人戦でやっと勝ったこと。うれしい~!!  先発・青柳がいきなり巨人打線につかまった。一回に丸、三回には坂本勇にソロを浴びる。四回には大城に適時二塁打を許して5回3失点。しかし、阪神も五回から反撃開始。先頭のマルテが左前打で出塁すると、2死となってから近本が右中間へ二塁打。二、三塁として上本が適時二塁打を放ち、2点をかえした。  八回に3番手・守屋が丸にソロを浴びて2点差とされたが、その裏、2死一塁でマルテが左翼ポール際へ2ランを運び、ついに追いついた。  試合は延長に入り、十一回。阪神は先頭のマルテが左前打で出塁(代走・木浪)。続く植田の捕前犠打は野選となり、無死一、二塁。糸原は申告敬遠で満塁となった。ところが近本は浅い中飛、代打・鳥谷は空振り三振、糸井は中飛で得点できない。  中継ぎ陣が踏ん張って迎えた十二回。1死から福留が四球(代走・長坂)。続く梅野は一塁後方にポトリと落ちるラッキーなヒットで一、二塁。木浪が四球で満塁。ここで代打・高山が左翼席へサヨナラ満塁ホームランを運んで、4時間半を超える死闘を超絶劇的に締めくくった。

◆阪神は29日、巨人戦(甲子園)に延長十二回、サヨナラ勝ち。貯金「5」として巨人と入れ替わって2位に浮上した。中継ぎ陣が踏ん張って迎えた十二回。1死から福留が四球(代走・長坂)。続く梅野は一塁後方にポトリと落ちるラッキーなヒットで一、二塁。木浪が四球で満塁。ここで代打・高山が左翼席へサヨナラ満塁ホームランを運んで、4時間半を超える死闘を超絶劇的に締めくくった。

◆阪神は29日、巨人戦(甲子園)に延長十二回、サヨナラ勝ち。1死満塁で代打・高山俊外野手(26)が劇的サヨナラ満塁ホームランを放った。これで貯金「5」として、巨人と入れ替わって2位に浮上。昨年7月16日以来、1分けを挟んで9連敗中だった甲子園での巨人戦でやっと勝った。うれしい~!!  延長十二回1死満塁。試合開始から4時間半超。声をからして深夜の甲子園で応援を続けた虎党の興奮は、頂点に達した。高山が振り抜いた打球は右翼ポールへ一直線。切れるな! 切れるな! 祈りが通じたかのように着弾した地点から歓喜のジェット風船がわき上がる。お立ち台に来た高山も興奮していた。  「よくわからない、不思議な感じです。夢中で走っていました」  先発・青柳が5回3失点。なかなか追いつけない重苦しい展開だった。八回には3番手・守屋が丸にソロを浴びて2点差。しかしその裏2死一塁で、マルテが起死回生の2ランを左翼ポール際へ。「チームのためになって、本当に満足している」と助っ人もうなずく一発で、やっと追いついた。  延長十一回は無死満塁としながらも近本、鳥谷、糸井が凡退。だが、最後まであきらめなかった。延長十二回1死から福留が四球で出塁したチャンスを、ついにモノにして、死闘を劇的に締めくくった。

◆--きょうは鳴尾浜を視察して高山を見て、長い一日がこういう結末に  矢野監督「勝てば何でもいいでしょ。しかも、こんなサヨナラ満塁本塁打なんて。俺にとっても忘れられない試合になったしね。俊自身もそういう一本になったと思うんで」  --木浪も貴重な四球  「(興奮した様子で)みんなでかいやろ。551の蓬莱やぞ。あるときないときばっかりやって。あるときーないときーあるときーないときー言うて。もう551の社長から差し入れお願いします! コマーシャルできるんちゃう?」  (自ら切り出して)  「あとは、明日は今のところ、満員じゃないらしいんで。みなさんの力でちょっと書いてもらって。満員でやらせてください、お願いします」

◆どうしても「その日」の当番デスクはペシミスト(悲観論者)になる。  「おい、そんな難しい顔して...こんなエエ天気やのに...何を心配しとんるんや。もちっと楽しそうな顔をしとけや...」と局次長稲見誠はこの日の当番デスク白石大地にハッパをかけた。  でもねぇ...天気がいいことと僕の当番日のゲーム勝敗とは無関係だと思うんデスが...というセリフを、白石はグイッとノドの奥に呑み込んだ。  と、総括席の稲見にLINEが入った。相手は東大阪市立・縄手中時代の同級生の吉野修氏。この日が56歳の誕生日。娘さん(美咲さん=21歳)からチケットをプレゼントされて、甲子園にいるとのこと。原口の大ファンというまな娘と一緒に鳴尾浜で2軍戦を観戦してから...という「父娘で親子ゲーム観戦」の離れ業。「ここまで阪神ファンってのはすごいのか」と関心しきりでした。  「今日は鳴尾浜に矢野監督も駆けつけて若手の動きをチェックしてました。ソレもあってファンも大勢詰めかけて、すごい熱気でした。そのまま矢野監督も甲子園へ移動...チーム全体に気合がこもってましたョ」とトラ番キャップ大石豊佳の報告だ。鳴尾浜を取材していた菊地峻太朗も「原口は元気いっぱいです。若手はみんな必死なんですョ」という。  局次長稲見はシミジミと「阪神ってなんて幸せなチームなんや。川崎での通り魔事件などで若い人が傷つけられて、みんなが心がすさんでいるところに...少しでも阪神ファンは勝利を求めて率直に日々の喜びを追求して応援してくれる。タイガースというチームはホンマに幸せや。それを追うわれわれも心が洗われるヮ...」とゴリラはロマンチックな夢を運んでもらってほんわかしていた。  しかし...だ。試合は前半は巨人の長打パワーが圧倒した。丸と坂本勇のソロに四回には岡本、大城の長打も出たが、青柳が1点ずつに抑える。  やっと阪神は五回に上本の適時二塁打でジリッと1点差ににじり寄ったところで、虎ソナ班の電話が鳴った。チッ、エエとこやのに誰からや! とブツブツいいながら出ると、これが運動部長大澤謙一郎だったョ。  なんや、どこで何してるんや...といったら「阪神百貨店9階です」そんなとこで何してるん...「トラ番は甲子園。俺しか身体があいてないから...大急ぎで取材に走ったんデス」とのこと。  そんなカサ高いヤツしか残ってなかった人材難? の新聞社の記者大澤の報告はこうだ。「おそらくおしゃれ度No.1の『猛虎党女性のための阪神タイガース新ブランド』、普段着もOKの『HTIG(エイチ・ティグ)』の発表会なんです。球場だけではなく、おしゃれ着としてファッション性のある普段着の発表会ですヮ...」。そこまで聞いたとき、甲子園では八回にマルテの同点2ランが飛び出た! 4-4だ!  大澤は「モデルに美人が多かった...」とまだ話していたが、もうそれどころじゃあない。猛虎の粘り腰は、ナイスファッションでございました。  で、延長十二回、高山の一発が飛び出した瞬間、吉野氏は思わず自分で作った応援ボード? を落としたとか。「今日は僕の誕生日! 誰かバースデーアーチを! 六甲おろしをバースデーソングに!」-。そのフレーズ通りの結末でした。

◆捕まえたでえ!! 昨年から虎の本拠地・甲子園を9回も連続して思う存分荒らしまわってくれた兎を、見事一発で兎猟師の高山さんが仕留めてくれたのだ。  延長十二回に代打満塁サヨナラホームランの大仕事をしてくれた高山俊、アリガトウ!! 拍手は送るけど、2016年ドラフト1位(東京六大学の通算最多安打記録を塗りかえて鳴り物入りで入団)が代打をやってんじゃねーよ!!  レギュラーポジションを奪わなかったら阪神が...いや、ドラフトで高山を引き当てたと間違え、大はしゃぎしたヤクルトの真中前監督がうかばれないってもんよ!!  八回のマルテの同点2ランも、この後に待っている交流戦の武器になるような気がするのだ!! 正直、打率や出塁率はハナから期待してないので大砲のお仕事、一発を狙ってくれ~!!  何はともあれ、地元甲子園で弱い、巨人に勝てないなど矢野阪神が一つ一つ、負の種を消していっているのだ!! 残った健全な種が秋に大輪の花を咲かせている風景が本日、チラリと見えたのだ!!

◆阪神・高山俊外野手(26)が巨人戦で4-4の延長十二回1死満塁から、球団史上初となるG戦代打サヨナラ満塁本塁打を放った。  代打サヨナラ満塁本塁打は、2017年4月2日のヤクルト・鵜久森淳志(対DeNA、十回)以来2年ぶり17人目。阪神では1996年5月1日のグレン(対横浜、十回)以来23年ぶり4人目。巨人戦でマークしたのは高山が球団史上初めて。  阪神の巨人戦でのサヨナラ勝ちは昨年5月26日(甲子園)以来。  阪神のサヨナラ満塁弾は2013年4月19日のヤクルト戦(甲子園)で福留が放って以来。  高山の満塁弾は16年8月25日のDeNA戦(横浜)以来自身2本目。  阪神の巨人戦での代打サヨナラ本塁打は1988年9月11日の田尾安志、2006年5月2日(ともに甲子園)の関本健太郎に続き3人目。

◆三回2死から坂本勇がバックスクリーン左への17号ソロを放った。苦手としていた青柳の直球を捉え「完璧でした」という一発は、プロ野球史上104人目の通算200号。球団の生え抜きでは7人目の大台到達となったが、サヨナラ負けに「明日(30日)も試合があるので、しっかり勝って1勝1敗で(東京に)帰りたい」と厳しい表情だった。

◆不敗伝説は継続だ。劇的サヨナラ勝利を貴賓席で見届けた藤原オーナー(電鉄本社会長)はかつてない興奮状態。報道陣に囲まれると「きょうは私の出番じゃないでしょう」といいながらも「ファンのみなさんの声援で、こんな感激を味わえるなんて。今から帰って、涙を流しながら寝ます」と笑顔、また笑顔。これで観戦試合は8戦8勝だ。

◆巨人は延長十二回に、まさかのサヨナラ満塁本塁打を浴びて逆転負け。対阪神3連敗で順位も入れ替わり、4月15日以来の3位に転落。原辰徳監督(60)は「粘っていたけど...。いいところと悪いところがあったね」と首を横に振った。  三回に坂本勇が通算200号を放つなど優位に進めたが、八回に3番手・沢村が追い付かれ、最後は今季初昇格の池田が被弾。投手8人をつぎ込んだ4時間30分の激闘に敗れ、2017年から続く延長戦の白星なしは「14」に伸びた。  敗戦の中にも光明はあった。延長十一回無死満塁で登板した高木が「開き直って思い切り勝負しようと思った」と得点を許さなかった。1番・亀井と3番・丸はともに4打数3安打2四球と役割を果たし、「肥やしになるゲーム」と指揮官。まだ前半戦で、下を向くには早すぎる。 (伊藤昇) 昇格直後の登板でサヨナラ弾を浴びた巨人・池田 「そういうところで抑えてほしいから使ってもらっているので、言い訳も何もできない」 マルテに同点2ランを浴びた巨人・沢村 「投げミス。完全な失投でした。一番やってはいけないところでホームランを出してしまった。反省しないといけない」

◆鉄壁のリリーフ陣でサヨナラへの流れを呼んだ。藤川は絶体絶命のピンチを切り抜け右手を挙げた。  「なにもいうことはないです」  無死満塁のチャンスから得点できずに終わった直後の延長十二回。流れをもっていかれそうな展開で、さらに巨人は1番からという好打順。最終回はベテラン右腕に託された。  だが、先頭の亀井にいきなり四球を与えてしまう。坂本勇は空振り三振に抑えるも丸には再び四球。岡本の中飛で2死一、三塁のピンチ。点を与えれば試合が決まってしまうような緊迫した場面。そんな状況で中島に対し、2球で追い込むと最後は133キロのフォークで空振りを奪い三球三振。相手の流れを断ち切り、高山の代打サヨナラ満塁弾へとつなげた。  今季は4月7日に一度登録を抹消されるも、1軍復帰後は4月27日の中日戦(ナゴヤドーム)から12試合連続無失点と絶好調。今季3勝目を手にしたベテランがブルペンを支えている。  九回から盤石の勝ちパターンリレーでスコアボードにゼロを並べていった。九回はドリス。2死から亀井に遊撃への内野安打こそ許したが、坂本勇を左飛に打ち取った。  十回のマウンドにはジョンソンが上がった。先頭の丸に四球を与えるも後続を断ち無失点。相手の中軸をしっかり抑えると、十一回は前日28日に誕生日を迎え40歳になった能見。下位打線をきっちり3人で締め、40歳となって初ホールドを記録した。  最後は藤川が締めていい流れを作った。指揮官も「普通にいけば球児もすごく嫌な場面で。これは打たれても仕方ないという流れでいってくれたんでね。頑張ってくれたし。みんなが頑張ってくれたというのはありますけど...」とねぎらった。  頼りになる安定感抜群のリリーフ陣。これからも勝利を守っていく。 (菊地峻太朗)

◆切れるな、入れ! 虎党も矢野監督の思いも乗せたマルテの打球は左翼ポールを巻いた。八回に価値ある同点2ランで試合を振り出しに戻し、ベンチ前で弓を引く決めポーズも飛び出した。動きを拝借したのは母国・ドミニカ共和国のタレントだとか。M砲が最高のスマイルを届けた。  「ポールが近くて(本塁打の)チャンスはあると思っていました。しっかりと球をみて、コンタクトをしようと思っていました」  2-4の八回。2死1塁から3番手・沢村の初球143キロ直球を迷いなく振り抜き、左翼席へ5号2ラン。26日のDeNA戦(横浜)に続く自身初の2試合連続弾だ。相手に試合を優位に進められる中、一撃で振り出しに戻し、本塁打の威力、そして醍醐味を存分に見せつけた。  前回の本塁打を打ったときからベンチ前で始めた決めポーズ。似ているのは世界最速の男、陸上短距離のウサイン・ボルト(ジャマイカ)のポーズ?  「ドミニカ(共和国)の芸人さんがやっているポーズなんだ。みんな、いつもアクティブな気持ちでやれるようにやっています」とニッコリ。明るい性格のドミニカンだが、舞台裏では地道な努力を続けてきた。  間をとり、体が前に出過ぎるのを防ぐために、マスコットバットの柄の部分を削り、半分ほどの短さの特製バットを自作。練習で取り入れ、打撃フォームの修正を目指してきた。打率・230とまだ数字は物足りないが、ここぞの一発は破壊力抜群。矢野監督も「流れ的には(巨人に)持っていかれているところで、あの1本で一気に追いつけた部分あった。あとの2本のヒットも素晴らしい流れを作ってくれている。文句ないです」とほめちぎった。  五回に左前打、延長十一回にも左前打で来日初の猛打賞。試合前の円陣では「サア、イコウ!」と声を張り上げ、ナインの士気を盛り上げた。「(ポーズは)続けていきたいですね」。本塁打を放った試合は5戦全勝。勝利のマルテポーズを何度もお披露目し、虎を上昇気流に乗せる。 (新里公章)

◆聖地が虎党が沸いた! 阪神・高山俊外野手(26)が巨人戦で4-4の延長十二回1死満塁から、球団史上初となるG戦代打サヨナラ満塁本塁打を放った。甲子園での伝統の一戦は、昨年から1分けを挟んで9連敗中だったが、ようやくストップさせて2位浮上。聖地でのG倒はやっぱり気持ちええわ~!!  ホームで待つ歓喜の輪に、クールな仮面はいらない。最高の笑顔で飛び込んだ。高山が巨人戦球団初の代打サヨナラ満塁弾。令和初、甲子園での伝統の一戦で大仕事だ。祈るように行方を見つめ熱く、右腕を聖地の夜空に突き上げた。  「切れないかだけ心配でしたけど、完璧でした。何も考えられなくて...。夢中で走りました。自分じゃないような感じです」  7投手をつぎ込み、たどり着いた延長十二回。1死から福留が四球を選び、梅野が二塁後方へのポテンヒットでつなぐ。D3位・木浪が必死に四球をもぎ取り、代打・高山の登場だ。  「(植田)海の代打。『頑張ってください』といってもらったし、(木浪)聖也もつないでくれたので」  2ボールとなっても、積極的にいった。左腕・池田の133キロを振り抜き、ゆっくりと走り出す。右翼ポール際への着弾を見送り、勝負ありだ。昨年から続いていた甲子園の巨人戦の連敗(1分けを挟む)を「9」でストップ。一気に宿敵を抜き去り、2位に浮上した。  「うれしいですけど、野球ってすごいですね。こんなドラマが。想像しないようなことばかり起きて...。ほんとに興奮しました」  十一回に無死満塁の絶好機を逃していたが、最後の攻撃で劇的な幕切れ。矢野監督も何度も"矢野ガッツ"を作り、ホームで出迎えた。野手全員を使い切り、残った最後のひとりが高山だった。「今、ベンチにいるのはすごくつらいと思うんですけど。心の成長というのを感じてたんでね」。チルドレンと浴びるウオーターシャワーは格別だった。  "どん底"を経験した男だからこそ、ファンも虎将もスポットライトを浴びる姿がうれしかった。待ち遠しかった。2016年、球団新人記録となる136安打で新人王。しかし、ここ2年は伸び悩んだ。  「新聞とかは、あんまり読まない」というがSNSの全盛期。気にしないようにしていても、自身の記事が目に入ってきた。肩にのしかかる虎の重圧。「(関西には)慣れましたよ」と笑うかつての新人王は矢野監督とともに、今までの「高山俊」をぶっ壊してきた。  「超積極的」を掲げ、日本一に輝いた昨季の虎弟。勝敗が全ての1軍で1年目から戦ってきた高山は何事も"石橋をたたきがち"だったという。それでも2人で何度も顔を突き合わすうちに「今のいけましたか?」「あの走塁、どうでしたか?」と自ら発するようになった。この日も昼間は志願して、鳴尾浜でオリックス戦に出場してから甲子園へ。2軍で磨いてきた全てが、この歓喜へとつながっていた。  「2年間悔しい思いをした。なかなか結果が出ていないですけど、きょうをきっかけにやっていけたら」  貯金は今季最多となる「5」にまでふくれあがった。高山の野球人生が、ここからまた始まる。 (竹村岳)

◆広い甲子園で本塁打が5本出る珍しい試合。マルテが八回に同点2ランを放ったが、沢村のど真ん中への失投。それを逃さず打った形だが、2点ビハインドの中で、一振りで流れが変わった。非常に大きな本塁打だった。  青柳も一回に丸、三回にも坂本勇に一発を浴びたが、本塁打を警戒して低めをついていたところを打たれた。梅野とのバッテリーで低めに集め、相手も割り切って低めを狙いにいっていた感じ。打った丸と坂本勇が上。あれ以上避けようとすれば四球になってしまうが、梅野の要求する内角の厳しいところを攻め切れていなかった。第2戦の高橋遥は一発を警戒しながらも、攻めていってほしい。阪神が浴びたのは、幸いソロ3発。走者を置いての一発とは、ベンチの雰囲気も含めて違う。  高山の代打サヨナラ満塁本塁打はカウント2-0から、真っすぐだけを待って打ったもの。犠飛でもいい場面で、本塁打の結果はおまけのようなものだが、ベンチのムードはこれ以上ないだろう。首位の広島に挑戦する権利を争うような、巨人との2連戦で、終盤に粘りをみせての逆転勝ち。GCと続く5連戦の初戦を取ったのは大きいし、勢いづく。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆広島に首位の座を奪われ、直接対決でも負け越した巨人。そこから巻き返しをはかるリスタートの試合としては、いい入り方をしたよ。  一回に坂本勇が併殺打に倒れた直後、丸が先制本塁打。よしよし、無失点でチェンジ...と、ひと安心しかけた阪神に、深いダメージを与えたね。  三回に坂本勇が、お返しとばかりの本塁打。四回には岡本の二塁打を足がかりに追加点。流れは上々だった。  八回には再び丸が本塁打。打線の3枚看板に、"切羽詰まった"感が表れて、気持ちの締まりが伝わってきた。チームに推進力が出るムードが、ぷんぷんしていた。  問題は、その他だ。主役が強烈に引っ張ってくれたのだから、脇役もそれに乗っかり、それ行けやれ行けと、波状攻撃をかけないとウソだよ。主役と脇役がそろって初めて成立するのが、野球というゲームなんだから。  サヨナラ勝ちした阪神にも、同じことを言いたい。こちらは逆現象で、近本ら脇役の活躍が目立ち、クリーンアップは寂しい限り。  広島を追う2位と3位が、似た者同士とは...。互いに相手を観察し、分析して、自分たちに足りないものを認識し、改善していく必要があるね。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
30191 0.612
(↑0.008)
-
(-)
93208
(+5)
191
(+3)
50
(+1)
33
(+1)
0.255
(↓0.001)
3.140
(-)
2
(1↑)
阪神
27222 0.551
(↑0.009)
3
(-)
92201
(+8)
209
(+4)
39
(+2)
31
(-)
0.248
(↑0.002
3.560
(↑0.01)
3
(1↓)
巨人
25211 0.543
(↓0.013)
3.5
(↓1)
96237
(+4)
195
(+8)
65
(+3)
24
(-)
0.268
(-)
3.800
(↓0.07)
4
(-)
中日
22260 0.458
(↓0.01)
7.5
(↓1)
95179
(+1)
182
(+2)
33
(-)
29
(-)
0.262
(↓0.001)
3.660
(↑0.05)
5
(-)
ヤクルト
21292 0.420
(↓0.009)
9.5
(↓1)
91239
(+3)
263
(+5)
62
(+1)
21
(-)
0.243
(-)
4.550
(↓0.01)
6
(-)
DeNA
20280 0.417
(↑0.013)
9.5
(-)
95184
(+2)
208
(+1)
55
(-)
14
(+1)
0.241
(-)
3.960
(↑0.08)