巨人(★8対13☆)阪神 =リーグ戦8回戦(2019.05.15)・東京ドーム=
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阪神
320014120131805
巨人
01120031081322
勝利投手:守屋 功輝(1勝0敗0S)
敗戦投手:菅野 智之(5勝3敗0S)

本塁打
【阪神】糸井 嘉男(2号・1回表2ラン),福留 孝介(4号・5回表ソロ),木浪 聖也(2号・6回表ソロ),大山 悠輔(7号・6回表2ラン),梅野 隆太郎(2号・7回表ソロ)
【巨人】石川 慎吾(2号・3回裏ソロ),丸 佳浩(7号・7回裏3ラン)

  DAZN
◆阪神が乱打戦を制した。阪神は1回表、糸井の2ランなどで3点を先制する。その後は、福留、木浪、大山、梅野にも本塁打が飛び出すなど、一発攻勢で13得点を挙げた。投げては、2番手・守屋がプロ初勝利。敗れた巨人は、エース・菅野の乱調が響き4連敗を喫した。

◆阪神が巨人のエース菅野から初回に一挙3点を奪った。 まずは糸井がとらえた。初回1死一塁、外角に入った135 キロ スライダーを振り抜き、右翼へ2点本塁打を放った。「しっかりいいスイングをすることができました。相手がいい投手なので、初回から先制することができて良かったです」。菅野とは今季ここまで4打数3安打と好相性。6戦連続安打と絶好調のバットで先制点をもたらした。 さらに福留、梅野が連続安打。2死一、二塁からマルテが左翼越えの適時二塁打を放ち1点を追加した。「チームのために打つことが出来て良かったよ」とマルテ。開幕から巨人戦6連敗を喫していたが、14日に今季初勝利。勢いに乗って、巨人のエースを打ち砕き、連勝を目指す。

◆巨人坂本勇人内野手(30)が初回に中前打を放ち、再スタートを切った。 14日の阪神戦で5打数無安打に終わって、開幕戦からの連続試合出塁がセ・リーグ記録の36でストップ。気持ちをリセットし、1打席目から結果を残した。

◆阪神打線が爆発し、巨人菅野を序盤から攻め立てた。初回1死一塁から、3番糸井が右翼へ先制2点本塁打。さらに福留、梅野が連続安打を放ち、2死一、二塁からマルテが左翼越えの適時二塁打を放った。 打線は止まらない。2回1死から、近本が151 キロ 直球を逃さず、右中間へ二塁打。2死一、三塁から4番大山が左前適時打を放ち4点目。5番福留も右前適時打で続き、5点目を追加した。 2回までに菅野から8安打を放ち、66球を投げさせた。東京ドームに阪神ファンの歓声がこだましている。

◆阪神は1回に糸井の2号2ラン、マルテの適時二塁打で3点を先制。2回にも2点を追加。巨人は3回に石川が2号ソロを放った。 巨人は4回に2点を返したが、阪神は5回に福留のソロ、6回は木浪、大山の2ランで追加点。巨人菅野は6回途中10失点で降板。

◆巨人石川慎吾外野手(26)が2号ソロを放ち、点差を3点に縮めた。 4点を追いかける3回、カウント2-2からの内角直球を左翼席に運んだ。「後ろにすごいバッターが続くので、なんとか塁に出ようという気持ちで打席に入りました。いい結果に結び付いて、良かったです」とコメントした。

◆阪神岩田稔投手が8安打4失点で4回途中に降板した。初回に3点、2回に2点と序盤に大きな援護をもらった。 走者を背負いながらも粘り強く、最少失点に抑えていた。しかし3点リードの4回、先頭の陽から3連打を浴びて1点を献上。なおも2死三塁で菅野を迎え、木浪の好捕で遊ゴロに打ち取ったかに見えたが、巨人原監督がリクエスト。リプレー検証の末、アウトから内野安打に覆り、1点差とされたところで降板した。 岩田は前回登板までの4試合で計4失点と安定感を維持していた。それだけに悔しい降板となった。

◆阪神福留孝介外野手(42)が、巨人菅野から大きな1発を放った。5-4の5回1死、真ん中高めに入った146キロ直球を振り抜いた。 右翼スタンドへ突き刺さるソロ本塁打。直前の4回裏には、5-2から3連打を浴びるなど1点差に迫られており、嫌なムードを断ち切る1発となった。 初回1死一塁では、糸井嘉男外野手(37)が先制の2ランを放っており、ベテラン2人が勝負どころで頼もしかった。

◆阪神打線が巨人のエース菅野を、マウンドから引きずり下ろした。7-4の6回2死一塁、4番大山悠輔内野手が、初球147 キロ のシュートを完璧にとらえた。打球は大きな弧を描いて、東京ドームのレフトにある「能美防災」の看板に直撃。4階席に届く、推定130 メートル の超特大2ランとなった。「狙い球をしっかり1発で仕留めることが出来ました。追加点を取っていい流れで打席が回ってきたので、その流れに乗って自分も打つことが出来て良かったです」。これには菅野も苦笑いするしかなく、悔しげにマウンドを降りた。 この回先頭の木浪も右翼へ7点目のソロ本塁打を放つなど菅野から4本塁打。菅野にとっては今季ワースト被弾数となった。7回には代わってマウンドに上がった田口から、先頭の梅野がソロ本塁打を放ち、ここまで阪神は5本塁打。打線は勢いづくばかりだ。

◆巨人菅野智之投手(29)が4被弾を浴び、6回途中11安打10失点でKOされた。4被弾、10失点ともにプロ入り後の自己ワースト。 今季はすでに13被本塁打で、両リーグワーストを記録する。2番手の田口も勢いを止められず、7回に梅野にソロ本塁打を浴びた。

◆猛虎が巨人のエースを完全に粉砕した。5回に5番福留孝介外野手(42)が4号ソロを放つなど先発菅野から4本塁打で10得点でKOした。打線の勢いは止まらず、5発で13得点と空中戦を制して2連勝を飾った。これで首位巨人に1ゲーム差に迫った。セ・リーグ最年長野手が、盛り上がる東京ドームを黙らせた。4-5と1点差まで追い上げられて迎えた5回。1死走者なしの場面。ベテラン福留が巨人菅野が投じた初球146 キロ を鋭いスイングでふり抜いた。打球は一直線にオレンジに染まったライト席に飛び込んだ。「相手に行きかけていた流れを取り戻すためにも、1本打つことができて良かった」。嫌なムードをひと振りで消し去った。 猛威を振るう虎打線が球界のエースを飲み込んだ。初回に糸井の2ランで先制すると、福留の右前打から2死一、二塁と再び好機を作り、マルテの左越え適時二塁打で2点を追加。2回にも福留の右前適時打などで2点を挙げた。5回の福留、6回にはルーキー木浪、大山のアーチも飛び出して菅野から4発を含む大量10得点。打線の中心で3安打2打点とハッスルしたのが42歳福留だった。 鹿児島の実家には今年も純白のコチョウランが揺れる。福留が12日の母の日に合わせて、母郁代さんにプレゼントした。大リーグ時代も欠かしたことはない。4月の母の日と7月の誕生日には必ず花を贈る。郁代さんは毎年、その花を株分けして大事に育てる。きれいに咲いた花は、42歳になってもなお第一線で活躍し続ける証しでもある。 今季最多の18安打13得点で打ち勝った。開幕から6連敗と苦しんでいた巨人戦だったが、潮目が代わった。令和時代に突入した「伝統の一戦」を2連勝。前日14日に矢野監督は「めちゃくちゃうれしい。チーム全員で勝った1勝やと思う」と語った指揮官もこの日の試合後も興奮が収まらない。チームの猛打を呼び起こしたのはベテラン福留。新時代に突入しても42歳が衰える気配はない。【桝井聡】

◆阪神守屋功輝投手(25)がプロ5年目で、初勝利を挙げた。1点差に迫られた4回2死一塁から登板すると、4人を完璧に抑えた。矢野燿大監督(50)が2軍監督時代から期待する「矢野チルドレン」が、再び流れを呼び込んだ。 いやな流れを3球で断ち切った。5-2の4回、先発の岩田が先頭の陽岱鋼から3連打を浴びこの回、1点差まで詰めよられた。なおも2死一塁でマウンドへ。「いつも通りゼロで抑えるということを考えて、上がりました」。力強く腕を振り、代打重信を3球で遊ゴロに打ち取った。5回も先頭坂本勇を右飛に打ち取ると、丸、岡本と連続三振。「気持ちでは絶対負けたくなかった」。中軸に真っ向勝負を挑み初白星ももぎとった。 昨季は2軍でチーム最多の39試合に登板し、ファーム日本一に貢献。矢野監督は昨オフからずっと「守屋は使える!」と言い続けてきた。矢野監督と守屋の"縁"は、実は幼少期から続いていた。神戸出身の父靖彦さん(49)の影響で、岡山在住ながら生粋の阪神ファン。小学生の頃から毎日のように阪神戦の中継を見ていた。視線の先には現役時代の矢野監督。中学時代まで捕手をしていた靖彦さんと一緒に「お前だったらどういう配球する?」「オレだったらこの球を投げるかな」と言い合いながら、くぎ付けに。「好きな選手は矢野さんと今岡さんです」。小学生の守屋はいつも、そう言っていたという。 今季はプロ入り後初めて1軍キャンプスタート。ここまで17試合に登板し、12安打2失点。矢野監督の期待通りの活躍を見せている。「まだ足りないと思う。シーズンが終わったら、力になれたと思えるように、これからも気を緩めずにやっていきたい」。恩返しはまだまだこれからだ。【磯綾乃】

◆阪神木浪聖也内野手がまた菅野からビッグアーチだ。2点リードの6回。先頭で打席に入り、2球目だ。浮いたカーブをすくい上げると、美しい放物線を描いて右翼席に吸い込まれた。2号ソロで加点。先発野手全員安打を完成させる一撃だ。 木浪は言う。「自分だけ打ててなかったので、先頭で何とか塁に出てチャンスを作りたいと思っていました」。攻め手を緩めず、この回は4得点。菅野を10失点KOする強烈なカウンターパンチになった。 ハイレベルな戦いで、堂々と渡り合う。まさに1カ月前の再現だった。4月19日。甲子園で菅野と初対戦した7回だ。2死一、三塁で右翼ポール際にプロ初本塁打の3ランを放ち、降板させていた。当時の対戦を思い起こしたという。「どう攻めてくるか考えながら思い切っていけた。球界を代表するエースなので、狙い球に絞っていきました」。再び日本球界のエースを粉砕するひと振り。「ホームランを打てたことは自信になる」と胸を張った。

◆左右のほおにも、粒状の汗がたっぷりと浮き上がった。巨人菅野の127球目。147 キロ の低めの速球を、4番大山に左翼席上段のバルコニー席まで運ばれた。もがき苦しむエースは、苦笑いを浮かべるように打球方向を見つめた。 重い腰を上げ、ようやくベンチを出た原監督から交代を告げられる。13年のプロ入り後、通算162試合目で、初の2ケタ失点となる自己ワーストの10失点(自責7)。指揮官は「6回を投げ切らせるつもりでいたけど、そこもできなかった。少し頭の中は正常ではないでしょう。誰にでも壁、ヤマというのは来る。それを乗り越えないといけない。現実にこういう形になっている。直視しないといけない。対応していくということでしょうね」と言った。 試合開始直後から、高めに浮いたボールを次々にとらえられた。1回は糸井の2ラン、マルテの適時二塁打ともに浮いたスライダーを運ばれた。2回までに66球で8安打5失点。試合の主導権を握られる中、打者として4回2死三塁から遊撃へのゴロで一塁へ全力疾走。1度はアウトになったがリクエストでセーフとなり、適時内野安打で1点差に迫った。 激走で試合の流れを呼び戻したかに見えたが、5回に福留にソロ、6回には木浪、大山に本塁打を許した。原監督は「流れがいい感じにきたようなところありましたけど、6点目、7点目。この辺ですかね」と、中盤の失点を試合の分岐点に挙げた。菅野が1試合4本塁打を浴びるのはプロ入り初で、今季13被本塁打は12球団ワースト。昨季は28試合で14本だったが、今季はわずか8試合であと1本まで迫る。防御率は4・36まで後退。チームも今季ワーストの13失点で、初の4連敗を喫した。【前田祐輔】

◆阪神が5本塁打を含む18安打、13点で打ち勝った。一回に糸井の2ランなどで3点を先制し、二回に大山、福留の連打で2得点。中盤に突き放した。好救援の守屋がプロ初勝利。巨人はエース菅野が10失点と乱調で4連敗を喫した。

◆ホームランにタイムリー、春の大山が打った。虎の4番大山悠輔内野手が特大2ランを含む2安打3打点の活躍で、SNSから飛んできた少年のエールに応えた。 木浪の1発などで2点を加えた6回。2死一塁から菅野の127球目、ツーシームを強振。打球は大きな放物線を描き、左翼の4階バルコニー席まで届いた。 「狙い球をしっかり1発で仕留めることができました。追加点を取って良い流れで打席が回ってきたので、その流れに乗って自分も打つことができて良かったです」 菅野にこの日4本目となる1発を浴びせ、エースをノックアウトした。2回にも適時打を放ち3打点。頼れる若き主砲が、黄色く染まった左翼スタンドを盛り上げた。 大山の話題はグラウンド外でも。阪神ファンで大山を応援する小学生が「春の大山」と題して学校で読んだ詩を少年の親がツイッターに投稿。いろんな選手の活躍を描写しながら、大山の活躍を小気味良いリズムで愛を詰め込んでいる。12日深夜に投稿された同ツイートは3万件以上の「いいね」が押され、阪神のエナジードリンクを販売する会社が反応。投稿者に大山ら選手のポスターが届いた。 詩にはこうある。「これがいちばん、春の大山。打つんだ」。詩が現実となった。

◆阪神チーム5発目は梅野隆太郎だ。「この球場は何が起こるか分からない。1点でも欲しい場面だっだので」。 7回6点リードにも安心せず、田口の真っすぐをジャストミートして左翼席に運んだ。4月9日のDeNA戦以来、約1カ月ぶりの2号ソロ。「ホームランバッターではありませんが、結果として仕事ができて良かったです。投手陣も踏ん張ってくれた」と喜んだ。

◆阪神3番糸井嘉男外野手が先制の2号決勝2ランを放った。 初回1死一塁の第1打席。菅野のスライダーを完璧に捉えて右翼席に運んだ。「しっかりいいスイングがすできました。もう行ってくれと...。相手が良い投手なので初回から先制できてよかったです」。開幕2戦目の3月30日のヤクルト戦以来、1カ月半ぶりの本塁打で乗ると、6回にも犠飛を放つなど3安打3打点の大活躍。「2連勝できて良かったです」と会心だった。

◆阪神が5本塁打13得点の猛攻で巨人に2連勝した。好リリーフを見せた守屋功輝投手がプロ5年目で初勝利。首位巨人に1ゲーム差に迫った。試合後の矢野燿大監督の談話は以下の通り。 (テレビインタビュー) -中盤は試合がどうなるか分からない。ポイントはどこだったか ポイントは守屋があそこで抑えて初勝利ですか。苦しい2軍のなかから、勝ち星がついて。チームの流れでも大きな1勝になった。 (テレビインタビュー後に自ら切り出して) 見てる方も疲れるやろ(笑い)。めっちゃ疲れた。今日は、なんか。 -守屋投入の4回2死一塁はリードを死守したい もちろん、もちろん。リクエストのあとのああいう流れ。簡単な場面じゃないところで守屋がよく抑えてくれた。ピシャッと行ってくれたおかげで、また、打者も点を取ってくれる流れになった。 -守屋のどこに成長を この舞台で戦うことが少なかった。経験を積んできていることが一番大きい。ある意味、崖っぷちまで追い込まれた投手なので行くしかないと。向かっていく気持ちで投げていくのが守屋の一番、いいところ。 -1回に糸井が2ラン 嘉男もよかったし、3、4、5番も。(5回)孝介の追加点も。初球、先頭がポンとアウトになった後の初球でしょ。そういうのも大きい。今日はみんな打った。リュウ(梅野)もあそこで打ったの大きいし(木浪)聖也も見事なホームラン。みんなやね、みんな。

◆巨人丸佳浩外野手が18試合ぶりの1発を放つも空砲に終わった。 7点を追う7回1死一、三塁、阪神能見のやや内角低めの144キロを左中間席中段へ運んだ。7号3ランも連敗ストップにはつながらず「感触はよかったですが、今日みたいな展開になる前に打ちたい」と試合の主導権を握る一打を求めた。

◆巨人菅野智之がともに自己ワーストの1試合10失点、被本塁打4。これまで最多失点は16年6月24日DeNA戦の9点。被本塁打は今年4月25日ヤクルト戦の3本だった。今季の被本塁打は13本となり、早くもシーズン自己最多の14本(18年)に近づいた。 巨人の投手が阪神戦で1試合4本以上の本塁打を浴びたのは、11年5月3日の東野(4本=金本、鳥谷、新井貴、ブラゼル)以来8年ぶり。また、このカードで1試合10失点以上の巨人投手は03年7月12日のラス(10失点)以来2人目。

◆巨人丸佳浩外野手が18試合ぶりの1発を放つも空砲に終わった。 7点を追う7回1死一、三塁、阪神能見のやや内角低めの144 キロ を左中間席中段へ運んだ。7号3ランも連敗ストップにはつながらず「感触はよかったですが、今日みたいな展開になる前に打ちたい」と言った。 17日の中日戦からは、2軍で3本塁打のアレックス・ゲレーロ外野手を1軍合流させる見通しで打線強化を図る。

◆阪神が5本塁打13得点の猛攻で巨人に大勝。1試合13点は、4月18日ヤクルト戦と並び今季チーム最多。巨人戦での13得点以上は、07年8月8日以来、12年ぶり17度目。 1試合5本塁打は4月18日ヤクルト戦(大山2、中谷2、近本)と並んで今季最多。巨人戦に限ると10年4月13日以来、9年ぶり9度目。なお巨人戦で5人以上が本塁打したのは、82年4月29日6人(佐野、真弓、アレン、北村、掛布、山本)、10年4月13日5人(鳥谷、新井、ブラゼル、桜井、マートン)に次いで、球団3度目となった。 阪神は糸井、大山、福留とクリーンアップが本塁打そろい踏み。17年9月2日中日戦での福留、大山、中谷以来2年ぶり。巨人戦では、11年5月3日鳥谷、新井貴、ブラゼル以来8年ぶり。 阪神は菅野から今季早くも5本塁打。これまでの最多だった18年の4本塁打を超えた。また、木浪は4月19日に続いて菅野から2本目の本塁打。阪神の選手が菅野からシーズン複数本塁打は初となった。

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が15日の巨人戦(東京ドーム)で一回、菅野智之投手(29)から先制の2号2ランを放った。阪神はこれで今季巨人戦8試合目にして初めて先制に成功した。  一回1死から糸原が中前打を放つと、続く糸井は3ボール1ストライクからの5球目をとらえた。外角の135キロスライダーを右翼スタンドへ。「打ったのはスライダー。しっかりいいスイングをすることができました。相手がいい投手なので、初回から先制することができてよかったです」。さらに2死一、二塁とすると、マルテが左越えに適時二塁打を放ち3点目。巨人のエースを一回から攻め立てた。

◆巨人・石川慎吾外野手(26)が15日、阪神8回戦(東京ドーム)に「1番・左翼」で先発出場。4点を追う三回先頭で、左翼席への2号ソロを放った。  「後ろにすごいバッターが続くので、なんとか塁に出ようという気持ちで打席に入りました。いい結果に結びついてよかったです」  相手先発・岩田が投じた141キロの内角直球を振り抜いた。4月20日の阪神戦(甲子園)以来、約1カ月ぶりとなる一発。スタメン起用に応えた。

◆阪神・福留孝介外野手(42)が15日巨人戦(東京ドーム)の五回、右越えに4号ソロ。5-0から1点差まで迫られた直後に突き放す一発を放った。  「売ったのはストレート。相手にいきかけていた流れを取り戻すためにも、1本打つことができてよかったです。まだまだ追加点を取れるように頑張ります」  二回までに5得点して大勝ムードが漂ったが、二、三、四回と失点して5-4まで迫られて迎えた五回。1死から福留が打席に立つと初球、高めの146キロ直球をフルスイングでとらえた。打球は右翼に着弾。巨人を突き放す大きなアーチとなった。

◆巨人・菅野智之投手(29)が15日、阪神8回戦(東京ドーム)に先発。6勝目を目指したマウンドだったが、六回途中で127球を投げ、11安打10失点(自責点7)でマウンドを降りた。  再び、まさかの光景が広がった。一回1死から、糸原に中前打とされると、続く糸井に右越え2ランを被弾。さらに、2死一、二塁からはマルテに左翼フェンス直撃の適時二塁打を浴びた。二回にも大山と福留の適時打で2点を献上。三、四回は無失点に抑えたが、流れを止めることはできなかった。  五回には1死から、福留に右越えソロを被弾。六回には、先頭・木浪に右越えソロ。糸井に中犠飛とされて1点を失った直後の2死一塁からは、大山に左越え2ランを浴びた。1試合4被弾と10失点は自己ワースト。前回登板の8日のDeNA戦(ハードオフ新潟)も6回5失点と苦しんでおり、なかなか本来の投球を見せられてはいない。

◆阪神が巨人・菅野智之投手(29)から六回までに4本塁打などで10得点し、KOした。菅野はプロ入り後ワーストの4被弾&10失点(自責7)となった。  6-4の六回、先頭のD3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ=が右越えに2号ソロ。4月19日にプロ初本塁打を打った菅野から再びの一発でリードを広げ「自分だけ打てていなかったので、先頭でなんとか塁に出てチャンスを作りたいと思っていました。積極的にスイングした結果、最高のホームランになってくれました」とコメント。さらに糸井の犠飛で1点を追加した後、2死一塁から大山が左越えに7号2ラン。ここで菅野は降板した。10-4の大量リードで終盤に入った。

◆阪神が今季チーム最多タイとなる5本塁打13得点で連勝を飾った。巨人先発・菅野から六回までに4本塁打などで10得点しKO。菅野はプロ入り後ワーストの4被弾&10失点(自責7)となった。  口火を切ったのは糸井だった。一回、先制の2号2ランで一気に流れを持ってきた。導火線に火が点いた打線はもう止まらない。2死から福留、梅野が連打で一、二塁とすると、マルテが弾丸ライナーで左翼手の頭上を越える適時二塁打。一回に一挙3点を奪い、試合の主導権を握った。  二回1死からはドラフト1位・近本が右中間を突破する二塁打で出塁すると2死一、三塁から大山がスライダーを拾い、左前に落とす適時打。続く福留も右前適時打を放った。1点差に迫られた五回には福留の右越え4号ソロで突き放した。六回はドラフト3位・木浪の2号ソロに加え、大山の7号2ランが飛び出した。七回には梅野が2号ソロを放ち、駄目押しした。

◆阪神が今季チーム最多タイとなる5本塁打13得点で連勝を飾った。巨人先発・菅野から六回までに4本塁打などで10得点しKO。2番手で登板した守屋功輝投手(25)がプロ初勝利を挙げた。矢野燿大監督(50)との一問一答は以下の通り。  --巨人に連勝  「よい点の取り方ができたけど疲れた。みんなの積極的な気持ちと菅野に向かっていく気持ちがよかった」  --打線が爆発  「バッターはみんなヒーローになるぐらい、いいところで打ってくれた」  --守屋がプロ初勝利  「苦しい2軍の中から勝ち星がついた。チームの流れとしても大きな一勝」

◆阪神が5本塁打を含む今季最多の18安打を浴びせて13-8で大勝した。2番手で四回途中から登板した守屋功輝投手(25)がプロ初勝利。ヒーローインタビューでは「最高です。いつも通り、0点で終わらせようと思ってマウンドに上がりました。今年は矢野さんの力に絶対になりたい」と喜んだ。  巨人のエース・菅野を序盤で攻略した。一回に糸井の2号2ランなどで3点を先制すると、二回も大山、福留のタイムリーで2点。五回には福留に4号ソロ、六回には木浪に2号ソロ、大山に7号2ランが飛び出して、菅野を自己ワースト4被弾10失点でKOした。  これで巨人に昨年5月以来となる2連勝。両チーム合わせて31安打という乱打戦を制した矢野監督は「疲れました...」と苦笑い。これで首位巨人とはついに1ゲーム差となった。

◆阪神が5本塁打を含む今季最多の18安打を浴びせて13-8で大勝した。2番手で四回途中から登板した守屋功輝投手(25)がプロ初勝利を飾った。守屋との一問一答は以下の通り。  --初勝利おめでとうございます  守屋 「ありがとうございます」  --初勝利、どんな気分ですか  「最高です」  --どのような思いでマウンドに  「いつも通り、0(点)で(ベンチに)帰ろうと思って、マウンドに上がりました」  --圧巻だったのは五回(坂本勇、丸、岡本を三者凡退に仕留めた)  「ありがとうございます」  --好調の要因は  「強気のピッチングができているので、ここまで結果が出ていると思います」  --矢野監督への感謝の思いもあると思うが  「今年、矢野さんの力に絶対なりたいので、ファンのみなさんも力を貸してください」  --これからに向けて  「これからも強気のピッチングで頑張るので、ファンのみなさんも声援よろしくお願いします」

◆阪神の守屋が好救援でプロ初勝利をマークした。1点差に迫られた四回途中から2番手で登板。丸、岡本から三振を奪うなど、五回まで打者4人を完璧に抑えて試合を落ち着かせた。「すごくうれしい。いつも通りゼロで抑えるという気持ちで冷静にいった」と喜んだ。  岡山・倉敷工高からホンダ鈴鹿を経て入団した5年目の25歳。今季は劣勢の展開での出番が多いが、登板17試合でわずか2失点と安定している。守屋は「シーズンが終わったときに力になれたと思えるのが一番。気を緩めずに頑張りたい」と表情を引き締めた。 矢野監督(5年目でプロ初白星を挙げた守屋に) 「大舞台で、勝負の分かれ目のところを抑えての初勝利。内容のある1勝」 岩田(四回途中まで4失点) 「序盤は何とか粘ることができたが、球が高くなったところを打たれてしまった」 木浪(六回に菅野から2号ソロ) 「本塁打を打てたことが自信になる」

◆巨人の石川が1-5の三回、先頭打者で左越え本塁打を放った。3試合ぶりに先発で出場し「期待に応えたいと思った。4点差だったのでなんとかしたかった」と振り返った。  1番で先発するのは2017年以来。「後ろにすごい打者が続くのでなんとか塁に出よう」と打席に向かい、4月20日の阪神戦以来となる今季2本目のアーチ。だが、試合は惨敗に終わり「勝たないと意味がない」と表情を引き締めた。 巨人・宮本投手総合コーチ(菅野に) 「打たれた球は高くて甘い。よくなったところで代えたかった」

◆夢か?現(うつつ)か?幻か? 巨人の...いや日本球界のエース・菅野智之の骨までしゃぶる虎の牙の10得点!! これは間違いなく現実やー! 令和初代日本シリーズ優勝メンバーの先発野手全員安打の猛虎打線爆発、サイコー!!(これはちょっと夢を入れちゃいました)  わが阪神の大勝利に酔って幻も見えてきた~! 巨人・原監督が試合後に激怒してるぞー! 「なに? 巨人の攻撃のときに外野方向へ強い風を送る、俗にいう"ドームラン"の空調係を、人手不足でアルバイトを使って阪神の攻撃と間違えての5アーチを食らったア!? ムカムカムカー、いくつになっても闘志あふれる若大将は怒ったぞ!! ヤフオクドームみたいにホームランテラスを作れー!! 10メートル、いや、20メートル、う~んまだまだ、30メートル近くにしろー!! よし! それは巨人の攻撃の回だけにしよう!!」と、虎の勝利に悪ノリした俺だけど、大巨人軍さん、怒らないでね(結構小心者です)。  一見、13-8の大味な試合だけど、2番手・守屋の投球(プロ初勝利オメデトウ)と、変わりそうな流れを引き戻した福留さまの五回の一発が、キラリと光ったのだ!!

◆草の雨 祭りの車 過ぎてのち...(蕪村)という、しっとりとした王朝絵巻のような「葵祭」がございました。  それは京都の話だろ...14日夜に若い息吹の阪神は、ライバル巨人に令和初勝利を東京ドームで飾りました。いうまでもなく皆さまは、久しぶりに美味い酒を楽しんだハズです。だけど、不気味な影がヒタヒタと背中に迫ってくる...ウス気味悪いクールな気配が襟元に忍び込んできたはずです。  「菅野投手がくる...」  少しニヒルに口元にうすら笑い...日本のエースというドシッとした誇り。その空気感が、童顔だからよけいに怖い...。  さっきから何をゴチャゴチャいうとるんや...と思われるでしょうが、それが本音でございました...。おびえ...というべきか。哀しいけれど、それが赤裸々な心情でもございました。コテコテのコンプレックスとは情けない。だけど、2日がかりで菅野の幻影にドギマギしてたのも事実です。  これは伝統の巨人-阪神とは真逆の現象でもあったのです。というのは実はこの5月15日は「葵祭」でもございますが、昭和23(1948)年のこの5・15は奈良・吉野に一人のたくましい男児が産まれ、すぐ鹿児島に移り、母親の実家の名前を引き継ぎました。  「江夏(こうか)どん」と呼ばれたこの赤ん坊は、後にタイガースに入り、村山実にしごかれ、牙をむき...球史を根本から変えていきます。  つまり江夏豊の誕生...それまでは別当薫、藤村富美男のダイナマイト打線が売りの猛虎と、別所を中心とした投手陣の巨人との「投打の火花」がガラリと入れ替わり、180度逆転する歴史的な1日でもあったわけです。  いまさら江夏豊の豪腕ぶりと繊細な制球力の名場面は説明しません。だが...江夏という投手はただの一瞬たりとも、滑り止めの松ヤニの袋をたたきつけたりはしなかった...そしてこの日、球史は再び仁王立ちのクールガイのエースを巨人に配した。  「つまり...この日の菅野を若い阪神は粘り強く攻略した。主導権を握った。誰もが意表をつかれた...2回で計66球を投げさせ、阪神は丁寧に攻めた...。こんなことって誰が想像した?」と編集委員上田雅昭は序盤に熱い電話をくれたのです。もちろん彼はこの日はサンケイスポーツ専属評論家・野村克也氏と並んで、菅野vs阪神打線の微妙な心理ゲームをしっかり耳にたたきこんだに違いないのです。  まさか...の菅野の失点。だが、巨人ベンチで原監督も落ち着いていた。絶対エースが序盤で5失点...巨人ナインは黙々とあきらめずに追跡した。これぞTG戦だ。伝統が戻ってきた! いいかえると東京ドームは細切れで二転三転していく...おそるべき巨人の菅野への信頼...続投と執着に今度は阪神が燃えた。主役の意地が入れ替わっていく!  「死んでもエエんや、俺は」と叫んだ江夏。ONと村山、江夏が流した涙と炎は、いま思い出してもヤケドしそうなほどなのだ。そして...改めてスコアをもう一度じっくり見てもらいたい...。コケがはえるほど老いた元トラ番が震えるほど興奮している...。これがTG戦なのだ...。  糸井、福留、大山、木浪...襲いかかる猛虎打線。燃え尽きていく菅野の目に光るものにもロマンが漂う。  男達はここで忘れかかっていた"誇り"の何たるかを取り戻した...。

◆低調気味だった打線が13安打8得点と光明を見せた。今季初めて1番で起用された石川が三回に2号ソロ。「何とか塁に出ようという気持ちだった。振り抜けたのがよかった」と仕事を果たすと、丸が18試合ぶりの7号3ランを放ち、陽、中島、山本と5-7番はそろって複数安打を記録した。今季初の4連敗に丸は「チームとして戦っていかないといけない」と団結を呼び掛けた。

◆--菅野から10得点  矢野監督「みんなの積極的な気持ちと、昨日勝って、菅野に向かっていく気持ちというのが一番、良かった。本当によく打ってくれた。この球場は、どれだけ点があっても、わからない。ドキドキしていた。見ている方も疲れるやろ。今日はめっちゃ疲れた」  --ポイントは  「バッターはみんなヒーローになるぐらい。ピッチャーも頑張ってくれたが、ポイントといえば守屋。苦しい2軍の中から(はい上がって)勝ち星が付いて。チームの流れでも、大きな1勝になった」  --四回2死一塁で守屋を投入した  「リクエスト後の、(判定が覆った)ああいう流れ。ピシャッと行ってくれたおかげで、また打者も点を取ってくれる流れになった。うれしいね。苦しんでいたヤツがこんな大舞台で、勝負の分かれ目のところで抑えて初勝利。ホント素晴らしかった」  --大量リードでも勝ちパターンの継投を  「流れが行ったり来たりしていた。止めたいというところでPJ(ジョンソン)も行った」  --17日からは甲子園で広島戦  「いい流れで甲子園に戻れる。うちらしい野球をやっていきたい」

◆嫌な流れを断ち切った5年目右腕が、待望の初勝利をつかんだ。5-4と1点差に迫られた四回2死一塁、マウンドを託されたのは守屋だ。後続を断ち、五回も巨人の上位打線を三者凡退に抑えると、その後、打線が再び爆発。虎の歴史的大勝に彩られ、うれしいプロ初白星をつかんだ。  守屋の父・靖彦さん(49)は広島市内で仕事のため観戦できなかったが、知人から連絡が殺到して初勝利を知った。プロ5年目での初勝利に「ありがたいですね。みなさんに感謝です。幸せものです」と声を弾ませた。「毎年1月2日にキャッチボールをする。今年はずっしり重くて『今までで一番いけるかも』と思っていました」と年始から活躍を信じていた。好投を続ける息子に「けがにだけ気をつけて楽しんでもらえたら」とエールを送った。

◆前日に3号を放ったマルテは一回、糸井2ランの後、なお2死一、二塁で左越えの適時二塁打。八回2死二、三塁では四球を選び、木浪の2点打を呼ぶ"つなぎ役"も果たした。「打てる球をしっかり叩けた。打ってはいけない球の見極めもできてきている」と手応え。試合前は「日本一の投手(菅野)と対戦できるのは楽しみ」と話していたが、その攻略に貢献し、満足そうだった。

◆先発した岩田は二回まで5点の援護がありながらもジリジリと崩れ、四回途中8安打4失点。菅野よりも先にマウンドを降ろされ、守屋にバトンタッチした。「先に点をとってもらって、しっかりゼロを並べないといけない中で、バタバタして、悔しい試合になった」。4月18日のヤクルト戦(神宮)で今季初勝利を完投で飾ってから、4試合白星なし。「また次、しっかり調整して、勝負できるように頑張ります」と力を込めた。

◆D1位・近本光司外野手(大阪ガス)は二回1死、菅野の151キロを右中間に弾き返し二塁打。「真っすぐ一本で(待っていた)。少々ボールでしたけど、しっかりたたけました」。大山の適時打で4点目のホームを踏んだ。七回2死一塁では投前内野安打で5月7日のヤクルト戦(神宮)以来のマルチ安打を記録し「だいぶ前ですね...。点に絡めるように、これからも頑張ります」と気合を入れ直した。

◆梅野が10-7の七回先頭で田口から左中間へ2号ソロを放った。サイクル安打を達成した4月9日のDeNA戦(甲子園)以来の一発で追加点を奪い「何が起こるかわからない球場。自分はホームランバッターではないですが、結果として仕事ができたのはよかったと思います」と振り返った。一回2死一塁でも右前打を放ち、好機を演出。今季13度目のマルチ安打で勝利に貢献した。

◆阪神は球界のエース、巨人・菅野を4発&10得点でKOし、13-8と爆勝した。一回に糸井嘉男外野手(37)が先制の2号2ランで口火を切り、クリーンアップ3人がアーチ競演。5発も13得点も今季最多タイの豪快な2連勝で首位巨人に1ゲーム差と迫り、大混セに突入だ!!  巨人戦に2連勝は昨年5月25-27日(甲子園)で3連勝して以来。東京ドームでは2017年9月30日、10月1日以来。巨人戦のカード勝ち越しは昨年8月7-9日(東京ドーム、○●○)以来  糸井は阪神移籍後、巨人・菅野から2本塁打目。通算11試合で39打数9安打(打率・231)。福留は4発目  菅野から10得点は11球団初。阪神では13年8月4日(東京ドーム)の6回1/3、6得点(自責は3)が最多だった。ちなみに巨人投手に1試合10得点は03年7月12日(甲子園)のラス以来  菅野から1試合4本塁打も11球団で初。阪神では昨年3月30日の開幕戦(東京ドーム)での2発が最多だった  巨人相手に13得点は2005年9月13日(長崎)での16点以来。18安打は07年8月8日(東京ドーム)の22安打以来で、5本塁打は10年4月13日(同)以来。

◆猛爆快勝に藤川も笑顔の試合後だった。自身は六回、3番手で登板し、2奪三振などでゼロ封だったが、そんな話題には触れることなく「(ファンに)喜んでもらえる勝利やったんちがうかな。2つやり返しただけやけど。あさってから、また気持ちよく戦っていける」とゴキゲン球児節を展開。前夜(14日)はリードした八回に登場。どんな場面でも投げる頼れるベテランだ。

◆唇をかみ、下を向いた。巨人・菅野智之投手(29)が5回2/3、127球を投げ11安打10失点(自責点7)で3敗目。自己ワーストの失点と4被弾に表情を曇らせた。  「球種が分かっていても、あれだけ普通は打てないと思う。しっかり現状を受け止めて、また次やるしかない」  甘く高めに入った球を捉えられた。一回、糸井に先制の右越え2ランを浴びるなど3失点。五回には福留に右越えソロを浴びた。108球を投げていた中で六回も続投。「なんとかしないといけないという思いもあった」とマウンド上で修正を図ったが、木浪、大山に一発を浴びて、交代を告げられた。  原監督は「本来の姿ではないでしょう。(続投は)納得いくまでという中で六回まで投げ切らせるつもりだったけど、そこもできなかった」と淡々。昨季は28試合で被本塁打は14だったが、今年は8試合で13。防御率も4・36と苦しんでいる。  「(原因は)分かっている部分もあるし、疑問に思うところもありますけど、常にそういうものとの戦い。チームに申し訳ないですし、ただの1敗にしてはいけない。今後の野球人生の糧にしなきゃいけない」と菅野。チームは今季初の4連敗を喫し、2位に並んだ3チームとのゲーム差は1。エースの復調なくして、V奪回はない。 (赤尾裕希) 六回途中で降板した菅野について巨人・宮本投手総合コーチ 「打たれた球は高くて甘い。よくなったところで代えたかった」

◆これぞ、ホームランアーティストの放物線だ。ドームの屋根をなぞるような弧を描き、バルコニー席上の壁を直撃させた。大山が悠然と一周する。マウンド上の菅野はショックを通り越し、笑みさえ浮かべていた。  「東京ドームは一発がある球場なので1点でも多くとることが大事だったので。その中で打てたのはよかったです」  8-4の六回2死一塁。初球シュートを狙い澄ました。4月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、令和自身初の一発となる7号。菅野に自身ワーストの1試合10失点を味わわせ、巨人ベンチにタオルを投げ込ませた。  「勝てたことはよかったと思います」  矢野監督が就任すると同時に4番に固定された。開幕直後は出遅れたが、4月中旬、試合前の全体ミーティングで、指揮官からあるドキュメンタリーを見せられた。  それは格闘家・魔裟斗のサクセスストーリー。22歳で「K-1 WORLD MAX」の世界王者に輝いたが、その後、低迷。鼻をへし折られ、守りに入る自分を変え、5年後に涙の奪回を果たしたものだった。球団関係者によると、その映像を大山は背筋を伸ばし、食い入るように見つめていたという。今季から矢野監督の薦めで1打席ごとの配球表をつけ、1球目から狙って打つことを心がける。魔裟斗魂で菅野をKOさせたわけだ。  「しっかりやるだけなので。頑張ります」  糸井&福留に挟まれても見劣りしない。大山が4番らしくなってきた。 (阿部祐亮)

◆嫌な流れを断ち切った5年目右腕が、待望の初勝利をつかんだ。5-4と1点差に迫られた四回2死一塁、マウンドを託されたのは守屋だ。後続を断ち、五回も巨人の上位打線を三者凡退に抑えると、その後、打線が再び爆発。虎の歴史的大勝に彩られ、うれしいプロ初白星をつかんだ。  「いつも通り、0で抑えて帰ろうと思ってマウンド上がりました。(初勝利は)すごいうれしいです」  二回までに5点を奪うも、先発・岩田が粘りきれない嫌な展開。5-2の四回、1点を返され、なお2死三塁。菅野の遊ゴロがリクエストによるリプレー検証の結果、内野安打に覆り4失点目。流れが完全に傾いたところで、矢野監督が守屋の名前をコールした。  流れは完全に巨人。しかし、代打・重信を相手に2球で追い込むと、3球目のフォークを引っかけさせて、遊ゴロで切り抜けた。さらに圧巻は五回だ。先頭の坂本勇を直球で右飛に仕留めると、続く丸には全てストライクゾーンで勝負し、4球で見逃し三振。4番・岡本もカウント2-2から5球目、150キロ直球で空振り三振に仕留めた。  「気持ちで絶対負けたくないので、強い気持ちで。結果、三振でよかったです」。巨人の強力上位打線を力でねじ伏せ、胸を張った。  昨季まで4年間で、1軍登板はわずか9試合。昨季は矢野2軍監督のもと、ウエスタン・リーグでチーム最多39試合に登板し、日本一に貢献した。背水で迎えた今季。1軍監督に"昇格"した将に春季キャンプから1軍に抜てきされた。「常々『はい上がろうな』と言ってくれている」。開幕1軍こそ逃したが、その言葉は常に胸に刻んできた。そして、はい上がった。4月5日に昇格し、この日が17試合目で防御率0・96。矢野監督の計算に欠かせない投手となり、指揮官も「守屋が頑張ってくれたのがポイント」と大絶賛だ。  「まだまだです。シーズン終わったとき、力になれたなって終われるのが1番いい。気を緩めずに頑張りたいです」と守屋。新たな若虎の奮闘が矢野虎をさらに底上げしていく。 (大石豊佳)

◆鋭いスイングで捉えた打球は、ぐんぐん伸びて右翼席のポール際最上部の柱に直撃した。恐ろしいルーキー...。ドラフト3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が、またも菅野から打った。  「球界を代表するエースなので、絞っていかないと打てない。先頭として塁に出たかったですが、まさかのホームランでビックリしています」  "菅野キラー"を襲名していい。プロ1号も4月19日、甲子園で菅野から。その再現のように豪快にアーチを架けた。6-4の六回先頭で打席へ。1ボールからの2球目、高め124キロカーブを力強く振り抜いた。  「どう攻めてくるか考えながら、思い切っていけました」。積極的にファーストストライクを狙い、2号ソロで先発野手全員安打も決めた。  菅野といえば2年連続沢村賞の球界随一の好投手。その右腕から1シーズンに2本塁打した虎戦士は、なんと史上初だ。矢野監督も「聖也(木浪)も見事なホームランやった」と称賛。虎の歴史に名を残す一発で、勝利をぐっと引き寄せた。  プロ野球選手になることを夢見た少年時代。小学1年生で入団した安田ヤンヤン少年野球チームでは年に1度、1年間を振り返る作文を書いた。「ことしはこんなことができるようになった」「この試合が楽しかった」...。それぞれが反省や思い出をしたためる中、木浪だけは違った。  「○○くんの、元気に声を出すところがすごいと思いました」  「○○くんは、前はできなかった○○ができるようになりました。僕も頑張りたいです」  作文用紙をびっしりと埋め尽くしたのは、チームメートのいいところ。恩師の澤田憲郎監督は「『自由に書いてね』と紙を渡したら、聖也は仲間のことでいっぱい。周りのことをよく見ていたんでしょうね。あんな風に書いていたのは聖也だけ」と目を細める。誰よりも仲間思いで、長所をぐんぐん吸収できる。そんな男だから、舞台がプロに移っても、自分らしく活躍していける。  「ホームランを打てたことは自信になりますし、うれしいです」  八回2死満塁では野上から右前2点打を放ち、ダメ押し。計3打点で今季最多タイの13得点に貢献した。木浪は止まらない。まだまだ打って、猛虎の仲間と頂点へと突き進む。  (箭内桃子)

◆ほっぺをつねってみたけど...夢じゃない! 阪神は球界のエース、巨人・菅野を4発&10得点でKOし、13-8と爆勝した。一回に糸井嘉男外野手(37)が先制の2号2ランで口火を切り、クリーンアップ3人がアーチ競演。5発も13得点も今季最多タイの豪快な2連勝で首位巨人に1ゲーム差と迫り、大混セに突入だ!!  令和の猛虎が牙をむき、東京ドームを震撼させた。巨人に勝てなかった平成が、遠い昔にさえ感じる2連勝だ。球界を代表するエース・菅野を豪快に沈め、今季最多18安打で、最多タイ13得点&5発! 歴史的な猛攻劇のゴングを、超人が打ち鳴らした。  「(とにかく)『いってくれ』って...。ありがとうございます」  興奮が残る手のひらを見つめ、糸井がつぶやいた。一回。1死から糸原が中前打で出塁すると、打席へ。3-1から菅野の135キロスライダーをとらえると、打球はオレンジに染まる右翼席に着弾した。「相手がいい投手なので、初回から先制できてよかった」。3月30日のヤクルト戦(京セラ)以来39試合、実に170打席ぶりとなる先制2号2ランだ。  難敵の出鼻をくじき、二回までに5得点で、一気に試合の流れをつかんだ。1点差に迫られた五回には、福留が立ち直りかけていた菅野の147キロを右翼席へ運び、再点火。六回はD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)、4番の大山にも一発が飛び出し、クリーンアップそろい踏み。4被弾も10失点も、すべて自己ワーストという屈辱を、菅野に突きつけた。  乱打戦を制した矢野監督は、笑顔で「こういう攻撃ができたのは自信になる。(ただ)疲れました」と、うれしい悲鳴。疲れもあってか、ここ数試合はヒットこそ出ながら、"超人的"な活躍がなかった糸井については「嘉男(糸井)的には納得できていない部分はあったと思うけど、きょうのヒットは1本1本が内容のあるものだと思う。気持ち的にも上がる。楽しみが増えたかな」と、3安打3打点に確かな上昇を感じ取った。  平成最後のキャンプとなった2月の沖縄・宜野座。糸井、福留らにとって"アイドル"だったのが球場アルバイトの當真圭介さん(22)だ。「あと4キロ痩せてこい!」と福留が指令を出すなど、自己流調整を認められたベテラン2人は時間を見つけては、外野で當真さんとランニングして、汗を流してきた。  キャンプ終盤。糸井は折れたバットにサインを施し、関係者を通じて當真さんに贈った。喜ぶようすを伝え聞き「ほんま? よかったわ」と満面の笑み。昨年プレゼントしたスパイクは、何といま「道の駅ぎのざ」に展示されており、野球少年たちの憧れの視線を浴びている。夢を与えるのがプロ野球選手-。それをプレーで体現する、伝統の一戦での大活躍だ。  「(チームが)2連勝できてよかったですね」  今季初めてG戦を勝ち越し、貯金は最多タイの3。2位タイに浮上し、首位巨人に1ゲーム差に迫った。広島を含め、セ・リーグは4球団が1差にひしめく大混戦だが、超人が元気なら、虎はもう止まらない。 (竹村岳) 五回に4号ソロを放った阪神・福留 「流れを取り戻すためにも打つことができてよかった。彼(菅野)に後手に回ってしまえば、受け身になってしまう。自分たちの方からどんどん仕掛けていくつもりで、打席に立っている」 打線について阪神・浜中打撃コーチ 「巨人のエース(菅野)からね。糸井のホームランと、嫌な展開になってきたところでの孝介(福留)さんのホームランは大きかった。スライダーもいつものキレじゃなかったし、真っすぐも横からみていて、いつもの球威がないようにみえました」

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
21161 0.568
(↓0.015)
-
(-)
105199
(+8)
152
(+13)
50
(+2)
21
(+1)
0.268
(↑0.002
3.630
(↓0.12)
2
(1↑)
広島
21181 0.538
(↑0.012)
1
(↑1)
103151
(+9)
162
(+7)
38
(+2)
24
(+1)
0.240
(↑0.002)
3.190
(↑0.02)
2
(-)
ヤクルト
21182 0.538
(↓0.015)
1
(-)
102204
(+7)
195
(+9)
47
(-)
17
(-)
0.249
(↑0.001)
4.230
(↓0.04)
2
(1↑)
阪神
21182 0.538
(↑0.012)
1
(↑1)
102168
(+13)
174
(+8)
31
(+5)
26
(+1)
0.245
(↑0.005
3.610
(↓0.1)
5
(-)
中日
17210 0.447
(↓0.012)
4.5
(-)
105139
(+2)
147
(+8)
26
(+1)
24
(-)
0.261
(↓0.002)
3.780
(↓0.1)
6
(-)
DeNA
14240 0.368
(↑0.017)
7.5
(↑1)
105141
(+8)
172
(+2)
44
(+3)
7
(-)
0.237
(↑0.004)
4.120
(↑0.06)